説明

高分子の凹凸構造の作成方法

本発明は、a)1種以上の放射線感受性成分を含む第1のコーティング組成物で基板を被覆すること、d)周期的なまたはランダムな放射強度パターンを有する電磁放射で被覆基板を局所的に処理して、潜像を形成すること、e)得られた被覆基板を第1のコーティング膜に重合および/または架橋することによる高分子の凹凸構造の作成方法に関する。この方法は、第1のコーティング組成物の上部に第2のコーティング組成物を被着することによって改良される。前記第2のコーティング組成物は、単量体性質の有機化合物(C)を含み、プロセス中Cも重合されるか、または前記第2のコーティング組成物は溶解ポリマー(C)を含むかのいずれかである。その結果、機能性の積層された二層で基板が被覆され、その各層が特定の、かつ互いに異なる機能を呈する、高分子の凹凸構造が得られる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、
a)1種以上の放射線感受性成分を含む第1のコーティング組成物で基板を被覆すること、
b)周期的なまたはランダムな放射強度パターンを有する電磁放射で被覆基板を局所的に処理して、潜像を形成すること、
c)得られた被覆基板を第1のコーティング膜に重合および/または架橋すること
による高分子の凹凸構造の作成方法に関する。
【0002】
以下「光エンボス(photo−embossing)」とも称する、このような方法は、「Photo−embossing as a tool for complex surface relief structures」、デ・ウィッツ・クリスチアーネ(De Witz,Christiane);ブロエ・ダークJ(Broer,Dirk J.)、要約書(Abstracts of Papers)、第226回ACS National Meeting、米国ニューヨーク州ニューヨーク(New York,NY,United States)、2003年9月7−11日から知られている。
【0003】
データの転送、記憶およびディスプレイのための光学システムに使用されるポリマーは、現在重要なものとなっている。ポリマーフィルムまたはポリマー層の表面を構造化することによって、これらの層を通過する光を制御できる。例えば表面構造が小さな半球面状の要素を含む場合には、透過光を集光することができるレンズアレイが得られる。このような要素は、例えば液晶ディスプレイのバックライトに有用であり、ディスプレイの透明部分に光を集光する。これらのタイプの用途には、マイクロメートル領域に至るまでの表面プロファイルの形状を制御する必要がある場合が多い。また、表面構造の規則正しいパターンは、光を回折して、透過するとき、単一ビームを多数のビームに分けるようにすることができ、例えば通信機器のビームスプリッタとして使用できる。表面構造は、光の反射を制御するのにも重要である。これを、表面での鏡面のような反射を抑えるのにうまく適用することができる。このいわゆるアンチグレア効果を、例えばテレビ受信機の前面のスクリーンに適用できるが、グレイジング、車の仕上げ剤などの用途に使用することもできる。表面プロファイルが明確なポリマーフィルムは、蒸着アルミニウムまたはスパッタ銀などの、その形状に一致した反射フィルムを備えてもよい。この鏡に当たる入射光は、反射すると、非常に制御された方法で空間に分布される。例えばこれを、反射型液晶ディスプレイ用の内部拡散反射板を製造するのに使用する。表面プロファイルの別の用途は、「ロータス効果」として知られる防汚構造の形成である。それに加え、1マイクロメートル未満の寸法の表面プロファイルが必要である。
【0004】
UV光重合のような電磁放射誘発重合は、例えば2種類の(メタ)アクリレートモノマーと光開始剤との混合物からデバイスを作成するための方法である。重合反応は、UV光が光開始剤を活性化できる領域においてのみ開始される。さらに、空間的に光強度を変えたり、それに応じて重合速度を変えることが可能である。モノマーの反応性、サイズまたは長さ、架橋能力、およびエネルギー相互作用における差によって、モノマーの化学ポテンシャルに勾配を生じる。これらの化学ポテンシャルは、照射領域におけるモノマーの移動およびポリマーの膨潤を起こす駆動力を形成する。モノマーの拡散係数は、この移動が起こる時間的尺度を決定する。次に、パターン化されたUV照射中よりも高い強度の均一なUV照射を使用して、フィルム全体を重合する。
【0005】
それゆえ、2種類の液体モノマーの混合物のパターン化されたUV光重合は、ポリマー構造を生じる。これをホログラフ的にまたはリソグラフ的に行うことができる。ホログラフィの場合には、2つのコヒーレント光ビームの干渉パターンが高い光強度と低い光強度の領域を生成する。リソグラフィの場合には、フォトマスクを使用してこれらの強度の差を生じる。例えばストライプ状のマスクを使用する場合には、格子が形成される。丸穴のあるマスクを使用する場合には、マイクロレンズ構造が形成される。屈折率の差は、ポリマーにおけるモノマーユニット濃度の水平方向のばらつきに起因する。
【0006】
表面構造を形成するためのより良い方法は、基本的にポリマー、モノマーおよび開始剤からなるブレンドを使用することである。ポリマーは単一の高分子材料でもよいが、2種類以上のポリマーのブレンドであってもよい。同様にモノマーは単一化合物であってもよいが、いくつかのモノマー材料からなってもよい。開始剤は、好ましくは光開始剤であるが、光開始剤と熱開始剤の混合物の場合もある。この混合物は、一般的に有機溶媒中に溶解されて、例えばスピンコーティングによる薄膜の形成などの処理を増進する。ポリマーとモノマーのブレンド条件と特性を、溶媒の蒸発後に固体薄膜が形成されるように選択する。一般的に、これにより、UV光によってパターン化露光されると、潜像を形成できる。熱によって潜像を表面プロファイルへと顕在化させることができ、その結果、重合と拡散が同時に起こるので、露光領域の材料の体積を増大させるかまたはその逆であり、それにより表面の変形がもたらされる。
【0007】
本発明の目的は、基板上に機能的な二層構造の層であって、2つの層の界面には少なくとも凹凸構造を有し、かつ2つの層は実質的に互いに接続している、二層構造の層を作成することである。
【0008】
その結果、高分子の凹凸構造が得られ、その基板は機能的な、積層された二層で被覆され、各層は、特定のかつ互いに異なる機能を呈する。従って、基板に最も近くかつ凹凸構造を担持する第1の層がアンチグレア特性を有する一方で、前記第1の層の上にある第2の層が反射防止特性を有することができる。
【0009】
凹凸構造を有する第1の層の上部に高分子層のままで適用することは、第2の層が第1の層の凹凸構造の外形に十分正確に従わないため、容認できる二層構造をもたらさない。
【0010】
それゆえ、2つの層を実質的に互いに一体的に付着する二層構造を作成する方法が必要である。
【0011】
光エンボス法の他の欠点は、得られた凹凸構造のアスペクト比がかなり低いことである。アスペクト比(AR)は、以下、凹凸の高さと、隣接する凹凸間の距離(またはピッチ)との比であると定義する。そのような凹凸構造の端部は、鋭くもなく、正確に複製されないので、目的とする光機能または他の機能性は、最適ではなくなる。
【0012】
さらに、第2の光学的な、電気的なまたは電気−光学機能性、例えば反応性または非反応性メソゲンの特定の配列特性、エレクトロルミネセンス、蛍光および非反射性特性などを構造化フィルムにもたらすことが望ましい場合が多い。本発明の特定の実施形態においては、この問題も扱う。
【0013】
本発明は、高分子の凹凸構造を作成するための改良方法を提供し、かつ第1のコーティング組成物の上部に第2のコーティング組成物を被着し、前記第2のコーティング組成物は単量体性質の有機化合物(C)を含み、かつプロセス中にCも重合されるか、または前記第2のコーティング組成物は溶解ポリマー(C)を含み、かつ得られる第2のコーティング層中のそのポリマーは重量平均分子量が少なくとも5キロダルトン(kDalton)であるか、のどちらかであることを特徴とする。
【0014】
本発明は、コーティングとして光エンボス層に被着される材料に高分子の凹凸構造を作成するための方法を含む。光エンボス層は、一番上の層に伝達される表面プロファイルを提供する。最上層は、加えられた表面の凹凸の機能と組み合わせられる別の機能を提供する。最上層の機能の例は、以下の通りである。
−ナノ粒子を第2のコーティング組成物に添加することによって作成された表面ナノ構造に起因する非反射性。光エンボス層によって加えられたプロファイルは、フィルムのアンチグレア特性を高める。こうして、非反射性とアンチグレアとの特有の組み合わせが確立される。
−第2のコーティング組成物中の液晶性モノマーによる制御された光学的遅延。この場合、光エンボスフィルム中の凹凸は液晶モノマーを配向し、それは続いて重合によって凍結される。重合された液晶は、光学的遅延をもたらす。
−最上層はまた、液晶用の配向膜であり得る。その場合、光エンボスされた層の凹凸を配向層内の凹凸に伝達され、それは後の段階で被着される液晶の向きに影響を及ぼすかもしれない。配向層自体も液晶配向に影響する。双方の配向効果の組み合わせによって、液晶配向を正確に調整できる。例えば、配向の方向を互いに平行にならないように選択することにより、2つの安定的な液晶の向きを達成できる。配向層を、磨かれたポリマーフィルム(ポリイミド、ポリビニルアルコール、ナイロンなど)、または光化学過程(ポリビニルシンナメートなど)によってその配向能力を有するフィルムとし得る。
【0015】
国際公開第2005/00832A号パンフレットから、高分子の凹凸構造が公知であり、高分子の第1の層と、第2の層としての金属シートとを含み、前記第2の層は、蒸発した金属粒子からか、または反射性金属フレークを含む溶媒から堆積する。
【0016】
最上部のフィルムに表面構造を作成するためにさまざまな方策を行うことができる。
1.光エンボスされた層を被着し、乾燥する。次いで、最上層の上部を、ポリマー溶液から、またはモノマー(溶液)として被覆し、乾燥し、そして直接使用するか、または部分的にあるいは完全に硬化する。続いて、光エンボスされた層を、例えばマスクにUV光によってまたは干渉(ホログラフィ的なセットアップ)によって露光し、加熱工程により顕在化する。光エンボスされた層は変形させ、かつ最上層がこの変形を引き継ぐ。
2.光エンボスされた層を被着し、乾燥し、および例えばマスクにまたは干渉を介してUV露光する。この露光後もまだ、フィルムは大部分が平らであり、乾燥されて直接使用されたかまたは部分的にあるいは完全に硬化された最上層で被覆する。続いて、表面を加熱工程により変形する。
3.先の2つの場合と同様であるが、加熱工程を、最上層がまだ「濡れている」(つまり、モノマーを使用する場合には硬化していないか、またはポリマーの場合には溶媒を含有している)状況において行う。被着される層の厚さに応じて、最上層の自由表面は、光エンボス層の表面プロファイルを引き継がず、平らのままであるかまたは少なくとも部分的にプロファイルに従う。
4.第1のコーティング膜を作成した後で(すなわち上述の工程c)後)第2の層を被着できる。この状況においては、第2の層の被着前に光エンボスされた層は既に形成されている。
【0017】
初めの3つの方策が好ましい。
【0018】
特定の実施形態においては、単量体性質の化合物C、または化合物Cは、工程b)の被覆基板の界面張力を減少させる。その結果、凹凸のアスペクト比が高められた(改善度が典型的には2倍の増大を示す)凹凸構造と、より鋭い端部の凹凸を得ることができる。
【0019】
界面表面張力を減少させるために使用される場合には、モノマー化合物Cを少なくとも2つの別個の方法で被着できる。第1の方法は、現行プロセスの工程b)から得られる被覆基板にCを被着し、その後工程c)を実行するプロセスである。第2の方法は、Cは現行プロセスの工程b)において使用されたコーティング膜中に既に存在するプロセスである。その結果、Cが工程b)だけでなく工程c)においても存在する。
【0020】
本プロセスの工程a)において使用されたコーティング組成物は、一般にC=C不飽和モノマーであり、電磁放射で重合可能な1種以上の放射線感受性成分を含む。これらの成分をそのまま使用することもできるが、溶液の形態で使用することもできる。
【0021】
この第1のコーティング組成物を、(湿式)コーティング堆積の分野において公知のいずれの方法によって基板に被着してもよい。適切なプロセスの例としては、スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレー塗装、フローコーティング、メニスカスコーティング、ドクターブレード法、キャピラリーコーティング、およびロールコーティングが挙げられる。
【0022】
典型的には、放射線感受性成分を、好ましくは少なくとも1種の溶媒と、任意に、架橋開始剤と混合して、選択された被着方法を使用する基板への被着に適した混合物を調製する。
【0023】
原理上は、多種多様の溶媒を使用してもよい。しかしながら、溶媒と混合物中に存在する他の材料全てとの組み合わせは、安定した懸濁液または溶液を優先的に形成すべきである。
【0024】
好ましくは、使用される溶媒を、第1のコーティング組成物を基板に被着した後で蒸発させる。本発明による方法においては、基板への被着後、任意に第1のコーティング組成物を、加熱するかまたは真空中で処理して溶媒の蒸発を促してもよい。その結果、第1のコーティング膜は固体薄膜である。
【0025】
適した溶媒の例としては、1,4−ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、クロロホルム、クロロフェノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジクロロメタン、ジエチルアセテート、ジエチルケトン、ジメチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エタノール、エチルアセテート、m−クレゾール、モノ−およびジ−アルキル置換グリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、p−クロロフェノール、1,2−プロパンジオール、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−ヘキサノン、2−メトキシエタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−オクタノン、2−プロパノール、3−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、ヘキサフルオロイソプロパノール、メタノール、メチルアセテート、ブチルアセテート、メチルアセトアセテート、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、n−メチルピロリドン−2、n−ペンチルアセテート、フェノール、テトラフルオロ−n−プロパノール、テトラフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンおよび水が挙げられる。高分子量のアルコールではアクリレートの溶解度が問題となるが、アルコール、ケトンおよびエステルベースの溶媒を使用してもよい。ハロゲン化した溶媒(ジクロロメタンおよびクロロホルムなど)および炭化水素(ヘキサンおよびシクロヘキサンなど)も適している。
【0026】
第1のコーティング組成物は、1種以上の放射線感受性(sentitive)成分を含み、それは化学線に露光されると重合を開始する反応種、すなわちフリーラジカルまたはカチオン種を生成する化合物である。重合成分として使用するのに適し、かつ分子当たり少なくとも2つの架橋性基を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリロイル基(トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートなど)を含有するモノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、リン酸モノ−およびジ(メタ)アクリレート、C〜C20アルキルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリシクロデカンジイルジメチルジ(メタ)アクリレートおよび先のモノマーのいずれかのアルコキシ化、好ましくはエトキシ化および/またはポロポキシ化された変型、およびまた、ビスフェノールAへのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAへのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ジグリシジルエーテルのビスフェノールAへの(メタ)アクリレート付加物であるエポキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキル化ビスフェノールAのジアクリレート、およびトリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルアクリレートとイソホロンジイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレート(HIH)の付加物、ヒドロキシエチルアクリレートとトルエンジイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレート(HTH)の付加物、およびアミドエステルアクリレートが挙げられる。
【0027】
分子当たり一架橋基のみを有する適切なモノマーの例としては、ビニル基含有モノマー、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、カプロラクトンアクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルカルバミルエチル(メタ)アクリレート、n−イソプロピル(メタ)アクリルアミドフッ素化(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル;および以下の式(I)
CH=C(R)−COO(RO)−R (I)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基であり;Rは、2〜8個、好ましくは2〜5個の炭素原子を含有するアルキレン基であり;およびmは、0〜12、および好ましくは1〜8の整数であり;Rは、水素原子、または1〜12個、好ましくは1〜9個の炭素原子を含有するアルキル基であるか;または、Rは、テトラヒドロフラン基を含む、4〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、任意に1〜2個の炭素原子を有するアルキル基で置換され;またはRは、ジオキサン基を含む、4〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、任意にメチル基で置換され;またはRは、芳香族基であり、任意にC〜C12アルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基、およびアルコキシル化された脂肪族単官能モノマー、例えばエトキシ化イソデシル(メタ)アクリレート、エトキシ化ラウリル(メタ)アクリレートなどで置換される)で表される化合物などが挙げられる。
【0028】
工程a)のコーティング組成物中の放射線感受性成分として使用するのに適したオリゴマーは、例えば芳香族または脂肪族ウレタンアクリレート、またはフェノール樹脂(例えばビスフェノールエポキシジアクリレート)ベースのオリゴマー、およびエトキシレートで連鎖延長された上記のオリゴマーいずれかである。ウレタンオリゴマーは、例えばポリオール主鎖がベースでもよく、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、アクリルポリオールなどでよい。これらのポリオールを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのポリオールにおける構造単位の重合の仕方に特定の制限はない。ランダム重合、ブロック重合、またはグラフト重合のいずれも許容できる。ウレタンオリゴマーを形成するための適切なポリオール、ポリイソシアネートおよびヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの例が、本願明細書に援用する国際公開第00/18696号パンフレットに開示されている。
【0029】
共に架橋状態を形成をしそれゆえ組み合わせた場合に使用されるのに適した化合物の組み合わせは、例えば、エポキシと組み合わされたカルボン酸および/またはカルボン酸無水物、ヒドロキシ化合物と組み合わされた酸、特に2−ヒドロキシアルキルアミド、イソシアネート例えばブロックドイソシアネート、ウレトジオンまたはカルボジイミドと組み合わされたアミン、アミンまたはジシアンジアミドと組み合わされたエポキシ、イソシアネートと組み合わされたヒドラジンアミド(hydrazinamide)、イソシアネート例えばブロックドイソシアネート、ウレトジオンまたはカルボジイミドと組み合わされたヒドロキシ化合物、無水物と組み合わされたヒドロキシ化合物、(エーテル化)メチロールアミド(「アミノ樹脂」)と組み合わされたヒドロキシ化合物、イソシアネートと組み合わされたチオール、アクリレートまたは他のビニル種(任意にラジカル開始した)と組み合わされたチオール、アクリレートと組み合わされたアセトアセテート、およびカチオン架橋を使用する場合にはエポキシ化合物とエポキシまたはヒドロキシ化合物である。
【0030】
放射線感受性成分として使用するのに適した、さらに可能な化合物は、湿気硬化性イソシアネート、アルコキシ/アシルオキシ−シランの湿気硬化性混合物、アルコキシチタネート、アルコキシジルコネート、またはウレア−、ウレア/メラミン−、メラミン−ホルムアルデヒドまたはフェノール−ホルムアルデヒド(レゾール、ノボラック型)、またはラジカル硬化性(過酸化物−または光−開始)エチレン系不飽和単官能−および多官能モノマーおよびポリマー、例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート/ビニルエーテル)、またはラジカル硬化性(過酸化物−または光−開始)不飽和、例えばマレイン酸またはフマル酸、スチレン中および/またはメタクリレート中のポリエステルである。好ましくは放射線感受性の第1のコーティング組成物の成分を、(メタ−)アクリレート、エポキシ、オキセタン、ビニルエーテル、スチレン、およびチオール−エンからなる群から選択する。
【0031】
好ましくは、工程a)において使用された被着されたコーティング組成物は、ポリマーも含む。好ましくは、このポリマーの重量平均分子量(Mw)は、少なくとも20,000g/molである。工程a)のコーティング組成物において使用される場合には、このようなポリマーは、好ましくは少なくとも300Kのガラス転移温度を有する。好ましくは、工程a)において使用されるコーティング組成物中のポリマーは、本発明の方法の、工程a)の放射線感受性のコーティング組成物に存在するモノマーか、または工程a)のコーティング組成物において使用される溶媒に溶解される。
【0032】
多種多様な無機基板または有機基板を、本発明によるプロセスにおいて基板として使用してよい。適切な基板は、例えば平らなまたは湾曲した、剛性または可撓性の高分子基板であり、例えばポリカーボネート、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrollidone)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリノルボルネンのフィルム;または非晶質固体、例えばガラスまたは結晶性物質など、例えばシリコンまたはガリウムヒ素を含む。金属基板を使用してもよい。ディスプレイ応用に使用するための好ましい基板は、例えばガラス、ポリノルボルネン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、セルローストリアセテート、ポリカーボネートおよびポリエチレンナフタレートである。
【0033】
第1のコーティング組成物には開始剤が存在して、架橋反応を開始する。開始剤の量は、大幅に変化してもよい。開始剤の適切な量は、例えば、架橋反応に関与する化合物の総重量に対して0超〜5wt%である。
【0034】
架橋を開始するためにUV架橋を使用する時には、混合物は好ましくはUV−光開始剤を含む。光開始剤は、光を吸収すると架橋反応を開始することができる;それゆえ、UV−光開始剤は、スペクトルの紫外線領域にある光を吸収する。本発明による方法において任意の公知のUV−光開始剤を使用してよい。好ましくは、重合開始剤は、光開始剤と熱開始剤との混合物を含む。
【0035】
本発明のプロセスの工程b)においては、プロセスの工程a)から得た被覆基板を、周期的なまたは潜在的な放射強度パターニングを行う電磁放射で局所的に処理する結果、潜像を形成する。好ましい一実施形態においては、この処理を、紫外光をマスクと共に使用して行う。別の好ましい実施形態においては、この処理を、光の干渉/ホログラフィの使用により行う。さらに別の実施形態は、電子ビームリソグラフィの使用により行うものである。
【0036】
第1のコーティング組成物を重合および/または架橋させて、最終的な第1のコーティング膜を形成することができるいずれの架橋方法も、本発明によるプロセスにおける使用に好適である。架橋を開始する好適な方法は、例えば電子ビーム放射、電磁放射(UV、可視および近赤外)、熱的に行うこと、および湿気硬化性化合物を使用する場合には湿度を加えることによるものである。好ましい実施形態においては、架橋を紫外放射によって達成してもよい。UV架橋は、フリーラジカル機構を介してかまたはカチオン機構、またはその組み合わせによって起こってもよい。別の好ましい実施形態においては、架橋は熱的に達成される。
【0037】
本発明においては、第1の組成物の上部に第2のコーティング組成物を被着し、前記第2のコーティング組成物は、単量体性質の有機化合物(C)を含むか、または前記第2のコーティング組成物は溶解ポリマー(C)を含むかのいずれかである。溶解ポリマーを使用する場合には、少なくとも5キロダルトン(GPCによる測定)の重量平均分子量を有するポリマーを、揮発性溶媒を使用する被覆プロセスによって被着するのが好ましい。Cを使用する場合にはまた、第2のコーティング組成物は、モノマー/ポリマーの混合物/溶液の形態であるか、または被覆後に蒸発する揮発性溶媒に溶解したモノマーとしてであってよい。単量体性質の有機化合物を使用する場合には、前記化合物を、プロセスの後段において少なくとも5キロダルトン(GPCによる測定)の重量平均分子量まで重合する。どちらの場合(CおよびC)も、被覆後に二層構造を形成するのが好ましい。すなわち第1および第2のコーティング膜の成分の相互溶解を好ましくはできる限り回避する。
【0038】
本発明の特定の実施形態においては、単量体性質の有機化合物(C)は、工程の感光性ポリマーとその周囲との間の界面張力を減少させ、およびCは工程c)後に重合される。用語「界面張力」は、F.ガルボッシ(Garbossi)ら、Wiley、1994年、183〜184頁からの出版物「Polymer Surfaces」を参照し、そこでは、Zismanプロットを使用することによってどのように空気との固体の界面張力を測定するかの説明がされている。本発明の利益を達成および評価するために、まずC以外の成分全てで得られる被覆基板の(空気との)界面張力を測定してから、そのように得られた値を、全成分(ゆえにCを含む)で得られる被覆基板の界面張力と比較することが望ましい(フライヤー(Fryer)ら、Macromolecules、2001年、34、5627〜5634頁参照)。好ましくは、Cは界面張力を少なくとも10mJ/m減少させる。
【0039】
は、上述したように工程a)のコーティング組成物に適用可能なモノマーと同じ性質であることもできる。Cは(メタ−)アクリレート、エポキシ、オキセタン、ビニルエステル、スチレン、およびチオール−エンからなる群から選択されるのが好ましい。特定の用途においては、液晶性の重合可能モノマーを使用するのが好ましい。さらに、CまたはCは無機充填材(タルカムのような当業界で公知のものなど)も含むことが望ましい。さらに、Cは、重合後に無機材料を生じる重合可能モノマーの群から選択されるのが好ましい。工程c)において重合されるために、Cは、好ましくは1種以上の重合開始剤も含む;熱開始剤、または光開始剤と熱開始剤の混合物の形態が好ましい。前記Cの重合は、好ましくは熱、紫外光、電子ビーム照射、X線照射、イオンビーム照射、可視光線照射、または赤外光によって行う。
【0040】
は、単量体性質の有機化合物に最も近いポリマーを含んでもよい。前記ポリマーは、a)熱可塑性の半結晶性または非晶質ポリマー、b)熱可塑性エラストマー(TPE、TPV)、およびc)化学的架橋性ゴムからなる群から選択されるのが好ましい。
【0041】
またはCの使用は、好ましくは第1のコーティングの量の0.01〜5倍の量である;さらに好ましくは、前記量は0.05〜2.5倍の範囲である。
【0042】
プロセスの工程a)〜c)が行われるべき条件は、放射線重合の業界で知られているものである。前記プロセスの工程のための温度としては、好ましくは175〜375Kの温度が工程b)に使用され、および好ましくは300〜575Kの温度が工程c)に使用される。当然のことながら、条件を、第1のコーティング組成物の成分の重合だけでなく、適切な場合には、Cの重合の両方を行えるように選択する。
【0043】
第2のコーティング組成物は溶解ポリマー(C)を含むこともでき、その適用により第2のコーティング層をもたらす。Cの選択は、高分子の凹凸構造に第2の官能性を付加するようなものである。本発明のプロセスにおいては、Cを適切な溶媒中のポリマー溶液の形態で適用する。溶媒は、第2のコーティング組成物に使用されるポリマー(C)を溶解するが、(ほとんど)いかなる影響も第1のコーティング組成物の成分またはそこから形成されたポリマーに与えないように選択される必要がある。Cは、第2のコーティング組成物のCの使用と併用される場合には上述のポリマーと同じ性質であることもできる。ポリマーCの溶液として第2のコーティング組成物を被着した後で、公知の技術によるもののような、好ましくは蒸発により、溶媒を除去する。
【0044】
好ましくは、プロセスa)〜c)を行う条件は、凹凸構造の生成が全く/ほとんど第2の層によって影響されないことを保証する。実際には、第1(光エンボスされた)のコーティング膜および第2の層が相互に不溶性であるおよび/または界面においてほとんど相互作用しないシステムが好ましい。一般に、重合の前後いずれかに、第1の層が親水性である場合には疎水性の顕著なCまたはCを選択する。逆の場合にも同じことが当てはまる。
【0045】
本発明の高分子の凹凸構造は、アスペクト比が改善されるだけでなく、特に第1の層と第2の層との間の界面におけるシャープネス(sharpness)も改善される;これは、Cが第1のコーティング膜の界面張力を減少させる場合である。そこで本発明の凹凸のアスペクト比(AR、凹凸の高さと隣接する凹凸間の距離との比である、共にμm)は、概して少なくとも0.075、および一層好ましくは少なくとも0.12である;さらに一層好ましくは、ARは少なくとも0.2である。凹凸構造のシャープネスを曲率kの最大絶対値によって計ることができる。AFM測定値から曲率kを導出する手順は以下の通りである:(i)凹凸構造の形状を、例えば、ボルツマンフィット(Boltzmann fit)と適合させる、(ii)フィットの第1および第2の導関数を計算する、(iii)曲率kを:
【数1】


によって計算する。
【0046】
本発明による凹凸構造の曲率(|kmax|)の最大絶対値は、少なくとも0.35および一層好ましくは少なくとも0.45およびさらに一層好ましくは0.65μm−1、最も好ましくは少なくとも0.7μm−1である。両方のパラメータ(アスペクト比およびシャープネス)を原子間力顕微鏡(AFM)を介して測定できる。
【0047】
第2の層の厚さを、例えば堆積条件により制御できる。その結果、最終結果は、第1の層と第2の層との間の界面における凹凸構造と(ほとんど)同一である、空気界面における凹凸構造を有するフィルムであろう。代わりに、第1の層と第2の層との間の界面に凹凸構造が存在するにもかかわらず平滑な表面を形成するように、第2の層を厚くすることもできる。当然ながら、全ての種類の中間構造を生成することもできる;その有用性は、所望の機能性/用途によって決められる。当然、第2のコーティング膜にかなり厚いモノマーまたはポリマーの層を使用すると表面構造のアスペクト比およびシャープネスの向上は減少する。
【0048】
本発明の高分子の凹凸構造は、光学部品、好ましくは照明管理用途において適用可能である。その好ましい実施形態は、屈折−、回折−またはホログラフィック−光学素子、または反射防止および/またはアンチグレア層である。別の好ましい本発明による高分子の凹凸構造の使用は、構造化電極、蛍光層、エレクトロルミネセント層、構造化金属、またはセラミック層としての使用である。別の好ましい実施形態は、有機または無機物における複製目的用のマスターとしての高分子の凹凸構造の使用である。本発明の高分子の凹凸構造のさらに別の好ましい使用は、第2の種のための配向層としてである。好ましくは、前記第2の種はモノマー、ポリマー、液晶性モノマー、液晶性ポリマー、エレクトロルミネセントモノマー、エレクトロルミネセントポリマー、高分子配向層、自己組織化単分子膜および/またはその混合物である。
【0049】
本発明を以下の実施例および比較実験により解明する。これらは、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0050】
比較実験A
ガラス基板をスピンコーティング(1000rpm、60秒)により、高分子バインダー(47.5%w/w)(ポリベンジルメタクリレート、アルドリッチ(Aldrich))と、多官能性モノマー(47.5%w/w)(ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ−アクリレート、アルドリッチ)と、光開始剤(5%w/w)(イルガキュア(Irgacure)819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))とからなる感光性ポリマー混合物で被覆した。感光性ポリマー混合物を、50%w/wのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(アルドリッチ)と50%w/wのエトキシプロピルアセテート(アボカド・リサーチ・ケミカルズ(Avocado Research Chemicals))とを含有する溶媒混合物に溶解した。感光性ポリマー混合物の溶媒混合物に対する比は1:2であった。スピンコーティング後、残留溶媒を80℃へ10分間加熱することにより除去し、その後サンプルを室温に冷却した。感光性ポリマードライフィルムで被覆された基板を3ミクロンの厚さで得た。このサンプルを、マスクおよびコリメートUV光源(ウシオ(USHIO)、UXM−502 MD、500W HG)を使用して、約13mW(UV−A)の強度で20秒間照明した。感光性ポリマーに直接接触するようにマスクを置き、マスクは、5、8、10、15、20、30および40ミクロンのピッチを有する線パターンからなった。マスクの透過領域と非透過領域の比は1:1であった。照明後、サンプルを80℃の温度へ10分間加熱した。サンプルをフラッド露光に5分間80℃で露光した。凹凸構造を光学式プロフィロメータ(Fogale Zoomsurf 3D)で測定した。結果を表1、列2に示す。
【0051】
実施例1
ガラス基板をスピンコーティング(1000rpm、60秒)により、高分子バインダー(47.5%w/w)(ポリベンジルメタクリレート、アルドリッチ)と、多官能性モノマー(47.5%w/w)(ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ−アクリレート、アルドリッチ)と、光開始剤(5%w/w)(イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)とからなる感光性ポリマー混合物で被覆した。感光性ポリマー混合物を、50%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propyleneglycolmethtyletheracetate)(アルドリッチ)と50%のエトキシプロピルアセテート(アボカド・リサーチ・ケミカルズ)を含有する溶媒混合物に溶解した。感光性ポリマー混合物の溶媒混合物に対する比は1:2であった。スピンコーティング後、残留溶媒を80℃へ10分間加熱することにより除去し、その後サンプルを室温に冷却した。感光性ポリマードライフィルムで被覆された基板を3ミクロンの厚さで得た。このサンプルをマスクおよびコリメートUV光源(UXM−502 MD ウシオ 500W 水銀)を使用して約13mW(UV−A)の強度で20秒間照明した。感光性ポリマーに直接接触するようにマスクを置き、マスクは、5、8、10、15、20、30および40ミクロンのピッチを有する線パターンからなった。マスクの透過領域と非透過領域の比は1:1であった。露光後、第2の層を堆積した。トリブロックコポリマー(1%w/w)(SEBS1652、クレイトン・ポリマーズ(Kraton Polymers))とn−ヘプタン(アルドリッチ)とからなるポリマー溶液をスピンコーティングにより堆積し、層厚約100nmの第2の層をもたらした。照明後、サンプルを80℃の温度へ10分間加熱した。サンプルをフラッド露光に5分間80℃で露光した。凹凸構造を光学式プロフィロメータ(Fogale Zoomsurf 3D)で測定した。結果を表1、列3に示す。第2のポリマー層をn−ヘプタン中に溶解することによって除去して、表面凹凸構造を再測定した(表1、列4参照)。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
結果は、凹凸構造を高分子の二層に生成できること、および第1の層と第2の層の界面および空気界面における凹凸構造の高さが保たれることを示す。
【0055】
実施例2
サンプルを実施例1に従って準備し、測定した。新しい参照サンプルを作成し、これらのサンプルの結果を表2、列2に示す。第2のポリマー層を、異なる濃度のSEBS(2、4、8%w/w)を含有する溶液からスピンコートし、それによりそれぞれ150、400、および2000nmの層厚の第2の層をもたらした。結果を表2、列3、4および5に示す。
【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
結果は、第2の層の層厚が増大するにつれ、空気界面における第2の層の凹凸構造の高さが減少することを示す。第1の層と第2の層の界面における凹凸構造は保たれ、空気界面における凹凸構造は、例えば、ピッチおよび/または第2の層の層厚に応じてほぼ完全にまたは部分的に保たれる。
【0059】
実施例3
サンプルを実施例1に従って準備した;第2の層は、ポリビニルアルコールまたはPDMS−PSブロックコポリマーのフィルムからなった。ポリビニルアルコールの場合には、第2の層のスピンコーティング中、水を溶媒として使用した。PDMS−PSの場合には、第2の層のスピンコーティング中、n−ヘプタンを溶媒として使用した。どちらの場合も、スピンコーティング中の実験条件および/または構造のピッチなどに応じて、第1のポリマーと第2のポリマーの界面および/または空気界面において凹凸構造が得られた。
【0060】
実施例4
ガラス基板をスピンコーティング(1000rpm、60秒)により、高分子バインダー(47.5%w/w)(ポリベンジルメタクリレート、アルドリッチ)と、多官能性モノマー(47.5%w/w)(ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ−アクリレート、アルドリッチ)と、光開始剤(5%w/w)(イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)とからなる感光性ポリマー混合物で被覆した。感光性ポリマー混合物を、50%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(アルドリッチ)と50%のエトキシプロピルアセテート(アボカド・リサーチ・ケミカルズ)を含有する溶媒混合物に溶解した。感光性ポリマー混合物の溶媒混合物に対する比は1:2であった。スピンコーティング後、残留溶媒を80℃へ10分間加熱することにより除去し、その後サンプルを室温に冷却した。感光性ポリマードライフィルムで被覆された基板を3ミクロンの厚さで得た。このサンプルをマスクおよびコリメートUV光源(UXM−502 MD ウシオ 500W 水銀)を使用して約13mW(UV−A)の強度で20秒間照明した。感光性ポリマーに直接接触するようにマスクを置き、マスクは、5、8、10、15、20、30および40ミクロンのピッチを有する線パターンからなった。マスクの透過領域と非透過領域の比は1:1であった。露光後、第2の層を堆積した。モノマー(1%w/w)(オクタデシルアクリレート、アルドリッチ))と、インヒビタ(1%w/w)(ヒドロキノン)と、n−ヘプタン(アルドリッチ)とからなるモノマー溶液を使用し、ドロップキャスト(dropcast)した。照明後、サンプルを空気雰囲気において80℃の温度へ10分間加熱し、サンプルをフラッド露光に5分間80℃で露光した。モノマー層をn−ヘプタン中に溶解することにより除去し、表面凹凸構造を光学式プロフィロメータ(Fogale Zoomsurf 3D)で測定した。結果を表3、列3に示す。参照サンプルもオクタデシルアクリレート無しで作成した。結果を表3、列2に示す。
【0061】
【表5】

【0062】
【表6】

【0063】
結果は、モノマーが存在する感光性ポリマーにおいて凹凸構造を生成できること、およびモノマーの存在によって凹凸の高さが増大することを示す。
【0064】
実施例5
ガラス基板をスピンコーティング(1000rpm、60秒)により、高分子バインダー(47.5%w/w)(ポリベンジルメタクリレート、アルドリッチ)と、多官能性モノマー(47.5%w/w)(ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ−アクリレート、アルドリッチ)と、光開始剤(5%w/w)(イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)とからなる感光性ポリマー混合物で被覆した。感光性ポリマー混合物を、50%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(アルドリッチ)と50%のエトキシプロピルアセテート(アボカド・リサーチ・ケミカルズ)とを含有する溶媒混合物に溶解した。感光性ポリマー混合物の溶媒混合物に対する比は1:2であった。スピンコーティング後、残留溶媒を80℃へ10分間加熱することにより除去し、その後サンプルを室温に冷却した。感光性ポリマードライフィルムで被覆された基板を3ミクロンの厚さで得た。このサンプルをマスクおよびコリメートUV光源(UXM−502 MD ウシオ 500W 水銀)を使用して約13mW(UV−A)の強度で20秒間照明した。感光性ポリマーに直接接触するようにマスクを置き、マスクは、5、8、10、15および20ミクロンのピッチを有する線パターンからなった。マスクの透過領域と非透過領域の比は1:1であった。露光後、第2の層をスピンコーティングによって露光された感光性ポリマーに堆積した。モノマー(オクタデシルアクリレート(ODA)、アルドリッチ)と、光開始剤(2%w/w)(イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)と、n−ヘプタン(アルドリッチ)とからなるモノマー溶液を使用して、スピンコート(1000rpm、60秒)した。モノマー濃度を0、1、2.5、5、10および20%w/wに変更し、それぞれ0、100、215、280、440および1200nmの層厚をもたらした。照明後、サンプルを空気雰囲気において80℃の温度へ10分間加熱した。続いてサンプルを窒素雰囲気下でフラッド露光に5分間80℃で露光した。フラッド露光中、全ての残留モノマーを重合した。得られた構造を光学式プロフィロメータ(Fogale Zoomsurf 3D)で測定した。結果を表4、列2〜7に示す。参照サンプルもオクタデシルアクリレート無しで作成した。結果を表4、列1に示す。
【0065】
【表7】

【0066】
【表8】

【0067】
結果は、第2の層の厚さの調査範囲において空気界面における第2の層の凹凸構造の高さが維持されることを示す。
【0068】
実施例6
サンプルを実施例5に従って準備した;第2の層は、1:1比率のRM257(メルク(Merck))とE7(メルク)、5%w/wのイルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)の混合物のフィルムからなった。第2の層を、追加の揮発性溶媒を全く使用せずに感光性ポリマー(第1の層)にスピンコートした。これらの実施例において、ポリマー空気界面において、ピッチ15ミクロンにおいて典型的に高さ約800nmの凹凸構造を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1種以上の放射線感受性成分を含む第1のコーティング組成物で基板を被覆すること、
b)周期的なまたはランダムな放射強度パターンを有する電磁放射で被覆基板を局所的に処理して、潜像を形成すること、
c)得られた被覆基板を第1のコーティング膜に重合および/または架橋すること、
による高分子の凹凸構造の作成方法であって、
前記第1のコーティング組成物の上部に第2のコーティング組成物を被着し、前記第2のコーティング組成物が、単量体性質の有機化合物(C)であって、プロセス中に重合されるCを含むか、または前記第2のコーティング組成物が溶解ポリマー(C)であって、得られる第2のコーティング層中における重量平均分子量が少なくとも5キロダルトンであるポリマーを含むかのいずれかである、方法。
【請求項2】
またはCを工程b)の前記得られた被覆基板に被着する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
を含む前記第2のコーティング組成物を工程a)において前記第1のコーティング組成物の上部に被着する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
が前記第1のコーティング膜の界面張力を減少させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程a)における前記放射線感受性成分が、1種以上のモノマーを、1種以上の重合開始剤と組み合わせて含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のコーティング組成物がポリマーも含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記重合開始剤が、光開始剤と熱開始剤との混合物である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のコーティング膜が、使用された溶媒の蒸発後の固体薄膜である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程b)において、感光性ポリマーフィルムと直接接触してリソグラフィマスクを使用する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電磁放射が、マスクと共に使用される紫外光である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程b)における前記処理が、光の干渉/ホログラフィの使用による、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程b)における前記電磁放射が、電子ビーム、イオンビーム、X線、またはガンマ線の形態である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記基板がポリマーを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程a)の前記コーティング組成物中の前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)が少なくとも20,000g/molである、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
工程a)の前記コーティング組成物中の前記ポリマーのガラス転移温度が少なくとも300Kである、請求項6または14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマーを、工程a)で使用される前記放射線感受性コーティング組成物の前記モノマーに溶解する、請求項6、および14〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記放射線感受性第1のコーティング組成物中の前記成分が、(メタ−)アクリレート、エポキシ、オキセタン、ビニルエーテル、スチレン、およびチオール−エンからなる群から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
が前記第1のコーティング膜の界面張力を少なくとも10mJ/m減少させる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
またはCを、前記第1のコーティング膜の量の0.05〜5倍の量で被着する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
が、(メタ−)アクリレート、エポキシ、オキセタン、ビニルエーテル、スチレン、およびチオール−エンからなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
が、重合後に無機材を生成する重合可能モノマーからなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
が液晶性の重合可能モノマーを含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
が1種以上の重合開始剤も含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記重合開始剤が、熱開始剤、または光開始剤と熱開始剤の混合物である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
の重合を熱、紫外光、電子ビーム照射、X線照射、イオンビーム照射、可視光線照射、または赤外光で行う、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
がまた、およびCが、a)熱可塑性半結晶性または非晶質ポリマー、b)熱可塑性エラストマー(TPE、TPV)、またはc)化学的架橋性ゴムからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
またはCが、有機充填材も含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
第1および第2の層、および請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法によって獲得可能な前記第1の層と第2の層との間の凹凸構造を含む高分子の凹凸構造。
【請求項29】
前記第2の層の上部には第2の凹凸構造も存在し、前記第2の凹凸構造も請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法によって獲得可能である、請求項28に記載の高分子の凹凸構造。
【請求項30】
いくつかの層を含み、任意の層の組み合わせの界面おいて、およびおそらく前記上部にも凹凸構造が存在し、各凹凸構造が請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法によって獲得可能である、高分子の凹凸構造。
【請求項31】
前記第1の層(AR)の前記凹凸構造のアスペクト比が、少なくとも0.12であり、ARは、前記凹凸の高さと隣接する凹凸間の距離との比である、請求項28〜30のいずれか一項に記載の高分子の凹凸構造。
【請求項32】
前記第1の層の前記凹凸構造の曲率の最大絶対値|kmax|が、少なくとも0.35、一層好ましくは少なくとも0.45、およびさらに一層好ましくは少なくとも0.65μm−1である、請求項28〜31のいずれか一項に記載の高分子の凹凸構造。
【請求項33】
ARが少なくとも0.2である、請求項31に記載の高分子の凹凸構造。
【請求項34】
|kmax|が少なくとも0.7μm−1である、請求項32に記載の高分子の凹凸構造。
【請求項35】
工程b)を175〜375Kの温度で行う、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
工程c)を300〜575Kの温度で行う、請求項1〜27および35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
照明管理用途における、請求項28〜34のいずれか一項に記載の、または請求項1〜27または35、36のいずれか一項に記載の方法によって作成された高分子の凹凸構造の使用。
【請求項38】
屈折−、回折−またはホログラフィック−光学素子における請求項37に記載の使用。
【請求項39】
反射防止および/またはアンチグレア層における請求項37に記載の使用。
【請求項40】
有機または無機物における複製目的用のマスターとしての、請求項28〜34のいずれか一項に記載の、または請求項1〜27または35、36のいずれか一項に記載の方法によって作成された高分子の凹凸構造の使用。
【請求項41】
第2の種のための配向層としての、請求項28〜34のいずれか一項に記載の、または請求項1〜27または35、36のいずれか一項に記載の方法によって作成された高分子の凹凸構造の使用。
【請求項42】
前記第2の種がモノマーおよび/または高分子液晶である、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
構造化電極、蛍光層、またはエレクトロルミネセント層、または構造的な金属あるいはセラミック層としての、請求項28〜34のいずれか一項に記載の、または請求項1〜27または35、36のいずれか一項に記載の方法によって作成された高分子の凹凸構造の使用。

【公表番号】特表2008−530612(P2008−530612A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555040(P2007−555040)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/NL2006/000067
【国際公開番号】WO2006/085757
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(505307806)スティッチング ダッチ ポリマー インスティテュート (18)
【Fターム(参考)】