説明

高撥水性組成物

【課題】基材表面に微細な凹凸構造をわざわざ設けたり、フッ素系材料で複合化する等の手法をとることなく、単に基材に本組成物を塗工又は浸漬し乾燥することで簡単に超撥水性〜高撥水性を有する表面を付与する組成物を提供すること。
【解決手段】モノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料と、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムと揮発性溶媒を配合しており、かつ揮発性溶媒を除く組成物質量に対してモノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の配合質量が40〜80質量%の範囲にある高撥水性組成物を用いることにより超撥水性〜高撥水性の特徴を有する表面を得ることが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単純に基材に本組成物を塗工又は浸漬し乾燥するのみで簡単に超撥水性〜高撥水性の特徴を有する表面を付与する組成物に関する。
さらに詳しくは、本発明は、モノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料と、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムと揮発性溶媒を配合しており、かつ揮発性溶媒を除く組成物質量に対してモノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の配合質量が40〜80質量%の範囲にあることを特徴とする高撥水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高撥水性の塗膜を形成する材料に撥水性の微粒子を配合することは良く行われている。例えば、特許文献1には、ポリマー成分と撥水性微粒子とが均一に混合された混合体の表面に、レーザーを照射してレーザーアブレーションを行うと、レーザーが照射された表面及びその付近のポリマー成分が除去して、撥水性微粒子による凹凸面が表面に露出することにより、優れた撥水性を発揮することができ、しかも該高撥水性を安定して長期間に亘り維持することができる高撥水性構造体についての技術が開示されている。また、特許文献2には、表面が均一にフッ素化された金属酸化物の粒子(A)とシリコーン樹脂(B)と摩擦係数減少剤(C)を必須成分として含有することを特徴とする撥水性塗料についての技術が開示されている。
一方、非特許文献1には各種の液状シリコーンゴムについての記載がある。液状シリコーンゴムは耐熱性、作業性、接着性に優れるため、自動車やシーリング剤など多くの産業分野で広く使われていることが判る。特許文献3には微粒子二酸化チタンの用途としてシリコーンゴムに添加することが記載されている。特許文献4には付加重合型のシリコーン組成物中に酸化カルシウム微粉末又は水酸化カルシウム微粉末を10〜40重量部配合することで、劣化した潤滑油中でも高い安定性を示す潤滑油シール用液状シリコーンゴム組成物が示されている。特許文献5は(A)アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン生ゴム(B)微粉末シリカ(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(D)アルキル系有機過酸化物(E)白金系触媒を含有する熱可塑性樹脂から構成される球状微粒子触媒からなることを特徴とする電線被覆用シリコーンゴム組成物に関して、オルガノポリシロキサン生ゴム100重量部に対して微粉末シリカ10〜100重量部と高濃度で配合されうるものが示されている。特許文献6にはシリコーンゴムに対する耐熱性材料によって粒子表面が被覆されていることを特徴とする耐熱性シリカ微粒子において、シリコーンゴム100重量部に対して耐熱性シリカ微粒子の含有量が10〜60重量部である記載がある。
【0003】
【特許文献1】特開2005-179441号公報
【特許文献2】特開2001-106973号公報
【特許文献3】特開2006-265094号公報
【特許文献4】特許第3522901号公報
【特許文献5】特開平5-5062号公報
【特許文献6】特開2002-161168号公報
【非特許文献1】伊藤邦雄編「シリコーンハンドブック」第10章液状シリコーンゴム、日刊工業新聞社(1990年8月31日発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、微粒子を配合することはあっても、高撥水性を得るためには、他にレーザーや金型などを併用して凹凸構造を形成したり、フッ素系材料を用いて塗膜の撥水性を向上させたり、また、それらを組み合わせて用いたりする技術が多用されており、特定の表面処理を行った微粒子顔料を極めて高濃度に配合することのみにより超撥水性〜高撥水性の塗膜が得られることは知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに対して本発明者らは、微粒子顔料の分散安定性に優れ、かつ撥水性が高い表面処理剤であるモノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料と、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムと揮発性溶媒を配合しており、かつ揮発性溶媒を除く組成物質量に対してモノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の配合質量を40〜80質量%という極めて高濃度の範囲にすることで、微細な凹凸構造をわざわざ設けたり、フッ素系材料で複合化するなどの手法をとらなくても、単純に材料に本組成物を塗工又は浸漬して乾燥するのみで簡単に超撥水性〜高撥水性の特徴を付与することが可能であることを見いだした。
【0006】
本願に記載された発明は、以下の第1の発明〜第5の発明(以下、特に断りない限り「本発明」という)よりなる。
【0007】
本願の第1の発明は、モノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料の1種以上と、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムから選ばれるシリコーン系化合物の1種以上と揮発性溶媒とからなる撥水性組成物であって、揮発性溶媒を除く組成物質量におけるモノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の配合質量が40〜80質量%の範囲にあることを特徴とする高撥水性組成物である。
【0008】
本願の第2の発明は、シリコーン樹脂が、平均式RnSiO(4-n)/2(式中、Rが炭素数1〜30の置換又は非置換の直鎖又は分岐したアルキル基、フェニル基、アミノ基、ポリエーテル基、糖誘導体、グリセリル基、ポリグリセリル基、トリフルオロプロピル基、パーフルオロアルキル基を有する有機基であり、かつnの平均数が1〜1.8の範囲である)であることを特徴とする第1の発明に記載の高撥水性組成物である。
【0009】
本願の第3の発明は、液状シリコーンゴムが、縮合型液状シリコーンゴムから選ばれることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の高撥水性組成物である。
【0010】
本願の第4の発明は、モノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料の1種以上を、分散された状態で含む液状〜ペースト状の形態を有する第一の組成物と、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムから選ばれるシリコーン系化合物の1種以上を含む第二の組成物を使用時に混合して高撥水性組成物とすることを特徴とする第1の発明〜第3の発明の高撥水性組成物である。
【0011】
本願の第5の発明は、高撥水性組成物が塗料、インク、コーティング剤又はシーラントであることを特徴とする第1の発明〜第4の発明の高撥水性組成物である。
また、本発明には、微粒子顔料100質量部に対して、モノオクチルシランを1〜20質量部の範囲で表面処理した微粒子顔料を用いることを特徴とする高撥水性組成物の発明も含まれる。
さらに、本発明には、揮発性溶媒が、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムとの相溶性の良い溶媒であり、かつモノオクチルシランで表面処理した微粒子顔料の分散性にすぐれたものである揮発性溶媒を配合することを特徴とする高撥水性組成物の発明も含まれる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明するように、本発明の高撥水性組成物では、微粒子の分散安定性に優れ、かつ撥水性が高い表面処理であるモノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料と、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムと揮発性溶媒を配合しており、かつ揮発性溶媒を除く組成物質量に対してモノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の配合質量を40〜80質量%という極めて高濃度の範囲の組成物にすることで、微細な凹凸構造をわざわざ設けたり、フッ素系材料で複合化するなどの手法をとらなくても、単純に材料に本組成物を塗工又は浸漬して乾燥するのみで簡単に超撥水性〜高撥水性の特徴を付与することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、上記本願第1〜第5の発明を詳細に説明する。
本発明は、モノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料と、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムと揮発性溶媒を配合しており、かつ揮発性溶媒を除く組成物質量に対してモノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の配合質量が40〜80質量%の範囲にある高撥水性組成物であることが第一の特徴である。
【0014】
ここでモノオクチルシランとしては、一般式RSi(R')3の構造(但し、Rはオクチル基、R'基はメチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどの炭素数1〜6のアルキル基のアルコキシ体又は塩素などのハロゲンから選ばれる基)で示される化合物を示す。この中、安全性、処理の均一性、供給安定性からエトキシ基が最も好ましい。表面処理の方法としては、例えば微粒子顔料と上記モノオクチルシランを乾式混合し加熱処理する方法、微粒子顔料とモノオクチルシランを溶剤などの添加により湿式混合し、溶媒除去し加熱処理する方法や、微粒子顔料とモノオクチルシランを溶剤などの添加により湿式混合し、噴霧乾燥する方法などが挙げられる。特に湿式混合時にロールミル、ビーズミルなどの微粉砕が可能な分散装置を用いて微粒子の凝集塊を砕く方法を用いると、より均一な処理が可能となるので好ましい。
【0015】
微粒子顔料をモノオクチルシランに表面処理する場合の処理量としては、微粒子顔料の質量100質量部に対して、モノオクチルシランの質量が1〜20質量部の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは2〜15質量部である。尚、微粒子顔料に対する表面処理量は微粒子顔料の比表面積に依存するので上記のモノオクチルシランの質量部はあくまで一般的な値である。
【0016】
本発明で用いる微粒子顔料は、一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にあることを特徴とする。一次粒子径が1nm未満では組成物粘度が高くなりすぎる問題があり、塗工がうまくできないことから好ましくなく、一次粒子径が15μmを超えると、撥水性の向上が期待しにくくなる問題がある。一次粒子径の評価方法としては、電子顕微鏡観察によるものを用いることが好ましい。微粒子顔料の形態としては、球状、不定形状、紡錘状、棒状、板状などが挙げられるが、特に球状、不定形状、紡錘状の形態を持ったものが好ましい。微粒子顔料の粒度分布は広くても狭くても特に限定されない。本発明で用いる微粒子顔料は、有機系、無機系顔料のいずれでも問題なく、白色、有色の差は問わない。
【0017】
本発明で用いる微粒子顔料の例としては、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、12ナイロンや6ナイロン等のナイロンパウダー、ポリアクリルパウダー、ポリアクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成有機粉末等;パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、酸化チタン・酸化鉄被覆マイカ等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる顔料が挙げられる。本発明ではこれらの微粒子顔料の1種以上から選ばれるものが適宜使用可能である。この中、特に一次粒子径が5〜50nmの範囲にある酸化チタン、酸化亜鉛、無水珪酸のモノオクチルシランで表面処理した微粒子顔料が撥水性の向上効果の高いことから好ましい。
【0018】
本発明で用いるシリコーン樹脂としては、例えばRRRSiO0.5単位(M単位)、RRSiO単位(D単位)、RSiO1.5単位(T単位)、SiO単位(Q単位)を有し、平均式:RnSiO(4-n)/2 で表すことのできるものが挙げられ、好ましくは、上式において、nの平均数が1〜1.8の範囲に入るものが用いられる。ここで、Rは好ましくは炭素数1〜30の置換又は非置換の直鎖又は分岐したアルキル基、フェニル基、及びアミノ基、ポリエーテル基、糖誘導体、グリセリル基、ポリグリセリル基、トリフルオロプロピル基、パーフルオロアルキル基を有する有機基を示し、Rは総てが同じでも異なっていても構わない。また、他のシリコーン系樹脂化合物としては、トリメチルシリルプルラン等のシリコーン変性プルランやアクリルシリコーン共重合樹脂等のシリコーン系樹脂化合物が挙げられる。これらのうち特に、アクリルシリコーン共重合樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸(MQレジン)、ジメチルシロキシ基含有トリメチルシロキシケイ酸(MDQレジン)が使用性に優れていることから好ましい。また、これらのシリコーン樹脂は、有機チタネート等の触媒を組成物中に配合して、後工程での加熱や紫外線照射、電子線照射により架橋・硬化させることも可能である。本発明で用いるシリコーン樹脂の配合量としては、組成物の質量100質量部に対して、0.1〜25質量部の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは1〜15質量部の範囲である。
【0019】
本発明で用いる液状シリコーンゴムとしては、縮合型液状シリコーンゴム、付加型液状シリコーンゴムが挙げられるが、反応時に水素ガスの発生がない縮合型シリコーンゴムが安全性上好ましい。縮合型液状シリコーンゴムとしては、一液型、二液型があるが、作業性が良い一液型が好ましい。液状シリコーンゴムは加熱重合してもしなくても構わないが、作業が容易な常温硬化型の液状シリコーンゴムが好ましい。縮合型液状シリコーンゴムは、硬化機構により、酢酸型、アルコール型、オキシム型、アミド型、アミノキシ型、アセトン型、脱水型などが挙げられるが特に限定されない。本発明で用いる液状シリコーンゴムはビニルメチルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、ビニル基含有シリコーンレジン、ビニルフェニルメチル線状シロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーン類、過酸化ベンゾイル、第三級ブチルパーオキサイド、硫黄、アルコキシシラン、エチルチタネート、ブチルチタネート等の有機チタネート等各種の成分を含んでいて構わない。
【0020】
本発明で用いる揮発性溶媒は、モノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の分散性が良好で、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムとの相溶性の良い溶媒が好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、環状シリコーン、メチルトリメチコン、揮発性直鎖状ジメチルポリシロキサン等の揮発性シリコーン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アセトン、石油エーテル、LPG、イソドデカン、プロパン、ブタン、イソパラフィン等の石油系材料、テルペン類等の天然系成分、N−メチルピロリドン、フルオロカーボン、代替フロン類、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。この中、作業時の人体への安全性の理由から、特にエタノール、イソプロパノール、揮発性シリコーンの1種以上から選ばれることが好ましい。本発明で用いる揮発性溶媒の配合量は、組成物の質量100質量部に対して、0.1〜99質量部の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは30〜90質量部の範囲である。揮発性溶媒の配合量が0.1質量部未満では、微粒子顔料を含有する組成物の溶液粘度が高くなり過ぎ、皮膜形成を均一に調整することが難しく、塗工に問題が生じる。また、99質量部を超えると、揮発性溶媒が蒸発した後の皮膜が薄くなり過ぎ、塗膜強度が不足する問題が生じる。
【0021】
本発明の高撥水性組成物は、上記の各成分以外にフィラー、油剤、防腐剤、防カビ剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、光増感剤、重合開始剤等の成分を適宜使用することができる。
【0022】
本発明の高撥水性組成物は、上記各成分を配合した段階で、揮発性溶媒を除く成分の組成物質量に対してモノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の配合質量が40〜80質量%の範囲にある。微粒子顔料の配合量が40質量部未満であると、撥水性が低下する問題があり、80質量%を超えると組成物粘度が上昇しすぎたり、揮発性溶媒が揮発する際に微粒子顔料の凝集が発生して塗膜表面に割れやムラが発生したりする問題がある。
また、本発明で言う高撥水性の定義としては、塗膜の精製水に対する接触角を測定した場合に、接触角が135度以上、より好ましくは140度以上の超撥水性の領域を示すことである。接触角の測定方法としては、市販の接触角測定装置を用いることが好ましく、例えば協和界面科学社製接触角測定装置DM500型等が例示される。本発明で言うところの接触角は、水滴を測定試料に接触させてから10秒以内に測定された接触角を用いることが好ましい。10秒以上経過すると、表面の濡れなど不確定要因が増えて、定量的な結果が得られにくくなる場合がある。
【0023】
本発明で用いる高撥水性組成物の製造方法としては、上記の各成分をミキサー等の混合装置で混合することによって得られる。また、微粒子顔料については、一次粒子径が小さく、1nm〜100nmの範囲にある顔料を用いる場合では、微粒子顔料を事前にサンドミルやビーズミル、ロールミル等を用いて揮発性溶媒等に高分散させる処理をしておくことが好ましい。また、これら凝集性の高い微粒子顔料を粉末の形態で配合する場合では、微粒子顔料の表面を表面処理剤で表面処理して分散安定性を高めたものを用いる方法、界面活性剤を用いて微粒子顔料の分散安定性を高める方法等、機械的な分散力を用いる方法を組み合わせて使用することが好ましい。機械的な分散力を用いて上記の各成分を混合する際にアトライタ、ビーズミル等、微粒子顔料に高分散がかけられる装置を用いる工程を導入することが好ましい。微粒子顔料を用いる場合では、機械的な分散をかけた方がより優れた撥水性が得られるメリットがある。
【0024】
本発明の高撥水性組成物は、上記のような成分から形成された高撥水性組成物であるし、また、モノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料の1種以上を、分散された状態で含む液状〜ペースト状の形態を有する第一の組成物と、シリコーン樹脂及び/または液状シリコーンゴムから選ばれるシリコーン系化合物の1種以上を含む第二の組成物として製造され、使用時に混合して高撥水性組成物を形成することも可能である。
ここで、上記の分散された状態とは、溶剤又は油剤中にモノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料が機械的に分散された状態、もしくは振とうや攪拌により容易または比較的容易に上記微粒子顔料が再分散する状態のことを言う。機械的に分散する方法としては、例えばホモミキサー、ミキサー、ディスパー、ホモジナイザー、ロールミル、ペイントシェーカー、アトライター、ビーズミル、超音波分散機等の分散装置または粉砕装置を用いる方法が挙げられる。この際に界面活性剤、増粘剤、分散安定剤等を同時に配合することも可能である。また、油剤を用いる場合では、エステル油、シリコーン油、乾性油、鉱物油等各種の油剤を使用することができるが、特にモノオクチルシランとの相性に優れるシリコーン系油剤が好ましい。
【0025】
本発明で用いる高撥水性組成物の使用方法としては、組成物をスプレー等を用いて噴霧する方法、ハケやアプリケーター等により塗工する方法、塗工される材料を組成物中に浸漬する方法、スピンコーター等の装置により薄膜化する方法等が挙げられる。また、塗工後、必要に応じて加熱処理したり、光照射、減圧処理や紫外線照射、電子線照射したりすることも可能である。
【0026】
本発明で用いる高撥水性組成物の用途としては、例えば塗料、インキ、接着剤、コーティング剤、シーラント等が挙げられるが、特に塗料、インキ用、コーティング剤、シーラント等に適している。
【0027】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例で用いた基材表面に塗工された表面の撥水性に対する評価方法を以下に示す。
<接触角の評価方法>
接触角測定装置(協和界面科学社製 DM500型接触角測定装置)を用いて大気中で精製水を基材表面に滴下し、基材と水滴とを接触させた直後のデータから接触角を求めた。
【実施例1】
【0028】
平均一次粒子径11μmのシリカをオクチルトリメトキシシランにて10質量%濃度にて表面処理した。これをビーズミルの一種であるサンドミル中で、揮発性溶媒の環状シリコーンの一種であるデカメチルシクロペンタシロキサン中に顔料濃度が25質量%となるように分散させ、スラリーを得た。シリコーン樹脂の一種であるトリメチルシロキシケイ酸の50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液と上記スラリーを、オクチルシリル化シリカとトリメチルシロキシケイ酸の質量比にて、5:5の比率になるように混合し、ここにさらにデカメチルシクロペンタシロキサンを前記混合液の1/3の質量分を加えて良く攪拌し高撥水性組成物を得た。この高撥水性組成物をガラス板にスピンコーターを用いて、4000回転/分の回転速度で40秒間処理し塗工した後、60℃にて充分に乾燥させた。
【実施例2】
【0029】
実施例1のオクチルシリル化シリカとトリメチルシロキシケイ酸の混合質量比を8:2に変更し、さらにデカメチルシクロペンタシロキサンを同混合液の0.11倍の質量分さらに加えて良く攪拌した以外は全て実施例1と同様にして処理を行った。
【0030】
〔比較例1〕
実施例1のオクチルシリル化シリカとトリメチルシロキシケイ酸の混合質量比を2:8に変更し、さらにデカメチルシクロペンタシロキサンを同混合液の0.67倍の質量分だけ加えて良く攪拌した以外は全て実施例1と同様にして処理を行った。
【0031】
実施例1(平均一次粒子径11μmのオクチルシリル化シリカの使用例)、2(同)、比較例1(同)の塗膜の精製水に対する大気中での接触角を測定したところ、それぞれ表1に示す結果となった。
【0032】
【表1】

【0033】
表1の結果から、実施例1、2で得られた塗膜表面では、140度以上の超撥水性を示すのに対して、オクチルシリル化シリカ処理微粒子顔料が20質量%の比較例1は、撥水性がないとは言えないが、接触角が満足すべきものではなかったことが判る。
【実施例3】
【0034】
平均一次粒子径5nmのシリカをオクチルトリエトキシシランにて10質量%濃度にて表面処理した。これをビーズミルの一種であるサンドミル中で、揮発性溶媒の環状シリコーンの一種であるデカメチルシクロペンタシロキサン中に顔料濃度が10質量%となるように分散させ、スラリーを得た。シリコーン樹脂の一種であるトリメチルシロキシケイ酸の50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液と上記スラリーを、オクチルシリル化シリカとトリメチルシロキシケイ酸の質量比にて、6:4の比率になるように混合し、ここにさらにエタノールを前記混合液の1.78倍の質量分加えて、良く攪拌し高撥水性組成物を得た。この高撥水性組成物をガラス板に0.1ミリインチのアプリケーターを用いて塗工した後、60℃にて充分に乾燥させた。
【0035】
〔比較例2〕
実施例3のオクチルシリル化シリカとトリメチルシロキシケイ酸の混合質量比を、2.9:7.1の比率になるように混合し、ここにさらにエタノールを前記混合液の2倍の質量分を加えて良く攪拌した以外は全て実施例3と同様にして処理を行った。
【0036】
実施例3(平均一次粒子径5nmのオクチルシリル化シリカの使用例)、比較例2(同)の塗膜表面の大気中での精製水に対する接触角を測定したところ、それぞれ表2に示す結果となった。
【0037】
【表2】

【0038】
表2の結果から、実施例3においては、塗膜表面が接触角140度以上の超撥水性を示すのに対して、オクチルシリル化シリカ処理微粒子顔料が29質量%の比較例2では接触角が低く、撥水性がやや劣ることが判る。
【実施例4】
【0039】
平均一次粒子径0.25μmのシリカをオクチルトリエトキシシランにて10質量%濃度にて表面処理した。これをビーズミルの一種であるサンドミル中で、揮発性溶媒の環状シリコーンの一種であるデカメチルシクロペンタシロキサン中に顔料濃度が50質量%となるように分散させ、スラリーを得た。シリコーン樹脂の一種であるジメチルポリシロキサン・トリメチルシロキシケイ酸共重合体の50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液と上記スラリーを、オクチルシリル化シリカとジメチルポリシロキサン・トリメチルシロキシケイ酸共重合体の質量比にて、8.9:1.1の比率になるように混合し、ここにさらにデカメチルシクロペンタシロキサンを前記混合液の1.5倍の質量分加えて良く攪拌し高撥水性組成物を得た。この高撥水性組成物をガラス板に0.1ミリインチのアプリケーターを用いて塗工した後、60℃にて十分に乾燥させた。
【0040】
〔比較例3〕
実施例4のオクチルシリル化シリカとジメチルポリシロキサン・トリメチルシロキシケイ酸共重合体の混合質量比を、3.3:6.7の比率になるように混合し、ここにさらにデカメチルシクロペンタシロキサンを前記混合液の0.67倍の質量分を加えて良く攪拌した以外は全て実施例4と同様にして処理を行った。
【0041】
実施例4(平均一次粒子径0.25μmのオクチルシリル化シリカの使用例)、比較例3(同)の塗膜表面の大気中での精製水に対する接触角を測定したところ、それぞれ表3に示す結果となった。
【0042】
【表3】

【0043】
表3の結果から、実施例4では、塗膜表面における精製水の接触角が135度以上の高い撥水性を示すのに対して、オクチルシリル化シリカ処理微粒子顔料が33質量%の比較例3では接触角が低く、劣ることが判る。
【実施例5】
【0044】
平均一次粒子径35nmのシリカ・アルミナ処理酸化チタンをさらにオクチルトリエトキシシランにて10質量%濃度にて表面処理した。これをビーズミルの一種であるサンドミル中で、揮発性溶媒の環状シリコーンの一種であるデカメチルシクロペンタシロキサン中に顔料濃度が40質量%となるように分散させ、スラリーを得た。シリコーン樹脂の一種であるトリメチルシロキシケイ酸の50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液と上記スラリーを、オクチルシリル化酸化チタンとトリメチルシロキシケイ酸共重合体の質量比にて、8.7:1.3の比率になるように混合し、ここにさらにデカメチルシクロペンタシロキサンを前記混合液の1.8倍の質量分加えて良く攪拌し高撥水性組成物を得た。この高撥水性組成物をガラス板にスピンコーターを用いて、2000回転/分の回転速度で40秒間処理し塗工した後、60℃にて充分に乾燥させた。
【0045】
〔比較例4〕
実施例5のオクチルシリル化酸化チタンとトリメチルシロキシケイ酸の混合質量比を、2.7:7.3の比率になるように混合し、ここにさらにデカメチルシクロペンタシロキサンを前記混合液の3.2倍の質量分加えて、良く攪拌した以外は全て実施例5と同様にして処理を行った。
【0046】
実施例5(平均一次粒子径35nmのオクチルシリル化酸化チタンの使用例)、比較例4(同)における塗膜の精製水に対する接触角を測定したところ、それぞれ表4に示す結果となった。
【0047】
【表4】

【0048】
表4の結果から、実施例5においては、塗膜表面は精製水の接触角が140度以上の超撥水性を示すのに対して、オクチルシリル化シリカ処理微粒子顔料が27質量%の比較例4は接触角が低く、撥水性に劣ることが判る。
【実施例6】
【0049】
実施例5の高撥水性組成物を用い、金属製立方体を浸漬し、取り出した後、60℃にて良く乾燥した。この金属製立方体は極めて高い撥水性を示した。
【実施例7】
【0050】
実施例5の高撥水性組成物を用い、ハケを用いて樹脂板に塗工した後、60℃にて良く乾燥した。この樹脂板は超撥水性を示した。
【実施例8】
【0051】
平均一次粒子径35nmのシリカ・アルミナ処理酸化チタンをさらにオクチルトリエトキシシランにて10質量%濃度にて表面処理した。これをデカメチルシクロペンタシロキサン中に顔料濃度が40質量%となるように分散させ、さらにディスパーを用いて5300rpmの回転速度にて粉砕しスラリーを得た。縮合型液状シリコーンゴムの一種である一液型RTVゴム(東レ・ダウコーニング社製SE9140RTV、脱アルコールタイプ、105℃乾燥残分96質量%)42質量部と上記スラリー150質量部をディスパーにて混合し、上記オクチルシリル化酸化チタンと液状シリコーンゴムの質量配合比が60:40である組成物を得た。この組成物を樹脂フィルム(A-PET製)にアプリケーターを用いて5ミリインチの膜厚で塗工し、40℃にて良く乾燥した。
【実施例9】
【0052】
実施例8のスラリーを用い、縮合型液状シリコーンゴムの一種である一液型RTVゴム(東レ・ダウコーニング社製SH237、脱酢酸タイプ、105℃乾燥残分50質量%)80質量部とスラリー150質量部をヘラで良く混合し、上記オクチルシリル化酸化チタンと液状シリコーンゴムの質量配合比が60:40である組成物を得た。この組成物を樹脂フィルム(A-PET製)にアプリケーターを用いて5ミリインチの膜厚で塗工し、40℃にて良く乾燥した。尚、本実施例は使用時に作業者が現場で混合作業を行うことを想定したものである。
【実施例10】
【0053】
実施例8のスラリーを用い、縮合型液状シリコーンゴムの一種である一液型RTVゴム(東レ・ダウコーニング社製SE5070、脱オキシムタイプ、105℃乾燥残分61質量%)66質量部とスラリー150質量部をディスパーにて混合し、上記オクチルシリル化酸化チタンと液状シリコーンゴムの質量配合比が60:40である組成物を得た。この組成物を樹脂フィルム(A-PET製)にアプリケーターを用いて5ミリインチの膜厚で塗工し、40℃にて良く乾燥した。
【実施例11】
【0054】
実施例8のスラリーを用い、縮合型液状シリコーンゴムの一種である一液型RTVゴム(東レ・ダウコーニング社製SE9140RTV)21質量部とスラリー200質量部をディスパーにて混合し、上記オクチルシリル化酸化チタンと液状シリコーンゴムの質量配合比が80:20である組成物を得た。この組成物を樹脂フィルム(A-PET製)にアプリケーターを用いて5ミリインチの膜厚で塗工し、40℃にて良く乾燥した。
【0055】
〔比較例5〕
実施例8のスラリーを用い、縮合型液状シリコーンゴムの一種である一液型RTVゴム(東レ・ダウコーニング社製SE9140RTV)167質量部とスラリー100質量部をヘラにて良く混合し、上記オクチルシリル化酸化チタンと液状シリコーンゴムの質量配合比が20:80である組成物を得た。この組成物を樹脂フィルム(A-PET製)にアプリケーターを用いて5ミリインチの膜厚で塗工し、40℃にて良く乾燥した。
【0056】
〔比較例6〕
縮合型液状シリコーンゴムの一種である一液型RTVゴム(東レ・ダウコーニング社製SE9140RTV)をそのまま樹脂フィルム(A-PET製)にアプリケーターを用いて5ミリインチの膜厚で塗工し、40℃にて良く乾燥した。
【0057】
〔比較例7〕
縮合型液状シリコーンゴムの一種である一液型RTVゴム(東レ・ダウコーニング社製SH237)をそのまま樹脂フィルム(A-PET製)にアプリケーターを用いて5ミリインチの膜厚で塗工し、40℃にて良く乾燥した。
【0058】
実施例8〜11及び比較例5〜7で製造した塗工フィルムの精製水に対する接触角を測定した結果を表5に示す。
【0059】
【表5】

【0060】
表5の結果より、実施例はいずれもほぼ超撥水性となる極めて高い接触角を示した。これに対して比較例5は接触角が低かった。また、比較例6及び比較例7は実施例で用いた樹脂をそのまま塗工した例であるが、いずれも低い接触角を示している。このことから、モノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料を用いることで、液状シリコーンゴムの撥水性が大幅に向上していることが判る。
【実施例12】
【0061】
実施例8の高撥水性組成物を基板上に固定したひずみゲージ(ひずみ測定センサー)の上から塗工した。乾燥後、塗工品を3%塩水中に浸漬し、40℃で1ケ月保管した後の塗膜状態を観察したところ、外観上、割れ、剥がれ、ゆがみなどは発生していなかった。本高撥水性組成物は耐久性的にも優れた性能を示していた。
【0062】
(結果の総括)
以上の実施例及び比較例の対比によれば、モノオクチルシランを1〜20質量部の範囲でモノオクチルシランにて表面処理された、一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料を使用したときには、揮発性溶媒を除く組成物質量に対してモノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の配合質量が40〜80質量%の範囲にある場合に接触角が大きく、撥水性が改善されることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料の1種以上と、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムから選ばれるシリコーン系化合物の1種以上と揮発性溶媒とからなる撥水性組成物であって、揮発性溶媒を除く組成物質量におけるモノオクチルシランで表面処理された微粒子顔料の配合質量が40〜80質量%の範囲にあることを特徴とする高撥水性組成物。
【請求項2】
シリコーン樹脂が、平均式RnSiO(4-n)/2(式中、Rが炭素数1〜30の置換又は非置換の直鎖又は分岐したアルキル基、フェニル基、アミノ基、ポリエーテル基、糖誘導体、グリセリル基、ポリグリセリル基、トリフルオロプロピル基、パーフルオロアルキル基を有する有機基であり、かつnの平均数が1〜1.8の範囲である)であることを特徴とする請求項1に記載の高撥水性組成物。
【請求項3】
液状シリコーンゴムが、縮合型液状シリコーンゴムから選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の高撥水性組成物。
【請求項4】
モノオクチルシランにて表面処理された一次粒子径が1nm〜15μmの範囲にある微粒子顔料の1種以上を、分散された状態で含む液状〜ペースト状の形態を有する第一の組成物と、シリコーン樹脂及び/又は液状シリコーンゴムから選ばれるシリコーン系化合物の1種以上を含む第二の組成物を使用時に混合して高撥水性組成物とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高撥水性組成物。
【請求項5】
高撥水性組成物が、塗料、インク、コーティング剤又はシーラントであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高撥水性組成物。

【公開番号】特開2008−101197(P2008−101197A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227523(P2007−227523)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】