非平面フタロシアニンの弱エピタキシー成長用の固溶体誘起層
【課題】非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜の調製用である固溶体誘起層、および固溶体誘起層上での弱エピタキシャル成長から生成される非平面フタロシアニンの薄膜、非平面フタロシアニンの弱エピタキシー成長薄膜に基づく有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】固溶体誘起層は、IおよびIIによって表される2つの誘起層分子の共蒸着によって調製される。
(式中、Arは、共役芳香族基、または下記の構造:
の1つであり、R1、R2は、HまたはFである)
【解決手段】固溶体誘起層は、IおよびIIによって表される2つの誘起層分子の共蒸着によって調製される。
(式中、Arは、共役芳香族基、または下記の構造:
の1つであり、R1、R2は、HまたはFである)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜(weak epitaxial film)の調製用である一連の固溶体誘起層およびそのようなエピタキシャル膜に基づく電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
軽量、加工の容易さ、柔軟性という特徴を有する有機半導体は、ディスプレイ、集積回路、光電池およびセンサーにおける広範な応用展望を示す。近年、有機エレクトロニクスの急速な発達に伴って、キャリア移動度の高い半導体材料および膜に対する要求がますます明らかになってきている。
【0003】
Wang Haiboら(Adv.Mater.、2007、19、2168〜2171頁)は、有機半導体の結晶性薄膜を調製するための弱エピタキシー成長という名称の方法を最初に報告したものであり、得られる結晶性薄膜のキャリア移動度は、対応する単結晶のレベルに達する。弱エピタキシー成長は、絶縁特性を有する結晶性有機誘起層が有機半導体の結晶性薄膜の成長を誘起するための基板として用いられる方法を指す。有機半導体の格子と誘起層との間には、有機半導体の配向成長を認識することができるエピタキシー関係が存在し、その一方で、誘起層分子と有機半導体分子との間には比較的弱いVDW(ファンデルワールス力)があるため、半導体分子は誘起層表面上に「立って」おり、これにより、有機半導体の電荷輸送方向は薄膜平面内にあるのが好ましい。弱エピタキシャル成長した有機半導体薄膜は、単結晶様の電気伝導性を提示する。非平面フタロシアニンは高移動度を有する一種の材料であり、その結晶充填は通常2Dπ−π積層である。
【0004】
Haibo Wangら(Appl.Phys.Lett.、2007、90、253510頁)は、VOPcをエピタキシャルに成長させ、エピタキシャルVOPc膜に1.5cm2/Vsの電界効果移動度をもたらすための誘起層としてp−6Pを使用した。しかしながら、VOPc薄膜の弱エピタキシー成長は、p−6P誘起層上に、p−6PとVOPcとの間の格子不一致に起因する不整合エピタキシーを示す。非平面金属フタロシアニンと平面金属フタロシアニンとの間には単位セルのパラメータおよびタイプにおける有意差があるため、誘起層の単位セルに関する要求も異なる。
【0005】
中国特許(「Inducing Layer Materials for Weak Epitaxial Films of Non−planar Metal Phthalocyanine」、出願第200910200459.5号)は、化学合成法で棒状分子構造を変化させることにより、一連の新たな誘起層材料を提供している。異なる格子パラメータを有するそのような単一の誘起層材料を選択することによって有機半導体材料を一致させるためには、膨大なスクリーニング作業が必要であり、その一方で、格子パラメータを微調整することは困難である。
【0006】
Norbert Kochら(J.Phys.Chem.B、2007、111、14097〜14101頁)は、有機半導体分子の混合膜の格子パラメータが混合の割合によって変動することを指摘している。そのような物理的共堆積法を使用して固溶体膜を形成することにより、格子パラメータを変化させることが好都合である。
【0007】
本発明は、共堆積(co−deposition)という物理的方法を使用することにより、均質構造を有する固溶体薄膜(solid solution thin film)を調製し、該膜は、誘起層として非平面フタロシアニンの弱エピタキシー成長(weak epitaxy growth)に作用する。ある特定の基板温度において、固溶体誘起層(solid solution inducing layer)は共堆積によって形成される。該層はいかなる相分離もなく均質であり、各ドメインは単結晶構造を示し、隣接するドメインは密接に合体して連続的で平滑な膜を形成し、その格子パラメータは、成分割合の変化に伴って絶えず変動し、混合膜の電子構造は同じに作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許出願第200910200459.5号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Wang Haiboら(Adv.Mater.、2007、19、2168〜2171頁)
【非特許文献2】Haibo Wangら(Appl.Phys.Lett.、2007、90、253510頁)
【非特許文献3】Norbert Kochら(J.Phys.Chem.B、2007、111、14097〜14101頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術の欠陥を克服するために、本発明の1つの目的は、一種の固溶体誘起層を提供することであり、該層は、下記の一般式IおよびIIの2つの誘起層分子のいずれかを用い、ある特定の基板温度において共堆積法を利用して調製される。
【0011】
【化1】
【0012】
本発明の別の目的は、前述の固溶体誘起層上での弱エピタキシャル成長から形成された非平面フタロシアニンの一種の薄膜(thin films of non−planar phthalocyanine)を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、上記弱エピタキシャル成長非平面フタロシアニンで作られた一種の有機薄膜トランジスタを有機半導体層として提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の原理は、共蒸着法(vapor co−deposition method)によって固溶体誘起層を調製することである。2つの単一誘起層分子の共堆積は、ある特定の基板温度において、単結晶様構造を有する均質かつ大粒径の固溶体薄膜を形成する。固溶体薄膜の格子パラメータは成分割合によって制御され、その一方で、固溶体薄膜の電子構造は各単一成分の電子構造とは異なる。
【0015】
本発明の利点の1つは、誘起層薄膜の格子パラメータが成分割合によって制御され得るため、誘起層と非平面フタロシアニンとの間の格子一致を適切となるように制御することができ、非平面フタロシアニンの高品質薄膜を生成するのに役立つことである。
【0016】
別の観点では、固溶体誘起層の電子構造は成分割合によって制御され得る。誘起層と非平面フタロシアニンとの間には通常ヘテロ接合効果があるため、電子構造の変化は、非平面金属フタロシアニンと誘起層との間のヘテロ接合効果の変化につながり、非平面フタロシアニントランジスタデバイスの性能を調整するのに役立つ。
【0017】
本発明において固溶体誘起層薄膜を構成するために使用される分子は、中国特許(「Inducing Layer Materials for Weak Epitaxial Films of Non−planar Metal Phthalocyanine」、出願第200910200459.5号)によって提供されるものであり、下記の一般式の通りに示される。
【0018】
【化2】
【0019】
一般式I中のArは、共役芳香族基、または下記の構造:
【0020】
【化3】
【0021】
の1つである。
【0022】
一般式IおよびII中のR1およびR2は、水素原子(H)またはフッ素原子(F)である。
【0023】
一般式I中のArが共役芳香族基である場合、Arは、下記の構造:
【0024】
【化4】
【0025】
を含む。
【0026】
誘起層中の分子は、
2,7−ビ(4−ビフェニリル)−フェナントレン(BPPh)、2,7−ビ(4−ビフェニリル)−ジベンゾチオフェン(BPBTB)、2,6−ビ(4−ビフェニリル)−ベンゾ[1,2−β:4,5−β’]ビチオフェン(BPTBT)、2,5−ビ(4−ビフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(bidithiophene)(BPTT)、5,5’’−ビ(ビフェニリル)−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(BP3T)、5,5’’’−ビ(ビフェニリル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(BP4T)、1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’:4’’’,1’’’’:4’’’’,1’’’’’:4’’’’’,1’’’’’’:4’’’’’’,1’’’’’’’−オクチフェニル(p8P)、2,5−ビ(4−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル(terbiphenylyl))−チオフラン(3PT)、5,5’−ビ(4−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−2,2’−ビチオフェン(3P2T)、2,5−ビ(4−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(3PTT)、2,7−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−フェナントレン(F2−BPPh)、2,7−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−ジベンゾチオフェン(F2−BPBTB)、2,6−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−ベンゾ[1,2−β:4,5−β’]ビチオフェン(F2−BPTBT)、2,5−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−[3,2−b]ビジチオフェン(F2−BPTT)、5,5’−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−2,2’−ビチオフェン(F2−BP2T)、5,5’’−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(F2−BP3T)、5,5’’’−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(F2−BP4T)、4,4’’’’’−ビ(4−フルオロフェニル)−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’:4’’’,1’’’’:4’’’’,1’’’’’−セキシフェニル(F2−p8P)、2,5−ビ(4−4’’−フルオロ−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−チオフラン(F2−3PT)、5,5’−ビ(4−4’’−フルオロ−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−2,2’−ビチオフェン(F2−3P2T)、2,5−ビ(4−4’’−フルオロ−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(F2−3PTT)、2,7−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル(bifluorobiphenylyl))−フェナントレン(F4−BPPh)、2,7−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−ジベンゾチオフェン(F4−BPBTB)、2,6−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−ベンゾ[1,2−β:4,5−β’]ビチオフェン(F4−BPTBT)、2,5−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(F4−BPTT)、5,5’−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−2,2−ビチオフェン(F4−BP2T)、5,5’’−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(F4−BP3T)、5,5’’’−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(F4−BP4T)、4,4’’’’’−ビ(3,5−ビフルオロフェニル)−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’:4’’’,1’’’’:4’’’’,1’’’’’−オクチフェニル(F4−p8P)、2,5−ビ(4−3’’,5’’−ジフルオロ−1,1’:4’,1’’−テルフェニリル)−チオフラン(F4−3PT)、5,5’−ビ(4−3’’,5’’−ジフルオロ−1,1’:4’,1’’−テルフェニリル)−2,2’−ビチオフェン(F4−3P2T)、2,5−ビ(4−3’’,5’’−ジフルオロ−1,1’:4’,1’’−テルフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(F4−3PTT)、5,5’’’−ジフェニル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−テトラチオフェン(P4T)、5,5’’’−ビ(4−フルオロフェニル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−テトラチオフェン(F2−P4T)および5,5’’’−ビ(3,5−ビフルオロフェニル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−テトラチオフェン(F4−P4T)
である。
【0027】
分子は、固溶体誘起層を構成した材料の選択によって下記のタイプに分類される。
【0028】
タイプ1、誘起層の2つの分子における末端基、すなわち、R1としてフェニルが使用され、R2は、中央の共役芳香族基を変化させた水素原子に固定されている。例えば、BPPh:BPTT、BPPh:BP2T、BPPh:6P、BPPh:BPTBT、BPPh:BPBTB、BPPh:BP3T、BPTT:BPTBT、BPTT:3PT、BP3T:3PT、p6P:p8P、BP3T:BP4T、BPTBT:3PTT、3PTT:p8P。
【0029】
タイプ2、一方の誘起層中における末端基としてフェニルが使用され、他方の誘起層において末端基としてF原子を含有するフェニルが使用される、すなわち、R1またはR2はフッ素原子であり、ここで、中央の共役芳香族基は同じであっても異なっていてもよい。例えば、P4T:F2−P4T、P4T:F4−P4T、BP3T:F2−BP3T、BP3T:F4−BP3T、BPPh:F2−BPPh、BPPh:F4−BPPh、BPTT:F2−BPTT、BPTT:F4−BPTT、BP4T:F2−BP4T、BP4T:F4−BP4T、BPTBT:F2−BPTBT、BPTBT:F4−BPTBT、p8P:F2−p8P、3PT:F2−3PT、3P2T:F2−3P2T、3PTT:F2−3PTT、BPTT:F2−BPPh、BPPh:F2−BPTT。
【0030】
タイプ3、固溶体を形成する2つの分子中の末端基としてF原子を含有するフェニルが使用され、ここで、中央の共役芳香族基は同じであっても異なっていてもよい。例えば、F2−BPPh:F4−BPPh、F2−BPTT:F4−BPTT、F2−BP3T:F4−BP3T、F2−BPTBT:F4−BPTBT、F2−3PT:F4−3PT、F2−3PTT:F4−3PTT、F2BP3T:F2BP4T、F2−BPPh:F2−BPTT、F2−BPBTB:F2:BPTBT。
【0031】
固溶体誘起層を調製するために使用される分子は、本発明の前述の分子の任意の2種またはそれらの組合せであってよい。
【0032】
固溶体誘起層において使用される2つの誘起層分子は、本発明の任意の割合で共堆積されていてよい。
【0033】
本発明における共堆積は、蒸着中に2つのサンプルソースを同時に蒸発させ、これによって基板上に2種の分子を同時に堆積させることであり、薄膜の成分割合は2つのサンプルソースの蒸発速度を調整することによって制御した。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】2:1の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の原子間力顕微鏡法(AFM)凹凸像の図である。
【図1b】1:1の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜のAFM凹凸像の図である。
【図1c】1:2の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜のAFM凹凸像の図である。
【図2a】異なる成分割合を有する20nm BPTT:BPPh固溶体薄膜の面外X線回折パターンの図である。
【図2b】(001)の格子間隔をBPTT:BPPh固溶体誘起層の成分割合と相関させたグラフである。
【図3a】異なる割合を有する5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の面内斜入射X線回折(GIXD)パターンの図である。
【図3b】(110)の格子間隔を5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の成分割合と相関させたグラフである。
【図4a】1:2の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図4b】2:1の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図5】BPTT:BPPh固溶体誘起層膜のHOMOエネルギーレベルと成分割合との間の関係の図である。
【図6a】(2:1)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でエピタキシャル成長した20nm VOPcのAFM凹凸像の図である。
【図6b】(1:1)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でエピタキシャル成長した20nm VOPcのAFM凹凸像の図である。
【図6c】(1:2)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でエピタキシャル成長した20nm VOPcのAFM凹凸像の図である。
【図7a】(1)ソース/ドレイン電極、(2)有機半導体層、(3)固溶体誘起層、(4)絶縁体、(5)ゲート電極、(6)基板を含む誘起層として固溶体膜を使用する、エピタキシャル成長した非平面フタロシアニン薄膜に基づくトランジスタ配置の図である。
【図7b】(2:1)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でのVOPc薄膜トランジスタエピタキシー成長の伝達曲線である。
【図7c】(1:1)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でのVOPc薄膜トランジスタエピタキシー成長の伝達曲線である。
【図7d】(1:2)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でのVOPc薄膜トランジスタエピタキシー成長の伝達曲線である。
【図8a】固溶体誘起層の薄膜トランジスタ移動度と成分割合との間の関係の図である。
【図8b】固溶体誘起層の薄膜トランジスタ閾値電圧と成分割合との間の関係の図である。
【図9a】(2:1)の成分割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層のAFM凹凸像の図である。
【図9b】(1:1)の成分割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層のAFM凹凸像の図である。
【図9c】(1:2)の成分割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層のAFM凹凸像の図である。
【図10】異なる割合の5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層の面内斜入射X線回折パターンの図である。
【図11a】(2:1)の割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図11b】(1:1)の割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図11c】(1:2)の割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図12a】P4T:F2−P4T固溶体誘起層のトランジスタ移動度と成分割合との間の関係の図である。
【図12b】P4T:F2−P4T固溶体誘起層の閾値電圧と成分割合との間の関係の図である。
【図13】(1:1)の成分割合を有する2.5nm F2−BP3T:F4−BP3T固溶体誘起層のAFM凹凸像の図である。
【図14】(1:1)の割合の2.5nm F2−BP3T:F4−BP3T固溶体を誘起層として使用するVOPc薄膜トランジスタの伝達特性の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の実施例との組合せによって本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0036】
実験において使用するガラス基板は、市販品Corning 7059(6)であり、US corning companyから購入し、浄化した後に使用する。実験において使用する非平面フタロシアニンは、市販品であり、US Aldrich Companyから購入し、昇華によって精製した後に使用する。実験において使用する誘起層材料は、昇華によって精製した後に使用する。
【0037】
まず、Corning 7059ガラス基板(6)上でRFマグネトロンスパッタリングを利用してAl/Mo/Nd合金膜をメッキし、スパッタリング条件は、バックグラウンド真空が2×10−3Pa、Arの空気圧が1Pa、RFパワーが500Wおよびグリッド電極(5)へのフォトエッチングとし、次いで、化学蒸着法を使用して、300nmの窒化ケイ素を絶縁層(4)として生成する。次いで、1〜3分子層の固溶体誘起層を窒化ケイ素の表面(3)に堆積させる。詳細な方法は、BPTTおよびBPPh等の2種の分子を2つのサンプルソースに入れ、その2つのソースの材料を蒸発させて絶縁層(4)上に同時に堆積させるというものであり、薄膜の成分割合は、2つのソースの蒸発速度を調整することによって制御した。堆積の過程において、真空は10−4Pa、基板温度は230℃である。次いで、20nmの非平面フタロシアニンを誘起層上に有機半導体層(2)として堆積させ、圧力および基板温度は誘起層調製(3)中のものと同じにする。最後に、真空熱蒸発を使用し60nmのAuを堆積させてソース/ドレイン電極(1)を形成し、一方で、蒸発中の圧力は10−4Paとする。
【0038】
図1は、異なる成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層のAFM凹凸像であり、実験におけるすべての成分割合の中でも、該固溶体膜は、層ごとの成長、合体した隣接するドメイン、大粒径の連続的で平滑な薄膜の形成を提示し、上部半導体層のエピタキシャル成長にとって有益である。
【0039】
図2aは、異なる割合を有する20nm BPTT:BPPh膜の面外X線回折パターンである。該パターンは、一連の(00l)回折を含有し、これは薄膜が高秩序であることを意味する。その一方で、各回折ピークは、共堆積した薄膜が、単結晶様構造を有する均一組成のものであり、該膜は固溶体薄膜であることを表す単一ピークを示す。図2bは、回折ピークが成分割合に伴って絶えず変化することを表す。図3は、異なる割合の20nm BPTT:BPPh薄膜の面内X線回折パターンであり、共堆積膜はすべて単一構造を有する一連の回折ピークを示し、その薄膜構造パラメータは成分割合に伴って直線的に変動する。図4aおよび4bは、BPTT:BPPh(1:2)および(2:1)固溶体膜の制限視野電子回折パターンであり、単一ドメインは、単結晶の回折パターンと同様の回折パターンを示し、単一ドメインは、共堆積薄膜が、単一成分薄膜の構造とは異なる構造を有する固溶体膜であることをさらに示す。
【0040】
図5は、異なる成分割合を有する固溶体膜のHOMOエネルギーレベルであり、HOMO値は、2つの単一物質膜のHOMO値の間であり、成分割合に伴って変動する。
【0041】
図6は、(2:1)、(1:1)、(1:2)の成分割合を有するBPTT:BPPh固溶体の誘起層上でエピタキシャル成長したVOPc薄膜のAFM凹凸像である。VOPcは、層および島状に成長する。図7aは、有機半導体層としてエピタキシャルVOPc薄膜を使用するトランジスタ配置を示す。図7b、c、dは、対応するトランジスタ伝達曲線であり、薄膜が高移動度を提示することを示す。図8aは、固溶体誘起層のトランジスタ移動度と成分割合との間の関係を示し、薄膜移動度は、ほぼ(1:1)の比で最大値を獲得する。図8bは、閾値電圧と成分割合との間の関係である。
【実施例2】
【0042】
実験方法は実施例1と同じであり、誘起層材料はP4T、F2−P4Tである。
【0043】
図9は、異なる成分割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T膜のAFM凹凸像である。薄膜は、層ごとの成長モードを呈し、隣接するドメインは、大粒径の平滑な薄膜を形成する良好な合体を示す。これは、誘起層としてエピタキシー成長に適している。図10は、前述の共堆積薄膜の面内XRD回折パターンである。すべての成分割合の薄膜は、ほとんど同じ格子間隔を示す。これは、P4TおよびF2−P4Tの単位セルパラメータが非常に近似しているためである。図11は、成分割合がそれぞれ(2:1)、(1:1)、(1:2)である共堆積薄膜の制限視野電子回折パターンを示し、薄膜の各単一ドメインは、単結晶様回折パターンを示す。
【0044】
図12aは、VOPc薄膜のトランジスタ移動度と誘起層の成分割合との間の関係の図である。その移動度は、誘起層の成分割合に伴って直線的に増大する。図11は、割合に伴う閾値電圧の変化を示し、同様に、閾値電圧が誘起層の成分割合に伴って直線的に変動するという傾向を示す。
【実施例3】
【0045】
実験方法は実施例1と同じであり、誘起層材料はF2−BP3T、F4−BP3Tである。
【0046】
図13は、2.5nm共堆積F2−BP3T:F4−BP3T薄膜(成分比は1:1である)のAFM凹凸像である。
【0047】
図14は、前述の薄膜上でエピタキシャル成長したVOPc薄膜に基づくトランジスタのデバイス性能を示す。
【0048】
表1は、異なる材料から共堆積させた固溶体誘起層薄膜、および対応する固溶体誘起層上でエピタキシャル成長した非平面フタロシアニン薄膜に基づくトランジスタ(transisitor)性能を示す。
【0049】
【表1−1】
【0050】
【表1−2】
【0051】
【表1−3】
【0052】
【表1−4】
【0053】
【表1−5】
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、上記した実施形態に限定されない。概して、本発明において開示されている弱エピタキシー成長(Weak Epitaxy Growth)用の誘起層材料は、他の有機半導体部品において、2次元または3次元集積デバイスの部品を調製するために使用され得る。これらの集積デバイスは、集積回路、アクティブマトリックスディスプレイ、センサーおよび光電池に適用できる。本発明に基づく電子部品は、大規模生産しやすい。
【符号の説明】
【0055】
1 ソース/ドレイン電極
2 有機半導体層
3 固溶体誘起層、窒化ケイ素の表面
4 絶縁体、絶縁層
5 ゲート電極、グリッド電極
6 基板、Corning 7059ガラス基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜(weak epitaxial film)の調製用である一連の固溶体誘起層およびそのようなエピタキシャル膜に基づく電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
軽量、加工の容易さ、柔軟性という特徴を有する有機半導体は、ディスプレイ、集積回路、光電池およびセンサーにおける広範な応用展望を示す。近年、有機エレクトロニクスの急速な発達に伴って、キャリア移動度の高い半導体材料および膜に対する要求がますます明らかになってきている。
【0003】
Wang Haiboら(Adv.Mater.、2007、19、2168〜2171頁)は、有機半導体の結晶性薄膜を調製するための弱エピタキシー成長という名称の方法を最初に報告したものであり、得られる結晶性薄膜のキャリア移動度は、対応する単結晶のレベルに達する。弱エピタキシー成長は、絶縁特性を有する結晶性有機誘起層が有機半導体の結晶性薄膜の成長を誘起するための基板として用いられる方法を指す。有機半導体の格子と誘起層との間には、有機半導体の配向成長を認識することができるエピタキシー関係が存在し、その一方で、誘起層分子と有機半導体分子との間には比較的弱いVDW(ファンデルワールス力)があるため、半導体分子は誘起層表面上に「立って」おり、これにより、有機半導体の電荷輸送方向は薄膜平面内にあるのが好ましい。弱エピタキシャル成長した有機半導体薄膜は、単結晶様の電気伝導性を提示する。非平面フタロシアニンは高移動度を有する一種の材料であり、その結晶充填は通常2Dπ−π積層である。
【0004】
Haibo Wangら(Appl.Phys.Lett.、2007、90、253510頁)は、VOPcをエピタキシャルに成長させ、エピタキシャルVOPc膜に1.5cm2/Vsの電界効果移動度をもたらすための誘起層としてp−6Pを使用した。しかしながら、VOPc薄膜の弱エピタキシー成長は、p−6P誘起層上に、p−6PとVOPcとの間の格子不一致に起因する不整合エピタキシーを示す。非平面金属フタロシアニンと平面金属フタロシアニンとの間には単位セルのパラメータおよびタイプにおける有意差があるため、誘起層の単位セルに関する要求も異なる。
【0005】
中国特許(「Inducing Layer Materials for Weak Epitaxial Films of Non−planar Metal Phthalocyanine」、出願第200910200459.5号)は、化学合成法で棒状分子構造を変化させることにより、一連の新たな誘起層材料を提供している。異なる格子パラメータを有するそのような単一の誘起層材料を選択することによって有機半導体材料を一致させるためには、膨大なスクリーニング作業が必要であり、その一方で、格子パラメータを微調整することは困難である。
【0006】
Norbert Kochら(J.Phys.Chem.B、2007、111、14097〜14101頁)は、有機半導体分子の混合膜の格子パラメータが混合の割合によって変動することを指摘している。そのような物理的共堆積法を使用して固溶体膜を形成することにより、格子パラメータを変化させることが好都合である。
【0007】
本発明は、共堆積(co−deposition)という物理的方法を使用することにより、均質構造を有する固溶体薄膜(solid solution thin film)を調製し、該膜は、誘起層として非平面フタロシアニンの弱エピタキシー成長(weak epitaxy growth)に作用する。ある特定の基板温度において、固溶体誘起層(solid solution inducing layer)は共堆積によって形成される。該層はいかなる相分離もなく均質であり、各ドメインは単結晶構造を示し、隣接するドメインは密接に合体して連続的で平滑な膜を形成し、その格子パラメータは、成分割合の変化に伴って絶えず変動し、混合膜の電子構造は同じに作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許出願第200910200459.5号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Wang Haiboら(Adv.Mater.、2007、19、2168〜2171頁)
【非特許文献2】Haibo Wangら(Appl.Phys.Lett.、2007、90、253510頁)
【非特許文献3】Norbert Kochら(J.Phys.Chem.B、2007、111、14097〜14101頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術の欠陥を克服するために、本発明の1つの目的は、一種の固溶体誘起層を提供することであり、該層は、下記の一般式IおよびIIの2つの誘起層分子のいずれかを用い、ある特定の基板温度において共堆積法を利用して調製される。
【0011】
【化1】
【0012】
本発明の別の目的は、前述の固溶体誘起層上での弱エピタキシャル成長から形成された非平面フタロシアニンの一種の薄膜(thin films of non−planar phthalocyanine)を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、上記弱エピタキシャル成長非平面フタロシアニンで作られた一種の有機薄膜トランジスタを有機半導体層として提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の原理は、共蒸着法(vapor co−deposition method)によって固溶体誘起層を調製することである。2つの単一誘起層分子の共堆積は、ある特定の基板温度において、単結晶様構造を有する均質かつ大粒径の固溶体薄膜を形成する。固溶体薄膜の格子パラメータは成分割合によって制御され、その一方で、固溶体薄膜の電子構造は各単一成分の電子構造とは異なる。
【0015】
本発明の利点の1つは、誘起層薄膜の格子パラメータが成分割合によって制御され得るため、誘起層と非平面フタロシアニンとの間の格子一致を適切となるように制御することができ、非平面フタロシアニンの高品質薄膜を生成するのに役立つことである。
【0016】
別の観点では、固溶体誘起層の電子構造は成分割合によって制御され得る。誘起層と非平面フタロシアニンとの間には通常ヘテロ接合効果があるため、電子構造の変化は、非平面金属フタロシアニンと誘起層との間のヘテロ接合効果の変化につながり、非平面フタロシアニントランジスタデバイスの性能を調整するのに役立つ。
【0017】
本発明において固溶体誘起層薄膜を構成するために使用される分子は、中国特許(「Inducing Layer Materials for Weak Epitaxial Films of Non−planar Metal Phthalocyanine」、出願第200910200459.5号)によって提供されるものであり、下記の一般式の通りに示される。
【0018】
【化2】
【0019】
一般式I中のArは、共役芳香族基、または下記の構造:
【0020】
【化3】
【0021】
の1つである。
【0022】
一般式IおよびII中のR1およびR2は、水素原子(H)またはフッ素原子(F)である。
【0023】
一般式I中のArが共役芳香族基である場合、Arは、下記の構造:
【0024】
【化4】
【0025】
を含む。
【0026】
誘起層中の分子は、
2,7−ビ(4−ビフェニリル)−フェナントレン(BPPh)、2,7−ビ(4−ビフェニリル)−ジベンゾチオフェン(BPBTB)、2,6−ビ(4−ビフェニリル)−ベンゾ[1,2−β:4,5−β’]ビチオフェン(BPTBT)、2,5−ビ(4−ビフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(bidithiophene)(BPTT)、5,5’’−ビ(ビフェニリル)−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(BP3T)、5,5’’’−ビ(ビフェニリル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(BP4T)、1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’:4’’’,1’’’’:4’’’’,1’’’’’:4’’’’’,1’’’’’’:4’’’’’’,1’’’’’’’−オクチフェニル(p8P)、2,5−ビ(4−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル(terbiphenylyl))−チオフラン(3PT)、5,5’−ビ(4−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−2,2’−ビチオフェン(3P2T)、2,5−ビ(4−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(3PTT)、2,7−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−フェナントレン(F2−BPPh)、2,7−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−ジベンゾチオフェン(F2−BPBTB)、2,6−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−ベンゾ[1,2−β:4,5−β’]ビチオフェン(F2−BPTBT)、2,5−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−[3,2−b]ビジチオフェン(F2−BPTT)、5,5’−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−2,2’−ビチオフェン(F2−BP2T)、5,5’’−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(F2−BP3T)、5,5’’’−ビ(4−4’−フルオロビフェニリル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(F2−BP4T)、4,4’’’’’−ビ(4−フルオロフェニル)−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’:4’’’,1’’’’:4’’’’,1’’’’’−セキシフェニル(F2−p8P)、2,5−ビ(4−4’’−フルオロ−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−チオフラン(F2−3PT)、5,5’−ビ(4−4’’−フルオロ−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−2,2’−ビチオフェン(F2−3P2T)、2,5−ビ(4−4’’−フルオロ−1,1’:4’,1’’−テルビフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(F2−3PTT)、2,7−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル(bifluorobiphenylyl))−フェナントレン(F4−BPPh)、2,7−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−ジベンゾチオフェン(F4−BPBTB)、2,6−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−ベンゾ[1,2−β:4,5−β’]ビチオフェン(F4−BPTBT)、2,5−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(F4−BPTT)、5,5’−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−2,2−ビチオフェン(F4−BP2T)、5,5’’−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(F4−BP3T)、5,5’’’−ビ(4−3’,5’−ビフルオロビフェニリル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(F4−BP4T)、4,4’’’’’−ビ(3,5−ビフルオロフェニル)−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’:4’’’,1’’’’:4’’’’,1’’’’’−オクチフェニル(F4−p8P)、2,5−ビ(4−3’’,5’’−ジフルオロ−1,1’:4’,1’’−テルフェニリル)−チオフラン(F4−3PT)、5,5’−ビ(4−3’’,5’’−ジフルオロ−1,1’:4’,1’’−テルフェニリル)−2,2’−ビチオフェン(F4−3P2T)、2,5−ビ(4−3’’,5’’−ジフルオロ−1,1’:4’,1’’−テルフェニリル)−[3,2−β]ビジチオフェン(F4−3PTT)、5,5’’’−ジフェニル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−テトラチオフェン(P4T)、5,5’’’−ビ(4−フルオロフェニル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−テトラチオフェン(F2−P4T)および5,5’’’−ビ(3,5−ビフルオロフェニル)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−テトラチオフェン(F4−P4T)
である。
【0027】
分子は、固溶体誘起層を構成した材料の選択によって下記のタイプに分類される。
【0028】
タイプ1、誘起層の2つの分子における末端基、すなわち、R1としてフェニルが使用され、R2は、中央の共役芳香族基を変化させた水素原子に固定されている。例えば、BPPh:BPTT、BPPh:BP2T、BPPh:6P、BPPh:BPTBT、BPPh:BPBTB、BPPh:BP3T、BPTT:BPTBT、BPTT:3PT、BP3T:3PT、p6P:p8P、BP3T:BP4T、BPTBT:3PTT、3PTT:p8P。
【0029】
タイプ2、一方の誘起層中における末端基としてフェニルが使用され、他方の誘起層において末端基としてF原子を含有するフェニルが使用される、すなわち、R1またはR2はフッ素原子であり、ここで、中央の共役芳香族基は同じであっても異なっていてもよい。例えば、P4T:F2−P4T、P4T:F4−P4T、BP3T:F2−BP3T、BP3T:F4−BP3T、BPPh:F2−BPPh、BPPh:F4−BPPh、BPTT:F2−BPTT、BPTT:F4−BPTT、BP4T:F2−BP4T、BP4T:F4−BP4T、BPTBT:F2−BPTBT、BPTBT:F4−BPTBT、p8P:F2−p8P、3PT:F2−3PT、3P2T:F2−3P2T、3PTT:F2−3PTT、BPTT:F2−BPPh、BPPh:F2−BPTT。
【0030】
タイプ3、固溶体を形成する2つの分子中の末端基としてF原子を含有するフェニルが使用され、ここで、中央の共役芳香族基は同じであっても異なっていてもよい。例えば、F2−BPPh:F4−BPPh、F2−BPTT:F4−BPTT、F2−BP3T:F4−BP3T、F2−BPTBT:F4−BPTBT、F2−3PT:F4−3PT、F2−3PTT:F4−3PTT、F2BP3T:F2BP4T、F2−BPPh:F2−BPTT、F2−BPBTB:F2:BPTBT。
【0031】
固溶体誘起層を調製するために使用される分子は、本発明の前述の分子の任意の2種またはそれらの組合せであってよい。
【0032】
固溶体誘起層において使用される2つの誘起層分子は、本発明の任意の割合で共堆積されていてよい。
【0033】
本発明における共堆積は、蒸着中に2つのサンプルソースを同時に蒸発させ、これによって基板上に2種の分子を同時に堆積させることであり、薄膜の成分割合は2つのサンプルソースの蒸発速度を調整することによって制御した。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】2:1の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の原子間力顕微鏡法(AFM)凹凸像の図である。
【図1b】1:1の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜のAFM凹凸像の図である。
【図1c】1:2の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜のAFM凹凸像の図である。
【図2a】異なる成分割合を有する20nm BPTT:BPPh固溶体薄膜の面外X線回折パターンの図である。
【図2b】(001)の格子間隔をBPTT:BPPh固溶体誘起層の成分割合と相関させたグラフである。
【図3a】異なる割合を有する5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の面内斜入射X線回折(GIXD)パターンの図である。
【図3b】(110)の格子間隔を5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の成分割合と相関させたグラフである。
【図4a】1:2の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図4b】2:1の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層膜の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図5】BPTT:BPPh固溶体誘起層膜のHOMOエネルギーレベルと成分割合との間の関係の図である。
【図6a】(2:1)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でエピタキシャル成長した20nm VOPcのAFM凹凸像の図である。
【図6b】(1:1)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でエピタキシャル成長した20nm VOPcのAFM凹凸像の図である。
【図6c】(1:2)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でエピタキシャル成長した20nm VOPcのAFM凹凸像の図である。
【図7a】(1)ソース/ドレイン電極、(2)有機半導体層、(3)固溶体誘起層、(4)絶縁体、(5)ゲート電極、(6)基板を含む誘起層として固溶体膜を使用する、エピタキシャル成長した非平面フタロシアニン薄膜に基づくトランジスタ配置の図である。
【図7b】(2:1)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でのVOPc薄膜トランジスタエピタキシー成長の伝達曲線である。
【図7c】(1:1)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でのVOPc薄膜トランジスタエピタキシー成長の伝達曲線である。
【図7d】(1:2)の成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh誘起層上でのVOPc薄膜トランジスタエピタキシー成長の伝達曲線である。
【図8a】固溶体誘起層の薄膜トランジスタ移動度と成分割合との間の関係の図である。
【図8b】固溶体誘起層の薄膜トランジスタ閾値電圧と成分割合との間の関係の図である。
【図9a】(2:1)の成分割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層のAFM凹凸像の図である。
【図9b】(1:1)の成分割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層のAFM凹凸像の図である。
【図9c】(1:2)の成分割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層のAFM凹凸像の図である。
【図10】異なる割合の5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層の面内斜入射X線回折パターンの図である。
【図11a】(2:1)の割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図11b】(1:1)の割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図11c】(1:2)の割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T固溶体誘起層の制限視野電子回折およびその対応する電子顕微鏡写真である。
【図12a】P4T:F2−P4T固溶体誘起層のトランジスタ移動度と成分割合との間の関係の図である。
【図12b】P4T:F2−P4T固溶体誘起層の閾値電圧と成分割合との間の関係の図である。
【図13】(1:1)の成分割合を有する2.5nm F2−BP3T:F4−BP3T固溶体誘起層のAFM凹凸像の図である。
【図14】(1:1)の割合の2.5nm F2−BP3T:F4−BP3T固溶体を誘起層として使用するVOPc薄膜トランジスタの伝達特性の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の実施例との組合せによって本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0036】
実験において使用するガラス基板は、市販品Corning 7059(6)であり、US corning companyから購入し、浄化した後に使用する。実験において使用する非平面フタロシアニンは、市販品であり、US Aldrich Companyから購入し、昇華によって精製した後に使用する。実験において使用する誘起層材料は、昇華によって精製した後に使用する。
【0037】
まず、Corning 7059ガラス基板(6)上でRFマグネトロンスパッタリングを利用してAl/Mo/Nd合金膜をメッキし、スパッタリング条件は、バックグラウンド真空が2×10−3Pa、Arの空気圧が1Pa、RFパワーが500Wおよびグリッド電極(5)へのフォトエッチングとし、次いで、化学蒸着法を使用して、300nmの窒化ケイ素を絶縁層(4)として生成する。次いで、1〜3分子層の固溶体誘起層を窒化ケイ素の表面(3)に堆積させる。詳細な方法は、BPTTおよびBPPh等の2種の分子を2つのサンプルソースに入れ、その2つのソースの材料を蒸発させて絶縁層(4)上に同時に堆積させるというものであり、薄膜の成分割合は、2つのソースの蒸発速度を調整することによって制御した。堆積の過程において、真空は10−4Pa、基板温度は230℃である。次いで、20nmの非平面フタロシアニンを誘起層上に有機半導体層(2)として堆積させ、圧力および基板温度は誘起層調製(3)中のものと同じにする。最後に、真空熱蒸発を使用し60nmのAuを堆積させてソース/ドレイン電極(1)を形成し、一方で、蒸発中の圧力は10−4Paとする。
【0038】
図1は、異なる成分割合を有する2.5nm BPTT:BPPh固溶体誘起層のAFM凹凸像であり、実験におけるすべての成分割合の中でも、該固溶体膜は、層ごとの成長、合体した隣接するドメイン、大粒径の連続的で平滑な薄膜の形成を提示し、上部半導体層のエピタキシャル成長にとって有益である。
【0039】
図2aは、異なる割合を有する20nm BPTT:BPPh膜の面外X線回折パターンである。該パターンは、一連の(00l)回折を含有し、これは薄膜が高秩序であることを意味する。その一方で、各回折ピークは、共堆積した薄膜が、単結晶様構造を有する均一組成のものであり、該膜は固溶体薄膜であることを表す単一ピークを示す。図2bは、回折ピークが成分割合に伴って絶えず変化することを表す。図3は、異なる割合の20nm BPTT:BPPh薄膜の面内X線回折パターンであり、共堆積膜はすべて単一構造を有する一連の回折ピークを示し、その薄膜構造パラメータは成分割合に伴って直線的に変動する。図4aおよび4bは、BPTT:BPPh(1:2)および(2:1)固溶体膜の制限視野電子回折パターンであり、単一ドメインは、単結晶の回折パターンと同様の回折パターンを示し、単一ドメインは、共堆積薄膜が、単一成分薄膜の構造とは異なる構造を有する固溶体膜であることをさらに示す。
【0040】
図5は、異なる成分割合を有する固溶体膜のHOMOエネルギーレベルであり、HOMO値は、2つの単一物質膜のHOMO値の間であり、成分割合に伴って変動する。
【0041】
図6は、(2:1)、(1:1)、(1:2)の成分割合を有するBPTT:BPPh固溶体の誘起層上でエピタキシャル成長したVOPc薄膜のAFM凹凸像である。VOPcは、層および島状に成長する。図7aは、有機半導体層としてエピタキシャルVOPc薄膜を使用するトランジスタ配置を示す。図7b、c、dは、対応するトランジスタ伝達曲線であり、薄膜が高移動度を提示することを示す。図8aは、固溶体誘起層のトランジスタ移動度と成分割合との間の関係を示し、薄膜移動度は、ほぼ(1:1)の比で最大値を獲得する。図8bは、閾値電圧と成分割合との間の関係である。
【実施例2】
【0042】
実験方法は実施例1と同じであり、誘起層材料はP4T、F2−P4Tである。
【0043】
図9は、異なる成分割合を有する2.5nm P4T:F2−P4T膜のAFM凹凸像である。薄膜は、層ごとの成長モードを呈し、隣接するドメインは、大粒径の平滑な薄膜を形成する良好な合体を示す。これは、誘起層としてエピタキシー成長に適している。図10は、前述の共堆積薄膜の面内XRD回折パターンである。すべての成分割合の薄膜は、ほとんど同じ格子間隔を示す。これは、P4TおよびF2−P4Tの単位セルパラメータが非常に近似しているためである。図11は、成分割合がそれぞれ(2:1)、(1:1)、(1:2)である共堆積薄膜の制限視野電子回折パターンを示し、薄膜の各単一ドメインは、単結晶様回折パターンを示す。
【0044】
図12aは、VOPc薄膜のトランジスタ移動度と誘起層の成分割合との間の関係の図である。その移動度は、誘起層の成分割合に伴って直線的に増大する。図11は、割合に伴う閾値電圧の変化を示し、同様に、閾値電圧が誘起層の成分割合に伴って直線的に変動するという傾向を示す。
【実施例3】
【0045】
実験方法は実施例1と同じであり、誘起層材料はF2−BP3T、F4−BP3Tである。
【0046】
図13は、2.5nm共堆積F2−BP3T:F4−BP3T薄膜(成分比は1:1である)のAFM凹凸像である。
【0047】
図14は、前述の薄膜上でエピタキシャル成長したVOPc薄膜に基づくトランジスタのデバイス性能を示す。
【0048】
表1は、異なる材料から共堆積させた固溶体誘起層薄膜、および対応する固溶体誘起層上でエピタキシャル成長した非平面フタロシアニン薄膜に基づくトランジスタ(transisitor)性能を示す。
【0049】
【表1−1】
【0050】
【表1−2】
【0051】
【表1−3】
【0052】
【表1−4】
【0053】
【表1−5】
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、上記した実施形態に限定されない。概して、本発明において開示されている弱エピタキシー成長(Weak Epitaxy Growth)用の誘起層材料は、他の有機半導体部品において、2次元または3次元集積デバイスの部品を調製するために使用され得る。これらの集積デバイスは、集積回路、アクティブマトリックスディスプレイ、センサーおよび光電池に適用できる。本発明に基づく電子部品は、大規模生産しやすい。
【符号の説明】
【0055】
1 ソース/ドレイン電極
2 有機半導体層
3 固溶体誘起層、窒化ケイ素の表面
4 絶縁体、絶縁層
5 ゲート電極、グリッド電極
6 基板、Corning 7059ガラス基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある特定の基板温度下における2つの誘起層分子の共堆積によって形成されることを特徴とする、非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層であって、前記固溶体誘起層薄膜は十分に均一であり、かつドメインは単結晶様構造を示し、
前記誘起層分子は、下記の構造式:
【化1】
[式中、Arは、共役芳香族基、または下記の構造:
【化2】
の1つであり、式IおよびII中のR1は、水素原子(H)またはフッ素原子(F)であり、
R2は、水素原子(H)またはフッ素原子(F)である]
を有する任意の種類の分子である、固溶体誘起層。
【請求項2】
式I中のArが、下記の構造:
【化3】
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項3】
前記2つの誘起層分子が、下記のタイプ:[タイプ1、2つの分子が末端基としてフェニルを使用し、中央の共役芳香族基が異なる;タイプ2、一方の分子が末端基としてフェニルを使用し、他方の分子が末端基としてフッ素置換フェニルを使用し、中央の共役芳香族基が同じまたは異なる;タイプ3、2つの分子が末端基としてフッ素置換フェニルを使用し、中央の共役芳香族基が同じまたは異なる]のいずれかで組み合わせられていることを特徴とする、請求項1に記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項4】
前記基板温度が150℃から240℃の間であることを特徴とする、請求項1または2に記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項5】
前記共堆積が、前記誘起層の2つの分子を蒸着によって同時に堆積させることであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項6】
前記蒸着が分子蒸着であり、ここで真空度は10−4から10−5Paであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項7】
前記誘起層分子の共堆積の前に、窒化ケイ素層が基板上に堆積され、その厚さは200から500nmであることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項8】
基板上の共堆積固溶体誘起層の厚さが1から3分子層であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項9】
請求項1から7に記載の固溶体誘起層のいずれか1つの上に、非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル成長から形成され、薄膜と前記固溶体誘起層との間に配向関係があることを特徴とする、非平面フタロシアニンの薄膜。
【請求項10】
請求項8に記載の前記固溶体誘起層(3)の上に、非平面フタロシアニン弱エピタキシャル成長の薄膜を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタであって、前記固溶体誘起層上の非平面フタロシアニン弱エピタキシャル成長の薄膜が、前記トランジスタ中の有機半導体層(2)である、有機薄膜トランジスタ。
【請求項1】
ある特定の基板温度下における2つの誘起層分子の共堆積によって形成されることを特徴とする、非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層であって、前記固溶体誘起層薄膜は十分に均一であり、かつドメインは単結晶様構造を示し、
前記誘起層分子は、下記の構造式:
【化1】
[式中、Arは、共役芳香族基、または下記の構造:
【化2】
の1つであり、式IおよびII中のR1は、水素原子(H)またはフッ素原子(F)であり、
R2は、水素原子(H)またはフッ素原子(F)である]
を有する任意の種類の分子である、固溶体誘起層。
【請求項2】
式I中のArが、下記の構造:
【化3】
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項3】
前記2つの誘起層分子が、下記のタイプ:[タイプ1、2つの分子が末端基としてフェニルを使用し、中央の共役芳香族基が異なる;タイプ2、一方の分子が末端基としてフェニルを使用し、他方の分子が末端基としてフッ素置換フェニルを使用し、中央の共役芳香族基が同じまたは異なる;タイプ3、2つの分子が末端基としてフッ素置換フェニルを使用し、中央の共役芳香族基が同じまたは異なる]のいずれかで組み合わせられていることを特徴とする、請求項1に記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項4】
前記基板温度が150℃から240℃の間であることを特徴とする、請求項1または2に記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項5】
前記共堆積が、前記誘起層の2つの分子を蒸着によって同時に堆積させることであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項6】
前記蒸着が分子蒸着であり、ここで真空度は10−4から10−5Paであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項7】
前記誘起層分子の共堆積の前に、窒化ケイ素層が基板上に堆積され、その厚さは200から500nmであることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項8】
基板上の共堆積固溶体誘起層の厚さが1から3分子層であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル膜用の固溶体誘起層。
【請求項9】
請求項1から7に記載の固溶体誘起層のいずれか1つの上に、非平面フタロシアニンの弱エピタキシャル成長から形成され、薄膜と前記固溶体誘起層との間に配向関係があることを特徴とする、非平面フタロシアニンの薄膜。
【請求項10】
請求項8に記載の前記固溶体誘起層(3)の上に、非平面フタロシアニン弱エピタキシャル成長の薄膜を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタであって、前記固溶体誘起層上の非平面フタロシアニン弱エピタキシャル成長の薄膜が、前記トランジスタ中の有機半導体層(2)である、有機薄膜トランジスタ。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−134457(P2012−134457A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235585(P2011−235585)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(511260654)上海中科聯和顯示技術有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】Shanghai CASAIL Display Technology Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F, Building 12, No. 115, Lane 572, Bibo Road, Pudong New District, Shanghai, 201203, P.R.China
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(511260654)上海中科聯和顯示技術有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】Shanghai CASAIL Display Technology Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F, Building 12, No. 115, Lane 572, Bibo Road, Pudong New District, Shanghai, 201203, P.R.China
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]