駆動伝達装置および画像形成装置
【課題】駆動部に汚れが付着して磁力が低下することに起因する、従動部の回転不良が発生するのを防止することができる技術を提供する。
【解決手段】駆動伝達装置600は、円筒状に形成された駆動部620と、駆動部620に接触せずに駆動部620の磁力により回転させられる従動部610と、駆動部620と従動部610との間に設けられ、磁力を遮断しない材料により形成されたフレーム6と、フレーム6に接触するように従動部610に固定され、従動部610が回転することによりフレーム6を清掃するブラシ630とを備える。
【解決手段】駆動伝達装置600は、円筒状に形成された駆動部620と、駆動部620に接触せずに駆動部620の磁力により回転させられる従動部610と、駆動部620と従動部610との間に設けられ、磁力を遮断しない材料により形成されたフレーム6と、フレーム6に接触するように従動部610に固定され、従動部610が回転することによりフレーム6を清掃するブラシ630とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動伝達装置を用いた装置としては、例えば特許文献1〜3に開示されたものがある。特許文献1に記載の画像形成装置では、モータの動力軸には磁石を取り付け、感光体ドラムの側面には鉄製のフランジを設け、これらが互いに吸着している状態で画像形成が行われるようにしている。さらに、磁石の半径と、吸着力と、感光体ドラムの負荷トルクとの間に、磁石の半径≧負荷トルク/吸着力なる関係が成り立つように磁石の半径を大きくしている。これにより、感光体ドラムを含むイメージングユニットの引き抜きを容易にしつつ、かつ感光体ドラムの駆動に当たって滑りが生じないようにしている。
【0003】
特許文献2に記載の画像形成装置では、駆動磁気車の円周錐面に、内蔵されている永久磁石により発生するN極帯とS極帯とが積層鉄心を介して凹凸形状に磁束分布が形成され、各従動磁気車の外周錐面にも同様に凹凸形状に磁束分布が形成されている。従動磁気車は駆動磁気車に対して軸を直角に交差し、互いの周面を非接触状態にて近接させた状態で支持されている。
【0004】
特許文献3に記載の画像形成装置では、複数の感光体ドラムと、駆動モータに連結された駆動軸と、各感光体ドラムの回転軸を磁気作用により非接触で駆動軸に磁気連結して駆動軸の回転を各感光体ドラムの回転軸にそれぞれ伝達する複数の磁気連結部とを備え、これらの磁気連結部における磁気連結強度を異ならせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−27885号公報
【特許文献2】特開2000−184691号公報
【特許文献3】特開2001−154442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、駆動部に汚れが付着して磁力が変化することに起因する、従動部の回転不良が発生するのを防止することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、円筒状に形成された駆動部と、前記駆動部に接触せずに前記駆動部の磁力により回転させられる従動部と、前記駆動部と前記従動部との間に設けられ、磁力を遮断しない材料により形成されたカバーとを備えることを特徴とする駆動伝達装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記カバーは、前記カバーの一方の側に前記駆動部を支持する第1支持部と、前記カバーの他方の側に前記駆動部と前記従動部とが同軸上に位置するように前記従動部を支持する第2支持部とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記従動部は、回転軸を有する回転体の軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記回転体の端部に固定されており、前記カバーは、前記カバーの一方の側に前記駆動部を支持する第1支持部と、前記カバーの他方の側に前記駆動部と前記回転体とが同軸上に位置するように前記回転軸を支持する第3支持部とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、組み立てられる際、前記駆動部の磁力が前記従動部に及ばない範囲において前記回転軸が前記第3支持部に挿入され、その後、前記従動部が前記駆動部の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成としたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記従動部は、回転軸を有する回転体の軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記回転体の端部に固定されており、前記カバーは、前記カバーの端部から前記従動部の半径方向に延びて、前記回転軸を前記半径方向に案内する案内部を有し、組み立てられる際、前記駆動部の磁力が前記従動部に及ばない範囲において前記回転軸が前記案内部に挿入され、その後、前記従動部が前記駆動部の磁力が及ぶ範囲に移動させられる構成としたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記カバーに接触するように前記従動部に固定され、前記従動部が回転することにより前記カバーを清掃する清掃部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記前記カバーは、前記カバーのいずれか一方の側に突出して前記駆動部または前記従動部を内側に配置する隔壁部と、前記隔壁部の一部が除去されて前記除去された部分に設けられたフィルムとを有し、前記フィルムを挟んで前記駆動部の外周面と前記従動部の外周面とが対向していることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、回転する感光体ドラムと、請求項1に記載の駆動伝達装置とを備え、前記従動部は、前記感光ドラムの軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記感光ドラムの端部に固定されており、前記カバーの一方の側に前記駆動部を配置し、前記カバーの他方の側に前記感光体ドラムを備えた前記従動部を配置したことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、駆動部に汚れが付着して磁力が変化することに起因する、従動部の回転不良が発生するのを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、駆動部と従動部との軸がずれるのを防止することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、駆動部と従動部との軸がずれるのを防止することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、回転軸が第3支持部に挿入できなくなるのを防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、回転軸が案内部に挿入できなくなるのを防止することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、従動部が汚れるのを防止することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、駆動部と従動部との距離を縮めることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、感光体ドラムからの汚れが駆動部に付着して磁力が低下することに起因する、従動部の回転不良が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】カラープリンタを示す概略構成図である。
【図2】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す側面図である。
【図3】(a)は駆動伝達装置を示す断面斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す断面図である。
【図4】(a)は駆動伝達装置を示す断面斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す断面図である。
【図5】(a)は駆動伝達装置を示す断面斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す断面図である。
【図6】従動部を示す斜視図である。
【図7】(a)は変形例の駆動伝達装置を示す断面斜視図であり、(b)は変形例の駆動伝達装置を示す断面図である。
【図8】(a)は第2の実施形態の駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は第2の実施形態の駆動伝達装置を示す側面図である。
【図9】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す断面図である。
【図10】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す一部断面図である。
【図11】(a)は第3の実施形態の駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は第3の実施形態の駆動伝達装置を示す側面図である。
【図12】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す一部断面図である。
【図13】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は図13(a)におけるXの拡大図である。
【図14】(a)は第4の実施形態の駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は第4の実施形態の駆動伝達装置を示す側面図である。
【図15】駆動伝達装置を組み立てる際の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(1)第1の実施形態
(カラープリンタの構成)
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態のカラープリンタ1を示す概略構成図である。画像形成装置の一例であるカラープリンタ1は、画像形成ユニット10C,10M,10Y,10K、制御部20、一次転写装置200、給紙装置300、二次転写装置400、定着装置500および駆動伝達装置600で概略構成されている。カラープリンタ1は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の色成分の重ね合わせた画像を用紙Pに印刷する。
【0025】
カラープリンタ1には、C,M,Y,Kの各色ごとに、画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kが、一次転写装置200に沿って予め定められた間隔をおいて横並びに配列されている。カラープリンタ1は、PC(Personal Computer)や画像読取装置等の図示省略した画像出力装置から予め定められた通信回線を経て画像データが制御部20に供給される。
【0026】
制御部20は、供給された画像データに基づき、各画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kに画像形成の制御指令を発する。また、制御部20はこの画像形成動作を含めて、カラープリンタ1全体の動作を制御する。
【0027】
画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kは同一構成であり、制御部20から供給される画像データに応じてレーザ光を走査するレーザ光走査装置11と、このレーザ光走査装置11の下方に配置され、レーザ光走査装置11で走査されたレーザ光により静電潜像が形成される現像装置100とを有している。レーザ光走査装置11は、各色の画像データに応じて変調したレーザ光を偏向走査して、回転体の一例である感光体ドラム110に照射する。
【0028】
現像装置100は、レーザ光走査装置11からレーザ光の照射を受ける感光体ドラム110を有している。この感光体ドラム110は、図2に示す駆動伝達装置600により駆動されて、矢印A方向に回転する。感光体ドラム110の周囲には、感光体ドラム110の表面を掃除するクリーニング装置120と、感光体ドラム110の表面を帯電する帯電器130と、感光体ドラム110の表面に形成された静電潜像を現像する現像器140が、この順で矢印A方向に沿って設けられている。
【0029】
この現像装置100によると、回転する感光体ドラム110が帯電器130により帯電され、その表面に、レーザ光走査装置11からレーザ光が照射され、これによって各色の画像データに応じた静電潜像が形成される。次に、静電潜像が現像器140を通過することにより現像器140から感光体ドラム110の表面にトナーが供給され、その表面に、静電潜像のみにトナーが残ってトナー像が現像される。
【0030】
次に感光体ドラム110上のトナー像が、矢印B方向に循環回転している一次転写装置200の転写ベルト210上に一次転写される。一次転写後、感光体ドラム110の表面にはトナーが残存する。その残存したトナーは、クリーニング装置120により感光体ドラム110の表面から掻き落とされる。
【0031】
一次転写装置200は、上記のように感光体ドラム110から転写ベルト210にトナー像を受けて一次転写のプロセスを担うものであり、各画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kを通過することにより、転写ベルト210上には各色のトナー像が多重転写される。転写ベルト210は、駆動ロール220、従動ロール231,232、ステアリングロール240およびバックアップロール250に巻き回されており、駆動ロール220によって予め定められた速度で矢印B方向に循環回転させられる。
【0032】
転写ベルト210の内周側には、各画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kの感光体ドラム110との間に転写ベルト210を挟み、感光体ドラム110と連れ回りする一次転写ロール260が回転自在に設けられている。転写ベルト210を挟んで従動ロール232と対向する位置には、転写ベルト210の表面を掃除するベルトクリーナ270が設けられている。ベルトクリーナ270は、転写ベルト210の表面に残存したトナーを掻き落とす。
【0033】
給紙装置300は、多数の用紙Pが積載される給紙保管部310と、給紙保管部310から1枚の用紙Pを引き出す抽出ロール320と、二次転写装置400に向けて間隔をおいて設けられた複数の搬送ロール対330と、用紙Pの搬送方向先端を揃え、かつ、所定のタイミングで二次転写装置400に送り込むレジストロール対340とを備えており、給紙保管部310から二次転写装置400にわたって、用紙搬送路350が形成されている。
【0034】
二次転写装置400は、バックアップロール250との間に転写ベルト210を挟み、バックアップロール250との間に転写圧を発生させながら連れ回りする二次転写ロール410を備えている。二次転写装置400においては、給紙保管部310から用紙搬送路350を搬送された用紙Pが、転写ベルト210上のトナー像とタイミングを合わせて転写ベルト210と二次転写ロール410との間に挿入され、用紙P上にトナー像が二次転写される。二次転写された用紙Pは、搬送ベルト420により定着装置500に送られる。
【0035】
定着装置500は、用紙Pの搬送方向において二次転写装置400の下流側に設けられている。定着装置500は、加圧装置520と加熱装置530との間に用紙Pを加熱しながら挟んで搬送することにより、用紙P上に二次転写像を定着させる。
【0036】
(駆動伝達装置の構成)
次に、駆動伝達装置600について図2〜6を参照して説明する。駆動伝達装置600は、図3に示すように、従動部610と、駆動部620と、カバーの一例であるフレーム6と、清掃部材の一例であるブラシ630とで概略構成されている。駆動伝達装置600は、図3(b)に示すように、フレーム6を挟んで従動部610が駆動部620を覆う構成である。駆動伝達装置600は、図2に示すように、カバーの他方の側の一例であるフレーム6の内側に設けられた感光体ドラム110を駆動する。
【0037】
ここで、感光体ドラム110は、図3に示すように、回転軸の一例であるシャフト111を有している。シャフト111は、固定部材112により感光体ドラム110に固定されている。シャフト111は、図4(b)に示すように、従動部610の固定部611および接続部612を貫通して着磁部613の内側に突出している。
【0038】
従動部610は、図3(b)に示すように、感光体ドラム110の軸線上に回転中心が位置するように感光体ドラム110の一端部に固定されている。従動部610は、フレーム6の内側に設けられている。従動部610は、感光体ドラム110側から順に、固定部611と、接続部612と、着磁部613とで概略構成されている。従動部610は、フレーム6の支持部62に回転自在に支持されている。従動部610は、駆動部620に接触せずに、駆動部620の磁力により図6の矢印C方向に回転させられて、感光体ドラム110を回転させる。
【0039】
固定部611は、固定部材112により従動部610が感光体ドラム110の一端部に固定されるための部分である。接続部612は、フレーム6の支持部62が嵌るように円筒状に形成されている。接続部612は、支持部62の第2支持部62bにより従動部610が回転自在に支持されるための部分である。着磁部613は、駆動部620の着磁部622の磁力が及ぶ範囲に配置されている。着磁部613は、円筒状に形成されている。着磁部613の内側は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。
【0040】
駆動部620は、図2(b)に示すように、カバーの一方の側の一例であるフレーム6の外側に設けられている。駆動部620は、被駆動部621と、着磁部622とで概略構成されている。駆動部620は、径の異なる2つの円筒部を有する回転体のそれぞれに被駆動部621と着磁部622が形成されている。駆動部620は、内側がフレーム6の支持部62の外側に接して、フレーム6の支持部62に回転可能に支持されている。駆動部620は、従動部610に接触せずに磁力により従動部610を回転させる。
【0041】
被駆動部621は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。被駆動部621は、磁力により回転し、図示省略したモータなどの駆動手段の駆動力を伝達する。
【0042】
着磁部622は、図3(b)に示すように、隔壁部61と予め定められた隙間を有するように、隔壁部61の内側に配置されている。また、着磁部622は、従動部610の着磁部613に磁力が及ぶ範囲に配置されている。着磁部622は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極が交互に着磁されている。着磁部622は、被駆動部621が回転するのに伴って回転する。着磁部622は、回転すると磁力により従動部610の着磁部613を回転させる。
【0043】
駆動部620の磁力が及ぶ範囲は、フレーム6を挟んで駆動部620に対向する範囲である。第1の実施形態において駆動部620の磁力が及ぶ範囲は、フレーム6の隔壁部61を挟んで駆動部620の着磁部622に対向する範囲である。具体的には、駆動部620の着磁部622から15mm程度の範囲である。なお、駆動部620の磁力が及ぶ範囲は、磁力やフレーム6の厚みなどにより変動する。
【0044】
フレーム6は、図3(b)に示すように、従動部610と駆動部620との間に設けられている。フレーム6は、磁力を遮断しない材料であるポリアセタール(POM)などの樹脂により形成されている。そのため、フレーム6が磁力を遮断せず、駆動部620が磁力により従動部610を回転させることが可能となる。フレーム6は、隔壁部61と、支持部62とを有している。フレーム6は、感光体ドラム110、従動部610および駆動部620を支持する。また、フレーム6は、フレーム6の内側から外側に、飛散したトナーなどの汚れが移動するのを防止する。
【0045】
隔壁部61は、底部分が従動部610側に突出するように有底円筒状に形成されている。隔壁部61の内側には、駆動部620の着磁部622が配置されている。隔壁部61は、従動部610の着磁部613と駆動部620の着磁部622とを隔てる壁として機能する。
【0046】
支持部62は、隔壁部61の底部分の中央部分に、フレーム6の両側に突出するように形成されている。また、支持部62は、底部分が駆動部620側に突出するように有底円筒状に形成されている。支持部62は、第1支持部62aと、第2支持部62bと、第3支持部62cとを有している。第1支持部62a、第2支持部62bおよび第3支持部62cは、単一の部材で構成され、同軸上に配置されている。
【0047】
第1支持部62aは、フレーム6の外側に設けられている。第1支持部62aは、フレーム6の外側に突出した支持部62の外側部分である。第1支持部62aは、駆動部620の内側と接している。第1支持部62aは、駆動部620の回転中心が第1支持部62aの軸線上に位置するように、駆動部620を回転自在に支持している。
【0048】
第2支持部62bは、フレーム6の内側に設けられている。第2支持部62bは、フレーム6の内側に突出した支持部62の外側部分である。第2支持部62bは、従動部610の接続部612に嵌っている。第2支持部62bは、従動部610の回転中心が第2支持部62bの軸線上に位置するように、従動部610を回転自在に支持している。第2支持部62bは、駆動部620と従動部610とが同軸上に位置するように、従動部610を支持している。
【0049】
第3支持部62cは、フレーム6の内側に設けられている。第3支持部62cは、支持部62の内側部分である。第3支持部62cには、感光体ドラム110のシャフト111が嵌っている。第3支持部62cは、感光体ドラム110の回転中心が第3支持部62cの軸線上に位置するように、シャフト111を回転自在に支持している。第3支持部62cは、駆動部620と感光体ドラム110とが同軸上に位置するように、シャフト111を支持している。
【0050】
第3支持部62cおよびシャフト111は、軸方向において第3支持部62cの長さとフレーム6側へのシャフト111の突出部分の長さとが調整されて形成されている。そのため、駆動伝達装置600が組み立てられる際、駆動部620の磁力が従動部610に及ばない範囲においてシャフト111が第3支持部62cに挿入され、その後、シャフト111が第3支持部62cに挿入された状態のまま従動部610が駆動部620の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成となっている。
【0051】
ブラシ630は、図3(b)に示すように、フレーム6の隔壁部61に接触するように従動部610の着磁部613に固定されている。ブラシ630は、図6に示すように、着磁部613の開口側から、軸方向に延びて従動部610が回転する回転方向(図6の矢印C方向)に向かって傾斜している。ブラシ630は、従動部610が回転した際に、フレーム6の隔壁部61に付着したトナーなどの汚れを掻き落としてフレーム6の隔壁部61を清掃する。また、フレーム6の隔壁部61と従動部610の着磁部613との間に存在する汚れを掃き出す。
【0052】
(カラープリンタの動作)
次に、カラープリンタ1の動作について説明する。カラープリンタ1は、それぞれの感光体ドラム110の表面に形成されたC,M,Y,Kの各色のトナー像を転写ベルト210に順次一次転写する。次いで、カラープリンタ1は、二次転写装置400によって転写ベルト210上の一次転写像を給紙装置300から搬送された用紙Pに二次転写する。そして、カラープリンタ1は、用紙Pを定着装置500に送り、二次転写像を用紙Pに定着させ、用紙Pを図示省略した排出部に排出する。
【0053】
(駆動伝達装置の動作)
次に、駆動伝達装置600の動作について説明する。駆動伝達装置600は、図示省略した駆動手段により被駆動部621が回転し、被駆動部621が回転するのに伴って駆動部620の着磁部622が回転する。駆動部620の着磁部622が回転すると、従動部610の着磁部613が磁力により回転して、感光体ドラム110を回転させる。また、従動部610が回転するのに伴って、ブラシ630がフレーム6の隔壁部61を清掃し、フレーム6の隔壁部61と従動部610の着磁部613との間に存在するトナーなどの汚れを掃き出す。
【0054】
(駆動伝達装置の組み立て)
次に、駆動伝達装置600の組み立てについて図3〜図5を参照して説明する。まず、駆動部620が支持部62の第1支持部62aに取り付けられる。次いで、図4に示すように、従動部610が取り付けられた感光体ドラム110のシャフト111の第3支持部62cへの挿入が開始される(図4の矢印D方向)。シャフト111の挿入が開始されると、図5に示すように、従動部610の着磁部613に駆動部620の着磁部622の磁力が及ばない範囲において、感光体ドラム110のシャフト111が第3支持部62cに挿入される(図5の矢印D方向)。その後、図3に示すように、従動部610の着磁部613がフレーム6の隔壁部61を挟んで駆動部620の着磁部622に対向する位置に軸方向に移動させられて、組み立てられる。
【0055】
(第1の実施形態の優位性)
第1の実施形態によれば、従動部610と駆動部620との間に樹脂製のフレーム6を備えているため、感光体ドラム110があるフレーム6の内側から駆動部620があるフレーム6の外側に、キャリアなどの磁性物質やトナーなどの汚れが飛散するのを防止する。そのため、磁性物質であるキャリアなどの汚れが駆動部620に付着して磁力が低下することに起因する、従動部610の回転不良が発生するのを防止する。
【0056】
また、第1の実施形態によれば、フレーム6は第1支持部62aおよび第2支持部62bを有しているため、駆動部620と従動部610とが同軸上に保持される。そのため、駆動部620と従動部610との軸がずれるのを防止して、伝達不良による従動部610の回転不良が発生するのを防止する。
【0057】
また、第1の実施形態によれば、フレーム6は第1支持部62aおよび第3支持部62cを有しているため、駆動部620と従動部610とが同軸上に保持される。そのため、駆動部620と従動部610との軸がずれるのを防止して、伝達不良による従動部610の回転不良が発生するのを防止する。
【0058】
また、第1の実施形態によれば、駆動伝達装置600が組み立てられる際、駆動部620の磁力が従動部610に及ばない範囲においてシャフト111が第3支持部62cに挿入され、その後、従動部610が駆動部620の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられるため、シャフト111が第3支持部62cに挿入される前に、従動部610が駆動部620に引き付けられてシャフト111の位置が移動するのを防止する。そのため、駆動伝達装置600を組み立てる際、シャフト111が第3支持部62cに挿入できなくなるのを防止する。
【0059】
また、第1の実施形態によれば、ブラシ630を備えているため、従動部610の着磁部613が回転することにより、従動部610側のフレーム6に付着したキャリアやトナーなどの汚れを掻き落とし、フレーム6を清掃する。そのため、従動部610が汚れるのを防止する。
【0060】
(変形例)
次に、駆動部650の変形例について図7を参照して説明する。駆動部650は、モータ基部651と、コイル652とで概略構成されている。モータ基部651は、円筒状に形成された突起部651aを有している。突起部651aは、軸中心が第1支持部62aの軸線上に位置するように取り付けられている。コイル652は、モータ基部651の突起部651aに巻き回されて取り付けられている。駆動部620は、コイル652に電流を供給することによって、磁力により従動部610を回転させて、感光体ドラム110を回転させる。このように、駆動部620は、従動部610に接触せずに磁力により従動部610を回転させる構成であればよい。
【0061】
なお、駆動伝達装置600により感光体ドラム110を駆動する構成とする場合に限らず、駆動伝達装置600により、回転体のその他の例として搬送ロール対330や駆動ロール220などのロール機構を駆動する構成としてもよい。
【0062】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態は、上記第1の実施形態の駆動伝達装置600を変更したものである。したがって、主に変更した部分について説明し、第1の実施形態と同様な構成の説明は省略する。
【0063】
(駆動伝達装置の構成)
駆動伝達装置700について図8〜10を参照して説明する。駆動伝達装置700は、図9に示すように、従動部710と、駆動部720と、カバーの一例であるフレーム7と、清掃部材の一例であるブラシ730とで概略構成されている。駆動伝達装置700は、図9(b)に示すように、フレーム7を挟んで駆動部720が従動部710を覆う構成である。駆動伝達装置700は、図8に示すように、カバーの他方の側の一例であるフレーム7の内側に設けられた感光体ドラム110を駆動する。感光体ドラム110のシャフト111は、図9(b)に示すように、従動部710の着磁部713を貫通し、側面視で従動部710からフレーム7側に突出している。
【0064】
従動部710は、図9に示すように、フレーム7の内側に設けられている。従動部710は、第2支持部72bに回転自在に支持されている。従動部710は、着磁部713を有している。着磁部713は、円筒状に形成されている。着磁部713の外側は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。着磁部713の内側は、第2支持部72bの外側に接している。従動部710は、駆動部720に接触せずに駆動部720の磁力により回転させられて、感光体ドラム110を回転させる。
【0065】
駆動部720は、図8に示すように、カバーの一方の側の一例であるフレーム7の外側に設けられている。駆動部720は、被駆動部720と、着磁部722とで概略構成されている。駆動部720は、径の異なる2つの円筒部を有する回転体のそれぞれに被駆動部720と着磁部722が形成されている。駆動部720は、内側が第1支持部72aの外側に接して、第1支持部72aに回転自在に支持されている。駆動部720は、従動部710に接触せずに磁力により従動部710を回転させる。第2の実施形態において駆動部720の磁力が及ぶ範囲は、第1支持部72aを挟んで駆動部720の着磁部722に対向する内側の範囲である。
【0066】
フレーム7は、図10に示すように、従動部710と駆動部720との間に設けられている。フレーム7は、第1支持部72aと、第2支持部72bと、第3支持部72cとを有している。第1支持部72a、第2支持部72bおよび第3支持部72cは、同軸上に配置されている。
【0067】
第1支持部72aは、フレーム7の外側に設けられている。第1支持部72aは、底部分が駆動部720側に突出するように、有底円筒状に形成されている。第1支持部72aは、駆動部720の内側と接している。第1支持部72aは、駆動部720の回転中心が第1支持部72aの軸線上に位置するように、駆動部720を回転自在に支持している。
【0068】
第2支持部72bは、フレーム7の内側に設けられている。第2支持部72bは、第1支持部72aの中央部分で、底部分が駆動部720側に突出するように、有底円筒状に形成されている。第2支持部72bは、フレーム7の内側に突出した円筒部分の外側である。第2支持部72bは、従動部710の着磁部713の内側に接している。第2支持部72bは、従動部710の回転中心が第2支持部72bの軸線上に位置するように、従動部710を回転自在に支持している。第2支持部72bは、駆動部720と従動部710とが同軸上に位置するように、従動部710を支持している。
【0069】
第3支持部72cは、フレーム7の内側に設けられている。第3支持部72cは、円筒部分の内側部分である。第3支持部72cには、感光体ドラム110のシャフト111が嵌っている。第3支持部72cは、感光体ドラム110の回転中心が第3支持部72cの軸線上に位置するように、シャフト111を回転自在に支持している。第3支持部72cは、駆動部720と感光体ドラム110とが同軸上に位置するように、シャフト111を支持している。
【0070】
第3支持部72cおよびシャフト111は、軸方向において第3支持部72cの長さとフレーム7側へのシャフト111の突出部分の長さとが調整されて形成されている。そのため、駆動伝達装置700が組み立てられる際、駆動部720の着磁部722の磁力が従動部710の着磁部713に及ばない範囲においてシャフト111が第3支持部72cに挿入され、その後、シャフト111が第3支持部72cに挿入された状態のまま従動部710が駆動部720の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成となっている。
【0071】
ブラシ730は、図9(b)に示すように、フレーム7の第1支持部72aに接触するように従動部710の着磁部713の外側に固定されている。ブラシは、図10(a)に示すように、フレーム側から軸方向に延びて従動部710が回転する回転方向と逆方向に向かって傾斜している。ブラシ730は、従動部710が回転した際に、フレーム7の第1支持部72aの内側に付着したトナーなどの汚れを掻き落としてフレーム7の第1支持部72aを清掃する。また、フレーム7の第1支持部72aと従動部710の着磁部713との間に存在する汚れを掃き出す。
【0072】
(駆動伝達装置の組み立て)
次に、駆動伝達装置700の組み立てについて図9および図10を参照して説明する。まず、駆動部720が第1支持部72aに取り付けられる。次いで、従動部710が取り付けられた感光体ドラム110のシャフト111の第3支持部72cへの挿入が開始される。シャフト111の挿入が開始されると、図10に示すように、従動部710の着磁部713に駆動部720の着磁部722の磁力が及ばない範囲において、感光体ドラム110のシャフト111が第3支持部72cに挿入される(図10の矢印E方向)。その後、図9に示すように、従動部710の着磁部713がフレーム7の隔壁部を挟んで駆動部720の着磁部722に対向する位置に軸方向に移動させられて、組み立てられる。
【0073】
(3)第3の実施形態
第3の実施形態は、上記第1の実施形態の駆動伝達装置600を変更したものである。したがって、主に変更した部分について説明し、第1の実施形態と同様な構成の説明は省略する。
【0074】
(駆動伝達装置の構成)
駆動伝達装置800について、図11〜13を参照して説明する。駆動伝達装置800は、図11(b)に示すように、従動部810と、駆動部820と、カバーの一例であるフレーム8と、清掃部材の一例であるブラシ830とで概略構成されている。駆動伝達装置800は、図12(b)に示すように、従動部810の着磁部分と駆動部820の着磁面822とを軸方向に並べた構成である。駆動伝達装置800は、図11に示すように、カバーの他方の側の一例であるフレーム8の内側に設けられた感光体ドラム110を駆動する。感光体ドラム110のシャフト111は、図13に示すように、従動部810を貫通してフレーム8側に突出している。
【0075】
従動部810は、図12に示すように、感光体ドラム110の軸線上に回転中心が位置するように感光体ドラム110の一端部に固定されている。従動部810は、フレーム8の内側に設けられている。従動部810の着磁部分は、図13(b)に示すように、従動部810のフレーム8側の側面に形成されている。従動部810の着磁部分は、周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。従動部810は、駆動部820に接触せずに駆動部820の磁力により回転させられて、感光体ドラム110を回転させる。
【0076】
駆動部820は、図11に示すように、カバーの一方の側の一例であるフレーム8の外側に設けられている。駆動部820は、円筒状に形成されている。駆動部820は、内側がフレーム8の支持部82の外側に接して、フレーム8の支持部82に回転自在に支持されている。駆動部820は、図13に示すように、フレーム8側の側面に着磁面822を有している。着磁面822は、フレーム8を挟んで従動部810の着磁部分に対向している。
【0077】
駆動部820は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。駆動部820は、外周面に対向する位置に設けられた図示省略したモータなどの駆動手段により回転させられる。駆動部820は、従動部810に接触せずに磁力により従動部810を回転させる。第3の実施形態において駆動部820の磁力が及ぶ範囲は、フレーム8を挟んで駆動部820の着磁面822に対向する範囲である。
【0078】
フレーム8は、図11に示すように、従動部810と駆動部820との間に設けられている。フレーム8は、支持部82を有している。支持部82は、底部分が駆動部820側に突出するように、有底円筒状に形成されている。支持部82は、第1支持部82aと、第3支持部82cとを有している。第1支持部82aおよび第3支持部82cは、単一の部材で構成され、同軸上に配置されている。
【0079】
第1支持部82aは、フレーム8の外側に設けられている。第1支持部82aは、フレーム8の外側に突出した支持部82の外側部分である。第1支持部82aは、駆動部820の内側と接している。第1支持部82aは、駆動部820の回転中心が第1支持部82aの軸線上に位置するように、駆動部820を回転自在に支持している。
【0080】
第3支持部82cは、フレーム8の内側に設けられている。第3支持部82cは、支持部82の内側部分である。第3支持部82cには、感光体ドラム110のシャフト111が嵌っている。第3支持部82cは、感光体ドラム110の回転中心が第3支持部82cの軸線上に位置するように、シャフト111を回転自在に支持している。第3支持部82cは、駆動部820と感光体ドラム110とが同軸上に位置するように、シャフト111を支持している。
【0081】
第3支持部82cおよびシャフト111は、軸方向において第3支持部82cの長さとフレーム8側へのシャフト111の突出部分の長さとが調整されて形成されている。そのため、駆動伝達装置800が組み立てられる際、駆動部820の着磁面822の磁力が従動部810に及ばない範囲においてシャフト111が第3支持部82cに挿入され、その後、シャフト111が第3支持部82cに挿入された状態のまま従動部810が駆動部820の着磁面822の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成となっている。
【0082】
ブラシ830は、図13に示すように、従動部810の着磁部分の径方向に延びて、フレーム8に接触するように従動部810の着磁部分に固定されている。ブラシ830は、従動部810が回転した際に、フレーム8の内側に付着したトナーなどの汚れを掻き落としてフレーム8を清掃する。
【0083】
(駆動伝達装置の組み立て)
次に、駆動伝達装置800の組み立てについて図12および図13を参照して説明する。まず、駆動部820が第1支持部82aに取り付けられる。次いで、従動部810が取り付けられた感光体ドラム110のシャフト111の第3支持部82cへの挿入が開始される。シャフト111の挿入が開始されると、図13に示すように、従動部810の着磁部分に駆動部820の着磁面822の磁力が及ばない範囲において、感光体ドラム110のシャフト111が第3支持部82cに挿入される(図13(a)の矢印F方向)。その後、図12に示すように、従動部810がフレーム8を挟んで駆動部820の着磁面822に対向する位置に軸方向に移動させられて、組み立てられる。
【0084】
(4)第4の実施形態
第4の実施形態は、上記第1の実施形態の駆動伝達装置600を変更したものである。したがって、主に変更した部分について説明し、第1の実施形態と同様な構成の説明は省略する。
【0085】
(駆動伝達装置の構成)
駆動伝達装置900について、図14および図15を参照して説明する。駆動伝達装置900は、図14(b)に示すように、従動部910と、駆動部920と、伝達部940と、カバーの一例であるフレーム9と、清掃部材の一例であるブラシ930とで概略構成されている。駆動伝達装置900は、フレーム9を挟んで従動部910の外周面と駆動部920の外周面とが対向する構成である。駆動伝達装置900は、図14に示すように、カバーの他方の側の一例であるフレーム9の内側に設けられた感光体ドラム110を駆動する。シャフト111は、図14(b)に示すように、従動部910を貫通してフレーム9側に突出している。
【0086】
従動部910は、図14(b)に示すように、感光体ドラム110の軸線上に回転中心が位置するように感光体ドラム110の一端部に固定されている。従動部910は、フレーム9の内側に設けられている。従動部910は、着磁部913を有している。着磁部913は、隔壁部91と予め定められた隙間を有するように、隔壁部91の内側に配置されている。従動部910は、駆動部920に接触せずに駆動部920の磁力によりに回転させられて、感光体ドラム110を回転させる。
【0087】
駆動部920は、図14(b)に示すように、カバーの一方の側の一例であるフレーム9の外側に設けられている。また、駆動部920は、マイラー93を挟んで駆動部920の外周面と従動部910の外周面とが対向する位置に設けられている。駆動部920は、ロールである。駆動部920は、フレーム9に軸が固定されている。駆動部920は、伝達部940が回転するのに伴って磁力により回転する。駆動部920は、回転すると、従動部910に接触せずに磁力により従動部910を回転させる。
【0088】
第4の実施形態において駆動部920の磁力が及ぶ範囲は、マイラー93を挟んで駆動部920に対向する範囲である。駆動部920の磁力が及ぶ範囲は、マイラー93がフレーム9より薄いため、第1〜3の実施形態の駆動部の磁力が及ぶ範囲に比べて広くなる。
【0089】
伝達部940は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。伝達部940は、磁力により回転し、図示省略したモータなどの駆動手段の駆動力を駆動部920に伝達する。
【0090】
フレーム9は、図14に示すように、従動部910と駆動部920との間に設けられている。フレーム9は、隔壁部91と、案内部の一例であるガイド92と、フィルムの一例であるマイラー93とを有している。
【0091】
隔壁部91は、図14(a)に示すように、フレーム9の端部から従動部910の着磁部913の半径方向に延びて形成されている。また、隔壁部91は、図14(b)に示すように、底部分がフレーム9の外側に突出するように、側面視でコ字状に形成されている。隔壁部91は、従動部910の着磁部913と駆動部920とを隔てる壁として機能する。隔壁部91の内側には、従動部910の着磁部913が配置されている。
【0092】
ガイド92は、図14(a)に示すように、隔壁部91の底部分に、フレーム9の端部から従動部910の着磁部913の半径方向に延びて形成されている。また、ガイド92は、図14(b)に示すように、底部分が駆動部920側に突出するように、側面視でコ字状に形成されている。ガイド92は、駆動伝達装置900を組み立てる際シャフト111を従動部910の半径方向に案内して、マイラー93を挟んで駆動部920と従動部910の着磁部913とが対向する位置でシャフト111を支持する。
【0093】
マイラー93は、図14(a)に示すように、駆動部920と従動部910の着磁部913との間で、隔壁部91の一部が除去された部分に固定されている。つまり、マイラー93は、駆動部920と従動部910の着磁部913との間の隔壁部91の一部分がマイラー93で構成されている。マイラー93は、フレーム9に比べて薄く形成されている。
【0094】
ブラシ930は、図14(b)に示すように、フレーム9の隔壁部91に接触するように従動部910の着磁部913に固定されている。ブラシ930は、図15に示すように、フレーム9側から軸方向に延びて従動部910が回転する回転方向と逆方向に向かって傾斜している。ブラシ930は、従動部910が回転した際に、フレーム9の隔壁部91に付着したトナーなどの汚れを掻き落としてフレーム9の隔壁部91を清掃する。また、フレーム9の隔壁部91と従動部910の着磁部913との間に存在する汚れを掃き出す。
【0095】
(駆動伝達装置の組み立て)
次に、駆動伝達装置900の組み立てについて図14および図15を参照して説明する。まず、駆動部920がフレーム9に取り付けられる。次いで、従動部910が取り付けられた感光体ドラム110のシャフト111のガイド92への挿入が開始される。シャフト111の挿入が開始されると、従動部910の着磁部913に駆動部920の磁力が及ばない範囲において、感光体ドラム110のシャフト111がガイド92に挿入される(図15の矢印G方向)。その後、図14に示すように、従動部910の着磁部913がマイラー93を挟んで駆動部920に対向する位置に移動させられて、組み立てられる。
【0096】
(第4の実施形態の優位性)
第4の実施形態によれば、駆動伝達装置900が組み立てられる際、駆動部920の磁力が従動部910の着磁部913に及ばない範囲においてシャフト111がガイド92に挿入され、その後、従動部610の着磁部613が駆動部620の磁力が及ぶ範囲に移動させられるため、シャフト111がガイド92に挿入される前に、従動部610が駆動部620に引き付けられてシャフト111の位置が移動するのを防止する。そのため、駆動伝達装置900を組み立てる際、シャフト111がガイド92に挿入できなくなるのを防止する。
【0097】
また、駆動部920と従動部910との間に、フレーム9より薄いマイラー93を有しているため、駆動部920と従動部910との間にフレーム9を設ける場合に比べて、駆動部920と従動部910との距離を縮められる。そのため、駆動部920と従動部910との間にフレーム9を有する場合に比べて、伝達不良による従動部910の回転不良が発生するのを防止する。
【0098】
(変形例)
なお、従動部910が隔壁部91の内側に配置されている構成とする場合に限らず、駆動部920が隔壁部の内側に配置されるような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、スキャナ機能、FAX機能、複写機能またはこれらの機能を備えた画像形成装置および駆動伝達装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…カラープリンタ、6…フレーム、92…ガイド、93…マイラー、62a…第1支持部、62b…第2支持部、62c…第3支持部、110…感光体ドラム、111…シャフト、600…駆動伝達装置、610…従動部、620…駆動部、630…ブラシ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動伝達装置を用いた装置としては、例えば特許文献1〜3に開示されたものがある。特許文献1に記載の画像形成装置では、モータの動力軸には磁石を取り付け、感光体ドラムの側面には鉄製のフランジを設け、これらが互いに吸着している状態で画像形成が行われるようにしている。さらに、磁石の半径と、吸着力と、感光体ドラムの負荷トルクとの間に、磁石の半径≧負荷トルク/吸着力なる関係が成り立つように磁石の半径を大きくしている。これにより、感光体ドラムを含むイメージングユニットの引き抜きを容易にしつつ、かつ感光体ドラムの駆動に当たって滑りが生じないようにしている。
【0003】
特許文献2に記載の画像形成装置では、駆動磁気車の円周錐面に、内蔵されている永久磁石により発生するN極帯とS極帯とが積層鉄心を介して凹凸形状に磁束分布が形成され、各従動磁気車の外周錐面にも同様に凹凸形状に磁束分布が形成されている。従動磁気車は駆動磁気車に対して軸を直角に交差し、互いの周面を非接触状態にて近接させた状態で支持されている。
【0004】
特許文献3に記載の画像形成装置では、複数の感光体ドラムと、駆動モータに連結された駆動軸と、各感光体ドラムの回転軸を磁気作用により非接触で駆動軸に磁気連結して駆動軸の回転を各感光体ドラムの回転軸にそれぞれ伝達する複数の磁気連結部とを備え、これらの磁気連結部における磁気連結強度を異ならせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−27885号公報
【特許文献2】特開2000−184691号公報
【特許文献3】特開2001−154442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、駆動部に汚れが付着して磁力が変化することに起因する、従動部の回転不良が発生するのを防止することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、円筒状に形成された駆動部と、前記駆動部に接触せずに前記駆動部の磁力により回転させられる従動部と、前記駆動部と前記従動部との間に設けられ、磁力を遮断しない材料により形成されたカバーとを備えることを特徴とする駆動伝達装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記カバーは、前記カバーの一方の側に前記駆動部を支持する第1支持部と、前記カバーの他方の側に前記駆動部と前記従動部とが同軸上に位置するように前記従動部を支持する第2支持部とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記従動部は、回転軸を有する回転体の軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記回転体の端部に固定されており、前記カバーは、前記カバーの一方の側に前記駆動部を支持する第1支持部と、前記カバーの他方の側に前記駆動部と前記回転体とが同軸上に位置するように前記回転軸を支持する第3支持部とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、組み立てられる際、前記駆動部の磁力が前記従動部に及ばない範囲において前記回転軸が前記第3支持部に挿入され、その後、前記従動部が前記駆動部の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成としたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記従動部は、回転軸を有する回転体の軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記回転体の端部に固定されており、前記カバーは、前記カバーの端部から前記従動部の半径方向に延びて、前記回転軸を前記半径方向に案内する案内部を有し、組み立てられる際、前記駆動部の磁力が前記従動部に及ばない範囲において前記回転軸が前記案内部に挿入され、その後、前記従動部が前記駆動部の磁力が及ぶ範囲に移動させられる構成としたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記カバーに接触するように前記従動部に固定され、前記従動部が回転することにより前記カバーを清掃する清掃部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記前記カバーは、前記カバーのいずれか一方の側に突出して前記駆動部または前記従動部を内側に配置する隔壁部と、前記隔壁部の一部が除去されて前記除去された部分に設けられたフィルムとを有し、前記フィルムを挟んで前記駆動部の外周面と前記従動部の外周面とが対向していることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、回転する感光体ドラムと、請求項1に記載の駆動伝達装置とを備え、前記従動部は、前記感光ドラムの軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記感光ドラムの端部に固定されており、前記カバーの一方の側に前記駆動部を配置し、前記カバーの他方の側に前記感光体ドラムを備えた前記従動部を配置したことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、駆動部に汚れが付着して磁力が変化することに起因する、従動部の回転不良が発生するのを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、駆動部と従動部との軸がずれるのを防止することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、駆動部と従動部との軸がずれるのを防止することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、回転軸が第3支持部に挿入できなくなるのを防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、回転軸が案内部に挿入できなくなるのを防止することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、従動部が汚れるのを防止することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、駆動部と従動部との距離を縮めることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、感光体ドラムからの汚れが駆動部に付着して磁力が低下することに起因する、従動部の回転不良が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】カラープリンタを示す概略構成図である。
【図2】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す側面図である。
【図3】(a)は駆動伝達装置を示す断面斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す断面図である。
【図4】(a)は駆動伝達装置を示す断面斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す断面図である。
【図5】(a)は駆動伝達装置を示す断面斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す断面図である。
【図6】従動部を示す斜視図である。
【図7】(a)は変形例の駆動伝達装置を示す断面斜視図であり、(b)は変形例の駆動伝達装置を示す断面図である。
【図8】(a)は第2の実施形態の駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は第2の実施形態の駆動伝達装置を示す側面図である。
【図9】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す断面図である。
【図10】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す一部断面図である。
【図11】(a)は第3の実施形態の駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は第3の実施形態の駆動伝達装置を示す側面図である。
【図12】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は駆動伝達装置を示す一部断面図である。
【図13】(a)は駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は図13(a)におけるXの拡大図である。
【図14】(a)は第4の実施形態の駆動伝達装置を示す斜視図であり、(b)は第4の実施形態の駆動伝達装置を示す側面図である。
【図15】駆動伝達装置を組み立てる際の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(1)第1の実施形態
(カラープリンタの構成)
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態のカラープリンタ1を示す概略構成図である。画像形成装置の一例であるカラープリンタ1は、画像形成ユニット10C,10M,10Y,10K、制御部20、一次転写装置200、給紙装置300、二次転写装置400、定着装置500および駆動伝達装置600で概略構成されている。カラープリンタ1は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の色成分の重ね合わせた画像を用紙Pに印刷する。
【0025】
カラープリンタ1には、C,M,Y,Kの各色ごとに、画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kが、一次転写装置200に沿って予め定められた間隔をおいて横並びに配列されている。カラープリンタ1は、PC(Personal Computer)や画像読取装置等の図示省略した画像出力装置から予め定められた通信回線を経て画像データが制御部20に供給される。
【0026】
制御部20は、供給された画像データに基づき、各画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kに画像形成の制御指令を発する。また、制御部20はこの画像形成動作を含めて、カラープリンタ1全体の動作を制御する。
【0027】
画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kは同一構成であり、制御部20から供給される画像データに応じてレーザ光を走査するレーザ光走査装置11と、このレーザ光走査装置11の下方に配置され、レーザ光走査装置11で走査されたレーザ光により静電潜像が形成される現像装置100とを有している。レーザ光走査装置11は、各色の画像データに応じて変調したレーザ光を偏向走査して、回転体の一例である感光体ドラム110に照射する。
【0028】
現像装置100は、レーザ光走査装置11からレーザ光の照射を受ける感光体ドラム110を有している。この感光体ドラム110は、図2に示す駆動伝達装置600により駆動されて、矢印A方向に回転する。感光体ドラム110の周囲には、感光体ドラム110の表面を掃除するクリーニング装置120と、感光体ドラム110の表面を帯電する帯電器130と、感光体ドラム110の表面に形成された静電潜像を現像する現像器140が、この順で矢印A方向に沿って設けられている。
【0029】
この現像装置100によると、回転する感光体ドラム110が帯電器130により帯電され、その表面に、レーザ光走査装置11からレーザ光が照射され、これによって各色の画像データに応じた静電潜像が形成される。次に、静電潜像が現像器140を通過することにより現像器140から感光体ドラム110の表面にトナーが供給され、その表面に、静電潜像のみにトナーが残ってトナー像が現像される。
【0030】
次に感光体ドラム110上のトナー像が、矢印B方向に循環回転している一次転写装置200の転写ベルト210上に一次転写される。一次転写後、感光体ドラム110の表面にはトナーが残存する。その残存したトナーは、クリーニング装置120により感光体ドラム110の表面から掻き落とされる。
【0031】
一次転写装置200は、上記のように感光体ドラム110から転写ベルト210にトナー像を受けて一次転写のプロセスを担うものであり、各画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kを通過することにより、転写ベルト210上には各色のトナー像が多重転写される。転写ベルト210は、駆動ロール220、従動ロール231,232、ステアリングロール240およびバックアップロール250に巻き回されており、駆動ロール220によって予め定められた速度で矢印B方向に循環回転させられる。
【0032】
転写ベルト210の内周側には、各画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kの感光体ドラム110との間に転写ベルト210を挟み、感光体ドラム110と連れ回りする一次転写ロール260が回転自在に設けられている。転写ベルト210を挟んで従動ロール232と対向する位置には、転写ベルト210の表面を掃除するベルトクリーナ270が設けられている。ベルトクリーナ270は、転写ベルト210の表面に残存したトナーを掻き落とす。
【0033】
給紙装置300は、多数の用紙Pが積載される給紙保管部310と、給紙保管部310から1枚の用紙Pを引き出す抽出ロール320と、二次転写装置400に向けて間隔をおいて設けられた複数の搬送ロール対330と、用紙Pの搬送方向先端を揃え、かつ、所定のタイミングで二次転写装置400に送り込むレジストロール対340とを備えており、給紙保管部310から二次転写装置400にわたって、用紙搬送路350が形成されている。
【0034】
二次転写装置400は、バックアップロール250との間に転写ベルト210を挟み、バックアップロール250との間に転写圧を発生させながら連れ回りする二次転写ロール410を備えている。二次転写装置400においては、給紙保管部310から用紙搬送路350を搬送された用紙Pが、転写ベルト210上のトナー像とタイミングを合わせて転写ベルト210と二次転写ロール410との間に挿入され、用紙P上にトナー像が二次転写される。二次転写された用紙Pは、搬送ベルト420により定着装置500に送られる。
【0035】
定着装置500は、用紙Pの搬送方向において二次転写装置400の下流側に設けられている。定着装置500は、加圧装置520と加熱装置530との間に用紙Pを加熱しながら挟んで搬送することにより、用紙P上に二次転写像を定着させる。
【0036】
(駆動伝達装置の構成)
次に、駆動伝達装置600について図2〜6を参照して説明する。駆動伝達装置600は、図3に示すように、従動部610と、駆動部620と、カバーの一例であるフレーム6と、清掃部材の一例であるブラシ630とで概略構成されている。駆動伝達装置600は、図3(b)に示すように、フレーム6を挟んで従動部610が駆動部620を覆う構成である。駆動伝達装置600は、図2に示すように、カバーの他方の側の一例であるフレーム6の内側に設けられた感光体ドラム110を駆動する。
【0037】
ここで、感光体ドラム110は、図3に示すように、回転軸の一例であるシャフト111を有している。シャフト111は、固定部材112により感光体ドラム110に固定されている。シャフト111は、図4(b)に示すように、従動部610の固定部611および接続部612を貫通して着磁部613の内側に突出している。
【0038】
従動部610は、図3(b)に示すように、感光体ドラム110の軸線上に回転中心が位置するように感光体ドラム110の一端部に固定されている。従動部610は、フレーム6の内側に設けられている。従動部610は、感光体ドラム110側から順に、固定部611と、接続部612と、着磁部613とで概略構成されている。従動部610は、フレーム6の支持部62に回転自在に支持されている。従動部610は、駆動部620に接触せずに、駆動部620の磁力により図6の矢印C方向に回転させられて、感光体ドラム110を回転させる。
【0039】
固定部611は、固定部材112により従動部610が感光体ドラム110の一端部に固定されるための部分である。接続部612は、フレーム6の支持部62が嵌るように円筒状に形成されている。接続部612は、支持部62の第2支持部62bにより従動部610が回転自在に支持されるための部分である。着磁部613は、駆動部620の着磁部622の磁力が及ぶ範囲に配置されている。着磁部613は、円筒状に形成されている。着磁部613の内側は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。
【0040】
駆動部620は、図2(b)に示すように、カバーの一方の側の一例であるフレーム6の外側に設けられている。駆動部620は、被駆動部621と、着磁部622とで概略構成されている。駆動部620は、径の異なる2つの円筒部を有する回転体のそれぞれに被駆動部621と着磁部622が形成されている。駆動部620は、内側がフレーム6の支持部62の外側に接して、フレーム6の支持部62に回転可能に支持されている。駆動部620は、従動部610に接触せずに磁力により従動部610を回転させる。
【0041】
被駆動部621は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。被駆動部621は、磁力により回転し、図示省略したモータなどの駆動手段の駆動力を伝達する。
【0042】
着磁部622は、図3(b)に示すように、隔壁部61と予め定められた隙間を有するように、隔壁部61の内側に配置されている。また、着磁部622は、従動部610の着磁部613に磁力が及ぶ範囲に配置されている。着磁部622は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極が交互に着磁されている。着磁部622は、被駆動部621が回転するのに伴って回転する。着磁部622は、回転すると磁力により従動部610の着磁部613を回転させる。
【0043】
駆動部620の磁力が及ぶ範囲は、フレーム6を挟んで駆動部620に対向する範囲である。第1の実施形態において駆動部620の磁力が及ぶ範囲は、フレーム6の隔壁部61を挟んで駆動部620の着磁部622に対向する範囲である。具体的には、駆動部620の着磁部622から15mm程度の範囲である。なお、駆動部620の磁力が及ぶ範囲は、磁力やフレーム6の厚みなどにより変動する。
【0044】
フレーム6は、図3(b)に示すように、従動部610と駆動部620との間に設けられている。フレーム6は、磁力を遮断しない材料であるポリアセタール(POM)などの樹脂により形成されている。そのため、フレーム6が磁力を遮断せず、駆動部620が磁力により従動部610を回転させることが可能となる。フレーム6は、隔壁部61と、支持部62とを有している。フレーム6は、感光体ドラム110、従動部610および駆動部620を支持する。また、フレーム6は、フレーム6の内側から外側に、飛散したトナーなどの汚れが移動するのを防止する。
【0045】
隔壁部61は、底部分が従動部610側に突出するように有底円筒状に形成されている。隔壁部61の内側には、駆動部620の着磁部622が配置されている。隔壁部61は、従動部610の着磁部613と駆動部620の着磁部622とを隔てる壁として機能する。
【0046】
支持部62は、隔壁部61の底部分の中央部分に、フレーム6の両側に突出するように形成されている。また、支持部62は、底部分が駆動部620側に突出するように有底円筒状に形成されている。支持部62は、第1支持部62aと、第2支持部62bと、第3支持部62cとを有している。第1支持部62a、第2支持部62bおよび第3支持部62cは、単一の部材で構成され、同軸上に配置されている。
【0047】
第1支持部62aは、フレーム6の外側に設けられている。第1支持部62aは、フレーム6の外側に突出した支持部62の外側部分である。第1支持部62aは、駆動部620の内側と接している。第1支持部62aは、駆動部620の回転中心が第1支持部62aの軸線上に位置するように、駆動部620を回転自在に支持している。
【0048】
第2支持部62bは、フレーム6の内側に設けられている。第2支持部62bは、フレーム6の内側に突出した支持部62の外側部分である。第2支持部62bは、従動部610の接続部612に嵌っている。第2支持部62bは、従動部610の回転中心が第2支持部62bの軸線上に位置するように、従動部610を回転自在に支持している。第2支持部62bは、駆動部620と従動部610とが同軸上に位置するように、従動部610を支持している。
【0049】
第3支持部62cは、フレーム6の内側に設けられている。第3支持部62cは、支持部62の内側部分である。第3支持部62cには、感光体ドラム110のシャフト111が嵌っている。第3支持部62cは、感光体ドラム110の回転中心が第3支持部62cの軸線上に位置するように、シャフト111を回転自在に支持している。第3支持部62cは、駆動部620と感光体ドラム110とが同軸上に位置するように、シャフト111を支持している。
【0050】
第3支持部62cおよびシャフト111は、軸方向において第3支持部62cの長さとフレーム6側へのシャフト111の突出部分の長さとが調整されて形成されている。そのため、駆動伝達装置600が組み立てられる際、駆動部620の磁力が従動部610に及ばない範囲においてシャフト111が第3支持部62cに挿入され、その後、シャフト111が第3支持部62cに挿入された状態のまま従動部610が駆動部620の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成となっている。
【0051】
ブラシ630は、図3(b)に示すように、フレーム6の隔壁部61に接触するように従動部610の着磁部613に固定されている。ブラシ630は、図6に示すように、着磁部613の開口側から、軸方向に延びて従動部610が回転する回転方向(図6の矢印C方向)に向かって傾斜している。ブラシ630は、従動部610が回転した際に、フレーム6の隔壁部61に付着したトナーなどの汚れを掻き落としてフレーム6の隔壁部61を清掃する。また、フレーム6の隔壁部61と従動部610の着磁部613との間に存在する汚れを掃き出す。
【0052】
(カラープリンタの動作)
次に、カラープリンタ1の動作について説明する。カラープリンタ1は、それぞれの感光体ドラム110の表面に形成されたC,M,Y,Kの各色のトナー像を転写ベルト210に順次一次転写する。次いで、カラープリンタ1は、二次転写装置400によって転写ベルト210上の一次転写像を給紙装置300から搬送された用紙Pに二次転写する。そして、カラープリンタ1は、用紙Pを定着装置500に送り、二次転写像を用紙Pに定着させ、用紙Pを図示省略した排出部に排出する。
【0053】
(駆動伝達装置の動作)
次に、駆動伝達装置600の動作について説明する。駆動伝達装置600は、図示省略した駆動手段により被駆動部621が回転し、被駆動部621が回転するのに伴って駆動部620の着磁部622が回転する。駆動部620の着磁部622が回転すると、従動部610の着磁部613が磁力により回転して、感光体ドラム110を回転させる。また、従動部610が回転するのに伴って、ブラシ630がフレーム6の隔壁部61を清掃し、フレーム6の隔壁部61と従動部610の着磁部613との間に存在するトナーなどの汚れを掃き出す。
【0054】
(駆動伝達装置の組み立て)
次に、駆動伝達装置600の組み立てについて図3〜図5を参照して説明する。まず、駆動部620が支持部62の第1支持部62aに取り付けられる。次いで、図4に示すように、従動部610が取り付けられた感光体ドラム110のシャフト111の第3支持部62cへの挿入が開始される(図4の矢印D方向)。シャフト111の挿入が開始されると、図5に示すように、従動部610の着磁部613に駆動部620の着磁部622の磁力が及ばない範囲において、感光体ドラム110のシャフト111が第3支持部62cに挿入される(図5の矢印D方向)。その後、図3に示すように、従動部610の着磁部613がフレーム6の隔壁部61を挟んで駆動部620の着磁部622に対向する位置に軸方向に移動させられて、組み立てられる。
【0055】
(第1の実施形態の優位性)
第1の実施形態によれば、従動部610と駆動部620との間に樹脂製のフレーム6を備えているため、感光体ドラム110があるフレーム6の内側から駆動部620があるフレーム6の外側に、キャリアなどの磁性物質やトナーなどの汚れが飛散するのを防止する。そのため、磁性物質であるキャリアなどの汚れが駆動部620に付着して磁力が低下することに起因する、従動部610の回転不良が発生するのを防止する。
【0056】
また、第1の実施形態によれば、フレーム6は第1支持部62aおよび第2支持部62bを有しているため、駆動部620と従動部610とが同軸上に保持される。そのため、駆動部620と従動部610との軸がずれるのを防止して、伝達不良による従動部610の回転不良が発生するのを防止する。
【0057】
また、第1の実施形態によれば、フレーム6は第1支持部62aおよび第3支持部62cを有しているため、駆動部620と従動部610とが同軸上に保持される。そのため、駆動部620と従動部610との軸がずれるのを防止して、伝達不良による従動部610の回転不良が発生するのを防止する。
【0058】
また、第1の実施形態によれば、駆動伝達装置600が組み立てられる際、駆動部620の磁力が従動部610に及ばない範囲においてシャフト111が第3支持部62cに挿入され、その後、従動部610が駆動部620の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられるため、シャフト111が第3支持部62cに挿入される前に、従動部610が駆動部620に引き付けられてシャフト111の位置が移動するのを防止する。そのため、駆動伝達装置600を組み立てる際、シャフト111が第3支持部62cに挿入できなくなるのを防止する。
【0059】
また、第1の実施形態によれば、ブラシ630を備えているため、従動部610の着磁部613が回転することにより、従動部610側のフレーム6に付着したキャリアやトナーなどの汚れを掻き落とし、フレーム6を清掃する。そのため、従動部610が汚れるのを防止する。
【0060】
(変形例)
次に、駆動部650の変形例について図7を参照して説明する。駆動部650は、モータ基部651と、コイル652とで概略構成されている。モータ基部651は、円筒状に形成された突起部651aを有している。突起部651aは、軸中心が第1支持部62aの軸線上に位置するように取り付けられている。コイル652は、モータ基部651の突起部651aに巻き回されて取り付けられている。駆動部620は、コイル652に電流を供給することによって、磁力により従動部610を回転させて、感光体ドラム110を回転させる。このように、駆動部620は、従動部610に接触せずに磁力により従動部610を回転させる構成であればよい。
【0061】
なお、駆動伝達装置600により感光体ドラム110を駆動する構成とする場合に限らず、駆動伝達装置600により、回転体のその他の例として搬送ロール対330や駆動ロール220などのロール機構を駆動する構成としてもよい。
【0062】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態は、上記第1の実施形態の駆動伝達装置600を変更したものである。したがって、主に変更した部分について説明し、第1の実施形態と同様な構成の説明は省略する。
【0063】
(駆動伝達装置の構成)
駆動伝達装置700について図8〜10を参照して説明する。駆動伝達装置700は、図9に示すように、従動部710と、駆動部720と、カバーの一例であるフレーム7と、清掃部材の一例であるブラシ730とで概略構成されている。駆動伝達装置700は、図9(b)に示すように、フレーム7を挟んで駆動部720が従動部710を覆う構成である。駆動伝達装置700は、図8に示すように、カバーの他方の側の一例であるフレーム7の内側に設けられた感光体ドラム110を駆動する。感光体ドラム110のシャフト111は、図9(b)に示すように、従動部710の着磁部713を貫通し、側面視で従動部710からフレーム7側に突出している。
【0064】
従動部710は、図9に示すように、フレーム7の内側に設けられている。従動部710は、第2支持部72bに回転自在に支持されている。従動部710は、着磁部713を有している。着磁部713は、円筒状に形成されている。着磁部713の外側は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。着磁部713の内側は、第2支持部72bの外側に接している。従動部710は、駆動部720に接触せずに駆動部720の磁力により回転させられて、感光体ドラム110を回転させる。
【0065】
駆動部720は、図8に示すように、カバーの一方の側の一例であるフレーム7の外側に設けられている。駆動部720は、被駆動部720と、着磁部722とで概略構成されている。駆動部720は、径の異なる2つの円筒部を有する回転体のそれぞれに被駆動部720と着磁部722が形成されている。駆動部720は、内側が第1支持部72aの外側に接して、第1支持部72aに回転自在に支持されている。駆動部720は、従動部710に接触せずに磁力により従動部710を回転させる。第2の実施形態において駆動部720の磁力が及ぶ範囲は、第1支持部72aを挟んで駆動部720の着磁部722に対向する内側の範囲である。
【0066】
フレーム7は、図10に示すように、従動部710と駆動部720との間に設けられている。フレーム7は、第1支持部72aと、第2支持部72bと、第3支持部72cとを有している。第1支持部72a、第2支持部72bおよび第3支持部72cは、同軸上に配置されている。
【0067】
第1支持部72aは、フレーム7の外側に設けられている。第1支持部72aは、底部分が駆動部720側に突出するように、有底円筒状に形成されている。第1支持部72aは、駆動部720の内側と接している。第1支持部72aは、駆動部720の回転中心が第1支持部72aの軸線上に位置するように、駆動部720を回転自在に支持している。
【0068】
第2支持部72bは、フレーム7の内側に設けられている。第2支持部72bは、第1支持部72aの中央部分で、底部分が駆動部720側に突出するように、有底円筒状に形成されている。第2支持部72bは、フレーム7の内側に突出した円筒部分の外側である。第2支持部72bは、従動部710の着磁部713の内側に接している。第2支持部72bは、従動部710の回転中心が第2支持部72bの軸線上に位置するように、従動部710を回転自在に支持している。第2支持部72bは、駆動部720と従動部710とが同軸上に位置するように、従動部710を支持している。
【0069】
第3支持部72cは、フレーム7の内側に設けられている。第3支持部72cは、円筒部分の内側部分である。第3支持部72cには、感光体ドラム110のシャフト111が嵌っている。第3支持部72cは、感光体ドラム110の回転中心が第3支持部72cの軸線上に位置するように、シャフト111を回転自在に支持している。第3支持部72cは、駆動部720と感光体ドラム110とが同軸上に位置するように、シャフト111を支持している。
【0070】
第3支持部72cおよびシャフト111は、軸方向において第3支持部72cの長さとフレーム7側へのシャフト111の突出部分の長さとが調整されて形成されている。そのため、駆動伝達装置700が組み立てられる際、駆動部720の着磁部722の磁力が従動部710の着磁部713に及ばない範囲においてシャフト111が第3支持部72cに挿入され、その後、シャフト111が第3支持部72cに挿入された状態のまま従動部710が駆動部720の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成となっている。
【0071】
ブラシ730は、図9(b)に示すように、フレーム7の第1支持部72aに接触するように従動部710の着磁部713の外側に固定されている。ブラシは、図10(a)に示すように、フレーム側から軸方向に延びて従動部710が回転する回転方向と逆方向に向かって傾斜している。ブラシ730は、従動部710が回転した際に、フレーム7の第1支持部72aの内側に付着したトナーなどの汚れを掻き落としてフレーム7の第1支持部72aを清掃する。また、フレーム7の第1支持部72aと従動部710の着磁部713との間に存在する汚れを掃き出す。
【0072】
(駆動伝達装置の組み立て)
次に、駆動伝達装置700の組み立てについて図9および図10を参照して説明する。まず、駆動部720が第1支持部72aに取り付けられる。次いで、従動部710が取り付けられた感光体ドラム110のシャフト111の第3支持部72cへの挿入が開始される。シャフト111の挿入が開始されると、図10に示すように、従動部710の着磁部713に駆動部720の着磁部722の磁力が及ばない範囲において、感光体ドラム110のシャフト111が第3支持部72cに挿入される(図10の矢印E方向)。その後、図9に示すように、従動部710の着磁部713がフレーム7の隔壁部を挟んで駆動部720の着磁部722に対向する位置に軸方向に移動させられて、組み立てられる。
【0073】
(3)第3の実施形態
第3の実施形態は、上記第1の実施形態の駆動伝達装置600を変更したものである。したがって、主に変更した部分について説明し、第1の実施形態と同様な構成の説明は省略する。
【0074】
(駆動伝達装置の構成)
駆動伝達装置800について、図11〜13を参照して説明する。駆動伝達装置800は、図11(b)に示すように、従動部810と、駆動部820と、カバーの一例であるフレーム8と、清掃部材の一例であるブラシ830とで概略構成されている。駆動伝達装置800は、図12(b)に示すように、従動部810の着磁部分と駆動部820の着磁面822とを軸方向に並べた構成である。駆動伝達装置800は、図11に示すように、カバーの他方の側の一例であるフレーム8の内側に設けられた感光体ドラム110を駆動する。感光体ドラム110のシャフト111は、図13に示すように、従動部810を貫通してフレーム8側に突出している。
【0075】
従動部810は、図12に示すように、感光体ドラム110の軸線上に回転中心が位置するように感光体ドラム110の一端部に固定されている。従動部810は、フレーム8の内側に設けられている。従動部810の着磁部分は、図13(b)に示すように、従動部810のフレーム8側の側面に形成されている。従動部810の着磁部分は、周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。従動部810は、駆動部820に接触せずに駆動部820の磁力により回転させられて、感光体ドラム110を回転させる。
【0076】
駆動部820は、図11に示すように、カバーの一方の側の一例であるフレーム8の外側に設けられている。駆動部820は、円筒状に形成されている。駆動部820は、内側がフレーム8の支持部82の外側に接して、フレーム8の支持部82に回転自在に支持されている。駆動部820は、図13に示すように、フレーム8側の側面に着磁面822を有している。着磁面822は、フレーム8を挟んで従動部810の着磁部分に対向している。
【0077】
駆動部820は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。駆動部820は、外周面に対向する位置に設けられた図示省略したモータなどの駆動手段により回転させられる。駆動部820は、従動部810に接触せずに磁力により従動部810を回転させる。第3の実施形態において駆動部820の磁力が及ぶ範囲は、フレーム8を挟んで駆動部820の着磁面822に対向する範囲である。
【0078】
フレーム8は、図11に示すように、従動部810と駆動部820との間に設けられている。フレーム8は、支持部82を有している。支持部82は、底部分が駆動部820側に突出するように、有底円筒状に形成されている。支持部82は、第1支持部82aと、第3支持部82cとを有している。第1支持部82aおよび第3支持部82cは、単一の部材で構成され、同軸上に配置されている。
【0079】
第1支持部82aは、フレーム8の外側に設けられている。第1支持部82aは、フレーム8の外側に突出した支持部82の外側部分である。第1支持部82aは、駆動部820の内側と接している。第1支持部82aは、駆動部820の回転中心が第1支持部82aの軸線上に位置するように、駆動部820を回転自在に支持している。
【0080】
第3支持部82cは、フレーム8の内側に設けられている。第3支持部82cは、支持部82の内側部分である。第3支持部82cには、感光体ドラム110のシャフト111が嵌っている。第3支持部82cは、感光体ドラム110の回転中心が第3支持部82cの軸線上に位置するように、シャフト111を回転自在に支持している。第3支持部82cは、駆動部820と感光体ドラム110とが同軸上に位置するように、シャフト111を支持している。
【0081】
第3支持部82cおよびシャフト111は、軸方向において第3支持部82cの長さとフレーム8側へのシャフト111の突出部分の長さとが調整されて形成されている。そのため、駆動伝達装置800が組み立てられる際、駆動部820の着磁面822の磁力が従動部810に及ばない範囲においてシャフト111が第3支持部82cに挿入され、その後、シャフト111が第3支持部82cに挿入された状態のまま従動部810が駆動部820の着磁面822の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成となっている。
【0082】
ブラシ830は、図13に示すように、従動部810の着磁部分の径方向に延びて、フレーム8に接触するように従動部810の着磁部分に固定されている。ブラシ830は、従動部810が回転した際に、フレーム8の内側に付着したトナーなどの汚れを掻き落としてフレーム8を清掃する。
【0083】
(駆動伝達装置の組み立て)
次に、駆動伝達装置800の組み立てについて図12および図13を参照して説明する。まず、駆動部820が第1支持部82aに取り付けられる。次いで、従動部810が取り付けられた感光体ドラム110のシャフト111の第3支持部82cへの挿入が開始される。シャフト111の挿入が開始されると、図13に示すように、従動部810の着磁部分に駆動部820の着磁面822の磁力が及ばない範囲において、感光体ドラム110のシャフト111が第3支持部82cに挿入される(図13(a)の矢印F方向)。その後、図12に示すように、従動部810がフレーム8を挟んで駆動部820の着磁面822に対向する位置に軸方向に移動させられて、組み立てられる。
【0084】
(4)第4の実施形態
第4の実施形態は、上記第1の実施形態の駆動伝達装置600を変更したものである。したがって、主に変更した部分について説明し、第1の実施形態と同様な構成の説明は省略する。
【0085】
(駆動伝達装置の構成)
駆動伝達装置900について、図14および図15を参照して説明する。駆動伝達装置900は、図14(b)に示すように、従動部910と、駆動部920と、伝達部940と、カバーの一例であるフレーム9と、清掃部材の一例であるブラシ930とで概略構成されている。駆動伝達装置900は、フレーム9を挟んで従動部910の外周面と駆動部920の外周面とが対向する構成である。駆動伝達装置900は、図14に示すように、カバーの他方の側の一例であるフレーム9の内側に設けられた感光体ドラム110を駆動する。シャフト111は、図14(b)に示すように、従動部910を貫通してフレーム9側に突出している。
【0086】
従動部910は、図14(b)に示すように、感光体ドラム110の軸線上に回転中心が位置するように感光体ドラム110の一端部に固定されている。従動部910は、フレーム9の内側に設けられている。従動部910は、着磁部913を有している。着磁部913は、隔壁部91と予め定められた隙間を有するように、隔壁部91の内側に配置されている。従動部910は、駆動部920に接触せずに駆動部920の磁力によりに回転させられて、感光体ドラム110を回転させる。
【0087】
駆動部920は、図14(b)に示すように、カバーの一方の側の一例であるフレーム9の外側に設けられている。また、駆動部920は、マイラー93を挟んで駆動部920の外周面と従動部910の外周面とが対向する位置に設けられている。駆動部920は、ロールである。駆動部920は、フレーム9に軸が固定されている。駆動部920は、伝達部940が回転するのに伴って磁力により回転する。駆動部920は、回転すると、従動部910に接触せずに磁力により従動部910を回転させる。
【0088】
第4の実施形態において駆動部920の磁力が及ぶ範囲は、マイラー93を挟んで駆動部920に対向する範囲である。駆動部920の磁力が及ぶ範囲は、マイラー93がフレーム9より薄いため、第1〜3の実施形態の駆動部の磁力が及ぶ範囲に比べて広くなる。
【0089】
伝達部940は、円周方向において一定の周長となるように分割され、フェライト磁石などの永久磁石のN極とS極とが交互に着磁されている。伝達部940は、磁力により回転し、図示省略したモータなどの駆動手段の駆動力を駆動部920に伝達する。
【0090】
フレーム9は、図14に示すように、従動部910と駆動部920との間に設けられている。フレーム9は、隔壁部91と、案内部の一例であるガイド92と、フィルムの一例であるマイラー93とを有している。
【0091】
隔壁部91は、図14(a)に示すように、フレーム9の端部から従動部910の着磁部913の半径方向に延びて形成されている。また、隔壁部91は、図14(b)に示すように、底部分がフレーム9の外側に突出するように、側面視でコ字状に形成されている。隔壁部91は、従動部910の着磁部913と駆動部920とを隔てる壁として機能する。隔壁部91の内側には、従動部910の着磁部913が配置されている。
【0092】
ガイド92は、図14(a)に示すように、隔壁部91の底部分に、フレーム9の端部から従動部910の着磁部913の半径方向に延びて形成されている。また、ガイド92は、図14(b)に示すように、底部分が駆動部920側に突出するように、側面視でコ字状に形成されている。ガイド92は、駆動伝達装置900を組み立てる際シャフト111を従動部910の半径方向に案内して、マイラー93を挟んで駆動部920と従動部910の着磁部913とが対向する位置でシャフト111を支持する。
【0093】
マイラー93は、図14(a)に示すように、駆動部920と従動部910の着磁部913との間で、隔壁部91の一部が除去された部分に固定されている。つまり、マイラー93は、駆動部920と従動部910の着磁部913との間の隔壁部91の一部分がマイラー93で構成されている。マイラー93は、フレーム9に比べて薄く形成されている。
【0094】
ブラシ930は、図14(b)に示すように、フレーム9の隔壁部91に接触するように従動部910の着磁部913に固定されている。ブラシ930は、図15に示すように、フレーム9側から軸方向に延びて従動部910が回転する回転方向と逆方向に向かって傾斜している。ブラシ930は、従動部910が回転した際に、フレーム9の隔壁部91に付着したトナーなどの汚れを掻き落としてフレーム9の隔壁部91を清掃する。また、フレーム9の隔壁部91と従動部910の着磁部913との間に存在する汚れを掃き出す。
【0095】
(駆動伝達装置の組み立て)
次に、駆動伝達装置900の組み立てについて図14および図15を参照して説明する。まず、駆動部920がフレーム9に取り付けられる。次いで、従動部910が取り付けられた感光体ドラム110のシャフト111のガイド92への挿入が開始される。シャフト111の挿入が開始されると、従動部910の着磁部913に駆動部920の磁力が及ばない範囲において、感光体ドラム110のシャフト111がガイド92に挿入される(図15の矢印G方向)。その後、図14に示すように、従動部910の着磁部913がマイラー93を挟んで駆動部920に対向する位置に移動させられて、組み立てられる。
【0096】
(第4の実施形態の優位性)
第4の実施形態によれば、駆動伝達装置900が組み立てられる際、駆動部920の磁力が従動部910の着磁部913に及ばない範囲においてシャフト111がガイド92に挿入され、その後、従動部610の着磁部613が駆動部620の磁力が及ぶ範囲に移動させられるため、シャフト111がガイド92に挿入される前に、従動部610が駆動部620に引き付けられてシャフト111の位置が移動するのを防止する。そのため、駆動伝達装置900を組み立てる際、シャフト111がガイド92に挿入できなくなるのを防止する。
【0097】
また、駆動部920と従動部910との間に、フレーム9より薄いマイラー93を有しているため、駆動部920と従動部910との間にフレーム9を設ける場合に比べて、駆動部920と従動部910との距離を縮められる。そのため、駆動部920と従動部910との間にフレーム9を有する場合に比べて、伝達不良による従動部910の回転不良が発生するのを防止する。
【0098】
(変形例)
なお、従動部910が隔壁部91の内側に配置されている構成とする場合に限らず、駆動部920が隔壁部の内側に配置されるような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、スキャナ機能、FAX機能、複写機能またはこれらの機能を備えた画像形成装置および駆動伝達装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…カラープリンタ、6…フレーム、92…ガイド、93…マイラー、62a…第1支持部、62b…第2支持部、62c…第3支持部、110…感光体ドラム、111…シャフト、600…駆動伝達装置、610…従動部、620…駆動部、630…ブラシ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成された駆動部と、
前記駆動部に接触せずに前記駆動部の磁力により回転させられる従動部と、
前記駆動部と前記従動部との間に設けられ、磁力を遮断しない材料により形成されたカバーと
を備えることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記カバーの一方の側に前記駆動部を支持する第1支持部と、前記カバーの他方の側に前記駆動部と前記従動部とが同軸上に位置するように前記従動部を支持する第2支持部とを有することを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
【請求項3】
前記従動部は、回転軸を有する回転体の軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記回転体の端部に固定されており、
前記カバーは、前記カバーの一方の側に前記駆動部を支持する第1支持部と、前記カバーの他方の側に前記駆動部と前記回転体とが同軸上に位置するように前記回転軸を支持する第3支持部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の駆動伝達装置。
【請求項4】
組み立てられる際、前記駆動部の磁力が前記従動部に及ばない範囲において前記回転軸が前記第3支持部に挿入され、その後、前記従動部が前記駆動部の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成としたことを特徴とする請求項3に記載の駆動伝達装置。
【請求項5】
前記従動部は、回転軸を有する回転体の軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記回転体の端部に固定されており、
前記カバーは、前記カバーの端部から前記従動部の半径方向に延びて、前記回転軸を前記半径方向に案内する案内部を有し、
組み立てられる際、前記駆動部の磁力が前記従動部に及ばない範囲において前記回転軸が前記案内部に挿入され、その後、前記従動部が前記駆動部の磁力が及ぶ範囲に移動させられる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
【請求項6】
前記カバーに接触するように前記従動部に固定され、前記従動部が回転することにより前記カバーを清掃する清掃部材を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動伝達装置。
【請求項7】
前記前記カバーは、前記カバーのいずれか一方の側に突出して前記駆動部または前記従動部を内側に配置する隔壁部と、前記隔壁部の一部が除去されて前記除去された部分に設けられたフィルムとを有し、
前記フィルムを挟んで前記駆動部の外周面と前記従動部の外周面とが対向していることを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
【請求項8】
回転する感光体ドラムと、
請求項1に記載の駆動伝達装置とを備え、
前記従動部は、前記感光ドラムの軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記感光ドラムの端部に固定されており、
前記カバーの一方の側に前記駆動部を配置し、前記カバーの他方の側に前記感光体ドラムを備えた前記従動部を配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
円筒状に形成された駆動部と、
前記駆動部に接触せずに前記駆動部の磁力により回転させられる従動部と、
前記駆動部と前記従動部との間に設けられ、磁力を遮断しない材料により形成されたカバーと
を備えることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記カバーの一方の側に前記駆動部を支持する第1支持部と、前記カバーの他方の側に前記駆動部と前記従動部とが同軸上に位置するように前記従動部を支持する第2支持部とを有することを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
【請求項3】
前記従動部は、回転軸を有する回転体の軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記回転体の端部に固定されており、
前記カバーは、前記カバーの一方の側に前記駆動部を支持する第1支持部と、前記カバーの他方の側に前記駆動部と前記回転体とが同軸上に位置するように前記回転軸を支持する第3支持部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の駆動伝達装置。
【請求項4】
組み立てられる際、前記駆動部の磁力が前記従動部に及ばない範囲において前記回転軸が前記第3支持部に挿入され、その後、前記従動部が前記駆動部の磁力が及ぶ範囲に軸方向に移動させられる構成としたことを特徴とする請求項3に記載の駆動伝達装置。
【請求項5】
前記従動部は、回転軸を有する回転体の軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記回転体の端部に固定されており、
前記カバーは、前記カバーの端部から前記従動部の半径方向に延びて、前記回転軸を前記半径方向に案内する案内部を有し、
組み立てられる際、前記駆動部の磁力が前記従動部に及ばない範囲において前記回転軸が前記案内部に挿入され、その後、前記従動部が前記駆動部の磁力が及ぶ範囲に移動させられる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
【請求項6】
前記カバーに接触するように前記従動部に固定され、前記従動部が回転することにより前記カバーを清掃する清掃部材を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動伝達装置。
【請求項7】
前記前記カバーは、前記カバーのいずれか一方の側に突出して前記駆動部または前記従動部を内側に配置する隔壁部と、前記隔壁部の一部が除去されて前記除去された部分に設けられたフィルムとを有し、
前記フィルムを挟んで前記駆動部の外周面と前記従動部の外周面とが対向していることを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
【請求項8】
回転する感光体ドラムと、
請求項1に記載の駆動伝達装置とを備え、
前記従動部は、前記感光ドラムの軸線上に前記従動部の回転中心が位置するように前記感光ドラムの端部に固定されており、
前記カバーの一方の側に前記駆動部を配置し、前記カバーの他方の側に前記感光体ドラムを備えた前記従動部を配置したことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−191322(P2010−191322A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37467(P2009−37467)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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