説明

高導電性水性インキ

増大した導電性を有する水性の導電性インキを形成するために使用することができる導電性組成物が開示される。5ミクロン以下の厚さを有する乾燥インキのフィルムは、それがコーティングされたセルロース質基体の表面粗さの1.5倍未満の表面粗さを有する。水性導電性組成物は導電性粒子、好ましくは銀、陰イオン性湿潤剤、およびスチレン−アクリル共重合体を含む。組成物は非常に導電性であり、低減された乾燥エネルギーしか必要としない。さらに高速印刷プロセスにより低価格の基体に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に改良された特性を有する導電性の水性コーティング組成物に関する。乾燥されたコーティングは、様々な電子用途、遮蔽用途、無線周波数識別(RFID)用途で使用される。組成物は、たとえばRFIDアンテナなどのような電子回路を生産するための高速印刷インキとして特に有用である。
【0002】
本発明の背景
電気的に伝導性のコーティングはエレクトロニクス産業において大きな需要がある。それらは、商品の貯蔵記録から米国のパスポートに及ぶ広い用途で、電子妨害(EMI/RFIシールディング)から事務機器を保護し、無線周波数識別用アンテナへのプリント基盤上で複雑な電子回路類を形成するために使用される。様々な導電性のコーティングの中でも、導電性印刷インキは、様々な塗布方法および塗布への要求に適合する組成物が、コーティング・クラスのパラダイムを構成するとの観点から必要とされ成長している。
【0003】
したがって、導電性のインキはプリント基盤上の配線やRFIDアンテナのような導体素子を形成するために、印刷エレクトロニクス産業によって使用される。今日使用される導電性インキは、本質的に有機ポリマーマトリックスからなり、その中に金属粉末、金属粉末先駆物質(金属の分解化合物)、金属でコーティングされた微粒子またはグラファイト粉末のような他の導電性の粒子状物質が分散されている。インキはさらに、通常低濃度で、安定を維持するか/または改良する添加剤(例えば凝結硬化調整剤)あるいは容易な塗布を可能とする流動調節剤(例えば溶剤)を含むことができる。導電性の重要な特性は金属粉末の濃度をコントロールすることにより調節される。その値は金属/キャリヤ比率に比例するが、とはいえ直線的ではない。導電性インキ組成物は、低速プロセス(例えばスクリーン印刷)あるいは高速プロセス(例えばロータリースクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷)で基体に通常塗布され、後者は1枚の印刷当たりのより低い加工費という長所を有する。
【0004】
今日使用中の大多数の導電性インキ組成物は溶剤系の低速スクリーン印刷のために設計された厚いフィルムシステムである。例えば米国特許6,322,620、4,592,961、5,622,547、5,653,918および6,939,484を参照。RFIDアンテナおよび同種のものを印刷する1つの一般的な方法は、プラスチック、紙、または厚紙基体の銀ベースのインキをスクリーン印刷し、ついで溶剤を加熱除去し、インキを硬化またはアニールし、それにより10マイクロメートルを超える厚さを有する導電性の線を形成するというものである。しかしながら、そのような組成物は多くの欠点を持っている。溶剤に基づくシステムに伴う環境問題に加えて、厚膜塗布は、乾燥のために大きな熱エネルギーを必要とする。それらはしばしば高い乾燥温度および硬化温度を必要とし、また比較的長い乾燥時間および硬化時間を必要とする。さらに、そのようなプロセスは、インキの溶剤の除去およびインキの硬化/アニーリングを許容するために高度に熱安定性であることを基体に要求する。したがって、紙、厚紙基体および低いガラス転移温度(Tg)のポリマー基体は基体として容易に適応可能ではない。なぜならそれらはたとえコスト的に有利であっても、それらが高温に耐えない場合があるからである。高速プロセス(例えばグラビア印刷)を使用して印刷することができる他の導電性インキシステムも、高温硬化条件(典型的には150℃以上)を要求する。例えば米国特許公開2004/0144958A1を参照。
【0005】
水性導電性インキおよびコーティングは、後の環境中への溶剤の放出の時に、溶剤に基づいた組成物に対して著しいエコロジー面の長所がある。しかしながら、従来、水性導電性インキは、溶剤に基づく配合で達成される高い導電率、低い電気抵抗率を提供していなかった。例えば米国特許5,286,415、5,389,403、5,492,653、5,658,499、5,756,008、5,855,820、6,410,637、6,576,336および6,866,799を参照。高い導電率は、硬化された時にインキが十分な電流を流すことを保証するために必要である。より高い導電率は、導電性の粉末(典型的には銀)の濃度を増加させることにより従来達成されていたが、このアプローチは性能を向上させるが、しばしば減少した貯蔵寿命および増加するコストのような経済な欠点をもたらす。
【0006】
導電性インキに対する他の要望される特性としては、乾燥/硬化/アニールされた時に良好な摩耗特性および耐薬品性を示し、その後の使用時に容易に引っ掻かれないし拭き取られないことがあげられる。したがって、乾燥/硬化/アニールされレジストが溶剤で拭かれたときに、導電性インキは許容される程度に基体に付着するべきである。更に、高速印刷(例えばロータリースクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷)においては、良好なインキ移りおよび良好なグラフィックの再生を得るために、導電性インキは適当なレオロジー特性と基体湿潤特性を有する必要がある。さらに、インキは基体がさらされるかもしれない物理的な変形に耐えるために、良好な柔軟性および耐熱性を有するべきである。さらに、滑らかで均一な層、すなわち低い表面粗さを有する層は望ましく、アンテナ構造に関する用途では特に望ましい。
【0007】
従って、高い導電率、良好な印刷適性、低い表面粗さ、高速印刷工程(例えばロータリースクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷)での使用のための、低い乾燥温度および硬化温度での、短い乾燥時間および短い硬化時間を備えた水の導電性インキに対する必要性が存在する。他の所望の特性を備えた導電性インキはさらに望ましい。本発明は、望ましい性能/特性を有し、コーティングとして、特には高速印刷用インキとしての用途にふさわしい、導電性組成物の一群を提供する。
【0008】
発明の要約
本発明は、水性の導電性インキであって、セルロースに基づく基体の表面粗さとインキ層表面の表面粗さとの比率が1.5以下、好ましくは1.25以下であり、好ましくはシート抵抗が200ミリオーム/スクエア未満、より好ましくは150ミリオーム/スクエア未満、そして最も好ましくは120ミリオーム/スクエア未満であるインキを提供する。この表面の粗さを備えたインキ層は、少なくとも3メートルの読み取り範囲のUHF RFIDアンテナを提供することができる。これは例えば組成物中の導電性の粒子状物質の数を最大限にすることが導電率の最高水準を与えるという一般通念を無視し、マトリックスが水溶性のアクリル共重合体であって導電性の粒子状物質を分散させることができるものである導電性組成物を提供し、陰イオン湿潤剤を添加して、印刷された線および/またはグラフィックスの導電率を実質的に増加させることにより達成される。例えば、約500マイクロメートル未満(特には約300マイクロメートル未満)のラインスペース幅で、140ミリオーム/スクエア未満のシート抵抗を有する電気的に伝導性のグラフィックス印刷が実現できる。
【0009】
本発明は、より詳細には、RFIDおよび他の電子技術で使用するにふさわしいインキのような水性導電性の組成物に関する。組成物は高度に導電性で、低減された乾燥エネルギーを要求する。さらに、それは高速印刷工程によって低価格基体に適用されることができる。本発明の導電性組成物の例としては、(メタ)アクリル共重合体もしくはそれらの塩、導電性粒子状物質、陰イオン表面湿潤剤、消泡剤、水および任意に他の溶剤を含む。
【0010】
RFID用途用の主要な4つの周波数レンジは、低周波(LF)(100〜140kHz)、高周波(HF)(〜13.56MHz)、極超短波(UHF)(800〜1000MHz)およびマイクロ波(〜2.45GHz)である。本発明は、RFIDアンテナ(特にUHFスペクトルで作動するもの)に関して有用である。重要なことには、アメリカ軍の命令およびアイテムのRFIDラベル化についての大きな小売り業者からの最近の契約により、UHFアンテナは、EPCグローバルで開発されたクラス1/Gen2プロトコル標準に準拠したRFID集積回路チップと共に通常使用される。Gen2標準は、北アメリカ、日本およびヨーロッパの基準を包含する、広い周波数レンジにわたり、チップ内に含まれるデータが複数回読まれることを可能にする。
【0011】
RFID集積回路チップは、通常アンテナに、接着剤(導電性あるいは非導電性))を使用して直接チップを付けることにより、あるいは2つの導電性のパッド上にあらかじめマウントされた(通常導電性の接着剤で)チップを含むストラップをアンテナに取り付けることにより取り付けられる。UHFチップの販売会社はインピン(Impinj)、テキサスインストルメント、STMマイクロ、フィリップス電気であり、エイリアンテクノロジーおよびテキサスインストルメントがストラップを提供している。EPC Gen2準拠のアンテナを提供する異なる技術がタグシス(Tagsys)RFIDによって開発されている。タグシスRFID AK カーネル(Kernel)システムは小さな(12mm×8mm)主アンテナ上にマウントされた、EPCクラス1/Gen 2 UHF 準拠のチップを利用する。その後、AKカーネルモジュールは、通常非導電性の接着剤を使用して、より大きな第2のアンテナの上に、あるいはそのアンテナの近くに適用され、第1および第2のアンテナ間に直接の接触が存在しないようにされる。第2のアンテナの機能は、UHFエネルギーを吸収し、「カーネルモジュール」にそれを伝えることである。
【0012】
これらおよび他の態様は、以下の発明の詳細な説明を読むことで明白になるだろう。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、望ましい特性を有する高速印刷インキとしての使用にふさわしい水性の導電性組成物を提供する。本発明の組成物は、特に高い導電率、低価格基体(例えば、セルロース系および低Tgプラスチック)上の印刷適性に優れ、乾燥および硬化/アニーリングのために低い熱エネルギーを必要とし、5ミクロン以内の層の乾燥したインキは、約1.5以下、好ましくは約1.25以下の、インキの表面粗さのセルロース質物質に基づいた基体の表面の粗さに対する比率を提供する。驚くべきことに、この粗さの乾燥インキは、3メートル以上のUHF RFIDアンテナの読み取り範囲を提供することができる。好ましくは、基体粗さを差し引いた後の印刷の粗さは約1ミクロン未満である。インキ成分の適切な選択によりそのようなインキを実現することができることが発見された。例えば、スチレンアクリル共重合体と陰イオン性湿潤剤を組み合わせることにより、銀の粒子状物質の分散が相乗的に改良され、印刷された線および/またはグラフィックスの導電率の実質的な増加を提供できる。さらに、スチレンアクリル共重合体と陰イオン性湿潤剤の組み合わせは、優れたグラフィックの再生、均一なレイ−ダウン、貯蔵安定性、適切なレオロジーおよび基体付着を与える導電性インキを生成する。重要なことには、本発明のインキは水性である、すなわち水が主要な溶剤/キャリヤであるので、インキは明瞭な環境上の利点を提供する。
【0014】
得られる導電性インキ組成物は、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、リソグラフィック捺染、凸版印刷、スプレー印刷、ブラシ塗布(ペインティング)、あるいはカーテンコーティングのような様々な技術によって基体に適用されることができる。好ましい印刷方法は、ロータリースクリーン、フレキソ印刷およびグラビア印刷のような高速印刷である。高速印刷適性は電気回路類およびアンテナの生産コストを低減するために重要である。しかしながら、例えば、RFIDアンテナにおいて使用されるタッチパッド回路類およびダイレクト−チップパッドのような、高機能用途でのエレクトロニクス産業によってしばしば要求される複雑な回路類パターンのために、そのような高速印刷の間に印刷の解像度が維持されることも重要である。
【0015】
本発明にかかる組成物のユニークな特性は、多種の用途での適用可能性を提供する。RFIDアンテナ構造での使用に加えて、本発明の組成物は動的または受動的な両方で使用される様々なアンテナ構造を構築するために使用することができる。本発明の組成物を使用するプリント回路図の形成は、タッチパッド、電子玩具、ディスプレイ、フレキシブルワイヤリングなどの器具における使用を可能とする。そのようなプリント回路を含んでいるアイテムとしてはコンピュータ、モニター、テレビ、および電気機器、自動車、組み立て工業のような広範な種々の産業において使用される自動化機械類があげられる。
【0016】
本発明の組成物のユニークな特性としては、インキ膜厚が5ミクロンあるいはより少ない組成物の乾燥被膜の表面粗さの、セルロース化合物に基づいた基体の表面の粗さに対する比率が、約1.5またはそれ以下であり、好ましくは約1.25またはそれ以下であることがあげられる。成分の任意の特定の組み合わせがどのような表面粗さ比率を提供するかは、基体上にインキをコーティングし、乾燥させ、ついでこのパラメータを測定することによ容易に決定できる。本発明の組成物は、さらに好ましくは約200ミリオーム/スクエア未満、好ましくは約150ミリオーム/スクエア未満、最も好ましくは約120ミリオーム/スクエア未満の導電性(シート抵抗)を提供する。
【0017】
本発明にかかる1つの組成物は以下を含む:
(a)導電性の粒子状物質;
(b)陰イオン性湿潤剤;
(c)スチレン/(メタ)アクリル共重合体またはそれらの塩、およびそれらと他の(メタ)アクリル共重合体樹脂あるいはそれらの塩とのブレンド;
(d)消泡剤;および
(e)水。
本発明における好ましい導電性の粒子は銀である。好ましくは、銀はフレークとして存在する。また、フレークは最も長い寸法(D90)が約100nmから50ミクロンであり、より好ましくは1ミクロンから20ミクロンの間であり、少なくとも5:1のアスペクト比を有する。他のサイズを使用することもできるが、粒子状物質はすべて一般に同じD90を有している。典型的に銀のフレークである粒子状物質の寸法は、溶剤の中に分散された粒子状物質の光散乱を使用して、通常決定される。あるいは、銀は球状の粒子状物質、顆粒状物質、ファイバー、粒あるいは小板の形をとることができる。少なくとも1つの直鎖カルボン酸あるいはその酸の塩で、粒子状物質は表面処理されることができる。
【0018】
しかしながら、他の導電性の金属粒子状物質、たとえば銅、金、ニッケル、炭素、黒鉛、銀合金、銀めっきされた金属、たとえば銀コーティングされた銅、銀コーティングされたニッケル、銀コーティングされたガラス、銀コーティングされたマイカ、ニッケルコーティングされた炭素、ニッケルコーティングされた黒鉛、またはこの技術分野において公知の他の導電性粒子状物質も本発明の組成物において使用できる。異なる態様では、典型的にはカーボンブラックまたは黒鉛の形態である炭素も、単独でまたは金属粒子状物質とともに使用できる。
【0019】
任意の公知の陰イオン界面活性剤、あるいは陰イオン界面活性剤の組み合わせを、本発明において使用することができる。有用な界面活性剤の非制限的例としては、公知のC11−18アルキルベンゼンスルフォネート(sulphonates)、式CH(CH(CHOSO)CHまたはCH(CH(CHOSO)CHCH、[式中xおよび(y+1)は、少なくとも約7の整数、好ましくは少なくとも約9であり、Mは水に可溶化するカチオンであり、特にナトリウムである]、を有するC10−18 2級(2,3)アルキルスルフェート、オレイルスルフェートのような不飽和スルフェート、C10−18アルキルアルコキシルカルボン酸塩(特にEO1−7 エトキシカルボキシレート)、C10−18グリセロールエーテル類、C10−18アルキルポリグリコシド類およびそれらの対応するスルフェート化ポリグリコシド類、およびC12−18アルファ−スルフォネート脂肪酸エステル類があげられる。
【0020】
他の陰イオン界面活性剤としては、石鹸の塩(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、および置換されたアンモニウム塩、たとえばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン塩)、C9−20直鎖アルキルベンゼンスルフォネート、C8−22一級または二級アルカンスルフォネート、C8−24オレフィンスルフォネート、スルフォン化ポリカルボン酸、アルキルグリセロールスルフォネート、脂肪アシグリセロールスルフォネート、脂肪オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノール・エチレンオキシド・エーテルスルフェート、パラフィンスルフォネート、アルキルリン酸塩、アシルイソチオネートのようなイソチオネート、N−アシルタウレート、メチルタウリドの脂肪酸アミド、アルキルスクシナメートおよびスルフォスクシネート、スルフォスクシネートのモノエステル(特には飽和および不飽和のC12−18モノエステル)、スルフォスクシネートのジエステル(特には飽和および不飽和のC6−14ジエステル)、N−アシルサルコシネート、アルキルポリサッカライドのスルフェート、たとえば、アルキルポリグルコシドのスルフェート、分岐鎖の一級アルキルスルフェート、アルキルポリエトキシカルボキシレート、たとえば式RO(CHCHO)CHCOO、[式中RはC8−22アルキルであり、kは0から10の整数であり、Mは可溶性の塩形成性の陽イオンである]、およびイセチオン酸でエステル化され、水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸があげられる。
【0021】
陰イオン性の湿潤剤の具体例としては、ジヘキシルスルフォスクシネート塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホスクシネート(sulfosuccinate)、ジオクチルスルホスクシネート塩、および表面湿潤剤/レベリング剤として使用されるイオン性のポリアクリレート共重合体があげられる。
【0022】
本発明においては任意の公知のスチレン−(メタ)アクリル共重合体、またはそれらの共重合体の組み合わせを使用することができる。スチレン共重合体は、スチレンあるいは置換されたスチレンとアクリレートまたはメタクリレートのいずれかと反応させることにより調製される。しばしば、スチレン共重合体はヒドロキシアルキルアクリレートとスチレンを反応させることにより調製される。そのようなヒドロキシアルキルアクリレートは、約25%以内の水酸基含有量、たとえば2から12重量%の含有量を有し、またアククリレートはアルキル基が脂肪族の1〜12の炭素原子を有するものを包含する。ヒドロキシアルキルアクリレートとしては、モノ−およびポリアクリレートまたはモノおよびポリ−メタアクリレート、たとえばモノ−またはポリヒドロキシアルキル ジ−およびトリ−アクリレートもしくはアルカアルキレート、たとえばメタアクリレートもしくはエタアクリレート、並びにハロゲン置換アクリレート、たとえば塩素もしくは臭素で置換されたモノ−またはポリ−ヒドロキシアルキルアクリレート、たとえばモノ−またはポリ−ヒドロキシアルキルクロロアクリレートもしくはヒドロキシクロロアルキルジアクリレートもしくはジアルカアクリレートがあげられる。これらの(メタ)アクリレートはアクリルあるいは置換されたアクリル酸のエステルとして記載され、例えば2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルクロロアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルエタクリレート、ヒドロキシブチルエタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルクロロアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルエタクリレート、3−ヒドロキシプロピルエタクリレート、3−ヒドロキシブチルクロロアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピル 2−クロロアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシエチル 2−クロロアクリレート、3−ヒドロキシブチル クロロメタアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル クロロメタアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシブチル クロロメタアクリレート、2−ヒドロキシエチル クロロエタクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル クロロメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピル クロロエタクリレート、2−ヒドロキシブチル ジクロロエタクリレート、2−ヒドロキシブチル クロロメタクリレート、3−ヒドロキシプロピル クロロメタアクリレート、3−ヒドロキシプロピル クロロエタクリレート、3−ヒドロキシヘキシル クロロメタアクリレート、3−ヒドロキシペンチル 2−クロロアクリレート、3−ヒドロキシブチル ブロモメタアクリレート、2−ヒドロキシブチル クロロメタアクリレート、4−ヒドロキシブチル 2−クロロエタクリレート、3−ヒドロキシペンチル 2−クロロエタクリレート、3−ヒドロキシプロピル 2−ブロモエタクリレート、4−ヒドロキシブチル 2−ブロモエタクリレート、5−ヒドロキシヘキシル メタアクリレート、6−ヒドロキシペンチル クロロメタアクリレート、および少なくとも1つの遊離アルコール水酸基を含んでいる様々な他のビニルあるいはアクリル酸エステル、例えばアクリル酸、メタアクリル酸またはエタクリル酸のモノ−あるいはポリ−ヒドロキシアクリルエステルがあげられる。
【0023】
使用できる他のアクリル酸エステルは、1つ以上の遊離の水酸基を持っており、ポリエチレングリコール・メタクリレート、ジエチレングリコール・メタクリレート、トリエチレングリコール・メタクリレート、テトラエチレングリコール・メタクリレート、ジプロピレングリコール・メタクリレート、テトラエチレングリコールクロロアクリレート、テトラエチレングリコール・アクリレート、テトラエチレングリコールジクロロアクリレート、グリセリン・メタクリレート、ペンタエリトリトール・メタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、トリメタロールエタンジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、グリセリン・アクリレート、ペンタエリトリトールモノアクリレート、トリメチロールエタンモノアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、トリメチロールエタンクロロアクリレート、トリメチロールプロパン・メタクリレート、トリメチロールブタン・メタクリレート、テトラメチレングリコールクロロアクリレート、トリエチレングリコール・メタクリレート、テトラエチレングリコール・アクリレート、ペンタエリトリトールジクロロアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールジメタアクリレート、ペンタエリトリトールメタアクリレートおよび様々な比率での任意の水酸基含有アクリル酸の組み合わせがあげられる。
【0024】
本発明において使用することができる営利上利用可能なスチレンアクリル共重合体の例としては、Joncryl 100、Joncryl 50、Joncryl 682、Joncryl 60、Joncryl 678、Joncryl 85(すべてジョンソンポリマー社製)、TruDot IJ−4680、Jonrez I−2620、Hyatop HS−2734、Hyatop 2720(すべてミードウエストバコ社製)、およびそれらの混合物があげられる。
【0025】
先の樹脂に加えて、他のアクリル樹脂もフィルムに柔軟性を加えるためにスチレンアクリル共重合体と組み合わせて使用することができる。
本発明で使用することができる営利上利用可能なアクリルの共重合体の例としてはJoneryl 142、Joneryl 91、Joneryl 85(すべてジョンソンポリマー社製)、Morcryl 132(ロームアンドハース社製)、Jonrez D−2153(ミードウエストバコ社製)、およびそれらの混合物があげられる。
【0026】
共重合体は好ましくは、水溶性を付与するために、または水溶性を増大させるために塩の形で使用される。適切な塩は、アンモニア、アミン、メタノールのようなアルコール、ナトリウムおよびカリウムのようなアルカリ金属等と形成することができる。水性樹脂溶液の形のアクリル共重合体を使用することが最も便利である。
【0027】
1つ以上の消泡剤が、組成物を調製するために混合する際に、および印刷中に、邪魔な泡の形成を回避するために使用される。任意の従来公知の消泡剤を使用することができる。非制限的な典型的な例としては、Surfynol(登録商標)DF−659、Surfynol(登録商標)DF−58、Surfynol(登録商標)DF−66(すべてエアープロダクツ社製)、Foammaster(登録商標)(ヘンケル社製)BYK(登録商標)−019、BYK(登録商標)−021、BYK(登録商標)−022、BYK(登録商標)−025(すべてByk Chemie社製)およびDee Fo 215、Dee Fo XRM−1547A(すべてウルトラアディティブズ(Ultra Additives)社製)があげられる。
【0028】
所望の場合には、アルコール、アミン、グリコール、アセテート、エーテル、ケトン、アルデヒド、アミドおよびそれらの混合物のような溶剤が、レオロジー、乾燥速度、貯蔵安定性を所望の通りに調整するか改良するために加えられることができる。
水は主要な溶剤のままである。
【0029】
本発明の組み合わせは、一般に約10から90%、好ましくは約40から75%、最も好ましくは約50から70%の導電性の粒子状物質;約0.01から6%、好ましくは約0.1から3%、最も好ましくは約0.5から2%の陰イオン性湿潤剤;約2から50%、好ましくは約2から20%、最も好ましくは約4から10%のスチレン/(メタ)アクリル共重合体;約0.01から4%、好ましくは約0.1から2%、最も好ましくは約0.2から1.5%の消泡剤;約10から80%、好ましくは約20から65%、最も好ましくは約25から35%の水;を含み、残部は上記の他の成分である。共重合体の水に対する比率は、好ましくは約4対1から1対8である。組成物も他の成分と組み合わせられるために濃縮物として提供されることができる。その場合、導電性の粒子状物質は、約20から95重量%、好ましくは約40から80重量%、より好ましくは約60から70重量%で存在し;スチレンアクリル共重合体は、約5から50重量%、好ましくは約6から45重量%、より好ましくは約7.5から30重量%で存在し;消泡剤は約0.05から5重量%、好ましくは約0.2から3重量%、より好ましくは約0.3から2重量%で存在し;また、陰イオン界面活性剤は、約0.01から5重量%、好ましくは約0.1から3重量%、より好ましくは約0.1から1.5重量%で存在する。濃縮物は、さらに他のインキ成分を含むことができる。他の公知の構成要素は導電性組成物中に存在することができる。それらとしては、粘度調節剤、乾燥遅延剤、流動性改良添加剤、接着促進剤およびレオロジー改良剤があげられる。これらおよび他の添加物は、単独で、または互いの様々な組合わせで使用されてもよい。
【0030】
組成物は多くの方法を使用して調製できる。組成物を生産する好ましい方法は、容器に様々な構成要素を加えて、高速ミキサーによって構成要素を混合し、完成組成物を形成することである。あるいは、アクリルの共重合体中へ導電性の粒子状物質(すなわち銀のフレーク)を高速混合機、ボールミル、3本ロールミル、押し出しなどにより分散し、ある場合には濃縮物を形成し、これに陰イオン性湿潤剤、消泡剤、水および他の溶剤を添加して完成組成物を形成することができる。
【0031】
組成物を基体に適用して導電性の層を形成する方法としては、コーティング、スプレー、印刷およびペインティングがあげられる。この組成物に適用可能な印刷技術としては、凸版活字印刷、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、グラビア印刷およびフレキソ印刷があげられる。直接または間接であるシリンダ印刷、たとえばフレキソ印刷は、好ましい。そして組成物がスクリーンを通過することを強要する方法は、可能であるが好ましくはない。組成物は、様々なタイプのセルロース性基体(すなわち紙、厚紙)、およびポリエステル、ポリプロピレンなどのようなプラスチックに適用できる。
【0032】
基体に一旦適用された組成物は当該技術分野で既知の多くの技術および方法を使用して乾燥することができる。印刷技術を使用して調製されたアイテムについては、プレスにIRドライヤー、強制熱風送風機、アニーリングローラあるいはマイクロ波装置を装備して、水溶剤を除去して、インキ層を硬化/アニールすることができる。あるいは、印刷されたアイテムは部分的にプレス上で乾燥され、ついで乾燥炉内に配置されるかまたは他の乾燥システムを通り、さらにインキを硬化/アニールすることができる。
【0033】
さらに本発明を例証するために、様々な実施例が以下に記載される。しかし、これらの実施例に記載される具体的な物質およびその量、並びに他の条件および詳細は、本発明を制限することを意図するものではない。部およびパーセンテージはすべて重量による。また、特記のない限り、温度はすべて摂氏度である。
【0034】
実施例1
【0035】
印刷された層の導電性に対する、スチレンアクリル共重合体に陰イオン性表面湿潤剤を加えることによる相乗効果を実証するために、様々な化学種の16の湿潤剤が、63%の銀フレーク(フェロ社製(Ferro))、26%のスチレン−アクリル共重合体樹脂(27重量%の樹脂、アンモニウム塩、ミードウエストバコ社製)、1%の消泡剤(ウルトラ アディティブズ社製)および10重量%の水を含む水性フレキソ印刷用導電性インキ配合物に加えられた。基本組成物に加えられた湿潤剤の量は、すべての場合に1.0−1.2%だった。得られたインキは、95Qのフレキソ印刷のハンドプルーファーを使用して、PETシートに塗布され、乾燥され、シート抵抗が測定された。ASP 4ポイントのプローブを備えたLoresto−EPの低抵抗率計が、ハンドプルーファーから切り出された2×4インチのサンプルのシート抵抗を測定するために使用された。
結果は表1に示される。
【0036】
【表1】

【0037】
観察されたように、陰イオン性湿潤剤の使用だけが導電性の著しい改良をもたらす。
他の湿潤剤の使用は、導電性における著しい改良を提供しなかったか、あるいは性能の低下(つまりより高い抵抗)に帰着した。
【0038】
実施例2
スチレンアクリル共重合体に陰イオン性湿潤剤を加えると、印刷されたインキの表面抵抗率の減少に帰着することをさらに例証するために、陰イオン性湿潤剤BYK 381およびHydropalat 875が、ジョンソンポリマー社製のスチレンアクリル共重合体に加えられた。実施例1でのように、ベース組成物は樹脂、銀フレーク、消泡剤および水を含有して調製され、陰イオン性湿潤剤はこの組成物に加えられた。インキ・ベースの組成は表2に示される。ベースは、10分間、毎分6,000回転で以下の構成要素をディスパーマツト(Dispermat)ミキサーで混合することにより調製された。
【0039】
【表2】

【0040】
表2のベース組成物に、1重量%のBYK 381が加えられた。その後、組成物は95Q ハンドプルーフを使用して、PET基体に塗布され乾燥され、シート抵抗を測定した。湿潤剤を含まないベース組成について得られた1.22オーム/スクエアのシート抵抗と比較して、BYK 381を含む組成物は、0.38オーム/スクエアのシート抵抗を有していた。2wt%のHydropalat 875が同じベース組成に加えられた時、乾燥フィルムのシート抵抗は0.83オーム/スクエアだった。これらの結果はさらに、スチレンアクリル樹脂/銀粒子状物質のコーティングへ、陰イオン性湿潤剤を加えた時の、乾燥フィルムの導電性に与える相乗効果を実証する。
【0041】
実施例3
次の例は、さらに本発明のインキの典型的な特性を例証する。水性の銀導電性インキは、10分間、毎分6,000回転で次の構成要素をディスパーマツトミキサーで混合することにより調製された。
【0042】
【表3】

【0043】
インキは、PET基体および紙基体に塗布され、3から5ミクロンの厚さの乾燥した層について0.12および0.10オーム/スクエアのシート抵抗値(つまり30〜60 マイクロオーム・cmの間の体積抵抗)を与えた。
【0044】
陰イオン性湿潤剤を含まないで配合された同じインキは、24−26秒の粘度を示し、乾燥後に0.25オーム/スクエア以上のシート抵抗値(つまり125 マイクロオーム・cm以上の体積抵抗)を示した。
【0045】
実施例4
【0046】
RFIDアンテナを印刷するための組成物の適合性を実証するために、UHF RFIDアンテナ・コンフィギュレーション(エイリアン「I」)が、実施例3のインキを使用して、60lbコート紙基体上にフレキソ印刷機を使用して印刷された。得られたアンテナは、エイリアン・テクノロジーズ社から、クラス1/Generation 1 UHF RFIDストラップ(チップは2つの伝導性パッドに取り付けられた)に、2−成分系銀エポキシ導電性接着剤で接続された。エイリアンALR9800リーダを使用して、得られたUHF RFIDタグは、3メートルを超える範囲で読み取ることができた。さらに、エイリアン・テクノロジーズ社からのEPC準拠のクラス1/Gen 2 UHF RFID ストラップが、印刷された「I」アンテナに付けられた。得られたアンテナは2メートルを超えて読み取り可能であり、短距離では毎秒約600の読取速度で読み取り可能であった。
【0047】
実施例5
【0048】
電子回路類の印刷用の本発明の組成物の高速および高解像度適応性をさらに例証するために、実施例3の組成物はシート抵抗測定用の長方形のグラフィックおよびインピン社からの「シン プロペラ(Thin Propeller)」UHF RFIDアンテナデザインを含んでいるフレキソ版を使用して、フレキソ印刷機中で150FPMで印刷された。「シン プロペラ」はダイレクト−チップアタッチメントのために設計されており、したがって300ミクロンだけ隔てられているコンタクトパッドを含んでいる。60lbコート紙に、ダイレクト−チップアタッチメントパッドが、パッド−パッド接触による回路のショートを有して、成功裡に印刷された。これらの印刷条件の下で測定されたシート抵抗は0.12オーム/スクエアだった。Impinj MonzaのEPC準拠のクラス1/Gen 2 UHF RFID集積回路チップが、エポキシ接着剤を使用して、ダイレクト−チップアタッチメント点で印刷された「シン プロペラ」アンテナに取り付けられた。得られたアンテナは、エイリアンALR9800リーダを使用して、約2メートルの距離で読まれた。
【0049】
実施例6
【0050】
さらに導電性のアンテナとRFID集積回路チップの直接の接続を要求しないRFIDアンテナを印刷するための組成物の適合性を実証するために、実験はタグシス RFIDからのAK カーネルシステムを使用して行なわれた。AKタグ・ウォームアップ・キット改訂版1.0(2006年2月)の図5(衣料品値札タグ)および図6(箱)に示したものと同様の設計のアンテナを使用し、アンテナがPET(Melinex 359)および60lbコート紙の両方の上に、例3のインキを使用して、フレキソ印刷機で印刷された。PETとコート紙の両方の上に印刷した図5に類似するアンテナ設計に付けられたAK カーネルは、エイリアンALR9800リーダを使用して約1メートルで読み取ることができ、また図6に類似するアンテナでは約3メートルで読み取ることができた。
【0051】
実施例7
他の技術によって適用される本発明の組成物の適用可能性をさらに例証するため、ディスパーマツトミキサーで20分間、毎分2000回転で混合して、表4の組成物が調製された。
【0052】
【表4】

表4の組成物は、Melinex ST505 PET基体上に、77Tスクリーンを使用して、トレーラースクリーンプリントされ、5分間120℃で乾燥された。乾いたインキ層は、厚さが約7ミクロンで、0.080オーム/スクエア(25ミクロンの厚さで22ミリオーム/スクエア)のシート抵抗を示した。したがって、この実施例で制作された印刷は、プリント回路基板あるいはHF/UHF RFIDアンテナ中の回路類のような様々な電子用途において使用することができる。
【0053】
実施例8
さらに本発明の組成物が銀以外のフレーク粒子状物質を含んでいるコーティングに適用可能であることを例証するために、スチレンアクリルのマトリックスに銀でコーティングされたガラスフレークを含む組成物が試験された。試験された組成物は、44.9%の銀でコーティングされたガラスフレーク(ポッターズ・インダストリーズ)、37.7%のスチレンアクリル共重合体樹脂(27wt%樹脂、アンモニウム塩、ミードウエストバコ社製)、0.2%の消泡剤(ウルトラアディティブズ社製)および16.5重量%の水を含み、ディスパーマツトミキサーで20分間、毎分2000回転で混合することにより調製された。この組成物に、様々な化学物質の湿潤剤の3.0重量%が加えられた(表5)。
【0054】
【表5】

【0055】
得られたインキは、95Qのフレキソ印刷のハンドプルーファーを使用して、PETシートに塗布され、乾燥され、シート抵抗が測定された。示されたように、陰イオン性湿潤剤は導電性において最大の改良をもたらした。他の湿潤剤は、導電性において小さな改良を示すかまたは性能の低下(つまり抵抗の増大)に帰着した。
【0056】
実施例9
【0057】
本発明の特徴的な小さな表面の粗さ特性を例証し、所望の表面粗さが適当な配合により達成されうることを示すために、コート紙(Appleton Coated社製の60lb C1s)上にフレキソ印刷によって印刷された実施例3のインキの表面の粗さが、滑らかな表面(およびしたがって印刷されたインキにより少ない粗さをもたらす)を有するコート紙の上にフレキソ印刷によって印刷された水性の銀インキの市販のサンプルの粗さと比較された。表面の粗さは、VSIモードを使用して2.5倍で増幅したWYKO NT1100 Optical Profiling System でスキャンされ、2回のスキャンの平均をとった。二乗和平均(RMS)粗さ(Rq)は、それぞれの印刷の異なる5箇所の点の平均をとることにより計算された。実施例3のインキでの印刷で得られた平均RMS粗さは、1.54ミクロンの粗さの基体で1.92ミクロンであり、印刷粗さの基体粗さとの比率は1.15だった。比較インキは、より小さい粗さ(1.27ミクロン)の基体上で2.95ミクロンのより大きな平均RMS粗さを与えた。印刷粗さの基体粗さへの比率は2.32だった。
【0058】
実施例10
【0059】
さらに本発明の低表面粗さ印刷を生成する能力を例証するために、実施例3のインキがフレキソ印刷によってプラスチック基体(デュポン社製、Melinex 359)上に印刷された。印刷のRMS粗さはわずか0.88ミクロンであった。基体の粗さは0.57ミクロンであり、印刷粗さの基体粗さへの比率は1.54だった。
【0060】
実施例11
【0061】
低い表面の粗さがUHF RFIDアンテナ読み取り範囲に持つ肯定的な影響を例証するために、実施例3のインキが様々な基体上にエイリアン”I”アンテナの形でフレキソ印刷によって印刷された。得られたアンテナは、エイリアン・テクノロジーズ社製のクラス 1/Generation 1 UHF RFID ストラップ(チップは2つの導電性のパッドに接続された)に、2−成分の銀エポキシの導電性の接着剤で接続された。得られたUHF RFIDタグは、エイリアンALR9800リーダを使用して、4メートルを超える範囲で検知できた。詳細は、下記の表6で述べられる。低い(1.15より小さい)基体粗さに対する印刷粗さと、測定されたアンテナの読み取り範囲との組み合わせは、コーティングされていない基体上にさえアンテナとして機能する均一な導電性の層を生成する本発明のユニークな能力を示す。
【0062】
【表6】

【0063】
本発明はそれの特定の実施態様に関して記載されたが、その精神および範囲から外れずに、多くの変更、修正および変化を行なうことができることは明白である。
従って、それは、明細書に記載された精神および広い範囲以内にあるような変更、修正および変化をすべて包含するように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性の導電性組成物であって、乾燥した時に、セルロース質基体上の5ミクロン以下の層が、該相の表面粗さの基体の表面粗さに対する比率が1.5以下の値を有する、導電性組成物。
【請求項2】
乾燥して5ミクロン以下の膜厚を有する場合に、200ミリオーム/スクエア以下のシート抵抗を有する、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項3】
乾燥した場合に、少なくとも3メートルのRFIDアンテナの読み取り範囲を有する、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項4】
(a)導電性の粒子状物質
(b)スチレン/(メタ)アクリル共重合体
(c)陰イオン性湿潤剤
(d)消泡剤、および
(e)水を含む、導電性組成物。
【請求項5】
導電性の粒子状物質は銀を含む、請求項4記載の導電性組成物。
【請求項6】
前記の銀の粒子状物質の最長の寸法が約100nmから50マイクロメートルである、請求項5記載の導電性組成物。
【請求項7】
前記の銀の粒子状物質の最長の寸法が約1マイクロメートルから20マイクロメートルである、請求項6記載の導電性組成物。
【請求項8】
スチレン/(メタ)アクリル共重合体は、スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体であり、任意に部分的に加水分解されているかまたは塩とされている、請求項4記載の導電性組成物。
【請求項9】
共重合体の水に対する比率が4対1から1対8までである、請求項4記載の導電性組成物。
【請求項10】
スチレン/(メタ)アクリル共重合体がアルキルアクリレート共重合体とのブレンドを含む、請求項4記載の導電性組成物。
【請求項11】
アルキル基部分がエチル、プロピル、ブチルおよびヘキシルの少なくとも1つを含む、請求項10記載の導電性組成物。
【請求項12】
陰イオン性湿潤剤が、アルカリスルフォスクシネート、アルカリスルホスクシネートおよび陰イオン性ポリアクリレート共重合体からなる群から選択される、請求項4記載の導電性組成物。
【請求項13】
陰イオン性湿潤剤が、ジヘキシルスルフォスクシネート塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホスクシネート塩およびジオクチルスルホスクシネート塩からなる群から選択される、請求項4記載の導電性組成物。
【請求項14】
アルコール、アミン、グリコール、アセテート、エーテル、ケトン、アルデヒドおよびアミドからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤をさらに含む、請求項4記載の導電性組成物。
【請求項15】
重量で、銀は組成物の約10から90%であり、該共重合体は約2から50%であり、消泡剤は約0.01から4%であり、陰イオン性湿潤剤は約0.01から6%である、請求項5記載の導電性組成物。
【請求項16】
重量で、銀は組成物の約40から75%であり、該共重合体は約2から20%であり、消泡剤は約0.1から2%であり、陰イオン性湿潤剤は約0.1から3%である、請求項15記載の導電性組成物。
【請求項17】
重量で、銀は組成物の約50から70%であり、該共重合体は約4から10%であり、消泡剤は約0.2から1.5%であり、陰イオン性湿潤剤は約0.5から2%である、請求項16記載の導電性組成物。
【請求項18】
前記銀の粒子状物質の最長の寸法は約100nmから50マイクロメートルであり、該スチレン/(メタ)アクリル共重合体はスチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体であり、任意に部分的に加水分解されたか塩とされ;
陰イオン性湿潤剤は、アルカリスルフォスクシネート、アルカリスルホスクシネートおよび陰イオン性ポリアクリレート共重合体からなる群から選択され;
共重合体の水に対する比率が4対1から1対8までであり;
組成物は約10から40秒の範囲のザーンカップ#3粘度を有する、請求項14記載の導電性組成物。
【請求項19】
約10から40秒の範囲のザーンカップ#3粘度を有する、請求項4記載の導電性組成物。
【請求項20】
導電性の粒子状物質は、銅、金、ニッケル、炭素、黒鉛、銀合金、銀コーティングされた金属、銀コーティングされたガラス、銀コーティングされた雲母、銀コーティングされた黒鉛、ニッケルコーティングされた炭素、およびニッケルコーティングされた黒鉛からなる群から選択される少なくとも1つの要素である、請求項4記載の導電性組成物。
【請求項21】
基体上に請求項1から4のいずれか1項記載の導電性組成物を適用し、組成物を乾燥することを含む、基体上に導体パターンを形成する方法。
【請求項22】
前記の組成物はコーティング、スプレー、ペインティングまたは印刷によって適用される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記の組成物が、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、グラビア印刷またはとっ版印刷によって適用される、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記の組成物はフレキソ印刷によって適用される、請求項21記載の方法。
【請求項25】
組成物が適用され、約500マイクロメートル未満の間隔を有するグラフィックスを提供する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
組成物が適用され、約300マイクロメートル未満の間隔を有するグラフィックスを提供する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記の組成物は、乾燥後に、乾燥した組成物が約120マイクロオームcm以下の体積抵抗を有するに十分な量で適用される、請求項21記載の方法。
【請求項28】
前記の組成物は、乾燥後に、乾燥した組成物が約60マイクロオームcm以下の体積抵抗を有するに十分な量で適用される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記の組成物は、アンテナの形態で前記の基体上に適用される、請求項21記載の方法。
【請求項30】
前記の組成物は、RFIDアンテナの形態で前記の基体上に適用される、請求項21記載の方法。
【請求項31】
前記の組成物は、少なくとも800MHzの周波数範囲で作動するように設計されたRFIDアンテナの形態で前記の基体上に適用される、請求項30記載の方法。
【請求項32】
RFID集積回路チップが、チップとの直接接続、RFIDストラップ接続、またはスペース・カップリングによってRFIDアンテナと接続される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
RFID集積回路チップはEPC クラス1 UHF RFID準拠である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記の基体上に前記の組成物が適用され、印刷回路を形成する、請求項21記載の方法。
【請求項35】
前記の基体はセルロース質基体である、請求項21記載の方法。
【請求項36】
前記のセルロース質基体は、コート紙、非コート紙、熱転写紙、直接感熱紙、コーティングされた厚紙、コーティングされていない厚紙、プライム非コーティング厚紙、クラフト紙、フルート紙(fluted paper)、およびまだら色紙(mottled paper)からなる群から選択される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記の基体はプラスチックである、請求項21記載の方法。
【請求項38】
前記の基体はポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、セルロース系エステル(例えば酢酸セルロースなど)、ポリスチレンおよびスチレン共重合体からなる群から選択される、請求項34記載の方法。
【請求項39】
基体は金属酸化物でコーティングされたプラスチックである、請求項21記載の方法。
【請求項40】
請求項4記載の組成物と組み合わされた基体を含む物品。
【請求項41】
基体は850MHz以上で作動するRFIDチップ・モジュールを有し、前記組成物が、該モジュールに接続されたアンテナの形態をしている、請求項40記載の物品。
【請求項42】
RFIDチップ・モジュールが導電性の結合を使用せずにアンテナに接続される、請求項40記載の物品。
【請求項43】
組成物が電磁気的遮蔽あるいは基体上のコーティングとして配置される、請求項40記載の物品。
【請求項44】
前記の組成物が不連続なパターンとして配置される、請求項40記載の物品。
【請求項45】
前記の組成物が電解金属メッキのための初期層として配置される、請求項40記載の物品。

【公表番号】特表2010−503181(P2010−503181A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527580(P2009−527580)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/077859
【国際公開番号】WO2008/031015
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(596024024)サン・ケミカル・コーポレーション (39)
【Fターム(参考)】