説明

3軸加速度センサ

【課題】本発明は、他軸感度を発生せず、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を正確に検出できる3軸加速度センサを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の3軸加速度センサは、基板21の略中央部に設けられた錘部23と、梁状可撓部25,25′,26,26′と、歪抵抗素子Rx21,Rx22等とを備え、前記歪抵抗素子Rx21,Rx22等を形成した梁状可撓部25,25′,26,26′と錘部23との連結端部の幅寸法よりも幅寸法の小さいくびれ部27,27′,28,28′を前記梁状可撓部25,25′,26,26′内に設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車や航空機等の輸送機器や携帯端末等に搭載され、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
図6(a)は従来の加速度センサの検出素子の上面図、図6(b)は図6(a)の検出素子のX軸に平行なA−A線での断面図を示す(特許文献1参照)。
【0003】
図6(a)(b)において、1はXY平面に平行に配置されたシリコン等からなる基板であり、該基板1の底面側をエッチング処理するとともに貫通孔2を形成することにより、厚肉部からなる錘部3とそれを囲むように配された固定部4と、薄肉で該錘部3および固定部4とを接続するX軸に平行な第1、第2の梁状可撓部5,5′と、薄肉で該錘部3および固定部4とを接続するY軸に平行な第3、第4の梁状可撓部6,6′と、が形成されている。前記第1の梁状可撓部5と固定部4との連結端部には歪抵抗素子Rx1を、前記第1の梁状可撓部5と錘部3との連結端部には歪抵抗素子Rx2を形成している。また、前記第2の梁状可撓部5′と錘部との連結端部には歪抵抗素子Rx3を、前記第2の梁状可撓部5′と固定部4との連結端部には歪抵抗素子Rx4を形成している。そして、前記歪抵抗素子Rx1,Rx2,Rx3,Rx4を前記第1、第2の梁状可撓部5,5′の中心線上に配置している。同様にして、前記第3の梁状可撓部6と固定部4との連結端部には歪抵抗素子Ry1,Rz1を、前記第3の梁状可撓部6と錘部3との連結端部には歪抵抗素子Ry2,Rz2を形成している。また、前記第3の梁状可撓部6′と錘部3との連結端部には歪抵抗素子Ry3,Rz3を、前記第3の梁状可撓部6′と固定部4との連結端部には歪抵抗素子Ry4,Rz4を形成している。そして、前記歪抵抗素子Ry1,Ry2,Ry3,Ry4と前記歪抵抗素子Rz1,Rz2,Rz3,Rz4とを前記第3、第4の梁状可撓部6,6′の中心線の両側にそれぞれ1列に配置している。
【0004】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−184373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の加速度センサの検出素子においては、1つの軸方向のみに加速度が印加され錘部3にその軸方向の慣性力が働いた場合において、この軸方向の加速度の他に、他の軸方向の加速度も出力される、いわゆる他軸感度のために、加速度の検出精度が低下するという問題点があった。
【0007】
以下に、この問題点について説明する。
【0008】
図7(a)は前記第1、第2の梁状可撓部5,5′に形成した歪抵抗素子Rx1,Rx2,Rx3,Rx4により構成されるブリッジ回路である。図7(a)において、歪抵抗素子Rx1と歪抵抗素子Rx2との間に電源電圧(Vdd)が接続され、歪抵抗素子Rx3と歪抵抗素子Rx4との間にアース(Vss)が接続されて、歪抵抗素子Rx1と歪抵抗素子Rx4との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Rx2と歪抵抗素子Rx3との中点電位(V2)との差が測定される。X軸方向の加速度が印加されていない場合には、歪抵抗素子Rx1,Rx2,Rx3,Rx4は平衡する(Rx1・Rx3=Rx2・Rx4)ように構成されており、歪抵抗素子Rx1と歪抵抗素子Rx4との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Rx3と歪抵抗素子Rx4との中点電位(V2)との差は零となっている。また、図7(b)は前記第3、第4の梁状可撓部6,6′に形成した歪抵抗素子Ry1,Ry2,Ry3,Ry4により構成されるブリッジ回路である。図7(b)において、歪抵抗素子Ry1と歪抵抗素子Ry2との間に電源電圧(Vdd)が接続され、歪抵抗素子Ry3と歪抵抗素子Ry4との間にアース(Vss)が接続されて、歪抵抗素子Ry1と歪抵抗素子Ry4との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Ry2と歪抵抗素子Ry3との中点電位(V2)との差が測定される。Y軸方向の加速度が印加されていない場合には、歪抵抗素子Ry1,Ry2,Ry3,Ry4は平衡する(Ry1・Ry3=Ry2・Ry4)ように構成されており、歪抵抗素子Ry1と歪抵抗素子Ry4との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Ry2と歪抵抗素子Ry3との中点電位(V2)との差は零となっている。さらにまた、図7(c)は前記第3、第4の梁状可撓部6,6′に形成した歪抵抗素子Rz1,Rz2,Rz3,Rz4により構成されるブリッジ回路である。図7(c)においては、歪抵抗素子Rz1と歪抵抗素子Rz2との間に電源電圧(Vdd)が接続され、歪抵抗素子Rz3と歪抵抗素子Rz4との間にアース(Vss)が接続されているが、歪抵抗素子Rz1と歪抵抗素子Rz3との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Rz2と歪抵抗素子Rz4との中点電位(V2)との差が測定される点で図7(a)(b)と異なっている。Z軸方向の加速度が印加されていない場合には、歪抵抗素子Rz1,Rz2,Rz3,Rz4は平衡する(Rz1・Rz4=Rz2・Rz3)ように構成されており、歪抵抗素子Rz1と歪抵抗素子Rz3との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Rz2と歪抵抗素子Rz4との中点電位(V2)との差は零となっている。
【0009】
図8(a)は従来の加速度センサの検出素子にX軸正方向の加速度が印加された時の上面図、図8(b)は図8(a)のX軸に平行なB−B線での断面図である。図8(b)において、錘部3はX軸の正方向に向く慣性力Fxにより回動し、歪抵抗素子Rx1,Rx3には引張歪が作用して抵抗値が上昇し、歪抵抗素子Rx2,Rx4には圧縮歪が作用して抵抗値が低下する。これにより、図7(a)のブリッジ回路の平衡が破れ、歪抵抗素子Rx1と歪抵抗素子Rx4との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Rx2と歪抵抗素子Rx3との中点電位(V2)との電圧差がX軸方向の加速度として検出される。
【0010】
図8(c)は図8(a)の第4の梁状可撓部6′と錘部3との連結部近傍におけるX軸に平行なC−C線断面図、図8(d)は第4の梁状可撓部6′と固定部4との中央部近傍におけるX軸に平行なD−D線断面図、図8(e)は第4の梁状可撓部6′と固定部4との連結部近傍におけるX軸に平行なD−D線断面図ある。
【0011】
X軸の正方向への錘部3の回動に伴い、図8(c)(d)(e)に示すように、前記第4の梁状可撓部6′の断面は固定部4との連結部から錘部3との連結部までZ軸周りに連続的に回転する、すなわち前記第4の梁状可撓部6′がねじられるためRz3には引張歪が作用して抵抗値が上昇する。同様に、前記第3の梁状可撓部6もねじられるためRz2には引張歪が作用して抵抗値が上昇する。これにより、図7(c)のブリッジ回路の平衡が破れ、歪抵抗素子Rz1と歪抵抗素子Rz3との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Rz2と歪抵抗素子Rz4との中点電位(V2)との電圧差が発生するため、あたかもZ軸方向に加速度が印加されたかのような偽信号、すなわち他軸感度が発生することになる。なお、歪抵抗素子Rz1,Rz4は各々前記第3の梁状可撓部6と固定部4との連結端部、前記第3の梁状可撓部6′と固定部4との連結端部に形成されているため、前記第3、第4の梁状可撓部6,6′の捻れによる歪は実質的に作用せず、歪抵抗素子Rz1,Rz4の抵抗値は変化することはない。
【0012】
また、図8(c)に示すように、X軸の正方向への錘部3の回動に伴い、前記第3、第4の梁状可撓部6,6′が捻られるため、歪抵抗素子Ry2,Ry3には圧縮歪が作用して抵抗値が低下する。この時、図7(b)のブリッジ回路は原理的には平衡状態を維持する。すなわち、歪抵抗素子Ry2,Ry3の抵抗値がともに△%だけ低下するとすれば、
Ry1・Ry3(1-△)−Ry4・Ry2(1-△)
=(Ry1・Ry3−Ry2・Ry4)・(1−△)=0
となるため、図7(b)のブリッジ回路は平衡状態を維持し、歪抵抗素子Ry1と歪抵抗素子Ry4との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Ry2と歪抵抗素子Ry3との中点電位(V2)とは同一電位となる。これにより、X軸方向の加速度によりY軸方向の他軸感度が発生することはない。しかしながら、歪抵抗素子Ry1,Ry2,Ry3,Ry4の形成位置のバラツキやエッチング加工後に梁状可撓部に作用する残留歪等により、歪抵抗素子Ry2,Ry3の抵抗値の変化率△が異なる場合がある。この場合には、図7(b)のブリッジ回路は平衡が破れ、歪抵抗素子Ry1と歪抵抗素子Ry4との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Ry2と歪抵抗素子Ry3との中点電位(V2)との電圧差が発生するため、あたかもY軸方向に加速度が印加されたかのような偽信号、すなわち他軸感度が発生することになる。
【0013】
次に、従来の加速度センサの検出素子にY軸正方向の加速度が印加された時には、錘部3はY軸の正方向に向く慣性力Fyにより回動し、歪抵抗素子Ry2,Ry4には引張歪が作用して抵抗値が上昇し、歪抵抗素子Ry1,Ry3には圧縮歪が作用して抵抗値が低下する。これにより、図7(b)のブリッジ回路の平衡が破れ、歪抵抗素子Ry1と歪抵抗素子Ry4との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Ry2と歪抵抗素子Ry3との中点電位(V2)との電圧差がY軸方向の加速度として検出される。
【0014】
また、Y軸の正方向への錘部3の回動に伴い、前記第1、第2の梁状可撓部5,5′が捻られる。この時、歪抵抗素子Rx1,Rx2,Rx3,Rx4の形成位置が前記第1、第2の梁状可撓部5,5′の中心線上からずれていたり、エッチング加工後に梁状可撓部に残留歪が存在したりする場合には、図7(a)のブリッジ回路の平衡が破れ、歪抵抗素子Rx1と歪抵抗素子Rx4との中点電位(V1)と、歪抵抗素子Rx2と歪抵抗素子Rx3との中点電位(V2)との電圧差が発生するため、あたかもX軸方向に加速度が印加されたかのような偽信号、すなわち他軸感度が発生することになる。
【0015】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、歪抵抗素子の形成位置のバラツキやエッチング加工後に梁状可撓部に残留歪があったしても、他軸感度が発生せず、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を正確に検出できる3軸加速度センサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
【0017】
請求項1に記載の発明は、XY平面に平行に置かれた基板と、前記基板の略中央部に設けられ加速度を受けて変位する錘部と、前記錘部を取り囲むように配置した固定部と、前記錘部と固定部とを連結するX軸に平行な一対の梁状可撓部と、前記錘部と固定部とを連結するY軸に平行な一対の梁状可撓部と、前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成した歪抵抗素子とを備え、前記歪抵抗素子を形成した梁状可撓部と錘部との連結端部の幅寸法よりも幅寸法の小さいくびれ部を前記梁状可撓部内に設けたもので、この構成によれば、X軸方向またはY軸方向のいずれか1つの軸方向の加速度が印加された時、この加速度が印加された軸に直交する他の梁状可撓部上で、前記歪抵抗素子を形成した梁状可撓部と錘部との連結端部の幅寸法よりも幅寸法の小さいくびれ部が捻れるため、前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成した歪抵抗素子に引張歪または圧縮歪が作用しないようにでき、これにより、他軸感度を発生させることなく、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を正確に検出できるという作用効果を有するものである。
【0018】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、X軸およびY軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子を前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成したもので、この構成によれば、歪抵抗素子を前記梁状可撓部内でもっとも大きな歪が発生する部分に配置しているため、加速度の印加による歪抵抗素子の抵抗値の変動を大きくでき、これにより、X軸およびY軸方向の加速度感度を向上することができるため、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を正確に検出できるという作用効果を有するものである。
【0019】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、X軸およびY軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子を前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と固定部との連結端部に形成するとともに、Z軸方向の加速度を検出するための歪検出素子を前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と固定部との連結端部に形成したもので、この構成によれば、X軸方向、Y軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子を前記梁状可撓部内でZ軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子に発生する歪とほぼ同一の歪が発生する部分に配置しているため、X軸、Y軸方向およびZ軸方向の加速度感度を略同一にすることができ、これにより、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を簡便な回路構成で正確かつ安定に検出できるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明の3軸加速度センサは、XY平面に平行に置かれた基板と、前記基板の略中央部に設けられ加速度を受けて変位する錘部と、前記錘部を取り囲むように配置した固定部と、前記錘部と固定部とを連結するX軸に平行な一対の梁状可撓部と、前記錘部と固定部とを連結するY軸に平行な一対の梁状可撓部と、前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成した歪抵抗素子とを備え、前記歪抵抗素子を形成した梁状可撓部と錘部との連結端部の幅寸法よりも幅寸法の小さいくびれ部を前記梁状可撓部内に設けたもので、X軸方向またはY軸方向のいずれか1つの軸方向の加速度が印加された時、この加速度が印加された軸に直交する他の梁状可撓部上で、前記歪抵抗素子を形成した梁状可撓部と錘部との連結端部の幅寸法よりも幅寸法の小さいくびれ部が捻れるため、前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成した歪抵抗素子に引張歪または圧縮歪が作用しないようにでき、これにより、他軸感度を発生させることなく、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を正確に検出できるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における3軸加速度センサの検出素子の上面図、(b)(a)におけるE−E線断面図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における3軸加速度センサの検出素子にX軸正方向の加速度が印加された時の上面図、(b)(a)のE−E線断面図、(c)(a)のF−F線断面図、(d)(a)のG−G線断面図、(e)(a)のH−H線断面図、(f)(a)のI−I線断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態2における3軸加速度センサの検出素子の上面図、(b)(a)におけるJ−J線断面図
【図4】本発明の実施の形態2における3軸加速度センサの検出素子にX(Y)軸方向、Z軸方向に加速度が印加された時に梁状可撓部の表面に発生する歪をシミュレーションした計算結果を示す図
【図5】(a)本発明の実施の形態3における3軸加速度センサの検出素子の上面図、(b)(a)におけるK−K線断面図
【図6】(a)従来の加速度センサの検出素子の上面図、(b)図6(a)の検出素子におけるA−A線断面図
【図7】(a)前記従来の加速度センサの検出素子に形成した歪抵抗素子Rx1,Rx2,Rx3,Rx4により構成されるブリッジ回路図、(b)同検出素子に形成した歪抵抗素子Ry1,Ry2,Ry3,Ry4により構成されるブリッジ回路図、(c)同検出素子に形成した歪抵抗素子Rz1,Rz2,Rz3,Rz4により構成されるブリッジ回路図
【図8】(a)従来の加速度センサの検出素子にX軸正方向の加速度が印加された時の上面図、(b)(a)のA−A線断面図、(c)(a)のB−B線断面図、(d)(a)のC−C線断面図、(e)(a)のD−D線断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1に記載の発明について説明する。図1(a)は本発明の実施の形態1における3軸加速度センサの検出素子の上面図、図1(b)は図1(a)の検出素子におけるX軸に平行なE−E線断面図を示す。図1(a)(b)において、21はXY平面に平行に配置されたシリコン単結晶基板であり、該基板21の底面側をエッチング処理するとともに貫通孔22を形成することにより、厚肉部からなる錘部23とそれを囲むように配された固定部24と、薄肉で該錘部23および固定部24とを接続するX軸に平行な第1、第2の梁状可撓部25,25′と、薄肉で該錘部3および固定部4とを接続するY軸に平行な第3、第4の梁状可撓部26,26′とが形成されている。前記第1の梁状可撓部25と固定部24との連結端部には歪抵抗素子Rx21を、前記第1の梁状可撓部25と錘部23との連結端部には歪抵抗素子Rx22を形成している。また、前記第2の梁状可撓部25′と錘部23との連結端部には歪抵抗素子Rx23を、前記第2の梁状可撓部25′と固定部24との連結端部には歪抵抗素子Rx24を形成している。そして、前記歪抵抗素子Rx21,Rx22,Rx23,Rx24を前記第1、第2の梁状可撓部25,25′の中心線上に配置している。同様にして、前記第3の梁状可撓部26と固定部24との連結端部には歪抵抗素子Ry21,Rz21を、前記第3の梁状可撓部26と錘部23との連結端部には歪抵抗素子Ry22,Rz22を形成している。また、前記第3の梁状可撓部26′と錘部23との連結端部には歪抵抗素子Ry23,Rz23を、前記第3の梁状可撓部26′と固定部24との連結端部には歪抵抗素子Ry24,Rz24を形成している。そして、前記歪抵抗素子Ry21,Ry22,Ry23,Ry24と前記歪抵抗素子Rz21,Rz22,Rz23,Rz24とを前記第3、第4の梁状可撓部26,26′の中心線の両側にそれぞれ1列に配置している。前記歪抵抗素子としてはシリコン単結晶基板の所定の位置にホウ素等の不純物をイオン注入して形成した半導体ピエゾ抵抗または酸化亜鉛、酸化クロム、酸化ルテニウムなどを蒸着して構成した酸化物抵抗を用いることができる。また、前記各歪抵抗素子は金属配線(図示せず)により図7に示したものと同様のブリッジ回路を構成している。27は前記第1の梁状可撓部25の略中央部に設けられ、その幅方向(Y軸方向)寸法が前記歪抵抗素子Rx22を形成した領域の梁状可撓部の幅寸法よりも小さい第1のくびれ部である。また、27′は前記第2の梁状可撓部25′の略中央部に設けられ、その幅方向(Y軸方向)寸法が前記歪抵抗素子Rx23を形成した領域の梁状可撓部の幅寸法よりも小さい第2のくびれ部である。同様にして、28は前記梁状可撓部26の略中央部に設けられ、その幅方向(X軸方向)寸法が前記歪抵抗素子Ry22、Rz22を形成した領域の梁状可撓部の幅寸法よりも小さい第3のくびれ部であり、28′は前記梁状可撓部26′の略中央部に設けられ、その幅方向(X軸方向)寸法が前記歪抵抗素子Ry23、Rz23を形成した領域の梁状可撓部の幅寸法よりも小さい第4のくびれ部である。
【0023】
図2(a)は本発明の実施の形態1における3軸加速度センサの検出素子にX軸正方向の加速度が印加された時の上面図、図2(b)は図2(a)のX軸に平行なE−E線での断面図である。図2(b)において、錘部23はX軸の正方向に向く慣性力Fxにより回動し、歪抵抗素子Rx21,Rx23には引張歪が作用して抵抗値が上昇し、歪抵抗素子Rx22,Rx24には圧縮歪が作用して抵抗値が低下する。これにより、歪抵抗素子Rx21,Rx22,Rx23,Rx24で構成されるブリッジ回路の平衡が破れ、歪抵抗素子Rx21と歪抵抗素子Rx24との中点電位と、歪抵抗素子Rx22と歪抵抗素子Rx23との中点電位との電圧差がX軸方向の加速度として検出される。
【0024】
図2(c)は図2(a)の第4の梁状可撓部26′と錘部23との連結部近傍におけるX軸に平行なF−F線断面図、図2(d)は図2(a)の第4の梁状可撓部26′と第4のくびれ部28′との連結部近傍で錘部23側におけるX軸に平行なG−G線断面図、図2(e)は図2(a)の第4の梁状可撓部26′と第4のくびれ部28′との連結部近傍で固定部におけるX軸に平行なH−H線断面図、図2(f)は第4の梁状可撓部26′と固定部24との連結部近傍におけるX軸に平行なI−I線断面図である。
【0025】
図2(c)(f)に示すように錘部23のX軸の正方向への回動に伴い第4の梁状可撓部26′は錘部23との連結部においてY軸の周りに回転するが、第4の梁状可撓部26′は固定部24との連結部においてはY軸の周りに回転することはない。これにより、第4の梁状可撓部26′は錘部23と固定部24との間でねじれることになる。しかしながら、本発明の実施の形態1における3軸加速度センサの検出素子においては、第4の梁状可撓部26′の略中央部に第4のくびれ部28′を配置しているため、このねじれは第4のくびれ部28′のみに発生し、第4の梁状可撓部26′の第4のくびれ部28′と錘部23との間および第4のくびれ部28′と固定部24との間には発生することがない。そのため図2(c)(d)に示すように、第4の梁状可撓部26′は錘部23との連結部と第4のくびれ部28′との連結部との間では同一の角度だけ回転することになる。また図2(e)(f)に示すように、第4の梁状可撓部26′は固定部24との連結部と第4のくびれ部28′との連結部との間では回転しない。これにより、歪抵抗素子Rz23には引張または圧縮歪が作用せず抵抗値は変化することはない。同様に、前記第3の梁状可撓部26上の歪抵抗素子Rz22にも引張または圧縮歪が作用せず抵抗値は変化することはない。これにより、歪抵抗素子Rz21,Rz22,Rz23,Rz24で構成されるブリッジ回路は平衡状態を維持するため、他軸感度が発生することがない。
【0026】
また、図2(c)(d)に示すように、錘部23がX軸の正方向へ回動しても、前記第3、第4の梁状可撓部26,26′上に形成した歪抵抗素子Ry22,Ry23には歪が作用しないため抵抗値は変化せず、これにより歪抵抗素子Ry21,Ry22,Ry23,Ry24の形成位置のバラツキやエッチング加工後に梁状可撓部に作用する残留歪等により、歪抵抗素子Ry22,Ry23の抵抗値の変化率△が異なったとしても歪抵抗素子Ry21,Ry22,Ry23,Ry24で構成されるブリッジ回路は平衡状態を維持し、他軸感度が発生することがない。
【0027】
次に、本発明の実施の形態1における3軸加速度センサの検出素子にY軸正方向の加速度が印加された時には、錘部23はY軸の正方向に向く慣性力Fyにより回動し、歪抵抗素子Ry22,Ry24には引張歪が作用して抵抗値が上昇し、歪抵抗素子Ry21,Ry23には圧縮歪が作用して抵抗値が低下する。これにより、歪抵抗素子Ry21,Ry22,Ry23,Ry24で構成されるブリッジ回路の平衡が破れ、歪抵抗素子Ry21と歪抵抗素子Ry24との中点電位と、歪抵抗素子Ry22と歪抵抗素子Ry23との中点電位との電圧差がY軸方向の加速度として検出される。
【0028】
錘部23がY軸の正方向へ回動しても、第1、第2の梁状可撓部25,25′の略中央部には第1、第2のくびれ部27,27′が設けられているため、本発明の実施の形態1における3軸加速度センサの検出素子にY軸正方向の加速度が印加された時と同様にして、第1、第2の梁状可撓部25,25′のねじれは前記第1、第2のくびれ部27,27′のみに発生し、前記第1、第2の梁状可撓部25,25′上に形成した歪抵抗素子Rx22,Rx23には歪が作用しないため抵抗値は変化せず、これにより歪抵抗素子Rx22,Rx23の形成位置のバラツキやエッチング加工後に梁状可撓部に作用する残留歪等により、歪抵抗素子Rx22,Rx23の抵抗値の変化率△が異なったとしても歪抵抗素子Rx21,Rx22,Rx23,Rx24で構成されるブリッジ回路は平衡状態を維持し、他軸感度が発生することがない。
【0029】
このように、本発明の実施の形態1における3軸加速度センサの検出素子においては、X軸方向またはY軸方向のいずれか1つの軸方向の加速度が印加された時、この加速度が印加された軸に直交する他の梁状可撓部のねじれはこの梁状可撓部の略中央部に形成したくびれ部のみに発生し、前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成した歪抵抗素子に引張歪または圧縮歪が作用しないようにでき、これにより、他軸感度を発生させることなく、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を正確に検出できる。
【0030】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項2に記載の発明についてさらに説明する。図3(a)は本発明の実施の形態2における3軸加速度センサの検出素子の上面図、図3(b)は図3(a)におけるX軸に平行なJ−J線断面図である。なお、この本発明の実施の形態2においては、上記した本発明の実施の形態1の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。
【0031】
図3(a)において、本発明の実施の形態2が上記した本発明の実施の形態1と相違する点は、歪抵抗素子Rx21,Rx22を第1の梁状可撓部25と錘部23との連結点に梁状可撓部25の中心線に対して略対称の位置に配置し、歪抵抗素子Rx23,Rx24を第2の梁状可撓部25′と錘部23との連結点に梁状可撓部25′の中心線に対して略対称の位置に配置するとともに、歪抵抗素子Ry21,Ry22を第3の梁状可撓部26と錘部23との連結点に梁状可撓部26の中心線に対して略対称の位置に配置し、歪抵抗素子Ry23,Ry24を第4の梁状可撓部26′と錘部23との連結点に梁状可撓部26′の中心線に対して略対称の位置に配置し、さらに歪抵抗素子Rz21,Rz22,Rz23,Rz24をそれぞれ第1、第2、第3、第4の梁状可撓部25,25′,26,26′と固定部24との連結部に配置し、さらにまた前記歪抵抗素子Rz21,Rz22,Rz23,Rz24をすべてX軸方向に並行させた点である。
【0032】
本発明の実施の形態2における3軸加速度センサにおいては、本発明の実施の形態1における3軸加速度センサと同様に他軸感度を発生させることがないとともに、さらにX軸およびY軸方向の加速度感度を向上することができ、これにより、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を正確に検出できるものである。
【0033】
以下に、この点について説明する。
【0034】
図3(a)に示す本発明の実施の形態2において、X軸正方向の加速度が印加された時、本発明の実施の形態1における3軸加速度センサの検出素子の場合と同様にして、錘部23のX軸の正方向への回動に伴い第3、第4の梁状可撓部26,26′は錘部23との連結部においてY軸の周りに回転するが、第4の梁状可撓部26,26′は固定部24との連結部においてはX軸の周りに回転することはない。これにより、第3、第4の梁状可撓部26,26′は錘部23と固定部24との間でねじれることになる。しかしながら、本発明の実施の形態2における3軸加速度センサの検出素子においては、第3、第4の梁状可撓部26,26′の略中央部に第3、第4のくびれ部28,28′を配置しているため、このねじれは第3、第4のくびれ部28,28′のみに発生し、第3、第4のくびれ部28,28′と錘部23との間および第3、第4のくびれ部28,28′と固定部24との間には発生することがない。そのため歪抵抗素子Ry21,Ry22,Ry23,Ry24には引張または圧縮歪が作用せず抵抗値は変化することはない。これにより、歪抵抗素子Ry21,Ry22,Ry23,Ry24で構成されるブリッジ回路は平衡状態を維持するため、他軸感度が発生することがない。
【0035】
次に、図3(a)に示す本発明の実施の形態2において、Y軸正方向の加速度が印加された時、錘部23がY軸の正方向への回動に伴い、第1、第2の梁状可撓部25,25′は錘部23との連結部においてX軸周りに回転するが、固定部24との連結部においてはX軸の周りに回転することはない。これにより、第1、第2の梁状可撓部25,25′は錘部23と固定部24との間でねじれることになる。しかしながら、本発明の実施の形態2における3軸加速度センサの検出素子においては、第1、第2の梁状可撓部25,25′の略中央部に第1、第2のくびれ部27,27′を配置しているため、このねじれは第1、第2のくびれ部27,27′のみに発生し、第1、第2のくびれ部27,27′と錘部23との間および第1、第2のくびれ部27,27′と固定部24との間には発生することがない。そのため歪抵抗素子Rx21,Rx22,Rx23,Rx24には引張または圧縮歪が作用せず抵抗値は変化することはない。これにより、歪抵抗素子Rx21,Rx22,Rx23,Rx24で構成されるブリッジ回路は平衡状態を維持するため、他軸感度が発生することがない。
【0036】
図4は図3(a)に示す本発明の実施の形態2における3軸加速度センサの検出素子にX(Y)軸方向、Z軸方向に加速度が印加された時に梁状可撓部の表面に発生する歪をシミュレーションした計算結果である。このシミュレーションは、錘部と固定部の厚みが525.25μm、錘部の1辺の長さが170μm、梁状可撓部の厚み、長さが各々5.25μm、365μm、固定部外形の1辺の長さが1800μmであるシリコンからなる3軸加速度センサの検出素子について実施したものである。図4において、横軸は前記梁状可撓部上で前記検出素子の中心からの距離を採り、縦軸は梁状可撓部の表面に発生する歪(ε)を採っている。そして、実線は錘部にX(Y)軸方向に1Gの加速度が印加された時に、X(Y)軸方向に伸びる梁状可撓部の表面に発生する歪を示し、点線はZ軸方向に1Gの加速度が印加された時に、X(Y)軸方向に伸びる梁状可撓部の表面に発生する歪を示す。
【0037】
このグラフから、梁状可撓部の表面に発生する歪は梁状可撓部と錘部との連結部または梁状可撓部と固定部との連結部近傍で極大となること、X(Y)軸方向に加速度が印加された時に梁状可撓部と錘部との連結部近傍に発生する歪は梁状可撓部と固定部との連結部近傍に発生する歪の約1.75倍であること、Z軸方向に加速度が印加された時に梁状可撓部と錘部との連結部近傍に発生する歪は梁状可撓部と固定部との連結部近傍に発生する歪と同一であり、X(Y)軸方向に加速度が印加された時に梁状可撓部と固定部との連結部近傍に発生する歪とほぼ等しいことが分かる。このシミュレーション結果から、X(Y)軸方向の加速度を検出する歪検出素子を梁状可撓部と錘部との連結部近傍に配置することによりX軸およびY軸方向の加速度感度を向上することができることが分かる。一方、Z軸方向の加速度を検出する歪検出素子は梁状可撓部と固定部との連結部近傍または梁状可撓部と錘部との連結部近傍のいずれに配置しても良いが、本発明の実施の形態2における3軸加速度センサの検出素子においては、X(Y)軸方向の加速度を検出する歪検出素子を梁状可撓部と錘部との連結部近傍に配置しており、さらにZ軸方向の加速度を検出する歪検出素子を形成するスペース的な余裕がないため、梁状可撓部と固定部との連結部近傍に配置することが望ましい。但し、Z軸方向の加速度を検出する歪検出素子を梁状可撓部と固定部との連結部近傍に配置する場合には、Z軸方向の加速度が印加された時2つの歪検出素子には引張歪が、他の2つの歪検出素子に圧縮歪が印加されるように梁状可撓部に歪検出素子を配置する必要がある。図3に示した本発明の実施の形態2における3軸加速度センサの検出素子においては、Z軸下方向の加速度が印加された時、歪抵抗素子Rz21,Rz23に引張歪が、歪抵抗素子Rz22,Rz24に圧縮歪が印加されるように、歪抵抗素子Rz21,Rz22,Rz23,Rz24をすべてX軸に並行するように形成している。
【0038】
このように、本発明の実施の形態2における3軸加速度センサの検出素子においては、X軸方向またはY軸方向のいずれか1つの軸方向の加速度が印加された時、この加速度が印加された軸に直交する他の梁状可撓部のねじれはこの梁状可撓部の略中央部に形成したくびれ部のみに発生し、前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成した歪抵抗素子に引張歪または圧縮歪が作用しないようにでき、これにより、他軸感度を発生させることがなく、さらにX軸およびY軸方向の加速度感度を向上することができ、これにより、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を正確に検出できるものである。
【0039】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明についてさらに説明する。図5(a)は本発明の実施の形態3における3軸加速度センサの検出素子の上面図、図5(b)は図5(a)におけるX軸に平行なK−K線断面図である。なお、この本発明の実施の形態3においては、上記した本発明の実施の形態1の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。
【0040】
図5(a)において、本発明の実施の形態3が上記した本発明の実施の形態1と相違する点は、歪抵抗素子Rx21,Rx22を第1の梁状可撓部25と固定部24との連結点に梁状可撓部25の中心線に対して略対称の位置に配置し、歪抵抗素子Rx23,Rx24を第2の梁状可撓部25′と固定部24との連結点に梁状可撓部25′の中心線に対して略対称の位置に配置するとともに、歪抵抗素子Ry21,Ry22を第3の梁状可撓部26と固定部24との連結点に梁状可撓部26の中心線に対して略対称の位置に配置し、歪抵抗素子Ry23,Ry24を第4の梁状可撓部26′と固定部24との連結点に梁状可撓部26′の中心線に対して略対称の位置に配置し、さらに歪抵抗素子Rz21,Rz22,Rz23,Rz24をそれぞれ第1、第2、第3、第4の梁状可撓部25,25′,26,26′と錘部23との連結部に配置し、さらにまた前記歪抵抗素子Rz21,Rz22,Rz23,Rz24をすべてX軸方向に並行させた点である。
【0041】
本発明の実施の形態3における3軸加速度センサにおいては、本発明の実施の形態1,2における3軸加速度センサと同様に他軸感度を発生させることがないとともに、さらにX軸、Y軸方向およびZ軸方向の加速度感度を略同一にすることができ、これにより、信号処理回路の回路構成を簡略化することにより、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を簡便な回路構成で正確かつ安定に検出できるものである。
【0042】
以下に、この点について説明する。
【0043】
一般に、歪抵抗素子からなるブリッジ回路から得られる出力電圧は数mV程度であるため、その出力を増幅するアンプが必要となる。この時、加速度センサの検出素子のX軸、Y軸方向およびZ軸方向の加速度感度に差があると、その出力を増幅するためのアンプの増幅率を軸方向に応じて変えなければならず、その分だけ回路構成が複雑化することになり、特に携帯端末等の民生用の機器においては製造コスト面での課題となる。本発明の実施の形態3における3軸加速度センサの検出素子においては、図5(a)に示すように、X軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子Rx21,Rx22,Rx23,Rx24と、Y軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子Ry21,Ry22,Ry23,Ry24をすべて梁状可撓部25,25′,26,26′と固定部24との連結部近傍に配置することにより、X軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子Rx21,Rx22,Rx23,Rx24と、Y軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子Ry21,Ry22,Ry23,Ry24とに印加される歪をZ軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子Rz21,Rz22,Rz23,Rz24に印加される歪とをほぼ同一の値にすることにより、検出素子のX軸、Y軸方向およびZ軸方向の加速度感度を略同一にして前記課題を解決するものである。一方、Z軸方向の加速度を検出する歪検出素子は梁状可撓部と錘部との連結部近傍に配置している。但し、Z軸方向の加速度を検出する歪検出素子を梁状可撓部と固定部との連結部近傍に配置する場合には、Z軸方向の加速度が印加された時2つの歪検出素子には引張歪が、他の2つの歪検出素子に圧縮歪が印加されるように梁状可撓部に歪検出素子を配置する必要がある。図5に示した本発明の実施の形態3における3軸加速度センサの検出素子においては、Z軸下方向の加速度が印加された時、歪抵抗素子Rz21,Rz23に圧縮歪が、歪抵抗素子Rz22,Rz24に引張歪が印加されるように、歪抵抗素子Rz21,Rz22,Rz23,Rz24をすべてX軸に並行するように形成している。
【0044】
このように、本発明の実施の形態3における3軸加速度センサにおいては、本発明の実施の形態1,2における3軸加速度センサと同様に他軸感度を発生させることがないとともに、さらにX軸、Y軸方向およびZ軸方向の加速度感度を略同一にすることができ、これにより、X軸、Y軸方向およびZ軸方向の加速度感度差に応じてアンプの増幅率を変更する必要がなく、たとえば単一のアンプを用いてX軸、Y軸方向およびZ軸方向の加速度を時分割で処理することで、信号処理回路の回路規模を小さくすることができ、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を簡便な回路構成で正確かつ安定に検出できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る3軸加速度センサは、XY平面に平行に置かれた基板と、前記基板の略中央部に設けられ加速度を受けて変位する錘部と、前記錘部を取り囲むように配置した固定部と、前記錘部と固定部とを連結するX軸に平行な一対の梁状可撓部と、前記錘部と固定部とを連結するY軸に平行な一対の梁状可撓部と、前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成した歪抵抗素子とを備え、前記歪抵抗素子を形成した梁状可撓部と錘部との連結端部の幅寸法よりも幅寸法の小さいくびれ部を前記梁状可撓部内に設けたもので、X軸方向またはY軸方向のいずれか1つの軸方向の加速度が印加された時、この加速度が印加された軸に直交する他の梁状可撓部上で、前記歪抵抗素子を形成した梁状可撓部と錘部との連結端部の幅寸法よりも幅寸法の小さいくびれ部が捻れるため、前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成した歪抵抗素子に引張歪または圧縮歪が作用しないようにでき、これにより、他軸感度を発生させることなく、X軸、Y軸、Z軸からなる3軸方向の加速度を正確に検出できるという効果を有するものであり、ために、特に、自動車や航空機等の輸送機器や携帯端末等に用いてこれらの機器に働く互いに直交するX軸、Y軸、Z軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサとして有用なものである。
【符号の説明】
【0046】
21 基板
23 錘部
24 固定部
25,25′,26,26′ 梁状可撓部
Rx21〜Rx24,Ry21〜Ry24,Rz21〜Rz24 歪抵抗素子
27,27′,28,28′ くびれ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
XY平面に平行に置かれた基板と、前記基板の略中央部に設けられ加速度を受けて変位する錘部と、前記錘部を取り囲むように配置した固定部と、前記錘部と固定部とを連結するX軸に平行な一対の梁状可撓部と、前記錘部と固定部とを連結するY軸に平行な一対の梁状可撓部と、前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成した歪抵抗素子とを備え、前記歪抵抗素子を形成した梁状可撓部と錘部との連結端部の幅寸法よりも幅寸法の小さいくびれ部を前記梁状可撓部内に設けた3軸加速度センサ。
【請求項2】
X軸およびY軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子を前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と錘部との連結端部に形成したことを特徴とする請求項1記載の3軸加速度センサ。
【請求項3】
X軸およびY軸方向の加速度を検出するための歪抵抗素子を前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と固定部との連結端部に形成するとともに、Z軸方向の加速度を検出するための歪検出素子を前記梁状可撓部上でかつ前記梁状可撓部と固定部との連結端部に形成したことを特徴とする請求項1記載の3軸加速度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257209(P2011−257209A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130715(P2010−130715)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】