説明

高分子紫外線吸収剤

【課題】
樹脂との相溶性に優れ、耐ブリード性、耐揮散性、耐溶剤(油)抽出性等を有し、優れた紫外線吸収性を有するとともに、樹脂の強度特性等の種々の性能を損なわない高分子紫外線吸収剤を提供する。
【解決手段】
一般式(1)で表される単量体単位を含む共重合体であることを特徴とする高分子紫外線吸収剤。
【化1】


一般式(1)

(式中のR1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基を、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なる水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を、Xは、−O−又は−OCO−を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子紫外線吸収剤に関し、更に詳しくはトリアジン系紫外線吸収剤が重合体に結合した高分子紫外線吸収剤に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂物品の耐光性向上のために、通常、紫外線吸収剤や光安定剤が添加されており、該紫外線吸収剤や光安定剤として多様な化学構造のものが市販されている。特に紫外線吸収剤では、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアン系のものが使用されている。特に最近ではトリアジン系紫外線吸収剤が、その特異な紫外線吸収波長領域により、各種物品の耐光性向上に使用されている(特許文献1及び2)。また、光安定剤としてピペリジン系のものが使用されている(特許文献3)
【0003】
ところが、それらの紫外線吸収剤は、一般的に比較的低分子量であり、樹脂に添加した場合、該樹脂との相溶性によっては樹脂物品の表面に移行するブリードによって外観不良を来したり、高温に曝されると揮散し、樹脂中の有効濃度が低下することによって耐光性等が低下し、樹脂自体が劣化することがあった。このような現象は紫外線吸収剤に限らず、酸化防止剤等の各種安定剤についても同様である。
【0004】
そこで、紫外線吸収剤等を高分子化して前記の如きブリードや揮散性を抑制し、樹脂の性能保持が良好な高分子化された機能剤が開発されており、該機能剤としては酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等が含まれる(特許文献4)。その中の紫外線吸収剤に関してはベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系等の高分子化された紫外線吸収剤がある。ラクトン類を開環重合させたポリエステルの末端に紫外線吸収剤を結合させたもの(特許文献5)やオレフィン系樹脂に紫外線吸収剤をエステル結合させたもの(特許文献6)などがある。
【0005】
【特許文献1】特開平6−211813
【特許文献2】特開平10−182621
【特許文献3】特開平11−80569
【特許文献4】特開2003−40937
【特許文献5】特開2000−95849
【特許文献6】特開2005−54183
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、樹脂との相溶性に優れ、耐ブリード性、耐揮散性、耐溶剤(油)抽出性等を有し、優れた紫外線吸収性を有するとともに、樹脂の耐光性能を向上させる新規な高分子紫外線吸収剤を提供することである。
【0007】
本発明者等は、上記目的を達成すべき鋭意検討した結果、水酸基を有するトリアジン系紫外線吸収剤(以下単に「紫外線吸収剤」という場合がある)と分子中にイソシアネート基等の水酸基と反応する基を含有する重合体とを反応させ、上記紫外線吸収剤がウレタン結合を介して重合体に結合された高分子紫外線吸収剤は、樹脂(例えばウレタン)との相溶性に優れ、また成形加工時やコーティング剤等としての使用時の加熱硬化等によっても蒸発や昇華による揮散はなく、成型品表面や被覆材等の表面へのブリードが抑制され、更に、水や有機溶媒等への溶出もない等の優れた性質を有するとともに、この紫外線吸収剤は高分子量であることから、安全性、衛生性にも優れており、紫外線吸収剤の重合体への結合量を変化させることによって、少量の添加で必要とする紫外線吸収効果を発現させることができ、樹脂の物性も損なわれることがないことを見いだした。又、使用する紫外線吸収剤は、溶剤に対する溶解性が良好であるために、高分子紫外線吸収剤の合成が容易である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の構成は下記の通りである。
1.下記一般式(1)で表される単量体単位Aを含む共重合体であることを特徴とする高分子紫外線吸収剤。
【化1】

一般式(1)

(式中のR1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基を、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なる水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を、Xは、−O−又は−OCO−を、Yは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。)
【0009】
2.上記一般式(1)で表される基を含有する単量体単位の含有量が、共重合体を構成する全単量体単位中、10〜50質量%である前記1に記載の高分子紫外線吸収剤。
【0010】
3.重量平均分子量が10,000〜1,000,000である前記1に記載の高分子紫外線吸収剤。
4.他の単量体単位Cとして、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体及びビニル系単量体から選択される少なくとも1種の単量体単位を含む前記1に記載の高分子紫外線吸収剤。
【0011】
5.共重合体に、次の一般式(2)で表される単量体単位Bを含む請求項1記載の高分子紫外線吸収剤。
【化2】

一般式(2)

(Yは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。)
【発明の効果】
【0012】
本発明の高分子紫外線吸収剤は、分子中の紫外線吸収剤基(一般式(1)で表される化合物のアルコール性水酸基から水素原子を除いた基)にウレタン結合を介してアルキル基が結合され、またウレタン結合を介して高分子鎖に結合していることであることから、これらによって樹脂(例えばウレタン)との相溶性がよく、又、その紫外線吸収剤基が多く結合していることによって、添加する高分子紫外線吸収剤を少量にでき、樹脂の物性を低下させずに、樹脂の耐光性を向上させることができる。
又、重量平均分子量が10,000〜1,000,000である等高分子量であることによって樹脂からのブリードがないので、添加した量がそのまま機能し、又、他の物品への汚染や印刷性の阻害等を起こさない。又、安全性、衛生性も高く従来の低分子の紫外線吸収剤に比べ、非常に優れた樹脂物品を得ることができる。
従って、本発明の高分子紫外線吸収剤は、樹脂成型体、繊維、紙、不織布、電子写真現像剤、塗料、インキ及び接着剤から選択される物品に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明の高分子紫外線吸収剤は、前記一般式(1)で表される単量体単位Aを含む共重合体であることを特徴としている。
【0014】
本発明で用いられる前記一般式(1)で示される紫外線吸収剤は、紫外線吸収剤の中間体、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,5−ジヒドロキシベンゼンや、2−〔4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,5−ジヒドロキシ〕ベンゼン等のジヒドロキシトリアジン系化合物に、従来公知の炭素数が1〜30のアルキル基を含有するエーテル基又はエステル基で結合されたエポキシ化合物を反応させることで得ることができる。
【0015】
上記エーテル基で連結されたエポキシ基を含有する化合物としては、例えば、メトキシグリシジルエーテル、エトキシグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブトキシグリシジルエーテル、イソブトキシグリシジルエーテル、アミルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、シクロへキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル、ベヘニルグリシジルエーテル等が挙げられる。又、エステル基で結合されたエポキシ基を含有する化合物としては、例えば、酢酸グリシジルエステル、ブタン酸グリシジルエステル、2−エチルへキサン酸グリシジルエステル、デカン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル等が挙げられる。上記ジヒドロキシトリアジン系化合物と上記の化合物との反応は、従来公知の方法が用いられ、特に限定されるものではない。
【0016】
得られる紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、
2−[4−〔(2−ヒドロキシ−3−メチルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−[4−〔(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−〔(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−〔(2−ヒドロキシ−3−テトラデシルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−〔(2−ヒドロキシ−3−オクチロイルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−〔(2−ヒドロキシ−3−プロピロイルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0017】
前記一般式(1)中のアルキル基(R1)としては、炭素数が1〜30のものが好ましいが、紫外線吸収剤の取り扱い性、反応させる共重合体との相溶性及び得られた本発明の高分子紫外線吸収剤と樹脂との相溶性を更に向上させるために、更に好ましくは炭素数が6〜20、より好ましくは炭素数8〜18のアルキル基である。又、一般式(1)中のR2、R3、R4及びR5は、紫外線吸収剤を合成するための原料によるが、好ましくは水素原子、又は炭素数が1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。R2とR3とR4とR5は同じでも異なっていてもよい。
【0018】
更に詳細に説明すると、本発明では前記一般式(1)で示される構造式中に炭素数が1〜30のアルキル基であるR1が存在しているおり、さらに分子中の紫外線吸収剤基(一般式(1)で表される化合物のアルコール性水酸基から水素原子を除いた基)にウレタン結合を介してアルキル基が結合され、またウレタン結合を介して高分子鎖に直結しているから、本発明の高分子紫外線吸収剤を合成樹脂等(例えばウレタン)に混合した場合、良好な相溶性が得られることである。
この相溶性の付与によって、共重合体と結合した紫外線吸収剤基(前記一般式(1)で表される基、以下同じ)の量が多くても、樹脂に対する相溶性が保持され、例えば、ある特定の少量の濃度になるように高分子紫外線吸収剤を配合した場合、高分子紫外線吸収剤には紫外線吸収剤基が多く結合しているため、少量の高分子紫外線吸収剤を添加すればよく、相溶性も良好で、添加量も少なくて済むので、高分子紫外線吸収剤が添加される樹脂の物性は損なわれない。
【0019】
又、例えば、紫外線吸収剤濃度を多くして紫外線をカットするような場合には、添加量が多くなっても紫外線吸収剤基には前記のアルキル基が結合しているために相溶性は損なわれず、紫外線吸収剤基の結合量が多いにも拘らず、樹脂の物性やブリードによる外観が不良になることはない。
【0020】
高分子紫外線吸収剤としては、共重合体を構成する全単量体単位中の一般式(1)で示される紫外線吸収剤基を含有する単量体単位の含有量が10〜50質量%のものが好ましい。更に好ましい上記単量体単位の含有量は15〜40質量%であり、より好ましくは20〜30質量%である。10質量%未満であると、紫外線吸収剤基の量が少なくなり、得られた高分子紫外線吸収剤の添加量が多くなり、樹脂中の高分子紫外線吸収剤自体の量が多くなってしまい、樹脂の物性が著しく損なわれる。又、50質量%を超える場合、バルキーな基が多数含有することで樹脂への添加を考慮すると、相溶性が損なわれる。
【0021】
一般式(2)で示される紫外線吸収剤基を含有する単量体単位の含有量は、共重合体を構成する全単量体単位中、5〜30質量%のものが好ましい。重合性を考慮すると、更に好ましい上記単量体単位の含有量は5〜15質量%であり、より好ましくは5〜10質量%である。5質量%未満であると、紫外線安定剤単量体の量が少なくなり、得られた高分子紫外線吸収剤のさらなる耐光性向上効果が薄れてしまう。又、50質量%を超える場合、重合性が落ちて分子量の低下を招く。その他にバルキーな基が多数結合することで、得られる高分子紫外線吸収剤は、樹脂への添加を考慮すると、相溶性も悪くなる。
【0022】
これらの一般式(1)又は一般式(1)及び一般式(2)の紫外線吸収剤基を含有する単量体単位が共重合可能な単量体としては、他の単量体単位Cとして、例えばアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、ビニル系単量体は好ましく、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、ビニル系単量体から選択される少なくとも1種の単量体単位が好ましい。
具体的には、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、酢酸ビニルが好ましい。これらは本発明の高分子紫外線吸収剤が添加される樹脂との相溶性やコーティング剤の物性を考慮して1種又は2種以上を組み合わせて使用される。
特に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂に添加する場合、分子量は低い方が相溶性は向上する。分子量としては10000〜100000である。またPETフィルム、アクリル樹脂板にコーティングする場合は分子量が高い方が密着性は良好となる。分子量としては100000〜1000000である。
【0023】
本発明の高分子紫外線吸収剤の分子量は、GPCによって測定された重量平均分子量が、標準ポリスチレン換算で10,000〜1,000,000の範囲、好ましくは50,000〜500,000の範囲ある。重量平均分子量が10,000未満では、例えば、分子量が1,000未満の低分子量の高分子紫外線吸収剤が多く存在することになり、それらが添加された樹脂からブリードしたり、溶剤や薬品等によって抽出されてしまう可能性がある。又、重量平均分子量が1,000,000を超えると非常に高分子量となり、合成時の反応系中において、増粘等が生じて取り扱いが困難である。
【0024】
本発明の高分子紫外線吸収剤は、合成樹脂成型体、繊維、紙、不織布、電子写真現像剤、塗料、インキ又は接着剤等の製品の製造に使用される樹脂に添加され、それぞれの用途に応じて従来公知のそれぞれの製造方法に従って、各種プラスチック成型品、紙、不織布、繊維、塗料、各種インキ、電子写真現像剤、接着剤等の物品が製造される。
【0025】
本発明の高分子紫外線吸収剤は、種々の樹脂から形成される上記の如き製品又はそれを用いて形成される塗膜、印字・画像等の耐紫外線性が改良されるとともに、物品表面へのブリードが防止されることから物品が接触する他物品を汚染することもなく、又、物品等の製造時及び物品等の使用時等の熱履歴によって飛散・揮散したり、昇華することが防止されるので添加量が減少することがなく、添加量に見合った耐紫外線性が物品等に付与される。その結果、太陽光線、特に紫外線等の作用による光暴露による脆化等による物品等の弾性低下や引張り強度の低下、クラックの発生等、電気的性質の劣化、顔料や染料等の色素変色、退色等の着色に関する問題点が解決される。
【0026】
本発明では、高分子紫外線吸収剤が添加される樹脂は、特に制限されず、各物品の製造に従来から使用されている樹脂が使用できる。例えば、従来公知の成型物、シート、フィルム、繊維等の製造に使用される熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド系樹脂(PA)、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフェニレンサルファイド系樹脂(PPS)等が挙げられる。これらの樹脂は用途に応じて、単独使用又は2種以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイとして使用される。又、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0027】
又、前記の樹脂の使用形態も特に制限はなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤等を含有させた熱可塑性及び熱硬化性成形材料として使用することもできる。例えば、PET、PBT、LCP、POM、PA、PPS等のエンジニアリングプラスチックのガラス繊維入り複合材料あるいは難燃剤、発泡剤、抗菌剤、架橋剤等の各種添加剤を添加したものである。又、必要に応じて従来使用されている樹脂用の添加剤、例えば、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系ワックス、エチレンビスアマイド系ワックス、金属石鹸等を単独であるいは併用して使用することができる。
【0028】
本発明の高分子紫外線吸収剤は、上記の合成樹脂等に対して樹脂の使用目的に応じて任意の添加量で添加することが可能であり、添加量は特に限定されるものではない。本発明の高分子紫外線吸収剤を含む樹脂組成物を用いて成型体、塗料、インキ、電子写真用現像剤、接着剤等を製造する場合には、前記一般式(1)で示される紫外線吸収剤基の含有量として、樹脂100質量部に対して、通常、0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部の割合で添加される。又、本発明の高分子紫外線吸収剤は、物品等の使用目的や要求特性に応じて、更にベンゾフェノン系紫外線吸収剤やベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤のような他の紫外線吸収剤と組み合わせて、あるいは他の光安定剤、酸化防止剤等の紫外線吸収剤とは異種の機能剤と組み合わせて使用することにより効果を得ることもできる。
【0029】
本発明の高分子紫外線吸収剤が添加されてなる樹脂組成物は、その使用目的に応じて従来公知の方法で製造され、製造方法は特に制限されない。例えば、成型体製造用樹脂組成物は、樹脂と本発明の高分子紫外線吸収剤を混合、混練することで得ることができる。又、上記樹脂組成物は、予め本発明の高分子紫外線吸収剤を多量に含むマスターバッチを形成し、これを樹脂に上記高分子紫外線吸収剤が所定量含有されるように形成したものでもよい。
【0030】
例えば、マスターバッチを使用して成型用の樹脂組成物を得る方法としては、単独あるいは2種以上の上記の樹脂に本発明の高分子紫外線吸収剤を加えてミキシングロール、バンバリーミキサーあるいはニーダー等で混練し、シート状のマスターバッチを形成して裁断するか、ペレタイザーでペレット状のマスターバッチを製造し、このマスターバッチを対象とする成型体形成用樹脂と共に常法に従いヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー等にて混合して成型用樹脂組成物とする。これを用い、ミキシングロール、射出成型機、押出し成型機、インフレーション成型機等で目的とする成型体とされる。
【0031】
又、紙、不織布、塗料、インキ又は接着剤等も従来公知の方法に準じて製造される。例えば、加熱攪拌反応槽、混合攪拌反応槽、ディゾルバー混合等によって樹脂と本発明の高分子紫外線吸収剤は溶剤とともに均一に混合される。又、湿式分散による加工方法としては、例えば、ミキシングロールミル、ニーダー、ボールミル、アトライター、サンドミル、横形媒体分散機、縦形媒体分散機、連続横形媒体分散機、連続縦形媒体分散機等が使用される。乾式の溶解、分散加工方法は上記合成樹脂で挙げた方法及び加工機械が使用できる。
【0032】
又、繊維形成用の樹脂組成物においては、繊維形成用樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等に、本発明の高分子紫外線吸収剤を樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部の割合で添加するのが好ましい。この樹脂組成物は溶融紡糸等の従来公知の方法で繊維とされる。
【0033】
電子写真現像剤としては、従来公知のフルカラー、モノカラー、モノクロの乾式現像剤、ソリッドタイプのインクジェットインキが挙げられる。特に広告、看板用、外装塗装用等のフルカラー画像の用途に使用される現像剤やインキが挙げられる。本発明の高分子紫外線吸収剤が添加されたこれらの物品も、従来公知の方法で製造される。
【0034】
本発明の高分子紫外線吸収剤が添加された上記のような種々の物品が製造されるが、それぞれの物品を構成する樹脂への高分子紫外線吸収剤の添加量は、物品の用途や使用目的によって異なるが、ひとつの目安として樹脂(固形分で)100質量部に対して0.1〜10質量部程度の割合で添加するのが好ましい。又、高分子紫外線吸収剤として前記したと同様に目的に応じて同種あるいは異種機能剤を含め二種以上を併用して相乗効果を得ることができる。
【0035】
一般的に、製品がフィルムのような薄膜や糸のように細い場合や、材料が劣化しやすかったり、使用される状況が屋外用フィルムのように厳しい環境に曝され、且つ長期にわたる耐久性を期待される時等では、添加量としては多い方の比率で使用することが望ましい。又、高分子紫外線吸収剤が添加された製品を守るためではなく、その製品、例えば、容器の内容物を紫外線から守るためには、紫外線をカットする必要がある。その場合には、本発明の紫外線吸収剤を多く添加する必要があり、目安としては樹脂(固形分)100質量部に対して紫外線吸収剤基として1〜10質量部程度の割合で添加するのが好ましい。特に紫外線吸収剤基が多く結合している高分子紫外線吸収剤では、紫外線吸収剤基として、例えば、1〜10質量部程度であっても、高分子紫外線吸収剤としては少量で済むことになり、添加される製品の物性が損なわれない特徴がある。
【0036】
本発明の高分子紫外線吸収剤は、必要により、他の添加剤とともに使用される。合成樹脂成型体の着色あるいは電子写真現像剤等を着色する場合には、色素としては、通常使用されている有機顔料、無機顔料、体質顔料あるいは染料が使用される。具体的には、例えば、溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、ポリアゾ系顔料、アゾメチンアゾ系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリノン−ペリレン系顔料、アゾメチン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ピロロピロール系顔料、蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック顔料、酸化チタン系顔料、黄色酸化鉄、弁柄、酸化クロム、群青、複合酸化物顔料、硫化亜鉛等の無機顔料、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、硫酸バリウム等の体質顔料、更に分散染料、油溶性染料が挙げられ、特に限定されるものではない。
【0037】
本発明の高分子紫外線吸収剤は、色素の変色、褪色等に対する耐久性を改良するためにも使用することができる。方法としては、例えば、合成樹脂成型用着色組成物、印刷インキ、塗料あるいは電子写真現像剤等の着色組成物の調製時に高分子紫外線吸収剤を添加する方法や色素の製造工程中で予め色素と高分子紫外線吸収剤を混合処理あるいは被覆処理をし、高分子紫外線吸収剤処理色素として使用する方法等が挙げられる。目的によっては複数の高分子機能剤を併用して処理することができるが、被覆処理の場合には高分子紫外線吸収剤を微小樹脂ビーズ状に加工したり、架橋処理等により色素表面に該紫外線吸収剤を固定化することも有効である。
【0038】
紫外線吸収性単量体単位Aを他の単量体C(紫外線吸収性単量体単位A及びBを除く)とともに重合開始剤を仕込み溶媒中で重合をしてなる請求項1記載の高分子紫外線吸収剤の製造方法であって、
紫外線吸収性単量体単位Aは、
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートに、次の一般式(3)の2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物と、MEK、重合禁止剤を加熱溶解させ、ウレタン化触媒を添加して、加熱反応し、反応混合物を冷却し、メタノール中に注入して反応生成物を析出させ、濾過し、メタノールで洗浄及び乾燥したことを特徴とする。
【化3】

一般式(3)

(式中のR1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基を、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なる水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を、Xは、−O−又は−OCO−を表す。)
【0039】
また紫外線吸収性単量体単位Bを紫外線吸収性単量体単位Aと他の単量体C(紫外線吸収性単量体単位A及びBを除く)とともに重合開始剤を仕込み溶媒中で重合をしてなる請求項1記載の高分子紫外線吸収剤の製造方法であって、
紫外線吸収性単量体単位Bは、
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートに、シクロヘキサンと次の一般式(4)の過酸化N-ブチル2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ1,3,5-トリアジンとの反応生成物と2-アミノエタノールとの反応生成物を、MEK、重合禁止剤を加熱溶解させ、ウレタン化触媒を添加して、加熱反応し、反応混合物を冷却し、メタノール中に注入して反応生成物を析出させ、濾過し、メタノールで洗浄及び乾燥したことを特徴とする。
【化4】

一般式(4)

【実施例】
【0040】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。尚、文中部又は%とあるのは質量基準である。
合成例1(紫外線吸収性単量体Aの合成)
温度計、攪拌装置、還流冷却器を備えた反応容器に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを27部、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物(平均分子量584)100部、MEK100部、重合禁止剤としてMEHQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)を0.1部仕込み、加熱溶解させた。ウレタン化触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.1部添加して、70℃で加熱反応させた。
反応完了後、反応混合物を冷却し、メタノール中に注入して反応生成物を析出させ、濾過した。メタノールで洗浄及び乾燥させ、紫外線吸収性単量体単位Aを得た。生成物は赤外吸収スペクトル及びNMRで確認した。
【0041】
合成例2(紫外線吸収性単量体Bモノマーの合成)
温度計、攪拌装置、還流冷却器を備えた反応容器に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを20部、シクロヘキサンと過酸化N-ブチル2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ1,3,5-トリアジンとの反応生成物と2-アミノエタノールとの反応生成物を100部、MEK100部、重合禁止剤としてMEHQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)を0.1部仕込み、加熱溶解させた。ウレタン化触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.1部添加して、70℃で加熱反応させた。
【0042】
反応完了後、反応混合物を冷却し、メタノール中に注入して反応生成物を析出させ、濾過した。メタノールで洗浄及び乾燥させ、紫外線吸収性単量体単位Bを得た。なお、紫外線吸収性単量体単位Bは紫外線安定剤単量体単位とも称する。該生成物は赤外吸収スペクトル及びNMRで確認した。
【0043】
実施例1(高分子紫外線吸収剤−1の合成)
温度計、攪拌装置、還流冷却器を備えた反応容器に「紫外線吸収性単量体単位A」を40部、「紫外線単量体単位B」を5部、「メタクリル酸メチル」50部、「2-ヒドロキシメタクリレート」を5部、酢酸エチル100部、加熱溶解させた。重合開始剤としてAIBNを0.3部仕込み、8時間重合を行なった。GPC法による重量平均分子量は約50,000であった(標準ポリスチレン換算。以下の実施例等も同様。)。又、熱分析による熱分解度測定の結果、窒素気流下の顕著な分解が始まる熱分解温度は265℃であった。
なお、ポリマーの分子量はGPCにより求めた。当該GPCでは、カラムとしては、品名「TSKGel
GMHXL(東ソー株式会社製」)×2および品名「TSKGel G2000HXL(東ソー株式会社製)」×1を、移動相としてはテトラヒドロフランを、検出器としては、品名「UV−8000」と「RI−80000」とを用いた。また、測定条件は、温度が40℃で流量が0.8ml/分とした。
【0044】
実施例2(高分子紫外線吸収剤−2の合成)
上記と同様の装置を使用し、反応させるモノマーを「紫外線吸収性単量体単位A」40部、「メタクリル酸メチル」55部、「2-ヒドロキシメタクリレート」を5部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタンを0.3部とした以外は実施例1と同様に行ない、「高分子紫外線吸収剤−2」を得た。GPC法による重量平均分子量は約50,000であった。
【0045】
実施例3(高分子紫外線吸収剤−3の合成)
上記と同様の装置を使用し、反応させるモノマーを「紫外線吸収性単量体単位A」40部、「メタクリル酸メチル」60部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタンを0.3部とした以外は実施例1と同様に行ない、「高分子紫外線吸収剤−3」を得た。GPC法による重量平均分子量は約50,000であった。
【0046】
比較例1〜2
上記と同様の装置を使用し、紫外線吸収モノマーを2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾールと、表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして高分子紫外線吸収剤を調製した。
【0047】
(比較例3〜4)
比較例2の組成物中における2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾールの代わりに、紫外線吸収剤(商品名「チヌビン327」CIBA−GEIGY社製)を用いること以外は、比較例2と同様にして、高分子紫外線吸収剤を調製した。なお、商品名「チヌビン327」は、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールである。また紫外線吸収剤を配合しない比較例4についてはコントロールとした。
【0048】
(試験片の調製)
実施例及び比較例で作製した高分子紫外線吸収剤100部を厚さ100μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)基材に5g/m2の割合で塗工した後、100℃で2分乾燥して、耐光性塗料を塗布した構造体を作製した。調製した耐光性構造体を下記の方法で評価した。その結果を表1に示す。
なお、コロネートL−45は、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、日本ポリウレタン工業(株)製である。
【0049】
(評価方法)
(耐溶剤性)
コーティングした試験片をメチルエチルケトンに浸漬し、3分後取出して目視にて外観変化を観察した。コーティング塗膜に変化無いものを○、膨潤もしくは溶解するものを×とした。
(耐光性)
アイスーパーUVテスターで促進試験を行い、試験前と50時間後のb値の差(デルタb値)を測色計で観察した。デルタb値が5以下のものを○、5を超え20未満を△、20以上を×とした。
アイスーパーUVテスターの条件 岩崎電気株式会社製
型式:SUV-F11、 水冷式メタルハライト゛ランフ゜
UV強度:100mW/cm2 、BPT:63℃、50%RH
測色計:Macbeth
Color-Eye 3100
(耐熱性)
耐熱性試験を行い、樹脂添加用途の性能指標であるブリードアウト性の評価を行った。試験片の紫外線吸収特性を分光光度計で測定し、UV吸収%T(350nm)の減少率から評価を行った。UV吸収減少率1%未満を○、1%以上を×とした。
耐熱性試験条件:試験片を60℃で1ヶ月放置


【0050】
【表1】

【0051】
紫外線吸収剤未塗工シートは著しく劣化し、次いで通常の低分子紫外線吸収剤を用いたフィルム、そしてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いたシートが経時的に劣化したのに対し、本発明の高分子紫外線吸収剤を塗工したシートはいずれも経時変化は少なく、耐光性向上効果が大きく認められた。即ち、本発明の高分子紫外線吸収剤を含むシートでは、シートの変色度合い(色差)が2と、ほぼ目視では分別付かないレベルまで、本発明の高分子紫外線吸収剤は紫外線劣化防止効果が長期間持続する優れた紫外線吸収剤であることを示している。一方、公知の紫外線吸収剤を加えた塗工シートでは、色差20となり高分子紫外線吸収剤に劣る結果を示した。これは添加した公知の紫外線吸収剤が低分子量であり、ブリードないし揮散した結果、塗工シート中の有効成分の含有量が減少したためと考えられる。又、前記したような紫外線安定剤を結合させた高分子紫外線吸収剤に関しては、耐光性向上に関して相乗効果が得られた。なお、紫外線吸収剤を含まない塗工シートは劣化が激しかった。
【0052】
耐熱性試験結果から、比較例1、2は低分子UVAのブリードアウトにより紫外線吸収特性の悪化が見られた。
【0053】
又、一般的に耐光性が悪いとされるウレタン樹脂に対して本発明の高分子紫外線吸収剤を添加もしくは練り込みを行なう場合でも、ウレタン結合を有するため樹脂との相溶性が良好となり、又、高分子量であるためにブリードせずフィルム中に保持され、長期にわたって効果を発揮するものと思われる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の高分子紫外線吸収剤は、分子中の紫外線吸収剤基(一般式(1)で表される化合物のアルコール性水酸基から水素原子を除いた基)にアルキル基が結合されていることおよびウレタン結合を介して高分子鎖に結合していることによって、樹脂との相溶性がよく、又、吸光度が従来の紫外線吸収剤より高いため、添加する高分子紫外線吸収剤を少量にでき、樹脂の物性を低下させず、又、樹脂の耐光性を向上させることができる。
又、高分子量であることによって樹脂からのブリードがないので、添加した量がそのまま機能し、又、他の物品への汚染や印刷性の阻害等を起こさない。又、安全性、衛生性も高く従来の低分子の紫外線吸収剤に比べ、非常に優れた樹脂物品を得ることができる。これは、コーティング塗料の分野においても同様で、従来のコーティング塗料用高分子紫外線吸収剤より優れた耐光性を付与することが可能となった。
従って、本発明の高分子紫外線吸収剤は、樹脂成型体、繊維、紙、不織布、電子写真現像剤、塗料、インキ及び接着剤から選択される物品に適用できる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される単量体単位Aを含む共重合体であることを特徴とする高分子紫外線吸収剤。
【化1】

一般式(1)

(式中のR1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基を、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なる水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を、Xは、−O−又は−OCO−を、Yは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。)
【請求項2】
上記一般式(1)で表される基を含有する単量体単位の含有量が、共重合体を構成する全単量体単位中、10〜50質量%である請求項1に記載の高分子紫外線吸収剤。
【請求項3】
重量平均分子量が10,000〜1,000,000である請求項1に記載の高分子紫外線吸収剤。
【請求項4】
他の単量体単位Cとして、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、ビニル系単量体から選択される少なくとも1種の単量体単位を含む請求項1に記載の高分子紫外線吸収剤。
【請求項5】
共重合体に、更に次の一般式(2)で表される単量体単位Bを含む請求項1記載の高分子紫外線吸収剤。
【化2】

一般式(2)

(Yは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。)
【請求項6】
上記一般式(2)で示される紫外線吸収剤基を含有する単量体単位の含有量は、共重合体を構成する全単量体単位中、5〜30質量%である請求項5に記載の高分子紫外線吸収剤。
【請求項7】
請求項1に記載の高分子紫外線吸収剤を含むことを特徴とする、樹脂成型体、繊維、紙、不織布、電子写真現像剤、塗料、インキ及び接着剤から選択される物品。
【請求項8】
紫外線吸収性単量体単位Aを他の単量体C(紫外線吸収性単量体単位A及びBを除く)とともに重合開始剤を仕込み溶媒中で重合をしてなる請求項1記載の高分子紫外線吸収剤の製造方法であって、
紫外線吸収性単量体単位Aは、
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートに、次の一般式(3)の2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物と、MEK、重合禁止剤を加熱溶解させ、ウレタン化触媒を添加して、加熱反応し、反応混合物を冷却し、メタノール中に注入して反応生成物を析出させ、濾過し、メタノールで洗浄及び乾燥したことを特徴とする高分子紫外線吸収剤の製造方法。
【化3】

一般式(3)

(式中のR1は、水素原子又は炭素数が1〜30のアルキル基を、R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なる水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を、Xは、−O−又は−OCO−を表す。)
【請求項9】
紫外線吸収性単量体単位Bを紫外線吸収性単量体単位Aと他の単量体C(紫外線吸収性単量体単位A及びBを除く)とともに重合開始剤を仕込み溶媒中で重合をしてなる請求項1記載の高分子紫外線吸収剤の製造方法であって、
紫外線吸収性単量体単位Bは、
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートに、シクロヘキサンと次の一般式(4)の過酸化N-ブチル2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ1,3,5-トリアジンとの反応生成物と2-アミノエタノールとの反応生成物を、MEK、重合禁止剤を加熱溶解させ、ウレタン化触媒を添加して、加熱反応し、反応混合物を冷却し、メタノール中に注入して反応生成物を析出させ、濾過し、メタノールで洗浄及び乾燥したことを特徴とする高分子紫外線吸収剤の製造方法。
【化4】

一般式(4)



【公開番号】特開2009−155540(P2009−155540A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337298(P2007−337298)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390029458)一方社油脂工業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】