説明

骨成長および毛成長を刺激するためのプロテアソーム活性のインヒビター

【課題】骨形成を増大するか、または病的歯科状態を処置するか、または脊椎動物中の変性関節状態を処置するための方法の提供。
【解決手段】骨形成を増大するか、または病的歯科状態を処置するか、または脊椎動物中の変性関節状態を処置するための方法であって、このような処置を必要とする脊椎動物被験体に、NF−κBの活性を阻害するか、またはプロテアソーム活性を阻害するか、またはプロテアソームタンパク質の産生を阻害する、有効量の化合物を投与する工程、を包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、骨欠損のリスクにある脊椎動物中の骨格系障害を処置することにお
ける、および骨成長の必要性により特徴付けられる状態を処置することにおける
、骨折を処置することにおける、および軟骨障害を処置することにおける使用の
ための組成物および方法に関する。本発明はまた、毛密度および成長を増大する
ことに関する。より詳細には、本発明は、これらの目的のために、プロテアソー
ム活性のインヒビターおよびNF−κB活性のインヒビターの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
プロテアソーム活性のインヒビター、およびNF−κB活性のある範囲のイン
ヒビターは、2つの重要な生理学的効果を有する。第1に、それらは、骨形成を
増大し得、そしてそれ故、種々の骨障害を処置するために有用である。第2にそ
れらは、毛包の産生を刺激し、そしてそれ故、これが所望され得る被験体におい
て、毛密度を含む、毛成長を刺激することにおいて有用である。
【0003】
(骨の影響)
骨は、骨芽細胞により媒介される複雑なプロセス中で、一定の破壊および再合
成を受け、それは、新たな骨、および破骨細胞を生成し、それは骨を破壊する。
これら細胞の活性は、非常に多数のサイトカイン類および成長因子により調節さ
れており、それらの多くは、今や同定およびクローン化されている。
【0004】
骨形成を増大するか、または骨吸収を阻害する必要性によって特徴付けられる
過多な状態がある。おそらく最も明確なのは、骨折の場合であり、ここでは、骨
成長を刺激し、および骨修復を促進かつ完成することが所望され得る。骨形成を
増大する薬剤はまた、顔面再構築手順で有用であり得る。他の骨欠損状態は、骨
分節性欠損、歯周病、転移骨疾患、骨溶解性骨疾患、および軟骨欠損または損傷
の治癒または再生のような、結合組織修復が有利であり得る状態を含む。また非
常に重要なのは、年齢関連性の骨粗しょう症および閉経後のホルモン状態に関連
する骨粗しょう症を含む骨粗しょう症の慢性状態である。骨成長の必要性により
特徴付けられるその他の症状には、1次または2次上皮小体亢進、非活動骨粗し
ょう症、糖尿病関連骨粗しょう症、およびグルココルチコイド関連骨粗しょう症
が挙げられる。
【0005】
現在、これらの状態のいずれをも管理することに対し、満足する薬学的組成物
はない。骨折は、なお、ギプス包帯、固定器、係留デバイスおよびその他の厳格
な機械的手段を用いて専ら処理されている。さらに、閉経後骨粗しょう症にとも
なう骨変質は、エストロゲンまたはビスホスホネートで処理されており、これら
は、特定の個体では欠点を有し得る。種々のアプローチが試みられているが、以
下にさらに論議するように、これらの状態を処置するために用いられ得る薬剤の
レパートリーへの付加の必要性が残っている。
【0006】
骨の障害、または軟骨に関連する障害のような他の骨格障害の処置は、骨形成
を増大するかまたは骨吸収を阻害するかのいずれか、またはその両方により達成
され得る。多くのアプローチが示唆されており、これらは骨形成に関する。
【0007】
骨組織は、骨細胞を刺激する能力を有する因子の優れた供給源である。従って
、屠殺場から得られたウシ骨組織の抽出物は、骨の構造的一体性を維持する原因
となる構造的タンパク質のみならず、増殖するために骨細胞を刺激し得る、生物
学的に活性な骨成長因子をも含み得る。これらの中で、後者の因子は、トランス
フォーミング成長因子β、ヘパリン結合性成長因子(例えば、酸性線維芽細胞成
長因子および塩基性線維芽細胞成長因子)、インスリン様成長因子(例えば、イ
ンスリン様成長因子Iおよびインスリン様成長因子II)、および骨形態形成タ
ンパク質(BMP)と呼ばれる最近記載されたタンパク質のファミリーである。
これらの成長因子のすべては、その他の型の細胞に対し、および骨細胞に対して
影響を有する。
【0008】
BMPは、拡張されたトランスフォーミング成長因子βスーパーファミリー中
の新規因子である。組換えBMP2およびBMP4は、それらが、ラットの皮下
組織中に局所的に注入されるとき、新たな骨形成を誘導し得る(Wozney
J Molec Reprod Dev(1992)32:160−67)。こ
れらの因子は、骨芽細胞が分化するとき、正常骨芽細胞により発現され、そして
インビトロにおける骨芽細胞分化および骨小節形成、ならびにインビボにおける
骨形成を刺激することが示されている(Harris S.ら、J Bone
Miner Res(1994)9:855−63)。この後者の性質は、骨損
失を生じる疾患における治療薬剤としての潜在的な有用性を示唆する。
【0009】
骨を形成する原因となる細胞は骨芽細胞である。骨芽細胞は、前駆体から成熟
骨形成性細胞に分化するとき、それらは、1型コラーゲン、オステオカルシン、
オステオポンチンおよびアルカリホスファターゼを含む、多くの酵素および骨マ
トリックスの構造タンパク質を発現および分泌する。それらはまた、骨マトリッ
クス中に貯蔵されている多くの成長調節ペプチドを合成し、そしておそらく正常
骨形成の原因となる。これらの成長調節ペプチドはBMP類を含む(Harri
s Sら(1994)、前出)。胎児ラット頭蓋冠骨芽細胞の初代培養の研究で
、BMP1、2、3、4および6は、ミネラル化骨小節の形成の前に培養細胞に
より発現される(Harris Sら(1994)、前出)。アルカリホスファ
ターゼ、オステオカルシンおよびオステオポンチンのように、BMPは、骨芽細
胞が増殖および分化するとき、培養された骨芽細胞により発現される。
【0010】
BMPは、インビトロおよびインビボの骨形成の潜在的な刺激剤であるが、骨
治癒を増大するための治療剤としてのそれらの使用に欠点がある。骨形態形成タ
ンパク質のレセプターが多くの組織で同定されており、そしてBMPそれら自身
は、特異的な時間的および空間的パターンで広範な種類の組織中で発現される。
このことは、BMPが、骨に加えて多くの組織に対して影響を有し得、全身的に
投与されるとき、治療薬剤として潜在的にそれらの有用性を制限することを示唆
する。さらに、それらはペプチドであるので、それらは、注射により投与されな
ければならない。これらの欠点は、BMPの治療薬剤としての開発に重篤な制限
を課する。
【0011】
この目的のためにまた示唆されたフッ化物類は、例えば、Burgenerら
、J Bone Min Res(1995)10:164−171に記載のよ
うに、骨芽細胞上の成長因子レセプターのチロシンリン酸化に関連し得る作用の
様式を有するが、フッ化物類の投与は、恐らく骨ミネラル化に対する効果に起因
して、増加した骨の壊れ易さをともなう。
【0012】
骨形成を刺激し得る小分子が、PCT出願、1998年4月30日に公開され
たWO98/17267、1997年5月1日に公開されたWO97/1530
8および1997年12月24日に公開されたWO97/48694に開示され
ている。一般に、これらの薬剤は、リンカーにより空間的に分離された2つの芳
香族系を含む。さらに、1998年6月18日に公開されたPCT出願WO98
/25460は、骨形成を増大することにおいて、スタチン類として知られるク
ラスの化合物の使用を開示する。1998年6月12日に出願された米国特許出
願第09/096,631号は、骨成長を刺激する、一般に、イソプレノイド経
路インヒビターである化合物に関する。この出願の内容、および上記で引用した
PCT出願の内容は、参考として本明細書中に援用される。
【0013】
その他の薬剤は、骨の吸収を防ぐことにより作動するようである。従って、米
国特許第5,280,040号は、骨粗しょう症の処置に有用であると記載された
化合物を開示する。これらの化合物は、骨吸収を防ぐことによりこの結果を達成
すると推定される。
【0014】
Wang,G.−J.ら、J Formos Med Assoc(1995
)94:589−592は、ロバスタチン(lovastatin)およびベザ
フィブレート(bezafibrate)によって例示される、特定の脂質浄化
薬剤が、ウサギにおけるステロイド投与から生じる骨吸収を阻害し得たことをを
報告する。ステロイド処置の非存在下では、これらの2つの化合物による骨形成
に対する効果はなかった。ステロイド存在下で観察された骨吸収における阻害の
機構(および骨それ自身に対するステロイドの効果の機構)は未知であると言わ
れている。
【0015】
ASBMR第18回年会(1996年9月)の報告で見られる、Cui,Qら
による「ロバスタチンはステロイドで誘導される脂質生成および骨粗しょう症を
防止する」と題する要約 J Bone Mineral Res.(1996
)11(S1):S510は、ロバスタチンが、ニワトリの骨髄支質からクロー
ン化された前骨芽細胞がデキサメタゾンで培養中に処理されたときに、蓄積され
るトリグリセリドベシクルを減少したことを報告する。ロバスタチンは、特定の
mRNAの発現を減少させ、そしてデキサメタゾン処置後、細胞が骨形成表現型
を維持することを可能にし、そしてデキサメタゾン処置の結果として大腿頭にお
ける骨損失を受けたニワトリがロバスタチンを用いた処置により改善されたこと
が報告された。
【0016】
しかし、これらのデータは、デキサタメゾンおよびBMP類のような他の誘導
剤が、骨芽細胞分化を誘導し、そしてオステオカルシンmRNAを刺激するとい
う報告(Bellows,C.G.ら、Develop Biol(1990)
140:132−38;Rickard,D.J.ら、Develop Bio
l(1994)161:218−28)とは反対である。さらに、Ducy,P
ら、Nature(1996)382:448−52は、オステオカルシン欠損
マウスが、骨吸収の欠陥なしに、増加した骨形成および改善された機能的性質の
骨により特徴付けられる表現型を示すことを最近報告した.Ducyらは、かれ
らのデータが、オステオカルシンアンタゴニストがエストロゲン補充治療と組み
合わせた(骨粗しょう症の予防または処置のための)治療使用であり得るという
ことを示唆すると述べている。
【0017】
ロバスタチンが、ヒトのメサンギウム細胞において、リポポリサッカライドで
誘導されるNF−κB活性化を阻害することがまた示された。Guijaro,
C.ら、Nephrol Dial Transplant(1996)11:
6:990−996。
【0018】
(そして毛成長に対するその効果)
ヒトの毛成長の障害は、男性型禿頭症、円形脱毛症、癌化学療法により誘導さ
れる脱毛症および加齢にともなう毛髪貧弱化を含む。これらの状態は、ほとんど
理解されていないが、それにもかかわらず共通かつ悲惨である。なぜなら、毛は
ヒトの社会的および性的コミニケーションにおいて重要な因子であるからである

【0019】
毛包は調節および成長は、なお良く理解されていないが、増殖、分化および組
織形態形成の間の細胞相互作用を含む動的プロセスを表す。毛包は、発生の初期
ステージにのみ形成され、そして補充されないと考えられている。
【0020】
Hardy,M.H.ら、Trans Genet(1992)8:55−6
1は、TGFβスーパーファミリーのメンバーである、骨形態形成タンパク質(
BMP)は、発生の間に毛包で差次的に発現される証拠を記載している。Har
ris,S.E.ら、J Bone Miner Res(1994)9:85
5−863は、BMP−2および骨細胞中のその他の物質の発現に関するTGF
βの効果を記載する。成熟小胞子中のBMP−2発現もまた、成熟の間および細
胞増殖の期間の後に生じる(Hardyら、(1992、前出))。しかし、B
lessing,Mら、Genes and Develop(1992)7:
204−215により注記されるように、毛包成熟におけるBMP−2の正確な
役割機能的役割は、不明確なままである。
【0021】
禿頭症を処置するアプローチは、米国特許文献にはたくさんある。例えば、米
国特許第5,767,152号(シアノカルボン酸誘導体)、米国特許第5,8
24,643号(ケラチノサイト成長因子)および米国特許第5,910,49
7号(16−ピラジニル−置換−4−アザ−アンドロスタン 5−α−レダクタ
ーゼアイソザイム1インヒビター)を参照のこと。その他にも沢山ある。
【0022】
Gat,Uら、Cell(1998)95:605−614は、βカテニンが
、成人上皮細胞に毛包を創生させることを示し、成熟細胞がそうするという既知
の不能力を考慮すれば驚くべき結果である。βカテニンは、細胞−細胞接着およ
び成長因子シグナルトランスフェクションにおいて役割を演じすることが知られ
ている。ユビキチン結合後、βカテニンがプロテアソームにより分解されること
がまた知られている。Orford、K.ら、J Biol Chem(199
7)272:24735−24738。毛成長(またはその欠如)に関連する少
なくとも1つの遺伝子がまた報告されている。Ahmed、Wら、Scienc
e(1998)279:720−724。
【0023】
毛損失の処置のために現在用いられている2つの受容された薬剤は、抗高血圧
性薬物ミノキシジル(Minoxidil)および5α−レダクターゼインヒビ
ターであるフィナステリド(Finasteride)である。いずれも完全に
満足するものではない。両者は適度の効目であり、そして投与するためには不便
である。これらの薬剤より良好な効目を持つ、特異的、局所的に活性および投与
の容易な化合物が顕著な進歩を提示し得る。
【0024】
(プロテアソーム類およびNF−κB)
本発明は、骨障害の処置および毛成長の刺激において有用である化合物のため
の簡便なアッセイを開示する。このアッセイは、転写因子NF−κBまたはプロ
テアソームのプロテアーゼ、好ましくはプロテアソームのプロテアーゼの活性の
阻害を含む。これらの活性を阻害する化合物は、一般に、骨および毛成長障害を
処置することにおいて有用である。転写因子およびこれらのプロテアーゼの産生
を阻害する化合物もまた、本発明で有用である。これらのそのようにする活性は
、さらなるアッセイによりさらに確認され得る。
【0025】
プロテアソームは、非関連プロテアーゼの区画化されていないコレクションで
あり、それらは、タンパク質分解サブユニットが自己アセンブルして樽型複合体
を形成する共通の構築物を形成する(概説として、Baumeisterら、C
ell(1998)92:367−380を参照のこと)。プロテアソームは、
真核生物細胞の内側で、別個のタンパク質分解活性のアレイを含む。プロテアソ
ーム活性を阻害する化合物はまた、核にトランスロケートされるその能力を制限
することによりNF−κB活性を低減する(Barnes、P.J.ら、New
Engl J Med(1997)336:1066−1071)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0026】
(項目1) 骨形成を増大するか、または病的歯科状態を処置するか、ま
たは脊椎動物中の変性関節状態を処置するための方法であって、
このような処置を必要とする脊椎動物被験体に、NF−κBの活性を阻害する
か、またはプロテアソーム活性を阻害するか、またはプロテアソームタンパク質
の産生を阻害する、有効量の化合物を投与する工程、を包含する、方法。
(項目2) 前記化合物が、プロテアソーム活性を阻害するか、またはプ
ロテアソームタンパク質の産生を阻害する、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記化合物が、イソプレノイド経路を阻害しない、項目1
に記載の方法。
(項目4) 前記化合物が、ラクタシスチン、ペプチジルアルデヒド、ま
たはPTXである、項目1に記載の方法。
(項目5) 前記被験体が、骨粗しょう症、骨折または骨欠損、1次また
は2次上皮小体亢進、歯周病または歯周欠損、転移性骨疾患、骨溶解性骨疾患、
形成手術後、補綴関節手術後、および歯科移植後からなる群から選択される状態
によって特徴付けられる、項目1に記載の方法。
(項目6) 前記被験体に、骨成長を促進するか、または骨吸収を阻害す
る1つ以上の薬剤を投与する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目7) 前記薬剤が、骨形態形成因子、抗吸収剤、骨形成因子、軟骨
由来形態形成タンパク質、成長ホルモン、エストロゲン、ビスホスホネート、ス
タチンおよび分化因子からなる群から選択される、項目6に記載の方法。
(項目8) 毛成長を刺激することにより利益を受ける状態について哺乳
動物被験体を処置する方法であって、
このような処置を必要とする該哺乳動物被験体に、NF−κBの活性を阻害す
るか、またはプロテアソーム活性を阻害するか、またはこれらのタンパク質の産
生を阻害する、有効量の化合物を投与する工程、を包含する、方法。
(項目9) 前記化合物が、プロテアソーム活性を阻害するか、またはプ
ロテアソームタンパク質の産生を阻害する、項目8に記載の方法。
(項目10) 前記化合物が、ラクタシスチンまたはペプチジルアルデヒ
ドである、項目9に記載の方法。
(項目11) 骨障害、歯科病的状態または変性関節状態を処置するため
の薬学的組成物であって、NF−κBの活性を阻害するか、またはプロテアソー
ム活性を阻害するか、またはこれらのタンパク質の産生を阻害する化合物を含む
、組成物。
(項目12) 前記化合物が、プロテアソーム活性を阻害するか、または
プロテアソームタンパク質の産生を阻害する、項目11に記載の薬学的組成物

(項目13) 前記化合物が、イソプレノイド経路を阻害しない、項目
11に記載の薬学的組成物。
(項目14) 前記化合物が、ラクタシスチン、ペプチジルアルデヒド、
またはPTXである、項目11に記載の薬学的組成物。
(項目15) 前記化合物が、イソプレノイド経路を阻害しない、項目
11に記載の薬学的組成物。
(項目16) 毛成長を刺激することにより利益を受ける状態を処置する
ための薬学的組成物であって、NF−κBの活性を阻害するか、またはプロテア
ソーム活性を阻害するか、またはこれらのタンパク質の産生を阻害する化合物を
含む、組成物。
(項目17) 前記化合物が、ラクタシスチンまたはペプチジルアルデヒ
ドである、項目13に記載の薬学的組成物。
(項目18) 骨成長を増大するか、または毛成長を刺激する化合物を同
定する方法であって、
該化合物を、NF−κB活性を阻害するその能力を測定するアッセイに供する
工程であって、それによってNF−κBの活性を阻害する化合物が、骨成長を増
大する化合物として同定される、工程;または
該化合物を、NF−κBの産生を阻害するその能力を測定するアッセイに供す
る工程であって、それによってNF−κBの産生を阻害する化合物が、骨成長を
増大する化合物として同定される、工程;または
候補化合物を、プロテアソーム活性を阻害するその能力を評価するためのアッ
セイに供する工程であって、それによってプロテアソーム活性を阻害する化合物
が、骨成長を増大する化合物として同定される、工程;または
候補化合物を、プロテアソーム活性を有する酵素の産生を阻害するその能力を
評価するためのアッセイに供する工程であって、それによってプロテアソーム活
性を有する酵素の産生を阻害する化合物が、骨成長を増大する化合物として同定
される、工程、を包含する、方法。
【0027】
(発明の開示)
本発明は、鍵となるタンパク質およびプロテアソーム活性に関与する酵素を阻
害し、そして核転写因子NF−κBの活性を低減し、そしてそれ故骨および毛成
長を刺激する薬物を提供することにより、骨形成刺激薬剤および毛成長刺激薬剤
のレパートリーを付加する。本発明によれば、本発明者らは、骨細胞におけるプ
ロテアソームタンパク質および転写因子NF−κBの機能の阻害が、増加した骨
成長ならびに毛包形成および刺激に至ることを発見した。従って、プロテアソー
ムタンパク質またはNF−κBを阻害するその能力について候補化合物を評価す
ることは、骨および毛成長タンパク質同化薬剤を同定するための有用な手段を提
供する。
【0028】
従って、本明細書は、プロテアソーム活性を阻害するか、または転写因子NF
−κBの活性を阻害し、好ましくはプロテアソーム活性を阻害するそれらの能力
を評価することによって、骨成長を刺激する骨形成化合物および毛成長を刺激す
る化合物の同定のための方法を提供する。本発明の方法でまた有用なのは、プロ
テアソーム中に含まれる酵素のインサイチュ産生を阻害するか、またはNF−κ
Bの産生を阻害し、好ましくはプロテアソームの酵素の産生を阻害する化合物で
ある。一旦これらの活性を阻害することが見出された化合物が同定されると、本
発明のさらなる局面−−適切な細胞を、この同定された化合物と接触させること
により、骨または毛の成長を刺激する方法で用いられ得る。細胞の接触は、イン
ビボの投与を含み得、そして本発明の化合物は、従って、変性骨疾患、骨折、歯
科問題、禿頭症、脱毛症などを処置することにおいて有用である。これらの方法
は、本発明に従って、プロテアソーム活性のインヒビターもしくは転写因子NF
−κBの活性のインヒビター、好ましくはプロテアソーム酵素の活性のインヒビ
ター、またはプロテアソーム酵素の産生もしくはNF−κBの産生のインヒビタ
ー、好ましくはプロテアソーム酵素の産生のインヒビターとして同定された化合
物を用いて実施される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(発明の実施の形態)
本発明に従って、骨欠損(骨粗鬆症、骨折、骨溶解性損傷および分節性骨欠損
を含む)に罹患する被験体において、骨欠損を処置する方法が提供される。この
方法は、その被験体に、骨成長を刺激するに充分な量で、プロテアソーム活性お
よび機能または核転写因子NF−κBの活性あるいはそれらタンパク質の産生を
阻害する化合物を投与する工程を包含する。
【0030】
また、本発明に従って、毛の成長の障害を処置する方法が提供される。毛の成
長の障害は、既存の毛の小胞が毛を押し出す能力における欠損の結果であり得る
か、または毛の小胞自体の数の欠損の結果であり得る。「毛の成長の刺激」とは
、これが、同じ数の毛の小胞から長さおよび/または太さにおいて成長速度が増
加した結果であるか、毛の小胞の数の増加から進行する成長であるか、あるいは
その両方であるかにかかわらず、被験体の特定の領域における毛の容量を増加さ
せることをいう。毛の小胞の数は、既存の毛の小胞をさらに活性化することまた
は皮膚の特定の領域における毛の小胞の出現もしくは増殖を刺激することによっ
て増強され得る。
【0031】
本明細書において使用される用語「被験体」とは、ヒトおよび他の動物種(例
えば、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、齧歯類など)を包含する。当業者には、この被
験体は、骨成長または毛の成長を刺激する所望性について適切なものであること
が理解される。従って、一般に、例えば、毛の成長の刺激は、そのような成長を
適切に示す動物に殆どの場合制限される。
【0032】
本明細書において使用される「処置する」または「処置」は、骨欠損症状の発
症を遅延させることか、および/または発症するか、もしくは発症すると予測さ
れるそのような症状の重篤度を減少させることを包含する。これらの用語は、さ
らに、既存の骨欠損もしくは軟骨欠損の症状を改善すること、さらなる症状を予
防すること、症状の基礎をなす代謝的な原因を改善もしくは予防すること、骨吸
収を予防もしくは反転することおよび/または骨成長を補助することを包含する
。従って、この用語は、利益のある結果が、軟骨、骨または骨格の欠損を有する
か、あるいはそのような欠損を発症する可能性を有する脊椎動物被験体に付与さ
れることを示す。
【0033】
「骨欠損」とは、骨形成の骨吸収に対する比率における非平衡の結果、改変さ
れない場合は、その被験体が、所望されるもの未満の骨を示すか、またはその被
験体の骨は所望されるよりも無傷ではなくなりそして凝集性ではないことを意味
する。骨欠損はまた、骨折、外科的介入または歯の疾患もしくは歯周疾患から生
じ得る。「軟骨欠損」とは、損傷を受けた軟骨、所望されるより少ない軟骨、ま
たは所望されるよりも無傷ではなくそして凝集性ではない軟骨を意味する。「骨
障害」は、骨欠損および軟骨欠損の両方を含む。
【0034】
本発明のアッセイにより同定される化合物の代表的な使用としては以下が挙げ
られる:骨欠損および欠乏(例えば、閉鎖骨折、開放骨折および非癒合性骨折)
の修復;閉鎖骨折および開放骨折の減少における予防的使用;形成手術における
骨治癒の促進;非セメント性人工器官関節および歯科インプラントへの骨の内方
成長の刺激;閉経前女性における骨量ピークの増加;成長欠乏の処置;歯周疾患
および歯周欠陥の処置、および他の歯の修復プロセス;伸延骨形成の間の骨形成
増加;ならびに他の骨格障害(例えば、加齢性骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、グル
ココルチコイド誘導性骨粗鬆症、または非活動性骨粗鬆症、関節炎)あるいは骨
形成の刺激から利益を受ける他の状態の処置。本発明の化合物はまた、先天性骨
切開、外傷誘導性骨切開または外科的骨切開(例えば、ガン処置のため)の修復
において、および美容外科において使用され得る。さらに、本発明の化合物は、
軟骨欠陥または障害を制限または処置するために有用であり得、そして創傷治癒
または組織修復において有用であり得る。
【0035】
毛の成長の刺激のために「処置すること」または「処置」によって、利益を受
ける状態としては、男性型禿頭症、化学療法剤によって生じる脱毛、加齢による
髪の抜け、髪が覆う範囲の欠損をもたらす遺伝性障害、および動物において、低
温からさらなる保護を提供することが挙げられる。従って、ヒトにおける使用が
美容的利益が主であることに対して、動物における使用は治療的でもあり得る。
【0036】
本発明の組成物は、全身的にまたは局所的に投与され得る。全身での使用につ
いて、本明細書の組成物は、慣用的な方法に従って、非経口的(例えば、静脈内
、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻内または経皮)送達または腸内送達(例えば、経口
または直腸内)のために処方される。静脈内投与は、長期間にわたる一連の注射
または連続的な注入によってであり得る。注射による投与または他の経路の別個
の間隔を開けた投与は、1週間に1回〜1日に1〜3回の範囲での間隔で行われ
得る。あるいは、本明細書において開示される化合物は、周期的な様式(開示さ
れた化合物の投与;続いて投与なし;続いて開示された化合物の投与など)で投
与され得る。処置は、所望の結果が達成されるまで継続される。一般に、薬学的
組成物は、本発明の化合物を、薬学的に受容可能なビヒクル(例えば、生理食塩
水、緩衝化生理食塩水、水中5%デキストロース、微量金属を含むホウ酸緩衝化
生理食塩水など)と合わせて含む。処方物は、さらに、1つ以上の賦形剤、保存
料、可溶化剤、緩衝化剤、バイアル表面におけるタンパク質の喪失を防止するた
めのアルブミン、滑沢剤、充填剤、安定化剤などを含み得る。処方方法は、当該
分野において周知であり、そして例えば、Remington’s Pharm
acerutical Sciences、最新版、Mack Publish
ing Co.,Easton PA(本明細書において参考として援用される
)に開示されている。本発明における使用のための薬学的組成物は、滅菌で、非
発熱性の液体溶液または懸濁液、コーティングカプセル、坐剤、凍結乾燥散剤、
経皮パッチまたは当該分野で公知の他の形態であり得る。局所投与は、障害もし
くは欠陥の部位での注射によって、またはその部位での固形キャリアの挿入もし
くは付着または稔性液体の直接の局所投与などであり得る。局所投与のために、
送達ビヒクルは、好ましくは、骨または軟骨の成長のためのマトリクスを提供し
、そしてより好ましくは、有害な効果なしに被験体によって吸収され得るビヒク
ルである。
【0037】
本明細書における化合物の創傷部位への送達は、徐放組成物(例えば、PCT
公開WO93/20859(本明細書において使用される場合、)に記載される
モノ)の使用によって増強され得る。この型のフィルムは、人工器官デバイスお
よび外科インプラントのためのコーティングとして特に有用である。このフィル
ムは、例えば、外科用ネジ、杆体、ピン、プレートなどの外表面の周りに巻かれ
得る。この型のインプラント可能なデバイスは、整形外科において慣用的に使用
されている。このフィルムはまた、骨充填材料(例えば、ヒドロキシアパタイト
ブロック、脱塩骨マトリクスプラグ、コラーゲンマトリクスなど)をコーティン
グするために使用され得る。一般に、本明細書に記載されるようなフィルムまた
はデバイスは、骨折部位にて骨に適用される。適用は、一般に、標準的な外科手
順を用いた骨への移植または表面への付着によってである。
【0038】
上記のコポリマーおよびキャリアに加えて、生分解性フィルムおよびマトリク
スは、他の活性化合物または不活性化合物を含み得る。特に興味深いのは、成長
因子・増殖因子のような組織の増殖・成長または浸潤を促進する薬剤である。こ
の目的のための例示的な増殖因子・成長因子としては、以下が挙げられる:上皮
増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(P
DGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、副甲状腺ホルモン(PT
H)、白血病阻害因子(LIF)、インスリン様増殖因子(IGF)など。骨増
殖を促進する薬剤(例えば、骨形成タンパク質(米国特許第4,761,471
号;PCT公開WO90/11366);オステオゲニン(Sampathら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)84:7109−
13)およびNaF(Tencerら、J.Biomed.Mat.Res.(
1989)23:571−89)もまた好ましい。生分解性フィルムまたはマト
リクスは、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ
乳酸、ポリ無水物、骨または皮膚のコラーゲン、純粋なタンパク質、細胞外マト
リクス成分などならびにそれらの組合せを含む。このような生分解性マトリクス
は、非生分解性材料と組み合わせて用いられて、所望の機構性、美容性または組
織もしくはマトリクスの界面特性を提供し得る。
【0039】
本発明の化合物の送達のための代替方法としては、ALZET浸透圧ミニポン
プ(Alza Corp.、Palo Alto、CA);徐放性マトリクス材
料(例えば、Wangら(PCT公開WO90/11366)において開示され
るような材料);電気的に荷電したデキストランビーズ(Baoら(PCT公開
WO92/03125)において開示される);コラーゲンベースの送達系(例
えば、Ksanderら(Ann.Surg.(1990)211(3):28
8−94)に開示される));メチルセルロースゲル系(Beckら(J.Bo
ne Min.Res.(1991)6(11):1257−65)において開
示される);アルギン酸に基づく系(Edelmanら(Biomateria
ls(1991)12:619−26)において開示される)など)が挙げられ
る。骨における持続的な局所送達のための当該分野で周知の他の方法としては、
移植され得る多孔性コーティング金属人工器官および治療組成物を組み込んだ固
形のプラスチックロッドが挙げられる。
【0040】
本発明の化合物はまた、骨吸収を阻害する薬剤とともに使用され得る。抗吸収
薬剤(例えば、エストロゲン、ビスリン酸塩およびカルシトニン)がこの目的に
好ましい。より詳細には、本明細書において開示された化合物は、骨欠損状態の
矯正を得るに充分であるような一定時間(例えば、数ヶ月から数年)の間投与さ
れ得る。一旦骨欠損状態が矯正されると、その脊椎動物には、抗吸収化合物が投
与されて、その矯正された骨状態が維持され得る。あるいは、本明細書において
開示される化合物は、周期的な様式で((開示された化合物の投与;続いて抗吸
収化合物の投与;続いて開示された化合物の投与など))抗吸収化合物とともに
投与され得る。
【0041】
さらなる処方物において、以下に記載されるような従来の調製物が使用され得
る。
【0042】
水性懸濁剤は、薬学的に受容可能な賦形剤(これは、懸濁剤(例えば、メチル
セルロース);および湿潤剤(例えば、レシチン、リゾレシチンまたは長鎖脂肪
アルコール)を含む)との混合物中に活性成分を含み得る。この水性懸濁剤はま
た、保存料、着色剤、風味料、甘味剤などを、産業上の標準に従って含み得る。
【0043】
局所的および局所の適用のための調製物としては、エアゾールスプレー、ロー
ション、ジェルおよび軟膏を、薬学的に適切なビヒクル中に含む。このビヒクル
としては、低級脂肪族アルコール、ポリグリコール(例えば、グリセロール、ポ
リエチレングリコール)、脂肪酸のエステル、油および脂肪、ならびにシリコー
ンが挙げられ得る。この調製物はさらに、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸
またはトコフェロール)、および保存料(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エス
テル)を含み得る。
【0044】
非経口調製物は、特に滅菌または滅菌された産物を含む。注射可能な組成物は
、活性化合物および任意の周知の注射可能なキャリアを含んで提供され得る。こ
れらは、浸透圧を調節するために塩を含み得る。
【0045】
所望の場合、この骨形成薬剤は、種々の病理状態を処置する際に使用するため
にリポソームを調製するための報告された方法のいずれかによって、リポソーム
中に取り込まれ得る。本発明の組成物は、これらの化合物をマクロファージ、単
球ならびにリポソーム組成物を取り込む他の細胞および組織および器官に指向さ
せるために、リポソーム中に組み込まれた上記の化合物を利用し得る。本発明の
リポソーム組込み化合物は、非経口投与によって利用されて、この化合物のより
少ない用量の有効な使用を可能にし得る。リガンドもまた、そのリポソームの特
異性をさらに収束させるために組み込まれ得る。
【0046】
リポソーム調製の適切な従来の方法としては、以下が挙げられるがそれらに限
定されない:Bangham、A.D.ら、J Mol.Biol.(1965
)23:238−252、Olson、F.ら、Biochim.Biophy
s.Acta(1979)557:9−23、Szoka、F.ら、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:4194−4198、
Kim,S.ら、Biochim Biophys Acta(1983)72
8:339−348、およびMayerら、Biochim Biophys
Acta(1986)858:161−168に開示される方法。
【0047】
このリポソームは、本発明の化合物と、任意の従来の合成または天然のリン脂
質リポソーム材料(天然の供給源(例えば、卵、植物または動物の供給源)から
のリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン
、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、
またはホスファチジルイノシトールなど)を含む)との組合せから作製され得る
。また、使用され得る合成リン脂質としては、以下が挙げられ得るがそれらに限
定されない:ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジ
ルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステアロイルホスフ
ァチジルコリン、ならびに対応する合成ホスファチジルエタノールアミンおよび
ホスファチジルグリセロール。コレステロールまたは他のステロール、コレステ
ロールヘミスクシネート、糖脂質、セレブロシド、脂肪酸、ガングリオシド、ス
フィンゴ脂質、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニ
オ)プロパン(DOTAP)、N−[1−(2,3−ジオレオイル)プロピル−
N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、および他のカチ
オン性脂質が、当業者に公知であるように、そのリポソームに取り込まれ得る。
リポソーム中に使用されるリン脂質および添加物の相対量は、所望の場合変動さ
れ得る。好ましい範囲は、約60〜90モル%のリン脂質であり;コレステロー
ル、コレステロールへミスクシネート、脂肪酸またはカチオン性脂質は、0〜5
0モル%の範囲の量で使用され得る。リポソームの脂質層に取り込まれる本発明
の化合物の量は、約0.01〜約50モル%の範囲の脂質の濃度で変動し得る。
【0048】
上記の処方物を伴うリポソームは、標的について特異的なモノクローナル抗体
または他のリガンドの取り込みを用いて、その意図する標的についてなおより特
異的にされ得る。例えば、BMPレセプターに対するモノクローナル抗体は、L
eserman.L.ら、Nature(1980)288:602−604の
方法によってリポソーム中に取り込まれたホスファチジルエタノールアミン(P
E)への連結によってそのリポソームに取り込まれ得る。
【0049】
開示された化合物の獣医学的使用もまた、上記のように意図される。そのよう
な使用としては、家庭用動物、家畜およびサラブレッド馬における骨もしくは軟
骨の欠損、または毛もしくは毛皮に関連する、欠陥の処置が挙げられる。
【0050】
本発明の化合物を使用して、インビトロまたはエキソビボのいずれかで、骨形
成細胞またはその前駆体の増殖を刺激し得るか、あるいは骨形成細胞前駆体の分
化を誘導し得る。本明細書中に記載される化合物はまた、そのような細胞を必要
とする環境に骨形成細胞を付着するように、標的の組織または器官の環境を改変
し得る。本明細書において使用される用語「前駆体細胞」とは、分化の経路に関
与するが、概して、成熟し、完全に分化した細胞のマーカーも機能も発現しない
細胞をいう。本明細書において使用される用語「間葉性細胞」または「間葉性幹
細胞」とは、多くの回数分裂し得、そしてその子孫が、骨格組織(軟骨、骨、腱
、靭帯、髄質および結合組織を含む)を生じる多能性前駆体細胞をいう(A.C
aplan J.Orthop.Res.(1991)9:641−650)。
本明細書において使用される用語「骨形成細胞」は、骨芽細胞および骨芽細胞前
駆体細胞を含む。より詳細には、開示された化合物は、髄質間葉性細胞を含む細
胞集団を刺激するために有用であり、それによって、その細胞集団における骨形
成細胞の数を増加させる。好ましい方法において、造血細胞は、その集団から、
この開示化合物で刺激する前または後のいずれかで、取り除かれる。このような
方法の実施を通じて、骨形成原細胞が拡大され得る。拡大された骨形成原細胞は
、それを必要とする脊椎動物被験体に注入(または再注入)され得る。例えば、
被験体の自分の間葉性幹細胞が、本発明の化合物にエキソビボで曝露され得る。
そして、得られた骨減細胞がその被験体の所望の部位に注入もしくは指向され得
、そこで、その骨形成原細胞のさらなる増殖および/または分化が免疫拒絶なし
に生じ得る。あるいは、開示された化合物に曝露されたこの細胞集団は、不死化
されたヒト胎児骨芽細胞または骨形成原細胞であり得る。そのような細胞が脊椎
動物被験体に注入または移植される場合、これらの非自己細胞を「免疫保護」す
ること、またはそのレシピエントを免疫抑制(好ましくは局所的に)して移植お
よび骨もしくは軟骨の修復を増強することが有利であり得る。
【0051】
上記のように、本発明の化合物を使用してまた、既存の小胞からのその形成速
度を増強すること、不活性な小胞を刺激すること、さらなる毛の小胞の生成を行
うことまたは上記のいくつかの組合せ、あるいは現在理解されてい得るかまたは
理解されていないかもしれない他の任意の機構によってかのいずれかによって毛
の成長を刺激し得る。
【0052】
本発明において、組成物の「有効(な)量」とは、統計学的に有意な効果をも
たらす量である。例えば、治療での使用のための「有効量」は、臨床学的に有意
な以下のもの:骨折修復の治癒速度の増加;骨粗鬆症における骨損失の反転;軟
骨の欠損または障害の反転;骨粗鬆症の発症の予防または遅延;非癒合性骨折お
よび伸延骨形成における骨形成の刺激および/または増加;人工器官デバイスへ
の骨成長の増加および/または加速;ならびに歯欠損の修復を提供するに必要な
本明細書の活性化合物を含む組成物の量である。毛の成長を刺激するにおける使
用のための「有効量」は、毛の長さまたは密度に関して所望の効果を提供する量
である。そのような有効量は、慣用的な最適化技術を用いて決定され、そして処
置されるべき特定の状態、患者の状態、投与経路、処方物、および医者の判断な
らびに当業者に明白な他の要因に依存する。本発明の化合物について必要な投薬
量(例えば、骨形成における増加が所望される骨粗鬆症の場合)は、処置群とコ
ントロール群との間の骨質量における統計学的に有意な相違として表される。骨
質量におけるこの相違は、例えば、処置群における骨質量において5〜20%ま
たはそれを超える増加として見られ得る。治癒における臨床的に有意な増加の他
の機構は、例えば、破壊強度および張力、破壊強度およびねじり、4点曲げ、骨
生検における結合性の増加についての試験、および当業者に周知の他の生体力学
的試験が挙げられ得る。処置レジメンのための一般的な指針は、目的の疾患の動
物モデルにおいて行われた実験から得られる。毛の成長の刺激に関する、首尾よ
く処置された被験体とコントロールとの間の相違は、一般に、直接の観察によっ
て確認され得る。
【0053】
本発明の化合物の投薬量は、必要な処置の程度および重篤度、投与される化合
物の活性、被験体の一般的な健康、および当業者に周知の他の条件に依存して変
動する。一般に、これら化合物は、代表的なヒトに対して、一日あたり、約0.
1mg/kg〜1000mg/kg、およびより好ましくは約1mg/kg〜約
200mg/kgの経口用量として、投与され得る。非経口的用量は、経口用量
の約20〜100%である。経口投与は、その状態が骨欠損である場合殆どの場
合好ましい(容易さ、患者の受け入れなどのため)が、投与の代替方法は、選択
された化合物および選択された欠損または疾患について適切であり得る。毛の成
長を刺激するためには、局所投与が、一般に好ましい。なぜなら、一般に局所効
果のみが所望されるからである。しかし、全身処置もまた、いくつかの症例にお
いて同様に好ましくあり得る。
【0054】
(本発明において有用な化合物についてのアッセイ)
化合物がプロテアソーム活性を阻害する能力を評価するためおよびNF−κB
活性のインヒビターについてのアッセイは当該分野において周知である。2つの
代表的であるが、非限定的なアッセイを以下に記載する。
【0055】
(プロテアソーム活性の評価)
プロテアソーム活性を、抗ユビキチン抗体を用いたウェスタンブロットによっ
て評価されるような、細胞質性のユビキチン化タンパク質複合体における増加に
よって測定する。
【0056】
MG−63細胞を、αMEM培地および10%ウシ胎児血清(FCS)中でコ
ンフルエンシーに増殖させる。次いで、細胞を特定の化合物で24時間処置する
。示された処置の後、細胞を、使い捨てスクレーパで掻き取り、リン酸生理食塩
水(137mM NaCl、10mM D−グルコース、4mM KCl、0.
5mM Na2HPO4、0.1mM KH2PO4)で2回洗浄し、遠心分離し、
そして得られたペレット2%SDS,pH6.75を含むサンプル緩衝液中に懸
濁する。このサンプルを加熱し、そして総タンパク質の濃度を、Microビシ
ンコニン酸(BCA)Protein Assay Kit(Pierce,R
ockford,IL/USA)によって算出する。このサンプルを希釈して、
2mg/mlの最終タンパク質濃度を得、10% 2−メルカプトエタノール、
1% ブロモフェノールブルーを補充し、そして4〜15%のSDS−PAGE
上で泳動する。得られるゲルを、抗ユビキチンウサギポリクローナル抗体(1:
100に希釈;Sigma,St.Louis;MO/USA)を用いてウェス
タンブロットする。このサンプルを、抗ウサギIgG抗体に結合した西洋ワサビ
ペルオキシダーゼ(Amersham Corp.、Arlington He
ights、IL/USA)を用い、ECL検出キット(Amersham C
orp.)を使用して可視化する。
【0057】
(NF−κB活性のアッセイ)
細胞を、異なる濃度の化合物で処理し、そして核抽出物を調製する。簡潔には
、細胞を、リン酸緩衝化整理食塩水で洗浄し、そして溶解緩衝液(0.6%No
nidet P−40、150mM NaCl、10mM Tris−HCl、
pH7.9、1mM EDTA、0.5mM DTT)およびプロテアーゼイン
ヒビターのカクテル(Complete(TM)、Boehringer Ma
nnheim)中に再懸濁する。氷上で15分間インキュベーション後、核を遠
心分離により集める。このペレットを、核抽出緩衝液(10mM Hepes、
pH7.9、420mM NaCl 0.1mM、EDTA、1.5mM Mg
Cl2、0.5mM DTT、プロテアーゼインヒビター(Complete(
TM)Boehringer Mannheim)、25%グリセロール)中に
再懸濁し、そして4℃で30分間インキュベートする。この上清を集め、そして
緩衝液(10mM Tris−HCl、pH7.5、50mM NaCl、5m
M MgCl2、1mM EDTA、1mM DTT、および20%グリセロー
ルを含む)中で透析する。透析後、核抽出物を遠心分離して、沈降したタンパク
質を除き、そしてアリコートを−70℃で保存する。核抽出物におけるタンパク
質濃度を、Bradfordの方法によって、色素結合アッセイキット(Bio
−Rad)を用いて測定する。
【0058】
電気泳動移動度シフトアッセイについてのプローブは、NF−κBについて特
異的なコンセンサス配列を含む32P標識した二本鎖オリゴヌクレオチド(Pro
mega)である。核抽出物(5μg)を、20μlの反応混合物(10mM
Tris−HCl、pH7.5、50mM NaCl、2.5mM DTT、0
.5mM EDTA、1mM MgCl2、4%グリセロールおよび5μgのポ
リ(dI−dC))中で予備インキュベートする。室温で10分後、10〜20
fmolのプローブを添加し、そしてさらに20分間インキュベートする。DN
Aタンパク質複合体を、5%のポリアクリルアミド/0.5×TBEゲル(45
mM Tris−HCl、45mM ホウ酸、1mM EDTA)上で遊離のオ
リゴヌクレオチドから分離する。電気泳動後、ゲルを乾燥し、そしてオートラジ
オグラフィーを撮る。
【0059】
(産生阻害のためのアッセイ)
プロテアソームの活性を有する酵素またはNF−κBの産生を阻害する化合物
は、候補化合物の存在下および非存在下で、これらのタンパク質の産生のレベル
を測定することによって評価され得る。産生のレベルは、例えば、産生されたタ
ンパク質のレベルについてイムノアッセイを使用して、インビトロ系で容易に測
定され得る。このようなタンパク質のレベルはまた、例えば、評価されるべき細
胞中のタンパク質のメチオニン標識およびサイズ分離を利用することによって評
価され得る。測定のために都合の良いレベルのタンパク質産生をもたらすために
、実質的な量が産生されるように、関連する酵素またはNF−κBのための組換
え発現系を使用することは有利である。
【0060】
NF−κBまたはプロテアソーム酵素の産生を阻害するための代表的なアプロ
ーチには、アンチセンス技術の使用または遺伝子の発現において関連するヌクレ
オチド配列の二本鎖形態との三重鎖の形成が含まれる。さらに、種々の低分子も
また、この産生を阻害し得る。
【0061】
(スクリーニングアッセイ−骨)
本発明の方法において使用される化合物の骨形成活性は、インビトロスクリー
ニング技術(例えば、骨形態発生タンパク質結合プロモーターに結合したレポー
ター遺伝子の転写の評価)を使用して、または代替のアッセイにおいて立証され
得る。
【0062】
(ABAスクリーニングアッセイ)
化合物がBMPプロモーター(内因的に産生される骨形態発生因子の産生のた
めの代理)に連結したレポーター遺伝子の発現を刺激し得ることを実証すること
による、骨形成を刺激する化合物についての迅速なスループットスクリーニング
試験は、1995年6月2日に出願された米国特許出願第08/458,434
号に記載され、その全内容は、本明細書中に参考として援用される。このアッセ
イはまた、不死化マウス骨芽細胞(T抗原の発現を駆動するBMP2プロモータ
ーからなるトランスジーンを発現するマウスに由来する)の研究の一部として、
Ghosh−Choudhery,N.ら、Endocrinology(19
96)137:331−39に記載される。この研究において、不死化細胞は、
マウスBMP2プロモーターによって駆動されるルシフェラーゼレポーター遺伝
子(−2736/114bp)を含有するプラスミドによって安定にトランスフ
ェクトされ、組換えヒトBMP2に対して用量依存性の様式で反応した。
【0063】
簡単には、このアッセイは、骨形態発生タンパク質のプロモーター(特に、B
MP2またはBMP4)が、レポーター遺伝子(代表的には、ルシフェラーゼ)
に結合した構築物によって、永久的に、または一過性に形質転換された細胞を利
用する。次いで、これらの形質転換された細胞は、レポーター遺伝子産物の産生
について評価される;BMPプロモーターを活性化する化合物は、レポータータ
ンパク質の産生を駆動し、これは、容易にアッセイされ得る。何千の化合物が、
この迅速スクリーニング技術に供されており、そして非常にわずかな割合(%)
のみが、ビヒクルによって産生されるよりも5倍多いレポーター遺伝子の発現の
レベルを誘発し得る。BMPプロモーターを活性化する化合物は、群に分類され
、そこで、各群のメンバーは、不活性化合物には存在しない特定の構造的特徴を
共有する。その活性な化合物(「BMPプロモーター−活性化合物」または「活
性化合物」)は、骨または軟骨の成長を増強するにおいて有用であり、従って、
骨または軟骨の成長を必要とする脊椎動物の処置において有用である。
【0064】
BMPプロモーター−活性化合物は、特異性および毒性を試験する種々の他の
アッセイにおいて試験され得る。例えば、非BMPプロモーターまたは応答エレ
メントは、レポーター遺伝子に連結され得、そして適切な宿主細胞中に挿入され
得る。細胞傷害性は、例えば、BMPプロモーターおよび/または非BMPプロ
モーターレポーター遺伝子含有細胞の視覚的または顕微鏡的検査によって決定さ
れ得る。あるいは、細胞による核酸および/またはタンパク質合成は、モニター
され得る。インビボアッセイのために、組織は、視覚的に、または顕微鏡的に除
去および検査され得、そして必要に応じて、組織学的検査を容易にする色素また
は染料と組み合わせて試験され得る。インビボアッセイ結果を評価するにおいて
、従来の医薬品化学/動物モデル技術を使用して、試験化合物の生体分布(bi
odistribution)を試験することもまた有用であり得る。
【0065】
(新生児マウス頭頂骨アッセイ(インビトロ))
骨再吸収または骨形成のためのアッセイは、Gowen M.&Mundy
G.J Immunol(1986)136:2478−82によって記載され
るものと類似している。簡単には、生後4日で、ICR Swiss白仔マウス
の前頭骨および頭頂骨は、微少切除によって除去され、そして矢状縫合に沿って
切開される。再吸収のためのアッセイにおいて、骨は、BGJb培地(Irvi
ne Scientific、Santa Ana,CA)および0.02%(
またはそれ未満の濃度)のβメチルシクロデキストリンにおいてインキュベート
され、そこでは、その培地はまた、試験物質またはコントロール物質を含有する
。アッセイが骨形成を評価するために行われたときに使用される培地は、6μg
/mlのインスリン、6μg/mlのトランスフェリン、6ng/mlのセレン
酸(selenous acid)、それぞれ1.25および3.0mMの濃度
のカルシウムおよびリン酸を補充したFittonおよびJackson改変B
GJ培地(Sigma)であり、そして100μg/mlまでの濃度のアスコル
ビン酸を、2日おきに添加する。インキュベーションは、37℃で、5%CO2
および95%空気の湿潤雰囲気下で、96時間行われる。
【0066】
この後、骨をインキュベーション培地から除去し、そして10%緩衝化ホルマ
リン中で24〜48時間固定し、14%EDTA中で1週間脱灰し、等級アルコ
ールを通して処理し、そしてパラフィルムワックス中に包埋する。頭頂骨の3μ
m切片を調製する。代表的な切片を、骨形成または骨吸収の組織形態計測的な評
価のために選択する。骨変化を、200μmに切開した切片について測定する。
骨芽細胞および破骨細胞を、それらの明確な形態学によって同定する。
【0067】
その他の補助的なアッセイは、試験化合物の非BMPプロモーター媒介効果を
決定するためのコントロールとして使用され得る。例えば、分裂促進的な活性は
、プロモーターおよびルシフェラーゼレポーター遺伝子としての血清応答エレメ
ント(SRE)を特徴として有するスクリーニングアッセイを使用して測定され
得る。より詳細には、これらのスクリーニングアッセイは、SRE媒介経路(例
えば、プロテインキナーゼC経路)を通してシグナル伝達を検出し得る。例えば
、骨芽細胞アクチベーターSREルシフェラーゼスクリーニングおよびインスリ
ン模倣物SREルシフェラーゼスクリーニングは、この目的のために有用である
。同様に、cAMP応答エレメント(CRE)媒介経路の試験化合物刺激もまた
、アッセイされ得る。例えば、PTHおよびカルシトニン(2つの骨活性因子)
に対するレセプターでトランスフェクトされた細胞は、CREルシフェラーゼス
クリーニングにおいて、cAMPレベルの上昇を検出するために使用され得る。
従って、試験化合物のBMPプロモーター特異性は、これらのタイプの補助アッ
セイを使用することによって試験され得る。
【0068】
(マウス頭頂骨骨成長に対する化合物の効果のインビボアッセイ)
雄ICRスイス白マウス(4〜6週齢、体重13〜26グラム)を、一群あた
り4〜5匹を使用して、利用する。頭頂骨成長アッセイを、PCT出願WO95
/24211(参考として援用される)に記載されるように行う。簡単には、試
験化合物または適切なコントロールビヒクルを、正常マウスの右頭頂骨を覆う皮
下組織に注入する。代表的には、コントロールビヒクルは、化合物が可溶化され
るビヒクルであり、そして5%DMSOを含有するPBSであるか、またはTw
een(2μl/10ml)を含有するPBSである。その動物を14日目に屠
殺し、骨の成長を組織形態計測によって測定する。定量のための骨サンプルを、
近接組織から除去し、そして10%緩衝化ホルマリンで24〜48時間固定し、
14%EDTA中で1〜3週間脱灰し、等級アルコールを通して処理し、そして
パラフィンワックス中に包埋する。頭頂骨の3〜5μmの切片を調製し、そして
代表的な切片を、骨形成および骨吸収に対する効果の組織形態計測評価のために
選択する。切片を、顕微鏡画像をデジタイジングプレート上で直接追跡するため
に、カメラルシダーアタッチメントを使用して測定する。骨変化を、200μm
離して切開した切片上で、4つの1×1mmの近接する視野にわたって、頭頂骨
の注入された側および注入されなかった側の両方において測定する。新たな骨を
、その特徴的な編まれた構造によって同定し、そして破骨細胞および骨芽細胞を
、それらの明確な形態によって同定する。組織形態計測ソフトウェア(Oste
oMeasure,Osteometrix,Inc.,Atlanta)を使
用して、デジタイザ入力を処理し、細胞数を決定し、そして面積またはペリメー
タを測定する。
【0069】
試験のための代表的な処置レジメンは、反復される投与の数日にわたって試験
されるべき化合物の適用を利用する。
【0070】
(さらなるインビボアッセイ−骨)
リード化合物は、インビボ投与アッセイを使用して、インタクトな動物におい
てさらに試験され得る。プロトタイプの投与は、皮下、腹腔内、または経口投与
によって達成され得、そして注入、徐放、またはその他の送達技術によって行わ
れ得る。試験化合物の投与のための時間は、さまざまであり得る(例えば、28
日、ならびに35日が適切であり得る)。例示的なインビボ経口または皮下投与
アッセイは、以下のように行われ得る:
代表的な研究において、70匹の3ヶ月齢雌Sprague−Dawleyラ
ットの体重を整合させ、そして7つの群(各群に10匹の動物)に分割する。こ
れは、研究の最初に屠殺される動物のベースラインコントロール群;ビヒクルの
みを投与されるコントロール群;PBS処理コントロール群;および骨成長を促
進することが知られている化合物(非タンパク質またはタンパク質)を投与され
る陽性コントロール群を含む。3つの用量レベルの試験されるべき化合物を、残
りの3つの群に投与する。
【0071】
簡単には、試験化合物、陽性コントロール化合物、PBS、またはビヒクル単
独は、1日1回、35日間、皮下投与される。全ての動物に、カルセイン(ca
lcein)を9日間、および屠殺する前に2日間(各指定された日に投与され
るカルセインの2回の注入)、注入する。週毎の体重を決定する。35日サイク
ルの終わりには、その動物の体重を測定し、そして眼窩穿刺または心臓穿刺によ
って採血する。血清カルシウム、リン酸塩、オステオカルシン、およびCBCを
決定する。脚の骨(大腿および脛骨)および腰椎の両方を除去し、接着軟組織を
洗浄し、そして末梢定量的コンピュータ断層撮影法(pQCT;Ferrett
i,J.Bone(1995)17:353S−64S)、二重エネルギーX線
吸光光度法(DEXA;Laval−Jeantet A.ら、Calcif
Tissue Intl(1995)56:14−18;J.Casezら、B
one and Mineral(1994)26:61−68)および/また
は組織形態計測によって行われる評価のために70%エタノール中に保存する。
骨再モデリングに対する試験化合物の効果を、このようにして評価し得る。
【0072】
リード化合物はまた、インビボ投与アッセイを使用して急性卵巣切除動物(予
防モデル)において試験され得る。このようなアッセイはまた、エストロゲン処
置群をコントロールとして含み得る。例外的な皮下投与アッセイは、以下のよう
に行われる:
代表的な研究において、80匹の3ヶ月齢雌Sprague−Dawleyラ
ットの体重を整合させ、そして8つの群(各群に10匹の動物)に分割する。こ
れは、研究の最初に屠殺された動物のベースラインコントロール群;3つのコン
トロール群(シャム卵巣切除(シャムOVX)+ビヒクルのみ;卵巣切除(OV
X)+ビヒクルのみ;PBS処置OVX);および骨成長を促進することが知ら
れている化合物を投与されるコントロールOVX群を含む。3つの用量レベルの
試験されるべき化合物を、OVX動物の残りの3つの群に投与する。
【0073】
卵巣切除(OVX)は、食欲亢進を誘導するので、全てのOVX動物を、35
日間の研究を通してシャムOVX動物で、ペアで給餌する。簡単には、試験化合
物、陽性コントロール化合物、PBS、またはビヒクル単独を、経口または皮下
に1日1回、35日間投与する。あるいは、試験化合物は、35日間移植される
移植可能なペレット中に処方され得るか、または例えば、胃腸栄養法によって経
口投与され得る。全ての動物(シャムOVX/ビヒクルおよびOVX/ビヒクル
群を含む)に、カルセインを9日間、および屠殺する前に2日間(各指定された
日に投与されるカルセインの2回の注入、新たに形成された骨の適切な標識を確
実にするため)、腹腔内注入する。週毎の体重を決定する。35日サイクルの終
わりに、その動物の血液および組織を、上記のように処理する。
【0074】
リード化合物はまた、慢性OVX動物(処置モデル)において試験され得る。
タンパク質同化剤の効力を評価するために使用され得る卵巣切除された動物にお
ける確立された骨損失の処置のための例示的なプロトコルを、以下のように行い
得る。簡単には、80〜100匹の6ヶ月齢の雌のSprague−Dawle
yラットを、シャム外科手術(シャムOVX)または卵巣切除術(OVX)に、
0時間で供し、そして10匹のラットを屠殺して、ベースラインコントロールと
して作用させる。体重を、実験の間、週毎に記録する。約6週間(42日)以上
の骨枯渇の後、10匹のシャムOVXおよび10匹のOVXラットを、枯渇期間
コントロールとしての屠殺のために無作為に選択する。残りの動物のうち、10
匹のシャムOVXおよび10匹のOVXラットを、擬似処置コントロールとして
使用する。残りのOVX動物を、3〜5用量の試験薬物で、5週間(35日)の
期間、処置する。陽性のコントロールとして、OVXラットの群は、このモデル
においてPTH(公知のタンパク質同化剤)のような薬剤で処置され得る(Ki
mmelら、Endocrinology(1993)132:1577−84
)。骨形成に対する効果を決定するために、以下の手順に従い得る。大腿骨、脛
骨、および第1〜4腰椎は、切除され、そして収集される。近位の左および右脛
骨を、pQCT測定、海綿質骨ミネラル密度(BMD)(重量測定決定)、およ
び組織学のために使用する一方、各脛骨の中長幹(midshaft)を、皮質
BMDまたは組織学に供する。大腿骨を、生体力学試験の前に中長幹のpQCT
スキャニングのために調製する。腰椎(LV)に関して、LV2は、BMDのた
めに処理される(pQCTもまた、行われ得る);LV3が、脱灰していない骨
の組織学のために調製される;そしてLV4は、機械的試験のために処理される

【0075】
(アッセイ−毛成長:毛小胞増殖および毛成長に対する化合物の効果のインビ
ボアッセイ)
頭頂骨成長に対する化合物の効果を評価するための上記のアッセイもまた、毛
成長を刺激する化合物の能力を評価するために使用され得る。試験化合物または
適切なコントロールビヒクルは、雄ICR Swiss白マウスの上背および腰
に、局所的に、または皮下注入のいずれかにより適用される。このビヒクルは、
試験されるべき化合物および投与の経路について適切に選択される。必要に応じ
て、試験領域における毛は、投与前に除去され得る。適切な間隔(代表的には、
7日)の後、そのマウスに麻酔し、そして背側領域の処置の生検を、6mmの皮
膚パンチを使用して採る。標本を10%緩衝化ホルマリン中に固定し、そしてパ
ラフィンワックス中に包埋し、そして切片にし、そして染色して毛の小胞を観察
する。さらに、写真を使用して、毛の成長を観察および記録し得る;代表的には
、このような成長は、14〜18日後に観察される。適切な間隔(代表的には、
21日)の後、その動物を安楽死させ得、そして毛を線維分析のために分析し、
そしてその処置領域からの組織を、毛の小胞の定量のために分析する。
【0076】
(本発明において有用な化合物の性質)
本発明の方法および組成物において有用な化合物は、プロテアソーム活性の、
転写因子NF−κB(好ましくは、両方)のインヒビターである。これらの活性
の公知のインヒビターは、文献から確かめられ得、または化合物は、当該分野で
公知のアッセイを使用してこれらの活性について試験され得る。さらに、プロテ
アソーム活性を有する酵素をコードするヌクレオチド配列、またはNF−κBを
コードするヌクレオチド配列の有効な発現のレベルを低下させるインヒビターは
、本発明の方法において評価および使用され得る。
【0077】
しかし、このように同定された化合物は、骨欠損を処置することに関連するの
で、本発明の方法に従って使用されるが、好ましくは、イソプレノイド経路を阻
害する化合物(例えば、スタチン)を含まない。これらの除外される化合物の記
載は、WO98/25460および米国特許出願第09/096,631号にお
いて見出され得、この両方が上記に引用され、そして本明細書中に参考として援
用される。利便のために、言及したイソプレノイド経路を、本明細書の図2に示
す。インヒビターである化合物の1つのクラスは、以下の式を有するスタチンで
ある:
【0078】
【化1】

【0079】
ここで、式(1)および(2)の各々におけるXは、置換された、または置換さ
れていない2〜6Cのアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンリンカー
を表す。
【0080】
Yは、1つ以上の炭素環式環またはヘテロ環式環を表し、ここでYは、2つ以
上の環を含み、この環は、融合され得る;そして
R’は、陽イオン、H、または1〜6Cの置換された、もしくは置換されてい
ないアルキル基を表し;そして点線は、必要に応じて存在するπ結合を表す。
【0081】
しかし、これらの化合物は、毛成長の刺激に関するので、本発明の方法におい
て使用され得る。
【0082】
プロテアソームまたはNF−κBインヒビターであることが公知である化合物
には、以下が含まれる:
【0083】
【表1】

【0084】
例えば、Vinitsky,A.ら、J Biol Chem(1994)2
69:29860−29866:Figueiredo−Pereira,M.
E.ら、J Neurochem(1994)63:1578−1581;Wo
jcik,C.ら、Eur J Cell Biol(1996)71:311
−318を参照のこと。
【0085】
上記のリストにおいて、ラクタシスチン(lactacystin)は、プロ
テアソーム活性の可逆的インヒビターであることが公知である。それは、β触媒
性サブユニットに結合し、そして20Sプロテアソームの特異的インヒビターで
ある。それはまた、NF−κBを可逆的に阻害する。
【0086】
SN50は、p50のNLS(核局在配列)およびK−FGFの疎水性領域で
ある。それは、核へのNF−κB活性複合体の転移を阻害する。
【0087】
ESTのような特定のペプチジルエポキシケトンは、プロテアソームの不可逆
的インヒビターである。MG−132は、そのATPaseまたはイソペプチダ
ーゼ活性に影響を及ぼさずに、20Sタンパク質のキモトリプシン活性に対する
活性を示し、そして可逆的にNF−κB活性を阻害する。MG−115およびM
G−341は、MG−132に対する類似の活性を示す。NF−κBの種々の他
のインヒビターは、ABAアッセイにおいてより活性でない。これらには、カプ
サイシン、クルクミン、およびレジニフェラトキシン(resiniferat
oxin)が含まれる。NF−κBを阻害することが公知である他の化合物は、
グリオトキシンおよびPDTC(1−ピロリジンカルボチオン酸(1−pyrr
olidine carbothiotic acid))である。種々の他の
化合物(例えば、BAY−11−7082およびBAY−11−7085ならび
にカリクリン(calyculin)A)は、NF−κBのリン酸化を阻害する
。カルパインインヒビターは、カルパイン1およびプロテアソームを阻害する;
他の化合物(例えば、オロモウシン(olomoucine)およびロスコビチ
ン(roscovitine))は、cdk2および/またはcdk5を阻害す
る。
【0088】
プロテアソームインヒビターであることが示されるさらなる化合物は、ペント
キシフィリン(PTX)である。Combaret,L.ら、Mol Biol
Rep(1999)26:95−101。それは、上記のインビトロ頭頂骨ア
ッセイにおいて活性である。
【0089】
上記のように、本発明の方法の好ましい実施態様において、骨障害の処置にお
いて使用される同定された化合物は、スタチン以外であり、そしてイソプレノイ
ド経路を阻害する他の化合物は、代表的には、図1に示される。他の好ましい実
施態様において、以下に記載される化合物もまた、本発明の骨障害の処置の方法
における使用から除外される:PCT出願WO98/17267、WO97/1
5308、およびWO97/48694(本明細書中において引用され、そして
参考として援用される)。しかし、本発明に従って毛成長を刺激するためのこの
方法におけるこれらの化合物の使用は、除外されない。
【0090】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図するが、限定することを意図し
ない。
【実施例】
【0091】
(実施例1)
(高処理能力スクリーニング)
数千もの化合物が、1995年6月2日に出願された米国特許出願第08/4
58,434号(本明細書中で参考として援用される)に示されるアッセイ系に
おいて試験されてきた。本発明の代表的な化合物は陽性応答を与えるが、一方、
大多数の(関連していない)化合物は不活性である。このスクリーニングにおい
て、標準的な陽性コントロールは、化合物59−0008(「OS8」とも示さ
れる)であり、これは以下の式である:
【0092】
【化2】

【0093】
より詳細には、2T3−BMP−2−LUC細胞(Ghosh−Choudh
uryら、Endocrinology(1996)137:331〜39(上
記に援用される)に記載される、安定に形質転換された骨芽細胞)を使用した。
この細胞を、α−MEM(1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび1%グル
タミンを有する10% FCS)(「プレーティング培地」)を用いて培養し、
そして1週間に1回、1:5に分けた。このアッセイのために、この細胞を、4
% FCSを含むプレーティング培地中で再懸濁し、マイクロタイタープレート
に5×103細胞(50μl中)/ウェルの濃度でプレーティングし、そして5
% CO2中で37℃にて24時間インキュベートした。このアッセイを開始す
るために、DMSO中で50μlの試験化合物またはコントロールを2×濃度で
各ウェルに添加し、その結果、最終容量は100μlであった。最終血清濃度は
2% FCSであり、そして最終DMSO濃度は1%であった。化合物59−0
008(10μM)を陽性コントロールとして使用した。
【0094】
処理した細胞を、37℃および5% CO2で24時間インキュベートした。
次いで、この培地を除去し、そしてこの細胞をPBSで3回リンスした。過剰な
PBSを除去した後、25μlの1×細胞培養物溶解試薬(Promega #
E153A)を各ウェルに添加し、そして少なくとも10分間インキュベートし
た。必要に応じて、このプレート/サンプルを、この時点で凍結させ得る。各ウ
ェルに50μlのルシフェラーゼ基質(Promega #E152A;7mg
のPromegaルシフェラーゼアッセイ基質あたり10mlのPromega
ルシフェラーゼアッセイ緩衝液)を添加した。発光を、自動化96ウェルルミノ
メーター(luminometer)上で測定し、そして1ウェルあたりのルシ
フェラーゼ活性のピコグラムか、またはタンパク質1マイクログラムあたりのル
シフェラーゼ活性のピコグラムのいずれかとして表した。
【0095】
このアッセイにおいて、化合物59−0008(3−フェニルアゾ−1H−4
,1,2−ベンゾチアジアジン)は、約3〜10μMの濃度で最大の反応性のパ
ターンを示す。従って、他の試験された化合物を、種々の濃度で評価し得、そし
てその結果を、10μMでの59−0008について得られた結果(この値を1
00に対して正規化する)と比較した。あるいは、試験されるべき化合物の反応
性を、化合物を含まない陰性コントロールに対して直接比較し得る。
【0096】
コントロール化合物59−0328(これは、シンバスタチンである)は、良
好な応答を与える。公知のプロテアソームインヒビターであるMG−132およ
びMG−115もまた、高い活性を示す;MG−132は、より低濃度で有効で
ある。陽性応答はまた、ラクタシスチンを使用しても得られる。しかし、グリオ
トキシン(gliotoxin)、オロマウシン(olomoucine)、ロ
スコビチン(roscovitine)、SN50、PDTC、およびカプサイ
シンは、応答の促進を与えない。
【0097】
(実施例2)
(インビトロでの骨形成)
選択された化合物および適切なコントロールを、インビトロ(エキソビボ)で
、骨形成活性についてアッセイした(「Techniques for Neo
natal Mouse Calvaria Assay(in vitro)
」において上記に記載される)。エキソビボ頭蓋冠の組織形態計測評価を、製造
者の指示書に従って、OsteoMetrics骨形態測定プログラムを使用し
て実施した。測定を、標準点計数接眼レンズグラティキュール(standar
d point counting eyepiece graticule)
を用いて10倍または20倍のいずれかの対物レンズを使用して決定した。
【0098】
新骨形成を、各骨(1群あたり4つの骨)の代表的な3つの切片において1つ
の視野中に形成した新骨面積を(10倍の対物レンズを使用して)測定すること
によって決定した。各測定を、縫合の末端から1/2の視野の距離で実施した。
全ての骨面積および古い骨面積の両方を測定した。データを、新骨面積としてμ
2で表した。
【0099】
実施例1の結果は、このアッセイの結果と幾分不完全に関連した。コントロー
ル化合物(シンバスタチン)は、MG−132およびラクタシスチンと同様に、
このアッセイにおいて新骨形成を示した。MG−115もまた、シンバスタチン
よりも劇的に低いが、陽性の結果を示した。しかし、グリオトキシン(これは、
実施例1のABAアッセイにおいて陰性であるようであった)は、骨成長を刺激
する能力を実証した。残りの化合物(オロマウシン、ロスコビチン、SN50、
PDTC、およびカプサイシン)は、このアッセイにおいて陰性であるようであ
った。
【0100】
骨芽細胞数を、点計数によって決定する。骨の両側上の骨表面に沿って並ぶ骨
芽細胞の数を、20倍の対物レンズを使用して1つの視野で計数する。データを
、骨芽細胞数/1mmの骨表面として表す。
【0101】
アルカリホスファターゼ活性を、Majeska,R.J.ら、Exp Ce
ll Res(1978)111:465〜465に記載される方法を使用して
、マウス器官培養物の馴化培地中で測定する。馴化培地を、ホスファターゼ基質
104(Sigma)とともに37℃で20分間インキュベートし、そしてこの
反応を、2mlの0.1M NaOHを用いて停止させる。アルカリホスファタ
ーゼ活性を、OD410からBeckmanデュアルビーム分光光度計において
410nmの光学密度で切断した基質を測定することによって算出し、そしてタ
ンパク質濃度について補正する。
【0102】
PSIおよびMG−132ならびにコントロール化合物/bFGF因子および
BMP−2因子、ならびにビヒクルコントロールをこのアッセイにおいて試験し
、そして頭蓋冠を、上記のように組織形態計測的に分析した。濃度の関数として
の骨面積における増大;骨芽細胞における増大およびPSIについてのアルカリ
ホスファターゼ活性の増強を、測定した。
【0103】
このデータは、PSIが、骨形成の誘導について、BMP−2およびbFGF
(骨成長に対する2つの「金基準(gold standard)」薬剤;Wo
zney J.Molec Reprod Dev(1992)32:160〜
67;WO95/24211を参照のこと))と同様、またはそれらよりも良好
であることを示す。
【0104】
さらなる実験は、ペントキシフィリン(pentoxyfillin)(PT
X)を、上述のアッセイにおいて試験した。新骨形成を増強する能力は、0.1
μm程度の低濃度において示される。10μmの濃度において、PTXは、新骨
が100%以上までコントロールを超えるように増強するようであり、100μ
mにおいては、その増加は、コントロールの増加の約3倍であった。
【0105】
(実施例3)
(インビボでの頭蓋冠骨成長データ)
PSIおよびMG−132を、以前に記載された手順に従ってインビボにおい
てアッセイした(「In vivo Assay of Effects of
Compounds on Murine Calvarial Bone
Growth」(前出)を参照のこと)。コントロールとして、シンバスタチン
を、骨芽細胞の数で1.5倍増やして提供した。
【0106】
1つの実験において、ビヒクルコントロール、bFGFおよび変動用量のPS
Iを、インビボ頭蓋冠骨成長アッセイにおいて試験した。この結果を、総骨面積
の測定、ビヒクルコントロールにわたる面積における%増加、および以下に示さ
れるような新骨の幅における%増加として報告する。
【0107】
【表2】

【0108】
さらに、組織学的試験は、5mg/kg/日のPSIが使用される場合および
1mg/kg/日が使用される場合の両方において、骨成長の確認を示した。
【0109】
(実施例4)
(骨形成の効果の要約)
以下の表は、上記の種々のアッセイにおいて試験された化合物について得られ
た結果を要約する。プロテアソームインヒビターである化合物もまた骨形成を増
強することが示される。しかし、この表中の試験された化合物において、NF−
κBのみのインヒビターであってプロテアソーム活性を阻害できないことが公知
である化合物は、高処理能力アッセイにおいてルシフェラーゼ活性(BMP−2
プロモーター活性の指標)も増強しないし、それらはプロテアソームインヒビタ
ーが行うのと同様に大きな程度まで、インビトロで頭蓋冠アッセイにおける骨形
成を増強しない。
【0110】
本発明の有用な化合物には、以下が挙げられる:
【0111】
【表3】



【0112】
(実施例5)
(毛包生成に対するPSIおよび他のプロテアソームインヒビターの効果)
実施例3のインビボでの骨頭蓋冠成長アッセイを、処置したマウスにおける毛
包の数を観察するように改変した。最初の観察において、PSI(5mg/kg
/日)を、上記のようにSwiss ICRマウスの頭蓋冠上に、1日3回、5
日間注射した。16日後、このマウスを屠殺した。この頭蓋冠の組織学は、コン
トロールマウスに対してPSIで処置したマウスにおける毛包の数において著し
く大きな増加を明らかにした。PSIに加えて、同じ方法で投与されたMG13
2(10mg/kg)、MG115(10mg/kg)およびラクタシスチン(
lastacysin)もまた、毛包の数における増加を刺激した。
【0113】
(実施例6)
(毛の成長の刺激)
雄性Swiss ICRマウスを、以下のように最初に処置して、頭皮および
背面領域から毛を取り除いた。パラフィンろうを55℃まで加熱することによっ
て液化し、次いで、この液化したろうを、頭皮および/または背部をブラシがけ
することによって適用した(麻酔下)。このろうを凝固させ、次いで除去した。
毛を剥ぎ取った次の日、PSI(1mg/kg/日)を、1日3回、5日間、頭
皮および背面領域へ皮下注射した。7日目に皮膚のパンチ生検を採取した;組織
学は、コントロールマウスに対して、PSIを投与したマウスにおける毛包の数
の大きな増加を明らかにした。18日目に、処置したマウスは、コントロール群
におけるマウスの毛の成長速度よりも、より速い毛の成長速度を有したことが観
察可能であった。
【0114】
マウスを21日目に屠殺し、そして組織学を、頭皮および背面領域の真皮上で
実施した。処置したマウスにおいて、コントロールよりも非常に多い数の成熟毛
包が、真皮のより低い領域に移動していた。より緻密な試験に際して、ビヒクル
のみを受けたマウスが、静止の毛包を有することを観察した。PSIで処置した
場合、このような小胞を、成熟毛包へ分化するように、そして真皮のより低い領
域に移動するように刺激した。
【0115】
(実施例7)
(局所的投与)
PSIを、0.1%濃度のPSIにおいて、ビヒクルが50%プロピレングリ
コール、30%エタノール、20%脱イオン水である、局所的処方物として調製
した。この溶液を、1日3回、5日間適用した。処置された群におけるマウスを
、ビヒクルのみで同様に処置したコントロールと比較して観察した。16日での
結果は、コントロールに相対的な毛の成長の刺激を示した。
【0116】
毛の成長を刺激することに加えて、PSIは、毛および毛幹の両方を厚くし得
た。小胞領域が0.01mm2より大きい場合に、PSIは毛の数を増加させた
。上記のプロトコルを、各5匹のマウスを含む群においてPSIの0.5%溶液
を用いて繰り返した場合、0.8mm2あたりの毛の数は、コントロール群にお
いて約10に対して、処置したマウスにおいて60であった。約0.8mm2
領域中の小胞面積の割合は、コントロール群における平均15%と比較して、処
置した群においては平均約30%であった。
【0117】
(実施例8)
(必要用量)
PSIの最小有効投薬量を決定するために、代表的に使用される場合、PSI
に対する用量応答曲線を調製した。全ての実験を、現行の優良実験室実施規則(
good laboratory practice regulations
)(21CFR58)に従って実施した。このマウスを7つの群(各10匹)に
分けた。ここで、1つの群は、ビヒクルのみを処置されたコントロールであり、
そして群1〜6は、50%プロピレングリコール、30%エタノール、20%脱
イオン水を含むビヒクル中でPSIの一連の増加する濃度を有した。この濃度は
、0.006%、0.012%、0.025%、0.05%、0.11%および
0.5%であった。
【0118】
このマウスを麻酔し(3mlケタミン、2mlの小動物ロンパム(rompu
m)、5ml NaClを含む50μl Mouse Cocktail)、耳
パンチコード(ear punch code)によって同定し、計量し、そし
て背面上の毛を実施例6に記載されるようにろうを塗布することによって除去し
た。ろうを塗布した後、この動物を写真に撮った。次の日(1日目)、ビヒクル
中で上記の濃度での100μlのPSIを、除去した毛の領域上をブラシがけし
た。PSI溶液の同様の適用を、さらに4日間毎日実施した。
【0119】
7日目に、マウスを麻酔し、そして6mm皮膚パンチを使用して背面処置領域
の生検を採取した;標本を、10%緩衝化ホルマリンで固定し、そしてパラフィ
ンろうに包埋した。切片を、標準的ミクロトームを使用して切断した。
【0120】
マウスを、毛の成長の徴候について毎日モニターし、そして任意の毛の成長を
、写真によって記録した。21日目に、動物を安楽死させ(75mg/kg体重
のフェノバルビタール、IP注射)、2cmの毛サンプルを、光学ベースの線維
分析のために採取し、そして残りの背面処置領域を、さらなる組織学的分析のた
めに10%緩衝化ホルマリン中で固定した。分析は、毛の厚さの定量および成熟
毛包の定量を含んだ。結果を、平均=±平均の標準誤差と表した。データを、分
散の分析の繰り返し測定によって、続いて、Tukey−Kramerポスト(
post)試験によって分析し、0.05未満のP値を有意であるとみなした。
【0121】
この結果は、1日1回、4日間適用されるPSIの最小有効量が0.5%であ
ることを示す;さらなる実験は、代表的に1日3回、5日間適用される0.1%
のPSIもまた有効であることを示した。
【0122】
有効用量を受けたマウスの肉眼的観察は、増強された毛の成長速度、毛の直径
の肥厚、シース直径の増加、および静止の毛包のより成熟な形態への分化を示し
た。
【0123】
上記に引用される文書の全ての内容は、本発明を理解するために必要とされる
程度に本明細書中で明確に援用される。
【0124】
上述から、本発明の特定の実施態様が例示の目的のために本明細書中に記載さ
れているが、種々の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなさ
れ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によること
を除いて限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】図1は、イソプレノイド経路の図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛成長を刺激することにより利益を受ける状態を処置するための薬学的組成物であって、NF−κBの活性を阻害するか、またはプロテアソーム活性を阻害するか、またはこれらのタンパク質の産生を阻害する化合物を含む、組成物。
【請求項2】
前記化合物が、プロテアソーム活性を阻害するか、またはプロテアソームタンパク質の産生を阻害する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記化合物が、ラクタシスチンまたはペプチジルアルデヒ
ドである、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記化合物が、ラクタシスチンまたはペプチジルアルデヒ
ドである、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
毛成長を刺激する化合物を同定する方法であって、
NF−κB活性を阻害する能力を測定するアッセイに、候補化合物を供する工程;または
NF−κBの産生を阻害する能力を測定するアッセイに、候補化合物を供する工程;または
プロテアソーム活性を阻害する能力を評価するためのアッセイに、候補化合物を供する工程;
プロテアソーム活性を有する酵素の産生を阻害するその能力を評価するためのアッセイに、候補化合物を供する工程
を包含し、
それによって、
NF-κの活性を阻害する化合物;
NF−κBの産生を阻害する化合物;
プロテアソーム活性を阻害する化合物;または
プロテアソーム活性を有する酵素の産生を阻害する化合物
が同定される、方法。
【請求項6】
本明細書に実質的に記載される毛成長を刺激する薬学的組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛成長を刺激することにより利益を受ける状態を処置するための薬学的組成物であって、NF−κBの活性を阻害するか、またはプロテアソーム活性を阻害するか、またはこれらのタンパク質の産生を阻害する、毛成長を刺激する量の化合物を含み、ただし、該化合物はシクロスポリン以外である、組成物。
【請求項2】
前記化合物が、イソプレノイド経路を阻害しない、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記化合物が、プロテアソーム活性を阻害するか、またはプロテアソームタンパク質の産生を阻害する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記化合物が、ラクタシスチンまたはペプチジルアルデヒドである、請求項1〜3のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記化合物が、PSI、MG132、MG262、MG115、ALLN、グリオトキシンSN50、ALLM、PPM−18、Bay 11−7082、カプサイシンまたはPDTCである、請求項1〜3のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記化合物がPSIである、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
毛成長を刺激する化合物を同定する方法であって、
NF−κB活性を阻害する能力を測定するアッセイに、候補化合物を供する工程;または
NF−κBの産生を阻害する能力を測定するアッセイに、候補化合物を供する工程;または
プロテアソーム活性を阻害する能力を評価するためのアッセイに、候補化合物を供する工程;または
プロテアソーム活性を有する酵素の産生を阻害するその能力を評価するためのアッセイに、候補化合物を供する工程
を包含し、
それによって、
NF−κの活性を阻害する化合物;
NF−κBの産生を阻害する化合物;または
プロテアソーム活性を阻害する化合物;または
プロテアソーム活性を有する酵素の産生を阻害する化合物
毛成長を刺激する化合物として同定される、方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−89498(P2006−89498A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330878(P2005−330878)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【分割の表示】特願2000−558808(P2000−558808)の分割
【原出願日】平成11年7月9日(1999.7.9)
【出願人】(501009090)オステオスクリーン,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】