説明

非振動式接触電位差センサおよび制御された照射を利用した半導体検査システムおよび装置

【課題】半導体の表面または半導体において欠陥または汚染を識別するために半導体表面を高速走査する。
【解決手段】半導体ウェーハ105などの表面106を有する半導体を設けること、非振動式接触電位差センサ101を設けること、制御可能な強度または波長の分散を有する照射源109を設けること、非振動式接触電位差センサプローブ先端102の下または付近でウェーハの表面の制御された照射を提供するために照射源を用いること、制御された照射中にウェーハ表面を走査するために、非振動式接触電位差センサを用いること、ウェーハ表面にわたって接触電位差における変化を表すデータを生成すること、欠陥または汚染のパターン特徴を識別するためにそのデータを処理することを伴う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体および半導体表面の検査のための方法およびシステムに関する。さらに詳細には、本発明は、ウェーハ表面の接触電位差を画像化して可視化するために、制御可能な照射源と組み合わせた非振動式接触電位差センサの使用を通じて、不均一性の特徴付けのための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの機能、信頼性および性能は、半導体材料の使用と、清浄で均一である表面に左右される。数十億ドルおよび数え切れないほどの人時が、半導体材料の作製および処理のためのシステムおよび処理の開発、特徴付けおよび最適化に費やされてきた。この活動の主な目的は、材料の作製と、きわめて清浄であり、全体的なウェーハにわたって、均一であるか、または均一に変化する特性を有する表面の作製であった。これらの処理を特徴付けして最適化するために、表面またはバルクの清浄度および均一性を検査して測定することができる必要がある。実時間の処理制御の場合には、高速で表面にわたって多くの測定を行い、半導体表面を損傷または汚染することのない方式でそれを実行することができることが必要である。また、複数のタイプの不均一性または汚染を検出するか、または分類することができることがきわめて望ましい。
【0003】
多くの異なる技術およびシステムが、半導体の表面またはバルクの特性を測定するために用いられてきた。これらのシステムの多くは、金属汚染などの特定のバルクまたは表面の特徴にきわめて感度がよいが、これらのシステムは、遅くて破壊的であるか、または数点のみを測定することが多い。これらのシステムはまた、行うことができる測定または検出することができる欠陥のタイプにおいて限定される可能性がある。たとえば、金属汚染を検出するシステムは、有機汚染を検出することができず、粒子を検出することができるシステムは、サブ単層汚染を検出することができない可能性があり、またはウェーハ上の1つまたは複数の点を正確に測定することができるシステムは、製造速度でウェーハのすべての点を測定するのに十分に高速でない可能性がある。
【0004】
表面の条件の測定または特徴付けの1つの公知の方法は、振動式ケルビンプローブである。これは、ケルビン−チィスマンプローブと呼ばれるときもある。ケルビンプローブは、接触電位差(Contact Potential Difference(CPD))を測定するセンサである。CPDは、電気的に接続される2つの導電材料の仕事関数または表面電位における差である。ケルビンセンサは、測定されることになっている表面に電気的接続される導電プローブからなる。プローブは、コンデンサがプローブ先端と表面との間に形成されるように、表面の近くに位置決めされる。電位差(電圧)は、プローブ先端と表面との間のCPDから結果として生じる。プローブ先端は、表面の上の点に位置決めされ、次に表面に対して垂直に振動されて、プローブ先端と表面との間の静電容量が時間と共に変化するようにする。この変化する静電容量が、結果としてプローブ先端に時間変化電流を生じる。時間変化電流は、プローブ先端と表面との間の電圧に比例する。この電流は、検出を容易にするために増幅され、可変バイアス電圧は、バッキング電圧と呼ばれるときもあり、時間変化電流がゼロになるようにプローブに印加される。電流がゼロである場合には、バイアス電圧はCPDに等しく、かつ逆であり、したがってCPDが決定される。ケルビンプローブの多くの変形が、開発されている。これらには、プローブ先端自体を振動するのではなく、プローブ先端の前のシャッタを振動するモンローブローブ、およびプローブが振動されている間に、1点から次の点に進むか、またはゆっくり移動することによって、表面にわたって一連の点における振動測定を行う走査プローブが含まれる。比較的高速な走査の場合には、プローブは、一定またはゼロバイアス電圧を用いて動作されることができ、プローブ電流の大きさは、較正され、表面電位値に変換されることができる。すべての場合において、振動を利用してプローブ先端と表面との間の静電容量を変化させることによって、信号が生成される。
【0005】
ケルビンプローブは、半導体表面を含め、多くの表面の特徴付けにきわめて有用である。ケルビンプローブは、表面の仕事関数および結果として生じる表面電位およびCPDが、汚染、表面化学作用、原子の表面粗さおよび表面電荷など半導体デバイス品質に影響を及ぼし得る広範囲の表面状態にきわめて感度がよいため、有用である。しかし、ケルビンプローブは、本質的に点測定技術である。複数の測定が表面上の異なる点で行われることができ、または一連の隣接点が連続して測定されることができるが、1秒当たり数点より多い測定は困難である。全体的な半導体ウェーハの高解像度画像の生成は、遅くて、時間がかかる処理であり、実時間処理制御用途にはあまり適していない。
【0006】
半導体を特徴付けする第2の方法は、表面光電圧(Surface Photo Voltage(SPV))を利用する。半導体表面の電位は、光の特定の周波数を用いた照射に対して感度が高いことが多い。半導体表面または半導体と別の材料との境界は通常、表面または境界に特有の電子エネルギ状態を生じる。これらの状態は、表面の帯電および表面付近の電界の形成の原因となり得る。半導体表面付近の電位を変更するこの現象は、バンドの曲がりとして公知である。光のスーパバンドギャップ波長を用いた半導体表面の照射、キャリアの次の生成、ドリフトおよび再結合は、バンドの曲がりのレベルを低減させるように作用する。サブバンドギャップ照射を用いた半導体表面の照射は、表面帯電、バンドの曲がりおよび結果として生じる表面電位にも影響を及ぼす表面状態の密度の増減(population and depopulation)の原因となり得る。半導体および半導体の上部にある誘電膜における広範囲な測定を行うために、種々のSPVに基づく器具が開発されている。たとえば、SPV測定は、ドーピング密度を検出し、バンドの曲がりの程度を特徴付けし、半導体表面および境界における電子エネルギ状態の密度および位置を決定するために用いられることができる。これらのシステムは、制御された量の電荷を誘電膜の表面に印加する能力を含むことがある。SPVシステムは、さまざまな測定可能性を有する種々の構成が現れているが、これらのシステムは、1)電荷または照射を表面に印加し、次に振動式ケルビンプローブを用いて結果として生じる表面電位または表面電位における変化を測定することによって、または2)静電容量センサによって検出されることができる時間変化信号を生成するために、表面にわたって静止型静電容量プローブを位置決めし、電荷または照射を変化させることによって、測定を行う点ですべて類似している。言い換えれば、これらのシステムは、プローブ対表面の静電容量、照射強度または表面における電荷を変化させることによって信号を生成する。ケルビンプローブと同様に、SPV測定システムは、本質的に点測定システムであり、製造速度で全体的なウェーハの高解像度画像の生成には適していない。
【0007】
表面を検査して測定するための第3のタイプのシステムは、非振動式接触電位差センサを利用する。振動式ケルビンプローブと同様に、非振動式接触電位差センサは、半導体表面に電気的に接続される導電性プローブからなる。プローブ先端は、コンデンサを形成するために、表面の近くに位置決めされ、仕事関数または表面電位における差に起因する電位差がプローブ先端と表面との間に形成される。しかし、ケルビンプローブとは異なり、非振動式接触電位差センサは、表面に対して垂直に振動しない。代わりに、プローブ先端は、表面に対して平行に平行移動されるか、または表面がプローブの下に平行移動される。表面における異なる点の仕事関数または表面電位における変化は、表面とプローブ先端との間の電位における変化を結果として生じる。これが、電流をプローブ先端に流れこませる原因となる。この電流は、増幅されてサンプリングされ、表面にわたる電位の変化を表すデータの連続流れを形成する。非振動式接触電位差センサは、信号がプローブの振動によって形成されるのではなく、プローブと表面との間の相対的に走査移動によって形成されるため、振動式ケルビンプローブよりはるかに高速で表面データを取得することができる。非振動式接触電位差センサは、1秒当たり100,000サンプルを超える速度でデータの連続流れを提供することができる。高速のデータ取得は、全体的なウェーハの高解像度画像をわずか数分で取得することを可能にする。
【0008】
非振動式接触電位差センサは、ウェーハ表面の電位の高速画像化に十分に適しているが、2つのウェーハ表面特徴、すなわち表面電位における変化および表面高さにおける変化のみのデータを作成する。半導体検査用途の場合には、センサは普通、ウェーハ表面の上のプローブの高さにおける変動を最小限に抑えるか、またはプローブ先端とウェーハ表面との間の平均電位を最小限に抑えることによって、高さ信号を最小限に抑えるように動作される。結果として、非振動式接触電位差センサは通常、表面の1つの特徴、すなわち表面電位における変化におけるデータを作成する。
【0009】
さらなるウェーハの特徴を測定し、異なるタイプの不均一性を区別することができるように、非振動式接触電位差センサの可能性を拡張することが望ましい。たとえば、ドーピングの不均一性は、多くの基本的かつ決定的な半導体特徴に影響を及ぼす半導体の重要な特徴である。しかし、仕事関数におけるドーピング密度の影響は、ウェーハ表面付近のバンドの曲がりを誘発する表面または境界の状態によって低減または変更されるため、接触電位差信号を用いてドーピング密度の変動を識別することは困難である。また、ドーピング密度の変動は、表面化学作用および汚染における変動などの他の不均一性から分離することは困難である場合がある。ドーピング密度における変化などのさらなる半導体特徴を検出し、異なる表面とバルク不均一性とを区別することを可能にするように、非振動式接触電位差センサの可能性を拡張することが有用である。さらに、より小さな不均一性またはより多くの微妙な不均一性を検出することを可能にするように、非振動式接触電位差センサの感度を向上することが望ましい。
【発明の開示】
【0010】
本システムおよび本方法は、バルク半導体不均一性を検出するか、または表面の汚染をより容易に検出および分類するために、センサデータを用いることを可能にする強化した非振動式接触電位差センサシステムを提供する。以下、本明細書に記載のシステムによる検査に影響されやすい半導体材料は、一般的に「ウェーハ」として示す。一実施形態は、可変の光出力の強度またはスペクトルを有する照射源を含む。照射源は、走査中に非振動式接触電位差センサプローブ先端の下または付近のエリアを照射するために用いられる。一実施形態において、表面が照射に対する表面電位の応答に影響を及ぼす特定の表面またはバルクウェーハ特徴の検出および分類のために最適化される1つまたは複数の照射条件を用いて照射される場合に、表面電位の変動についての情報が取得される。
【0011】
本装置は、非振動式接触電位差センサと、ウェーハを機械的に据え付けるためのシステムと、ウェーハ表面の上に一定の距離でセンサを位置決めし、センサプローブ先端がウェーハ表面に平行に移動するように、プローブ先端とウェーハ表面との間の相対的な移動を生成するためのシステムと、センサプローブ先端の下または付近で、半導体ウェーハ表面を放射することができる光の可変強度またはスペクトルを備えた照射源と、ウェーハの不均一性を識別して分類するために、センサから出力信号を取得して処理するためのシステムと、からなる。
【0012】
動作の一実施形態は、以下の通りである。第一に、半導体ウェーハは、固定具の上に配置されて固定される。固定具の目的は、ウェーハを機械的に固定し、ウェーハ表面への電気的接続を提供することである。非振動式接触電位差センサは、表面電位における変化を検出するため、それは、時間変化信号である。結果として、固定具とウェーハとの間の接触は、容量接触またはオーム接触のいずれかであってもよい。次に、非振動式接触電位差センサプローブ先端は、ウェーハ表面の上に一定の高さで位置決めされる。プローブ先端の下または付近のウェーハ表面は、光の特定の強度およびスペクトルを用いて照射され、プローブ先端が一定の高さでウェーハ表面に平行に移動するように、相対的な移動がプローブ先端とウェーハ表面との間に生成される。プローブ先端が異なる表面電位を有するウェーハ表面の領域にわたって移動するとき、プローブ先端と表面との間の電圧が変化し、プローブ先端に出入りする電流を結果として生じる。この電流は、増幅されてサンプリングされ、ウェーハにわたる表面電位における変動の表示を形成する。任意で、表面電位における変動の別の表示を形成するために、ウェーハは、異なる強度または波長の照射を用いて1つまたは複数のさらなる回数走査されてもよい。次に、1つまたは複数の走査から結果として生じるデータは、ウェーハの不均一性のエリアを識別して分類するために処理される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、表面電位を照射レベルに対して感度を高くさせ得るこれに限定されるわけではないがドーピング密度における変動などのバルク半導体不均一性を検出するためにセンサデータを用いることを可能にする強化した非振動式接触電位差センサ101システムを提供する。本発明は、裸の清浄な表面を有する半導体の測定に限定されるわけではない。表面の化学的状態が変化してもよく、または表面の汚染が存在してもよい。また、ウェーハ表面は、照射が膜を介して下にある半導体に貫通することを可能にするコーティングまたは膜で覆われてもよい。たとえば、シリコンウェーハ表面は、ある波長の照射に対して透過性がある酸化シリコン膜で覆われることがよくある。本発明は、下にある半導体または半導体と膜との境界における欠陥を検出するために、膜で覆われたウェーハを検査するために用いられることができる。さらに、本発明は、半導体におけるバンドの曲がりまたは照射に対する半導体表面の応答に影響を及ぼす膜の中または上における欠陥を検出または分類するために用いられることができる。
【0014】
図1を参照すると、本装置は、非振動式接触電位差センサ101と、ウェーハ105を機械的に据え付けるためのシステム103と、ウェーハ表面106の上に一定の距離でセンサ101を位置決めし、センサプローブ先端102がウェーハ表面106に平行に移動するように、プローブ先端102とウェーハ表面106との間の相対的な移動を生成するためのシステム107と、センサプローブ先端102の下または付近で、半導体ウェーハ表面106を放射することができる光の可変強度またはスペクトルを備えた照射源109と、ウェーハ105の不均一性を識別して分類するために、センサ101から出力信号を取得して処理するためのシステム111とからなる。
【0015】
一実施形態において、半導体ウェーハ105は、導電性ウェーハ固定具103の上に配置される。これは、手動または、これに限定されるわけではないが、ウェーハハンドリングロボットなどの自動化処理を用いて実行されてもよい。ウェーハ105は、真空を用いることによるなどの所定の場所に保持される。ウェーハ105を保持する別の方法には、これに限定されるわけではないが、静電気力およびエッジ把持が含まれる。一実施形態において、固定具103は、その中心を中心にしてウェーハ105を回転することができるスピンドルに取り付けられる。非振動式接触電位差センサ101は、ウェーハ表面106の上でセンサ101の高さを調整することができ、ウェーハ105の少なくとも中心からウェーハ105の一方のエッジまで半径方向にセンサ101を移動することができる位置決めシステム107に装着される。非振動式接触電位差センサ101は、導電性ウェーハ固定具103を介して、ウェーハ表面106に電気的に接続される。この接続は、抵抗式であってもよく、容量式であってもよい。一実施形態において、非振動式接触電位差センサプローブ先端102の高さに対して較正された高さセンサ108はまた、非振動式CPDセンサ101として同位置決めシステム107にも取り付けられる。
【0016】
可変強度または可変波長を有する光源109はまた、照射エリアが、非振動式接触電位差センサプローブ先端102に隣接するエリアを少なくとも含むような角度で位置決めシステムに取り付けられ、照射されるエリアは、プローブ先端102の下に、プローブ先端102とウェーハ105との間の間隙および光ビームの角度によって許容される範囲まで延びる。広帯域の光源109は、レーザ、白熱灯または他の光源であってもよい。広帯域の光源109は、所望の波長および強度の照射を選択するために、可変光学フィルタに連結されてもよい。非振動式接触電位差センサプローブ先端102は、プローブ先端102の下のウェーハ表面106の照射を容易にするために、照射波長に対して透過性であってもよい。あるいは、プローブ先端102は、プローブの下のウェーハ表面106の照射を容易にするために成形されてもよい。照射されるスポットの正確なサイズおよび位置は、非振動式接触電位差センサ101が、ウェーハ表面106のすべてまたは大部分を含み得る照射エリアにわたって走査するように設定される。光源109が、全体的なウェーハ表面106を照射する場合、または光源109が走査動作中にセンサプローブ先端102によって横断される全体エリアを照射する場合には、光源109は、一定の位置であって、位置決めシステム107上でない位置に取り付けられることができる。
【0017】
ウェーハ105が固定具に固定された後、高さセンサ108は、ウェーハ表面106の1つまたは複数の点の上に位置決めされ、ウェーハ表面106の高さが測定される。これらのウェーハの高さ測定は、プローブ先端102とウェーハ表面106との間に所望の距離を生じる非振動式接触電位差センサ101の位置を計算するために用いられる。この情報は、ウェーハ表面106の上で一定の高さにプローブ先端102を位置決めするために用いられ、プローブ先端102は、ウェーハ105の外側エッジの上の点まで移動される。照射が有効であり、適切な強度および波長が検査用途のために選択される。たとえば、用途がドーピング密度の検出である場合には、高強度のスーパバンドギャップ照射が選択されてもよい。用途が表面汚染検出である場合には、可能性が高い汚染に適した強度および波長が選択される。
【0018】
プローブ101は静止した状態で保持され、プローブ先端102がウェーハ105の中心を中心とする円形の経路に沿ってウェーハ105の上に移動するようにウェーハ105がスピンドル上で回転される。データは、ウェーハ105の1回転中に取得される。次に、センサ101は、ウェーハ中心に向かってウェーハ105の半径に沿ってプログラム可能な距離で移動される。別の回転のデータが、この新たな半径で取得される。プローブ先端102は、プローブがウェーハ中心に達するまで、ウェーハ105の同心円形領域を段階的に進めて走査し続ける。次に、結果として生じるデータはウェーハ105の画像にアセンブルする。あるいは、ウェーハ105の各同心円形領域が、複数回走査され、結果として生じるデータがランダムノイズの影響を低減するように平均化されることも可能である。この画像は、不均一性を識別して分類するために処理される。この処理は、多くの形態をとることができる。表面電位が相対的に急激に変化しているウェーハ表面106の領域を検出するために、この処理は、信号値の閾値処理と同様に簡単であってもよい。差のセンサデータはまた、相対的な表面電位値を表す画像を生成するために積分されることができる。この積分された画像はまた、高い電位または低い電位の領域を識別するために、処理または閾値処理されることができる。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態の半径方向走査の図を示す。非振動式接触電位差センサプローブ先端102は、ウェーハ105のエッジ付近の点「A」に位置決めされる。ウェーハ105は、ウェーハ固定具103の上で回転され、円形トラックのデータが走査される。プローブ先端102は、ウェーハ105の中心に向かって点「B」までプログラム可能な距離分移動され、第2の円形トラックのデータが走査される。この処理は、プローブ先端102がウェーハ105の中心に達するまで繰り返される。結果として生じるデータは、ウェーハ表面106の画像に合成される。サンプル画像が、図2bに示される。
【0020】
本発明の一態様は、半導体におけるドーピング密度またはバルク汚染における変動の検出に関する。ドーピング密度またはバルク汚染における変動は、半導体のフェルミ準位に影響を及ぼす可能性があり、フェルミ準位は、仕事関数に直接的に影響を及ぼす。しかし、半導体の表面におけるバンドの曲がりは、仕事関数の変化におけるフェルミ準位の変動の影響を低減し得る。一実施形態において、ウェーハ105は、このバンドの曲がりの影響を低減するために、スーパバンドギャップ照射を用いて照射されてもよい。ウェーハ105にわたる表面電位およびフェルミ準位の変化についてのデータを得るために、ウェーハ表面106は次に、非振動式接触電位差センサ101を用いて走査される。結果として生じるデータは、ドーピング密度における変動を表すこれらの変動を検出するために処理される。あるいは、ウェーハ105は、スーパバンドギャップ照射の2つの異なる強度を用いて走査されてもよい。強度の一方は0であってもよく、2つの走査の差が計算される。この差のデータは次に、ドーピング密度における変動を示す異なるレベルのバンドの曲がりを有するエリアを検出するために用いられてもよい。バンドの曲がりに影響を及ぼさない他のタイプの不均一性によって生成される非振動式接触電位差センサ信号は、照射に対して感度が高くない。これらのタイプの不均一性からの信号は、2つの異なる照射強度を用いて生成されるデータの差をとることによって排除される。
【0021】
本発明の第2の態様は、表面の仕事関数におけるスーパバンドギャップ照射の影響に基づいた表面の化学作用または汚染の識別または分類である。バンドの曲がりの量におけるスーパバンドギャップ照射の一定強度の影響および、したがって、仕事関数におけるその影響は、バンドギャップ内に存在する表面電子エネルギ状態の密度および分散に左右される。これらの状態は、表面における半導体バルクの終端化、半導体表面の再構成、ウェーハ表面106に化学的に接合される分子または原子またはウェーハ表面106で吸収する分子または原子によって作り出される。水素終端化または酸化物終端化などの異なる表面条件、異なる表面汚染または吸収される分子、またはウェーハの表面に堆積される誘電膜が、表面状態の異なる密度または分散を生成する。表面状態における変動は、表面におけるバンドの曲がりの大きさにおける変動を結果として生じ得る。本発明は、ウェーハ105の汚染された領域および汚染されていない領域に関する表面の仕事関数における差を最大化するために、または2つの異なる汚染の間で表面の仕事関数における差を最大化するために、選択されたスーパバンドギャップ照射の強度を用いた非振動式接触電位差センサ101を用いて、ウェーハ表面106を測定することを可能にする。さらに、表面は、汚染された領域または汚染されていない領域、または異なる汚染を有する領域に関する表面電位における変化を最大化する異なる強度の照射を用いて、2回以上の回数測定されることができる。次に、これらの測定間の差は、汚染を検出するため、または異なる汚染または表面条件を分類するために用いられることができる。
【0022】
本発明の第3の態様は、表面の仕事関数におけるサブバンドギャップ照射の影響に基づいた表面の化学作用または汚染の検出および分類である。サブバンドギャップ照射は、価電子帯の電子を伝導帯に直接的に跳ばせるために十分なエネルギに欠けている。しかし、サブバンドギャップ照射は、価電子帯から表面状態への移行または表面状態から伝導帯への移行を生じることができる。可変波長のサブバンドギャップ照射を用いた表面の照射は、これらのギャップ状態の密度の増減のために用いられることができ、表面電位および仕事関数における変化を結果として生じる。可変波長の照射を用いた表面電位における変化は、表面条件および化学作用に左右される。本発明は、ウェーハ105の汚染された領域および汚染されていない領域に関する表面の仕事関数における差を最大化するために、または2つの異なる汚染の間で表面の仕事関数における差を最大化するために、選択されたサブバンドギャップ照射の波長を用いた非振動式接触電位差センサ101を用いて、ウェーハ表面106を測定することを可能にする。さらに、表面は、汚染された領域または汚染されていない領域、または異なる汚染を有する領域に関する仕事関数における変化を最大化するために異なる波長の照射を用いて、2回以上の回数測定されることができる。次に、これらの測定の差は、汚染を検出するため、または異なる汚染または表面条件を分類するために用いられることができる。
【0023】
照射の波長または強度が各走査間で変更される場合には、ウェーハ105は、1回より多く走査されてもよい。これらの走査は、たとえば差を取ることによって合成されることができ、結果として生じるデータは、表面またはバルクの不均一性を識別して分類するために処理されることができる。2つ以上の照射条件を用いた走査は、1つのタイプの照射を用いて全体的なウェーハ105を走査し、次に、照射を変更して、再び全体的なウェーハ105を走査することによって行われることができ、または1つの照射条件を用いて1つの同心円形経路のデータを走査し、照射を変更して、新しい照射条件を用いて同一経路を再走査し、次に、各半径ですべての円形経路に関して反復することによって実現されることができる。
【0024】
さらに、照射の強度または波長は、走査動作中に変更されることができる。たとえば、照射は、可変照射は、切換え周波数で表面電位における変化を生じるように、オンおよびオフを切換えることができる。切換え動作は、透明および不透明な特徴部の交互パターンを備えた回転ディスクを介して照射を通過させる光学チョッパを用いることによって、実行されることができる。結果として生じる照射が誘発した表面電位信号は、切換え周波数のみで信号を通過させる周波数帯域通過フィルタを適用することによって、ウェーハ105に対する非振動式接触電位差センサ101の横方向の移動によって作成される信号から分離されることができる。
【0025】
ウェーハ表面が誘電膜によって覆われる場合には、膜表面は、測定前のイオンによって帯電されることができる。イオンは、コロナ放電または何か別の匹敵する方法によって作成されることができる。膜の表面の帯電は、半導体の表面にバイアスを印加して、バンドの曲がりおよびSPVに影響を及ぼす蓄積、空乏または極性反転するために用いられることができる。このバイアス印加電荷は、すべての測定に関して一定のレベルで印加され、維持されることができるか、または同一のウェーハ表面の連続走査の間に変更されることができる。
【0026】
一実施形態において、照射エネルギがウェーハ表面に接触する角度は、ウェーハ表面に貫通する所望の深さを提供するように制御されてもよい。
【実施例】
【0027】
図3は、ウェーハ105の非振動式接触電位差画像を示す。図3aは、スーパバンドギャップ照射であり、図3bは、照射がない場合であり、図3cは、図3aに示される画像と図3bに示される画像との間の差である。図3cにおけるパターンは、ウェーハ105に埋め込まれるボロンである。差画像は、強いドーピングパターンを示し、(a)および(b)において可視化される表面汚染からの信号を最小限に抑える。
【0028】
図4は、不均一性の領域を識別するための処理を用いた図3a〜図3cに示されるウェーハ105の非振動式接触電位差画像を示す。画像は、閾値を上回る画像の領域および下回る画像の領域を識別することによって処理されている。不均一性は、図4cにおいて明確に識別されるが、図4aおよび図4bにおいて表面汚染から区別されていない。
【0029】
上述の実施形態と同一の結果を実現する別の機械的構造および走査動作が多くある。たとえば、非振動式接触電位差センサ101、高さセンサ108および照射源109がすべて、一定の位置に取り付けられ、ウェーハ105がこれらの静止素子の下を移動して回転されてもよい。1つの半径から次の半径に段階的に進むのではなく、ウェーハ105の全体表面にわたって螺旋を描くデータの連続流れを作成するために、ウェーハ105が回転している間に、非振動式接触電位差センサ101は、ウェーハ105の半径に沿って同時に移動されてもよい。また、上述の半径方向の走査動作の代わりに、非振動式接触電位差センサ101は、全体的なウェーハ表面106に対して前後する方式でウェーハ105にわたって直線的に移動されてもよい。また、ウェーハを測定するために必要な時間を削減するために、複数の測定値を同時に取得するために、複数の非振動式接触電位差センサおよび照射源が、用いられてもよい。
【0030】
本発明の実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的のために提供されている。開示された正確な形態に網羅することまたは本発明を限定することを意図しているわけではなく、修正および変形は上記の教示に鑑みて可能であり、または本発明の実行から取得されてもよい。本発明の原理および種々の実施形態において、および考案された具体的な用途に適しているような種々の修正を利用して、当業者が本発明を利用することを可能にするその実際の用途を説明するために、本実施形態は、選択および記載された。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】非振動式接触電位差センサおよび制御された照射源を備えたウェーハ走査システムの図である。
【図2】図2aは、半径方向の走査動作の図である。図2bは、そのような走査動作からのサンプル画像を示す。
【図3】図3aは、スーパバンドギャップ照射を用いた場合のウェーハの非振動式接触電位差画像を示す。図3bは、照射がない場合のウェーハの非振動式接触電位差画像を示す。図3cは、図3aと図3bとの間の差を用いた場合のウェーハの非振動式接触電位差画像を示す。
【図4】図4aは、不均一性の領域を識別するための処理を用いた図3aに示されるウェーハの非振動式接触電位差画像を示す。図4bは、不均一性の領域を識別するための処理を用いた図3bに示されるウェーハの非振動式接触電位差画像を示す。図4cは、不均一性の領域を識別するための処理を用いた図3cに示されるウェーハの非振動式接触電位差画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハの不均一性を検出する方法であって、
ウェーハ表面を有するウェーハを含む半導体を設けるステップと、
プローブ先端を有する接触電位差センサを設けるステップと、
前記ウェーハ表面と連通する照射エネルギ源を設けるステップと、
可変照射を提供する機構を設けるステップと、
前記接触電位差センサプローブ先端の近傍に位置するサンプリングエリアを含む前記ウェーハ表面のエリアで前記照射エネルギを指向するステップと、
前記半導体の前記表面は、前記照射エネルギによって照射される間に、前記接触電位差センサに対して実質的に平行に前記ウェーハ表面を走査するステップと、
前記センサプローブ先端が前記ウェーハ表面にわたって実質的に平行に走査するとき、前記センサプローブ先端と前記ウェーハ表面との間で、前記接触電位差における変化を表すセンサデータを生成するステップと、
不均一性を表すパターンを検出するために、前記接触電位差センサデータを処理するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記可変照射エネルギは、変化する強度、変化する光波長スペクトルおよび前記ウェーハ表面に対する変化する入射角度の光の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照射エネルギは、前記半導体ウェーハのバンドギャップより大きいエネルギを有する光の波長を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記照射エネルギは、前記半導体のバンドギャップより小さいエネルギを有する光の波長を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記不均一性は、半導体ドーピング密度の変動、前記半導体における汚染、前記半導体の前記ウェーハ表面における金属または有機汚染、物理的な不均一性、前記表面付近の帯電の領域および表面化学作用における変動からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接触電位差センサの前記プローブ先端は、前記照射エネルギの波長に対して透過性であり、前記プローブ先端の下のエリアの照射を可能にするように成形される少なくとも1つのプローブ先端である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
光波長スペクトルおよび前記照射エネルギの強度の少なくとも1つが、走査間で変更される場合には、少なくとも2回前記ウェーハ表面を走査するステップおよび前記複数の走査から前記接触電位差センサを処理して、欠陥を表すパターンを検出するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接触電位差センサデータの処理は、1回の走査の結果と、第2の走査の結果との間の差を計算することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記接触電位差センサは、非振動式センサを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
半導体ウェーハの不均一性を検出するためのシステムであって、
ウェーハ表面を有する半導体ウェーハを収容するように適合される半導体取付表面と、
プローブ先端を有し、前記取り付けられた半導体ウェーハに隣接して位置決め可能な接触電位差センサと、を備え、前記センサおよび前記半導体ウェーハが互いに対して移動可能であり、
前記半導体ウェーハと前記接触電位差センサとの間で相対的な移動を生成するためのシステムと、
前記表面と連通する照射エネルギ源であって、角度によって指向可能であり、可変である照射エネルギを提供する前記照射エネルギ源と、
前記接触電位差センサプローブ先端の近傍に位置しているサンプリングエリアを含む前記ウェーハ表面のエリアが、前記照射エネルギ源によって照射される間に、前記センサプローブ先端が、前記半導体表面に平行に走査するときに、接触電位差データを生成する前記センサと、
前記センサからの前記接触電位差センサデータを受信して、不均一性を表すパターンを検出するように前記データを処理し、それによって、前記ウェーハ表面における前記不均一性の特徴付けを可能にするプロセッサと、
を備えるシステム。
【請求項11】
前記不均一性は、化学的不均一性、物理的不均一性、電気的不均一性およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記可変照射エネルギは、変化する強度、変化するスペクトルおよび前記ウェーハ表面に対する変化する入射角度の少なくとも1つを有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記可変照射エネルギは、前記半導体のバンドギャップより大きいエネルギを有する光の波長および前記半導体のバンドギャップより小さいエネルギを有する光の波長からなる群から選択される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記不均一性は、半導体ドーピング密度の変動、前記半導体における汚染、前記半導体の前記ウェーハ表面における金属または有機汚染、表面化学作用における変動、物理的な不均一性および前記半導体ウェーハの前記表面付近の帯電の領域からなる群から選択される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記接触電位差センサの前記プローブ先端は、前記照射エネルギの波長に対して少なくとも1つの透過性であり、前記プローブ先端の下のエリアの照射を可能にする形状を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記半導体は、照射エネルギの少なくとも一部の波長に対して透過性である被覆膜を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記接触電位差センサの前記プローブ先端は、非振動式センサである、請求項10に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−304452(P2008−304452A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−57715(P2008−57715)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(505289627)キューセプト・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】