説明

2つのベンズヒドリル部分を有するカルシウムチャンネルブロッカー

【課題】 卒中及び疼痛その他のカルシウムチャンネル関連疾患の治療に有用な化合物を含む医薬組成物。
【解決手段】 少なくとも1つの窒素を有する6員複素環を、当該窒素をリンカーを介してベンズヒドリル部分に結合するよう化合してなる式(1)の化合物。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、1998年6月30日に出願した米国一部継続出願09/107,037号(現在米国特許第6,011,035号)である、1999年9月23日に出願した米国一部継続出願09/401,699号(現在米国特許第6,294,533号)である、1999年12月30日に出願した米国継続出願09/476,927号(現在米国特許第6,387,897号)である、2002年1月29日に出願した米国一部継続出願10/060,900号である、2003年4月8日に出願した米国一部継続出願10/409,763号である。これら出願の内容は引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。
【技術分野】
【0002】
本発明は、異常なカルシウムチャンネル機能に関連する状態の治療に有用な化合物に関する。より詳しくは、本発明は、卒中及び疼痛のような状態の治療に有用な6員複素環部分の置換又は非置換誘導体を含有する化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
2001年6月28日に刊行されたPCTパンフレットWO 01/45709は、ピペリジン又はピペラジン環がベンズヒドリル部分を別の芳香環部分又はベンズヒドリルに結合しているカルシウムチャンネルブロッカーを開示している。この刊行物は、上記特許出願09/476,927号を基礎としているが、引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。これらの出願において説明されているように、天然のカルシウムチャンネルは、その電気生理学的及び薬理学的性質によりT、L、N、P及びQ型に分類された。T型(又は低電位活性化)チャンネルは、負の電位で一過的に活性化状態になり、かつ静止膜電位の電荷に対し著しく感受性である。L、N、P及びQ型チャンネルは、より大きな正の電位で活性化状態になり(高電位活性化)、かつ多様な動態及び電位依存特性を示す。高電位活性化チャンネルの生物物理学的特性には重なるところがあるため、これらのチャンネルを更に区別するために、薬理学的プロフィールは有益である。Q型チャンネルとP型チャンネルは分子的実体として異なるものであるか否かは議論の余地がある。幾つかのタイプのカルシウム透過性は、上述のカテゴリーの何れにも適切に分類されず、また1つのカテゴリーの中でさえも性質は多々変化に富んでいる。これは、更に、カルシウムチャンネルをサブタイプに分類する必要があることを示唆している。
【0004】
幾つかの生化学的分析によれば、ニューロンの高電位活性化カルシウムチャンネルは、3つの異なるサブユニット(α、αδ及びβ)からなるヘテロオリゴマー複合体であることが示されている。αサブユニットは、主要な細孔形成サブユニットでありかつ電位センサーとカルシウムチャンネルアンタゴニストの結合部位(複数)を有する。主として細胞外に存在するαは膜貫通δサブユニットとジスルフィド結合をしている。この2つのサブユニットは同じ遺伝子に由来し、インビボでタンパク質分解的に開裂する。βサブユニットは、αサブユニットの細胞質領域との結合に高い親和性を有する非グリコシル化親水性タンパク質である。第4のサブユニットγは、骨格筋T管で発現するL型カルシウムチャンネルに独特のものである。
【0005】
最近、これらαサブタイプの各々がクローン化・発現されたため、より広範な薬理学的研究が可能となっている。これらのチャンネルは、α1A−α1I及びα1Sと命名され、上述のサブタイプと関連付けられた。α1AチャンネルはP/Q型であり、α1BはNである。α1C、α’1D、α1F及びα1SはLである。α1Eは新規なタイプのカルシウム透過性を示し、α1G−α1Iは、T型ファミリーのメンバーである。
【0006】
主としてニューロンに局在しているN型チャンネルの機能に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第5,623,051号に開示されている。この文献の開示内容は引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。記載されているように、N型チャンネルは、シナプス前膜に固着したタンパク質であるシンタキシンとの結合部位を有する。この相互作用を遮断すると、カルシウム流入に対するシナプス前応答も遮断される。従って、シンタキシンとこの結合部位との間の相互作用を遮断する化合物は、神経保護及び鎮痛に関して有用であろう。そのような化合物は、シナプス前カルシウムチャンネル効果に対する特異性が大きくなるという付加的な利点を有する。
【0007】
米国特許第5,646,149号には、式A−Y−Bで表されるカルシウムチャンネルアンタゴニストが複数記載されている。ここに、Bは、Yに直接結合したピペラジン又はピペリジン環を有する。これらの分子の本質的成分はAで表されるが、Aは抗酸化物でなければならない;ピペラジン又はピペリジン自体は重要だといわれている。例示された化合物は、既知のカルシウムチャンネルブロッカーをベースとした、ベンズヒドリル置換基を有する(後記参照)。場合によっては、抗酸化物は、メトキシ及び/又はヒドロキシ置換基を有するフェニル基であり得る。しかしながら、例示された化合物の多くでは、ベンズヒドリル部分は、単にCH基又はC=基を介して複素環と結合している。2つのフェニル基が結合しているCHと複素環との間にアルキレン鎖が存在する幾つかの化合物では、抗酸化物は、非置換アルキレンを介して複素環に結合しなければならないが、これらの場合の多くでは、抗酸化物は二環系である。抗酸化物がアルキニレンを介して結合した単なるフェニル部分でありうる場合、複素環からフェニル部分へのリンカーの鎖中に含まれる原子は高々6個に過ぎない。米国特許第5,703,071号には、虚血症の治療に有効だといわれている化合物が開示されている。分子の必須的部分は、トロポロン残基である;可能な置換基としては、ピペラジン誘導体とそのベンズヒドリル誘導体がある。米国特許第5,428,038号には、神経保護及び抗アレルギー効果を奏するといわれている化合物が開示されている。これらの化合物は、ピペラジンその他の6員複素環の誘導体を含み得るクマリン誘導体である。複素環の可能な置換基は、ジフェニルヒドロキシメチルである。従って、カルシウムチャンネル遮断活性を伴い得る種々の徴候に対するアプローチとして、当業者は、ベンズヒドリルで置換されたピペリジン又はピペラジン部分を偶然に含むが機能性を維持するために追加の置換基を要求する化合物を採用した。
【0008】
ベンズヒドリル部分とピペリジン又はピペラジンとの両者を含む化合物の中には、カルシウムチャンネルアンタゴニスト及び神経弛緩剤として知られているものがある。例えば、Gould, R. J., et al., Proc Natl Acad Sci USA (1983) 80:5122-5125には、リドフラジン、フルスピリレン、ピモジド、クロピモジド及びペンフルリドールのような抗統合失調症神経弛緩剤が記載されている。フルスピリレンはL型カルシウムチャンネル上の部位(複数)に結合すること(King, V. K. et al., J Biol Chem (1989) 264:5633-5641)及びN型カルシウム電流を遮断すること(Grantham, C. J., et al., Brit J Pharmacol (1944) 111:483-488)も明らかにされている。更に、カネボウKKによって開発されたロメリジンは、既知のカルシウムチャンネルブロッカーである;しかしながら、ロメリジンは、N型チャンネルに対し特異的ではない。ロメリジンに関する刊行物の論評は、Dooley, D., Current Opinion in CPNS Investigational Drugs (1999) 1:116-125に見出される。
【0009】
更に、ピペリジン及びピペラジンのベンズヒドリル誘導体は、2000年1月13日に刊行されたPCTパンフレットWO 00/01375に記載されている。その内容は引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。このPCTパンフレットは、上述の特許出願09/401,699に対応する。従来技術において既知のようなこのタイプの化合物については、同様に、2000年4月6日に刊行されたWO 00/18402及びChiarini, A., et al., Bioorganic and Medicinal Chemistry, (1996) 4:1629-1635を参照することができる。
【0010】
非芳香族リンカーを介して結合したアリール置換基を有するその他のピペリジン又はピペラジン誘導体の多くは、米国特許第5,292,726号;WO 99/43658;Breitenbucher, J. G., et al., Tat Lett (1998) 39:1295-1298にカルシウムチャンネルブロッカーとして記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、少なくとも1つの窒素を有する6員複素環を、当該窒素をリンカーを介してベンズヒドリル部分に結合するよう化合することにより、有効なカルシウムチャンネル遮断活性が得られるという認識に基づく。場合により、N型及び/又はT型チャンネルに対する特異性の増大、又はL型チャンネルに対する特異性の低下が示される。本発明の化合物は、以下に詳細に示すように、卒中及び疼痛その他のカルシウムチャンネル関連疾患の治療に有用である。これらの部分に着目することにより、カルシウムチャンネル活性に関連する徴候の治療に有用な化合物が調製される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、卒中、頭部外傷、偏頭痛、慢性、神経因性及び急性疼痛、癲癇、高血圧症、心不整脈、及びシナプス性カルシウムチャンネル系機能を含むカルシウム代謝と関連する他の徴候のような状態の治療に有用な化合物を提供する。本発明の化合物は、当該化合物のカルシウムチャンネル遮断活性を増強する置換基を有するピペラジンのベンズヒドリル誘導体である。従って、1つの視点では、本発明は、式(1)の化合物に関する。ここに、

−Rは、それぞれ、互いに独立に、任意的に置換されたアルキル(1−10C)、アルケニル(2−10C)、アルキニル(2−10C)、アリール(6−10C)、アリールアルキル(7−16C)又はアリールアルケニル(7−16C)であり、更にそれぞれ任意的に1−4ヘテロ原子(N、O又はS)を含み、該任意的置換基は=Oを含んでもよく、従ってR−Rは、互いに独立に、それらが結合している環の炭素とアシル、アミド、又はエステル結合を形成してもよい;又はR−Rは、それぞれ、互いに独立に、ハロ、CF、OCF、NO、OR、SR、COOR、又はCONRであり、RはH又は、上述のような、任意的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、又はアリールアルケニルであり、及び同一の環の隣接する部位の2つの置換基は、当該被置換環と融合した3−7員飽和又は不飽和環を形成してもよく、該融合環自身も任意的に置換されかつ任意的に1又は2以上のヘテロ原子(N、S、O)を含み、及びRは、n=1の場合、ケトであってもよい;
又はRとR及び/又はRとRの組合せは、フェニル基AとB及び/又はCとDの間で結合又は架橋を形成してもよい、例えば、RとR又はRとRは、それぞれ、一緒に、結合又は1つのCR基、NR基、O、又はSであってもよく、Sは任意的に酸化されていてもよい;及び
−nは、それぞれ、互いに独立に、0−4である、但し、n−nの少なくとも1つは0以外でなければならない。
【0013】
更に、本発明は、式(1)の化合物を用いてカルシウムチャンネル活性、好ましくはN型及び/又はT型チャンネル活性を調節する方法、従ってある種の不所望の生理的状態の治療方法を提供する。なお、このような状態は、異常なカルシウムチャンネル活性に関連する。他の一視点では、本発明は、上記の化合物を含有する医薬組成物、及びカルシウムチャンネル活性の調節を必要とする状態の治療のため薬剤を調製するための上記化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の方法に有用な式(1)の化合物は、N型及び/又はT型カルシウムチャンネルの活性を調節するその能力によってその所望の効果を奏する。このため、式(1)の化合物は、ある種の状態の治療に有用となる。アンタゴニスト活性が望まれるそのような状態としては、例えば、卒中、癲癇、頭部外傷、偏頭痛、炎症性腸疾患、及び慢性、神経因性及び急性疼痛がある。カルシウム流入(流束)も統合失調症、不安、鬱病その他の神経病、及び神経変性疾患のようなその他の神経性障害に関係している。その他の治療可能状態としては、例えば、高血圧及び心不整脈のような心血管状態がある。更に、T型カルシウムチャンネルは、ある種の癌、糖尿病、不妊症及び性機能障害に関係している。
【0015】
式(1)の化合物は通常この活性を有するが、このクラスのカルシウムチャンネルモジュレータの利用可能性により、特定の障害のための化合物の微妙な選択が可能になる。このクラスの化合物の利用可能性は、過剰なカルシウムチャンネル活性により影響を受ける徴候における一般的有用性を有する属を提供するだけではなく、特定の形態のカルシウムチャンネルとの特異的な相互作用のために検査・操作可能な多数の化合物も提供する。上述のα1A−α1I及びα1Sタイプの組換え産生されるカルシウムチャンネル利用可能性は、この選択プロセスを容易にする。Dubel, S. J., et al., Proc Natl Acad Sci USA (1992) 89:5058-5062; Fujita, Y., et al., Neuron (1993) 10:585-598; Mikami, A., et al., Nature (1989) 340:230-233; Mori, Y., et al., Nature (1991) 350:398-402; Snutch, T. P., et al., Neuron (1991) 7:45-57; Soong, T. W., et al., Science (1993) 260:1133-1136; Tomlinson, W. J., et al., Neuropharmacology (1993) 32:1117-1126; Williams, M. E., et al., Neuron (1992) 8:71-84; Williams, M. E., et al., Science (1992) 257:389-395; Perez-Reyes, et al., Nature (1998) 391:896-900; Cribbs, L. L., et al., Circulation Research (1998) 83:103-109; Lee, J. H., et al., Journal of Neuroscience (1999) 19:1912-1921参照。
【0016】
カルシウムチャンネル活性は様々な障害に関与していること、及び特定のタイプのチャンネルは特定の状態に関係していることは知られている。神経伝達と関係する状態とN型チャンネルとの関係は、N型レセプターを標的にする本発明の化合物はこれらの状態に対し最も有用であることを示している。そのような状態の例としては、例えば以下のものが挙げられる:
慢性疼痛
神経因性疼痛
糖尿病性末梢神経性神経障害
ヘルペス後神経痛
三叉神経痛
AIDS関連神経障害
癌性疼痛
炎症性疼痛
変形関節炎疼痛
関節リウマチ疼痛
線維筋痛
急性疼痛
侵害受容疼痛
術後疼痛
気分障害
不安障害
全般性不安障害
社会不安障害
恐慌性障害
強迫性障害
外傷後ストレス症
鬱病
嗜癖
コカイン依存及び退薬
オピオイド依存及び退薬
アルコール依存及び退薬
ニコチン依存及び退薬
胃腸障害
炎症性腸疾患
過敏性大腸症候群
尿生殖器障害
尿失禁
間質性大腸炎
性機能障害

式(1)の化合物の属のメンバーの多くは、N型チャンネルに対し高い親和性を示す。従って、後述するように、それら化合物は、所望の機能の初期の指標としてのN型チャンネルと相互作用するその能力に関してスクリーニングされる。これらの化合物は1μM未満のIC50値を示すのが好ましい。IC50は、特定の印加電圧においてカルシウム流入の50%を阻止する濃度である。
【0017】
本発明の化合物もまた、その多くは、T型チャンネルを阻害する。従って、これらの化合物は、以下の状態を治療するために有用である:
循環器疾患
高血圧症
不整脈
心房細動
鬱血性心不全
狭心症
癲癇
部分発作
側頭葉癲癇
欠伸発作
全般発作
強直間代性発作
糖尿病

慢性疼痛
神経因性疼痛
糖尿病性末梢神経性神経障害
ヘルペス後神経痛
三叉神経痛
癌性疼痛
AIDS関連神経障害
炎症性疼痛
変形関節炎疼痛
関節リウマチ疼痛
線維筋痛
急性疼痛
侵害受容疼痛
術後疼痛
【0018】
カルシウムチャンネル阻害には区別可能な2つのタイプがある。第1のタイプは、「開口チャンネル遮断」と称されるが、発揮(活性化)された(displayed)カルシウムチャンネルが、(典型的な凡そ−70mVの内因性静止維持電位と区別されるような)凡そ−100mVの人為的な負の静止電位において維持される場合に、都合よく示される。発揮された(displayed)チャンネルがこのような条件下で急激に脱分極されると、カルシウムイオンは、そのチャンネルを介して流動させられ、ピーク電流を示すが、この電流は次第に減衰する。開口チャンネル遮断阻害剤は、ピーク流において示される電流を減少し、また電流減衰速度を加速することもできる。
【0019】
このタイプの阻害は、本書において「不活性阻害」と称する第2のタイプの遮断と区別される。生理的に重要な電位−70mVのようなより小さい負の静止電位に維持される場合、ある割合のチャンネルが高次構造上の変化を受け、急激な脱分極によって活性化されること、即ち開口されること、が不可能にされる。従って、カルシウムイオン流によるピーク電流は、開口チャンネルが遮断されるためではなく、チャンネルの幾つかが開口化が利用不能になる(不活性化される)ために減少される。「不活性」型阻害剤は、不活性化状態にあるレセプターの割合を増加する。
【0020】
治療における有用性を最大にするために、生じ得る副反応を評価することも有益である。従って、特定のカルシウムチャンネルを調節できることに加えて、心臓において発現するHERG Kチャンネルに関し化合物の活性が極めて低いことが望ましい。このチャンネルを大きな作用強度で遮断する化合物は、致命的な反応を引き起こし得る。従って、カルシウムチャンネルを調節する化合物に関しては、HERG Kチャンネルが阻害されないことも示されるべきである。同様に、シトクロムp450は薬剤解毒に必要とされるので、化合物がシトクロムp450を阻害するのは望ましくないであろう。最後に、化合物は、種々のタイプのカルシウムチャンネルの間でその活性を対比することにより、カルシウムチャンネル型特異性が評価されるが、特定の1つのチャンネル型に対する特異性が好ましい。これらの検査を首尾よく通過した化合物は、次いで、実際の薬剤候補として、動物モデルにおいて検査される。
【0021】
本発明の化合物の合成
【0022】
本発明の化合物は、カルシウムチャンネルの活性を調節する。一般的に、そのような調節は、カルシウムを輸送するチャンネルの能力の阻害である。後述するように、カルシウムチャンネル活性に対する特定の化合物の作用効果は、チャンネルが活性化されるよう諸条件が設定されかつこの活性化に対する化合物の作用効果(陽性又は陰性)が評価されるようなありふれたアッセイによって容易に確認することができる。典型的なアッセイについては後述する。
【0023】
本発明の化合物は、医薬的に許容可能な塩として調製可能であるようにイオンか可能基を含んでもよい。このような塩は、無機又は有機酸を含む酸添加塩であってもよく、或いは塩は、本発明の化合物が酸性形態の場合、無機又は有機塩基から調製されてもよい。好適な医薬的に許容可能な酸と塩基は、当業者には周知であるが、例えば、塩酸、硫酸、クエン酸、酢酸(acidic acid)又は酒石酸、及び水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、種々のアミン等が該当する。適切な塩の調製方法は、当業界において十分に確立されている。
【0024】
更に、場合によっては、本発明の化合物は、1又は2以上のキラル中心を有する。これは、単環A、B、C又はDのみが置換されている場合にとりわけ当てはまる。本発明は、単離された立体異性体、及び立体異性体の種々のキラル純度の混合物を含む。
【0025】
本発明の化合物は、伝統的な方法を用いて合成することができる。そのような方法の例を以下のスキーム1〜3に示す。
【0026】
反応スキーム1は、環A及び/又は環Bに置換基を有する本発明の化合物を調製するために用いた。なお、この置換基はこれらの環の架橋はしていない。また、このスキームは、合成の最終工程においてベンズヒドリルカルボン酸を修飾することにより、環C及び環Dに置換基を有する化合物の調製にも使用することができる。従って、反応スキーム1に示した方法は、化合物1〜4、6、7、9〜15、17〜26、29、30、35及び36の合成に使用された。
【0027】
反応スキーム1

【0028】
同様に、置換基が環C及び/又は環Dに存在する場合、式4の化合物(但しR及びRはR及びRによって置き換えられる。)は、α炭素に脱離基を有する酢酸と反応することにより、式6の化合物に変換される。
【0029】
架橋が環Aと環Bとの間に形成されるような化合物に対しては、反応スキーム2が採用される。従って、この反応スキームは、化合物P16、P27、P28、P31及びP32の合成に使用された。
【0030】
反応スキーム2

なお、Rはベンズヒドリルである。環Cと環Dとが架橋される場合は、Rは「X」架橋を有するベンズヒドリル誘導体である。
【0031】
これらの場合のすべてにおいて、架橋ベンズヒドリルは、更に、上述したようなR−R又はR−Rによって置換されてもよい。
【0032】
ピペラジン環に置換基を有する化合物を合成するために、反応スキーム3が採用される。従って、反応スキーム3は、化合物P5及びP8を合成するために使用された。
【0033】
反応スキーム3

は、上で定義したように、ベンズヒドリルである。
【0034】
ピペラジン環の置換基がケト基であるような化合物の合成のために、反応スキーム4が採用される。
【0035】
反応スキーム4

【0036】
上記の方法を用いることにより、図1の化合物をすべて合成することができる。
【0037】
化合物P34は、反応スキーム4を用いて合成された。
【0038】
好ましい実施形態
【0039】
式(1)の化合物は、その種々の置換基の形態によって示されるように定義される。置換基は、任意的に置換されたアルキル、アリール、アルキルアリール(alkaryl)等が含まれ得る。
【0040】
本書で使用される場合、用語「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」とは、置換を受けていない場合CとHとのみからなる直鎖状、分枝状及び環状の一価置換基をいうものとする。例えば、メチル、エチル、イソブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルエチル、2−プロペニル、3−ブチニル等が該当する。典型的には、アルキル、アルケニル及びアルキニル置換基は、1−10C(アルキル)又は2−10C(アルケニル又はアルキニル)を有する。1−6C(低級アルキル)又は2−6C(低級アルケニル又は低級アルキニル)を含むと好ましい。
【0041】
ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニルも同様に定義されるが、1又は2以上のへテロ原子O、S又はN又はそれらの組合せを、その骨格残基中に有し得る。
【0042】
「アシル」は、カルボニル基を介して付加的残基と結合されるアルキル、アルケニル、アルキニルの定義を含み、ヘテロアシルは関連するヘテロ型を含む。
【0043】
「芳香族」部分又は「アリール」部分は、フェニル又はナフチルのような単環式又は融合二環式部分をいう。また、「複素環式芳香族」は、O、S及びNから選択される1又は2以上のヘテロ原子を含む単環式又は融合二環式環系をいう。ヘテロ原子の含有することにより、5員環及び6員環を包含することが可能になる。従って、典型的な芳香族/複素環式芳香族系は、例えば、ピリジル、ピリミジル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル等である。互変異性体は理論的には可能であるので、フタリミドも芳香族であると考えられる。環系全体にわたる電子分布により芳香族の性質を有する任意の単環又は融合二環系は、この定義に含まれる。典型的には、環系は、5〜12環員原子を有する。
【0044】
同様に、「アリールアルキル」及び「ヘテロアリールアルキル」は、典型的には1−8C又はそのヘテロ型の炭素鎖(置換又は非置換、飽和又は不飽和炭素鎖を含む)を介して他の残基と結合される芳香族及び複素環式芳香族系をいう。これらの炭素鎖は、同様に、カルボニル基を含み得るので、アシル又はヘテロアシル部分としての置換基を供与することができる。
【0045】
一般に、置換基に含まれるアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル又はアリール基は、何れも、それ自身、更なる置換基によって任意的に置換されてもよい。これらの置換基の性質は、一次置換基に関して述べたものと類似する。従って、置換基の一形態がアルキルの場合、このアルキルは、化学的意味をなし、かつアルキル自体のサイズの限界に悪影響を及ぼさない置換基として列挙される残りの置換基によって、任意的に置換されてもよい。例えば、アルキル又はアルケニルによる置換を受けたアルキルは、これらの形態の炭素原子の上限を単に拡大するだけであろう。尤も、アリール、アミノ、アルコキシ等による置換を受けたアルキルも含まれ得る。本発明の化合物の特徴は、式(1)によって定義されるが、置換基がこの基礎構造の上述の生物学的活性に干渉しない限り、置換基の性質の重要性は小さい。
【0046】
Ar又はArの不干渉性置換基としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、OR、NR、SR、−SOR、−SOR、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR、−NRCOOR、−OCONR、−RCO、−COOR、SOR、NRSOR、NRSOR、−S〇R、−CONR、SONR等がある。ここに、Rは、それぞれ、互いに独立に、H又はアルキル(1−8C)、−CN、−CF及びN〇等の置換基である。R及びRは、同様に、Hであり得る。R及びRの好ましい形態は、H、アルキル(1−10C)又はそのヘテロ原子含有型、それぞれ任意的に置換されたとりわけ(1−4C)アルキル;アルコキシ(1−8C)、アシルアミド、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ(なおアリール基はとりわけフタリミド基である)、及びアルキル又はアリールアルキルアミンである。
【0047】
本発明のとりわけ好ましい形態は、1つ又は2つの環のみが置換され、かつ1つの環の置換基の数が3以下であるようなものである。環A及び/又は環Bのとりわけ好ましい置換基は、ハロ、とりわけクロロ;CF;任意的に置換され任意的にヘテロ原子を含むアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、フェノキシ等である。これらの部分の置換基がアルキル又はアリール基を含む場合は、これらも任意的に置換されてもよい。また、ヘテロ原子を含有する置換基を架橋することも好ましい。環Aと環B又は環Cと環Dの間の架橋は、好ましくは(CRを含む1〜3員を含むのが好ましい。なおmは1〜3である;(CRNR(CR(CRO(CR(CRS(CR(Sは任意的に酸化される)、CR2、O、NR、及び任意的に酸化されたS。
【0048】
ピペラジン環のとりわけ好ましい置換基は、例えば、COOR、とりわけCOOH及びCOOEt、アルキル、及びアルケニル、(上に定義したような及び任意的にヘテロ原子を有し及び全て任意的に置換されている)及びハロ等である。
【0049】
環C及び環Dの好ましい置換基は、環A及び環Bの好ましい置換基と同様である。
【0050】
ライブラリー及びスクリーニング
【0051】
本発明の化合物は、当業者に既知の方法自体を用いて個別に又はコンビナトリアルライブラリーのメンバーとして合成することができる。
【0052】
コンビナトリアルライブラリーの合成は、現在では、当業者にとってありきたりのものになっている。そのような合成法の好適な説明は、例えば、Wentworth, Jr., ,P., et al., Current Opinion in Biol. (1993) 9:109-115;Salemme, F. R., et al., Structure (1997) 5:319-324に見出される。ライブラリーは、種々の置換基及び種々の不飽和度並びに種々の鎖長を有する複数の化合物から構成される。ライブラリーは、僅かに10程度のものもあるが典型的には数百〜数千のメンバーを含むが、次いで、特異的なサブタイプのカルシウムチャンネル即ちN型チャンネルに対しとりわけ有効な化合物のためにスクリーニングしてもよい。更に、ライブラリーは、一般的なスクリーニングプロトコールを用いることにより、ナトリウムチャンネル、カリウムチャンネル等のようなその他のチャンネル又はレセプターを遮断する化合物のためにスクリーニングしてもよい。
【0053】
このようなスクリーニング機能の実行方法は、当業者には周知である。これらの方法は、チャンネルをアゴナイズ又はアンタゴナイズする化合物の能力を個別に確認するために使用することもできる。典型的には、標的にされるべきチャンネルは、ヒト胚腎細胞のような組換え宿主細胞の表面に発現する。検査されるべきチャンネルに結合するライブラリーのメンバーの能力は、例えば、チャンネルと正常に関係するリガンド又はチャンネルに対する抗体のような標識された結合リガンドに置き換わるライブラリーの化合物の能力によって測定される。より典型的には、チャンネルにアンタゴナイズする能力がカルシウムイオンの存在下で測定され、生成されるシグナルに干渉する化合物の能力が標準的な方法によって測定される。より詳細には、1つの方法は、カルシウムチャンネルと相互作用する放射性標識化剤の結合と、それに続く、例えばオン・ラット、オフ・ラット、Kd値及び他の分子による競合的結合等のような平衡結合測定の分析を含む。
【0054】
他の1つの方法は、個々の細胞に微小電極を刺し込み、目的の化合物の投与前後においてカルシウムチャンネルを通過する電流を記録するような電気生理学的アッセイによる化合物の作用効果のスクリーニングを含む。
【0055】
他の1つの方法即ち高処理分光光度法アッセイでは、細胞株に細胞内カルシウム濃度に感受性の蛍光色素を導入し、次いで、塩化カリウム又は細胞内カルシウムレベルを変化させるその他の手段による脱分極の能力に関し化合物の作用効果を検査する。
【0056】
上述のように、チャンネルの不活性化を促進によって作用するものに対して、開口チャンネルブロッカーとして作用するカルシウム流の阻害剤を区別するためのより決定的なアッセイを使用することもできる。このようなタイプの阻害を区別するための方法は、以下の実施例においてより詳細に説明する。一般的には、開口チャンネルブロッカーは、候補化合物の存在及び不存在下において凡そ−100mVのバックグランド静止電位に脱分極が課せられた時のピーク電流のレベルを測定することによって評価される。成功した開口チャンネルブロッカーは、観察されるピーク電流を減少するが、場合によっては、この電流の減衰を加速することもある。不活性化されたチャンネルブロッカーである化合物は、通常、不活性化の電位依存性をより大きな不の電位に向かってシフトするその能力によって決定される。これは、より大きく脱分極された保持電位(例えば−70mV)における及びより大きな振動数の刺激例えば0.2Hz対0.03Hzにおけるピーク電流を減少するその能力においても反映されている。
【0057】
有用性及び投与
【0058】
人間及び動物被検体の治療として使用するために、本発明の化合物は、医薬的又は獣医学的組成物として処方することができる。治療されるべき被検体、投与のモード、及び所望の治療のタイプ、例えば防止、予防、治療に応じて、本発明の化合物は、これらのパラメータに調和する態様で処方される。そのような方法の概要は、Remington's Pharmaceutical Sciences, latest edition, Mack Publishing Co., Easton, PAに見出される。その内容は引用をもって本書に繰り込みここに記載されているものとみなす。
【0059】
一般に、治療において使用するために、式(1)の化合物は、単独でも、2又は3以上の式(1)の化合物の混合物としても、他の医薬とのコンビネーションとしても使用することができる。投与のモードに応じて、本発明の化合物は、容易な送達を可能にするのに好適な組成物中に処方される。
【0060】
処方物は、全身投与又は局所ないし局在投与の好適な態様で調製することができる。全身投与処方物は、注射(例えば筋肉内注射、静脈内注射又は皮下注射)用に設計されたものを含み、又は経皮投与、経粘膜投与又は経口投与用に調製することもできる。処方物は、通常、希釈剤、及び場合により、アジュバント、バッファ、保存剤等を含む。本発明の化合物は、リポソーム組成物中において又はマイクロエマルジョンとして投与することもできる。
【0061】
注射のために、処方物は、液体溶液又は懸濁液のような又は注射前の液体中の溶液又は懸濁液のために好適な固体のような又はエマルジョンのような伝統的な形態で調製することができる。好適な賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール等がある。そのような組成物は、湿潤剤又は乳化剤、例えば酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン等のようなpH緩衝剤等のような非毒性補助物質の所定量を含んでもよい。
【0062】
薬剤のための種々の徐放系も発明されている。例えば、米国特許第5,624,677号参照。
【0063】
全身投与は、坐薬、経皮パッチ、経粘膜送達及び鼻腔内投与の使用のような比較的非侵襲的な方法を含んでもよい。経口投与も本発明の化合物に好適である。好適な剤形は、当業者に理解されているような、シロップ、カプセル、タブレット等である。
【0064】
動物又は人間被検体への投与のために、本発明の化合物の用量は、典型的には、0.1〜15mg/kg、好ましくは0.1〜1mg/kgである。尤も、用量レベルは、状態の性質、患者の性格、施与者の判断、及び投与の頻度及びモードに大きく依存する。
【0065】
以下に、本発明の実施例を示すが、これは、単なる例示を目的とするものであり、本発明を限定することは意図されていない。
【実施例】
【0066】
調製物1
ベンズヒドリルピペラジン誘導体から式(1)の化合物を調製するための一般的方法
【0067】
N−(ジフェニルメチル)ピペラジン(0.5mmol)をTHF(10ml)に溶解する。反応フラスコの各々に、粉末KCOと式ΦCHCH−CO−Cl(0.7mmol)の酸塩化物を加える。なお、フェニル基の1つは置換を受けている。反応物を室温で2時間撹拌した後、10%NaOH(10ml)でクエンチし、次いでEtOAc(10ml)で抽出する。有機層を10%NaOH(4×)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、その後、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、1:1ヘキサン:EtOAc)で精製し、目的のアミドを得る。
【0068】
調製物2
置換1−(4−ベンズヒドリル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オンの合成モデル

【0069】
非置換タイプを合成するモデルを実行する。
【0070】
A.ジフェニル−メタノールの合成

【0071】
ベンズアルデヒド(7.34mmol)の無水エーテル(10ml)溶液をフェニルマグネシウムブロミド(2.3ml、6.98mmol、エーテル中3.0M)の溶液に窒素雰囲気下でゆっくりと加えた。この混合物を1時間加熱環流した後、0℃に冷却し、1NHCl(40ml)で加水分解した。水相をエーテル(3×)で抽出し、混合有機層をMgSOで乾燥した。粗産物は、ヘキサン:酢酸エチル(5:1)を溶出液として用いて精製したところ、1.5gの純産物を得た。
【0072】
B.クロロジフェニルメタンの合成

【0073】
ジフェニルカルビノール(11.06mmol)の無水ベンゼン(20ml)溶液に、SOCl(8.25ml、110mmol)と無水CaCl(2g)を加えた。この混合物を2時間加熱環流した後、冷却し、室温で終夜撹拌した。次に、この混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去したところ、淡黄色のオイルを得た。このオイルは更に精製することなく次の工程に用いた。
【0074】
C.1−ベンズヒドリル−ピペラジンの合成

【0075】
ブタノン(20ml)中のクロロジフェニルメタン(17.4mmol)、無水ピペラジン(5.98g、69.6mmol)、無水KCO(2.40g、17.4mmol)及びKI(2.88g、17.4mmol)の混合物を窒素雰囲気下で18時間環流した。次に、この混合物を冷却し、濾過し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をCHCl(100ml)に溶解し、水(30ml)で洗浄した。乾燥し、溶媒を除去した後、クロマトグラフィ(CHCl:CHOH:NHOH90:10:0.5)にかけたところ、目的の産物が収率57%で得られた。
【0076】
D.1−(4−ベンズヒドリル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オンの合成

【0077】
1−ベンズヒドリル−ピペラジン(2.08mmol)の無水CHCl(40ml)溶液に、窒素雰囲気下で、3,3−ジフェニルプロパン酸(0.472g、2.08mmol)を加えた。この反応物に、EDC(0.797g、4.16mmol)とDMAP(触媒)を加えた反応混合物を窒素雰囲気下室温で終夜撹拌した。次に、この反応物を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル:水(10:1)(150ml)に溶解した。有機層を水(30ml、2×)及び10%NaOH(30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固した。生成した残渣をヘキサン:酢酸エチル(3:1)を用いたカラムクロマトグラフィで精製したところ、表題の化合物が78%の収率で得られた。
【0078】
上述の方法では、置換型の試薬−「R」で示された−が採用される。
【0079】
[例1]
1−{4−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オンの合成

【0080】
A.(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メタノールの合成

【0081】
4−クロロベンズアルデヒド(1.03g、7.34mmol)の無水エーテル(10ml)溶液を、窒素雰囲気下で、フェニルマグネシウムブロミド(2.3ml、6.98mmol、エーテル中3.0M)の溶液にゆっくりと加えた。この混合物を1時間加熱環流した後、0℃に冷却し、1NHCl(40ml)で加水分解した。水相をエーテル(3×)で抽出し、混合有機層をMgSOで乾燥した。粗産物は、ヘキサン:酢酸エチル(5:1)を溶出液として用いて精製したところ、1.5gの純産物が得られた。
【0082】
B.1−クロロ−4−(クロロ−フェニル−メチル)−ベンゼンの合成

【0083】
(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メタノール(2.41g、11.06mmol)の無水ベンゼン(20ml)溶液に、SOCl(8.25ml、110mmol)と無水CaCl(2g)を加えた。この混合物を2時間加熱環流した後、冷却し、室温で終夜撹拌した。次に、この混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去したところ、淡黄色のオイルが得られた。このオイルは更に精製することなく次の工程で用いた。
【0084】
C.1−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジンの合成

【0085】
ブタノン(20ml)中の1−クロロ−4−(クロロ−フェニル−メチル)−ベンゼン(4.12g、17.4mmol)、無水ピペラジン(5.98g、69.6mmol)、無水KCO(2.40g、17.4mmol)及びKI(2.88g、17.4mmol)の混合物を窒素雰囲気下で18時間環流した。次に、この混合物を冷却し、濾過し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をCHCl(100ml)に溶解し、水(30ml)で洗浄した。乾燥し、溶媒を除去した後、クロマトグラフィ(CHCl:CHOH:NHOH90:10:0.5)にかけたところ、目的の産物が収率57%で得られた。
【0086】
D.1−{4−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オンの合成

【0087】
1−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン(0.59g、2.08mmol)の無水CHCl(40ml)溶液に、窒素雰囲気下で、3,3−ジフェニルプロパン酸(0.472g、2.08mmol)を加えた。この反応物に、EDC(0.797g、4.16mmol)とDMAP(触媒)を加え、反応混合物を窒素雰囲気下室温で終夜撹拌した。次に、この反応物を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル:水(10:1)(150ml)に溶解した。有機層を水(30ml、2×)及び10%NaOH(30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固した。生成した残渣をヘキサン:酢酸エチル(3:1)を用いたカラムクロマトグラフィで精製したところ、目的の産物が78%の収率で得られた。
【0088】
[例2]
3,3−ジフェニル−1−{4−(9H−チオキサンテン−9−イル)−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オンの合成

【0089】
A.9H−チオキサンテン−9−オールの合成

【0090】
キサントン(2.1g、9.9mmol)を、95%EtOH(50ml)中の過剰水素化ホウ素ナトリウム(5.0g、0.13mol)で還元した。45分間撹拌した後、水10mLを加え、混合物を水蒸気浴で加温した。氷を加えたところ、チオキサンテン−9−オールの沈殿が生じた。次に、この沈殿を水で洗浄し、乾燥した。収量2.0g、融点102〜105℃。
【0091】
B.3,3−ジフェニル−1−{4−(9H−チオキサンテン−9−イル)−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オンの合成

【0092】
チオキサンテン−9−オール(1.0g、4.66mmol)を無水CHCl(25ml)及び3.0mlの2−6−ルチジンに溶解し、氷水浴で冷却した。トリフリック酸無水物(0.87mL、5.12mmol)をシリンジで加え、生じた赤色の反応混合物を0℃で撹拌した。30分後、化合物9(3,3−ジフェニル−1−ピペラジン−1−イル−プロパン−1−オン)(1.64g、5.6mmol)を0℃で加え、同じ温度で1時間撹拌した。次に、反応混合物を室温で終夜撹拌した。この混合物を水でクエンチし、有機相を水、飽和NaClで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発した。粗産物をシリカカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:EtOAt1:1)で精製したところ、0.75gの純産物が得られた。
【0093】
[例3]
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステルの合成

【0094】
A.ピペラジン2−カルボン酸エチルエステルの合成

【0095】
化合物15(1当量)を加温しながらEtOHに溶解し、次いで、10%Pd−Cを介して室温及び大気圧下で水素の取り込みが終了するまで水素化を行った。この混合物をセライトで濾過し、溶媒を蒸発したところオイルが得られた。このオイルは減圧下で蒸留した。
【0096】
B.4−ベンズヒドリル−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステルの合成

【0097】
無水DMF(20ml)中のピペラジン2−カルボン酸エチルエステル16(1.0g、6.32mmol)、ブロモジフェニルメタン(1.56g、6.32mmol)17、KCO(1.05g、7.58mmol)の混合物を室温で3日間撹拌した。次に、この混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、水(2×30ml)、ブライン(2×30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発した。CHCl:CHOH(15:1)を用いたカラムクロマトグラフィで精製したところ、産物が収率75%で得られた。
【0098】
C.4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステルの合成

【0099】
4−ベンズヒドリル−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル(0.5g、1.54mmol)の無水CHCl(25ml)溶液に、3,3−ジフェニルプロパン酸(0.35g、1.54mmol)を窒素雰囲気下で加えた。この反応物に、EDC(0.59g、3.08mmol)とDMAP(触媒)とを加えた反応混合物を窒素雰囲気下室温で終夜撹拌した。次に、この反応物を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル:水(10:1)(100ml)に溶解した。有機層を水(20ml、2×)及び10%NaOH(20ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固した。生成した残渣をヘキサン:酢酸エチル(3:1)を用いたカラムクロマトグラフィで精製したところ、表題の化合物が73%の収率で得られた。
【0100】
[例4]
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸の合成

【0101】
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル(0.51g、0.957mmol)と、THF/MeOH/HO(15:5:5)中のLiOH・HO(0.12g、2.87mmol)との混合物を室温で2日間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発し、残渣を水に溶解し、1NHClで酸性化してpH3にした。産物をEtOAcで抽出し、MgSOで乾燥し、減圧下で乾燥した。産物をカラムクロマトグラフィ(CHCl:MeOH15:1)で精製したところ、表題の化合物が収率95%で得られた。
【0102】
[例5]
1−ベンズヒドリル−4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−オンの合成

【0103】
A.2−ケトピペラジンの合成

【0104】
ブロモエチルアセタート(10g、59.8mmol)の無水エタノール(80ml)溶液を室温でゆっくりとエチレンジアミン(36g、598mmol)の無水エタノール(140ml)溶液に加えた。この添加プロセスは凡そ3時間かけて行われ、その混合物を更に2時間静置した。ナトリウムエトキシド(21%wt、22ml、59.8mmol)を滴下した。この混合物を室温で終夜撹拌した後、溶媒を蒸発した。DMF(40ml)を残渣に加え、60〜70℃で24時間撹拌した。塩を濾過し、溶媒を蒸発した。残渣をCHCl:MeOH:NHOH(90:10:0.1)を用いたカラムクロマトグラフィで精製したところ、黄色の固体が収率45%で得られた。
【0105】
B.4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−オンの合成

【0106】
2−ケトピペラジン(0.7g、7.0mmol)の無水CHCl(30ml)溶液に、3,3−ジフェニル−プロパン酸(1.9g、8.4mmol)を窒素雰囲気下で加えた。この反応物に、EDC(1.7g、9.1mmol)とDMAP(触媒)とを加えた反応混合物を窒素雰囲気下室温で終夜撹拌した。次に、この反応物を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル:水(10:1)(100ml)に溶解した。有機層を水(20ml、2×)及び10%NaOH(20ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固した。生成した残渣をヘキサン:酢酸エチル(2:1)を用いたカラムクロマトグラフィで精製したところ、産物が70%の収率で得られた。
【0107】
C.1−ベンズヒドリル−4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−オンの合成

【0108】
4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−オン(0.5g、1.62mmol)の無水DMF(15ml)溶液に、NaH(60%、75ml、1.86mmol)を加え、生じた混合物を30分間撹拌した。この反応物にブロモジフェニルメタン(0.40g、1.62mmol)を加えた混合物を100℃で終夜撹拌した。次に、この混合物を冷却し、EtOAc(100ml)を加え、水(2×)、ブライン(1×)で洗浄した。次に、有機相を乾燥し、蒸発して得られた残渣をCHCl:MeOH(20:1)を用いたカラムクロマトグラフィにかけたところ、表題の化合物が収率65%で得られた。
【0109】
[例6]
カルシウムチャンネルブロッカーの評価
【0110】
アンタゴニスト活性は、5mMバリウムを電荷担体とした、ラットα1B+α2b+β1bチャンネル(N型チャンネル)を安定的に又は一過的に発現するヒト胚腎細胞に対する全細胞パッチ記録を用いて測定した。
【0111】
一過的発現に関しては、ヒト胚腎細胞HEK293(ATCC#CRL1573)のような宿主細胞を、2mMグルタミン及び10%ウシ胎児血清を補充した標準DMEM培地で増殖させた。HEK293細胞は、脊椎動物発現ベクター中のラットα1B+β1b+αδN型カルシウムチャンネルサブユニットを用いた標準的なリン酸カルシウム−DNA共沈法によって形質移入を行った(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology参照)。
【0112】
24〜72時間のインキュベーション後、培養培地を除去し、外部記録溶液(external recording solution)で置換した(下記参照)。全細胞パッチクランプ試験は、ソフトウェアpCLAMPを搭載したIBM互換パーソナルコンピュータと接続されたAxopatch200B増幅器(Axon Instruments、バーリンゲーム、カリフォルニア州)を用いて実行した。ホウ珪酸ガラスパッチピペット(Sutter Instrument Co.、ノヴァト、カリフォルニア州)を研磨し(Microforge、ナリシゲ、日本)、メタンスルホン酸セシウム内液(組成はmM:109 CsCHSO、4 MgCl、9 EGTA、9 HEPES、pH7.2)で充填したとき抵抗が凡そ4MΩになるようにした。細胞は、5mM Ba++(5 BaCl、1 MgCl、10 HEPES、40 塩化テトラエチルアンモニウム、10 グルコース、87.5 CsCl、pH7.2)浴した。得られた電流データは、−100mV及び/又は−80mVから種々の電位(最小−20mV、最大+30mV)までの0.066Hzの一連の100ms試験パルスによって誘発された。薬剤は、微小灌流システムを用いて細胞の近傍に直接灌流された。
【0113】
規格化された用量応答曲線は、IC50値を求めるために、HiLL方程式に当て嵌められた(Sigmaplot 4.0, SPSS Inc.、シカゴ、イリノイ州)。定常状態不活性化曲線は、+10mVの増分での5つの不活性化前パルスに続く、規格化試験パルス振幅としてプロットされた。不活性化曲線は、ボルツマン方程式Ipeak(規格化)=1/(1+exp((V−V)z/25.6))に当て嵌められた(Sigmaplot 4.0)。ここに、V及びVは、それぞれ、コンディショニング(conditioning)電位及び半不活性化電位、zは勾配ファクタである。
【0114】
上述の方法を用いて、N型カルシウムチャンネルを遮断する能力に関して本発明の種々の化合物を検査した。結果は、表1に示したように、〜0.05から1μM以上の範囲のIC50値を示す。
【0115】
表1:α1B N型チャンネルの遮断

【0116】
表1に示したように、置換基の性質はIC50値に影響を及ぼす。
【0117】
[例7]
その他の方法
【0118】
例6の方法は、以下の説明から明らかであるような僅かな修正を行った。
【0119】
A.HEK細胞の形質転換
【0120】
N型カルシウムチャンネル遮断活性は、ラット脳N型カルシウムチャンネルサブユニット(α1B+α2δ+β1bcDNAサブユニット)によって安定的に形質移入されたヒト胚腎細胞HEK293においてアッセイした。また、N型カルシウムチャンネル(α1B+α2δ+β1bcDNAサブユニット)、L型チャンネル(α1C+α2δ+β1bcDNAサブユニット)及びP/Q型チャンネル(α1A+α2δ+β1bcDNAサブユニット)はHEK293細胞において一過的に発現した。簡単に説明すると、細胞は、10%ウシ胎児血清、200U/mlペニシリン及び0.2mg/mlストレプトマイシンを補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)において37℃で5%COの存在下で培養された。85%コンフルエントで細胞は0.25%トリプシン/1mM EDTAによって分離され、10%コンフルエントでカバーガラスにプレーティングされた。12時間後、培地を交換し、標準的なリン酸カルシウム法及び適切なカルシウムチャンネルcDNAを用いて、細胞は一過的に形質移入された。新鮮なDMEMを補充し、細胞を28℃/5%COに移した。細胞は1〜2日間インキュベートされ、全細胞記録された。
【0121】
B.阻害の測定
【0122】
全細胞パッチクランプ試験は、pCLAMPソフトウェアを搭載したパーソナルコンピュータと接続されたAxopatch200B増幅器(Axon Instruments、バーリンゲーム、カリフォルニア州)を用いて実行した。外部記録溶液は、5mM BaCl、1mM MgCl、10mM HEPES、40mM TEAC1、10mMグルコース、87.5mM CsCl(pH7.2)を含み、内部記録溶液は108mM CsMS、4mM MgCl、9mM EGTA、9mM HEPES(pH7.2)を含んでいた。電流は、典型的に、Clampexソフトウェア(Axon Instruments)を用いることにより、−80mVの保持電位から+10mVによって誘発された。電流は、典型的に、まず、低周波刺激(0.03Hz)によって誘発され、本発明の化合物を投与する前に安定化された。次に、本発明の化合物は2〜3分間の低周波パルス列の間に投与され、緊張(持続)性(tonic)遮断(ブロック)が評価され、次いで、パルス周波数を0.2Hzに増加し、周波数依存遮断(ブロック)を評価した。Clampfit(Axon Instruments)及びSigmaPlot4.0(Jandel Scientific)を用いてデータを分析した。
【0123】
表2は、N型チャンネルに対して選択的な本発明の幾つかの化合物によって得た結果を示す。
【0124】
表2:N型Ca2+チャンネルに対する化合物の選択性
0.1Hz、5mMBa2+で試験

【0125】
表2に示した結果は、図2〜図5にグラフで示されている。IC50値の場合のように、特定のタイプのチャンネルの特異性は、置換基の性質に依存する。
【0126】
[例8]
α1GT型チャンネルの遮断
【0127】
T型電流のブロッカーを同定するために標準的なパッチクランプ法を採用した。簡単に説明すると、ヒトα1Gサブユニットを安定的に発現する上述のHEK細胞株を用いて全ての記録を行った(通し番号(passage#):4〜20、37℃、5%CO)。T型電流を得るために、培養培地を外部溶液(外液)(下記参照)で置換した後、半コンフルエント細胞を含むプラスチック皿をZEISS AXIOVERT S100顕微鏡のステージにセットした。全細胞パッチは、〜5MΩの抵抗値を有するSUTTER P−97プラー(ガラス電極製作器)で製造したピペット(フィラメントを備えたホウ珪酸ガラス、O.D.(外径):1.5mm、I.D.(内径):0.86mm、長さ10cm)を用いて得た(内部溶液(内液)については下記参照)。
【0128】
表3:外部溶液(外液)500ml−pH7.4、265.5mOsm

【0129】
表4:内部溶液(内液)50ml−pH7.3 CsOH含有、270mOsm

T型電流は、2つの電位プロトコール即ち
(1)「非−不活性化」、及び
(2)「不活性化」
を用いることにより確実に得られた。
【0130】
非−不活性化プロトコールでは、保持電位は−110mVに設定され、1秒間の−100mVの前パルスの後に、50ミリ秒間の−40mVの試験パルスが加えられる。不活性化プロトコールでは、前パルスは1秒間に凡そ−85mVであるが、これは、以下に示すように、T型チャンネルの凡そ15%を不活性化する。
【0131】

【0132】
試験化合物は、外部溶液(外液)0.1〜0.01%DMSOに溶解した。〜10分間静置した後、試験化合物は、WPIマイクロフィルチューブ(microfil tubing)を用いて、重力によって細胞の近傍に投与された。「非−不活性化」前パルスを用いて、1つの化合物の静止遮断(resting block)を試験した。「不活性化」プロトコールを用いて、電位依存性遮断を試験したが、下に示す初期のデータは、主として、非−不活性化プロトコールのみを用いて得た。表5は、本発明の種々の化合物に対するIC50値を示す。
【0133】
表5:α1GT型チャンネルの遮断

【0134】
この場合も、置換パターンは、IC50値に大きな影響を与えている。
【0135】
[例9]
ホルマリン誘導疼痛モデルにおける本発明の化合物の活性
【0136】
くも膜下腔内送達される本発明の化合物のラットホルマリンモデルに対する作用効果を測定した。これらの化合物は、プロピレングリコール中の凡そ10mg/mlの保存液に再構成された(reconstituted)。275〜375gの大きさの8匹のオスのホルツマンラットを、試験化合物毎に任意に選択した。
【0137】
腹腔内(IP)送達される試験化合物、媒体対照(プロピレングリコール)及び生理食塩水に関し、以下の試験グループを使用した。
【0138】
表6:ホルマリンモデル用量グループ

N/A=適用不可能
【0139】
薬剤送達を開始する前に、ベースライン行動及び試験データを取得した。試験化合物又は対照の注入後の選択された各時点において、これらのデータは再度収集した。
【0140】
試験の始めに、小さい金属製バンド(0.5g)を右後足にゆるく取り付けた。ラットは、適応のために、最低でも30分間、円筒状プレキシグラスチャンバに入れた。ラットの右後足の背側面にホルマリン注射(5%ホルマリンを50μl)する10分前に、試験化合物又は媒体対照を投与した。次に、自動ホルマリン装置のチャンバにラットを入れ、ホルマリン注射された足の運動をモニターし、その後60分間にわたり分刻みで足萎縮の数を記録する。(Malmberg, A. M., and Yaksh, T. L., Anesthesiology (1993) 79:270-281参照)
【0141】
生理食塩水対照を100%とした最大可能効果±SEMとして結果を示す。
【0142】
表7:ホルマリン誘導疼痛モデルにおける本発明の化合物の有効性

【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1−1】本発明の化合物の例。
【図1−2】本発明の化合物の例。
【図1−3】本発明の化合物の例。
【図1−4】本発明の化合物の例。
【図1−5】本発明の化合物の例。
【図1−6】本発明の化合物の例。
【図1−7】本発明の化合物の例。
【図1−8】本発明の化合物の例。
【図2】N、P/Q及びL型チャンネルに対する化合物P1の選択性を示したグラフ。
【図3】N、P/Q及びL型チャンネルに対する化合物P3の選択性を示したグラフ。
【図4】N、P/Q及びL型チャンネルに対する化合物P4の選択性を示したグラフ。
【図5】N、P/Q及びL型チャンネルに対する化合物P5の選択性を示したグラフ。
【図6】N、P/Q及びL型チャンネルに対する化合物P6の選択性を示したグラフ。
【図7】N、P/Q及びL型チャンネルに対する化合物P8の選択性を示したグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の疼痛、卒中、癲癇、不安及び鬱病からなる群から選択される状態を治療する方法であって、前記状態の治療に有効な式(1)の化合物の量を、そのような治療を必要とする被検体に投与することを含む方法において、
式(1)の前記化合物は、

又はその医薬的に許容可能な塩であり、
−Rは、それぞれ、互いに独立に、任意的に置換されたアルキル(1−10C)、アルケニル(2−10C)、アルキニル(2−10C)、アリール(6−10C)、アルキルアリール(7−16C)又はアルケニルアリール(7−16C)であり、更にそれぞれ任意的に1−4ヘテロ原子(N、O又はS)を含み、該任意的置換基は=Oを含んでもよい;又は
−Rは、それぞれ、互いに独立に、ハロ、NO、SO、SO、SONH、−OH、SH又はNHであり、Rは、n=1の場合、ケトであってもよい;及び
同一の環の隣接する部位の2つの置換基は、当該被置換環と融合した3−7員飽和又は不飽和環を形成してもよく、該融合環自身も任意的に置換されかつ任意的に1又は2以上のヘテロ原子(N、O又はS)を含む;又は
とR及び/又はRとRの組合せは、フェニル基AとB及び/又はCとDの間で結合又は架橋を形成してもよい;及び
−nは、それぞれ、互いに独立に、0−4である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
、R、R及びRは、それぞれ、互いに独立に、ハロであり、又は任意的にヘテロ原子を含有し及び/又は任意的に置換されたアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はフェノキシであること
を特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
とR及び/又はRとRは1−3員の架橋を形成すること
を特徴とする請求項1又は2の方法。
【請求項4】
はCOOH又はそのアルキルエステルであること
を特徴とする請求項1〜3の何れか一の方法。
【請求項5】
−nはすべて0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の方法。
【請求項6】
−nの1つは1であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の方法。
【請求項7】
−nの1つは2であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の方法。
【請求項8】
−nの1つは3であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の方法。
【請求項9】
前記化合物は図1のP1−P50の化合物又はその塩であること
を特徴とする請求項1の方法。
【請求項10】
前記状態は疼痛であること
を特徴とする請求項1〜9の何れか一の方法。
【請求項11】
前記状態は卒中であること
を特徴とする請求項1〜9の何れか一の方法。
【請求項12】
前記状態は癲癇であること
を特徴とする請求項1〜9の何れか一の方法。
【請求項13】
前記状態は不安又は抑鬱であること
を特徴とする請求項1〜9の何れか一の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の疼痛、卒中、癲癇、不安障害、鬱病、嗜癖、胃腸障害、尿生殖器障害、心血管障害、糖尿病及び癌からなる群から選択される状態を治療する方法であって、前記状態の治療に有効な式(1)の化合物の量を、そのような治療を必要とする被検体に投与することを含む方法において、
式(1)の前記化合物は、

又はその医薬的に許容可能な塩であり、
−Rは、それぞれ、互いに独立に、任意的に置換されたアルキル(1−10C)、アルケニル(2−10C)、アルキニル(2−10C)、アリール(6−10C)、アルキルアリール(7−16C)又はアルケニルアリール(7−16C)であり、更にそれぞれ任意的に1−4ヘテロ原子(N、O又はS)を含み、該任意的置換基は=Oを含んでもよい;又は
−Rは、それぞれ、互いに独立に、ハロ、NO、SO、SO、SONH、−OH、SH又はNHであり、Rは、n=1の場合、ケトであってもよい;及び
同一の環の隣接する部位の2つの置換基は、当該被置換環と融合した3−7員飽和又は不飽和環を形成してもよく、該融合環自身も任意的に置換されかつ任意的に1又は2以上のヘテロ原子(N、O又はS)を含む;又は
とR及び/又はRとRの組合せは、フェニル基AとB及び/又はCとDの間で結合又は架橋を形成してもよい;及び
−nは、それぞれ、互いに独立に、0−4であるが、n−nの少なくとも1つは1以上であり、及びnが0の場合、環A、環B、環C及び環Dのどの2つも同一の置換を受けてはならない
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
、R、R及びRは、それぞれ、互いに独立に、ハロであり、又は任意的にヘテロ原子を含有し及び/又は任意的に置換されたアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はフェノキシであること
を特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
とR及び/又はRとRは1−3員の架橋を形成すること
を特徴とする請求項1又は2の方法。
【請求項4】
は1以上であり、かつRはCOOH又はそのアルキルエステルであること
を特徴とする請求項1〜3の何れか一の方法。
【請求項5】
は1以上であり、かつn−nの残りは0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の方法。
【請求項6】
−nの1つは1であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の方法。
【請求項7】
−nの1つは2であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の方法。
【請求項8】
−nの1つは3であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の方法。
【請求項9】
式(1)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩であって、

−Rは、それぞれ、互いに独立に、任意的に置換されたアルキル(1−10C)、アルケニル(2−10C)、アルキニル(2−10C)、アリール(6−10C)、アルキルアリール(7−16C)又はアルケニルアリール(7−16C)であり、更にそれぞれ任意的に1−4ヘテロ原子(N、O又はS)を含み、該任意的置換基は=Oを含んでもよい;又は
−Rは、それぞれ、互いに独立に、ハロ、NO、SO、SO、SONH、−OH、SH又はNHであり、Rは、n=1の場合、ケトであってもよい;及び
同一の環の隣接する部位の2つの置換基は、当該被置換環と融合した3−7員飽和又は不飽和環を形成してもよく、該融合環自身も任意的に置換されかつ任意的に1又は2以上のヘテロ原子(N、O又はS)を含む;又は
とR及び/又はRとRの組合せは、フェニル基AとB及び/又はCとDの間で結合又は架橋を形成してもよい;及び
−nは、それぞれ、互いに独立に、0−4であるが、n−nの少なくとも1つは1以上であり、及びnが0の場合、環A、環B、環C及び環Dのどの2つも同一の置換を受けてはならない
ことを特徴とする化合物。
【請求項10】
、R、R及びRは、それぞれ、互いに独立に、ハロであり、又は任意的にヘテロ原子を含有し及び/又は任意的に置換されたアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はフェノキシであること
を特徴とする請求項9の化合物。
【請求項11】
とR及び/又はRとRは1−3員の架橋を形成すること
を特徴とする請求項9又は10の化合物。
【請求項12】
は1以上であり、かつRはCOOH又はそのアルキルエステルであること
を特徴とする請求項9〜11の何れか一の化合物。
【請求項13】
は1以上であり、かつn−nの残りは0であること
を特徴とする請求項9〜12の何れか一の化合物。
【請求項14】
−nの1つは1であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項9〜12の何れか一の化合物。
【請求項15】
−nの1つは2であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項9〜12の何れか一の化合物。
【請求項16】
−nの1つは3であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項9〜12の何れか一の化合物。
【請求項17】
医薬的に許容可能な賦形剤と混合された請求項9〜16の何れか一の化合物の有効量を含有する医薬組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の疼痛、卒中、癲癇、不安障害、鬱病、嗜癖、胃腸障害、尿生殖器障害、心血管障害、糖尿病及び癌からなる群から選択される状態を治療するための薬剤を調製するための、式(1)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の使用であって、前記状態の治療に有効な式(1)の化合物の量を、そのような治療を必要とする被検体に投与することを含むものにおいて、
式(1)の前記化合物は、

であり、
−Rは、それぞれ、互いに独立に、任意的に置換されたアルキル(1−10C)、アルケニル(2−10C)、アルキニル(2−10C)、アリール(6−10C)、アルキルアリール(7−16C)又はアルケニルアリール(7−16C)であり、更にそれぞれ任意的に1−4ヘテロ原子(N、O又はS)を含み、該任意的置換基は=Oを含んでもよい;又は
−Rは、それぞれ、互いに独立に、ハロ、NO、SO、SO、SONH、−OH、SH又はNHであり、Rは、n=1の場合、ケトであってもよい;及び
同一の環の隣接する部位の2つの置換基は、当該被置換環と融合した3−7員飽和又は不飽和環を形成してもよく、該融合環自身も任意的に置換されかつ任意的に1又は2以上のヘテロ原子(N、O又はS)を含む;又は
とR及び/又はRとRの組合せは、フェニル基AとB及び/又はCとDの間で結合又は架橋を形成してもよい;
但し、
−nは、それぞれ、互いに独立に、0−4であるが、n−nの少なくとも1つは1より大きい;及び
が0の場合、環A、環B、環C及び環Dのどの2つも同一の置換を受けてはならない;及び/又は
式(1)の前記化合物は単離された立体異性体である
ことを特徴とする使用。
【請求項2】
−nは、それぞれ、互いに独立に、0−4であるが、n−nの少なくとも1つは1より大きい;及び
が0の場合、環A、環B、環C及び環Dのどの2つも同一の置換を受けてはならない;及び/又は
式(1)の前記化合物は単離された立体異性体である
ことを特徴とする請求項1の使用。
【請求項3】
、R、R及びRは、それぞれ、互いに独立に、ハロであり、又は任意的にヘテロ原子を含有し及び/又は任意的に置換されたアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はフェノキシであること
を特徴とする請求項1又は2の使用。
【請求項4】
とR及び/又はRとRは1−3員の架橋を形成すること
を特徴とする請求項1〜3の何れか一の使用。
【請求項5】
は1より大きいこと
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の使用。
【請求項6】
は、COOH若しくはそのアルキルエステルであるか又は少なくとも1つのNを含むこと
を特徴とする請求項5の使用。
【請求項7】
−nの1つは1であり、残りは0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の使用。
【請求項8】
−nの1つは2であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の使用。
【請求項9】
−nの1つは3であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一の使用。
【請求項10】
式(1)の前記化合物は、
3,3−ジフェニル−1−{4−[フェニル−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−{4−[フェニル−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−メトキシ−フェニル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3,5−ジ−タート−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
1−{4−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェニル−メチル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸;
1−{4−[(3,5−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−タート−ブチル−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2−ジフルオロメトキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2,6−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3,5−ジメトキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2,3−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−[4−(9H−キサンテン−9−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−ベンジルオキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2,4−ジメチル−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[ビス−(4−メトキシ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−{4−[フェニル−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−[4−(フェニル−p−トリル−メチル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−フルオロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−{4−[フェニル−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
1−{4−[ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−(4−メトキシ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(10,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロ−10λ−チオキサンテン−9−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−[4−(9H−チオキサンテン−9−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2,4−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3,4−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(9H−フルオレン−9−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−ベンズヒドリル−ピペラジン−1−イル)−2−(9H−フルオレン−9−イル)−エタノン;
1−ベンズヒドリル−4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−オン;
1−{4−[(2−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−ベンズヒドリル−2−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
4−ベンズヒドリル−1−(2−9H−フルオレン−9−イル−アセチル)−ピペラジン−2−カルボン酸;
4−ベンズヒドリル−1−(2−9H−フルオレン−9−イル−アセチル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸アミド;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボニトリル;
1−[4−ベンズヒドリル−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−ヒドロキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;及び
1−{4−[(2,3−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−2−ジフェニルアミノ−エタノン
からなる群から選択されること
を特徴とする請求項1の使用。
【請求項11】
式(1)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩であって、

−Rは、それぞれ、互いに独立に、任意的に置換されたアルキル(1−10C)、アルケニル(2−10C)、アルキニル(2−10C)、アリール(6−10C)、アルキルアリール(7−16C)又はアルケニルアリール(7−16C)であり、更にそれぞれ任意的に1−4ヘテロ原子(N、O又はS)を含み、該任意的置換基は=Oを含んでもよい;又は
−Rは、それぞれ、互いに独立に、ハロ、NO、SO、SO、SONH、−OH、SH又はNHであり、Rは、n=1の場合、ケトであってもよい;及び
同一の環の隣接する部位の2つの置換基は、当該被置換環と融合した3−7員飽和又は不飽和環を形成してもよく、該融合環自身も任意的に置換されかつ任意的に1又は2以上のヘテロ原子(N、O又はS)を含む;又は
とR及び/又はRとRの組合せは、フェニル基AとB及び/又はCとDの間で結合又は架橋を形成してもよい;
但し、
−nは、それぞれ、互いに独立に、0−4であるが、n−nの少なくとも1つは1より大きい;及び
が0の場合、環A、環B、環C及び環Dのどの2つも同一の置換を受けてはならない;及び/又は
式(1)の化合物は単離された立体異性体である
ことを特徴とする化合物。
【請求項12】
−nは、それぞれ、互いに独立に、0−4であるが、n−nの少なくとも1つは1より大きい;及び
が0の場合、環A、環B、環C及び環Dのどの2つも同一の置換を受けてはならない;及び/又は
式(1)の化合物は単離された立体異性体である
ことを特徴とする請求項11の化合物。
【請求項13】
、R、R及びRは、それぞれ、互いに独立に、ハロであり、又は任意的にヘテロ原子を含有し及び/又は任意的に置換されたアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、又はフェノキシであること
を特徴とする請求項11又は12の化合物。
【請求項14】
とR及び/又はRとRは1−3員の架橋を形成すること
を特徴とする請求項11〜13の何れか一の化合物。
【請求項15】
は1より大きいこと
を特徴とする請求項11〜14の何れか一の化合物。
【請求項16】
は、COOH若しくはそのアルキルエステルであるか又は少なくとも1つのNを含むこと
を特徴とする請求項15の化合物。
【請求項17】
−nの1つは1であり、残りは0であること
を特徴とする請求項11〜16の何れか一の化合物。
【請求項18】
−nの1つは2であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項11〜16の何れか一の化合物。
【請求項19】
−nの1つは3であり、それ以外は0であること
を特徴とする請求項11〜16の何れか一の化合物。
【請求項20】
3,3−ジフェニル−1−{4−[フェニル−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−{4−[フェニル−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−メトキシ−フェニル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3,5−ジ−タート−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
1−{4−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−フェニル−メチル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸;
1−{4−[(3,5−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−タート−ブチル−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2−ジフルオロメトキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2,6−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3,5−ジメトキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2,3−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−[4−(9H−キサンテン−9−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−ベンジルオキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2,4−ジメチル−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[ビス−(4−メトキシ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−{4−[フェニル−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−[4−(フェニル−p−トリル−メチル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−フルオロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−{4−[フェニル−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−プロパン−1−オン;
1−{4−[ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−(4−メトキシ−フェニル)−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(10,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロ−10λ−チオキサンテン−9−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
3,3−ジフェニル−1−[4−(9H−チオキサンテン−9−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン;
1−{4−[(2,4−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3,4−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(9H−フルオレン−9−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−[4−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−ベンズヒドリル−ピペラジン−1−イル)−2−(9H−フルオレン−9−イル)−エタノン;
1−ベンズヒドリル−4−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−オン;
1−{4−[(2−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(3−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−(4−ベンズヒドリル−2−メチル−ピペラジン−1−イル)−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
4−ベンズヒドリル−1−(2−9H−フルオレン−9−イル−アセチル)−ピペラジン−2−カルボン酸;
4−ベンズヒドリル−1−(2−9H−フルオレン−9−イル−アセチル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸エチルエステル;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボン酸アミド;
4−ベンズヒドリル−1−(3,3−ジフェニル−プロピオニル)−ピペラジン−2−カルボニトリル;
1−[4−ベンズヒドリル−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−ピペラジン−1−イル]−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−クロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;
1−{4−[(4−ヒドロキシ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−3,3−ジフェニル−プロパン−1−オン;及び
1−{4−[(2,3−ジクロロ−フェニル)−フェニル−メチル]−ピペラジン−1−イル}−2−ジフェニルアミノ−エタノン
からなる群から選択される請求項11の化合物。
【請求項21】
医薬的に許容可能な賦形剤と混合された請求項11〜20の何れか一の化合物の有効量を含有する医薬組成物。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図1−8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−522741(P2006−522741A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504104(P2006−504104)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000535
【国際公開番号】WO2004/089377
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(505257567)ニューロームド テクノロジーズ、インク. (5)
【Fターム(参考)】