説明

高圧電源装置及び画像形成装置

【課題】画像形成装置の高圧供給の機能を維持しつつ、高圧電源の数を削減して、高圧電源を小型化する。
【解決手段】所定の極性の高電圧を出力する第1の高圧出力部と、前記第1の高圧出力部の出力部に接続された複数の整流部と、前記複数の整流部のうちの1つに接続され、前記所定の極性とは逆極性の高電圧を出力する第2の高圧出力部と、前記複数の整流部のうちの他の1つに接続され、前記所定の極性とは逆極性の高電圧を出力する第3の高圧出力部と、を有し、前記複数の整流部は、前記第2の高圧出力部に流れる電流経路と前記第3の高圧出力部に流れる電流経路を分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置等に用いられる高圧電源装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置には、各種高圧電源装置が備えられており、記録材などに対する画像形成プロセスには欠かせない存在となっている。この高圧電源装置としては、例えば、帯電装置用高圧電源、現像装置用高圧電源、転写装置用高圧電源等、各種モジュール化された電源装置が存在する。これらモジュール化された電源装置は、画像形成装置の構成に応じて異なった仕様を有しており、例えば直流高圧電源の出力に交流高圧電源の出力を重畳したものや、直流の負極性高圧電源の出力に直流の正極性高圧電源の出力を重畳したもの等の仕様がある。更に、規定電圧や規定電流、定電流制御方式や定電圧制御方式、単一値出力や多段階値制御出力、負荷条件等についても様々な仕様がある。
【0003】
例えば転写電圧の場合、画像形成装置のクリーニング動作時に転写ローラに付着したトナーを除去するためには、通常の転写時に印加する電圧とは逆極性の電圧を転写ローラに印加する必要がある。一般的に、トナー自体は負極性を持つため、画像形成を行う転写プロセス時には、正極性を有する高圧電源(以下、「正電源」という)からの電圧印加により、感光ドラムから中間転写ベルトに、及び中間転写ベルトから記録材にトナーが転写される。逆に、クリーニングプロセス時には、負極性を有する高圧電源(以下、「負電源」という)からの電圧印加により、転写部材から中間転写ベルトへのトナー吐き出しや、中間転写ベルト上の除去トナーの感光ドラムを経由した廃トナー容器への搬送が行われる。例えば特許文献1では、記録材に転写されずに中間転写ベルト上に残ったトナーを、感光ドラムに転写して回収する画像形成装置が提案されている。
【0004】
図8は、中間転写ベルト(以下、「ITB」という)900を有する画像形成装置における、従来の二次転写電源及びITBクリーニング電源を模式的に示したものである。図8において、MPU901は、二次転写ローラ906やITBクリーニングブラシ916を流れる負荷電流の検知や、検知された負荷電流値に基づいて、二次転写電源及びITBクリーニング電源からの出力を制御するマイクロプロセッサである。二次転写正電源902、二次転写負電源903は、D/Aポートを介したMPU901からの制御信号(アナログ信号)により、二次転写ローラ906にそれぞれ正電圧、負電圧を印加する。ITBクリーニング正電源912、ITBクリーニング負電源913は、D/Aポートを介したMPU901からの制御信号(アナログ信号)により、ITBクリーニングブラシ916にそれぞれ正電圧、負電圧を印加する。抵抗904、905、914、915はブリーダ抵抗である。
【0005】
画像形成時には、一次転写電源(不図示)から一次転写パッド909に印加された転写電圧により、感光ドラム908上のトナー像がITB900に転写される。その後、MPU901からの制御により、二次転写正電源902から二次転写ローラ906に正極性の転写電圧が印加され、ITB900上のトナー像が記録材920に転写される。記録材920に転写されず、ITB900に残ったトナーは、MPU901がITBクリーニング正電源912から正極性の電圧をITBクリーニングブラシ916に印加されることにより、ITBクリーニングブラシ916に一時的に回収される。このとき、二次転写ローラ906に流れた二次転写電流は、感光ドラム908のグランド(以下、「GND」という)に流れ、負荷電流検知回路907のGNDから負荷電流検知回路907、ブリーダ抵抗905を経由して二次転写正電源902に戻る。そのため、二次転写電流の電流値は、負荷電流検知回路907によって検知することができ、検知された負荷電流値は、負荷電流検知回路907から出力されたアナログ信号により、A/Dポートを介して、MPU901に入力される。同様に、ITBクリーニング電流は、ITBクリーニングブラシ916から感光ドラム908のGNDに流れ、負荷電流検知回路917のGNDから負荷電流検知回路917、ブリーダ抵抗915を経由してITBクリーニング正電源912に戻る。そのため、ITBクリーニング電流の電流値は、負荷電流検知回路917によって検知することができ、検知された負荷電流値は、負荷電流検知回路917から出力されたアナログ信号により、A/Dポートを介して、MPU901に入力される。
【0006】
一方、クリーニングプロセス時において、MPU901は、二次転写負電源903及びITBクリーニング負電源913をオンする。そして、それぞれの負電源から供給された負電圧は、ブリーダ抵抗904、914を経由して、二次転写ローラ906、ITBクリーニングブラシ916に印加される。二次転写ローラ906に印加された負電圧により、二次転写ローラ906に付着したトナーはITB900に転写され、二次転写ローラ906から除去される。また、ITBクリーニングブラシ916に印加された負電圧により、ITBクリーニングブラシ916に一時的に回収され、溜まったトナーがITB900に吐き出され、感光ドラム908に逆転写され、感光ドラム内のクリーナー容器に回収される。
【0007】
図8に示した負電源に正電源を重畳した電源構成では、負電圧がブリーダ抵抗を介して出力されるため、出力電圧・出力電流の出力精度が落ちる。しかし、一般的にトナー除去を目的に印加される負電圧は、画像形成時に印加される正電圧に比べ、電圧・電流精度がそれほど要求されないので、所定以上の電圧が印加されれば、必要なクリーニング性能を満たすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−309904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、画像形成装置の更なる小型化、低コスト化が求められている。前述したように、従来の画像形成装置に備えられた高圧電源装置では、画像形成プロセスに必要な帯電電圧、現像電圧、転写電圧等の印加電圧毎に独立した電源回路を設けていたため、部品点数増加によるコスト増加や回路基板の面積増加という課題があった。そのため、高圧電源装置においても、小型化、低コスト化を図る必要があった。
【0010】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、画像形成装置の高圧供給の機能を維持しつつ、高圧電源の数を削減して、高圧電源を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0012】
(1)所定の極性の高電圧を出力する第1の高圧出力部と、前記第1の高圧出力部の出力部に接続された複数の整流部と、前記複数の整流部のうちの1つに接続され、前記所定の極性とは逆極性の高電圧を出力する第2の高圧出力部と、前記複数の整流部のうちの他の1つに接続され、前記所定の極性とは逆極性の高電圧を出力する第3の高圧出力部と、を有し、前記複数の整流部は、前記第2の高圧出力部に流れる電流経路と前記第3の高圧出力部に流れる電流経路を分離することを特徴とする高圧電源装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像形成装置の高圧供給の機能を維持しつつ、高圧電源を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の二次転写電源及びITBクリーニング電源の構成を示す図
【図2】実施例1の二次転写電源及びITBクリーニング電源からの電流経路を示す図
【図3】実施例1の二次転写電源及びITBクリーニング電源からの電流経路を示す図
【図4】実施例1の二次転写電源及びITBクリーニング電源のシーケンス図
【図5】実施例1と従来例の電源構成の比較を説明する図
【図6】実施例2の二次転写電源及びITBクリーニング電源の構成を示す図
【図7】実施例3の一次転写電源の構成を示す図
【図8】従来例の二次転写電源及びITBクリーニング電源の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
[二次転写電源及びITBクリーニング電源の概要]
図1は、本実施例の画像形成装置の二次転写電源及びITBクリーニング電源の構成を示す概略図である。図1では、前述した従来例の図6と同じ構成箇所については、同一符号を付し、説明を省略する。本実施例の図1と従来例の図8との主たる相違点は、1つの負電源の出力に、二次転写正電源、ITBクリーニング正電源の出力を重畳させると共に、各正電源が負電源に影響しないよう、ダイオード112、142を用いて負電源を分離している点である。
【0017】
図1において、MPU101は、二次転写ローラ906やITBクリーニングブラシ916を流れる負荷電流の検知や、二次転写電源及びITBクリーニング電源の制御を行うマイクロプロセッサである。第1の高圧電源である負電源は、電圧共振回路と電圧生成手段である多段倍電圧整流回路174から構成されている。電圧共振回路は、クロック発振器151、FET(電界効果トランジスタ)152、インダクタ153、コンデンサ173で構成されている。クロック発振器151は、D/Aポートを介したMPU101からの制御信号(アナログ信号)により、周波数、又はデューティ(DUTY)の可変制御を行う。多段倍電圧整流回路174は、電圧共振回路で発生した電圧を倍電圧整流して高電圧化する回路であり、コンデンサ161、164、167、169、171、ダイオード163、165、166、168、170、172から構成されている。第2の高圧電源の電圧出力部である二次転写正電源102、ITBクリーニング正電源132は、不図示の、MPU101からの制御信号によりトランスを駆動するトランス駆動回路、出力電圧を生成するトランス、トランスの出力電圧を整流する整流回路を有する。
【0018】
電圧検知回路108、138は、それぞれ二次転写ローラ906への正電圧、ITBクリーニングブラシ916への正電圧を抵抗分圧して、二次転写正電源102、ITBクリーニング正電源132にフィードバック(不図示)し、定電圧制御を行う。電圧検知回路158は、ダイオード142のアノード電圧を抵抗分圧し、クロック発振器151にフィードバック(不図示)し、負電源の定電圧制御を行う。また、ダイオード112のアノード電圧は、ブリーダ抵抗104を介して二次転写ローラ906への負電圧に、ダイオード142のアノード電圧は、ブリーダ抵抗134を介して、ITBクリーニングブラシ916への負電圧となる。電流検知回路107、137は、それぞれ二次転写ローラ906、ITBクリーニングブラシ916に流れる負荷電流を検知し、検知された負荷電流の電流値は、MPU101のA/Dポートへ、アナログ信号として出力される。
【0019】
[二次転写電源及びITBクリーニング電源の電流経路]
図2は、図1の回路において、二次転写電源、ITBクリーニング電源からの電流経路を示した図である。図2において、二次転写電源からの電流経路については、中間転写ベルト900上のトナーを記録材920に二次転写させるために、二次転写ローラ906に正電圧を印加した場合に流れる電流(以下、二次転写正電流という)の経路を示している。ITBクリーニング電源からの電流経路については、記録材に転写されずにITB900上に残留したトナーを吸着させるために、ITBクリーニングブラシ916に正電圧を印加した場合に流れる電流(以下、ITBクリーニング正電流という)の経路を示している。このとき、二次転写正電源102とITBクリーニング正電源132がオン状態で、多段倍電圧整流回路174を含む負電源はオフ状態である。なお、図2において、多段倍電圧整流回路174は電流経路とは直接関係しないので、簡単化のため、多段倍電圧整流回路174の内部回路は、コンデンサ175のみの等価的な表記にしている。
【0020】
ITBクリーニング正電源132から正電圧をITBクリーニングブラシ916に印加した場合に流れるITBクリーニング正電流の電流経路は、経路201、203から構成されている。経路201は、ITBクリーニング正電源132からの正電流がITBクリーニングブラシ916、中間転写ベルトであるITB900、感光ドラム908を経由して、感光ドラム908のGNDに流れる経路である。経路203は、ITBクリーニング正電源132からの正電流が電流検知回路137のGNDから電流検知回路137、ブリーダ抵抗135を経由してITBクリーニング正電源132に戻る経路である。
【0021】
一方、二次転写正電源102から正電圧を二次転写ローラ906に印加した場合に流れる二次転写正電流の電流経路は、経路281,283から構成されている。経路281は、二次転写正電源102からの正電流が二次転写ローラ906、記録材920、中間転写ベルトであるITB900、感光ドラム908を経由して、感光ドラム908のGNDに流れる経路である。経路283は、二次転写正電源102からの正電流が電流検知回路107のGNDから電流検知回路107、ブリーダ抵抗105を経由して二次転写正電源102に戻る経路である。
【0022】
また、プロセス部材に流れない電流の経路として、ITBクリーニング正電流の場合には、ITBクリーニング正電源132から、ブリーダ抵抗134を経由してITBクリーニング正電源132に戻る経路209がある。一方、二次転写正電流の場合には、二次転写正電源102から、ブリーダ抵抗104を経由して二次転写正電源102に戻る経路282がある。
【0023】
電流検知回路137、107の接地されていない側の電圧Vref1、Vref2は、基準電圧として、一般的にオペアンプ(不図示)等で一定電圧になるように制御される。クロック発振器151、FET152、インダクタ153、コンデンサ173による電圧共振回路が、電圧Vref1、Vref2に影響しないように、電圧共振回路と電圧Vref2、Vref1とは、抵抗110、140により分離されている。これにより、電圧Vref1とVref2を異なる電圧に設定し、電流検知精度を調整することが可能となる。
【0024】
経路203を流れるITBクリーニング正電流の電流値をi1とすると、ダイオード142のアノード側電圧Vaは、ブリーダ抵抗135の抵抗値R1を用いて、
Va=Vref1−i1×R1
となる。一方、経路283を流れる二次転写正電流の電流値をi2とすると、ダイオード112のアノード側電圧Vbは、ブリーダ抵抗105の抵抗値R2を用いて、
Vb=Vref2−i2×R2
となる。電圧Vaと電圧Vbが異なる場合でも、正しく電流検知が行えるよう、ダイオード112、142により電圧Vaと電圧Vbを分離することにより、二次転写正電源102、ITBクリーニング正電源132の電流経路を確保している。
【0025】
図3は、図2と同様に、二次転写電源、ITBクリーニング電源からの電流経路を示した図である。二次転写電源からの電流経路については、二次転写ローラ906に付着したトナーを除去するために、二次転写ローラ906に負電圧を印加した場合に流れる電流(以下、二次転写負電流という)の経路を破線で示している。ITBクリーニング正電流については図2と同様の電流経路であり、経路201、203で構成されている。このとき、ITBクリーニング正電源132と多段倍電圧整流回路174を含む負電源がオン状態で、二次転写正電源102はオフ状態である。
【0026】
二次転写負電源である多段倍電圧整流回路のコンデンサ175からの負電圧を二次転写ローラ906に印加した場合に流れる二次転写負電流の電流経路は、経路221、222で構成されている。経路222は、多段倍電圧整流回路のコンデンサ175からの負電流が、抵抗110、電流検知回路107を経由して、電流検知回路107のGNDに流れる経路である。経路221は、コンデンサ175からの負電流が、感光ドラム908のGNDから、感光ドラム908、ITB900、二次転写ローラ906を経由し、ブリーダ抵抗104、ダイオード112を介してコンデンサ175に戻る経路である。
【0027】
また、プロセス部材に流れない電流の経路として、二次転写負電流は経路224、および経路223から経路226、さらに経路223から経路225に電流が流れる。経路224は抵抗110、ブリーダ抵抗105、ダイオード112を流れる経路である。経路223から経路226は抵抗140、ブリーダ抵抗135、ダイオード142を流れる経路である。経路223から経路225は抵抗140、電流検知回路137を流れる経路である。このとき、経路225を流れる負電流と経路203を流れるITBクリーニング正電流が共に電流検知回路137を流れようとするため、MPU101は経路203を流れるITBクリーニング正電流を正しく検知できなくなる。しかし、この場合も、電流検知回路137の接地されていない側の電圧Vref1は、基準電圧として、一般的にオペアンプ(不図示)等で一定電圧になるように制御されるため、ITBクリーニングブラシ916へは定電圧を出力することができる。以上のように、二次転写電源とITBクリーニング電源で異なる極性の電圧を出力する場合は、電流検知をする必要が無い場合に限り適用可能である。それは例えば、各種クリーニング用途など、ある電圧以上出ていれば電流検知をしなくても画像形成装置としての機能が出せる場合である。
【0028】
[二次転写電源及びITBクリーニング電源の電流検知]
また、図3のように、二次転写正電源102はオフ状態で、ITBクリーニング正電源132と、多段倍電圧整流回路174を含む二次転写負電源から出力されていた場合、電圧Vaは電圧検知回路158により定電圧制御が行われる。そのため、電圧検知回路158による制御電圧値が前述した式(Vref1−i1×R1)により算出される電圧値より大きい場合は、電圧Vaは制御電圧値となる。逆に、制御電圧値が前述した式(Vref1−i1×R1)により算出される電圧値より小さい場合には、電圧Vaは、式(Vref1−i1×R1)により算出された電圧値となるように、定電圧制御される。この場合、ITBクリーニング正電源132の両端の電位差は、ITBクリーニング正電源がオフ状態で、電圧Vaの電圧制御を行わない場合に比べて、増加するため、ITBクリーニング正電源の負荷も増加することになる。そのため、ITBクリーニング正電源132内に設けられたトランスの出力をパワーアップしたり、特に図3のように正と負の電圧を印加する場合のようなクリーニングシーケンスにおいて、電圧を制限するなどの対応が必要になる場合がある。
【0029】
更に、二次転写電圧、ITBクリーニング電圧が共に負極性の場合は、多段倍電圧整流回路174を含む負電源はオン状態に、二次転写正電源102、及びITBクリーニング正電源132はオフ状態になる。二次転写負電流は、多段倍電圧整流回路のコンデンサ175から流れ、抵抗110、電流検知回路107を経由して、電流検知回路107のGNDに流れる。そして、感光ドラム908のGNDから、感光ドラム908、ITB900、二次転写ローラ906を経由し、二次転写負電流は、ブリーダ抵抗104、ダイオード112を介してコンデンサ175に戻る。一方、ITBクリーニング負電流は、多段倍電圧整流回路のコンデンサ175から流れ、抵抗140、電流検知回路137を経由して、電流検知回路137のGNDに流れる。そして、感光ドラム908のGNDから、感光ドラム908、ITB900、ITBクリーニングブラシ916を経由し、ITBクリーニング負電流は、ブリーダ抵抗134、ダイオード142を介してコンデンサ175に戻る。この場合には、回路構成上、負電源が1つしかないため、二次転写負電圧とITBクリーニング負電圧は異なる電圧に設定できない制約がある。しかし、前述したように、一般的にトナー除去を目的とした負電圧印加では、画像形成時の正電圧印加に比べ、印加する電圧の精度(流れる電流の精度)がそれほど要求されないため、所定以上の電圧が印加されれば、クリーニング性能を満たすことができる。
【0030】
図4は、プリント時、およびプリント後の後回転における二次転写電圧、二次転写電流、ITBクリーニング電圧、ITBクリーニング電流のシーケンスの例である。プリント時は二次転写正電源102とITBクリーニング正電源132をオンし、定電流制御を行う。プリント後、二次転写正電源102とITBクリーニング正電源132をオフし、多段倍電圧整流回路174を含む負電源をオンする。これにより二次転写ローラ906のトナー除去およびITBクリーニングブラシ916のトナー除去を行う。ITBクリーニングブラシ916のトナー除去は、実際には図4の291、292のように、ITBクリーニング電圧を正負に交互に出力して行う。図4の291は二次転写電圧とITBクリーニング電圧が共に負電圧の場合、292は二次転写電圧が負電圧でITBクリーニング電圧が正電圧の場合である。この理由は、ITBクリーニング電圧は、直流負電圧よりも正負交互に電圧を出力させて電圧の傾き(dV/dt)を出した方が、効率良くトナーを吐き出せるというITBクリーニングブラシ916の特性によるものである。詳細は割愛する。
【0031】
図4のシーケンスには無いものの、電圧の極性が図3とは逆極性である、二次転写電圧が正極性、ITBクリーニング電圧が負極性の場合は、二次転写正電源102がオン、ITBクリーニング正電源132がオフ、多段倍電圧整流回路174を含む二次転写負電源がオンの状態となる。二次転写正電流は、二次転写正電源102から流れ、二次転写ローラ906、ITB900、感光ドラム908を経由して、感光ドラム908のGNDに流れる。そして、電流検知回路107のGNDから、電流検知回路107、ブリーダ抵抗105を経由して、二次転写正電流は二次転写正電源102に戻る。一方、ITBクリーニング負電流は、多段倍電圧整流回路のコンデンサ175からの負電流が、抵抗140、電流検知回路137を経由して、電流検知回路137のGNDに流れる。そして、感光ドラム908のGNDから、感光ドラム908、ITB900、ITBクリーニングブラシ916を経由し、ITBクリーニング負電流は、ブリーダ抵抗134、ダイオード142を介してコンデンサ175に戻る。この場合、二次転写正電源102の両端の電位差は、二次転写正電源がオフ状態の場合と比べて増加するため、二次転写正電源102の負荷も増加することになる。そして、図3と同様、二次転写正電源102内に設けられたトランスの出力をパワーアップしたり、クリーニングシーケンスでの電圧を制限するなどの対応が必要となる場合がある。また、この場合、MPU101は二次転写正電流を電流検知回路107によって正しく検知できなくなる。ITBクリーニング負電流が電流検知回路107を流れようとするためである。よって上述の二次転写電圧が正極性、ITBクリーニング電圧が負極性の場合は、二次転写電流の電流検知をする必要が無い場合に限り適用可能である。
【0032】
図5は、従来例と本実施例の電源構成について、コスト、基板面積、電源の出力電圧、電流検知の性能、正負電圧出力の面から比較を行い、その比較結果を2種類の記号○(他方より優れているか、同等)、△(他方より劣る)により示した図である。コスト、基板面積については、従来の電源では、二次転写電源、ITBクリーニング電源は共に正電源、負電源を有していた。一方、本実施例では、負電源を二次転写電源、ITBクリーニング電源に共有の多段倍電圧整流回路とその駆動回路である電圧共振回路にすることにより、コスト、基板面積の削減が可能になっている。また、負電源に対するD/Aポートを1ポート削減できたので、コストダウンとなっている。なお、電源の出力電圧については、前述したように、正電源の最大電圧が下がる。そのため、最大電圧をより高い電圧とするには、本実施例の構成では、正電源用トランスの出力を上昇させる必要がある。本実施例ではトランスの出力を上昇させる場合、多段倍電圧整流回路の段数を増やすことで対応できるため、コストアップや基板面積への影響は小さい。また、電流検知の性能については、二次転写電圧とITBクリーニング電圧の極性が異なる場合、電流検知ができなくなるものの、クリーニングシーケンス上は特に問題ない。そして、電流検知精度については、前述したように、従来と同様である。また、負電源を二次転写電源、ITBクリーニング電源に共有にしたために、電源毎に個別の電圧設定ができなくなったが、クリーニングシーケンス上は、特に問題はない。
【0033】
以上説明したように、本実施例によれば、画像形成装置の高圧供給の機能を維持しつつ、高圧電源の共通化により、高圧電源の数を削減し、高圧電源を小型化することができる。本実施例では、1つの負電源に二次転写正電源、ITBクリーニング正電源の2つを重畳し、ダイオードを用いて負電源に各々の正電源が影響しないよう、電流経路を分離している。これにより、多段倍電圧整流回路及びその駆動回路による負電源の削減、負電源制御用信号ポートの削減ができ、回路のコストダウン、基板のサイズダウンが可能となる。なお、本実施例では、負電源を図1に示すように、ダイオード、コンデンサによる段倍電圧整流回路で構成しているが、巻線トランスや圧電トランスで構成した場合にも、本実施例と同様の効果を得ることができる。その場合は、巻線トランスや圧電トランスのサイズがアップする可能性があるが、その場合でも、電源数の削減などによるコストダウン、基板サイズダウンの効果がある。また、本実施例では電圧検知回路108、138をそれぞれ正電源102、132へフィードバック、電圧検知回路158をクロック発振器151へフィードバックして定電圧制御を行っているが、電圧検知回路の信号をMPU101へフィードバックして定電圧制御を行ってもよい。
【実施例2】
【0034】
[二次転写電源及びITBクリーニング電源の概要]
図6は、本実施例の画像形成装置の二次転写電源及びITBクリーニング電源の構成を示す概略図である。図6では、実施例1の図1と同じ構成箇所については、同一符号を付し、説明は省略する。本実施例の図6と実施例1の図1との相違点は、負電源用圧電トランス204の出力を並列接続された2つの整流回路271、272を介することにより、二次転写ローラへの電流経路とITBクリーニングブラシへの電流経路を分離している点である。この構成により、電流検知回路137、107の接地されていない側の基準電圧Vref1とVref2の分離も同時に行っている。本実施例においても、実施例1と同様に、二次転写電源とITBクリーニング電源における電流経路を分離するという考え方は同じである。
【0035】
図6において、二次転写正電源のトランス駆動部251は、フライバックトランス202を駆動する駆動部であり、MPU101のD/Aポートから入力されるアナログ信号(例えば、PWM信号)に従って、所定の周波数で駆動される。このトランス駆動部251には、電圧を制御するための制御信号(PWM信号)と、周波数を指示するクロック信号が入力される。フライバックトランス202は、内部にコンデンサ254とブリーダ抵抗206を有し、トランス駆動部251の制御によりオン状態となり、二次転写ローラ906に正電圧を印加する。
【0036】
また、トランス駆動部252、253は、それぞれ圧電トランス210、204を駆動する駆動部であり、MPU101のD/Aポートから入力される制御信号(周波数設定信号)に基づく周波数で、圧電トランスを駆動して所定の電圧を出力させる。圧電トランス210は、トランス駆動部252の制御によりオン状態となり、ITBクリーニングブラシ916へ正電圧を印加する。ダイオード261、262、コンデンサ263は、圧電トランス210の出力を整流する整流回路を構成する。抵抗205は、ブリーダ抵抗である。
【0037】
圧電トランス204は、トランス駆動部253の制御によりオン状態となり、整流回路271を介してITBクリーニングブラシ916への負電圧の印加や、整流回路272を介して二次転写ローラ906への負電圧の印加を行う。整流回路271は、ダイオード273、274、コンデンサ275から構成され、整流回路272は、ダイオード276、277、コンデンサ278から構成され、それぞれ圧電トランス204からの出力を整流する。抵抗234、235はブリーダ抵抗である。
【0038】
[二次転写電源及びITBクリーニング電源の電流経路と電流検知]
二次転写正電流は、フライバックトランス202内のコンデンサ254のチャージポンプにより二次転写ローラ906、ITB900、感光ドラム908を経由して、感光ドラム908のGNDに流れ込む。そして、感光ドラム908のGNDに流れ込んだ二次転写正電流は、電流検知回路107のGNDから電流検知回路107、ブリーダ抵抗235を通り、フライバックトランス202内のコンデンサ254に戻る。
【0039】
ITBクリーニング正電流は、コンデンサ263のチャージポンプにより、ITBクリーニングブラシ916、ITB900、感光ドラム908を経由して、感光ドラム908のGNDに流れ込む。そして、感光ドラム908のGNDに流れ込んだITBクリーニング正電流は、電流検知回路137のGNDから、電流検知回路137、ブリーダ抵抗234を通り、コンデンサ263に戻る。
【0040】
二次転写負電流は、コンデンサ278のチャージポンプにより電流検知回路107、電流検知回路107のGNDに流れ込む。そして、電流検知回路107のGNDに流れ込んだ二次転写負電流は、感光ドラム908のGNDから、感光ドラム908、ITB900、二次転写ローラ906、フライバックトランス202内のブリーダ抵抗206を経由して、コンデンサ278に戻る。
【0041】
同様に、ITBクリーニング負電流は、コンデンサ275のチャージポンプにより、電流検知回路137、電流検知回路137のGNDに流れ込む。そして、電流検知回路237のGNDに流れ込んだITBクリーニング負電流は、感光ドラム908のGNDから、感光ドラム908、ITB900、ITBクリーニングブラシ916、ブリーダ抵抗205を経由して、コンデンサ275に戻る。
【0042】
本実施例においても、ダイオード273、277により、二次転写電源、ITBクリーニング電源の電流経路が分かれている。ところで、本実施例においても、実施例1での電源と同様の制約、すなわち正電源の最大電圧が下がる点や回路構成上、負電源が1つしかないため、二次転写負電圧とITBクリーニング負電圧に異なる電圧設定ができないという制約は存在する。また、二次転写電圧とITBクリーニング電圧が異なる極性の場合、電流検知ができなくなるという制約も存在する。この点に関しては、クリーニングシーケンス上、二次転写電圧とITBクリーニング電圧が異なる極性の場合、電流検知が必要ないこと、また、負電圧の使用用途がクリーニングであり、負電圧の電圧精度は、画像形成に用いる正電圧に比べ、それほど厳しくないという点も実施例1と同様である。
【0043】
以上説明したように、本実施例によれば、画像形成装置の高圧電源の出力の機能を維持しつつ、高圧電源の共通化により、高圧電源の数を削減し、高圧電源を小型化することができる。本実施例では、1つの負電源に並列接続された2つの整流回路を介して、負電源出力を二次転写正電源とITBクリーニング正電源と重畳させると共に、二次転写電流及びITBクリーニング電流経路を分離させている。これにより、負電源の削減、負電源制御用信号ポートの削減ができ、回路のコストダウン、基板のサイズダウンが可能となる。
【0044】
また、本実施例では、二次転写正電圧用にフライバックトランス(巻線トランス)、ITBクリーニング正電源用及び負電源用に圧電トランスを使用している。これにより、多段倍電圧整流回路を用いた実施例1よりもサイズアップにはなるが、その反面、電源出力を大きくすることができるため、高い電圧が必要な高速画像形成装置には、より好適な構成となっている。
【実施例3】
【0045】
[一次転写電源の概要]
図7は、本実施例の複数のカラー画像形成部(ステーション)が並置されたインライン方式の画像形成装置における一次転写電源の構成を示す概略図である。本実施例は、正電源に対し、負電源を共通化した構成を一次転写電源に適用し、かつ、3つの一次転写正電源の出力に対し、1つの共通の負電源からの出力を重畳している点が、実施例1、2と異なっている。
【0046】
図7において、画像形成装置は、中間転写ベルトITB800の下流方向に順に配置された4個の画像形成部(ステーションともいう)の第1ステーション501、第2ステーション502、第3ステーション503、第4ステーション504から構成されている。各ステーションの像担持体である感光ドラム191〜194は、不図示の駆動手段により、矢印方向(反時計回り方向)に回転駆動される。各ステーションは、感光ドラム191〜194の周囲に帯電装置(不図示)、露光装置(不図示)、現像装置(不図示)、廃トナーボトル401〜404、クリーニングブレード411〜414を有する。帯電装置、露光装置、現像装置により感光ドラム191〜194上に形成されたトナー像は、一次転写パッド181〜184に印加された電圧により、ITB800に転写される。その後、ITB800と二次転写ローラ512との当接部に記録材513を搬送すると同時に、二次転写ローラ512に電圧印加することにより、ITB800上のトナー像は、記録材513に転写される。そして、記録材513に転写されず、ITB800上に残ったトナーは、ITBクリーニング装置511により、ITB800から一旦回収される。
【0047】
一次転写正電源315、325、335、208は、内部(不図示)に、MPU101からの制御信号によりトランスを駆動するトランス駆動回路、出力電圧を生成するトランス、トランスの出力電圧を整流する整流回路を有している。一次転写正電源315、325、335、208は、D/Aポートを介したMPU101からの制御信号(アナログ信号)により、1対1対応に接続された、各ステーションの一次転写パッド183、182、181、184に正電圧を印加する。抵抗318、328、338はブリーダ抵抗である。
【0048】
トランス駆動部353は、圧電トランス304を駆動する駆動部であり、MPU101のD/Aポートから入力される制御信号(周波数設定信号)に基づく周波数で、圧電トランス304を駆動して所定の電圧を出力させる。圧電トランス304は、トランス駆動部353の制御によりオン状態となり、一次転写パッド181〜183へ負電圧を印加する。圧電トランス304は、トランス駆動部353の制御によりオン状態となり、整流回路361、362、363を介して、第1、第2、第3ステーションに対応した一次転写パッド181、182、183への負電圧の印加を行う。整流回路361は、ダイオード371、372、コンデンサ373から構成され、整流回路362は、ダイオード374、375、コンデンサ376から構成され、整流回路363は、ダイオード377、378、コンデンサ379から構成されている。そして、整流回路361、362、363は、それぞれ圧電トランス304からの出力を整流し、第1、第2、第3ステーションに対応した一次転写パッド181、182、183への負電圧の印加を行う。抵抗314、324、334はブリーダ抵抗である。
【0049】
電圧検知回路313、323、333は、それぞれ第1、第2、第3ステーションの一次転写パッド181、182、183への正電圧を抵抗分圧して、対応する一次転写正電源335、325、315にフィードバック(不図示)し、定電圧制御を行う。電圧検知回路343は、ダイオード378のアノード電圧を抵抗分圧し、トランス駆動部353にフィードバック(不図示)し、定電圧制御を行う。
【0050】
電流検知回路317、327、337、207は、それぞれ第1〜第4ステーションの一次転写パッド181〜184に流れる負荷電流を検知し、検知された負荷電流の電流値は、MPU101のA/Dポート(不図示)へアナログ信号として出力される。基準電圧Vref1、Vref2、Vref3は、それぞれ電流検知回路317、327、337の接地されていない側の電圧である。
【0051】
なお、本実施例において、電流経路や電源の制約、プロセス上、負電圧の精度が厳しくない点については実施例1、2と同様であり、正電源の数及び負電源の整流回路の数が2つから3つになった点のみ、実施例1、2とは異なる。このため、詳細説明を省略する。
【0052】
[一次転写電圧の印加制御]
次に、本実施例の一次転写電圧の印加制御について説明する。画像形成時においては、一次転写パッドに正電圧を印加することにより、感光ドラム191〜194上に形成されたトナー像がITB800に転写される。一方、クリーニングシーケンス時においては、一次転写パッドに正電圧を印加することにより、ITB800上の正極性を有した廃トナーを感光ドラム191〜194に移動させて、廃トナーボトル401〜404に廃トナーの回収を行う。逆に、一次転写パッドに負電圧を印加することにより、廃トナーのステーション振り分けが行われる。
【0053】
画像形成時に、二次転写ローラ512で記録材513に転写されず、ITB800上に残ったトナーは、ITBクリーニング装置511に一旦回収される。そして、クリーニングシーケンス時に、ITBクリーニング装置511に一旦回収されたトナーは、正極性を与えられ、ITB800上に吐き出される。クリーニングシーケンスにおいては、一次転写パッドに正電圧を印加して、廃トナーをITB800から反発させて感光ドラムに戻す場合と、負電圧を印加して、廃トナーをITB800に吸着させて、下流のステーションに流す場合とがある。廃トナーを下流のステーションに流す、廃トナーの振り分けは、第1〜第4の各ステーションで回収した廃トナー量が、対応する廃トナーボトル401〜404の許容量を超えないよう、MPU101は廃トナーの振り分け制御を行っている。最も下流の第4ステーション504には、廃トナーを流すべき下流のステーションが存在せず、そのため、第4ステーション504には負電圧を印加する必要がないので、一次転写パッド184には、正電源208のみが接続される。クリーニングシーケンス時には、MPU101は、ITBクリーニング装置511に一旦回収されたトナーをITB800上に吐き出させるために、ITBクリーニング装置511に正電圧を印加する。そして、MPU101は、この正電圧印加時間を考慮して、ITB800上に移動した廃トナーを各ステーションの感光ドラムに移動させるか、又は移動させないでステーションを通過させるかを決定する。すなわち、MPU101は、ITB800上に移動した廃トナーを正電圧印加によりステーションへ回収させる、又は負電圧印加により下流ステーションへスルーさせるための、該当ステーションの一次転写パッドへの電圧印加タイミングを決定する。このとき、クリーニングシーケンス時には実施例1,2と同様、電流検知をする必要がないこと、および負電圧としては、電圧精度がそれほど要求されないため、図7に示すように、第1〜第3ステーションの一次転写パッドの負電圧を共通化した電源構成が適用できる。
【0054】
[一次転写電源の電流経路と電流検知]
図7において、第1ステーション501の一次転写パッド181に流れる一次転写正電流は、一次転写正電源335から流れ、一次転写パッド181、ITB800、感光ドラム191を経由して、感光ドラム191のGNDに流れ込む。そして、感光ドラム191のGNDに流れ込んだ一次転写正電流は、電流検知回路317のGNDから、電流検知回路317、ブリーダ抵抗314を通り、一次転写正電源335に戻る。第1ステーション501の一次転写パッド181に流れる一次転写負電流は、整流回路361のコンデンサ373のチャージポンプにより電流検知回路317、電流検知回路317のGNDに流れ込む。そして、電流検知回路317のGNDに流れ込んだ一次転写負電流は、感光ドラム191のGNDから、感光ドラム191、ITB800、一次転写パッド181、ブリーダ抵抗338を経由して、コンデンサ373に戻る。第2ステーション502、第3ステーション503の一次転写パッド181、183に流れる一次転写正電流、負電流についても、第1ステーションにおける電流経路と同様、各ステーションに対応した電流経路で流れる。第4ステーション504の一次転写パッド184については、負電圧印加がないため、一次転写正電流のみが流れる。そして、MPU101は、各ステーションの一次転写パッドに流れる電流を検出する電流検知回路により、一次転写のための各ステーションの電流検知を行い、最適な一次転写電圧を選択することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施例によれば、画像形成装置の高圧供給の機能を維持しつつ、高圧電源の共通化により、高圧電源の数を削減し、高圧電源を小型化することができる。本実施例では、1つの負電源に並列接続された3つの整流回路を介して、負電源出力を一次転写正電源と重畳させると共に、各ステーションの一次転写電流を分離させている。これにより、負電源の削減、負電源制御用信号ポートの削減ができ、回路のコストダウン、基板のサイズダウンが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
101、901 MPU
174 多段倍電圧整流回路
181、182、183、184、209、909 一次転写パッド
191、192、193、194、208、908 感光ドラム
202 フライバックトランス
204、210、303、304 圧電トランス
800、900 中間転写ベルト
906 二次転写ローラ
916 ITBクリーニングブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の極性の高電圧を出力する第1の高圧出力部と、
前記第1の高圧出力部の出力部に接続された複数の整流部と、
前記複数の整流部のうちの1つに接続され、前記所定の極性とは逆極性の高電圧を出力する第2の高圧出力部と、
前記複数の整流部のうちの他の1つに接続され、前記所定の極性とは逆極性の高電圧を出力する第3の高圧出力部と、を有し、
前記複数の整流部は、前記第2の高圧出力部に流れる電流経路と前記第3の高圧出力部に流れる電流経路を分離することを特徴とする高圧電源装置。
【請求項2】
前記第2の高圧出力部に流れる電流を検知する第1の電流検知部と、前記第3の高圧出力部に流れる電流を検知する第2の電流検知部を有することを特徴とする請求項1に記載の高圧電源装置。
【請求項3】
前記第1の高圧出力部は多段の倍電圧整流部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高圧電源装置。
【請求項4】
前記第1の高圧出力部は圧電トランスを有することを特徴とする請求項1または2に記載の高圧電源装置。
【請求項5】
前記整流部はダイオードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高圧電源装置。
【請求項6】
前記倍電圧整流部はダイオードとコンデンサを有することを特徴とする請求項3に記載の高圧電源装置。
【請求項7】
画像を形成するための画像形成部と、
前記画像形成部に高電圧を供給する高圧電源と、を備え、
前記高圧電源は、
所定の極性の高電圧を出力する第1の高圧出力部と、
前記第1の高圧出力部の出力部に接続された複数の整流部と、
前記複数の整流部のうちの1つに接続され、前記所定の極性とは逆極性の高電圧を出力する第2の高圧出力部と、
前記複数の整流部のうちの他の1つに接続され、前記所定の極性とは逆極性の高電圧を出力する第3の高圧出力部と、を有し、
前記複数の整流部は、前記第2の高圧出力部に流れる電流経路と前記第3の高圧出力部に流れる電流経路を分離することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の高圧出力部に流れる電流を検知する第1の電流検知部と、前記第3の高圧出力部に流れる電流を検知する第2の電流検知部を有することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成部は、画像を担持する像担持体と、前記像担持体上の画像を記録材に転写する転写部と、前記像担持体をクリーニングするクリーニング部と、を備え、
前記第1の高圧出力部からの高電圧が前記転写部と前記クリーニング部に供給されることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2の高圧出力部からの高電圧が前記クリーニング部に供給され、前記第3の高圧出力部からの高電圧が前記転写部に出力されることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
更に、画像が形成される感光体を有し、
前記像担持体は、前記感光体に形成された画像が転写される中間転写体であることを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成部は、色の異なる画像を前記像担持体に形成するための複数の転写部を含み、
前記第1の高圧出力部は、前記複数の転写部に高電圧を供給することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
更に、色の異なる画像が形成される複数の感光体を有し、
前記像担持体は前記複数の感光体に形成された色の異なる画像が重ねて転写される中間転写体であることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−78252(P2013−78252A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−155603(P2012−155603)
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】