説明

4色デジタル印刷方法及び色感受性感光性高分子を用いるカラー画素

カラー形成感光性高分子層でカラー画素を形成するプロセス、こうして形成されたカラー画素及びデジタル画像化システムが提供される。基板上の単独の減法作動色感受性光重合性組成物層は、デジタル光プロセッサから反射された化学線に暴露されると、光重合性組成物上に所望のデジタルカラー画像を正確に再現する。カラー特定感光性高分子の多重層を用いると、このプロセスにより基板上にフルカラー画像を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー印刷に関し、特に、色感受性感光性高分子を用いてカラー画像を形成する方法及びデジタル画像化方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
グラフィックアート複製に用いる画像化デバイス、例えばオフセット印刷機、フレキソ印刷機、グラビア印刷機、インクジェットプリンター、静電記録式プリンター及び関連する印刷プロセスは、すべて、個々の着色剤物質からなる微視的なドットを基板上に堆積させることにより所望の彩色画像を創製する。本明細書中で用いられる用語「グラフィックアート」とは、複製のための微視的ドットからなる可視画像の構造をいうが、立体要素の構造又は3次元モデルをいわない。基板上に所望のカラー画像を形成するために、モニター上に表示された画素(ピクセル)はこれらの微視的ドットに変換されなければならない。この変換プロセスは、アプリケーションプログラムにより発生したRGBピクセルを読み取り、これらを基板上にドットを生じさせるために画像化デバイスの印刷エンジンが必要とするデータに翻訳するラスター画像処理機(RIP)により行われる。このようなRIPデータを基に、このような印刷エンジンは、各着色剤のドットを基板上に正確な量で且つ正確な相対位置に堆積させることによって、アプリケーションプログラムにより作られた色を複製する。
【0003】
このようなプロセスに関連する問題は、例えば、着色剤の広がり、色補正及びドット位置不良などである。インクなどのある種の着色剤物質は、基板に吸収される際に外方向に流れる傾向を有し、あまりにも大きな広がりは低品質のぼやけた又は暗い画像を創製することもある。この広がりはドット・ゲインと呼ばれ、ドットサイズ補正(所望のドットサイズよりも小さいパーセンテージ)は典型的には、印刷ジョブに用いられる基板及びインクのタイプを把握する参照テーブルからなされる。この設定が不適切である場合には、作られた色は劣悪である。
【0004】
シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色プロセスカラー(CMYK)を用いる場合、画像化デバイスによって堆積されたインクの量は、4色のそれぞれを表すドットのパーセンテージによって決定される。画像化デバイスがアプリケーションプログラムによって指示されたものとは異なるドットを創製する場合には、最終的な色はアプリケーションプログラムの最終的な色にならない。したがって、RIPを補正するために、得られる色のパーセンテージを測定することがしばしば必要になる。これは、長時間で困難なプロセスであり得る。なぜなら、典型的には、修正をアプリケーションプログラムに入力した後、別の出力を作らなければならず、画像化デバイスによって創製されたドットパーセンテージが所望のカラー画像のためのドットのパーセンテージに合理的に近くなるまで、この手順を繰り返さなければならないからである。
【0005】
加えて、このような画像化デバイスは、見当合わせ、すなわち基板上の正確な相対位置に堆積したプロセスカラー(the deposited process color)のそれぞれのドット間の位置調整を必要とする。この見当合わせ、すなわちドットの層を正確な相対位置に重ね合わせるプロセスは、品質のよい色出力のために1mil(インチの1000分の一)〜25milの誤差内でなければならない。不正確に見当合わせされた画像は、位置不良と呼ばれる状態を引き起こす。このように、プリンターは、印刷要素及び基板が常に正確な位置になるように注意しなければならない。しばしば、この困難なプロセスは、種々の程度のソフトウェア及び機械的問題が生じやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、印刷プロセス中に、アプリケーションプログラムにより創製される所望のデジタル画像の予想される色品質を再現し、ドット補正及び見当合わせの必要性を排除する、カラー印刷方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の必要性は、ドット補正及び見当あわせの必要性を排除する、色感受性感光性高分子を用いてフルカラー画像を形成してデジタル画像化するプロセスを提供する本発明により解決される。カラー画像は、感光性高分子層内に所望の色及び密度の画像スポット又はピクセルを形成するデジタル光プロセッサからの種々の強度のフィルター処理された波長の化学線に、光重合性組成物の1以上の感光性高分子層を暴露させることにより創製される。
【0008】
本発明の第1の実施形態において、プロセスは、プロセスカラー(CMYK)の1種の第1の色を選択的に創製する光重合性組成物の第1無色感光性高分子層で基板を薄くコーティングすることから始まる。次いで、種々の強度のフィルター処理された波長の化学線を投射するデジタル光プロセッサを用いて、感光性高分子層をフォトイメージング処理して、第1の色のラスタ・データに変換された画像パターンを形成する。次に、残りのプロセスカラーの第2の色を選択的に形成する第2の感光性高分子層で基板を薄くコーティングし、次いで、デジタル光プロセッサによりフォトイメージング処理して、第2の色のラスタ・データに変換された画像パターンを形成する。次いで、このプロセスを、デジタル光プロセッサでフォトイメージング処理される場合に残りの色のラスタ・データ処理された画像パターンを選択的に形成する2以上の感光性高分子コーティングで繰り返す。
【0009】
デジタル光プロセッサは、光化学プロセスにより感光性高分子層に形成されたカラー画像パターンの位置及び密度の両者を制御するものであるから、完全に見当合わせされた4色画像を製造することは理解されるべきである。さらに、所望であれば、色分解校正刷りのセットの場合におけるように、4種の個々のカラー画像パターンは、別個の基板それぞれを感光性高分子層の一つでコーティングしてフォトイメージング処理することによって、本発明の方法により作られる。
【0010】
別の実施形態において、光重合性組成物は、半固体又は固体として基板に提供され、感光性高分子及び基板はフォトイメージング処理プロセスにおいて用いられるべきストック材料として提供される。さらに、また別の実施形態において、鮮明な色調の画像及び/又は三次元画像を形成するために、種々の光重合性組成物の多重層及び/又は肉厚が基板に提供されてもよい。各層が基板上に塗布され、フォトイメージング処理される際に、感光性高分子層の膜厚を制御し、変化させることにより、三次元画像を形成することができることは理解されるべきである。
【0011】
本発明のシステムは、非常に高品質の画像を製造することを可能にする2種の性質を有する。すなわち、約16ミクロンのスポット又はピクセルサイズ、及び照射手順の間に基板が静止しているために完全な見当合わせでラスタ画像パターンを正確に感光させる能力を有する。基板に設けられた光重合性組成物を用いる際に、移動装置によって見当合わせ位置に着色剤物質を置くことは不必要である。基板に光重合性組成物を提供する処理工程と基板をフォトイメージング処理する工程だけがカラー画像を形成するために必要とされるので、非常に簡易なプロセスが提供される。
【0012】
カラーコピー機、カラープリンターにおいて又は色校正刷りのために上述のプロセスを行うことができる。さらに、このプロセスは、基板及びデジタル光プロセッサの両者を固定して、移動塗布器(アプリケーター)を用いて感光性高分子層を塗布することにより実行されてもよい。あるいは、回転ベルト/ドラム又は移動ウェブをコーティングステーション及び感光ステーションに通過させてもよいし、あるいは現行の塗布に必要なすべての感光性高分子層を基板に塗布して、デジタル光プロセッサにより同時にすべての層を感光させてカラー画像を形成してもよい。
【0013】
これら及び他の本発明の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、添付図面及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【実施の形態】
【0014】
本発明の実施形態の以下の詳細な記載は、図面と一緒に読む場合に最もよく理解され得る。図面中、同様の構造は同様の参照符号で示す。
本発明によれば、色感受性光重合性組成物及びデジタル画像化プロセスを用いてカラー画像を形成する方法が提供される。このプロセスは、色校正刷り、色分解及びカラー画像を種々のタイプの基板、例えば、金属、木、セラミック、紙、フィルム、ガラス及びプラスチックなどの上に形成するために特に適している。基板は、シート、シリンダーの形態又はほとんどの他の任意の形状であってもよい。
【0015】
図1に示すように、本発明によるカラー画素を形成する装置すなわちデジタル光画像化システム10が示されている。デジタル光画像化システム10は、理論上は、正確な画像パターンにて化学線のフィルター波長を投射する種々の電気機械要素及び光学要素を有するf/4投射系である。メインハウジング12は、主構造部材であると共に光バッフルでもある。追加のハウジングすなわち無光部屋13をさらに用いて、外部光源による感光を排除してもよい。
【0016】
メインハウジング12内部に、画像化システムは好ましくは、少なくとも1個の光源14と、光学経路と、少なくとも1個のデジタル光プロセッサ16と、を含む。光源14は、光重合性組成物を硬化又は重合させる化学線を与える可視光源である。好ましくは、光源14は、メタルハライドランプであるが、他の光源、例えばタングステンハロゲンランプ及びキセノンランプなどを用いてもよい。特に、メタルハライドランプは、フィルター処理されるべきではなく、270Wなどの光重合性組成物を適切に架橋させるに十分なワット数を有する。より高い光強度のランプもまた用いることができ、重合の速度を早めることができる。
【0017】
画像化システムの光学経路は、照明経路18及び投射経路20を具備する。照明経路18は、集光レンズ24に進む光源14からの光線22から始まる。次いで、分散光線は結合器レンズ28に向かい、光線はデジタル光プロセッサ16への均一で平行な光入力に再分配される。デジタル光プロセッサ16の変調要素の状態に応じて、照明経路18からの数本の光線27は、画像パターン29としてデジタル光プロセッサ16によって投射経路20へ下向きに反射される。デジタル光プロセッサ16は、光源及び投射光学機器と組み合わせられると、詳細は後述するがバイナリパルス幅変調技術を用いて、光源からの化学線の波長の有効強度を正確に制御するために利用することができる。追加の波長変調のために、任意の回転カラーホイール26を用いて、化学線の波長範囲を変更してもよい。好ましくは、化学線は、電磁気スペクトルの可視領域にある。しかし、紫外線又は赤外線などの化学線もまた用いることができることは理解されるべきである。
【0018】
デジタル光プロセッサ16により反射された画像パターン29は、投射経路20を下向きに進み、投影レンズ30の瞳に入る。投影レンズは、画像パターン29を拡大して、液体、半固体もしくは固体の光重合性組成物の無色感光性高分子層34を有する基板32上に投影する。
【0019】
単層を用いる場合、感光性高分子層34は、図4に示すように、種々の密度の種々の着色スポット52a及び52dに受け入れられた画像パターン29の化学線の波長範囲及び強度によって光硬化可能な種々の光重合性組成物から形成される。あるいは、図5に示すように、フルカラー画像を形成するために、感光性高分子層34a、34b、34c及び34dの各々が互いの上に設けられる多重層を用いてもよい。特に、感光性高分子層34a、34b、34c及び34dの各々は、化学線の特定の波長に対する感受性を有し、光硬化可能であり、後述するように、所望のプロセスカラー(例えばCMYK)の1種の種々の密度の着色スポット52a、52b、52c及び52dを形成する。感光性高分子層34として有用な色感受性光重合性組成物は、米国特許U. S. Patent No. 6,200,646明細書(全体として本願に組み込まれる)に記載されており、カラーオンデマンド(Color-On-Demand)技術の一部としてSpectra Group Limited, Incから商業的に入手可能である。
【0020】
光学経路もまた、複数のレンズ、少なくとも1個のミラーと複数のレンズの組み合わせ、複数のミラー、又は少なくとも1個のレンズと複数のレンズの組み合わせを具備し得る。さらに、単独の光源14とカラーホイール26に代えて、各々RGBカラーの1色を提供する3個の独立光源(図示せず)を用いてもよいことは理解されるべきである。この別の実施形態において、3個の個別の照明経路は、投影レンズ30にて収束して化学線の画像パターンを形成する。カラープリズム又はカラーフィルターを用いて、単独の光源14からの白色光を特定波長の化学線成分に分割してもよい。次いで、各化学線成分は個別のデジタル光プロセッサに向けられ、3個のデジタル光プロセッサ(図示せず)からの反射した化学線は光学的に再合成されて、投影レンズ30を通して基板上に投射される。
【0021】
さらに、所望であれば、第1デジタル光プロセッサ16をカラーホイール26と共に用いて、感光性高分子層に青色画像及び緑色画像を作る波長範囲で化学線を反射させてもよい。フルカラー画像は、感光性高分子層に赤色画像を作る波長範囲で化学線を反射する第2デジタル光プロセッサ(図示せず)を用いて完成することができる。しかし、3成分画像のすべてが同じ装置に由来するので見当合わせが安定で正確であるから、単独のデジタル光プロセッサ16の使用が好ましい。さらに、単独の投影レンズ30を用いることは、収束が機械的に予め整合されるという利点及び交換可能なレンズとしての能力を呈することは理解されるべきである。
【0022】
デジタル光プロセッサ16は、照明経路18から受け入れた化学線を所望の画像パターンに選択的に変調し、所望の画像パターンを投影レンズ30に向ける。特に、本明細書にて用いる用語「デジタル光プロセッサ」とは、形成されるべきカラー画像を表すデジタル・コンテンツを、内蔵ミラー型空間光変調器36により読み取られ得るデジタルビットストリームに変換することにより、この機能を行う光プロセッサをいう。好ましくは、デジタル・コンテンツは、画像化システム10による画像形成のためにデジタル光プロセッサ16と連通しているマイクロプロセッサ38上で構成される。しかし、メモリーチップ、アナログ−デジタルデコーダー、ビデオプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、オンラインデータベース、ウェブサイトなどの他のデジタル・コンテンツ源が連通していて、デジタル光プロセッサ16により処理されてもよい。
【0023】
一般に、ミラー型空間光変調器36は、与えられたデジタルビットストリームに基づいてデジタル画像を組み立てる独立にアドレス可能な変調マイクロミラーのマトリックスである。ミラー型空間光変調器は、静電気力により各マイクロミラーを傾斜させるデバイス、微小圧電要素の機械的変形により各マイクロミラーを傾斜させるデバイスなどを含む。
【0024】
適切な空間光変調器の一例は、アメリカ合衆国テキサス州ダラスのテキサスインスツルメント社(Texas Instruments Incorporated(Dallas, Texas, USA))により開発された最大1280×1024ピクセルの画像解像度を可能とするデジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device: DMD)である。しかし、本発明は、高解像度を得ることができ印刷品質が改良され得る任意の投射デバイスにも容易に適用可能であることは理解されるべきである。
【0025】
DMDは、約100万個のデジタル制御微視的ミラーのマトリックスからなる光学スイッチ又は反射型空間光変調器である。各デジタル制御微視的ミラーは、ヒンジ構造体に載置されていて、各ミラーを「オン(on)」の時に+θ度又は「オフ(off)」の時に−θ度の2種の状態の間で水平面からある角度に傾斜させる。DMDについて、ミラー傾斜角度は、シリコン基板の平面から±10度である。内蔵型電子機器は、入ってくるデータ信号をDMD上で空間表現(spatial representation)に変換し、デジタル光プロセッサへの種々の波長の化学線の逐次入力を与えるカラーホイール16を制御する。
【0026】
したがって、ビットストリームのデータ「1」が光変調器のメモリセルに書かれると、関連するマイクロミラーは+θ度傾斜して、投影レンズ30を介して、光源14からの化学線のピクセルを感光性高分子層に向ける。ビットストリームのデータ「0」が光変調器のメモリセルに書かれると、関連するマイクロミラーは−θ度傾斜して、投影レンズ30から離れる方向に光を向ける。
【0027】
各微視的ミラーは、最大約50,000回/秒で「on」と「off」に電気的に切り替えられることは理解されるべきである。したがって、化学線を照射経路20へ向けたり、化学線を照射経路20から向けたりするこのプロセスによって、空間光変調器36の各マイクロミラーが定置にある時間量に基づいて、感光性高分子層34が受ける有効強度(及び回転カラーホイールを用いる場合には波長)を正確に制御することができる。したがって、塗布(例えばRGB又はRGBK)に要する化学線の種々の波長に対する感光性高分子層の露出時間を変化させることにより、各カラー形成感光性高分子の架橋密度もまた制御され得る。
【0028】
さらに、光変調器36がマトリックス内に配置された複数のマイクロミラーを有するので、フルフレームカラー画像は感光性高分子層34上に一度に光硬化可能である。さらに、各マイクロミラーは約16μm×16μmのサイズを有し、マイクロミラーは互いに17μm未満の距離で離隔されているので、マイクロミラーのこの近接した間隔が結果としてシームレスとして投射される高解像度画像を生じさせ、明白な画素化はほとんどない(with little apparent pixelation)。さらに、各マイクロミラーが実質的に矩形形状であることで、画像パターン29における化学線の各反射された入射は、極めてシャープな縁を有する実質的に矩形のピクセルを創製する。
【0029】
本発明をさらに理解し易くするために、本発明によりカラー画像を形成する工程を示す図2(本発明の画像化システムの好ましい使用を示すものであって本発明の技術的範囲を限定するものではない)を参照されたい。
【0030】
カラー画素を作るために画像化システム10を用いる際に、意図された印刷ジョブに適切な形状と寸法を有する基板32に液体感光性高分子層34を与える。層34は、光重合性組成物の液体を蓄えているコーティングステーション(図示せず)により、基板32に与えられてもよいことは理解されるべきである。別の実施形態において、基板32は、光重合性組成物の半固体もしくは固体感光性高分子層を有するストック材料として提供されてもよい。
【0031】
次に、工程102において、感光性高分子層34を有する基板32を支える支持アセンブリ40(図1)を画像化システム10の投影レンズ30に相対的に位置づける。支持アセンブリ40を回転可能なベルト/ドラム又は可動ウェブなど可動性として、画像化システム10の下への基板32の位置づけを自動化してもよい。しかし、支持アセンブリ40は、少なくとも感光性高分子層34の化学線による暴露中、好ましくは静止する。さらに、感光性高分子層34及び画像化システム10の両者を照射手順の間、静止状態に維持してもよいが、いずれか一方を照射中に移動させてもよい。
【0032】
次に、画像化システム10と正確に整合されている支持アセンブリ40で、回転カラーホイール26を通して逐次的フィルター波長範囲にて光プロセッサ16の光変調器36の要素に向けて、化学線22は照射経路18を下向きに進む。化学線22は、次いで、マイクロプロセッサ38から受け取った入力されたデジタルビットストリームに基づいて、塗布(RGB又はRGBK)に必要なフィルター処理された波長範囲の逐次画像パターン29にまで処理される。次いで、各逐次画像パターン29は、投影レンズ30を通して光変調器36の要素によって反射されて、工程104及び106により示されるように、光重合性層の架橋用に選択された部分を照射する。
【0033】
画像パターン29は、フィルター処理された波長範囲での化学線の種々の継続時間で感光性高分子層34を逐次的に照明するデジタル光プロセッサ16の各マイクロミラーから形成されることは理解されるべきである。このように、受け取った化学線の波長範囲に感受性を有する感光性高分子層34内の感光性高分子は、受け取った化学線の強度及び継続時間に基づいて互いに種々の密度まで架橋して、特定のカラー(RGB又はRGBK)を形成する。光重合性組成物を用いるカラー形成の化学プロセスは米国特許U. S. Patent No. 6,200,646(本願に参照として組み込まれる)明細書により詳細に記載されているから、簡潔にするために、さらなる議論は割愛する。
【0034】
図3に示すように、カラー画像50は、基板32上で、感光性高分子層34内に上述のプロセスにより形成され得る。図3の線4−4に沿って切り取った側断面図を見ると、カラー画像50は、複数の実質的に矩形の着色感光性高分子スポット又はピクセル52a及び52d(図4に示す)を含む。図3における画像50は文字を形成するものとして示されているが、スポット52を用いて数字、文字、グラフィックなどを含む任意の印(indicia)を形成してもよいことは理解されるべきである。さらに、各マイクロミラーは実質的に16μm×16μmの寸法であるから、形成されたスポット52の各々もまたそのような正確な寸法を有しており、示されているように、結果的に非常にシャープな縁を有する画像50を得る。
【0035】
図2に戻り、本発明のカラー画像形成プロセスの議論を続ける。工程106において感光性高分子層34が正確に架橋されて所望のカラー画像50を形成すると、工程108において、層34に特定の波長範囲の化学線を照射することにより任意の過剰の現像されていない感光性樹脂(photoresin)を安定化してもよく、感光性高分子層34の現像されていない部分を半透明で、固く、不活性で、非粘着性のまま残す。工程110において、形成されたカラー画像50は、次いで、システム10から取り出される。
【0036】
上述のプロセスは、工程112で示されるように、システム10から取り出される前に繰り返してもよいことは理解されるべきである。この態様において、基板32に塗布される感光性高分子層34の肉厚を変えることによって、3次元効果を有するカラー画像54を形成してもよい。あるいは、後述する目的のために、特定のプロセスカラーに硬化する光重合性組成物の複数の層を互いに設けてもよい。
【0037】
図5により示されるように、上述のプロセスを繰り返すことにより、追加の感光性高分子層34a、34b、34c及び34dを塗布してもよく、光重合性組成物の第1コーティング34aは、画像の所望のカラー範囲に応じて、プロセスカラーなどのただ1色を形成する化学線の特定の波長範囲に感受性を有する。工程100〜108に従って、第1コーティング34aに所望のカラー画像パターンを現像し安定化させた後、第1コーティング34aの上に第2コーティング34bを塗布することにより、工程112でプロセスを繰り返す。この実施態様において、第2コーティングは、化学線の異なる波長範囲に感受性を有し、残りのプロセスカラーの1色などの異なるカラーを形成する。したがって、コーティング及び照射工程を繰り返すことにより、CMYKカラー系又は6色又は8色などの追加のコーティングを有する他の任意のカラー系に基づくフルカラー画像を形成してもよい。
【0038】
本発明のプロセスは、化学線の投射された波長で、直接、感光性高分子層34の表面上にカラー画像を形成するので、画像のゆがみがなく、画像はシャープなままで良好に規定される。さらに、このプロセスは、均一なドットの繰り返しパターンよりもむしろ、種々の密度の各プロセスカラーの極小のミラー形状のスポットの配列を含むので、このプロセスはわずかな位置不良により引き起こされるカラーシフトを排斥する。
【0039】
さらに、このプロセスは、印刷プロセスでの不正確さを補正するために、隣接するカラーの間のオーバーラップをトラップ又は作る必要性を排斥する。このプロセスは、インク又はトナーを下層に設ける必要がないので、位置不良の影響を最小化するために隣接するカラーをわずかにオーバーラップさせて修正する必要がない。さらに、このプロセスは、入力されたRGBピクセルデータをCMYKハーフトーンドットに変換する必要性を排斥する。ある意味では、このプロセスは、真のWYSIWYG(見たとおりのものが結果に反映されること)印刷を実行する、すなわちコンピューターモニターに表示されているものがカラー画素に現れる。
【0040】
本発明を説明するためにいくつかの代表的な実施形態及び詳細を示したが、本明細書に開示した方法及び装置における種々の変更が特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を逸脱せずになされ得ることは当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、カラー画像を作る本発明の方法により用いられる画像処理装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明により液体感光性高分子層が設けられた基板上にカラー画像を形成するプロセスのフローチャートである。
【図3】図3は、本発明のプロセスにより形成された画像の正面図である。
【図4】図4は、図3の線4−4に沿って切り取った画像の側断面図である。
【図5】図5は、本発明のプロセスにより形成された別の画像の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板上に架橋したグラフィックアート複製の使用に適する複数の矩形ピクセルの画像化されたカラー感光性高分子表面とを具備するグラフィックアート複製に用いるに適するカラー画素であって、該カラー感光性高分子表面がデジタル画像化光重合により、直接該基板上に画像様に形成されていることを特徴とするカラー画素。
【請求項2】
前記基板は、金属、木、セラミック、紙、フィルム、ガラス及びプラスチックからなる群より選択されたものである、請求項1に記載のカラー画素
【請求項3】
前記画像化されたカラー感光性高分子表面は、前記基板上に架橋した複数の矩形ピクセルの少なくとも1層である、請求項1に記載のカラー画素。
【請求項4】
前記画像化されたカラー感光性高分子表面は、前記基板上に架橋した複数の矩形ピクセルの複数層であり、各層は3次元効果を有する前記画像化されたカラー感光性高分子表面を生じさせる肉厚を有する、請求項1に記載のカラー画素。
【請求項5】
表面を有する基板を準備する工程と;該基板の該表面の少なくとも一部に光重合性組成物の少なくとも1層を設ける工程と;を備えるグラフィックアート複製に用いるに適したカラー画像を形成する方法であって、該基板上に直接的にグラフィックアート複製に用いるに適したカラー画像にまで該光重合性組成物の少なくとも1層を光重合するに十分な時間にわたり、所望の画像パターンにて空間光変調器により反射された化学線を該光重合性組成物の少なくとも1層に照射することを特徴とするカラー画像形成方法。
【請求項6】
前記光重合性組成物は、可視光線に感受性である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基板は、金属、木、セラミック、紙、フィルム、ガラス及びプラスチックからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記所望の画像パターンは、反射された化学線の複数の実質的に矩形のスポットから形成され、該化学線はシャープで良好に規定された実質的に矩形の縁を有するカラー画像にまで前記光重合性組成物の少なくとも1層の選択された部分を光重合する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記所望の画像パターンを投影レンズに向けて、前記所望の画像パターンを前記光重合性組成物の前記少なくとも1層に投射する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記光重合性組成物の少なくとも1層は複数の層であり、前記方法は、該複数の層の肉厚を変えて3次元効果を有するカラー画像を提供する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記化学線は、少なくとも1の光源から発生する、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1の光源は、メタルハライドランプを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1の光源は、可視光源及び回転カラーホイールを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1の光源は、それぞれRGBカラーの1色を与える3個の光源を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1の光源は、可視光、紫外線、赤外線及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
グラフィックアート複製に用いるに適したカラー画素を提供するためのデジタル画像化光重合システムであって、
光重合性組成物の1層を有する基板を受けるようになされた支持アセンブリと、
該光重合性組成物の層に照射して、該基板上にグラフィックアート複製に用いるに適したカラー画像を形成する少なくとも1の光源と、
該少なくとも1の光源を変調して、カラー画像を形成する画像パターンにて該光重合性組成物層に方向付けるデジタル光プロセッサと、
該システムの運転を制御するマイクロプロセッサと、を具備するデジタル画像化光重合システム。
【請求項17】
前記少なくとも1の光源は、RGB色を提供する1個の可視光源、及びそれぞれRGB色の1色を提供する3個の光源からなる群より選択される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記デジタル光プロセッサは、前記光重合性組成物層の上に前記画像パターンを投射する独立にアドレス可能なマイクロミラーデバイスの1列を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記デジタル光プロセッサへの化学線の逐次フィルター波長を提供するカラーホイールをさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記光重合性組成物層上に前記画像パターンを投射して画像を重合させる投射光学機器をさらに含む、請求項16に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−500608(P2006−500608A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536077(P2004−536077)
【出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/027394
【国際公開番号】WO2004/025364
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(300078202)デイ インターナショナル インコーポレーテッド (21)
【Fターム(参考)】