説明

音響装置

【課題】 「フ」の字垂下特性の過電流保護回路を備える電源を使用する音響装置であっても、過大出力時に音切れを極力生じないようにする。
【解決手段】 第1電源部Vcc1からパワーアンプ13に供給される電流が第1最大電流Imaxよりマージン電流mだけ低い第2最大電流Ixを超えるとき、過電流検出回路11がパワーFET12をオフしてパワーアンプ13への第1直流電源Vcc1の供給を停止させる。これにより、パワーアンプ13の過大出力時においてもACアダプタ2の過電流保護回路が働くことはなく、信号処理部17は動作を継続していると共に、過大出力を脱した際に速やかにパワーアンプ13に第1直流電源Vcc1が供給されるようになる。このため、パワーアンプ13の過大出力時においても音切れを極力防止することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、過電流保護回路を内蔵する電源部からパワーアンプに電源が供給される音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の音響装置の構成例を示す回路ブロック図である。図3において、音響装置100は電子楽器、デジタルミキサ、エフェクタ等のいずれかとされており、音響装置100にはACアダプタ102から直流電源が端子J101を介して供給されている。ACアダプタ102には、スイッチング電源が内蔵されておりプラグ102aから供給された商用交流を所定の電圧値の直流に変換している。ACアダプタ102から端子J101を介して供給される第1直流電源は、ノイズフィルタ110により雑音成分が除去され、ノイズフィルタ110から出力された第1直流電源Vcc1は電源スイッチSWを介してパワーアンプ111および電源部112に供給されている。電源部112は、第1直流電源Vcc1を電圧の低いデジタル部用の第2直流電源Vcc2とアナログ部用の第3直流電源Vcc3に変換して出力しており、第2直流電源Vcc2は制御部115および音響信号処理部113のデジタル部に供給され、第3直流電源Vcc3は音響信号処理部113のアナログ部およびヘッドホンアンプ114に供給される。
【0003】
音響装置100が電子楽器である場合においては、音響信号処理部113は、楽音を発生する音源処理を行い、発生した楽音信号をパワーアンプ111およびヘッドホンアンプ114に供給する。制御部115は、音色スイッチの操作に応じて、音色データを選択し、鍵盤の押鍵に応じて、音源の発音チャンネルを割り当て、該チャンネルに押鍵の音高と鍵速度に応じた楽音パラメータをセットし、該チャンネルに発音の開始を指示する。そして、音響信号処理部113は、制御部115からの発音開始指示に応じて、該チャンネルにセットされた楽音パラメータに基づく楽音の生成を開始する。さらに、音響信号処理部113は、生成した複数チャンネルの楽音を混合し、混合された楽音信号(音響信号)をアナログ信号に変換してパワーアンプ111およびヘッドホンアンプ114に出力する。パワーアンプ111により電力増幅された楽音信号は端子J103から出力されて、端子J103に接続されているスピーカ103から放音される。また、ヘッドホンアンプ114により増幅された楽音信号は端子J104から出力され、端子J104に接続されるヘッドホンから聴取することができる。なお、音響装置100がデジタルミキサやエフェクタの場合には、端子J102に音響信号が外部から入力される。
【0004】
ACアダプタ102には、出力の短絡や過負荷などの異常状態となった際に、ACアダプタ102が発熱して壊れたり、負荷に過電流が流れて壊れることを防止する目的で過電流保護回路が内蔵されている。一般に、過電流保護回路の方式としては、シャットダウン方式(動作停止型)と垂下方式(自動復帰垂下型)とがある。そして、垂下方式の過電流保護回路には、電源の出力電流に対する出力電圧特性とされる垂下特性によって、過電流検出時に出力電流が変化しないで、出力電圧が0まで低下する垂直垂下特性(定電流垂下特性)を示すタイプと、出力電流の増加に従って出力電圧がゆるやかに低下する「へ」の字垂下特性を示すタイプと、出力電流の減少に伴って出力電圧が低下する「フ」の字垂下特性を示すものとがある。この「へ」の字垂下特性の過電流保護回路においては、出力電流の増加に従って出力電圧がゆるやかに低下することから、過電流が流れた際にACアダプタ102の回路や負荷が発熱して破損に至る恐れがある。これを防止するために、一般的には過電流保護回路における過電流検出時の垂下特性を「フ」の字垂下特性にすることが行われていた。ここで、「フ」の字垂下特性の出力電流−出力電圧特性の一例を図4に示す。図4において、出力電流が最大電流Imaxを超えると、出力電流−出力電圧特性は「フ」の字状に垂下していくようになるため、過電流が流れた際にACアダプタ102の回路や負荷が発熱して破損に至ることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−160241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の音響装置100に、過電流保護回路を備えるACアダプタ102から電源が供給される場合に、パワーアンプ111において過大出力が生じると、出力電流が最大電流Imaxを超えることから過電流保護回路が働くようになる。この場合、過電流保護回路は一般的に「フ」の字垂下特性のタイプとされて、第1直流電源Vcc1の供給が停止されることから、パワーアンプ111および電源部112への電力供給が急激に低下する。これにより、音響装置100の各部が動作を継続できなくなり、音響装置100から出力される音響信号が途切れてしまうようになる。そして、過電流保護回路による電力供給の低下は、過電流による温度上昇から電源出力段を保護するために行われていることから、ACアダプタ102からの第1直流電源Vcc1の電力供給が復帰するには上昇した温度が許容される温度に低下するまでに必要な10〜数十秒の長時間がかかるようになる。また、第1直流電源Vcc1の電力供給が復帰して電源部112から供給される第2直流電源Vcc2および第3直流電源Vcc3が復帰してから、制御部115および音響信号処理部113が正常に動作するには、さらに時間がかかるようになる。このため、ACアダプタ102における過電流保護回路が働くと、長時間にわたり音響装置100から出力される音響信号が途切れてしまうという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、「フ」の字垂下特性の過電流保護回路を備える電源を使用する音響装置であっても、過大出力時に音切れを極力生じないような音響装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の音響装置は、供給された交流電源を第1直流電源に変換して出力すると共に、該第1直流電源の出力電流が第1最大電流を超えるとき、該第1直流電源の電流−電圧特性をフの字垂下特性で低下させる過電流保護回路を内蔵する第1電源部と、第1直流電源が入力され、該第1直流電源より低い電圧の第2直流電源に変換して出力する第2電源部と、第2直流電源により動作し、所定の信号処理を行い、処理された音響信号を出力する信号処理部と、第1直流電源により動作し、信号処理部から供給される音響信号を電力増幅して出力するパワーアンプと、第1電源部とパワーアンプとの間に挿入され、該第1電源部から該パワーアンプに供給される電流が第1最大電流より所定のマージン電流分だけ低い第2最大電流を超えるとき、該第1電源部から該パワーアンプへの第1直流電源の供給を停止させる電流制限部を備えることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1電源部からパワーアンプに供給される電流が第1最大電流より所定のマージン電流分だけ低い第2最大電流を超えるとき、第1電源部からパワーアンプへの第1直流電源の供給を停止させるようにしたことから、パワーアンプの過大出力時においても第1電源部の過電流保護回路が働くことはなく、信号処理部は動作を継続していると共に、過大出力を脱した際に速やかに電流制限部が復帰してパワーアンプに第1直流電源を供給するようになる。このため、パワーアンプの過大出力時においても音切れを極力防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例にかかる音響装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図2】本発明にかかる音響装置に電源を供給するACアダプタの出力電流−出力電圧特性を示す図である。
【図3】従来の電源部を備える音響装置の構成例を示す回路ブロック図である。
【図4】従来の音響装置に電源を供給するACアダプタの出力電流−出力電圧特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例にかかる音響装置1の構成を示す回路ブロック図を図1に示す。
図1に示す音響装置1は電子楽器、デジタルミキサ、エフェクタ等のいずれかとされており、音響装置1にはACアダプタ2から直流電源が端子J1を介して供給されている。ACアダプタ2は第1電源部とされ、スイッチング電源が内蔵されておりプラグ2aから供給された商用交流を所定の直流電圧値、例えば約16Vの第1直流電源に変換して出力している。端子J1を介して供給されたACアダプタ2からの第1直流電源は、ノイズフィルタ10により雑音成分が除去され、ノイズフィルタ10から出力された第1直流電源Vcc1は電源スイッチSWを介して第2電源部とされるデジタル部用SW電源14および定電圧電源15に供給されている。また、電源スイッチSWを介して供給される第1直流電源Vcc1は、抵抗R、パワーFET(電界効果トランジスタ)12および過電流検出回路11からなる電流制限部を介してパワーアンプ13に供給されている。デジタル部用SW電源14は、スイッチング電源が内蔵されており第1直流電源Vcc1を電圧の低い例えば約5Vの第2直流電源Vcc2に変換して出力している。さらに、定電圧電源15は第1直流電源Vcc1を電圧の低い例えば約12Vの第3直流電源Vcc3に変換して出力している。なお、ACアダプタ2には過電流保護回路が内蔵されており、ACアダプタ2の出力電流−出力電圧特性は、図2に示す「フ」の字垂下特性となっている。すなわち、出力電流が第1最大電流Imaxを超えると、出力電流−出力電圧特性は「フ」の字状に垂下していくようになるため、過電流が流れた際にACアダプタ2の回路や負荷が発熱して破損に至ることが防止されている。
【0012】
音響装置1が電子楽器である場合においては、信号処理部17は、楽音を発生する音源処理を行う。この場合、楽音制御部とされるマイコン20は、楽音発生プログラム等の動作ソフトウェアを実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUのワークエリアや各種データの記憶エリアが設定されるRAM(Random Access Memory)と、CPUが実行する楽音発生プログラム等の動作ソフトウェアが少なくとも格納されているROM(Read Only Memory)を備えている。操作子22は、鍵盤(演奏操作子)、スライダ、ノブ、スイッチ等とされ、マイコン20は操作子22の内の音色スイッチの操作に応じて、音色データを選択して信号処理部17にセットする。また、操作子22の内の鍵盤の押鍵に応じて、信号処理部17における音源の発音chを割り当て、該chに押鍵の音高と鍵速度に応じた楽音パラメータをセットし、該chに発音の開始を指示する。信号処理部17は、マイコン20からの発音開始指示に応じて、発音chにセットされた楽音パラメータに基づく楽音の生成を開始し、生成された複数chの楽音を混合して、混合された楽音信号(音響信号)をDAC(デジタル−アナログ変換器)18に出力する。液晶等の表示器23は、操作子22により各種楽音パラメータ等を設定する際に各種設定の画面等を表示している。各種設定の画面では、GUI(Graphical User Interface)を利用してユーザが各種設定を行える画面とされる。
【0013】
また、音響装置1がデジタルミキサである場合においては、信号処理部17は、複数の入力chの処理と、複数のバスの処理と、複数の出力chの処理を行う。この場合、信号処理部17にはADC(アナログ−デジタル変換器)16によりデジタルデータに変換された複数の入力chの音響信号が入力され、設定されたパラメータに基づいて、複数の入力chの処理により、入力された複数の音響信号の特性をそれぞれ制御し、複数のバスの処理により、それぞれ複数の入力chからの信号を混合し、複数の出力chの処理により、それぞれ対応するバスからの信号の特性を制御してDAC18に出力する。なお、端子J2に複数の入力系列の音響信号が入力され、複数の入力系列の音響信号はADC16に入力されてデジタルデータに変換される。操作子22は、複数の各chストリップのスライダ、ノブ、スイッチと、該複数のchストリップに入力chないし出力chを割り当てるレイヤ操作子と、表示器23の表示を切り替えたり、表示器23に表示された画面に関する入力を行う画面操作子などとされる。ミキシング制御部とされるマイコン20は、ミキシングプログラム等の動作ソフトウェアを実行するCPUと、CPUのワークエリアや各種データの記憶エリアが設定されるRAMと、CPUが実行するミキシングプログラム等の動作ソフトウェアが少なくとも格納されているROMを備えており、マイコン20は、操作子22の操作に応じて、複数の各入力chのパラメータ、複数の各出力chのパラメータ等を設定している。表示器23は液晶等とされ、操作子22により各種パラメータ等をGUIを利用して設定する設定画面等を表示している。
【0014】
さらに、音響装置1がエフェクタである場合においては、信号処理部17は、音響信号に効果を付与する効果付与処理を行う。この場合、信号処理部17は、ADC16から出力される音響信号が入力され、入力された音響信号に対して選択された効果付与処理を施し、処理された音響信号をDAC18に出力する。なお、端子J2に効果が付与される音響信号が入力され、この音響信号はADC16に入力されてデジタルデータの音響信号に変換される。操作子22は、ホイールやペダル、スイッチ等とされ、効果のパラメータの設定や効果を選択する操作子や、表示器23に表示された画面に関する入力を行う画面操作子などとされる。表示器23は液晶等とされ、操作子22により効果の選択や効果のパラメータ等をGUIを利用して設定する設定画面等を表示している。マイコン20は、CPUと、CPUのワークエリアや各種データの記憶エリアが設定されるRAMと、CPUが実行する動作ソフトウェアが少なくとも格納されているROMを備えており、マイコン20は操作子22の操作に応じて、複数の効果付与処理から実行する効果付与処理を選択したり、選択した効果付与処理のパラメータをセットしたりする。
【0015】
音響装置1が電子楽器、デジタルミキサ、エフェクタのいずれとされていても、DAC18に出力された音響信号はアナログの音響信号に変換され、パワーアンプ13およびヘッドホンアンプ19に供給される。そして、パワーアンプ13により電力増幅された音響信号は端子J3に接続されているスピーカ3から放音され、ヘッドホンアンプ19により増幅された音響信号は端子J4から出力される。端子J4にはヘッドホンを接続することができる。また、デジタルI/O21はマイコン20にデジタルデータを入力したり、マイコン20からデジタルデータを出力するI/Oとされており、I/Oポートとされる端子J5に接続された外部のデジタル機器とデジタルデータの授受を行うことができる。
なお、デジタル部用SW電源14から出力される約5Vの第2直流電源Vcc2は、ADC16、信号処理部17、DAC18、マイコン20、デジタルI/O、操作子22、表示器23のデジタル部に供給されている。また、定電圧電源15から出力される第1直流電源Vcc1を電圧の低い例えば約12Vの第3直流電源Vcc3はADC16、DAC18、ヘッドホンアンプ19のアナログ部に供給されている。
【0016】
ここで、音響装置1に設けられている抵抗R、パワーFET12および過電流検出回路11からなる電流制限部について説明すると、過電流検出回路11は、抵抗Rに電流が流れたことによりその両端間に生じる電圧降下VRを所定の基準電圧VSと比較して、電圧降下VRが基準電圧VSを超えるまではパワーFET12をオンさせ、電圧降下VRが基準電圧VSを超えたことを検出した際にパワーFET12を所定時間だけオフさせる。抵抗Rの電圧降下VRは、抵抗Rの抵抗値RR(例えば、約0.1Ω)と抵抗Rに流れる電流IRとを乗算(VR=IR×RR)することにより決定され、電圧降下VRが基準電圧VSと等しくなる際の電流を第2最大電流Ixとする。第2最大電流Ixを図2に示すが第2最大電流Ixは、ACアダプタ2に内蔵されている過電流保護回路が働く際の第1最大電流Imaxよりマージン電流mだけ小さい電流値とされている。マージン電流mは、パワーアンプ13自体の特性やパワーアンプ13の負荷のばらつきに基づいて決められる。また、マージン電流mは、第1直流電源Vcc1からデジタル部用SW電源14および定電圧電源15に供給される電流の和より大きく設定されている。
【0017】
次に、パワーアンプ13の出力が過大出力になった際の動作を説明すると、パワーアンプ13の出力が過大出力になると、パワーアンプ13には第2最大電流Ixを超える電流が供給され、過電流検出回路11は電圧降下VRが基準電圧VSを超えたことを検出して、パワーFET12を所定時間オフさせる。これにより、パワーアンプ13には第1直流電源Vcc1の供給が停止されるが、図1に示すようにパワーアンプ13の電源端子とアース間には大容量のコンデンサCが接続されているため、コンデンサCから電源が供給されるようになりパワーアンプ13から出力される音響信号はすぐには停止されず、その出力は所定時間維持される。そして、過電流検出回路11がパワーFET12をオフさせている所定時間は数十ミリ秒ないし数百ミリ秒の短時間とされていると共に、パワーアンプ13の出力が過大出力になるのは入力される音響信号のピークの瞬時値が過大になる場合とされることから、パワーアンプ13が過大出力となるのは極めて短い時間となる。これにより、音響信号のピークの瞬時値が過大状態を越えると、速やかにパワーFET12をオンするよう過電流検出回路11が動作して、パワーアンプ13に第1直流電源Vcc1が供給されるようになる。このため、パワーアンプ13から出力される音響信号は、パワーアンプ13の出力が過大出力になった場合でも極力途切れることなく出力されるようになる。
なお、第2最大電流Ixの大きさは、第1直流電源Vcc1からデジタル部用SW電源14および定電圧電源15に供給される電流の和の最大値より少なくとも大きなマージン電流mが設定された値とされているので、パワーアンプ13に流れる電流が第2最大電流Ixを越える時においても第1直流電源Vcc1から供給される電流の総和は第1最大電流Imaxを超えることはないようになる。従って、パワーアンプ13の出力が過大出力になる時においてもACアダプタ2が供給する電流は第1最大電流Imaxを超えないことから、ACアダプタ2の過電流保護回路が動作することはない。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上説明した本発明にかかる音響装置1において、デジタル部用SW電源14からパワーアンプ13を除く音響装置1の各部に直流電源が供給されたり、定電圧電源15と、定電圧電源15に後続させたデジタル部用SW電源14からパワーアンプを除く音響装置1の各部に直流電源が供給される場合は、デジタル部用SW電源14または定電圧電源15のいずれか1つにACアダプタ2から直流電源が供給される。また、パワーアンプ13およびヘッドホンアンプ19をデジタルアンプとすることができ、この場合は、DAC18を不要とすることができる。さらに、端子J2にデジタル信号が供給される場合は、ADC16を不要とすることができる。
さらにまた、以上説明した本発明にかかる音響装置は、電子楽器、デジタルミキサ、エフェクタのいずれかとしたが、これに限ることはなくレコーダ、ラジオ等としたり、複数の音響装置の機能を一体にした音響装置であってもよい。
さらにまた、以上説明した実施例では、過大出力時にパワーアンプ全体への電力供給をオフしていたが、過大出力時にパワーアンプの出力段へ供給する電力のみオフするようにしてもよい。さらに、スピーカを音響装置内に内蔵させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 音響装置、2 ACアダプタ、2a プラグ、3 スピーカ、10 ノイズフィルタ、11 過電流検出回路、12 パワーFET、13 パワーアンプ、14 デジタル部用SW電源、15 定電圧電源、16 ADC、17 信号処理部、18 DAC、19 ヘッドホンアンプ、20 マイコン、21 デジタルI/O、22 操作子、23 表示器、100 音響装置、102 アダプタ、102a プラグ、103 スピーカ、110 ノイズフィルタ、111 パワーアンプ、112 電源部、113 音響信号処理部、114 ヘッドホンアンプ、115 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された交流電源を第1直流電源に変換して出力すると共に、該第1直流電源の出力電流が第1最大電流を超えるとき、該第1直流電源の電流−電圧特性をフの字垂下特性で低下させる過電流保護回路を内蔵する第1電源部と、
前記第1直流電源が入力され、該第1直流電源より低い電圧の第2直流電源に変換して出力する第2電源部と、
前記第2直流電源により動作し、所定の信号処理を行い、処理された音響信号を出力する信号処理部と、
前記第1直流電源により動作し、前記信号処理部から供給される音響信号を電力増幅して出力するパワーアンプと、
前記第1電源部と前記パワーアンプとの間に挿入され、該第1電源部から該パワーアンプに供給される電流が前記第1最大電流より所定のマージン電流分だけ低い第2最大電流を超えるとき、該第1電源部から該パワーアンプへの前記第1直流電源の供給を停止させる電流制限部と、
を備えることを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記マージン電流は、パワーアンプ自体の特性やパワーアンプの負荷のばらつきに基づいた値とされていることを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項3】
前記マージン電流は、前記第2電源部に流入する電流の最大値である第3最大電流より大きな電流であることを特徴とする請求項1記載の音響装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−206937(P2010−206937A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49480(P2009−49480)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】