説明

2−アルコキシ置換ジシアノピリジン類およびそれらの使用

本願は、新規2−アルコキシ置換ジシアノピリジン類、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患の処置および/または予防用、好ましくは心血管障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規2−アルコキシ置換ジシアノピリジン類、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患の処置および/または予防用、好ましくは心血管障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンヌクレオシドのアデノシンは、全ての細胞に存在し、多数の生理的および病態生理的刺激により放出される。アデノシンは、アデノシン−5'−一リン酸(AMP)およびS−アデノシルホモシステインの分解における中間体として細胞内で形成されるが、細胞から放出され得、その場合、それは、特異的受容体に結合することにより、ホルモン様物質または神経伝達物質として作用する。
【0003】
正常酸素圧条件下では、細胞外空間の遊離アデノシンの濃度は非常に低い。しかしながら、虚血または低酸素条件下では、冒された器官におけるアデノシンの細胞外濃度は劇的に上昇する。かくして、例えば、アデノシンが血小板凝集を阻害し、冠動脈への血液供給を増加させることが知られている。さらに、それは、血圧に、心拍数に、神経伝達物質の放出に、そしてリンパ球の分化に作用する。脂肪細胞では、アデノシンは、脂肪分解を阻害でき、かくして血中の遊離脂肪酸およびトリグリセリドの濃度を低下させる。
【0004】
これらのアデノシンの作用の目的は、冒された器官の酸素供給を増加させること、および/または、器官の代謝を虚血または低酸素条件下の器官の血液供給に適合させるために、これらの器官の代謝を低下させることである。
【0005】
アデノシンの作用は、特異的受容体により媒介される。今日までに、サブタイプA1、A2a、A2bおよびA3が知られている。本発明によると、「アデノシン受容体選択的リガンド」は、アデノシン受容体の1つまたはそれ以上のサブタイプに選択的に結合し、かくしてアデノシンの作用を模倣する(アデノシンアゴニスト)か、または、その作用を遮断する(アデノシンアンタゴニスト)物質である。
【0006】
これらのアデノシン受容体の作用は、メッセンジャーcAMPにより細胞内で媒介される。アデノシンのA2aまたはA2b受容体への結合の場合、細胞内cAMPは膜に結合したアデニル酸シクラーゼの活性化を介して増加し、一方、アデノシンのA1またはA3受容体への結合は、アデニル酸シクラーゼの阻害を介して細胞内cAMP濃度の低下をもたらす。
【0007】
心血管系では、アデノシン受容体の活性化の主要な結果は:A1受容体を介する徐脈、負の変力作用および虚血に対する心臓の保護(「プレコンディショニング」)、A2aおよびA2b受容体を介する血管の拡張、並びに、A2b受容体を介する線維芽細胞および平滑筋細胞の増殖の阻害である。
【0008】
A1アゴニスト(好ましくはGタンパク質を介して共役する)の場合、細胞内cAMP濃度の低下が観察される(好ましくは、フォルスコリンによるアデニル酸シクラーゼの直接的予刺激の後)。対応して、A2aおよびA2bアゴニスト(好ましくはGタンパク質を介して共役する)は、細胞におけるcAMP濃度の増加を導き、A2aおよびA2bアンタゴニストはその低下を導く。A2受容体の場合、フォルスコリンによるアデニル酸シクラーゼの直接的予刺激には利益がない。
【0009】
ヒトでは、特異的A1アゴニストによるA1受容体の活性化は、血圧に影響を与えずに、頻度依存性の心拍数の低下を導く。従って、選択的A1アゴニストは、とりわけ、狭心症および心房細動の処置に適当であり得る。
【0010】
心臓におけるA1受容体の心臓保護作用は、とりわけ、これらのA1受容体を特異的A1アゴニストで活性化することにより、急性心筋梗塞、急性冠症候群、心不全、バイパス術、心臓カテーテル検査および臓器移植の場合に、処置および器官の保護に利用され得る。
【0011】
アデノシンまたは特異的A2bアゴニストによるA2b受容体の活性化は、血管の拡張を介して、血圧の低下を導く。血圧の低下は、心拍数の反映的増加を伴う。心拍数の増加は、特異的A1アゴニストを使用するA1受容体の活性化により低減することができる。
【0012】
選択的A1/A2bアゴニストの血管系および心拍数に対する作用の組合せは、かくして、関連する心拍数の増加を伴わずに、血圧の全身的低下をもたらす。このような薬学的プロフィールを有するデュアルのA1/A2bアゴニストは、例えば、ヒトの高血圧症の処置に用い得る。
【0013】
脂肪細胞では、A1およびA2b受容体の活性化は、脂肪分解の阻害を導く。かくして、A1およびA1/A2bアゴニストの脂肪代謝に対する選択的または複合的作用は、遊離脂肪酸およびトリグリセリドの低下をもたらす。次いで、メタボリックシンドロームおよび糖尿病の患者において、脂質の低下は、インスリン耐性の低下および症状の改善を導く。
【0014】
ヒトでは、特異的A1アンタゴニストによるA1受容体の阻害は、糸球体濾過率に影響を与えずに、尿酸排泄作用、ナトリウム排泄増加作用およびカリウム保持性利尿作用を有し、従って、腎臓保護性である。従って、選択的A1アンタゴニストは、とりわけ、急性心不全および慢性心不全の処置に適当であり得る。さらに、それらは、腎症および他の腎障害の場合に、腎臓保護のために使用できる。
【0015】
上述の受容体選択性は、対応するcDNAの安定的形質移入後に問題の受容体サブタイプを発現する細胞株に対する物質の効果により判定できる(刊行物 M. E. Olah, H. Ren, J. Ostrowski, K. A. Jacobson, G. L. Stiles, "Cloning, expression, and characterization of the unique bovine A1 adenosine receptor. Studies on the ligand binding site by site-directed mutagenesis" in J. Biol. Chem. 267 (1992), pages 10764-10770 を参照、その開示を出典明示により完全に本明細書の一部とする)。
【0016】
かかる細胞株に対する物質の効果は、細胞内メッセンジャーcAMPの生化学的測定により監視できる(刊行物 K. N. Klotz, J. Hessling, J. Hegler, C. Owman, B. Kull, B. B. Fredholm, M. J. Lohse, "Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells" in Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol. 357 (1998), pages 1-9 を参照、その開示を出典明示により完全に本明細書の一部とする)。
【0017】
先行技術から知られている「アデノシン受容体特異的」リガンドは、主に、天然アデノシンを基礎とする誘導体である[S.-A. Poulsen and R. J. Quinn, "Adenosine receptors: New opportunities for future drugs" in Bioorganic and Medicinal Chemistry 6 (1998), pages 619-641]。しかしながら、先行技術から知られているこれらのアデノシンリガンドの殆どには、それらの作用が真に受容体特異的ではなく、それらの活性が天然アデノシンのものより低いか、または経口投与後に非常に弱い活性しか有さないという不利益がある。従って、それらは主に実験目的でのみ使用される。依然として臨床開発中であるこのタイプの化合物は、今までのところ、静脈内投与にのみ適するものである。
【0018】
WO01/25210、WO02/070484およびWO02/070485は、置換2−チオ−および2−オキシ−3,5−ジシアノ−4−フェニル−6−アミノピリジン類を、心血管障害の処置用のアデノシン受容体リガンドとして開示している。WO03/053441は、特定の置換2−チオ−3,5−ジシアノ−4−フェニル−6−アミノピリジン類を、心血管障害の処置用の選択的アデノシンA1受容体リガンドとして記載している。しかしながら、これらの化合物には、それらの物理化学的特性、例えば、それらの溶解性および/または製剤化適性(formulatability)に関して、かつ/または、それらのインビボ特性、例えば、それらの薬物動態的挙動、それらの用量活性関係および/またはそれらの代謝経路に関して、欠点があることが判明した。
【0019】
置換2−チオピリジン類の製造は、WO98/54139に記載されている。WO99/32117は、置換ピリジン類を、CNS障害の処置用のアセチルコリン受容体モジュレーターとして開示している。さらに、WO01/62233は、様々なピリジンおよびピリミジン誘導体並びにアデノシン受容体モジュレーターとしてのそれらの使用を特許請求している。泌尿器科障害の処置用のカルシウム依存性カリウムチャネル開口薬としての置換3,5−ジシアノピリジン類は、EP1302463−A1に開示されている。WO03/091246は、ピロール置換ピリジン類およびピリミジン類を、例えば癌の処置用のキナーゼ阻害剤として記載している。WO2008/008059は、癌の処置用の様々な複素環化合物の使用を記載している。WO2009/015776は、オキサゾール置換ジシアノピリジン類を、心血管障害の処置用に開示している。
【0020】
アデノシンA1および/またはA2b受容体の強力かつ選択的なリガンドとして作用し、それ自体、疾患の処置および/または予防に、特に、心血管障害の処置および/または予防に適し、先行技術から知られている化合物と比較して、同等または改善された物理化学的、薬物動態的および/または治療的プロフィールを有する新規化合物を提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0021】
本発明は、式(I)
【化1】

〔式中、
Xは、OまたはSを表し、
は、(C−C10)−アリールまたは5員ないし10員のヘテロアリールを表し
[ここで、(C−C10)−アリールおよび5員ないし10員のヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、(C−C)−シクロアルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノスルホニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノスルホニル、(C−C)−アルキルスルホニルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、N'−(C−C)−アルキルピペラジノ、ピロリジノカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、ピペラジノカルボニル、N'−(C−C)−アルキルピペラジノカルボニルおよび−L−R
{ここで、Lは、結合、NHまたはOを表し、
は、フェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリールを表す
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい)}
からなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい]、
【0022】
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
は、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し
[ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルコキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、ピロリジニルオキシおよび−NRからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、(C−C)−シクロアルコキシ、テトラヒドロフラニルオキシおよびピロリジニルオキシは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、Rは、水素または(C−C)−アルキルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、1個ないし3個のフッ素置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルキルカルボニル、(C−C)−アルキルスルホニルまたは(C−C)−シクロアルキルスルホニルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
または、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって4員ないし7員の複素環を形成し、それは、N、OおよびSからなる群からさらなる環内ヘテロ原子を含有してもよく、そして、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
または、フェニルにおける2個の隣接する置換基は、それらが結合している炭素原子と一体となって、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサンまたは2,2−ジフルオロ−1,3−ジオキソランを形成していてもよい]、
【0023】
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキルまたは4員ないし6員の複素環を表す
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルおよび5員または6員の複素環からなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、5員または6員の複素環は、オキソおよび(C−C)−アルキルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)
そして、(C−C)−シクロアルキルおよび4員ないし6員の複素環は、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}〕
の化合物、並びに、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、および、N−オキシドおよび塩の溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による化合物は、式(I)の化合物並びにそれらのN−オキシド、塩、溶媒和物N−オキシドの塩、塩およびN−オキシドの溶媒和物、式(I)に包含される、下記の式の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含され、例示的実施態様として後述される化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である(式(I)に包含され、後述される化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合)。
【0025】
本発明による化合物は、それらの構造によって、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を包含する。立体異性体的に純粋な構成分は、かかるエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できる場合、本発明は全ての互変異性体を包含する。
【0026】
本発明の目的上、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。また、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば、本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も含まれる。
【0027】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0028】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個の炭素原子を有する有機アミン類(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0029】
溶媒和物は、本発明の目的上、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本発明の目的上、好ましい溶媒和物は水和物である。
【0030】
加えて、本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に、本発明による化合物に(例えば代謝的または加水分解的に)変換される化合物を包含する。
【0031】
本発明の目的上、断りのない限り、置換基は以下の意味を有する:
アルキルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル。
【0032】
シクロアルキルは、本発明に関して、3個ないし7個または5個もしくは6個の環内炭素原子を有する単環式飽和炭素環である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル。
【0033】
アルキルカルボニルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子および1位に結合したカルボニル基を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニルおよびtert−ブチルカルボニル。
【0034】
アルコキシは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個または2個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。1個ないし4個または2個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシ。
【0035】
シクロアルコキシは、本発明に関して、3個ないし7個の炭素原子を有し、酸素原子を介して結合している、単環式飽和炭素環である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシおよびシクロヘプチルオキシ。
【0036】
アルコキシカルボニルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子および酸素で結合したカルボニル基を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。1個ないし4個の炭素原子をアルコキシ基中に有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニルラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニル。
【0037】
モノアルキルアミノは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のモノアルキルアミノラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノおよびn−ヘキシルアミノ。
【0038】
ジアルキルアミノは、本発明に関して、2個の同一であるかまたは異なる、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のジアルキルアミノラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノ。
【0039】
シクロアルキルアミノは、本発明に関して、3個ないし7個の炭素原子を有する単環式飽和炭素環を有するアミノ基である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノおよびシクロヘプチルアミノ。
【0040】
モノアルキルアミノカルボニルは、本発明に関して、カルボニル基を介して結合しており、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。1個ないし4個の炭素原子をアルキル基中に有するモノアルキルアミノカルボニルラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニルおよびn−ヘキシルアミノカルボニル。
【0041】
ジアルキルアミノカルボニルは、本発明に関して、カルボニル基を介して結合しており、2個の同一であるかまたは異なる、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。各場合でアルキル基1個につき1個ないし4個の炭素原子を有するジアルキルアミノカルボニルラジカルが好ましい。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノカルボニル、N−n−ブチル−N−メチルアミノカルボニル、N−tert−ブチル−N−メチルアミノカルボニル、N−n−ペンチル−N−メチルアミノカルボニルおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノカルボニル。
【0042】
シクロアルキルアミノカルボニルは、本発明に関して、カルボニル基を介して結合しており、3個ないし7個の炭素原子を有する単環式飽和炭素環を有するアミノ基である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:シクロプロピルアミノカルボニル、シクロブチルアミノカルボニル、シクロペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニルおよびシクロヘプチルアミノカルボニル。
【0043】
モノアルキルアミノスルホニルは、本発明に関して、スルホニル基を介して結合しており、1個ないし6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、n−プロピルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニル、n−ブチルアミノスルホニルおよびtert−ブチルアミノスルホニル。
【0044】
ジアルキルアミノスルホニルは、本発明に関して、スルホニル基を介して結合しており、2個の同一かまたは異なる、各々1個ないし6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:N,N−ジメチルアミノスルホニル、N,N−ジエチルアミノスルホニル、N−エチル−N−メチルアミノスルホニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノスルホニル、N−n−ブチル−N−メチルアミノスルホニルおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノスルホニル。
【0045】
アルキルスルホニルは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有し、スルホニル基を介して結合している、直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニルおよびtert−ブチルスルホニル。
【0046】
シクロアルキルスルホニルは、本発明に関して、3個ないし7個の炭素原子を有し、スルホニル基を介して結合している単環式飽和炭素環である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:シクロプロピルスルホニル、シクロブチルスルホニル、シクロペンチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニルおよびシクロヘプチルスルホニル。
【0047】
アルキルスルホニルアミノは、本発明に関して、1個ないし6個の炭素原子を有し、スルホニル基を介して窒素原子に結合している直鎖または分枝鎖のアルキルスルホニル置換基を有するアミノ基である。以下のラジカルは、例として、そして好ましいものとして言及し得る:メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−ペンチルスルホニルアミノおよびn−ヘキシルスルホニルアミノ。
【0048】
アリールは、本発明に関して、6個または10個の環内炭素原子を有する芳香族性炭素環である。好ましいアリールラジカルは、フェニルおよびナフチルである。
【0049】
複素環は、本発明に関して、全部で4個ないし7個の環内原子を有し、N、OおよびSからなる群から1個または2個の環内ヘテロ原子を含有し、環内炭素原子を介して、または、適するならば、環内窒素原子を介して結合している、飽和複素環である。以下のラジカルは、例として言及し得る:アゼチジニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニルおよびチオモルホリニル。アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよびモルホリニルが好ましい。
【0050】
ヘテロアリールは、本発明に関して、全部で5個ないし10個の環内原子を有し、N、OおよびSからなる群から3個までの同一であるかまたは異なる環内ヘテロ原子を含み、環内炭素原子を介して、または、適するならば、環内窒素原子を介して結合している、単環式または場合により二環式の芳香族性複素環(複素芳香族)である。以下のラジカルは、例として言及し得る:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル。好ましいのは、N、OおよびSからなる群から2個までの環内ヘテロ原子を有する単環式の5員または6員のヘテロアリールラジカル、例えば、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルである。
【0051】
ハロゲンには、本発明に関して、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。好ましいのは、塩素またはフッ素である。
オキソ基は、本発明に関して、二重結合を介して炭素原子に結合している酸素原子である。
【0052】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているとき、そのラジカルは、断りのない限り、一置換または多置換されていてよい。本発明の目的上、1個より多く存在する全てのラジカルの意味は、相互に独立している。好ましいのは、1個、2個または3個の同一かまたは異なる置換基による置換である。ことさら特に好ましいのは、1個または2個の同一かまたは異なる置換基による置換である。
【0053】
本発明に関して、好ましいのは、式中、
XがSを表し、
が、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し
[ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、(C−C)−シクロアルキルアミノカルボニル、(C−C)−アルキルスルホニルアミノ、モルホリノ、ピペラジノ、N'−(C−C)−アルキルピペラジノおよび−L−R
{ここで、Lは、結合またはNHを表し、
は、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表す
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}
からなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい]、
が、水素またはメチルを表し、
が、フェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびピリジルを表し
[ここで、フェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびピリジルは、フッ素、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよび−NRからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、フッ素、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノおよびN,N−ジエチルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、Rは、水素または(C−C)−アルキルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)
は、水素または(C−C)−アルキルを表す
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよびヒドロキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}]、
が、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキルまたは5員もしくは6員の複素環を表す
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、5員または6員の複素環は、オキソおよびメチルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、ここで、(C−C)−シクロアルキルおよび5員または6員の複素環は、メチル、ヒドロキシル、メトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノ、メチルアミノおよびN,N−ジメチルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0054】
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、
Xが、OまたはSを表し、
が、フェニル、チアゾリル、オキサゾリルまたはピリジルを表し
[ここで、フェニルおよびピリジルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニルおよびN,N−ジエチルアミノカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されており、
そして、ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、−L−R置換基により置換されており
{ここで、Lは、結合またはNHを表し、
は、フェニルを表す
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、メチル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
そして、ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フッ素、メチル、エチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい]、
が、水素またはメチルを表し、
が、フェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびピリジルを表し
[ここで、フェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびピリジルは、フッ素、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよび−NRからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、フッ素、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノおよびN,N−ジエチルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、Rは、水素または(C−C)−アルキルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素または(C−C)−アルキルを表す
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよびヒドロキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}]、
が、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを表す
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、メトキシおよびエトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、(C−C)−シクロアルキルは、メチル、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0055】
本発明に関して、特に好ましいのは、式中、
XがSを表し、
が、フェニル、チアゾリル、オキサゾリルまたはピリジルを表し
[ここで、フェニルおよびピリジルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニルおよびN,N−ジエチルアミノカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されており、
そして、ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、−L−R置換基により置換されており
{ここで、Lは、結合またはNHを表し、
は、フェニルを表す
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、メチル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
そして、ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フッ素、メチル、エチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい]、
が、水素を表し、
が、フェニルまたはチアゾリルを表し
{ここで、フェニルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
そして、ここで、チアゾリルは、(C−C)−アルキル置換基により置換されていてもよい
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
が、(C−C)−アルキルを表す
(ここで、アルキルは、1個または2個のヒドロキシル置換基により置換されていてもよい)、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0056】
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、
がフェニルまたはピリジルを表す
(ここで、フェニルおよびピリジルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、シクロプロピルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニルおよびN,N−ジエチルアミノカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されている)、
式(I)の化合物である。
【0057】
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、
がチアゾリルまたはオキサゾリルを表す
[ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、−L−R置換基により置換されており
{ここで、Lは、結合またはNHを表し、
はフェニルを表す
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、メチル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
そして、ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フッ素、メチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい]、
式(I)の化合物である。
【0058】
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、
がフェニルを表す
{ここで、フェニルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
(ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
式(I)の化合物である。
【0059】
本発明に関して、好ましいのは、式中、
が、
【化2】

{式中、
#は、ピリジンの4位への結合点であり、
は、ヒドロキシ、(C−C)アルキルまたは(C−C)−アルコキシであり、ここで、(C−C)アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシおよびメトキシからなる群から独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}
の基を表す、式(I)の化合物である。
【0060】
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、
が、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキルまたは5員または6員の複素環を表す
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、エトキシは、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、ここで、(C−C)−シクロアルキルおよび5員または6員の複素環は、メチル、ヒドロキシル、メトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノ、メチルアミノおよびN,N−ジメチルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
式(I)の化合物である。
【0061】
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、XがOまたはSを表す式(I)の化合物である。
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、XがSを表す式(I)の化合物である。
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、XがOを表す式(I)の化合物である。
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、Rが水素を表す式(I)の化合物である。
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、Rがメチルを表す式(I)の化合物である。
本発明に関して、好ましいのは、また、式中、Rが(C−C)−アルキルを表す(ここで、アルキルは、1個または2個のヒドロキシル置換基により置換されていてもよい)、式(I)の化合物である。
【0062】
本発明は、さらに、本発明による式(I)の化合物の製造方法を提供し、それは、
[A]式(II−A)
【化3】

(式中、X、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、先ず、塩化銅(II)および亜硝酸イソアミルを適する溶媒中で使用して、式(III−A)
【化4】

(式中、X、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、これを、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(IV)
【化5】

(式中、Rは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させるか、
または、
[B]XがSを表す場合、式(II−B)
【化6】

(式中、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、アルカリ金属硫化物と反応させ、式(III−B)
【化7】

(式中、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、これを、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(V)
【化8】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有し、そして、
Qは、適する脱離基、好ましくはハロゲン、特に塩素、臭素またはヨウ素を表すか、または、メシレート、トシレートまたはトリフレートを表す)
の化合物と反応させ、
次いで、存在する保護基を除去し、得られる式(I)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を用いて、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする。
【0063】
この方法では、式(II−A)および(II−B)の化合物中、または、ラジカルRおよび/またはR中に存在する官能基(例えば、特に、アミノ、ヒドロキシルおよびカルボキシル基)は、好都合または必要であれば、一時的な保護形態で存在できる。そのような保護基の導入および除去は、これに関して、当業者に知られている常套の方法により行う[例えば、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999; M. Bodanszky and A. Bodanszky, The Practice of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Berlin, 1984 参照]。複数の保護基が存在するならば、除去は、必要に応じて、ワンポット反応で同時に、または、別個の反応段階で行い得る。
【0064】
好ましく使用されるアミノ保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)またはベンジルオキシカルボニル(Z)である。カルボキシル基の保護に適するのは、特に、適当なメチル、エチルまたはtert−ブチルエステルである。ヒドロキシル官能基に使用される好ましい保護基は、ベンジルまたはシリル基、例えば、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルまたはジメチルフェニルシリルである。1,2−または1,3−ジオール基が存在するならば、好ましいのは、アセトンまたはシクロヘキサノン(1,3−ジオキソランまたは1,3−ジオキサン)などの対称ケトン類から誘導されるケタールを、共同の保護基として使用することである。
【0065】
上記の方法は、下記の反応スキーム1および2により例示的に説明できる:
スキーム1
【化9】

【0066】
スキーム2
【化10】

【0067】
反応(III−A)+(IV)に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、ジメチルホルムアミドを使用することである。
【0068】
この反応に適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これらには、好ましくは、例えば、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド類、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、または、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)などの有機アミン類、並びに、例えばP2−t−BuまたはP4−t−Buなどのホスファゼン塩基(「Schwesinger 塩基」)が含まれる。好ましいのは、炭酸セシウム、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウムおよびP4−tBuである。
ここで、塩基は、式(IV)の化合物1molを基準として、1ないし10mol、好ましくは1ないし5mol、特に1ないし3molの量で用いることができる。
【0069】
反応(III−A)+(IV)は、一般的に、−78℃ないし+140℃の温度範囲で、好ましくは−20℃ないし+100℃の範囲で、特に0℃ないし+60℃で、必要に応じてマイクロ波オーブン中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0070】
工程(II−A)→(III−A)は、一般的に、式(II−A)の化合物1モルにつき、塩化銅(II)2ないし12molおよび亜硝酸イソアミル2ないし12molのモル比で実施する。
【0071】
この工程に適する溶媒は、反応条件下で不活性な全ての有機溶媒である。これらには、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒が含まれる。上記の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドである。
【0072】
この反応は、一般的に、−78℃ないし+180℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+100℃の範囲で、特に+20℃ないし+60℃で、必要に応じてマイクロ波オーブン中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0073】
反応(III−B)+(V)に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、ジメチルホルムアミドを使用することである。
【0074】
この反応に適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これらには、好ましくは、例えば、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド類、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、または、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)などの有機アミン類が含まれる。好ましいのは、重炭酸ナトリウムの使用である。
ここで、塩基は、一般的に、式(V)の化合物1molを基準として1ないし1.25molの量で、好ましくは等モル量で用いる。
【0075】
反応(III−B)+(V)は、一般的に、−20℃ないし+120℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+100℃で、必要に応じてマイクロ波オーブン中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0076】
反応(II−B)→(III−B)において、使用するアルカリ金属硫化物は、好ましくは、式(II−B)の化合物1molにつき、1ないし10mol、好ましくは、1ないし8mol、特に1ないし5molの量の硫化ナトリウムである。
【0077】
この工程に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはN−メチルピロリジノンなどの両性溶媒が含まれる。他の適する溶媒は水である。上記の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒はジメチルホルムアミドである。
【0078】
この反応は、一般的に、0℃ないし+180℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+120℃で、特に+40℃ないし+100℃で、必要に応じてマイクロ波オーブン中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0079】
あるいは、XがOを表す式(I)の化合物は、式(II−B)の化合物から、式(VI)
【化11】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物との反応により得ることができる。
【0080】
反応(II−B)+(VI)→(I)に適する不活性溶媒は、特に、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)およびピリジンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、ジメチルホルムアミドの使用である。
【0081】
この反応に適する塩基は、特に、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドまたはナトリウムtert−ブトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類、水素化リチウム、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド類、または、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物である。好ましいのは、カリウムtert−ブトキシドの使用である。
ここで、塩基は、一般的に、式(VI)の化合物1molを基準として1ないし1.25mol、好ましくは等モル量で用いる。
【0082】
反応(II−B)+(VI)→(I)は、一般的に、−20℃ないし+120℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+100℃で、必要に応じてマイクロ波オーブン中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0083】
式(IV)および(VI)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献から知られている方法により製造できる。
式(V)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献から知られている方法により製造できる。従って、例えば、式(V−A)、(V−B)および(V−C)の2−置換オキサゾールおよびチアゾール誘導体は、各々、アミド類、チオアミド類およびチオウレア誘導体と、1,3−ジハロアセトンとの反応により得ることができる(スキーム3参照):
スキーム3
【化12】

【0084】
化合物(V−C)の場合、これらは、文献[例えば、I. Simiti et al., Chem. Ber. 95, 2672-2679 (1962)参照]と同様に製造および単離できるか、または、それらは、インサイチュ(in situ)で生成でき、さらに直接反応させる。好ましいのは、1,3−ジクロロアセトンを溶媒のジメチルホルムアミドまたはエタノール中で使用するインサイチュ生成である。この製造は、一般的に、0℃ないし+140℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+120℃の範囲で、特に+60℃ないし+100℃で実施する。
【0085】
XがSを表す式(II−A)の化合物は、文献から知られている方法と同様に、例えば、式(VII)
【化13】

(式中、R3Aは、フェニルまたは炭素を介して結合している5員または6員のヘテロアリールを表し、ここで、フェニルおよび炭素を介して結合している5員または6員のヘテロアリールは、上記の意味の範囲内で置換されていてもよい)
のアルデヒド類を、塩基の存在下で、2当量のシアノチオアセトアミドと反応させ、式(VIII)
【化14】

(式中、R3Aは、上記の意味を有する)
の化合物を得、続いて、これらを、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(V)の化合物と反応させることにより、製造できる[スキーム4参照;例えば、Dyachenko et al., Russ. J. Chem. 33 (7), 1014 1017 (1997), 34 (4), 557 563 (1998); Dyachenko et al., Chemistry of Heterocyclic Compounds 34 (2), 188-194 (1998); Qintela et al., Eur. J. Med. Chem. 33, 887-897 (1998); Kandeel et al., Z. Naturforsch. 42b, 107-111 (1987); Reddy et al., J. Med. Chem. 49, 607-615 (2006); Evdokimov et al., Org. Lett. 8, 899-902 (2006)参照]。
【0086】
スキーム4
【化15】

【0087】
式(VII)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献から知られている方法により製造できる。
反応(VIII)→(II−A)には、工程(III−B)+(V)→(I)について記載した条件を使用する。
【0088】
XがOを表す式(II−A)の化合物は、式(IX)
【化16】

(式中、Rは、上記の意味を有する)
の化合物から、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VI)の化合物と反応させることにより、得ることができる。
この工程には、反応(II−B)+(VI)→(I)について記載した条件を使用する。
【0089】
この製造方法を、下記の反応スキームにより例示説明する:
スキーム5
【化17】

【0090】
式(IX)の化合物は、文献に記載の方法と同様に[例えば、Kambe et al., Synthesis, 531-533 (1981); Elnagdi et al., Z. Naturforsch. 47b, 572-578 (1991); Reddy et al., J. Med. Chem. 49, 607-615 (2006); Evdokimov et al., Org. Lett. 8, 899-902 (2006)参照]、または、XがSを表す式(II)の化合物を、文献に記載の方法と同様に反応させることにより[例えば、Fujiwara, H. et al., Heterocycles 1993, 36 (5), 1105-1113, Su et al., J. Med Chem. 1988, 31, 1209-1215参照]製造できる。
【0091】
式(II−B)の化合物は、式(VII)の化合物を、適する溶媒中、適する塩基の存在下、2当量のマロノニトリルおよび式(X)
【化18】

(式中、Rは、上記の意味を有し、そして、
は、アルカリ金属イオン、好ましくはナトリウムまたはカリウムイオンを表す)
の化合物を用いて、式(XI)
【化19】

(式中、R3AおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、これらを、塩化銅(II)および亜硝酸イソアミルと、適する溶媒中で反応させることにより、製造できる。
【0092】
上記の方法を、下記の反応スキームにより例示的に説明する:
スキーム6
【化20】

【0093】
XがSを表すさらなる式(II−A)の化合物は、式(XII)
【化21】

の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(V)の化合物を用いて、式(XIII)
【化22】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、これを不活性溶媒中、または、溶媒の非存在下、式(XIV)
【化23】

(式中、R3Bは、窒素で結合した5員または6員のヘテロアリールを表し、
ここで、窒素で結合した5員または6員のヘテロアリールは、上記のRの意味の範囲内で置換されていてもよい)
の化合物と反応させることにより製造できる。
【0094】
反応(XII)+(V)→(XIII)は、工程(III−B)+(V)→(I)について記載した条件下で実施する。
工程(XIII)+(XIV)に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)、アセトニトリルおよびピリジンなどの他の溶媒である。他の適する溶媒は水である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。必要に応じて、この反応は、さらなる溶媒を添加せずに、過剰の化合物(XIV)の存在下で有利に実施することもできる。この反応は、好ましくは、溶媒のアセトンまたはN−メチルピロリジノン中で実施する。
【0095】
工程(XIII)+(XIV)は、一般的に、0℃ないし+180℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+100℃で、特に+60℃ないし+100℃で、必要に応じてマイクロ波オーブン中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0096】
式(XIV)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献から知られている方法により製造できる。
式(XII)の化合物は、[ビス(メチルチオ)メチレン]マロノニトリルを、シアノチオアセトアミドと、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で反応させることにより、簡便に得ることができる。
【0097】
XがOを表すさらなる式(II−A)の化合物は、式(XV)
【化24】

(式中、Rは、(C−C)−アルキルまたはフェニルを表す)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(VI)の化合物を用いて、式(XVI)
【化25】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、これを、不活性溶媒中、または、溶媒の非存在下で、式(XIV)の化合物と反応させるか、または、
式(XV)の化合物を、先ず、不活性溶媒中、または、溶媒の非存在下で、式(XIV)の化合物と反応させ、式(XVII)
【化26】

(式中、R3BおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、これらを、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(VI)の化合物と反応させることにより、製造できる。
【0098】
がフェニルを表す式(XV)の化合物は、式(XII)の化合物から、Fujiwara, H. et al., Heterocycles 1993, 36 (5), 1105-1113 に記載の方法と同様に製造できる。
が(C−C)−アルキルを表す式(XV)の化合物は、式(XII)の化合物から、Su et al., J. Med Chem. 1988, 31, 1209-1215 に記載の方法と同様に製造できる。
反応(XV)+(VI)は、工程(II−B)+(VI)→(I)について記載した条件下で実施する。
【0099】
工程(XV)および(XVI)+(XIV)に適する溶媒は、反応条件下で不活性な全ての有機溶媒である。これらには、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)、アセトニトリルおよびピリジンなどの他の溶媒である。他の適する溶媒は水である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。必要に応じて、この反応は、さらなる溶媒を添加せずに、過剰の化合物(XIV)の存在下で有利に実施することもできる。この反応は、好ましくは溶媒のアセトンまたはN−メチルピロリジノン中で実施する。
【0100】
工程(XV)または(XVI)+(XIV)は、一般的に、0℃ないし+180℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+100℃で、特に+60℃ないし+100℃で、必要に応じてマイクロ波オーブン中で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0101】
上記の方法を、下記のスキームで例示説明する:
スキーム6
【化27】

【0102】
スキーム7
【化28】

【0103】
本発明による他の化合物は、また、必要に応じて、上記の方法で得られる式(I)の化合物から出発して、個々の置換基の官能基、特に、R、R、R、RおよびRで列挙したものを変換することにより製造できる。これらの変換は、当業者に知られている常套の方法により実施され、例えば、求核および求電子置換、酸化、還元、水素化、遷移金属に触媒されるカップリング反応、脱離、アルキル化、アミノ化、エステル化、エステル開裂、エーテル化、エーテル開裂、カルボキサミド類の形成、一時的な保護基の導入および除去などの反応を含む。
【0104】
先行技術から知られている物質と比較して、本発明による化合物は、改善された特性のプロフィール、例えば、製剤に関連する水性有機溶媒系における高い溶解性、経口投与後の長い薬物動態的半減期、および/または、高い代謝安定性を有する。
【0105】
本発明に関して、「アデノシンA1および/またはA2b受容体の選択的リガンド」は、第1にA1および/またはA2bアデノシン受容体サブタイプで顕著な活性が、第2にA2aおよびA3アデノシン受容体サブタイプで、全くないか、またはかなり弱い活性(10倍またはそれ以上)が観察できるアデノシン受容体リガンドであり、ここで、活性/選択性の試験方法に関して、セクションB−1に記載の試験を参照する。
【0106】
驚くべき事に、本発明による化合物は、予見できない有用な薬理活性スペクトルを有し、従って、障害の予防および/または処置に特に適する。
【0107】
本発明による化合物の医薬的活性は、強力な選択的アデノシンA1および/またはA2b受容体リガンドとしてのそれらの作用により説明できる。ここで、それらは、選択的A1アゴニストとして、選択的デュアルA1/A2bアゴニストとして、または選択的A1アンタゴニストとして作用する。本発明による化合物は、同等または改善された物理化学的、薬物動態的、かつ/または、治療的プロフィールを有する。本発明による化合物は、主に、選択的アデノシンA1アゴニストとして作用する。
【0108】
本発明に関して、「アデノシンA1および/またはA2b受容体の選択的リガンド」は、第1にA1および/またはA2bアデノシン受容体サブタイプで顕著な活性が、第2にA2aおよびA3アデノシン受容体サブタイプで、全くないか、またはかなり弱い活性(10倍またはそれ以上)が観察できるアデノシン受容体リガンドであり、ここで、活性/選択性の試験方法に関して、セクションB−1およびB−5に記載の試験を参照する。
【0109】
それらの特定の構造次第で、本発明による化合物は、完全または部分アデノシン受容体アゴニストまたはアデノシン受容体アンタゴニストとして作用できる。ここで、部分アデノシン受容体アゴニストは、完全アゴニスト(例えば、アデノシン自体)のものよりも弱いアデノシン受容体での機能的応答を引き起こす受容体リガンドとして定義される。従って、部分アゴニストは、受容体の活性化に関して、完全アゴニストよりも低い活性を有する。
【0110】
式(I)の化合物は、単独で、または、1種またはそれ以上の他の有効成分と組み合わせて、様々な障害、例えば、心血管系の障害(心血管障害)の予防および/または処置に、心臓の病変後の心臓の保護に、そして、代謝障害および腎障害に適する。
【0111】
心血管系の障害または心血管障害は、本発明に関して、例えば、以下の障害を意味する:高血圧症、末梢および心血管の障害、冠動脈心疾患、冠動脈再狭窄、例えば、末梢血管のバルーン拡張術後の再狭窄、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、ST上昇を伴う急性冠動脈症候群、ST上昇を伴わない急性冠動脈症候群、安定および不安定狭心症、心筋の不全、プリンスメタル型狭心症、持続性虚血性機能不全(「冬眠心筋」)、一過性虚血後機能不全(「気絶心筋」)、心不全、頻拍症、心房頻拍、不整脈、心房および心室細動、持続性心房細動、永続性心房細動、正常な左心室機能を伴う心房細動、左心室機能の障害を伴う心房細動、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、末梢血流の障害、フィブリノーゲンおよび低密度LDLのレベルの上昇、並びに、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI−1)濃度の上昇、特に、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞および心房細動。
【0112】
本発明に関して、心不全の用語には、急性および慢性の両方の心不全の症状、並びに、疾患のより特異的または関連のタイプ、例えば、急性非代償性心不全、右心不全、左心不全、全体的不全、虚血性心筋症、拡張型心筋症、先天性心疾患、心臓弁疾患、心臓弁疾患に関連する心不全、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、三尖弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全症、肺動脈弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖不全症、複合心臓弁疾患、心筋の炎症(心筋炎)、慢性心筋炎、急性心筋炎、ウイルス性心筋炎、糖尿病性心不全、アルコール性心筋症、心臓の蓄積症、並びに、拡張期および収縮期心不全が含まれる。
【0113】
本発明による化合物は、さらに、梗塞により冒された心筋の領域の縮小、および、二次梗塞の予防にも適する。
【0114】
本発明による化合物は、さらに、血栓塞栓性障害、虚血後の再灌流障害、微小血管性および大血管性の病変(血管炎)、動脈および静脈血栓症、浮腫、虚血、例えば、心筋梗塞、卒中および一過性虚血発作の予防および/または処置に、冠動脈バイパス術(CABG)、プライマリー(primary)PTCA、血栓症後のPTCA、レスキュー(rescue)PTCA、心臓移植および心臓切開手術に関する心臓の保護に、また、移植、バイパス術、カテーテル検査および他の外科手術的方法に関する器官の保護に適する。
【0115】
さらに、本発明による化合物は、腎臓病、特に腎不全の処置および/または予防に適する。本発明に関して、腎不全の用語には、急性および慢性の両方の腎不全の症状、並びに、腎臓の低灌流、閉塞性尿路疾患、糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、尿細管間質性疾患、原発性および先天性腎臓病などの腎症の疾患、腎炎、毒性物質に誘導される腎症、糖尿病性腎症、腎盂腎炎、腎嚢胞および腎硬化症などの、根底にあるか、または関連する腎臓病が含まれ、それは、例えば、異常に減少したクレアチニンおよび/または水排出、異常に上昇した尿素、窒素、カリウムおよび/またはクレアチニンの血液濃度、例えばグルタミルシンセターゼなどの腎臓の酵素の活性の変化、尿のモル浸透圧濃度または尿量の変化、微量アルブミン尿の増加、マクロアルブミン尿、糸球体および細動脈の病変、尿細管の拡大、高リン血症および/または透析の必要により、診断的に特徴付けることができる。本発明は、また、腎不全の続発症、例えば、肺水腫、心不全、尿毒症、貧血、電解質異常(例えば高カリウム血症、低ナトリウム血症)および骨および炭水化物代謝の障害の処置および/または予防のための本発明による化合物の使用も含む。
【0116】
本発明による化合物を用いることができる他の適応症の領域は、例えば、過敏性膀胱(irritable bladder)、勃起不全および女性の性機能不全などの泌尿生殖系の障害の予防および/または処置であるが、加えて、炎症性皮膚疾患(乾癬、ざ瘡、湿疹、神経皮膚炎、皮膚炎、角膜炎、瘢痕の形成、疣贅の形成、凍傷)などの炎症性障害の、中枢神経系の障害および神経変性障害(卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症、てんかん、うつ病、多発性硬化症)の、疼痛状態、癌性疾患(皮膚癌、脂肪肉腫、胃腸管、肝臓、膵臓、肺、腎臓、尿管、前立腺および生殖器の癌腫)、並びに、癌治療に伴う悪心および嘔吐の予防および/または処置でもある。
【0117】
他の適応症の領域は、例えば、炎症性および免疫性の障害(クローン病、潰瘍性大腸炎、エリテマトーデス、関節リウマチ)、例えば、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、COPD)、喘息、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症(粘液粘稠症(mucoviscidosis))および肺高血圧症、特に肺動脈高血圧などの呼吸器の障害の予防および/または処置である。
【0118】
最後に、本発明による化合物は、糖尿病、特に、真性糖尿病、妊娠糖尿病、インスリン依存型糖尿病およびインスリン非依存型糖尿病、糖尿病の続発症、例えば、網膜症、腎症および神経障害、代謝障害(メタボリックシンドローム、高血糖症、妊娠糖尿病、高インスリン血症、インスリン抵抗性、グルコース不耐性および肥満症(脂肪過多症))、並びに、動脈硬化症および脂質異常症(高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、食後の血漿トリグリセリド濃度の上昇、低アルファリポ蛋白血症、複合型高脂血症)、特に、糖尿病、メタボリックシンドロームおよび脂質異常症の予防および/または処置にも適する。
【0119】
加えて、本発明による化合物は、甲状腺の障害(甲状線機能亢進症(hyperthyreosis))、膵臓の障害(膵炎)、肝臓の線維症、ウイルス性疾患(HPV、HCMV、HIV)、悪液質、骨粗鬆症、痛風、失禁の処置および/または予防、また、創傷治癒および血管新生にも使用できる。
【0120】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物の有効量を使用する、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法を提供する。
本発明は、さらに、冠動脈心疾患、急性冠症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞および心房細動の処置および/または予防方法において使用するための本発明による化合物を提供する。
本発明は、さらに、糖尿病、メタボリックシンドロームおよび脂質異常症の処置および/または予防方法のための本発明による化合物を提供する。
【0121】
本発明による化合物は、単独で、または、必要であれば、他の有効成分と組み合わせて使用できる。本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬を提供する。
【0122】
組み合わせに適する有効成分は、例えば、そして好ましくは、脂質代謝を調節する有効成分、抗糖尿病薬、降圧剤、灌流増強および/または抗血栓剤、抗酸化剤、ケモカイン受容体アンタゴニスト、p38−キナーゼ阻害剤、NPYアゴニスト、オレキシンアゴニスト、食欲低下薬、PAF−AH阻害剤、消炎薬(COX阻害剤、LTB−受容体アンタゴニスト)、鎮痛薬、例えば、アスピリン、抗うつ剤および他の向精神薬(psychopharmaceutical)である。
【0123】
本発明は、特に、少なくとも1種の本発明による化合物の、少なくとも1種の脂質代謝を変更する有効成分、抗糖尿病薬、血圧を下げる有効成分および/または抗血栓作用を有する物質との組合せに関する。
【0124】
本発明による化合物を、好ましくは以下の1種またはそれ以上と組み合わせることができる;
・脂質代謝を調節する有効成分、例えば、そして好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ発現阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、LDL受容体誘導剤、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤(adsorber)、胆汁酸再吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、LpL活性化剤、フィブラート類、ナイアシン、CETP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、RXRモジュレーター、FXRモジュレーター、LXRモジュレーター、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬(thyroid mimetic)、ATPクエン酸塩リアーゼ阻害剤、Lp(a)アンタゴニスト、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト、ヒスタミン受容体アゴニストおよび抗酸化剤/ラジカル捕捉剤の群からのもの;
【0125】
・Roten Liste 2004/II、第12章に記載の抗糖尿病薬、並びに、例えば、そして好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド(meglitinide)誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害剤(DPP−IV阻害剤)、オキサジアゾリジノン類、チアゾリジンジオン類、GLP1受容体アゴニスト、グルカゴンアンタゴニスト、インスリン増感剤、CCK1受容体アゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓の酵素の阻害剤、グルコース取り込みのモジュレーターおよびカリウムチャネル開口固定薬の群からのもの、例えばWO97/26265およびWO99/03861に開示のもの;
【0126】
・降圧性有効成分、例えば、そして好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、レニン阻害剤、ベータ受容体遮断薬、アルファ受容体遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、ECE阻害剤、ACE/NEP阻害剤およびバソペプチダーゼ阻害剤の群からのもの;および/または
・抗血栓剤、例えば、そして好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からのもの;
・利尿剤;
・バソプレシン受容体アンタゴニスト;
・有機硝酸塩およびNO供与源;
・陽性変力活性を有する化合物;
・環状グアノシン一リン酸(cGMP)および/または環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を阻害する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5の阻害剤、特にPDE5阻害剤、例えば、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル、および、PDE3阻害剤、例えばミルリノン;
・ナトリウム利尿ペプチド、例えば、「心房性ナトリウム利尿ペプチド」(ANP、アナリチド(anaritide))、「B型ナトリウム利尿ペプチド」または「脳性ナトリウム利尿ペプチド」(BNP、ネシリチド)、「C型ナトリウム利尿ペプチド」(CNP)およびウロジラチン(urodilatin);
【0127】
・プロスタサイクリン受容体(IP受容体)のアゴニスト、例えば、イロプロスト、ベラプロスト、シカプロスト;
・I(ファニーチャネル(funny channel))チャネルの阻害剤、例えば、イバブラジン;
・カルシウム感受性増強薬、例えば、そして好ましくは、レボシメンダン;
・カリウム・サプリメント;
・NOに依存せず、ヘムに依存しないグアニル酸シクラーゼの活性化剤、例えば、特に、シナシグアト、および、WO01/19355、WO01/19776、WO01/19778、WO01/19780、WO02/070462およびWO02/070510に記載の化合物;
・NOに依存しないが、ヘムに依存するグアニル酸シクラーゼの刺激剤、例えば、特に、リオシグアト(riociguate)、および、WO00/06568、WO00/06569、WO02/42301およびWO03/095451に記載の化合物;
・ヒト好中球エラスターゼ(HNE)の阻害剤、例えば、シベレスタットおよびDX−890(レルトラン(Reltran));
・シグナル伝達カスケードを阻害する化合物、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、特に、ソラフェニブ、イマチニブ、ゲフィチニブおよびエルロチニブ;および/または、
・心臓のエネルギー代謝を調節する化合物、例えば、エトモキシル、ジクロロ酢酸、ラノラジンおよびトリメタジジン。
【0128】
脂質代謝を調節する有効成分は、好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬、ナイアシン受容体アゴニスト、CETP阻害剤、PPAR−αアゴニスト、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、抗酸化剤/ラジカル捕捉剤、並びに、カンナビノイド受容体1アンタゴニストの群からの化合物を意味すると理解される。
【0129】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンまたはピタバスタチンなどのスタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0130】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、BMS−188494またはTAK−475などのスクアレン合成阻害剤と組み合わせて投与される。
【0131】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アバシミブ(avasimibe)、メリナミド、パクチミブ(pactimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)またはSMP−797などのACAT阻害剤と組み合わせて投与される。
【0132】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ、チクエシド(tiqueside)またはパマクエシドなどのコレステロール吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0133】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、イムプリタピド(implitapide)、BMS−201038、R−103757またはJTT−130などのMTP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0134】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、オーリスタットなどのリパーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0135】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、D−サイロキシンまたは3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)などの甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬と組み合わせて投与される。
【0136】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ナイアシン、アシピモックス、アシフラン(acifran)またはラデコール(radecol)などのナイアシン受容体のアゴニストと組み合わせて投与される。
【0137】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ダルセトラピブ(dalcetrapib)、BAY60−5521、アナセトラピブまたはCETPワクチン(CETi-1)などのCETP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0138】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどのチアゾリジンジオン類のクラスからの、PPAR−γアゴニストと組み合わせて投与される。
【0139】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、GW−501516またはBAY68−5042などのPPAR−δアゴニストと組み合わせて投与される。
【0140】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、CholestaGel またはコレスチミドなどのポリマー性胆汁酸吸着剤と組み合わせて投与される。
【0141】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635などの胆汁酸再吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0142】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロブコール、AGI−1067、BO−653またはAEOL−10150などの抗酸化剤/ラジカル捕捉剤と組み合わせて投与される。
【0143】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、リモナバンまたはSR−147778などのカンナビノイド受容体1アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0144】
抗糖尿病薬は、好ましくは、インスリンおよびインスリン誘導体並びに経口で有効な低血糖有効成分を意味すると理解される。ここで、インスリンおよびインスリン誘導体には、動物、ヒトまたは生物工学的起源のインスリンおよびそれらの混合物の両方が含まれる。経口で有効な低血糖有効成分には、好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド誘導体、グルコシダーゼ阻害剤およびPPAR−ガンマアゴニストが含まれる。
【0145】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、インスリンと組み合わせて投与される。
【0146】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、トルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジドまたはグリクラジドなどのスルホニルウレアと組み合わせて投与される。
【0147】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、メトホルミンなどのビグアナイドと組み合わせて投与される。
【0148】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、レパグリニドまたはナテグリニドなどのメグリチニド誘導体と組み合わせて投与される。
【0149】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ミグリトールまたはアカルボースなどのグルコシダーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0150】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、シタグリプチンおよびビルダグリプチンなどのDPP−IV阻害剤と組み合わせて投与される。
【0151】
降圧剤は、好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、ベータ受容体遮断剤、アルファ受容体遮断剤および利尿剤の群からの化合物を意味すると理解される。
【0152】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムなどのカルシウム拮抗薬と組み合わせて投与される。
【0153】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、エンブサルタン(embusartan)、オルメサルタンまたはテルミサルタンなどのアンジオテンシンAIIアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0154】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)などのACE阻害剤と組み合わせて投与される。
【0155】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールなどのベータ受容体遮断薬と組み合わせて投与される。
【0156】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プラゾシンなどのアルファ受容体遮断薬と組み合わせて投与される。
【0157】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロロメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネタゾン、アセタゾラミド、ジクロフェナミド、メタゾラミド、グリセロール、イソソルビド、マンニトール、アミロライドまたはトリアムテレンなどの利尿剤と組み合わせて投与される。
【0158】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、スピロノラクトンまたはエプレレノンなどのアルドステロンまたは鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0159】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、コニバプタン、トルバプタン、リキシバプタン(lixivaptan)またはSR−121463などのバソプレシン受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0160】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセロール、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1などの有機硝酸塩またはNO供給源と組み合わせて、または、吸入NOと組み合わせて、投与される。
【0161】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、強心配糖体(ジゴキシン)、ベータ−アドレナリン作動性およびドーパミン作動性アゴニスト、例えば、イソプロテレノール、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンおよびドブタミンなどの陽性の変力性化合物と組み合わせて投与される。
【0162】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、レセルピン、クロニジンもしくはアルファ−メチルドーパなどの交感神経抑制薬(antisympathotonic)と組み合わせて、または、ミノキシジル、ジアゾキシド、ジヒドララジンもしくはヒドララジンなどのカリウムチャネルアゴニストと組み合わせて、または、一酸化窒素を放出する物質、例えば、ニトログリセロールまたはニトロプルシドナトリウムと共に、投与される。
【0163】
抗血栓剤は、好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からの化合物を意味するものと理解される。
【0164】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールなどの血小板凝集阻害剤と組み合わせて投与される。
【0165】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ダビガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンなどのトロンビン阻害剤と組み合わせて投与される。
【0166】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブなどのGPIIb/IIIaアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0167】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、リバロキサバン(BAY59−7939)、DU−176b、アピキサバン、オタミキサバン(otamixaban)、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428などのXa因子阻害剤と組み合わせて投与される。
【0168】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0169】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、クマリンなどのビタミンKアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0170】
本発明に関して、特に好ましいのは、少なくとも1種の本発明による化合物、並びに、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン類)、利尿剤、ベータ受容体遮断薬、有機硝酸塩およびNO供与源、ACE阻害剤、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、アルドステロンおよび鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、バソプレシン受容体アンタゴニスト、血小板凝集阻害剤および抗凝血剤からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む組み合わせ、並びに、上述の障害の処置および/または予防のためのそれらの使用である。
【0171】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常、1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および、上述の目的のためのそれらの使用を提供する。
【0172】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらを、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳に、または、インプラントもしくはステントとしてなど、適する方法で投与できる。
これらの投与経路のために、本発明による化合物を、適する投与形で投与できる。
【0173】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて働き、本発明による化合物を迅速に、かつ/または、改変された形態で放出し、本発明による化合物を結晶形および/または不定形および/または溶解形で含む投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、遅れて溶解するか、または不溶であり、本発明による化合物の放出を制御する被覆を有する錠剤)、口腔中で迅速に溶解するフィルム/オブラートまたは錠剤、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0174】
非経腸投与は、生体吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または、生体吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内に)、行い得る。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射または点滴用製剤である。
【0175】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入に適する医薬(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー、舌に、舌下にまたは頬側に投与するための錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼に投与するための製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、プラスター)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(powders for pouring)、インプラントまたはステントである。
好ましいのは、経口または非経腸投与、特に経口および静脈内投与である。
【0176】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で実施できる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定化剤(例えば、アスコルビン酸などの抗酸化剤)、着色料(例えば、酸化鉄などの無機色素)および香味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0177】
一般に、非経腸投与の場合、約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を得るために有利であると判明した。経口投与の場合、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0178】
それにも拘わらず、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤のタイプおよび投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なく投与しても十分な場合があり得、一方、上述の上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合、これらを1日に亘って投与される複数の個別投与量に分割するのが好都合であり得る。
【0179】
下記の実施例は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
下記の試験および実施例における百分率は、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度は、各場合で体積を基準とする。
【実施例】
【0180】
A. 実施例
使用する略号:
【表1】

【0181】
HPLC、LC−MSおよびGC−MSの方法:
方法1(LC−MS):MS装置タイプ:Waters (Micromass) Quattro Micro;HPLC装置タイプ:Agilent 1100 Series;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.01分100%A(流速2.5ml)→5.00分100%A;オーブン:50℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm。
【0182】
方法2(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分,2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0183】
方法3(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2.5 μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.01分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0184】
方法4(LC−MS):Instrument: Micromass Quattro Premier with Waters UPLC Acquity;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50 x 1 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→1.5分10%A→2.2分10%A;オーブン:50℃;流速:0.33ml/分;UV検出:210nm。
【0185】
方法5(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0186】
方法6(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 100 x 4.6 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml;移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分10%B→7.0分95%B→9.0分95%B;オーブン:35℃;流速:0.0分1.0ml/分→7.0分2.0ml/分→9.0分2.0ml/分;UV検出:210nm。
【0187】
方法7(分取HPLC):カラム:Grom-Sil C18, 10 μm, 250 mm x 30 mm。移動相A:水+0.1%ギ酸、移動相B:アセトニトリル。流速:50ml/分。プログラム:0−5分:10%B;5−38分:95%Bへグラジエント、UV検出:210nm。
【0188】
方法8(LC−MS):装置: HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0189】
方法9(LC−MS):装置: HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm。移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:208−400nm。
【0190】
方法10(LC−MS):MS装置タイプ:Waters ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0191】
方法11(LC−MS):MHZ-Q-GEM-1 MS装置タイプ:Micromass Quattro LCZ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分.2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0192】
出発物質および中間体:
実施例1A
2−アミノ−4−フェニル−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化29】

製造は、WO03/053441の実施例6に記載の通りに実施した。
MS (ESIpos): m/z = 253 [M+H]+
【0193】
実施例2A
2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−フェニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化30】

2−アミノ−4−フェニル−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル2g(7.927mmol)を、先ず、DMF15mlに加え、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール2.13g(8.720mmol)および重炭酸ナトリウム1.99g(23.781mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。水を反応混合物に添加し、沈殿した固体を濾過し、MTBEで洗浄し、高真空下で乾燥させる。これにより、標的化合物3.87g(理論値の100%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 8.14 (s br, 2H), 7.97-7.92 (m, 3H), 7.59-7.50 (m, 7H), 4.64 (s, 2H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.49 分; MS (ESIpos): m/z = 460 [M+H]+.
【0194】
実施例3A
2−クロロ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−フェニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化31】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−フェニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル9g(19.762mmol)を、先ず、アセトニトリル200mlに加え、亜硝酸イソアミル7.98ml(59.285mmol)および塩化銅(II)7.97g(59.285mmol)を添加し、混合物を60℃で4時間撹拌する。1N塩酸を混合物に添加し、沈殿した固体を濾過する。それをシリカゲルカラムで精製する(移動相:トルエン)。これにより、標的化合物5.98g(理論値の63%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.96 (d, 2H), 7.76 (s, 1H), 7.66-7.62 (m, 5H), 7.57 (d, 2H), 4.78 (s, 2H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.82 分; MS (ESIpos): m/z = 479 [M+H]+.
【0195】
実施例4A
2−クロロ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化32】

実施例3Aと同様に、適当な出発物質から製造を実施した。
LC-MS (方法 2): Rt = 2.93 分; MS (ESIpos): m/z = 539 [M+H]+.
【0196】
実施例5A
2−アミノ−6−スルファニル−4−(1,3−チアゾール−5−イル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化33】

5−チアゾールカルボキシアルデヒド1.14g(9.539mmol)およびシアノチオアセトアミド1.91g(19.077mmol)を、先ず、エタノール20mlに加え、4−メチルモルホリン2.097ml(19.077mmol)を添加し、混合物を還流下で4時間加熱する。次いで、混合物を室温で20時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルで精製する(移動相:塩化メチレン/メタノール100:0→10:1)。生成物を含有する画分を濃縮し、残渣をアセトニトリルでトリチュレートする。固体を濾過し、高真空下で乾燥させる。これにより、標的化合物920mg(理論値の37%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 9.31 (s, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.50-6.99 (s br, 2H).
LC-MS (方法 2): Rt = 1.29 分; MS (ESIpos): m/z = 260 [M+H]+.
【0197】
実施例6A
2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−(1,3−チアゾール−5−イル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化34】

2−アミノ−6−スルファニル−4−(1,3−チアゾール−5−イル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル370mg(1.427mmol)、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール383mg(1.570mmol)および重炭酸ナトリウム359mgを、DMF7ml中で1時間撹拌する。アセトニトリル150mlおよび水100mlを反応混合物に添加し、沈殿した固体を濾過し、高真空下で乾燥させる。これにより、標的化合物569mg(理論値の85%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 9.38 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 8.19-8.03 (s br, 2H), 7.94 (d, 2H), 7.89 (s, 1H), 7.57 (d, 2H), 4.62 (s, 2H).
LC-MS (方法 2): Rt = 2.67 分; MS (ESIpos): m/z = 467 [M+H]+.
【0198】
実施例7A
2−クロロ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−(1,3−チアゾール−5−イル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化35】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−(1,3−チアゾール−5−イル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル569mg(1.218mmol)を、濃塩酸20mlに溶解し、混合物を0℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム252mg(3.655mmol)をこの温度で添加する。混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に温め、室温で終夜撹拌する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5)により精製する。これにより、標的化合物445mg(理論値の68%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 9.49 (s, 1H), 8.42 (s, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.75 (s, 1H), 7.58 (d, 2H), 4.78 (s, 2H).
LC-MS (方法 2): Rt = 2.99 分; MS (ESIpos): m/z = 486 [M+H]+.
【0199】
実施例8A
2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化36】

アルゴン下、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンズアルデヒド10g(60.176mmol)を、メタノール125mlに溶解し、マロノニトリル8.15g(123.362mmol)およびナトリウムメトキシド19.506g(361.058mmol)を添加し、混合物を室温で3時間撹拌する。次いで、反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに取り、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。残渣をメタノールでトリチュレートし、沈殿した固体を濾過し、高真空下で乾燥させる。これにより、標的化合物5.2g(理論値の22%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 8.14-7.80 (s br, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.10 (d, 2H), 4.92 (t, 1H), 4.08 (t, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.75 (q, 2H).
LC-MS (方法 4): Rt = 0.86 分; MS (ESIpos): m/z = 311 [M+H]+.
【0200】
実施例9A
2−クロロ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化37】

2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル3.3g(10.634mmol)を、先ず、アセトニトリル300mlに加え、塩化銅(II)8.578g(63.806mmol)および亜硝酸イソアミル8.59ml(63.806mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。1N塩酸を添加し、反応混合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5)により精製する。これにより、標的化合物2.11g(理論値の58%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.60 (d, 2H), 7.19 (d, 2H), 4.13 (s, 3H), 4.11 (t, 2H), 3.75 (t, 2H).
LC-MS (方法 2): Rt = 2.13 分; MS (ESIpos): m/z = 330 [M+H]+.
【0201】
実施例10A
4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メトキシ−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化38】

2−クロロ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル4.0g(12.1mmol)を、無水DMF16mlに溶解し、無水硫化ナトリウム1.42g(18.2mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌する。水36mlを添加し、撹拌しながら、溶液をゆっくりと滴下して、50℃に温めた1M塩酸61mlとメタノール20mlの混合物に添加する。黄色の懸濁液を室温で1時間撹拌し、吸引濾過し、沈殿を水で洗浄し、45℃で、減圧下で終夜乾燥させる。
収量:3.27g(理論値の82%、純度29%)
LC-MS (方法 6): Rt = 3.27 分 (29.4 Fl%); MS (ESIpos): m/z = 328 [M+H]+
生成物をさらに精製せずにさらに反応させる。分析のために、少量のサンプルを分取HPLC(方法7)により精製する:
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): d = 7.59-7.48 (m, 2H), 7.20- 7.10 (m, 2H), 4.75-4.35 (br), 4.10 (t, 2H), 3.93 (s, 3H), 3.65 (t, 2H).
【0202】
実施例11A
2−メルカプト−6−メトキシ−4−フェニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化39】

実施例10Aと同様に適当な出発物質から製造を実施する。
LC-MS (方法 6): Rt = 5.72 分; MS (ESIneg): m/z = 266 [M-H]+.
【0203】
実施例12A
2−アミノ−6−エトキシ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化40】

4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンズアルデヒド40g(240.705mmol)を、先ず、エタノール500mlに加え、マロノニトリル35.6g(493.445mmol)を添加する。次いで、エタノール中の21%濃度ナトリウムメトキシド溶液539ml(1444.232mmol)を滴下して添加する。混合物を室温で24時間撹拌する。混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに取り、水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。残渣をエタノールに溶解し、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルで精製する(移動相:塩化メチレン/エタノール200:1→50:1)。得られる生成物をエタノール200mlに懸濁し、水1000mlを徐々に添加し、混合物を室温で1時間撹拌する。固体を濾過し、水/エタノール1:1で洗浄し、50℃で、真空乾燥キャビネット中で乾燥させる。これにより、標的化合物15.4g(理論値の19%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 8.05-7.72 (s br, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.10 (d, 2H), 4.94 (t, 1H), 4.44 (q, 2H), 4.08 (t, 2H), 3.75 (q, 2H), 1.34 (t, 3H).
LC-MS (方法 2): Rt = 2.02 分; MS (ESIpos): m/z = 325 [M+H]+.
【0204】
実施例13A
2−クロロ−6−エトキシ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化41】

2−アミノ−6−エトキシ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル14.8g(45.631mmol)を、先ず、アセトニトリル830mlに加え、亜硝酸イソアミル32.07g(273.785mmol)および塩化銅(II)36.81g(273.785mmol)を添加し、混合物を60℃で3時間撹拌する。1N塩酸800mlを添加し、反応混合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。残渣をエタノールでトリチュレートし、固体を濾過し、エタノールで洗浄し、高真空下で乾燥させる。母液は依然として生成物を含有するので、それをシリカゲル35gに吸着させ、シリカゲルカラムで精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル2:1→1:1)。これにより、全部で11.9g(理論値の72%)の標的化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.59 (d, 2H), 7.18 (d, 2H), 4.94 (s br, 1H), 4.57 (q, 2H), 4.10 (t, 2H), 3.76 (t, 2H), 1.41 (t, 3H).
LC-MS (方法 8): Rt = 2.30 分; MS (ESIpos): m/z = 344 [M+H]+.
【0205】
実施例14A
2−エトキシ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化42】

2−クロロ−6−エトキシ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル1g(2.909mmol)を、先ず、DMF7.5mlに加え、硫化ナトリウム454mg(5.818mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。混合物を濃縮し、残渣をアセトニトリルでトリチュレートし、固体を濾過し、高真空下で乾燥させる。これにより、標的化合物230mg(理論値の24%)を得る。
LC-MS (方法 4): Rt = 0.79 分; MS (ESIpos): m/z = 342 [M+H]+.
【0206】
実施例15A
2−アミノ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化43】

4−ヒドロキシベンズアルデヒド500mg(4.094mmol)およびマロノニトリル554mg(8.393mmol)を、先ず、メタノール5mlに加え、メタノール中30%濃度のナトリウムメトキシド4.42g(24.565mmol)を添加する。次いで、混合物を室温で2時間撹拌する。沈殿した固体を濾過し、メタノールで洗浄し、高真空下で乾燥させる。これにより、標的化合物613mg(理論値の76%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.33 分; MS (ESIpos): m/z = 267 [M+H]+.
【0207】
実施例16A
2−クロロ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化44】

2−アミノ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル7.98g(15.285mmol)を、先ず、アセトニトリル120mlに加え、亜硝酸イソアミル6.175ml(45.855mmol)および塩化銅(II)6.165g(45.855mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。1N塩酸を添加し、反応混合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。残渣をシリカゲルカラムで精製する(移動相:トルエン/酢酸エチル2:1)。これにより、標的化合物1.3g(理論値の23%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 10.29 (s, 1H), 7.49 (d, 2H), 6.98 (d, 2H), 4.12 (s, 3H).
LC-MS (方法 1): Rt = 2.04 分; MS (ESIpos): m/z = 286 [M+H]+.
【0208】
実施例17A
4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メトキシ−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化45】

2−クロロ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル1.3g(4.550mmol)を、先ず、DMF10mlに加え、硫化ナトリウム426mg(5.460mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。反応混合物をさらに精製せずにさらに反応させる。
LC-MS (方法 4): Rt = 0.74 分; MS (ESIpos): m/z = 284 [M+H]+.
【0209】
実施例18A
4−(クロロメチル)−N−(4−フルオロフェニル)−1,3−チアゾール−2−アミン
【化46】

方法A:1.5時間にわたり、アセトン480ml中の1,3−ジクロロアセトン160g(1.26mol)の温かい溶液を、アセトン660ml中の4−フルオロフェニルチオウレア202g(1.19mol)の懸濁液に量り入れ、混合物を40℃で4.5時間撹拌し、室温で終夜する。結晶を吸引濾過し、アセトンで洗浄し、減圧下、50℃で乾燥させる。
収量:無色結晶328g(理論値の93%)
NMRによると、得られる生成物は、非脱水中間体4−(クロロメチル)−2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール−4−オール約78%との混合物中の所望の表題化合物約22%からなる。この生成物をさらに分離せずに、そのままさらに使用する。
【0210】
方法B:1,3−ジクロロアセトン600mg(4.7mmol)および4−フルオロフェニル−チオウレア768mg(4.5mmol)を、DMF10mlに溶解し、80℃で4時間撹拌する。水200mlを添加し、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、暗色の油状物を得る。この残渣をシリカゲル150gで、イソヘキサン→イソヘキサン/酢酸エチル(10:1)を使用してクロマトグラフィーする。生成物をさらに直接使用する。
収量:714mg(理論値の60%)
LC-MS (方法 5): Rt = 2.14 分; MS (ESIpos): m/z = 243 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.28 (s, 1H); 7.69-7.62 (m, 2H); 7.20-7.12 (m, 2H); 6.94 (s, 1H); 4.67 (s, 2H).
【0211】
実施例19A
4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール
【化47】

WO03/053441の実施例6に記載の通りに製造を実施する。
【0212】
実施例20A
4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール
【化48】

4−クロロベンズアミド1g(6.43mmol)を、1,3−ジクロロアセトン(6.43mmol)816mgと共に、135℃で1時間加熱する。混合物を室温に冷却させ、濃硫酸1mlを添加し、混合物を5分間撹拌する。次いで、混合物を氷に注ぎ、沈殿を吸引濾過する(946mg)。この沈殿をシリカゲル100gで、カラムクロマトグラフィーにより、シクロヘキサン/酢酸エチル20:1から5:1のグラジエントを使用して精製する。
収量:532mg(理論値の36%)
LC-MS (方法 5): Rt = 2.35 分; MS (ESIpos): m/z = 228 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.31(s, 1H), 8.0 (d, 2H), 7.62 (d, 2H), 4.75 (s, 2H).
【0213】
実施例21A
4−(クロロメチル)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−1,3−チアゾール
【化49】

1,3−ジクロロアセトン3.3g(26mmol)および3,4−ジフルオロフェニルチオウレア4.5gmg(26mmol)を、エタノール45ml中、還流終夜で沸騰させる。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を2回のシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル4:1およびイソヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製する。
収量:1.94g(理論値の30%)
LC-MS (方法 8): Rt = 3.26 分; MS (ESIpos): イオン化なし
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.03-7.94 (m, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.84-7.80 (m, 1H), 7.63-7.54 (m, 1H), 4.89 (s, 2H).
【0214】
実施例22A
4−(ヒドロキシメチル)−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド
【化50】

US6,689,883で中間体Hについて記載されている通りに製造を実施する。
【0215】
実施例23A
4−(クロロメチル)−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化51】

実施例22Aの化合物10g(45.32mmol)を、ジクロロメタン160mlに懸濁し、0℃に冷却する。塩化チオニル16.18g(135.96mmol)の添加後、反応混合物を室温に温め、室温で終夜撹拌する。次いで、混合物を蒸発により濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させる。
収量:10g(定量的)
LC-MS (方法 4): Rt = 0.71 分; MS (ESIpos): m/z = 185 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.85-8.78 (m, 1H), 8.65 (d, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.64 (d, 1H), 4.90 (s, 2H), 2.83 (d, 3H).
【0216】
実施例24A
4−{[(6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−フェニルピリジン−2−イル)スルファニル]メチル}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド
【化52】

2−アミノ−4−フェニル−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル1g(3.96mmol)、4−(クロロメチル)−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩0.96g(4.36mmol)および重炭酸ナトリウム1.33g(15.84mmol)を、DMF20mlに溶解し、室温で2時間撹拌する。水500mlを反応混合物に添加する。沈殿を濾過し、水で洗浄する。
収量:1.42g(理論値の90%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.74 分; MS (ESIpos): m/z = 401 [M+H]+.
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ (400 MHz) = 8.74 (q, 1H), 8.55 (d, 1H), 8.30-7.96 (s br, 2H), 8.15 (s, 1H), 7.80-7.75 (m, 1H), 7.58-7.50 (m, 5H), 4.60 (s, 2H), 2.81 (d, 3H).
【0217】
実施例25A
4−{[(6−クロロ−3,5−ジシアノ−4−フェニルピリジン−2−イル)チオ]メチル}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド
【化53】

実施例24Aの化合物1.42g(3.55mmol)を、先ず、アセトニトリル30mlに加え、亜硝酸イソペンチル0.96ml(7.10mmol)および塩化銅(II)0.95g(7.10mmol)を添加し、混合物を60℃で5時間撹拌する。もう一度、同量の塩化銅(II)を添加し、混合物を60℃で終夜撹拌する。1N塩酸7mlを添加し、混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。残渣を分取HPLCにより精製する(0.1%TFAを添加する)。
収量:1.31g(理論値の87%)
LC-MS (方法 2): Rt = 2.46 分; MS (ESIpos): m/z = 420 [M+H]+.
【0218】
実施例26A
4−{[(4R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ}ベンゼンカルボアルデヒド
【化54】

p−メトキシベンズアルデヒド2g(16.38mmol)を、(4S)−4−(クロロメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン3.7g(24.57mmol)および炭酸カリウム15.8g(114.64mmol)と共に、DMF10ml中、130℃で終夜撹拌する。次いで、混合物を水に添加し、塩化メチレンで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。残渣をシリカゲルカラム(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)により精製する。これにより、標的化合物2.42g(理論値の61%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 9.87 (s, 1H), 7.87 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 4.47-4.41 (m, 1H), 4.19-4.15 (m, 1H), 4.13-4.08 (m, 2H), 3.79-3.75 (m, 1H), 1.36 (s, 3H), 1.31 (s, 3H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.00 分; MS (ESIpos): m/z = 237 [M+H]+.
【0219】
実施例27A
2−アミノ−4−(4−{[(4R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ}フェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化55】

4−{[(4R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ}ベンゼンカルボアルデヒド1.2g(5.08mmol)およびマロノニトリル688mg(10.41mmol)を、先ず、メタノール10mlに加え、ナトリウムメトキシド(濃度30%、メタノールに溶解)1.65g(30.47mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌する。沈殿した固体を濾過し、メタノールで洗浄し、高真空下で乾燥させる。これにより、標的化合物451mg(理論値の23%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.92 (s, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.13 (d, 2H), 4.47-4.41 (m, 1H), 4.14-4.05 (m, 3H), 3.96 (s, 3H), 3.80-3.75 (m, 1H), 1.37 (s, 3H), 1.32 (s, 3H).
LC-MS (方法 2): Rt = 2.19 分; MS (ESIpos): m/z = 381 [M+H]+.
【0220】
実施例28A
2−クロロ−4−(4−{[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}フェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化56】

2−アミノ−4−(4−{[(4R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ}フェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル450mg(1.18mmol)を、亜硝酸イソアミル478μl(3.55mmol)および塩化銅(II)477mg(3.55mmol)と共に、アセトニトリル10ml中、65℃で4時間撹拌する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5)により精製する。これにより、標的化合物202mg(理論値の44%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.59 (d, 2H), 7.18 (d, 2H), 4.13 (s, 3H), 4.09 (d, 1H), 4.01-3.92 (m, 1H), 3.85-3.80 (m, 1H), 3.47 (d, 2H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.02 分; MS (ESIneg): m/z = 340 [M-H-H2O]+.
【0221】
実施例29A
4−(4−{[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}フェニル)−2−メトキシ−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化57】

2−クロロ−4−(4−{[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}フェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル100mg(0.278mmol)を、先ず、DMF5mlに加え、硫化ナトリウム26mg(0.334mmol)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌する。反応混合物をさらに精製せずにさらに反応させる。
LC-MS (方法 4): Rt = 0.69 分; MS (ESIpos): m/z = 358 [M+H]+.
【0222】
実施例30A
[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メタノール
【化58】

4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール6g(26.307mmol)を、還流下、0.1N水酸化ナトリウム水溶液526ml(52.613mmol)中で3時間加熱した。次いで、混合物を室温に冷却し、沈殿した固体を濾過し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、高真空下で乾燥させた。これにより、標的化合物4.79g(理論値の85%)を得た。
LC-MS (方法 4): Rt = 0.94 分; MS (ESIpos): m/z = 210 [M+H]+.
【0223】
実施例
実施例1
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−フェニル−6−プロポキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化59】

1−プロパノール37μl(0.501mmol)を、先ず、DMF2mlに加え、カリウムtert−ブトキシド20mg(0.184mmol)を添加し、混合物を15分間撹拌し、その後、DMF2mlに溶解した2−クロロ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−フェニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル100mg(0.167mmol)を添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5、0.1%TFAを添加する)により精製する。これにより、標的化合物13mg(理論値の15%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.95 (d, 2H), 7.74 (s, 1H), 7.62-7.57 (m, 7H), 4.79 (s, 2H), 4.53 (t, 2H), 1.79-1.70 (m, 2H), 0.93 (t, 3H).
LC-MS (方法 1): Rt = 3.07 分; MS (ESIpos): m/z = 503 [M+H]+.
【0224】
実施例2
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−(3−ヒドロキシプロポキシ)−4−フェニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化60】

1,3−プロパンジオール68μl(0.939mmol)を、先ず、DMF2mlに加え、カリウムtert−ブトキシド38mg(0.344mmol)を添加し、混合物を15分間撹拌し、その後、DMF2mlに溶解した2−クロロ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−フェニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル150mg(0.313mmol)を添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5、0.1%TFAを添加する)により精製する。これにより、標的化合物98mg(理論値の59%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.96 (d, 2H), 7.75 (s, 1H), 7.62-7.57 (m, 7H), 4.78 (s, 2H), 4.68 (t, 2H), 3.55 (t, 2H), 1.94-1.87 (m, 2H).
LC-MS (方法 2): Rt = 2.90 分; MS (ESIpos): m/z = 519 [M+H]+.
【0225】
実施例3
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(3−ヒドロキシプロポキシ)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化61】

実施例2と同様に、実施例4Aから製造を実施する。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.97 (d, 2H), 7.74 (s, 1H), 7.60-7.52 (m, 4H), 7.15 (d, 2H), 4.91 (br s, 1H), 4.80 (s, 2H), 4.70-4.58 (m, 3H), 4.09 (t, 2H), 3.74 (t, 2H), 3.54 (t, 2H), 1.90 (五重線, 2H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.36 分; MS (ESIpos): m/z = 579 [M+H]+.
【0226】
実施例4
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(2−メチルプロポキシ)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化62】

実施例2と同様に、実施例4Aから製造を実施する。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.97 (d, 2H), 7.71 (s, 1H), 7.61-7.53 (m, 4H), 7.15 (d, 2H), 4.92 (t, 1H), 4.79 (s, 2H), 4.30 (d, 2H), 4.09 (t, 2H), 3.74 (q, 2H), 2.05 (七重線, 1H), 0.91 (d, 6H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.76 分; MS (ESIpos): m/z = 577 [M+H]+.
【0227】
実施例5
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−[(1−メチルピロリジン−3−イル)オキシ]−4−フェニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化63】

3−ヒドロキシ−N−メチルピロリジン25μl(0.229mmol)を、先ず、THF0.5mlに加え、混合物を0℃に冷却し、ホスファゼン塩基P(4)−t−Bu(1M、THF中)249μl(0.249mmol)を添加し、混合物をこの温度で10分間撹拌する。次いで、実施例3Aの化合物120mg(0.208mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を分取HPLC(0.15%塩酸の添加)により精製する。これにより、純粋でない標的化合物38mgを得る。これをジクロロメタンに溶解し、1N塩酸で2回、水で1回、そして飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、有機相をロータリーエバポレーターで濃縮し、粗生成物を分取HPLC(0.15%塩酸の添加)によりもう一度精製する。
収量:7mg(理論値の6%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 10.40 (br s, 1H), 7.98 (d, 2H), 7.80 (d, 1H), 7.65-7.58 (m, 7H), 5.96-5.87 (m, 1H), 4.82 (s, 2H), 4.10-3.83 (m, 1H), 3.78-3.68 (m, 1H), 3.58-3.42 (m, 1H), 3.30-3.09 (m, 1H), 2.89 (d, 3H), 2.44-2.18 (m, 2H).
LC-MS (方法 2): Rt = 2.00 分; MS (ESIpos): m/z = 544 [M+H]+.
【0228】
実施例6
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−(3−ヒドロキシプロポキシ)−4−(1,3−チアゾール−5−イル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化64】

1,3−プロパンジオール30μl(0.419mmol)を、先ず、DMF2mlに加え、カリウムtert−ブトキシド18mg(0.154mmol)を添加し、混合物を15分間撹拌し、その後、DMF2mlに溶解した2−クロロ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−(1,3−チアゾール−5−イル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル75mg(0.14mmol)を添加する。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5)により精製する。これにより、標的化合物11mg(理論値の15%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 9.45 (d, 1H), 8.38 (d, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.74 (s, 1H), 7.58 (d, 2H), 4.81 (s, 2H), 4.68 (t, 2H), 4.64 (t, 1H), 3.53 (q, 2H), 1.93-1.87 (m, 2H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.22 分; MS (ESIpos): m/z = 526 [M+H]+.
【0229】
実施例7
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化65】

4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メトキシ−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル400mg(1.222mmol)を、DMF8ml中の4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール306mg(1.344mmol)および重炭酸ナトリウム410mg(4.888mmol)と共に、室温で終夜撹拌する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5)により精製する。これにより、標的化合物10.4mg(理論値の1.6%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 8.21 (s, 1H), 7.97 (d, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.14 (d, 2H), 4.87 (t, 1H), 4.63 (s, 2H), 4.21 (s, 3H), 4.09 (t, 2H), 3.75 (m, 2H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.39 分; MS (ESIpos): m/z = 519 [M+H]+.
【0230】
実施例8
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化66】

4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メトキシ−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル2.095g(6.399mmol)を、DMF50ml中の4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール1.875g(7.679mmol)および重炭酸ナトリウム1.613g(19.197mmol)と共に、室温で終夜撹拌する。水およびメタノールを添加し、反応混合物を超音波浴中に2分間置く。白色固体が沈殿し、それを濾過し、メタノールで洗浄し、高真空下で乾燥させる。母液を元の体積の半分に濃縮し、30分間冷蔵庫に置く。沈殿した固体を濾過し、メタノールで洗浄し、高真空下で乾燥させる。2つの沈殿した固体を合わせ、全部で2.98g(理論値の85%)の標的化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.95 (d, 2H), 7.76 (s, 1H), 7.63-7.53 (m, 4H), 7.15 (d, 2H), 4.93 (s br, 1H), 4.82 (s, 2H), 4.18 (s, 3H), 4.09 (t, 2H), 3.75 (t br, 2H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.45 分; MS (ESIpos): m/z = 535 [M+H]+.
【0231】
実施例9
3−[({3,5−ジシアノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−2−イル}チオ)メチル]安息香酸
【化67】

実施例10Aの化合物50mg(0.153mmol)を、3−(クロロメチル)安息香酸29mg(0.168mmol)および重炭酸ナトリウム38.5mg(0.458mmol)と共に、DMF0.6ml中、室温で2時間撹拌する。水を添加し、反応混合物を分取HPLC(0.15%塩酸を添加する)により精製する。
収量:28mg(理論値の39%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 13.05 (s br, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.84 (d, 1H), 7.76 (d, 1H), 7.56 (d, 2H), 7.50 (t, 1H), 7.13 (d, 2H), 4.73 (s, 2H), 4.18 (s, 3H), 4.09 (t, 2H), 3.80 (br s, 1H), 3.74 (t, 2H).
LC-MS (方法 9): Rt = 3.28 分; MS (ESIpos): m/z = 462 [M+H]+.
【0232】
実施例10
3−{[(3,5−ジシアノ−6−メトキシ−4−フェニルピリジン−2−イル)チオ]メチル}安息香酸
【化68】

実施例11Aの化合物75mg(0.177mmol)を、3−(クロロメチル)安息香酸33mg(0.194mmol)および重炭酸ナトリウム44.5mg(0.530mmol)と共に、DMF1.0ml中で、室温で終夜撹拌する。水を添加し、反応混合物を分取HPLC(0.15%塩酸を添加する)により精製する。
収量:67mg(理論値の94%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 13.08 (s br, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.76 (d, 1H), 7.62-7.56 (m, 5H), 7.50 (t, 1H), 4.75 (s, 2H), 4.19 (s, 3H).
LC-MS (方法 10): Rt = 3.50 分; MS (ESIpos): m/z = 402 [M+H]+.
【0233】
実施例11
4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メトキシ−6−[(3−メトキシベンジル)スルファニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化69】

4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メトキシ−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル75mg(0.229mmol)を、3−メトキシ臭化ベンジル36μl(0.253mmol)および炭酸カリウム52mg(0.380mmol)と共に、DMF1ml中、室温で終夜撹拌する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5、0.1%ギ酸を添加する)により精製する。これにより、標的化合物16mg(理論値の56%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.56 (d, 2H), 7.28 (t, 1H), 7.15 (d, 2H), 7.07-7.06 (m, 2H), 6.88 (m, 1H), 4.95 (t, 1H), 4.65 (s, 2H), 4.17 (s, 3H), 4.10 (t, 2H), 3.75 (m, 2H).
LC-MS (方法 5): Rt = 2.39 分; MS (ESIpos): m/z = 448 [M+H]+.
【0234】
実施例12
4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メトキシ−6−[(ピリジン−3−イルメチル)スルファニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化70】

2−クロロ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル494mg(1.5mmol)を、先ず、DMF5mlに加え、硫化ナトリウム140mg(1.8mmol)を添加し、混合物を室温で3時間撹拌する。次いで、炭酸カリウム311mg(2.25mmol)および塩化3−ピコリル塩酸塩307mg(1.8mmol)を添加する。反応混合物を45℃で終夜撹拌し、次いで分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5、0.1%ギ酸を添加する)により精製する。これにより、標的化合物255mg(理論値の40%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 8.71 (s, 1H), 8.50 (d, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.54 (d, 2H), 7.40 (dd, 1H), 7.14 (d, 2H), 4.70 (s, 2H), 4.13 (s, 3H), 4.10 (t, 2H), 3.75 (m, 2H).
LC-MS (方法 5): Rt = 1.63 分; MS (ESIpos): m/z = 419 [M+H]+.
【0235】
実施例13
2−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)スルファニル]−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化71】

4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メトキシ−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル122mg(0.371mmol)を、DMF3mlおよびエタノール1mlに溶解し、実施例18A(方法A)の化合物118mg(0.397mmol)、炭酸カリウム130mg(0.94mmol)および水素化ホウ素ナトリウム20mg(0.53mmol)を添加し、混合物を50℃で終夜撹拌する。5N酢酸0.4mlの添加後、生成物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5、0.1%ギ酸を添加する)により精製する。これにより、標的化合物59mg(理論値の30%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 10.27 (s, 1H), 7.61-7.59 (m, 1H), 7.55 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 7.12 (t, 2H), 6.86 (s, 1H), 4.93 (t, 1H), 4.61 (s, 2H), 4.19 (s, 3H), 4.09 (t, 2H), 3.74 (q, 2H).
LC-MS (方法 5): Rt = 2.42 分; MS (ESIpos): m/z = 534[M+H]+.
【0236】
実施例14
2−({[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化72】

2−クロロ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル36mg(0.111mmol)を、先ず、DMF1mlに加え、4−(クロロメチル)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−1,3−チアゾール34mg(0.138mmol)および重炭酸ナトリウム28mg(0.332mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5、0.1%ギ酸を添加する)により精製する。これにより、標的化合物33mg(理論値の48%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.99-7.95 (m, 1H), 7.80-7.77 (m, 2H), 7.61-7.57 (m, 1H), 7.15 (d, 2H), 4.93 (t, 1H), 4.81 (s, 2H), 4.18 (s, 3H), 4.09 (t, 2H), 3.75 (q, 2H).
LC-MS (方法 11): Rt = 2.80 分; MS (ESIpos): m/z = 537 [M+H]+.
【0237】
実施例15
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−エトキシ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化73】

2−エトキシ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル100mg(0.293mmol)を、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール73mg(0.322mmol)および重炭酸ナトリウム98mg(1.172mmol)と共に、DMF2ml中、室温で終夜撹拌する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5)により精製する。これにより、標的化合物41.5mg(理論値の26%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 8.23 (s, 1H), 7.96 (d, 2H), 7.62 (d, 2H), 7.56 (d, 2H), 7.16 (d, 2H), 4.92 (s, 1H), 4.66 (m, 2H), 4.60 (s, 2H), 4.09 (m, 2H), 3.75 (m, 2H), 1.38 (m, 3H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.45 分; MS (ESIpos): m/z = 533 [M+H]+.
【0238】
実施例16
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−エトキシ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化74】

2−エトキシ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル100mg(0.293mmol)を、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール78mg(0.322mmol)および重炭酸ナトリウム98mg(1.172mmol)と共に、DMF2ml中、室温で終夜撹拌する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5)により精製する。これにより、標的化合物77mg(理論値の47%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.95 (d, 2H), 7.74 (s, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.14 (d, 2H), 4.92 (t, 1H), 4.78 (s, 2H), 4.63 (q, 2H), 4.09 (t, 2H), 3.75 (q, 2H), 1.34 (t, 3H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.51 分; MS (ESIpos): m/z = 549 [M+H]+.
【0239】
実施例17
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化75】

4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メトキシ−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル64mg(0.224mmol)を、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール88mg(0.269mmol)および重炭酸ナトリウム57mg(0.672mmol)と共に、DMF2ml中、室温で終夜撹拌する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5、0.1%TFAを添加する)により精製する。これにより、標的化合物44mg(理論値の41%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 10.2 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.97 (d, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.44 (d, 2H), 6.95 (d, 2H), 4.62 (s, 2H), 4.20 (s, 3H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.43 分; MS (ESIpos): m/z = 475 [M+H]+.
【0240】
実施例18
4−({[3,5−ジシアノ−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−フェニルピリジン−2−イル]チオ}メチル)−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド
【化76】

1,2−エタンジオール22mg(0.357mmol)を、先ず、DMF0.5mlに加え、水素化ナトリウム4.8mg(0.179mmol)を添加する。室温で15分後、実施例25Aの化合物50mg(0.119mmol)を添加し、反応混合物を115℃で終夜撹拌する。冷却後、反応溶液を分取HPLCにより精製する。
収量:19mg(理論値の28%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 8.79 (q, 1H), 8.58 (d, 1H), 8.10 (d, 1H), 7.70-7.58 (m, 6H), 4.69 (br s, 1H), 4.56 (t, 2H), 3.80 (t, 2H), 2.82 (d, 3H).
LC-MS (方法 1): Rt = 1.95 分; MS (ESIpos): m/z = 446 [M+H]+.
【0241】
表1に挙げる実施例は、適当な出発物質から、実施例18と同様に製造し、その後精製する:
表1:
【表2】

【0242】
実施例21
ギ酸4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−[(1H−イミダゾール−4−イルメチル)スルファニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル(1:1)
【化77】

この化合物は、実施例14の手順と同様に、2−クロロ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリルおよび4−クロロメチルイミダゾールから製造する。
収量3.8mg(理論値の7%)
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): d = 8.12 (s, 1H) 7.61 (s, 1H), 7.54 (d, 2H), 7.18-7.00 (m, 3H), 4.92 (t, 1H), 4.58 (s, 2H), 4.18 (s, 3H), 4,20 (s, 3H) 4.10 (t, 2H), 3.73 (q, 2H).
LC-MS (方法 11): Rt = 2.24 分; MS (ESIpos): m/z = 408 [M+H]+.
【0243】
実施例22
2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−(4−{[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]オキシ}フェニル)−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化78】

実施例29Aの溶液を、4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール75mg(0.306mmol)および重炭酸ナトリウム93mg(1.112mmol)と共に、室温で終夜撹拌する。反応混合物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5、0.1%TFAを添加する)により精製する。これにより、標的化合物33mg(2工程にわたる理論値の20%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 7.95 (d, 2H), 7.76 (s, 1H), 7.57 (dd, 4H), 7.14 (d, 2H), 5.05 (d, 1H), 4.82 (s, 2H), 4.70 (t, 1H), 4.18 (s, 3H), 4.12-4.08 (m, 1H), 4.00-3.95 (m, 1H), 3.85-3.79 (m, 1H), 3.46 (t, 2H).
LC-MS (方法 4): Rt = 1.41 分; MS (ESIpos): m/z = 565 [M+H]+.
【0244】
実施例23
2−{[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ}−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化79】

[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メタノール190mg(0.910mmol)を、先ず、DMF2mlに加え、カリウム2−メチルプロパン−2−オキシド37mg(0.334mmol)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌する。次いで、DMF1mlに溶解した2−クロロ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メトキシピリジン−3,5−ジカルボニトリル100mg(0.303mmol)を添加する。混合物を室温で終夜撹拌し、次いで、生成物を分取HPLC(アセトニトリル/水:10:90→95:5、0.1%TFAを添加する)により単離する。これにより、標的化合物31mg(理論値の20%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): d = 8.44 (s, 1H), 8.01 (d, 2H), 7.63 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 5.62 (s, 2H), 4.19 (s, 3H), 4.09 (t, 2H), 3.75 (t, 2H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.23 分; MS (ESIpos): m/z = 503 [M+H]+.
【0245】
B. 薬理および生理活性の評価
本発明による化合物の薬理および生理活性は、以下のアッセイで立証できる:
B−1. 遺伝子発現によるアデノシンアゴニズムの間接的測定
CHO(チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary))永久株の細胞を、アデノシン受容体サブタイプA1、A2aおよびA2bのcDNAで安定に形質移入する。アデノシンA1受容体は、Gタンパク質によりアデニル酸シクラーゼと共役し、一方、アデノシンA2aおよびA2b受容体は、Gタンパク質により共役する。これに対応して、細胞におけるcAMPの形成は、各々、阻害または刺激される。その後、ルシフェラーゼの発現は、cAMP依存性プロモーターにより調節される。高い感度および再現性、低い変動性およびロボットシステムでの実施に対する良好な適合性を目的として、細胞密度、増殖期間および試験のインキュベーションの期間、フォルスコリン濃度および培地組成などのいくつかの試験パラメーターを変更することにより、ルシフェラーゼ試験を最適化する。以下の試験プロトコールを、細胞を薬理的に特徴解析するために、そして、ロボットに補助される物質のスクリーニングのために使用する:
【0246】
保存培養物を、37℃で、5%CO下で、10%FCS(ウシ胎児血清)を含有するDMEM/F12培地中、各場合で2、3日後に1:10に分けて増殖させる。試験培養物を細胞2000個/ウェルで384ウェルのプレートに播き、37℃で約48時間増殖させる。次いで、培地を、生理的塩化ナトリウム溶液(130mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化カルシウム、20mM HEPES、1mM塩化マグネシウム六水和物、5mM重炭酸ナトリウム、pH7.4)で置き換える。DMSOに溶解した被験物質を、5x10−11Mないし3x10−6M(最終濃度)の連続希釈で、試験培養物にピペットで加える(試験混合物中のDMSOの最大最終濃度:0.5%)。10分後、フォルスコリンをA1の細胞に添加し、その後、全ての培養物を37℃で4時間インキュベートする。その後、溶解剤(30mMリン酸水素二ナトリウム、10%グリセロール、3%TritonX100、25mM TrisHCl、2mMジチオスレイトール(DTT)、pH7.8)50%およびルシフェラーゼ基質溶液(2.5mM ATP、0.5mMルシフェリン、0.1mM補酵素A、10mMトリシン、1.35mM硫酸マグネシウム、15mM DTT、pH7.8)50%からなる溶液35μlを試験培養物に添加し、それを約1分間振盪し、カメラシステムを使用してルシフェラーゼ活性を測定する。EC50値、即ち、各々、A1細胞の場合、ルシフェラーゼ応答の50%が阻害され、A2bおよびA2a細胞の場合、対応する物質による最大刺激の50%が達成される濃度を決定する。全てのアデノシン受容体サブタイプに高い親和性で結合し、アゴニスト的効果を有するアデノシン類似化合物NECA(5−N−エチルカルボキシアミドアデノシン)を、これらの実験において参照化合物として使用する[Klotz, K.N., Hessling, J., Hegler, J., Owman, C., Kull, B., Fredholm, B.B., Lohse, M.J., "Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells", Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 357 (1998), 1-9)。
【0247】
下表1は、アデノシンA1、A2aおよびA2b受容体サブタイプの受容体刺激について、代表的実施例のEC50値を列挙する:
表6
【表3】

【0248】
B−2. 単離した血管での研究
麻酔したラットの尾動脈を切り取り、単離された血管を測定するための常套の器具に載せる。加熱浴中で血管を灌流し、フェニレフリンを使用して収縮させる。収縮の程度を、収縮測定装置を使用して測定する。予め収縮させた血管に試験物質を添加し、血管の収縮の減少を測定する。収縮の減少は、血管の拡張に対応する。血管の収縮が50%まで減少する濃度を、試験物質の弛緩特性に関するEC50値として示す。
【0249】
B−3. 覚醒しているラットの血圧および心拍数の測定
様々な投与量の試験物質を、血圧および心拍数の両方を永続的に測定できる内部の伝達装置(血行動態パラメーターの遠隔測定モニタリング)を保有する、覚醒しているSHRラット(自然発症高血圧ラット)に経口投与する。次いで、血圧、心拍数およびそれらの変化を24時間にわたり記録する。
【0250】
B−4. 覚醒しているマーモセットの血圧および心拍数の測定
様々な濃度の試験物質を、血圧および心拍数の両方を永続的に測定できる内部の伝達装置(血行動態パラメーターの遠隔測定モニタリング)を保有する、覚醒しているマーモセットに経口投与する。次いで、血圧、心拍数およびそれらの変化を6−24時間にわたり記録する。
【0251】
B−5. 遺伝子発現によるアデノシン拮抗作用の間接的測定
永久株CHO K1(チャイニーズハムスター卵巣)の細胞を、レポーターコンストラクト(CREルシフェラーゼ)およびアデノシン受容体サブタイプA2aまたはA2bのcDNAで安定に形質移入する。A2aまたはA2b受容体は、Gαsタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼと共役する。受容体活性化を介して、アデニル酸シクラーゼが活性化され、かくして細胞内のcAMPレベルが上昇する。レポーターコンストラクト(cAMP依存的プロモーター)を介して、cAMPレベルの変化はルシフェラーゼ発現と連動する。
【0252】
アデノシン受容体サブタイプA1に対するアデノシン拮抗作用の測定のために、もう一度CHO K1細胞に安定に形質移入するが、今回は、Ca2+感受性レポーターコンストラクト(NFAT−TA−Luc;Clontech)およびA1−Gα16融合コンストラクトで形質移入する。この受容体キメラは、天然のA1受容体(Gαi共役)と対照的に、ホスホリパーゼCと共役する。ここで、ルシフェラーゼは、細胞質Ca2+濃度に応じて発現される。
【0253】
この永久細胞株を、DMEM/F12(Cat.No. BE04-687Q; BioWhittaker)中、10%FCS(ウシ胎児血清)および様々な添加物(20ml/l 1M HEPES(Cat.No. 15630; Gibco)、20ml/l GlutaMAX (Cat.No. 35050-038, Gibco)、14ml/l MEMピルビン酸ナトリウム(Cat.No. 11360-039; Gibco)10ml/l PenStrep (Cat.No. 15070-063; Gibco))と共に、37℃で、5%二酸化炭素下で培養し、週に2回植え継ぐ。
【0254】
384ウェルプレート形式で試験するために、細胞2000個/ウェルで、25μl/ウェルの播種培地中に細胞を播き、37℃で、5%二酸化炭素下で、物質を試験するまで培養する。物質の試験の24時間前に、A2aおよびA2b細胞を、添加物と5%FCSを含む培地に播く。A2a細胞に使用するベースの培地はDMEM/F12であり、A2b細胞に使用するベースの培地は、OptiMEM (Cat.No. 31985-047; Gibco)である。A1−Gα16細胞を、物質の試験の48時間前に、2.5%透析FCSおよび添加物を含む OptiMEM 中に播く。試験当日に、物質の添加に先立ち、培地を2mM塩化カルシウムおよび0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)を含む Cafty バッファー(Cat. No. T21-154; PAA)25μlで置き換える。2mM塩化カルシウムおよび0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)を含む Cafty バッファー中の希釈系列および適するアゴニスト濃度を、DMSOに溶解した試験物質から調製する。物質を最終濃度5x10−5Mないし2.56x10−11Mで試験培養物にピペットで加え、その際、細胞上のDMSO含有量は0.5%を超えるべきではない。EC50濃度にほぼ相当する最終濃度30nMのNECA(5−N−エチル−カルボキサミドアデノシン)を、A2aおよびA2b細胞のアゴニストとして使用する。EC75濃度にほぼ相当する25nM CPA(N6−シクロペンチルアデノシン)を、A1−Gα16細胞のアゴニストとして使用する。物質の添加後、細胞のプレートを3−4時間37℃で5%二酸化炭素下でインキュベートする。次いで、50%溶解剤(30nMリン酸水素二ナトリウム、10%グリセロール、3% Triton X−100、25mM TrisHCl、2mMジチオスレイトール(DTT)、pH7.8)および50%のルシフェラーゼ基質溶液(2.5mM ATP、0.5mMルシフェリン、0.1mM補酵素A、10mMトリシン、1.35mM硫酸マグネシウム、15mM DTT、pH7.8)からなる溶液25μlを測定前に直接細胞に添加する。ルシフェラーゼ活性を発光リーダーで検出する。IC50値、即ち、各アゴニストによりもたらされるルシフェラーゼ応答が50%まで阻害される濃度を決定する。A2aおよびA2b細胞にはZM241385を、そして、A1−Gα16細胞にはDPCPX(1,3−ジプロピル−8−シクロペンチルキサンチン)を、参照アンタゴニストとして使用する。
【0255】
B−6. 静脈内および経口投与後の薬物動態学的パラメーターの測定
被験物質を液剤として動物(例えば、マウス、ラット、イヌ)に静脈内投与し、経口投与は液剤または懸濁剤として胃管栄養法により行う。物質の投与後、所定の時間に血液を動物から取り、ヘパリン処理し、次いでそこから遠心分離により血漿を得る。物質を血漿中でLC/MS−MSにより分析的に定量する。かくして判明した血漿濃度/時間経過を使用して、AUC(濃度−時間曲線の下の面積)、Cmax(最大血漿濃度)、T1/2(半減期)およびCL(クリアランス)などの薬物動態学的パラメーターを、有効な薬物動態学のコンピュータープログラムを利用して算出する。
【0256】
B−7. 溶解度の測定
必要な試薬:
・PBSバッファーpH6.5:NaCl p.a.(例えば、Merck より、Art. No. 1.06404.1000)90.00g、KHPO p.a.(例えば、Merck より、Art. No. 1.04873.1000)13.61gおよび1N水酸化ナトリウム水溶液(例えば、Bernd Kraft GmbH より、Art. No. 01030.4000)83.35gを、1lのメスフラスコ中に量り入れ、フラスコを蒸留水で満たして1lとし、混合物を1時間撹拌する。次いで、1N塩酸(例えば、Merckより、Art. No. 1.09057.1000)を使用して、pHを6.5に調節する。
・PEG/水溶液(70:30v/v):ポリエチレングリコール400(例えば、Merck より、Art. No. 8.17003.1000)70mlおよび蒸留水30mlを、100mlのメスフラスコ中でホモジナイズする。
・PEG/PBSバッファーpH6.5(20:80v/v):ポリエチレングリコール400(例えば、Merckより、Art. No. 8.17003.1000)20mlおよびPBSバッファー(pH6.5)80mlを、100mlのメスフラスコ中でホモジナイズする。
・ジメチルスルホキシド(例えば、Bakerより、Art. No. 7157.2500)
・蒸留水。
【0257】
出発溶液(原液)の調製:
少なくとも4mgの試験物質を、適合するスクリューキャップおよびセプタムを有する広口の10mmスクリューV型バイアル(Glastechnik Graefenroda GmbH より、Art. No. 8004-WM-H/V15μ)に正確に量り入れ、ピペット操作用ロボット中で、DMSOを50mg/mlの濃度まで添加し、混合物を10分間振盪する。
【0258】
較正溶液の調製:
較正溶液用の出発溶液(原液)の調製:ピペット操作用ロボットを利用して、原液10μlを、マイクロタイタープレートに移し、DMSOで600μg/mlの濃度とする。全てが溶解するまで、サンプルを振盪する。
較正溶液1(20μg/ml):DMSO1000μlを原液34.4μlに添加し、混合物をホモジナイズする。
較正溶液2(2.5μg/ml):DMSO700μlを100μlの較正溶液1に添加し、混合物をホモジナイズする。
【0259】
サンプル溶液の調製:
PBSバッファー(pH6.5)中で5g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:原液10μlをマイクロタイタープレートに移し、PBSバッファー(pH6.5)1000μlを添加する。
PEG/水(70:30)中で5g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:原液10μlをマイクロタイタープレートに移し、PEG/水(70:30)1000μlを添加する。
PEG/PBSバッファーpH6.5(20:80)中で5g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:原液10μlをマイクロタイタープレートに移し、PEG/PBSバッファーpH6.5(20:80)1000μlを添加する。
【0260】
実施:
かくして調製されたサンプル溶液を、1400rpmで、温度調節可能な振盪機(例えば、互換性ブロック Art. No. 5362.000.019 を備えた Eppendorf Thermomixer comfort Art. No. 5355 000.011)で、20℃で24時間振盪する。これらの溶液から各180μlを取り、Beckman Polyallomer Centrifuge Tubes (Art. No. 343621)に移す。これらの溶液を約223000xgで1時間遠心分離する(例えば Beckman Optima L-90K Ultracentrifuge、Type 42.2 Ti Rotor を用いて、42000rpmで)。各サンプル溶液から、上清100μlを取り、DMSOで1:5および1:100に希釈する。各希釈物から、サンプルをHPLC分析に適する容器に移す。
【0261】
分析:
サンプルをRP−HPLCにより分析する。DMSO中の試験化合物の2点較正曲線を使用して定量を実施する。溶解度をmg/lで表示する。分析順序:1)較正溶液2.5mg/ml;2)較正溶液20μg/ml;3)サンプル溶液1:5;4)サンプル溶液1:100。
【0262】
酸用のHPLC方法:
DAD(G1315A)、定量ポンプ(G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えた Agilent 1100;カラム:Phenomenex Gemini C18, 50 mm x 2 mm, 5 μ;温度:40℃;移動相A:水/リン酸pH2;移動相B:アセトニトリル;流速:0.7ml/分;グラジエント:0−0.5分85%A、15%B;勾配:0.5−3分10%A、90%B;3−3.5分10%A、90%B;勾配:3.5−4分85%A、15%B;4−5分85%A、15%B。
【0263】
塩基用のHPLC方法:
DAD(G1315A)、定量ポンプ(G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えた Agilent 1100;カラム:VDSoptilab Kromasil 100 C18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μ;温度:30℃;移動相A:水+5ml過塩素酸/l;移動相B:アセトニトリル;流速:0.75ml/分;グラジエント:0−0.5分98%A、2%B;勾配:0.5−4.5分10%A、90%B;4.5−6分10%A、90%B;勾配:6.5−6.7分98%A、2%B;6.7−7.5分98%A、2%B。
【0264】
B−8. 代謝安定性の測定
試験化合物の代謝安定性を測定するために、後者を、様々な動物種(例えば、ラットおよびイヌから)およびヒト起源の、肝臓ミクロソームと、または、好ましくは、初代の新鮮な肝細胞と、インビトロでインキュベートし、できるだけ完全な肝臓の第I相および第II相の代謝の代謝プロフィールを入手し、比較する。
【0265】
試験化合物を、10−20μMの濃度でインキュベートする。この目的で、アセトニトリル中の濃度1−2mMの物質の原液を調製し、次いで1:100希釈でインキュベーション混合物にピペットで加える。肝臓ミクロソームを、37℃で、50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.4)中、1mM NADP、10mMグルコース6−ホスフェートおよび1ユニットのグルコース6−ホスフェートデヒドロゲナーゼからなるNADPH−生成システムがある場合とない場合で、インキュベートする。また、初代肝細胞を、37℃で、Williams E 培地中で懸濁してインキュベートする。0−4時間のインキュベーション期間の後、インキュベーション混合物をアセトニトリル(最終濃度約30%)でクエンチし、タンパク質を約15000xgで遠心分離する。かくしてクエンチしたサンプルを、直接分析するか、または、分析するまで−20℃で保存する。
【0266】
高速液体クロマトグラフィーを、紫外および質量分析的検出(HPLC−UV−MS/MS)と共に使用して、分析を実施する。この目的で、インキュベーションサンプルの上清を、適するC18逆相カラムおよびアセトニトリルと10mMギ酸アンモニウム水溶液の様々な移動相混合物を使用して、クロマトグラフィーする。質量分析のMS/MSデータと組み合わせたUVクロマトグラムは、代謝物の同定とそれらの構造の解明に役立つ。
【0267】
C. 医薬組成物の実施例
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)10mg(BASF より、Ludwigshafen, Germany)およびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびスターチの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、次いで、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0268】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (FMCのキサンタンガム、Pennsylvania, USA) 400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0269】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明の化合物が完全に溶解するまで、混合工程を継続する。
【0270】
i.v.液剤:
本発明の化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェンを含まない注射容器に満たすのに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
Xは、OまたはSを表し、
は、(C−C10)−アリールまたは5員ないし10員のヘテロアリールを表し
[ここで、(C−C10)−アリールおよび5員ないし10員のヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、(C−C)−シクロアルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノスルホニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノスルホニル、(C−C)−アルキルスルホニルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、N'−(C−C)−アルキルピペラジノ、ピロリジノカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、ピペラジノカルボニル、N'−(C−C)−アルキルピペラジノカルボニルおよび−L−R
{ここで、Lは、結合、NHまたはOを表し、
は、フェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリールを表す
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよい)}
からなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい]、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
は、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し
[ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルコキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、ピロリジニルオキシおよび−NRからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、(C−C)−シクロアルコキシ、テトラヒドロフラニルオキシおよびピロリジニルオキシは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、Rは、水素または(C−C)−アルキルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、1個ないし3個のフッ素置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルキルカルボニル、(C−C)−アルキルスルホニルまたは(C−C)−シクロアルキルスルホニルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、(C−C)−シクロアルキルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
または、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって4員ないし7員の複素環を形成し、それは、N、OおよびSからなる群からさらなる環内ヘテロ原子を含有してもよく、そして、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
または、フェニルにおける2個の隣接する置換基は、それらが結合している炭素原子と一体となって、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサンまたは2,2−ジフルオロ−1,3−ジオキソランを形成していてもよい]、
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキルまたは4員ないし6員の複素環を表す
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルおよび5員または6員の複素環からなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、5員または6員の複素環は、オキソおよび(C−C)−アルキルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、(C−C)−シクロアルキルおよび4員ないし6員の複素環は、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}〕
の化合物、または、そのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、または、N−オキシドまたは塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
XがSを表し、
が、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表し
[ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、(C−C)−シクロアルキルアミノカルボニル、(C−C)−アルキルスルホニルアミノ、モルホリノ、ピペラジノ、N'−(C−C)−アルキルピペラジノおよび−L−R
{ここで、Lは、結合またはNHを表し、
は、フェニルまたは5員または6員のヘテロアリールを表す
(ここで、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールは、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}
からなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい]、
が、水素またはメチルを表し、
が、フェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルまたはピリジルを表し
[ここで、フェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびピリジルは、フッ素、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよび−NRからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、フッ素、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノおよびN,N−ジエチルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、Rは、水素または(C−C)−アルキルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素または(C−C)−アルキルを表す
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよびヒドロキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}]、
が、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキルまたは5員もしくは6員の複素環を表す
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、5員または6員の複素環は、オキソおよびメチルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、ここで、(C−C)−シクロアルキルおよび5員または6員の複素環は、メチル、ヒドロキシル、メトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノ、メチルアミノおよびN,N−ジメチルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
請求項1に記載の式(I)の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
Xが、OまたはSを表し、
が、フェニル、チアゾリル、オキサゾリルまたはピリジルを表し
[ここで、フェニルおよびピリジルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニルおよびN,N−ジエチルアミノカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されており、
そして、ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、−L−R置換基により置換されており
{ここで、Lは、結合またはNHを表し、
は、フェニルを表す
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、メチル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
そして、ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フッ素、メチル、エチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい]、
が、水素またはメチルを表し、
が、フェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびピリジルを表し
[ここで、フェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびピリジルは、フッ素、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよび−NRからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、フッ素、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノおよびN,N−ジエチルアミノからなる群から相互に独立して選択される1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、Rは、水素または(C−C)−アルキルを表し
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
は、水素または(C−C)−アルキルを表す
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシおよびヒドロキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}]、
が、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを表す
{ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、メトキシおよびエトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく、
そして、ここで、(C−C)−シクロアルキルは、メチル、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい}、
請求項1に記載の式(I)の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物。
【請求項4】
式中、
XがSを表し、
が、フェニル、チアゾリル、オキサゾリルまたはピリジルを表し
[ここで、フェニルおよびピリジルは、フッ素、塩素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニルおよびN,N−ジエチルアミノカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されており、
そして、ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、−L−R置換基により置換されており
{ここで、Lは、結合またはNHを表し、
は、フェニルを表す
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、メチル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
そして、ここで、チアゾリルおよびオキサゾリルは、フッ素、メチル、エチル、メトキシ、ヒドロキシカルボニルおよびメトキシカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい]、
が、水素を表し、
が、フェニルまたはチアゾリルを表し
{ここで、フェニルは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよく
(ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)、
そして、ここで、チアゾリルは、(C−C)−アルキル置換基により置換されていてもよい
(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から相互に独立して選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい)}、
が、(C−C)−アルキルを表す
(ここで、アルキルは、1個または2個のヒドロキシル置換基により置換されていてもよい)、
請求項1、請求項2または請求項3に記載の式(I)の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
[A]式(II−A)
【化2】

(式中、X、R、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を、先ず、塩化銅(II)および亜硝酸イソアミルを適する溶媒中で使用して、式(III−A)
【化3】

(式中、X、R、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、これを、不活性溶媒中、適する塩基の存在下、式(IV)
【化4】

(式中、Rは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物と反応させるか、
または、
[B]XがSを表す場合、式(II−B)
【化5】

(式中、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、アルカリ金属硫化物と反応させ、式(III−B)
【化6】

(式中、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得、次いで、これを、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(V)
【化7】

(式中、RおよびRは、各々、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の意味を有し、そして、
Qは、適する脱離基、好ましくはハロゲン、特に塩素、臭素またはヨウ素を表すか、または、メシレート、トシレートまたはトリフレートを表す)
の化合物と反応させ、
次いで、存在する保護基を除去し、得られる式(I)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を用いて、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
高血圧症、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞または心房細動の処置および/または予防方法において使用するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防方法において使用するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
高血圧症、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞または心房細動の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物を、不活性な非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項11】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物を、脂質代謝を調節する有効成分、抗糖尿病薬、降圧剤および抗血栓剤からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分と組み合わせて含む、医薬。
【請求項12】
高血圧症、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞または心房細動の処置および/または予防用の請求項10または請求項11に記載の医薬。
【請求項13】
糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防用の請求項10または請求項11に記載の医薬。
【請求項14】
有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物または請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の医薬を使用する、ヒトまたは動物の高血圧症、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞または心房細動の処置および/または予防方法。
【請求項15】
有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物または請求項10、請求項11および請求項13のいずれかに記載の医薬を使用する、ヒトまたは動物の糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2011−520997(P2011−520997A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510878(P2011−510878)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003652
【国際公開番号】WO2009/143992
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】