説明

骨癒合を速める骨接合材および骨接合材セット

【課題】生体骨との置換、再生を促進でき、接合箇所の骨癒合期間を短縮でき、空洞が残ることなく生体骨を復元できる骨接合材と骨接合材セットを提供する。
【解決手段】骨接合材は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなる骨接合材本体(スクリュー1,ピン5)の中心線上に穿孔した孔1b,5aに、上記ポリマーの気孔質複合体からなる生物学的骨成長因子が含浸された充填材2を充填した構成、或は骨接合材本体の孔に骨成長因子未含浸の充填材を嵌挿した構成とする。骨接合材セットは充填材入り骨接合材本体と骨成長因子の組合わせ、骨接合材本体と充填材と骨成長因子の組合わせ、骨接合材本体と骨成長因子含浸充填材の組合わせ、骨接合材本体と骨成長因子未含浸充填材の組合わせとする。骨成長因子で骨癒合期間を短縮しバイオセラミックス粉体で生体骨との置換を促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記のような骨の接合固定に好ましく使用される、極めて生体活性に優れた、骨癒合を速める生体内分解吸収性の骨接合材に関する。
1.骨接合術における骨折部の接合
a)足関節、膝関節、股関節、肘関節、肩関節などの関節内骨折、関節周囲部骨折に対する観血的整復固定術
b)中手骨、中足骨などの手足の小骨骨折に対する観血的整復固定術
2.骨移植術における移植骨の固定
a)人工股関節置換術における移植骨片の固定
b)人工膝関節置換術における移植骨片の固定
c)腫瘍掻爬術における移植骨片の固定
3.骨切り術における骨片の固定
a)寛骨臼回転骨切り術における骨片の固定
b)外反母趾矯正骨切り術における骨片の固定
c)手関節形成術(Kapanji法)における骨片の固定
4.その他
a)関節の一時的固定(脛腓関節の一時的固定など)
b)上記の1.a)以外の妥当な骨折部の接合、固定
【背景技術】
【0002】
従来、骨の接合固定には、金属製又はセラミックス製のスクリューやピンなどの骨接合材が使用されている。しかしながら、これらの骨接合材は弾性率が生体骨と比較すると著しく高いので、その強度に依存することで、接合材周囲の骨の強度が却って低下するなどの問題がある。特に、金属製のスクリューは埋入後10年を超える長期には徐々に放出された金属イオンよって生体に害を与える恐れがあるため、骨折などが治癒した時点で早期にそれを体内から取り出す再手術をしなければならないという危惧もある。
【0003】
このような事情から、再手術の必要がない生体内分解吸収性ポリマーよりなるスクリューの研究が行われるようになった。更に、本出願人は、医師、患者の高い要求を満たすべく、生体活性かつ、生体吸収性のバイオセラミックス粉体を生体内分解吸収性ポリマー中に含有した、生体活性と生体内分解吸収性をあわせもつ、種々のスクリュー、ピンなどの骨接合材を開発した(特許文献1,2)。
【0004】
また、その複合材料でもって、スクリューを精度良く所定の部位に方向を定めて導入してねじ込むためのキルシュナーワイヤを挿通する貫通孔を穿孔したもの(所謂、キャニュレーテッドスクリューと呼ばれる中空スクリュー)も開発した。
【特許文献1】特開平11−70126号公報
【特許文献2】特開平10−85231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中空でないスクリューは勿論、特許文献1のスクリューや特許文献2のピンは、ポリマーが生体内で加水分解を進めるに伴って、露呈したバイオセラミックス粉体がもつ生体活性によって、骨組織が伝導形成され、いずれは生体骨と置換して消失するものである。しかし、骨癒合までに、他の材質である金属やバイオセラミックと同様に時間がかかること、および骨癒合が得られた後に、スクリューが完全に生体骨と置換して消失するまでに長期間を要するという問題がある。一方で、生体骨との置換、再生を促進するには、BMP(Bone Morphogenic Protein)などの生物学的骨成長因子が有効であることは周知であり、実際に、症例を選んで、臨床の場で使われている。けれども、このような生物学的骨成長因子は生体内分解吸収性ポリマーのスクリューやピンに直接的に含有させることはできない。それは、これら骨接合材を強化、成形製造する工程で、低くても摂氏100度以上の熱履歴を伴うので、そのときに、これら生物学的骨成長因子が熱変性して、効力を失うからである。
【0006】
また、キャニュレーテッドスクリューの場合は、貫通孔に骨組織が侵入、成長(bone ingrowth)しにくいために、該スクリューがほとんど分解吸収されて、骨置換されるまでの期間、幾分かは空洞のままで残るという問題もあった。そのために、他の部位から採取した自家骨粒を詰めることも考えられるが、採取部位は欠損部位として残るので、更に人工骨粒片の充填を計らなければならず、自骨による完全な修復にはならない。
【0007】
本発明は上記の問題を解決すべく、なされたもので、以下の基本的な構成体により発現される機能により、優れた解決法を与えることを目的とする。
1.(構成体)
中空体でありながら、生体内分解吸収性骨接合材として値するだけの高い機械的強度とその維持期間を持ち、その貫通孔内に、それ自体が骨伝導性と骨誘導性を備えた、海面骨に似た多孔質形態と機械的強度を持つ代替骨、あるいは骨の進入、再生を促進する足場(Scaffold)として機能する多孔性物質を充填しており、さらに、この多孔体が生物学的骨成長因子を含んでいるという、3つの構成要因からなる複合体である。
2.(機能)
A)3つの構成要因からなる複合体でありながら、全体としての骨接合材としての機械的強度(挿入時のトルク強度、および骨折など、何らかの理由で離断した骨の接合に必要な強度)を十分に持ち、それを通常の骨癒合に必要な、少なくとも3ヶ月以上の期間維持する能力を持つ。
B)貫通孔内に充填された海綿骨様の多孔体は、自らも骨伝導性と骨誘導性を発揮しながら、高い強度を担保する最外側の皮質骨以上の強度を有する中空緻密体よりも、より早く分解、吸収される。その挙動に先行ないしは並行して、担持している生物学的骨成長因子が徐々に放出されるので、自家骨の誘導形成を効率良く促す足場としての役割を発揮する。
C)この期間は通常の骨癒合に必要な期間である3ヶ月よりもかなり早く、数週間の早期に骨癒合を完成する可能性を持つ。したがって、患者の離床時期が一挙に短縮され、患者、医師、病院の三者ともに多大の利益を受ける。
D)その後、骨接合材を構成する中空性の生体内分解吸収性骨接合材と多孔質の足場は生体内で徐々に分解吸収されて、究極的には完全に生体骨と置換され、正常な状態に復元される。
E)熱や化学的変性を受け易い生物学的骨成長因子は、連続気泡を含む多孔体に注射液や点滴液として可溶化、あるいは懸濁された状態で添加できるので、変性することは無い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1の骨接合材は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなる骨接合材本体に、少なくとも一端が開口する孔を穿孔し、その中に、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる充填材を充填し、更にこれに生物学的骨成長因子を含ませたことを特徴とするものである。
そして、本発明の請求項11の骨接合材は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなる骨接合材本体に、少なくとも一端が開口する孔を穿孔し、その中に、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる充填材を充填したことを特徴とするものである。
【0009】
また、上記目的を達成する本発明の請求項2の骨接合材セットは、(1)生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなる骨接合材本体に、少なくとも一端が開口する孔を穿孔し、その中に、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる充填材を充填した充填材入り骨接合材本体と、(2)上記充填材に含まれる生物学的骨成長因子と、を組み合わせたことを特徴とするものであり、
本発明の請求項3の骨接合材セットは、(1)生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、少なくとも一端が開口する孔を穿孔した骨接合材本体と、(2)上記骨接合材本体の孔に充填される充填材であって、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものと、(3)上記充填材に含まれる生物学的骨成長因子と、を組み合わせたことを特徴とするものであり、
本発明の請求項4の骨接合材セットは、(1)生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、少なくとも一端が開口する孔を穿孔した骨接合材本体と、(2)上記骨接合材本体の孔に充填される充填材であって、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなり且つ生物学的骨成長因子が含まれたものと、を組み合わせたことを特徴とするものであり、
本発明の請求項5の骨接合材セットは、(1)生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、少なくとも一端が開口する孔を穿孔した骨接合材本体と、(2)上記骨接合材本体の孔に充填される充填材であって、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものと、を組み合わせたことを特徴とするものである。
【0010】
上記の骨接合材および骨接合材セットにおいては、骨接合材本体を構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が30〜60質量%であり、充填材を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が60〜80質量%であることが好ましい。また、充填材を構成する気孔質複合体の気孔率は60〜90%であって、連続気孔が気孔全体の50%以上を占め、連続気孔の孔径が50〜600μmであることが好ましい。そして、この充填材に含浸させる生物学的骨成長因子は、BMP(Bone Morphogenic Protein)、TGF−β(Transforming Growth Factor-b)、EP4(Prostanoid Receptor)、b−FGF(basic Fibroblast Growth Factor)、PRP(platelet-rich plasma)のいずれか単独又は二種以上の混合物であることが好ましい。
【0011】
本発明の骨接合材および骨接合材セットにおける骨接合材本体の代表例は、中心線上にスクリュー頭部の上端面からスクリュー先端側に向かって充填材が充填される孔を穿孔したスクリューや、中心線上に一端面から他端面に向かって充填材が充填される孔を穿孔したピンである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1の骨接合材は、その骨接合材本体が例えばスクリューである場合には、これを骨折部分の骨にねじ込み、また、骨接合材本体が例えばピンである場合には、これを骨折部分の骨に打ち込んで接合固定する。この請求項1の骨接合材で骨折部分を接合固定すると、バイオセラミックス粉体を含有させた生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体よりなる骨接合材本体は、充填材が充填される孔を穿孔した中空体でありながら充分な機械的強度を持ち、体液による加水分解が早くないため通常の骨癒合に必要な少なくも3カ月以上の期間その強度を維持して確実に骨接合箇所を固定できる。一方、骨接合材本体の上記孔に充填された、バイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる充填材は、海綿骨様の多孔体であって、体液や骨芽細胞が連続気孔を通じて気孔質複合体の内部に浸透し、バイオセラミックス粉体の生体活性により骨伝導性と骨誘導性を発揮しながら、緻密質複合体の骨接合材本体よりも早く分解、吸収される。そして、この分解、吸収に先行ないしは並行して、担持しているBMPなどの生物学的骨成長因子が徐々に放出されるので、生体骨(自家骨)の誘導形成が効率良く促進され、通常の骨癒合に必要な期間である3カ月よりもかなり早く、数週間程度で骨癒合が完成されるようになる。その後、骨接合材本体と充填材は更に分解、吸収が進行し、最終的には骨伝導ないし骨誘導により形成された生体骨と完全に置換して、骨接合材本体の上記孔が空洞として残らない元の状態に復元される。また、気孔質複合体からなる充填材に含まれている生物学的骨成長因子は、骨接合材本体の製造時の熱履歴がないので、熱変性する心配がなく、上記の骨成長促進作用を発揮する。加えて、充填材や骨接合材本体に含まれるバイオセラミックス粉体は生体内吸収性であるため、置換された生体骨に残存、堆積することがなく、軟組織や血管内に浸出、残存することもない。
【0013】
また、本発明の請求項11の骨接合材は、その骨接合材本体によって骨折部分の骨を接合固定した後、別途準備したBMPなどの生物学的骨成長因子を充填材に注入、含浸させて使用するものであり、これによって上記請求項1の骨接合材と同様の作用効果が得られるものである。
【0014】
本発明の請求項2の骨接合材セットは、その充填材入り骨接合材本体が例えば充填材入りスクリューである場合には、これを骨折部分の骨にねじ込み、また、充填材入り骨接合材本体が例えば充填材入りピンである場合には、これを骨折部分の骨に打ち込んで骨を接合固定した後、充填材にBMPなどの生物学的骨成長因子を注入、含浸させて使用するものであり、このように使用することによって上記請求項1の骨接合材と同様の作用効果が得られるものである。
【0015】
本発明の請求項3の骨接合材セットは、その骨接合材本体によって骨折部分の骨を接合固定した後、骨接合材本体の少なくとも一端が開口した孔に充填材を充填し、この充填材にBMPなどの生物学的骨成長因子を注入、含浸させるか、或いは、骨接合材本体によって骨折部分の骨を接合固定した後、充填材に生物学的骨成長因子を含浸させ、この充填材を骨接合材本体の上記孔に充填して使用するものであり、このように使用することによって上記請求項1の骨接合材と同様の作用効果が得られるものである。
【0016】
本発明の請求項4の骨接合材セットは、その骨接合材本体によって骨折部分の骨を接合固定した後、BMPなどの生物学的骨成長因子が含浸された充填材を骨接合材本体の少なくとも一端が開口した孔に充填して使用するものであり、このように使用することによって上記請求項1の骨接合材と同様の作用効果が得られるものである。
【0017】
本発明の請求項5の骨接合材セットは、その骨接合材本体によって骨折部分の骨を接合固定した後、骨接合材本体の少なくとも一端が開口した孔に充填材を充填し、この充填材に別途準備したBMPなどの生物学的骨成長因子を注入、含浸させるか、或いは、骨接合材本体によって骨折部分の骨を接合固定した後、充填材に別途準備した生物学的骨成長因子を含浸させ、この充填材を骨接合材本体の上記孔に充填して使用するものであり、このように使用することによって上記請求項1の骨接合材と同様の作用効果が得られるものである。
【0018】
上記の骨接合材や骨接合材セットにおいて、骨接合材本体を構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率を30〜60質量%とし、充填材を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率を60〜80質量%としたものは、骨接合材本体が必要な強度を損なうことなく良好な骨伝導性を発揮して生体骨と置換できるようになり、充填材も良好な骨誘導性を発揮して早期に生体骨と置換できるようになる。また、充填材を構成する気孔質複合体の気孔率を60〜90%とし、連続気孔が気孔全体の50%以上を占めるようにし、連続気孔の孔径を50〜600μmとしたものは、適量の生物学的骨成長因子を充填材に容易に注入、含浸させることができ、体液や骨芽細胞が侵入しやすいため、早期に充填材の加水分解が進行すると共に、骨組織が誘導形成されて、短期間で充填材が生体骨と全置換して消失するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係る骨接合材を示すもので、(a)は同骨接合材の正面、(b)は同骨接合材の縦断面図、(c)は同骨接合材の平面図である。
【0021】
この骨接合材は、スクリュー1に形成された骨接合材本体の中心線上に、スクリュー頭部1aの上端面からスクリュー先端近くに達する円形の深い孔1bを穿孔し、この孔1bの孔径及び深さに合致した直径及び長さを備え、かつ、生物学的骨成長因子を含浸させた円柱状の充填材2を上記の孔1bに充填したものである。
【0022】
スクリュー1の上記孔1bの孔径は特に限定されないが、スクリュー1の軸部の直径(ネジ山1c相互間の谷の部分の直径)の1/3〜2/3程度に設定することが好ましい。この孔1bの孔径がスクリュー軸部の直径の2/3よりも大きくなると、スクリュー1の強度が低下して、骨折部分にねじ込む際に破壊する恐れが生じ、1/3よりも小さくなると、充填される充填材2が細くなり過ぎて充填材2の占める比率が小さくなり、生体骨の誘導形成や骨癒合を促進する効果が不充分になるので、いずれも好ましくない。
【0023】
このスクリュー1の頭部1aは、四隅にアールが設けられた正方形の平面形状を有しており、このスクリュー頭部1aに回転具の角筒状の先端部を外嵌着して回転させながら骨折部分にねじ込まれるようになっている。従って、プラスドライバーを差し込む十字溝をスクリュー頭部に形成したものに比べると、ねじ込む際にスクリュー頭部1aが破壊し難いため、スクリュー頭部1aの下面が骨に圧着するまでしっかりとスクリュー1をねじ込んで締め付けることが可能である。
【0024】
スクリュー頭部1aの形状は、上記の正方形の平面形状を有する頭部に限定されるものではなく、例えば、六角形や八角形の平面形状を有する頭部、プラスドライバーを挿入する十字溝を形成した頭部、マイナスドライバーを挿入する一文字溝を形成した頭部、四角レンチや六角レンチや八角レンチを挿入する四角穴や六角穴や八角穴を形成した頭部など、種々の形状とすることができる。そして、このレンチ挿入穴を、充填材2が充填される孔1bとして、生物学的骨成長因子が含浸された充填材2を充填してもよい。
【0025】
このスクリュー1のスクリュー軸部には、骨接合材本体として必要な強度を維持できる範囲内で、充填材2が充填される上記孔1bに連通する複数の小孔(不図示)を穿設してもよい。このような小孔を穿設すると、体液や骨芽細胞が該小孔を通じて充填材2に侵入し易くなると共に、充填材2の分解、吸収に伴って生物学的骨成長因子が滲出し易くなるので、生体骨の成長や骨癒合を一層促進できる利点がある。
【0026】
このスクリュー1は、スクリュー軸部の全長に亘ってネジ山1cを形成しているが、スクリュー軸部の途中から先端にかけてネジ山1cを部分的に形成したものでもよい。また、このスクリュー1は、充填材2を充填する孔1cをスクリュー頭部1aの上端面からスクリュー先端近くまで形成しているが、スクリュー頭部1aの上端面からスクリュー先端まで貫通する孔を形成し、この貫通した孔の全長に亘って充填材2を充填してもよい。
【0027】
上記のスクリュー1に形成された骨接合材本体は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなるものであって、生体骨(硬骨)と同等以上の大きい強度が要求されるものであるから、原料の生体内分解吸収性ポリマーとしては、結晶性のポリ−L−乳酸やポリグリコール酸などが適しており、特に、粘度平均分子量が15万以上、望ましくは20万〜60万程度のポリ−L−乳酸は極めて好ましく使用される。
【0028】
このスクリュー1(骨接合材本体)を構成する緻密質複合体に含有させるバイオセラミックス粉体としては、生体活性があり、生体内吸収性で生体に全吸収されて骨組織と完全に置換され、良好な骨伝導(誘導)能と良好な生体親和性を有する、未仮焼かつ未焼成のハイドロキシアパタイト、未仮焼かつ未焼成のリン酸カルシウム、ジカルシウムホスフェート、トリカルシウムホスフェート、テトラカルシウムホスフェート、オクタカルシウムホスフェート、カルサイト、セラバイタル、ジオプサイト、天然珊瑚等の粉体が好ましく使用される。その中でも、未仮焼かつ未焼成のハイドロキシアパタイト、トリカルシウムホスフェート、オクタカルシウムホスフェートは、生体活性が極めて高く、骨伝導能に優れ、為害性が低く、短期間で生体に吸収されるので、最適である。これらのバイオセラミックス粉体は、生体内分解吸収性ポリマーへの分散性や生体への吸収性を考慮すると、30μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは0.1〜5μm程度の粒径を有するものが使用される。
【0029】
スクリュー1(骨接合材本体)を構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率は、30〜60質量%の範囲内であることが好ましく、60質量%を上回ると、緻密質複合体が脆弱化してスクリュー1の強度不足を招く恐れがあり、30質量%を下回ると、バイオセラミックス粉体による骨伝導形成が不充分になってスクリュー1が生体骨と全置換するのに長期間を要するといった不都合が生じる。バイオセラミックス粉体の含有率は、30〜60質量%の範囲内で、スクリュー1を構成する緻密質複合体の全体に亘って一定していてもよいし、また、緻密質複合体の中心線から外周に向かって含有率が順次高くなるように連続的に変化していてもよい。後者のようにバイオセラミックス粉体の含有率が傾斜した緻密質複合体よりなるスクリュー1は、バイオセラミックス粉体の含有率が高い外周部分(スクリュー頭部1aの外周部分やスクリュー軸部の外周部分)に骨組織が早期に伝導形成されて生体骨と短期間で結合するため、スクリュー1の緩みなどを防止できる利点がある。
【0030】
上記のスクリュー1(骨接合材本体)は、バイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーを成形して円柱状の緻密質複合体の成形塊を造り、この成形塊を図1に示すようなスクリュー形状に切削加工することによって製造される。その場合、圧縮成形や鍛造成形の手段により緻密質複合体の成形塊を造って切削加工すると、緻密質複合体が圧縮されて緻密の程度が更に高くなると共に、ポリマー分子や結晶がスクリュー1の中心線に向かって周囲から斜めに配向するため、強度や硬度が一段と大きいスクリュー1を得ることが可能となる。尚、延伸成形によってポリマー分子を一軸配向させた成形塊を切削加工してスクリュー1を製造してもよい。
【0031】
一方、スクリュー1(骨接合材本体)の少なくとも一端が開口した孔1bに充填された充填材2は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものであって、内部に連続気孔を有し、この連続気孔の内面や気孔質複合体の表面にバイオセラミックス粉体が一部露出している。そして、この充填材2には、適量の生物学的骨成長因子が含浸されている。
【0032】
この充填材2を構成する気孔質複合体は、緻密質複合体からなるスクリュー1(骨接合材本体)のような大きい強度が必要でなく、スクリュー1の上記孔1bに充填する際に折損しない海綿骨程度の強度があれば足るものであり、且つ、速やかに分解して生体骨との全置換が早期に行われることが必要なものであるから、気孔質複合体の原料となる生体内分解吸収性ポリマーとしては、安全で、分解が速く、あまり脆くない、非晶質もしくは結晶と非晶の混在したポリ−D,L−乳酸、L−乳酸とD,L−乳酸の共重合体、乳酸とグリコール酸の共重合体、乳酸とカプロラクトンの共重合体、乳酸とエチレングリコールの共重合体、乳酸とパラ−ジオキサノンの共重合体などが適しており、これらは単独で、或いは二種以上混合して使用される。これらの生体内分解吸収性ポリマーは、気孔質複合体からなる充填材2に適した強度や生体内での分解吸収の期間などを考慮すると、5万〜60万程度の粘度平均分子量を有するものが好ましく使用される。
【0033】
充填材2を構成する気孔質複合体は、充填材2に適した強度、骨芽細胞の侵入及び安定化、生物学的骨成長因子の含浸性などを考慮すると、その気孔率が60〜90%、好ましくは65〜85%であって、連続気孔が気孔全体の50%以上、好ましくは70〜90%を占め、連続気孔の孔径が50〜600μm、好ましくは100〜400μmであることが望ましい。気孔率が90%を上回り、孔径が600μmより大きくなると、気孔質複合体の物理的な強度が低下し過ぎて充填材2が脆くなる。一方、気孔率が60%を下回り、連続気孔が気孔全体の50%を下回ると共に、連続気孔の孔径が50μmよりも小さくなると、適量の生物学的骨成長因子を速やかに注入、含浸させることが難しくなり、また、体液や骨芽細胞の侵入も困難になって、気孔質複合体の加水分解や骨組織の誘導形成が遅くなるため、骨癒合期間が延びたり、生体骨との全置換によりスクリュー1の上記孔1bが埋まるまでに要する時間が長くなる。但し、上記の好適な孔径と併存して1〜0.1μmのサブミクロン程度微細な連続気孔が存在すると、骨誘導性が発現されることが見出されている。
【0034】
充填材2を構成する気孔質複合体の気孔率は、60〜90%の範囲内で、該複合体の全体に亘って一定していてもよいし、外周面や上下両端面に近づくほど気孔率が連続的に高くなっていてもよい。また、連続気孔の孔径は、50〜600μmの範囲内で、該複合体の全体に亘って一定していてもよいし、外周面や上下両端面に近づくほど順次大きくなっていてもよい。気孔率や孔径が上記のように傾斜した気孔質複合体からなる充填材2は、気孔率や孔径が大きい上下両端面や外周面から適量の生物学的骨成長因子を速やかに含浸させることができ、上下両端面や外周面からの加水分解が速く、骨芽細胞の侵入、骨組織の誘導形成が活発であるため、生体骨との置換が更に促進されるようになる。
【0035】
充填材2を構成する気孔質複合体に含有させるバイオセラミックス粉体は、前述のスクリュー1を構成する緻密質複合体に含有させるバイオセラミックス粉体と同じものが使用されるが、特に、0.1〜5μm程度の粒径を有するバイオセラミックス粉体は、後述する方法で気孔質複合体を作製する際にスプレー等の手段で形成される繊維を短く切断する心配がなく、また、生体への吸収性も良好であるため、好ましく使用される。
【0036】
充填材2を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率は、60〜80質量%であることが好ましく、この範囲内で気孔質複合体の全体に亘って含有率が一定していてもよいし、外周面や上下両端面に近づくほど含有率が連続的に高くなっていてもよい。含有率が80質量%を上回ると、気孔質複合体の気孔率が高いことと相俟って、気孔質複合体よりなる充填材2の物理的強度が低下し、60質量%を下回ると、気孔質複合体の生体活性が低下するため、骨組織の誘導形成が遅くなって、生体骨との全置換によりスクリュー1の孔1bが埋まるまでの時間が長くなる。バイオセラミックス粉体の更に好ましい含有率は、60〜70質量%である。また、含有率が上記のように傾斜した気孔質複合体よりなる充填材2は、含有率の高い表層部分の生体活性が大きく、骨芽細胞や骨組織の誘導形成が特に活発となるため、生体骨との置換が一層促進される。
【0037】
また、この気孔質複合体よりなる充填材2の表面には、コロナ放電、プラズマ処理、過酸化水素処理などの酸化処理を施してもよく、このような酸化処理を施すと、充填材2の表面の濡れ特性が改善され、充填材2とスクリュー1の孔1bとの微小な隙間を通じて骨芽細胞が充填材2内部の連続気孔内に一層効果的に侵入して成長するため、生体骨との全置換が更に促進されてスクリュー1の充填材を充填した孔1bが早期に生体骨で埋まるようになる。尚、この酸化処理は、緻密質複合体よりなるスクリュー1の表面に施しても勿論よい。
【0038】
上記の気孔質複合体よりなる充填材2は、例えば次の方法によって作製することができる。まず、揮発性溶媒に生体内分解吸収性ポリマーを溶解すると共に、バイオセラミックス粉体を混合して懸濁液を調製し、この懸濁液をスプレー等の手段で繊維化して繊維の絡み合った繊維集合体を形成する。そして、この繊維集合体を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロエタン(メタン)、クロロホルムなどの揮発性溶剤に浸漬して膨潤または半溶融状態とし、これを加圧してスクリュー1の孔1bに対応合致する円柱状の多孔質の繊維融着集合体となし、この繊維融着集合体の繊維を収縮、融合させながら実質的に繊維状の形態を消失させてマトリクス化し、繊維間空隙が丸みを有する連続気孔となった気孔質複合体に形態変化させて充填材2を作製する。
【0039】
一方、充填材2を構成する気孔質複合体に含浸させる生物学的骨成長因子としては、BMP(Bone Morphogenic Protein)、TGF−β(Transforming Growth Factor-b)、EP4(Prostanoid Receptor)、b−FGF(basic Fibroblast Growth Factor)、PRP(platelet-rich plasma)等があり、これらの生物学的骨成長因子は単独で、又は、二種以上混合して容器3に封入される。また、これらの生物学的骨成長因子に生体由来の骨芽細胞を加えることも好ましい。これらの生物学的骨成長因子や、生体由来の骨芽細胞を加えたものは、注射液や点滴液として可溶化、あるいは懸濁された状態で、充填材2に含浸される。
【0040】
これらの生物学的骨成長因子や骨芽細胞を充填材2に含浸させると、充填材2の加水分解に先行ないしは並行して生物学的骨成長因子等が滲出し、骨芽細胞の増殖、成長を大幅に促進するので、部位や成長因子によっても異なるが、数週間程度で骨癒合が完成すると共に、充填材2を構成する気孔質複合体の表層部分に骨組織が形成されるようになり、その後すみやかに気孔質複合体の全体が生体骨と全置換されて、スクリュー1の孔1bが生体骨で埋まるようになる。上記の生物学的骨成長因子のうち、BMP、EP4は硬骨の成長に特に有効である。また、PRPは、血小板が豊富に濃縮された血漿であり、これを添加すると、新生骨の形成が促進される。なお、場合によっては、IL−1、TNF−α、TNF−β、IFN−γなどの他の成長因子を混合してもよい。
【0041】
以上のような構成の骨接合材は、そのスクリュー1(骨接合材本体)を骨折部分の骨にねじ込んで接合固定するものであり、このように骨折部分を接合固定すると、バイオセラミックス粉体を含有させた生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体よりなるスクリュー1は、一端が開口する孔1bを穿孔した中空体でありながら充分な機械的強度を持ち、体液による加水分解が早くないため通常の骨癒合に必要な少なくとも3カ月以上の期間その強度を維持して確実に骨接合箇所を固定できる。一方、スクリュー1の孔1bに挿入された、バイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる充填材2は、その連続気孔を通じて気孔質複合体の内部に体液や骨芽細胞が浸透し、バイオセラミックス粉体の生体活性により骨伝導性ないし骨誘導性を発揮しながら、緻密質複合体のスクリュー1よりも早く分解、吸収される。そして、この分解、吸収に先行ないしは並行して、充填材2に担持されているBMPなどの生物学的骨成長因子が徐々に放出されるので、生体骨の誘導形成が効率良く促進され、通常の骨癒合に必要な3カ月の期間よりもかなり早く、部位や生物学的骨成長因子によっても異なるが、数週間程度で骨癒合が完成されるようになる。その後、スクリュー1と充填材2は更に分解、吸収が進行し、最終的には骨伝導ないし骨誘導により形成された生体骨と完全に置換して、スクリュー1の孔1bが空洞として残らない元の状態に復元される。また、気孔質複合体からなる充填材2に含浸されている生物学的骨成長因子は、スクリュー1の製造時の熱履歴がないので、熱変性することなく骨成長促進作用を発揮する。しかも、充填材2やスクリュー1に含まれるバイオセラミックス粉体は生体内吸収性であるため、置換された生体骨に残存、堆積することがなく、軟組織や血管内に浸出、残存することもない。
【0042】
図2は本発明の他の実施形態に係る骨接合材を示すもので、(a)は同骨接合材の正面、(b)は同骨接合材の縦断面図、(c)は同骨接合材の平面図である。
【0043】
この骨接合材は、骨接合材本体をピン5に形成したものであって、このピン5の中心線上には、両端の開口した円形の孔5aがピン5の一端面(上端面)から他端面(下端面)まで貫通して穿孔されている。そして、この孔5aの孔径及び長さに合致した直径及び長さを有し、かつ、生物学的骨成長因子が含浸された円柱状の充填材2が該孔5aに充填されている。
【0044】
このピン5(骨接合材本体)は、前述のスクリュー1と同様の、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体よりなるものであって、その外周面には、先窄まり状(下窄まり状)のテーパー面5bと鍔状段差部5cとが交互に形成されており、骨折部分の骨にあけた孔にこのピン5を打込むと、鍔状段差部5cの外周エッジ部分が生体骨に食い込んで抜けないようになっている。このピン5の貫通した孔5aの孔径は、ピン5の直径(テーパー面5bの下端の最も細い部分の直径)の1/3〜2/3程度とすることが好ましく、これよりも孔径が大きくなると、ピン5の強度が低下して骨折部分に打込む際に折損する恐れが生じ、孔径がこれよりも小さくなると、充填材2が細くなり過ぎて充填材2の占める比率が小さくなり、生体骨の誘導形成を促進する効果が不充分になる。
【0045】
ピン5の形状はこの実施形態に限定されるものではなく、例えば、中心線上に貫通した孔5aを穿孔しただけの単なる円筒形状又は角筒形状のピン、或いは、この角筒形状のピンの四側面に更に斜面と段差部を交互に形成して抜けないようにしたものなど、所望の形状とすることができる。また、上記の孔5aは両端が開口した貫通孔に限定されるものではなく、ピン5の一端面(上端面)から他端面(下端面)近くまで達する深い有底孔としても勿論よい。このような有底孔にすると、ピン5の下端(先端)の強度が大きいため、打込みの際にピン5の下端(先端)が破壊される恐れが少なくなる。
【0046】
一方、充填材2は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるもので、この実施形態ではピン5の貫通した孔5aの孔径及び長さに合致した直径及び長さを有する円柱状に形成されており、前述した骨成長因子が含浸されている。尚、この孔5aが細くて長い場合には、これに合致した細くて長い充填材2を挿入、充填することが容易でないので、この孔5aの孔径に合致する直径を有する短い円柱状の充填材2を複数本準備して、この複数の充填材2をピン5の孔5aに順々に挿入することにより、該孔5aの全長に亘って充填材2を充填することが好ましい。
【0047】
尚、この骨接合材においても、必要な強度を維持できる範囲内で、充填材2が充填される孔5aに連通する複数の小孔(不図示)をピン5に穿設することにより、体液や骨芽細胞の充填材2への接触、浸入を容易にすると共に、生物学的骨成長因子の滲出を容易にし、生体骨の成長や骨癒合を一層促進させるようにしてもよい。
【0048】
上記のピン5を構成する生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体、それに含有されるバイオセラミックス粉体、その含有率などは、前述した図1のスクリュー1のそれらと同様であるので、説明を省略する。また、上記の充填材2を構成する生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体、その気孔率、連続気孔の占める割合、連続気孔の孔径、それに含有されるバイオセラミックス粉体、その含有率なども、前述した図1の充填材2のそれらと同様であるので説明を省略する。
【0049】
このような骨接合材のピン5(骨接合材本体)を、骨折部分の骨に穿孔した孔に打ち込んで骨を接合固定すると、前述のスクリュー1に形成した骨接合材の場合と同様に、ピン5が骨癒合に必要な少なくとも3カ月の期間、充分な強度を保持して骨接合部分を確実に固定し、一方、充填材2は速やかに加水分解されながら生物学的骨成長因子を放出するため、部位や骨成長因子によっても異なるが、数週間程度で接合固定箇所の骨癒合が完成し、かつ、バイオセラミックス粉体の生体活性によって比較的早期に充填材2が生体骨と置換するため、ピン5の孔5aが生体骨で埋まるようになる。そして、最終的にピン5も生体骨と全置換して消失し、上記の孔5aが空洞として残らない状態で復元される。
【0050】
本発明に係る骨接合材の更に他の実施形態は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体よりなる骨接合材本体が、前述のスクリュー1や前述のピン5に形成され、この骨接合材本体の少なくとも一端が開口した孔1b又は5aに、前述の生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる充填材2(生物学的骨成長因子を含浸していない充填材)が嵌挿されたものである。
【0051】
このような骨接合材は、その骨接合材本体を骨折部分の骨にねじ込むか、もしくは、打込むことによって骨を接合固定した後、又は、接合固定する前に、別途準備した前述の生物学的骨成長因子を充填材2に注入、含浸させて使用することにより、前記の骨接合材と同様の作用効果が得られる。その場合、スクリュー1やピン5に形成された骨接合材本体に、上記の孔1b,5aに連通する前記の小孔が形成されていると、生物学的骨成長因子の含浸が容易になる利点がある。
【0052】
図3は本発明に係る骨接合材セットの一実施形態を示すもので、(a)は同セットの充填材入り骨接合材本体の縦断面図、(b)は同セットの生物学的骨成長因子を入れた容器の正面図である。
【0053】
この骨接合材セットは、スクリュー1に形成され、その中心線上に形成された少なくとも一端が開口する孔1bに充填材2が充填された充填材入り骨接合材本体と、アンプルなどの容器3に封入された生物学的骨成長因子とを組み合わせ、例えば袋やケースなどに詰めるようにしたものである。スクリュー1(骨接合材本体)は、前述した図1の骨接合材におけるスクリュー1と同じものであり、充填材2も前述した図1の骨接合材における充填材2と同じものであるので、説明を省略する。また、生物学的骨成長因子も、前述した図1の骨接合材において充填材2に含浸された生物学的骨成長因子と同じものであり、注射液や点滴液として可溶化、あるいは懸濁された状態で容器3に封入されたものであるので、説明を省略する。
【0054】
このような骨接合材セットは、その充填材2入りスクリュー1(充填材入り骨接合材本体)を骨折部分の骨にねじ込んで骨を接合固定した後、又は、接合固定する前に、容器3を開封して生物学的骨成長因子を充填材2に注入、含浸させて使用する。このように使用すると、スクリュー1が骨癒合に必要な3カ月の期間、充分な強度を保持して骨接合部分を確実に固定し、一方、充填材2は速やかに加水分解されながら生物学的骨成長因子を滲出するため、部位や骨成長因子によっても異なるが、数週間程度で接合箇所の骨癒合が完成し、かつ、バイオセラミックス粉体の生体活性によって比較的早期に充填材2が生体骨と置換するためスクリューの孔1bが生体骨で埋まるようになる。そして、最終的にスクリュー1も生体骨と全置換して消失し、上記の孔1bが空洞として残らない状態で復元される。
【0055】
図4は本発明に係る骨接合材セットの他の実施形態を示すもので、(a)は同セットの骨接合材本体の正面図、(b)は同セットの充填材の正面図、(c)は骨成長因子を入れた容器の正面図、図5は同骨接合材本体の断面図である。
【0056】
この骨接合材セットは、スクリュー1に形成された骨接合材本体と、このスクリュー1の中心線上に形成された孔1bに充填される充填材2と、アンプルなどの容器3に封入された生物学的骨成長因子とを組み合わせて、例えば袋やケースなどに詰めるようにしたものである。このスクリュー1(骨接合材本体)は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなるものであって、図5に示すように、スクリュー1の中心線上にはキルシュナーワイヤ4を挿通する孔1dがスクリュー頭部1aの上端面からスクリュー先端まで貫通して形成されており、このキルシュナーワイヤ挿通孔1dを充填材2が充填される孔1bとして兼用するものである。このスクリュー1は、前述した図1のスクリュー1と同様に、スクリュー頭部1aが四隅にアールを設けた正方形の平面形状となるように形成されているが、ネジ山1cは前述したスクリュー1のようにスクリュー軸部の全長に亘って形成されてなく、スクリュー軸部の途中から先端にかけて部分的に形成されている。
【0057】
一方、充填材2は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものであって、スクリュー1の中心線上に形成された貫通する孔1b(キルシュナーワイヤ挿通孔1d)に対応合致した直径及び長さを有する円柱状に形成されている。ただし、この充填材を充填する孔1bが細くて長い場合には、この孔1bに合致した直径を有し、且つ、この孔1bの長さの1/2、1/3又は1/4程度の長さを有する短い円柱状の充填材に分割形成して、この短い充填材を2本、3本または4本揃えてスクリュー1とセットにすることが好ましい。このような長さの短い充填材は、雨スクリュー1の孔1bに順々に挿入できるため、該孔1bが長くても挿入作業がし易いという利点がある。
【0058】
上記スクリュー1(骨接合材本体)を構成する生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体、それに含有させるバイオセラミックス粉体、その含有率などは、前述した図1のスクリュー1のそれらと同様であるので説明を省略する。また、上記充填材2を構成する生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体、その気孔率、連続気孔の占める割合、連続気孔の孔径、含有させるバイオセラミックス粉体、その含有率なども、前述した図1の骨接合材における充填材2のそれらと同様であるので説明を省略する。更に、容器3に封入された生物学的骨成長因子も、前述した図3の骨接合セットにおいて容器3に封入された生物学的骨成長因子と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
上記のような骨接合材セットは、次の要領で骨折部分の骨の接合固定に使用される。先ず、スクリュー1(骨接合材本体)の中心線上に形成された孔1b(キルシュナーワイヤ挿通孔1d)にキルシュナーワイヤ4を挿通し、このキルシュナーワイヤ4をガイドとして、スクリュー1を骨折部分の目的箇所に所定の方向で正確にねじ込んで骨を接合固定する。そして、キルシュナーワイヤ4を抜き取ってスクリュー1の上記の孔1bに充填材2を充填し、容器3を開封して生物学的骨成長因子を充填材2に注入、含浸させるか、或いは、充填材2を充填する前に容器3を開封して生物学的骨成長因子を充填材2に含浸させ、この骨成長因子が含浸された充填材2をスクリュー1の上記の孔1bに充填する。このようにすると、前述した図3の骨接合材セットと同様の作用効果が得られる。
【0060】
以上の骨接合材セットはいずれも、容器3に封入された生物学的骨成長因子を組合わせの構成材料としているが、本発明の骨接合材セットは必ずしも生物学的骨成長因子を組合わせの構成材料とする必要はない。図6はそのような生物学的骨成長因子を組合わせの構成材料としない骨接合材セットを示すもので、(a)は同セットの骨接合材本体を示す正面図、(b)は同セットの充填材を示す正面図であり、また、図7の(a)及び(b)は同骨接合材本体の断面図及び平面図である。
【0061】
この骨接合材セットは、大転子骨折接合用の大スクリュー1に形成された骨接合材本体と、この大スクリュー1の中心線上に形成された孔1bに充填される充填材2とを組み合わせて、例えば袋やケースに詰めるようにしたものである。この大スクリュー1(骨接合材本体)は、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなるものであって、図7に示すように、大スクリュー1の中心線上には、内面に雌ネジを設けた大穴1eとキルシュナーワイヤ4を挿通する孔1dが連続して、スクリュー頭部1aの上端面からスクリュー先端まで貫通して形成されており、これらの大穴1eとキルシュナーワイヤ挿通孔1dを充填材2が挿入される孔1bとして兼用するものである。この大スクリュー1の頭部1aは図6の(a),図7の(b)に示すように六角柱状に形成されており、また、スクリュー軸部の先端寄りの部分には、雄ネジ頂部が平坦で谷の部分が丸溝とされた雄ネジ1cが形成されている。そして、図6の(a)に示すようにスクリュー軸部の外周面には、中心線と平行に小さな外溝1fが形成されている。
【0062】
一方、充填材2は生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものであって、図6の(b)に示すように、大スクリュー1の大穴1eに対応合致した直径及び長さを有する大径円柱部2aと、キルシュナーワイヤ挿通孔1dに対応合致した直径及び長さを有する小径円柱部2bを同軸的に一体に形成したものである。
【0063】
上記の大転子骨折接合用の大スクリュー1(骨接合材本体)を構成する生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体、それに含有させるバイオセラミックス粉体、その含有率などは、前述した図1のスクリュー1のそれらと同様であるので、説明を省略する。また、上記の充填材2を構成する生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体、その気孔率、連続気孔の占める割合、連続気孔の孔径、含有させるバイオセラミックス粉体、その含有率なども、前述した図1の骨接合材における充填材2のそれらと同様であるので、説明を省略する。
【0064】
上記の骨接合材セットは、次の要領で大腿骨頭などの骨折部分の接合固定に使用される。先ず、大スクリュー1(骨接合材本体)の大穴1eからキルシュナーワイヤ挿通孔1dにキルシュナーワイヤを挿通し、このキルシュナーワイヤをガイドとして、大スクリュー1を骨折部分の目的箇所に所定の方向で正確にねじ込んで骨を接合固定する。そして、キルシュナーワイヤを抜き取り、大スクリュー1の大穴1eとキルシュナーワイヤ挿通孔1dを充填材が充填される孔1bとして利用して充填材2を充填し、この充填材2に別途準備した生物学的骨成長因子を注入、含浸させるか、或いは、充填材2を嵌挿する前に、別途準備した生物学的骨成長因子を充填材2に含浸させ、この生物学的骨成長因子が含浸された充填材2を大穴1eとキルシュナーワイヤ挿通孔1dに嵌挿する。このようにすると、前述した図3や図5の骨接合材セットと同様の作用効果が得られる。
【0065】
また、生物学的骨成長因子を組合わせの構成材料としない本発明の他の実施形態に係る骨接合材セットとしては、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、その中心線上に充填材を挿入するための孔を、スクリュー頭部の上端面からスクリュー先端に向かって穿孔したスクリュー(骨接合材本体)と、上記の孔に嵌挿される充填材であって、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなり且つ生物学的骨成長因子が含浸されたものとを組み合わせて、袋やケースなどに詰めるようにした骨接合材セットを挙げることができる。
【0066】
このような骨接合材セットは、そのスクリュー(骨接合材本体)によって骨折部分の骨を接合固定した後、生物学的骨成長因子の含浸された充填材をスクリューの上記孔に充填して使用することにより、前述した図3、図5、図6の骨接合材セットと同様の作用効果が得られる。
【0067】
以上説明した4つの実施形態に係る骨接合材セットはいずれも、骨接合材本体がスクリューであって、その中心線上に充填材を充填するための孔をスクリュー頭部の上端面からスクリュー先端側に向かって穿孔したものであるが、骨接合材セットの骨接合材本体は、中心線上に充填材を充填するための孔をピンの一端面から他端面に向かって穿孔した骨接合用のピンであってもよいことは言うまでもない。
【0068】
また、以上説明した骨接合材および骨接合材セットはいずれも、充填材2が生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものであるが、バイオセラミックス粉体を含まない生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体で充填材2を形成し、この充填材2に生物学的骨成長因子を含浸させるように構成してもよい。このようにバイオセラミックス粉体を含まない充填材2に生物学的骨成長因子を含浸させるようにすると、バイオセラミックス粉体を含む充填材に比べて、生体骨の伝導ないし誘導形成は多少劣るようになるのは否めないが、充填材2に担持された生物学的骨成長因子が滲出することによって接合箇所の骨癒合が数週間程度で完成するため、患者の離床時期が大幅に短縮されて、患者、医師、病院がともに大きい利益を受けられるようになり、本発明の主たる目的の一つを充分達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る骨接合材の一実施形態を示すもので、(a)は同骨接合材の正面、(b)は同骨接合材の縦断面図、(c)は同骨接合材の平面図である。
【図2】本発明に係る骨接合材の他の実施形態を示すもので、(a)は同骨接合材の正面、(b)は同骨接合材の縦断面図、(c)は同骨接合材の平面図である。
【図3】本発明に係る骨接合材セットの一実施形態を示すもので、(a)は同セットの充填材入り骨接合材本体の縦断面図、(b)は同セットの生物学的骨成長因子を入れた容器の正面図である。
【図4】本発明に係る骨接合材セットの他の実施形態を示すもので、(a)は同セットの骨接合材本体の正面図、(b)は同セットの充填材の正面図、(c)は同セットの生物学的骨成長因子を入れた容器の正面図である。
【図5】同セットの骨接合材本体の縦断面図である。
【図6】本発明に係る骨接合材セットの更に他の実施形態を示すもので、(a)は同セットの骨接合材本体の正面図、(b)は同セットの充填材の正面図である。
【図7】(a)は同セットの骨接合材本体の縦断面図、(b)は同セットの骨接合材本体の平面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 スクリュー(骨接合材本体)
1a スクリュー頭部
1b,5a 少なくとも一端が開口する孔
1c ネジ山
1d キルシュナーワイヤ挿通孔
1e 大穴
2 充填材
3 生物学的骨成長因子を入れた容器
4 キルシュナーワイヤ
5 ピン(骨接合材本体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなる骨接合材本体に、少なくとも一端が開口する孔を穿孔し、その中に、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる充填材を充填し、更にこれに生物学的骨成長因子を含ませたことを特徴とする骨接合材。
【請求項2】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなる骨接合材本体に、少なくとも一端が開口する孔を穿孔し、その中に、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる充填材を充填した充填材入り骨接合材本体と、
上記充填材に含まれる生物学的骨成長因子と、
を組み合わせたことを特徴とする骨接合材セット。
【請求項3】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、少なくとも一端が開口する孔を穿孔した骨接合材本体と、
上記骨接合材本体の孔に充填される充填材であって、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものと、
上記充填材に含まれる生物学的骨成長因子と、
を組み合わせたことを特徴とする骨接合材セット。
【請求項4】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、少なくとも一端が開口する孔を穿孔した骨接合材本体と、
上記骨接合材本体の孔に充填される充填材であって、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなり且つ生物学的骨成長因子が含まれたものと、
を組み合わせたことを特徴とする骨接合材セット。
【請求項5】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、少なくとも一端が開口する孔を穿孔した骨接合材本体と、
上記骨接合材本体の孔に充填される充填材であって、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものと、
を組み合わせたことを特徴とする骨接合材セット。
【請求項6】
骨接合材本体を構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が30〜60質量%であり、充填材を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が60〜80質量%であることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の骨接合材セット。
【請求項7】
充填材を構成する気孔質複合体の気孔率が60〜90%であって、連続気孔が気孔全体の50%以上を占め、連続気孔の孔径が50〜600μmであることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の骨接合材セット。
【請求項8】
生物学的骨成長因子が、BMP(Bone Morphogenic Protein)、TGF−β(Transforming Growth Factor-b)、EP4(Prostanoid Receptor)、b−FGF(basic Fibroblast Growth Factor)、PRP(platelet-rich plasma)のいずれか単独又は二種以上の混合物であることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の骨接合材セット。
【請求項9】
骨接合材本体がスクリューであって、このスクリューの中心線上に、スクリュー頭部の上端面からスクリュー先端側に向かって充填材が充填される孔を穿孔したものであることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の骨接合材セット。
【請求項10】
骨接合材本体がピンであって、このピンの中心線上に、ピンの一端面から他端面に向かって充填材が充填される孔を穿孔したものであることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の骨接合材セット。
【請求項11】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなる骨接合材本体に、少なくとも一端が開口する孔を穿孔し、その中に、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる充填材を充填したことを特徴とする骨接合材。
【請求項12】
骨接合材本体を構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が30〜60質量%であり、充填材を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が60〜80質量%であることを特徴とする請求項1又は請求項11に記載の骨接合材。
【請求項13】
充填材を構成する気孔質複合体の気孔率が60〜90%であって、連続気孔が気孔全体の50%以上を占め、連続気孔の孔径が50〜600μmであることを特徴とする請求項1又は請求項11に記載の骨接合材。
【請求項14】
生物学的骨成長因子が、BMP(Bone Morphogenic Protein)、TGF−β(Transforming Growth Factor-b)、EP4(Prostanoid Receptor)、b−FGF(basic Fibroblast Growth Factor)、PRP(platelet-rich plasma)のいずれか単独又は二種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の骨接合材。
【請求項15】
骨接合材本体がスクリューであって、このスクリューの中心線上に、スクリュー頭部の上端面からスクリュー先端側に向かって充填材が充填される孔を穿孔したものであることを特徴とする請求項1又は請求項11に記載の骨接合材。
【請求項16】
骨接合材本体がピンであって、このピンの中心線上に、ピンの一端面から他端面に向かって充填材が充填される孔を穿孔したものであることを特徴とする請求項1又は請求項11に記載の骨接合材セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−29745(P2008−29745A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209012(P2006−209012)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】