説明

非常通報システム

【課題】複数個の中継機での中継リレーを利用して、広い範囲での通信を可能とする。
【解決手段】親機11と、個別識別情報(ID)を有する複数の子機21,22,23,24,25,26,27と、中継機31,32,33,34,35,36,37とを用いるもので、それらを、学校、工場、オフィスなどのある一定範囲内に設置することで、ワイヤレスネットワークシステムを構成する。親機11,子機21〜26および中継機31〜36は、特定小電力無線により、いずれも双方向通信が可能である。子機21〜26からの通報は、グループ番号が同じ中継機が一旦受信して、中継機31〜33あるいは34〜36の中継系統において、予め設定された中継番号の順に、中継機を介して、親機11に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定小電力無線通信を利用し、親機に対し複数の子機や中継機を一定範囲に設置し、侵入者の存在などの非常時に親機に対し前記子機や中継機から通報する非常通報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、親機に対し、ある一定範囲に複数の子機を設置し、親機−子機の組み合わせでワイヤレス通信を行うシンプルな非常通報システムとして、前記子機は送信機能のみ、親機は受信機能のみの片方向通信であるものは知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−056894号公報(段落0012〜0014)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、そのようなシステムであると、子機は送信機能のみ、親機は受信機能のみを有するだけでよいので、安価に製造できるが、親機と子機の組み合わせでワイヤレス通信を行う場合、送信電力の関係で、親機と子機との距離が離れていると、それらの間での直接の通信が行いにくい場合がある。
【0004】
そのような場合には、親機と、その親機から距離が離れている子機との間にそれらの通信を中継ぎする中継機を別途設けることが必要となる。
【0005】
そこで、発明者は、前記子機からの通報(データ)を中継して親機へ送信する中継機を単に複数個設けるのではなく、そのような複数個の中継機でもって、予め設定されている中継番号の順で順次中継して親機に送信するという具合に、複数個の中継機で送信をリレーすることにすれば、通信範囲を広げることができることに着想し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
本発明は、子機からの通報(データ)を、複数個の中継機により予め設定されている中継番号順でもって順次中継して親機に送信することにより、広い範囲での通信を可能とした非常通報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、親機と、複数の子機とを、中継機を介して通信可能に構成する非常通報システムにおいて、前記子機及び中継機は、個別識別情報およびグループ番号を有するとともに通報を送受信するデータ送受信手段を備え、前記中継機は、前記子機のうちグループ番号が同一である特定の子機と送受信可能であるとともに、前記特定の子機からの通報を、予め設定されている中継番号の順でもって中継して親機に送信する構成とされ、前記親機は、通報を送受信するデータ送受信手段と、前記子機及び中継機の個別識別情報を記憶する記憶手段とを備え、前記中継機からの通報を受信したときに、前記通報に基づきその送信元である前記子機を特定してその子機に対し警報動作を実行する構成とされていることを特徴とする。ここで、「中継番号の順でもって中継して親機に送信する」とは、子機からの通報を直接に親機に送信するのではなく、中継機を介して送信するという意味であり、その場合、前記子機からの通報を受信した中継機の中継番号によって、親機まで中継するに用いられる中継数の台数が異なる。つまり、親機から離れた位置に設置される子機であれば、中継に用いられる中継機の台数が多くなり、親機の近くに設置される子機であれば、その子機からの通報を受信した中継機が、他の中継機を介することなく、親機に直接送信することになるように中継番号が設定される。
【0008】
このようにすれば、親機から離れた位置に設置される子機の場合には、その子機からの通報が、予め設定されている中継番号の順での中継機による中継を利用して、親機に送信されるので、広い範囲での通信が可能となる。また、広範囲に亘って設置する場合でも、台数を調整することで、各グループにおける子機と中継機との間隔、中継機同士の間隔、中継機と親機との間隔を大きく離す必要がないので、それらの間で確実に通信がなされ、通信精度も高まる。さらに、通報を中継する場合に、設定されたグループ番号により中継する経路を制御することによって、混信を防止して、中継台数を増やすこともできる。また、中継番号を制御することで中継する経路を簡単に複数に分けることができ、子機や中継機を直線的でなく、平面的に広範囲に設置することができる。
【0009】
さらに、親機及び子機、中継機がデータ送受信手段を有することで、親機と中継機、中継機と子機との間で通信可能となり、必要に応じて返信を送るなどして、子機、中継機のいずれの側においても、通信が正しく行われたことの確認が行える。また、子機、中継機は、個別識別情報を有するので、どの子機あるいは中継機からの通報(送信)であるかを親機が識別することができ、セキュリティ性能を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載のように、前記子機及び中継機は、前記グループ番号を設定・変更するグループ番号設定手段を備え、中継機は、前記グループ番号でもって、前記特定の子機であるか、それ以外の子機であるかを判別する構成とすることができる。
【0011】
このようにすれば、グループの数を簡単に増加することができ、広い通信範囲を得る上で有利であり、また、通信範囲の変更も容易である。中継機を設置する場合には、中継機に子機を登録するタイプではないので、設置・増設に再登録が必要でないし、また、子機及び中継機側でグループ番号を設定するだけであるので、子機や中継機の設置が容易である。
【0012】
請求項3に記載のように、前記親機及び中継機のデータ送受信手段は、前記子機又は中継機から受信した通報を送信した場合に、前記子機又は中継機に返信する構成とすることが望ましい。
【0013】
このようにすれば、通報を受信した場合に、親機及び中継機から、一定時間経過後に返信されるようになっているので、中継機や子機のいずれにおいても、通信が正しく行われたか否かを、通報を送信する毎に確認することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のように、親機から離れた位置に設置される子機の場合には、その子機からの通報が、予め設定されている中継番号の順での中継機による中継を利用して、親機に送信する構成としているので、広い範囲での通信を実現することができる。また、広範囲に亘って設置する場合でも、台数を調整することで、各グループにおける子機と中継機との間隔、中継機同士の間隔、中継機と親機との間隔を大きく離す必要がないので、それらの間で確実に通信を行うことができ、通信精度を高めることができる。さらに、親機、中継機及び子機がデータ送受信手段を有することで、親機と中継機、中継機同士、中継機と子機との間で通信可能となり、必要に応じて返信を送るなどして、中継機、子機のいずれにおいても、通信が正しく行われたことの確認が行える。また、子機および中継機は、個別識別情報を有するので、どの子機あるいは中継機からの通報であるかを親機が識別することができ、セキュリティ性能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施の形態である非常通報システムの概略構成を示す説明図である。
【0017】
図1に示すように、非常通報システムは、親機11と、個別識別情報(ID)を有する複数の子機21,22,23,24,25,26,27と、中継機31,32,33,34,35,36,37とを用いるもので、それらを、学校、工場、オフィスなどのある一定範囲内にセキュリティなどを目的として設置することで、ワイヤレスネットワークシステムとして構成される。親機11、子機21〜27および中継機31〜37は、特定小電力無線により、いずれも双方向通信が可能である。
【0018】
親機11は、図2に示すように、制御部11A(CPU)を備える。この制御部11Aは、通報を送受信するためのデータ送受信手段11Aaと、後述する子機21〜26や中継機31〜36の個別識別情報を、それらの設置場所などとともに記憶する個別識別情報記憶手段11Abとを有する。また、親機11は、制御部11Aによって制御される送受信表示部11B、音声再生部11C、警報解除装置11D、警報出力装置11E、周波数設定装置11Fも有する。なお、具体的に図示していないが、親機11は、電源(例えばバッテリ)を備える。
【0019】
送受信表示部11Bは、例えば7セグLEDで、通報があった子機を、その通報に含まれる個別識別情報などに基づき表示する。音声再生部11Cは、例えばスピーカで、通報があった際に警告などが再生される。警報出力装置11Eは、例えばブザーで、通報があった際に警報として鳴動する。この個別識別番号の表示、音声による警告やブザーによる警報によって、通報時に親機11が実行する警報動作が構成される。
【0020】
警報解除装置11Dは、例えば押しボタンスイッチで、警報を解除する際に操作され、制御部11A内において必要な処理が行われる。周波数設定装置11Fは、送受信に用いられる信号の周波数を設定するものである。
【0021】
さらに、制御部11Aには、無線通信部11Gを介してアンテナ11Hに連係され、データ送受信手段11Aaによって送受信がなされるようになっている。つまり、中継機31,34,37あるいは子機27からの転送(通報)がアンテナ11Hを通じて入力されると、無線通信部11Gにおいては、スイッチング回路11hを経て増幅器11pで増幅され、VCO11d(PLL)からの信号と混合器11qにて混合され、復調回路11rを経て制御部11A(CPU)に入力される。そして、必要な情報は、制御部11Aからの信号として、送受信表示部11B、音声再生部11C、警報出力装置11Eに送信され、それぞれが前述した警報動作を実行する。一方、制御部11Aからの返信は、制御回路11cを通じてVCO11d(PLL)に送られる一方、変調回路11eにも送られる。そして、VCO11d(PLL)からの信号と、変調回路11eからの信号が混合器11fで混合されて、増幅器11gで増幅され、送受信を切り替えるスイッチング回路11hを経てアンテナ11Hから、中継機31,34,37あるいは子機27に向けて送信される。なお、音声再生部11Cは、音声回路11m(音声録音/再生)を備え、マイク11m1を通じて警告を録音したりスピーカー11m2を通じて警告を再生したりすることができる。また、制御部11Aにスイッチング回路11nを連係し、このスイッチング回路11nを介して外部端子11n1とも接続される構成とすることで、外部端子11n1を利用して、携帯電話などへの通報機能11Eも発揮できるようにすることも可能である。
【0022】
そして、システムを設置する場合には、親機11の個別識別情報記憶手段11Abに対し、前記システムを構成する子機21〜27及び中継機31〜37の個別識別情報を順次登録して記憶させる。なお、親機11は個別識別情報を持っていない。ここで、子機21〜27と中継機31〜37を設置できる合計台数は、親機11の最大登録台数によって決まる。
【0023】
子機21〜27は、同じ構成であるので、一例として、図3に沿って子機21について説明する。子機21はデータ送受信手段21Aaを有する制御部21A(CPU)を備える。また、子機21は、制御部21Aによって制御される送受信表示部21B、警報通報装置21C、警報出力装置21D、周波数設定装置21E、及びグループID設定装置21F(グループ番号設定手段)も備える。送受信表示部21Bは、例えばLEDで、通報が送信された場合や中継機31からの返信があった場合に点灯される。警報通報装置21Cは、例えば押しボタンスイッチで、警報通報時に押される。警報出力装置21Dは、例えばブザーで、警報通報時に鳴動される。周波数設定装置21Eは、送受信に用いられる信号の周波数を設定するものである。グループID設定装置21Fは、例えばディップスイッチで、グループ番号であるグループIDを設定したり変更したりする際に操作されるものである。
【0024】
また、制御部21Aには、無線通信部21Gを介してアンテナ21Hに連係されている。つまり、通報時には、警報通報装置21C(たとえば、押しボタンスイッチ)の操作により制御部21Aにおいて必要な処理が行われ、その結果に基づく信号が制御回路21cを通じてVCO21d(PLL)に送られる一方、変調回路21eにも送られる。そして、VCO21d(PLL)からの信号と、変調回路21eからの信号が混合器21fで混合されて、増幅器21gで増幅され、送受信を切り替えるスイッチング回路21hを経てアンテナ21Hから中継機31に向けて、通報が送信される。中継機31からの返信は、アンテナ21Hを通じて入力され、スイッチング回路21hを経て増幅器21pで増幅され、VCO21d(PLL)からの信号と混合器21qにて混合され、復調回路21sを経て制御部21Aに入力される。必要な情報は、制御部21Aからの信号として、送受信表示部21Bが受けて、例えばLEDの点灯により表示される。
【0025】
また、中継機31〜37も、同じ構成であるので、一例として、図4に沿って子機31について説明する。中継機31は、制御部31A(CPU)を備える。この制御部31Aは、データ送受信手段31Aaと、中継番号設定手段31Abとを有する。中継番号設定手段31Abは、中継番号を設定・変換することで、中継機31による中継順序を決定するものである。子機からの通報を受信した中継機は、この中継番号に基づいて、前記通報を次に送信する中継機を判別する。そして、中継番号の順に従って、中継機を介して親機11に送信される。
【0026】
また、中継機31も、子機と同様に、制御部31Aによって制御される送受信表示部31B(例えば、LED)、警報通報装置31C(例えば、押しボタン)、警報出力装置31D(例えば、ブザー)、周波数設定装置31E、及びグループID設定装置31F(グループ番号設定手段)も備える。さらに、制御部31Aには、無線通信部31Gを介してアンテナ31Hに連係されている。なお、この無線通信部31Gは、子機の21無線通信部21G(図3参照)と同じ構成であるので、それの具体的構成の図示を省略している。
【0027】
子機21〜27及び中継機31〜37は、それぞれ、子機21〜27及び中継機31〜37を特定するための個別識別情報を有する。子機21〜27及び中継機31〜37の個別識別情報は、製造時に子機21〜27及び中継機31〜37に対し登録され、制御部において記憶される(図3及び図4参照)。なお、子機21〜27及び中継機31〜37は、具体的に図示していないが、例えばバッテリなどの子機電源及び中継機電源を備える。
【0028】
また、子機21〜27及び中継機31〜37は、前述したように、グループID設定装置を用いてグループIDを設定したり変更したりすることができ、この実施の形態では、6つのグループ(グループ番号(1)〜(6))に分けられている(図1参照)。子機21〜26は、同じグループIDを有する1つの中継機31〜36とだけ送受信が可能であり、その中継機が直接あるいは他の中継機を介して、親機11と通信が行われるようになっている。つまり、子機21〜26は、親機11と直接ではなく、同じグループIDを有する中継機31〜36を介して、親機11との間で通信が行われる。
【0029】
この点についてさらに詳述すると、中継機31〜36は、各グループにおいて1台だけ設置可能である。また、子機は、この実施の形態では、各グループに1台だけ設置しているだけであるが、複数台設置することができる。よって、各グループにおいて、1つの中継機が、複数の子機と親機の間における通信の中継を受け持つことになり、いずれの子機も、常に同じグループの中継機を経て親機11に通報が送信されることになる。つまり、中継機31〜36は、同じグループ番号の子機21〜26についてのみ中継機としての機能を発揮できる構成とされ、その子機からの通報(警報通報装置である例えば押しボタンを押すことによる通報)を、データ送受信手段を利用して、親機11に転送することができる。また、子機からの通報だけでなく、中継機自体も警報通報装置の操作によって中継機からの通報を送信して、親機11で警報動作をさせることができる。なお、例外的に、特定のグループ番号、この実施の形態ではグループ番号(0)に設定することで、そのグループ番号(0)のグループに属する子機27及び中継機37は、親機11との間で直接に通信することができるように構成することも可能である。つまり、中継機37は、グループ番号(0)に設定されると、子機27と同様に、親機に対し通報可能となる。この場合は、グループ番号(0)に設定した子機27から送信された通報を、同じくグループ番号(0)に設定した中継機37が受信しても、中継しないようになっている。
【0030】
また、親機11から離れた位置に設置される子機の場合には、予め設定されている中継番号の順での複数の中継機による中継を利用して、親機11に送信することができるので、中継距離を長くすることができ、広い範囲での通信が可能となる。そして、中継する中継機の台数をさらに増加すれば、通信精度を低下させることなく、通信範囲をさらに広げることができる。個別識別情報やグループ番号が設定されているので、混信のおそれもない。
【0031】
例えば図1に示す実施の形態では、グループ番号(3),(6)の子機23,26は、親機11から大きく離れているため、子機23,26と親機11との間に設置される中継機31〜33,34〜36を介して通報の送信が行われる。この場合には、中継機31〜33,34〜36において、中継番号が設定されているので、その中継番号の順に従った中継機による中継リレーで、通報が送信される。これにより、親機11から遠く離れて設置された子機23,26は、まず、中継機33,36との間で送受信を行い、中継機31〜33の中継系統あるいは中継機34〜36の中継系統を通じて、親機11に間接的に通報を送信することが可能となる。このように、中継系統(中継の経路)は、グループIDを工夫することによってさらに増加させることも可能である。
【0032】
一方、中継機31〜37は、グループ番号が異なる子機21〜27との関係では、受信機能を発揮するだけで、送信する機能はなく、また、中継機31〜37は、中継機として機能することはない。中継機31〜37は中継番号の順に従って、送信が行われ、親機11と直接通信可領域内に設置されている中継機31,34が、親機11と直接に送受信可能である。なお、中継機31〜37は、別の中継機31〜37からの通報を受信しても、同様に、受信機能を発揮するだけである。
【0033】
親機11は、識別情報記憶手段11Abにおいて、システムを構成する子機21〜27の個別識別情報及び設置場所並びに中継機31〜37の個別識別情報を登録により記憶しており、子機21〜27の設置場所や中継機31〜37を個別識別情報とともに、送受信表示部11Bにおいて、視覚的に表示できるようになっている。また、それらの情報が音声情報として録音され、音声再生部11Cにおいて出力されるようにもなっている。
【0034】
上記のような親機11および子機21〜27、中継機31〜37を用いれば、親機11は、電源を投入することにより、個別識別情報が登録された子機21〜27からの通報を、中継機31〜36を介して又は直接受信可能な待機状態となり、子機21〜27からの通報を待つことになる。ここで、中継機31〜33,34〜37は、常時受信可能状態を維持する必要はなく、一定時間毎に中継する通報の有無をチェックする構成とすることも可能である。
【0035】
子機21〜27あるいは中継機31〜37の警報通報装置が操作(例えば、押しボタンの入力)されると、子機21〜27あるいは中継機31〜37からの通報が親機11に送信される。この送信は、送受信表示部21B,31Bにより確認される。つまり返信(ACK)があれば、送受信表示部21B,31Bにより、送信が完了したことが確認される。なお、返信がない場合には、再送信が行われる。
【0036】
親機11は中継機31,34からの通報を受信すると、返信(ACK)を送信し、設置場所や個別識別情報などの情報を表示部11Bにおいて表示し、録音した音声とブザー鳴動との警報動作により、子機からの通報が送られてきたことが報知される。
【0037】
続いて、上記非常通報システムによる通信処理について,図1及び図6、図7に基づいて説明する。次の例は、中継機が3台の場合の通信処理についてのもので、図6及び図7に矢印で示す経路以外の送受信はすることができないようになっている。
【0038】
A.子機からの警報送信
図1及び図6に示すように、例えば中継機31〜33の中継系統においては、侵入者などがあり、それを親機11に通報するために例えば子機23おいて警報通報装置が操作されると、子機23から通報(個別認識情報、グループID、経路番号01を含む)が送信されるとともに、後述する中継機33からの返信を受けた応答確認後に前記制御部の制御によって子機23が警報(例えばブザー鳴動)を発する警報状態となる。この警報状態は、警報解除受信待ちの状態でもある。
【0039】
その子機23と同じグループ番号(3)である中継機33が、子機23からの通報を受信したとき、子機23からの通報であることが個別識別情報及びグループ番号に基づき確認される。
【0040】
その後、中継機33は、子機23からの通報を、グループIDに基づき経路番号を書き換えて、通報(経路番号11を含む)として次の中継機32に転送するとともに、子機23に同じ通報を返信する。一方、異なるグループ番号の子機(例えば子機22)からの通報であれば、その通報は中継機33は受信するだけで、返信は行われない。この通報は、その子機が属する中継機(例えば、中継機32)が受信するからである。
【0041】
これにより、子機23側は、前記返信を受信する応答確認により、中継機33から、次の中継機32に通報が送信(転送)されたことがわかる。
【0042】
つづいて、中継機32,33においても、経路番号が21,31と書き換えられて、通報の転送、返信が行われる。ここで、中継機32,33は、受信した経路番号と自機のグループ番号とから、次の経路番号を設定し、通報に付加される。
【0043】
中継機31からの転送(通報)を親機11が受信すると、経路番号を80に書き換えて、中継機31への返信がなされ、応答確認がなされる。これにより親機11も、子機23に対し警報動作(例えば、ブザーの鳴動)を実行することになる。
【0044】
また、子機22からの通報であれば、中継機32が受信して、中継機31を介して、親機11に送信される。子機21からの通報であれば、中継機31が受信して、そのまま親機11に送信される。
【0045】
一方、中継機34〜36の中継系統においては、子機26からの通報であれば、そのグループ番号(6)と同じグループ番号の中継機36に通報が送信され、その通報は、経路番号の順に従って、中継機36,35,34の順で順次中継されて、最終的に親機11に送信されることになる。そして、子機25からの通報であれば、中継機35が受信して、中継機34を介して、親機11に送信される。子機24からの通報であれば、中継機34が受信して、そのまま親機11に送信される。
【0046】
B.親機からの警報解除送信
図1及び図7に示すように、例えば前述した中継機31〜33の中継系統において、子機23の警報状態を解除する場合には、親機11において警報解除装置11Dが操作され、親機11から警報解除信号(経路番号81を含む警報解除データ)が送信され、前述した図7に示す場合とは逆の順序で、警報解除信号が子機23に送られる。
【0047】
つまり、親機11からの警報解除信号は、グループ番号(1)の中継機31が受信したとき、個別認識情報及びグループ番号が含まれていないことから、親機11からの送信であることが確認される。
【0048】
その後、中継機31は、親機11からの警報解除信号を、グループIDに基づき経路番号を書き換えて、警報解除信号(経路番号91を含む)として次の中継機31に転送するとともに、親機11に同じ警報解除信号を返信する。一方、異なるグループ番号の中継機であれば、その警報解除信号は受信するだけで、返信は行われない。
【0049】
これにより、親機11側は、前記返信を受信する応答確認により、中継機31から、次の中継機32に警報解除信号が送信(転送)されたことがわかる。
【0050】
続いて、中継機32,33においても、経路番号がA1,B1と書き換えられて、警報解除信号の転送、返信が行われる。ここで、中継機32,33は、受信した経路番号と自機のグループ番号とから、次の経路番号を設定し、警報解除信号における経路番号が書き換えられる。
【0051】
中継機33からの転送(警報解除信号)を子機11が受信すると、経路番号を00に書き換えて、中継機33への返信がなされ、応答確認がなされる。これにより子機11は、警報動作(例えば、ブザーの鳴動)が解除され、警報解除状態となる。
【0052】
また、子機22への警報解除信号の送信であれば、中継機31,32を介して、子機22に送信される。子機21への送信であれば、中継機31が受信して、そのまま子機21に送信される。
【0053】
一方、中継機34〜36の中継系統においては、子機26への警報解除信号の送信であれば、まず中継機34に通報が送信され、その警報解除信号は、中継番号の順に従って、中継機34,35,36の順で順次中継されて、最終的に子機26に送信されることになる。そして、子機25への警報解除信号の送信であれば、中継機35,35を介して、子機25に送信される。子機24への警報解除信号の送信であれば、中継機34が受信して、そのまま子機24に送信される。
【0054】
前記実施の形態のほか、本発明は、次のように変更して実施することも可能である。
【0055】
前記実施の形態では、子機21〜27および中継機31〜37の警報通報装置としては、押しボタンの操作により通報する構成のほか、センサと接続して、そのセンサが侵入者を検知した場合に通報する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る一実施の形態である非常通報システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】前記非常通報システムに用いる親機の説明図である。
【図3】前記非常通報システムに用いる子機の説明図である。
【図4】前記非常通報システムに用いる中継機の説明図である。
【図5】前記非常通報システムの、子機からの警報送信の通信シーケンスを示す図である。
【図6】前記非常通報システムの、親機からの警報解除送信の通信シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
11 親機
11A 制御部
11Aa データ送受信手段
11Ab 個別識別情報記憶手段
11B 送受信表示部
11C 音声再生部
11D 警報解除装置
11E 警報出力装置
21〜27 子機
21A 制御部
21Aa データ送受信手段
21B 送受信表示部
21C 警報通報装置
21D 警報出力装置
21F グループID設定装置
31〜37 中継機
31A 制御部
31Aa データ送受信手段
31Ab 中継番号設定手段
31B 送受信表示部
31C 警報通報装置
31D 警報出力装置
31F グループID設定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と、複数の子機とを、中継機を介して通信可能に構成する非常通報システムにおいて、
前記子機及び中継機は、個別識別情報およびグループ番号を有するとともに通報を送受信するデータ送受信手段を備え、
前記中継機は、前記子機のうちグループ番号が同一である特定の子機と送受信可能であるとともに、前記特定の子機からの通報を、予め設定されている中継番号順でもって中継して親機に送信する構成とされ、
前記親機は、通報を送受信するデータ送受信手段と、前記子機及び中継機の個別識別情報を記憶する記憶手段とを備え、前記中継機からの通報を受信したときに、前記通報に基づきその送信元である前記子機を特定してその子機に対し警報動作を実行する構成とされていることを特徴とする非常通報システム。
【請求項2】
前記子機及び中継機は、前記グループ番号を設定・変更するグループ番号設定手段を備え、
中継機は、前記グループ番号でもって、前記特定の子機であるか、それ以外の子機であるかを判別することを特徴とする請求項1記載の非常通報システム。
【請求項3】
前記親機及び中継機のデータ送受信手段は、前記子機又は中継機から受信した通報を送信した場合に、前記子機又は中継機に返信することを特徴とする請求項1又は2記載の非常通報システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−276599(P2008−276599A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120770(P2007−120770)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】