説明

HIV阻害性3,4−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−オン

【化1】


Aがピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール及びチアジアゾールを形成し;Rがハロ、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、−C1−6アルキル−OR、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−OR、−O−C(=O)−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル−OR、−O−C1−6アルキル−NR、−O−C1−6アルキル−O−C(=O)−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル−C(=O)−OR、−O−C1−6アルキル−C(=O)−NR、−NR、−NR−C(=O)−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NR、−NR−C(=O)−C1−6アルキル−C(=O)−OR、−NR−C1−6アルキル−OR、−NR−C1−6アルキル−NR、−NR−C1−6アルキル−イミダゾリル、−NR−SO、−N=CH−NR、−NH−C(=NH)−NH、−SONR及び−O−PO(ORであり;Dがピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、チアゾール及びイソチアゾールを形成し;RがC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、ハロ、シアノ、−COOR、−OR及び−NRであり;Rがフェニル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、キノリン、イミダゾピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル、ピリドピリミジニルであり;それらは場合により置換されていることができ;mが0、1、2又は3であり;nが0、1、2又は3である式(I)のHIV阻害性化合物、その塩、水和物、溶媒和物、N−オキシド又は立体異性体;これらの化合物を含有する製薬学的組成物、これらの化合物及び組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,4−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−オン誘導体、抗感染薬としてのそれらの使用ならびにこれらの化合物を含有する製薬学的組成物を目的とする。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の病因的作用因子(aetiological agent)である。2つの異なる型のHIV、すなわちHIV−1及びHIV−3が同定されており、下記ではHIVという用語を用いてこれらの型の両方を包括的に示す。AIDS患者は現在、HIV逆転写酵素阻害剤(RTIs)、HIVプロテアーゼ阻害剤(PIs)及び侵入阻害剤のような多様な薬剤を用いて処置される。いくつかの種類のRTIs、特にヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTIs)、例えばジドブジン(zidovudine)、ジダノシン(didanosine)、ザルシバチン(zalcibatine)、スタブジン(stavudine)、アバカビル(abacavir)及びラミブジン(lamivudine)、非−ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTIs)、例えばネビラピン(nevirapine)、デラビルジン(delavirdine)及びエファビレンツ(efavirenz)ならびにヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NtRTIs)、例えばテノフェビル(tenofovir)が既知である。
【0003】
抗−HIV治療は現在、上記の種類の薬剤の2種もしくはそれより多い薬剤を含んでなる薬剤組み合わせの投与に基づいている。これらの抗レトロウイルス薬を適用して成功してきたという事実にかかわらず、それらは、HIV中の標的とされる酵素が突然変異することができ、それは既知の薬剤がこれらの突然変異HIVウイルスに対して有効性が低下するか又は無効にさえなるようなやり方においてであるという点で共通の限界を有する。HIVウイルスは利用可能な薬剤に対して常に向上する耐性を生み、この耐性の発現は治療の失敗の主原因である。さらに、耐性ウイルスは新しく感染する患者に持ち越され、これらの薬剤に対して純な患者のための治療の選択肢を重度に制限することが示された。
【0004】
すべてのRTIsは耐性を発現させ、特に現在用いられているNNRTIsは、NNRTI−結合部位の回りのアミノ酸における突然変異の故に、この現象に敏感である。従って、耐性の発現を遅らせることができ、且つ広範囲のHIVの突然変異株に対して有効な、HIV逆転写酵素を標的とする新規な型のHIV阻害剤に対する必要性がある。
【0005】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5は、三環式5−置換1−フェニル−1,5−ジヒドロ−ピリド[3,2−b]インドール−2−オン及びその種々の類似体を記載している。特許文献1の化合物のある種のHIV阻害剤との組み合わせは、特許文献6に記載されている。
【0006】
【特許文献1】国際公開第04/046163号パンフレット
【特許文献2】国際公開第05/111034号パンフレット
【特許文献3】国際公開第05/111035号パンフレット
【特許文献4】国際公開第05/111047号パンフレット
【特許文献5】国際公開第05/111044号パンフレット
【特許文献6】国際公開第05/110411号パンフレット
【発明の開示】
【0007】
本発明は、先行技術の化合物と構造的に異なり、野生型HIVウイルスのみでなく、現在利用可能な逆転写酵素阻害剤に対して耐性を示す突然変異HIVウイルスを含む多様な突然変異HIVウイルスに対しても活性を示す新規な系列の化合物を提供する。
【0008】
かくして、1つの側面において、本発明は式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
Aは、それが結合している環系の窒素及び炭素原子と一緒になって、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール及びチアジアゾールから選ばれる芳香族複素環を形成し;
各Rは独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、−C1−6アルキル−OR、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−OR、−O−C(=O)−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル−OR、−O−C1−6アルキル−NR、−O−C1−6アルキル−O−C(=O)−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル−C(=O)−OR、−O−C1−6アルキル−C(=O)−NR、−NR、−NR−C(=O)−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NR、−NR−C(=O)−C1−6アルキル−C(=O)−OR、−NR−C1−6アルキル−OR、−NR−C1−6アルキル−NR、−NR−C1−6アルキル−イミダゾリル、−NR−SO、−N=CH−NR、−NH−C(=NH)−NH、−SR、−SONR及び−O−PO(ORから選ばれる基であり;
Dは、それが結合する環系の2個の炭素原子と一緒になって、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、チアゾール及びイソチアゾールから選ばれる芳香環を形成し;
各Rは独立して、C1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、ハロ、シアノ、−COOR、−OR及び−NRから選ばれる基であり;
はフェニル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、キノリン、イミダゾピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル、ピリドピリミジニルであり;ここで該フェニル、ピリジル又はピリミジニルは、場合によりC1−6アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;ポリ
ハロC1−6アルキル;1もしくは2個のシアノもしくはヒドロキシで置換されたC1−6アルキル;ハロ;シアノ;ニトロ;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−C(=O)−NR;−OR;−NRから選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されていることができ;且つ
ここで該イミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、キノリン、イミダゾピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル、ピリドピリミジニルは、場合によりC1−6アルキル、ハロ、アミノ及び−ORから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができ;
mは0、1、2又は3を示し;
nは0、1、2又は3を示し;
各Rは水素、C1−6アルキル又はアリールC1−6アルキルであり;
各Rは水素、C1−6アルキル又はポリハロC1−6アルキルであり;
各Rは水素又はC1−6アルキルであり;
各Rは水素、場合によりヒドロキシ、アリール、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノ、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキル−ピペラジニル、4−C1−6アルキルカルボニル−ピペラジニル又はピロリジニルで置換されていることができるC1−6アルキルであるか;あるいは
及びRは、それらが置換している窒素と一緒になって、ピロリジニル、ヒドロキシピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキル−ピペラジニル、4−C1−6アルキルカルボニル−ピペラジニルを形成し;
各Rは水素又はC1−6アルキルであり;
各RはC1−6アルキルであり;
各アリールは、場合によりC1−6アルキル、ハロ及びヒドロキシから独立して選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されていることができるフェニルである]
の化合物を含有する3,4−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−オン、その立体異性体又は立体異性体混合物、その製薬学的に許容され得る塩、その製薬学的に許容され得る水和物又は溶媒和物、そのN−オキシドに関する。
【0011】
基又は基の一部としての「C1−4アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−メチル−1−プロピルなどを定義する。基として又は基の一部としての「C1−6アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばC1−4アルキルに関して定義された基及び1−ペンチル、2−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチルブチル、3−メチルペンチルなどを定義する。C1−6アルキルの中で興味深いのはC1−4アルキル基である。
【0012】
基C1−4アルキル及びC1−6アルキルは、例えば基−O−C1−6アルキル−OR、−O−C1−6アルキル−NR−NR−C1−6アルキル−OR、−NR−C1−6アルキル−NRにおけるように、2つの結合を有し得る。そのような2価のC1−4アルキル又はC1−6アルキルは、他にはC1−4アルカンジイル又はC1−6アルカンジイルとも呼ばれ得る2価の基を指す。2価のC1−6アルキル又はC1−6アルカンジイルという用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和2価炭化水素基、例えばメチレン、1,2−エタンジイル又は1,2−エチレン、1,3−プロパンジイル又は1,3−プロピレン、1,2−プロパンジイル又は1,2−プロピレン、1,4−ブタンジイル又は1,4−ブチレン、1,3−ブタンジイル又は1,3−ブチレン、1,2−ブタンジイル又は1,2−ブチレン、1,5−ペンタンジイル又は1,5−ペンチレン、1,6−ヘキサンジイル又は1,6−ヘキシレンなどを定義し、エチリデン、プロピリデンなどのようなアルキリデン基も含む。2価のC1−4アルキル
又はC1−4アルカンジイルという用語は、1〜4個の炭素原子を有する類似の直鎖状もしくは分枝鎖状飽和2価炭化水素基を定義する。2価のC1−4アルキル又はC1−6アルキルが、例えば−O−C1−6アルキル−OR、−O−C1−6アルキル−NR、−NR−C1−6アルキル−OR、−NR−C1−6アルキル−NRにおけるように、2個のヘテロ原子に結合する場合、R、R、R又はRが水素原子以外でなければ、ヘテロ原子は、好ましくは同じ炭素原子上に結合しない。特に興味深いのは、2価のC2−4アルキル又は2価のC2−6アルキル基である。
【0013】
基又は基の一部としての「C2−6アルケニル」という用語は、飽和炭素−炭素結合及び少なくとも1個の二重結合を有し、且つ2〜6個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状炭化水素基、例えばエテニル(又はビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(又はアリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ペンテニルなどを定義する。好ましいのは、1個の二重結合を有するC2−6アルケニルである。C2−6アルケニル基の中で興味深いのは、C2−4アルキル基である。「C3−6アルケニル」という用語は、C2−6アルケニルと同じであるが、3〜6個の炭素原子を有する不飽和炭化水素基に制限される。C3−6アルケニルがヘテロ原子に結合する場合、ヘテロ原子に結合する炭素原子は、好ましくは飽和している。
【0014】
基又は基の一部としての「C2−6アルキニル」という用語は、飽和炭素−炭素結合及び少なくとも1個の三重結合を有し、且つ2〜6個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状炭化水素基、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、2−メチル−2−ブチニル、2−メチル−2−ペンチニルなどを定義する。好ましいのは、1個の三重結合を有するC2−6アルキニルである。C2−6アルキニル基の中で興味深いのは、C2−4アルキル基である。「C3−6アルキニル」という用語は、C2−6アルキニルと同じであるが、3〜6個の炭素原子を有する不飽和炭化水素基に制限される。C3−6アルキニルがヘテロ原子に結合する場合、ヘテロ原子に結合する炭素原子は、好ましくは飽和している。
【0015】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードの総称である。
【0016】
基又は基の一部としての、例えばポリハロC1−6アルコキシにおける「ポリハロC1−6アルキル」という用語は、モノ−もしくはポリハロ置換されたC1−6アルキル、特に最高で1、2、3、4、5、6又はそれより多くのハロ原子で置換されたC1−6アルキル、例えば1個もしくはそれより多いフッ素原子を有するメチル又はエチル、例えばジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロ−エチルとして定義される。好ましいのはトリフルオロメチルである。ペルフルオロC1−6アルキル基も含まれ、それはすべての水素原子がフルオロ原子により置き換えられたC1−6アルキル基、例えばペンタフルオロエチルである。ポリハロC1−6アルキルの定義内で、1個より多いハロゲン原子がアルキル基に結合している場合、ハロゲン原子は同じか又は異なることができる。
【0017】
本明細書及び請求項を通じて用いられる定義内で、種々の複素環の種々の異性体が存在し得ることに注目しなければならない。例えば、オキサジアゾールは1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール又は1,2,3−オキサジアゾールであることができ;チアジアゾールの場合も同様であり、それは1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール又は1,2,3−チアジアゾールであることができ;類似して、ピロールは1H−ピロール又は2H−ピロールであることができる。
【0018】
定義内で用いられるいずれの分子部分の上の基の位置も、そのような部分が化学的に安定である限り、その上のいずれであることもできることにも注目しなければならない。例えばピリジンは2−ピリジン、3−ピリジン及び4−ピリジンを含み;ペンチルは1−ペンチル、2−ペンチル及び3−ペンチルを含む。
【0019】
いずれかの可変項(例えばハロゲン又はC1−4アルキル)がいずれかの構成成分中に1回より多く存在する場合、それぞれの定義は独立している。特に、基R及びRは不在であることができるか(m又はnが0である)、あるいは1回(m又はnが1である)又は複数回(m又はnが2又は3である)存在することができる。後者の場合、各R又は各Rは同じか又は異なる意味を有することができる。R又はRが不在の場合、R又はRは水素である。複数回存在し得る他の基、例えばR、R、R、R、R、R、アリールの場合も、それが存在する各回のこれらの基のそれぞれの意味は、そのような基の他の存在と無関係である。
【0020】
本発明は、式(I)又はそのサブグループのいずれかの化合物のN−オキシドも含む。これらは、1個又は数個の第3級窒素原子がN−オキシド形態に酸化されている式(I)の化合物である。式(I)の化合物の特別なN−オキシドは、N−オキシド化された窒素が芳香環系の一部であるものである。
【0021】
本発明は、式(I)又はそのサブグループのいずれかの化合物が形成することができる製薬学的に許容され得る付加塩も含む。これらは、適した酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、ヘミ硫酸、硝酸、リン酸などの酸;あるいは有機酸、例えば酢酸、アスパラギン酸、ドデシル−硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ニコチン酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノ−サリチル酸、パモ酸などの酸を用いて製造され得る。逆に、適した塩基を用いる処理により、該酸付加塩の形態を遊離の塩基の形態に転換することができる。
【0022】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物を、適した有機及び無機塩基を用いる処理により、製薬学的に許容され得る金属もしくはアミン付加塩基塩の形態に転換することもできる。適した塩基塩の形態は、例えばアンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含む。逆に適した酸を用いる処理により、該塩基付加塩の形態を遊離の酸の形態に転換することができる。
【0023】
本発明は、式(I)又はそのサブグループのいずれかの化合物の製薬学的に許容され得る溶媒和物も含む。これらは水和物及び製薬学的に許容され得る溶媒付加形態を含む。そのような形態の例はアルコラート、例えばメタノラート、エタノラート、プロパノラートなどである。
【0024】
本化合物はそれらの互変異性体において存在することもできる。そのような形態は、本記述及び請求項中の式において明らかに示されてはいないが、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。例えばAの定義内で、1,2,4−オキサジアゾールは5−位においてヒドロキシで置換されることができ、かくして下記のそのそれぞれの互変異性体との平衡にある。
【0025】
【化2】

【0026】
本明細書で用いられる「立体化学的異性体」という用語は、同じ結合の順列により結合した同じ原子で構成されているが、本発明の化合物が有することができる互換不可能な異なる三−次元構造を有するすべての可能な化合物を定義する。他にことわるか又は指示しなければ、化合物の化学的名称は、該化合物が有することができるすべての可能な立体化学的異性体の混合物を包含する。該混合物は該化合物の基本的分子構造のすべてのジアステレオマー及び/又はエナンチオマーを含有することができる。ラセミ混合物又はラセミ体を含んで、純粋な形態又は互いとの混合物の両方における本発明の化合物のすべての立体化学的異性体が、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0027】
本明細書で言及する化合物及び中間体の純粋な立体異性体は、該化合物又は中間体の同じ基本的分子構造の他のエナンチオマーもしくはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に「立体異性体的に純粋な」という用語は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち最小で90%の一方の異性体及び最大で10%の他方の可能な異性体)から最高で100%の立体異性体過剰率(すなわち100%の一方の異性体及び他方の異性体なし)を有する化合物又は中間体、さらに特定的には90%から100%までの立体異性体過剰率を有する、さらにもっと特定的には94%から100%までの立体異性体過剰率を有する、そして最も特定的には97%から100%までの立体異性体過剰率を有する化合物又は中間体に関する。「エナンチオマー的に純粋な」及び「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は、類似して理解されるべきであるが、その場合には問題の混合物のそれぞれエナンチオマー過剰率及びジアステレオマー過剰率に関する。
【0028】
本発明の化合物及び中間体の純粋な立体異性体は、当該技術分野において既知の方法の適用により得ることができる。例えばエナンチオマーを、光学的に活性な酸又は塩基とのそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化により互いから分離することができる。その例は酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸及びカンホスルホン酸である。あるいはまた、キラル固定相を用いるクロマトグラフィー法によりエナンチオマーを分離することができる。該純粋な立体化学的異性体を、適した出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導することもでき、但し反応は立体特異的に起こる。好ましくは、特定の立体異性体が望まれる場合、該化合物は立体特異的製造法により合成されるであろう。これらの方法は、有利にはエナンチオマー的に純粋な出発材料を用いるであろう。
【0029】
式(I)のジアステレオマー的ラセミ体を、通常の方法により別に得ることができる。有利に用いることができる適した物理的分離法は、例えば選択的結晶化及びクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0030】
本発明は、本発明の化合物中に存在する原子のいずれの同位体も含むことが意図されている。例えば水素の同位体にはトリチウム及びジューテリウムが含まれ、炭素の同位体にはC−13及びC−14が含まれる。
【0031】
上記又は下記で用いられる場合は、常に、「式(I)の化合物」、「本化合物」、「本発明の化合物」という用語又はいずれかの同等の用語ならびに類似して「式(I)の化合物のサブグループ」、「本化合物のサブグループ」、「本発明の化合物のサブグループ」
という用語又はいずれかの同等の用語は、その立体異性体もしくは立体異性体混合物又はその製薬学的に許容され得る塩、製薬学的に許容され得る溶媒和物もしくはN−オキシドを含む一般式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループを含むものとする。
【0032】
態様Aは、
(1)mが0、1又は2であるか;
(1−a)mが0又は1であるか;あるいは
(1−b)mが2である
式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれかを含む。
【0033】
態様Bは、
(2)Aが、それが結合している環系の窒素及び炭素原子と一緒になって、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール及びチアジアゾールから選ばれる芳香族複素環を形成するか;
(2−a)Aが、それが結合している環系の窒素及び炭素原子と一緒になって、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール及びチアジアゾールから選ばれる芳香族複素環を形成するか;
(2−b)Aが、それが結合している環系の窒素及び炭素原子と一緒になって、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾールから選ばれる芳香族複素環を形成するか;
(2−c)Aが、それが結合している環系の窒素及び炭素原子と一緒になって、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、オキサゾール、チアゾールから選ばれる芳香族複素環を形成するか;
(2−d)Aが、それが結合している環系の窒素及び炭素原子と一緒になって、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン及びチアゾールから選ばれる芳香族複素環を形成する
式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれか、例えば態様Aのものを含む。
【0034】
態様Cは、
(3)各Rが独立して、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、−C1−6アルキル−OR、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−OR、−O−C1−6アルキル−OR、−O−C1−6アルキル−NR、−O−C1−6アルキル−O−C(=O)−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル−C(=O)−OR、−O−C1−6アルキル−C(=O)−NR、−NR、−NR−C(=O)−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NR、−NR−C(=O)−C1−6アルキル−C(=O)−OR、−NR−C1−6アルキル−OR、−NR−C1−6アルキル−NR、−NR−C1−6アルキル−イミダゾリル、−N=CH−NR、−NH−C(=NH)−NH及び−O−PO(ORから選ばれる基であるか;
(3−a)各Rが独立して、C1−6アルキル、−C1−6アルキル−OR、−OR、−O−C1−6アルキル−OR、−O−C1−6アルキル−NR、−O−C1−6アルキル−C(=O)−NR、−NR、−NR−C(=O)−R、−NR−C(=O)−NR、−NR−C1−6アルキル−OR、−NR−C1−6アルキル−NR、−N=CH−NR、−NH−C(=NH)−NH及び−O−PO(ORから選ばれる基であるか;
(3−b)各Rが独立して、C1−6アルキル、−C1−6アルキル−OR、−OR、−O−C1−6アルキル−OR、−O−C1−6アルキル−NR、−NR、−NR−C(=O)−R、−NR−C1−6アルキル−OR、−NR
1−6アルキル−NR及び−O−PO(ORから選ばれる基であるか;
(3−c)各Rが独立して、C1−6アルキル、−C1−6アルキル−OH、−OH、−O−C1−6アルキル−OH、−O−C1−6アルキル−N(R、−NH、−NH−C(=O)−H、−NH−C(=O)−CF、−NR−C1−6アルキル−OH、−N(R)−C1−6アルキル−N(R及び−O−PO(ORから選ばれる基であるか;
(3−d)各Rが独立して、−OH、−NH、−NH−C1−6アルキル−N(R及び−O−PO(OH)から選ばれる基である
式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれか、例えば態様A又はBのものを含む。
【0035】
態様Dは、
(4)nが0、1又は2であるか;
(4−a)nが0又は1であるか;
(4−b)nが0である
式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれか、例えば態様A、B又はCのものを含む。
【0036】
態様Eは、
(5)Dが、それが結合する環系の2個の炭素原子と一緒になって、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、フラン及びチオフェンから選ばれる芳香環を形成するか;
(5−a)Dが、それが結合する環系の2個の炭素原子と一緒になって、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、イミダゾール、フラン及びチオフェンから選ばれる芳香環を形成するか;
(5−b)Dが、それが結合する環系の2個の炭素原子と一緒になって、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピロール及びチオフェンから選ばれる芳香環を形成するか;
(5−c)Dが、それが結合する環系の2個の炭素原子と一緒になって、フェニル、ピリジン及びチオフェンから選ばれる芳香環を形成する
式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれか、例えば態様A、B、C又はDのものを含む。
【0037】
態様Fは、
(6)各Rが独立して、C1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、ハロ、−COOR、−OR及び−NRから選ばれる基であるか;
(6−a)各Rが独立して、C1−6アルキル、ハロ及び−ORから選ばれる基であるか;
(6−b)各Rが独立して、C1−4アルキル、ハロ及びC1−4アルコキシから選ばれる基であるか;
(6−c)各Rが独立して、メチル、エチル、ブロモ及びメトキシから選ばれる基である
式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれか、例えば態様A、B、C、D又はEのものを含む。
【0038】
態様Gは、
(7)Rがフェニル、ピリジル、イミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾピリミジニル、ピラゾロピリミジニルであり;ここで該フェニル又はピリジルは、場合によりC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;1もしくは2個のシアノもしくはヒドロキシで置換されたC1−6アルキル;ハロ;シアノ;ニトロ;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−C(=O)−NR;−ORから選ば
れる1、2又は3個の置換基で置換されていることができ;且つここで該イミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾピリミジニル、ピラゾロピリミジニルは、場合によりC1−4アルキル、ハロ、アミノ及び−ORから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるか;
(7−a)Rがフェニル、ピリジル、イミダゾピリジル、イミダゾピリミジニルであり;ここで該フェニル又はピリジルは、場合によりC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;1もしくは2個のシアノで置換されたC1−6アルキル;ハロ;シアノ;ニトロ;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−C(=O)−NR;−ORから選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されていることができるか;
(7−b)Rがフェニル、ピリジル、イミダゾピリジル、イミダゾピリミジニルであり;ここで該フェニル又はピリジルは、場合によりC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;1もしくは2個のシアノで置換されたC1−6アルキル;ハロ;シアノ;ニトロ;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−C(=O)−NR;−ORから選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されていることができるか;
(7−c)Rがフェニル、ピリジル、イミダゾピリジル、イミダゾピリミジニルであり;ここで該フェニル又はピリジルは、場合によりC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;1もしくは2個のシアノで置換されたC1−6アルキル;ハロ;シアノ;ニトロ;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−ORから選ばれる1、2個の置換基で置換されていることができるか;
(7−d)Rがフェニル、ピリジルであり;ここで該フェニル又はピリジルは、場合によりC1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;1もしくは2個のシアノで置換されたC1−6アルキル;ハロ;シアノ;ニトロから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるか;
(7−e)Rがフェニル、ピリジルであり;ここで該フェニル又はピリジルは、場合によりC1−6アルキル;ハロ;ニトロから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるか;
(7−g)Rがニトロで置換されたフェニル;特に4−ニトロフェニルであるか;
(7−h)Rがハロで置換されたピリジル;特に2−クロロ−4−ピリジルである
式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれか、例えば態様A、B、C、D、E又はFのものを含む。
【0039】
本発明のさらに別の態様は、各R又はRが独立して水素又はC1−4アルキルである式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれかである。
【0040】
態様Hは、Rが水素又はC1−4アルキルである式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれか、例えば態様A、B、C、D、E、F又はGのものを含む。
【0041】
本発明の態様Iは、Rが水素又はC1−4アルキルである式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれか、例えば態様A、B、C、D、E、F、G又はHのものを含む。
【0042】
態様Jは、
(8)アリールが、場合によりC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、シアノ及びニトロからそれぞれ独立して選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるフェニルであるか;あるいは
(8−a)アリールが、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選ばれる1個の置換基で置換されたフェニルであるか;あるいは
(8−b)アリールがフェニルである
式(I)の化合物又は式(I)の化合物のサブグループのいずれか、例えば態様A、B、
C、D、E、F、G、H又はIのものを含む。
【0043】
式(I)の化合物の興味深いサブグループは、式:
【0044】
【化3】

【0045】
[式中、R、R、m、n及びRは式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれかの定義において規定される通りであり;且つRは式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれかの定義において規定される通りである]
により示され得る本発明の化合物を含む。
【0046】
式(I)の化合物の別の興味深いサブグループは、式:
【0047】
【化4】

【0048】
[式中、R1a及びR1bは、式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれか中の基Rの定義において規定される通りであり;且つRは式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれかの定義において規定される通りである]
により示され得る本発明の化合物を含む。
【0049】
式(I)の化合物の別の興味深いサブグループは、式:
【0050】
【化5】

【0051】
[式中、R1cは、式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれか中の基Rの定義において規定される通りであり;且つRは式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれかの定義において規定される通りである]
により示され得る化合物を含む。
【0052】
式(I)の化合物の他の興味深いサブグループは、式:
【0053】
【化6】

【0054】
[式中、R、R、R、m及びnは式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれかの定義において規定される通りである]
により示され得る本発明の化合物を含む。
【0055】
式(I)の化合物のさらに別の興味深いサブグループは、式:
【0056】
【化7】

【0057】
[式中、R、R、R、m及びnは式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれかの定義において規定される通りである]
により示され得る本発明の化合物、特に式
【0058】
【化8】

【0059】
[式中、R1aは、式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれか中の基Rの定義において規定される通りであり;且つRは式(I)の化合物又はそのサブグループのいずれかの定義において規定される通りである]
により示されるものを含む。
【0060】
化合物の興味深いサブグループは、nが0である、すなわちRが水素である式(I−a)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、(I−h)又は(I−h−1)のものである。
【0061】
本発明の化合物の特別なサブグループは、式(I)の化合物が酸−付加塩形態として存在する式(I)の化合物又は本明細書に規定されるサブグループのいずれかであり、ここで塩は好ましくはトリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩及びクエン酸塩から選ばれる。
【0062】
興味深い化合物は、実験部分に続く表1〜4に挙げられる化合物番号1、10、76、82、88、110、122及び188、特に化合物1ならびにその塩及び可能な立体異性体である。
【0063】
本発明の化合物は抗レトロウイルス活性を示し、特にそれらはHIVに対して活性である。特に式(I)の化合物は、HIV逆転写酵素の阻害剤である。一般に本発明の化合物は、EC50対CC50の比により測定される優れた選択性を有し、耐性突然変異株に対して、多剤耐性株に対してさえ優れた活性を示す。現在用いられているHIV逆転写酵素(「RT」)阻害剤は、RT酵素において変化を引き起こす突然変異の故に有効性を失う。これは阻害剤とRT酵素の有効な相互作用を低下させ、それによりウイルスはRT阻害剤に対して「感受性」が低下する。RT阻害剤がもはや有効でない突然変異株は、「耐性突然変異株」と呼ばれる。「多剤耐性」は、突然変異株が複数の他のHIV RT阻害剤に耐性である場合である。特定のHIV RT阻害剤への突然変異株の耐性は、突然変異HIV RTを用いて測定されるHIV RT阻害剤のEC50対野生型HIV RTを用いて測定される同じHIV RT阻害剤のEC50の比により表される。この比は、耐性における「フォールド変化(fold change)」(FR)とも呼ばれる。
【0064】
臨床において存在する突然変異株の多くは、ネビラピン、エファビレンツ、デラビルジンのような商業的に入手可能なHIV NNRTIsに対して100もしくはそれより高いフォールド耐性(fold resistance)を有する。臨床的に関連するHIV逆転写酵素の突然変異株は、コドン位置100、103及び181における突然変異により特徴付けられ得る。本明細書で用いられる場合、コドン位置は、タンパク質配列中のアミノ酸の位置を意味する。位置100、103及び181における突然変異は、非−ヌクレオシドRT阻害剤に関連する。
【0065】
興味深いのは、少なくとも1種の突然変異HIV逆転写酵素に対して0.01〜100
、特に0.1〜30、さらに特定的に0.1〜20又はさらにもっと特定的に0.1〜10の範囲のフォールド耐性を有する式(I)の化合物である。興味深いのは、100、103及び181から選ばれる位置において、野生型配列と比較してHIV逆転写酵素のアミノ酸配列中に少なくとも1つ又は少なくとも2つの突然変異を有するHIV種に対して、0.01〜100、特に0.1〜30、さらに特定的に0.1〜20又はさらにもっと特定的に0.1〜10の範囲内のフォールド耐性を有する式(I)の化合物である。
【0066】
一般に式(I)の化合物は、ネビラピン、エファビレンツ、デラビルジンのような現在入手可能なNNRTIsに対して耐性を示す突然変異株に対して活性である。本発明の化合物は、それらが競合的RT阻害剤であるという点で、独特の作用機構を介して相互作用し、さらにATPのようなヌクレオシドリン酸と共−投与されると、向上した活性を示す。従って、本発明の化合物はHIV薬組み合わせにおいて、特に1種、2種又はそれより多いHIV阻害剤を含有する組み合わせにおいて用途を見出すことができる。
【0067】
本発明の化合物を、HIV感染の故に出現する他の疾患の処置に用いることができ、それには血小板減少症、カポージ肉腫ならびに進行性脱髄を特徴として痴呆及び進行性構語障害、運動失調及び見当識障害のような症状を生ずる中枢神経系の感染が含まれる。本発明の化合物と関連し、それを用いて処置することができるさらに別の疾患は、末梢ニューロパシー、進行性全身性リンパ節症(PGL)及びAIDS−関連症候群(ARC)を含む。
【0068】
さらなる側面において、本発明は、特に上記の疾患に対するあるいはその予防における薬剤として使用するための式(I)又はそのいずれかのサブグループの化合物に関する。他の側面において、本発明は、HIV感染又はHIV感染と関連する疾患の予防、処置又は防除用の薬剤の製造のための式(I)又はそのいずれかのサブグループの化合物の使用に関する。あるいは本発明は、HIV、特に突然変異HIV逆転写酵素、さらに特定的に多剤耐性突然変異HIV逆転写酵素を有するHIVの複製を阻害するために有用な薬剤の製造のための式(I)又はそのいずれかのサブグループの化合物の使用に関する。あるいは本発明は、HIVウイルスの逆転写酵素が突然変異、特に多剤耐性突然変異HIV逆転写酵素であるHIV感染と関連する疾患の予防、処置又は防除に有用な薬剤の製造における式(I)又はそのいずれかのサブグループの化合物の使用に関する。
【0069】
本発明はさらに、式(I)又はそのいずれかのサブグループの化合物の有効量を人間に投与することを含んでなる、該人間におけるHIV感染又はHIV感染と関連する疾患の予防、処置又は防除方法に関する。他の側面において本発明は、式(I)又はそのいずれかのサブグループの化合物の有効量を、突然変異HIVウイルス又は多剤耐性HIVウイルスに感染した人間に投与することを含んでなる、該人間の感染又は感染と関連する疾患の予防、処置又は防除方法に関する。
【0070】
さらに別の側面において、本発明は、HIVウイルス、特に突然変異HIV逆転写酵素、さらに特定的に多剤耐性突然変異HIV逆転写酵素を有するHIVウイルスの、それに感染した人間における複製を阻害するための方法に関し、該方法は、必要のある人間に式(I)又はそのいずれかのサブグループの化合物の有効量を投与することを含んでなる。
【0071】
該薬剤としての使用又は処置方法は、HIV感染と関連する状態の防除のために有効な量をHIV−感染患者に全身的に投与することを含んでなる。
【0072】
本発明の化合物は、HIVを含有するか又はHIVへの暴露が予想される生体外試料におけるHIVの阻害においても用途を見出すことができる。従って、HIVを含有するか、あるいは含有するか又はそれに暴露されると思われる体液試料中に存在するHIVを阻
害するために、本化合物を用いることができる。
【0073】
本発明の化合物の製造のための複数の合成法を下記に記載する。これらの方法において、例えば抽出、結晶化、磨砕及びクロマトグラフィーのような、当該技術分野において一般的に既知の方法に従って反応生成物を単離し、必要ならさらに精製することができる。
【0074】
以下のスキームに概述する通りに式(I)の化合物を製造することができる。このスキーム中で、R、R、R及びXは上記で定義した通りである。
【0075】
【化9】

【0076】
環状アミン(II)を、環化反応においてイソシアニド(III)及び環状アルデヒドエステル(IV)と縮合させ、最終的生成物(I)を与える。この反応は、好ましくは2−段階法として行なわれる。第1段階に、出発材料(II)、(III)及び(IV)を、特に三成分Ugi反応において縮合させ、そこで二環式誘導体(IV−a)が生成すると仮定され、それを第2段階に環化する:
【0077】
【化10】

【0078】
第1段階に、出発材料(II)、(III)及び(IV)を、ハロゲン化水素酸、特に塩酸又は臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸などのような強酸の存在下で反応させる。第2段階に、仮定中間体(IV−a)の化合物(I)へのさらなる環化が起こる。第2段階は、アルコキシド、特にアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムもしくはカリウムメトキシド、エトキシド、イソプロピルオキシド、t.ブトキシドなど、又はトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミン、炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムもしく
はカリウム、炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウムもしくはカリウム、水素化物、例えば水素化ナトリウムもしくはカリウムのような強塩基の存在下で行なわれる。中間体(IV)及び(IV−a)において、基−COORは適したアルコールから、特にC1−6アルカノール、例えばメタノール、エタノールなどから誘導されるエステルである。好ましくは、Rはメチル基である。2つの段階を異なる溶媒中で行なうことができるが、好ましくは同じ溶媒を用いる。この反応に適した溶媒は、例えばアルコール類、例えば低級アルカノール類、特にメタノール、エタノール、n.プロパノール、イソプロパノール;ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン又はクロロホルム;エーテル類、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン;双極性非プロトン性溶媒、例えばDMA、DMF、DMSO、アセトニトリル;などのような溶媒を含む。
【0079】
基R及び/又はRを保護し、環化反応後に保護基を除去するのが望ましいかも知れない。これは、R及び/又はRがヒドロキシ又はヒドロキシ置換された基あるいはアミノ又はアミノ置換された基である場合に、推奨され得る。アミノのための適した保護基はベンジル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシ−カルボニルを含み;ヒドロキシのための適した保護基はベンジル、t.ブチル又はエステルもしくはアミド基を含む。酸又は塩基を用いる加水分解によるか、あるいは接触水素化により保護基を除去することができる。
【0080】
別の合成経路において、芳香族アミン及びRがHである化合物(IV)である式(IV−a)の化合物を縮合させて中間体(V)とし、それをアルカリ金属シアニド、例えばKCNのような金属シアニドと反応させ、三環式化合物(VI)を与える。後者を、Rが上記で規定した通りであり、Wがハロ基、特にクロロもしくはブロモのような適した離脱基である試薬R−Wを用いてアリール化する。後者の場合に、ヨウ化銅(I)のような触媒を加えることができる。通常、反応は適した溶媒、例えばDMF、DMA、ジクロロメタン中で、塩基の存在下において行なわれる。特別な場合、ボロン酸(すなわちWが−B(OH)である)又はボレートエステル(すなわちWが−B(OR)であり、ここでRはアルキル又はアルキレンである、例えばRはメチル、エチル又はエチレンである)のような特殊な基を有する複素環を用いることができ、反応は典型的には銅塩、特に酢酸銅(II)の存在下で行なわれ、ピリジンのような適したクエンチング剤を反応混合物に加えることができる。
【0081】
【化11】

【0082】
当該技術分野において既知の変換法を用い、式(I)の化合物を異なる置換を有する他
の式(I)の化合物に変換することができる。例えば、ニトロである芳香族置換基を有する式(I)の化合物を対応するアミノ類似体に還元することができ、それを今度はさらに誘導体化することができる。
【0083】
がハロで置換された芳香族部分である式(I)の化合物を、出発材料を適したシアノ求核試薬、例えば銅(I)シアニドと反応させることにより、対応するシアノ化合物に転換することができる。R又はRがヒドロキシ又はアミノである式(I)の化合物を、適したアルキル化剤を用いてアルキル化することができる。Rがヒドロキシである式(I)の化合物を、ジアルキルホスホルアミダイトとの反応、生成するジアルキルホスファイトの例えば過酸化物を用いるジアルキルホスフェートへの酸化及び例えば酸を用いるアルキル基の除去により、Rが−O−PO−(OH)である対応する化合物に転換することができる。
【0084】
三−置換された窒素をそのN−オキシド形態に転換するための当該技術分野において既知の方法に従い、式(I)の化合物を対応するN−オキシド形態に転換することもできる。該N−オキシド化反応は一般に、式(I)の出発材料を適した有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより行なうことができる。適した無機過酸化物は、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含み;適した有機過酸化物はペルオキシ酸、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸又はハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロ−ベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロ−ペルオキシドを含むことができる。適した溶媒は、例えば水、低級アルカノール類、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン類、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン及びそのような溶媒の混合物である。
【0085】
式(I)の化合物の製造において用いられる出発材料は既知の化合物又はその類似体であり、それらは商業的に入手可能であるか、又は当該技術分野において既知の方法により製造することができる。
【0086】
本発明の化合物はそのまま用いられ得るが、好ましくは、製薬学的組成物の形態で用いられる。かくしてさらに別の側面において、本発明は、通常の製薬学的に無毒の賦形剤及び助剤を含むことができる担体の他に、活性成分として式(I)の化合物の有効用量を含有する製薬学的組成物に関する。製薬学的組成物は通常0.1〜90重量%の式(I)の化合物を含有する。製薬学的組成物は、当該技術分野における熟練者にそれ自体既知の方法で調製することができる。この目的のために、式(I)の化合物を、製薬学的賦形剤及び/又は助剤を含むことができる1種もしくはそれより多い固体もしくは液体担体と一緒に、且つ望ましいなら他の製薬学的活性化合物と組み合わせて、適した投与形態物又は投薬形態物に転換することができる。
【0087】
本発明に従う化合物を含有する薬剤は、経口的に、非経口的に、例えば静脈内に、直腸的に、吸入により、又は局所的に投与することができ、好ましい投与は個々の事例に、例えば処置されるべき障害の特定の経過に依存する。経口的投与が好ましい。
【0088】
当該技術分野における熟練者は彼の専門的知識に基づき、所望の製薬学的調剤に適した助剤に慣れている。溶媒の他に、ゲル−形成剤、座薬基剤、錠剤助剤及び他の活性化合物担体、酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、風味矯正剤、防腐剤、可溶化剤、デポ効果を達成するための薬剤、緩衝物質又は着色剤も有用である。
【0089】
1種もしくはそれより多い追加の抗レトロウイルス性化合物及び式(I)の化合物の組
み合わせを薬剤として用いることもできる。かくして本発明は、抗−HIV処置における同時、個別もしくは逐次的使用のための組み合わせ調製物として、(a)式(I)の化合物及び(b)1種もしくはそれより多い追加の抗レトロウイルス性化合物を含有する製品にも関する。種々の薬剤を、製薬学的に許容され得る担体と一緒に単一の調製物において組み合わせることができる。該他の抗レトロウイルス性化合物は、スラミン(suramine)、ペンタミジン(pentamidine)、チモペンチン(thymopentin)、カスタノスペルミン(castanospermine)、デキストラン(デキストランサルフェート)、フォスカルネト−ナトリウム(foscarnet−sodium)(ホスホノギ酸三ナトリウム);ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTIs)、例えばジドブジン(zidovudine)(AZT)、ジダノシン(didanosine)(ddI)、ザルシタビン(zalcitabine)(ddC)、ラミブジン(lamivudine)(3TC)、スタブジン(stavudine)(d4T)、エムトリシタビン(emtricitabine)(FTC)、アバカビル(abacavir)(ABC)、アムドキソビル(amdoxovir)(DAPD)、エルブシタビン(elvucitabine)(ACH−126,443)、AVX 754((−)−dOTC)、フォジブジン チドキシル(fozivudine tidoxil)(FZT)、ホスファジド(phosphazide)、HDP−990003、KP−1461、MIV−210、ラシビル(racivir)(PSI−5004)、UC−781など;非−ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTIs)、例えばデラビルジン(delavirdine)(DLV)、エファビレンツ(efavirenz)(EFV)、ネビラピン(nevirapine)(NVP)、ダピビリン(dapivirine)(TMC120)、エトラビリン(etravirine)(TMC125)、リルピビリン(rilpivirine)(TMC278)、DPC−082、(+)−カラノリド A((+)−Calanolide A)、BILR−355など;ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NtRTIs)、例えばテノフォビル(tenofovir)((R)−PMPA)及びテノフォビル ジソプロキシル フマレート(tenofovir disoproxil fumarate)(TDF)など;ヌクレオチド−競合性逆転写酵素阻害剤(NcRTIs)、例えば国際公開第2004/046143号パンフレットに記載されている化合物;トランス−活性化タンパク質の阻害剤、例えばTAT−阻害剤、例えばRO−5−3335、BI−201など;REV阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、例えばリトナビル(ritonavir)(RTV)、サクイナビル(saquinavir)(SQV)、ロピナビル(lopinavir)(ABT−378又はLPV)、インジナビル(indinavir)(IDV)、アムプレナビル(amprenavir)(VX−478)、TMC126、ネルフィナビル(nelfinavir)(AG−1343)、アタザナビル(atazanavir)(BMS 232,632)、ダルナビル(darunavir)(TMC114)、フォサムプレナビル(fosamprenavir)(GW433908又はVX−175)、ブレカナビル(brecanavir)(GW−640385,VX−385)、P−1946、PL−337、PL−100、チプラナビル(tipranavir)(PNU−140690)、AG−1859、AG−1776、Ro−0334649など;融合阻害剤(例えばエンフビルチド(enfuvirtide)(T−20))、結合阻害剤及び共−受容体阻害剤を含む侵入阻害剤であって、後者はCCR5アンタゴニスト(例えばアンクリビロク(ancriviroc)、CCR5mAb004、マラビロク(maraviroc)(UK−427,857)、PRO−140、TAK−220、TAK−652、ビクリビロク(vicriviroc)(SCH−D、SCH−417,690))及びCXR4アンタゴニスト(例えばAMD−070、KRH−27315)を含み、その例がPRO−542、TNX−355、BMS−488,043、BlockAide/CRTM、FP 21399、hNM01、ノナカイン(nonakine)、VGV−1である侵入阻害剤;成熟阻害剤、例えばPA−457;ウイルスインテグラーゼの阻害剤、例えばMK−0518、JTK−303(GS−9137)、BMS−538,158;リボザイ
ム;イムノモジュレーター;モノクローナル抗体;遺伝子治療;ワクチン;siRNAs;アンチセンスRNAs;殺微生物剤;亜鉛−フィンガー阻害剤のようないずれの既知の抗レトロウイルス性化合物であることもできる。
【0090】
本発明の化合物をイムノモジュレーター(例えばブロピリミン(bropirimine)、抗−ヒトアルファインターフェロン抗体、IL−2、メチオニン エンケファリン、インターフェロン アルファ及びナルトレキソン(naltrexone))、抗生物質(例えばペンタミジン イソチオレート)、サイトカイン(例えばTh2)、サイトカインのモジュレーター、ケモカイン又はケモカインのモジュレーター、ケモカイン受容体(例えばCCR5、CXCR4)、ケモカイン受容体のモジュレーターあるいはホルモン(例えば成長ホルモン)と組み合わせて投与し、HIV感染及びその症状を改善するか、防除するか、もしくは除去することもできる。異なる調剤中におけるそのような組み合わせ治療を同時に、逐次的に、又は互いに独立して施すことができる。あるいはまた、そのような組み合わせを単一の調剤として投与することができ、それにより活性成分は調剤から同時に又は個別に放出される。
【0091】
本発明の化合物を、患者への薬剤の適用に続く代謝のモジュレーターと組み合わせて投与することもできる。これらのモジュレーターには、シトクロム P450のようなシトクロムにおける代謝を妨げる化合物が含まれる。シトクロム P450のいくつかのイソ酵素が存在することが既知であり、その1つはシトクロム P450 3A4である。リトナビルは、シトクロム P450を介する代謝のモジュレーターの例である。異なる調剤中におけるそのような組み合わせ治療を同時に、逐次的に、又は互いに独立して施すことができる。あるいはまた、そのような組み合わせを単一の調剤として投与することができ、それにより活性成分は調剤から同時に又は個別に放出される。そのようなモジュレーターを本発明の化合物と同じか又は異なる比率で投与することができる。好ましくは、そのようなモジュレーター対本発明の化合物の重量比(モジュレーター:本発明の化合物)は1:1又はそれより低く、より好ましくは、比は1:3又はそれより低く、適切には、比は1:10又はそれより低く、より適切には、比は1:30又はそれより低い。
【0092】
経口的投与形態物のために、本発明の化合物は適した添加剤、例えば賦形剤、安定剤又は不活性希釈剤と混合され、通常の方法により適した投与形態物、例えば錠剤、コーティング錠、硬質カプセル、水性、アルコール性もしくは油性溶液にされる。適した不活性担体の例はアラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコース又は澱粉、特にとうもろこし澱粉である。この場合、乾燥及び湿潤顆粒の両方として調製を行なうことができる。適した油性賦形剤もしくは溶媒は、植物油又は動物油、例えばひまわり油又は肝油である。水性もしくはアルコール性溶液のための適した溶媒は水、エタノール、糖溶液又はそれらの混合物である。ポリエチレングリコール類及びポリプロピレングリコール類も他の投与形態物のためのさらなる助剤として有用である。
【0093】
皮下又は静脈内投与のために、活性化合物は、望ましいなら可溶化剤、乳化剤又は他の助剤のような物質と一緒に、溶液、懸濁剤又は乳剤にされる。化合物を凍結乾燥し、得られる凍結乾燥物を例えば注射もしくは輸液調製物の調製に用いることもできる。適した溶媒は、例えば水、生理食塩水又はアルコール類、例えばエタノール、プロパノール、グリセロール、さらにまた糖溶液、例えばグルコースもしくはマンニトール溶液、あるいはそれらの混合物である。
【0094】
エアゾール又はスプレーの形態における投与のために適した製薬学的調剤は、例えば製薬学的に許容され得る溶媒、例えばエタノール又は水あるいはそのような溶媒の混合物中の本発明の化合物の溶液、懸濁剤又は乳剤である。必要なら、調剤はさらに他の製薬学的助剤、例えば界面活性剤、乳化剤及び安定剤ならびにプロペラントを含有することもでき
る。そのような調製物は通常、約0.1〜50重量%、特に約0.3〜3重量%の濃度で活性化合物を含有する。
【0095】
製薬学的組成物中における式(I)の化合物の溶解性及び/又は安定性を増強するために、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリン又はそれらの誘導体を用いるのが有利であり得る。アルコールのような補助−溶媒も製薬学的組成物中における式(I)の化合物の溶解性及び/又は安定性を向上させることができる。水性組成物の調製において、本化合物の付加塩は、それらの向上した水溶性のために、明らかにより適している。
【0096】
適したシクロデキストリンは、シクロデキストリンの無水グルコース単位のヒドロキシ基の1個もしくはそれより多くがC1−6アルキル、特にメチル、エチル又はイソプロピルで置換されているα−、β−もしくはγ−シクロデキストリン(CDs)又はそれらのエーテル類及び混合エーテル類、例えば無作為にメチル化されたβ−CD;ヒドロキシC1−6アルキル、特にヒドロキシル−エチル、ヒドロキシプロピルもしくはヒドロキシブチル;カルボキシC1−6アルキル、特にカルボキシメチルもしくはカルボキシエチル;C1−6アルキルカルボニル、特にアセチル;C1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキルもしくはカルボキシC1−6アルキルオキシC1−6アルキル、特にカルボキシメトキシプロピルもしくはカルボキシエトキシプロピル;C1−6アルキルカルボニルオキシC1−6アルキル、特に2−アセチルオキシプロピルで置換されているものである。錯体化剤及び/又は可溶化剤として特に注目すべきなのはβ−CD、無作為にメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−γ−CD、2−ヒドロキシプロピル−γ−CD及び(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CDならびに特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)である。
【0097】
混合エーテルという用語は、少なくとも2個のシクロデキストリンヒドロキシ基が異なる基で、例えばヒドロキシプロピル及びヒドロキシエチルでエーテル化されているシクロデキストリン誘導体を示す。
【0098】
シクロデキストリン又はその誘導体と組み合わせて本化合物を調製する興味深い方法は、欧州特許出願第721,331号明細書に記載されている。そこに記載されている調剤は、抗菌・カビ性活性成分を用いるものであるが、それらは等しく本発明の化合物の調製のために興味深い。そこに記載されている調剤は経口的投与に特に適しており、活性成分としての抗菌・カビ剤、可溶化剤として十分な量のシクロデキストリンもしくはその誘導体、バルク(bulk)液体担体としての水性酸性媒体及び組成物の調製を非常に簡単にするアルコール性補助溶媒を含んでなる。製薬学的に許容され得る甘味料及び/又は風味料を加えることにより、該調剤をより口に合うものとすることもできる。
【0099】
製薬学的組成物中における本発明の化合物の溶解性を増強する他の簡単な方法は、国際公開第94/05263号パンフレット、国際公開第98/42318号パンフレット、欧州特許出願第499,299号明細書及び国際公開第97/44014号パンフレットに記載されており、引用することによりそれらのすべての記載事項は本明細書の内容となる。
【0100】
さらに特定的に、(a)式(I)の化合物及び(b)1種もしくはそれより多い製薬学的に許容され得る水溶性ポリマーを含んでなる固体分散系から成る粒子の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物において、本化合物を調製することができる。
【0101】
「固体分散系」という用語は、少なくとも2種の成分を含んでなり、ここで一つの成分が単数もしくは複数の他の成分全体に多少均一に分散されている固体状態(液体又は気体
状態に対して)における系を定義している。該成分の分散系が、系が化学的及び物理的に全体を通じて均一又は均質であるか、あるいは熱力学で定義される1つの相から成るようなものである場合、そのような固体分散系は「固溶体」と呼ばれる。固溶体は、その中の成分が通常それらが投与される生物にとって容易に生物利用性となる故に、好ましい物理的系である。
【0102】
「固体分散系」という用語は、固溶体より全体を通じて均一でない分散系も含む。そのような分散系は化学的及び物理的に全体を通じて均一でないか、あるいは1つより多い相を含む。
【0103】
粒子中の水溶性ポリマーは簡便には、20℃の溶液で2%水溶液において溶解される時に、1〜100mPa.sの見掛け粘度を有するポリマーである。
【0104】
好ましい水溶性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロース又はHPMCである。約0.8〜約2.5のメトキシ置換度及び約0.05〜約3.0のヒドロキシプロピルモル置換を有するHPMCは一般的に水溶性である。メトキシ置換度は、セルロース分子の無水グルコース単位当たりに存在するメチルエーテル基の平均数を指す。ヒドロキシ−プロピルモル置換は、セルロース分子のそれぞれの無水グルコース単位と反応したプロピレンオキシドの平均モル数を指す。
【0105】
上記で定義した粒子は、最初に成分の固体分散系を調製し、次いで場合によりその分散系を粉砕又は磨砕することにより調製することができる。固体分散系の調製のために、溶融−押出し、噴霧−乾燥及び溶液−蒸発を含む種々の方法があり、溶融−押出しが好ましい。
【0106】
1000nm未満の有効平均粒度を保持するのに十分な量で表面改質剤がその表面上に吸着しているナノ粒子の形態で本化合物を調製するのはさらに簡便であり得る。有用な表面改質剤には、抗レトロウイルス剤の表面に物理的に接着するが抗レトロウイルス剤に化学的に結合しないものが含まれると思われる。
【0107】
適した表面改質剤は、好ましくは既知の有機及び無機製薬学的賦形剤から選ばれることができる。そのような賦形剤には種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然産物及び界面活性剤が含まれる。好ましい表面改質剤には非イオン性及びアニオン性界面活性剤が含まれる。
【0108】
本発明の化合物を親水性ポリマー中に導入し、この混合物を小ビーズ上のコートフィルムとして適用することができる。1つの態様において、これらのビーズは中心の丸い、又は球状の芯、親水性ポリマー及び抗レトロウイルス剤のコーティングフィルムならびにシール−コーティングポリマー層を含む。ビーズ中の芯として用いるのに適した材料はマニホールドであり、但し該材料は製薬学的に許容され得、且つ適した寸法及び堅さを有する。そのような材料の例はポリマー、無機物質、有機物質ならびに糖類及びそれらの誘導体である。かくして得られるコーティングされたビーズは、優れたバイオアベイラビリティーを有し、且つ経口的投薬形態物の調製に適している。
【0109】
投与されるべき本発明の化合物の投薬量はそれぞれの事例に依存し、通常通り、最適効果のためにそれぞれの事例の状態に適応させるべきである。かくしてそれは投与の頻度ならびに治療もしくは予防のためにそれぞれの場合に用いられる化合物の力価及び作用の持続時間に依存するが、感染及び症状の性質及び重度ならびに処置されるべき人間又は動物の性別、年齢、体重、共−投薬(co−medication)及びそれぞれの応答性、ならびに治療が緊急であるか又は予防的であるかにも依存する。通常、体重が約75kg
の患者への投与の場合、式(I)の化合物の毎日の投薬量は1mg〜3g、好ましくは3mg〜1g、より好ましくは5mg〜0.5gである。投薬量をそれぞれの投薬量の形態で投与することができるか、又は数回、例えば2、3、4回のそれぞれの投薬量に分けることができる。
【実施例】
【0110】
以下の実施例は、式(I)の化合物、その製造及び薬理学的性質を例示し、本発明の範囲の制限とみなされるべきではない。
【0111】
下記で、「DMSO」はジメチルスルホキシドとして定義され、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドとして定義され、「THF」はテトラヒドロフランとして定義される。
【0112】
実施例1:スキームA:一般的Ugi法
【化12】

【0113】
メタノール(25ml)中の2−アミノピリジン(I1)(1.0当量,5.30ミリモル,0.500g)、4−ニトロフェニルイソシアニド(I2)(1.1当量,5.80ミリモル,0.870g)、2−ホルミル安息香酸メチル(I3)(1.1当量,5.80ミリモル,0.960g)及び過塩素酸(0.1当量,0.53ミリモル,0.053g)の混合物を、出発材料が残らなくなるまで室温で攪拌した。LCMSにより反応の進行を監視した。カリウムtert−ブトキシド(1.1当量,5.80ミリモル,0.660g)を加え、反応混合物を室温で2時間さらに攪拌した。得られる沈殿を濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで洗浄し、6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ−[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(1)(1.20g,収率=63%,純度(LC)=95%)を与えた。
【0114】
実施例2:スキームA1
【化13】

【0115】
メタノール中の6−アミノニコチン酸(1.0当量,7.24ミリモル,1.00g)及び硫酸(6.00当量,65.16ミリモル,6.39g)の混合物を24時間還流させた。室温に冷ました後、反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで飽和NaHCO水溶液の添加によりアルカリ性とした。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をMgSOを用いて乾燥し、真空中で濃縮して6−アミノ−ピリジン−3−カルボン酸メチル(I5)(0.70g,収率=64%)を白色の結晶性の生成物として与えた。
【0116】
実施例1に記載した通りに一般的Ugi法に従って化合物11を製造した。この目的のために、メタノール(5ml)中のI5(1.0当量,0.85ミリモル,0.130g)、4−ニトロフェニルイソシアニド(1.1当量,0.94ミリモル,0.139g)、2−ホルミル安息香酸メチル(1.1当量,0.94ミリモル,0.154g)及び過塩素酸(0.2当量,0.17ミリモル,0.017g)の混合物を、40℃で終夜攪拌した。室温に冷ました後、カリウムtert−ブトキシド(1.2当量,1.02ミリモル,0.114g)を加え、反応混合物を室温で2時間さらに攪拌した。得られる沈殿を濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、5,6−ジヒドロ−6−(4−ニトロフェニル)−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−カルボン酸メチル(11)(0.094g,収率=27%,純度(LC)=99%)を与えた。
【0117】
乾燥THF(17ml)中のLiAlH(3.00当量,11.83ミリモル,0.449g)の懸濁液に、化合物I5(1.0当量,3.94ミリモル,0.600g)を0℃で分けて加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌した。メタノールの添加(氷上で冷却しながら)により過剰のLiAlHを破壊し、反応混合物をセライト上で濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 75:25)により精製し、6−アミノ−3−ピリジンメタノール(I6)(0.330g,収率=67%)を白色の固体として与えた。H NMR(δ,CDOD):4.43(2H,s),6.58(1H,d,J=8.5Hz),7.48(1H,dd
,J=8.5,
【数1】

2Hz)7.86(1H,d,J
【数2】

2Hz)
【0118】
11に関して記載した通りにUgi法を用い、9−ヒドロキシメチル−6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(6)を製造した(収率=66%,純度(LC)=98%)。
【0119】
実施例3:スキームA2
【化14】

【0120】
濃HCl水溶液(1ml)中の化合物11(1.0当量,0.060ミリモル,0.025g)の懸濁液を60℃で終夜攪拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、5,6−ジヒドロ−6−(4−ニトロフェニル)−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−カルボン酸(71)の塩酸塩を与え、それを高真空下でさらに乾燥した(0.024g,収率=91%,純度(LC)=98%)。
【0121】
実施例4:スキームA3
【化15】

【0122】
濃HBr水溶液(5ml)中の9−メトキシ−6−(4−ニトロフェニル)−ピリミド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I7)(0.26ミリモル,0.100g)の懸濁液を終夜還流させた。反応混合物を減圧下で蒸発させた。粗生成物をフィルター上に持ってきて、メタノール、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、9−ヒドロキシ−6−(4−ニトロフェニル
)−ピリミド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(97)の臭化水素塩を与えた(0.025g,収率=8%,純度(LC)=90%)。
【0123】
実施例5:スキームA4
【化16】

【0124】
オーブン乾燥されたパイレックススクリュー−管に、rac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル((rac)−BINAP)(0.3当量,0.138ミリモル,0.086g)、Pd(ジベンジリデン−アセトン)(Pddba)(0.1当量,0.046ミリモル,0.042g)及びCsCO(1.4当量,0.643ミリモル,0.210g)を装入した。乾燥ジオキサン(1ml)を加え、スクリュー−管をArでパージした。反応混合物を80℃で30分間加熱し、その後それを室温に冷ました。9−ブロモ−6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I8)(1.0当量,0.460ミリモル,0.200g)及びピロリジンエタナミン(1.0当量,0.460ミリモル,0.052g)を加え、反応混合物を100℃で、出発材料が残らなくなるまで攪拌した。LCMSにより反応の進行を監視した。減圧下における溶媒の除去、続く得られる残留物のカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:ジクロロメタン→ジクロロメタン/メタノール 9:1)は、6−(4−ニトロフェニル)−9−(2−ピロリジン−1−イル−エチルアミノ)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(67)(0.055g,収率=26%,純度(LC)=97%)を与えた。
【0125】
実施例6:スキームA5
【化17】

【0126】
N−ブロモスクシンイミド(1.2当量,0.358ミリモル,0.061g)を、DMF(3ml)中の1(1.0当量,0.295ミリモル,0.105g)の溶液に加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。水を加え、得られる沈殿を濾過により単離し、
水、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、3−ブロモ−6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(101)(0.050g,収率=36%,純度(LC)=93%)を与えた。
【0127】
実施例7:スキームA6
【化18】

【0128】
CuI(0.2当量,0.256ミリモル,0.049g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(0.1当量,0.13ミリモル,0.090g)、トリエチルアミン(1.0当量,1.28ミリモル,0.129g)、(トリメチルシリル)アセチレン(10.0当量,12.8ミリモル,1.26g)及びKI(10.0当量,12.8ミリモル,2.12g)を、乾燥DMF(10ml)中の6−(6−ブロモ−ピリジン−3−イル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(21)(1.0当量,1.28ミリモル,0.50g)の混合物に加えた。反応混合物をN雰囲気下に、室温で24時間攪拌した。第2の分のCuI(0.20当量,0.256ミリモル,0.049g)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(0.1当量,0.13ミリモル,0.090g)の添加後、反応混合物を60℃で17時間さらに攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、ペースト状の残留物をジクロロメタンと混合し、水で洗浄した。有機層を減圧下で蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン 60:40)により精製し、6−[6−[(トリメチルシラニル)エチニル]−ピリジン−3−イル]−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I9)(0.50g,収率=96%,純度(LC)=95%)を与えた。
【0129】
メタノール(50ml)中の化合物I9(0.514ミリモル,0.210g)の混合物に、KOH(1.1当量,0.565ミリモル,0.032g)を加えた。反応混合物をN雰囲気下に、室温で1時間攪拌した。HClの0.5M水溶液(1.1当量,0.565ミリモル,1.13ml)を加え、得られる混合物を室温で10分間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタ
ン 60:40)により精製し、6−(6−エチニル−ピリジン−3−イル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I10)(0.150g,収率87%)を与えた。
【0130】
アセトン/水(8:2,2ml)中の化合物I10(1.0当量,0.22ミリモル,73mg)の溶液を、アセトン/水(8:2,2ml)中の酢酸水銀(II)(1.0当量,0.22ミリモル,69mg)及び硫酸(2.0当量,0.43ミリモル,43.0mg)の混合物に40℃で加えた。反応混合物を4時間加熱還流した。溶媒を減圧下で蒸発させてほとんど乾固させ、飽和KCO水溶液を加え、水相をジクロロメタンで抽出した。MgSOを用いて有機相を乾燥し、減圧下で蒸発させた。残留物をシリカゲル上で精製し(酢酸エチル/ジクロロメタン 25:75)、6−[6−(1−オキシエチル)−ピリジン−3−イル]−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(28)(38mg,収率=49%,純度(LC)=99%)を与えた。
【0131】
メタノール(150ml)中の化合物I10(1.0当量,0.08ミリモル,27mg)の溶液に、パラジウム/カーボン(0.050g,10%w/w Pd/C)及びチオフェン(1.2当量,0.096ミリモル,0.20ml,イソプロピルエーテル中の4%)を加えた。反応混合物をH下に、室温で10分間攪拌した。濾過された反応混合物を減圧下で蒸発させ、6−(6−エチル−ピリジン−3−イル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(27)(12.2mg,収率=45%,純度(LC)=100%)を与えた。
【0132】
実施例8:スキームA7
【化19】

【0133】
化合物21(1.0当量,0.583ミリモル,0.228g)及び2−アミノ−1−プロパノール(1.5ml)の混合物を、マイクロ波照射下で50分間攪拌した(マイクロ波設定:温度=180℃,最大圧力=17バール,最大出力=200W)。反応混合物を水(10ml)と混合し、室温で5分間攪拌した。得られる沈殿を濾過し、続いて水及びテトラヒドロフランで洗浄し、6−[6−[(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)アミノ]−ピリジン−3−イル]−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I11)(0.150g,収率=67%,純度(LC)=96%)を与えた。
【0134】
DMSO(2.1当量,0.812ミリモル,0.063g)及びジクロロメタン(1.5ml)の混合物を、乾燥密封管中でN雰囲気下に、−78℃に冷却した。ジクロロメタン(1.0ml)中の塩化オキサリル(2.0当量,0.773ミリモル,0.098g)の溶液を加え、得られる反応混合物を−78℃で10分間攪拌した。次に、DMSO(3ml)中のI11(1.0当量,0.387ミリモル,0.149g)の溶液を加え、反応混合物を−78℃で20分間攪拌した。トリエチルアミン(4.25当量,1.
64ミリモル,0.166g)を加え、−78℃で攪拌を10分間続けた。反応混合物が室温に温まるのを許し、続いてイソプロパノール(200μl)を用いてクエンチングし、その後、得られる混合物を酢酸エチル(30ml)で希釈し、2%次亜塩素酸ナトリウム水溶液及び水で洗浄した。有機層を減圧下で蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 99:1)により精製し、6−(2−メチル−イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−6−イル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(75)(2.5mg,収率=1.8%,純度(LC)=81%)を与えた。
【0135】
実施例9:スキームA8
【化20】

【0136】
触媒の調製:トリフェニルホスフィン(0.3当量,0.115ミリモル,0.030g)及び塩化パラジウム(0.1当量,0.038ミリモル,0.007g)を、Ar雰囲気下に乾燥ピリジン(1ml)中で混合した。混合物を60℃で15分間攪拌した。
【0137】
Ar雰囲気下に、乾燥ピリジン(1ml)中のtert−ブチルシアノアセテート(1.2当量,0.460ミリモル,0.065g)の溶液に水素化ナトリウム(2.2当量,0.844ミリモル,0.034g(60%))を加えた。触媒−上記の通りに調製された−を注入し、混合物を室温で5分間攪拌した。次いで化合物21(1.0当量,0.383ミリモル,0.150g)を加え、反応混合物を85℃で2時間加熱した。メタノールを用いて過剰の水素化ナトリウムを破壊した後、溶媒を真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール(7M NH) 95:5)により精製し、5−[5,6−ジヒドロ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−6−イル]−α−シアノ−2−ピリジン酢酸ジメチルエチル(I12)(0.078g,収率=45%)を与えた。
【0138】
乾燥トルエン及び1滴の過塩素酸中のI12(1.0当量,0.172ミリモル,0.078g)の懸濁液を、脱カルボキシル化が完了するまで85℃で攪拌した。溶媒を蒸発させ、粗反応生成物をフィルター上に持ってきて、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、5−[5,6−ジヒドロ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−6−イル]−2−ピリジンアセトニトリル(33)(0.027g,収率=45%,純度(LC)=90%)を与えた。
【0139】
実施例10:スキームA9
【化21】

【0140】
触媒の調製:トリフェニルホスフィン(0.3当量,0.114ミリモル,0.030g)及び塩化パラジウム(0.1当量,0.038ミリモル,0.006g)を、Ar雰囲気下に乾燥ピリジン(1ml)中で混合した。混合物を60℃で15分間攪拌した。
【0141】
Ar雰囲気下に、乾燥ピリジン(1ml)中のマロニトリル(1.2当量,0.456ミリモル,0.030g)の溶液に水素化ナトリウム(2.5当量,0.950ミリモル,0.038g(60%))を加えた。触媒−上記の通りに調製された−を注入し、混合物を室温で5分間攪拌した。次いで6−(6−ブロモ−ピリジン−3−イル)−9−メトキシ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(39)(1.0当量,0.380ミリモル,0.160g)を加え、反応混合物を85℃で2時間加熱した。メタノールを用いて過剰の水素化ナトリウムを破壊した後、溶媒を真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:ジクロロメタン/メタノール(7M NH) 9:1→8:2)により精製し、α−シアノ−5−[5,6−ジヒドロ−9−メトキシ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−6−イル]−2−ピリジンアセトニトリル(52)(0.030g,収率=19%,純度(LC)=99%)を与えた。
【0142】
実施例11:スキームB
【化22】

【0143】
クロロホルム(100ml)中の2,5−ジアミノピリジン(I13)(1.0当量,9.16ミリモル,1.00g)及びトリエチルアミン(1.1当量,10.08ミリモル,1.02g)の冷却された(0℃)懸濁液に、ヘキサノイルクロリド(1.1当量,10.08ミリモル,1.36g)を滴下した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をフィルター上に持ってきて、飽和NaHCO溶液、水及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 95:5;R=0.3)によりさらに精製し、N−[6−アミノ−ピリジン−3−イル]−ヘキサンアミド(I14)(1.24g,収率=65%)を与えた。H NMR(δ,DMSO−D6):0.87(3H,t,J=6.9),1.23−1.33(4H,m),1.53−1.60(2H,m),2.22(2H,t,J=7.5Hz),5.67(2H,s),6.39(1H,d,J=8.8Hz),7.54(1H,dd,J=8.8,2.6Hz),8.05(1H,d,J=2.5Hz),9.53(1H,s)
【0144】
イソプロパノール(60ml)中の化合物I14(1.0当量,6.61ミリモル,1.37g)、2−クロロ−5−イソシアノ−ピリジン(1.1当量,7.27ミリモル,1.01g)、2−ホルミル安息香酸メチル(1.1当量,7.27ミリモル,1.19g)及び過塩素酸(0.2当量,1.43ミリモル,0.14g)の混合物を室温で5日間攪拌した。カリウムtert−ブトキシド(1.2当量,7.93ミリモル,0.89g)を加え、反応混合物を室温で2時間さらに攪拌した。酢酸(2.00当量,13.22ミリモル,0.79g)を加え、得られる沈殿を濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで洗浄し、N−[6−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]−ヘキサンアミド(I15)(1.40g,収率=46%)を与えた。
【0145】
6N HCl溶液(5ml)中の化合物I15(1.0当量,0.217ミリモル,0
.100g)の懸濁液を100℃で10時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をフィルター上に持ってきて、飽和NaHCO溶液、水、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、真空炉中で乾燥し、9−アミノ−6−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(53)(0.046g,収率=58%,純度(LC)=95%)を与えた。
【0146】
実施例12:スキームB1
【化23】

【0147】
ジクロロメタン(1ml)中の無水酢酸(2.0当量,0.552モル,0.050g)の冷却された(0℃)溶液に、ギ酸(5.0当量,1.390ミリモル,0.064g)を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した。化合物53(1.0当量,0.276ミリモル,0.100g)を加え、得られる懸濁液を室温で6時間攪拌した。沈殿を濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、N−[6−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]−ホルムアミド(57)(0.060g,収率=56%,純度(LC)=96%)を与えた。
【0148】
実施例13:スキームB2
【化24】

【0149】
ジクロロメタン(6ml)中の化合物53(1.0当量,0.553ミリモル,0.200g)及びトリエチルアミン(1.5当量,0.829ミリモル,0.085g)の冷却された(0℃)溶液に、無水酢酸(1.5当量,0.829ミリモル,0.084g)を加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、得られる残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 9:1;R=0.3)により精製し、N−[6−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]−アセトアミド(56)(0.105g,収率=47%,純度(LC)=90%)
を与えた。
【0150】
実施例14:スキームB3
【化25】

【0151】
ジクロロメタン(6ml)中の化合物53(1.0当量,0.553ミリモル,0.200g)及びトリエチルアミン(1.5当量,0.830ミリモル,0.084g)の冷却された(0℃)溶液に、トリフルオロ酢酸無水物(1.2当量,0.664ミリモル,0.139g)を滴下した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を真空下で除去した。水を加え、得られる沈殿を濾過し、水及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、N−[6−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド(61)(0.190g,収率=75%,純度(LC)=95%)を与えた。
【0152】
実施例15:スキームB4
【化26】

【0153】
クロロホルム(3ml)中の化合物53(1.0当量,0.276ミリモル,0.100g)及びエチルイソシアナート(5.0当量,1.382ミリモル,0.098g)の混合物を室温で9日間攪拌した。得られる沈殿を濾過し、メタノール、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、1−エチル−3−[6−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]−ウレア(60)(0.046g,収率=38%,純度(LC)=90%)を与えた。
【0154】
実施例16:スキームB5
【化27】

【0155】
エタノール(2.5ml)中の化合物53(1.0当量,0.138ミリモル,0.050g)、シアナミド(20.0当量,2.764ミリモル,0.116g)、37%HCl水溶液(7.2当量,0.995ミリモル,0.098g)及び水(34.0当量,4.699ミリモル,0.085g)の混合物を48時間還流させた。反応混合物を濾過し、得られる沈殿を飽和NaHCO水溶液、水、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、N−[6−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]−グアニジン(85)(0.008g,収率=14%,純度(LC)=87%)を与えた。
【0156】
実施例17:スキームB6
【化28】

【0157】
DMF(2ml)中の化合物53(1.0当量,0.276ミリモル,0.100g)、無水コハク酸(1.5当量,0.415ミリモル,0.041g)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.1当量,0.028ミリモル,0.003g)の混合物を室温で5日間攪拌した。水を加え、得られる沈殿をイソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、4−[[6−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロ−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]−アミノ]−4−オキシ−ブタン酸(62)(0.042g,収率=33%,純度(LC)=90%)を与えた。
【0158】
実施例18:スキームB7
【化29】

【0159】
DMF(3ml)中の化合物53(1.0当量,0.193ミリモル,0.070g)の懸濁液に、N,N−ジメチルホルムアミド ジメチルアセタール(10.0当量,1.935ミリモル,0.231g)を加えた。反応混合物を110℃で終夜攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。イソプロピルエーテルを加え、混合物をフィルター上に持ってきて、イソプロピルエーテルで洗浄し、6−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−9−[[(ジメチルアミノ)−メチレン]アミノ]−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(84)(0.050g,収率=62%,純度(LC)=77%)を与えた。
【0160】
実施例19:スキームB8
【化30】

【0161】
I15の合成(実施例11:スキームB)に関して記載したと同じ方法により、N−[5,6−ジヒドロ−6−(4−ニトロフェニル)−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]−ヘキサンアミド(86)を合成した。H NMR(δ,DMSO−D6):0.87(3H,t,J=7.2),1.13−1.28(4H,m),1.37−1.44(2H,m),2.15(2H,t,J=7.1Hz),7.04(1H,d,J=9.7),7.62−7.67(2H,
m),7.89(1H,s),7.96−7.93(3H,m),8.34(1H,d,J=7.6Hz),8.35(1H,d,J=7.7Hz),8.53(2H,d,J=8.7Hz),9.87(1H,s)
【0162】
DMF(15ml)中の86(1.0当量,0.643ミリモル,0.302g)の溶液に、水素化ナトリウム(1.6当量,1.029ミリモル,0.041g(60%))を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。ヨウ化メチル(1.2当量,0.772ミリモル,0.110g)を加え、混合物を室温で24時間攪拌した。反応混合物に水を加え、生成する沈殿を濾過し、水及びイソプロピルエーテルで洗浄し、N−[5,6−ジヒドロ−6−(4−ニトロフェニル)−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]−N−メチル−ヘキサンアミド(87)(0.296g収率=95%,純度(LC)=93%)を与えた。
【0163】
6M HSO水溶液(15ml)中の87(0.612ミリモル,0.296g)の懸濁液を85℃で5時間攪拌した。混合物を室温に冷まし、沈殿を濾過し、水、飽和NaHCO溶液、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、9−(メチルアミノ)−6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(89)(0.064g,収率=27%,純度(LC)=97%)を与えた。
【0164】
実施例20:スキームC
【化31】

【0165】
2−アミノピリジン(I1)(1.0当量,318ミリモル,30.0g)、過ヨウ素酸二水和物(0.15当量,48ミリモル,10.7g)及びヨウ素(0.42当量,134ミリモル,32.4g)の混合物を、酢酸(800ml)、水(36ml)及び硫酸
(6.2ml)の混合溶液中で、80℃において4時間加熱した。反応混合物を10%Na水溶液中に注いで残るヨウ素をクエンチングし、エーテルで抽出した。抽出物を10%NaOH水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:ヘプタン/酢酸エチル 25:75→酢酸エチル)により精製し、2−アミノ−5−ヨードピリジン(I16)(52.0g,収率=74%)を与えた。H NMR(δ,CDCl):4.51(2H,s),6.35(1H,d,J=8Hz),7.62(1H,d,J=8Hz),8.21(1H,s)
【0166】
2−アミノ−5−ヨードピリジン(I16)(1.0当量,332ミリモル,73.0g)、2,5−ヘキサンジオン(1.2当量,398ミリモル,45.0g)及びp−トルエンスルホン酸(0.1当量,33ミリモル,5.7g)をトルエン(300ml)中に溶解し、Dean−Stark装置において5時間加熱した。室温に冷ました後、暗褐色の反応混合物を飽和NaHCO水溶液、水及びブラインで洗浄した。MgSOを用いて有機相を乾燥し、真空中で濃縮した。得られる暗色の残留物を高真空下で乾燥し、さらなる精製なしで次の段階に用いた(89.0g,収率=90%)。H NMR(δ,CDCl):2.13(6H,s),5.89(2H,s),7.01(1H,d,J=8.2Hz),8.09(1H,dd,J=8.2,2.2Hz),8.79(1H,d,J=2.2Hz)
【0167】
ナトリウム(3.0当量,735ミリモル,16.9g)を乾燥メタノール(240ml)中に溶解した。DMF(160ml)、CuI(0.15当量,37ミリモル,7.0g)及びN−保護2−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−5−ヨード−ピリジン(I17)(1.0当量,245ミリモル,73.0g)を加えた。反応混合物を80℃に3時間加熱した。混合物が室温に冷めるのを許した後、イソプロピルエーテル及びNHCl水溶液(5%)を加え、混合物を終夜攪拌した。固体をセライト上で濾過し、濾液をジクロロメタンで数回抽出した。合わせた有機相を10%NHOH水溶液で洗浄し、MgSOを用いて乾燥し、真空中で濃縮した。高真空中で乾燥した後、2−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−5−メトキシ−ピリジン(I18)(50g,収率=100%)はそのまま次の段階に用いるのに十分に純粋であった。H NMR(δ,CDCl):2.08(6H,s),3.91(3H,s),5.87(2H,s),7.15(1H,d,J=8.7Hz),7.32(1H,dd,J=8.7,3.0Hz),8.27(1H,d,J=3.0Hz)
【0168】
I18(1.0当量,257ミリモル,52.0g)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(6.5当量,1671ミリモル,69.5g)、トリエチルアミン(2.0当量,514ミリモル,52.0g)、エタノール(400ml)及び水(200ml)の混合物を20時間還流させた。溶液を冷却し、2M HClを用いてクエンチングし、イソプロピルエーテルで洗浄し、6M NaOHを用いてpHを9〜10に調整した。得られる混合物をジクロロメタンで数回抽出した。合わせた有機相を、MgSOを用いて乾燥し、溶媒を真空中で除去した。油性の残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:ジクロロメタン/酢酸エチル 25:75→酢酸エチル)により精製し、2−アミノ−5−メトキシ−ピリジン(I19)(32.0g,収率=100%)を与えた。H NMR(δ,CDCl):3.74(3H,s),4.45(2H,s(br)),6.45(1H,d,J=8.8Hz),7.07(1H,dd,J=8.8,3.3Hz),7.72(1H,d,J=3.3Hz)
【0169】
48% HBr水溶液中の化合物I19の溶液を終夜還流させた。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール(7M
NH) 9:1)により精製し、6−アミノ−ピリジン−3−オール(I20)(6.9g,収率=44%)を暗褐色の結晶として与えた。H NMR(δ,DMSO−D6):5.19(2H,s),6.33(1H,d,J=8.7Hz),6.90(1H
,dd,J=8.7,3.0Hz),7.50(1H,d,J=3.0Hz),8.61(1H,s)
【0170】
メタノール中の2−アミノピリジン(I1)(1.0当量,27.2ミリモル,3.00g)、4−ニトロフェニルイソシアニド(1.1当量,29.9ミリモル,4.40g)、2−ホルミル安息香酸メチル(1.1当量,29.9ミリモル,4.9g)及び過塩素酸(0.2当量,5.4ミリモル,0.55g)の混合物を、室温で終夜攪拌した。カリウムtert−ブトキシド(2.2当量,59.8ミリモル,6.7g)を加え、反応混合物を室温で2時間さらに攪拌した。酢酸(2.0ml)(又は濃塩酸)を加え、得られる沈殿を濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで洗浄し、9−ヒドロキシ−6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(10)(6.80g,収率=67%,純度(LC)=95%)を与えた。
【0171】
実施例21:スキームC1
【化32】

【0172】
DMF(3ml)中の化合物10(1.0当量,6.71ミリモル,0.250g)の溶液に、4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(1.2当量,0.806ミリモル,0.121g)及び炭酸カリウム(3当量,2.01ミリモル,0.278g)を加えた。混合物を2時間加熱還流した。水の添加により反応生成物を沈殿させ、濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、9−[2−(4−モルホリニル)−エトキシ]−6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(79)(0.156g,収率=46%,純度(LC)=95%)を褐色の粉末として与えた。
【0173】
実施例22:スキームC2
【化33】

【0174】
DMF(10ml)中の10(1.0当量,0.940ミリモル,0.350g)の溶液に、ブロモエチルアセテート(1.2当量,1.128ミリモル,0.188g)及び炭酸カリウム(3.0当量,2.820ミリモル,0.390g)を加えた。混合物を2時間加熱還流した。水の添加により反応生成物を沈殿させ、濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、2−[[5,6−ジヒドロ−6−(4−ニトロフェニル)−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]オキシ]−酢酸エチル(13)(0.409g,収率=95%,純度(LC)=92%)を明赤色の粉末として与えた。
【0175】
エタノール(8ml)中の化合物13(1.0当量,0.22ミリモル,0.100g)及びメチルアミン(水中の40%,6ml)の混合物を70℃で4時間加熱した。冷却後、反応生成物を濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、N−メチル−2−[[5,6−ジヒドロ−6−(4−ニトロフェニル)−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]オキシ]−アセトアミド(15)(0.057g,収率=58%,純度(LC)=98%)を明黄色の粉末として与えた。
【0176】
実施例23:スキームC3
【化34】

【0177】
DMF(5ml)及び濃HCl水溶液(10ml)の混合物中の化合物13(1.0当量,0.207g,0.45ミリモル)の溶液を、2日間加熱還流した。室温に冷ました後、反応生成物を濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、2−[[5,6−ジヒドロ−6−(4−ニトロフェニル)−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イル]オキシ]−酢酸(14)の塩酸塩(0.165g,収率=96%,純度(LC)=90%)を明褐色の粉末として与えた。
【0178】
実施例24:スキームC4
【化35】

【0179】
乾燥DMF(5ml)中の化合物10(1.0当量,0.806ミリモル,0.300g)、2−ブロモエチルアセテート(2.0当量,1.611ミリモル,0.269g)及びKCO(3.0当量,2.417ミリモル,0.334g)の混合物を60℃で4時間攪拌した。反応混合物に水を加え、水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を、MgSOを用いて乾燥し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 97.2:2.5)による精製は、6−(4−ニトロフェニ
ル)−9−[2−[(1−オキソ−エチル)オキシ]−エトキシ]−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(73)(0.245g,収率=66%,純度(LC)=97%)を与えた。
【0180】
濃HCl水溶液中の化合物73(0.327ミリモル,0.150g)の溶液を室温で終夜攪拌した。真空下で溶媒を蒸発させ、粗反応生成物をフィルター上に持ってきて、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、9−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(74)の塩酸塩(0.148g,収率=100%,純度(LC)=95%)を与えた。
【0181】
実施例25:スキームC5
【化36】

【0182】
Ar雰囲気下に、無水アセトニトリル中の10(1.0当量,2.69ミリモル,1.00g)の溶液に、テトラゾール(2.0当量,5.37ミリモル,0.38g)及びジ−(tert−ブチル)ジエチルホスホルアミダイト(1.6当量,4.30ミリモル,1.07g)を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した。水中の70%tert−ブチルヒドロペルオキシド溶液(5.0当量,13.45ミリモル,1.73g)をゆっくり加え、攪拌を1時間続けた。ガラスフィルターを介して反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 97.2:2.5)による精製は、リン酸ジ−tert−ブチルエステル 6−(4−ニトロフェニル)−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イルエステル(I21)を与えた。イソプロパノール中の4M HCl溶液中のI21の懸濁液を、室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、リン酸 5,6−ジヒドロ−6−(4−ニトロフェニル)−5−オキソ−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−9−イルエステル(76)を塩酸塩として与えた(0.47g,収率=36%,純度(LC)>95%)。
【0183】
実施例26:スキームD
【化37】

【0184】
THF(40ml)中の6−クロロピリダジン−3−アミン(I22)(1.0当量,7.72ミリモル,1.00g)、4−ニトロフェニルイソシアニド(I2)(1.2当量,9.26ミリモル,1.37g)及び2−ホルミル安息香酸メチル(I3)(1.2当量,9.26ミリモル,1.52g)及び過塩素酸(0.1当量,0.77ミリモル,0.078g)の混合物を、Ar雰囲気下に、50℃において終夜加熱した。氷−浴中で反応混合物を冷却した後、水素化ナトリウム(1.5当量,11.58ミリモル,0.463g(60%))を加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌し、次いでアセトニトリル(30ml)及び1M HCl(30ml)の混合物上に注いだ。得られる沈殿を濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、9−クロロ−6−(4−ニトロフェニル)−ピリダゾ[3’,2’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I23)(0.554g,収率=18%)を明緑色の粉末として与えた。
【0185】
実施例27:スキームD1
【化38】

【0186】
DMSO(20ml)中のI23(1.0当量,1.28ミリモル,0.500g)及びエタノールアミン(3.0当量,3.84ミリモル,0.234g)の混合物を160℃で2時間加熱した。水の添加により反応生成物を沈殿させ、濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離:ジクロロメタン/メタノール 98:2→95/5)による精製は、9−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6−(4−ニトロフェニル)−ピリダゾ[3’,2’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I21)(0.257g,収率=46%,純度(LC)=94%)をオレンジ色の粉末として与えた。
【0187】
実施例28:スキームD2
【化39】

【0188】
DMSO(5ml)中の化合物I23(1.0当量,0.20ミリモル,0.100g)の溶液に4−メトキシベンジルアミン(5.0当量,1ミリモル,0.140g)を加え、混合物を150℃に5時間加熱した。水の添加により、反応混合物から化合物を沈殿させた。濾過により沈殿を単離し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、9−[[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ]−6−(4−ニトロフェニル)−ピリダゾ[3’,2’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I24)(0.082g,収率=68%,純度(LC)>95%)をオレンジ色の粉末として与えた。
【0189】
化合物I24(1.0当量,0.14ミリモル,0.082g)をトリフルオロ酢酸(3ml)と混合し、65℃で1時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を酢酸エチル中に溶解し、2N NaOH水溶液で洗浄した。中和の間に、反応生成物が酢酸エチル溶液から沈殿した。濾過により生成物を単離し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、9−アミノ−6−(4−ニトロフェニル)−ピリダゾ[3’,2’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I29)(0.051g,収率=99%,純度(LC)=98%)をオレンジ色の粉末として与えた。
【0190】
実施例29:スキームE
【化40】

【0191】
メタノール(3ml)中の2−アミノピリジン(I1)(1.0当量,5.31ミリモル,0.500g)、1,1,3,3−テトラメチルブチル−イソニトリル(I25)(1.2当量,6.38ミリモル,0.888g)及び3−チオフェン−カルボキシアルデヒド(I26)(1.2当量,6.38ミリモル,0.715g)及び触媒量の過塩素酸(1滴)の混合物を、Ar雰囲気下に、室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をジクロロメタン中に取り上げた。過剰の過塩素酸(1ml)を加え、反応混合物を50℃で3時間加熱した。得られる沈殿を濾過し、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで連続して洗浄し、2−(チオフェン−3−イル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−アミン(I28)(1.134g,収率=99%)を明褐色の粉末として与えた。
【0192】
1,2−ジクロロベンゼン(10ml)中のI28(2.32ミリモル,0.500g)及びカルボニルジイミダゾール(1.5当量,3.48ミリモル,0.565g)の混合物を、Ar雰囲気下に、180℃で4時間加熱した。混合物が室温に冷めるのを許し、沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、生成物ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]チエノ[3,2−d]ピリジン−4(5H)−オン(I29)(0.310g,収率=55%)を灰色の粉末として与えた。
【0193】
ジクロロメタン(3ml)中の化合物I29(1.0当量,0.32ミリモル,0.077g)、4−ニトロフェニルボロン酸(2.0当量,0.64ミリモル,0.110g)、酢酸銅(II)(1.5当量,0.48ミリモル,0.087g)、ピリジン(2.0当量,0.64ミリモル,0.050g)、トリエチルアミン(2.0当量,0.64ミリモル,0.065g)及び過剰のモレキュラーシーブ(粉末,4Å)の混合物を、室温で終夜攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、デカライト上で濾過した。濾液を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOを用いて乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離:ジクロロメタン/酢酸エチル 95:5→90:10)により精製し、生成物5−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−b]チエノ[3,2−d]ピリジン−4(5H)−オン(103)(0.010g、収率=9%,純度(LC)=95
%)を与えた。
【0194】
実施例30:スキームE1
【化41】

【0195】
濃HBr水溶液(5ml)中の9−メトキシ−1−メチル−6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I30)(0.14ミリモル,0.056g)の懸濁液を終夜還流させた。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物をフィルター上に持ってきて、イソプロパノール及びイソプロピルエーテルで洗浄し、9−ヒドロキシ−1−メチル−6−(4−ニトロフェニル)−ピリド[2’,1’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(110)の臭化水素塩(0.010g,収率=17%,純度(LC)=91%)を与えた。
【0196】
実施例31:スキームF
【化42】

【0197】
2−アミノチアゾール(I31)(1.0当量,5.00ミリモル,0.500g)及び2−ホルミル安息香酸(I32)(1.2当量,6.00ミリモル,0.900g)をエタノール(8ml)中で混合し、2時間加熱還流した。冷却すると、沈殿が生成した。生成物を濾過により単離し、イソプロピルエーテルで洗浄し、3−(2−チアゾリルアミ
ノ)−イソベンゾフラン−1(3H)−オン(I33)(0.944g,収率=81%)を与えた。
【0198】
エタノール(4ml)中の化合物I33(1.0当量,1.72ミリモル,0.400g)の攪拌された懸濁液に、KCN(1.1当量,1.89ミリモル,0.123g)を加え、反応混合物を1.5時間加熱還流した。混合物が室温に冷めるのを許し、続いて濃HCl水溶液(1ml)で処理した。得られる懸濁液を1時間攪拌し、濾過した。沈殿をエタノール及びイソプロピルエーテルで洗浄し、チアゾロ[2’,3’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(I34)(0.143g,収率=34%)を与えた。
【0199】
ジクロロメタン(5ml)中の化合物I34(1.0当量,0.41ミリモル,0.100g)の攪拌された溶液に、4−ニトロフェニルボロン酸(2.0当量,0.83ミリモル,0.138g)、ピリジン(2.0当量,0.83ミリモル,0.066g)、トリエチルアミン(2.0当量,0.83ミリモル,0.084g)、酢酸銅(II)(1.5当量,0.62ミリモル,0.113g)を加えた。過剰の粉末状モレキュラーシーブ(4Å)の添加の後、反応混合物を密閉反応容器中で室温において3日間攪拌した。余分のジクロロメタン(25ml)の添加により混合物を希釈し、1時間攪拌し、デカライトの短路(short path)上で濾過した。濾液をNaHCOの飽和水溶液で洗浄し、MgSOを用いて乾燥し、減圧下で2mlの最終的体積まで濃縮した。エタノール(10ml)を加え、混合物を開放受容器中で終夜攪拌して、反応生成物が溶液から結晶化するのを許した。濾過は、6−(4−ニトロフェニル)−チアゾロ[2’,3’:2,3]イミダゾ[4,5−c]イソキノリン−5(6H)−オン(98)(0.032g,収率=21%,純度(LC)=93%)を与えた。
【0200】
以下の表は、前記の合成実施例の方法と類似の製造法を用いて製造される本発明の化合物の例を挙げている。この表中の「合成スキーム」の欄は、上記の実施例中に例示された合成スキームを指し、例えば合成スキームAは実施例1に例示されている。点線は、それぞれの基を分子の残りの部分に連結する化学結合を示す。
【0201】
【表1】

【0202】
【表2】

【0203】
【表3】

【0204】
【表4】

【0205】
【表5】

【0206】
【表6】

【0207】
【表7】

【0208】
【表8】

【0209】
【表9】

【0210】
【表10】

【0211】
【表11】

【0212】
【表12】

【0213】
【表13】

【0214】
【表14】

【0215】
【表15】

【0216】
【表16】

【0217】
【表17】

【0218】
【表18】

【0219】
【表19】

【0220】
以下の表5は、上記の表1〜4に挙げられた化合物番号により同定される複数の本発明の化合物を、対応するNMRデータと一緒に挙げている:
【0221】
【表20】

【0222】
【表21】

【0223】
【表22】

【0224】
【表23】

【0225】
【表24】

【0226】
抗ウイルス分析
本発明の化合物を、細胞アッセイにおいて抗−ウイルス活性に関して試験し、細胞アッセイは以下の方法に従って行なわれた。
【0227】
Green Fluorescent Protein(GFP)及びHIV−特異的プロモーター、HIV−1長末端反復(LTR)を用いてヒトT−細胞系MT4を操作する(engineered)。この細胞系はMT4 LTR−EGFPと称され、研究化合物の抗−HIV活性の試験管内評価に用いられ得る。HIV−感染細胞においてTatタンパク質を生産し、それはLTRプロモーターを上方調節し(upregulates)、最後にGFPリポーター生産の刺激に導き、進行するHIV−感染を蛍光測定により測定することを可能にする。
【0228】
類似して、GFP及び構成的サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを用いてMT4細胞を操作する。この細胞系はMT4 CMV−EGFPと称され、研究化合物の細胞毒性の試験管内評価に用いられ得る。この細胞系において、GFPレベルは、感染したMT4 LTR−EGFP細胞のものと同等である。細胞毒性の研究化合物は、擬似−感染MT4 CMV−EGFP細胞のGFPレベルを低下させる。
【0229】
50%有効濃度(EC50)のような有効濃度値を決定することができ、それは通常μMにおいて表される。EC50値は、HIV−感染細胞の蛍光を50%低下させる試験化合物の濃度として定義される。50%細胞毒性濃度(μMにおけるCC50)は、擬似−感染細胞の蛍光を50%低下させる試験化合物の濃度として定義される。CC50対EC50の比は、選択指数(SI)として定義され、阻害剤の抗−HIV活性の選択性の指標である。HIV−感染及び細胞毒性の究極的な監視は、走査型顕微鏡を用いて行なわれる。画像分析は、ウイルス感染の非常に感度の良い検出を可能にする。測定は、通常感染から約5日後に起こる細胞壊死の前に行なわれ、特に測定は感染から3日後に行なわれる。
【0230】
以下の表6は、野生型HIV−IIIB株に対するpEC50値ならびに選ばれた複数の本発明の化合物に関するpEC50値を挙げている。pEC50値は−log10(EC50)に相当する。少なくとも5.00のpEC50値を有する化合物を挙げる。
【0231】
【表25】

【0232】
【表26】

【0233】
調剤
カプセル
化合物1をエタノール及び塩化メチレンの混合物中に溶解し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)5mPa.sをエタノール中に溶解する。化合物/ポリマーのw/w比が1/3であるように両溶液を混合し、標準的な噴霧−乾燥装置において混合物を噴霧乾燥する。噴霧−乾燥された粉末、固体分散系を、続いて投与のためのカプセル中に充填する。1個のカプセル中の薬剤装入量は、用いられるカプセルの寸法に依存してその範囲が50〜100mgの範囲であるように選ばれる。同じ方法に従って、式(I)の他の化合物のカプセル調剤を製造することができる。
【0234】
フィルム−コーティング錠
錠剤芯の製造
1000gの化合物1、2280gのラクトース及び1000gの澱粉の混合物を十分に混合し、その後約1000mlの水中の25gのドデシル硫酸ナトリウム及び50gのポリビニルピロリドンの溶液で加湿する。湿潤粉末混合物を篩別し、乾燥し、再び篩別する。次いでそこに1000gの微結晶性セルロース及び75gの水素化植物油を加える。全体を十分に混合し、錠剤に圧縮し、それぞれ100mgの活性成分を含んでなる10,000個の錠剤を与える。
【0235】
コーティング
75mlの変性エタノール中の10gのメチルセルロースの溶液に、150mlのジク
ロロメタン中の5gのエチルセルロースの溶液を加える。次いでそこに75mlのジクロロメタン及び2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加える。10gのポリエチレングリコールを融解させ、75mlのジクロロメタン中に溶解する。後者の溶液を前者に加え、次いでそこに2.5gのオクタデカン酸マグネシウム、5gのポリビニルピロリドン及び30mlの濃厚色素懸濁液を加え、全体を均一化する。かくして得られる混合物を、コーティング装置において錠剤芯にコーティングする。
【0236】
同じ方法に従い、式(I)の他の化合物の錠剤調剤を製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは、それが結合している環系の窒素及び炭素原子と一緒になって、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール及びチアジアゾールから選ばれる芳香族複素環を形成し;
各Rは独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、−C1−6アルキル−OR、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−OR、−O−C(=O)−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル−OR、−O−C1−6アルキル−NR、−O−C1−6アルキル−O−C(=O)−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル−C(=O)−OR、−O−C1−6アルキル−C(=O)−NR、−NR、−NR−C(=O)−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NR、−NR−C(=O)−C1−6アルキル−C(=O)−OR、−NR−C1−6アルキル−OR、−NR−C1−6アルキル−NR、−NR−C1−6アルキル−イミダゾリル、−NR−SO、−N=CH−NR、−NH−C(=NH)−NH、−SONR及び−O−PO(ORから選ばれる基であり;
Dは、それが結合する環系の2個の炭素原子と一緒になって、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、チアゾール及びイソチアゾールから選ばれる芳香環を形成し;
各Rは独立して、C1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル、ハロ、シアノ、−COOR、−OR及び−NRから選ばれる基であり;
はフェニル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、キノリン、イミダゾピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル、ピリドピリミジニルであり;ここで該フェニル、ピリジル又はピリミジニルは、場合によりC1−6アルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;ポリハロC1−6アルキル;1もしくは2個のシアノもしくはヒドロキシで置換されたC1−6アルキル;ハロ;シアノ;ニトロ;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−C(=O)−NR;−OR;−NRから選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されていることができ;且つ
ここで該イミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、キノリン、イミダゾピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル、ピリドピリミジニルは、場合によりC1−6アルキル、ハロ、アミノ及び−ORから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができ;
mは0、1、2又は3を示し;
nは0、1、2又は3を示し;
各Rは水素、C1−6アルキル又はアリールC1−6アルキルであり;
各Rは水素、C1−6アルキル又はポリハロC1−6アルキルであり;
各Rは水素又はC1−6アルキルであり;
各Rは水素、場合によりヒドロキシ、アリール、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノ、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキル−ピペラジニル、4−C1−6アルキルカルボニル−ピペラジニル又はピロリジニルで置換されていることができるC1−6アルキルであるか;あるいは
及びRは、それらが置換している窒素と一緒になって、ピロリジニル、ヒドロキシピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキル−ピペラジニル、4−C1−6アルキルカルボニル−ピペラジニルを形成し;
各Rは水素又はC1−6アルキルであり;
各RはC1−6アルキルであり;
各アリールは、場合によりC1−6アルキル、ハロ及びヒドロキシから独立して選ばれる1、2もしくは3個の置換基で置換されていることができるフェニルである]
の化合物、その立体異性体又は立体異性体混合物、その製薬学的に許容され得る塩、その製薬学的に許容され得る水和物又は溶媒和物、そのN−オキシド。
【請求項2】
Aが、それが結合している環系の窒素及び炭素原子と一緒になって、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン及びチアゾールから選ばれる芳香族複素環を形成する請求項1に従う化合物。
【請求項3】
各Rが独立して、C1−6アルキル、−C1−6アルキル−OR、−OR、−O−C1−6アルキル−OR、−O−C1−6アルキル−NR、−NR、−NR−C(=O)−R、−NR−C1−6アルキル−OR、−NR−C1−6アルキル−NR及び−O−PO(ORから選ばれる基である請求項1又は2に従う化合物。
【請求項4】
mが0、1又は2であり、及び/又はnが0又は1である請求項1〜3のいずれかに従う化合物。
【請求項5】
Dが、それが結合する環系の2個の炭素原子と一緒になって、フェニル、ピリジン及びチオフェンから選ばれる芳香環を形成する請求項1〜4のいずれかに従う化合物。
【請求項6】
各Rが独立して、C1−6アルキル、ハロ及び−ORから選ばれる基である請求項1〜5のいずれかに従う化合物。
【請求項7】
がフェニル、ピリジル、イミダゾピリジル、イミダゾピリミジニルであり;ここで該フェニル又はピリジルは場合により、C1−6アルキル;ポリハロC1−6アルキル;1もしくは2個のシアノで置換されたC1−6アルキル;ハロ;シアノ;ニトロ;−C(=O)−R;−C(=O)−OR;−ORから選ばれる1,2個の置換基で置換されていることができる請求項1〜6のいずれかに従う化合物。
【請求項8】
各R又はRが独立して、水素又はC1−4アルキルである請求項1〜7のいずれかに従う化合物。
【請求項9】
が水素又はC1−4アルキルである請求項1〜8のいずれかに従う化合物。
【請求項10】
が水素又はC1−4アルキルである請求項1〜4のいずれかに従う化合物。
【請求項11】
担体及び活性成分として請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。

【公表番号】特表2009−534311(P2009−534311A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503567(P2009−503567)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053207
【国際公開番号】WO2007/113290
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】