説明

COX−2阻害薬と代謝拮抗物質との組み合わせを使用する癌治療

癌を患う被検体を治療する方法であって、前記被検体に1,2−ジフェニルピロール誘導体あるいはその製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、多形体又はプロドラッグと、代謝拮抗物質とからなる治療有効量の組み合わせを投与することからなる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、併用療法並びにこのような併用の癌、腫瘍及び腫瘍関連疾患を治療するための使用に関する。
【0002】
(相互参照)
本出願は、2007年11月28日付け出願の米国特許仮出願第60/990,893号及び2008年4月11日付け出願の米国特許仮出願第61/044,407号の利益を主張し、これらの出願のそれぞれは、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
癌、腫瘍、腫瘍関連疾患及び新生物疾患は、重篤で、しばしば生命を脅かす疾患である。これらの疾患及び障害は、急速に増殖する細胞増殖に特徴があり、その治療に有効である治療薬の同定に向けられる研究努力の対象であり続ける。このような薬剤は、患者の生存期間を延ばし、新生物に関連する急速に増殖する細胞増殖を阻止し、新生物の退縮をもたらす。
【0004】
一般に、手術及び放射線療法は、局所に限定されていると考えられる癌の治療に考慮される第一の方法であり、最もよい予後を提供する。ある種の癌の化学療法治療は、典型的には、期待を裏切る生存率をもたらすが、それでも延命効果を提供する。
【0005】
トラスツズマブは、高度に発現され、時には種々の型の癌において変異するHER2受容体を標的とする。3つの使用の方法が承認されている。1.トラスツズマブは、HER2過剰発現リンパ節転移陽性乳癌を患う患者の補助療法のためのドキソルビシン、シクロホスファミド及びパクリタキセルを含有する治療レジメンの一部として用いられる。2.単剤としてトラスツズマブは、腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する転移性乳癌を患い且つその転移性疾患について1つ又はそれ以上の化学療法治療レジメンを受けている患者の治療に用いられる。3.トラスツズマブは、パクリタキセルと組み合わせて、腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する転移性乳癌を患い且つその転移性疾患について化学療法を受けていない患者の治療に用いられる。患者がトラスツズマブ治療に反応しない場合には、追加治療の選択として、ラパチニブとカペシタビンとの組み合わせを用いる治療が挙げられる。
【0006】
大部分の治療薬と同様に、乳癌の治療についてトラスツズマブが承認されているにもかかわらず、副作用がその使用に由来する。例えば、トラスツズマブを受け入れている患者で生じる一般的な副作用としては、発熱、悪心、嘔吐、点滴反応、下痢、感染症、咳の増加、頭痛、疲労、呼吸困難、発疹、好中球減少、貧血及び筋肉痛が挙げられる。トラスツズマブ治療の中断又は中止を必要とする副作用としては、重篤な点滴反応、CHF、及び左心室心機能の著しい低下が挙げられる。
【0007】
さらに大きな関心事は、腫瘍の治療のためのトラスツズマブの利用は、初期には腫瘍の大きさを縮小し得るが、最終的には腫瘍が大きさを増し、とりわけ、耐性の発現を示し得るという考えが高まりつつあることである。トラスツズマブは、その使用は癌に効果があるが、他の種々の因子(これらは、完全には知られていない)が、腫瘍が耐性を発現し、進行するという点で、癌治療に使用されている種々の型の治療薬の代表となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、必要とされるのは、薬剤の効果を高め且つ従来の治療に典型的に付随する副作用を減らす及び/又は除去できる治療薬の併用において認められる相乗作用を利用する癌の治療の併用療法及び/又は方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの実施形態は、癌を患う被検体(subject)を治療する方法であって、前記被検体に1,2−ジフェニルピロール誘導体あるいはその製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、多形体又はプロドラッグと、代謝拮抗物質とからなる組み合わせの治療有効量を投与することからなる、方法である。
【0010】
別の実施形態は、前記方法であって、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、次式:
【化1】

(式中:
Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であるか又はアミノ基であり;
は、フェニル基であって、非置換であるか又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基であり;
は、水素原子;1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、アリール基;あるいはアラルキル基であり;前記アリール基は、炭素環中に6〜14個の環炭素原子を有し、非置換であるか又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
前記アラルキル基は、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであって前記で定義したような少なくとも1個のアリール基で置換されたアルキル基であり;
前記置換基αは、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択され;
前記置換基βは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;1〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基;メルカプト基;1〜6個の炭素原子を有するアルカノイルチオ基;1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基;1〜6個の炭素原子を有するハロアルコキシ基;並びに1〜6個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグからなる群から選択される)
を有する、前記方法である。
【0011】
別の実施形態は、前記方法であって、
Rが、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
が、メチル基又はアミノ基であり;
が、非置換フェニル基であるか、又は置換フェニル基であって、ハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;1〜4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基;及び1〜4個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
が、水素原子、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基、又は置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基であり;
が、水素原子;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基;3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;アリール基であって、6〜10個の環炭素原子を有し、非置換であるか又はハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;及び3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアリール基;並びにアラルキル基であってそのアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有し且つ少なくとも1個の前記アリール基を含有するアラルキル基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグである、前記方法である。
【0012】
別の実施形態は、前記方法であって、
Rが水素原子であり;
がアミノ基であり;
が、非置換フェニル基であるか、又は置換されたフェニル基であって、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
が、水素原子、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基又は1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基であり;
が、水素原子;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基;3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;アリール基であって、6〜10個の環炭素原子を有し、非置換であるか又はヒドロキシ基;ハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し且つ非置換であるか又は少なくとも1個のハロゲン原子で置換されたアルキル基;及び3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアリール基;並びにアラルキル基であってそのアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有し且つ少なくとも1個の前記アリール基を含有するアラルキル基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグである、前記方法である。
【0013】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、4−メチル−2−(4−メチルフェニル)−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(4−メトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(4−クロロフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;4−メチル−2−(4−メチルチオフェニル)−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(3,4−ジメチルフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;4−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;1−(4−アセチルアミノスルホニルフェニル)−4−メチル−2−(4−メトキシフェニル)ピロール;及び1−(4−アセチルアミノスルホニルフェニル)−4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)ピロールからなる群から選択される、前記方法である。
【0014】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールである、前記方法である。
【0015】
別の実施形態は、前記代謝拮抗物質が、ペメトレキセド、ラルチトレキセド又はメトトレキセートから選択される、前記方法である。
【0016】
別の実施形態は、前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、前記方法である。
【0017】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、前記方法である。
【0018】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体と前記代謝拮抗物質が、いずれかの順序で連続的に投与されるか又は同時に投与される、前記方法である。
【0019】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が最初に投与される、前記方法である。
【0020】
別の実施形態は、前記代謝拮抗物質が最初に投与される、前記方法である。
【0021】
別の実施形態は、前記組み合わせを投与すると前記被検体の治療を高める、前記方法である。
【0022】
別の実施形態は、前記組み合わせを投与すると、前記代謝拮抗物質単独での治療又は前記1,2−ジフェニルピロール誘導体単独での治療と比べて癌の治療の副作用を軽減する、前記方法である。
【0023】
別の実施形態は、前記組み合わせの投与が、経口、非経口、口腔内、鼻腔内、硬膜外、舌下、肺、局所、直腸又は経皮投与によるものである、前記方法である。
【0024】
別の実施形態は、前記組み合わせの投与が、非経口投与によるものである、前記方法である。
【0025】
別の実施形態は、非経口投与が、静脈内、皮下、鞘内又は筋肉内投与である、前記方法である。
【0026】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が毎日経口投与され及び前記代謝拮抗物質が、治療サイクル当たり毎日1回、隔日1回、7日毎に1回、14日毎に1回、21日毎に1回又は28日毎に1回から選択される頻度で注射によって投与される、前記方法である。
【0027】
別の実施形態は、前記癌が、口唇癌、前立腺癌、直腸癌、非小細胞肺癌、口唇及び口腔癌、肝癌、肺癌、肛門癌、腎臓癌、外陰癌、乳癌、口腔咽頭癌、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、尿道癌、小腸癌、胆管癌、膀胱癌、卵巣癌、喉頭癌、下咽頭癌、胆嚢癌、結腸癌、結腸直腸癌、頭頸部癌、副甲状腺癌、陰茎癌、膣癌、甲状腺癌、膵癌、食道癌、ホジキンリンパ腫、白血病関連疾患、菌状息肉腫及び脊髄異形成症候群からなる群から選択される、前記方法である。
【0028】
別の実施形態は、前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、及び頭頸部癌である、前記方法である。
【0029】
別の実施形態は、前記癌が、癌腫、腫瘍、新生物、リンパ腫、黒色腫、神経膠腫、肉腫、及び芽細胞腫である、前記方法である。
【0030】
別の実施形態は、前記癌腫が、癌腫、腺癌、腺様嚢胞癌、腺扁平上皮癌、副腎皮質癌、高分化型癌、扁平上皮細胞癌、漿液癌、小細胞癌、浸潤性扁平上皮細胞癌、大細胞癌、島細胞癌、燕麦細胞癌、扁平上皮癌、未分化癌、いぼ状癌、腎細胞癌、乳頭漿液腺癌、メルケル細胞癌、肝細胞癌、軟組織癌、気管支腺癌、毛細血管癌、バルトリン腺癌、基底細胞癌、腺肉腫、乳頭腫/癌腫、明細胞癌、類内膜腺癌、中皮転移癌、粘膜類表皮癌、胆管癌、光線角化症、嚢胞腺種、及び肝細胞腺腫からなる群から選択される、前記方法である。
【0031】
別の実施形態は、前記腫瘍が、星状細胞腫、悪性中皮腫、卵巣胚細胞腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、ウイルムス腫瘍、下垂体腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、ガストリノーマ、生殖細胞性腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、脳腫瘍、松果体及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、ソマトスタチン分泌腫瘍、内胚葉洞腫瘍、カルチノイド、中枢性大脳星状細胞腫、グルカゴノーマ、肝細胞腺腫、インスリノーマ、髄様上皮腫、形質細胞腫、ビポーマ及び褐色細胞腫からなる群から選択される、前記方法である。
【0032】
別の実施形態は、前記新生物が、上皮内腫瘍、多発性骨髄腫/形質細胞腫、形質細胞腫、上皮間扁平上皮細胞新形成、子宮内膜増殖症、限局性結節性過形成、血管内皮腫及び悪性胸腺腫からなる群から選択される、前記方法である。
【0033】
別の実施形態は、前記リンパ腫が、神経系リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫及びワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症からなる群から選択される、前記方法である。
【0034】
別の実施形態は、前記黒色腫が、末端部黒子黒色腫、表在性拡大型黒色腫、ブドウ膜黒色腫、悪性黒子黒色腫、黒色腫、眼内黒色腫、腺癌結節性黒色腫及び血管腫からなる群から選択される、前記方法である。
【0035】
別の実施形態は、前記肉腫が、腺腫、腺肉腫、軟骨肉腫、子宮内膜間質肉腫、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、肉腫、子宮肉腫、骨肉腫及び偽肉腫からなる群から選択される、前記方法である。
【0036】
別の実施形態は、前記神経膠腫が、神経膠腫、脳幹神経膠腫、並びに視床下及び視覚路神経膠腫からなる群から選択される、前記方法である。
【0037】
別の実施形態は、前記芽細胞腫が、肺芽細胞腫、肺胸膜芽細胞腫、網膜細胞腫、神経芽細胞腫、髄芽腫、グリア芽細胞腫及び血管芽細胞腫からなる群から選択される、前記方法である。
【0038】
別の実施形態は、腫瘍細胞の分化を誘導する方法であって、前記細胞を、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせの有効量と接触させ、それによって前記組み合わせが腫瘍細胞の分化を誘導することからなる、腫瘍細胞の分化を誘導する方法である。
【0039】
別の実施形態は、癌細胞の増殖を阻止する方法であって、癌細胞を、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させ、それによって前記組み合わせが癌細胞の増殖を阻止することからなる、方法である。
【0040】
別の実施形態は、癌細胞の増殖を抑制する方法であって、前記細胞に、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを送達させることからなり、それによって細胞増殖の抑制が1,2−ジフェニルピロール誘導体単独又は代謝拮抗物質単独で引き起こされる抑制よりも大きい、方法である。
【0041】
別の実施形態は、ATPの分子を用いて自己リン酸化を調節する方法であって、癌細胞に、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせの有効量を送達させることからなり、前記組み合わせがATPの分子により自己リン酸化を阻害する、方法である。
【0042】
別の実施形態は、腫瘍細胞の転移を阻止する方法であって、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせの有効量を、前記組み合わせが腫瘍細胞の転移活性を阻害するように投与することからなる、方法である。
【0043】
別の実施形態は、癌細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、前記癌細胞を、アポトーシスを誘導するのに十分な、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させることからなる、方法である。
【0044】
別の実施形態は、癌細胞を代謝拮抗物質の存在に感作させる方法であって、前記癌細胞は、代謝拮抗物質による治療に耐性を発現し、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを投与することからなり、前記組み合わせが前記癌細胞を前記代謝拮抗物質に感作する、方法である。
【0045】
別の実施形態は、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを投与することからなる、代謝拮抗物質による治療に対する癌細胞の耐性を処理する方法である。
【0046】
別の実施形態は、癌細胞のプロスタグランジン合成を調節する方法であって、前記細胞を、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させることからなり、前記組み合わせが癌細胞のプロスタグランジン合成を阻害する、方法である。
【0047】
別の実施形態は、癌細胞のシクロオキシゲナーゼの発現を調節する方法であって、前記細胞に、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを送達させることからなり、前記組み合わせが癌細胞のシクロオキシゲナーゼの発現を阻害する、方法である。
【0048】
別の実施形態は、癌細胞の血管新生を調節する方法であって、前記細胞を1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させることからなり、前記組み合わせが癌細胞の血管新生を阻害する、方法である。
【0049】
別の実施形態は、被検体の新生物及び/又は新生物関連疾患のための従来の治療の用量を減少させる方法であって、被検体に1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを投与することからなり、前記組み合わせが新生物及び/又は新生物関連疾患のための従来の治療の用量を減少させる、方法である。
【0050】
別の実施形態は、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質との組み合わせを投与することからなる、新生物及び/又は新生物関連疾患を治療する方法である。
【0051】
別の実施形態は、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質との組み合わせ、あるいはこれらのそれぞれの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグからなる、癌を治療するための併用療法である。
【0052】
別の実施形態は、前記併用療法であって、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、次式:
【化2】

(式中:
Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であるか又はアミノ基であり;
は、フェニル基であって、非置換であるか又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基であり;
は、水素原子;1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、アリール基;あるいはアラルキル基であり;前記アリール基は、炭素環中に6〜14個の環炭素原子を有し、非置換であるか又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
前記アラルキル基は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって前記で定義したような少なくとも1個のアリール基で置換されたアルキル基であり;
前記置換基αは、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択され;
前記置換基βは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;1〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基;メルカプト基;1〜6個の炭素原子を有するアルカノイルチオ基;1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基;1〜6個の炭素原子を有するハロアルコキシ基;並びに1〜6個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグからなる群から選択される)
を有する、併用療法である。
【0053】
別の実施形態は、前記併用療法であって、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、次式:
【化3】

(式中:
Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、メチル基又はアミノ基であり;
は、非置換フェニル基であるか、又は置換フェニル基であって、ハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;1〜4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基;及び1〜4個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基、又は1〜4個の炭素原子を有する置換アルキル基であって、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基であり;
は、水素原子;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基;3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;アリール基であって、6〜10個の環炭素原子を有し、非置換であるか又はハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;及び3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアリール基;並びにアラルキル基であってそのアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有し且つ少なくとも1個の前記アリール基を含有するアラルキル基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグである)
を有する、併用療法である。
【0054】
別の実施形態は、前記併用療法であって、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、次式:
【化4】

(式中:
Rは水素原子であり;
はアミノ基であり;
は、非置換フェニル基であるか、又は置換されたフェニル基であって、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基又は1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基であり;
は、水素原子;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基;3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;アリール基であって、6〜10個の環炭素原子を有し、非置換であるか又はヒドロキシ基;ハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し且つ非置換であるか又は少なくとも1個のハロゲン原子で置換されたアルキル基;及び3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアリール基;並びにアラルキル基であってそのアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有し且つ少なくとも1個の前記アリール基を含有するアラルキル基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグである)
を有する、併用療法である。
【0055】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールである、前記併用療法である。
【0056】
別の実施形態は、前記代謝拮抗物質がペメトレキセド、ラルチトレキセド又はメトトレキセートから選択される、前記併用療法である。
【0057】
別の実施形態は、前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、前記併用療法である。
【0058】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、前記併用療法である。
【0059】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、経口、非経口、口腔、鼻腔内、硬膜外、舌下、肺、局所、直腸、又は経皮形態である、前記併用療法である。
【0060】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が非経口形態である、前記併用療法である。
【0061】
別の実施形態は、前記非経形態が静脈内、皮下、鞘内又は筋肉内形態である、前記併用療法である。
【0062】
別の実施形態は、前記併用療法が、1日に1回投与するのに適している、前記併用療法である。
【0063】
別の実施形態は、前記併用療法が癌用の従来治療よりも低い用量を含有する、前記併用療法である。
【0064】
別の実施形態は、前記併用療法が癌治療の副作用を軽減する、前記併用療法である。
【0065】
別の実施形態は、前記併用療法が癌の治療を高める、前記併用療法である。
【0066】
別の実施形態は、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質との組み合わせ、及び製薬学的に許容し得る賦形剤又は担体を含有する、癌を治療するための併用療法である。
【0067】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールである、前記併用療法である。
【0068】
別の実施形態は、前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、前記併用療法である。
【0069】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、前記併用療法である。
【0070】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が乳癌である前記方法である。
【0071】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が乳癌である前記方法である。
【0072】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が乳癌である前記方法である。
【0073】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が乳癌である前記方法である。
【0074】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である前記方法である。
【0075】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である前記方法である。
【0076】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である前記方法である。
【0077】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である前記方法である。
【0078】
別の実施形態は、前記患者に2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールを約400mg/日の用量で投与し及びペメトレキセドを、500mg/mの用量で、21日サイクル毎にその1日目に静脈内注射として投与することからなる前記方法である。
【0079】
別の実施形態は、前記患者に2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールを約100〜約1200mg/日の用量で投与し及びペメトレキセドを約75〜約500mg/mの用量で、21日サイクル毎にその1日目に静脈内注射として投与することからなる前記方法である。
別の実施形態は、さらに、シスプラチン又はカルボプラチンを追加療法として投与することからなる前記方法である。
【0080】
別の実施形態は、さらに、前記被検体に、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質の組み合わせの他に、1つ又はそれ以上の療法を投与することからなる、前記方法である。
【0081】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が乳癌である前記方法である。
【0082】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である前記方法である。
【0083】
別の実施形態は、前記1つ又はそれ以上の療法が、放射線療法、化学療法、幹細胞移植片を用いる高用量化学療法、ホルモン療法及びモノクロナール抗体療法の1つ又はそれ以上からなる、前記方法である。
【0084】
別の実施形態は、放射線療法が体内及び/又は体外放射線療法からなる前記方法である。
【0085】
別の実施形態は、前記化学療法が、前記被検体に、ベンダムスチン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド注射、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、ペントスタチンIV、チオグアニン、エトポシド、エトポシドIV、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロンあるいはプレドニゾンの1つ又はそれ以上を投与することからなる前記方法である。
【0086】
別の実施形態は、さらに、前記被検体に2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとペメトレキセドとの組み合わせの他に、1つ又はそれ以上の療法を投与することからなる前記方法である。
【0087】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が乳癌である前記方法である。
【0088】
別の実施形態は、前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である前記方法である。
【0089】
別の実施形態は、前記1つ又はそれ以上の療法が、放射線療法、化学療法、幹細胞移植片を用いる高用量化学療法、ホルモン療法及びモノクロナール抗体療法の1つ又はそれ以上からなる前記方法である。
【0090】
別の実施形態は、放射線療法が、体内及び/又は体外放射線療法からなる前記方法である。
【0091】
別の実施形態は、前記化学療法が、前記被検体に、ラパチニブ、カペシタビン、パクリタキセル、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド注射、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、ペントスタチンIV、チオグアニン、エトポシド、エトポシドIV、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、デキサメタゾン、メチルプレドニソロン又はプレドニゾン及びベンダムスチンの1つ又はそれ以上を投与することからなる前記方法である。
【0092】
別の実施形態は、癌細胞の免疫応答を調節する方法であって、前記細胞を1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させることからなり、前記組み合わせが癌細胞の免疫応答を調節する、方法である。
【0093】
別の実施形態は、前記被検体に、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとペメトレキセドとの組み合わせを投与すると、ペメトレキセド単独投与と比べて腫瘍増殖遅延の増大を提供する前記方法である。
【0094】
別の実施形態は、前記被検体に、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとペメトレキセドとの組み合わせを投与すると、ペメトレキセド単独投与と比べて腫瘍増殖遅延において少なくとも100%の増大を提供する前記方法である。
【0095】
別の実施形態は、ホルモン療法が、前記被検体にタモキシフェン、レトロゾール、アナストロゾール又はエキセメスタンを投与することからなる前記方法である。
【0096】
別の実施形態は、前記ホルモン療法が、前記被検体にタモキシフェン、レトロゾール、アナストロゾール又はエキセメスタンを投与することからなる前記方法である。
【0097】
別の実施形態は、前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がメトトレキセートである、前記方法である。
【0098】
別の実施形態は、1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がラルチトレキセドである、前記方法である。
【0099】
別の実施形態は、さらに、選択的にHER2受容体に結合するモノクロナール抗体を投与することからなる前記方法である。
別の実施形態は、前記HER2受容体に結合する前記モノクロナール抗体がトラスツズマブである前記方法である。
文献の援用
【0100】
本明細書に記載の全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許及び特許出願が参照することによって組み込まれていることを具体的に及び個々に示されているかのように、同じ程度に参照することによって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施例11に記載のBT474キセノグラフ研究について表で表した概要を示す。
【図2】実施例11に記載のBT474キセノグラフ研究についてグラフで表した概要を示す。
【図3】実施例11に記載のMCF−7キセノグラフ研究について表で表した概要を示す。
【図4】実施例11に記載のMCF−7キセノグラフ研究についてグラフで表してまとめた概要を示す。
【図5】実施例11に記載のMX−1キセノグラフ研究について表で表した概要を示す。
【図6】実施例11に記載のMX−1キセノグラフ研究についてグラフで表した概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0102】
1,2−ジフェニルピロール誘導体(COX−2選択的阻害薬)と抗HER2抗体とからなる併用療法の投与に基づいて癌を治療する方法が、本明細書において提供される。また、腫瘍、腫瘍関連疾患及び/又は癌を患う被検体を治療する方法であって、前記被検体に2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとトラスツズマブからなる組み合わせの治療有効量を投与することからなる、方法が、本明細書において提供される。さらにまた、1,2−ジフェニルピロール誘導体(COX−2選択的阻害薬)と、HER2[ErbB2]の小分子受容体チロシンキナーゼ阻害薬とからなる併用療法の投与に基づいて癌を治療する方法が、提供される。また、腫瘍、腫瘍関連疾患及び/又は癌を患う被検体を治療する方法であって、前記被検体に2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと、CP−724714、ARRY−380及びCP−654577から選択されるHER2[ErbB2]の小分子受容体チロシンキナーゼ阻害薬とからなる組み合わせの治療有効量を投与することからなる、方法が、本明細書において提供される。
【0103】
前記方法は、さらに、前記組み合わせが1つ又はそれ以上の治療薬又は療法が追加される治療を包含し得る。
【0104】
本発明の方法及び療法は、その他のCOX−2阻害薬を基剤とした組み合わせと比べて優れた結果を示す。例えば、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとトラスツズマブとからなる本発明の組み合わせは、セレコキシブとトラスツズマブとからなる組み合わせと比べて、腫瘍増殖遅延において100%の増大を示す。2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルホニルフェニル)−ピロールを約5〜約25mg/kgの用量で含有し且つトラスツズマブを含有する組み合わせは、顕著な相乗効果を示す。例えば、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールを約10mg/kgの用量で含有し且つトラスツズマブを15mg/kgの用量で含有する組み合わせは、トラスツズマブ単独の投与と比べて、腫瘍増殖遅延を100%まで増大させた。これに対して、セレコキシブとトラスツズマブとを含有する組み合わせは、トラスツズマブ単独の投与と比較すると、腫瘍増殖遅延について有意な効果を示さなかった。
【0105】
本明細書に示す開示の理解を容易にするために、多数の用語を以下に定義する。
【0106】
本明細書で使用する「異常細胞増殖」とは、正常な調節機構(例えば、接触阻止の喪失)とは無関係の細胞増殖、例えば正常細胞の異常増殖及び異常細胞の増殖を指す。
【0107】
本明細書に記載の「新形成」とは、自律的増殖及び体細胞突然変異によって正常細胞と区別される細胞の異常な、調節されない、無秩序な増殖である。新生物細胞は、新生物増殖し、分裂するにつれて、その遺伝子変異及び増殖特性を子孫細胞に伝える。新生物、すなわち腫瘍は、新生物細胞の蓄積である。幾つかの実施形態において、新生物は、良性又は悪性であることができる。
【0108】
本明細書で使用する「転移」とは、リンパ管又は血管を介する腫瘍細胞の播種を指す。また、転移とは、漿膜腔、あるいはくも膜下又はその他の空間を介して直接広がることによる腫瘍細胞の移動を指す。転移のプロセスにより、体のその他の領域への腫瘍細胞の移動は、最初の出現の部位から離れた領域に新生物を定着させる。
【0109】
本明細書で使用する「血管新生」は、腫瘍の形成及び転移において支配的である。血管新生因子は、数種の固形腫瘍、例えば横紋筋肉腫、網膜細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫及び骨肉腫に関連して認められている。腫瘍は、栄養分を供給し、細胞排出物を除去するために血液供給なしには拡大できない。血管新生が重要である腫瘍としては、固形腫瘍、例えば腎細胞癌、肝細胞癌、及び良性腫瘍、例えば聴神経腫及び神経線維腫が挙げられる。血管新生は、血行性腫瘍、例えば白血病に関連している。血管新生は、白血病を引き起こす骨髄の異常において役割を果たすと考えられる。血管新生の防止は、癌性腫瘍の増殖や腫瘍の存在による被検体に対してもたらされる損傷を停止できる。
【0110】
「被検体(subject)」という用語は、動物、例えば、以下に限定されないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット又はマウスを指す。「被検体」という用語と、「患者(patient)」という用語は、哺乳動物被検体、例えばヒト被検体に関連して本明細書では同じ意味で使用される。
【0111】
「治療する」、「治療しつつある」及び「治療」という用語は、障害、疾患又は状態;あるいは障害、疾患又は状態に付随する1つ又はそれ以上の症状を軽減するか又は撤回すること;あるいは障害、疾患又は状態それ自体の原因を減らすか又は根絶することを包含することを意味する。
【0112】
「治療有効量」という用語は、投与した場合に、治療する障害、疾患又は状態の症状の1つ又はそれ以上の発症を防止するか又はある程度まで軽減するのに十分な化合物の量を指す。また、「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は臨床医によって求められる細胞、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発するのに十分な化合物の量を指す。
【0113】
「製薬学的に許容し得る担体」、「製薬学的に許容し得る賦形剤」、「生理学的に許容し得る担体」又は「生理学的に許容し得る賦形剤」という用語は、製薬学的に許容し得る材料、組成物又はビヒクル、例えば液状又は固形の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料を指す。それぞれの成分は、医薬製剤のその他の成分に適合するという意味で「製薬学的に許容し得る」ものでなければならない。また、それぞれの成分は、合理的な便益/リスク比に相応した、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、あるいはその他の問題又は合併症なしに、ヒト及び動物の組織又は器官と接触させて使用するのに適してものでなければならない。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition;Rowe et al.,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005;及びHandbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition;Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformation and Formulation,Gibson Ed.,CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2004.参照。
【0114】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に開示された化合物と、その他の化学成分、例えば希釈剤又は担体との混合物を指す。医薬組成物は、化合物の生体への投与を容易にする。化合物を投与する多数の方法、例えば、以下に限定されないが、経口、注射、エアロゾル、非経口及び局所投与が、当該技術において存在する。また、医薬組成物は、化合物を無機又は有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などと反応させることによって得ることができる。
【0115】
シクロオキシゲナーゼ
シクロオキシゲナーゼ(COX)は、プロスタノイドと呼ばれる重要な生物学的メディエーター、例えばプロスタグランジン、プロスタサイクリン及びトロンボキサンの形成に関与する酵素である。COXは、アラキドン酸(ω−6必須脂肪酸)を、プロスタグランジンH(PGH)(第2系列のプロスタノイドの前駆物質)に変換する。この酵素は、2つの活性部位:すなわちPGGのPGHへの還元に関与するペルオキシダーゼ活性を有するヘムと、アラキドン酸をヒドロペルオキシエンドペルオキシドプロスタグランジンG(PGG)に変換するシクロオキシゲナーゼ部位とを含む。反応は、ペルオキシダーゼ活性部位によって産生されるチロシンラジカルによりアラキドン酸から水素原子引き抜きによって進行し、次いで2個の酸素分子がアラキドン酸ラジカルと反応し、PGGを生成する。
【0116】
COX−1は、その他の部位の中の胃粘膜及び腎臓でのプロスタグランジンの生合成に関与する構成酵素である。COX−2は、炎症細胞においてプロスタグランジンの生合成に関与する誘導遺伝子によって産生される酵素である。炎症は、COX−2の誘導を生じ、末梢侵害受容器末端を感作し、局在性痛覚過敏、炎症及び浮腫を生じるプロスタノイド(プロスタグランジンE2)の放出をもたらす。
COX−2の過剰発現及び癌
【0117】
COX−2の過剰発現並びにプロスタグランジン合成経路の上流及び下流酵素の発現は、多数の癌種及び幾つかの前癌病変で立証されている。細胞生存率を高めるか又は血管新生を刺激するためにオートクライン又はパラクリン経路によるプロスタグランジン類とこれらの受容体との直接相互作用は、COX酵素の前発癌機能に内在する分子メカニズムとして提案されている。
【0118】
研究により、シクロオキシゲナーゼによって合成されたプロスタグランジン類が癌の発症及び促進において役割を果たすことが示されている。異常なCOX−2発現は、結腸直腸癌及び腺腫において最初に報告され、現在、乳癌を含め種々のヒト癌において発見されている。また、COX−2は、結腸、乳房、肺、前立腺、食道、膵臓、腸、頸管、卵巣、膀胱及び頭頸部の腫瘍性病変で過剰発現される(以下の表1参照)
【表1】

【0119】
マウス乳腺でのCOX−2の過剰発現は、腫瘍形成を生じるのに十分である。幾つかの生体外(in vitro)及び動物モデルにおいて、COX−2阻害薬は、腫瘍の増殖及び転移を阻止した。
【0120】
癌それ自体の他に、COX−2はまた、COX−2が血管新生において役割を果たすことを示す過形成病変び新生物病変内並びに隣接した血管原性血管系で発現する。マウス及びラットの両方において、COX−2阻害薬は、bFGF誘発新血管形成を著しく阻止した。化学的予防薬、抗血管新生薬及び化学療法薬としてのCOX−2阻害薬の利用は、文献に記載されている(Koki et al.,Exp.Opin.,Invest.Drugs,1999,8(10)1623−38)。
【0121】
さらに、幾つかの研究は、COX−2の発現は、進行性乳癌のパラメーター、例えば大きな腫瘍サイズ、陽性脇窩リンパ節転移及びHER2陽性腫瘍状態に関連することを示唆している。マウス及びラットでの乳腺腫瘍の研究は、中程度〜高度のCOX−2発現が、非特異的及び特異的COX−2阻害薬を用いた治療に感受性である乳腺腫瘍の発生に関連していることを示している。HER2 TKRとCOX−2との間の関係の研究は、HER2シグナル伝達とHER2陽性乳癌におけるCOX−2発現との関連を明らかにしている(Subbaramaiah et al.,J.Biol.Chem.,2002,277,18649−657)。
受容体チロシンキナーゼ
【0122】
タンパク質チロシンキナーゼは、ATP又はGTPからタンパク質基質に配置されたチロシン残基へのリン酸基の移動を触媒する酵素の1種である。タンパク質チロシンキナーゼは、正常細胞の増殖において明らかに役割を果たす。増殖因子受容体タンパク質の多くが、チロシンキナーゼとして機能し、これらがシグナル伝達を行うのはこのプロセスによる。増殖因子とこれらの受容体との相互作用は、細胞増殖の正常な調節に必要な事象である。しかし、ある条件下では、突然変異又は過剰発現の結果として、これらの受容体は、調節解除されてしまうことができ;その結果は、腫瘍の増殖及び最終的に癌をもたらすことができる制御されない細胞増殖である(Wilks,Adv.Cancer Res.,1993,60,43)。同定されており且つ本明細書において提示される前記組み合わせの標的である増殖因子受容体キナーゼ類及びこれらのプロトオンコジーン類の中に、上皮増殖因子受容体キナーゼ(EGFRキナーゼ、すなわちerbB癌遺伝子のタンパク質産物)、及びerbB−2(neu又はHER2ともいう)癌遺伝子によって産生される生成物がある。リン酸化事象は、細胞分裂が生じるために必要なシグナルであることから及び過剰発現又は変異キナーゼは癌に関連していることから、この事象の阻害薬、すなわちタンパク質チロシンキナーゼ阻害薬は、制御されない又は異常な細胞増殖に特徴がある癌及びその他の疾患の治療に治療的価値を有するであろう。例えば、erbB−2癌遺伝子の受容体キナーゼ産物の過剰発現は、ヒトの乳癌及び卵巣癌に関連している(Slamon et al.,Science,1989,244,707)。EGFRキナーゼの調節解除は、類表皮腫瘍及びその他の主要な器官に関係する腫瘍に関連している。癌の発病において調節解除された受容体キナーゼが果たす役割の重要性から、多くの最近の研究は、抗癌治療薬として特異的タンパク質チロシンキナーゼ阻害薬の開発に関係している。
【0123】
受容体チロシンキナーゼは、細胞膜上に広がり、上皮増殖因子(EGF)などの増殖因子のための細胞外結合ドメイン、貫膜ドメイン、及びタンパク質の特定のチロシンキナーゼ残基をリン酸化し、従って細胞の増殖に影響を及ぼすキナーゼとして機能する細胞内部分を有している。EGF受容体チロシンキナーゼファミリーは、4つのメンバー:EGFR(HER1、erbB1);HER2(c−erbB2、erbB2、neu);HER3(erbB3);及びHER4(erbB4)を有する。ErbB受容体は、一般に、シグナルを2つの経路によって変換する。このようなキナーゼは、一般的なヒト癌、例えば乳癌、結腸、直腸又は胃の消化管癌、白血病、並びに卵巣癌、気管支癌又は膵癌において頻繁に及び異常に発現されることが知られている。前述のように、上皮増殖因子受容体(EGFR)は、多くのヒト癌、例えば脳腫瘍、肺癌、扁平上皮細胞癌、膀胱癌、胃癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、婦人科癌及び甲状腺腫瘍において変異及び/又は過剰発現する。
【0124】
HER2
前述のように、HER2(ErbB−2又はneuとしても知られている)は、上皮増殖因子受容体(ErbB)ファミリーのメンバーであり、乳癌の発病において又は治療の標的としその役割について注目に値する。HER2は、細胞膜表面結合受容体チロシンキナーゼであり、通常、細胞の増殖及び分化をもたらすシグナル伝達経路に関与する。HER2は、オーファン受容体であると考えられ、EGFファミリーのリガンドのいずれもそれを活性化することができない。しかし、ErbB受容体は、リガンド結合上で二量化し、HER2がErbBファミリーの他のメンバーの優先的二量化パートナーである。
【0125】
HER2遺伝子は、第17ヒト染色体長碗(17q11.2−q12)に配置されたプロトオンコジーンである。約25〜30%の乳癌は、HER2遺伝子の増幅又はそのタンパク質産物の過剰発現を有している。乳癌におけるこの受容体の過剰発現は、高められた疾患再発及び予後の悪化に関連する。癌遺伝子neuは、ラットの神経芽細胞腫細胞系から誘導されていることから、そのように呼ばれる。HER2は、ヒト上皮増殖因子受容体、すなわちHER1に類似した構造をすることから命名された。ErbB2は、ErbB(鳥類赤芽球症癌遺伝子B)とのその類似性に由来して命名され、この癌遺伝子は、後にEGFRをコードすることが見出された。遺伝子クローニングは、neu、HER2及びErbB2が同じであことを示した。
【0126】
一般的に、HER2の状態を調べる2つの方法がある。1つは、遺伝子増幅の測定:FISH又は蛍光in−situハイブリダイゼーションは、増幅されたHER2遺伝子、従って過剰HER2タンパク質を同定するのに使用される遺伝子診断検査である。この検査が、過剰な数の遺伝子を示す場合には、検査はHER2陽性とみなされる。この検査が、正常な数の遺伝子を示す場合には、検査はHER2陰性とみなされる。もう1つは、タンパク質発現の測定:IHC又は免疫組織化学、HER2遺伝子の多すぎるコピーによって生じた過剰発現HER2タンパク質を同定するのに使用されるタンパク質診断検査。IHCは、HER2タンパク質過剰発現を種々のレベル:0、1+、2+及び3+で測定する。この検査が2+である場合には、検査は、FISH検査がHER2陽性又は陰性状態を確認するために実施されるべきであることを推奨する。腫瘍が3+である場合には、検査はHER2陽性である。
【0127】
シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)がHER2の効果に介在し得るという証拠が増えてきている。前述のように、COX−2は、アラキドン酸のプロスタグランジン(PG)への転化を触媒する。高濃度のCOX−2及びその主生成物PGE2が、HER2を過剰発現するヒト乳癌細胞及び腫瘍で認められているが、正常な乳房組織では認められていない。COX−2の過剰発現が、アポトーシス、特にNO介在アポトーシスに対する耐性を増大することが示唆されている。また、Akt活性とCOX−2発現との間に関連があると思われる。
【0128】
乳癌
HER2の過剰発現に関連した癌としては、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、胃癌、唾液腺癌、膵癌、結腸直腸癌、口腔癌及び非小細胞肺癌が挙げられる。乳癌は、抗HER2治療の中心になっている。
【0129】
今日、米国の女性の中で、乳癌は未だに最も頻繁に診断される癌である。米国の女性の8人中1人が、生存中に乳癌を発症する危険にさらされている。年齢、家族歴、食事及び遺伝因子が、乳癌について危険因子として特定されている。乳癌は、女性の中で第2の死亡原因である。
【0130】
乳癌について利用できる治療としては、放射線療法、化学療法、ホルモン療法、抗体療法又は補助としてのチロシンキナーゼ阻害薬療法が挙げられる。
【0131】
放射線療法は、高エネルギーX線又はその他の種類の放射線を使用して癌細胞を殺すか又は癌細胞を増殖させない癌治療である。化学療法は、薬物を使用して癌細胞を殺すか又は癌細胞が分裂するのを止めることによって癌細胞の増殖を止める癌治療である。化学療法薬が経口摂取されるか又は静脈又は筋肉内に注射されると、薬物は血流に入り、体全体の癌細胞に到達することができる(全身化学療法)。化学療法薬が脊柱、器官又は体腔、例えば腹部に直接に入れられると、薬物は主としてこれらの領域の癌細胞に影響を及ぼす(局所化学療法)。化学療法を行う方法は、治療される癌の種類及び段階に左右される。
【0132】
種々の化学療法薬が、乳癌を治療するための技術で知られている。乳癌を治療するために使用される細胞障害薬としては、ドキソルビシン、シクロホスファミド、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ミトキサントロン、パクリタキセル、タキサン製剤が挙げられ、例えば、単なる例として、アブラキサン(登録商標)(ABI−007)、パクリタキセル・クレモホール(Paclitaxel−Cremophor)EL、パクリタキセル・ポリグルメクス及びパクリタキセル・インジェクタブルエマルジョン(PIE)、ゲムシタビン、ドセタキセル、カペシタビン並びにエピルビシンが挙げられる。
【0133】
乳癌に対するその他の化学療法としては、ベンダムスチン、カルボプラチン(例えば、パラプラチン(登録商標))、カルムスチン(例えば、BCNU(登録商標))、クロラムブシル(例えば、レウケラン(登録商標))、シスプラチン(例えば、プラチノール(登録商標))、シクロホスファミド注射剤(例えば、シトキサン(登録商標))、経口シクロホスファミド(例えば、シトキサン(登録商標))、ダカルバジン(例えば、DTIC(登録商標))、イホスファミド(例えば、ifex(登録商標))、ロムスチン(例えば、CCNU(登録商標))、メクロレタミン(例えば、ナイトロジェンマスタード、Mustargen(登録商標))、メルファラン(例えば、アルケラン(登録商標))、プロカルバジン(例えば、マチューレン(登録商標))、ブレオマイシン(例えば、ブレノキサン(登録商標))、ドキソルビシン(例えば、アドリアマイシン(登録商標)、ルベックス(登録商標))、エピルビシン、イダルビシン(例えば、イダマイシン(登録商標))、ミトキサントロン(例えば、ノバントロン(登録商標))、ゲムシタビン(例えば、ジェムザール(登録商標))、経口メルカプトプリン(例えば、プリネトール(登録商標))、メトトレキセート、ペントスタチンIV(例えば、ニペント(登録商標))、経口チオグアニン(例えば、ランビス(登録商標))、経口エトポシド(例えば、VP−16、ベプシド(登録商標))、エトポホス)−エトポシドIV(例えば、VP−16、ベプシド(登録商標)、エトポホス)、ビンブラスチン(例えば、Velban(登録商標))、ビンクリスチン(例えば、オンコビン(登録商標))、ビノレルビン(例えば、ナベルビン(登録商標))、デキサメタゾン(例えば、デカドロン(登録商標))、メチルプレドニゾロン(例えば、メドロール(登録商標))、及びプレドニゾン(例えば、デルタゾン(登録商標))の1つ又はそれ以上を用いる治療が挙げられる。この開示は、これらの化学療法薬の1つ又はそれ以上を、本明細書に開示した療法、例えば2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとトラスツズマブからなる併用療法に加えることを意図する。
【0134】
ホルモン療法は、ホルモンを除去するか又はその作用をブロックし、癌細胞が増殖するのを止める癌治療である。タモキシフェンを用いるホルモン療法は、初期の乳癌を患う患者及び転移性乳癌(体の他の部分に広がっている癌)を患う患者に施用される場合が多い。タモキシフェン又はエストロゲンを用いるホルモン療法は、体全体の細胞全てに作用させることができ、子宮体癌を発症する機会を増大し得る。アロマターゼ阻害薬を用いるホルモン療法は、ホルモン依存性乳癌を患うある閉経後の女性に施用される。ホルモン依存性乳癌は、増殖するためにホルモンエストロゲンを必要とする。
【0135】
アロマターゼ阻害薬は、アロマターゼと呼ばれる酵素がアンドロゲンをエストロゲンに変えるのをブロックすることによって体のエストロゲンを減少させる。初期乳癌の治療のために、ある種のアロマターゼ阻害薬が、タモキシフェンの代わりに又はタモキシフェンの2年以上の後に補助療法として使用し得る。転移性乳癌の治療のために、アロマターゼ阻害薬が、タモキシフェンを用いたホルモン療法と比較するために臨床試験で試験されている。現在使用されているアロマターゼ阻害薬の例としては、アナストロゾール、レトロゾール及びエキセメスタンが挙げられる。
【0136】
チロシンキナーゼ阻害薬療法は、細胞増殖を妨害する及び/又は停止させるためにキナーゼシグナル伝達経路の阻止を伴う癌治療選択肢である。前述のように、HER2は、新しい抗癌療法の探索において重要な標的となっており、受容体のキナーゼ活性の小分子阻害薬は、重要な治療選択肢であることを証明している。キナーゼ阻害薬は、多数のキナーゼに対して活性を有し得る。この例は、EGFR[ErbB1](K=3nM)とHER2[ErbB2](K=13nM)の両方に活性を有する阻害薬ラパチニブである。あるいは、前記阻害薬は、HER2[ErbB2]に特異活性を有し得る。この例は、EGFR[ErbB1]K=6000nM及びHER2[ErbB2]K=7nMを有するCP−724,714である。HER2[ErbB2]選択的阻害薬の別の例としては、CP−654,577及びARRY−380が挙げられる。
【化5】

HER2(ErbB2)選択性チロシンキナーゼ阻害薬の化学構造
【0137】
モノクロナール抗体療法は、単一種の免疫系細胞から実験室で調製された抗体を使用する癌治療である。これらの抗体は、癌細胞表面の物質を特定できるし又は癌細胞の増殖を促進し得る標準物質を特定できる。前記抗体は、前記物質に付着し、癌細胞を殺し、その増殖をブロックするか又は癌細胞を伝播させない。モノクロナール抗体は、点滴によって施用される。モノクロナール抗体は、単独で使用してもよいし、あるいは薬物、毒素又は放射性物質を癌細胞に直接に運搬するのに使用してもよい。モノクロナール抗体はまた、補助療法として化学療法と組み合わせて使用される。
HER2に対するモノクロナール抗体
【0138】
HER2に対して親和性をもつモノクロナール抗体もまた、研究の主要な領域になっている。トラスツズマブ(ハーセプチン)は、HER2に作用するヒト化モノクロナール抗体である。トラスツズマブは、ヒト上皮増殖因子受容体2タンパク質HER2の細胞外ドメインに、細胞アッセイにおいて高親和性(K=5nM)で選択的に結合する組換えDNA由来のヒト化モノクロナール抗体である。この抗体は、HER2に結合するネズミ抗体(4D5)の相補性決定領域を有するヒトフレームワーク領域を含有するIgGκである。HER2に対するヒト化抗体は、哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣[CHO])の懸濁培養によって産生される。この抗体(4D5)を発現するハイブリドーマ細胞系の試料は、ATCCに、ATCC CRL 10463の番号として寄託されている。トラスツズマブは、HER2過剰発現リンパ節陽性乳癌を患う患者の補助治療のためにドキソルビシン、シクロホスファミド及びパクリタキセルを含む治療レジメンの一部として使用される。また、トラスツズマブは、単剤として、腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する転移性乳癌を患い、その転移性疾患について1つ又はそれ以上の化学療法を受けている患者の治療に使用される。また、トラスツズマブはパクリタキセルと組み合わせて、腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する転移性乳癌を患い、その転移性疾患について1つ又はそれ以上の化学療法レジメンを受けていない患者の治療に使用される。トラスツズマブは、7日毎に1回静脈内点滴として投与される。最初の点滴についてトラスツズマブの推奨される用量は、90分静脈内点滴として投与される4mg/kgである。最初の点滴が十分に耐えられるならば、2mg/kgの推奨されるその後の週毎の用量が、30分静脈内点滴として投与することができる。
HER2抗体治療に対する耐性
【0139】
前述のように、トラスツズマブ、すなわちHER2受容体チロシンキナーゼに対するモノクロナール抗体は、単剤として臨床反応を招き、進行性HER2陽性乳癌の化学療法に加えられた場合には生存率を向上させる。しかし、ある患者は、トラスツズマブに反応せず、最終的には臨床的耐性を発現する。固有の及び獲得されたトラスツズマブ耐性のメカニズムは、十分に理解されていない。耐性に関連する遺伝子及びタンパク変化を概説するために細胞系に基づいたアプローチを利用した1つの研究が報告されている(D.Tripathy et al.,Journal of Clinical Oncology,2005 Vol.23,No.16S,3121)。これらの研究者らは、トラスツズマブの存在下で生体外耐性が立証されるまで連続的に継体培養された2つのHER2陽性乳癌細胞系(BT474及びSKBR3)を詳しく調べた。耐性細胞系は、12ヶ月後に出現し、トラスツズマブ不存在下で3倍を超える早い増殖速度を示した。トラスツズマブ曝露の後に、G/G停止が、耐性細胞(84%対68%)と比べて敏感に観察され、S期の細胞は少ない(3%対14%)。耐性細胞系は、感受性細胞と比べて、トラスツズマブによる遺伝子発現のより少ない変化、並びにケモカイン受容体CXCR4及び有糸分裂チェックポイント調節因子のアップレギュレーション、並びにPTENのダウンレギュレーションを示した。
【0140】
従って、本明細書において提供されるように、1,2−ジフェニルピロール誘導体と、HER2受容体に選択的に結合するモノクロナール抗体との組み合わせからなる併用療法は、1つ又はそれ以上のその他の抗腫瘍物質、例えば有糸分裂阻害薬、例えば、ビンブラスチン;アルキル化剤、例えばシスプラチン、カルボプラチン及びシクロホスファミド;代謝拮抗物質、例えばカペシタビン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド及びヒドロキシ尿素、又は、例えば代謝拮抗物質、例えばN−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−1−グルタミン酸;増殖因子阻害薬;細胞周期阻害薬;挿入抗生物質、例えば、アドリアマイシン及びブレオマイシン;酵素、例えばインターフェロン;及び抗ホルモン、例えば抗エストロゲン、例えばノルバデックス(登録商標)(タモキシフェン)又は、例えば抗アンドロゲン、例えばカソデックス(登録商標)(4´−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3´−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド)から選択される抗腫瘍物質と共に施用し得る。
【0141】
一実施形態において、本発明は、1,2−ジフェニルピロール誘導体と、HER2受容体に選択的に結合するモノクロナール抗体との組み合わせであって、1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、HER2受容体に選択的に結合するモノクロナール抗体がトラスツズマブであり、1つ又はそれ以上の他の抗腫瘍物質、例えば有糸分裂阻害薬、例えば、ビンブラスチン;アルキル化剤、例えばシスプラチン、カルボプラチン及びシクロホスファミド;代謝拮抗物質、例えばカペシタビン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド及びヒドロキシ尿素、又は、例えば代謝拮抗物質、例えばN−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−1−グルタミン酸;増殖因子阻害薬;細胞周期阻害薬;挿入抗生物質、例えばアドリアマイシン及びブレオマイシン;酵素、例えばインターフェロン;及び抗ホルモン、例えば抗エストロゲン、例えばノルバデックス(登録商標)(タモキシフェン)又は、例えば、抗アンドロゲン、例えばカソデックス(登録商標)(4´−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3´−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド)から選択される抗腫瘍物質と共に施用し得る、組み合わせを提供する。
【0142】
HER2/neu陽性の乳癌の治療において、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとトラスツズマブとの組み合わせからなる併用療法が、その他の抗血管新生薬と組み合わせて、あるいは手術、放射線療法又は化学療法薬と組み合わせて、前記疾患を治療するのに使用できる。その他の化学療法薬としては、例えばパクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ラパチニブ、カペシタビン及びCL−387785が挙げられる。
【0143】
本明細書に記載の医薬組成物を有する併用療法を含む併用療法について、異常細胞増殖を阻止するのに有用な本明細書に記載の化合物(例えば、その他の抗増殖薬、抗血管新生薬、シグナル伝達阻害薬又は免疫系エンハンサー)の有効量は、本明細書に記載の化合物についての有効量及び化学療法薬又はその他の薬剤について知られているか又は記載されている有効量に基づいて、当業者が決定できる。このような療法及び組成物について製剤及び投与の経路は、単独有効成分として本明細書において提示される組み合わせからなる組成物及び療法について本明細書に記載の情報、及び化学療法薬又はそれと組み合わせたその他の薬剤について提供される情報に基づくことができる。
【0144】
一実施形態において、本発明は、被検体において異常細胞増殖を阻止する方法であって、前記被検体に1,2−ジフェニルピロール誘導体と、HER2受容体に選択的に結合するモノクロナール抗体との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はそのプロドラッグの有効量を、前記被検体において異常細胞増殖を阻止するのに有効な放射線療法と組み合わせて投与することからなる、方法を提供する。放射線療法を施用する技法は、当業者に知られており、これらの技法は、本明細書に記載の併用療法において使用できる。
【0145】
以下で例証するように、本明細書に開示された方法及び療法は、他のCOX−2阻害薬を基剤とする組み合わせと比べて優れた結果を示している。例えば、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとトラスツズマブとの組み合わせに基づいた本明細書に開示された組み合わせは、セレコキシブとトラスツズマブとを含有する組み合わせと比べて、腫瘍増殖遅延において100%増大を示す。2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールを約5〜約25mg/kgの用量で含有し且つトラスツズマブを含有する組み合わせは、顕著な相乗効果を示す。例えば、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールを約10mg/kgの用量で含有し且つトラスツズマブを15mg/kgの用量で含有する組み合わせは、トラスツズマブ単独の投与と比べて、腫瘍増殖遅延を100%増大した。これに対して、セレコキシブとトラスツズマブとを含有する組み合わせは、トラスツズマブ単独の投与と比較すると、腫瘍増殖遅延について有意な効果を示さなかった。
【0146】
2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロール
【0147】
2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロール(アプリコキシブとしても知られている)は、COX−2選択的阻害薬である。米国特許第6,887,893号明細書及びRE39,420号明細書は、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロール及びその他の化学的に関連した化合物の製造を記載している。
【化6】

2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの化学構造
【0148】
ペメトレキセド
ペメトレキセドは、化学名N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル−L−グルタミン酸と以下に示す構造を有する。
【化7】

【0149】
ペメトレキセドは、細胞の複製に不可欠な葉酸依存性代謝プロセスを混乱させることによってその作用を発揮する。生体外試験は、ペメトレキセドが、チミジン及びプリンヌクレオチドのデノボ生合成に関与する葉酸依存酵素であるチミジル酸シンターゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ及びグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼを阻害することを明らかにしている。
【0150】
ペメトレキセドは、現在幾つかの疾患に使用されている。ペメトレキセドは、シスプラチンと組み合わせて、局所進行又は転移性非扁平上皮非小細胞肺癌の初期治療に使用される。また、ペメトレキセドは、局所進行又は転移性非扁平上皮非小細胞肺癌の難治性治療に単剤として使用される。さらにまた、ペメトレキセドは、シスプラチンと組み合わせて切除不能な悪性胸膜中皮腫の治療に使用される。
【0151】
ペメトレキセドを単剤として用いる治療について、推奨される投薬量は、それぞれ21日サイクルの1日目に10分にわたる静脈内点滴として投与される500mg/mである。ペメトレキセドをシスプラチンと組み合わせて用いる治療については、推奨される投薬量は、それぞれ21日サイクルの1日目に10分にわたる静脈内点滴として投与される500mg/mであり、次いでシスプラチンが、ペメトレキセド投与が終わった約30分後に開始する2時間にわたる静脈内点滴として投与される75mg/mの用量である。
【0152】
ペメトレキセド療法を受ける患者は、治療に関連した毒性を軽減するために頻繁にビタミンを服用する。この補充は、毎日、低用量の経口葉酸とビタミンB12との注射からなる。経口葉酸補充は、ペメトレキセド療法の経過中続けるべきであり、ビタミンB12注射は、ペメトレキセド療法の前に及び経過中に周期的に受けるべきである。
メトトレキセート
【0153】
メトトレキセートは、化学名N−[4−[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]−メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸と以下に示す構造を有する。
【化8】

【0154】
メトトレキセートは、ジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害によってその作用を発揮し、従って細胞の複製のために必要とされる新しいDNAの合成を妨害する。
【0155】
メトトレキセートは、現在、単独で又はその他の抗癌剤と組み合わせて、急性リンパ球性白血病、乳癌、頭頸部の上皮癌、進行性菌状息肉症(皮膚T細胞リンパ腫)及び肺癌、特に扁平上皮細胞及び小細胞型の肺癌の治療に使用される。また、メトトレキセートは、その他の化学療法薬と組み合わせて進行期の非ホジキンリンパ腫及び非転移性骨肉腫の治療にも使用される。
【0156】
メトトレキセート療法を用いて可能な多くの適応症及び治療法を仮定すれば、推奨される投薬量は、抗腫瘍化学療法の技術の癌専門医によって最もよく決定される。一般的に、メトトレキセートは、経口的に、筋肉内注射によって、あるいは静脈内注射又は点滴によって投与し得る。投薬量は、経口では5mg/日未満から200mg/日を超える範囲にあり、注射又は点滴投薬量は3mg/m〜12g/mの範囲にある。
【0157】
シスプラチン
シスプラチンは、化学名シス−ジアミンジクロロ白金(II)と以下に示す構造を有する。
【化9】

【0158】
シスプラチンは、DNAの塩基性部位に白金が配位することによってその作用を発揮する。2つのDNA塩基の配位は、DNAの架橋、その後の細胞分裂の阻害をもたらす。
【0159】
シスプラチンは、現在、数種の疾患に使用されている。シスプラチンは、その他の承認された化学療法薬と組み合わせて、転移性精巣腫瘍、転移性卵巣腫瘍及び進行性膀胱癌の治療に使用される。
【0160】
その他の承認された化学療法薬と組み合わせた精巣癌の治療について、推奨される投薬量は、サイクル当たり5日間毎日静脈内投与される20mg/mである。単剤としてシスプラチンを用いた転移性卵巣腫瘍の治療について、推奨される投薬量は、4週毎に1回サイクル当たり静脈内投与される100mg/mである。単剤としてシスプラチンを用いた進行性膀胱癌について、推奨される用量は、その前の療法に応じて、3〜4週毎に1回、サイクル当たり静脈内投与される50〜70mg/mである。
【0161】
カルボプラチン
カルボプラチンは、化学名[1,1−シクロブタン−ジカルボキシラト−(2−)−O,O´]−白金と以下に示す構造を有する。
【化10】

【0162】
カルボプラチンは、DNAの塩基性部位に白金が配位することによってその作用を発揮する。2つのDNA塩基の配位は、DNAの架橋、その後の細胞分裂の阻害をもたらす。
【0163】
カルボプラチンは、現在、進行性卵巣癌の初期治療及び進行性卵巣癌の二次治療に使用されている。
【0164】
カルボプラチンを単剤として用いた治療について、推奨される投薬量は、4週毎に1日目に静脈内投与される360mg/mである。
肺癌
【0165】
日本、欧州及び米国をはじめとする多くの国において、肺癌を患う患者の数は、かなり多く、年々増加し続けており、男性及び女性の両方で癌死の最も多い原因である。肺癌について多くの可能な原因が存在するが、タバコの使用、特に喫煙が最も重要である。また、病因的因子、例えば特に喫煙者におけるアスベストへの被曝又はラドンへの被曝が、寄与因子である。また、ウラン被曝などの職業上の危険が、重要な因子として特定されている。最後に、遺伝因子もまた、癌の危険性を増大させる別の因子として特定されている。
【0166】
肺癌は、組織学的に、非小細胞肺癌(例えば、扁平上皮癌(類表皮)、腺癌、大細胞癌(未分化大細胞)など)及び小細胞肺癌(燕麦細胞)に分類することができる。非小細胞肺癌(NSCLC)は、種々の生物学的特性を有し、小細胞肺癌(SCLC)の生物学的特性により化学療法薬に反応する。従って、化学療法薬及び放射線療法は、これら2つの型の肺癌の間で異なる。
非小細胞肺癌
【0167】
非小細胞肺癌腫瘍の場所が容易に切除できる(I期及びII期疾患)場合には、手術が第一の治療であり、治癒のための比較的よい機会を提供する。しかし、さらに進行した疾患(IIIa期及びそれ以上)では、腫瘍が気管支肺リンパ節を越えて組織に広がっている場合には、手術は腫瘍の完全な切除に至り得ない。このような場合には、手術単独による患者の治癒の機会は、大きく減少する。手術によりNSCLC腫瘍の完全除去が得られない場合には、その他の種類の治療を利用しなければならない。現在は、化学放射線療法が、切除不能又は手術不可能なNSCLCを抑える標準的な治療である。放射線療法を化学療法と組み合わせた場合には、向上した結果が認められているが、利得は余り大きくなく、複数の方法を組み合わせる改良された方法について研究が続けられている。
【0168】
放射線療法は、標的領域に送達される高線量放射線が腫瘍組織及び正常組織の両方で生殖細胞の死をもたらすという原理に基づく。放射線投与レジメンは、一般に放射線吸収線量(rad)、時間及び分割に関して規定され、癌専門医、腫瘍学者によって注意深く規定されねばならない。患者が受ける放射線の量は、種々の考慮すべき事項に左右されるが、最も重要な2つの考慮すべき事項は、体のその他の危険な構造又は器官に関連した腫瘍の位置、及び腫瘍が広がっている程度である。NSCLCについて放射線療法を受けている患者の1つの治療コースは、患者に1.8〜2.0Gyの1日1回の分割線量で、1週間に5日投与される50〜60Gyの総線量を用いる5〜6週間にわたる治療スケジュールである。Gyは、グレイ(Gray)の略語であり、100radの線量を指す。
【0169】
しかし、NSCLCは全身性疾患であること及び放射線療法は局所法であることから、単一選択の(a single line of)療法としての放射線療法は、NSCLC、少なくとも治療の帯域外に遠く転移している腫瘍の治癒を提供するとは思われない。従って、放射線療法とその他の方法の使用は、NSCLCの治療に重要な有益な作用を及ぼす。
【0170】
一般に、放射線療法は、治療の結果を向上させるために化学療法と一時的に組み合わせられている。放射線療法をCOX−2阻害薬及び化学療法と組み合わせて施用する時間的関係を説明する種々の用語があり、以下の例は、治療レジメンであり、その他の組み合わせを単に例示するために提供され、それに限定することが意図されない。「連続」療法とは、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと代謝拮抗物質及び/又は放射線療法との組み合わせからなる治療プロトコールの投与であって、前記組成物、及び/又は放射線療法の別個の投与を可能にするために別々の時間での投与をさす。「同時」療法とは、前記組成物及び/又は放射線療法の同じ日の投与を指す。
【0171】
最後に、「交互」療法とは、組成物が単独で投与されている場合には投与されていない日の放射線療法の投与を指す。進行性非小細胞肺癌は、単剤化学療法に都合よく反応しないこと及び進行した手術不能な癌に有用な療法が限定されていることが報告されている(Journal of Clinical Oncology,vol.10,pp.829−838(1992))。
【0172】
数種類の化学療法薬が、NSCLCに対して有効であることが明らかにされている。NSCLCに対して本開示において使用できる化学療法薬としては、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、タキサン製剤、例えば単なる例として、アブラキサン(登録商標)(ABI−007)、パクリタキセル・クレモホールEL、パクリタキセル・ポリグルメクス及びパクリタキセル・インジェクタブルエマルジョン(PIE)、ゲムシタビン、ナベルビン、ペメトレキセート、エトポシド、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、エピルビシン、ドキソルビシン、ビンブラスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、マイトマイシンC、エピルビシン、ビンデシン、カンプトテシン類、ホテムスチン並びにエダトレキセートが挙げられる。
【0173】
一実施形態において、本発明は、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと代謝拮抗物質との組み合わせを投与することからなる治療プロトコールを利用するNSCLCの治療方法を提供する。幾つかの実施形態において、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと代謝拮抗物質との組み合わせは、固形投薬組成物で投与される。治療プロトコールの別の実施形態において、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールは、固形投薬組成物として投与され、また代謝拮抗物質は、注射又は輸液として投与される。
【0174】
また、NSCLCを治療するための療法は、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと代謝拮抗物質との組み合わせと、次の抗悪性腫瘍薬:ベバシズマブ、ドセタキセル、ゲフィニチブ、ゲムシタビン、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ビノレルビンの1つ、又は放射線療法、又は手術、又は幹細胞療法からなる治療プロトコールを利用する。
【0175】
小細胞肺癌
世界中で報告されている肺がんの全症例の約15〜20%は、小細胞肺癌(SCLC)である(Ihde DC:Cancer 54:2722,1984)。現在、SCLCの治療は、多様な療法、例えば化学療法及び放射線療法を組み込んでいる。局在性又は播種性SCLCの反応率は、全身化学療法に対して相変わらず高いが、原発性腫瘍の残存及び関連リンパ節の腫瘍の残存は、SCLCの治療において数種の治療法の統合をもたらしている。
【0176】
本発明の一実施形態の肺癌の治療のための療法は、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと代謝拮抗物質との組み合わせを含有する組成物の治療有効量の組み合わせを利用する。別の実施形態において、本発明の肺癌の治療のための療法は、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと、代謝拮抗物質と、次の抗悪性腫瘍薬:ビンクリスチン、ドセタキセル、カンプトテシン、トポテカン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、エピルビシン(高用量)、エトポシド(VP−16)I.V.、エトポシド(VP−16)経口、イソファミド、テニポシド(VM−26)、ドキソルビシン及びアムルビシンの1つとの組み合わせとからなる治療プロトコールを利用する。本開示で使用し得るその他の好ましい単剤化学療法薬としては、BCNU(カルムスチン)、ビンデシン、ヘキサメチルメラミン(アルトレタミン)、ナイトロジェンマスタード、及びCCNU(ロムスチン)が挙げられる。SCLCに対して活性を示している研究中のその他の化学療法薬としては、イロプラチン(iroplatin)、ゲムシタビン、ロニダミン及びタキソールが挙げられる。追加療法としては、放射線療法、手術及び幹細胞療法が挙げられる。
【0177】
本明細書において提供される組成物は、鏡像異性的に純粋であり得、例えば単一鏡像異性体又は単一ジアステレオマーであってもよいし、あるいは立体異性体混合物、例えば鏡像異性体の混合物、ラセミ混合物又はジアステレオマー混合物であってもよいし、あるいは有効成分の多形体であってもよい。それ自体、当業者は、その(R)体の化合物の投与は、生体内でエピマー化を行う化合物について、その(S)体の化合物の投与と均等であることが分かるであろう。個々の鏡像異性体の調製/単離のための従来の技法は、適当な光学的に純粋な前駆物質からのキラル合成、あるいは例えばキラルクロマトグラフィー、再結晶、分割、ジアステレオマー塩形成、又はジアステレオマー付加物への誘導、次いで分離を使用するラセミ化合物の分割を包含する。
【0178】
本明細書に記載の組成物が酸部分又は塩基部分を含んでいる場合には、前記組成物は製薬学的に許容し得る塩としても提供し得る(Berge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66,1−19;及び“Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,and Use”,Stah and Wermuth,Ed.;Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002参照)。
【0179】
製薬学的に許容し得る塩の調製に使用するのに適した酸としては、以下に限定されないが、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)−ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、(+)−(1S)−ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、過塩素酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サッカリン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸及び吉草酸が挙げられる。
【0180】
製薬学的に許容し得る塩の調製に使用するのに適した塩基としては、例えば、以下に限定されないが、無機塩基、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛又は水酸化ナトリウム;及び有機塩基、例えば第一級、第二級、第三級及び第四級脂肪族及び芳香族アミン、例えばL−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン.N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第二級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−l,3−プロパンジオール及びトロメタミンが挙げられる。
【0181】
また、本明細書に記載の組成物は、1,2−ジフェニルピロール誘導体及び/又はHER2[ErbB2]の阻害薬の官能性誘導体であり、生体内で親化合物に容易に転化できるプロドラッグとして提供し得る。プロドラッグは、場合によっては、親化合物よりも投与することが容易であり得ることから、有用である場合が多い。プロドラッグは、例えば、経口投与によって生体利用できるが、これに対して親化合物は経口投与によって生体利用できない。また、プロドラッグは、医薬組成物に親化合物よりも高められた溶解性を有し得る。プロドラッグは、種々のメカニズム、例えば酵素プロセス及び代謝加水分解によって親薬物に転化し得る。Harper,Progress in Drug Research 1962,4,221−294;Morozowich et al.,「プロドラッグ及び類縁体による生物薬剤特性のデザイン」,Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.,1977;「ドラッグデザイン、理論及び応用における薬物の生体可逆的担体」,Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.1987;「プロドラッグのデザイン」,Bundgaard,Elsevier,1985;Wang et al.,Curr.Pharm.Design,1999,5,265−287;Pauletti et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.,1997,27,235−256;Mizen et al.,Pharm.Biotech.1998,11,345−365;Gaignault et al.,Pract.Med.Chem.,1996,671−696;Asgharnejad in 「医薬系における輸送プロセス」,Amidon et al.,Ed,Marcell Dekker,185−218,2000;Balant et al.,Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.1990,15,143−53;Balimane and Sinko,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,183−209;Browne,Clin.Neuropharmacol.,1997,20,1−12;Bundgaard,Arch.Pharm.Chem.,1979,86,1−39;Bundgaard,Controlled Drug Delivery 1987,17,179−96;Bundgaard,Adv.Drug Delivery Rev.1992,8,1−38;Fleisher et al.,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,115−130;Fleisher et al.,Methods Enzymol.1985,112,360−381;Farquhar et al.,J.Pharm.Sci.1983,72,324−325;Freeman et al,J.Chem.Soc,Chem.Commun.1991,875−877;Friis and Bundgaard,Eur.J.Pharm.Sci.1996,4,49−59;Gangwar et al.,Des.Biopharm.Prop.Prodrgs Analogs,1977,409−421;Nathwani and Wood,Drugs 1993,45,866−94;Sinhababu and Thakker,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,241−273;Stella et al.,Drugs 1985,29,455−73;Tan et al,Adv,Drwg Delivery Rev.1999,39,117−151;Taylor,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,131−148;Valentino and Borchardt,Drug Discovery Today 1997,2,148−155;Wiebe and Knaus,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,63−80;Waller et al.,Br.J.Clin.Pharmac.1989,28,497−507.参照。
【0182】
本明細書に記載の組み合わせはまた、異常発現リガンド/受容体相互作用あるいは種々のタンパク質チロシンキナーゼに関連した活性化又はシグナル伝達事象が関与する別の疾患の治療にも有用であり得る。このような疾患としては、erbBチロシンキナーゼの異常な機能、発現、活性化又はシグナル伝達が関与する神経性、神経膠性、星状細胞性、視床下性、腺性、マクロファージ性、上皮性、間質性又は胞胚腔性の疾患が挙げられる。また、本明細書において提示される組み合わせは、本明細書において提示される組み合わせによって阻害される特定されているチロシンキナーゼ及び未だ特定されていないチロシンキナーゼを伴う炎症性疾患、血管新生疾患及び免疫疾患において治療有用性を有し得る。
【0183】
医薬組成物
有効成分として1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグを、製薬学的に許容し得るビヒクル、担体、希釈剤又は賦形剤あるいはこれらの混合物;及び1つ又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤又は担体中に含有する医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0184】
また、有効成分として、1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグを、製薬学的に許容し得るビヒクル、担体、希釈剤又は賦形剤あるいはこれらの混合物;及び本明細書に記載のような1つ又はそれ以上の放出制御賦形剤中に含有する医薬組成物が、本明細書において提供される。有効成分として、1,2−ジフェニルピロール誘導体が、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり且つHER2[ErbB2]の阻害薬が、ARRY−380、CP−724714及びCP−654577から選択される1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグを、製薬学的に許容し得るビヒクル、担体、希釈剤又は賦形剤あるいはこれらの混合物;及び本明細書に記載のような1つ又はそれ以上の放出制御賦形剤中に含有する医薬組成物が、本明細書において提供される。適当な放出調節投薬ビヒクルとしては、以下に限定されないが、親水性又は疎水性マトリックスデバイス、水溶性分離層コーティング、腸溶性コーティング、浸透デバイス、多重粒子デバイス、及びこれらの組み合わせが挙げられる。医薬組成物はまた、非放出制御賦形剤を含有していてもよい。
【0185】
有効成分として1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグ;及び慣用の錠剤化法を使用して錠剤コアを形成し、その後にコアをコーティングする1つ又はそれ以上の錠剤化賦形剤を含有するフィルムコート製剤の形態の医薬組成物が、本明細書において提供される。錠剤コアは、慣用の造粒法、例えば湿式又は乾式造粒、顆粒の任意の粉砕、その後の圧縮及びコーティングを使用して製造できる。造粒法は、例えば、Voigt,第156−69頁に記載されている。
【0186】
顆粒の製造に適した賦形剤は、例えば、場合により流動調節特性を有する粉末充填剤、例えば滑石、二酸化ケイ素、例えばSyloid(登録商標)(Grace)型の合成無定形無水ケイ酸、例えばSyloid 244 FP、微晶質セルロース、例えばAvicel(登録商標)種(FMC Corp.)型、例えばAVICEL PH102、102、105、RC581又はRC591型、Emcocel(登録商標)(Mendell Corp.)型又はElcema(登録商標)(Degussa)型の微晶質セルロース;糖質、例えば糖類、糖アルコール、デンプン又はデンプン誘導体、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、グルコース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、コメデンプン、コムギデンプン又はアミロペクチン、リン酸三石灰、水素リン酸カルシウム又は三ケイ酸マグネシウム;結合剤、例えばゼラチン、トラガカント、寒天、アルギン酸、セルロースエーテル類、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール類又はエチレンオキシド単独重合体、特に約2.0×10〜1.0×10の重合度及び約1.0×10〜5.0×10の概算分子量を有するエチレンオキシド単独重合体、例えばPolyox(登録商標)(ユニオンカーバイド)という名前で知られている賦形剤、ポリビニルピロリドン又はポビドン類、特に約1000の平均分子量と約500〜約2500の重合度を有するポリビニルピロリドン又はポビドン類、及び寒天又はゼラチン;界面活性物質、例えばアルキル硫酸塩型の陰イオン性界面活性剤、例えば、n−ドデシル硫酸、n−テトラデシル硫酸、n−ヘキサデシル硫酸又はn−オクタデシル硫酸のナトリウム、カリウム又はマグネシウム、アルキルエーテル硫酸塩型の陰イオン性界面活性剤、例えばn−ドデシルオキシエチル硫酸、n−テトラデシルオキシエチル硫酸、n−ヘキサデシルオキシエチル硫酸又はn−オクタデシルエチル硫酸のナトリウム、カリウム又はマグネシウム、あるいはアルカンスルホン酸塩型の陰イオン性界面活性剤、例えばn−ドデカンスルホン酸、n−テトラデカンスルホン酸、n−ヘキサデカンスルホン酸又はn−オクタデカンスルホン酸のナトリウム、カリウム又はマグネシウム、あるいは脂肪酸ポリヒドロキシアルコールエステル型の非イオン性界面活性剤、例えば、ソルビタンモノラウレート、モノオレエート、モノステアレート又はモノパルミテート、ソルビタントリステアレート又はトリオレエート、脂肪酸ポリヒドロキシアルコールエステルのポリオキシエチレン付加物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、モノオレエート、モノステアレート、モノパルミテート、トリステアレート又はトリオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチルステアレート、ポリエチレングリコール400ステアレート、ポリエチレングリコール2000ステアレート、特にPluronics(登録商標)(BWC)又はSynperonic(登録商標)(ICI)型のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック重合体である。
【0187】
また、有効成分として1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグと;腸溶性コーティング製剤に使用される1つ又はそれ以上の放出制御賦形剤とを含有してなる腸溶性コーティング製剤の医薬組成物が、本明細書において提供される。有効成分として、1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせであって、1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、HER2[ErbB2]の阻害薬がARRY−380、CP−724714及びCP−654577から選択される組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを、製薬学的に許容し得るビヒクル、担体、希釈剤又は賦形剤あるいはこれらの混合物;及び腸溶性コーティング製剤に使用される1つ又はそれ以上の放出制御賦形剤中に含有してなる腸溶性コーティング製剤の医薬組成物が、本明細書において提供される。医薬組成物は、非放出制御賦形剤を含有していてもよい。
【0188】
また、有効成分として1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグと;発泡製剤に使用される1つ又はそれ以上の放出制御賦形剤とを含有してなる発泡製剤の医薬組成物が、本明細書において提供される。また、有効成分として、1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせであって、1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、HER2[ErbB2]の阻害薬がARRY−380、CP−724714及びCP−654577から選択される組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、又はプロドラッグを、製薬学的に許容し得るビヒクル、担体、希釈剤又は賦形剤あるいはこれらの混合物;及び腸溶性製剤に使用される1つ又はそれ以上の放出制御賦形剤中に含有してなる発泡製剤の医薬組成物が、本明細書において提供される。医薬組成物は、非放出制御賦形剤を含有していてもよい。
【0189】
また、即時放出成分と少なくとも1つ遅延放出成分とを有し且つ0.1時間から最大24時間までの時間内に分けられた少なくとも2つの連続するパルスの形態で化合物の不連続放出を提供できる製剤の医薬組成物が提供される。前記医薬組成物は、有効成分として、1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグと;1つ又はそれ以上の放出制御及び非放出制御賦形剤、例えば崩壊性(disruptable)半透膜に及び膨潤性物質として適した賦形剤とを含有する。また、本発明は、有効成分として1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせであって、1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、HER2[ErbB2]の阻害薬がARRY−380、CP−724714及びCP−654577から選択される組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグと;1つ又はそれ以上の放出制御及び非放出制御賦形剤、例えば崩壊性半透膜に及び膨潤性物質として適した賦形剤とを含有する医薬組成物を提供する。
【0190】
アルカリで部分的に中和され且つ陽イオン交換容量及び胃液抵抗性外層を有する胃液抵抗性ポリマー層状物質からなる中間反応層に封入された、有効成分として1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグ;及び1つ又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤又は担体を含有する、被検体に経口投与するための製剤の医薬組成物が、本明細書において提供される。また、本発明は、被検体に経口投与するための製剤の医薬組成物であって、アルカリで部分的に中和され且つ陽イオン交換容量及び胃液抵抗性外層を有する胃液抵抗性ポリマー層状物質からなる中間反応層に封入された、1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせを含有し、1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、HER2[ErbB2]の阻害薬がARRY−380、CP−724714及びCP−654577から選択される、被検体に経口投与するための製剤の医薬組成物を提供する。
【0191】
有効成分として1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグを腸溶性コーティング顆粒の形態で含有する経口投与のための遅延放出カプセルとしての医薬組成物が、本明細書において提供される。一実施形態において、本発明は、1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせであって、1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、HER2[ErbB2]の阻害薬がCP−724714であり、組成物中に存在する2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの量が約100mg〜約1200mgであり且つ組成物中に存在するCP−724714の量が約50mg〜約500mgであり、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとCP−724714の両方が有効成分として存在する組み合わせ、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグを腸溶性コーティング顆粒、経口投与のための遅延放出カプセルの形態で含有する医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、前記組成物は、有効成分として2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールあるいはその製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグを約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg又は約1200mg含有し得る。さらなる実施形態において、前記組成物は、有効成分としてCP−724714あるいはその製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグを約50mg、約125mg、約250mg、約375mg又は約500mg含有し得る。
【0192】
医薬組成物は、さらに、グリセリルモノステアレート40−50、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、メタクリル酸共重合体、糖球状体、タルク、カルナウバロウ、クロスポビドン、ジアセチル化モノグリセリド、エチルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、マンニトール、水酸化ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、二酸化チタン、黄色酸化第二鉄、ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化鉄、ポリソルベート80、ポビドン、プロピレングリコール、炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びクエン酸トリエチルを含有する。
【0193】
本明細書において提供される医薬組成物は、単位投与製剤又は反復投与製剤で提供し得る。単位投与製剤とは、本明細書で使用されるように、ヒト及び動物被検体に投与するのに適しており且つ当該技術で知られているように個々に包装された物理的離散単位を指す。それぞれの単位用量は、所望の治療効果を生じるのに十分な所定量の有効成分(1つ又は複数)を、必要とされる医薬担体又は賦形剤と一緒に含有する。単位投与製剤の例としては、アンプル、注射、並びに個々に包装された錠剤及びカプセルが挙げられる。単位投与製剤は、その部分単位で又は倍数単位で投与し得る。反復投与製剤は、分けられた単位投与製剤で投与すべく単一容器に包装された多数の同じ単位投与製剤である。反復投与製剤の例としては、バイアル、錠剤又はカプセルのボトル、あるいはパイント又はガロンのボトルが挙げられる。
【0194】
本明細書において提供される組成物は、単独で投与し得るし又は本明細書において提供される1つ又はそれ以上のその他の化合物(1つ又はそれ以上の有効成分)と組み合わせて投与し得る。本明細書において提供される化合物を含有する医薬組成物は、経口、非経口、口腔、鼻腔内、硬膜外、舌下、肺、局所、直腸、経皮又は局所投与用の種々の製剤に製剤し得る。また、医薬組成物は、調節放出製剤、例えば遅延放出、延長放出、長期放出、持続放出、パルス放出、制御放出、加速放出及び即時放出、標的放出、プログラム放出及び胃滞留製剤として製剤し得る。これらの製剤は、慣用の方法及び当業者に知られている方法によって調製できる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,上記;Modified−Release Drug Deliver Technology,Rathbone et al.,Eds.,Drugs and the Pharmaceutical Science,Marcel Dekker,Inc.:New York,NY,2002;Vol.126参照)。
【0195】
本明細書において提供される医薬組成物は、1回で投与し得るし又は時間間隔をおいて多数回投与し得る。正確な投薬量及び治療の期間は、治療される患者の年齢、体重及び状態により変化させ得るし、また公知の検査プロトコールを使用して、あるいは生体内もしくは生体外検査又は診断データから外挿入法によって経験的に決定し得ることが理解される。また、具体的な投与レジメンは、具体的な個人について、個人の要望及び製剤の投与を施すか又は監督する人の専門的判断に従って経時的に調節されるべきであることが、理解される。
【0196】
患者の状態が改善しない場合には、医師の裁量により、前記組み合わせの投与は、患者の疾患又は状態の症状を改善するか、あるいは調節又は抑えることを目的として、慢性的に、すなわち長期間にわたって、例えば患者の寿命の期間を通じて投与し得る。
【0197】
患者の状態が改善している場合には、医師の裁量により、前記組み合わせの投与は、連続的に行ってもよいし又はある長さの期間(すなわち、「休薬期間」)一時的に中断してもよい。
【0198】
患者の状態の改善がいったん生じると、維持量が必要に応じて投与される。その後に、投薬量又は投与の頻度、あるいはその両方は、症状の関数として、改善された疾患、障害又は状態が保持される水準にまで減らすことができる。しかし、患者は、症状が再発すると長期に間欠治療を必要とする。
【0199】
本明細書に記載のように、1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせを含有する組成物及びそれを使用する方法は、担体又は賦形剤を使用せずに製剤化してもよいし、あるいは投与のために1つ又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体と組み合わせてもよい。例えば、溶媒、希釈剤などが、錠剤、カプセル、分散性粉末、顆粒又は例えば約0.05〜約5%の懸濁剤を含有する懸濁物、例えば約10〜約50%の糖を含有するシロップ、及び例えば約20〜約50%エタノールを含有するエリキシルなどのような形態で経口投与し得る。このような医薬調剤は、例えば約0.05〜約90%の有効成分を、担体と、さらに通常は約5重量%〜約60重量%の担体と組み合わせて含有し得る。また、1,2−ジフェニルピロール誘導体とHER2[ErbB2]の阻害薬との組み合わせを含有し、1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、HER2[ErbB2]の阻害薬がARRY−380、CP−724714及びCP−654577から選択される組成物及びそれを使用する方法は、担体又は賦形剤を使用せずに製剤化してもよいし、あるいは投与のために1つ又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体と組み合わせてもよい。
【0200】
使用されるそれぞれの有効成分の有効投薬量は、使用される具体的な化合物、投与の方法及び治療する状態の重篤度に応じて変化し得る。HER2[ErbB2]の阻害薬の計画される1日投薬量は、その効力に左右されるであろう。同様に、使用される1,2−ジフェニルピロール誘導体阻害薬の投薬量は、例えばスリンダクと比べた1,2−ジフェニルピロール誘導体阻害薬の相対効果に左右される。1,2−ジフェニルピロール誘導体阻害薬の効果を評価し、比較する多数の方法が、当業者に知られている。一実施形態において、1,2−ジフェニルピロール誘導体阻害薬の経口1日投薬量は、約100〜約1200mgの範囲内にあり、HER2[ErbB2]の阻害薬の計画される1日投薬量は、約100〜約1000mgの範囲内にある。別の実施形態において、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの経口1日投薬量は、約100〜約1200mgの範囲内にあり、CP−724714の計画される1日投薬量は、約100〜約1000mgの範囲内にある。この投与レジメンは、最適治療反応を提供するために調節し得る。例えば、数回に分割した用量を、毎日投与してもよいし又は用量は、治療状況の切迫した事情によって指示されるように比例的に減らしてもよい。また、1,2−ジフェニルピロール誘導体阻害薬及びHER2[ErbB2]の阻害薬は、併用投薬単位として又は個別の成分として投与してもよい。個別の成分として投与する場合は、各成分は、同時に投与してもよい又は治療期間中異なる時間で投与してもよい。
【0201】
しかし、個々の患者について具体的な用量レベルは、種々の因子、例えば肝臓及び腎臓機能の低下に左右されることが理解される。
【0202】
治療投薬量は、一般に安全性及び効果を最適化するために力価測定し得る。典型的には、生体外研究から投薬量−効果の関係は、最初に、患者投与のための適切な用量に関して有用な指針を提供できる。動物モデルでの研究も、一般に、本明細書の開示に従って癌の治療のための有効投薬量に関する指針に使用し得る。治療プロトコールに関して、投与されるべき投薬量は、幾つかの因子、例えば投与される具体的な薬剤、投与される経路、個々の患者の状態などに左右されることが認められるべきである。これらのパラメーターの決定は、十分に当業者の範囲内に入る。これらの考慮すべき事項、並びに効果的な製剤及び投与手順は、当該技術において周知であり、標準的教科書に記載されている。
【0203】
経口製剤
本明細書に記載の活性な組み合わせを含有する経口製剤は、任意の慣用の経口製剤、例えば:錠剤、カプセル、丸剤、トローチ、ロゼンジ、パステル剤、カシェ剤、ペレット、薬用チューインガム、顆粒、混合散剤、発泡又は非発泡性粉末又は顆粒、溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液、ウェーハ、スプリンクル、エリキシル、シロップ、口腔用形態、及び経口液からなり得る。カプセルは、有効成分(1つ又は複数)と不活性充填剤及び/又は希釈剤、例えば製薬学的に許容し得るデンプン類(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン)、糖類、人工甘味剤、粉末セルロース、例えば結晶質及び微晶質セルロース、小麦粉、ゼラチン、ガムなどとの混合物を含有し得る。有用な錠剤製剤は、慣用の圧縮、湿式又は乾式造粒法で調製し得、製薬学的に許容し得る希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面改質剤(界面活性剤を包含する)、懸濁剤又は安定剤、例えば、以下に限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アラビアゴム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプン及び粉砂糖を利用し得る。幾つかの実施形態において、非イオン性及び陰イオン性表面改質剤を含む表面改質剤が存在する。例えば、表面改質剤としては、以下に限定されないが、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル類、コロイド二酸化ケイ素、リン酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム及びトリエタノールアミンが挙げられる。本明細書における経口製剤は、活性化合物(1つ又は複数)の吸収を変化させるために標準的な遅延又は持続放出製剤を利用し得る。経口製剤はまた、必要に応じて適切な可溶化剤又は乳化剤を含有する水又は果汁に有効成分を投与することからなり得る。
【0204】
経口投与
本明細書に記載のように、併用レジメンは、同時に投与できるし又は交互レジメンで投与でき、1,2−ジフェニルピロール誘導体は、HER2[ErbB2]の阻害薬よりも化学療法の経過中に異なる時間で投与される。この時間の差は、2つの化合物の投与の間で数分、数時間、数日、数週間又はそれよりも長い範囲にあり得る。従って、組み合わせという用語は、同時に又は単一用量として投与されることを必ずしもを意味しないが、種々の成分のそれぞれが所定の治療期間中に投与されることを意味する。薬剤はまた、種々の経路で投与し得る。化学療法レジメンに典型的であるように、化学療法のコースは、数週間後に反復してもよく、2つの化合物の投与について同じ時間枠が続いてもよいし又は患者の反応に基づいて変更してもよい。
【0205】
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、経口投与のための固形、半固形又は液状製剤で提供し得る。本明細書で使用されるように、経口投与としては、口腔、舌及び舌下投与を包含する。適当な経口製剤としては、以下に限定されないが、錠剤、カプセル、丸剤、トローチ、ロゼンジ、パステル剤、カシェ剤、ペレット、薬用チューインガム、顆粒、混合散剤、発泡又は非発泡性粉末又は顆粒、溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液、ウェーハ、スプリンクル、エリキシル及びシロップが挙げられる。医薬組成物は、有効成分(1つ又は複数)の他に、1つ又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体又は賦形剤、例えば、以下に限定されないが、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤、着色剤、色素移動防止剤、甘味料及び着香剤を含有し得る。
【0206】
結合剤又は造粒剤は、錠剤が圧縮後に無傷のまま完全であることを確実にするために錠剤に凝集性を付与する。適当な結合剤又は造粒剤としては、以下に限定されないが、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルファ化デンプン(例えば、STARCH 1500);ゼラチン;糖類、例えばスクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜及びラクトース;天然及び合成ゴム、例えばアラビアゴム、アルギン酸、アルギン酸塩、アイリッシュ・モスの抽出物、パンワー(Panwar)ゴム、ガハッチガム、イサゴールハスクの粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、Veegum、カラマツアラボガラクタン、粉末トラガカント及びグアーガム;セルロース、例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);微晶質セルロース、例えばAVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103、AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105(FMC Corp.,Marcus Hook,PA);及びこれらの混合物が挙げられる。適当な充填剤としては、以下に限定されないが、タルク、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、粉末セルロース、デキストリン類、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン及びこれらの混合物が挙げられる。結合剤又は充填剤は、本明細書において提供される医薬組成物の約50〜約99重量%存在させ得る。
【0207】
適当な希釈剤としては、以下に限定されないが、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン及び粉砂糖が挙げられる。ある種の希釈剤、例えばマンニトール、ラクトース、ソルビトール、スクロース及びイノシトールが、十分な量で存在する場合には、幾つかの圧縮錠剤に、咀嚼によって口腔内で崩壊を可能にする特性を付与できる。このような圧縮錠剤は、チュアブル錠として使用できる。
【0208】
適当な崩壊剤としては、以下に限定されないが、寒天;ベントナイト;セルロース、例えばメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース;木製品;天然スポンジ;陽イオン交換樹脂;アルギン酸;ガム類、例えばグアーガム及びVeegum HV;柑橘類パルプ;架橋セルロース、例えばクロスカルメロース;架橋重合体、例えばクロスポビドン;架橋デンプン;炭酸カルシウム;微晶質セルロース、例えばデンプングリコール酸ナトリウム;ポラクリリンカリウム;デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン及びアルファ化デンプン;クレー;アルギン酸類(algins);及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書において提供される医薬組成物中の崩壊剤の量は、製剤の種類に応じて変化し、当業者には容易に認識できる。本明細書において提供される医薬組成物は、崩壊剤を約0.5〜約15重量%又は約1〜約5重量%含有し得る。
【0209】
適当な潤滑剤としては、以下に限定されないが、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;グリコール類、例えばベヘン酸グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG);ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;水素添加植物油、例えば落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油;ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル;寒天;デンプン;ヒカゲノカズラ;シリカ又はシリカゲル、例えばAEROSIL(登録商標)200(W.R.Grace Co.,Baltimore,MD)及びCAB−O−SIL(登録商標)(Cabot Co.of Boston,MA);並びにこれらの混合物が挙げられる。本明細書において提供される医薬組成物は、約0.1〜約5重量%の潤滑剤を含有し得る。
【0210】
適当な流動促進剤としては、コロイド二酸化ケイ素、CAB−O−SIL(登録商標)(Cabot Co.of Boston,MA)及びアスベスト無含有タルクが挙げられる。着色剤としては、承認され、認証された水溶性FD&C色素のいずれか、及びアルミナ水和物に懸濁させた水不溶性FD&C色素、レーキ顔料及びこれらの混合物が挙げられる。レーキ顔料は、水溶性色素を重金属の水和酸化物に吸着させ、不溶性の色素の形態で得ることによる組み合わせである。着香剤としては、植物、例えば果実から抽出された天然フレーバー、及び心地よい味覚を生じる化合物、例えばペパーミント及び サリチル酸メチルの配合物が挙げられる。甘味剤としては、スクロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、及び人工甘味料、例えばサッカリン及びアステルテームが挙げられる。適当な乳化剤としては、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカント、ベントナイト、及び界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20))、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標)80)及びオレイン酸トリエタノールアミンが挙げられる。懸濁剤及び分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、Veegum、アラビアゴム、カルボメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。防腐剤としては、グリセリン、メチル及びプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム及びアルコールが挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。溶媒としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、及びシロップが挙げられる。エマルジョンに利用される非水性液体の例としては、鉱油及び綿実油が挙げられる。有機酸としては、クエン酸及び酒石酸が挙げられる。二酸化炭素の供給源としては、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0211】
多数の担体及び賦形剤が同じ製剤内であっても幾つかの機能を果たし得ることが理解されるべきである。
【0212】
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、圧縮錠剤、粉薬錠剤、チュアブルロゼンジ、迅速溶解錠剤、多重圧縮錠剤、あるいは腸溶性コーティング錠剤、糖衣錠剤又はフィルムコーティング錠剤として提供し得る。腸溶性コーティング錠剤は、胃酸の作用に耐えるが腸内で溶解又は崩壊し、こうして胃の酸性環境から有効成分を保護する物質でコーティングされた圧縮錠剤である。腸溶性コーティングとしては、以下に限定されないが、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ワックス、シェラック、アンモニア処理シェラック及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。糖衣錠剤は、不快な風味又は臭気を覆い隠すこと及び錠剤を酸化から防ぐことに役立ち得る糖衣で包み込まれた圧縮錠剤である。フィルムコーティング錠剤は、水溶性物質の薄層又はフィルムで被覆されている圧縮錠剤である。フィルムコーティングとしては、以下に限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。フィルムコーティングは、糖衣と同じ一般特性を付与する。多重圧縮錠剤は、2以上の圧縮サイクルによって調製された圧縮錠剤、例えば層状錠剤、及び加圧コーティング又は乾式コーティング錠剤である。
【0213】
錠剤の剤形は、粉末状、結晶状又は顆粒状の有効成分から、単独で調製してもよいし又は本明細書に記載の1つ又はそれ以上の担体又は賦形剤、例えば結合剤、崩壊剤、制御放出重合体、潤滑剤、希釈剤及び/又は着色剤と組み合わせて調製してもよい。着香剤及び甘味剤は、チュアブル錠及びロゼンジの形成に特に有用である。
【0214】
本明細書において提供される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、又はアルギン酸カルシウムから調製される軟カプセル又は硬カプセルとして提供し得る。硬ゼラチンカプセル(乾式充填カプセル(DFC)としても知られている)は2つの部分からなり、一方が他方の上にかぶさり、従って有効成分を完全に封入する。軟カプセル(SEC)は、軟らかい球状シェル、例えばゼラチンシェルであり、これはグリセリン、ソルビトール又は類似ポリオールの添加によって可塑化される。軟ゼラチンシェルは、微生物の成長を防止するために防腐剤を含有していていもよい。適当な防腐剤は、本明細書に記載の防腐剤、例えばメチル及びプロピルパラベン及びソルビン酸である。本明細書において提供される液状、半固形及び固形製剤は、カプセルに封入し得る。適当な液状及び半固形製剤としては、溶液及び炭酸プロピレン、植物油又はトリグリセリドへの懸濁物が挙げられる。このような溶液を含有するカプセルは、米国特許第4,328,245号;同第4,409,239号;及び同第4,410,545号明細書に記載のようにして調製できる。また、カプセルは、有効成分の溶解を部分変更又は維持することを目的として、当業者に知られているようにコーティングし得る。
【0215】
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、液状及び半固形製剤、例えばエマルジョン、溶液、懸濁液、エリキシル及びシロップで提供し得る。エマルジョンは、2層系であり、一方の液体が他方の液体全体に小球の形態で分散しており、水中油又は油中水であり得る。エマルジョンは、製薬学的に許容し得る非水性液体又は溶媒、乳化剤及び防腐剤を含有し得る。懸濁液は、製薬学的に許容し得る懸濁剤及び防腐剤を含有し得る。水性アルコール溶液は、製薬学的に許容し得るアセタール、例えば低級アルキルアルデヒド(「低級]という用語は、1〜6個の炭素原子を有するアルキルを意味する)のジ(低級アルキル)アセタール、例えばアセトアルデヒドジエチルアセタール;並びに1個又はそれ以上のヒドロキシル基を有する水混和性溶媒、例えばプロピレングリコール及びエタノールを含有し得る。エリキシルは、透明で甘い含水アルコール溶液である。シロップは、糖、例えばスクロースの濃厚水性溶液であり、防腐剤を含有していてもよい。液状製剤について、例えば、ポリエチレングリコール中の溶液は、投与のために都合よく計り分けるために、十分な量の製薬学的に許容し得る液状担体、例えば水で希釈し得る。
【0216】
その他の有用な液状及び半固形製剤としては、以下に限定されないが、本明細書において提供される有効成分(1つ又は複数)と、ジアルキル化モノ又はポリアルキレングリコール、例えば1,2−ジメトキシメタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(この場合、350、550、及び750は、ポリエチレングリコールの概略の平均分子量を指す)とを含有する製剤が挙げられる。これらの製剤は、さらに、1つ又はそれ以上の酸化防止剤、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸及びそのエステル、並びにジチオカルバミン酸塩を含有し得る。
【0217】
経口投与用の本明細書において提供される医薬組成物は、リポソーム、ミセル、微小球又はナノ系の形態でも提供し得る。ミセル製剤は、米国特許第6,350,458号明細書に記載のようにして調製できる。
【0218】
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、液状製剤に再構成するために非発泡性又は発泡性顆粒及び粉末として提供し得る。非発泡性顆粒又は粉末に使用される製薬学的に許容し得る担体及び賦形剤は、希釈剤、甘味料及び湿潤剤を含有し得る。発泡性顆粒又は粉末に使用される製薬学的に許容し得る担体及び賦形剤は、有機酸と二酸化炭素の供給源とを含有し得る。
【0219】
着色剤及び着香剤が、上記製剤の全てに使用できる。
【0220】
本明細書において提供される医薬組成物は、即時放出又は放出調節製剤、例えば遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、制御放出製剤、標的放出製剤及びプログラム放出製剤として製剤し得る。
非経口投与
【0221】
幾つかの実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、局所又は全身投与のために、注射、点滴又は埋め込みによって非経口的に投与し得る。非経口投与は、本明細書使用するように、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、鞘内投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、滑液嚢内投与及び皮下投与を包含する。
【0222】
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、非経口投与に適した任意の剤形で、例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、ミセル、リポソーム、微小球、ナノ系及び注射の前に溶液又は液体中の懸濁に適した固体形態で製剤し得る。このような剤形は、製薬科学の当業者に知られている慣用の方法に従って調製できる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、上記、参照)。
【0223】
非経口投与を目的とした医薬組成物は、1つ又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体及び賦形剤、例えば、以下に限定されないが、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の成長に対する抗微生物剤又は防腐剤、安定剤、溶解促進剤、等張剤、緩衝剤、酸化防止剤、局部麻酔薬、懸濁剤及び分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート化剤、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、増粘剤、pH調節剤及び不活性ガスを含有し得る。
【0224】
適当な水性ビヒクルとしては、以下に限定されないが、水、食塩水、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース及び乳酸化リンゲル注射液が挙げられる。非水性ビヒクルとしては、以下に限定されないが、植物起源の固定油、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、落花生油、ハッカ油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、水素添加植物油、水素添加ダイズ油、及びやし油の中鎖トリグリセリド、並びにパーム種子油が挙げられる。水混和性ビヒクルとしては、以下に限定されないが、エタノール、1,3−ブタンジオール、液状ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300及びポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0225】
適当な抗微生物剤又は防腐剤としては、以下に限定されないが、フェノール類、クレゾール類、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p−ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチル及びプロピルパラベン並びにソルビン酸が挙げられる。適当な等張剤としては、以下に限定されないが、塩化ナトリウム、グリセリン及びデキストロースが挙げられる。適当な緩衝剤としては、以下に限定されないが、リン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。適当な酸化防止剤は、本明細書に記載の酸化防止剤、例えば亜硫酸水素塩及びメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。適当な局部麻酔薬としては、以下に限定されないが、塩酸プロカインが挙げられる。適当な懸濁剤及び分散剤は、本明細書に記載の懸濁剤及び分散剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンである。適当な乳化剤としては、本明細書に記載の乳化剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80、及びオレイン酸トリエタノールアミンが挙げられる。適当な金属イオン封鎖剤又はキレート化剤としては、以下に限定されないがEDTAが挙げられる。適当なpH調節剤としては、以下に限定されないが、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸及び乳酸が挙げられる。適当な錯化剤としては、以下に限定されないが、シクロデキストリン類、例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン及びスルホブチルエーテル7−β−シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標)、CyDex、Lenexa、KS)が挙げられる。
【0226】
幾つかの実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、単回投与又は頻回投与のために製剤し得る。単回投与製剤は、アンプル、バイアル又は注射に包装される。頻回投与非経口製剤は、抗微生物剤を静菌又は静真菌濃度で含有しなければならない。全ての非経口製剤は、当該技術で知られ、実施されているように滅菌されなければならない。
【0227】
一実施形態において、医薬組成物は、すぐ使用できる滅菌溶液として提供される。別の実施形態において、医薬組成物は、使用前にビヒクルと再構成される滅菌乾燥可溶性製品、例えば凍結乾燥粉末及び皮下錠剤として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、すぐ使用できる滅菌懸濁液として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、使用前にビヒクルと再構成される滅菌乾燥不溶性製品として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、すぐ使用できる滅菌エマルジョンとして提供される。
【0228】
本明細書において提供される医薬組成物は、即時放出又は放出調節製剤、例えば遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、制御放出製剤、標的放出製剤及びプログラム放出製剤として製剤し得る。
【0229】
医薬組成物は、埋め込みデポーとして投与するための懸濁液、固形、半固形又はチキソトロープ液として製剤し得る。一実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、体液に溶解しないが有効成分を医薬組成物全体に拡散させる外部高分子膜で包み込まれている固体内部マトリックスに分散される。
【0230】
適当な内部マトリックスとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネート共重合体、親水性重合体、例えばアクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール及び架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニルが挙げられる。
【0231】
適当な外部高分子膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリ酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレンとの塩化ビニル共重合体、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元共重合体、並びにエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体が挙げられる。
【0232】
調節放出
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、調節放出製剤として製剤し得る。本明細書で使用されるように、「調節放出」という用語は、有効成分(1つ又は複数)の放出の速度又は場所が、即時放出製剤の速度又は場所と、同じ経路で投与された場合に異なる製剤を指す。放出調節製剤としては、遅延放出製剤、延長放出製剤、長期放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、制御放出製剤、加速放出製剤及び即時放出製剤、標的放出製剤、プログラム放出製剤及び胃滞留製剤が挙げられる。放出調節製剤の医薬組成物は、当業者に知られている種々の調節放出デバイス及び方法、例えば、以下に限定されないが、マトリックス制御放出デバイス、浸透圧放出制御デバイス、多粒子放出制御デバイス、イオン交換樹脂、腸溶性コーティング、多層コーティング、微小球、リポソーム及びこれらの組み合わせを使用して調製できる。有効成分(1つ又は複数)の放出速度は、有効成分(1つ又は複数)の粒度及び多形性を変化させることによって変更できる。
【0233】
調節放出の例としては、以下に限定されないが、米国特許:第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;第5,639,480号;第5,733,566号;第5,739,108号;第5,891,474号;第5,922,356号;第5,972,891号;第5,980,945号;第5,993,855号;第6,045,830号;第6,087,324号;第6,113,943号;第6,197,350号;第6,248,363号;第6,264,970号;第6,267,981号;第6,376,461号;第6,419,961号;第6,589,548号;第6,613,358号;及び第6,699,500号明細書に記載されている調節放出が挙げられる。
【0234】
1.マトリックス制御放出デバイス
幾つかの実施形態において、調節放出製剤で本明細書において提供される医薬組成物は、当業者に知られているマトリックス制御放出デバイスを使用して製造し得る(Takada et al.,“Encyclopedia of Controlled Drug Delivery”,Vol.2,Mathiowitz ed.,Wiley,1999参照)。
【0235】
一実施形態において、調節放出製剤で本明細書において提供される医薬組成物は、水膨潤性、侵食性又は可溶性重合体、例えば合成重合体及び天然重合体並びに誘導体、例えば多糖類及びタンパク質である侵食性マトリックスデバイスを使用して製剤される。
【0236】
侵食性マトリックスを形成するのに有用な物質としては、以下に限定されないが、キチン、キトサン、デキストラン及びプルラン;寒天ガム、アラビアゴム、カラヤゴム、イナゴマメゴム、トラガカントゴム、カラギナン、グハッチゴム、グアーガム、キサンタンガム及びスクレログルカン;デンプン、例えばデキストリン及びマルトデキストリン;親水性コロイド、例えばペクチン;ホスファチド、例えばレシチン;アルギン酸塩;アルギン酸プロピレングリコール;ゼラチン;コラーゲン;及びセルロース系誘導体、例えばエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、酢酸トリメリット酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAT)及びエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC);ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリ酢酸ビニル;グリセロール脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸又はメタクリル酸の共重合体(EUDRAGIT(登録商標)、Rohm America,Inc.,Piscataway,NJ);ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート);ポリラクチド;L−グルタミン酸とエチル−L−グルタミン酸との共重合体;分解性乳酸−グリコール酸共重合体;ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸;並びにその他のアクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリル酸及び(トリメチルアミノエチル)メタクリル酸クロリドの単独重合体及び共重合体が挙げられる。
【0237】
別の実施形態において、医薬組成物は、非侵食性マトリックスデバイスを用いて製剤される。有効成分(1つ又は複数)は、不活性マトリックスに溶解又は分散され、投与されると不活性マトリックスを通して拡散によって最初に放出される。非侵食性マトリックスデバイスとして使用するのに適した物質としては、以下に限定されないが、不溶性プラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチルの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリ酸エチル共重合体、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレンとの塩化ビニル共重合体、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元共重合体、及びエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体、ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネート共重合体、及び;親水性重合体、例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン及び架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニル;並びに脂肪族化合物、例えばカルナウバロウ、微晶ロウ及びトリグリセリドが挙げられる。
【0238】
マトリックス放出制御系において、所望の放出運動力学は、例えば、用いる重合体の種類、重合体の粘度、重合体及び/又は有効成分(1つ又は複数)の粒度、有効成分(1つ又は複数)と重合体の比率、並びに組成物中のその他の賦形剤又は担体によって調節できる。
【0239】
別の実施形態において、調節放出製剤で本明細書において提供される医薬組成物は、当業者の公知の方法、例えば直接圧縮、乾式又は湿式造粒、次いで圧縮、溶融造粒、次いで圧縮によって調製し得る。
【0240】
2.浸透性制御放出デバイス
幾つかの実施形態において、調節放出製剤で本明細書において提供される医薬組成物は、浸透性制御放出デバイス、例えば1チャンバーシステム、2チャンバーシステム、非対称膜技術(AMT)及び押出しコアシステム(ECS)を使用して製造し得る。一般的に、このようなデバイスは、少なくとも2つの要素:(a)有効成分(1つ又は複数)を含有するコア;及び(b)コアを封入する少なくとも1つの送達用ポートを有する半透膜を有する。半透膜は、送達用ポート(1つ又は複数)を通して押出すことによって薬物放出を生じるように使用の水性環境からコアへの水の流入を調節する。
【0241】
浸透性デバイスのコアは、有効成分(1つ又は複数)の他に、場合により、使用の環境から水をデバイスのコアに運ぶための駆動力を作り出す浸透性物質を含有していてもよい。浸透性物質の1つの種類は、水膨潤性親水性重合体(これは、「オスモポリマー」及び「ヒドロゲル」とも呼ばれる)、例えば、以下に限定されないが、親水性ビニル及びアクリル重合体、多糖類、例えばアルギン酸カルシウム、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2−ヒドロキシメタクリル酸エチル)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVP共重合体、メタクリル酸メチル及び酢酸ビニルのような疎水性単量体とのPVA/PVP共重合体、大きなPEOブロックを含有する親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びカルボキシエチル、セルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム及びデンプングリコール酸ナトリウムである。
【0242】
別の種類の浸透性物質は、オスモゲン(osmogen)であり、これは周囲のコーティングの障壁を横切って浸透圧勾配に影響を及ぼすために水を吸収することができる。適当なオスモゲンとしては、以下に限定されないが、無機塩、例えば硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウム;糖類、例えばデキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロース及びキシリトール;有機酸、例えばアスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸及び酒石酸;尿素;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0243】
種々の溶解速度をもつ浸透性物質が、どれほど迅速に有効成分(1つ又は複数)が製剤から最初に送達されるかに影響を及ぼすために使用され得る。例えば、非晶質糖類、例えばMannogeme EZ(SPI Pharma、Lewes、DE)が、所望の治療効果を迅速に生じるために最初の2〜3時間の間に早い送達を提供し、そして長時間にわたって所定レベルの治療又は予防効果を維持するために残りの量の放出を徐々に及び連続的に生じるために使用できる。この場合に、有効成分(1つ又は複数)は、代謝され、排出される有効成分の量に取って代わるためにこのような速度で放出される。
【0244】
コアはまた、剤形の性能を高める、あるいは安定性又は加工性を高めるために、本明細書に記載の種々様々なその他の賦形剤及び担体を含有し得る。
【0245】
半透膜を形成するのに有用な物質としては、種々のグレードのアクリル化合物、ビニル化合物、エーテル類、ポリアミド、ポリエステル、及び生理学的に適切なpHで水透過性及び水不溶性であるか又は化学変化、例えば架橋によって非水溶性にされ易いセルロース誘導体を含有し得る。コーティングを形成するのに有用な適当な重合体の例としては、可塑化、非可塑化及び強化酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸CA、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAエチルカルバメート、CAP、CAメチルカルバメート、コハク酸CA、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、ジアミノ酢酸CA、CA炭酸エチル、CAクロロアセテート、CAシュウ酸エチル、CAメチルスルホネート、CAブチルスルホネート、CAp−トルエンスルホネート、酢酸寒天、三酢酸アミロース、酢酸βグルカン、三酢酸βグルカン、アセトアルデヒド酢酸ジメチル、イナゴマメゴムの三酢酸塩、ヒドロキシル化エチレン−酢酸ビニル、EC、PEG、PPG、PEG/PPG共重合体、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸及びエステル及びポリ(メタクリル)酸及びエステル並びにこれらの重合体、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルエステル及びエーテル、天然ワックス及び合成ワックスが挙げられる。
【0246】
半透膜はまた、疎水性微孔質膜であってもよく、その細孔は、米国特許第5,798,119号明細書に開示されているように、気体で実質的に満たされており、水性媒体で湿されていないが水蒸気透過性である。このような疎水性であるが水蒸気透過性である膜は、典型的には、疎水性重合体、例えばポリアルケン類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリスチレン類、ポリハロゲン化ビニル類、ポリ弗化ビニリデン、ポリビニルエステル類及びエーテル類、天然ワックス及び合成ワックスからなる。
【0247】
半透膜上の送達用ポート(1つ又は複数)は、機械的ドリル又はレーザードリルでコーティング後に形成し得る。送達用ポート(1つ又は複数)はまた、水溶性物質のプラグの侵食によって又はコアのくぼみの上の膜の薄い部分の破裂によってその場で形成し得る。また、送達用ポートは、米国特許第5,612,059号及び同第5,698,220号明細書に開示されている種類の非対称膜コーティングの場合にように、コーティングプロセス中に形成し得る。
【0248】
放出される有効成分(1つ又は複数)の全体量及び放出速度は、半透膜の厚み及び多孔率、コアの組成、並びに送達用ポートの個数、大きさ及び位置によって実質的に調節できる。
【0249】
浸透性制御放出製剤の医薬組成物は、さらに、製剤の性能又は加工を高めるために、本明細書に記載のような追加の慣用の賦形剤又は担体を含有し得る。
【0250】
浸透性制御放出製剤は、慣用の方法及び当業者に知られている技法に従って調製できる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,上記;Santus and Baker,J.Controlled Release,1995,35,1−21;Verma et al.,Drug Development and Industrial Pharmacy,2000,26、695−708;Verma et al.,J.Controlled Release,2002,79、7−27参照)。
【0251】
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、有効成分(1つ又は複数)とその他の製薬学的に許容し得る賦形剤又は担体とを含有するコアを被覆する非対称浸透膜からなるAMT放出制御製剤として製剤される。米国特許第5,612,059号及び国際公開第WO2002/17918号明細書参照。AMT放出制御製剤は、慣用の方法及び当業者に知られている技法、例えば直接圧縮法、乾式造粒法、湿式造粒法及び浸漬コーティング法に従って調製できる。
【0252】
特定の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、ヒドロキシルエチルセルロース、及びその他の製薬学的に許容し得る賦形剤又は担体を含有するコアを被覆する浸透膜からなるESC放出制御製剤として製剤される。
【0253】
3.多粒子制御放出デバイス
幾つかの実施形態において、調節放出製剤で本明細書において提供される医薬組成物は、直径で約10μm〜約3mm、約50μm〜約2.5mm、又は約100μm〜約1mmの範囲にある多数の粒子、顆粒又はペレットからなる多粒子制御放出デバイスとして製造される。このような多粒子は、当業者に知られている方法、例えば湿式及び乾式造粒法、押出し/球状化法、ローラー圧縮法、溶融凝集法及びスプレーコーティング種子コア法で調製し得る。例えば、Multiparticulate Oral Drug Delivery,Marcel Dekker:1994;及びPharmaceutical Pelletization Technology;Marcel Dekker:1989.参照。
【0254】
本明細書に記載のような別の賦形剤又は担体は、多粒子の加工及び形成の促進のために医薬組成物と混合し得る。得られる粒子は、それ自体、多粒子デバイスを構成し得るか又は種々の皮膜形成物質、例えば腸溶性重合体、水膨潤性及び水溶性重合体で被覆し得る。多粒子は、さらに、カプセル又は錠剤として加工できる。
4.標的送達
【0255】
幾つかの実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、治療される被検体の体の特定組織、受容体又はその他の領域、例えばリポソーム送達系、再封入赤血球系及び抗体送達系に標的として向けるために製剤し得る。例としては、以下に限定されないが、米国特許第6,316,652号;同第6,274,552号;同第6,271,359号;同第6,253,872号;同第6,139,865号;同第6,131,570号;同第6,120,751号;同第6,071,495号;同第6,060,082号;同第6,048,736号;同第6,039,975号;同第6,004,534号;同第5,985,307号;同第5,972,366号;同第5,900,252号;同第5,840,674号;同第5,759,542号;及び同第5,709,874号明細書が挙げられ、これらのそれぞれは、その全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0256】
即時放出
幾つかの実施形態において、即時放出製剤で本明細書において提供される医薬組成物は、USP XXII、1990(米国薬局方)に記載のように、治療有効成分又は組み合わせの75%以上を放出することができる及び/又は錠剤コアに含まれる特定の治療薬又は組み合わせの即時放出のための崩壊又は溶解要件を満たす。
局所投与
【0257】
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、皮膚、開口部又は粘膜に局所投与し得る。本明細書において使用される局所投与は、皮膚(皮内)、結膜、角膜内、眼内、眼、耳介、経皮、鼻、膣、尿道、呼吸器及び直腸投与を包含する。
【0258】
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、局所又は全身作用のための局所投与に適した、エマルジョン、溶液、懸濁液、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、散剤、包帯剤、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、発泡体、フィルム、エアロゾル、洗浄液、スプレー、坐薬、包帯、皮膚貼付剤等の剤形に製剤し得る。また、本明細書において提供される医薬組成物の局所製剤は、リポソーム、ミセル、微小球、ナノ系及びこれらの混合物からもなり得る。
【0259】
本明細書において提供される局所製剤に使用するのに適した製薬学的に許容し得る担体及び賦形剤としては、以下に限定されないが、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の成長に対する抗微生物剤又は防腐剤、安定剤、溶解促進剤、等張剤、緩衝剤、酸化防止剤、局部麻酔薬、懸濁剤及び分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート化剤、浸透促進剤、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、増粘剤及び不活性ガスが挙げられる。
【0260】
幾つかの実施形態において、医薬組成物はまた、電気穿孔法、イオン導入法、音波導入法、超音波導入法及び超微細針又は無針注射、例えばPOWDERJECT(商標名)(Chiron Corp.,Emeryville,CA)及びBIOJECT(商標名)(Bioject Medical Technologies Inc.,Tualatin,OR)によっても局所投与し得る。
【0261】
本明細書において提供される医薬組成物は、軟膏、クリーム及びゲルの形態で提供し得る。適当な軟膏剤ビヒクルとしては、油性又は炭化水素ビヒクル、例えばラード、ベンゾイン化ラード、オリーブ油、綿実油及びその他の油、白色ワセリン;乳化性又は吸収性ビヒクル、例えば親水性ワセリン、ヒドロキシステアリンサルフェート及び無水ラノリン;除水ビヒクル、例えば親水性軟膏剤;水溶性軟膏剤ビヒクル、例えば種々の分子量のポリエチレングリコール;エマルジョンビヒクル、油中水(W/O)エマルジョン又は水中油(O/W)エマルジョン、例えばセチルアルコール、グリセリルモノステアレート、ラノリン及びステアリン酸が挙げられる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、上記、参照)。これらのビヒクルは、皮膚軟化剤であるが、一般に酸化防止剤及び防腐剤の添加を必要とする。
【0262】
適当なクリーム基剤は、水中油又は油中水であり得る。クリームビヒクルは、水洗可能であり得、油相、乳化剤及び水性相を含有する。油相は、「内部」相とも呼ばれ、一般にワセリン及び脂肪アルコール、例えばセチルアルコール又はステアリルアルコールからなる。水性相は、通常、必ずではないが、容量で油相よりも多く、一般に保湿剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤であり得る。
【0263】
ゲルは、半固体懸濁液型の系である。単一相ゲルは、液状担体全体に実質的に均一に分布した有機高分子を含有する。適当なゲル化剤としては、架橋アクリル酸重合体、例えばカルボマー、カルボキシポリアルキレン、カルボポール(登録商標);親水性重合体、例えばポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体及びポリビニルアルコール;セルロース系重合体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルセルロース;ゴム類、例えばトラガカントゴム及びキサンタンガム;アルギン酸ナトリウム;並びにゼラチンが挙げられる。均一なゲルを調製するために、分散剤、例えばアルコール又はグリセリンを加えることができるし又はゲル化剤は、粉砕、機械的混合及び/又は攪拌によって分散させることができる。
【0264】
本明細書において提供される医薬組成物は、坐薬、ペッサリー、ブジー、湿布剤又はバップ剤、ペースト、粉末、包帯剤、クリーム、プラスター、避妊薬、軟膏、溶液、エマルジョン、懸濁液、タンポン、ゲル、発泡体、スプレー又は浣腸の形態で直腸、尿道、膣又は膣周囲に投与し得る。これらの剤形は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(上記)に記載されているように慣用の方法を使用して製造できる。
【0265】
直腸、尿道及び膣坐薬は、常温で固体であるが、体腔内に有効成分(1つ又は複数)を放出するために体温で溶融又は軟化する体腔内挿入用固形物である。直腸及び膣坐薬に利用される製薬学的に許容し得る担体としては、塩基又はビヒクル、例えば硬化剤(これは、本明細書において提供される医薬組成物を用いて製剤された場合に、体温付近で融点を生じる);及び本明細書に記載の酸化防止剤、例えば亜硫酸水素塩及びメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。適当なビヒクルとしては、以下に限定されないが、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨ロウ、パラフィン、白色及び黄色ワックス、並びに脂肪酸のモノ、ジ及びトリグリセリドの適切な混成物、ヒドロゲル、例えばポリビニルアルコール、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアクリル酸;グリセリン化ゼラチンが挙げられる。種々のビヒクルの組み合わせが使用され得る。直腸及び膣坐薬は、圧縮法又は成形法によって調製し得る。直腸及び膣坐薬の典型的な量は、約2〜約3gである。
【0266】
本明細書において提供される医薬組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、エマルジョン、ゲル形成溶液、溶液用粉末、ゲル、眼内挿入物及びインプラントの形態で眼に投与し得る。
【0267】
本明細書において提供される医薬組成物は、鼻腔内に投与し得るし又は吸入法で気道に投与し得る。医薬組成物は、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、例えば微細ミストを生成させるために電気流体力学を使用するアトマイザー又はネブライザーを使用して送達させるためのエアロゾル又は溶液の形態で、単独で提供し得るし、あるいは適当な噴射剤、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンと組み合わせて提供し得る。医薬組成物はまた、吸入するための乾燥粉末として、単独で提供し得るし、あるいは不活性担体、例えばラクトース又はリン脂質;及び点鼻薬と組み合わせて提供し得る。鼻腔内使用については、粉末は、生体付着剤、例えばキトサン又はシクロデキストリンを含有し得る。
【0268】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー又はネブライザーで使用するための溶液又は懸濁液は、本明細書において提供される有効成分を分散、溶解又は持続放出させるためのエタノール、水性エタノール又は適当な代替薬剤、溶媒としての噴射剤;及び/又は界面活性剤、例えばソルビタントリオレエート、オレイン酸又はオリゴ乳酸を含有させるために製剤し得る。
【0269】
別の実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、吸入によって送達させるのに適した大きさ、例えば約50マイクロメーター以下、又は約10マイクロメーター以下に微粉化し得る。このような大きさの粒子は、当業者に知られている微粉砕法、例えばスパイラルジェットミル粉砕、流動床ジェットミル粉砕、ナノ粒子を形成するための超臨界流体処理、高圧均質化又は噴霧乾燥を使用して調製し得る。
【0270】
吸入器又は空気注入器に使用されるカプセル、ブリスター及びカートリッジは、本明細書において提供される医薬組成物の粉末混合物;適当な粉末基剤、例えばラクトース又はデンプン;及び性能調節剤、例えばl−ロイシン、マンニトール又はステアリン酸マグネシウムを含有させるために製剤し得る。ラクトースは、無水又は一水和物の形態であり得る。その他の適当な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース及びトレハロースが挙げられる。吸入/鼻腔内投与用の本明細書において提供される医薬組成物は、さらに、適当なフレーバー、例えばメントール及びレボメントール、又は甘味料、例えばサッカリン又はサッカリンナトリウムを含有し得る。
【0271】
一実施形態において、局所投与用の本明細書において提供される医薬組成物は、即時放出製剤、調節放出製剤、例えば遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、制御放出製剤、標的放出製剤及びプログラム放出製剤に製剤し得る。
【実施例1】
【0272】
2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの合成
【化11】

【0273】
置換ベンズアルデヒドを、不活性溶媒中、5〜200℃の間の温度でアニリン化合物Aと反応させることによって脱水縮合を行い、アルジミン化合物Bを得る。次いで、トリメチルシリルシアニドを、ルイス酸の存在下で、アルジミン化合物Bと反応させて、アニリノニトリルCを得る。次いで、α,β−不飽和アルデヒドを、アニリノニトリルCと反応させて化合物Dを得、次いでこれをAnn.Chem.589,176(1954)に記載の方法の変法で、塩基性条件下で脱水及び脱水シアノ化する。
【実施例2】
【0274】
CP−724714の合成
【化12】

Ripinらの方法(Org.Process Res.Dev.2005,9,440)に従って、出発化合物Fを、溶媒としてのDMF中でKCOのような塩基性条件下で、アニリンGと縮合させる。ヨードキナゾリンHを、保護アリルアミンIとのパラジウム(0)触媒カップリング反応に供し、次いで酸促進脱保護に供して複素環Jを得る。メトキシアセチルクロリドによるJのアセチル化により、CP−724,714が得られる。
【実施例3】
【0275】
抗HER2モノクロナール抗体の産生
雌性Balb/cマウス5匹を、HER2増幅NIH 3T3形質転換細胞を用いて22週間にわたって免疫した。最初の4回の注射それぞれは、細胞約10個/マウスを有していた。これらの注射を、0.5ミリリットルのPBS中で0週、2週目、5週目、7週目に腹腔内に投与した。5回目及び6回目の注射は、約700μg/mlの全タンパク質濃度を有するコムギ胚芽凝集素部分精製膜調剤を用いた。
【0276】
9週目及び13週目に、100μl/注射を各マウスの腹腔内に投与した。最後の注射も精製物質を有用いたが、静脈内に融合の日の3日前に投与した。
【0277】
マウスから採取した血液を、種々の時間で、全細胞溶解液を使用して放射線免疫沈降法で検査した。最も高い抗体力価を有する3匹のマウスを犠牲にし、脾臓を、以下の場合を除いてMishell & Shiigi,Selected Method in Cellular Immunology,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,p.357−363(1980)の基本手順を使用して、マウス骨髄腫細胞系X63−Ag8.653と融合させた。細胞を、約2×10個細胞/ウェルの密度で10個の96ウェルマイクロタイタープレートに移植した。ハイブリッドを、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)よりもむしろヒポキサンチン−アゾセリンを使用して選別した。
【0278】
ハイブリドーマ上清を、HER2受容体に特異的な抗体の存在について、ELISA及び放射線免疫沈降法を使用して検査した。
【0279】
ELISAについては、PBS中3.5μg/mlのHER2受容体(コムギ胚芽凝集素カラムで精製した)を、イムロンIIマイクロタイタープレートに、4℃で一夜又は室温で2時間、吸着させた。次いで、プレートを、0.05%Tween 20(PBS−TW20)を含有するリン酸緩衝生理食塩水で洗浄して、未結合抗体を除去した。次いで、残存結合部位を、PBS−TW20中のウェル当たり200μlの1%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックし、室温で1時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、100μlのハイブリドーマ上清を各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。
【0280】
プレートを、再度洗浄し、セイヨウワサビペルオキシダーゼに結合させたヤギ抗マウス免疫グロブリンの適切な希釈液を、ウェル当たり100μl加えた。プレートを、再度、室温で1時間インキュベートし、次いで上記のように洗浄した。O−フェニレンジアミンを基質として加え、室温で25分間インキュベートし、2.5MのHSOを用いて反応を停止させた。次いで、各ウェルの吸光度を492nmで読み取った。
【0281】
放射線免疫沈降法については、最初に、コムギ胚芽精製HER2受容体調剤を、以下の方法で自動リン酸化した:以下の最終濃度を有するキナーゼ溶液を調製した:0.18mCi/ml.γ.P32−ATP(Amersham)、0.4mMのMgCl、0.2mMのMnCl、10μMのATP、35μg/ml全タンパク質濃度の20mMのHepesに希釈した部分精製HER2全部、0.1%トリトン、10%グリセリン、グリセロール緩衝液(HTG)。この反応は、室温で30分間インキュベートした。次いで、50μlのキナーゼ反応物に、50μlのハイブリドーマ上清を加え、室温で1時間インキュベートした。50μlのヤギ抗マウスIgGで予め被覆されたプロテイン−AセファロースCM4Bを、80mg/mlのセファロース濃度で各試料に加え、室温で1時間インキュベートした。
【0282】
次いで、得られた免疫複合体を、HTG緩衝液を用いて遠心分離で2回洗浄し、最後に小型微量高速遠心機でPBS中0.2%デオキシコール酸塩0.2%Tween 20を用いて洗浄し、洗浄液同士の間を吸引した。還元試料緩衝液を各試料に加え、試料を95℃で2〜5分間加熱し、不溶物を遠心分離で除去し、還元免疫複合体を、SDSを含有する7.5%ポリアクリルアミドゲルに充填した。ゲルを30amp定電流で操作し、オートラジオグラフを最終ゲルから得た。
【0283】
約5%の全ウェル上清が、ELISA及び/又は放射線免疫沈降法でHER2受容体と反応した。この最初の5%(約100)から、幾つかのハイブリッドが、低親和性抗体を産生し、その他は不安定性を生じ、合計で10個の高親和性安定HER2特異抗体産生細胞系を残す抗体を分泌するのを停止した。これらは、限界希釈法で拡張され、クローン化された(Oi,V.T.and Herzenberg,L.A.,“Immunoglobulin Producing Hybrid Cell Lines” in Selected Methods in Cellular Immunology,p.351−372,Mishell,B.B.and Shiigi,S.M.(eds.),W.H.Freeman and Co.(1980))。多量の特異モノクロナール抗体が、腹水腫瘍を生じさせるためにプリスタンで初回抗原刺激を受けたマウスのクローン化ハイブリドーマ細胞の注射によって産生された。次いで、腹水を採取し、プロテイン−Aセファロースカラムで精製した。
【実施例4】
【0284】
2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの薬物動態及び代謝
経口投与された2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールは、検査した全ての種(マウス、ラット、イヌ及びサル)で迅速に吸収された。最大血漿濃度は、5mg/kgの用量の投与後1〜3時間の間に達成された。除去半減期(t1/2)は、げっ歯類及びイヌでは4〜5時間であり、サルでは約2時間であった。経口利用率は、げっ歯類で最も大きく、イヌ及びサルでは低かった(それぞれ59%及び34%)。ヒト被検体での薬物動態は、経口投与された2mg〜800mgの用量から直線用量曝露相関関係を実証した。ヒト被検体での半減期は、15〜18時間であった。
【実施例5】
【0285】
2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの毒性
マウス、ラット、イヌ及びサルでの2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの毒性学的評価は、シクロオキシゲナーゼの阻害に関連した予期された所見を明らかにし、その他のCOX−2選択的阻害薬を用いた動物安全性観察と一致した。単回投与試験において、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの最小致死量は、ラットでは600mg/kgであり、イヌでは、>2000mg/kgであった。ヒト被検体で行った内視鏡検査研究は、プラセボと比べて胃又は十二指腸毒性の増大は実証されなかった。
【実施例6】
【0286】
HER2[ErbB2]キナーゼ活性の生体外阻害
HER2[ErbB2]受容体チロシンキナーゼの阻害における本明細書に記載の組み合わせの生体外活性は、次の手順で測定し得る。HER2[ErbB2]組換え細胞内ドメイン(アミノ酸675−1255)は、バキュロウイルス感染Sf9細胞においてグルタチオンS−トランスフェラーゼ融合タンパク質として発現される。このタンパク質を、アッセイで使用するために、グルタチオンセファロースビーズ上でアフィニティークロマトグラフィーにより精製する。Nunc MaxiSorp96ウエルプレートを、PBS中100μl/ウエルの0.25mg/mlポリ(Glu:Tyr、4:1)、(PGT;Sigma Chemical Co.)と共に37℃で一夜インキュベーションすることにより被覆した。過剰のPGTを吸引することにより除去し、プレートを洗浄緩衝液(PBS中0.1%Tween 20)で3回洗浄した。125mM塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム、0.1mMオルトバナジウム酸ナトリウム、1mMのATP及び約15ng組換えタンパク質を含有する50μlの50mMのHEPES(pH7.4)中でキナーゼ反応を行った。DMSO中の試験組成物を加える;最終DMSO濃度は2.5%である。リン酸化を、ATPを加えることによって開始させ、一定に振盪しながら室温で6分間進行させた。キナーゼ反応は、反応混合物を吸引し、洗浄緩衝液で4回洗浄することにより終結させる。リン酸化PGTを、ブロッキング緩衝液(PBS中、3%BSA、0.05%Tween 20)中で0.2μg/mlに希釈した50μl/ウエルHRP複合PY54(Oncogene Science Inc.Pharmaceuticals,Uniondale,NY)抗ホスホロチロシン抗体と共に25分インキュベーション後に測定した。抗体を吸引することにより除去し、プレートを洗浄緩衝液で4回洗浄する。比色分析シグナルを、テトラメチルベンジジンマイクロウエルペルオキシダーゼ基質(Kirkegaard and Perry Labs,Gaithersburg,MD)50μl/ウエルを加えることによって生じさせ、0.09M硫酸50μl/ウエルを加えることによって停止させる。形成されたホスホチロシン生成物を450nmでの吸光度の測定によって評価する。対照についてのシグナルは、典型的にはA0.6〜1.2であり、本質的に、ATP、キナーゼタンパク質又はPGTを使用しないウエルにおいてバックグラウンドは本質的になく、6分間のインキュベーション時間に比例する。
【実施例7】
【0287】
医薬組成物及び剤形
医薬用賦形剤及び担体、並びにCP−724714(A)と2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロール(B)との組み合わせを含有する医薬組成物を含有する製剤としては、以下の製剤が挙げられる:
【表2】

【0288】
本明細書に記載の製剤、例えば上記の表に記載の製剤は、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとCP−724714との組み合わせを含有する単一の固定用量で投与してもよいし、又は2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの単一投与とCP−724714の単一投与との個別の投与としてもよい。
【実施例8】
【0289】
生物学的評価
SK−BR−3モデル:
マウスの左足の皮下に注射し(30%マトリゲルに懸濁した1×10個の腫瘍細胞)、腫瘍体積を30〜60日間、週に2回プレチスモメーターを使用して評価した。ヒト乳癌細胞(SK−BR−3)のヌードマウスへの移植は、30〜50日の間に0.6〜2mlに達する腫瘍を生じる。24時間プロトコールで実験中に、血液を2回採取し、AUC分析により血漿濃度及び全露出量を評価した。得られたデータを、平均±SEMとして表した。スチューデントの検定及びマン・ホイットニー検定を用い、InStatソフトウエアパッケージを使用して平均同士の間の相違を評価した。
【0290】
A.SK−BR−3癌細胞を注射したマウスを、5日目、7日目及び9日目に、餌に入れた2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと、静脈内投与されるトラスツズマブとの組み合わせからなる併用療法の存在下又は不存在下で、50mg/kgの用量のサイトキシン(cytoxin)でi.p.処置する。両方の薬剤の効果を、腫瘍体積を測定することにより調べる。これらの試験から得られる結果は、腫瘍を有するマウスに対する2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとトラスツズマブとの組み合わせからなる併用療法の投与は、腫瘍の増殖及び転移を遅らせることができることを実証し得る。
【0291】
B.第2のアッセイでは、マウスにSK−BR−3癌細胞を注射し、次いで12〜15日目に5−FUで処理する。SK−BR−3癌細胞を注射したマウスを、12日目、13日目、14日目及び15日目に、餌に入れた2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと、静脈内投与されるトラスツズマブとの組み合わせからなる併用療法の存在下又は不存在下で、50mg/kgの用量の5−FUでi.P.処置する。両方の薬剤の効果を、腫瘍体積を測定することによって調べる。併用療法を使用する処理は、腫瘍体積を70%まで減少し得る。同じアッセイにおいて、5−FUは、腫瘍体積を61%まで減少させる。また、前記組成物及び5−FUは、腫瘍体積を83%まで減少し得る。
【0292】
C.第3のアッセイでは、SK−BR−3乳癌細胞を注射したマウスを、14〜17日目に、餌に入れた2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロール及びバルデコキシブと、静脈内投与されるトラスツズマブとの組み合わせからなる併用療法の存在下又は不存在下で、50mg/kgの用量の5−FUでi.P.処理する。両方の薬剤の効果を、腫瘍体積を測定することによって調べる。5−Fによる処理は、腫瘍体積の35%減少をもたらし得る。組成物及びバルデコキシブによる処理は、腫瘍体積をそれぞれ52%及び69%まで減少し得る。同じアッセイにおいて、5−FUと組成物との組み合わせは、腫瘍体積を72%まで減少させ、これに対して5−FUとバルデコキシブとの組み合わせは、腫瘍体積を74%まで減少し得る。
【実施例9】
【0293】
2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとトラスツズマブとを基剤とする組み合わせは、腫瘍増殖遅延を促進する
BT474モデル
雌性SCIDマウスのわき腹に皮下注射し(1mmのBT474腫瘍)、腫瘍体積を最大90日までの間、反応したものについてはそれよりも長い期間、1週に2回ノギスを使用して評価した。平均腫瘍サイズが100〜200mgに達すると、治療を開始した。セレコキシブと2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールは、両方共に1%カルボキシメチルセルロース/水の溶液として製剤し、胃管栄養法で経口投与した。トラスツズマブは、100%生理食塩水で投与した。試験の終点は、腫瘍の体積が0.75gに達するか又は90日に達するかそのいずれか最初に来たときであった。BT474癌細胞を注射したマウスは、次の治療群の1つにグループ分けした:
群0:治療せず
群1:トラスツズマブ(15mg/kg、ip、2週×3);
群2:2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロール(10mg/kg、po、最後まで毎日);
群3:2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロール(30mg/kg、po、最後まで毎日);
群4:セレコキシブ(30mg/kg、po、最後まで毎日);
群5:2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロール(10mg/kg、po、最後まで毎日)及びトラスツズマブ(15mg/kg、ip、2週×3);
群6:2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロール(30mg/kg、po、最後まで毎日)及びトラスツズマブ(15mg/kg、ip、2週×3);
群7:セレコキシブ(30mg/kg、po、最後まで毎日)及びトラスツズマブ(15mg/kg、ip、2週×3)
BT474試験の反応の要約
【表3】

【0294】
トラスツズマブ単独と比較すると、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとトラスツズマブとの組み合わせ(群5)では、腫瘍増殖遅延において2倍の増大が観察された。セレコキシブは、トラスツズマブと組み合わせる(群7)と、付加効果が実証されなかった。
【実施例10】
【0295】
2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールをトラスツズマブ及びパクリタキセルと一緒に含有する組み合わせを用いた乳癌の
【0296】
治療
乳癌を患う患者に2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールと、トラスツズマブと、場合により追加化学療法薬又はこれらのそれぞれの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグとからなる組み合わせの治療有効量を投与することからなる乳癌を患う患者を治療する方法が、意図される。前の補助治療がアントラサイクリン療法を含むものであった転移性乳癌を患う女性について、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールをトラスツズマブ及びパクリタキセルと一緒に投与することからなる治療レジメンが意図される。
【実施例11】
【0297】
ヒト乳癌異種移植片での2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールの単独及び標準薬剤との組み合わせの活性
2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールを、多数のヒト乳房腫瘍異種移植片モデルで評価した。この化合物を、確立されたsc移植された異種移植片を有する雌性胸腺欠損ヌードマウスで、連続的連日投与レジメンで経口投与した。評価したこのモデルは、BT474(erbB2+)乳癌、MX1(ER−、erbB2−)乳癌、MCF7(ER+)乳癌及びMDA−MB−435(ER−、erbB2−)乳癌を含んでいた。それぞれの腫瘍モデルにおいて、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールを、幅広い投薬量範囲にわたってセレコキシブと比較した。単剤療法(図3及び図4参照)の他に、COX−2阻害薬とトラスツズマブとの組み合わせを、BT474乳癌で評価し(図1及び図2参照)、ペメトレキセドとの組み合わせをMX1乳癌で評価した(図5及び図6参照)。実験は、終点、すなわち、750〜1000mmまでの平均時間に基づいた腫瘍増殖遅延(TGD)終点を使用し、処置を統計的有意性についてログランク検定を使用して未処置対照と比較した。
【0298】
2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールもセレコキシブも、4種類の乳房腫瘍モデルのいずれかで単剤療法として使用した場合には有意な腫瘍増殖遅延を生じなかった。トラスツズマブ単独は、BT474で1CR/10で、18.6日の有意なTGDを生じた(49%、p=.017)。2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとトラスツズマブとの組み合わせは、39.9日のTGD(104%、p=.0003)及び1PR+2CR/10で、トラスツズマブ単独よりも著しく効果があった。これに対して、セレコキシブ+トラスツズマブは、トラスツズマブ単独よりも効果がなかった(17.2日のTGD及び退縮なし、p=.88)。ペメトレキセド単独は、MX1モデルでTGDを生じなかった。しかし、ペメトレキセドと2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとの組み合わせは、11.9日のTGD(44%、p=.0028)で腫瘍増殖を著しく遅らせた。同様の治療的効果は、MXIにおいてペメトレキセド+セレコキシブで明らかであった(13.2日のTGD[49%、p=.0103])。
【実施例12】
【0299】
非小細胞肺癌患者でのドセタキセル又はペメトレキセドと組み合わせたアプリコキシブの効果及び安全性についての無作為、二重盲検、プラセボ対照多施設第2相試験
この臨床試験は、非盲検導入期間を有する第2相、無作為、二重盲検、プラセボ対照多施設試験である。
【0300】
患者は、スクリーニング評価及び同じ14日間の間に5日の導入を受ける。スクリーニング期間中は毒性効果も治療効果もないと思われるので適格要件(すなわち、CTスキャンなどを取る)の達成を見越してアプリコキシブ導入を行うことが許可される。患者は、スクリーニング段階を開始する前に、履歴、身体状況、一般状態、及び検査項目について適格要件を満たさなければならない。患者は、毒性についてこの期間中、厳密に監視される。5日間の導入期間を開始する前に、患者は、アスピリンの服用を7日間中止し、その他のNSAIDの服用を2日間中止する。患者は、尿スクリーニングを受け、同じ期間中に必要とされるスキャンを受けてもよい。非盲検導入段階中に、患者は、5日間、アプリコキシブ400mgQD投与される。導入期間の最初の日と最後の日に、尿PGE−Mを測定される。導入期間の5日目の尿PGE−Mの評価及び採取について+2日の期間(window)がある。患者は、単剤アプリコキシブの5日導入後のベースランPGE−Mレベルから少なくとも50%の減少に基づいて無作為化について選択される。導入期間の終わりと二重盲検治療の開始(サイクル1、1日目)の間に、アプリコキシブの最小48時間のウォッシュアウトがある。
【0301】
サイクル1の1日目に、適格患者は、アプリコキシブ(AP)とドセタキセル(DC)、又はプラセボ(P)とドセタキセル(DC);あるいはアプリコキシブ(AP)とペメトレキセド(PE)、又はプラセボ(P)とペメトレキセド(PE)を用いた治療に対して1:1の比率で無作為化に割り振られる。患者は、AP/DC又はAP/PEに無作為化に割り振られ、アプリコキシブ錠剤の投与を受ける。P/DC又はP/PEに無作為化に割り振られた患者は、アプリコキシブ錠剤に適合するプラセボ錠剤の投与を受ける。試験治療のそれぞれのサイクルは、21日間である。それぞれの試験サイクルが腫瘍の進行又は耐え難い毒性がなく終わると、患者は、試験治療の新たなサイクルを開始される。試験治療は、疾患進行、耐え難いAE、死、患者による試験からの自主撤退、又はスポンサーによる試験の中止まで、研究者によって決定されるように続けられる。
【0302】
試験治療の最初のサイクル中に、安全性及び許容性評価(AEの自発報告、身体検査、生命徴候、ECOGPS、臨床検査室検査)が、1日目、8日目及び15日目に週1回測定される。その後のサイクル中に、安全性及び許容性評価が、21日毎に1日目に測定される。すべての無作為試験後の往診(visit)について±3日の期間がある。
【0303】
腫瘍評価(磁気共鳴映像法[MRI]、慣用又はスパイラルコンピュータ断層撮影法[CT]、X線)が、ベースライン時、偶数サイクル毎の終わり(例えば、サイクル3、サイクル5などの1日目)、及び試験の終わり(EOS)/早期終結(往診の14日以内に実施されていない限り)に行われる。その他の有効性評価(身体検査、フェイスペインスケール、肺癌療法の基本評価[FACT−L])が、サイクル1中に毎週、その後のサイクルの1日目、及びEOS/早期終結時に実施される。
【0304】
腫瘍COX−2IHCが、先の生検からのパラフィン包埋腫瘍試料について評価される。最小5つのスライドが採取される。薬力学的検査が、後日行われる(尿PGE−Mを除く)。その他の薬力学的試料は、スクリーニング中及びサイクル2の1日目に得られる。尿PGE−M及びCOX−2IHCが測定される。その他の薬力学的評価は、デオキシリボ核酸(DNA)遺伝子分析、リボ核酸(RNA)遺伝子発現分析、プロテオミクス、及び薬物濃度評価のための血漿を含む。以下の遺伝子/タンパク質を評価し得る;しかしこのリストは、完全ではない:CD44、MMp2、Zeb1、Snail、IL−10、IL−12、FOXP3、CXCL5、CXCL8、VEGF、スルビビン、IGF−BP−3及びIL−6。これらの遺伝子/タンパク質は、腫瘍浸潤、免疫調節、血管新生及びアポトーシスに関係しているCOX−2メカニズムを評価する。試験治療の中止の3日以内に、患者は、EOS/早期終結往診に出席し、そこで有効性及び安全性評価が行われる。
【0305】
治療レジメンの患者服薬遵守は、患者投与カレンダーによって評価される。試験治療を受けた日付及び時刻が、患者によって記録される。また、投与の遅延及び削減が、試験する人によって記録され、症例報告書式(CRF)に含まれる。服薬非遵守の全ての場合及び全ての得られるプロトコール偏差が、CRFに記録される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を患う被検体を治療する方法であって、前記被検体に1,2−ジフェニルピロール誘導体あるいはその製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、多形体又はプロドラッグと、代謝拮抗物質とからなる組み合わせの治療有効量を投与することからなる、方法。
【請求項2】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、次式:
【化1】

(式中:
Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であるか又はアミノ基であり;
は、フェニル基であって、非置換であるか又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基であり;
は、水素原子;1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、アリール基;あるいはアラルキル基であり;前記アリール基は、炭素環中に6〜14個の環炭素原子を有し、非置換であるか又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
前記アラルキル基は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって前記で定義したような少なくとも1個のアリール基で置換されたアルキル基であり;
前記置換基αは、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択され;
前記置換基βは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;1〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基;メルカプト基;1〜6個の炭素原子を有するアルカノイルチオ基;1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基;1〜6個の炭素原子を有するハロアルコキシ基;並びに1〜6個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグからなる群から選択される)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rが、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
が、メチル基又はアミノ基であり;
が、非置換フェニル基であるか、又は置換フェニル基であって、ハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;1〜4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基;及び1〜4個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
が、水素原子、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基、又は置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基であり;
が、水素原子;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基;3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;アリール基であって、6〜10個の環炭素原子を有し、非置換であるか又はハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;及び3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアリール基;並びにアラルキル基であってそのアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有し且つ少なくとも1個の前記アリール基を含有するアラルキル基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Rが水素原子であり;
がアミノ基であり;
が、非置換フェニル基であるか、又は置換されたフェニル基であって、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
が、水素原子、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基又は1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基であり;
が、水素原子;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基;3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;アリール基であって、6〜10個の環炭素原子を有し、非置換であるか又はヒドロキシ基;ハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し且つ非置換であるか又は少なくとも1個のハロゲン原子で置換されたアルキル基;及び3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアリール基;並びにアラルキル基であってそのアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有し且つ少なくとも1個の前記アリール基を含有するアラルキル基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、4−メチル−2−(4−メチルフェニル)−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(4−メトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(4−クロロフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;4−メチル−2−(4−メチルチオフェニル)−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;2−(3,4−ジメチルフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;4−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−(4−スルファモイルフェニル)ピロール;1−(4−アセチルアミノスルホニルフェニル)−4−メチル−2−(4−メトキシフェニル)ピロール;及び1−(4−アセチルアミノスルホニルフェニル)−4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)ピロールからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記代謝拮抗物質が、ペメトレキセド、ラルチトレキセド又はメトトレキセートから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体と前記代謝拮抗物質が、いずれかの順序で連続的に投与されるか又は同時に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が最初に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記代謝拮抗物質が最初に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組み合わせを投与すると前記被検体の治療を高める、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記組み合わせを投与すると、前記代謝拮抗物質単独での治療又は前記1,2−ジフェニルピロール誘導体単独での治療と比べて癌の治療の副作用を軽減する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記組み合わせの投与が、経口、非経口、口腔内、鼻腔内、硬膜外、舌下、肺、局所、直腸又は経皮投与によるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記組み合わせの投与が、非経口投与によるものである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
非経口投与が、静脈内、皮下、鞘内又は筋肉内投与である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が毎日経口投与され、前記代謝拮抗物質が、治療サイクル当たり毎日1回、隔日1回、7日毎に1回、14日毎に1回、21日毎に1回又は28日毎に1回から選択される頻度で注射によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記癌が、口唇癌、前立腺癌、直腸癌、非小細胞肺癌、口唇及び口腔癌、肝癌、肺癌、肛門癌、腎臓癌、外陰癌、乳癌、口腔咽頭癌、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、尿道癌、小腸癌、胆管癌、膀胱癌、卵巣癌、喉頭癌、下咽頭癌、胆嚢癌、結腸癌、結腸直腸癌、頭頸部癌、副甲状腺癌、陰茎癌、膣癌、甲状腺癌、膵癌、食道癌、ホジキンリンパ腫、白血病関連疾患、菌状息肉腫及び脊髄異形成症候群からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記癌が、非小細胞肺癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌及び頭頸部癌である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記癌が、癌腫、腫瘍、新生物、リンパ腫、黒色腫、神経膠腫、肉腫及び芽細胞腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記癌腫が、癌腫、腺癌、腺様嚢胞癌、腺扁平上皮癌、副腎皮質癌、高分化型癌、扁平上皮細胞癌、漿液癌、小細胞癌、浸潤性扁平上皮癌、大細胞癌、島細胞癌、燕麦細胞癌、扁平上皮癌、未分化癌、いぼ状癌、腎細胞癌、乳頭漿液腺癌、メルケル細胞癌、肝細胞癌、軟組織癌、気管支腺癌、毛細血管癌、バルトリン腺癌、基底細胞癌、腺肉腫、乳頭腫/癌腫、明細胞癌、類内膜腺癌、中皮転移癌、粘膜類表皮癌、胆管癌、光線角化症、嚢胞腺種及び肝細胞腺腫からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記腫瘍が、星状細胞腫、悪性中皮腫、卵巣胚細胞腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、ウイルムス腫瘍、下垂体腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、ガストリノーマ、生殖細胞性腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、脳腫瘍、松果体及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、ソマトスタチン分泌腫瘍、内胚葉洞腫瘍、カルチノイド、中枢性大脳星状細胞腫、グルカゴノーマ、肝細胞腺腫、インスリノーマ、髄様上皮腫、形質細胞腫、ビポーマ及び褐色細胞腫からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記新生物が、上皮内腫瘍、多発性骨髄腫/形質細胞腫、形質細胞腫、上皮間扁平上皮細胞新形成、子宮内膜増殖症、限局性結節性過形成、血管内皮腫及び悪性胸腺腫からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記リンパ腫が、神経系リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫及びワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記黒色腫が、末端部黒子黒色腫、表在性拡大型黒色腫、ブドウ膜黒色腫、悪性黒子黒色腫、黒色腫、眼内黒色腫、腺癌結節性黒色腫及び血管腫からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記肉腫が、腺腫、腺肉腫、軟骨肉腫、子宮内膜間質肉腫、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、肉腫、子宮肉腫、骨肉腫及び偽肉腫からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記神経膠腫が、神経膠腫、脳幹神経膠腫並びに視床下及び視覚路神経膠腫からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記芽細胞腫が、肺芽細胞腫、肺胸膜芽細胞腫、網膜細胞腫、神経芽細胞腫、髄芽腫、グリア芽細胞腫及び血管芽細胞腫からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
腫瘍細胞の分化を誘導する方法であって、前記細胞を、有効量の1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させ、それによって前記組み合わせが腫瘍細胞の分化を誘導することからなる、方法。
【請求項31】
癌細胞の増殖を阻止する方法であって、癌細胞を、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させ、それによって前記組み合わせが癌細胞の増殖を阻止することからなる、方法。
【請求項32】
癌細胞の増殖を抑制する方法であって、前記細胞に、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを送達させることからなり、それによって細胞増殖の抑制が1,2−ジフェニルピロール誘導体単独又は代謝拮抗物質単独で引き起こされる抑制よりも大きい、方法。
【請求項33】
ATPの分子を用いて自己リン酸化を調節する方法であって、癌細胞に、有効量の1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを送達させることからなり、前記組み合わせがATPの分子により自己リン酸化を阻害する、方法。
【請求項34】
腫瘍細胞の転移を抑制する方法であって、有効量の1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを、前記組み合わせが腫瘍細胞の転移活性を抑制するように投与することからなる、方法。
【請求項35】
癌細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、前記癌細胞を、アポトーシスを誘導するのに十分な、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させることからなる、方法。
【請求項36】
癌細胞(但し、前記癌細胞は、代謝拮抗物質による治療に耐性を発現している)を代謝拮抗物質の存在に感作させる方法であって、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを投与することからなり、前記組み合わせが前記癌細胞を前記代謝拮抗物質に感作する、方法。
【請求項37】
1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを投与することからなる、代謝拮抗物質による治療に対する癌細胞の耐性を処理する方法。
【請求項38】
癌細胞のプロスタグランジン合成を調節する方法であって、前記細胞を、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させることからなり、前記組み合わせが癌細胞のプロスタグランジン合成を阻害する、方法。
【請求項39】
癌細胞のシクロオキシゲナーゼの発現を調節する方法であって、前記細胞に、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせを送達させることからなり、前記組み合わせが癌細胞のシクロオキシゲナーゼの発現を阻害する、方法
【請求項40】
癌細胞の血管新生を調節する方法であって、前記細胞を1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させることからなり、前記組み合わせが癌細胞の血管新生を抑制する、方法。
【請求項41】
被検体の新生物及び/又は新生物関連疾患のための従来の治療の用量を減少させる方法であって、被検体に1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質との組み合わせを投与することからなり、前記組み合わせが新生物及び/又は新生物関連疾患のための従来の治療の用量を減少させる、方法。
【請求項42】
1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質との組み合わせを投与することからなる、新生物及び/又は新生物関連疾患を治療する方法。
【請求項43】
1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質との組み合わせ、あるいはこれらのそれぞれの製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグからなる、癌を治療するための併用療法。
【請求項44】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、次式:
【化2】

(式中:
Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であるか又はアミノ基であり;
は、フェニル基であって、非置換であるか又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基であり;
は、水素原子;1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、アリール基;あるいはアラルキル基であり;前記アリール基は、炭素環中に6〜14個の環炭素原子を有し、非置換であるか又は置換基α及び置換基βからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
前記アラルキル基は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって前記で定義したような少なくとも1個のアリール基で置換されたアルキル基であり;
前記置換基αは、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択され;
前記置換基βは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であって非置換であるか又はヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;1〜6個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基;メルカプト基;1〜6個の炭素原子を有するアルカノイルチオ基;1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基;1〜6個の炭素原子を有するハロアルコキシ基;並びに1〜6個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグからなる群から選択される)
を有する、請求項43に記載の併用療法。
【請求項45】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、次式:
【化3】

(式中:
Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
は、メチル基又はアミノ基であり;
は、非置換フェニル基であるか、又は置換フェニル基であって、ハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;1〜4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基;及び1〜4個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基、又は1〜4個の炭素原子を有する置換アルキル基であって、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基であり;
は、水素原子;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基;3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;アリール基であって、6〜10個の環炭素原子を有し、非置換であるか又はハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアルキル基;及び3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアリール基;並びにアラルキル基であってそのアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有し且つ少なくとも1個の前記アリール基を含有するアラルキル基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグである)
を有する、請求項44に記載の併用方法。
【請求項46】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、次式:
【化4】

(式中:
Rは水素原子であり;
はアミノ基であり;
は、非置換フェニル基であるか、又は置換されたフェニル基であって、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1〜4個の炭素原子を有するアルキルチオ基、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルキレンジオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたフェニル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基又は1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基であり;
は、水素原子;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;置換アルキル基であって、1〜4個の炭素原子を有し、ヒドロキシ基及び1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換された置換アルキル基;3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基;アリール基であって、6〜10個の環炭素原子を有し、非置換であるか又はヒドロキシ基;ハロゲン原子;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基;1〜4個の炭素原子を有し且つ非置換であるか又は少なくとも1個のハロゲン原子で置換されたアルキル基;及び3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキルオキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されたアリール基;並びにアラルキル基であってそのアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有し且つ少なくとも1個の前記アリール基を含有するアラルキル基;あるいは製薬学的に許容し得る塩、溶媒和物又はプロドラッグである)
を有する、請求項45に記載の併用療法。
【請求項47】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールである、請求項46に記載の併用療法。
【請求項48】
前記代謝拮抗物質が、ペメトレキセド、ラルチトレキセド又はメトトレキセートから選択される、請求項43に記載の併用療法。
【請求項49】
前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、請求項48に記載の併用療法。
【請求項50】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、請求項43に記載の併用療法。
【請求項51】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、経口、非経口、口腔、鼻腔内、硬膜外、舌下、肺、局所、直腸又は経皮形態である、請求項43に記載の併用療法。
【請求項52】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が非経口形態である、請求項51に記載の併用療法。
【請求項53】
前記非経形態が、静脈内、皮下、鞘内又は筋肉内形態である、請求項52に記載の併用療法。
【請求項54】
前記併用療法が1日に1回投与するのに適している、請求項53に記載の併用療法。
【請求項55】
前記併用療法が癌のための従来治療よりも低い用量を含有する、請求項43に記載の併用療法。
【請求項56】
前記併用療法が癌の治療の副作用を軽減する、請求項43に記載の併用療法。
【請求項57】
前記併用療法が癌の治療を高める、請求項43に記載の併用療法。
【請求項58】
1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質との組み合わせ、及び製薬学的に許容し得る賦形剤又は担体を含有する、癌を治療するための併用療法。
【請求項59】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールである、請求項58に記載の併用療法。
【請求項60】
前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、請求項58に記載の併用療法。
【請求項61】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がペメトレキセドである、請求項58に記載の併用療法。
【請求項62】
前記治療すべき癌が乳癌である、請求項20に記載の方法。
【請求項63】
前記治療すべき癌が乳癌である、請求項6に記載の方法。
【請求項64】
前記治療すべき癌が乳癌である、請求項8に記載の方法。
【請求項65】
前記治療すべき癌が乳癌である、請求項9に記載の方法。
【請求項66】
前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である、請求項20に記載の方法。
【請求項67】
前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である、請求項6に記載の方法。
【請求項68】
前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である、請求項8に記載の方法。
【請求項69】
前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である、請求項9に記載の方法。
【請求項70】
前記患者に2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールを約400mg/日の用量で投与し、及びペメトレキセドを500mg/mで21日サイクル毎にその1日目に静脈内点滴として投与することからなる、請求項9に記載の方法。
【請求項71】
前記患者に2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールを約100〜約1200mg/日の用量で投与し、及びペメトレキセドを約75〜約500mg/mで21日サイクル毎にその1日目に静脈内点滴として投与することからなる、請求項9に記載の方法。
【請求項72】
さらに、シスプラチン又はカルボプラチンを追加療法として投与することからなる、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
さらに、前記被検体に、1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質の組み合わせの他に、1つ又はそれ以上の療法を、投与することからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項74】
前記治療すべき癌が乳癌である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記1つ又はそれ以上の療法が、放射線療法、化学療法、幹細胞移植片を用いる高用量化学療法、ホルモン療法、及びモノクロナール抗体療法の1つ又はそれ以上からなる、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項77】
放射線療法が、体内及び/又は体外放射線療法からなる、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記化学療法が、前記被検体に、ベンダムスチン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド注射、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、ペントスタチンIV、チオグアニン、エトポシド、エトポシドIV、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン又はプレドニゾンの1つ又はそれ以上を投与することからなる、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
さらに、前記被検体に2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとペメトレキセドの組み合わせの他に、1つ又はそれ以上の療法を施すことからなる、請求項9に記載の方法。
【請求項80】
前記治療すべき癌が乳癌である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記治療すべき癌が非小細胞肺癌である、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記1つ又はそれ以上の療法が、放射線療法、化学療法、幹細胞移植片を用いる高用量化学療法、ホルモン療法及びモノクロナール抗体療法の1つ又はそれ以上からなる、請求項80又は81に記載の方法。
【請求項83】
放射線療法が、体内及び/又は体外放射線療法からなる、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記化学療法が、被検体に、ラパチニブ、カペシタビン、パクリタキセル、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド注射、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、ペントスタチンIV、チオグアニン、エトポシド、エトポシドIV、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、デキサメタゾン、メチルプレドニソロン又はプレドニゾン及びベンダムスチンの1つ又はそれ以上を投与することからなる、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
癌細胞の免疫応答を調節する方法であって、前記細胞を1,2−ジフェニルピロール誘導体と代謝拮抗物質とからなる組み合わせと接触させることからなり、前記組み合わせが癌細胞の免疫応答を調節する、方法。
【請求項86】
前記被検体に、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとペメトレキセドとの組み合わせを投与すると、ペメトレキセド単独投与と比べて腫瘍増殖遅延の増大を提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項87】
前記被検体に、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールとペメトレキセドとの組み合わせを投与すると、ペメトレキセド単独投与と比べて腫瘍増殖遅延の少なくとも100%の増大を提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項88】
ホルモン療法が、前記被検体にタモキシフェン、レトロゾール、アナストロゾール又はエキセメスタンを投与することからなる、請求項76に記載の方法。
【請求項89】
ホルモン療法が、前記被検体にタモキシフェン、レトロゾール、アナストロゾール又はエキセメスタンを投与することからなる、請求項82に記載の方法。
【請求項90】
前記1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がメトトレキセートである、請求項1に記載の方法。
【請求項91】
1,2−ジフェニルピロール誘導体が2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−ピロールであり、前記代謝拮抗物質がラルチトレキセドである、請求項1に記載の方法。
【請求項92】
さらに、選択的にHER2受容体に結合するモノクロナール抗体を投与することからなる、請求項8に記載の方法。
【請求項93】
選択的に前記HER2受容体に結合する前記モノクロナール抗体がトラスツズマブである、請求項92に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−506277(P2011−506277A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536106(P2010−536106)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/084588
【国際公開番号】WO2009/070547
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(510010827)トラガラ ファーマシューティカルズ,インク. (4)
【Fターム(参考)】