説明

非水電解質二次電池

【課題】銅−珪素合金を含有する合金層を介して負極集電体と負極リードとが接続された珪素系負極を用いた捲回型電極群を備えた非水電解質二次電池において、負極リードの珪素系負極からの部分剥離や破断を抑制する。
【解決手段】帯状の負極10と帯状の正極11との間に帯状のセパレータ12を介在させた積層体を略円筒型に捲回した捲回型電極群2と、非水電解質とを備え、捲回型電極群2の半径が3mm以上であり、負極10が、集電体と、集電体表面に被着された珪素系活物質からなる活物質層と、銅−珪素合金を含む合金層20を介して集電体に接続された短冊状のリード17と、を備え、リード17は捲回型電極群2の中心から半径3mm以上の捲回周に接続されており、短辺幅1mmあたりの引張力が3N〜50Nである銅箔又は銅合金箔からなる、非水電解質二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池に関する。より詳しくは、本発明は、珪素系負極活物質を用いた非水電解質二次電池における、負極と負極リードとの接続の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムと合金を形成することによりリチウムを吸蔵する、珪素系活物質を負極活物質として用いた非水電解質二次電池(以下「合金系二次電池」とする)が知られている。合金系二次電池は、負極活物質として黒鉛を用いた従来の非水電解質二次電池よりも高い容量及びエネルギー密度を有している。従って、合金系二次電池は、電子機器の電源としてだけでなく、輸送機器や工作機器等の主電源又は補助電源としても期待されている。
【0003】
従来の負極は、例えば、銅箔等からなる集電体の表面に黒鉛等の活物質と結着剤とを含む活物質層が形成されており、その集電体の端部に出入力端子となるリードが数点の溶接部でスポット溶接されている。集電体表面のリードが溶接される部分には活物質層が形成されておらず、集電体が露出している。この露出した部分に、リードが直接溶接されている。
【0004】
図11は、このようにリードがスポット溶接された、従来の電極100の接続状態を模式的に示す上面図である。電極100の集電体101が露出した部分には、電極100の長手方向とリード103の長手方向とが直交し、電極100の幅方向の一端部とリード103の長手方向の一端部とが重なるように、電極100及びリード103が配置されている。そして、これらは、スポット溶接により複数の溶接部104で溶接されている。
【0005】
ところで、合金系二次電池に用いられる負極として、結着剤を用いた活物質層を形成する代わりに、銅箔等からなる集電体の表面に真空蒸着等により珪素系活物を被着させた珪素系負極が知られている。このような珪素系負極においては、集電体にリードを接続することが煩雑であるという問題があった。詳しくは、従来の負極のような集電体が露出したリード接続部を形成するためには、例えば、真空蒸着等の際にリード接続部の形成領域をマスクすることにより、その領域に珪素系活物質が蒸着されないようにする必要があった。このような、マスク作業は、工程上非常に煩雑になる。
【0006】
このような問題に対し、本発明者らは、珪素系活物質等からなる活物質層が両側表面に設けられた集電体と、ニッケル、ニッケル合金、銅及び銅合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するリードとを、アーク溶接により接続する方法を提案した(特許文献1参照)。詳しくは、集電体の表面に形成された活物質層にリードの一部分を重ね、重ね合わせた部分をアーク溶接することにより、集電体とリードとの間に珪素系合金層が形成され、集電体とリードとが導通性良く接続される。このような珪素系合金層は、活物質層が集電体及びリードのそれぞれ一部と共に溶融し、再凝固することにより形成される。
【0007】
図12は、アーク溶接による珪素系負極10の接続状態を模式的に示す上面図である。珪素系負極10とリード117とをアーク溶接することにより、珪素系負極10の集電体とリード117とが合金層120を介して接続されている。このように集電体の表面に形成された珪素系活物質層にリードの一部分を重ね、重ね合わせた部分をアーク溶接することにより、集電体の露出部を形成することなく溶接ができるために工業的に有利になる。
【0008】
また、リードに関する先行技術として、特許文献2は、リードの薄肉化や軽量化を図るために、ニッケル、ニッケル合金又は鉄合金からなる溶接層と、銅又は耐熱銅合金からなる基層と、が積層されたリードを開示する。特許文献3は、電気自動車等の駆動電源として用いられる薄型電池において、平板の電極端子に折り目を付けることにより、電極端子とリードとの断線を抑制する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2010/041399号
【特許文献2】特開平11−297300号公報
【特許文献3】特開2007−73485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示された技術によれば、珪素系負極にリードを溶接することが明らかに容易になる。しかしながら、本発明者らは、次のような新たな課題を見出した。
【0011】
珪素系負極においては、アーク溶接により集電体とリードとの間に、機械的強度は高いが、脆さのある合金層が形成される。一方、捲回型電極群を作製する場合、リードは捲回型電極群の曲率に沿って湾曲する。ところが、負極としてリードがアーク溶接された珪素系負極を用いた場合、リードの接続部分の湾曲が大きくなると、合金層が脆さを有することから、リードの珪素系負極からの部分的な剥離や破断が生じ易くなるおそれがあった。
【0012】
本発明の目的は、銅−珪素合金を含有する合金層を介してリードが接続された珪素系負極を用いた捲回型電極群を備え、リードの珪素系負極からの部分剥離や破断が抑制された非水電解質二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の非水電解質二次電池は、帯状の正極と帯状の負極との間に帯状のセパレータを介在させた積層体を略円筒型に捲回した捲回型電極群と、非水電解質とを備えた、捲回型電極群の半径が3mm以上であり、負極が、集電体と、集電体表面に被着された珪素系活物質からなる活物質層と、銅−珪素合金を含む合金層を介して集電体に接続された短冊状のリードと、を備え、リードは捲回型電極群の中心から半径3mm以上の捲回周に接続されており、短辺幅1mmあたりの引張力が3N〜50Nである銅箔又は銅合金箔からなることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、珪素系負極を用いた捲回型電極群において、半径3mm以上の捲回周に負極リードを接続することにより、負極リード及び銅−珪素合金を主成分とする合金層が大きく湾曲することを抑制することができる。また、リード材として、短辺幅1mmあたりの引張力が3〜50Nである銅箔又は銅合金箔を用いることにより、リードの剛性が低下する。このために、リードの湾曲によりリードの接続部分に発生する内部応力が低減され、捲回型電極群の湾曲に対する負極リード及び合金層の追従性が向上する。その結果、組み立て時や使用時において、リードの珪素系負極からの部分剥離や破断等を抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、銅−珪素合金を主成分とする合金層を介してリードが接続された珪素系負極を用いた捲回型電極群を備えた非水電解質二次電池において、電池の組み立て時及び使用時における、リードの珪素系負極からの部分剥離や破断の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態である非水電解質二次電池の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1に示す非水電解質二次電池の上面からの部分透視図である。
【図3】アーク溶接による負極とリードとの接続状態を模式的に示す上面図である。
【図4】負極リードの負極への接続方法を説明するための側面図である。
【図5】電極群製造装置の模式図である。
【図6】送給ローラ表面におけるリードが接続された負極の走行状態を示す斜視図である。
【図7】送給ローラ表面におけるリードが接続された負極の状態を模式的に示す側面図である。
【図8】電子ビーム式真空蒸着装置の構成を模式的に示す側面透視図である。
【図9】別形態の電子ビーム式真空蒸着装置の構成を模式的に示す側面透視図である。
【図10】実施例6で作製される負極の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図11】従来の電極の接続状態を模式的に示す上面図である。
【図12】従来の、アーク溶接による珪素系負極の接続状態を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態である非水電解質二次電池1の構成を模式的に示す縦断面図である。図2は、図1に示す非水電解質二次電池1の上面からの部分透視図である。図2では、電池1の捲回型電極群2における負極リード17及び正極リード18の接続位置のみを図示し、それ以外の構成の図示を省略している。
【0018】
非水電解質二次電池1は、帯状の珪素系負極10(以下単に「負極10」とする)と帯状の正極11とこれらの間に介在する帯状のセパレータ12を有する電極群2と、電極群2の長手方向両端にそれぞれ装着される絶縁板13、14と、電極群2や非水電解質(図示せず)をその内部に収容し、負極端子として機能する有底円筒型の電池缶15と、電池缶15の開口を封口し、正極端子として機能する封口板16と、負極10と電池缶15とを導通させる負極リード17と、正極11と封口板16とを導通させる正極リード18と、電池缶15と封口板16との間に介在してこれらを絶縁するガスケット19とを備える円筒型電池である。
【0019】
電極群2は、帯状の負極10と帯状の正極11との間に帯状のセパレータ12を介在させた積層体を略円筒型に捲回した捲回型電極群であり、捲回軸方向の上方から見た場合に略真円形状を有する。電極群2の最外捲回周は、例えば、接着テープにより固定されている。
【0020】
そして、電極群2は、上方から観察したときの略真円形状において、その半径(最外捲回周の円の半径)が3mm以上、好ましくは3mm〜30mm、更に好ましくは5mm〜30mmである。電極群2の半径は、最外捲回周の円の半径であり、直径の半分である。なお、円に多少の歪がある場合には、電極群2の半径は、最外捲回周の円に囲まれた面積と同じ面積を有する真円の半径を意味する。
【0021】
負極リード17は短冊状の形状を有し、負極10の長辺上の端部に、例えば、後述するようなプラズマアーク溶接により接続されている。なお、プラズマアーク溶接により集電体と負極リード17との間には、後述するような、銅−珪素合金を主成分とする合金層20が介在している。具体的には、図3に示すように、負極10の長手方向と負極リード17の長手方向とが直交し、負極10の幅方向の一端部と負極リード17の長手方向の一端部とが重なるように接続されている。
【0022】
負極リード17は、電極群2の中心から半径3mm以上、好ましくは3mm〜30mmの範囲の捲回周に接続されている。このような位置に負極リード17を接続した場合には、捲回された負極10の曲率(湾曲)が小さくなるために、電池の組み立て時や使用時にリード接続部に発生する内部応力が低くなる。その結果、組み立て時や使用時に、負極10から負極リード17が部分剥離又は破断することを抑制できる。なお、電極群2の中心は、電極群2の上方からの正投影図の形状が真円である場合は、その真円の中心であり、前記正投影図が真円ではない場合は、正投影図の形状が内包し得る最大の真円の中心である。
【0023】
なお、本実施形態では、正極リード18は、負極リード17よりも内側の捲回周の正極11に接続されているのが、これに限定されず、負極リード17と同じ捲回周又は負極リード17よりも外側の捲回周の正極11に接続されてもよい。
【0024】
負極リード17は短冊状の銅箔又は銅合金箔からなり、その短辺幅1mmあたりの引張力が3N〜50Nである。なお、短辺幅1mmあたりの引張力とは、負極リード17の最大引張力を求め、得られた最大引張力を負極リード17の短辺幅(mm)で除した値である。最大引張力は、次のようにして求められる。万能試験機(商品名、(株)島津製作所製)により、負極リード17(長さ80mm、幅3mm)を定められた条件(引張速度5mm/秒、環境温度25℃)で引っ張り、負極リード17が破断したときの荷重を測定し、最大引張力とする。なお、この最大引張力の測定は、JIS Z−2241に基づいて実施される。
【0025】
負極リード17の短辺幅1mmあたりの引張力は3N/mm〜50N/mmであり、好ましくは20N/mm〜45N/mmである。引張力が3N/mm未満の場合には負極リード17自体の剛性が低下して、使用状態によっては破断するおそれがある。また、引張力が50N/mmを超える場合には、電極群2の湾曲に対する追従性が低下することにより、リード接続部分に発生する内部応力が大きくなるために、部分剥離や破断等が起こり易くなる。
【0026】
なお、従来の非水電解質二次電池において、負極リードとして、厚み100μm程度のNi箔、又はNi箔に銅を被覆した金属箔が広く用いられている。このようなNi系金属箔は、55N/mm程度の比較的高い引張力を有している。これは、従来技術では、負極リードの機械的強度を高めることにより、負極集電体と負極リードとの接続強度を高めようとしているためである。これに対し、本実施形態では、負極リード17の機械的強度を低下させることにより、負極10と負極リード17との接続強度を高めようとしている。
【0027】
負極リード17を構成する銅箔及び銅合金箔としては、例えば、タフピッチ銅箔、ジルコニウム銅合金箔、コルソン銅合金箔等が挙げられる。珪素系活物質を含む負極10を備える電池1において、このような銅箔及び銅合金箔からなる負極リード17を用いることにより、集電性能が顕著に向上する。その結果、電池1の高出力特性等が向上し、高出力が必要になる電動工具や輸送機器の電源としても有用になる。
【0028】
所定範囲の引張力を有する銅箔及び合金銅箔を得る方法としては、厚みを調整する方法が挙げられる。例えば、タフピッチ銅箔は厚み0.12mm以下(好ましくは0.02mm〜0.12mm)、ジルコニウム銅合金箔は厚み0.1mm以下(好ましくは0.01mm〜0.1mm)、コルソン銅合金箔は厚み0.06mm以下(好ましくは0.01mm〜0.06mm)に調整すれば、所定範囲の引張力を有する銅箔が得られる。
【0029】
また、箔を焼鈍することによっても、銅箔及び合金銅箔の引張力を調整できる。例えば、タフピッチ銅箔を焼鈍した場合は、厚み0.33mm以下、好ましくは0.05〜0.33mmのタフピッチ銅箔は、所定範囲の引張力を有している。この時、焼鈍条件は、アルゴン雰囲気中にて200℃で1時間である。このように、厚み、焼鈍条件等を適宜選択することにより、所定範囲の引張力を有する銅箔が得られる。
【0030】
更に、本実施形態の負極リード17は、短辺幅(幅方向の長さ)が3mm以下であることが好ましく、2mm〜3mmであることが更に好ましい。これにより、電極群2の作製工程において、負極リード17の負極10からの部分剥離や破断が一層起こり難くなる。
【0031】
負極リード17の負極10への接続は、例えば、図4に示す方法により実施できる。図4は、負極リード17の負極10への接続方法を説明するための側面図である。図4に示す方法は、(a)工程と(b)工程とを含んでいる。
【0032】
(a)工程では、まず、負極10の長手方向と負極リード17の長手方向とが直交するように、負極10と負極リード17とを重ね合わせる。そして、負極10の幅方向の端面10a及び負極リード17の長手方向の端面17aが同一方向を向き、負極リード17の端面17aが負極10の端面10aよりも0.1mm〜3mm程度突出するように配置する。その後、負極10及び負極リード17を押え治具21で挟持して固定する。本実施形態では、端面10a、17aが鉛直方向上方を向いているが、それに限定されず、水平方向や斜め上方向等を向いていてもよい。
【0033】
(b)工程では、押え治具21で挟持され固定された負極10及び負極リード17の鉛直方向上方からアーク溶接する。具体的には、端面10a、17aに対して、アーク溶接用電極の溶接トーチから矢符22の方向にエネルギーを照射し、アーク溶接を行う。これにより、負極10の長辺上の所定位置に銅−珪素合金を主成分とする合金層20が形成され、負極10の内部に存在する負極集電体と負極リード17とが接続される。
【0034】
アーク溶接としては、プラズマ溶接が好ましい。プラズマ溶接は、市販されているプラズマ溶接機を用いて実施される。また、プラズマ溶接は、溶接電流値、溶接速度(溶接トーチの移動速度)、溶接時間、プラズマガス及びシールドガスの種類とそれらの流量等の条件を適宜選択して実施される。溶接電流値は、例えば、1A〜100Aの範囲から選択される。溶接トーチの掃引速度は、例えば、1mm/秒〜100mm/秒の範囲から選択される。プラズマガスには、アルゴンガス等を使用できる。プラズマガス流量は、例えば、10ml/分〜10リットル/分の範囲から選択される。シールドガスには、アルゴン、水素等を使用できる。シールドガス流量は、例えば、10ml/分〜10リットル/分の範囲から選択される。
【0035】
本実施形態の負極10は、負極リード17の他に、負極集電体、負極集電体に支持された負極活物質層及び負極集電体と負極リード17とを接続し、銅−珪素合金を主成分とする合金層20を含んでいる。
【0036】
負極集電体としては、非水電解質二次電池用の無孔の導電性基板を使用できる。無孔の導電性基板の形態としては、箔、シート、フィルム等が挙げられる。これらの形態の中でも、箔が好ましい。導電性基板の材質としては、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、銅、銅合金等が挙げられる。これらの材質の中でも、銅及び銅合金が好ましい。銅箔には、圧延銅箔、電解銅箔等がある。導電性基板の厚みは特に限定されないが、通常は1μm〜500μm、好ましくは5μm〜50μm、さらに好ましくは10〜30μmである。
【0037】
負極活物質層は、負極集電体の厚み方向の両方の表面に形成され、珪素系活物質からなる。負極活物質層は、その特性を損なわない範囲で、珪素系活物質とともに、珪素系活物質以外の公知の負極活物質、添加物等を含んでいてもよい。好ましい形態の負極活物質層は、珪素系活物質からなり且つ膜厚が3μm〜50μmである非晶質又は低結晶性の薄膜である。
【0038】
珪素系活物質は珪素を含有し、負極電位下で充電時にリチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵し、且つ放電時にリチウムを放出する。珪素系活物質としては特に限定されないが、珪素、珪素化合物、珪素の部分置換体、珪素化合物の部分置換体、珪素化合物の固溶体等が挙げられる。珪素化合物の具体例としては、式:SiOa(0.05<a<1.95)で表される珪素酸化物、式:SiCb(0<b<1)で表される珪素炭化物、式:SiNc(0<c<4/3)で表される珪素窒化物、珪素と異種元素Aとの合金である珪素合金等が挙げられる。前記珪素合金において、異種元素Aとしては、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn及びTiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素が挙げられる。
【0039】
部分置換体は、珪素及び珪素化合物に含まれる珪素の一部を異種元素Bで置換した化合物である。異種元素Bとしては、B、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N及びSnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素が挙げられる。これらの珪素系活物質の中でも、珪素化合物が好ましく、珪素酸化物が更に好ましい。珪素系活物質は、1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0040】
負極活物質層は、気相法により、負極集電体表面に薄膜状に形成される。気相法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、溶射法等が挙げられる。これらの気相法の中でも、真空蒸着法が好ましい。
【0041】
負極活物質層は、珪素系活物質からなるベタ膜でも良く、珪素系活物質からなる柱状体の集合体でも良い。負極活物質層が後者である場合、負極集電体の表面に規則的に配列された複数の凸部を設け、1つの凸部に1つの柱状体を形成するのが好ましい。凸部の高さは好ましくは3μm〜20μmである。凸部の幅は好ましくは5μm〜20μmである。凸部の配列としては、千鳥格子配置、格子配置、最密充填配置等が挙げられる。
【0042】
また、不可逆容量に相当する量のリチウムを負極活物質層に吸蔵させてもよい。負極活物質層へのリチウムの吸蔵は、負極10に負極リード17を接続する前に行うのがよい。これにより、負極10の負極集電体と負極リード17との接続強度及び導通性が更に向上する。負極活物質層へのリチウムの吸蔵は、例えば、真空蒸着でリチウムの蒸気を負極活物質層表面に供給することにより行われる。
【0043】
合金層20は、負極10の負極集電体と負極リード17との間に介在し、負極集電体と負極リード17とを接続するとともに、負極集電体と負極リード17とを導通させる。本実施形態では、負極10の一方の長辺上の一箇所のみに合金層20が形成されている。
【0044】
合金層20は、負極10の一方の負極活物質層と負極リード17とを接触させた状態で、接触部分をアーク溶接することにより形成される。アーク溶接を行うと、負極活物質層、負極活物質層に接する負極集電体の少なくとも一部及び負極活物質層に接する負極リード17の少なくとも一部が溶融する。この溶融部分において、負極集電体、負極活物質層及び負極リード17に含有される金属元素や半金属元素が分散し、その後再凝固が起こって合金層20が形成される。合金層20は、主成分として珪素−銅合金を含有し、更に合金化されなかった金属元素及び半金属元素をも含有することがある。
【0045】
次に、非水電解質二次電池1の負極10及び負極リード17以外の構成部材について説明する。
正極11は、正極集電体、正極集電体の厚み方向の両方の表面に形成された正極活物質層及び正極集電体に接続された正極リード18を含む。
【0046】
正極集電体には、非水電解質二次電池用の導電性基板を使用できる。導電性基板の材質としては、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料、導電性樹脂等が挙げられる。導電性基板の形態としては、多孔性導電性基板、無孔の導電性基板等が挙げられる。多孔性導電性基板としては、メッシュ体、ネット体、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、不織布等が挙げられる。無孔の導電性基板としては、箔、フィルム等が挙げられる。導電性基板の厚みは特に限定されないが、通常は1μm〜500μm、好ましくは5μm〜50μm、更に好ましくは10μm〜30μmである。
【0047】
正極活物質層は、正極活物質を含み、さらに導電剤、結着剤等を含んでもよい。正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる物質を特に制限なく使用できるが、リチウム含有複合酸化物、オリビン型リン酸リチウム等が好ましい。
【0048】
リチウム含有複合酸化物は、リチウムと遷移金属元素とを含む金属酸化物又は前記金属酸化物中の遷移金属元素の一部が異種元素によって置換された金属酸化物である。遷移金属元素としては、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素が挙げられる。これらの遷移金属元素の中でも、Mn、Co、Ni等が好ましい。異種元素としては、Na、Mg、Zn、Al、Pb、Sb及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の異種元素が挙げられる。これらの異種元素の中でも、Mg、Al等が好ましい。
【0049】
リチウム含有複合酸化物の具体例としては、LiXCoO2、LiXNiO2、LiXMnO2、LiXComNi1-m2、LiXCom1-mn、LiXNi1-mmn、LiXMn24、LiXMn2-mn4(前記各式中、AはSc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Cr、Na、Mg、Zn、Al、Pb、Sb及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を示す。0<X≦1.2、m=0〜0.9、n=2.0〜2.3である。)等が挙げられる。これらのリチウム含有複合酸化物の中でも、LiXCom1-mnが更に好ましい。リチウム含有複合酸化物は、酸素欠陥部分又は酸素過剰部分を含むことがある。
【0050】
オリビン型リン酸リチウムの具体例としては、LiYPO4、Li2YPO4F(前記各式中、YはCo、Ni、Mn及びFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)等がある。
前記各式において、リチウムのモル比を示す値は正極活物質作製直後の値であり、充放電により増減する。正極活物質は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0051】
導電剤としては、非水電解質二次電池用の導電剤を使用でき、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト類;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム等の金属粉末類;酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;フェニレン誘導体等の有機導電性材料等が挙げられる。導電剤は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0052】
結着剤としては、非水電解質二次電池用の結着剤を使用でき、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ヘキシル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ヘキシル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン等の樹脂材料;スチレンブタジエンゴム、変性アクリルゴム等のゴム材料;カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子化合物;等が挙げられる。
【0053】
また、2種類以上のモノマー化合物を含有する共重合体を結着剤として使用できる。モノマー化合物としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエン等が挙げられる。結着剤は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0054】
正極活物質層は、例えば、正極合剤スラリーを正極集電体表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延することにより形成できる。正極合剤スラリーは、正極活物質及び必要に応じて導電剤、結着剤等を分散媒に溶解又は分散させることにより調製できる。分散媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアミン、アセトン、シクロヘキサノン等を使用できる。
【0055】
正極リード18は、一端が正極集電体の集電体露出部に接続され、他端が封口板16に接続される。これらの接続は、抵抗溶接、超音波溶接等の溶接により行われる。正極リード18の材質としては、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。アルミニウム合金の具体例としては、アルミニウム−珪素合金、アルミニウム−鉄合金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マンガン合金、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−亜鉛合金等が挙げられる。
【0056】
セパレータ12は、負極10と正極11との間に配置される。セパレータ12には、所定のイオン透過度、機械的強度、絶縁性等を併せ持ち、内部に複数の細孔を有する多孔質シートを使用できる。多孔質シートとしては、例えば、微多孔膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータ12の材料には各種樹脂材料を使用できるが、耐久性、シャットダウン機能、電池の安全性等を考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。セパレータ12の厚みは、通常10μm〜300μm、好ましくは10μm〜40μmである。セパレータ12の空孔率は、好ましくは30%〜70%である。空孔率とは、セパレータ12の体積に対する、セパレータ12が有する細孔の総容積の百分率である。
【0057】
前述の負極10、正極11及びセパレータ12を用いることにより、電極群2を作製することができる。電極群2は、例えば、図5に示す電極群製造装置により作製できる。図5は、電極群製造装置の模式図である。図6は、送給ローラ38a、38b表面における負極リード17が接続された負極10の走行状態を示す斜視図である。図7は、送給ローラ38a表面における負極リード17が接続された負極10の状態を示す側面図である。
【0058】
図5に示すように、負極送り出しローラ30から供給された負極10は、送給ローラ38aに向けて走行する途中で、負極リード送り出しローラ31から供給された負極リード17と重ね合わされ、プラズマ溶接機32によりアーク溶接される。負極リード17が接続された負極10は、図6に示すように送給ローラ38a、38b表面を走行した後、一対の規制ローラ39a、39bの間隙に導入される。この間隙において、負極10は、正極リード18が接続された正極11及び2枚のセパレータ12と積層され、積層体が作製される。この積層体を芯ローラ46表面に捲き付けることにより、電極群が作製される。そして、電極群が所定の直径になった時に、カッター47により積層体が切断される。積層体を芯ローラ46表面に捲き付ける際に、積層体には1N〜100Nの張力が付与されている。
【0059】
このような製造工程において、負極リード17が接続された負極10が送給ローラ38a表面を走行する際に、図7に示す問題が生じることがある。負極10はその長手方向が走行方向に一致することから、送給ローラ38aの円形形状に追従し易い。これに対し、負極リード17の幅方向が走行方向に一致することから、負極リード17及び合金層20の機械的強度が高い場合には、負極リード17が送給ローラ38aの円形形状に追従できない。その結果、負極リード17の幅方向の一端部が負極10から矢符48の方向に部分剥離するか又は負極リード17が破断することがある。しかしながら、負極リード17が、銅箔又は銅合金箔からなり、所定範囲の引張力を有することにより、送給ローラ38a表面での負極リード17の負極10からの部分剥離や破断等を十分に抑制することができる。
【0060】
このようにして作製された電極群2には、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質が含浸される。非水電解質は、リチウム塩と非水溶媒とを含み、更に添加剤を含んでいてもよい。
【0061】
リチウム塩としては、非水電解質二次電池用リチウム塩を使用でき、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、LiBCl4、ホウ酸塩類、イミド塩類等が挙げられる。リチウム塩は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。リチウム塩の非水溶媒に対する溶解量は、好ましくは0.5〜2モル/Lである。
【0062】
非水溶媒としては、非水電解質二次電池用非水溶媒を使用でき、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル;ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル;等が挙げられる。非水溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0063】
添加剤としては、ビニレンカーボネート、1又は2個の炭素数1〜3のアルキル基が置換したビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート等の、負極上で分解してリチウムイオン伝導性の高い被膜を形成し、充放電効率を向上させるカーボネート化合物、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテル等の、電池の過充電時に分解して電極表面に被膜を形成し、電池を不活性化するベンゼン化合物等が挙げられる。
【0064】
絶縁板13、14及びガスケット19は、電気絶縁性材料、好ましくは樹脂材料又はゴム材料を所定の形状に成形することにより作製できる。電池ケース15及び封口板16は、鉄、ステンレス鋼等の金属材料を所定の形状に成形することにより作製できる。
【0065】
本実施形態では、非水電解質二次電池1は、電極群2を含む円筒形電池であるが、それに限定されず、種々の形態を採ることができる。その具体例としては、例えば、電極群2を含む角形電池、電極群2を扁平状に成形した扁平状電極群を含む角形電池等が挙げられる。なお、電極群2において、負極リード17が所定の位置の負極10に接続されている場合、この電極2を扁平状に成形しても、負極リード17の負極10からの部分剥離や破断は起こらない。
【実施例】
【0066】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
(1)正極の作製
NiSO4水溶液に、Ni:Co=8.5:1.5(モル比)になるようにCoSO4を加えて金属イオン濃度2mol/Lの水溶液を調製した。この水溶液に撹拌下、2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を徐々に滴下することにより、Ni0.85Co0.15(OH)2で示される組成を有する三元系の沈殿物を共沈法により生成させた。この沈殿物をろ過により分離し、水洗し、80℃で乾燥し、複合水酸化物を得た。
【0067】
得られた複合水酸化物を大気中にて900℃で10時間加熱し、Ni0.85Co0.152で示される組成を有する複合酸化物を得た。得られた複合酸化物と水酸化リチウム1水和物とを、Ni及びCoの原子数の和とLiの原子数とが等量になるように混合した。得られた混合物を、大気中にて800℃で10時間加熱することにより、LiNi0.85Co0.152で示される組成を有し、二次粒子の平均粒径が10μmであるリチウムニッケル含有複合酸化物(正極活物質)を得た。
【0068】
上記で得られた正極活物質の粉末93g、アセチレンブラック(導電剤)3g、ポリフッ化ビニリデン粉末(結着剤)4g及びN−メチル−2−ピロリドン50mlを混合し、正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを厚み15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延し、片面当たりの厚みが5040μmである正極活物質層を形成し、56mm×10mの正極板を作製した。この正極板の両面の正極活物質層の一部(56mm×5mm)を800mmの間隔で切除し、集電体露出部を設けた。
【0069】
(2)正極リード
正極リードとしては、厚み0.15mmのアルミニウム箔から切り出した、幅4mm、長さ70mmの正極リードを用いた。
【0070】
(3)負極の作製
図8は、電子ビーム式真空蒸着装置50(以下「蒸着装置50」とする)の構成を模式的に示す側面透視図である。図8では、蒸着装置50の内部の部材を実線で示している。蒸着装置50は、チャンバ51と、搬送手段52と、ガス供給手段58と、プラズマ化手段59と、シリコンターゲット60a、60bと、遮蔽板61と、図示しない電子ビーム発生装置と、これらをその内部に収容する耐圧性容器であるチャンバ51と、を含む。
【0071】
搬送手段52は、巻き出しローラ53、キャン54、巻き取りローラ55及び搬送ローラ56、57を含む。巻き出しローラ53には帯状負極集電体62が捲き付けられている。キャン54は、内部に図示しない冷却手段を備えている。巻き取りローラ55には、一方の表面に負極活物質層が形成された負極集電体62が巻き取られる。
【0072】
ガス供給手段58は、酸素、窒素等の原料ガスをチャンバ51内に供給する。ガス供給手段58が原料ガスを供給すると、珪素の酸化物、窒化物等からなる負極活物質層が形成され、原料ガスを供給しないと、珪素からなる負極活物質層が形成される。プラズマ化手段59は、原料ガスをプラズマ化する。シリコンターゲット60a、60bは、珪素を含む負極活物質層を形成するのに用いられる。
【0073】
遮蔽板61は、キャン54とシリコンターゲット60a、60bとの間に配置され、水平方向に移動する。遮蔽板61の水平方向の位置は、負極集電体62表面の負極活物質層の形成状況に応じて調整される。電子ビーム発生装置は、シリコンターゲット60a、60bに電子ビームを照射し、珪素の蒸気を発生させる。
【0074】
蒸着装置50によれば、シリコンターゲット60a、60bに電子ビームを照射することにより発生するシリコン蒸気は、キャン54に向けて上昇する。一方、キャン54の表面を走行中の負極集電体62は、キャン54により冷却される。負極集電体62の表面に到達したシリコン蒸気が冷却され、負極集電体62表面に析出する。ガス供給手段58が原料ガスを供給した場合は、シリコンと原料ガスとの反応物が負極集電体62表面に堆積する。これにより、負極活物質層が形成される。
【0075】
蒸着装置50を用いて、下記の条件で、負極集電体62の両方の表面に、厚み5μmの負極活物質層(シリコン薄膜、ベタ膜)を形成し、負極板を作製した。
チャンバ51内の圧力:8.0×10-5Torr
負極集電体62:粗面化処理した電解銅箔(古河電工(株)製、厚み35μm、幅59mm、長さ10m)
負極集電体62の巻き取りローラ55による巻き取り速度(負極集電体62の搬送速度):2cm/分
【0076】
原料ガス:供給せず。
ターゲット60a、60b:純度99.9999%のシリコン単結晶(信越化学工業(株)製)
電子ビームの加速電圧:−8kV
電子ビームのエミッション:300mA
【0077】
得られた負極板の負極活物質層の表面にリチウム金属を蒸着した。リチウム金属を蒸着することにより、負極活物質層に電池の初回充放電時に蓄えられる不可逆容量に相当するリチウムを補填した。リチウム金属の蒸着は、アルゴン雰囲気下にて、抵抗加熱蒸着装置((株)アルバック製)を用いて行った。抵抗加熱蒸着装置内のタンタル製ボートにリチウム金属を装填し、負極活物質層がタンタル製ボートを臨むように負極板を固定し、アルゴン雰囲気内にて、タンタル製ボートに50Aの電流を通電して10分間蒸着を行った。
【0078】
(4)負極リード
負極リードとしては、タフピッチ銅箔(商品名:TPC、厚み0.1mm、日立電線(株)製)から、長さ80mm、幅3mmの寸法に切り出した負極リードを用いた。ここで負極リードの最大引張力は120Nであり、負極リードの幅が3mmであることから、この負極リードの短辺幅1mm当たりの引張力は、40N/mmであった。
【0079】
(5)セパレータ
セパレータとしては、ポリエチレン微多孔膜(商品名:ハイポア、厚み20μm、旭化成イーマテリアルズ(株)製)を用いた。セパレータの寸法は、幅62mm、長さ10mであった。
【0080】
(6)電極群の作製
上記で得られた負極、負極リード、正極、正極リード及びセパレータを、それぞれ、負極10、負極リード17、正極11、正極リード18及びセパレータ12として、図5に示す電極群製造装置の所定の送り出しローラ30、31、33、34、36、37に捲き付けた。そして、負極送り出しローラ30と送給ローラ38aとにより張架された負極10に対して、負極リード送り出しローラ31から負極リード17を供給した。
【0081】
この時、負極10の長手方向の捲回軸側端部から900mmの位置において、負極10の長手方向と負極リード17の長手方向とが直交するように重ね合わせ、且つ負極10の長辺に対して負極リード17の長手方向の端部が0.1mm突出するように配置した。この状態で、負極10及び負極リード17を、単軸ロボット(押え治具、(株)アイエイアイ製、不図示)により固定した。
【0082】
次に、プラズマ溶接機(商品名:PW−50NR、小池酸素工業(株)製)32により、負極10及び負極リード17の隣接するそれぞれの端面に対して垂直な方向から、下記の条件でエネルギーを照射してプラズマ溶接を行い、合金層20を形成した。これにより、図3に示すように、負極10と負極リード17とを接続した。同様にして、負極10の長手方向の捲回軸側端部から900mm毎に負極リード17を接続した。
【0083】
[プラズマ溶接条件]
電極棒:径1.0mm
電極ノズル:径1.6mm
トーチ距離:2.0mm
トーチ掃引速度:30mm/s
【0084】
プラズマガス:アルゴン
プラズマガス流量:100(sccm)
シールドガス:水素、アルゴン
シールドガス流量(水素):500(sccm)
シールドガス流量(アルゴン):1(slm)
溶接電流:8.0A
【0085】
このようにして負極リード17を接続した負極10を、走行速度30mm/秒で送給ローラ38a、38b(いずれも直径60mmの鉄製ローラ)表面を走行させた。その結果、負極10が送給ローラ38a表面を走行する際に、負極リード17の負極10からの部分剥離や破断は発生しなかった。
【0086】
その後、規制ローラ39a、39bにより、負極リード17を接続した負極10、セパレータ12、所定の間隔で設けられた集電体露出部に正極リード18を接続した正極11及びセパレータ12をこの順番で重ね合わせ、積層体を得た。この積層体に10Nの引張力を付加しながら、この積層体を芯ローラ46に巻き取り、電極群が所定の直径になったところで、カッター47により積層体を切断した。こうして、断面形状がほぼ円形であり、直径が16mmであり、その中心から半径8mmの所にある捲回周に負極リード17が接続され、その中心から半径11mmの所にある捲回周に正極リード18が接続された捲回型電極群を作製した。なお、負極リード17及び正極リード18は、捲回型電極群の長手方向において、それぞれ逆の方向に捲回型電極群から突出するように配置した。
【0087】
(7)電池の作製
上記で得られた捲回型電極群の長手方向両端にポリエチレン製の絶縁板をそれぞれ装着した。また、正極リードの他端を封口板に溶接し、負極リードの他端を有底円筒形の鉄製電池ケースの底部内面に溶接した。次に、捲回型電極群を電池ケースに収容し、非水電解質を電池ケースに注液した。非水電解質としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:1の割合で含む混合溶媒に、LiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた非水電解質を用いた。更に、電池ケースの開口に、ポリエチレン製のガスケットを介して封口板を装着し、電池ケースの開口端部を内側にかしめて電池ケースを封口し、円筒形非水電解質二次電池を作製した。
【0088】
(実施例2)
下記に示す負極リードを用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒形非水電解質二次電池を作製した。
タフピッチ銅箔(商品名:TPC、厚み0.15mm、日立電線(株)製)を、アルゴン雰囲気中にて200℃で1時間焼鈍した。この焼鈍後のタフピッチ銅箔から、長さ80mm、幅3mmの負極リードを切り出した。この負極リードの最大引張力は90Nであった。負極リードの幅が3mmであることから、この負極リードの短辺幅1mm当たりの引張力は、30N/mmであった。
【0089】
(実施例3)
下記に示す負極リードを用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒形非水電解質二次電池を作製した。
ジルコニウム銅合金箔(商品名:HCL−02Z、厚み0.05mm、日立電線(株)製)から、長さ80mm、幅3mmの負極リードを切り出した。この負極リードの最大引張力は66Nであった。負極リードの幅が3mmであることから、この負極リードの短辺幅1mm当たりの引張力は、22N/mmであった。
【0090】
(実施例4)
下記に示す負極リードを用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒形非水電解質二次電池を作製した。
コルソン銅合金箔(商品名:HCL−305、厚み0.05mm、日立電線(株)製)から、長さ80mm、幅3mmの負極リードを切り出した。この負極リードの最大引張力は111Nであった。負極リードの幅が3mmであることから、この負極リードの短辺幅1mm当たりの引張力は37N/mmであった。
【0091】
(実施例5)
負極リードの幅を3mmから3.5mmに変更する以外は、実施例1と同様にして、円筒形非水電解質二次電池を作製した。この負極リードの最大引張力は140Nであり、短辺幅1mm当たりの引張力は40N/mmであった。
【0092】
(実施例6)
下記に示す方法により作製された負極を用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒形非水電解質二次電池を作製した。
【0093】
(1)負極の作製
図9は、電子ビーム式真空蒸着装置70(以下「蒸着装置70」とする)の構成を模式的に示す側面透視図である。図10は、本実施例で作製される負極80の構成を模式的に示す縦断面図である。
【0094】
鍛鋼ローラ(大同マシナリー(株)製、直径50mm、ロール幅100mm)の表面に、レーザ加工により、複数の凹部を形成した。複数の凹部は、互いに隣り合う一対の凹部の軸線間距離が20μmである最密充填配置にした。凹部の開口形状は、長い対角線が19.5μm、短い対角線が9.8μmのほぼ菱形であった。凹部の深さは8μmであり、その底部は中央がほぼ平面状であり、底部周縁と凹部の側面とが繋がる部分が丸みを帯びていた。このようにして、凸部用ローラを作製した。2つの凸部用ローラを、互いの軸線が平行になるように、線圧1t/cmで圧接させ、圧接ニップ部を形成した。
【0095】
一方、全量に対して0.03質量%の割合でジルコニウムを含有する合金銅箔(商品名:HCL−02Z、厚み20μm、日立電線(株)製)を、アルゴンガス雰囲気中、600℃で30分間加熱し、焼鈍した。この合金銅箔を圧接ニップ部に通過させて、合金銅箔を加圧成形し、図10に示す負極集電体81を作製した。凸部82の平均高さは約8μmであった。凸部82の形状はほぼ菱形である。複数の凸部82は、負極集電体81の表面に最密充填配置されていた。なお、図10では、負極集電体81の片方の表面のみを示しているが、負極集電体81は、両方の表面に複数の凸部82を有している。
【0096】
次に、蒸着装置70を用い、上記で得られた負極集電体81の各凸部82の表面にそれぞれ1個の柱状体84を形成し、負極80を作製した。
【0097】
蒸着装置70は、負極集電体81が巻き付けられた送り出しローラ72と、搬送ローラ73a、73b、73c、73d、73e、73fと、蒸着源76a、76bと、各凸部82の表面に珪素系活物質の層が形成された負極集電体81を巻き取る巻き取りローラ75と、珪素系活物質蒸気の供給領域を規制する一対の遮蔽板77、78と、酸素を供給する酸素ノズル(不図示)と、電子ビーム照射装置(不図示)と、これらを収容するチャンバ71と、チャンバ71内を減圧状態にする真空ポンプ79と、を備えている。遮蔽板77は、遮蔽片77a、77b、77cを備える。遮蔽板78は、遮蔽片78a、78b、78cを備える。
【0098】
蒸着装置70では、負極集電体81の搬送方向において、遮蔽片77a、77b間に第1蒸着領域が設けられ、遮蔽片77b、77c間に第2蒸着領域が設けられ、遮蔽片78c、78b間に第3蒸着領域が設けられ、遮蔽片78b、78a間に第4蒸着領域が設けられる。
【0099】
珪素系活物質原料としては、スクラップシリコン(シリコン単結晶、純度99.9999%、信越化学工業(株)製)を用い、これを蒸着源76a、76bに収容した。チャンバ71内を真空ポンプ79により5×10-3Paまで排気した後、第1〜第4蒸着領域にそれぞれ設置した酸素ノズル(図示せず)から、チャンバ71内に酸素を50sccmずつ供給した。次に、蒸着源76a、76bに電子ビーム(加速電圧:10kV、エミッション:500mA)を照射し、シリコン蒸気を発生させた。
【0100】
一方、送り出しローラ72から負極集電体81を送給速度2cm/分で送り出し、第1蒸着領域を走行する負極集電体81の各凸部82表面に、シリコン蒸気と酸素との混合物を蒸着させ、図11に示す塊84aを形成した。次に、第2蒸着領域を走行する負極集電体81の凸部82表面及び塊84a表面に塊84bを形成した。更に、第3及び第4蒸着領域においては、第1及び第2蒸着領域で塊84a、84bが形成された面とは反対側の面で、各凸部82表面に塊84a、84bを積層した。
【0101】
次に、送り出しローラ72及び巻き取りローラ75の回転方向を逆転させることにより、負極集電体81の送り方向を逆転させ、負極集電体81の両面の塊84a、84bの表面に、塊84c、84dを積層した。以下、同様にして1往復の蒸着を行い、負極集電体81の両方の凸部82表面に、塊84a、84b、84c、84d、84e、84f、84g、84hの積層体である柱状体84を形成した。これにより、負極80を得た。
【0102】
柱状体84は、凸部82の表面に支持され、負極集電体81の外方に延びるように成長していた。柱状体84の立体形状は、ほぼ円柱状であった。柱状体84の平均高さは20μm、平均幅は40μmであった。また、柱状体84に含まれる酸素量を燃焼法により定量したところ、柱状体84の組成はSiO0.25であった。
【0103】
上記で得られた負極80の複数の柱状体84からなる負極活物質層83に、抵抗加熱真空蒸着装置を用いて、不可逆容量分のリチウムを補填した。蒸着装置は、帯状負極80が予め巻き付けられた送り出しローラと、冷却装置が内部に配置されたキャンと、リチウムが補填された負極80を巻き取る巻き取りローラと、負極80を搬送する搬送ローラと、金属リチウムを収容するタンタル製蒸発源と、リチウム蒸気の負極80表面への供給を制限する遮蔽板と、これらを収容する耐圧チャンバと、を備えている。
【0104】
まず、蒸着装置のチャンバ内をアルゴン雰囲気に置換し、真空ポンプ(不図示)によりチャンバ内の真空度を1×10-1Paとした。次に、蒸発源に50Aの電流を通電してリチウム蒸気を発生させると共に、負極80を2cm/分の速度で送り出しローラから送り出し、負極80がキャン表面を通過する際に、負極80の負極活物質層表面に不可逆容量分のリチウムを蒸着させた。リチウムの蒸着は、負極80の両方の負極活物質層83に対して実施した。このようにして、リチウムを補填した負極80を作製した。
【0105】
(比較例1)
下記に示す負極リードを用いる以外は、実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を作製した。
タフピッチ銅箔(商品名:TPC、厚み0.15mm、日立電線(株)製)から、長さ80mm、幅3mmの負極リードを切り出した。この負極リードの最大引張力は180Nであり、負極リードの幅が3mmであることから、この負極リードの短辺幅1mm当たりの引張力は、60N/mmであった。
【0106】
(比較例2)
下記に示す負極リードを用いる以外は、実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を作製した。
ジルコニウム銅合金箔(商品名:HCL−02Z、厚み0.13mm、日立電線(株)製)から、長さ80mm、幅3mmの負極リードを切り出した。この負極リードの最大引張力が175.5Nであり、負極リードの幅が3mmであることから、この負極リードの短辺幅1mm当たりの引張力は、58.5N/mmであった。
【0107】
(比較例3)
下記に示す負極リードを用いる以外は、実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を作製した。
コルソン銅合金箔(商品名:HCL−305、厚み0.1mm、日立電線(株)製)から、長さ80mm、幅3mmの負極リードを切り出した。この負極リードの最大引張力が225Nであり、負極リードの幅が3mmであることから、この負極リードの短辺幅1mm当たりの引張力は、75N/mmであった。
【0108】
(比較例4)
負極の長手方向の捲回側端部に負極リードを接続する以外は、実施例1と同様にして、直径が16mmであり、電極群の中心から半径1.5mmの位置にある最内捲回周に負極リードが接続された捲回型電極群を作製した。この捲回型電極群を用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒形非水電解質二次電池を作製した。
【0109】
(評価)
実施例1〜6及び比較例1〜4の電池について、下記の評価を実施した。
[負極リードの負極からの部分剥離及び破断]
実施例1〜6及び比較例1〜4の電池を各100個ずつ作製した。この作製過程において、負極リードの負極からの部分剥離又は破断の有無を目視により判定した。
まず、負極リードが接続された負極が送給ローラ表面を走行する際における、負極リードの負極からの部分剥離又は破断の有無を判定した。負極リードの部分剥離又は破断が起こらなかった負極の個数を数え、総作製個数(100個)に対する百分率(%)を求めた。結果を表1に示す。
【0110】
次に、負極リードを接続した負極、セパレータ、正極リードを接続した正極及びセパレータを重ね合わせた積層体を捲回し、捲回終了後に、得られた捲回型電極群を解きほぐし、負極リードの負極からの部分剥離又は破断の有無を判定した。負極リードの部分剥離又は破断が起こらなかった負極の個数を数え、総作製個数(100個)に対する百分率(%)を求めた。結果を表1に示す。なお、送給ローラ表面の走行時に負極リードの負極からの部分剥離又は破断が起こった個体については、捲回時の評価は実施しなかった。
【0111】
更に、実施例1〜6及び比較例1〜4の電池を各10個ずつ作製し、下記(a)〜(d)の充放電(25℃)を100サイクル繰り返した後、各電池を分解し、負極リードの負極からの部分剥離又は破断の有無を判定した。負極リードの部分剥離又は破断が起こらなかった負極の個数を数え、総作製個数(10個)に対する百分率(%)を求めた。結果を表1に示す。
【0112】
(a)定電流充電:電流値1C、充電終止電圧4.2V。
(b)定電圧充電:電圧値4.2V、充電終止電流0.05C。
(c)20分間休止
(d)定電流放電:電流値1C、充電終止電圧2.5V。
【0113】
[サイクル特性]
実施例1〜6及び比較例1〜4の各電池について、上記(a)〜(d)の充放電(25℃)を100サイクル繰り返した。1サイクル目の全放電容量に対する100サイクル目の全放電容量の百分率を求め、容量維持率(%)として表1に示す。
【0114】
なお、比較例1〜4の容量維持率については、100サイクルの充放電中に、内部で負極リードの破断が起こらなかった電池は89〜90%の比較的高い値を示し、内部で負極リードの破断が起こった電池は0%であった。
【0115】
【表1】

【0116】
表1から、実施例1〜6の電池は、その作製工程において負極リードの負極からの部分剥離及び破断が殆ど起こらず、工業的規模の生産においても不良品率を顕著に低下させ得ることが明らかである。特に、実施例1〜4及び6の電池は、負極リードの負極からの部分剥離及び破断を抑制する効果が非常に大きいことが明らかである。また、実施例1〜6の電池は、サイクル特性等の電池性能にも優れていることが明らかである。
【0117】
これに対し、比較例1〜3の電池は、負極リードの短辺幅1mm当たりの引張力が本発明に規定の範囲を超えていることから、負極リードの負極からの部分剥離及び破断が多くなったものと考えられる。特に、比較例3の電池は、負極リードの短辺幅1mm当たりの引張力が非常に大きかったことから、送給ローラ表面の走行時、捲回時及び充放電終了時のいずれにおいても、負極リードの負極からの部分剥離及び破断が多く発生した。また、比較例4の電池は、負極リードの接続位置が、電極群の中心から半径3mm以内であったため、送給ローラ表面の走行時には負極リードの部分剥離及び破断は起こらなかったが、捲回時に負極リードの負極からの部分剥離及び破断が多く発生したと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の非水電解質二次電池は、従来の非水電解質二次電池と同様の用途に使用でき、特に、電子機器、電気機器、工作機器、輸送機器、電力貯蔵機器等の主電源又は補助電源として有用である。電子機器としては、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末、携帯用ゲーム機器等が挙げられる。電気機器としては、掃除機、ビデオカメラ等が挙げられる。工作機器としては、電動工具、ロボット等が挙げられる。輸送機器としては、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車等がある。電力貯蔵機器としては、無停電電源等が挙げられる。
【符号の説明】
【0119】
1 非水電解質二次電池
2 捲回型電極群
10、80 負極
11 正極
12 セパレータ
13、14 絶縁板
15 電池ケース
16 封口板
17 負極リード
18 正極リード
19 ガスケット
20 合金層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の正極と帯状の負極との間に帯状のセパレータを介在させた積層体を略円筒型に捲回した捲回型電極群と、非水電解質と、を備えた非水電解質二次電池であって、
前記捲回型電極群の半径は3mm以上であり、
前記負極は、集電体と、前記集電体表面に被着された珪素系活物質からなる活物質層と、銅−珪素合金を含む合金層を介して前記集電体に接続された短冊状のリードと、を備え、
前記リードは前記捲回型電極群の中心から半径3mm以上の捲回周に接続されており、短辺幅1mmあたりの引張力が3N〜50Nである銅箔又は銅合金箔からなることを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記リードの短辺幅が3mm以下である請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記リードがタフピッチ銅箔からなり、前記タフピッチ銅箔は厚み0.05mm〜0.33mmの焼鈍処理が施されたタフピッチ銅箔である請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記リードがタフピッチ銅箔からなり、前記タフピッチ銅箔は厚み0.12mm以下の焼鈍処理が施されていないタフピッチ銅箔である請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
前記リードが厚み0.1mm以下のジルコニウム銅合金箔からなる請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項6】
前記リードが厚み0.06mm以下のコルソン銅合金箔からなる請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項7】
前記集電体と前記リードとの接続が、プラズマ溶接により形成されたものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項8】
前記集電体が、その表面に互いに離隔する複数の凸部を有し、前記活物質層が、前記凸部表面に支持されて、珪素系活物質からなる複数の柱状体を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−84412(P2012−84412A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230063(P2010−230063)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】