説明

食品焼成方法及び食品焼成装置

【課題】エネルギーの無駄な消費を抑制して省エネルギーを行うことができる食品焼成装置を提供すること。
【解決手段】焼成装置1は、内部に焼成室3を有するケーシング2と、食品を移送するコンベヤ4と、焼成室3内で食品に過熱蒸気を吹き付けるノズル5と、ノズル5に過熱蒸気を供給する供給ライン51と、過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成部7と、焼成室3内の蒸気を吸引する吸気口61a,61bと、吸気口61a,61bに連なって蒸気を過熱蒸気生成部に戻す戻しライン64と、戻しライン64に接続されて飽和蒸気を補充する補充ライン9を備える。制御部により、補充ライン9による飽和蒸気の補充量を、戻しライン64により焼成室3から戻される蒸気の流量に対して16%以上17%以下の割合の流量に調節し、補充された飽和蒸気と戻された蒸気との混合蒸気を過熱蒸気生成部7で加熱して過熱蒸気を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱蒸気により食品を焼成する食品焼成方法および食品焼成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品の焼成に、飽和蒸気を加熱して100℃以上とした過熱蒸気が用いられている。過熱蒸気は、熱伝達性に優れ、含有酸素量が少なく、また、焼成過程の初期において凝縮水が食品の表面を覆うことから、風味を保ちつつ食品の焼成を行うことができる。このような利点に鑑み、食品を焼成するための種々の焼成装置が提案されている。
【0003】
図6は、従来の食品焼成装置を示す断面図である(例えば、特許文献1:特開2003−325340号公報参照)。この食品焼成装置101は、食品を連続的に焼成するロースターであり、長手方向の両端に食品の入口102aと出口102bを有して内部に焼成室103を有するケーシング102と、食品を載置して焼成室内を移送する無端の網状のコンベヤ104と、焼成室内でコンベヤ104によって移送される食品に向けて過熱蒸気を吹き付ける複数のノズル105と、熱交換器及びバーナで形成されて過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成装置106を有する。
【0004】
ケーシング102の入口側の端部には、焼成室内の蒸気を吸引する吸引口107を設け、この吸引口107に蒸気の戻し管108を接続している。この戻し管108に介設された吸引ブロワ109の吸引作用により、焼成室103の蒸気を吸引して過熱蒸気生成装置106に戻し、この過熱蒸気生成装置106で蒸気を加熱して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気を焼成室13に戻すことにより、蒸気の循環利用を行っている。一方、ケーシング102の入口102aと出口102bとに隣接する位置に排気筒110を夫々設け、これら排気筒110から、焼成室103内の蒸気を排出ブロワ111で外部に排出している。
【0005】
戻し管108の吸引ブロワ109の上流側には、飽和蒸気を補充する補充管112が接続されている。この補充管112を通して、焼成室103からの蒸気に飽和蒸気を補充することにより、循環や排出に伴う蒸気の不足を補っている。
【0006】
ケーシング102の側面には、図示しないメンテナンス開口と、このメンテナンス開口に取り付けられた開閉扉とが設けられており、ケーシング102の内側面やコンベヤ104等の汚れの洗浄や、ノズル105の過熱蒸気の吹き出し量の調整等のメンテナンスを行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−325340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の食品焼成装置101は、焼成後の過熱蒸気に補充すべき飽和蒸気の量の調整が難しく、安定した過熱蒸気の生成が困難であるという問題がある。その結果、焼成室103の温度を所定温度以上に維持するため、過熱蒸気の生成量が過剰となってエネルギーの無駄な消費が生じるという問題がある。
【0009】
また、ケーシング102の入口102a及び出口102bや、メンテナンス開口を通して焼成室の内外が流通しやすく、空気の流入によって焼成室の温度低下や食品の酸化が生じ、焼成品質の低下を招いたり、蒸気の流出によってエネルギーの無駄な消費を招くという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、エネルギーの無駄な消費を抑制して省エネルギーを行うことができる食品焼成装置を提供することにある。また、焼成室への空気の流入を効果的に防止して、省エネルギーと焼成品質の向上を行うことができる食品焼成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
過熱蒸気で食品を焼成する方法において、焼成後の蒸気を再加熱して過熱蒸気を生成する場合、焼成に伴う蒸気の損失を補うために、焼成後の蒸気に新たな蒸気を補充して加熱する必要がある。この新たな蒸気の補充量は、従来、焼成状況に応じて適宜調節を行っていたが、その調節方法は確立されておらず、所定の焼成温度を確保するために過熱蒸気を過剰に生成し、エネルギーを無駄に消費する傾向にあった。このような技術背景のもと、本発明者は、焼成後の蒸気に対して所定の割合の飽和蒸気を補充して再加熱することにより、安定的な過熱蒸気の生成が可能となることを見出した。この見地に基づき、本発明がなされたのである。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の食品焼成方法は、焼成室に過熱蒸気を供給する工程と、
焼成室から蒸気を吸引する工程と、
焼成室から吸引された蒸気に、この蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合の流量の飽和蒸気を補充する工程と、
焼成室から吸引された蒸気と補充された飽和蒸気との混合蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する工程と
を備えることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、焼成室に過熱蒸気を供給し、食品を焼成する。詳しくは、過熱蒸気の顕熱や、過熱蒸気の顕熱の放出によって生成された飽和蒸気の潜熱によって食品を焼成する。焼成室内の余剰の過熱蒸気や食品を加熱した後の蒸気を、焼成室から吸引する。この焼成室から吸引された蒸気に、この蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合の流量の飽和蒸気を補充する。焼成室から吸引された蒸気と、補充された飽和蒸気との混合蒸気を加熱して、過熱蒸気を生成する。こうして生成された過熱蒸気を焼成室に供給することにより、蒸気を循環使用して食品を連続的に加熱する。
【0014】
ここで、焼成室から吸引された蒸気に、この蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合の流量の飽和蒸気を補充して加熱するので、安定して所定温度の過熱蒸気を生成でき、焼成室において食品を安定して焼成することができる。したがって、焼成室から戻す蒸気の量や飽和蒸気の補充量を微調整する必要が無く、その結果、過熱蒸気を過剰に生成することでエネルギーを無駄に消費する不都合を防止して、効果的に省エネルギーを行うことができる。
【0015】
一実施形態の食品焼成方法は、焼成室から吸引された蒸気に、この蒸気の流量に対して16%以上17%以下の割合の流量の飽和蒸気を補充する。
【0016】
上記実施形態によれば、安定して所定温度の過熱蒸気を生成できるので、焼成室から吸引された蒸気への飽和蒸気の補充流量を実質的に調節することなく、定常的に焼成室で焼成を行うことができる。したがって、食品を安定して連続的に焼成することができると共に、エネルギーの消費量を効果的に削減することができる。
【0017】
一実施形態の食品焼成方法は、焼成室から吸引された蒸気と補充された飽和蒸気との混合蒸気を加熱して、200℃以上500℃以下の過熱蒸気を生成する。
【0018】
上記実施形態によれば、焼成室から吸引された蒸気に所定割合の飽和蒸気を補充して加熱し、200℃以上500℃以下の過熱蒸気を生成する場合に、特に安定して食品を焼成でき、また、省エネルギーを行うことができる。
【0019】
なお、生成する過熱蒸気が200℃未満である場合、焼成室で過熱蒸気が飽和蒸気となる割合が増加するため、焼成室から吸引された蒸気に定量的に飽和蒸気の補充を行っても、過熱蒸気を安定して発生させることが困難となる。一方、生成する過熱蒸気が500℃を超える場合、焼成室から吸引された蒸気に定量的に飽和蒸気の補充を行うと、過熱蒸気の生成に必要な熱量が増大するので、加熱効率が悪化する。
【0020】
また、本発明の他の側面による食品焼成装置は、内部に焼成室を有すると共に、食品の入口と出口を有するケーシングと、
食品を載置してケーシングの焼成室内を移送する移送部と、
移送部によって移送される食品に過熱蒸気を吹き付けるノズルと、
ノズルに過熱蒸気を供給する供給ラインと、
供給ラインの上流側に接続されて過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成部と、
焼成室内の蒸気を吸引する吸気部と、
吸気部に接続されて蒸気を過熱蒸気生成部に戻す戻しラインと、
戻しラインに接続されて飽和蒸気を補充する補充ラインとを備え、
上記補充ラインで補充する飽和蒸気の流量が、戻しラインで焼成室から戻す蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合であることを特徴としている。
【0021】
上記構成によれば、移送部によって入口から導入された食品が、ケーシング内の焼成室を移送されるに伴い、ノズルから吹き付けられた過熱蒸気の作用によって焼成される。詳しくは、過熱蒸気の顕熱や、過熱蒸気の顕熱の放出によって生成された飽和蒸気の潜熱によって食品が焼成される。焼成された食品は、移送部によってケーシングの出口から搬出される。焼成室内の余剰の過熱蒸気や食品を加熱した後の蒸気は、吸気部で焼成室から吸引され、戻しラインを介して過熱蒸気生成部に戻される。過熱蒸気生成部には、戻しラインを介した焼成室からの蒸気と、補充ラインを介した飽和蒸気とが供給される。
【0022】
ここで、上記補充ラインで補充する飽和蒸気の流量を、戻しラインで焼成室から戻す蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合とするので、過熱蒸気生成部が安定して所定温度の過熱蒸気を生成することができ、焼成室において食品を安定した温度で焼成することができる。したがって、焼成室から戻す蒸気の量や飽和蒸気の補充量を微調整する必要が無く、その結果、過熱蒸気を過剰に生成することでエネルギーを無駄に消費する不都合を防止して、効果的に省エネルギーを行うことができる。
【0023】
一実施形態の食品焼成装置は、上記補充ラインで補充する飽和蒸気の流量が、戻しラインで焼成室から戻す蒸気の流量に対して16%以上17%以下の割合である。
【0024】
上記実施形態によれば、過熱蒸気生成部で安定して所定温度の過熱蒸気を生成できるので、戻しラインで焼成室から戻す蒸気に補充ラインで補充する飽和蒸気の流量を実質的に調節することなく、定常的に焼成室で焼成を行うことができる。したがって、食品を安定して連続的に焼成することができると共に、エネルギーの消費量を効果的に削減することができる。
【0025】
一実施形態の食品焼成装置は、起動時に上記補充ラインを通して飽和蒸気のみを過熱蒸気生成部に供給する一方、起動から所定時間経過後に、補充ラインで供給する飽和蒸気の流量を、戻しラインで焼成室から戻す蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合となるように飽和蒸気の流量を制御する制御部を備える。
【0026】
上記実施形態によれば、制御部により、補充ラインを通して飽和蒸気のみが過熱蒸気生成部に供給され、この飽和蒸気が加熱されて過熱蒸気となって焼成室に供給される。一方、起動から所定時間経過後に、制御部により、補充ラインで供給する飽和蒸気の流量が、戻しラインで焼成室から戻す蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合となるように飽和蒸気の流量が制御される。これにより、起動時には十分な流量の過熱蒸気を生成して焼成室に供給し、焼成室内の温度を迅速に上昇させることができる一方、焼成室内が所定温度に達すると、過熱蒸気を安定に生成して焼成室に供給し、焼成室で食品を安定に焼成することができる。したがって、起動時と焼成時とのいずれにおいても飽和蒸気の流量の微調整を行うことなく、焼成装置を迅速に起動し、安定して食品の焼成を行うことができる。その結果、飽和蒸気の流量や過熱蒸気生成部の調整の手間を省くことができる。また、焼成室の焼成温度の確保のために過剰な飽和蒸気や過熱蒸気を消費する不都合を防止でき、省エネルギーを行うことができる。
【0027】
一実施形態の食品焼成装置は、上記過熱蒸気生成部は、200℃以上500℃以下の過熱蒸気を生成する。
【0028】
上記実施形態によれば、焼成室から戻しラインで戻した蒸気に補充ラインで所定割合の飽和蒸気を補充し、これらの蒸気と飽和蒸気の混合蒸気を過熱蒸気生成部で加熱して、200℃以上500℃以下の過熱蒸気を生成する場合に、特に安定して食品を焼成でき、また、省エネルギーを行うことができる。
【0029】
なお、過熱蒸気生成部で生成する過熱蒸気が200℃未満である場合、焼成室で過熱蒸気が飽和蒸気となる割合が増加するため、焼成室から吸引された蒸気に定量的に飽和蒸気の補充を行っても、過熱蒸気を安定して発生させることが困難となる。一方、過熱蒸気生成部で生成する過熱蒸気が500℃を超える場合、焼成室から吸引された蒸気に定量的に飽和蒸気の補充を行うと、過熱蒸気の生成に必要な熱量が増大するので、加熱効率が悪化する。
【0030】
一実施形態の食品焼成装置は、上記ケーシングは、下部ケーシングと、実質的に開口部の無い側面及び天面を有すると共に昇降可能な上部ケーシングと、下部ケーシングと上部ケーシングとの間をシールする水シール機構とを有し、
上記上部ケーシングを昇降駆動する昇降部を備える。
【0031】
上記実施形態によれば、上部ケーシングを昇降部で上昇させることにより、焼成室を外部に開いて、焼成室内のメンテナンスを行うことができる。上部ケーシングを昇降部で下降させると、上部ケーシングと下部ケーシングが水シール機構でシールされ、ケーシング内部の焼成室が気密状態となる。ここで、上部ケーシングの側面及び天面は、実質的に開口部が無いので、従来のようにメンテナンス開口等の開口を通して空気が焼成室内に流入したり、焼成室内の蒸気がケーシング外に流出することが無い。したがって、空気の流入による焼成室の温度低下や食品の酸化を防止でき、食品の焼成品質を向上できる。また、焼成室内の蒸気の流出を防止でき、焼成室の蒸気を無駄なく過熱蒸気生成部に戻して過熱蒸気を生成できる。その結果、過熱蒸気の無駄な生成を防止してエネルギーの無駄な消費を防止でき、省エネルギーを行うことができる。しかも、上部ケーシングと下部ケーシングとの間をシールする水シール機構は、樹脂等のシール部材を用いて形成されたシール機構のように、高温の蒸気で劣化することがない。したがって、長期にわたってシール機能を発揮できて、焼成品質を安定して高く維持できると共に、省エネルギーを安定して行うことができる。
【0032】
なお、上記下部ケーシングは、焼成室内の移送部の食品移送部の下方に位置する水トレイを有するのが好ましい。この水トレイに水を貯留することにより、焼成中の食品から滴下した油等の滲出成分を受けて、清掃を容易にすると共に滲出成分の着火を防止することができる。この水トレイに、水シール機構のドレイン水を供給することにより、少ない水の消費量により、水シール機構のシール機能を発揮できると共に水トレイの貯留水量を適切に保持することができる。
【0033】
一実施形態の食品焼成装置は、上記ケーシング内に、入口に隣接して入口を焼成室と隔てる前室と、出口に隣接して出口を焼成室と隔てる後室と、焼成室の上方に形成された吸気路を有し、
上記焼成室の上部の入口側と出口側に、上記吸気路に連なる上記吸気部が設けられている。
【0034】
上記実施形態によれば、前室と後室によって入口と出口に隔てられた焼成室の上方に吸気路が設けられ、この吸気路に連なる吸気部が焼成室の上部の入口側と出口側に設けられているので、焼成室内の蒸気を、吸気路を通して吸気部から吸引する際、入口と出口からのケーシング内への空気の流入量を少なくできる。したがって、焼成室への空気の流入量を少なくでき、焼成室の温度の低下を効果的に防止できると共に、過熱蒸気生成部で再加熱する蒸気の温度の低下を防止できる。したがって、焼成品質の低下を防止できると共に、過熱蒸気の生成に必要なエネルギーを低減させて省エネルギーを行うことができる。
【0035】
一実施形態の食品焼成装置は、上記前室と後室は、ケーシング外に連通して自然排気を行う排気路に接続されている。
【0036】
上記実施形態によれば、ケーシングの入口と出口から流入する空気を、前室と後室から排気路を通して自然排気によってケーシング外に排出できる。ここで、焼成室に対して区画された前室と後室から自然排気を行うので、焼成室から蒸気を無駄に排出する不都合を防止できる。また、焼成室に対して区画された前室と後室から排気を行うので、ケーシングの入口と出口から焼成室へ空気が流入することを防止でき、したがって、焼成室の温度の低下を効果的に防止できると共に、過熱蒸気生成部で再加熱する蒸気の温度の低下を防止できる。したがって、焼成品質の低下を防止できると共に、過熱蒸気の生成に必要なエネルギーを低減させて省エネルギーを行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、過熱蒸気によって食品を焼成する焼成室から蒸気を吸引し、この吸引した蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合の流量の飽和蒸気を補充して加熱して過熱蒸気を生成して焼成室に戻すので、焼成室から戻す蒸気の量や飽和蒸気の補充量を微調整することなく、安定して過熱蒸気を焼成室に供給できるので、焼成室で食品を安定して焼成でき、しかも、省エネルギーを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態の焼成装置の側面図である。
【図2】実施形態の焼成装置の縦断面図である。
【図3】実施形態の焼成装置の横断面図である。
【図4】焼成室内の蒸気配管を示す模式平面図である。
【図5】蒸気の循環経路を示す模式図である。
【図6】従来の焼成装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0040】
図1は、本発明の実施形態の焼成装置を示す側面図であり、図2は焼成装置の縦断面図であり、図3は焼成装置の横断面図である。
【0041】
本実施形態の焼成装置1は、内部に焼成室3を有するケーシング2と、食品を移送する移送部としてのコンベヤ4と、焼成室3内に配置されて食品に過熱蒸気を吹き付けるノズル5と、ノズル5に過熱蒸気を供給する供給ライン51と、過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成部7と、焼成室3内の蒸気を吸引する吸気部としての吸気口61a,61bと、ケーシング2内の焼成室3の上方に設けられて吸気口61a,61bに連なる吸気路6と、吸気路6に吸気筒62を介して連なって蒸気を過熱蒸気生成部に戻す戻しライン64と、戻しライン64に接続されて飽和蒸気を補充する補充ライン9を備える。
【0042】
ケーシング2は、横長の概ね直方体形状を有し、上部ケーシング21と下部ケーシング22とで大略構成されている。上部ケーシング21は、下端が開口した直方体形状を有し、天面及び側面に実質的に開口部が無い一方、長手方向の両端面に食品の入口21aと出口21bが設けられている。下部ケーシング22は、上端が開口した直方体形状を有し、内部にコンベヤ4を収容すると共に、コンベヤ4の食品移送部であるベルト41の上側部の下方に、食品から滴下する滲水を受ける水トレイ32が設けられている。
【0043】
上部ケーシング21内には、食品が移送される方向に向かって順に、入口21aに隣接する前室23と、焼成室3と、出口21bに隣接する後室24が形成されている。前室23と焼成室3との間と、焼成室3と後室24との間には、縦方向に延びる縦隔壁231,241が夫々設けられている。上部ケーシング21内の上部には、天面と平行の吸気路隔壁61が設けられている。この吸気路隔壁61は、長手方向の両側縁が上部ケーシング21の内側面に固定されている一方、長手方向の両端縁が、前室23側の縦隔壁231の表面と、後室24側の縦隔壁241の表面とに対して夫々離隔をおいて隙間を形成している。この吸気路隔壁61の長手方向の両端縁と、各縦隔壁231,241との間の隙間が、吸気口61a,61bになっている。上部ケーシング21の吸気路隔壁61と天板との間に、吸気口61a,61bに連なる吸気路6が形成されている。
【0044】
焼成室3には、供給ライン51の下流側に連なる蒸気配管が配置されている。図4は、焼成室3内のコンベヤ4のベルト41の上方に配置された蒸気配管を示す模式平面図である。図4に示すように、コンベヤ4のベルト41の上方には、蒸気配管として、焼成室3の短手方向に長辺が延びるループ状の横断配管52と、焼成室3の長手方向であって食品の移送方向に長辺が延びるループ状の縦断配管53が設置されている。横断配管52は、焼成室3の長手方向に複数個配置されており、これら複数個の横断配管52は、枝状に分岐した状態で供給ライン51に接続されている。縦断配管53は、横断配管52の群と分岐した状態で供給ライン51に接続されている。横断配管52と縦断配管53には、コンベヤ4のベルト41に向かう側に、複数の貫通穴が設けられており、各配管に導かれた過熱蒸気が、横断配管52と縦断配管53の貫通穴を通して噴出するようになっている。このように、ノズル5は、配管に形成された貫通穴によって形成されている。コンベヤ4のベルト41の下方には、蒸気配管として、ベルト41の上方の横断配管52と同様の形状の下方配管54が設けられており、この下方配管54のコンベヤ4のベルト41に向かう側に、貫通穴によって形成された複数のノズル5が形成されている。なお、横断配管52、縦断配管53及び下方配管54のノズル5は、蒸気配管に固定された別体のノズルによって形成してもよい。
【0045】
焼成室3は、上部ケーシング21の入口21a側と出口21b側に各々隣接する前室23及び後室24により、上部ケーシング21の入口21a及び出口21bと夫々隔てられている。前室23と後室24の上端には、前室23及び後室24内を自然排気する排気路としての排気筒25,26が設けられている。
【0046】
コンベヤ4は、可撓性を有する金網状の無端のベルト41が、下部ケーシング22の長手方向の両端部に設けられたローラ42,42に巻き回されて形成されており、所定の駆動ローラで駆動されて食品の移送動作を行う。金網状のベルト41は、移送する食品からの滲液を水トレイ32に滴下可能に通過させ、かつ、下方配管54のノズル5からの過熱蒸気を食品側に通過させる開口率に形成されている。なお、ベルト41は、食品の滲液や過熱蒸気を透過可能であれば、金網状以外の形態でもよい。
【0047】
下部ケーシング22は、複数の脚部27,27・・・で設置面上に支持されている。複数の脚部27のうちの所定の脚部27には、架台28の支柱28aの下端が固定されている。この架台28は、ケーシング2の上方に載荷部28bを有し、この載荷部28bに吸引ブロワ81や昇降部としての昇降装置29等が設置されている。昇降装置29は、ウインチで形成され、図示しないワイヤによって上部ケーシング21を昇降駆動するように構成されている。
【0048】
上部ケーシング21の昇降に伴って上部ケーシング21と下部ケーシング22とが互いに接離する部分には、水シール機構が形成される。すなわち、図3に模式的に示すように、下部ケーシング22の両側に、長手方向に延在する水封溝31,31が設けられている。上部ケーシング21が下降したとき、上記水封溝31に貯留された水に上部ケーシング21の両側面21c,21dの下端部が浸漬する。この水封溝31には所定の水位が保持されており、オーバーフローを水トレイ32に流すようになっている。
【0049】
上部ケーシング21内に形成された吸気路6は、上部ケーシング21の長手方向の中央付近に設けられた吸気筒62に連通している。この吸気筒62は、蛇腹状のフレキシブルパイプで形成され、上部ケーシング21の昇降に伴って伸縮可能に形成されている。吸気筒62の下流側は、フィルタ63を介して戻しライン64に接続されており、この戻しライン64に吸引ブロワ81が介設されている。この吸引ブロワ81によってケーシング2内の焼成室3の蒸気を吸引し、フィルタ63で吸引蒸気の油分等を除去して、過熱蒸気生成部7に送るようになっている。戻しライン64の吸引ブロワ81より上流側には、飽和蒸気を供給する補充ライン9が接続されている。補充ライン9は汎用ボイラによって飽和蒸気が供給され、流量調節弁91によって戻しライン64への飽和蒸気の供給量が制御される。流量調節弁91及び吸引ブロワ81は、図示しない制御部で動作が制御される。
【0050】
過熱蒸気生成部7は、ケーシング2の下方に配置され、熱交換器71とバーナ72で形成されている。熱交換器71は、蒸気が供給される缶体中に、バーナ72からの燃焼ガスが流れる煙管が配置された煙管式の熱交換器である。バーナ72は、LPG(液化石油ガス)を燃料とするガスバーナである。この過熱蒸気生成部7は、熱交換器71の蒸気吐出口に供給ライン51が接続されており、この供給ライン51に所定温度の過熱蒸気を供給する。
【0051】
以下、上記構成の焼成装置1の動作を説明する。
【0052】
まず、焼成装置1を起動すると、制御部の制御により起動運転が行われる。すなわち、過熱蒸気生成部7のバーナ72が点火され、吸引ブロワ81の吸引動作が開始されると共に、流量調節弁91が開かれる。これにより、補充ライン9から戻しライン64に約100℃の飽和蒸気が流れ、この飽和蒸気が過熱蒸気生成部7に供給されて熱交換器71で加熱され、過熱蒸気が生成される。生成された過熱蒸気は、供給ライン51を通って焼成室3内の蒸気配管に導かれ、蒸気配管としての横断配管52、縦断配管53及び下方配管54のノズル5から吹き出される。
【0053】
焼成室3への過熱蒸気の吹き出しによって焼成室3内が所定の焼成温度に達すると、食品を焼成する焼成運転が行われる。すなわち、動作が開始されたコンベヤ4のベルト41の端部に食品が載置され、コンベヤ4の動作に伴って食品が入口21aからケーシング2内に移送され、前室23を通って縦隔壁231の下方を通過して焼成室3に入る。焼成室3では、コンベヤ4のベルト41上の食品が、横断配管52及び縦断配管53のノズル5から吹き出された過熱蒸気が上方から吹き付けられると共に、下方配管54のノズル5から吹き出された過熱蒸気が下方から吹き付けられる。過熱蒸気が吹き付けられた食品は、過熱蒸気の顕熱及び潜熱によって加熱される。詳しくは、食品の温度が比較的低い場合は、過熱蒸気の顕熱と潜熱を受けた食品の表面に凝縮水が析出して煮え効果が与えられる一方、食品の温度が比較的高い場合は、過熱蒸気の顕熱を受けて焼き効果が与えられる。さらに、過熱蒸気は酸素濃度が低いため、食品の酸化が抑制されて風味の変化が防止される。さらに、過熱蒸気は、赤外線放射性を有するので、食品の中心まで迅速に加熱される。これらの効果を伴って焼成室3で食品が焼成された後、食品は縦隔壁241の下方を通過し、後室24を通って出口21bからケーシング2外に排出される。食品の焼成加減は、コンベヤ4の移送速度を調整することによって調整される。
【0054】
本実施形態の焼成装置1は、焼成室3の蒸気を吸引し、飽和蒸気を補充して過熱蒸気生成部7で再度加熱して過熱蒸気を生成し、この過熱蒸気を焼成室3に供給することにより蒸気を循環させている。図5は、蒸気の循環経路を示す模式図である。図5に示すように、焼成室3内の蒸気が、戻しライン64を通って吸引ブロワ81に吸引される。戻しライン64の吸引ブロワ81の上流側には、蒸気ボイラ92で生成された飽和蒸気が補充ライン9を通して補充される。戻しライン64は、補充ライン9の合流位置よりも上流側に設けられた逆止弁65により、蒸気の逆流が防止される。また、戻しライン64の圧力は、所定圧力を越えた場合に開き動作する逆止弁66によって異常高圧が防止される。
【0055】
ここで、食品を焼成する焼成運転において、補充ライン9による飽和蒸気の補充量が、制御部による制御の下、流量調節弁91と吸引ブロワ81の動作が調節されて、戻しライン64により焼成室3から戻される蒸気の流量に対して16.9%の割合の流量に調節される。本実施形態では、戻しライン64の蒸気の2595kg/hの流量に対して、補充ライン9の飽和蒸気が440kg/hの流量に調節される。戻しライン64の蒸気の温度は約120℃であり、補充ライン9で補充される飽和蒸気の温度は約102℃である。戻しライン64の蒸気に補充ライン9で飽和蒸気が補充されてなる3035kg/hの蒸気が、過熱蒸気生成部7で加熱されて、約280℃の過熱蒸気が生成される。この過熱蒸気が、供給ライン51を通って焼成室3に供給される。このように、補充ライン9で補充する飽和蒸気の流量を、焼成室3から戻す蒸気の流量の約16.9%に調節することにより、焼成室3に定常的に280℃の過熱蒸気を供給することができる。したがって、焼成室3から戻す蒸気の量や、補充ライン9の飽和蒸気の補充量を微調整する必要が無い。その結果、過熱蒸気を過剰に生成することでエネルギーを無駄に消費する不都合を防止して、効果的に省エネルギーを行うことができる。また、焼成室3の焼成温度を安定して280℃に保持することができ、安定して食品を焼成することができる。
【0056】
なお、補充ライン9で補充する飽和蒸気の流量は、焼成室3の温度や焼成室3から戻す蒸気の流量に応じて、戻す流量の16%以上17%の範囲に調節することができる。さらに、補充ライン9で補充する飽和蒸気の流量は、焼成室3から戻す蒸気の流量の14%以上20%の範囲に調節してもよい。このような飽和蒸気の補充量に調整することにより、安定して蒸気を循環させつつ過熱蒸気を焼成室3へ供給することができる。
【0057】
また、本実施形態の焼成装置1は、制御部により、補充ライン9を通して飽和蒸気のみを過熱蒸気生成部7に供給する起動運転と、補充ライン9で供給する飽和蒸気の流量を、戻しライン64で焼成室3から戻す蒸気の流量に対して16.9%の割合となるように飽和蒸気の流量を制御する焼成運転を行う。したがって、速やかに焼成室3の温度を焼成温度に上昇させ、迅速に食品の焼成を開始し、安定して食品の焼成を行うことができる。
【0058】
また、本実施形態の焼成装置1は、上部ケーシング21を昇降装置29で上昇させることにより、上部ケーシング21と下部ケーシング22の間に形成される焼成室3が開かれる。このとき、焼成室3が全面的に開かれるので、コンベヤ4の清掃や、横断配管52、縦断配管53及び下方配管54の清掃及びノズル5の調整等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0059】
また、上部ケーシング21が下降したとき、上部ケーシング21と下部ケーシング22との間が水シール機構でシールされ、ケーシング内部の焼成室3が気密状態となる。ここで、上部ケーシング21の側面及び天面は、実質的に開口部が無いので、従来のようにメンテナンス開口等の開口を通して空気が焼成室内に流入したり、焼成室内の蒸気がケーシング外に流出することが無い。したがって、空気の流入による焼成室3の温度低下や食品の酸化を防止でき、食品の焼成品質を向上できる。また、焼成室3内の蒸気の流出を防止でき、焼成室3の蒸気を無駄なく過熱蒸気生成部7に戻して過熱蒸気を生成できる。したがって、過熱蒸気の無駄な生成を防止してエネルギーの無駄な消費を防止でき、省エネルギーを行うことができる。しかも、上部ケーシング21と下部ケーシング22との間をシールする水シール機構は、樹脂等のシール部材を用いて形成されたシール機構のように、高温の蒸気で劣化することがない。したがって、長期にわたってシール機能を発揮できて、焼成品質を安定して高く維持できると共に、省エネルギーを安定して行うことができる。
【0060】
さらに、下部ケーシング22に、焼成室3内のコンベヤ4のベルト41の下方に水トレイ32が設けられているので、この水トレイ32貯留した水で、焼成中の食品から滴下した油等の滲出成分を受けて、清掃を容易にすると共に滲出成分の着火を防止することができる。また、この水トレイ32に、水シール機構のドレイン水を供給するので、少ない水の消費量により、水シール機構のシール機能を発揮できると共に水トレイ32の貯留水量を適切に保持することができる。
【0061】
さらに、本実施形態の焼成装置1によれば、前室23と後室24によって入口21aと出口21bに隔てられた焼成室3の上方に吸気路6が設けられ、この吸気路6に連なる吸気口61a,61bが焼成室3の上部の入口側と出口側に設けられている。したがって、焼成室3内の蒸気を、吸気路6を通して吸気口61a,61bから吸引する際、入口21aと出口21bからのケーシング2内への空気の流入量を少なくできる。したがって、焼成室3への空気の流入量を少なくでき、焼成室3の温度の低下を効果的に防止できると共に、過熱蒸気生成部7で再加熱する蒸気の温度の低下を防止できる。したがって、焼成品質の低下を防止できると共に、過熱蒸気の生成に必要なエネルギーを低減させて省エネルギーを行うことができる。
【0062】
さらに、本実施形態の焼成装置1によれば、焼成室3と縦隔壁231,241で隔てられた前室23と後室24を、排気筒25,26を通して自然排気を行うので、焼成室3から蒸気を無駄に排出する不都合を防止できる。また、焼成室3と縦隔壁231,241で隔てられた前室23と後室24から自然排気を行うので、ケーシングの入口21aと出口21bから焼成室3へ空気が流入することを防止できる。したがって、焼成室3の温度の低下を効果的に防止できると共に、過熱蒸気生成部7で再加熱する蒸気の温度の低下を防止できる。その結果、焼成品質の低下を防止できると共に、過熱蒸気の生成に必要なエネルギーを低減させて省エネルギーを行うことができる。
【0063】
上記実施形態において、過熱蒸気生成部7は、280℃の過熱蒸気を生成したが、200℃以上500℃以下の範囲に含まれるいずれの温度の過熱蒸気を生成してもよい。本発明によれば、200℃以上500℃以下の範囲内の温度の過熱蒸気を用いる焼成装置において、補充ライン9で補充する飽和蒸気の流量を焼成室3から戻す蒸気の流量の14%以上20%の範囲に調節することにより、安定して蒸気を循環させて焼成室3へ過熱蒸気を供給することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 焼成装置
2 ケーシング
3 焼成室
4 コンベヤ
5 ノズル
6 吸気路
7 過熱蒸気生成部
9 補充ライン
21 上部ケーシング
21a 上部ケーシングの入口
21b 上部ケーシングの出口
22 下部ケーシング
51 供給ライン
61a,61b 吸気口
64 戻しライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成室に過熱蒸気を供給する工程と、
焼成室から蒸気を吸引する工程と、
焼成室から吸引された蒸気に、この蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合の流量の飽和蒸気を補充する工程と、
焼成室から吸引された蒸気と、補充された飽和蒸気との混合蒸気を加熱して、過熱蒸気を生成する工程と
を備えることを特徴とする食品焼成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の食品焼成方法において、
焼成室から吸引された蒸気に、この蒸気の流量に対して16%以上17%以下の割合の流量の飽和蒸気を補充することを特徴とする食品焼成方法。
【請求項3】
請求項1に記載の食品焼成方法において、
焼成室から吸引された蒸気と補充された飽和蒸気との混合蒸気を加熱して、200℃以上500℃以下の過熱蒸気を生成することを特徴とする食品焼成方法。
【請求項4】
内部に焼成室を有すると共に、食品の入口と出口を有するケーシングと、
食品を載置してケーシングの焼成室内を移送する移送部と、
移送部によって移送される食品に過熱蒸気を吹き付けるノズルと、
ノズルに過熱蒸気を供給する供給ラインと、
供給ラインの上流側に接続されて過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成部と、
焼成室内の蒸気を吸引する吸気部と、
吸気部に接続されて蒸気を過熱蒸気生成部に戻す戻しラインと、
戻しラインに接続されて飽和蒸気を補充する補充ラインとを備え、
上記補充ラインで補充する飽和蒸気の流量が、戻しラインで焼成室から戻す蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合であることを特徴とする食品焼成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の食品焼成装置において、
上記補充ラインで補充する飽和蒸気の流量が、戻しラインで焼成室から戻す蒸気の流量に対して16%以上17%以下の割合であることを特徴とする食品焼成装置。
【請求項6】
請求項4に記載の食品焼成装置において、
起動時に上記補充ラインを通して飽和蒸気のみを過熱蒸気生成部に供給する一方、起動から所定時間経過後に、補充ラインで供給する飽和蒸気の流量を、戻しラインで焼成室から戻す蒸気の流量に対して14%以上20%以下の割合となるように飽和蒸気の流量を制御する制御部を備えることを特徴とする食品焼成装置。
【請求項7】
請求項4に記載の食品焼成装置において、
上記過熱蒸気生成部は、200℃以上500℃以下の過熱蒸気を生成することを特徴とする食品焼成装置。
【請求項8】
請求項4に記載の食品焼成装置において、
上記ケーシングは、下部ケーシングと、実質的に開口部の無い側面及び天面を有すると共に昇降可能な上部ケーシングと、下部ケーシングと上部ケーシングとの間をシールする水シール機構とを有し、
上記上部ケーシングを昇降駆動する昇降部を備えることを特徴とする食品焼成装置。
【請求項9】
請求項4に記載の食品焼成装置において、
上記ケーシング内に、入口に隣接して入口を焼成室と隔てる前室と、出口に隣接して出口を焼成室と隔てる後室と、焼成室の上方に形成された吸気路を有し、
上記焼成室の上部の入口側と出口側に、上記吸気路に連なる上記吸気部が設けられていることを特徴とする食品焼成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の食品焼成装置において、
上記前室と後室は、ケーシング外に連通して自然排気を行う排気路に接続されていることを特徴とする食品焼成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−286178(P2010−286178A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140548(P2009−140548)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(591288229)ジョンソンボイラ株式会社 (2)
【出願人】(509166249)株式会社今林鉄工所 (2)
【Fターム(参考)】