説明

4次元ラベリング装置、N次元ラベリング装置、4次元空間フィルタ装置およびN次元空間フィルタ装置

【課題】時間的に変化する3次元画像からなる4次元画像またはN(≧4)種の独立なパラメータを基底とするN次元画像に対して、4次元連続領域またはN次元連続領域を検出する。また、4次元空間フィルタまたはN次元空間フィルタを重畳し、画質を変換する。
【解決手段】4次元画像を4次元走査する際またはN次元画像をN次元走査する際に、走査中の注目画素を中心に3次元空間または「N−1」次元空間での連続性を見ると同時に時間軸またはN次元軸での連続性を見て、連続している4次元領域またはN次元領域には同一のラベル番号を付ける。また、走査中の注目画素の値および近傍局所領域の値との関係で定まる処理に基づいて注目画素の値を変換する。
【効果】4次元ラベリングまたはN次元ラベリングが実現できる。また、所望の画質変換を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4次元ラベリング装置、N次元ラベリング装置、4次元空間フィルタ装置およびN次元空間フィルタ装置に関する。更に詳しくは、時系列に並んだ3次元画像からなる4次元画像に対してラベリング処理を行う4次元ラベリング装置、N(≧4)種のパラメータを基底とするN次元画像に対してラベリング処理を行うN次元ラベリング装置、時系列に並んだ3次元画像からなる4次元画像に対して空間フィルタ処理を行う4次元空間フィルタ装置およびN(≧4)種のパラメータを基底とするN次元画像に対して空間フィルタ処理を行うN次元空間フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に2次元の画像処理技術において、ラベリング処理という技術がある。画像処理においてラベリング処理とは、2値画像(カラー画像及び濃淡画像の場合、公知の方法により2値化した画像を用いればよい)上の連結領域に走査順に番号(ラベル番号または領域番号)を付ける処理をいう。番号は画像データとして記憶され、この画像をラベル画像という(非特許文献1参照)。
【0003】
図31に、2次元のラベリング処理の概要を示す。
図31の(a)において、101は、連続画像領域102,103,104を含む2値画像である。画像領域102,103,104内の画素値は「1」であり、その他の領域の画素値は「0」である。
図31の(b)に、2値画像101に対してラベリング処理(領域番号付処理)を施した結果(ラベリング情報)を示す。連続画像領域102,103,104には、ラベル番号「1」,「2」,「3」が付けられ、各々の連続画像領域102,103,104を所望の処理に応じて独立に扱うことが出来る。なお、2値化の際の「0」以外の値は、本明細書では「1」としているが、「255」でも他の数字でもよい。本明細書では「1」を用いるが、普遍性を失うものではない。
【0004】
図32に示す画像例を用いて、具体的な2次元ラベリング処理について説明する。
図32の(a)において、200は、画素値が「1」である画素201,202,203,204から成る画素群と、同じく画素値が「1」の画素205,206,207から成る画素群とを含む2値画像である。他の画素の画素値は「0」である。
2値画像200に対してラスター走査(まずx軸方向に走査し、順次y軸方向に移動してx軸方向に走査する)を行う。ここでは、2値画像200の左上端からx軸方向に走査し、右端まで走査したらy軸方向に次の行に移動して同じようにx軸方向に走査を行う。
【0005】
画素値が「1」である画素を検出すると、その検出された画素を注目画素とする2次元のラベリング近傍マスク内で画素値が「1」である画素(例えば8近傍の画素)を検索する。そして2次元のラベリング近傍マスク内で画素値が「1」である画素に既に付けられたラベル番号を基に注目画素にラベル番号を付ける。
【0006】
図32の(a)に示した例では、まず画素201が検出される。この画素201については2次元のラベリング近傍マスク内で画素値が「1」である画素はない。この場合、それまでに付けたラベル番号に「1」を加算した番号を付ける。ところが、画素201は最初に検出された画素なので、それまでに付けたラベル番号はない。そこで、画素201のラベル番号を「1」とする。
次に画素202が検出される。画素202については2次元のラベリング近傍マスク内で画素値が「1」である画素201があり、そのラベル番号が「1」なので、ラベル番号を「1」とする。
次に画素203が検出される。画素203については2次元のラベリング近傍マスク内で画素値が「1」である画素201,202があり、それらのラベル番号が「1」なので、ラベル番号を「1」とする。
同様に、画素204のラベル番号を「1」とする。
【0007】
次に画素205が検出される。この画素205については2次元のラベリング近傍マスク内で画素値が「1」である画素はない。そこで、それまでに付けたラベル番号「1」に「1」を加算した値「2」をラベル番号とする。
次に画素206が検出される。画素206については2次元のラベリング近傍マスク内で画素値が「1」である画素205があり、そのラベル番号が「2」なので、ラベル番号を「2」とする。
同様に、画素207のラベル番号を「2」とする。
【0008】
図32の(b)に、図32の(a)に示した画像200に対してラベリング処理を施した結果を示す。図32の(b)から分かるとおり、画素値「1」の連続領域内の画素には全て同じラベル番号が付けられると共に、連続していない画像領域には各々異なるラベル番号が付けられることになる。
【0009】
なお、注目画素の画素値が「1」であってラベリング近傍マスク内に画素値が「1」である画素が複数ありそれらに付けられたラベル番号が異なる場合、それらのラベル番号のうち最小のラベル番号を注目画素のラベル番号とする。そして、「それらのラベル番号が接続していること」をテーブルに記憶しておく。このテーブルは、接続しているラベル番号を1つのラベル番号に変換するリ・ラベリング(再番号付)処理の際に用いられる。
【0010】
図33の(a)に8近傍の2次元ラベリング近傍マスク、(b)に4近傍の2次元ラベリング近傍マスクを示す。
【0011】
次に図34を用いて、上述の2次元のラベリング処理を3次元2値画像に適用した場合について説明する。
図34の(a)において、3次元画像300は、3次元配置された画素値「0」または「1」の画素の集合であり、3次元2値画像である。3次元画像300内には、3次元配置された画素値が「1」の画素群から成る3次元画像領域301と、同じく3次元配置された画素値が「1」の画素群から成る3次元画像領域302とが含まれている。3次元画像領域301,302以外の画素の画素値は「0」である。
3次元画像300は、例えばX線CTシステムやMRI装置などにより得られた3次元画像を、ある閾値範囲で2値化した又はある決められた処理で2値化した3次元画像に相当する。
【0012】
まず図34の(a)に示した3次元画像300をz軸方向に垂直な平面(x−y平面)でz軸方向に1平面ごと読み出し、図34の(b)〜(f)に示す2次元画像300b〜300fを得る。2次元画像領域301b〜301fおよび303c〜303dは、3次元画像領域301に対応する2次元画像領域である。2次元画像領域302b〜302fは、3次元画像領域302に対応する2次元画像領域である。
【0013】
次に、各2次元画像300b〜300fに対して上述の2次元のラベリング処理を施す。このラベリング処理では、例えば2次元画像領域301cと301dは、共に3次元画像領域301の部分ではあるが、同じラベル番号が付けられるわけではない。そこで、同じ3次元画像領域に含まれる2次元画像領域を各2次元画像間で関連づける処理が必要となる。これは、各2次元画像領域のz軸方向の接続関係を調べて、各2次元画像領域の2次元画像間での接続関係を持たせることで実現できる。
【0014】
3次元画像に対してラベリング処理を行う3次元ラベリング装置であって、注目画素を含む平面、およびこの平面に隣接する平面に渡る注目画素の近傍画素群を参照する3次元ラベリング近傍マスクと、この3次元ラベリング近傍マスクを用いて3次元画像を3次元走査し、その走査の際、各注目画素において3次元ラベリング近傍マスクに含まれる画素の画素値とラベル番号とに基づいて注目画素にラベル番号を付けるラベリング手段と、リ・ラベリング手段とを備える3次元ラベリング装置が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0015】
上記のラベリング手段は、各注目画素における近傍マスク内でラベル番号付けされた画素の数が複数の場合は、複数の画素が接続していることを示す接続情報を記録しておく。
そして、この接続情報に基づいて、上記のリ・ラベリング手段は、接続している異なる複数のラベル番号の領域を1つのラベル番号に統一するリ・ラベリング処理を行う。
【0016】
図35に、26近傍の3次元ラベリング近傍マスクを示す。
【0017】
図36に、3次元画像を構成する2次元画像601a,601b,601cと、3次元ラベリング近傍マスクを構成する2次元ラベリング近傍マスク602,603を示す。
この3次元ラベリング近傍マスクを用いて、x,y,z軸の順に座標値の小さな方から大きな方へ順次走査することで、3次元走査が行われる。
【0018】
図36では、3次元走査は601a平面から始まるが、601a平面のz軸方向上部には平面がないので、次のいずれかの処理を行う。
(1)601a平面の全画素にラベル番号「0」を付ける。
(2)601a平面の全画素にはラベル番号を付けず、元の画素値のままにしておく。
(3)601a平面のz軸方向上部に全画素の画素値が「0」の平面があるとして次に説明する601b平面以下と同様の処理を行う。
【0019】
次に、601b平面上では、まず注目画素603aの走査をx軸方向に1−1のように進め、次にy軸方向に行を移してx軸方向に1−2のように走査を進め、同様に1−3のように走査を進める。601b平面が終わったらz軸方向に平面を移し、601c平面上で注目画素603aの走査を2−1,2−2,2−3のように進める。このように走査を進めながら注目画素603aの画素値が「1」である画素、つまり領域が存在する画素を探索し、最初に見つかった画素のラベル番号「1」とする。以後、画素値が「1」の画素が見つかれば2次元ラベリング近傍マスク602,603内で付与済みのラベル番号を参照し、付与済みのラベル番号がなければ既に付与したラベル番号の最大値に「1」を加えた番号をその画素のラベル番号とし、付与済みのラベル番号があれば例えばその中で最も小さいラベル番号をその画素のラベル番号とする。
【0020】
なお、図37に示す18近傍の3次元ラベリング近傍マスクや図38に示す6近傍の3次元ラベリング近傍マスクを用いてもよい。
【0021】
他方、X線CT,MRI−CT,3次元シミュレーションデータなど3次元マトリックス構造の3次元画像中の注目画素およびこの注目画素の近傍局所領域データに対して所望の3次元空間フィルタ処理演算を施し、3次元空間フィルタ処理結果を得る3次元空間フィルタリング回路及びその方法が知られている(特許文献3参照)。
例えば、3次元画像g(x,y,z)を、z軸方向に2次元画像(xy平面)を積み上げたものとして、N×M×L(ただし、N,M,Lは奇数とする)の3次元空間フィルタM(n,m,l)を重畳する場合は、N×Mの2次元空間フィルタをxy平面の2次元画像にL種類分重畳する。つまり、注目画素がz座標z=z0+(L−1)/2にあるとすると、3次元画像g(x,y,z)をg(x,y,z0),g(x,y,z0+1),g(x,y,z0+2),…,g(x,y,z0+L−1)に分解する。同様に3次元空間フィルタM(n,m,l)もM(n,m,1),M(n,m,2),M(n,m,3),M(n,m,4),…,M(n,m,L)に分解する。そしてこれらを各々重畳する。
g(x,y,z0)*M(n,m,1)=g’(x,y,z0)
g(x,y,z0+1)*M(n,m,2)=g’(x,y,z0+1)
g(x,y,z0+2)*M(n,m,3)=g’(x,y,z0+2)
g(x,y,z0+3)*M(n,m,4)=g’(x,y,z0+3)

g(x,y,z0+L−1)*M(n,m,L)=g’(x,y,z0+L−1)
これらより得られたg’(x,y,z0),g’(x,y,z0+1),g’(x,y,z0+2),g’(x,y,z0+3),…,g’(x,y,z0+L−1)の和g”(x,y,z0)を更に求めると、これが注目画素(x,y,z0+(L−1)/2)での3次元フィルタ重畳結果となる。
【0022】
図39の(a)に8近傍の2次元空間フィルタ近傍局所領域を示し、(b)に24近傍の2次元空間フィルタ近傍局所領域を示す。
図40に26近傍の3次元空間フィルタ近傍局所領域を示し、図41に124近傍の3次元空間フィルタ近傍局所領域を示す。
【0023】
【非特許文献1】田中弘著「画像処理応用技術」工業調査会、第59頁−第60頁
【特許文献1】特開平01−88689号公報
【特許文献2】特開2003-141548号公報
【特許文献3】特開平01-222383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかし、従来のラベリング処理は2次元画像および3次元画像を対象としており、時系列な3次元画像つまり4次元画像や4次元以上の画像に適用する場合は考慮されていなかった。
【0025】
同様に、従来のフィルタ処理は、4次元画像や4次元以上の画像に適用する場合は考慮されていなかった。
【0026】
そこで、本発明の目的は、4次元画像または4次元以上のN次元画像に対して4次元またはN次元ラベリング処理を効率的に簡単に短時間で行う4次元ラベリング装置およびN次元ラベリング装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、演算時間を短縮でき、4次元空間フィルタ処理またはN次元空間処理の次元、フィルタサイズ、画像サイズなどの変更に柔軟に対応できる4次元空間フィルタ装置およびN次元空間フィルタ装置を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、4次元空間フィルタ処理またはN次元空間フィルタ処理を4次元ラベリング処理またはN次元ラベリング処理と組合せることにより、効果的な4次元ラベリング処理またはN次元ラベリング処理を行う4次元ラベリング装置およびN次元ラベリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
第1の観点では、本発明は、時系列に並んだ3次元画像からなる4次元画像、または4種のパラメータを基底とする4次元画像に対してラベリング処理を行う4次元ラベリング装置であって、4次元領域を4次元走査する際の注目画素のラベル番号を4次元形状の近傍領域のラベル番号より定める4次元ラベリング手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置を提供する。
上記第1の観点による4次元ラベリング装置では、4次元領域を4次元走査する(4次元の各々の軸に沿って順に走査する)際に、走査中の注目画素を中心に3次元空間x,y,z軸方向に連続性を見ると同時に、時間軸tも含めた4次元空間内での連続性をも見て、連続している4次元領域には同一のラベルである番号または名前を付ける。これにより、4次元ラベリングを実現できる。
【0028】
第2の観点では、本発明は、時系列に並んだ「N−1」次元画像からなるN次元画像、またはN種(N≧4)のパラメータを基底とするN次元画像に対してラベリング処理を行うN次元ラベリング装置であって、N次元領域をN次元走査する際の注目画素のラベル番号をN次元形状の近傍領域のラベル番号より定めるN次元ラベリング手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置を提供する。
上記第2の観点によるN次元ラベリング装置では、4種以上のN種の独立なパラメータを基底としたN次元画像に対してN次元空間内で連続性を見て、連続した領域には同一のラベルである番号または名前を付ける。これにより、N次元ラベリングを実現できる。
【0029】
第3の観点では、本発明は、時系列に並んだ3次元画像からなる4次元画像、または4種のパラメータを基底とする4次元画像に対して4次元空間フィルタ処理を行う4次元空間フィルタ装置であって、4次元画像内の4次元走査において、各注目画素の近傍局所領域の値とその注目画素の値で定まる処理を行なうか又は4次元空間フィルタを重畳する4次元空間フィルタ手段を持つことを特徴とする4次元空間フィルタ装置を提供する。
上記第3の観点による4次元空間フィルタ装置では、4次元領域を4次元走査する際に、走査中の注目画素を中心に3次元空間x,y,z軸方向の近傍局所領域を見ると同時に、時間軸tも含めた4次元空間内での近傍局所領域を見て、その注目画素および近傍局所領域画素の画素値に応じた画素値変換処理を行う、または、4次元空間フィルタを重畳する。これにより、4次元空間フィルタを実現できる。
【0030】
第4の観点では、本発明は、時間列に並んだ「N−1」次元画像からなるN次元画像、またはN種のパラメータを基底とするN次元画像に対してN次元空間フィルタ処理を行うN次元空間フィルタ装置であって、N次元画像内のN次元走査において、各注目画素の近傍局所領域の値とその注目画素の値で定まる処理を行なうか又はN次元空間フィルタを重畳するN次元空間フィルタ手段を持つことを特徴とするN次元空間フィルタ装置を提供する。
上記第4の観点によるN次元空間フィルタ装置では、4種以上のN種の独立なパラメータを基底としたN次元画像に対してN次元空間内での近傍局所領域を見て、その注目画素および近傍局所領域画素の画素値に応じた画素値変換処理を行う、または、N次元空間フィルタを重畳する。これにより、N次元空間フィルタを実現できる。
【0031】
第5の観点では、本発明は、上記第3の観点による4次元空間フィルタ装置において、ノイズ改善処理、コントラスト強調処理、平滑化処理、輪郭強調処理、デコンボリューション処理、最大値フィルタ処理、中間値フィルタ処理、最小値フィルタ処理などの処理を行いうる処理手段を持つことを特徴とする4次元空間フィルタ装置を提供する。
上記第5の観点による4次元フィルタ装置では、フィルタの係数を変えることによりノイズ改善処理、コントラスト強調処理などの様々な処理を行うことが出来る。
【0032】
第6の観点では、本発明は、上記第4の観点によるN次元空間フィルタ装置において、ノイズ改善処理、コントラスト強調処理、平滑化処理、輪郭強調処理、デコンボリューション処理、最大値フィルタ処理、中間値フィルタ処理、最小値フィルタ処理などの処理を行いうる処理手段を持つことを特徴とするN次元空間フィルタ装置を提供する。
上記第6の観点によるN次元フィルタ装置では、フィルタの係数を変えることによりノイズ改善処理、コントラスト強調処理などの様々な処理を行うことが出来る。
【0033】
第7の観点では、本発明は、時系列に並んだ3次元画像からなる4次元画像に対してラベリング処理を行う4次元ラベリング装置であって、時系列に並んだ3次元画像を入力する画像入力手段と、時系列に入力された3次元画像からなる4次元画像に3次元画像フィルタを時系列にかけるか又は4次元画像フィルタをかける画像フィルタ手段と、前記フィルタをかけた画像を2値化する画像2値化手段と、2値化された4次元領域を4次元走査する際の注目画素のラベル番号を4次元形状の近傍領域のラベル番号より定める4次元ラベリング手段とを持つことを特徴とする4次元ラベリング装置を提供する。
上記第7の観点による4次元ラベリング装置では、4次元画像を入力し3次元画像フィルタを時系列にかけるか又は4次元画像フィルタをかけて4次元画像の画質を所望のものとした上で2値化を行い4次元ラベリングを行うため、より精度のよい4次元ラベリング処理を行える。
【0034】
第8の観点では、本発明は、上記第7の観点による4次元ラベリング装置において、ノイズ除去・SN比改善を目的とした4次元画像フィルタをかけるための4次元画像フィルタ手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置を提供する。
上記第8の観点による4次元ラベリング装置では、4次元画像フィルタによりノイズ除去・SN比改善を行うため、SN比の低い画像でも精度のよい4次元ラベリング処理を行える。
【0035】
第9の観点では、本発明は、上記第7の観点による4次元ラベリング装置において、コントラスト強調を目的とした4次元画像フィルタをかけるための4次元画像フィルタ手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置を提供する。
上記第9の観点による4次元ラベリング装置では、4次元画像フィルタによりコントラスト強調を行うため、低コントラストの4次元画像でも精度のよい4次元ラベリング処理を行える。
【0036】
第10の観点では、本発明は、N種(N≧4)のパラメータを基底とするN次元画像に対してラベリング処理を行うN次元ラベリング装置であって、時系列に並んだ「N−1」次元画像を入力する画像入力手段と、時系列に入力された「N−1」次元画像からなるN次元画像にN次元画像フィルタをかけるN次元画像フィルタ手段と、N次元画像フィルタをかけた画像を2値化する画像2値化手段と、2値化されたN次元領域をN次元走査する際の注目画素のラベル番号を、N次元形状の近傍領域のラベル番号より定めるN次元ラベリング手段とを持つことを特徴とするN次元ラベリング装置を提供する。
上記第10の観点によるN次元ラベリング装置では、N次元画像を入力しN次元画像フィルタをかけてN次元画像の画質を所望のものとした上で2値化を行いN次元ラベリングを行うため、より精度のよいN次元ラベリング処理を行える。
【0037】
第11の観点では、本発明は、上記第10の観点によるN次元ラベリング装置において、ノイズ除去・SN比改善を目的としたN次元画像フィルタをかけるためのN次元画像フィルタ手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置を提供する。
上記第11の観点によるN次元ラベリング装置では、N次元画像フィルタによりノイズ除去・SN比改善を行うため、SN比の低い画像でも精度のよいN次元ラベリング処理を行える。
【0038】
第12の観点では、本発明は、上記第10の観点によるN次元ラベリング装置において、コントラスト強調を目的としたN次元画像フィルタをかけるためのN次元画像フィルタ手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置を提供する。
上記第12の観点によるN次元ラベリング装置では、N次元画像フィルタによりコントラスト強調を行うため、低コントラストのN次元画像でも精度のよいN次元ラベリング処理を行える。
【0039】
第13の観点では、本発明は、上記第1または上記第7から上記第9のいずれかの観点による4次元ラベリング装置において、4次元走査における注目画素のラベル番号を、4次元形状の近傍領域の近傍マスク内のラベル番号より定める4次元ラベリング手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置を提供する。
上記第13の観点による4次元ラベリング装置では、4次元形状の近傍領域の近傍マスク内のラベル番号だけを見て効率良く、4次元走査中の注目画素のラベル番号を決めることが出来る。
【0040】
第14の観点では、本発明は、上記第2または上記第10から上記第12のいずれかの観点によるN次元ラベリング装置において、N次元走査における注目画素のラベル番号を、N次元形状の近傍領域の近傍マスク内のラベル番号より定めるN次元ラベリング手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置を提供する。
上記第14の観点によるN次元ラベリング装置では、N次元形状の近傍領域の近傍マスク内のラベル番号だけを見て効率良く、N次元走査中の注目画素のラベル番号を決めることが出来る。
【0041】
第15の観点では、本発明は、上記第13の観点による4次元ラベリング装置において、複数連続領域が接続していることが判明した場合に、ラベル番号を付け直して連続領域のラベル番号を統一する再番号付け手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置を提供する。
上記第15の観点による4次元ラベリング装置では、再番号付け手段により、Y字形状の連続領域でも合流点で接続している異なるラベル番号の領域を1つのラベル番号に統一することが出来る。
【0042】
第16の観点では、本発明は、上記第14の観点によるN次元ラベリング装置において、複数連続領域が接続していることが判明した場合に、ラベル番号を付け直して連続領域のラベル番号を統一する再番号付け手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置を提供する。 上記第16の観点によるN次元ラベリング装置では、再番号付け手段により、Y字形状の連続領域でも合流点で接続している異なるラベル番号の領域を1つのラベル番号に統一することが出来る。
【発明の効果】
【0043】
本発明の4次元ラベリング装置またはN次元ラベリング装置によれば、時間的に変化する3次元画像からなる4次元画像またはN(≧4)種の独立なパラメータを基底とするN次元画像に対して、4次元ラベリングまたはN次元ラベリングすることで、4次元連続領域またはN次元連続領域を抽出できる。
本発明の4次元空間フィルタ装置またはN次元空間フィルタ装置によれば、時間的に変化する3次元画像からなる4次元画像またはN(≧4)種の独立なパラメータを基底とするN次元画像に対して、4次元またはN次元走査中の注目画素および近傍局所領域の画素値による画素値変換処理により、所望の画質変換を実現できる。
さらに、本発明の4次元ラベリング装置またはN次元ラベリング装置によれば、4次元空間フィルタまたはN次元空間フィルタにより精度のよい4次元ラベリングまたはN次元ラベリングが行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、図に示す実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0045】
図1に、実施例1における4次元ラベリング装置の機能構成を示す。なお、実施例1では4次元画像で説明しているが、N(≧4)次元画像でも同様のことが言える。
4次元画像入力部402は、4次元画像401を4次元ラベリング処理部403に入力する。4次元画像401は、例えば近年の多列X線検出器CTやエリアセンサX線CT(フラットパネルX線CTやX線IIによるX線CTなど)により時系列に次々と作り出される3次元画像や2次元画像の積み重ねとしての3次元画像である。
4次元ラベリング処理部403は、4次元ラベリング近傍マスク406を用いて4次元画像を4次元走査し、各注目画素の近傍画素から画素を選択し、注目画素のラベル番号を求め、時系列な各3次元画像ごとに4次元ラベリング情報を作成する。また、各連続領域の接続情報である4次元ラベル接続情報を作成し、4次元ラベル接続情報格納部404に格納する。
リ・ラベリング処理部405は、4次元ラベル接続情報格納部404に格納された4次元ラベル接続情報を用いて、リ・ラベリングする。
【0046】
図2の(a)(b)に、80近傍の画素を示す。
80近傍の画素は、注目画素1603を中心としてt軸に3層、z軸に3層、x軸、y軸に各々3画素で、34−1=80(1は注目画素)個ある。
図2の(c)に、80近傍の4次元ラベリング近傍マスクを示す。
80近傍の4次元ラベリング近傍マスクは、注目画素1603を含む3次元画像内での3次元ラベリング近傍マスクを構成する画素および注目画素1603を含む3次元画像より1時刻前の3次元画像を構成する画素から構成される。
【0047】
図3に、4次元画像を構成する3次元画像701a,701b,701cと、4次元ラベリング近傍マスクを構成する3次元ラベリング近傍マスク702,703を示す。
この注目画素および4次元近傍マスクは、x,y,z,t軸の順に座標値の小さな方から大きな方へと順次走査が行われ、1次元ずつ走査されて、最終的に4次元的に走査される。すなわち、t=0の3次元画像のx=0,y=0,z=0の画素からx軸方向に1次元走査を行い、この1次元走査でx軸方向の端まで走査したら次にy方向に1段下の行に移ってx=0から再び1次元走査を行うことを繰り返し、このような2次元走査でy軸方向およびx軸方向の端まで走査したら次にz方向に1段下の平面に移って再び2次元走査を行うことを繰り返し、このような3次元走査でz軸方向およびy軸方向およびx軸方向の端まで走査したら次にt方向に1段下の3次元画像に移って再び3次元走査を行うことを繰り返す。なお、走査を行う最初の画素の位置や走査の方向はこれに限定されるものではない。
【0048】
そして、最初に見つかった画素値が「1」である注目画素のラベル番号を「1」とする。以後、画素値が「1」である画素が見つかったら、注目画素の近傍の4次元ラベリング近傍マスク内の画素に付与済みのラベル番号を参照し、4次元ラベリング近傍マスク内の画素に付与済みのラベル番号がない場合は既に付与済みのラベル番号の最大値に「1」を加算したラベル番号を注目画素のラベル番号とする。また、4次元ラベリング近傍マスク内の画素に対し付与済みのラベル番号が付いていた場合、そのラベル番号が1種であればそれを注目画素のラベル番号とする。また、そのラベル番号が2種以上であれば、それらのラベル番号のうち最も小さい番号を注目画素のラベル番号とすると共に、リ・ラベリングのためにそれらのラベル番号が接続しているラベルであることを示す接続情報を作成する(接続情報の記述方法は特に限定しない)。この接続情報に基づき、後にリ・ラベリング処理で2種以上のラベル番号は1種のラベル番号に変換される。
【0049】
なお、t=0の3次元画像では、それよりt方向に前の3次元画像がないため、次のいずれかの処理を行う。
(1)t=0の3次元画像では、全画素のラベル番号を「0」とする。
(2)t=0の3次元画像では、元の画素値のままとし、ラベル番号を付けない。
(3)t=0の3次元画像の時間方向上部に全ての画素値が「0」の3次元画像が存在するものとして次に示す処理と同様の処理を行う。
図3に示すように、t=tnの3次元画像701bでは、まずz=0のxy平面上でx軸方向に1−1の方向に1次元走査し、次にy方向に行を進めて1−2の方向に1次元走査し、同様に1−3の方向に1次元走査し、これを続けてz=0のxy平面の2次元走査完了後にz軸座標を進め、2−1,2−2,2−3と2次元走査を進める。そして、t=tnの3次元画像701b内の全ての画素に対する3次元走査が終わったら、次のt=tn+1の3次元画像701cに移行し、同様に3次元走査を行う。このような4次元走査において画素値が「1」の注目画素が見つかれば、上述のようにしてラベル番号を付与する。
【0050】
図4に、ラベリング処理のフローチャートを示す。
ステップS901では、ラベル番号の変数iを「0」に初期化する。
【0051】
ステップS902では、4次元画像を4次元走査して注目画素を選択する。
4次元走査は、下位レベルでは図5の2次元ラベリング走査、図6の3次元ラベリング走査から構成されて、図7のように4次元ラベリング走査が実現される。一般的には、図8のようにN次元ラベリング走査は、「N−1」次元ラベリング走査から構成される。
【0052】
ステップS903では、注目画素の画素値が「0」であればステップS904へ進み、「1」であればステップS905へ進む。
【0053】
ステップS904では、注目画素のラベル番号を「0」とする。そして、ステップS912へ進む。
【0054】
ステップS905では、図7に示した4次元ラベリング近傍マスク内の画素のラベル番号を調査し、全て「0」ならステップ906へ進み、複数あるならステップS907へ進み、1つだけならステップS909へ進む。
【0055】
ステップS906では、変数iに1を加算し、変数iを注目画素のラベル番号とする。例えば最初に見つかった画素値「1」の画素のラベル番号は「1」となる。そして、ステップS912へ進む。
【0056】
ステップS907では、複数のラベル番号が例えばj,k,lの3つなら、j,k,lのうちの最小のラベル番号jを注目画素のラベル番号とする。
ステップS908)。ラベル番号がj,k,lの画素が3次元接続していることを示すラベル接続情報を生成する。そして、ステップS912へ進む。
【0057】
ステップS909では、1つだけのラベル番号が例えばjなら、jを注目画素のラベル番号とする。そして、ステップS912へ移行する。
【0058】
ステップS912では、4次元画像内の全ての画素の走査が終わるまでステップS902〜S909を繰り返す。4次元画像内の全ての画素の走査が終わったらステップS913へ移行する。
【0059】
ステップS913では、4次元接続情報に基づき、リ・ラベリング処理を行う。具体的には4次元接続情報を基に4次元画像内で各連続画像領域の再番号付処理を行い、接続を行った各連続画像領域には同じラベル番号を付ける。そして、処理を終了する。
【0060】
図9は、リ・ラベリング処理の説明図である。なお、図示の都合上、図9では2次元画像を用いて説明しているが、実際には4次元画像もしくはN(≧4)次元画像が対象である。
図9の(a)に示すように、領域1001,1002は同じ画像領域であるにもかかわらず、走査の順番により異なるラベル番号「1」「3」が付けられている。しかし、前述の接続情報は、領域1001と領域1002とが同じ画像領域に含まれるものであることを示している。この場合に、接続情報を参照し、図9の(b)に示すように、領域1001と領域1002とに同じラベル番号(例えばそれらのうちで最小のラベル番号)を付ける。これにより、一つの領域1003として扱うことが出来る。
【0061】
一般的には、図10に示すように、Y字形状の領域の場合にリ・ラベリング処理が必要となる。
【0062】
図11に、上記の4次元ラベリング近傍マスクを用いた4次元ラベリング処理を行う4次元ラベリング装置の基本構成を示す。
501はCPUで、RAM502やROM503に格納されたプログラムやデータを用いて装置全体の制御を行ったり、例えば図4のフローチャートに従ったプログラムコードを実行し、4次元ラベリング処理全体に関わる制御を行ったりする。
【0063】
502はRAMで、外部記憶装置504、もしくはCD−ROMドライブ505を介してCD−ROMから例えば図4のフローチャートに従ったプログラムやデータ等を読み込む為のエリア、上述のラベル接続情報を一時的に記憶するためのエリアを備えると共に、CPU501が各処理を実行する際に用いるワークエリアも備える。またRAM502内には、上述のラベリング情報格納部406として機能するエリア502bも備える。又、エリア502bは外部記憶装置504に設けても良い。
【0064】
503はROMで、装置全体の制御を行うプログラムやデータを格納すると共に、ブートプログラムなども備える。
【0065】
504はHDD(ハードディスクドライブ)等の外部記憶装置で、CD−ROMドライブ505がCD−ROMから読み込むプログラムやデータを保存することが出来る。また、RAM502が備える上述の各々のエリアがRAM502の容量などの問題で設けられなくなった場合、ファイルの形式でこれらのエリアを外部記憶装置504内に設けることも出来る。
【0066】
505はCD−ROMドライブで、CD−ROMに記憶された例えば図4のフローチャートに従ったプログラムやデータなどをを読み込み、バス509を介してRAM502や外部記憶装置504に出力する。なお、他にもCD−ROM以外の記憶媒体(フレキシブルディスクやDVD、CD−R等)を読み込むためのドライブを設けてもよい。その場合、これらのドライブから読みとったプログラムやデータが、上述のCD−ROMから読みとったプログラムやデータと同様に用いられるのは明白である。
【0067】
506は表示部で、液晶モニタなどにより構成されており、3次元画像や文字情報などを表示することが出来る。
【0068】
507、508は各々キーボード、マウスで、ポインティングデバイスとして本装置に各種の指示を入力することが出来る。
【0069】
509は上述の各部をつなぐバスである。
【0070】
図10に示した構成を備える4次元ラベリング装置としては例えば一般のパーソナルコンピュータやワークステーションが適していると言える。
【0071】
実施例1の4次元ラベリング装置及び4次元ラベリング方法では、4次元走査のラベリング処理及びリ・ラベリング処理の2回の処理で完全なる4次元ラベリング処理が行える。なお、N(≧4)次元ラベリング処理も同様に行うことが出来る。
【実施例2】
【0072】
実施例1では4次元2値画像を4次元ラベリング装置に入力したが、これに限定されるものではない。
例えば4次元画像が濃淡を有する4次元濃淡画像である場合、4次元画像入力部402の前段に、例えば画素値が所定の閾値範囲内であれば「1」とするなどの方法により4次元濃淡画像を2値化画像に変換する2値化部を設ければよい。
あるいは、4次元ラベリング処理部403においてラベリング処理を行う際に、画素値を2値化してから実施例1で説明したラベリング処理を行ってもよい。
【実施例3】
【0073】
4次元画像入力部402の前段に、入力画像に対してノイズ除去を行う4次元空間フィルタ(平滑化フィルタ、中間値フィルタ、最大値フィルタ、最小値フィルタなど)を設けてノイズ除去を行ってもよい。
【実施例4】
【0074】
4次元ラベリングの処理に用いる4次元ラベリング近傍マスクとしては、図12に示す64近傍の4次元ラベリング近傍マスクを用いてもよい。
また、図13に示す28近傍の4次元ラベリング近傍マスクを用いてもよい。
また、図14に示す8近傍の4次元ラベリング近傍マスクを用いてもよい。
【実施例5】
【0075】
図15は、実施例5にかかる4次元空間フィルタ装置100のブロック図である。
4次元空間フィルタ装置100は、4次元空間フィルタ処理プログラム22を実行するプロセッサ1と、4次元画像21や4次元空間フィルタ処理プログラム22を記憶する記憶装置2と、操作者が入力を行うコンソール3と、メッセージや画像等を表示するモニタ4とを具備して構成されている。
プロセッサ1は、データを保持するレジスタRGを有している。
【0076】
図16は、4次元画像21の概念図である。
図17は、4次元空間フィルタの概念図である。
4次元データ21は、x,y,zの3方向に画素点が並ぶ3次元マトリックス構造をした3次元画像であり、例えば医用画像診断装置(超音波診断装置やX線CT装置やMRI装置など)で撮影した被検体のデータから構築される。これらの画像が時間軸に時系列に並ぶことで4次元画像データとなる。
ここでは各データは例えば8ビットや16ビットの階調データであるが、16ビットのカラーデータや「0」または「1」の2値データであってもよい。
【0077】
図18に示すように、4次元画像における4次元走査では、例えば、まずx軸方向に走査した後、y軸方向に走査を進め、y軸方向の次にはz軸方向に走査を進め、更にt軸(時間軸)方向に走査を進める。
【0078】
図19に、80近傍の4次元空間フィルタ近傍局所領域を示す。また、図20に、624近傍の4次元空間フィルタ近傍局所領域を示す。
【実施例6】
【0079】
図21に示す3×3×3×3のサイズのコントラスト強調を行うための4次元空間フィルタを用いてもよい。
また、図22に示す5×5×5×5のサイズのコントラスト強調を行うための4次元空間フィルタを用いてもよい。
【実施例7】
【0080】
図23に、CT値に依存したコントラスト強調を行うための4次元空間フィルタを例示する。
図24に示すように、次の如くこの4次元空間フィルタをかける。
(1)閾値1以下、CT値≦Th1では、フィルタ1を用いる。
(2)閾値1,2間、Th1<CT値≦Th2では、フィルタ1を重畳した画像とフィルタ2を重畳した画像の重み付き加算画像を用いる。
(3)閾値2,3間、Th2<CT値≦Th3では、フィルタ2を用いる。
(4)閾値3,4間、Th3<CT値≦Th4では、フィルタ1を重畳した画像とフィルタ2を重畳した画像の重み付き加算画像を用いる。
(5)閾値4以上、Th4<CT値では、フィルタ1を用いる。
これらによりCT値に依存した、つまりX線吸収係数の異なる組織ごとに選択的にコントラスト強調した4次元空間フィルタがかけることができ、組織ごとに時間軸特性、空間軸特性を調節した4次元空間フィルタを実現できる。
【実施例8】
【0081】
図25に、CT値に依存したノイズ改善を行うための4次元空間フィルタを例示する。
図26に示すように、次の如くこの4次元空間フィルタをかける。
(1)閾値1以下、CT値≦Th1では、フィルタ2を用いる。
(2)閾値1,2間、Th1<CT値≦Th2では、フィルタ2を重畳した画像とフィルタ2を重畳した画像の重み付き加算画像を用いる。
(3)閾値2,3間、Th2<CT値≦Th3では、フィルタ1を用いる。
(4)閾値3,4間、Th3<CT値≦Th4では、フィルタ2を重畳した画像とフィルタ1を重畳した画像の重み付き加算画像を用いる。
(5)閾値4以上、Th4<CT値では、フィルタ2を用いる。
これらによりCT値に依存した、つまりX線吸収係数の異なる組織ごとに選択的にノイズ改善した4次元空間フィルタがかけることができ、組織ごとに時間軸特性、空間軸特性を調節した4次元空間フィルタを実現できる。
【実施例9】
【0082】
図27に、血管の構造例を例示する。
図28に、X線CT装置からの時系列の3次元画像すなわち4次元画像を例示する。
血流による造影剤の分布変化を示す4次元画像になっている。
【0083】
図29に、血管の体積測定処理の流れを示す。
ステップ1では、4次元画像を入力する。例えばX線CT装置からのシネスキャンによる同一部位の時系列3次元画像を入力する。
ステップ2では、実施例8のノイズ改善を行うための4次元空間フィルタを4次元画像に重畳し、SN比を改善する。
ステップ3では、ステップ2でノイズ改善した4次元画像に実施例7のコントラスト強調を行うための4次元空間フィルタを重畳し、コントラスト強調を行なう。
ステップ4では、ステップ3でコントラスト強調した4次元画像を2値化する。2値化は、固定閾値による2値化でも、浮動閾値による2値化でもかまわない。
ステップ5では、2値化した4次元画像に4次元ラベリングを行なう。
【0084】
ステップ6では、図30に示すように、4次元ラベリングした領域を時間軸(t軸)方向に射影し、3次元領域に縮退させる。これにより、3次元領域として血管構造を表現できる。
【0085】
ステップ7では、3次元領域の体積測定により体積を求める。
以上により、少ない造影剤で血管部分の体積を求めることが出来る。
【0086】
なお、実施例9では、コントラスト強調処理およびノイズ改善処理のための4次元空間フィルタを用いたが、輪郭強調処理、平滑化処理、デコンボリューション処理、最大値フィルタ処理、中間値フィルタ処理、最小値フィルタ処理や異常点検出処理などを行う空間フィルタを用いてもよい。また、ノイズ改善,コントラスト強調の片方を省略してもよい。
【実施例10】
【0087】
本発明は、上述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても実現できる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータ(操作コンソール)が読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。
【0088】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した図1,図4〜図8,図29に示すフローチャートの一部もしくは全部に対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0089】
このようなプログラムコードを格納する記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発生のメモリカード、ROM、DVD−RAM、DVD−ROM、CD−RWを用いることが出来る。更には、ネットワーク(例えばインターネット)という媒体を介してダウンロードしても良いであろう。
【0090】
また、上記プログラムはファームウェアにも適用可能であることは自明である。
【実施例11】
【0091】
上述の実施例では、4次元画像を処理対象にしているが、他のモダリティのMR,PETなどと画像合成を行って4次元を超えるN次元画像を作成し、それを処理対象としてN次元のラベリング処理や空間フィルタ処理を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の4次元ラベリング装置、N次元ラベリング装置、4次元空間フィルタ装置およびN次元空間フィルタ装置は、X線CT装置等で得られた時系列の3次元画像を処理するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施例1における4次元ラベリング装置の機能構成を示す図である。
【図2】80近傍の4次元ラベリング用近傍マスクを示す図である。
【図3】4次元ラベリング処理を行う際の4次元画像と4次元ラベリング近傍マスクを示す図である。
【図4】実施例1における4次元ラベリング処理のフローチャートである。
【図5】2次元ラベリング走査のフローチャートである。
【図6】3次元ラベリング走査のフローチャートである。
【図7】4次元ラベリング走査のフローチャートである。
【図8】N次元ラベリング走査のフローチャートである。
【図9】接続情報を用いた画像領域の接続、リ・ラベリング処理について説明する図である。
【図10】Y字形状連続領域におけるリ・ラベリング処理を示す図である。
【図11】実施例1における4次元ラベリング装置の基本構成を示す図である。
【図12】64近傍の4次元ラベリング近傍マスクを示す図である。
【図13】28近傍の4次元ラベリング近傍マスクを示す図である。
【図14】8近傍の4次元ラベリング近傍マスクを示す図である。
【図15】実施例5にかかる4次元空間フィルタ装置のブロック図である。
【図16】4次元画像の概念図である。
【図17】4次元空間フィルタの概念図である。
【図18】実施例5における4次元空間フィルタの4次元走査の説明図である。
【図19】80近傍の4次元空間フィルタ局所領域の説明図である。
【図20】624近傍の4次元空間フィルタ局所領域の説明図である。
【図21】コントラスト強調を行う3×3×3×3の4次元空間フィルタの説明図である。
【図22】コントラスト強調を行う5×5×5×5の4次元空間フィルタの説明図である。
【図23】CT値に依存したコントラスト強調を行う4次元空間フィルタの説明図である。
【図24】CT値に依存したコントラスト強調を行う4次元空間フィルタの重み係数の説明図である。
【図25】CT値に依存したノイズ改善を行う4次元空間フィルタの説明図である。
【図26】CT値に依存したノイズ改善を行う4次元空間フィルタの重み係数の説明図である。
【図27】血管の構造を示す例示図である。
【図28】少量の造影剤を注入した血管の4次元画像を示す図である。
【図29】実施例9にかかる血管の体積測定処理のフローチャートである。
【図30】4次元ラベリングした領域を時間軸(t軸)方向に射影し3次元領域に縮退させて得られる血管構造を示す図である。
【図31】従来の2次元ラベリング処理の概要を示す図である。
【図32】従来の2次元ラベリング処理について説明するための画像例を示す図である。
【図33】従来の2次元ラベリング近傍マスクを示す図である。
【図34】3次元画像および3次元画像を構成する2次元画像を示す図である。
【図35】従来の26近傍の3次元ラベリング近傍マスクを示す図である。
【図36】3次元ラベリング処理を行う際の3次元画像と3次元ラベリング近傍マスクを示す図である。
【図37】従来の18近傍の3次元ラベリング近傍マスクを示す図である。
【図38】従来の6近傍の3次元ラベリング近傍マスクを示す図である。
【図39】従来の2次元空間フィルタ局所領域を示す説明図である。
【図40】従来の26近傍の3次元空間フィルタ局所領域を示す説明図である。
【図41】従来の124近傍の3次元空間フィルタ局所領域を示す説明図である。
【符号の説明】
【0094】
1 プロセッサ
2 記憶装置
3 コンソール
4 モニタ
21 4次元画像
22 4次元空間フィルタ処理プログラム
100 4次元空間フィルタ装置
501 CPU
502 RAM
502b ラベリング情報格納領域
503 ROM
504 外部記憶装置
505 CD−ROMドライブ
506 表示部
507 キーボード
508 マウス
509 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列に並んだ3次元画像からなる4次元画像、または4種のパラメータを基底とする4次元画像に対してラベリング処理を行う4次元ラベリング装置であって、4次元領域を4次元走査する際の注目画素のラベル番号を4次元形状の近傍領域のラベル番号より定める4次元ラベリング手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置。
【請求項2】
時系列に並んだ「N−1」次元画像からなるN次元画像、またはN種(N≧4)のパラメータを基底とするN次元画像に対してラベリング処理を行うN次元ラベリング装置であって、N次元領域をN次元走査する際の注目画素のラベル番号をN次元形状の近傍領域のラベル番号より定めるN次元ラベリング手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置。
【請求項3】
時系列に並んだ3次元画像からなる4次元画像、または4種のパラメータを基底とする4次元画像に対して4次元空間フィルタ処理を行う4次元空間フィルタ装置であって、4次元画像内の4次元走査において、各注目画素の近傍局所領域の値とその注目画素の値で定まる処理を行なうか又は4次元空間フィルタを重畳する4次元空間フィルタ手段を持つことを特徴とする4次元空間フィルタ装置。
【請求項4】
時間列に並んだ「N−1」次元画像からなるN次元画像、またはN種のパラメータを基底とするN次元画像に対してN次元空間フィルタ処理を行うN次元空間フィルタ装置であって、N次元画像内のN次元走査において、各注目画素の近傍局所領域の値とその注目画素の値で定まる処理を行なうか又はN次元空間フィルタを重畳するN次元空間フィルタ手段を持つことを特徴とするN次元空間フィルタ装置。
【請求項5】
請求項3に記載の4次元空間フィルタ装置において、ノイズ改善処理、コントラスト強調処理、平滑化処理、輪郭強調処理、デコンボリューション処理、最大値フィルタ処理、中間値フィルタ処理、最小値フィルタ処理などの処理を行いうる処理手段を持つことを特徴とする4次元空間フィルタ装置。
【請求項6】
請求項4に記載のN次元空間フィルタ装置において、ノイズ改善処理、コントラスト強調処理、平滑化処理、輪郭強調処理、デコンボリューション処理、最大値フィルタ処理、中間値フィルタ処理、最小値フィルタ処理などの処理を行いうる処理手段を持つことを特徴とするN次元空間フィルタ装置。
【請求項7】
時系列に並んだ3次元画像からなる4次元画像に対してラベリング処理を行う4次元ラベリング装置であって、時系列に並んだ3次元画像を入力する画像入力手段と、時系列に入力された3次元画像からなる4次元画像に3次元画像フィルタを時系列にかけるか又は4次元画像フィルタをかける画像フィルタ手段と、前記フィルタをかけた画像を2値化する画像2値化手段と、2値化された4次元領域を4次元走査する際の注目画素のラベル番号を4次元形状の近傍領域のラベル番号より定める4次元ラベリング手段とを持つことを特徴とする4次元ラベリング装置。
【請求項8】
請求項7に記載の4次元ラベリング装置において、ノイズ除去・SN比改善を目的とした4次元画像フィルタをかけるための4次元画像フィルタ手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置。
【請求項9】
請求項7に記載の4次元ラベリング装置において、コントラスト強調を目的とした4次元画像フィルタをかけるための4次元画像フィルタ手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置。
【請求項10】
N種(N≧4)のパラメータを基底とするN次元画像に対してラベリング処理を行うN次元ラベリング装置であって、時系列に並んだ「N−1」次元画像を入力する画像入力手段と、時系列に入力された「N−1」次元画像からなるN次元画像にN次元画像フィルタをかけるN次元画像フィルタ手段と、N次元画像フィルタをかけた画像を2値化する画像2値化手段と、2値化されたN次元領域をN次元走査する際の注目画素のラベル番号を、N次元形状の近傍領域のラベル番号より定めるN次元ラベリング手段とを持つことを特徴とするN次元ラベリング装置。
【請求項11】
請求項10に記載のN次元ラベリング装置において、ノイズ除去・SN比改善を目的としたN次元画像フィルタをかけるためのN次元画像フィルタ手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置。
【請求項12】
請求項10に記載のN次元ラベリング装置において、コントラスト強調を目的としたN次元画像フィルタをかけるためのN次元画像フィルタ手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置。
【請求項13】
請求項1および請求項7から請求項9のいずれかに記載の4次元ラベリング装置において、4次元走査における注目画素のラベル番号を、4次元形状の近傍領域の近傍マスク内のラベル番号より定める4次元ラベリング手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置。
【請求項14】
請求項2および請求項10から請求項12のいずれかに記載のN次元ラベリング装置において、N次元走査における注目画素のラベル番号を、N次元形状の近傍領域の近傍マスク内のラベル番号より定めるN次元ラベリング手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置。
【請求項15】
請求項13に記載の4次元ラベリング装置において、複数連続領域が接続していることが判明した場合に、ラベル番号を付け直して連続領域のラベル番号を統一する再番号付け手段を持つことを特徴とする4次元ラベリング装置。
【請求項16】
請求項14に記載のN次元ラベリング装置において、複数連続領域が接続していることが判明した場合に、ラベル番号を付け直して連続領域のラベル番号を統一する再番号付け手段を持つことを特徴とするN次元ラベリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2006−185038(P2006−185038A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376097(P2004−376097)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】