説明

高周波デバイス

【課題】簡易且つ小型の構成により伝送特性又は放射特性を大きく変化可能な高周波デバイス。
【解決手段】高周波デバイス100は、誘電体基板10、誘電体基板10の裏面に設けられた導体から成る接地板20、誘電体基板10の表面に設けられたCRLH線路21−1、円柱状の誘電体から成る回転誘電体30−1、モータ40、モータの回転を回転誘電体30−1に伝達する駆動軸41、回転誘電体30−1と共に回転する駆動軸42、軸受け43から構成されている。CRLH線路21−1の伝送方向はx軸方向である。円柱状の回転誘電体30−1は、半径が2.6λ0の円柱状であって、その中心軸CDと平行に距離0.026λ0離れた位置に回転軸CRを有している。モータ40により回転軸CRを中心に回転誘電体30−1を回転制御することで、CRLH線路21−1の伝送位相を制御し、高周波デバイス100を可変移相器とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体基板の表面に設けられたストリップ導体と、当該誘電体基板の裏面に設けられた接地板とにより構成される高周波伝送線路を有し、その伝送特性を可変とした高周波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
右手/左手系複合線路(Composite Right and Left Handed/CRLH線路)と呼ばれる誘電体基板上に作成された伝送線路について説明する。図17の高周波デバイス900は、誘電体基板10上にCRLH線路を備えたものであり、入力される高周波の周波数により漏れ波アンテナ又は移相器として作用する。
この図17の高周波デバイス900は、伝送線路21(x軸方向の主線路)を周期的に分断するギャップGと、その分断された伝送線路21から枝分かれしたスタブ24が具備されている。この高周波デバイス900は、ギャップGが供するキャパシタンスや、スタブ24が供するインダクタンスの作用により、ある周波数帯において、伝送される電磁波の群速度の向きと位相速度の向きを相互に反対の向きとすることができる。即ち、左手系を実現できる。これにより、伝送される電磁波の周波数を変化させることにより、主線路上で電磁波が伝播する向きとは反対向きである、図17中のz軸の正の向きからx軸の負の向きの方に傾斜したθ<0なる角度領域に対しても電磁波を放射することができる。その結果、放射ビームの方向を変化させる場合には、その放射ビームの走査範囲を広くとることができる。
また、高周波デバイス900を移相器として用いる場合には、やはりギャップGが供するキャパシタンスや、スタブ24が供するインダクタンスを調整することにより、単位長さ当りの位相変化量を制御できるため、従来の移相器に比べ、飛躍的に小形化が可能であるという特徴を有する。
【0003】
図18に、CRLH線路の分散特性の一例を示す。図18は、RHとLHとして示した2つの分散曲線と、Air lineとして示したω=βc0の曲線から成る。ここでc0は真空中の光速度である。図18の横軸は位相定数βの、CRLH線路の繰り返し単位長から決まる波数k0に対する比である。図18の縦軸は、角周波数ωではなく、周波数で示した。
図18に示すように、CRLH線路は、分散曲線がAir lineより左側にある周波数、即ち、CRLH線路の位相定数βが、ω/c0より大きい範囲においては漏れ波アンテナとして動作する。一方、CRLH線路の位相定数βが、ω/c0より小さい範囲においては放射が起きないため、移相器として使うことができる。
図18の特性を示すCRLH線路においては、約74.0GHzから75.3GHzと、82.1GHzから90GHz程度迄において移相器として使用することができる。その間の、75.3GHzから77.2GHzにおいては、図17のθ<0側への漏れ波アンテナ(左手系)として、77.2GHzから82.1GHzにおいては、図17のθ>0側への漏れ波アンテナ(右手系)として使用することができる。
この様な、位相速度と群速度の向きが反対となる原理については、例えば下記の非特許文献1乃至3に詳しい開示がある。
【0004】
或いは、非特許文献4や特許文献1のように、誘電体基板の比誘電率を電圧によって制御して伝搬定数βを変化させる技術が報告されている。これらは、比誘電率を制御できる材料として液晶や強誘電体を用い、これをCRLH線路に適用した移相器又は漏れ波アンテナである。
さらに、非特許文献5のように、ギャップおよびスタブにバラクタダイオードを装荷し、電圧をかけることでその容量を変化させ、周波数を固定したまま電子的にビームを走査したり、ビーム幅を可変する方法も考案されている。
【0005】
特許文献2においては、図19に示すように、CRLH構造を有するアンテナの誘電体基板15の上に誘電体1a〜1kを置き、誘電体基板15と誘電体1a〜1kの高さ方向の間隙を圧電アクチュエータ2a〜2kで100μm程度変えることで、放射されるビームの向きや形(ビーム幅やヌルの位置)可変するアンテナ950或いは、伝播位相を可変とする伝送線路が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−211328号公報
【特許文献2】特開2007−201571号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M. A. Antoniades, G. V. Eleftheriades, IEEE Antennas and wireless Prop. Lett., vol. 2, pp. 103-106, 2003
【非特許文献2】C. Caloz, T Itoh, IEEE MTTS-Symposium 2003, vol. 1, pp. 195-198
【非特許文献3】信学技報Vol.106,No.48,MW2006−24,pp.69−72
【非特許文献4】D. Kuylenstierna, E. Ash, A. Vorobiev, T. Itoh, S. Gevorgian, EuMC 2006, pp. 847-850
【非特許文献5】S. Lim, C. Caloz, T Itoh, IEEE Trans. MTT, vol. 53, no. 1, pp. 161-173, 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献5のようなバラクタダイオードを用いたアンテナの技術では、次の問題がある。バラクタダイオードは、周波数が数GHz以下では可変容量として動作するが、それ以上の周波数では接合容量が大きく、可変容量素子としては動作しない。したがって、非特許文献5の技術は、数GHz以上のシステムには適用できない問題がある。更に、可変できる容量は小さいため、アンテナのビームを走査できる範囲は大きくとれない。
非特許文献4及び特許文献1のような、誘電体材料の比誘電率を変化させる技術は、液晶、強誘電体、フェライトなどの比誘電率が変化する材料は、電磁波の損失が大きく、アンテナの利得が小さくなり、移相器として用いる場合に伝送損失が大きくなる。更に、温度により比誘電率が変化してしまう等の問題がある。
特許文献2のような、誘電体との距離を圧電アクチュエータで変化させる技術での課題は、例えばアンテナで±30度以上のビーム走査をしようとした場合、当該誘電体との距離は100μm程度の制御幅が必要があり、そのような変位を実現するためには圧電材料を積層する必要があり、5cm以上と非常に大きくなるという課題があった。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、簡易且つ小型の構成により伝送特性又は放射特性を大きく変化可能な高周波デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、所定の帯域において設計された高周波デバイスであって、誘電体基板と、導体から成る同一または類似の単位パターンを誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板と、ストリップ線路の近傍に配設され、回転軸を有する所定形状の回転誘電体と、所定形状の回転誘電体を回転軸を中心に所定の回転角を与える回転手段とを有し、ストリップ線路の単位パターンは、伝送線路と、伝送線路を途中で分断するギャップと、伝送線路から枝分かれするスタブとを有し、回転手段により回転誘電体を回転させることで、ストリップ線路近傍の実効誘電率を変化させて、ストリップ線路の伝送特性を制御可能としたことを特徴とする高周波デバイスである。
本発明においては、回転誘電体の回転軸の向きは、ストリップ線路の伝送方向と垂直でも水平でも良い。また本発明の高周波デバイスは、周波数によって、移相器として動作し、或いは漏れ波アンテナとして動作する。
請求項2に係る発明は、ストリップ線路は右手/左手系複合線路(CRLH線路)であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、回転誘電体の回転軸が、誘電体基板面とストリップ線路の伝送方向とに垂直な面内にあり、ストリップ線路を伝搬する高周波の移相器として作用することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、互いに伝送方向が平行となるような複数個のストリップ線路を有し、回転誘導体の回転角に対する、複数個のストリップ線路の各々の近傍の実効比誘電率が異なる関数となるようにし回転誘電体の回転により、当該複数個のストリップ線路の伝送特性を同時に、且つ別個に制御可能としたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、回転誘電体の回転軸が、誘電体基板面に垂直でストリップ線路の伝送方向を含む面内にあり、ストリップ線路を伝搬する高周波の漏れ波アンテナとして作用することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、回転誘電体は円柱状であって、回転軸は回転誘電体の中心軸と平行で且つ一致しないことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、回転誘電体のストリップ線路に相対する領域の少なくとも一部は、半径の異なる2つの円板状部の交互積層構造であって、半径の一致する円板状部の各々の組においては、中心軸が一致しており、回転軸は、一方の円板状部の組の中心軸と平行で且つ一致せず、他方の円板状部の組の中心軸と一致していることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、回転誘電体は円柱状であって、回転軸は回転誘電体の中心軸と平行でないことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、回転誘電体のストリップ線路に相対する領域の少なくとも一部は、半径の異なる2つの円板状部の交互積層構造であって、半径の一致する円板状部の組の一方においては、中心軸が一致しており、回転軸は、中心軸が一致している一方の円板状部の組の当該中心軸と一致しており、他方の円板状部の組においては、当該円板状部の全ての中心軸が回転軸と平行で且つ同一の平面上に等間隔に順に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
ギャップ部により実現される直列のキャパシタ、スタブにより実現される並列のインダクタで構成されるストリップ線路は、小形で大きな位相変化を実現できる移相器、或いは小形で大きくビーム方向を変化させるアンテナとすることができる。特にCRLH線路とすることで、位相定数βの分散特性により、その設計が容易となる。
本発明においては、そのようなストリップ線路に回転誘電体を組み合わせて、例えば機械的に回すことにより、ギャップ部、およびスタブ近傍の実効的な比誘電率やその電気長を変化させることで、ギャップ部のキャパシタンスとスタブのインダクタンス量を変化させ、周期構造体を通過する電磁波の位相を制御することができる。これにより、移相器として用いることが可能であり、且つ漏れ波アンテナとして用いる場合にはビーム方向を変化させることができる。
また、特許文献2のような平板状の誘電体をピエゾ駆動素子を用いて機械的に動かす場合に比べ、簡易な構造で変位量を大きく取れるという特徴を有する。さらに、アレーアンテナにおいてそれぞれのアンテナ素子に異なる位相差を与えてビーム走査をする場合にも、一つのモータで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1.A】本発明の具体的な第1の実施例に係る高周波デバイス100の構成を示す斜視図。
【図1.B】高周波デバイス100のyz平面に平行な断面図。
【図1.C】高周波デバイス100のzx平面に平行な断面図。
【図1.D】高周波デバイス100のCRLH線路21−1の平面図。
【図2】CRLH線路(ストリップ線路)21−1を構成するユニットUの拡大平面図。
【図3】高周波デバイス100の回転誘電体30−1の回転の様子を示す3つの断面図。
【図4】高周波デバイス100のシミュレーション結果を示すグラフ図。
【図5.A】本発明の具体的な第2の実施例に係る高周波デバイス200の構成を示す斜視図。
【図5.B】高周波デバイス200のyz平面に平行な断面図。
【図5.C】回転誘電体30−2を構成する第1の円板状部31のzx平面に平行な断面図。
【図5.D】回転誘電体30−2を構成する第2の円板状部32のzx平面に平行な断面図。
【図6】高周波デバイス200の回転誘電体30−2の回転の様子を示す3つの断面図。
【図7.A】本発明の具体的な第3の実施例に係る高周波デバイス300の構成を示す斜視図。
【図7.B】高周波デバイス300のyz平面に平行な断面図。
【図7.C】高周波デバイス300のCRLH線路21−1、21−2及び21−3の配列を示した平面図。
【図8】高周波デバイス300の回転誘電体30−3の回転の様子を示す3つの断面図。
【図9.A】本発明の具体的な第4の実施例に係る高周波デバイス400の構成を示す斜視図。
【図9.B】高周波デバイス400のyz平面に平行な断面図。
【図9.C】回転誘電体30−4を構成する第1の円板状部31のzx平面に平行な断面図。
【図9.D】回転誘電体30−4を構成する第2の円板状部33−aのzx平面に平行な断面図。
【図9.E】回転誘電体30−4を構成する第2の円板状部33−dのzx平面に平行な断面図。
【図9.F】回転誘電体30−4を構成する第2の円板状部33−gのzx平面に平行な断面図。
【図10】高周波デバイス400の回転誘電体30−4の回転の様子を示す3つの断面図。
【図11.A】本発明の具体的な第5の実施例に係る高周波デバイス500の構成を示す斜視図。
【図11.B】高周波デバイス500のzx平面に平行な断面図。
【図11.C】高周波デバイス500のCRLH線路21−5の平面図。
【図12】高周波デバイス500の回転誘電体30−5の回転の様子を示す3つの断面図。
【図13】高周波デバイス500のシミュレーション結果を示すグラフ図。
【図14.A】本発明の具体的な第6の実施例に係る高周波デバイス600の構成を示す斜視図。
【図14.B】高周波デバイス600のyz平面に平行な断面図。
【図14.C】回転誘電体30−6を構成する第1の円板状部36のzx平面に平行な断面図。
【図14.D】回転誘電体30−6を構成する第2の円板状部37のzx平面に平行な断面図。
【図15】高周波デバイス600の回転誘電体30−6の回転の様子を示す3つの断面図。
【図16】変形例に係るCRLH線路の構成を示す2つの平面図。
【図17】CRLH線路を用いた従来の漏れ波アンテナ900の構成を示す斜視図。
【図18】非特許文献3に記載された、CRLH線路の分散特性の一例を示すグラフ図。
【図19】特許文献2に記載された、従来のアンテナ950の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
回転誘電体の形状は、全くの任意である。ストリップ線路又はCRLH線路近傍以外や、回転によってはそれらストリップ線路又はCRLH線路の近傍に接近しない部分の形状は何ら限定されない。しかし、製作上の容易さから、以下に示す円柱状や楕円柱状が好ましい。或いは円柱状の誘電体に溝を形成して、回転誘電体を所望の形状に作成しても良い。
【0018】
回転誘電体の回転手段は、公知の任意の技術により実現可能である。例えば市販の電動モータを使用すれば良い。
【0019】
ストリップ線路の構成要素となる上記の単位パターンは、同一のパターンを用いてそれらを周期的に配列することが、例えば設計の容易性などの面でより望ましいが、必ずしも同一のパターンだけを用いる必要はなく、また、必ずしも周期的に配列する必要もない。したがって、例えば、ストリップ線路の構成要素となる上記の単位パターンは、伝送線路やスタブなどの各部の太さや長さなどの寸法が、揃っていなくとも良く、また、ギャップなどの間隔なども不揃いでも良い。また、誘電体基板としては、例えばフッ素樹脂などの比誘電率の小さな材料が望ましい。スタブと伝送線路との成す角度は、90度でなくとも良い。スタブは伝送線路の片側のみに設けられていても両側に設けられていても良く、両側に交互に設けられていても良い。
ストリップ線路の材質としては、印刷可能な銅を好適に用いることができる。
【0020】
以下、図を参照しながら本発明の具体例について説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各実施例においては、高周波デバイスは空気中その他の、比誘電率がほぼ1と見なせる雰囲気中で使用されるものとする。
更に以下の各実施例においては、ストリップ線路は十分に薄い導体膜で形成されるものとし、ストリップ線路と回転誘電体との最短距離は、ストリップ線路が形成された誘電体基板表面と回転誘電体との最短距離に等しいものとして説明する。
また、周波数76.5GHzにおける自由空間波長をλ0(=3.9mm)とし、各図において、このλ0を単位として各部の大きさを表記することとする。
【実施例1】
【0021】
図1.A〜図1.Dは本発明の具体的な一実施例に係る高周波デバイス100の構成を示す4つの図である。図1.Aは高周波デバイス100の斜視図、図1.Bは高周波デバイス100のyz平面に平行な断面図、図1.Cは高周波デバイス100のzx平面に平行な断面図、図1.Dは高周波デバイス100のCRLH線路(ストリップ線路)21−1の概略図(平面図)である。
【0022】
図1.A及び図1.Bに示すように、高周波デバイス100は、誘電体基板10、誘電体基板10の裏面に設けられた導体から成る接地板20、誘電体基板10の表面に設けられたCRLH線路(ストリップ線路)21−1、円柱状の誘電体から成る回転誘電体30−1、モータ40、モータの回転を回転誘電体30−1に伝達する駆動軸41、回転誘電体30−1と共に回転する駆動軸42、軸受け43から構成されている。
【0023】
図1.A及び図1.Bに示すように、誘電体基板10の表面はxy平面(水平面)に平行となっており、そこに設けられたCRLH線路(ストリップ線路)21−1の伝送方向はx軸方向である。
モータ40により回転する駆動軸41の長手方向及び軸受け43で受けられている駆動軸42の長手方向は、y軸方向に一致している。
【0024】
図1.Cに円柱状の回転誘電体30−1の中心軸CDと、回転軸CRの位置関係を示す。円柱状の回転誘電体30−1は、半径が2.6λ0の円柱状であって、その中心軸CDと平行に距離0.026λ0離れた位置に回転軸CRを有している。図1.Cの断面図における回転軸CRは、図1.A及び図1.Bの駆動軸41及び42の中心軸であり、モータ40の回転軸と一致するものである。図1.Cの断面図においては、円柱状の回転誘電体30−1の中心軸CDが、回転軸CRのz軸方向、0.026λ0上側に位置している回転状態を示している。回転軸CRと誘電体基板10の表面との距離は2.634λ0である。また、回転誘電体30−1表面と誘電体基板10の表面との最短距離は0.06λ0である。
回転誘電体30−1の直径5.2λ0は、以下で説明するCRLH線路(ストリップ線路)21−1の11個のユニットUの全長約2.6λ0の2倍程度となるようにした。
【0025】
図1.Dのように、CRLH線路(ストリップ線路)21−1は、伝送方向であるx軸方向に対してギャップGを有し、当該部分が直列キャパシタを構成する。一方、伝送方向に垂直なy軸方向に延びたスタブ24とスタブ端のパッチPを有し、当該部分が並列インダクタを構成する。
図2は、CRLH線路(ストリップ線路)21−1を構成するユニットUの拡大平面図である。CRLH線路(ストリップ線路)21−1を構成するユニットUは、伝送方向とその垂直方向を各々対称軸とする対称な平面図となっている。
図2では、周波数76.5GHzにおける自由空間波長をλ0(=3.9mm)を単位として、例えば長さ0.26λ0を、単に0.26として示している。
CRLH線路(ストリップ線路)21−1を構成するユニットUは、0.26λ0ピッチで配置されており、隣合うユニットとの間隔であるギャップGは0.03λ0である。y軸方向の幅が0.03λ0、x軸方向の長さ0.23λ0の伝送線路部TLを形成している。一方、ギャップG形成部のy軸方向の幅を0.12λ0とするために4つの延設部Eを有している。延設部Eのx軸方向の幅は0.03λ0である。
また、伝送線路部TLの上辺中央部から上方向(y軸の正方向)に、また、下辺中央部から下方向(y軸の負方向)に、x軸方向の幅0.03λ0、y軸方向の長さ0.08λ0のスタブ24と、更にその先(スタブ24端)に、x軸方向の幅0.08λ0、y軸方向の長さ0.12λ0のパッチPを有している。
図1.Cに示した通り、図2のユニットUを11個、x軸方向に並べて設け、更にその両端のギャップGをキャパシタとして、CRLH線路(ストリップ線路)21−1が構成されている。
【0026】
図3.A乃至図3.Cにより、実施例1の高周波デバイス100の回転誘電体30−1の回転の様子を示す。図3.A乃至図3.Cは、図1.Bと同じ位置での高周波デバイス100の断面図であって、各々所定の回転角θでの様子を示したものである。本構造は周波数によって、移相器として動作し、或いは漏れ波アンテナとして動作するが、ここでは移相器として動作させた場合について説明する。
図3.Aは、図1.Cに対応し、円柱状の回転誘電体30−1の中心軸CDが、回転軸CRのz軸方向、0.026λ0上側に位置している回転状態を示している。この場合、図1.Cで示した通り、回転誘電体30−1と誘電体基板10の表面との最短距離は0.06λ0である。
図3.Bは、モータ40により図3.Aからθ=90度の回転が生じた場合を示している。この時、円柱状の回転誘電体30−1の中心軸CDは、回転軸CRからx軸方向へ0.026λ0に位置している。この場合、容易に理解できる通り、回転誘電体30−1と誘電体基板10の表面との最短距離は0.034λ0である。
図3.Cは、モータ40により図3.Bから更に90度回転させ、θ=180度の回転が生じた場合を示している。この時、円柱状の回転誘電体30−1の中心軸CDが、回転軸CRのz軸方向と逆側(下側)の0.026λ0に位置している。この場合、容易に理解できる通り、回転誘電体30−1と誘電体基板10の表面との最短距離は0.008λ0である。
そこで、図3.BにおけるCRLH線路(ストリップ線路)21−1の伝送位相を基準とすると、図3.Aにおける伝送位相を+φ、図3.Cにおける伝送位相を−φとおけるものと期待できる。これは、比誘電率が1である雰囲気中で、比誘電率が例えば3以上の回転誘電体30−1表面と誘電体基板10の表面との最短距離、即ち回転誘電体30−1と、誘電体基板10の表面に設けられたCRLH線路(ストリップ線路)21−1との最短距離が変化することで、CRLH線路(ストリップ線路)21−1近傍の実効比誘電率が変化し、CRLH線路(ストリップ線路)21−1内部の電気長を変化させることで、キャパシタンスとインダクタンス量を変化させ、周期構造体であるユニットUを通過する電磁波の位相を制御することができるからである。
即ち、図1の高周波デバイス100は、CRLH線路(ストリップ線路)21−1の伝送位相が図3.Aにおける伝送位相+φから図3.Cにおける伝送位相−φまで連続的に滑らかに制御できることが期待できる。
【0027】
上記をシミュレーションにより確かめた。結果を図4に示す。
回転誘電体30−1の比誘電率を3.4とし、駆動軸41及び42は回転誘電体30−1内部には存在しないものとして、その影響を無視した。周波数83.5GHzにおいて、2φ=185度の位相変化を確認できた。即ち、図1の高周波デバイス100は、回転誘電体30−1を図3.Aの状態から図3.Cの状態までの180度回転させることで、CRLH線路(ストリップ線路)21−1の伝送位相を図3.Aにおける伝送位相から図3.Cにおける伝送位相までの幅185度、連続的且つ滑らかに制御できることが確認できた。即ち図1の高周波デバイス100は、移相器として使用可能である。
また、回転誘導体30−1は、回転軸CRにおける回転により、z軸方向の上下動が、最大0.052λ0であるので、図1の高周波デバイス100は、移相器として作動させる際のスペースに大きな余裕を確保する必要が無い。
【0028】
上記の移相量については、回転誘電体30−1の比誘電率や、その位置、軸のオフセット量により制御することが可能である。なお、別の構成例として、円柱状の誘電体棒の軸をオフセットせずに、その代わりに楕円柱状の誘電体棒を用いて同様の効果を得る方法も考えられる。例えば回転誘電体を楕円柱とし、長手方向の垂直断面である楕円の2つの焦点の中点を回転軸とすれば、断面の楕円の短軸方向から長軸方向までの最小90度の回転で上記と同様な効果を導くことができる。
【実施例2】
【0029】
図5.A〜図5.Dは、本発明の具体的な第2の実施例に係る高周波デバイス200の構成を示す4つの図である。図5.Aは高周波デバイス200の斜視図、図5.Bは高周波デバイス200のyz平面に平行な断面図、図5.Cは回転誘電体30−2を構成する第1の円板状部31(31−a乃至h)のzx平面に平行な断面図、図5.Dは回転誘電体30−2を構成する第2の円板状部32(32−a乃至g)のzx平面に平行な断面図である。
【0030】
図5.A及び図5.Bの高周波デバイス200は、図1の高周波デバイス100の回転誘電体30−1を、半径の異なる2つの円板状部31及び32の交互積層構造から成る回転誘電体30−2に置き換えたものであり、他の構成は同一である。
【0031】
図5.A及び図5.Bの高周波デバイス200の回転誘電体30−2は、8個の第1の円板状部31(31−a乃至h)と7個の第2の円板状部32(32−a乃至g)とを交互に積層した構造を有する。
図5.Cに示す通り、第1の円板状部31は、半径が2.6λ0であり、図示しない厚さが0.1λ0である。第1の円板状部31の中心軸CD1は、回転軸CRと一致している。
図5.Dに示す通り、第2の円板状部32は、半径が2.495λ0であり、図示しない厚さが0.1λ0である。第2の円板状部32の中心軸CD2は、回転軸CRと平行であるが一致しておらず、その距離は0.095λ0である。
図5.Dでは、破線で、図5.Cの第1の円板状部31の外周を重ねて示した。この際、回転軸CRを一致させるようにした。第1の円板状部31と第2の円板状部32とは、回転軸CRから各々の外周までの距離の差異が0.01λ0から0.2λ0まで連続的に変化することがわかる。
図5.Bの高周波デバイス200の回転誘電体30−2は、例えば円柱状の誘電体に7箇所の溝、但しその深さが連続的に変化する溝を形成することで製造することができる。
【0032】
図5.A及び図5.Bの高周波デバイス200について、回転誘電体30−2を回転させた状態を図6.A乃至図6.Cに示す。尚、8個の第1の円板状部31の中心軸CD1は、回転軸CRと常に一致する。このため、回転誘電体30−2を回転させても、誘電体基板10の表面と8個の第1の円板状部31の外周との最短距離は変化しない。
図6.Aは、7個の第2の円板状部32の中心軸CD2が、回転軸CRのz軸方向上側0.095λ0の位置にある場合である。この場合、CRLH線路(ストリップ線路)21−1の近傍にある第1の円板状部31−d及びeと第2の円板状部32−dにより形成される実効比誘電率を考えると、例えば第2の円板状部32が全て第1の円板状部31に置き換わった、円柱状の回転誘電体の場合と比較して、実効比誘電率が小さくなることは明らかである。
図6.Bは、7個の第2の円板状部32の中心軸CD2が、回転軸CRのx軸方向0.095λ0の位置にある場合である。この場合、CRLH線路(ストリップ線路)21−1の近傍にある第1の円板状部31−d及びeと第2の円板状部32−dにより形成される実効比誘電率は、図6.Aの場合の実効比誘電率よりも大きくなる。
図6.Cは図6.Aとは全く逆の場合で、7個の第2の円板状部32の中心軸CD2が、回転軸CRのz軸方向下側0.095λ0の位置にある場合である。この場合、CRLH線路(ストリップ線路)21−1の近傍にある第1の円板状部31−d及びeと第2の円板状部32−dにより形成される実効比誘電率は、図6.Bの場合の実効比誘電率よりも大きくなる。
そこで、図6.BにおけるCRLH線路(ストリップ線路)21−1の伝送位相を基準とすると、図6.Aにおける伝送位相を+φ、図6.Cにおける伝送位相を−φとおける。即ち、図6の高周波デバイス200は、図1の高周波デバイス100と同様に、CRLH線路(ストリップ線路)21−1の伝送位相が図6.Aにおける伝送位相+φから図6.Cにおける伝送位相−φまで連続的に滑らかに制御できることが理解できる。
実施例2では、半径の異なる2つの円板状部の厚さをいずれも0.1λ0とし、第2の円板状部32−dの影響のみを考えたが、図2のようにy軸方向に延びた、インダクタを形成するスタブ24やパッチP、或いはキャパシタを形成する延設部Eへの例えば第1の円板状部31−d及びe或いはその外側の第2の円板状部32−c及びeの影響は、最終的には位相量として決定されるので、上記議論に影響しない。
【実施例3】
【0033】
図7.A〜図7.Cは、本発明の具体的な第3の実施例に係る高周波デバイス300の構成を示す3つの図である。図7.Aは高周波デバイス300の斜視図、図7.Bは高周波デバイス300のyz平面に平行な断面図、図7.Cは、誘電体基板10の表面に形成された3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−1、21−2及び21−3の配列を示した平面図である。
【0034】
図7.A及び図7.Bの高周波デバイス300は、誘電体基板10の表面に形成されたCRLH線路(ストリップ線路)が3つあることと、円柱状の回転誘電体30−3の回転軸CRの位置に大きな特徴が有る。
まず、図7.Cに示す通り、3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−1、21−2及び21−3は、図1の高周波デバイス100のCRLH線路(ストリップ線路)21−1と同様に、x軸方向に給電されて各々例えばアンテナに接続される。この際、3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−1及び21−2の間隔、並びに21−2及び21−3の間隔は等しい。
【0035】
また、図7.Bに示す通り、円柱状の回転誘電体30−3は、その中心軸CDと、回転軸CRが、円柱状の回転誘電体30−3の重心3Gで交わっている。また、その重心3G直下に、CRLH線路(ストリップ線路)21−2が配置されている。円柱状の回転誘電体30−3の中心軸CDと、回転軸CRとの成す角は1度以下であるとする。図7.Bにおいて、3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−1、21−2及び21−3のそれぞれのx軸に平行な対称軸から円柱状の回転誘電体30−3の表面へのz軸に平行な距離を、h1、h2、h3とおくと、h1>h2>h3、且つh1−h2=h2−h3と見なせる。
【0036】
図8.A乃至図8.Cにより、回転誘電体30−3の回転の様子を示す。図8.A乃至図8.Cは、図7.Bと同じ位置での高周波デバイス300の断面図であって、各々所定の回転角θでの様子を示したものである。
図8.Aは、図7.Bに対応し、3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−1、21−2及び21−3のそれぞれのx軸に平行な対称軸から円柱状の回転誘電体30−3の表面へのz軸に平行な距離が、h1、h2、h3である場合である。図2で検討した図1.Aの高周波デバイス100と同様に、回転誘電体30−3へのz軸に平行な距離が最も長いCRLH線路(ストリップ線路)21−1の伝送位相を+φ、回転誘電体30−3へのz軸に平行な距離が最も短いCRLH線路(ストリップ線路)21−3の伝送位相を−φ、z軸に平行な距離がそれらの中央値であるCRLH線路(ストリップ線路)21−2の伝送位相を0とおくことができる。
図8.Bは、図8.Aから回転誘電体30−3を回転軸CRにおいて90度回転させた場合である。円柱状の回転誘電体30−3の中心軸CDは、回転軸CRを含むxy平面に平行な平面上に位置する。中心軸CDと回転軸CRの成す角は1度以下であるので、3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−1、21−2及び21−3のそれぞれのx軸に平行な対称軸と円柱状の回転誘電体30−3の表面へのz軸に平行な距離はh2に等しくなる。この際、CRLH線路(ストリップ線路)21−1、21−2及び21−3の伝送位相を全て0とおくことができる。
図8.Cは、図8.Bから回転誘電体30−3を回転軸CRにおいて更に90度回転させた場合である。図8.Cにおいて、円柱状の回転誘電体30−3の中心軸CDは、回転軸CRと成す角が図8.Aとは正負逆転する。回転誘電体30−3へのz軸に平行な距離が最も長いh1であるCRLH線路(ストリップ線路)21−3の伝送位相が+φ、回転誘電体30−3へのz軸に平行な距離が最も短いh3であるCRLH線路(ストリップ線路)21−1の伝送位相を−φ、z軸に平行な距離がそれらの中央値であるCRLH線路(ストリップ線路)21−2の伝送位相を0とおくことができる。
【0037】
このように、図3の高周波デバイス300は、CRLH線路(ストリップ線路)21−1、21−2及び21−3の伝送位相を、同時に且つ異なる位相として滑らかに制御することができる。この場合、CRLH線路(ストリップ線路)21−2の伝送位相を変化させず、かつそれを基準として、CRLH線路(ストリップ線路)21−1及び21−3の伝送位相を逆位相とできる。
この移相器により3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−1、21−2及び21−3の伝送位相を制御すれば、接続される各アンテナの出力位相を制御できるので、垂直方向からビームを走査する方法として用いることができる。即ち、位相差φと各CRLH線路の伝送路長により求まる角度だけ、3つのアンテナにより形成されるビームをチルトすることができる。
【実施例4】
【0038】
半径の異なる2つの円板状部の交互積層構造により、実施例3と同様の効果を奏する高周波デバイスを提供できる。これを図9.A〜図9.Fに示す。
図9.A〜図9.Fは、本発明の具体的な第4の実施例に係る高周波デバイス400の構成を示す6つの図である。図9.Aは高周波デバイス400の斜視図、図9.Bは高周波デバイス400のyz平面に平行な断面図、図9.Cは回転誘電体30−4を構成する第1の円板状部31のzx平面に平行な断面図、図9.Dは回転誘電体30−4を構成する第2の円板状部33−aのzx平面に平行な断面図、図9.Eは回転誘電体30−4を構成する第2の円板状部33−dのzx平面に平行な断面図、図9.Fは回転誘電体30−4を構成する第2の円板状部33−gのzx平面に平行な断面図である。
【0039】
図9.A及び図9.Bの高周波デバイス400は、図7の高周波デバイス300の回転誘電体30−3を、半径の異なる2つの円板状部31及び33の交互積層構造から成る回転誘電体30−4に置き換えたものであり、他の構成は同一である。
【0040】
図9.A及び図9.Bの高周波デバイス400の回転誘電体30−4は、8個の第1の円板状部31(31−a乃至h)と7個の第2の円板状部33(33−a乃至g)とを交互に積層した構造を有する。
図9.Cに示す第1の円板状部31は、図5.Cに示した第1の円板状部31と類似の構成である。即ち、半径がr1であり、図示しない厚さがsである。第1の円板状部31の中心軸CD1は、回転軸CRと一致している。
7個の第2の円板状部33は、図5.Dに示した第2の円板状部32と類似の円板状部であるが、7個の第2の円板状部33の回転軸CRの位置が、全て互いに異なる点が異なる。7個の第2の円板状部33−a乃至33−gのうち、3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−3、21−2及び21−1に最も近い、3つの第2の円板状部33−a、33−d及び33−gについて、図9.D乃至図9.Fに示す。
【0041】
図9.Dに示す通り、第2の円板状部33−aは、半径がr2であり、図示しない厚さが第1の円板状部31と同じsである。第2の円板状部33−aの中心軸CDaは、回転軸CRと平行であるが一致しておらず、その距離は3pである。図9.Dに、破線で第1の円板状部31を回転軸CRが一致するように重ねて示すと、第1の円板状部31と第2の円板状部33−aは、回転軸CRから各々の外周までの距離の差異が、最大d1、最小d2で滑らかに変化していることがわかる。ここで、d1=r1−r2+3p、d2=r1−r2−3pであり、r1−r2=(d1+d2)/2である。
図9.Eに示す通り、第2の円板状部33−dは、半径がr2であり、図示しない厚さがsである。第2の円板状部33−aの中心軸CDdは回転軸CRと一致している。図9.Eに、破線で第1の円板状部31を回転軸CRが一致するように重ねて示すと、第1の円板状部31と第2の円板状部33−dは、回転軸CRから各々の外周までの距離の差異がr1−r2で一定であることがわかる。
図9.Fに示す通り、第2の円板状部33−gは、半径がr2であり、図示しない厚さが第1の円板状部31と同じsである。第2の円板状部33−gの中心軸CDgは、回転軸CRと平行であるが一致しておらず、その距離は3pである。図9.Fに、破線で第1の円板状部31を回転軸CRが一致するように重ねて示すと、第1の円板状部31と第2の円板状部33−gは、回転軸CRから各々の外周までの距離の差異が、図9.Dの第2の円板状部33−aの場合と同様に最大d1、最小d2で滑らかに変化していることがわかる。
【0042】
図示しなかった第2の円板状部33−b、c、e及びfも全て半径がr2であり、厚さがsである。各々の中心軸CDb、CDc、CDe及びCDfは、回転軸CRと平行であるが一致しておらず、その距離は各々、2p、p、p、2pである。
【0043】
このような8個の第1の円板状部31−a乃至hと、7個の第2の円板状部33−a乃至gを交互に積層した回転誘電体30−4は図9.Bのような構成である。
即ち、8個の第1の円板状部31−a乃至hは、その中心軸CD1が回転軸CRと一致している。7個の第2の円板状部33−a乃至gは、その中心軸CDa乃至CDgが回転軸CRと距離3p、2p、p、0、p、2p、3p離れているので、7個の第2の円板状部33−a乃至gを、その中心軸CDa乃至CDgをこの順に、間隔pずつで同一平面上に配置させるように回転誘電体30−4は形作られている。
図9.Bのように、第1の円板状部31−a乃至hの表面と誘電体基板10の最短距離をhとおく。
図9.Bの高周波デバイス400の回転誘電体30−4は、例えば円柱状の誘電体に7箇所の溝、但しその深さが連続的に変化する溝を形成することで製造することができる。
【0044】
図9.A及び図9.Bの高周波デバイス400について、回転誘電体30−4を回転させた状態を図10.A乃至図10.Cに示す。尚、8個の第1の円板状部31(31−a乃至h)の中心軸CD1は、回転軸CRと常に一致する。このため、回転誘電体30−4を回転させても、誘電体基板10の表面と8個の第1の円板状部31(31−a乃至h)の外周との最短距離hは変化しない。
図10.Aは、3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−3、21−2及び21−1に最も近い、3つの第2の円板状部33−a、33−d及び33−gの配置が、各々CRLH線路(ストリップ線路)21−3、21−2及び21−1との最短距離がh+d2、h+r1−r2=h+(d1+d2)/2、h+d1である場合を示している。この場合は、2つの第2の円板状部33−a及び33−gの各々の中心軸CDa、CDgが、各々回転軸CRのz軸方向下側3p及び上側3pに位置している場合である。
今までの議論と同様に、各CRLH線路(ストリップ線路)の近傍の実効比誘電率を考慮すれば、CRLH線路(ストリップ線路)21−2の位相を基準0として、CRLH線路(ストリップ線路)21−1及び21−3の位相を+φ及び−φとおくことができる。
図10.Bは、図10.Aから回転誘電体30−4を90度回転させた図であり、3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−3、21−2及び21−1に最も近い、3つの第2の円板状部33−a、33−d及び33−gの配置が、各々CRLH線路(ストリップ線路)21−3、21−2及び21−1との最短距離が全てh+r1−r2=h+(d1+d2)/2である場合を示している。この場合は、2つの第2の円板状部33−a及び33−gの各々の中心軸CDa、CDgが、各々回転軸CRと同じ水平面に位置している場合である。
今までの議論と同様に、各CRLH線路(ストリップ線路)の近傍の実効比誘電率を考慮すれば、CRLH線路(ストリップ線路)21−2の位相を基準0として、CRLH線路(ストリップ線路)21−1及び21−3の位相は共に0となる。
図10.Cは、3つのCRLH線路(ストリップ線路)21−3、21−2及び21−1に最も近い、3つの第2の円板状部33−a、33−d及び33−gの配置が、各々CRLH線路(ストリップ線路)21−3、21−2及び21−1との最短距離がh+d1、h+r1−r2=h+(d1+d2)/2、h+d2である場合を示している。この場合は、2つの第2の円板状部33−a及び33−gの各々の中心軸CDa、CDgが、各々回転軸CRのz軸方向上側3p及び下側3pに位置している場合である。
今までの議論と同様に、各CRLH線路(ストリップ線路)の近傍の実効比誘電率を考慮すれば、CRLH線路(ストリップ線路)21−2の位相を基準0として、CRLH線路(ストリップ線路)21−1及び21−3の位相は−φ及び+φとなる。
【0045】
実施例4の高周波デバイス400も、実施例3の高周波デバイス300同様に、3つのアンテナからの出力により形成されるビームの傾斜角度を制御できることがわかる。
【実施例5】
【0046】
次に、ビーム角度を傾斜させる漏れ波アンテナとしての本発明の実施例を示す。
図11.A〜図11.Cは、本発明の具体的な第5の実施例に係る高周波デバイス500の構成を示す3つの図である。図11.Aは高周波デバイス500の斜視図、図11.Bは高周波デバイス100のzx平面に平行な断面図、図11.Cは高周波デバイス100のCRLH線路(ストリップ線路)21−5の概略図(平面図)である。
【0047】
図11.A及び図11.Bに示すように、高周波デバイス500は、誘電体基板10、誘電体基板10の裏面に設けられた導体から成る接地板20、誘電体基板10の表面に設けられたCRLH線路(ストリップ線路)21−5、円柱状の誘電体から成る回転誘電体30−5、モータ40、モータの回転を回転誘電体30−5に伝達する駆動軸41、回転誘電体30−5と共に回転する駆動軸42、軸受け43から構成されている。このうち、誘電体基板10の表面に設けられたCRLH線路(ストリップ線路)21−5は、図11.Aでは簡略して単に矩形形状で示した。
【0048】
図11.A及び図11.Bに示すように、誘電体基板10の表面はxy平面(水平面)に平行となっており、そこに設けられたCRLH線路(ストリップ線路)21−5の伝送方向はy軸の負方向である。
モータ40により回転する駆動軸41の長手方向及び軸受け43で受けられている駆動軸42の長手方向は、y軸方向に一致している。
【0049】
図11.Bに円柱状の回転誘電体30−5の中心軸CDと、回転軸CRの位置関係を示す。円柱状の回転誘電体30−5は、半径が0.38λ0の円柱状であって、その中心軸CDと平行で距離0.026λ0離れた位置に回転軸CRを有している。図1.Cの断面図における回転軸CRは、図11.Aの駆動軸41及び42の中心軸であり、モータ40の回転軸と一致するものである。図11.Bの断面図においては、円柱状の回転誘電体30−5の中心軸CDが、回転軸CRのz軸方向、0.026λ0上側に位置している回転状態を示している。回転軸CRと誘電体基板10の表面との距離は0.414λ0である。また、回転誘電体30−5と誘電体基板10の表面との最短距離は0.06λ0である。
回転誘電体30−5の直径0.76λ0は、CRLH線路(ストリップ線路)21−5がほぼ隠れる程度の太さとして決定した。尚、CRLH線路(ストリップ線路)21−5は図2と同様のユニットを11ユニットの周期構造で構成したものであるが、伝送方向は上述の通りy軸の負方向である。
【0050】
図12.A乃至図12.Cにより、回転誘電体30−5の回転の様子を示す。図12.A乃至図12.Cは、図11.Bと同じ位置での高周波デバイス500の断面図であって、各々所定の回転角θでの様子を示したものである。
図12.Aは、図11.Bに対応し、円柱状の回転誘電体の中心軸CDが、回転軸CRのz軸方向、0.026λ0上側に位置している回転状態を示している。この場合、図11.Bで示した通り、回転誘電体30−5と誘電体基板10の表面との最短距離は0.06λ0である。
図12.Bは、モータ40により図12.Aからθ=90度の回転が生じた場合を示している。この時、円柱状の回転誘電体30−5の中心軸CDが、回転軸CRのx軸方向に0.026λ0の距離に位置している。この場合、容易に理解できる通り、回転誘電体30−5と誘電体基板10の表面との最短距離は0.034λ0である。
図12.Cは、モータ40により図12.Bから更に90度回転させ、θ=180度の回転が生じた場合を示している。この時、円柱状の回転誘電体30−5の中心軸CDが、回転軸CRのz軸方向と逆側(下側)の0.026λ0に位置している。この場合、容易に理解できる通り、回転誘電体30−5と誘電体基板10の表面との最短距離は0.008λ0である。
そこで、図12.Bの状態での漏れ波アンテナとして動作している高周波デバイス500からのビームを基準とすると、図12.Aの状態での漏れ波アンテナである高周波デバイス500からのビームと、図12.Cの状態での漏れ波アンテナである高周波デバイス500からのビームが、各々逆側に傾斜することが期待できる。即ち、図11の漏れ波アンテナである高周波デバイス500は、図12.Aにおけるビーム傾斜角から図12.Cにおけるビーム傾斜角まで連続的に滑らかに制御できることが期待できる。
【0051】
上記をシミュレーションにより確かめた。結果を図13に示す。
回転誘電体30−5の比誘電率を3.4とし、駆動軸41及び42は回転誘電体30−5内部には存在しないものとして、その影響を無視した。周波数76.5GHzにおいて、図12.Bの状態での漏れ波アンテナのビームをz方向(角度0)とし、図12.Aにおけるビーム傾斜角30度、図12.Cにおけるビーム傾斜角−30度を実現できた。ここで、CRLH線路(ストリップ線路)21−5の伝送方向はy軸の負方向であるので、y軸の正方向に傾く図12.Aの+30度は、Backward方向であって、CRLH線路(ストリップ線路)21−5の左手系の動作をしたものと言える。また、y軸の負方向に傾く図12.Cの−30度は、Forward方向であって、CRLH線路(ストリップ線路)21−5の右手系の動作をしたものと言える。
即ち、図11の高周波デバイス500は、回転誘電体30−5を図12.Aの状態から図12.Cの状態までの180度回転させることで、ビームの傾斜角が図12.AにおけるBackward方向30度から図12.CにおけるForward方向30度まで、連続的且つ滑らかに制御できることが確認できた。角度範囲は正確には57度である。
また、回転誘導体30−5は、回転軸CRにおける回転により、z軸方向の上下動が、最大0.052λ0であるので、図5の高周波デバイス500は、指向性アンテナとして作動させる際のスペースに大きな余裕を確保する必要がない。
【0052】
上記のビームの傾斜角については、回転誘電体30−5の比誘電率や、その位置、軸のオフセット量により制御することが可能である。なお、別の構成例として、円柱状の誘電体棒の軸をオフセットせずに、その代わりに楕円柱状の誘電体棒を用いて同様の効果を得る方法も考えられる。例えば回転誘電体を楕円柱とし、長手方向の垂直断面である楕円の2つの焦点の中点を回転軸とすれば、断面の楕円の短軸方向から長軸方向までの最小90度の回転で上記と同様な効果を導くことができる。
【0053】
上記実施例では、回転誘電体30−5と誘電体基板10の距離がy軸方向に変化しない場合を述べたが、この距離が軸方向で変化するような回転誘電体を用いても良い。これにより、CRLH線路上の電流分布を細かく制御することができ、ビームの方向に加えて、ビーム幅やヌルの角度を制御することも可能となる。
【実施例6】
【0054】
実施例5の円柱状の回転誘電体30−5を、半径の異なる2つの円板状部36及び37の交互積層構造から成る回転誘電体30−6に置き換えた実施例を次に示す。
図14.A〜図14.Dは、本発明の具体的な第6の実施例に係る高周波デバイス600の構成を示す4つの図である。図14.Aは高周波デバイス600の斜視図、図14.Bは高周波デバイス600のyz平面に平行な断面図、図14.Cは回転誘電体30−6を構成する第1の円板状部36(36−a乃至p)のzx平面に平行な断面図、図14.Dは回転誘電体30−6を構成する第2の円板状部37(37−a乃至o)のzx平面に平行な断面図である。
【0055】
図14.A及び図14.Bの高周波デバイス200は、図11の高周波デバイス500の回転誘電体30−5を、半径の異なる2つの円板状部36及び37の交互積層構造から成る回転誘電体30−6に置き換えたものであり、他の構成は同一である。
【0056】
図14.A及び図14.Bの高周波デバイス600の回転誘電体30−6は、16個の第1の円板状部36(36−a乃至p)と15個の第2の円板状部37(37−a乃至o)とを交互に積層した構造を有する。
図14.Cに示す通り、第1の円板状部36は、半径が0.26λ0であり、図14.Bに示すとおり厚さが0.1λ0である。第1の円板状部36の中心軸CD1は、回転軸CRと一致している。
図14.Dに示す通り、第2の円板状部37は、半径が0.155λ0であり、図14.Bに示すとおり厚さが0.1λ0である。第2の円板状部37の中心軸CD7は、回転軸CRと平行であるが一致しておらず、その距離は0.095λ0である。
図14.Dでは、破線で、図14.Cの第1の円板状部36の外周を重ねて示した。この際、回転軸CRを一致させるようにした。第1の円板状部36と第2の円板状部37とは、回転軸CRから各々の外周までの距離の差異が0.01λ0から0.2λ0まで連続的に変化することがわかる。
図14.Bの高周波デバイス600の回転誘電体30−6は、例えば円柱状の誘電体に15箇所の溝、但しその深さが連続的に変化する溝を形成することで製造することができる。
【0057】
図14.A及び図14.Bの高周波デバイス600について、回転誘電体30−6を回転させた状態を図15.A乃至図15.Cに示す。尚、16個の第1の円板状部36の中心軸CD1は、回転軸CRと常に一致する。このため、回転誘電体30−6を回転させても、誘電体基板10の表面と16個の第1の円板状部36の外周との最短距離は変化しない。
図15.Aは、15個の第2の円板状部37の中心軸CD7が、回転軸CRのz軸方向上側0.095λ0の位置にある場合である。この場合、CRLH線路(ストリップ線路)21−5の近傍にある第1の円板状部36−a乃至pと第2の円板状部37−a乃至oにより形成される実効比誘電率を考えると、例えば第2の円板状部36が全て第1の円板状部37に置き換わった、円柱状の回転誘電体の場合と比較して、実効比誘電率が小さくなることは明らかである。
図15.Bは、15個の第2の円板状部37の中心軸CD7が、回転軸CRのx軸方向0.095λ0の位置にある場合である。この場合、CRLH線路(ストリップ線路)21−5の近傍にある第1の円板状部36−a乃至pと第2の円板状部37−a乃至oにより形成される実効比誘電率は、図15.Aの場合の実効比誘電率よりも大きくなる。
図15.Cは図15.Aとは全く逆の場合で、15個の第2の円板状部37の中心軸CD7が、回転軸CRのz軸方向下側0.095λ0の位置にある場合である。この場合、CRLH線路(ストリップ線路)21−5の近傍にある第1の円板状部36−a乃至pと第2の円板状部37−a乃至oにより形成される実効比誘電率は、図15.Bの場合の実効比誘電率よりも大きくなる。
そこで、図15.Bの状態での漏れ波アンテナである高周波デバイス600からのビームを基準とすると、図15.Aの状態での漏れ波アンテナである高周波デバイス600からのビームと、図15.Cの状態での漏れ波アンテナである高周波デバイス600からのビームが、各々逆側に傾斜することが期待できる。即ち、図14の漏れ波アンテナである高周波デバイス600は、図15.Aにおけるビーム傾斜角から図15.Cにおけるビーム傾斜角まで連続的に滑らかに制御できることがわかるきる。
【0058】
実施例6の構成で、回転軸CRを、更に16個の第1の円板状部36の中心軸CD1からもずらした場合、実効比誘電率の変化量を大きくすることができ、ビームの操作角度範囲を更に拡大することができる。
【0059】
実施例2、4及び6では回転誘電体を構成する各円板状部の厚さを、規格化波長λ0に対して1/10、即ち0.1λ0としたが、各円板状部の厚さは0.2λ0以下であれば良い。好ましくは0.1λ0以下である。
回転誘電体を回転させた場合に、伝送線路との最小距離は、0.04λ0以下とする必要がある。より好ましくは0.01λ0以下である。但し、0.001λ0未満とすることは実際のデバイスの組立を困難とするので好ましくない。
半径の異なる円板状部を用いる場合、中心軸が回転軸と一致しない円板状部と、中心軸が回転軸と一致する円板状部の、外周部における距離、即ち例えば図9.D及び図9.Fにおけるd1及びd2については、中心軸が回転軸と一致する円板状部の半径r1との比において設計する。d1を大きくしd2を小さくするほど、実施例4においてはストリップ線路(CRLH線路)21−1、21−2、21−3の最大位相差を大きくできる。中心軸が回転軸と一致する円板状部の半径r1は、適用する高周波の回転誘電体における管内波長の0.4倍以上とすると必要がある。また、d1は中心軸が回転軸と一致する円板状部半径r1の0.8倍以上が好ましい。また、d2は半径r1の0.05倍以下が好ましく、0でもかまわない。
【0060】
キャパシタとインダクタで構成されるCRLHの変形例としては、図16.Aのようにインダクタ(スタブ24)の終端部に幅を広げたパッチ構造のないものや、図16.Bのようにキャパシタとして、インターデジタルキャパシタig−Cを用いるものも使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
高周波小型アンテナとして、或いはフェーズドアレーアンテナの移相器として用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
10:誘電体基板
20:誘電体基板10の裏面に形成された導体からなる接地板
21−1、21−2、、21−3、21−5:ストリップ線路(CRLH線路)
24:CRLH線路を構成するスタブ
P:CRLH線路を構成するスタブ端のパッチ
G:CRLH線路を構成するギャップ
30−1、30−2、30−3、30−4、30−5、30−6:回転誘電体
31、36:回転誘電体を構成する第1の円板状部
32、33、37:回転誘電体を構成する第2の円板状部
40:モータ(回転手段)
41、42:回転軸たる駆動軸
43:軸受け
D:回転誘電体の中心軸
D1、CD2、CD7:回転誘電体を構成する円板状部の中心軸
R:回転誘電体の回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の帯域において設計された高周波デバイスであって、
誘電体基板と、
導体から成る同一または類似の単位パターンを前記誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、
前記誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板と、
前記ストリップ線路の近傍に配設され、回転軸を有する所定形状の回転誘電体と、
前記所定形状の回転誘電体を前記回転軸を中心に所定の回転角を与える回転手段とを有し、
前記ストリップ線路の前記単位パターンは、伝送線路と、前記伝送線路を途中で分断するギャップと、前記伝送線路から枝分かれするスタブとを有し、
前記回転手段により前記回転誘電体を回転させることで、前記ストリップ線路の近傍の実効誘電率を変化させて、前記ストリップ線路の伝送特性を制御可能としたことを特徴とする高周波デバイス。
【請求項2】
前記ストリップ線路は右手/左手系複合線路であることを特徴とする請求項1に記載の高周波デバイス。
【請求項3】
前記回転誘電体の前記回転軸が、前記誘電体基板面と前記ストリップ線路の伝送方向とに垂直な面内にあり、
前記ストリップ線路を伝搬する高周波の移相器として作用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高周波デバイス。
【請求項4】
互いに伝送方向が平行となるような複数個の前記ストリップ線路を有し、
前記回転誘導体の回転角に対する、前記複数個の前記ストリップ線路の各々の近傍の実効比誘電率が異なる関数となるようにし、
前記回転誘電体の回転により、当該複数個の前記ストリップ線路の伝送特性を同時に、且つ別個に制御可能としたことを特徴とする請求項3に記載の高周波デバイス。
【請求項5】
前記回転誘電体の前記回転軸が、前記誘電体基板面に垂直で前記ストリップ線路の伝送方向を含む面内にあり、
前記ストリップ線路を伝搬する高周波の漏れ波アンテナとして作用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高周波デバイス。
【請求項6】
前記回転誘電体は円柱状であって、前記回転軸は前記回転誘電体の中心軸と平行で且つ一致しないことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の高周波デバイス。
【請求項7】
前記回転誘電体の前記ストリップ線路に相対する領域の少なくとも一部は、半径の異なる2つの円板状部の交互積層構造であって、
半径の一致する円板状部の各々の組においては、中心軸が一致しており、
前記回転軸は、一方の円板状部の組の中心軸と平行で且つ一致せず、他方の円板状部の組の中心軸と一致していることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の高周波デバイス。
【請求項8】
前記回転誘電体は円柱状であって、前記回転軸は前記回転誘電体の中心軸と平行でないことを特徴とする請求項4に記載の高周波デバイス。
【請求項9】
前記回転誘電体の前記ストリップ線路に相対する領域の少なくとも一部は、半径の異なる2つの円板状部の交互積層構造であって、
半径の一致する円板状部の組の一方においては、中心軸が一致しており、前記回転軸は、中心軸が一致している一方の円板状部の組の当該中心軸と一致しており、
他方の円板状部の組においては、当該円板状部の全ての中心軸が前記回転軸と平行で且つ同一の平面上に等間隔に順に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の高周波デバイス。

【図1.A】
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【図1.B】
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【図1.C】
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【図1.D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5.A】
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【図5.B】
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【図5.C】
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【図5.D】
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【図6】
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【図7.A】
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【図7.B】
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【図7.C】
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【図8】
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【図9.A】
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【図9.B】
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【図9.C】
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【図9.D】
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【図9.E】
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【図9.F】
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【図10】
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【図11.A】
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【図11.B】
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【図11.C】
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【図12】
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【図13】
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【図14.A】
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【図14.B】
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【図14.C】
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【図14.D】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−49920(P2011−49920A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197607(P2009−197607)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】