説明

顕微鏡のオートフォーカス装置

【課題】傾いた物体を高速で移動させても合焦させることが可能な顕微鏡のオートフォーカス装置を提供する。
【解決手段】常には、コントラスト方式のオートフォーカス制御信号でフォーカス用モータ11の作動が制御されるように構成されており、コントラスト方式による合焦動作を所定回数だけ行う毎に、コントラスト方式の合焦位置と補助光方式の合焦位置とが一致するようにオフセットレンズ37のオフセット量を調節し、第2のフォーカス用CCDセンサ49で得られた2つの光束のコントラスト信号が所定の閾値よりも小さい場合には、補助光方式のオートフォーカス制御信号でフォーカス用モータ11の作動が制御されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡のオートフォーカス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物標本において、カバーガラスの下の細胞等の物体にオートフォーカスでピントを合わせるため、いわゆるコントラスト方式(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)により、物体自身の像のコントラストを検出してそれが最大になる位置にピントを合わせる方法が知られている。ここで、一般的な生物標本の構成図を図8(a)に示す。図8(a)において、標本15は、細胞等の薄くスライスした物体17をスライドガラス18に載せ、さらに封入剤17aを入れてその上にカバーガラス16を被せたものである。
【0003】
カバーガラス16、物体17、封入剤17a、スライドガラス18の相対位置はさまざまであり、カバーガラス16の表面16aはスライドガラス18の表面に対して傾いているのが普通である。そこで、物体17上の点P1においてコントラスト方式のオートフォーカスでピントを合わせると、ピントの合う位置(合焦位置)は点P1aになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61−060413号公報
【特許文献2】特開平8−304709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、点P2を見ようとして標本15が載っているステージをX方向またはY方向に(ステージ上の位置P1からP2へ)移動させると、ステージの移動中は検出される像が流れる為、像のコントラストは非常に小さくなってしまう。そのため、コントラスト方式のオートフォーカス制御では、像のコントラストを検出できず、移動終了後の点P2においてピントの合う位置(合焦位置)は、移動前の点P1aと同じ高さの点P2aに留まり、物体17が位置する点P2bから外れてしまい像がボケてしまう。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、傾いた物体を高速で移動させても合焦させることが可能な顕微鏡のオートフォーカス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的達成のため、本発明に係るオートフォーカス装置は、対象物を観察するための対物レンズを含む観察光学系を備えた顕微鏡のオートフォーカス装置であって、不可視光線を発するフォーカス用光源と、前記フォーカス用光源からの前記不可視光線に基づく光像を前記対物レンズを通して前記対象物上に結像させるフォーカス用照明光学系と、前記光像が結像した前記対象物からの反射光を前記対物レンズを通して受けて前記光像の反射像を結像させる第1のフォーカス用結像光学系と、前記第1のフォーカス用結像光学系により結像した前記光像の反射像を検出する第1の光電変換器と、前記第1の光電変換器で得られた前記光像の反射像の検出信号に基づいて、フォーカスアクチュエータの作動を制御するための第1の制御信号を出力する第1の信号処理部と、凸レンズおよび凹レンズを有し、前記凸レンズと前記凹レンズとの間の間隔を変化させることで、前記観察光学系の合焦位置と前記第1の照明光学系による前記光像の結像位置との間のオフセット量を調節する調節部と、前記対象物からの光を前記対物レンズを通して結像させる第2のフォーカス用結像光学系と、第2のフォーカス用結像光学系により結像された前記対象物の光像のコントラストを検出する第2の光電変換器と、前記第2の光電変換器で得られた前記コントラストの検出信号に基づいて、前記フォーカスアクチュエータの作動を制御するための第2の制御信号を出力する第2の信号処理部とを備え、前記第2の制御信号に基づいて前記フォーカスアクチュエータの作動が制御されるように構成されており、前記第2の信号処理部が所定回数だけ前記第2の制御信号を出力する毎に、前記第2の制御信号に基づく前記フォーカスアクチュエータの作動によって得られる前記観察光学系の合焦位置が前記第1の制御信号に基づく前記フォーカスアクチュエータの作動によって得られる前記合焦位置と一致するように前記調節部が前記オフセット量を調節し、前記第2の光電変換器により検出された前記コントラストが所定値よりも小さい場合には、前記第1の制御信号に基づいて前記フォーカスアクチュエータの作動が制御されるようになっている。
【0008】
また、上述の発明において、前記第2のフォーカス用結像光学系は、前記対象物からの光を前記対物レンズを通して受けて光路差を有する2つの光束に分解し、前記2つの光束のうち一方を第1結像位置に結像させるとともに、前記2つの光束のうち他方を第2結像位置に結像させ、前記第2の光電変換器は、前記第1結像位置と前記第2結像位置との間に跨って配設されて前記2つの光束における前記コントラストを検出することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、傾いた物体を高速で移動させても合焦させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るオートフォーカス装置を備えた顕微鏡の概略構成図である。
【図2】オートフォーカス制御のブロック図である。
【図3】CCDセンサ上のスリット像の信号状態を示す図である。
【図4】積分器の出力状態を示す図である。
【図5】オフセットレンズを移動させたときの焦点検出信号の状態を示す図である。
【図6】オフセットレンズによりオートフォーカス用照明光の焦点位置をずらしたときの状態を示す図であり、(a)は標本側に結像している状態であり、(b)はその反射像の状態である。
【図7】オフセットレンズを移動させた時のスリット像の合焦状態を示す図であり、(a)はオフセット量0の状態であり、(b)はオフセットレンズを移動させたときの状態であり、(c)は焦点位置が調節された状態である。
【図8】(a)は標本の拡大図であり、(b)はサーチ動作の模式図である。
【図9】合焦動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本実施形態のオートフォーカス装置を備えた顕微鏡の概略図を図1に示す。本実施形態の顕微鏡1は、標本15を支持するステージ10と、標本15を観察するための観察光学系20と、フォーカス用照明光学系30と、第1および第2のフォーカス用結像光学系40,45と、CPU50とを主体に構成される。
【0012】
標本15は、前述したように、細胞等の薄くスライスした物体17をスライドガラス18に載せ、さらに封入剤17aを入れてその上にカバーガラス16を被せたものである(図8(a)も参照)。ステージ10は、水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)へ移動可能に標本15を支持する。なお、ステージ10は、フォーカス用モータ11が回転すると、その回転角に応じて光軸に沿って上下移動する。そうすると、ステージ10に載置された標本15もカバーガラス16およびスライドガラス18とともに上下移動し、標本15と第1対物レンズ21との位置関係が調節されるようになっている。また、ステージ10は、図示しないX軸用モータおよびY軸用モータを用いて、X方向またはY方向へ水平移動する。
【0013】
観察光学系20は、物体側から順に、第1対物レンズ21と、第1のハーフミラー22と、赤外線カットフィルタ23と、第2のハーフミラー24と、接眼用第2対物レンズ25とを有して構成される。さらに、接眼用第2対物レンズ25の先には、図示しない接眼レンズが配設される。また、図示しないが、観察光学系20には、ステージ10上に載置された標本15を照明する照明装置が設けられている。この照明装置は、透過型または落射型であり、透過型の照明装置の場合はステージ10の下方に配置され、落射型の照明装置の場合はステージ10の上方に配置される。
【0014】
照明装置から射出された可視光(照明光)はステージ10上の標本15を透過もしくは反射して観察光となり、第1対物レンズ21を経て第1のハーフミラー22を透過し、赤外光カットフィルタ23で赤外光が除去されて、第2のハーフミラー24に入射する。第1および第2のハーフミラー22,24はそれぞれ、アフォーカル系に配設され、観察光の一部を反射させるとともに、他の一部を透過させるものである。そこで、第2のハーフミラー24に入射した観察光の一部は、当該第2のハーフミラー24で反射して、接眼用第2対物レンズ25および接眼レンズ(図示せず)により標本15の観察像が結像され、観察者による標本15の観察に供される。
【0015】
一方、第2のハーフミラー24に入射した他の一部の観察光は、当該第2のハーフミラー24を透過し、カメラ用第2対物レンズ26およびカメラ用リレーレンズ27により、観察用CCDセンサ28の撮像面上に標本15の観察像が結像される。観察用CCDセンサ28は、撮像面上に結像された標本15の観察像を撮像して画像信号を観察用信号処理部51へ出力する。観察用信号処理部51は、観察用CCDセンサ28から入力された画像信号に基づいて標本15のデジタル画像を生成し、標本15の画像が図示しない画像表示装置に表示される。
【0016】
フォーカス用照明光学系30および第1のフォーカス用結像光学系40は、いわゆる補助光方式のオートフォーカスにより合焦動作を行うための光学系である。フォーカス用照明光学系30は、光源側から順に、不可視光である赤外光(近赤外光)を発するLED光源31と、第1のコレクタレンズ32と、スリット板33と、第2のコレクタレンズ34と、瞳制限マスク35と、第3のハーフミラー36と、オフセットレンズ37と、可視光カットフィルタ38と、第4のハーフミラー39とを有して構成される。ただし、前記光源31は半導体レーザーでもよい。
【0017】
スリット板33は、標本面(カバーガラス16の裏面)16bと共役な位置に配置される。スリット板33の中央部には、長方形の細長いスリット開口(図示せず)が形成されており、光軸を中心にスリット開口の長手方向が図1における紙面と垂直な方向へ延びるように配設される。瞳制限マスク35は、瞳の半分を遮光するものであり、光軸を中心にスリット状に延びる赤外光の長手方向の中心線に沿って、瞳の半分が遮光されるように配設される。第3のハーフミラー36は、フォーカス用照明光学系30の光軸と第1のフォーカス用結像光学系40の光軸が交差する位置(アフォーカル系)に配置され、赤外光の一部を反射させるとともに、他の一部を透過させる。第4のハーフミラー39は、フォーカス用照明光学系30の光軸と第2のフォーカス用結像光学系45の光軸が交差する位置(アフォーカル系)に配置され、赤外光もしくは可視光の一部を反射させるとともに、他の一部を透過させる。
【0018】
LED光源31から射出された赤外光(近赤外光)は、第1のコレクタレンズ32で集光されてスリット板33のスリット開口(図示せず)を通り、第2のコレクタレンズ34で平行光に変換されて、瞳制限マスク35に達する。瞳制限マスク35を通過した赤外光は、スリット状の赤外光Laとなって第3のハーフミラー36を透過する。第3のハーフミラー36を透過した赤外光Laは、オフセットレンズ37を透過し、可視光カットフィルタ38で赤外光Laに含まれる可視光成分が除去された後、第4のハーフミラー39および第1のハーフミラー22で順に反射する、第1のハーフミラー22で反射した赤外光Lbは、観察光学系20の第1対物レンズ21によって標本15に集光されて照射される。なお、オフセットレンズ37については後述する。
【0019】
このように、フォーカス用照明光学系30では、LED光源31から射出された赤外光をスリット板33のスリット開口(図示せず)を通してスリット状にしてスリット開口の像(以下、スリット像と称する)を標本15に照射している。これは、スリット板33を無くし、上述の方法でLED光源31の像を標本15に照射してオートフォーカス制御をすることも可能である。なお、第1のコレクタレンズ32は無くても実現可能である。
【0020】
ところで、ステージ10上の標本15は、カバーガラス16によって覆われているため、第1対物レンズ21により結像したスリット像(スリット状の赤外光)は、カバーガラス16の表面16aやカバーガラス16と標本15との境界面(標本面16b)で反射する。カバーガラス16の表面16aや標本面16b(標本15の細胞面)で反射した赤外光は第1対物レンズ21により平行光に変換され、第1対物レンズ21で平行光に変換された赤外光Lcは、第1のハーフミラー22で図1の右方に反射する。第1のハーフミラー22で反射した赤外光Ldは、さらに第4のハーフミラー39で反射し、可視光カットフィルタ38およびオフセットレンズ37を通って一部が第3のハーフミラー36で反射する。第3のハーフミラー36で反射した赤外光Leは、第1のフォーカス用結像光学系40に達する。
【0021】
第1のフォーカス用結像光学系40は、上述のように、フォーカス用照明光学系30によりステージ10上の標本15に照射されて反射するスリット状の赤外光を受光するものであり、物体側から順に、補助光方式用第2対物レンズ41と、第1のフォーカス用CCDセンサ42とを有して構成される。第3のハーフミラー36で反射した赤外光Leは、補助光方式用第2対物レンズ41により集光され、第1のフォーカス用CCDセンサ42の撮像面上にスリット像が結像される。第1のフォーカス用CCDセンサ42は、撮像面上に結像されたスリット像を検出して検出信号を第1のフォーカス用信号処理部52へ出力する。なお、第1のフォーカス用CCDセンサ42は、複数の受光部が1次元に配列されたラインセンサ、または、2次元に配列されたエリアセンサで構成することが可能である。
【0022】
次に、オフセットレンズ37について説明する。オフセットレンズ37は、図1に示すように、第3のハーフミラー36と可視光カットフィルタ38との間、すなわち、フォーカス用照明光学系30と第1のフォーカス用結像光学系40の共通光路上に位置し、アフォーカル系に配設されている。このようなオフセットレンズ37は、物体側に固定して配置された凸レンズ37aと、光源側に光軸に沿って移動可能に配置された凹レンズ37bとを有して構成される。なお、凸レンズ37aを移動可能にして、凹レンズ37bを固定するようにしてもよく、一方のレンズを光軸上に固定して配置し、他方のレンズを光軸に沿って移動可能に配置して構成することができる。さらに、凸レンズ37aおよび凹レンズ37bを両方とも光軸に沿って移動可能なように構成しても良い。
【0023】
また、オフセットレンズ37には、オフセットレンズ駆動部55が取り付けられている。このオフセットレンズ駆動部55は、詳細な図示を省略するが、オフセットレンズ37を光軸に沿って前後に移動可能とするオフセットレンズ用モータと、倍率の異なる複数のオフセットレンズ37を交換可能とするオフセットレンズ用電動ターレットから構成されている。
【0024】
このようなオフセットレンズ37は、図7に示すように、第1対物レンズ21により標本15に集光照射されるスリット像(オートフォーカス用照明光)の結像位置を光軸に沿って焦点方向にずらし、同時に、標本15で反射して第1のフォーカス用CCDセンサ42の撮像面上に再結像するスリット開口の像の結像位置を光軸に沿って焦点方向にずらす働きをする。なお、図7においては、説明に必要な構成部品のみを図示している。また、図7においてオートフォーカス用照明光を実線で示し、観察光を破線で示している。
【0025】
第2のフォーカス用結像光学系45は、いわゆるコントラスト方式のオートフォーカスにより合焦動作を行うための光学系であり、図1に示すように、物体側から順に、コントラスト方式用第2対物レンズ46と、第5のハーフミラー47およびミラー48と、第2のフォーカス用CCDセンサ49とを有して構成される。ところで、第1のハーフミラー22で反射した観察光は、コントラスト方式用第2対物レンズ46により結像されるが、コントラスト方式用第2対物レンズ46を通った観察光は、第5のハーフミラー47により光路の異なる2つの光束に分解される。そして、第5のハーフミラー47を透過した観察光は、第2のフォーカス用CCDセンサ49の後方に位置する第1結像位置に結像し、第5のハーフミラー47で反射した観察光は、さらにミラー48で反射して第2のフォーカス用CCDセンサ49の前方に位置する第2結像位置に結像する。
【0026】
このように、第2のフォーカス用CCDセンサ49は、第1結像位置と第2結像位置との間に跨って配設されているため、光路差を有する2つの光束に分解された観察光がそれぞれ第2のフォーカス用CCDセンサ49の撮像面上にボケた状態で結像する。そして、第2のフォーカス用CCDセンサ49は、撮像面上にボケた状態で結像された2つの光束(観察光)による像を検出して検出信号を第2のフォーカス用信号処理部53へ出力する。
【0027】
ここで、顕微鏡1の制御系について説明する。CPU50には、観察用の画像を生成する観察用信号処理部51と、オートフォーカス用の制御信号を出力するための第1および第2のフォーカス用信号処理部52,53と、フォーカス用モータ11等の作動を制御するステージモータドライバ54と、オフセットレンズ37を駆動するオフセットレンズ駆動部55と、メモリ56と、入力部57とが電気的に接続される。
【0028】
入力部57には、図示しないが、キーボード、対物レンズ切り替えスイッチ、オートフォーカス制御開始スイッチ、合焦位置記憶スイッチ、アップ/ダウン微調整スイッチ、および前述のオフセットレンズ37を操作するスイッチ等が設けられている。キーボードは、第1対物レンズ21の情報を入力する際に使用される。なお、キーボードから入力された第1対物レンズ21に関するデータは、メモリ56に記憶される。また、図3におけるt1の値は、合焦位置記憶スイッチによって倍率の異なる複数の第1対物レンズ21ごとに取得され、合焦位置情報としてメモリ56に記憶される。
【0029】
対物レンズ切り替えスイッチは、顕微鏡1(観察光学系20)の観察光路上に位置決めされた第1対物レンズ21を別の第1対物レンズ21に切り替えるときに使用される。CPU50は、対物レンズ切り替えスイッチから入力された切り替え信号に基づいて、電動レボルバ駆動部(図示せず)を制御し、切り替え信号によって指定されたレボルバ穴を顕微鏡1(観察光学系20)の観察光路上に位置決めする。CPU50は、位置決めされた第1対物レンズ21の情報をメモリ56から呼び出し、オートフォーカス制御のパラメータとして使用する。オートフォーカス制御開始スイッチは、顕微鏡1におけるオートフォーカス制御の開始を指示する際に使用される。
【0030】
また、オフセットレンズ37を操作するスイッチには、オフセットレンズ37を光軸に沿って移動させる焦点位置調節操作スイッチと、オフセットレンズ37を別のオフセットレンズ37に切り替えるオフセットレンズ切り替えスイッチがある。観察者は、焦点位置調節操作スイッチを操作すると、オフセットレンズ37を光軸に沿って前後に移動させることができ、また、オフセットレンズ切り替えスイッチにより、オフセットレンズ用電動ターレットに装着された複数のオフセットレンズ37から任意のオフセットレンズ37を選択して切り替えることができる。
【0031】
以上のように構成された顕微鏡1における補助光方式のオートフォーカス制御について、以下に説明する。補助光方式のオートフォーカス制御を行う際、フォーカス用照明光学系30によりスリット状の赤外光(スリット像)を標本15に照射し、第1のフォーカス用結像光学系40により標本15で反射したスリット状の赤外光(スリット像)を検出する。第1のフォーカス用CCDセンサ42で検出された赤外光によるスリット像の検出信号は、第1のフォーカス用信号処理部52に出力され、第1のフォーカス用信号処理部52およびCPU50により所定の信号処理が行われ、第1対物レンズ21に対する標本の焦点情報が検出される。この焦点情報に関する信号は、オートフォーカス用の制御信号としてCPU50からステージモータドライバ54およびフォーカス用モータ11へ送られ、ステージ10の位置を光軸に沿って上下移動させることにより第1対物レンズ21の焦点に標本15を位置決めする。なお、第1のフォーカス用CCDセンサ42の撮像面上でスリット像が形成される位置は、ステージ10の上下移動によって標本15やカバーガラス16の位置が変わると、それに合わせてスリット像の短手方向に移動する。
【0032】
このような第1のフォーカス用CCDセンサ42で検出されたスリット像から、ステージ10の上下移動を制御するオートフォーカス用の制御信号を求める方法について、以下に説明する。補助光方式のオートフォーカス制御のブロック図を図2に示し、第1のフォーカス用CCDセンサ42で検出されるスリット像の信号状態を図3に示す。ここで、第1のフォーカス用CCDセンサ42の撮像面上に結像するスリット像の位置として、第1のフォーカス用CCDセンサ42の手前側で結像する状態をFとし、後ろ側で結像する状態をRおよびPとし、第1のフォーカス用CCDセンサ42の撮像面上に結像する状態をJとしている。また、第1のフォーカス用CCDセンサ42は複数の受光部から構成されるが、その出力は撮像面に沿って順に走査される。ここでは、説明を簡単にするためにラインセンサを想定し、端から順に走査をすることとし、走査を開始する位置(第1のフォーカス用CCDセンサ42の一端)をt=0とし、任意の中間点をt=tとし、走査を終了する位置(第1のフォーカス用CCDセンサ42の他端)をt=tとして説明する。
【0033】
第1のフォーカス用CCDセンサ42から出力されたスリット像の検出信号を走査した結果は、第1のフォーカス用信号処理部52の積分器64に入力される。積分器64の出力信号Sを図4に示す。積分器64の出力信号Sは、図4におけるtの位置で第1のサンプルホールド66にてサンプリングされホールドされる。ホールドされた出力信号は図4におけるSAとなる。積分器64によりさらに積分されて図4におけるtの位置で第2のサンプルホールド65にてサンプリングされホールドされる。ホールドされた出力信号は図4におけるSCとなる。第1の減算器67にて第1のサンプルホールド66の出力SAと第2のサンプルホールド65の出力SCが減算され出力SBが得られる。さらに、第2の減算器68にてSAとSBが減算されてSA−SBが得られる。そして、SA−SBを焦点検出信号Vとして出力し、(CPU50およびステージモータドライバ54等を介して)ステージ10を光軸に沿って上下に動かすフォーカス用モータ11に印加すると、SA−SBがゼロになるようにフォーカス用モータ11がステージ10を駆動する。
【0034】
この焦点検出信号Vを縦軸とし、ステージ10の上下移動に応じた第1のフォーカス用CCDセンサ42に結像するスリット像の焦点方向の位置を横軸として表したグラフが図5であり、いわゆるS字カーブと呼ばれているものである。以上より、例えば、補助光方式のオートフォーカス制御により標本面16bに第1対物レンズ21の焦点を合わせる場合には、標本面16bが第1対物レンズ21の焦点上にあるときに、SA−SBがゼロとなるようにtの値を決めておけば、その位置に合焦させることが可能である。なお、その設定は前述の合焦位置記憶スイッチ(図示せず)によって行う。
【0035】
ところで、上述のようにして位置決めされた合焦位置は、観察者の見たい位置でない場合がある。その場合は、オフセットレンズ37を駆動して合焦位置を移動させる。そこで、オフセットレンズ37を駆動操作したときのオートフォーカス制御について説明する。なお、図7(a)に示すような、オフセットレンズ37を移動させる前の位置(オフセットゼロの位置)での検出信号は、図3における実線の曲線Jで表される。このとき、第1対物レンズ21の焦点の位置は、図6(a)に示す標本面16bとする。また、このときの焦点検出信号Vとステージ10の上下移動に応じた焦点方向の位置の関係は、図5における曲線Iで表わされる。
【0036】
オフセットレンズ37の凹レンズ37bを後方に移動させて、図6(a)で示す点P′の位置にオートフォーカス用スリット像を結像させると、反射像は図6(b)で示す点Qの位置に結像する。なお、点P′は標本面16bから実際に観察したい点Pと光軸に沿って反対方向に同じ距離だけ離れた点である。この状態での検出信号を図に表すと、図3における一点鎖線の曲線Pとなる。また、このときの焦点検出信号Vとステージ10の上下移動に応じた焦点方向の位置の関係は、図5における曲線IVで表わされる。
【0037】
図7(b)に示すようにオフセットレンズ37の凹レンズ37bを後方に移動させた状態で、補助光方式のオートフォーカス制御を行うと、上述のように第1のフォーカス用CCDセンサ42で検出されたスリット像の検出信号に従って、焦点検出信号Vがゼロになるようにフォーカス用モータ11がステージ10を上下に移動させる。このとき、図6の場合、オートフォーカス用スリット像の反射像が第1のフォーカス用CCDセンサ42より後ろ側(点Q)で結像している状態であり、ステージ10は第1対物レンズ21に近づく方向(上方)へ移動して、結局、図7(c)に示すようにオートフォーカス用スリット像は標本面16bに焦点aが合うこととなる。またこのとき、第1対物レンズ21の焦点fは、図6(a)に示す標本15の中にある点Pの位置に合っている状態に制御される。
【0038】
図5に示す通り、オフセットレンズ37は、オートフォーカス用スリット像の結像位置を光軸に沿って焦点方向にずらすため、焦点検出信号Vと焦点方向の位置との関係を示す曲線は、例えばIからIVのように焦点方向の位置に沿って移動する。図6(a)における点Pは、図5における点Pの位置に相当する。従って、オートフォーカス用スリット像の反射量に拘わらず、常に焦点検出信号V(図5におけるVに相当)が存在するため、オートフォーカス制御が可能となる。
【0039】
このように、補助光方式のオートフォーカス制御によれば、オフセットレンズ37をオフセットゼロの位置から光軸に沿って移動させることにより、標本面16bでのオートフォーカス用スリット像の反射量に拘わらず、第1対物レンズ21の焦点の位置を自由にずらすことが可能である。また、標本面16bから常に一定の距離だけ光軸方向に離れた位置に、第1対物レンズ21の焦点を合わせることができるため、標本15をステージ10上で移動させて標本15の別の部分を観察する場合や、別の標本15に交換して観察する場合等に効率の良い作業が可能となる。
【0040】
次に、本実施形態の顕微鏡1におけるコントラスト方式のオートフォーカス制御について、以下に説明する。コントラスト方式のオートフォーカス制御を行う際、第2のフォーカス用結像光学系45により、第2のフォーカス用CCDセンサ49の撮像面上にボケた状態で結像された光路の異なる2つの光束(観察光)による像を検出して、その検出信号を第2のフォーカス用信号処理部53へ出力する。
【0041】
このような第2のフォーカス用CCDセンサ49で検出された光路の異なる2つの光束(観察光)による像から、ステージ10の上下移動を制御するオートフォーカス用の制御信号を求めるには、第2のフォーカス用信号処理部53により、検出した2つの像のコントラスト(検出信号の差)を求める。そして、求めたコントラスト信号を焦点検出信号として出力し、(CPU50およびステージモータドライバ54等を介して)フォーカス用モータ11に印加すると、コントラストがゼロになるようにフォーカス用モータ11がステージ10を駆動する。このとき、コントラスト方式では、標本15における見たい位置(図6(a)における点Pの位置)、すなわち、物体像におけるコントラストの一番高い位置に合焦する。なお、本実施形態におけるコントラスト方式のオートフォーカス制御の詳細は、特願2007−168678号に記載された(ただし、複数パターン投影部分を除いたオーソドックスな)コントラスト方式のオートフォーカス制御と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0042】
ところで、細胞等の物体17に合焦させるにはコントラスト方式の方が適しているが、合焦可能範囲が狭く、容易に合焦範囲外になってしまう。例えば、前述の図8(a)に示すように、標本15における点P2を見ようとしてステージ10をX方向またはY方向に(ステージ10上の位置P1からP2へ)移動させると、ステージ10の移動中は検出される像が流れる為、像のコントラストは非常に小さくなってしまう。そのため、コントラスト方式のオートフォーカス制御では、像のコントラストを検出できず、移動終了後の点P2においてピントの合う位置(合焦位置)は、移動前の点P1aと同じ高さの点P2aに留まり、物体17が位置する点P2bから外れてしまい像がボケてしまう。
【0043】
このとき、図8(b)の(1)に示すように上下にサーチをすれば、像を見つけて合焦できる一方で時間がかかる。特に、図8(b)の(2)に示すように反対方向からサーチしてしまう場合は、多くの時間がかかる。さらに、標本15における点P3のように像が無い位置の場合、または、像が有ってもコントラストが小さくて検出できない場合には、図8(b)の(3)に示すように、上、下、下、上の順でサーチを行い、サーチ前の位置に戻ってから初めて合焦範囲外とわかるので、より多くの時間がかかる。
【0044】
そこで、本実施形態においては、コントラスト方式に合焦可能範囲の広い補助光方式を組み合わせたハイブリッド方式を採用している。本実施形態のハイブリッド方式では、原則、コントラスト方式(すなわち、第2のフォーカス用信号処理部53およびCPU50より出力されるオートフォーカス用制御信号)により合焦動作を行っているが、コントラスト方式で合焦範囲外となった場合に補助光方式(すなわち、第1のフォーカス用信号処理部52およびCPU50より出力されるオートフォーカス用制御信号)により合焦動作を行う。
【0045】
前述したように、コントラスト方式では、標本15における見たい位置(図6(a)における点Pの位置)、すなわち、物体像におけるコントラストの一番高い位置に合焦する。一方、補助光方式のグラフである図5におけるJ点を、第1対物レンズ21の焦点が図6(a)に示す標本15の中にある場合の補助光方式の合焦位置とすると、図6(a)における点Pの位置は、図5における曲線Iの焦点検出信号VがVとなる点Pに相当する。そこで、本実施形態においては、図5におけるJ点をP点に一致させるべく、所定のタイミングでオフセットレンズ37を移動させるようにしている。なお、一致後の曲線は、図5における曲線IVになる。そして、移動させたオフセットレンズ37の位置を、それまで記憶していたオフセットレンズ37の位置と置き換えて記憶する。この動作により、コントラスト方式の合焦位置と補助光方式の合焦位置を一致させることができる。
【0046】
コントラスト方式の合焦位置と補助光方式の合焦位置を一致させる具体的な方法について以下に述べる。標本15における見たい位置(図6(a)における点Pの位置)、すなわち、物体像におけるコントラストの一番高い位置に第1対物レンズ21の焦点があって、コントラスト方式で物体像に合焦しており、この位置を補助光方式のグラフである図5におけるP点とする。一方、補助光方式において第1対物レンズ21の焦点が反射物体の表面、例えば図6(a)に示す標本面16bにあり、且つ、オフセットレンズ37がゼロの位置(オフセットゼロ)で焦点検出信号Vがゼロとなるように第1のフォーカス用CCDセンサ42の光軸方向の位置をオートフォーカス装置製造時にセットする。そうすると、第1対物レンズ21の焦点が図6(a)におけるP面にあるため、補助光方式での焦点検出信号Vは図5におけるVのレベルにある。ちなみにオフセットゼロの曲線は図5における曲線Iである。
【0047】
そして、コントラスト方式の合焦位置と補助光方式の合焦位置を一致させるには、CPU50が図5における焦点検出信号Vを監視しながらそれがゼロになるまでオフセットレンズ37を動かし、ゼロになったら停止させればよい。すなわち、オフセットレンズ37を動かすということは、図5において曲線Iを左方向にシフトさせて焦点検出信号VがVからゼロになるまで動かすことになる。結果として、このオフセットレンズ位置での曲線は曲線IVになる。このようにして両方式の合焦位置を一致させる。
【0048】
もし、カバーガラス16の傾きが非常に大きく、ステージ移動後の見たい位置が図5における点Qであった場合は、この時点で図5における焦点検出信号Vは既にゼロとなっているが、この位置では補助光方式は合焦範囲外になっており、まず合焦範囲内に入るまでオフセットレンズ37を動かして、合焦範囲に入ったら、さらに焦点検出信号Vがゼロになるまでオフセットレンズ37を動かせばよい。すなわち、曲線Iと横軸との交点が点Qと一致するように曲線Iを紙面上左側に水平移動することになる。
【0049】
コントラスト方式の合焦位置と補助光方式の合焦位置が一致した状態では、コントラスト方式で合焦動作を行っている。そこで、実際の合焦動作について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、コントラスト方式で検出したコントラスト信号が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS101)。判定がYesの場合、コントラスト方式で合焦動作を行う(ステップS102)。
【0050】
コントラスト方式で合焦動作を行うと、コントラスト方式による合焦動作(第2のフォーカス用信号処理部53およびCPU50によるオートフォーカス用制御信号の出力)を9回行ったか否かを判定する(ステップS103)。判定がNoの場合、ステップS101へ戻り、コントラスト方式による合焦動作を9回行うまで、ステップS101〜S102までの処理を繰り返す。一方、判定がYesの場合、補助光方式に切り替える(ステップS104)。
【0051】
補助光方式に切り替えると、コントラスト方式の合焦位置を補助光方式の合焦位置に置き換える(ステップS105)。すなわち、前述のようにして、コントラスト方式の合焦位置と補助光方式の合焦位置を一致させ、焦点位置が一致したときのオフセットレンズ37の位置を、それまで記憶していたオフセットレンズ37の位置と置き換えて記憶する。
【0052】
ただし、10回目の合焦動作はコントラスト方式で行い(ステップS106)、ステップS101へ戻る。このとき、9回目で検出したコントラスト信号に基づいて合焦動作を行い、コントラスト方式による合焦動作の回数がゼロに戻される。ただし、物体のコントラストの状態によって前記回数を変えてもよい。
【0053】
一方、ステップS101において、判定がNoの場合、すなわち、コントラスト方式の合焦動作中、コントラスト信号が閾値未満になった場合、補助光方式に切り替える(ステップS107)。補助光方式に切り替えると、補助光方式で検出したスリット像の検出信号(補助光信号)が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS108)。判定がYesの場合、補助光方式で合焦動作を行う(ステップS109)。
【0054】
具体的には、例えば図8(a)に示すように、コントラスト方式の合焦位置も補助光方式の合焦位置も点P1aである場合、点P2bにおける物体17を観察するためにステージ10をX方向またはY方向に(ステージ上の位置P1からP2へ)高速移動させると、ステージ10の移動中は物体17の像が流れ、コントラストが非常に小さくなってしまう。この場合、多くはコントラスト信号が閾値未満になってしまう。そこで、コントラスト信号が閾値未満になると、補助光方式に切り替えて合焦動作を行うことになる。このとき、補助光方式の合焦位置はコントラスト方式の合焦位置と一致しており、ステージ10の移動中はずっと補助光方式で合焦動作を行うため、第1対物レンズ21の焦点位置は、カバーガラス16と一定の距離だけ離れた平行に近い一点鎖線の付近を辿り、ステージ10の停止後は点P2bの付近に補助光方式で合焦する。このときのコントラスト信号が閾値以上なっていれば、コントラスト方式で点P2bの物体像に合焦する。なお、コントラスト方式のみの場合には、点P2aの位置で停止してしまう。また、ステージ10の停止時の位置が物体の無い点P3だった場合には、もちろん物体が無いのでコントラスト信号は無く、一点鎖線上の点P3に補助光方式で合焦する。
【0055】
この補助光方式で1回合焦動作を行ったら、コントラスト方式に切り替えて(ステップS110)、ステップS101へ戻る。このとき、ステップS101において、コントラスト信号が所定の閾値以上であるならばコントラスト方式で合焦動作を行い、コントラスト信号が閾値未満であるならば再度補助光方式に切り替えることとなる。
【0056】
一方、ステップS108において、判定がNoの場合、すなわち、補助光方式で検出したスリット像の検出信号(補助光信号)が閾値未満である場合、サーチ有りの設定であるか否かを判定する(ステップS111)。判定がYesの場合、ステージ10を一定量上下移動させてサーチ動作を行う(ステップS112)。
【0057】
そして、サーチ動作を行う間にスリット像の検出信号(補助光信号)が閾値以上になったか否かを判定する(ステップS113)。判定がYesの場合、ステップS109へ進んで補助光方式で合焦動作を行い、判定がNoの場合、ステップS114へ進んで合焦動作を停止し、合焦範囲外としてステップS101へ戻る。なお、ステップS111において、判定がNoの場合、すなわち、サーチ有りの設定でない場合にも、ステップS114へ進んで合焦動作を停止し、合焦範囲外としてステップS101へ戻る。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、コントラスト信号が所定の閾値よりも小さい場合に、補助光方式のオートフォーカス制御を行うため、傾いた物体を高速で移動させても合焦させることが可能になる。また、コントラストが小さい物体や、コントラストが殆どない物体でも、その物体の近くに合焦させることが可能になる。
【0059】
なお、上述の実施形態において、コントラスト方式では物体像のコントラストが一番高い位置に合焦するが、時にはその位置が見たい位置ではない場合がある。コントラスト方式による合焦中に、見たい位置まで合焦位置をずらすため、コントラスト方式用第2対物レンズ46と第5のハーフミラー47との間に補助光方式のオフセットレンズ37と同様のレンズ群を挿入して、その位置を外部から制御できるようにすることで、コントラスト方式でもオフセット動作を可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 顕微鏡
10 ステージ
11 フォーカス用モータ(フォーカスアクチュエータ)
15 標本(対象物)
20 観察光学系 21 第1対物レンズ
30 フォーカス用照明光学系(オートフォーカス装置)
31 LED光源(フォーカス用光源)
37 オフセットレンズ(37a 凸レンズ、37b 凹レンズ)
40 第1のフォーカス用結像光学系(オートフォーカス装置)
42 第1のフォーカス用CCDセンサ(第1の光電変換器)
45 第2のフォーカス用結像光学系(オートフォーカス装置)
49 第2のフォーカス用CCDセンサ(第2の光電変換器)
50 CPU
52 第1のフォーカス用信号処理部(第1の信号処理部)
53 第2のフォーカス用信号処理部(第2の信号処理部)
54 ステージモータドライバ
55 オフセットレンズ駆動部(調節部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を観察するための対物レンズを含む観察光学系を備えた顕微鏡のオートフォーカス装置であって、
不可視光線を発するフォーカス用光源と、
前記フォーカス用光源からの前記不可視光線に基づく光像を前記対物レンズを通して前記対象物上に結像させるフォーカス用照明光学系と、
前記光像が結像した前記対象物からの反射光を前記対物レンズを通して受けて前記光像の反射像を結像させる第1のフォーカス用結像光学系と、
前記第1のフォーカス用結像光学系により結像した前記光像の反射像を検出する第1の光電変換器と、
前記第1の光電変換器で得られた前記光像の反射像の検出信号に基づいて、フォーカスアクチュエータの作動を制御するための第1の制御信号を出力する第1の信号処理部と、
凸レンズおよび凹レンズを有し、前記凸レンズと前記凹レンズとの間の間隔を変化させることで、前記観察光学系の合焦位置と前記第1の照明光学系による前記光像の結像位置との間のオフセット量を調節する調節部と、
前記対象物からの光を前記対物レンズを通して結像させる第2のフォーカス用結像光学系と、
第2のフォーカス用結像光学系により結像された前記対象物の光像のコントラストを検出する第2の光電変換器と、
前記第2の光電変換器で得られた前記コントラストの検出信号に基づいて、前記フォーカスアクチュエータの作動を制御するための第2の制御信号を出力する第2の信号処理部とを備え、
前記第2の制御信号に基づいて前記フォーカスアクチュエータの作動が制御されるように構成されており、
前記第2の信号処理部が所定回数だけ前記第2の制御信号を出力する毎に、前記第2の制御信号に基づく前記フォーカスアクチュエータの作動によって得られる前記観察光学系の合焦位置が前記第1の制御信号に基づく前記フォーカスアクチュエータの作動によって得られる前記合焦位置と一致するように前記調節部が前記オフセット量を調節し、
前記第2の光電変換器により検出された前記コントラストが所定値よりも小さい場合には、前記第1の制御信号に基づいて前記フォーカスアクチュエータの作動が制御されることを特徴とする顕微鏡のオートフォーカス装置。
【請求項2】
前記第2のフォーカス用結像光学系は、前記対象物からの光を前記対物レンズを通して受けて光路差を有する2つの光束に分解し、前記2つの光束のうち一方を第1結像位置に結像させるとともに、前記2つの光束のうち他方を第2結像位置に結像させ、
前記第2の光電変換器は、前記第1結像位置と前記第2結像位置との間に跨って配設されて前記2つの光束における前記コントラストを検出することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡のオートフォーカス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−181493(P2010−181493A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23024(P2009−23024)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】