説明

2−メトキシエストラジオールの疾患修飾性抗関節炎活性

本発明は、リウマチ性疾患を治療するための組成物に関する。組成物は、2−メトキシエストラジオールまたはその誘導体と、1つまたは複数の抗リウマチ剤とを含む。ヒトおよび動物のリウマチ性疾患を治療するための組成物の使用方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2006年3月20日に出願され、参照によってその全体が本明細書中に援用される米国仮特許出願第60/784,206号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、抗リウマチ剤と組み合わせて抗血管新生薬を含む組成物およびその使用方法に関する。より具体的には、本発明は、抗リウマチ剤と組み合わせた2−メトキシエストラジオールおよびその誘導体を含む組成物に関する。より詳しくは、本発明は、1つまたは複数の抗リウマチ剤と組み合わせて2−メトキシエストラジオールおよびその誘導体を投与することによって関節リウマチおよび関連のリウマチ性疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リウマチ性疾患は、身体の1つまたは複数の結合または支持構造における炎症および機能の損失を特徴とする。特に影響を受ける構造は、関節、腱、靱帯、骨および筋肉、そして場合によっては内臓器官である。いくつかのリウマチ性疾患は結合組織障害に分類されており、変形性関節症、線維筋痛症、脊椎関節症、痛風、多発性筋炎、滑液包炎および腱炎が含まれる。その他のリウマチ性疾患は自己免疫疾患に分類されており、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛症、強皮症、および乾癬性関節炎が含まれる。アメリカ合衆国の推定4500万人の人々が関節炎または他のリウマチ性状態を患っており、リウマチ性疾患は65歳以上の成人の間で身体障害の主な原因である。疾患の原因は様々であるが、その特徴的な炎症症状は共通の炎症性メディエーターを共有することが多い。
【0004】
関節リウマチ(RA)は、持続性の滑膜組織の炎症を特徴とするリウマチ性疾患である。時が経つと、この持続性の炎症は、骨侵食、軟骨の破壊、および関節の完全性の完全な損失を生じ得る。最終的には、多数の臓器に影響を与え得る(Rindfleishら、American Family Physician(2005年)、72(6):103746頁)。関節の損傷は、おそらくは自己免疫性または感染性である引き金となる出来事の後に、滑膜マクロファージおよび線維芽細胞の増殖によって開始される。この後、リンパ球および内皮細胞の増殖による血管周囲領域の浸潤が起こる。時間が経つと、炎症滑膜組織は不規則に成長し始め、浸潤性のパンヌス組織を形成する。パンヌスは、軟骨および骨に侵入して破壊する。多数のサイトカイン、インターロイキン、プロテイナーゼ、および成長因子が放出され、さらなる関節破壊および全身症状の発生が起こる。(Ruddyら編、Kelly’s Textbook of Rheumatology、第7版、Philadelphia:W.B.Saunders、2005年:996−1042頁)。
【0005】
関節リウマチの症状は、多数の関節における痛みおよび硬直として現れる。症状は、数週間にわたって出現し、多くの場合、食欲不振、脱力、または疲労を伴う。最も一般的に影響を受ける関節は、最も高い比率で関節軟骨への滑膜を有する関節であり、手首ならびに近位指節間関節および中手指節関節が含まれる(Ruddyら編、Kelly’s Textbook of Rheumatology 第7版、Philadelphia:W.B.Saunders、2005年:996−1042頁)。関節の破壊は、症状の発生の数週間以内に始まる場合がある。疾患の進行を遅らせるには早期の治療が有効なので、早期診断が肝要である。しかしながら、現在、関節リウマチを決定的に確認することができる診断テストは存在しない。
【0006】
関節リウマチへの対応は、通常、薬物療法および非薬物療法に基づく治療からなる。疾患の過程を逆転させることを目的とした治療は、今までのところほとんど成功していない。代わりに、治療の目的は通常、機能の保存および生活の質、痛みおよび炎症の最小化、関節保護、ならびに全身合併症の調節に焦点が合わせられている(Harris、(2005年)and American College of Rheumatology Subcommittee on Rheumatoid Arthritis Guidelines、Arthritis Rheum(2002年)、46:328−46頁)。一般的な治療法には、痛みを調節するための非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を投与し、経口および関節内のグルココルチコステロイドを選択的に使用し、そして1つまたは複数の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を開始することが含まれる。一般に使用されるDMARDとしては、メトトレキセート、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、およびレフルノミドを含む。治療パラダイムの最近の転換において、1つまたは複数のDMARDによる早期および積極的な治療が現在は好まれている。このより集中的な措置は早期に治療された場合には有望であることが示されたが、患者のほんの一部だけしか臨床活性の進行停止および/または排除という理想的な目標を達成しない(Macholdら、Arthritis Research & Therapy(2006年)、8:1−6頁)。多数の新しい生物製剤も関節リウマチを治療するために利用可能であり、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、キメラ腫瘍壊死因子α(TNF−α)特異的抗体と、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、TNF−αに競合的に結合する可溶性の二量体化ヒトp72受容体/Fc融合タンパク質および、インターロイキン−1受容体遮断薬であるアナキンラとが含まれる。この新しい種類の抗リウマチ薬は置換または相補的な形態の治療として有望であることが示されたが、治療の後に感染合併症が観察されている(Imaizumiら、Intern.Med.(2006年)、48(10):685−88頁)。
【0007】
RAの開始および進行において血管新生が果たす役割についての正しい認識が高まっている(Koch、Ann Rheum Dis(2000年)、59(追補I):i65−i71頁、およびVealeら、Best Practice & Research Clinical Rheumatology(2006年)、20(5):941−47頁)。慢性炎症および血管新生は共依存性であり、組織および炎症細胞の増殖、遊走および補充は、直接および間接的な手段により血管新生を刺激することができる。同様に、血管新生は、炎症細胞を輸送して炎症組織に栄養および酸素を供給する、慢性炎症状態を維持する新しい血管の形成を通じて炎症性の病態に寄与する(Jacksonら、FASEB Journal、(1997年)、11:457−65頁)。いくつかの血管新生誘導因子がRAにおける役割を有すると同定されており、FGF2、VEGF、TGFβ、TNFα、IL8、IL18、およびIL1などのケモカイン、E−セレクチンおよび可溶性VCAM−1などの可溶性の接着分子、可溶性4A11抗原、可溶性CD146およびアンジオポエチン−Tie系などの複合糖質が含まれる(Koch、Ann.Rheum.Dis.(2003年)、62(追補II):ii60−ii67)。
【0008】
RAにより影響される関節は低酸素であることが示されている。RA関節における低酸素に寄与する要因には、炎症滑膜組織の高い代謝要求および支持脈管構造よりも急速に成長する急速な滑膜増殖が含まれる(Taylorら、Current Opinion in Rheumatology(2005年)、17:293−98頁)。リウマチ様関節の組織低酸素は、低酸素誘導因子−1(HIF−1)の結合によるVEGFmRNAの安定性の増大およびVEFG遺伝子発現の増強をもたらす(Richardら、Biochem Biophys Res Commun.(1999年)、266:718−22頁)。HIF−1αおよびヒドロキシ炭素核輸送体(transclocator)(ARNT)で構成されるHIF−1は、VEGF遺伝子のような標的遺伝子内の低酸素応答エレメントを結合することによって、低酸素に対する多くの転写応答を調節する(Jonesら、Cancer J Sci Am.(1998年)、4:209−17頁)。HIF−1は、RAのない個体からの滑膜組織と比較して、RA患者の滑膜ライニングおよびストローマ細胞において過剰発現される(Hollanderら、Arthritis Rheum.(2001年)、44:1540−44頁およびGiatromanolakiら、Arthritis Res Ther.(2003年)、5:R193−R201)。インターロイキン1β、TGFβ、FGF−2、およびTNFαを含む多数のサイトカインおよび成長因子が異なる細胞タイプにおいてその発現を制御するので、VEGFは免疫制御の過程にも密接に関連している。研究によって、VEGF誘発における成長因子と低酸素との間の相乗的な相互作用が示されている(Brenchley、Ann Rheu Dis(2001年)、60:iii71−iii74)。
【0009】
血管新生を阻害するためにいくつかの化合物が使用されている。このような1つの化合物は、2−メトキシエストラジオール(2ME2)である。2ME2はエストラジオールの天然に存在する誘導体であり、抗増殖性および抗血管新生活性を有する、経口活性で良好な耐容性の小分子であることが示されている(Pribludaら、Cancer Metastasis Rev.(2000年)、19(1−2):173−9頁)。2ME2はエストロゲン受容体、αおよびβに対して低親和性を有し、その抗増殖活性は、こられの受容体との相互作用に無関係である(LaValleeら、Cancer Research(2002年)、62(13):3691−7頁)。2ME2活性について、チューブリンのコルヒチン結合部位に対するその結合能力による仲介(Cushmanら、1995年、D’Amatoら、1994年)、微小管の不安定化およびHIF−1α核集積の阻害(Mabjeeshら、Cancer Cell、(2003年)3:363−75頁)、デスレセプター5の上方制御による外因性アポトーシス経路の誘発(LaValleeら、Cancer Research(2003年)、63(2):469−75頁)、およびスーパーオキシドジスムターゼ酵素活性の阻害による可能性のある内因性アポトーシス経路の誘発(Huangら、Trends Cell Biology(2001年)、11(8):343−8頁)を含む、いくつかのメカニズムが提唱されている。
【0010】
必要とされているのは、所望されないまたは望ましくない合併症または副作用を起こさずに、初期および後期の両段階のリウマチ性疾患の進行を停止および/または進行を逆行させることが可能な方法および組成物である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、ヒトおよび動物のリウマチ性疾患を治療するための改善された方法および組成物を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ヒトおよび動物の関節リウマチを治療するための改善された方法および組成物を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、所望されないまたは望ましくない副作用が少ししかないかまたは全くない、ヒトまたは動物のリウマチ性疾患を治療するための方法および組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、リウマチ性疾患を治療するための方法および組成物を含む。開示される実施形態において、組成物は、抗リウマチ剤と組み合わせた2−メトキシエストラジオールおよびその誘導体を含む。2−メトキシエストラジオールは強力な抗血管新生薬であり、その独自の抗血管新生および抗増殖能力によって他の抗リウマチ剤の効果を高めることができる。
【0015】
別の開示される実施形態は、式
【化1】

(式中、Rは、−OCH、−OCHCH、−CH、−CHCH、−CCCH、−CHCH−CH、またはCH−CHCHから選択される)を有するある量の化合物と、1つまたは複数の抗リウマチ剤とをヒトまたは動物に投与することを含む、リウマチ性疾患の治療方法を含む。
【0016】
別の実施形態は、リウマチ性疾患を治療するための組成物を含む。組成物は、式
【化2】

(式中、Rは、−OCH、−OCHCH、−CH、−CHCH、−CCCH、−CHCH−CH、またはCH−CHCHから選択される)を有する化合物と、1つまたは複数の抗リウマチ剤とを含む。
【0017】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、開示される実施形態および添付図面の以下の詳細な説明ならびに特許請求の範囲を参照した後に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、本明細書中に含まれる特定の実施形態の以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解され得る。本発明はその特定の実施形態の具体的な詳細を参照して説明されているが、このような詳細は、本発明の範囲に対する限定と見なされるべきではないと意図される。本明細書において言及される参考文献の全文は参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0019】
本発明は、ヒトおよび動物のリウマチ性疾患を治療するための方法および組成物を含む。本発明の開示される実施形態において、組成物は、1つまたは複数の抗リウマチ剤と組み合わせた、抗血管新生および抗増殖薬を含む。抗血管新生および抗増殖薬は、以下の式Iに示されるような2ME2およびその誘導体である。
【0020】
2−メトキシエストラジオールおよびその誘導体
2ME2がその抗増殖活性および抗血管新生活性を示す過程は不明確なままであるが、多くの研究は、様々な作用メカニズムおよび細胞標的を関連させている。2ME2は、細胞周期の進行に関与する種々のタンパク質のレベルおよび活性の変化を誘発した。これらには、DNA複製および修復の補因子、例えば増殖性細胞核抗原(PCNA)(Klauber,N.、Parangi,S.、Flynn,E.、Hamel,E.およびD’Amato,R.J.「微小管阻害剤2−メトキシエストラジオールおよびタキソールによるマウスの血管新生および乳癌の阻害(Inhibition of angiogenesis and breast cancer in mice by the microtubule inhibitors 2−methoxyestradiol and Taxol)」、Cancer Research、(1997年)57:81−86頁、Lottering,M−L.、de Kock,M.、Viljoen,T.C.、Grobler,C.J.S.およびSeegers,J.C.、「17β−エストラジオール代謝産物がMCF−7細胞周期のいくつかの制御因子に影響を及ぼす(17β−Estradiol metabolites affect some regulators of the MCF−7 cell cycle)」、Cancer Letters、(1996年)110:181−186頁)と、細胞分裂周期キナーゼおよび制御因子、例えばp34cdc2およびサイクリンB(Attalla,H.、Makela,T.P.、Adlercreutz,H.およびAndersson,L.C.「2−メトキシエストラジオールは、チューブリンを脱重合することなく有糸分裂において細胞を停止させる(2−Methoxyestradiol arrests cells in mitosis without depolymerizing tubulin)」、Biochemical and Biophysical Research Communications、(1996年)228:467−473頁、Zoubine,M.N.、Weston,A.P.、Johnson,D.C.、Campbell,D.R.およびBanerjee,S.K.「エストロゲン応答性MCF−7細胞における2−メトキシエストラジオール誘発性の成長抑制および死亡率は、p34cdc2およびサイクリンB1発現の下方制御によって仲介され得る(2−Methoxyestradiol−induced growth suppression and lethality in estrogen− responsive MCF−7 cells may be mediated by down regulation of p34cdc2 and cyclin B1 expression)」、Int J Oncol.、(1999年)15:639−646頁)と、転写因子修飾因子、例えばSAPK/JNK(Yue,T−L.、Wang,X.、Louden,C.S.、Gupta,L.S.、Pillarisetti,K.、Gu,J−L.、Hart,T.K.、Lysko,P.G.およびFeuerstein,G.Z.「2−メトキシエストラジオール、内在性エストロゲン代謝産物は内皮細胞のアポトーシスを誘発し、血管新生を阻害する:ストレス活性化タンパク質キナーゼのシグナル伝達経路およびfas発現のための可能性のある役割(2−Methoxyestradiol,an endogenous estrogen metabolite induces apoptosis in endothelial cells and inhibits angiogenesis: Possible role for stress−activated protein kinase signaling pathway and fas expression)」、Molecular Pharmacology、(1997年)51:951−962頁、Attalla,H.、Westberg,J.A.、Andersson,L.C.、Aldercreutz,H.およびMakela,T.P.「2−メトキシエストラジオール誘発性のbcl−2のリン酸化:JNK/SAPK活性化からの脱共役(2−Methoxyestradiol−induced phosphorylation of bcl−2: uncoupling from JNK/SAPK activation)」、Biochem and Biophys Res Commun.、(1998年)247:616−619頁)と、細胞停止およびアポトーシスの制御因子、例えばチューブリン(D’Amato,R.J.、Lin,C.M.、Flynn,E.、Folkman,J.およびHamel,E.「2−メトキシエストラジオールおよび内在性哺乳類代謝産物は、コルヒチン部位における相互作用によってチューブリン重合を阻害する(2−Methoxyestradiol,and endogenous mammalian metabolite,inhibits tubulin polymerization by interacting at the colchicine site)」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、(1994年)91:3964−3968頁、Hamel,E.、Lin,C.M.、Flynn,E.およびD’Amato,R.J.「2−メトキシエストラジオールおよび内在性哺乳類代謝産物と非重合チューブリンおよびチューブリンポリマーとの相互作用(Interactions of 2−methoxyestradiol,and endogenous mammalian metabolite,with unpolymerized tubulin and with tubulin polymers)」、Biochemistry、(1996年)35:1304−1310頁)と、p21WAF1/CIP1(Mukhopadhyay,T.およびRoth,J.A.「メトキシエストラジオールによる野生型p53の活性化後のヒト肺癌細胞のアポトーシスの誘発(Induction of apoptosis in human lung cancer cells after wild−type p53 activation by methoxyestradiol)」、Oncogene、(1997年)14:379−384頁)と、bcl−2およびFAS(Yueら、(1997年)、Attallaら(1998年))と、p53(Kataoka,M.、Schumacher,G.、Cristiano,R.J.、Atkinson,E.N.、Roth,J.A.およびMukhopadhyay,T.「全身性導入遺伝子送達と結合した腫瘍抑制因子導入遺伝子産物を増大する薬剤は、生体内の転移性肺癌の成長を阻害する(An agent that increases tumor suppressor transgene product coupled with systemic transgene delivery inhibits growth of metastatic lung cancer in vivo)」Cancer Res.、(1998年)58:4761−4765頁、Mukhopadhyayら(1997年)、Seegers,J.C.、Lottering,M−L.、Grobler C.J.S.、van Papendorp,D.H.、Habbersett,R.C.、Shou,Y.およびLehnert B.E.「哺乳類代謝産物、2−メトキシエストラジオールは、形質転換細胞におけるp53レベルおよびアポトーシス誘発に影響を与えるが、正常細胞においては与えない(The mammalian metabolite,2−methoxyestradiol,affects p53 levels and apoptosis induction in transformed cells but not in normal cells)」、J.Steroid Biochem.Molec.Biol、(1997年)62:253−267頁)とが含まれる。また、cAMPのレベル、カルモジュリン活性およびタンパク質リン酸化に対する影響は互いに関連し得る。最近になって、2ME2は、ヒト内皮および腫瘍細胞株においてデスレセプター5およびカスパーゼ8を上方制御し(LaVallee TM、Zhan XH、Johnson MS、Herbstritt CJ、Swartz G、Williams MS、Hembrough WA、Green SJ、Pribluda V.S.「2−メトキシエストラジオールはデスレセプター5を上方制御し、外因性経路の活性化によりアポトーシスを誘発する(2−Methoxyestradiol up−regulates death receptor 5 and induces apoptosis through activation of the extrinsic pathway)」、Cancer Res.(2003年)63(2):468−75頁)、微小管を不安定化してHIF−1α核集積を阻害し(Mabjeeshら、Cancer Cell、(2003年)3:363−75頁)、さらにスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)1およびSOD2と相互作用をしてその酵素活性を阻害することが示された(Huang,P.、Feng,L.、Oldham,E.A.、Keating,M.J.、およびPlunkett,W.「癌細胞の選択的死滅のための標的としてのスーパーオキシドジスムターゼ(Superoxide dismutase as a target for the selective killing of cancer cells)」、Nature、(2000年)407:390−5頁)。上記の全ての細胞標的は、活発に分裂する細胞における2ME2の阻害効果に対して必ずしも相互排他的でない。
【0021】
上記のより関連のあるメカニズムは、The New Angiotherapy、Tai−Ping FanおよびRobert Auerbach編、Human Press PublisherにおけるVictor S.Pribluda、Theresa M.LaValleeおよびShawn J.Green、「2−メトキシエストラジオール:新規の内因性化学療法および抗血管新生(2−Methoxyestradiol: A novel endogenous chemotherapeutic and antiangiogenic)」で広く議論されている。
【0022】
本発明の開示される実施形態による組成物の抗血管新生および抗増殖性部分は、式I:
【化3】

の化合物を含み、式中、Rは、−OCH、−OCHCH、−CH、−CHCH、−CCCH、−CHCH−CH、またはCH−CHCHから選択される。立体異性体が可能である場合には、立体異性体の任意の混合物と同様にRおよびS立体異性体の両方が想定される。
【0023】
当業者は、本発明が、与えられた定義および特許請求の範囲内の、記載される特性を有する他の2−メトキシエストラジオール類似体にも及ぶことを認識するであろう。これらの特徴は、当該技術分野において既知のアッセイを用いてそれぞれの試験化合物について決定することができる。
【0024】
抗リウマチ剤
本発明の開示される実施形態と共に使用され得る抗リウマチ剤には、疾患修飾性抗リウマチ薬、非ステロイド系抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、腫瘍壊死因子阻害剤、選択的B細胞阻害剤、インターロイキン−1阻害剤およびこれらの混合物または組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。これらの抗リウマチ剤はそれぞれ、以下でさらに議論される。
【0025】
疾患修飾性抗リウマチ薬
本発明の開示される実施形態と共に使用され得る疾患修飾性抗リウマチ薬には、アロプリノール、アミトリプチリン塩酸塩、オーラノフィン(経口金剤)、アザチオプリン、クロランブシル、コルヒチン、シクロベンザプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、デュロキセチン、フルオキセチン、金チオリンゴ酸ナトリウム(注射可能な金)、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、メトトレキセート、ミノサイクリン、ミコフェノール酸モフェチル、プロベネシド、スルファサラジン、トラマドール、およびこれらの混合物または組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
非ステロイド系抗炎症薬
本発明の開示される実施形態と共に使用され得る非ステロイド系抗炎症薬には、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ミソプロストールを伴うジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、およびトルメチンナトリウムなどの従来のNSAIDSと、セレコキシブ、ロフェコキシブ、およびバルデコキシブなどのCOX−2阻害剤と、アスピリン、サリチル酸コリン、サルサラート、およびサリチル酸ナトリウムなどのサリチレートと、アレンドロネート、イバンドロネート、およびリセドロネートなどのビスホネートとが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
副腎皮質ステロイド
本発明の開示される実施形態と共に使用され得る副腎皮質ステロイドには、ベタメタゾン、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびこれらの混合物または組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
腫瘍壊死因子阻害剤
本発明の開示される実施形態と共に使用され得る腫瘍壊死因子阻害剤には、アダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、アバタセプトおよびこれらの混合物または組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
選択的B細胞阻害剤
本発明の開示される実施形態と共に使用され得る選択的B細胞阻害剤には、リツキシマブが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
インターロイキン−1阻害剤
本発明の開示される実施形態と共に使用され得るインターロイキン−1阻害剤には、アナキンラが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
投与
本発明によると、式Iの化合物は、単一の製剤内に、1つまたは複数の抗リウマチ剤と混合されてもよい。式Iの化合物および抗リウマチ剤は、別々に処方されて到達されてもよい。
【0032】
本明細書において記載される組成物は、既知の技法を用いて生理学的に許容可能な製剤として提供され、製剤は、標準経路によって投与することができる。通常、式Iの化合物および抗リウマチ剤は、局所、経口、直腸のまたは非経口(例えば、静脈内、皮下または筋肉内の)経路によって投与することができる。加えて、組成物をポリマー内に取り込んで持続放出を可能にすることができ、ポリマーは、送達が所望されるところの近く、例えば炎症部位もしくは罹患した関節内またはその近くに植え込まれるか、または、例えば、皮下または筋肉内に植え込まれるか、もしくは静脈内または腹腔内に送達されて、式Iの化合物および/または抗リウマチ剤の全身性送達をもたらすこともできる。本発明において有用な治療薬の制御長期放出のための他の製剤は米国特許第6,706,289号明細書に開示されており、参照によって本明細書中に援用される。
【0033】
本発明による製剤は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、カシェ剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、粉末、エアロゾル、坐薬、スプレー、トローチ、軟膏、クリーム、ペースト、フォーム、ゲル、タンポン、ペッサリー、顆粒、ボーラス、口腔洗浄薬、または経皮パッチの形態で投与することができる。
【0034】
製剤には、経口、直腸、経鼻、吸入、局所(皮膚、経皮、頬側および舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、眼内、気管内、および硬膜外を含む)または吸入投与に適切なものが含まれる。製剤は、都合よく単位剤形で与えることができ、そして従来の製薬技法によって調製することができる。このような技法は、活性成分と、医薬品担体または賦形剤とを調合する工程を含む。通常、製剤は、活性成分と、液体担体または微粉化した固体担体もしくは両方とを均一および密接に調合し、次に必要であれば、製品を成形することによって調製される。
【0035】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル、カシュ剤または錠剤などの個別の単位に、それぞれが所定の量の活性成分を含む粉末または顆粒として、水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液として、もしくは水中油液体エマルジョンまたは油中水エマルジョンなどとして与えることができる。
【0036】
錠剤は、任意で1つまたは複数の副成分と共に、圧縮または成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、任意で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤または分散剤と混合された粉末または顆粒などの自由に流動する形態の活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤に浸した粉末状化合物の混合物を適切な機械で成形することによって製造することができる。錠剤は、任意で、被覆されたり刻み目がつけられたりしてもよく、その中の活性成分の遅延または制御放出を提供するように処方され得る。
【0037】
口腔内の局所投与に適した製剤には、フレーバーベースの成分、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントを含むロゼンジと、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性ベースの活性成分を含む香錠と、適切な液体担体中で投与される成分を含む口腔洗浄薬とが含まれる。
【0038】
皮膚への局所投与に適した製剤は、薬学的に許容可能なキャリア中で投与される成分を含む軟膏、クリーム、ゲルおよびペーストとして与えることができる。一実施形態では、局所送達系は、投与すべき成分を含む経皮パッチである。
【0039】
直腸投与のための製剤は、例えば、ココアバターまたはサリチレートを含む適切な基剤を有する坐薬として与えることができる。
【0040】
担体が固体である経鼻投与に適した製剤は、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末を含み、これは、嗅ぎ薬が摂取されるようなやり方、すなわち鼻に接近して保持された粉末の容器から鼻腔を通る急速な吸入によって投与される。例えば経鼻スプレーまたは経鼻ドロップとして投与するための担体が液体である適切な製剤は、活性成分の水性または油性溶液を含む。
【0041】
膣内投与に適した製剤は、活性成分に加えて当該技術分野において適切であることが分かっている担体などの成分を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として与えることができる。
【0042】
吸入に適した製剤は、活性成分に加えて当該技術分野において適切であることが分かっている担体などの成分を含むミスト、ダスト、粉末またはスプレー製剤として与えることができる。
【0043】
非経口投与に適した製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、および意図されるレシピエントの血液と製剤とを等張にする溶質を含み得る水性および非水性無菌注射溶液および、懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性無菌懸濁液が含まれる。非経口投与に適した製剤には、米国特許出願第10/392,403号明細書(米国特許出願公開第2004/0033267号明細書)、米国特許出願第10/412,669号明細書(米国特許出願公開第2003/0219490号明細書)、米国特許第5,494,683号明細書、米国特許出願第10/878,623号明細書(米国特許出願公開第2005/0008707号明細書)、米国特許第5,510,118号明細書、米国特許第5,524,270号明細書、米国特許第5,145,684号明細書、米国特許第5,399,363号明細書、米国特許第5,518,187号明細書、米国特許第5,862,999号明細書、米国特許第5,718,388号明細書、および米国特許第6,267,989号明細書(これらは全てその全体において参照によって本明細書に援用される)に開示される多数の方法によって製造されるナノ粒子製剤も含まれるが、これらに限定されない。製薬技術の再検討は、参照によってその全体が本明細書中に援用されるRong Liu編、1−633頁(2000年)CRC Press LLCによる「水に不溶性の薬の製剤(Water Insoluble Drug Formulation)」において提供されている。
【0044】
2−メトキシエストラジオールナノ粒子を形成することによって、本明細書に開示される組成物は、増大した生物学的利用能を有することが示されている。好ましくは、粒子は式Iの化合物および/または抗リウマチ剤だけで、もしくは副成分と組み合わせて構成されるか、あるいは持続放出のためのポリマー中で構成される。本発明の化合物の粒子は、当業者によく知られた光散乱法、顕微鏡法、または他の適切な方法によって測定される場合に約2ミクロン未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800run未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、約50nm未満の有効平均粒径を有する。粒径は平均粒径であり、実際の粒径は任意の特定の製剤において変化し得ることが理解される。多くの場合、安定なナノ粒子を形成するために表面安定剤が使用されるが、このナノ粒子の形成方法は、有効なナノ粒子組成物を形成する多くの様々な方法のうちの1つにすぎない。製剤は例えば密封アンプルおよびバイアル中などの単位用量また多用量の容器で提供され、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵され、使用の直前に例えば水などの注射のための無菌液体担体の添加が必要なだけであろう。即時注射溶液および懸濁液は、既に記載した種類の無菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0045】
一実施形態では、式Iの化合物および抗リウマチ剤は同時に投与することができる。別の実施形態では、これらは別々に投与することができる(すなわち、式Iの化合物の投薬が朝であり、抗リウマチ剤の投薬が夜である)。当然ながら、2つ以上の抗リウマチ剤の混合物を投与することが可能である。実際には、多くの場合、混合物の使用、あるいはリウマチ性疾患を治療するための異なる抗リウマチ剤、特に異なる種類の抗リウマチ剤の連続投与が望ましい。
【0046】
2−メトキシエストラジオール製剤および抗リウマチ剤が連続的に投与される場合、2−メトキシエストラジオール製剤の投与と、抗リウマチ剤の投与の間の時間は、2−メトキシエストラジオール製剤が宿主の循環系に完全に取り込まれるのに要する時間や、宿主の体内における2−メトキシエストラジオール製剤の保持時間などの因子に依存するであろう。一実施形態では、2−メトキシエストラジオールの製剤は、参照によってその全体が本明細書中に援用される2005年11月29日に出願された米国特許出願第11/288,989号明細書に開示されている。
【0047】
抗リウマチ剤は、治療的に有効な量で投与される。この量は個別の基準で決定され、少なくとも部分的に、宿主のサイズ、治療すべき特定の疾患、治療すべき症状の重症度、求められる結果、および他のこのような考慮事項の考慮に基づくであろう。有効量は、このような因子を用い、通常の実験を使用して当業者によって決定することができる。
【0048】
上記で特に言及した成分に加えて、本発明の製剤が、問題の製剤の種類を考慮して当該技術分野における従来の他の薬剤も含み得ることは理解されるべきであり、例えば、経口投与に適した製剤は香味料を含んでもよく、そしてナノ粒子製剤(例えば、平均断面において2000ナノメートル未満、好ましくは1000ナノメートル未満、最も好ましくは500ナノメートル未満)は、粒子の凝集を防止するために選択される1つまたは複数の賦形剤を含んでもよい。
【0049】
医薬品
また、開示される実施形態による製剤、またはそのプロドラッグ、もしくは参照によって含まれる他の化合物で構成される埋込錠または他のデバイス(ここで、薬物またはプロドラッグは、持続放出のために生分解性のまたは非生分解性ポリマー中に処方される)も本発明によって考慮される。非生分解性ポリマーは、ポリマー自体は分解することなく物理的または機械的な工程を通して管理された方法で薬物を放出する。生分解性ポリマーは体内の自然作用で徐々に加水分解または可溶化されるように設計され、混合薬物またはプロドラッグを徐々に放出することが可能になる。薬物またはプロドラッグは、ポリマーに化学的に結合させることもでき、あるいは混合によってポリマー内に取り込ませることもできる。生分解性ポリマーおよび非生分解性ポリマーの両方、ならびに薬物が制御放出のためにポリマー内に取り込まれる工程は当業者によく知られている。このようなポリマーの例は、Bremら、J.Neurosurg 74、441−446頁(1991年)などの多くの参考文献において見出すことができる。これらの埋込錠またはデバイスは、送達が所望されるところの近く、例えば腫瘍または狭窄の部位に埋め込むことができる。あるいは薬剤の全身性送達をもたらすように導入することもできる。
【0050】
体内で天然成分として形成されないものはどれも、血栓形成または攣縮による血管の閉鎖などの極度のおよび予想外の応答を誘発し得るので、および血管ステントの挿入行為による血管の損傷は血管表面に対して極度および過度に有害であり得るので、このような事象から保護するのが懸命である。再狭窄は、血管形成術またはステント処置などの治療が既に行われた同一部位における動脈の再狭小化または閉塞である。再狭窄が動脈内に配置されたステント内で生じれば、技術的に「ステント内再狭窄」と呼ばれ、最終的には血液の流れを遮断する物質の蓄積によって生じる動脈の狭小化が最終結果である。本発明の一部である化合物は、血管ステントを被覆して再狭窄を防止するのに特に有用である。コーティングは、好ましくは、本発明の化合物の遅延放出を可能にすることにより再狭窄事象を防止する生分解性または非生分解性のポリマーでなければならない。
【0051】
また本発明は、複合プロドラッグおよびその使用にも関する。より具体的には、本発明は、式Iの化合物などのステロイド化合物の複合体と、リウマチ性疾患または関連の炎症性疾患に関連する状態の予防または治療におけるこのような複合体の使用とに関する。本発明は、本発明のプロドラッグを含む組成物にも関する。
【0052】
一態様では、本発明は、生物活性改変剤に複合化されたエストラジオール化合物、好ましくは式Iの化合物の複合プロドラッグを提供する。
【0053】
あるいは、本発明による複合プロドラッグは、ペプチド部分と複合化された式Iの化合物を含む。
【0054】
疾患に依存して活性化されるプロドラッグ内への式Iの化合物などのエストラジオール化合物の取り込みは、この抗血管新生薬の効力および選択性の大幅な改善を可能にする。
【0055】
当業者は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 第17版などの標準テキストを参照することによって、製剤がどのようにして製造され、これらがどのようにして投与され得るかを決定できるであろう。
【0056】
本発明のさらなる態様では、リウマチ性疾患の予防または治療のための薬物の調製を目的とした、本発明による抗リウマチ剤と組み合わせた式Iの化合物、またはそのプロドラッグの使用が提供される。
【0057】
本発明のさらなる態様では、リウマチ性疾患の予防または治療方法が提供され、前記方法は、このような予防または治療を必要としている患者に、有効量の式Iの化合物またはそのプロドラッグを本明細書中に記載される開示される実施形態による抗リウマチ剤と組み合わせて投与することを含む。前記状態の予防または治療は前記状態の改善を含むことが理解されるべきである。
【0058】
式Iの化合物またはそのプロドラッグの薬学的に許容可能な塩は、例えば遊離塩基および酸から従来の方法で調製することができる。生体内で加水分解可能なエステル、アミドおよびカルバメート、ならびに他の許容可能な式Iのプロドラッグは、従来の方法で調製することができる。
【0059】
100%純粋な異性体が本発明により考慮されるが、立体化学異性体(αまたはβ、もしくはRまたはSに分類される)は、任意の比率の両方の混合物でもよく、当業者によって化学的に可能である。また、PataniおよびLavoie(「生物学的等価性:薬物設計における合理的アプローチ(Bio−isosterism: a rational approach in drug design)」Chem.Rev.(1996年)3147−3176頁)によって記載されるような古典的および非古典的の両方の生物学的等価性の原子および置換基の置換も本発明によって考慮され、当業者によく知られている。このような生物学的等価性の置換には、例えば、=Oに対する=Sまたは=NHの置換が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明において特に有用な製剤は、2003年3月20日に出願された米国特許出願第10/392,403号明細書(その開示は参照によって本明細書中に援用される)に開示される2−メトキシエストラジオールのナノ粒子液体懸濁液である。この製剤は、メリーランド州ロックビルのEntreMed,Inc.から商品名Panzem(登録商標)NCDで入手可能である。
【0061】
本発明に従って使用される既知の化合物および本発明による新規化合物の前駆体は、例えばSigma Chemical Co.,Steraloids or Research Plusから購入することができる。本発明による他の化合物は、公に入手可能な前駆体から既知の方法に従って合成することができる。
【0062】
組成物および方法は以下の非限定的な実施例によってさらに説明され、決してその範囲に対して制限を課すと解釈されてはならない。一方、この手段が、本発明の精神から逸脱することなく本明細書の説明を読んだ後で当業者にそれ自体を暗示し得る様々な他の実施形態に対するその修正および等価物を有し得ることは明確に理解されるべきである。
【実施例】
【0063】
実施例および以下の表において与えられるデータは、2ME2は広範な抗リウマチ剤と組み合わせて使用できることを示す。2ME2および式Iの化合物の特徴は、最大耐容性または最大有効性の抗リウマチ剤の用量および計画でこれらを抗リウマチ剤と組み合わせることができることである。いくつかの実施形態では、2ME2との組み合わせを用いて、抗リウマチ剤の用量を低減しながら有効性を保持することができる。このような用量の低減は、抗リウマチ剤の毒性の低減もしくは任意の許容できない効果または副作用の低減をもたらすことができる。
【0064】
【表1】



【0065】
以下の実施例は上記の表1のDalhousie University 研究 1および2において使用される手順の詳細な説明を提供し、2ME2の疾患修飾特性を単独および他の抗リウマチ剤と組み合わせて評価する際に使用される一般的な手順を代表する。
【0066】
実施例1:臨床関節炎重症度における2ME2治療の効果
アジュバント関節炎は、6〜8週齢のオスの近交系ルイスラット(175〜200g、Charles River Canada、ケベック州セント・コンスタント)の尾の付け根のそれぞれの側の2箇所に0.05mLの鉱油中0.5mgのマイコバクテリウム・ブチリクム(Mycobacterium butyricum)(Gibco、ミシガン州デトロイト)を皮下注射する免疫化によって誘発させた。Taurogら(Methods Enzymol.(1988年)、162:339−55頁)に記載される膨脹、紅斑および運動制限の重症度に基づいて、関節炎を脚および尾について0〜4点で臨床的にスコア化した。
【0067】
AAの発生における2段階で2ME2を用いてラットを治療した。2ME2は、EntreMed,Inc.(メリーランド州ロックビル)より提供された。治療を免疫化の6日(d)後に開始し、30mg/kg/日または100mg/kg/日の用量か、もしくは体積0.5mlの賦形剤を腹腔内に投与のいずれかで、全部で8日間、すなわち免疫化後14日目まで行った。この手順を用いて、免疫応答の開始後、臨床関節炎の発生(通常、9日目または10日目までに発生する)前に2ME2治療を開始した。臨床関節炎の最初の兆候(通常後足で始まる発赤および跛行)に相当する免疫化後10日目に開始して、2ME2(100mg/kg/日、腹腔内)で追加グループの動物を治療した。治療を14日目まで続け、動物を屠殺した免疫化の15日後までに全ての測定を終了した。
【0068】
ルイスラットでは、鉱油中の死滅M.butyricum(またはM.tuberculosis)による免疫化の9〜10日後に、一般的に後肢において最も重篤である多発関節炎が発生した。関節炎は急速に進行し、免疫化の14〜15日後までに最高の臨床関節炎重症度スコアに到達する。賦形剤で治療したラットは関節炎を発生し、臨床スコア11に到達した。賦形剤治療したグループは、未治療のラットと同じ速度および最大重症度で関節炎を発生した。30mg/kg/日または100mg/kg/日の2ME2で治療したラットは免疫化の6日後に始まり、賦形剤治療したグループよりも14日目までの関節炎重症度が著しく低かった(それぞれ、平均=7.4および6.5)。さらに、免疫化の10日後の臨床関節炎の開始時に始めたより高い用量の2ME2(100mg/kg/日)で治療したラットも関節炎重症度の減弱を有し、これは前臨床段階の間(6日目)に治療を開始したグループに匹敵した。しかしながら、免疫化の10日後に開始されたより低い用量の2ME2(30mg/kg/日)を受け取るグループにおける関節炎重症度の変化は統計的有意性に到達せず、臨床関節炎が一度発生したらより高い用量が必要とされることが示唆された。
【0069】
実施例2:関節炎の関節および皮膚の炎症反応への好中球遊走に対する2ME2治療の効果
大腿静脈に挿入されたニードルを通して行われるヒドロキシエチルデンプン(Hespan、Dupont Merck、デラウェア州ウィルミントン)交換輸血によって、ドナー関節炎ラットからラット血液PMNLを単離した。交換された血液をヘパリンおよびクエン酸デキストロース(ACD、式A、Fenwal−Travenol、オンタリオ州マルトン)中に採取し、1gの赤血球の沈降中に白血球が豊富な血漿を収集した。次に、10%自己血漿ならびに懸濁媒体のバランスのためのカルシウムおよびマグネシウムを含まないタイロード液(TyS−l−)を用いる74%パーコール上の63%パーコールの不連続パーコール密度勾配における遠心分離によってPMNLを単離した。遠心分離(350×g、22℃で30分)の後、74%血漿−パーコールクッションの上の層から精製PMNL(>95%)を収集し、TyS−l−−10%血漿で洗浄した後、75μCi/5×10細胞のNa51CrO(GE Healthcare Bio−Sciences Inc.、ケベック州Baie d’Urfe)で細胞を放射標識化した。細胞を洗浄後、一匹あたり1051Cr標識化PMNL(およそ1〜2×10cpmを有する)の用量でラットに静脈内注射した。ラットを屠殺にする前に、これらの細胞を2時間循環および遊走させた。
【0070】
放射標識化PMNLの静脈内注射と同時に、指示される用量で屠殺の2時間前に投与されるC5adesArg.22の源としてラットTNF−α(Peprotech、ニュージャージー州ロッキーヒル)、大腸菌(E.coli)内毒素(LPS、List Biologicals、カリフォルニア州カンベル)、またはザイモサン活性化血清(ラット)を皮内(i.d.)注射(0.05ml)することにより局所炎症を誘発し、関節炎ラットの皮膚部位のPMNL蓄積を測定した。これらの部位におけるPMNLの蓄積は、動物の屠殺の後に行われる12mmのパンチ生検を用いて、注射部位の生検により定量した。
【0071】
ラットを殺した際、血中白血球カウントならびに白血球および血漿に関連する放射活性を測定するために心臓の血液を得た。既に報告されている(Issekutzら、Lab Invest.(1991年)、64:656−63頁およびIssekutzら、Arthritis Rheum.(2001年)、44:1428−37頁)ように、関節を解剖し、分析のために手根、中手骨、距骨および中足骨の関節を含むように肢のセグメントを区分化した。関節内ならびに皮膚部位および内臓器官内の51Crの含有量は、Wallac LKB 1280ガンマカウンタ(Fisher Scientific、オンタリオ州ネピアン)を用いて決定した。組織内に蓄積した同位体は、cpm/10cpm静脈内注射で表した。
【0072】
AAを患うラットの放射標識化された血中PMNLの関節への遊走が、免疫化後の第2週の間に急速に発生し、14〜15日目に最大になることは既に示しており、これは、後肢の関節、すなわち距骨および中足骨の関節において最も強く、前肢の手根および中手関節では蓄積がより少ない(Issekutzら(1991年))。100または30mg/kg/日のいずれかで6日目に前臨床段階中に開始された2ME2治療は、最も強く関連される後肢関節における51Cr標識化PMNLの蓄積を大幅に低下させ、前肢関節においてはより低い程度でいくらかより可変的に低下させた。しかしながら、関節炎が臨床的に発生し始めた10日目に遅延2ME2治療を受けたグループでは、低下の傾向はあったが、これは有意性に到達しなかった。
【0073】
同じラットにおいて、放射標識化PMNL注射の際に開始した皮膚炎症反応へのPMNLの遊走を測定した。従って、遊走は、病変部の最初の2時間の間の急性反応を定量化した。2ME2治療は、補体走化因子C5ades−argまたは大腸菌LPSへのPMNL遊走に影響を与えなかった。対照的に、ラットTNF−αが注射された部位へのPMNL遊走は、免疫化の6日後に開始されるいずれかの試験用量で2ME2治療されたラットにおいて、およそ50%阻害された。治療が10日目まで遅延されたグループでは2ME2による阻害の傾向は見られたが、有意差には到達しなかった。AAを患うラットは、著しい好中球増多症と共に白血球増多症を発生したことに注意すべきである(Taurog(1988年)およびIssekutz(1991年))。この応答は、いずれかの試験用量で6日目または10日目のいずれかに開始された2ME2治療による影響を受けなかった。従って、観察された効果は、血中PMNLカウントの差に起因し得なかった。さらに、いずれのグループ間でも、2時間の遊走期間中に循環している放射標識化51CrPMNLのレベルの違いは見られなかった。
【0074】
実施例3:関節組織構造および軟骨損傷に対する2ME2治療の効果
関節を含む組織サンプルを、10%リン酸緩衝ホルマリンまたはAFA固定液(75%エチルアルコール、2%ホルマリン、5%氷酢酸、20%水)中(後者は免疫染色のため)に固定した。次にサンプルをギ酸または酢酸中で脱灰して、パラフィン包埋した。通常の技法を用いて、切片(5μm)をヘマトキシリン−エオシン(H&E)により染色した。軟骨プロテオグリカンを染色するために、既に記載されている(Issekutz、(2001年))ように、別の切片をサフラニンO(Difco、ミシガン州デトロイト)で1分間染色した。滑膜中の微小血管密度を評価するために、ウサギ抗マウスラミニンポリクローナルIgG抗体(Cedarlane Laboratories Limited、オンタリオ州ホーンビー)を用いて血管を際立たせ、検出は、製造業者の推奨に従ってビオチン化ヤギ抗ウサギIgG抗体およびアビジン−ビオチンのHRPOとの複合体(Vectastain Elite ABC kit、Vector Laboratories Canada Inc.、オンタリオ州バーリントン)を用いた。
【0075】
賦形剤治療したラットからの関節は、滑膜が顕著に厚くなり、著しい滑膜の膨脹と共に白血球によって激しく浸潤されることを示した。H&E染色によっても、軟骨損傷は関節表面および周縁部において明白である。これは、著しい局所プロテオグリカンの損失および断片化と共にサフラニンO染色によってより意味深く説明される。免疫化の6日後に開始された100mg/kg/日を受けた2ME2治療ラットは、明らかに滑膜の浸潤および膨脹が生じたが、賦形剤治療と比較した場合に滑膜の白血球浸潤があまり激しくないことを示した。しかしながら、最も注目すべきは、関節軟骨表面の保存およびプロテオグリカン染色である。6日目から30mg/kg/日で治療されたラットにおいて同様の変化を観察したが、2ME2治療を10日目まで遅延したラットでは、滑膜内の白血球の細胞性はあまり大きく影響されなかった。それにもかかわらず、軟骨の保存はまだ観察された。
【0076】
実施例4:滑膜の血管分布に対する2ME2治療の効果
滑膜の血管分布および血管新生を評価するために、切片をラミニンに対する免疫染色をして、微小血管および中程度のサイズの血管を確実に描写した。激しい白血球浸潤がある領域では微小血管は明らかに存在するにもかかわらずフォンウィルブランド因子の染色は低下するかあるいは存在しないことが観察されたので、この技法はフォンウィルブランド因子(因子VIII関連抗原)に対する染色よりも確実であることが分かった。他の一般に使用される内皮細胞マーカー、CD31も滑膜組織において評価した。ラットCD31に対するモノクローナル抗体は血管内皮を明らかに染色したが、CD31は浸潤している白血球上にも存在し、解釈を複雑にした。本明細書で使用されるマウスラミニンに対する抗体は、特に、毛細血管サイズおよびそれより大きい血管を染色し、恐らく基底膜ラミニンと反応する。賦形剤治療ラットの滑膜の免疫組織化学は、白血球浸潤滑膜の激しい血管分布を明らかにする。免疫化後6日目に開始する100mg/kg/日の2ME2で治療したラットの滑膜の血管分布は、白血球の滑膜内への浸潤はあまり激しくないが、滑膜の血管分布はまだ顕著であることを示した。この血管分布は、様々な手順で治療したラットからの滑膜において定量化し、賦形剤治療した動物と比較した。小さい(1〜2RBC直径)、中程度(3〜5RBC直径)および大きい(5RBC直径よりも大きい、すなわち30μmよりも大きい直径)血管について滑膜を検査した。断面の血管だけをスコア化した。任意の血管サイズにおける様々な治療グループの間で、0.8mmあたりの血管密度に大きな違いはなかった。これによって、白血球浸潤は2ME2治療により減弱されるが、新血管新生にはあまり変化がないという免疫組織化学染色からの所見が確認された。
【0077】
実施例5:最低および最適の成長条件下での内皮細胞増殖に対する2ME2治療の効果
滑膜血管新生に対する2ME2治療の明らかな効果がないので、関節炎の間に生体内で滑膜に存在する可能性がある最適な内皮細胞成長刺激性条件下で、生体外の内皮細胞増殖に対する2ME2の効果を検査した。2ME2の内皮阻害効果は通常、内皮成長に対する2ME2の効果を最適に観察する手段として、制限された血清および成長因子の条件下で評価されている。2ME2による内皮細胞増殖の阻害は、制限された血清および成長因子の条件下で用量依存性であり、0.25μg/mLの2ME2で著しい阻害を有する。最適な血清および内皮細胞成長補充の条件下で、2ME2はまだ内皮細胞増殖を用量依存性で阻害することができたが、これはおよそ2倍の高濃度の2ME2を必要とした。これらの最適成長条件下で、IC50は、約0.5μg/mL(約1.5×10−6M)であった。生体内治療中の関節炎滑膜における血管新生に対して観察される効果は少ししかないようであるという事実にもかかわらず、これらの発見は2ME2が最適成長条件下でも内皮細胞増殖を阻害することを実証する。
【0078】
実施例6:脾腫に対する2ME2治療の効果
ラットにおけるAAの経過で、脾腫は、脾炎、リンパ過形成、そしてさらに膿瘍形成による卓越した特徴である。従って、このパラメータに対する2ME2の任意の効果についてこれらの動物の脾臓腫大を監視した。賦形剤で治療したラットでは、脾臓重量が著しく増大し、ほぼ3倍まで増大した。これは、免疫化の6日目に高用量で開始された2ME2治療によって完全に阻害されたが、30mg/kg/日のより中程度の用量でも阻害された。さらに、AA発生の後期、すなわち10日目に2ME2治療が開始された場合でも、脾臓腫大はまだ著しく阻害された。
【0079】
異なるグループにおいて脾臓の組織学的検査を行った。正常なラット脾臓(A)および賦形剤治療した脾臓(B)の外観。後者は赤色髄そしてさらに被膜を含む深刻な脾炎を示す。さらに、脾臓は、膿瘍形成およびいくらかの細胞壊死と共に、広範なPMNLおよび単核細胞の蓄積を実証した。また、白色髄における多核巨細胞の数およびリンパ過形成も増大していた。免疫化後6〜14日目に2ME2(30mg/kg/日)で治療したラットでは、巨細胞または膿瘍形成は増大せず、軽度の脾炎が現れただけであり、リンパ過形成は全く観察されなかった。
【0080】
実施例7:分裂促進因子および抗原へのリンパ球応答に対する2ME2治療の効果
関節炎重症度およびAA中の脾臓における応答、分裂促進因子へのTリンパ球の反応性に対する2ME2治療の効果のために、マイコバクテリア精製タンパク質誘導体(PPD)抗原を評価した。リンパ節細胞は、免疫化後14日目に収集した末期のAAを患うラットからのConA、PHAおよびPPDへの増殖応答を示した。未治療の非免疫化ラットからのリンパ球は、培地対照より上のPPDへの著しい増殖応答は有さなかった。しかしながら、AAを患うラットからのリンパ球は、H−チミジンの取り込みにより測定して、3日で分裂促進因子への強い増殖応答を有し、同様に6日でPPDへの応答を有した。この増殖応答に対する様々な濃度の2ME2の生体外での効果を評価した。開始日に培養物に2ME2を添加すると、約0.3μg/mLのIC50で、PPDのリンパ球応答を用量依存的に阻害した。また2ME2は無刺激培養における自発性増殖も低下させた。分裂促進因子に誘発される増殖に対して、生体外で2ME2の同程度の阻害効果が観察された。全ての培養物における生存率(≧85%の生細胞)は同程度であったので、生存率に対する効果はなかった。リンパ球の応答性に対する2ME2の効果をさらに評価するために、免疫化の6〜14日後に2ME2(30mg/kg/日)で治療したラットから収集したリンパ節細胞を、PPDおよび分裂促進因子、ConAおよびPHAへの増殖応答について試験し、賦形剤治療動物からのリンパ球と比較した。賦形剤治療ラットではDNAの取り込みは、ほぼ5倍に増大した。この応答は、2ME2治療を受けたラットからのリンパ球では大幅に低下した。対照的に、ラットを2ME2で治療した場合、ConAまたはPHAにより誘発された増殖には違いは観察されず、培養物は添加した2ME2を含まなかった。これは、2ME2が生体内で抗原応答性に対する免疫調節性効果を有したことを示唆する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】RAのAthrogen−CIA(登録商標)モデルにおいて、2ME2の投与が関節炎スコアを低下させることを示すグラフである。
【図2】対照および100mg/kg治療の2枚の写真であり、RAのArthrogen−CIA(登録商標)モデルにおいて、2ME2の投与が滑膜炎症を阻害することを示す。
【図3】対照および100mg/kg治療の2枚の写真であり、RAのArthrogen−CIA(登録商標)モデルにおける2ME2による関節周囲の炎症性浸潤および線維症の阻害を示す。
【図4】対照および100mg/kg治療の2枚の写真であり、2ME2が、関節軟骨中のプロテオグリカンの損失および破骨細胞活性の誘発を防止することを示す。
【図5】RAのArthrogen−CIA(登録商標)モデルにおいて、2ME2の投与がRA進行の重症度を阻害できることを示す一連のグラフである。
【図6】RAのArthrogen−CIA(登録商標)モデルにおける2ME2治療の後の組織形態計測的な変化の評価を示す表である。
【図7】メトトレキセートと組み合わせた2ME2の投与が、RAのArthrogen−CIA(登録商標)モデルの関節炎スコアの阻害率の予想外の増大をもたらすことを示すグラフおよび表である。
【図8】RAのArthrogen−CIA(登録商標)モデルにおける2ME2の抗リウマチ効果のX線検査による証拠を示す2枚の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リウマチ性疾患の治療に有効な量の
a)構造
【化1】

を有し、前記式中のRが−OCH、−OCHCH、−CH、−CHCH、−CCCH、−CHCH−CH、またはCH−CHCHである治療薬と、
b)1つまたは複数の抗リウマチ剤と
を、ヒトまたは動物に投与することを含む、リウマチ性疾患の治療方法。
【請求項2】
前記治療薬および前記抗リウマチ剤が、単一の製剤として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療薬および前記抗リウマチ剤が、2つ以上の別々の製剤として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗リウマチ剤が疾患修飾性抗リウマチ薬、非ステロイド系抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、腫瘍壊死因子阻害剤、選択的B細胞阻害剤、またはインターロイキン−1阻害剤、もしくはこれらの混合物または組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抗リウマチ剤が疾患修飾性抗リウマチ薬である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記疾患修飾性抗リウマチ薬がアロプリノール、アミトリプチリン塩酸塩、オーラノフィン(経口金剤)、アザチオプリン、クロランブシル、コルヒチン、シクロベンザプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、デュロキセチン、フルオキセチン、金チオリンゴ酸ナトリウム(注射可能な金)、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、メトトレキセート、ミノサイクリン、ミコフェノール酸モフェチル、プロベネシド、スルファサラジン、またはトラマドールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記疾患修飾性抗リウマチ薬がメトトレキセートである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記抗リウマチ剤が非ステロイド系抗炎症薬である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非ステロイド系抗炎症薬がジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ミソプロストールを伴うジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、またはトルメチンナトリウムである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗リウマチ剤がCOX−2阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記非ステロイド系抗炎症薬がセレコキシブ、ロフェコキシブ、またはバルデコキシブである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記非ステロイド系抗炎症薬がアスピリン、サリチル酸コリン、サルサラート、またはサリチル酸ナトリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記非ステロイド系抗炎症薬がアレンドロネート、イバンドロネート、またはリセドロネートである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記抗リウマチ剤がホルモン、骨形成剤、または選択的エストロゲン受容体調節因子である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記抗リウマチ剤がカルシトニン、副甲状腺ホルモン、またはラロキシフェン塩酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記抗リウマチ剤が副腎皮質ステロイドである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記抗リウマチ剤が、ベタメタゾン、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロンまたはプレドニゾンである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記抗リウマチ剤が腫瘍壊死因子阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記抗リウマチ剤が選択的B細胞阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記抗リウマチ剤がインターロイキン−1阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記リウマチ性疾患が変形性関節症、線維筋痛症、脊椎関節症、痛風、多発性筋炎、滑液包炎、腱炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛症、強皮症、または乾癬性関節炎である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記リウマチ性疾患が関節リウマチである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記治療薬および前記抗リウマチ剤が一緒に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記治療薬および前記抗リウマチ剤が別々に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
a)式
【化2】

を有し、前記式中のRが−OCH、−OCHCH、−CH、−CHCH、−CCCH、−CHCH−CH、またはCH−CHCHから選択される化合物と、
b)1つまたは複数の抗リウマチ剤と、
を含む、リウマチ性疾患を治療するための組成物。
【請求項26】
前記抗リウマチ剤が疾患修飾性抗リウマチ薬である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記疾患修飾性抗リウマチ薬がアロプリノール、アミトリプチリン塩酸塩、オーラノフィン(経口金剤)、アザチオプリン、クロランブシル、コルヒチン、シクロベンザプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、デュロキセチン、フルオキセチン、金チオリンゴ酸ナトリウム(注射可能な金)、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、メトトレキセート、ミノサイクリン、ミコフェノール酸モフェチル、プロベネシド、スルファサラジン、またはトラマドールである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記抗リウマチ剤が疾患修飾性抗リウマチ薬、非ステロイド系抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、腫瘍壊死因子阻害剤、選択的B細胞阻害剤、またはインターロイキン−1阻害剤、もしくはこれらの混合物または組み合わせである、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
前記抗リウマチ剤が非ステロイド系抗炎症薬である、請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
前記非ステロイド系抗炎症薬がジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ミソプロストールを伴うジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、またはトルメチンナトリウムである、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記抗リウマチ剤がCOX−2阻害剤である請求項25に記載の組成物。
【請求項32】
前記抗リウマチ剤がセレコキシブ、ロフェコキシブ、またはバルデコキシブである、請求項25に記載の組成物。
【請求項33】
前記抗リウマチ剤がアスピリン、サリチル酸コリン、サルサラート、またはサリチル酸ナトリウムである、請求項25に記載の組成物。
【請求項34】
前記抗リウマチ剤がアレンドロネート、イバンドロネート、またはリセドロネートである、請求項25に記載の組成物。
【請求項35】
前記抗リウマチ剤がホルモン、骨形成剤、または選択的エストロゲン受容体調節因子である、請求項25に記載の組成物。
【請求項36】
前記抗リウマチ剤がカルシトニン、副甲状腺ホルモン、またはラロキシフェン塩酸塩である、請求項25に記載の組成物。
【請求項37】
前記抗リウマチ剤が副腎皮質ステロイドである、請求項25に記載の組成物。
【請求項38】
前記抗リウマチ剤がベタメタゾン、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロンまたはプレドニゾンである、請求項25に記載の組成物。
【請求項39】
前記抗リウマチ剤が腫瘍壊死因子阻害剤である、請求項25に記載の組成物。
【請求項40】
前記抗リウマチ剤が選択的B細胞阻害剤である、請求項25に記載の組成物。
【請求項41】
前記抗リウマチ剤がインターロイキン−1阻害剤である、請求項25に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−530388(P2009−530388A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501537(P2009−501537)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/007007
【国際公開番号】WO2007/109312
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(500523928)エントレメッド インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】