説明

JNKを阻害することにより、炎症または代謝性症状を治療または予防する方法

一般に本発明は、R1〜R6が明細書中の定義の通りである以下の構造(I):


を有する有効量のアニリノピリミジン誘導体またはその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、代謝性症状のようなJNK阻害に応答する症状の治療または予防方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2000年12月6日に出願された米国仮出願第60/251,904号の利益を伴う2001年12月4日に出願された米国出願第10/004,645号の一部継続出願である2003年3月24日に出願された米国出願第10/395,811号の利益を主張するものである。これらの出願の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
1. 発明の分野
本発明は、概して、Jun N-末端キナーゼ(JNK)阻害剤としての活性を含む広範な適用を包含する用途を有するアニリノピリミジンおよびその誘導体、ならびに関連する組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 発明の背景
Jun N-末端キナーゼ(JNK)経路は、細胞が環境ストレスに曝されることにより、または、細胞が炎症性サイトカインにより処理されることにより、活性化される。JNK経路の標的としては転写因子c-junおよびATF-2(Whitmarsh A.T.およびDavis R.J., J. Mol. Med. 74 589-607, 1996)が挙げられる。これらの転写因子は、多くの遺伝子のプロモーター中のAP-1部位およびAP-1様部位に、ホモまたはヘテロ二量体複合体として結合する塩基性ロイシンジッパー (bZIP) グループのメンバーである (Karin M., Liu Z.G. およびZandi E. Curr Opin Cell Biol 9: 240-246, 1997)。JNKはc-junおよびATF-2のN-末端領域に結合し、各転写因子の活性化領域内の2つの部位をリン酸化する(Hibi M., Lin A., Smeal T., Minden A., Karin M. Genes Dev. 7:2135-2148, 1993; Mohit A.A., Martin M.H., およびMiller C.A. Neuron 14:67-75, 1995)。3種のJNK酵素が別々の遺伝子の産物として特定されている (Hibiら, 前掲;Mohit ら, 前掲)。JNKの10種の異なるアイソフォームが特定されている。これらは3種の異なる遺伝子(JNK1、JNK2およびJNK3)の別々の方法でスプライスされた形態に対応する。JNK1および2がヒト組織中で普遍的に発現されるのに対して、JNK3は脳、心臓および精巣において選択的に発現される(Dong, C., Yang, D., Wysk, M., Whitmarsh, A., Davis, R., Flavell, R. Science 270: 1-4, 1998)。遺伝子転写産物が別々の方法によりスプライスされて、4種のJNK1アイソフォーム、4種のJNK2アイソフォームおよび2種のJNK3アイソフォームが生じる。JNK1および2が哺乳動物の組織中で広汎に発現されるのに対して、JNK3はほぼ脳においてのみ発現される。JNKシグナリングの選択性は、JNK経路の成分の特異的相互作用と、シグナリングカスケードの複数の成分を選択的に結合する足場タンパク質の使用とにより達成される。JIP-1(JNK-相互作用タンパク質-1)はMAPKモジュールを選択的に結合する(MLK→JNKK2→JNK.12,13)。それは、種々の他のMAPKカスケード酵素に対する結合アフィニティーを有してはいない。異なる足場タンパク質が、他のMAPKシグナリングカスケードの基質特異性を維持するために存在していると考えられる。
【0004】
JNKはThr-183およびTyr-185の2ヶ所がリン酸化されることにより活性化される。2種類のMAPKKレベルの酵素であるJNKK1(MKK-4としても知られている)およびJNKK2(MKK-7)が細胞内のJNK活性化を媒介する(Lin A., Minden A., Martinetto H., Claret F.-Z., Lange-Carter C., Mercurio F., Johnson G.L., およびKarin M. Science 268: 286-289, 1995; Tournier C., Whitmarsh A.J., Cavanagh J., Barrett T., およびDavis R.J. Proc. Nat. Acad. Sci. USA 94: 7337-7342, 1997)。JNKK2がJNKを特異的にリン酸化するのに対して、JNKK1はp38をリン酸化して活性化することもできる。JNKK1とJNKK2とは共に哺乳動物組織中で広汎に発現される。JNKK1およびJNKK2はMAPKKK酵素(MEKK-1、MEKK-2、MEKK-3およびMLK-3)により活性化される (Lange-Carter C.A., Pleiman C.M., Gardner A.M., Blumer K.J., およびJohnson G.L. Science 260: 315-319, 1993; Yan M., Dai J.C., Deak J.C., Kyriakis J.M., Zon L.I., Woodgett J.R., およびTempleton D.J. Nature 372: 798-781, 1994; Deacon, K.およびBlank, J., J. Biol. Chem. 274: 16604-16610, 1999; Teramoto, H., Coso, O., Miyata, H., Igishi, T., Miki, T.およびGutkind, S., J. Biol. Chem. 271: 27225-27228, 1996)。MENKK1とMEKK2とは共に哺乳動物組織中で広汎に発現される。
【0005】
JNK経路の活性化は数多くの疾患の背景において報告されており、そのことが、薬物探索のためにこの経路を対象とすることの理論的根拠となっている。更に、分子遺伝学の手法により、種々の疾患におけるこの経路の病原としての役割が確認されている。例えば自己免疫および炎症性疾患は免疫系が過剰に活性化されることにより起こる。活性化された免疫細胞は、サイトカイン、増殖因子、細胞表面受容体、細胞接着分子および分解酵素などの炎症性分子をコードする多くの遺伝子を発現する。これらの遺伝子の多く(例えばTNFα、IL-2、E-セレクチンおよびコラーゲナーゼ-1のようなマトリックスメタロプロテアーゼ)は転写因子AP-1およびATF-2の活性化を通じてJNK経路により制御されている(Manning A.M. およびMecurio F. Exp. Opin. Invest. Drugs 6: 555-567, 1997)。単球、組織マクロファージおよび組織マスト細胞はTNFα産生の主要な起源である。JNK経路は、細菌のリポ多糖類により刺激されたマクロファージにおけるTNFα産生およびFceRII受容体を通じて刺激されたマスト細胞におけるTNFα産生を制御する(Swantek J.L., Cobb M.H., Geppert T.D. Mol. Cell. Biol. 17: 6274-6282, 1997; Ishizuka, T., Tereda N., Gerwins, P., Hamelmann E., Oshiba A., Fanger G.R., Johnson G.L., およびGelfland E.W. Proc. Nat. Acad. Sci. USA 94: 6358-6363, 1997)。JNK活性化を阻害すると、これらの細胞からのTNFαの分泌が効果的に調節される。すなわち、JNK経路はこの重要な炎症性サイトカインの産生を調節する。Celltech Therapeutics Limitedによる国際公開 WO 98/18782は、免疫疾患、マスト細胞または好酸球が関与するアレルギー性疾患、および不適切な血小板活性化に関連する疾患の予防および治療において有用であると考えられる4-ピリジル-ピリミジン化合物を開示する。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は慢性関節リウマチにおける軟骨および骨侵食を促進するとともに、他の自己免疫疾患における一般的な組織の崩壊を促進する。MMP-3およびMMP-9(II型およびIV型コラーゲナーゼ)などのMMPの誘導可能な発現はJNK経路およびAP-1を活性化することにより調節される(Gum, R., Wang, H., Lengyel, E., Jurez, J., およびBoyd, D. Oncogene 14: 1481-1493, 1997)。TNFα、IL-1またはFasリガンドにより活性化されたヒトのリウマチ滑液細胞 (rheumatoid synoviocytes)では、JNK経路が活性化される (Han Z., Boyle D.L., Aupperle K.R., Bennett B., Manning A.M., Firestein G.S. J. Pharm. Exp. Therap. 291: 1-7, 1999; Okamoto K., Fujisawa K., Hasenuma T., Kobata T., Sumida T., およびNishioka K. Arth and Rheum 40: 919-92615, 1997)。JNKの活性化を阻害すると、結果としてAP-1の活性化とコラーゲナーゼ-1の発現が減少する (Hanら, 前掲)。すなわち、JNK経路は慢性関節リウマチに関与する細胞におけるMMP発現を調節する。
【0006】
Tリンパ球細胞が不適切に活性化されると、喘息、炎症性の腸疾患、多発硬化などの多くの自己免疫疾患を引き起こし、それを永続させる。JNK経路は抗原刺激およびCD28受容体の共刺激によりT細胞中で活性化され、増殖因子IL-2産生および細胞増殖を調節する (Su B., Jacinto E., Hibi M., Kallunki T., Karin M., Ben-Neriah Y. Cell 77: 727-736, 1994; Fans M., Kokot N., Lee L., およびNel A.E. J. Biol. Chem. 271: 27366-27373, 1996)。JNKK1を遺伝的に欠損したマウス由来の末梢性T細胞は、CD28共刺激およびPMA/Ca2+イオノフォア活性化の後に、増殖とIL-2産生とが抑制されたことが示された。この結果から、これらの細胞中のJNK経路の役割についての重要な確認が行われた(Nishiha H., Bachmann M., Oliveria-dos-Santos A.J., ら, J. Exp. Med. 186: 941-953, 1997)。補助細胞由来の共刺激シグナルが無い状況で抗原受容体刺激により活性化されたT細胞はIL-2を合成する能力を喪失する、すなわちクローンアネルギーと呼ばれる状態になることが知られている。この方法は、自己反応性T-細胞集団を末梢の循環系から消失させる重要な方法である。重要なことには、アレルギー性T細胞は、JNK酵素の発現が一定であったとしても、CD3-およびCD28-受容体共刺激に応答してJNK経路を活性化することができない (Li W., Whaley C.D., Mondino A., およびMueller D.L. Science 271: 1272-1276, 1996)。最近、JNK欠損マウスの試験により、JNK経路がT細胞活性化およびヘルパーT細胞1型および2型への分化に重要な役割を果たしていることが明らかになった。JNK1またはJNK2ノックアウトマウスは、正常に発生し、表現型は通常である。これらのマウスに由来する活性化された野生型CD4+T細胞はIL-2を産生することができず、十分に増殖しない (Sabapathy, K, Hu, Y, Kallunki, T, Schreiber, M, David, J-P, Jochum, W, Wanger, E, Karin, M. Curr Biol 9: 116-125, 1999)。これらのマウスに由来するT細胞においてT細胞分化を引き起こしてTh1細胞 (IFN-gおよびTNFβのプロデューサー)およびTh2エフェクター細胞(IL-4、IL-5、IL-6、IL-10およびIL-13)を生じさせることが可能である[22,23]。マウスにおいてJNK1またはJNK2のいずれかが欠損すると、Th1エフェクター細胞がIFNgを発現する能力が選択的に欠損することになる。このことはJNK1およびJNK2がT細胞中で重複した機能を有していないこと、および、細胞増殖、細胞分化、および細胞死の制御において異質な役割を果たしていることを示唆している。すなわち、JNK経路は、抗原に対するT細胞応答を制御する上で重要なポイントである。
【0007】
心血管性疾患(CVD)は世界の年間の全ての死因のほぼ4分の1を占める。アテローム性動脈硬化症および再狭窄のような血管の疾患は血管壁の正常に制御されていない増殖が原因であり、生命にとって重要な器官への血流を制限する。JNK経路は粥腫による刺激により活性化され、血管細胞における局所サイトカインと増殖因子の産生とを調節する (Yang, DD, Conze, D, Whitmarsh, AJ, ら, Immunity, 9: 575, 1998)。加えて、血流の変化、血流力学的力および血液容量によって、血管内皮におけるJNK活性化が起こり、その結果、AP-1活性化および前アテローム性遺伝子発現が起こる(Aspenstrom P., Lindberg U., およびHall A. Curr. Biol. 6: 70-77, 1996)。虚血および心臓、腎臓または脳における再潅流に伴う虚血により、細胞死および傷の形成が起こる。それは究極的には、うっ血性心不全、腎不全、または脳機能障害につながることがある。臓器移植においては、かつて虚血であったドナーの臓器の再潅流の結果として、急性の白血球が介在する組織の損傷および移植片の機能の遅れが起こる。JNK経路は虚血および再潅流により活性化され(Li Y., Shyy J., Li S., Lee J., Su B., Karin M., Chien S Mol. Cell. Biol. 16: 5947-5954, 1996)、JNK-応答性遺伝子の活性化および白血球が介在する組織の損傷が起こる。数多くの様々な場面において、JNK活性化はプロアポトーシス性であるかまたはアンチアポトーシス性であるかの何れかであり得る。JNK活性化は、虚血および再潅流の後に血管組織においてアポトーシスが高まることと関連している(Pombo CM, Bonvemtre JV, Avrunch J, Woodgett JR, Kyriakis J.M, Force T. J. Biol. Chem. 26: 26546-26551,1994)。
【0008】
癌は細胞の制御されていない成長、増殖および転移を特徴とする。癌は死者が500,000人の死因の第二位であり、1996年には新たな患者が米国で130万人であったと推定される。細胞のトランスフォーメーションおよび癌に関与するシグナル伝達経路の役割は一般的に受け入れられている考えである。AP-1を導くJNK経路は癌において重要な役割を果たす。c-junの発現は初期の肺癌において通常ではなく、非小細胞肺癌における増殖因子のシグナリングを媒介(mediate)することができる (Yin T., Sandhu G., Wolfgang C.D., Burrier A., Webb R.L., Rigel D.F., Hai T., および Whelan J. J. Biol. Chem. 272: 19943-19950, 1997)。実際に、細胞中でのc-junの過剰発現が起こるとトランスフォーメーションが起こり、また、c-jun活性が遮断されるとMCF-7コロニー形成が阻害される(Szabo E., Riffe M., Steinberg S.M., Birrer M.J., Linnoila R.I. Cancer Res. 56: 305-315, 196)。DNA-損傷剤、電離放射線照射および腫瘍壊死因子により該経路は活性化する。c-junの産生および活性を制御するのに加えて、JNK活性化によりp53のリン酸化を制御することができ、それにより細胞周期の進行を調節することができる (Chen T.K., Smith L.M., Gebhardt D.K., Birrer M.J., Brown P.H. Mol. Carcinogenesis 15: 215-226, 1996)。癌遺伝子BCR-Ab1 (慢性骨髄性白血病のt (9, 22) フィラデルフィア染色体転位を伴う)はJNKを活性化し、造血細胞のトランスフォーメーションを引き起こす(Milne D.M., Campbell L.E., Campbell D.G., Meek D.W. J. Biol. Chem. 270: 5511-5518, 1995)。JIP-1と呼ばれる天然に存在するJNK阻害タンパク質によりJNKの活性化を選択的に阻害すると、BCR-Ab1による細胞のトランスフォーメーションが遮断される (Raitano A.B., Halpern J.R., Hambuch T.M., Sawyers C.L. Proc. Nat. Acad. Sci. USA 92: 11746-11750, 1995)。このように、JNK阻害剤はトランスフォーメーションおよび腫瘍細胞の増殖を遮断することができる。
【0009】
II型糖尿病および肥満のようなインスリンが介在する疾患へのJNKの関与も確認されている(Hirosumi, J.ら、Nature 420:333-336, 2002; 国際公開 WO 02/085396)。理論により限定されないが、インスリン受容体基質(“IRS-1”)のSer 307のリン酸化はTNF-α誘導およびFAA-誘導インスリン耐性の原因であると考えられている(Hotamisigil, G.H. Science 271:665-668, 1996)。これは肝細胞におけるインスリン耐性の細胞モデルにおいて、TNF-αにより処理された細胞でIRS-1のSer 307リン酸化の増加が見られることから証明された(Hirosumi, J. 同上)。また、TNF-αに誘導されるSer 307のリン酸化はJNKの阻害剤により完全に防止されることも示された(同上)。さらに研究により、JNK経路の阻害が、インスリン耐性を特徴とする疾患に関与するTNF-α脂肪分解を阻害することが証明されている(国際公開 WO 99/53927)。
【0010】
従って、当該技術分野においてはJNK経路の阻害剤が求められている。加えて、1種以上の阻害剤を含む医薬組成物、並びに、かかる阻害剤に応答性を有する動物の症状を治療するための方法が求められている。本発明はこれらの要求を満たし、それに関連する長所をさらに提供する。この出願のセクション2において任意の参照文献を引用しているからといって、かかる参照文献が本出願の先行技術であると認定するものではない。
【発明の開示】
【0011】
3. 発明の概要
簡潔には、概して本発明は、R1〜R6が以下の定義の通りである以下の式(I):
【化4】

【0012】
を有する化合物であって、その異性体、プロドラッグおよび製薬上許容される塩を含む化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、JNK阻害に応答する症状の治療または予防方法に関する。
【0013】
式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩をこれ以後「アニリノピリミジン誘導体」と呼ぶ。
【0014】
一般に本発明は、有効量のアニリノピリミジン誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含む、JNK経路の阻害に応答する症状の治療または予防方法に関する。
【0015】
アニリノピリミジン誘導体は、限定されるものではないが、糖尿病(例えば、II型糖尿病、I型糖尿病、尿崩症、真性糖尿病、成人期発症糖尿病、若年型糖尿病、インスリン依存性糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、栄養不良関連糖尿病、ケトン症になりやすい糖尿病またはケトン症抵抗性糖尿病);または肥満(例えば、遺伝性肥満、食事性肥満、ホルモン関連肥満または薬物の投与に関連する肥満)を含む代謝性症状の治療または予防に有用である。
【0016】
アニリノピリミジン誘導体は、限定されるものではないが、聴覚の喪失(例えば、外耳炎または急性中耳炎を原因とするもの);線維症関連疾患(例えば、肺間質性線維症、腎線維症、嚢胞性線維症、肝線維症、創傷の治癒または熱傷の治癒で、熱傷は第1度、第2度または第3度熱傷および/または熱、化学薬品または電気による熱傷である);関節炎(例えば、慢性関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎または痛風);アレルギー;アレルギー性鼻炎;急性呼吸窮迫症候群;喘息;気管支炎;炎症性腸疾患(例えば、過敏性腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、膵炎または腹膜炎);または自己免疫疾患(例えば、強皮症、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、移植片拒絶反応、内毒素性ショック、敗血症、乾癬、湿疹、皮膚炎または多発性硬化)を含む炎症性症状の治療または予防に有用である。
【0017】
また、アニリノピリミジン誘導体は、肝疾患(例えば、肝炎、アルコールに誘発される肝疾患、毒素に誘発される肝疾患、脂肪症または硬化症);心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、左心室肥大、心筋梗塞、慢性閉塞性肺疾患または卒中);虚血性障害(例えば、心臓、腎臓、肝臓または脳に対する)、虚血再灌流損傷(例えば、移植、外科手術による外傷、低血圧、血栓症または外傷性傷害により引き起こされるもの);神経変性疾患(例えば、癲癇、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害、脊髄損傷またはパーキンソン病);または癌(例えば、頭部、頚部、眼、口腔、咽喉、食道、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、精巣または他の生殖器、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、および脳または中枢神経系の癌)の治療または予防にも有用である。
【0018】
一実施形態では、本発明の治療または予防方法は、さらに本明細書に開示される疾患または障害の治療または予防に有用な有効量の他の治療薬の投与を含む。この実施形態では、他の治療薬の治療効果が生じている時間は、アニリノピリミジン誘導体の治療効果が生じている時間と重なり合う。
【0019】
一実施形態では、本発明の代謝性症状、炎症性症状、肝疾患、心血管疾患、虚血性障害、神経変性疾患または癌の治療または予防方法は、in vivoにおけるJNKの阻害を含む。
【0020】
一実施形態では、in vivoにおけるJNKの阻害は、in vivoにおけるTNF-αの阻害を含む。
【0021】
一実施形態では、JNKはJNK1である。一実施形態では、JNKはJNK2である。一実施形態では、JNKはJNK3である。
【0022】
本発明のこれら、またその他の態様は以下の詳細な説明および実施例を見れば明らかになる。なお、実施例は本発明の非限定的な実施形態を例示するものである。本明細書では特定の特許その他の文献を本発明の種々の態様をより具体的に示す目的で挙げている。これらの文献は各々参照によりその全内容を本明細書に組み入れるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
4. 発明の詳細な説明
4.1 定義
本明細書において上記の用語は以下の意味を有する。
【0024】
「アルキル」とは1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝、飽和または不飽和のアルキル、環式または非環式炭化水素を意味し、「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有すること以外は同じ意味を有する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどが挙げられ、飽和分枝アルキルとしては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチルなどが挙げられる。不飽和アルキルは隣接する炭素原子間に少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」とも呼ぶ。代表的な直鎖および分枝アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられ、代表的な直鎖および分枝アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニルなどが挙げられる。代表的な飽和環式アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ、不飽和環式アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが挙げられる。シクロアルキルはまた本明細書では「炭素環式」環構造とも呼び、1以上の芳香族(フェニルなど)または非芳香族(シクロヘキサンなど)炭素環式環と縮合したシクロアルキル(シクロペンタンまたはシクロヘキサン)のような、8〜14個の炭素原子を有する二環構造および三環構造を含む。
【0025】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0026】
「ケト」とは、カルボニル基(すなわち、=O)を意味する。
【0027】
「アリール」とは、フェニルまたはナフチルなどの芳香族炭素環部分を意味する。
【0028】
「アリールアルキル」とは、ベンジル、-(CH2)2フェニル、-(CH2)3フェニル、-CH(フェニル)2などのような、少なくとも1つのアルキル水素原子が1つのアリール部分で置換されたアルキルを意味する。
【0029】
「ヘテロアリール」とは、5〜10員で、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、かつ、少なくとも1つの炭素原子を含む、単環および二環構造を含む芳香族複素環を意味する。代表的なヘテロアリールとしては、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニルおよびキナゾリニルが挙げられる。
【0030】
「ヘテロアリールアルキル」とは、-CH2ピリジニル、-CH2ピリミジニルなどのような、少なくとも1つのアルキル水素原子が1つのヘテロアリール部分で置換されたアルキルを意味する。
【0031】
「複素環」とは、5〜10個の環原子を含む複素環を意味する。
【0032】
「複素環」とは、5〜7員の単環、または7〜10員の二環の複素環であり、この複素環は飽和、不飽和または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、この窒素および硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、窒素原子は場合により第四級化されていてもよく、上記複素環のいずれかがベンゼン環と縮合している二環が含まれる。この複素環はいずれのヘテロ原子または炭素原子を介して結合していてもよい。複素環は上記定義のようなヘテロアリールを含む。上記で挙げたヘテロアリールの他、複素環としてはモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリンジニル (tetrahydropyrindinyl)、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなども挙げられる。
【0033】
「複素環アルキル」とは、-CH2モルホリニルなどの、少なくとも1つのアルキル水素原子が複素環で置換されたアルキルを意味する。
【0034】
本明細書において「置換された」とは、少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されている上記の基のいずれか(すなわち、アリール、アリールアルキル、複素環および複素環アルキル)を意味する。ケト置換基(「C(=O)」)の場合には2つの水素原子が置換されている。置換基としてはハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル(ハロアルキル、一置換または二置換アミノアルキル、アルキルオキシアルキルなど、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaC(=O)NRaRb、-NRaC(=O)ORb、-NRaSO2Rb、-ORa、-C(=O)Ra、-C(=O)ORa、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)Ra、-OC(=O)ORa、-OC(=O)NRaRb、-NRaSO2Rb、または式-Y-Z-Raの基(ここで、Yはアルカンジイル、置換アルカンジイル、または直接結合であり、Zは-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-N(Rb)-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-N(Rb)C(=O)-、-C(=O)N(Rb)-または直接結合である)が挙げられ、RaおよびRbは同一であっても異なっていてもよく、水素、アミノ、アルキル、置換アルキル(ハロゲン化アルキルを含む)、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか、あるいはRaおよびRbはそれらが結合している窒素原子とともに複素環または置換複素環を形成している。
【0035】
「ハロアルキル」とは、-CF3などの、1以上の水素原子がハロゲンで置換されているアルキルを意味する。
【0036】
「ヒドロキシアルキル」とは、-CH2OHなどの、1以上の水素原子がヒドロキシで置換されているアルキルを意味する。
【0037】
「スルホニルアルキル」とは、-SO2-(アルキル)を意味する。
【0038】
「スルフィニルアルキル」とは、-SO-(アルキル)を意味する。
【0039】
「チオアルキル」とは、-S-(アルキル)を意味する。
【0040】
「カルボキシル」とは、-COOHを意味する。
【0041】
「アルコキシ」とは、-O-(アルキル)、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、イソ-ブチルオキシなどを意味する。
【0042】
「患者」とは動物を意味し、限定されるものではないが、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、およびモルモットなどの動物を含み、より好ましくは哺乳類であり、最も好ましくはヒトである。
【0043】
「アシル」とは、アルキル(C=O)を意味する。
【0044】
「窒素含有非-芳香族複素環」とは、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ヒダントイニル、テトラヒドロピリンジニル、テトラヒドロピリミジニル、オキサゾリニジニル、チアゾリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどを意味する。
【0045】
「有効量」とは、アニリノピリミジン誘導体と関連して使用される場合、JNK阻害剤を投与することにより治療または予防可能な本明細書に記載されるような症状を治療または予防するのに有効な量である。
【0046】
「患者」には動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、およびモルモット)も含まれ、一実施形態においては、非霊長類および霊長類(例えば、サルおよびヒト)などの哺乳動物であり、別の実施形態では、ヒトである。特定の実施形態において患者は、幼児、小児、青年または成人である。
【0047】
本明細書において「プロドラッグ」とは、動物の体内へ導入された際に活性型へと代謝あるいは変換される該アニリノピリミジン誘導体の任意の誘導体をさす。プロドラッグは製薬化学分野の当業者に周知のものであり、吸収および半減期の促進などの利点をもたらす。本発明のプロドラッグは例えばヒドロキシル基がエステル化またはアルキル化された際、あるいはカルボキシル基がエステル化された際に形成されうる。薬剤送達分野の当業者ならば、その部分の適切な選択によってアニリノピリミジン誘導体の薬物動態特性を調整し、プロドラッグ誘導体を形成できることが容易に分かるであろう。
【0048】
4.2 本発明の化合物
上記のとおり、本発明は、JNK阻害に応答する症状を治療または予防する方法であって、式(I):
【化5】

【0049】
[式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2は水素であり;
R3は水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であっても異なっていてもよく、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、-(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9、または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
または、R5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各々独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか ;
または、R8およびR9はそれらが結合している原子とともに複素環または置換複素環を形成しており;
aおよびbは同一であっても異なっていてもよく、各々独立に0、1、2、3または4から選択され;かつ
cは各々0、1または2である]
のアニリノピリミジン誘導体の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む前記方法に関する。
【0050】
本発明の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換または無置換アリールまたはヘテロアリール(ただし、このヘテロアリールはピリジルではない)である。R1が置換されている場合、それは上記で定義した1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0051】
本発明の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は 置換または無置換アリール、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニルまたはキナゾリニルである。
【0052】
本発明の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換もしくは無置換アリールまたはヘテロアリール(ただし、このヘテロアリールはイミダゾ[1,2a]ピリド-3-イルまたはピラゾロ[2,3a]ピリド-3-イルではない)である。R1が置換されている場合、それは上記で定義した1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0053】
本発明の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換もしくは無置換のアリール、好ましくはフェニルである。R1が置換アリールである場合、それは以下に定義されるとおりである。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0054】
本発明の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって置換または無置換の窒素含有非芳香族複素環、好ましくはピペラジニル、ピペリジニルまたはモルホリニルを形成する。
【0055】
R5およびR6がそれらに結合している窒素原子と一緒になって置換されたピペラジニル、ピペリジニル(piperadinyl)またはモルホリニルを形成する場合、ピペラジニル、ピペリジニル(piperadinyl)またはモルホリニルは以下に定義される1つ以上の置換基で置換されている。置換されている場合、置換基はアルキル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルエーテル、アシル、ピロリジニルまたはピペリジニルであることが好ましい。
【0056】
本発明の一実施形態では、式(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR3は水素であり、R4は存在せず、本発明の化合物は以下の式(II):
【化6】

【0057】
を有する。
【0058】
本発明のより詳しい実施形態では、式(II)のアニリノピリミジン誘導体のおいてR1は場合によりR7で置換されていてもよいフェニルであり、以下の式(III):
【化7】

【0059】
を有する。
【0060】
本発明のなおさらなる実施形態では、式(III)のアニリノピリミジン誘導体において以下の式(IV):
【化8】

【0061】
によって示されるように、R7はピリミジンに対してパラ位にある。
【0062】
4.3 本発明の化合物の調製
アニリノピリミジン誘導体は一般に当業者に公知の有機合成技術ならびに以下の一般技術および実施例に示される手順を用いて得ることができる。この目的で、アニリノピリミジン誘導体は以下の反応スキーム1〜9に従って製造することができる。
【0063】
反応スキーム 1
【化9】

【0064】
適宜置換されたメチルケトンをジメチルホルムアミドジメチルアセタールまたはジメチルホルムアミドジエチルアセタールなどのジメチルホルムアミドアセタールで処理すると、対応するβ-ジメチルアミノブテノンが得られる。このアミノブテノンをナトリウムメトキシドなどの塩基の存在下でチオ尿素で処理した後、ヨウ化メチルなどのアルキルハライドでアルキル化すると4-置換2-アルキルチオピリミジンが得られる。このチオエーテルをm-クロロ過安息香酸またはオキソンなどの有機または無機酸化剤で酸化するとスルホンが得られ、これをp-アミノカルボニルアニリンと縮合させると目的のアニリノピリミジン誘導体が形成される。
【0065】
反応スキーム2
【化10】

【0066】
同様に、アニリノピリミジン誘導体は2-クロロピリミジン誘導体から製造してもよい。例えば、β-ジメチルアミノブテノンと尿素を縮合させた後、オキシ塩化リンなどの塩素化剤で処理すると4-置換2-クロロピリミジンが得られる。さらに置換アニリンで処理すると目的のアニリノピリミジン誘導体が得られる。
【0067】
反応スキーム3
【化11】

【0068】
またアニリノピリミジン誘導体はβ-ジメチルアミノブテノンを適宜置換されたグアニジンと縮合させることにより製造することもできる。必要なグアニジンはアニリンを酸の存在下でシアナミドと反応させるか、あるいはピラゾロアミジンと反応させることにより製造すればよい。
【0069】
反応スキーム4
【化12】

【0070】
アルコキシカルボニルフェニルグアニジンをb-アミノケトンで環化すると4-置換2-(4-カルボキシフェニル)アミノピリミジンが得られる。安息香酸誘導体を好適なアミンと縮合させると目的のアミドが得られる。
【0071】
反応スキーム5
【化13】

【0072】
安息香酸をN-Boc-ピペラジンと縮合させた後、塩酸などの酸でtert-ブトキシカルボニル基を脱保護するとピペラジンアミドが得られる。次にカルボン酸誘導体と縮合させるとビスアシルピペラジンが得られる。
【0073】
反応スキーム6
【化14】

【0074】
同様に塩化スルホニルと反応させると対応するスルホンアミドが得られる。
【0075】
反応スキーム7
【化15】

【0076】
p-アルキル-およびアリールチオ基を有するアセトフェノンはp-クロロアセトフェノンとアルキルおよびアリールチオールを反応させることにより製造することができる。
【0077】
反応スキーム8
【化16】

【0078】
p-アルキル-およびアリールスルフェニル基を有するアニリノピリミジン誘導体はスルフィドをオキソンなどの酸化剤で制御酸化することにより製造することができる。
【0079】
反応スキーム9
【化17】

【0080】
p-アルキル-およびアリールスルホニル基を有するアニリノピリミジン誘導体はスルフィドをオキソンなどの酸化剤で酸化することにより製造することができる。
【0081】
アニリノピリミジン誘導体は製薬上許容される塩または遊離塩基の形態であってもよい。遊離塩基の酸付加塩は当技術分野で周知の方法によって製造することができ、有機酸および無機酸から形成されうる。好適な有機酸としてはマレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。好適な無機酸としては塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。付加塩としては硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸酸、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、二酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩が挙げられる。「製薬上許容される塩」とは許容される塩基体のいずれか、また全てを包含するものとする。
【0082】
製薬上許容される塩は、本発明の化合物と上記で開示されたような好適な酸を反応させるなどし、通常の公知の技術によって形成させることができる。このような塩は典型的には適度な温度で高収率で形成され、多くの場合では合成の最終工程で好適な酸性洗液から化合物を単離するだけで調製されうる。塩形成酸はアルカノール、ケトンまたはエステルなど、適当な有機溶媒または水性有機溶媒に溶解しうる。一方、アニリノピリミジン誘導体が遊離塩基の形で望まれる場合は、公知の技術によって塩基性の最終洗浄工程から単離してもよい。例えば塩酸塩を調製する典型的な技術としては、好適な溶媒に遊離塩基を溶かし、モレキュラー・シーブス上などで溶液を十分乾燥させた後、それに塩化水素ガスを通じさせる。
【0083】
アニリノピリミジン誘導体また、配置異性体、幾何異性体、およびコンホメーション異性体をはじめ種々の異性体の形で存在してもよく、また、種々の互変異性体、特に水素原子の結合点が異なるものとして存在しうる。本明細書において「異性体」とは、互変異性体型の化合物をはじめ、異性型の化合物全てを包含するものとする。
【0084】
4.4 使用方法
アニリノピリミジン誘導体を用いて、あるいはそれを含有する医薬組成物を用いて治療しうる症状にはJNK経路の阻害に応答し、かかる阻害剤の投与から利益を得るいずれの症状も含まれる。
【0085】
一実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含む、限定されるものではないが、糖尿病(例えば、II型糖尿病、I型糖尿病、尿崩症、真性糖尿病、成人期発症糖尿病、若年型糖尿病、インスリン依存性糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、栄養不良関連糖尿病、ケトン症になりやすい糖尿病またはケトン症抵抗性糖尿病);または肥満(例えば、遺伝性肥満、食事性肥満、ホルモン関連肥満または薬物の投与に関連する肥満)を含む代謝性症状の治療または予防方法に関する。
【0086】
一実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含む、限定されるものではないが、聴覚の喪失(例えば、外耳炎または急性中耳炎を原因とするもの);線維症関連疾患(例えば、肺間質性線維症、腎線維症、嚢胞性線維症、肝線維症、創傷の治癒または熱傷の治癒で、熱傷は第1度、第2度または第3度熱傷および/または熱、化学薬品または電気による熱傷である);関節炎(例えば、慢性関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎または痛風);アレルギー;アレルギー性鼻炎;急性呼吸窮迫症候群;喘息;気管支炎;炎症性腸疾患(例えば、過敏性腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、膵炎または腹膜炎);または自己免疫疾患(例えば、強皮症、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、移植片拒絶反応、内毒素性ショック、敗血症、乾癬、湿疹、皮膚炎または多発性硬化)を含む炎症性症状の治療または予防方法に関する。
【0087】
一実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含む、肝疾患(例えば、肝炎、アルコールに誘発される肝疾患、毒素に誘発される肝疾患、脂肪症または硬化症);心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、左心室肥大、心筋梗塞、慢性閉塞性肺疾患または卒中);虚血性障害(例えば、心臓、腎臓、肝臓または脳に対する)、虚血再灌流損傷(例えば、移植、外科手術による外傷、低血圧、血栓症または外傷性傷害により引き起こされるもの);神経変性疾患(例えば、癲癇、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害、脊髄損傷またはパーキンソン病);または癌(例えば、頭部、頚部、眼、口腔、咽喉、食道、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、精巣または他の生殖器、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、および脳または中枢神経系の癌)の治療または予防方法に関する。
【0088】
一実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含む、外耳炎、急性中耳炎、聴覚の喪失、肺間質性線維症、肝線維症、腎線維症、創傷の治癒または熱傷の治癒(熱傷は第1度、第2度、または第3度熱傷および/または熱、化学薬品または電気による熱傷である)、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、急性呼吸窮迫症候群、全身性紅斑性狼瘡、腎症、膵炎、腹膜炎、敗血症、アルコールまたは毒素に誘発される肝疾患、硬化症、脂肪症または虚血再灌流損傷の治療または予防方法に関する。
【0089】
一実施形態では、本発明はJNK阻害に応答する疾患を治療または予防するための薬物の製造におけるアニリノピリミジン誘導体の使用に関する。
【0090】
一実施形態では、本発明は、限定されるものではないが、糖尿病(例えば、II型糖尿病、I型糖尿病、尿崩症、真性糖尿病、成人期発症糖尿病、若年型糖尿病、インスリン依存性糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、栄養不良関連糖尿病、ケトン症になりやすい糖尿病またはケトン症抵抗性糖尿病);または肥満(例えば、遺伝性肥満、食事性肥満、ホルモン関連肥満または薬物の投与に関連する肥満)を含む代謝性症状を治療または予防するための薬物の製造におけるアニリノピリミジン誘導体の使用に関する。
【0091】
一実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含む、限定されるものではないが、聴覚の喪失(例えば、外耳炎または急性中耳炎を原因とするもの);線維症関連疾患(例えば、肺間質性線維症、腎線維症、嚢胞性線維症、肝線維症、創傷の治癒または熱傷の治癒で、熱傷は第1度、第2度または第3度熱傷および/または熱、化学薬品または電気による熱傷である);関節炎(例えば、慢性関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎または痛風);アレルギー;アレルギー性鼻炎;急性呼吸窮迫症候群;喘息;気管支炎;炎症性腸疾患(例えば、過敏性腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、膵炎または腹膜炎);または自己免疫疾患(例えば、強皮症、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、移植片拒絶反応、内毒素性ショック、敗血症、乾癬、湿疹、皮膚炎または多発性硬化)を含む炎症性症状を治療または予防するための薬物の製造におけるアニリノピリミジン誘導体の使用に関する。
【0092】
一実施形態では、本発明は有効量のアニリノピリミジン誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含む、肝疾患(例えば、肝炎、アルコールに誘発される肝疾患、毒素に誘発される肝疾患、脂肪症または硬化症);心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、左心室肥大、心筋梗塞、慢性閉塞性肺疾患または卒中);虚血性障害(例えば、心臓、腎臓、肝臓または脳に対する)、虚血再灌流損傷(例えば、移植、外科手術による外傷、低血圧、血栓症または外傷性傷害により引き起こされるもの);神経変性疾患(例えば、癲癇、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害、脊髄損傷またはパーキンソン病);または癌(例えば、頭部、頚部、眼、口腔、咽喉、食道、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、精巣または他の生殖器、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、および脳または中枢神経系の癌)を治療または予防するための薬物の製造におけるアニリノピリミジン誘導体の使用に関する。
【0093】
一実施形態では、本発明の治療または予防方法は、本明細書に開示される疾患または障害の治療または予防に有用な有効量の他の治療薬の投与をさらに含む。この実施形態では、他の治療薬の治療効果が生じている時間は、アニリノピリミジン誘導体の治療効果が生じている時間と重なり合う。
【0094】
一実施形態では、代謝性症状、炎症性症状、肝疾患、心血管疾患、虚血性障害、神経変性疾患または癌の治療または予防方法は、in vivoにおけるJNKの阻害を含む。
【0095】
一実施形態では、in vivoにおけるJNKの阻害は、in vivoにおけるTNF-αの阻害を含む。
【0096】
一実施形態では、JNKはJNK1である。一実施形態では、JNKはJNK2である。一実施形態では、JNKはJNK3である。
【0097】
本発明の方法の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換もしくは無置換アリールまたはヘテロアリール(ただし、このヘテロアリールはピリジルではない)である。R1が置換されている場合、それは上記で定義した1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0098】
本発明の方法の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は 置換もしくは無置換アリール、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニルまたはキナゾリニルである。
【0099】
本発明の方法の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換もしくは無置換アリールまたはヘテロアリール(ただし、このヘテロアリールはイミダゾ[1,2a]ピリド-3-イルまたはピラゾロ[2,3a]ピリド-3-イルではない)である。R1が置換されている場合、それは上記で定義した1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0100】
本発明の方法の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR1は置換もしくは無置換のアリール、好ましくはフェニルまたはナフチルである。R1が置換アリールである場合、それは上記で定義した1以上の置換基で置換されている。置換されている場合、R1はハロゲン、スルホンまたはスルホンアミドで置換されているのが好ましい。
【0101】
本発明の方法の一実施形態では、構造(I)のアニリノピリミジン誘導体においてR5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって置換または無置換窒素含有非芳香族複素環を形成する。
【0102】
本発明の方法の一実施形態では、窒素含有非芳香族複素環はピペラジニル、ピペリジニル(piperadinyl)またはモルホリニルである。窒素含有非芳香族複素環が置換ピペラジニル、ピペリジニル(piperadinyl)またはモルホリニル環である場合、その置換基は上記に定義されている。置換されている場合、置換基はアルキル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルエーテル、アシル、ピロリジニルまたはピペリジニルであることが好ましい。
【0103】
本発明の方法で用いる場合、本発明のアニリノピリミジン誘導体は場合により製薬上許容される担体またはビヒクルを含む組成物の一成分として投与することができる。
【0104】
該アニリノピリミジン誘導体はまた、細胞傷害剤または放射線療法と組み合わせて癌の補助療法に用いることもできる。
【0105】
4.5 医薬組成物の投与
該アニリノピリミジン誘導体は、カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、粒剤、散剤、トローチ剤、丸剤、坐剤、注射剤、懸濁剤およびシロップ剤などの通常の周知の剤形で患者に経口または非経口投与することができる。投与に先立ち、該アニリノピリミジン誘導体は、典型的には、1種類以上のかかる化合物の有効用量を1種類(またはそれ以上)の製薬上許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物として調剤する。これに関して好適な製剤は賦形剤(例えば、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアガム、ポリエチレングリコール、スクロースまたはデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウムまたはクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルクまたはラウリル硫酸ナトリウム)、香味剤(例えば、クエン酸、メントール、グリシン、またはオレンジパウダー)、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベン)、安定剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウムまたは酢酸)、沈殿防止剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリクロン、またはステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)、および/またはベースワックス(例えば、カカオバター、白色ワセリンまたはポリエチレングリコール)などの通常の有機または無機添加剤を用い、一般に使用される方法により調製することができる。
【0106】
剤形中のアニリノピリミジン誘導体の量は、限定されるわけではないが、例えば、患者に投与する経路などの因子に依存して異なりうる。しかし、本発明の典型的な剤形は、アニリノピリミジン誘導体を約0.10mg〜約3500mg、約1mg〜約2500mg、約10mg〜約500mg、約25mg〜約250mg、約50mg〜約100mgの量で含む。典型的な剤形は、アニリノピリミジン誘導体を約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150、200、250、500、750、1000、1500、2000、2500、3000または3500mgの量で含む。特定の実施形態では、剤形は、ピラゾロアントロン誘導体を約1、2、5、10、25、50、100、250または500mgの量で含む。特定の実施形態では、剤形は、約5、10、25または50mgの量のアニリノピリミジン誘導体を含む。
【0107】
さらに、該アニリノピリミジン誘導体の作用は適宜調剤することで遅延させたり、延長させたりすることができる。例えばアニリノピリミジン誘導体の溶解の遅いペレットを調製し、錠剤またはカプセルに配合してもよい。この技術は、数種の異なる溶解速度のペレットを作製し、そのペレットの混合物をカプセルに充填することで改良することができる。錠剤またはカプセル剤を予定時間の間溶解しないフィルムでコーティングしてもよい。非経口製剤であっても、血清中で化合物を徐々にしか分散させない油性または乳化ビヒクル中に溶解または懸濁させることで、持続作用型とすることもできる。
【0108】
特定の実施形態では、アニリノピリミジン誘導体は例えば補助療法として少なくとも1種の他の治療薬と組み合わせて使用することができる。アニリノピリミジン誘導体と他の治療薬は相加作用、あるいはより好ましくは相乗作用しうる。好ましい実施形態では、アニリノピリミジン誘導体は他の治療薬と同時投与するが、他の治療薬はアニリノピリミジン誘導体と同じ組成物の一部とすることもできるし、あるいはアニリノピリミジン誘導体を含むものとは別の組成物とすることもできる。一実施形態では、アニリノピリミジン誘導体は別の治療薬の投与の前または後に投与する。アニリノピリミジン誘導体が治療に有用である疾患の多くは慢性疾患であることから、一実施形態では組合せ療法はアニリノピリミジン誘導体と他の治療薬の交互投与を含む。アニリノピリミジン誘導体または他の治療薬の投与期間は例えば1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年または患者の一生の間といったより長い期間でもよい。特定の実施形態では、本発明の組成物を限定されるものではないが毒性をはじめとする副作用をもたらす可能性のある他の治療薬と同時投与する場合、他の治療薬は副作用が引き起こされる閾値を下回る用量で投与できることが有利である。
【0109】
この他の治療薬は抗炎症薬であってもよい。有用な抗炎症薬としては、限定されるものではないが、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダック、エトドラック、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン、ケトロラック、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビンプロフェン (flurbinprofen)、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム、テノキシカム、ナブメトン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、アパゾンおよびニメスリドなどの非ステロイド系抗炎症薬;限定されるものではないが、ジレウトン、オーロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、およびオーラノフィンをはじめとするロイコトリエンアンタゴニスト;ならびに限定されるものではないが、コルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、およびベンズブロマロンをはじめとするその他の抗炎症薬が挙げられる。慢性関節リウマチをはじめとする関節炎の治療に特に有効な抗炎症薬としてはエンブレル、インフリキシマブ、アナルキンラ、セレコキシブおよびロフェコキシブが挙げられる。
【0110】
他の治療薬としては抗癌薬がありうる。有用な抗癌薬としては。限定されるものではないが、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミドおよびクロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード類;カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)などのニトロソ尿素;ブスルファンおよびトレオスルファンなどのアルキルスルホネート類;ダカルバジンなどのトリアゼン類;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金含有化合物;ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンなどのビンカアルカロイド類;パクリタキセルおよびドセタキソールなどのタキソイド類;エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカンおよびクリスナトルなどのエピポドフィリン類;マイトマイシンCなどのマイトマイシン類;メトトレキサートおよびトリメトレキサートなどのDHFR阻害剤;ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリンおよびEICARなどのIMPデヒドロゲナーゼ阻害剤;ヒドロキシ尿素およびデフェロキサミンなどのリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤;5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジンおよびラチトレキセドなどのウラシル類似体;シタラビン(ara C)、シトシンアラビノシドおよびフルダラビンなどのシトシン類似体;メルカプトプリンおよびチオグアニンなどのプリン類似体;タモキシフェン、ラロキシフェンおよびメゲストロールなどの抗エストロゲン;ゴセレリン (goscrclin) および酢酸ロイプロリドなどのLHRHアゴニスト;フルタミドおよびビカルタミドなどの抗アンドロゲン;B 1089、CB 1093およびKH 1060などのビタミンD3類似体;ベルテポルフィン(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、およびデメトキシヒポクレリンA(2BA-2-DMHA)などの光力学的治療薬;インターフェロン-α、インターフェロン-γおよび腫瘍壊死因子などのサイトカイン類;ロバスタチンなどのイソプレニル化阻害剤;1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオンなどのドーパミン作動性神経毒;スタウロスポリンなどの細胞周期阻害剤;アクチノマイシンD、ダクチノマイシンなどのアクチノマイシン類;ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2およびペプロマイシンなどのブレオマイシン類;ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシンおよびミトキサントロンなどのアントラシクリン類;ベラパミルなどのMDR阻害剤;およびタプシガーギンなどのCa2+ ATPアーゼ阻害剤が挙げられる。
【0111】
他の治療薬はまた、抗生物質(例えば、バンコマイシン、ペニシリン、アモキシシリン、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフィキシム(cefixime)、リファンピン、メトロニダゾール、ドキシサイクリンまたはストレプトマイシン)でありうる。他の治療薬はまた、PDE4阻害剤(例えば、ロフルミラスト(roflumilast)またはロリプラム)でありうる。他の治療薬はまた、抗ヒスタミン薬(例えば、シクリジン、ヒドロキシジン、プロメタジンまたはジフェンヒドラミン)でありうる。他の治療薬はまた、抗マラリア薬(例えば、アルテミシニン、アルテメテル(artemether)、アルツネート(artsunate)、リン酸クロロキン、塩酸メフロキン、ドキシサイクリン水和物、塩酸プログアニル、アトバクオンまたはハロファントリン)でありうる。
【0112】
以下の実施例は例示として示すものであって、これに限定されるものではない。この目的で有機化合物の通例の省略表記に従い、表示された構造には1以上の水素原子が省略されていることに注意を要すが、当業者ならばそれらの存在が容易に分かるであろう。
【0113】
以下の実施例の保持時間のデータは以下に詳述する2つの方法のいずれかによって得たものである。
【0114】
方法A
カラム:YMC Pro C-18、3.0μ球形シリカゲル、4.0x50mm、孔径120オングストローム
グラジェント:0〜10分20%A〜90%Aの直線二成分勾配
流速:2.0mL/分
移動相:A, アセトニトリル中0.1%ギ酸;B, 水中0.1%トリフルオロ酢酸。
【0115】
方法B
カラム:YMC ODS-A、5.0μ球形シリカゲル、4.6x250mm、孔径120オングストローム
グラジェント:0〜10分20%A〜90%Aの直線二成分勾配の後、10〜25分100%A
流速:1.0mL/分
移動相:A, アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸;B, 水中0.1%トリフルオロ酢酸。
【実施例】
【0116】
4.6 実施例
実施例1
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ベンズアミドの合成
【化18】

【0117】
(2E)-3-(ジメチルアミノ)-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン
1-(4-クロロフェニル)エタン-1-オン(3.0g, 19.3ミリモル)およびN,N,ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール(20ml)の溶液を150℃で16時間加熱した。反応混合物を0℃まで冷却し、ヘキサン(20ml)で処理した。得られた固体を濾過回収し、ヘキサンで洗浄して標題の化合物を得た:EI-MS (m/z) 209 [M+1]+
【0118】
4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-チオール
エタノール(25ml)中の(2E)-3-(ジメチルアミノ)-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン(1.5g, 7.2ミリモル)の溶液にチオ尿素(0.60g, 7.9ミリモル)および炭酸カリウム(K2CO3)(1.19g. 8.63ミリモル)を加えた。得られた懸濁液を85℃で12時間加熱した後、周囲温度まで冷却した。得られた固体を回収し、水およびヘキサンで十分洗浄し、ベージュ色の固体を得た :EI-MS (m/z) 222 [M+1]+
【0119】
4-(4-クロロフェニル)-2-メチルチオピリミジン
4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-チオール(1.2 g, 5.39ミリモル)を水酸化カリウム(0.453g, 5.39ミリモル)水溶液10mlに溶かした。ヨードメタン(503μl, 5. 39ミリモル)を周囲温度で加え、反応混合物を30分間攪拌した。得られた白色固体を濾過回収し、最少量の水およびヘキサンで洗浄して標題の化合物を得た:EI-MS (m/z) 237 [M+1]+
【0120】
4-(4-クロロフェニル)-2-(メチルスルホニル)ピリミジン
アセトン(30ml)および水(10ml)中、4-(4-クロロフェニル)-2-メチルチオピリミジン(1.1 g, 4.65ミリモル)の溶液にオキソン(7.14g, 11.62ミリモル)を加えた。反応混合物を18時間攪拌した後、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して白色固体を得た:EI-MS (m/z) 269 [M+1]+
【0121】
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ベンズアミド
密閉容器にて、2-プロパノール(3ml)中、4-(4-クロロフェニル)-2-(メチルスルホニル)ピリミジン(0. 10g, 0.37ミリモル)および4-アミノベンズアミドの溶液を120℃まで14時間加熱した。粗物質を濃縮し、分取HPLCにより精製し、標題化合物をベージュ色の固体として得た:LC/MS 保持時間;6.30分(方法A), M+1; 325。
【0122】
実施例2
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ベンズアミドの選択的合成
【化19】

【0123】
N-{(4-アミノカルボニル)フェニル}グアニジンニトレート
70mLのエタノール中、4-アミノカルボニルアニリン(20g, 147ミリモル)およびシアンアミド(14.2g, 338ミリモル)の攪拌溶液に濃硝酸(20mL)を滴下した。反応混合物を一晩加熱還流し、冷却した。揮発成分を蒸発させると粘稠なオイルが得られた。残渣を塩化メチレンおよびメタノールに溶解して黄色固体を得た。この物質を濾過し、エーテルおよび水で洗浄し、50℃で真空乾燥させて目的生成物を得た(17.5g, 収率66%):LC/MS 保持時間;0.63分(方法A), M+1; 179。
【0124】
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}ベンズアミド
密閉容器にて、エタノール(10ml)中、(2E)-3-(ジメチルアミノ)-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン(0.10g, 0.48ミリモル)、4-(アミジノアミノ)ベンズアミドニトレート(0.116g, 0.48ミリモル)、および炭酸カリウム(0.132g, 0.96ミリモル) の溶液を一晩120℃まで加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、得られた固体を回収した後、エタノール、水およびジエチルエーテルで洗浄し、実施例1で製造した化合物と全ての点で同じ標題化合物をベージュ色の固体として得た。
【0125】
実施例3
代表的な化合物の合成
以下に挙げられた化合物は、出発物質として適当なメチルケトンを用い、実施例2の手順に従って製造した。
【表1】

【0126】

【0127】

【0128】

【0129】

【0130】

【0131】

【0132】

【0133】

【0134】

【0135】

【0136】

【0137】

【0138】

【0139】

【0140】

【0141】

【0142】

【0143】
実施例4
4-[(4-{4-[(4-クロロフェニル)スルホニル]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化20】

【0144】

【0145】
DMF(40mL)中、p-クロロベンゼンチオール(1)(3.2g, 0.022モル)の溶液にNaH(鉱油中60%分散物, 0.8g)を加えた。発泡がおさまった後、p-クロロベンゼンチオール(0.011モル, 0.55当量)を加えた。次にこの溶液を110℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、エーテル(150mL)で希釈した。このエーテル懸濁液を5% NaOH(水溶液, 50mL)、3% HCl(水溶液, 2x50mL)洗浄し、濾過して濃縮し、2.88gのp-クロロフェニルチオアセトフェノン(2)を得た(100%)。次にビアリールスルフィド(2)をアセトン/水(4:1 v/v, 100mL)に溶解した。この溶液にオキソン(13.5g, 2.2当量)を加えた。反応物を室温で4時間攪拌した。その後、アセトンを真空下で除去した。この混合物をエーテル(100mL)および水(100mL)に希釈した。混合物を振盪し、層を分離した。エーテル層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、2.02g(62%)のスルホン3を得た。次にスルホン(3)をジメチルホルムアミドジメチルアセタール(15mL)に溶解し、110℃で12時間攪拌した。次に反応混合物を濃縮して過剰なジメチルホルムアミドジメチルアセタールを除去した。中間体エン-アミノケトン(0.38g, 1.09ミリモル)の一部をエタノール(20mL)に溶解した。この溶液にK2CO3(0.45g, 3当量)および4-グアナジノベンズアミド(4)(0.26g, 1当量)を加えた。反応混合物を密閉試験管にて100℃で12時間加熱した。次にこの混合物室温まで冷却し、水(30mL)で希釈した後に濾過した。固体を水およびエタノールで洗浄した。この物質の一部を分取HPLCにより精製し、15mgの目的化合物を得たが、これは100%の純度であることが分析HPLCにより分かった。LCMS (M+H=465.0@6.47分(方法A))。
【0146】
実施例5
4-({4-[4-(4-ピリジルスルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)ベンズアミドの合成
【化21】

【0147】
上記化合物は実施例4の手順に従い、出発物質として2-メルカプトピリジンおよび適当なチオールから製造した。LCMS: (M+H=432.1,@5.50分(方法B))。
【0148】
実施例6
4-({4-[4-(2-ピリジルスルホニル)フェニル]}ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミドの合成
【化22】

【0149】
上記化合物は実施例4の手順に従い、出発物質として2-メルカプトピリジンおよび適当なチオールから製造した。LCMS (M+H=432.0@5.58分(方法B))。
【0150】
実施例7
4-({4-[4-(3-ピリジルスルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)ベンズアミドの合成
【化23】

【0151】
上記化合物は実施例4の手順に従い、出発物質として3-メルカプトピリジンおよび適当なチオールから製造した。LCMS (M+H=432.1@5.55分(方法B))。
【0152】
実施例8
4-({4-[4-(3-ヒドロキシプロピルチオ)フェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)ベンズアミドの合成
【化24】

【0153】
上記化合物は実施例4の手順に従い、出発物質として3-メルカプトプロパノールおよび適当なチオールから製造した。LCMS (M+H=381.0@5.55分(方法B))。
【0154】
実施例9
4-[(4-{4-[(3-ヒドロキシプロピル)スルホニル]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化25】

【0155】

【0156】
DMF(40mL)中、3-メルカプトプロパノール(5g, 0.054モル)の溶液にNaH(2.2g, 鉱油中60%分散物)を加えた。発泡がおさまった後、p-クロロアセトフェノン(5.25mL, 0.041モル, 0.75当量)を加え、混合物を100℃で3時間攪拌した。反応物を冷却し、エーテル(200mL)で希釈し、5% HCl水溶液(2x30mL)、水(2x50mL)および続いて食塩水(40mL)で洗浄した。エーテル層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、チオアリールケトン(5)(6.1g, 0.29モル, 72%)を得た。ケトン(5)(0.72g, 3.4ミリモル)をアセトン/水(4:1v/v, 20mL)に溶解した。オキソン(登録商標)(4.2g)を加え、混合物を2時間攪拌した。次に混合物を濃縮し、エーテル(75mL)で希釈し、水(3x50mL)および続いて食塩水(50mL)で洗浄した。次にエーテル層を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、アリールスルホン(6)を得た。標題化合物をこれまでに実施例4で記載されたようにケトン(6)から製造し、39mg(3%)の分析上純粋な物質を得た。LCMS: (M+H=413.0@5.04分(方法A))。
【0157】
実施例10
4-({4-[4-(3-モルホリン-4-イルプロピルチオ)フェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)ベンズアミドの合成
【化26】

【0158】

【0159】
次にアセトフェノン(5)をトルエン(50mL)に溶かした。この溶液にエチレングリコール(2.6mL, 2当量)およびp-トルエンスルホン酸(0.7g)を加えた。反応物をディーンスタークトラップをつけて2〜3時間還流させた。水を共沸除去した後、反応物を冷却し、その後10% NaHCO3(水溶液, 50mL)、水(50mL)および食塩水(50mL)で洗浄した。有機抽出液を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮した。次に粗アセタールをCH2CL2(20mL)に溶かした。分液フラスコで、(COCl)2(2.26mL, 26.0ミリモル)をCH2CL2(20mL)に溶かし、-78℃まで冷却した。次にこの冷溶液にCH2CL2(5mL)中のDMSO(3.7mL, 52.0ミリモル)を滴下した。この混合物を2分間攪拌し、その後、この粗アセタールをCH2CL2(20mL)に加えた。15分間攪拌した後、Et3N(16.5mL, 5当量)をゆっくり加えた。得られた混合物を5分間攪拌した後、1時間かけて室温まで放冷した。次に混合物を分液漏斗に注ぎ、5% NaHCO3(100mL)で洗浄した。その後、有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、粗アルデヒド(7)を得た。次にアルデヒド(7)(0.5g)をMeOH/AcOH(10mL)に溶かした。この溶液にモルホリン(0.21mL)を加えた。この混合物を10分間攪拌し、その後、NaBH3CN(0.19g)を加えた。30分後、反応混合物を濃縮し、3M NaOHで塩基性とし、CH2CL2(3x15mL)で抽出した。有機抽出物を濃縮した後、アセトン/水(9:1v/v, 20mL)に溶かした。次にこの溶液にP-TsOH(0.1g)を加え、混合物を12時間攪拌した。その後、混合物を濃縮し、1M NaOHで塩基性とし、CH2CL2(3x15mL)で抽出した。次に有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、粗アリールケトン(8)を得、これをジメチルホルムアミドジメチルアセタール(15mL)に溶かし、12時間100℃まで加熱した。次に混合物を濃縮し、EtOH(15mL)に溶かした。この溶液にK2CO3(0.31g)および4-グアナジノベンズアミド(4)(0.14)を加えた。この反応混合物を密閉試験管にて100℃で12時間加熱した。その後、混合物を室温まで冷却し、水(30mL)で希釈した後に濾過した。固体を水およびエタノールで洗浄した。この物質を分取HPLCで精製し、標題化合物(33mg, 4%)を得た:LCMS 4.62分(方法A), M+H=450。
【0160】
実施例11
4-[(4-{4-[3-(ジメチルアミノ)プロピルチオ]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化27】

【0161】
標題化合物はアルデヒド(7)の還元的アミノ化の際にモルホリンの代わりにジメチルアミンを用いたこと以外は実施例10の手順によって製造した。LCMS (M+H=408.0@4.62分(方法B))。
【0162】
実施例12
4-[(4-{4-[3-(4-メチルピペラジニル)プロピルチオ]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化28】

【0163】
標題化合物はアルデヒド(7)の還元的アミノ化の際にモルホリンの代わりにN-メチルピペリジンを用いたこと以外は実施例10の手順によって製造した。LCMS (M+H=463.0@4.47分(方法B))。
【0164】
実施例13
4-[4-{4-[(1-メチル-4-ピペリジル)スルホニル]フェニル}ピリミジン-2-イル]アミノ]ベンズアミドの合成
【化29】

【0165】
4-メルカプトピリジン(2.8g, 25.0ミリモル)をDMF(25mL)に溶かした。次にこの溶液にNaH(1g, 鉱油中60%分散物)を加えた。発泡がおさまった後、p-クロロアセトフェノン(1.4mL, 11ミリモル)を加え、混合物を110℃で14時間加熱した。その後、混合物を冷却し、エーテル(100mL)で希釈した。この混合物を5% NaOH(2x50mL)、水(2x50mL)、および食塩水(50mL)で洗浄した。エーテル抽出液を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮した。得られたオイルをフラッシュクロマトグラフィー(9:1〜7:3ヘキサン/酢酸エチル勾配)で精製した。目的の画分を濃縮すると1.37g(54%)のチオアセトフェノン(9)が得られた。次にスルフィド(9)(1.37g)をアセトン/水(9:1v/v, 35mL)に溶かした。この溶液にオキソン(登録商標)(7.4g, 2当量)を加えた。混合物を2時間攪拌した。次に混合物を濃縮し、10% NaHCO3で中和し、CH2CL2(3x50mL)で抽出した。有機抽出液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、ジアリールスルホン(10)(1.25g, 80%)を得た。スルホン(10)(0.53g. 2.0ミリモル)をTHF(7mL)に溶かした。この溶液に室温のSuper Hydride(登録商標)(6.3mL, THF中1M)を加えた。溶液を室温で1時間攪拌した後、MeOH(0.6mL)でクエンチした。次に混合物を濃縮した。残渣を1N HCl(50mL)に溶かした。この水性混合物をエーテル(3x50mL)で抽出した。有機層を廃棄した。水層を塩基性とし、CH2CL2(3x15mL)で抽出した。有機層を濃縮した。残渣をAcOH/MeOH(1:1v/v, 10mL)に溶かした。CH2O(37%水溶液, 1mL)およびNaBH3CN(0.1g)を加えた。混合物を30分間攪拌した。次に混合物を濃縮し、10% NaOH水溶液で塩基性とし、CH2CL2(3x15mL)で抽出した。有機抽出液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、粗ケトン(11)を得た。アリールケトン(10)をジメチルホルムアミドジメチルアセタール(15mL)中で還流させ、12時間100℃まで加熱した。次に混合物を濃縮し、EtOH(15mL)に溶かした。この溶液にK2CO3(0.31g)および4-グアナジノベンズアミド(4)(0.14g)を加えた。反応混合物を密閉試験管にて100℃で12時間加熱した。次に混合物を室温まで冷却し、水(30mL)で希釈した後、濾過した。固体を水およびエタノールで洗浄した。この物質を分取HPLCで精製し、6.0mg(スルホン(10)から0.5%)の標題化合物を得た。LCMS (M+H=452@6.13分(方法A))。
【0166】
実施例14
4-[(4-{4-[(4-メチルピペラジニル)スルホニル]フェニル}ピリミジン-2-イル)アミノ]ベンズアミドの合成
【化30】

【0167】
N-メチルピペリジン(1.16mL, 0.01モル)をCH2CL2(30mL)およびEt3N(4.4mL, 0.033モル)に溶解した。この溶液を0℃まで冷却し、塩化4-アセチルベンゼンスルホニル(2.29g, 0.01モル)を一度に加えた。反応物を15分間攪拌し、分液漏斗に注ぎ、水(3x20mL)次いで食塩水(10mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、アリールケトン(12)を得た。ケトン(12)を精製せずに続けて実施例13に記載の標題化合物を製造した。分析サンプルは分取HPLCにより精製した(0.028mg, 0.6%):LCMS (M+H=453.2@5.48分(方法A))。
【0168】
実施例15
4-{2-[(4-カルバモイルフェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル}安息香酸の合成
【化31】

【0169】
4-アセチル安息香酸エチル(3.00g, 15.62ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(6.2g, 52.10ミリモル)の混合物を18時間還流させ、冷却し、濃縮して4-[(2E)-3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノイル]安息香酸エチルを定量的収量で得た。EtOH(120mL)中、4-[(2E)-3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノイル]安息香酸エチル、炭酸カリウム(3.55g, 25.74ミリモル)、および4-(アミジノアミノ)ベンズアミド(3.10g, 12.87ミリモル)の溶液を18時間還流させた。混合物を冷却し、濾過し、EtOH、水、次にエーテルでそれぞれ洗浄し、4-{2-[(4-カルバモイルフェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル}安息香酸エチル(2.60g, 収率46%)を得た。この化合物をEtOH(30mL)、水(20mL)、およびNaOH(0.640g, 16ミリモル)中で2時間還流させた。反応混合物を冷却し、pH3まで酸性化し、濾過し、1.00g(収率42%)の標題化合物を得た。HPLC/ES-MS (20〜100%アセトニトリル):保持時間4.7分(方法A); (m/z) 335 [M+1]+
【0170】
実施例16
(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)-N,N-ジメチルカルボキシアミドの合成
【化32】

【0171】
4-グアニジノ-安息香酸メチルエステル
メタノール(600mL)中、4-グアニジノ安息香酸(20.0g, 93ミリモル)の攪拌溶液に塩化チオニル(12mL)を滴下した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応物を真空濃縮して白色粉末を得た。この粗物質をジクロロメタンに溶かして蒸発させ、標題化合物を白色粉末として得た(17.95g, 収率100%): HPLC保持時間; 1.27分(方法A) M+1; 193。
【0172】
(2E)-3-ジメチルアミノ-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン
1-(4-クロロフェニル)エタン-1-オン(35.0g, 226ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール(35mL)の溶液を16時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、ヘキサン(50mL)で処理した。得られた固体を濾過回収し、ヘキサンで洗浄し、標題化合物を黄色固体として得た(47.12g, 収率99%): HPLC保持時間; 6.45分(方法B) M+1 ; 209。
【0173】
4-[4-(4-クロロフェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]安息香酸
1-プロパノール中、4-グアニジノ-安息香酸メチルエステル(17.95g, 93ミリモル)、(2E)3-ジメチルアミノ-1-(4-クロロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン(19.44g, 93ミリモル)、および炭酸カリウム(38.50g, 279ミリモル)の溶液を24時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した。得られた固体を濾過回収し、エタノールで洗浄して標題化合物を得、これをそれ以上精製せずに用いた。EI MS (m/z) 339 [M+1]+。メタノール(100mL)中、4-[4-(4-クロロフェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]安息香酸メチルエステルの懸濁液に5N NaOH(100mL)を加えた。反応混合物を4時間加熱還流した後、室温まで冷却した。得られた固体を濾過回収し、ヘキサンで洗浄し、真空乾燥させ、標題化合物を黄色固体として得た(27.36g, 収率100%): HPLC保持時間; 7.29分(方法A) M+1; 325。
【0174】
(4-{[4-(4-クロロフェニル)-ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)-N,N-ジメチルカルボキシアミド
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸(200mg, 0.615ミリモル)に、室温で触媒量のDMFとともに塩化チオニル(4mL)を加えた。次に得られた懸濁液を1時間還流させると透明な淡黄色の溶液となり、これを真空濃縮した。次にこのフラスコにテトラヒドロフラン(4.5mL)中、ジメチルアミン(THF中2.0M溶液615μL, 1.23ミリモル)およびトリエチルアミン(124mg, 1.23ミリモル)の溶液を加えた。次にこの溶液を室温で18時間攪拌し、水(5mL)で希釈し、濾過した。残った固体を分取HPLCで精製し、標題化合物を得た。HPLC/ES-MS: 保持時間6.74分(方法A); (m/z) 353 [M+1]+
【0175】
実施例17
さらなる代表的化合物の合成
【化33】

【0176】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表2】

【0177】

【0178】

【0179】

【0180】

【0181】

【0182】

【0183】

【0184】

【0185】

【0186】

【0187】

【0188】

【0189】

【0190】

【0191】

【0192】

【0193】

【0194】

【0195】

【0196】

【0197】

【0198】

【0199】

【0200】

【0201】

【0202】

【0203】

【0204】

【0205】

【0206】

【0207】

【0208】

【0209】

【0210】

【0211】

【0212】

【0213】

【0214】

【0215】

【0216】

【0217】

【0218】

【0219】

【0220】

【0221】

【0222】

【0223】

【0224】

【0225】

【0226】

【0227】

【0228】

【0229】

【0230】

【0231】

【0232】

【0233】
実施例18
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸ピペラジンアミド塩酸塩の合成
【化34】

【0234】
酢酸(61mL)中tert-ブチル4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸ピペラジンアミド(3.0g, 6.1ミリモル)の溶液に塩化水素ガスを20分間ゆっくり通じた。この溶液を濃縮し、真空乾燥させ、2.6g(99%)の標題化合物を得た; ES-MS, m/z 394 (M+1)+ LC/MS保持時間5.84分(方法A)。
【0235】
実施例19
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸4-エチルピペラジンアミドの合成
【化35】

【0236】
ジメチルホルムアミド(15mL)中、4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニルピペラジンケトン(0.5g, 1.54ミリモル)、N-エチルピペラジン(0.18g, 1.54ミリモル)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(0.44g, 2.31ミリモル)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(0.31g, 2.31ミリモル)の溶液を18時間攪拌した。水(50mL)を加え、固体を濾過した。この固体を分取HPLC(C-18カラム, 30%アセトニトリル〜100%アセトニトリル水溶液、いずれも0.1%トリフルオロ酢酸を含有)で精製し、標題化合物0.27g(収率42%)を得た; ES-MS, m/z 422 (M+1)+ LC/MS保持時間, 5.92分(方法A)。
【0237】
実施例20
4-アシルアミノピペリジンの合成
【化36】

【0238】
4-アミノピペリジル4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニルケトン塩酸塩
(tert-ブトキシ)-N-{1-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル](4-ピペリジル)}カルボキシアミド(4.00g, 7.87ミリモル)を50mL EtOHに溶かした後、無水塩酸ガスを添加した。反応物を30分間攪拌した後、濃縮して残渣を得た。これに少量のEtOHを加えた後、エーテルで希釈した。黄色固体が生じ、これを濾過して乾燥させ、3.00gの4-アミノピペリジル4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニルケトン塩酸塩を得た: HPLC保持時間5.89分(方法B) M+1; 408.4。
【0239】
N-{1-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]-4ピペリジル}アセトアミド
トリエチルアミン(0.293mg, 2.91ミリモル)を含む10mLのTHF中で4-アミノピペリジル4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニルケトン塩酸塩(300mg, 0.582ミリモル)を攪拌した。無水酢酸(89mg, 0.873ミリモル)を加え、反応物を40分間攪拌した。この溶液を濃縮し、分取HPLCで精製し、N-{1-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]-4-ピペリジル}アセトアミド(0.120g, 収率46%)を得た: HPLC保持時間6.92分(方法B) M+1; 450.4。
【0240】
以下に挙げられた化合物は上記手順に従って製造した。
【表3】

【0241】

【0242】

【0243】
実施例21
ピペラジン酢酸アミドの合成
【化37】

【0244】
2-{4-[(4-{[4(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸エチル
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}安息香酸(5g, 15.3ミリモル)をジメチルホルムアミドに溶かした。次にHOBT(2.82g, 18.4ミリモル)およびEDCI(3.53g, 18.4ミリモル)を加えた。反応物を15分間攪拌した後、エチル-2ピペラジニルアセテート(2.14mL, 18.4ミリモル)を加えた。反応物を室温で一晩攪拌した。水(150mL)を加えた。固体を濾過回収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(90%EtOAc/ヘキサン, Rt=0.25)で精製し、4.3g(収率45%)の2-{4-[(4-{[4(4-クロロフェニル)ピリミン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸エチルを得た: HPLC保持時間; 9.932分(方法B) M+1; 480.2。
【0245】
2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸
2-{4-[(4-{[4(4-クロロフェニル)ピリミン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸エチル(5.0g, 15.3ミリモル)に46mLの水中のエタノール(69mL)およびNaOH(1.14g, 29.2ミリモル, 4.1当量)を加えた。反応物を75℃で1.5時間加熱した。反応物をpH=3まで酸性化し、濾過し、乾燥させ、4.3gの酸2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸(83.3%)を得た: HPLC保持時間9.260分(方法B) M+1; 452.3。
【0246】
2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}N-エチルアセトアミド
2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}酢酸(0.200g, 0.44ミリモル)をDMFに溶かした後、氷冷食塩水溶液中で15分間攪拌し、その後、HOBT(0.072g, 0.53ミリモル)、次いでEDCI(0.102g, 0.53ミリモル)を加え、さらに30分間攪拌した。エチルアミン(0.030mL, 0.53ミリモル)を加え、反応物を室温で一晩攪拌放置した。この反応物を水10mLでクエンチすると、沈殿が生じた。この沈殿を濾過回収し、分取HPLCで精製し、2-{4-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジニル}N-エチルアセトアミドを得た: HPLC保持時間9.508分(方法B) M+1; 479.2。
【0247】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表4】

【0248】

【0249】
実施例22
還元的アミノ化
【化38】

【0250】
4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル4-[(メチルエチル)アミノ]ピペリジルケトン塩酸塩
1-[(4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペリジン-4-オン(400mg, 0.980ミリモル)を、イソプロピルアミン(58mg, 0.980ミリモル)とともに10mLのEtOHに溶かした。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(62mg, 0.986ミリモル)を加え、混合物を室温で18時間攪拌した。反応を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した後、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH;90:10)に付し、残渣を得た。これをHCl(g)飽和EtOHに溶かし、エーテルで希釈し、濾過し、4-{[4-(4-クロロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル4-[(メチルエチル)アミノ]ピペリジルケトン塩酸塩(0.150g, 収率30%)を得た: HPLC保持時間6.02分(方法B) M+1; 450.4。
【0251】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表5】

【0252】

【0253】

【0254】
実施例23
リバーススルホンアミドの合成
【化39】

【0255】
(2E)-1-(4-ニトロフェニル)-3-ジメチルアミノ)プロパ-2-エン-1-オン
4-ニトロアセトフェノン(20.0g, 121ミリモル)およびN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(200ml)の混合物を18時間還流させ、冷却し、濃縮して(2E)-1-(4-ニトロフェニル)-3-ジメチルアミノ)プロパ-2-エン-1-オンを定量的収量で得た。
【0256】
1-アセチル-4-[(4-{[4-(4-ニトロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジン
メタノール(6ml)中、(2E)-1-(4-ニトロフェニル)-3-ジメチルアミノ)プロパ-2-エン-1-オン(250mg, 1.14ミリモル)および{4-{(4-アセチルピペラジニル)カルボニルフェニル}アミノカルボキシアミジン(394mg, 1.36ミリモル)の混合物に、メタノール中2.0Mのナトリウムメトキシド溶液2mLを加えた。次に反応混合物を18時間還流させ、その後、1N NClを用いてpH4まで酸性化した。このとき生じた固体を次に濾過し、クロロホルム中10%のメタノールを用いるカラムクロマトグラフィーで精製し、320mg(69%)の目的生成物を得た。
【0257】
1-アセチル-4-[(4-{[4-(4-アミノフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジン
酢酸数滴を含有するメタノール(5mL)中、1-アセチル-4-[(4-{[4-(4-ニトロフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジン(150mg, 0.34ミリモル)の溶液に100mgの10%パラジウムカーボンを加えた。次にこの溶液を50psiで6時間水素化したところ、出発物質は残留していなかった。次にこの溶液をセライトパッドで濾過し、135mg(95%)の実質的に純粋な還元物質を褐色のオイルとして得た。
【0258】
1-アセチル-4-{[4-({4-[4-(フェニルスルホニル)アミノフェニル]ピリミジン-2-イル}アミノ)フェニル]カルボニル}ピペラジン
触媒量のDMAPを含有するピリジン(5mL)中、1-アセチル-4-[(4-{[4-(4-アミノフェニル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)カルボニル]ピペラジン(100mg, 0.24ミリモル)の溶液に塩化ベンゼンスルホニル(50mg, 0.29ミリモル)を加え、この溶液を一晩室温で攪拌した。真空下でピリジンを除去し、残渣を塩化メチレンで抽出し、1N HClで洗浄した。溶媒を蒸発させて粗ピペラジンを得、これを分取HPLC(25分間で10〜60% CH3CN)で精製し、分析上純粋なサンプルを黄色固体として得た: M+1; 557.3 HPLC保持時間9.59分(方法B)。
【0259】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表6】

【0260】

【0261】

【0262】

【0263】

【0264】
実施例24
さらなる代表的化合物の合成
【化40】

【0265】
所望のR1部分を有する実施例18の化合物は上記の手順に従って修飾し、本発明のさらなる代表的化合物を得ることができる。例えば上記の手順に従って以下の化合物を製造した。
【表7】

【0266】

【0267】

【0268】

【0269】

【0270】

【0271】

【0272】

【0273】

【0274】

【0275】

【0276】
実施例25
スルフィドの合成
【化41】

【0277】
3-ジメチルアミノ-1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]プロペノン
DMF(100mL)中の4-ヒドロキシブタンチオール(5.0g, 47ミリモル)の攪拌溶液にNaH(鉱油中60%分散物, 2.1g)を加えた。発泡がおさまった後、p-クロロアセトフェノン(4.3mL, 33ミリモル)を加えた。次にこの溶液を110℃で3時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、エーテル(200mL)で希釈した。このエーテル懸濁液を5% HCl(水溶液, 2x100mL)、水(100mL)、および食塩水(50mL)で洗浄した。エーテル抽出液を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、粗1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]エタノンを得、これを精製せずに用いた。1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]エタノンをジメチルホルムアミドジメチルアセタール(100mL)に溶かし、12時間還流させた。混合物を冷却した後、もとの量のほぼ半分まで濃縮した。ヘキサンを加えて3-ジメチルアミノ-1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]プロペノンを沈殿させた。この混合物を濾過し、ヘキサン(50mL)で洗浄し、乾燥させ、3-ジメチルアミノ-1-[4-(4-ヒドロキシ-ブチルスルファニル)フェニル]プロペノン(6.4g, 23ミリモル)を得た: HPLC保持時間5.58分(方法B) M+1; 279.8。
【0278】
4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸
次に3-ジメチルアミノ-1-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)-フェニル]プロペノン(6.4g, 23ミリモル)をnPrOH(150mL)に溶かした。この溶液に4-グアニジノ安息香酸メチルエステル塩酸塩(1.1当量, 5.4g)およびK2CO3(3当量, 9.5g)を加えた。混合物を還流下で24時間攪拌した。その後、10% NaOH(水溶液, 50mL)を加え、混合物を還流下でさらに1時間攪拌した。次に混合物を室温まで冷却し、もとの量のほぼ半分まで濃縮した。次に混合物のpHをpH4〜5に調整し、4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸を得た。この酸を迅速に濾過し、水(50mL)、冷EtOH(50mL)で洗浄した後、乾燥させた(8.6g, 21ミリモル, 88%): HPLC保持時間6.37分(方法B) M+1; 396.0。
【0279】
[4-(フラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル]-(4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニルメタノン
4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸(0.34g, 0.86ミリモル)をTHF(5mL)に溶かした。この溶液に1-フロイルピペラジン(0.170g)、EDCI(0.180g)、およびHOBt(0.127g)を加えた。混合物を12時間攪拌した。次に混合物をCH2CL2(20mL)で希釈し、2% NaOH(水溶液, 30mL)、水(30mL)、次いで食塩水(30mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。粗固体を分取HPLC(30〜80アセトニトリル/水勾配, 20分)に付した。目的の画分を濃縮してアセトニトリルの大部分を除去した後、水性混合物をCH2CL2/2% NaOH水溶液で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、[4-(フラン-2-カルボニル)-ピペラジン-1-イル]-(4-{4-[4-(4-ヒドロキシブチルスルファニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メタノン(0.042g, 9%)を得た: HPLC保持時間10.07分(方法B) M+H=558.3。
【0280】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表8】

【0281】

【0282】

【0283】

【0284】

【0285】

【0286】

【0287】
実施例26
スルホンアミドの合成
【化42】

【0288】
1-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]エタノン
CH2CL2(75mL)およびEt3N(2当量, 7.0mL, 50ミリモル)中、塩化4-アセチルベンゼンスルホニル(5.5g, 25ミリモル)の懸濁液にモルホリン(1.5当量, 3.3mL, 38ミリモル)を滴下した。この混合物を室温で30分間攪拌した。次に混合物をCH2CL2(100mL)で希釈し、5%HCl(2x50mL)、水(50mL)、次いで食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮して、粗1-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]エタノン(2)(4.78g, 18ミリモル, 71%)を得た: HPLC保持時間5.82分(方法B) M+1, 270.0。
【0289】
4-{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)-フェニル]-ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸
粗1-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]エタノン(4.78g, 18ミリモル)をジメチルホルムアミドジメチルアセタール(50mL)に懸濁させ、12時間還流させた。反応物を冷却し、混合物をもとの量のほぼ半分まで濃縮した。次にこの溶液をヘキサンとともに粉砕してエネアミノケトン中間体を沈殿させた。このエネアミノケトンを濾過し、ヘキサン(2x50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた後、nPrOH(150mL)に溶かした。この溶液に4-グアニジノ安息香酸メチルエステル塩酸塩(1.1当量, 3.7g)およびK2CO3(3当量, 6.4g)を加えた。混合物を還流下で24時間攪拌した。その後、10% NaOH(水溶液, 50mL)を加え、混合物を還流下でさらに1時間攪拌した。次に混合物を室温まで冷却し、もとの量のほぼ半分まで濃縮した。次に混合物のpHをpH4〜5に調整して酸を沈殿させた。4-{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸を迅速に濾過し、水(50mL)、冷EtOH(50mL)で洗浄した後、乾燥させた(4.6g, 10.5ミリモル, 68%): HPLC保持時間6.6分(方法B) M+1, 441.0。
【0290】
[4-(フラン-2-カルボニル)-ピペラジン-1-イル](4-{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メエタノン
4-{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)-フェニル]-ピリミジン-2-イルアミノ}-安息香酸(0.25g, 0.57ミリモル)をTHF(5mL)中に溶かした。この溶液に1-フロイルピペラジン(0.123g)、EDCI(0.131g)、およびHOBt(0.092g)を加えた。混合物を12時間攪拌した。次に混合物をCH2CL2(20mL)で希釈し、2% NaOH(水溶液, 30mL)、水(30mL)、次いで食塩水(30mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。粗固体を分取HPLC(20〜70アセトニトリル/水勾配, 20分)に付した。目的の画分を濃縮して大部分のアセトニトリルを除去した後、水性混合物をCH2CL2/2% NaOH水溶液で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、[4-(フラン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル](4{4-[4-(モルホリン-4-スルホニル)-フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メエタノン(0.177g, 52%)を得た:HPLC保持時間9.62分(方法B) M+H=603.3。
【0291】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表9】

【0292】

【0293】

【0294】

【0295】

【0296】

【0297】

【0298】

【0299】

【0300】

【0301】

【0302】

【0303】

【0304】

【0305】

【0306】

【0307】
実施例27
スルホンの合成
【化43】

【0308】
1-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルファニル)フェニル]エタノン
水(26mL)中Na2S(17.4g, 0.22モル)の溶液にCS2(14.7mL, 0.24モル)を加えた。混合物を60〜70℃で6時間攪拌した。得られた赤色のNa2CS3溶液に4-クロロテトラヒドロピラン(0.074モル)を加えた。この混合物を60〜70℃で12時間攪拌した。次に混合物を〜10℃まで冷却した。この混合物に濃H2SO4を、曇った黄色が定着するまで攪拌しながら滴下した。次に混合物をCH2CL2(3x50mL)で抽出した。水層を廃棄し、CH2CL2層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。この粗チオール(47.5ミリモル,〜64%)をDMF(100mL)に溶かし、NaH(1.9g, 48ミリモル)で処理した。発泡がおさまった後、p-クロロアセトフェノン(4.3mL, 33ミリモル)を加えた。次にこの溶液を110℃で3時間攪拌した。混合物を室温まで冷却した後、エーテル(200mL)で希釈した。このエーテル懸濁液を5% HCl(水溶液, 2x100mL)、水(100mL)、次いで食塩水(50mL)で洗浄した。エーテル抽出液を乾燥させ(MgSO4)、濾過して濃縮し、粗1-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルファニル)-フェニル]-エタノン1を得、これをクロマトグラフィー(SiO2, 9:1ヘキサン/EtOAc)で精製し、純粋な1-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルファニル)フェニル]エタノン1(7.4ミリモル, 4-クロロテトラヒドロピランから16%): HPLC保持時間5.41分(方法B) M+1; 269.0。
【0309】
3-ジメチルアミノ-1-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)フェニル]プロペノン
1-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルファニル)-フェニル]-エタノン1(7.4ミリモル)をアセトン/水(9:1v/v, 100mL)に溶かした。この溶液にオキソン(登録商標)(2.1当量, 9.1g)を加えた。反応物を室温で5時間攪拌した。混合物を濾過し、大部分のアセトンを真空下で除去した。次にこの溶液を水(50mL)で希釈し、CH2CL2(3x50mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、中間体テトラヒドロピラニルスルホンを得、これをジメチルホルムアミドジメチルアセタール(100mL)に溶かし、還流下で12時間攪拌した。この混合物を冷却した後、もとの量のほぼ半分まで濃縮した。ヘキサンを加えてエネアミノケトン中間体を沈殿させた。混合物を濾過し、ヘキサン(50mL)で洗浄し、乾燥させ、3-ジメチルアミノ-1-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルホニル)-フェニル]-プロペノン(2.2g, 7ミリモル)を得た: HPLC保持時間5.18分(方法B)M+1; 324.0。
【0310】
4-{4-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)-フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸
次に3-ジメチルアミノ-1-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルホニル)-フェニル]-プロペノンをnPrOH(80mL)に溶かした。この溶液に4-グアニジノ安息香酸メチルエステル塩酸塩(1.1当量, 1.7g)およびK2CO3(3当量, 2.9g)を加えた。この混合物を還流下で24時間攪拌した。その後、10% NaOH(水溶液, 50mL)を加え、混合物を還流下でさらに1時間攪拌した。次に混合物を室温まで冷却し、もとの量のほぼ半分の量まで濃縮した。次にこの混合物のpHをpH4〜5に調整し、4-{4-[4-(テトラヒドロ-ピラン-4-スルホニル)-フェニル]-ピリミジン-2-イルアミノ}-安息香酸4を沈殿させた。この酸を迅速に濾過し、水(50mL)、冷EtOH(50mL)で洗浄した後に乾燥させた(2.4g, 5.5ミリモル, 収率79%): HPLC保持時間6.07分(方法B) M+1; 593.3。
【0311】
[4-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-ピペラジン-1-イル]-(4-{4-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メタノン
4-{4-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)-フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}安息香酸4(0.26g, 0.6ミリモル)をTHF(5mL)に溶かした。この溶液に1-(N,N-ジメチルアミノプロピル)ピペラジン(0.130g)、EDCI(0.136g)、およびHOBt(0.096g)を加えた。この混合物を12時間攪拌した。次に混合物をCH2CL2(20mL)で希釈し、2% NaOH(水溶液, 30mL)、水(30mL)、次いで食塩水(30mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。粗固体を分取HPLC(20〜70アセトニトリル/水勾配, 20分)に付した。目的の画分を濃縮して大部分のアセトニトリルを除去した後、水性混合物をCH2CL2/2% NaOH水溶液で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過して濃縮し、[4-(3-ジメチルアミノ-プロピル)ピペラジン-1-イル]-(4-{4-[4-(テトラヒドロピラン-4-スルホニル)フェニル]ピリミジン-2-イルアミノ}フェニル)メタノン5(0.079g, 22%): HPLC保持時間7.93分(方法B) M+1=593.3。
【0312】
以下に挙げられた化合物は上記の手順に従って製造した。
【表10】

【0313】

【0314】

【0315】

【0316】

【0317】

【0318】

【0319】
実施例28
化合物の活性を測定するためのアッセイ
本発明の化合物は以下の方法に従って活性をアッセイすることができる。
【0320】
JNK2アッセイ
20%DMSO/80%希釈緩衝液(水中に20 mM HEPES (pH 7.6), 0.1 mM EDTA, 2.5 mM 塩化マグネシウム, 0.004% Triton x100, 2 μg/mL ロイペプチン、20 mM β-グリセロリン酸塩、0.1mM バナジン酸ナトリウム、および2 mM DTTを含む)中の試験化合物の溶液10mLに、同じ希釈緩衝液中のHis6-JNK2 (50 ng) の溶液30μLを添加する。該混合物を室温で30分間プレインキュベートする。アッセイ用緩衝液(水中に20 mM HEPES (pH 7.6)、50 mM 塩化ナトリウム, 0.1 mM EDTA, 24 mM 塩化マグネシウム, 1 mM DTT, 25 mM PNPP, 0.05% Triton x100, 11 μM ATP, および0.5μCiγ-32P ATPを含む)中のGST-c-jun (1-79)(10μg)の溶液60μLを添加して、反応を室温で1時間進行させる。c-Junリン酸化を、150μLの12.5%トリクロロ酢酸を添加することにより停止する。30分後、沈殿物を濾紙上に回収し、50μLのシンチレーション液で希釈し、カウンターにより定量する。IC50値は、c-Junリン酸化が対照値の50%にまで低下する試験化合物の濃度として算出する。本発明の好ましい化合物は、このアッセイにおいて0.01-10μMの範囲のIC50値を有する。
【0321】
JNK3アッセイ
20%DMSO/80%希釈緩衝液(水中に20 mM HEPES (pH 7.6), 0.1 mM EDTA, 2.5 mM 塩化マグネシウム, 0.004% Triton x100, 2 μg/mL ロイペプチン、20 mM β-グリセロリン酸塩、0.1mM バナジン酸ナトリウム、および2 mM DTTを含む)中の試験化合物の溶液10mLに、同じ希釈緩衝液中のHis6-JNK3 (200 ng) の溶液30μLを添加する。該混合物を室温で30分間プレインキュベートする。アッセイ用緩衝液(水中に20 mM HEPES (pH 7.6)、50 mM 塩化ナトリウム, 0.1 mM EDTA, 24 mM 塩化マグネシウム, 1 mM DTT, 25 mM PNPP, 0.05% Triton x100, 11 μM ATP, および0.5μCiγ-32P ATPを含む)中のGST-c-jun (1-79)(10μg)の溶液60μLを添加して、反応を室温で1時間進行させる。c-Junリン酸化を、150μLの12.5%トリクロロ酢酸を添加することにより停止する。30分後、沈殿物を濾紙上に回収し、50μLのシンチレーション液で希釈し、カウンターにより定量する。IC50値は、c-Junリン酸化が対照値の50%にまで低下する試験化合物の濃度として算出する。本発明の好ましい化合物は、このアッセイにおいて0.01-10μMの範囲のIC50値を有する。
【0322】
Jurkat T-細胞 Il-2産生アッセイ
Jurkat T細胞 (クローンE6-1)をAmerican Tissue Culture Collectionから購入し、2 mM L-グルタミン (Mediatech)、10%ウシ胎仔血清 (hyclone) およびペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI 1640培地からなる増殖培地中に維持する。全ての細胞を95%空気および5%CO2中で37℃にて培養する。細胞を、200mLの培地中で1ウェルあたり0.2 x 106個の細胞の密度で平板培養する。化合物の濃厚溶液(20mM)を増殖培地で希釈し、25μlの容量の10x 濃縮溶液として各ウェルに添加し、混合し、細胞と共に30分間インキュベートする。化合物ビヒクル (ジメチルスルホキシド)を全サンプル中で0.5%の最終濃度に維持する。30分後、細胞をPMA (ホルボールミリステートアセテート;最終濃度 50 ng/mL) およびPHA (フィトヘマグルチニン; 最終濃度 2 μg/mL) を用いて活性化する。PMAおよびPHAを増殖培地中で調製する10x濃度溶液として、各ウェルあたり25μLの容量で添加する。細胞のプレートを10時間培養する。細胞を遠心分離によりペレット化し、培地を除去し、-20℃で保存する。製造元 (Endogen) の指示に従って、培地のアリコートを、IL-2の存在についてサンドイッチELISAにより分析する。IC50値は、IL-2産生が対照値の50%にまで低下する試験化合物の濃度として算出する。本発明に係る好ましい化合物は、このアッセイにおいて0.1-30μMの範囲のIC50値を有する。
【0323】
ラットin vivo LPS誘導TNF-α産生アッセイ
オスCDラットをCharles River Laboratories から7週齢で入手し、使用前の1週間、順化させる。短時間のイソフルラン麻酔を施して22ゲージのオーバーザニードル (over-the-needle) カテーテルを用いて側面の尾部静脈に経皮的にカニューレ挿入する。尾部血管カテーテルを通じて静脈内注射することにより、または、0.05 mg/kg LPS (大腸菌055:B5)の注射の前に15〜180分間経口による強制的な栄養補給をすることにより、ラットに試験化合物を投与する。カテーテルを2.5 mL/kgの通常の注射用食塩水で洗い流す。LPSチャレンジの90分後に心臓穿刺により血液を採取する。血漿をリチウムヘパリン分離チューブを用いて調製し、分析するまでは-80℃で凍結させる。TNF-αレベルは、ラット特異的TNF-αELISAキット (Busywork) を用いて測定する。IC50値は、TNF-α産生が対照値の50%にまで低下する試験化合物の濃度として算出する。本発明に係る好ましい化合物は、このアッセイにおいて1-30mg/kgの範囲のIC50値を有する。
【0324】
リン酸化されたc-junの検出
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を80%のコンフルエンシーにまで培養したのち、0.5% DMSOの最終濃度で化合物(30μM)で前処理する。30分後、細胞をTNFα(30 ng/ml)で20分間刺激する。細胞を洗浄し、プレートからすくいとり、2x Laemmli緩衝液で細胞溶解させ、100℃で5分間加熱する。全細胞溶解液 (約30μg)をトリス-グリシン緩衝液化10%SDS-ポリアクリルアミドゲル (Novex, San Diego, CA) により分画し、ニトロセルロース膜 (Amersham, Piscataway, NJ)に移す。膜を5% 脱脂粉乳 (BioRad, Hercules, CA) でブロックし、抗ホスホ-cjun抗体 (1:1000 #91645) (New England Biolabs, Beverly, MA) とインキュベートした後、0.1% Tween-20 および 5% 脱脂粉乳ともに、リン酸緩衝食塩水中のロバ抗ウサギセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗体 (1:2500) (Amersham) とインキュベートする。免疫反応性タンパク質を化学発光およびオートラジオグラフィー (Amersham) で検出する。このアッセイにおいて30μmでcJun リン酸化の阻害が50%よりも大きい場合は、その化合物をJNK経路の阻害剤として選択する。
【0325】
実施例29
代表的化合物の活性
代表的なアニリノピリミジン誘導体は実施例28に示されたアッセイによりJNK2阻害能に関してアッセイすることができる。上記の通り、好ましいアニリノピリミジン誘導体はこのアッセイで0.01-10μMの範囲のIC50値を有する。JNK2アッセイにおいて10μM以下のIC50値を有するアニリノピリミジン誘導体としては、化合物番号1、3-2、3-4、3-9、3-10、3-11、3-12、3-13、3-14、3-15、3-16、3-17、3-22、3-23、3-24、3-25、3-26、3-27、3-29、3-30、3-34、3-36、3-37、3-40、17-2、17-3、17-6、17-18、17-20、17-21、17-22、17-23、17-24、17-25、17-26、17-27、17-28、17-29、17-30、17-31、17-32、17-33、17-34、17-35、17-37、17-54、17-86、17-91、17-106、17-118、17-119、17-121、17-127、17-128、17-129、17-130、17-131、17-132、17-133、17-134、17-135、17-136、17-137、17-139、17-140、17-141、17-142、17-143、17-144、17-147、17-148、17-149、17-150、17-151、17-152、17-153、17-154、17-157、17-158、17-159、17-160、17-161、17-162、17-163、17-164、17-169、17-171、17-190、17-215、18、20-1、20-2、20-3、20-4、20-5、20-6、22-10、22-11および25-52が挙げられる。本発明の好ましい化合物はJNK2アッセイにおいて1μM以下のIC50値を有するものであって、例えば、化合物番号3-2、3-4、3-9、3-13、3-14、3-15、3-23、3-24、3-25、3-40、17-20、17-21、17-22、17-24、17-29、17-30、17-31、17-32、17-33、17-34、17-37、17-127、17-129、17-137、17-141、17-147、17-154、17-169、17-171、17-190、18、20-1、20-3、20-4、22-10、22-11および25-52が挙げられる。
【0326】
本発明は実施例で開示された特定の実施形態により範囲を限定されるものではなく、これらの実施例は本発明のいくつかの態様を例示するものであり、機能的に同等な実施形態はいずれも本発明の範囲内にある。実際に、本明細書で示され、述べられたものの他、発明の種々の改変が当業者には明らかであり、それらも添付の特許請求の範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】

[式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2およびR3は同一であっても異なっていてもよく、独立に水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であっても異なっていてもよく、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、-(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9、または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
または、R5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各々独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか ;
または、R8およびR9はそれらが結合している原子とともに複素環または置換複素環を形成しており;
aおよびbは同一であっても異なっていてもよく、各々独立に0、1、2、3または4から選択され;かつ
cは各々0、1または2である]
を有する化合物またはその製薬上許容される塩を、代謝性症状を治療または予防するための薬物の製造に使用する方法。
【請求項2】
上記代謝性症状が肥満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記代謝性症状が遺伝性肥満、食事性肥満、ホルモン関連肥満または薬物の投与に関連する肥満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記代謝性症状がI型糖尿病、尿崩症、真性糖尿病、成人期発症糖尿病、若年型糖尿病、インスリン依存性糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、栄養不良関連糖尿病、ケトン症になりやすい糖尿病またはケトン症抵抗性糖尿病である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記代謝性症状が過敏性腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、ハンチントン病、胃炎、食道炎、膵炎または腎炎である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
構造:
【化2】

[式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2およびR3は同一であっても異なっていてもよく、独立に水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であっても異なっていてもよく、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、-(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9、または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
または、R5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各々独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか ;
または、R8およびR9はそれらが結合している原子とともに複素環または置換複素環を形成しており;
aおよびbは同一であっても異なっていてもよく、各々独立に0、1、2、3または4から選択され;かつ
cは各々0、1または2である]
を有する化合物またはその製薬上許容される塩を、外耳炎、急性中耳炎、聴覚の喪失、肺間質性線維症、肝線維症、腎線維症、創傷の治癒、熱傷の治癒、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー、アレルギー性鼻炎、急性呼吸窮迫症候群、全身性紅斑性狼瘡、腎症、膵炎、腹膜炎、敗血症、アルコールまたは毒素に誘発される肝疾患、硬化症、脂肪症または虚血再灌流損傷を治療または予防するための薬物の製造に使用する方法。
【請求項7】
構造:
【化3】

[式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2およびR3は同一であっても異なっていてもよく、独立に水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であっても異なっていてもよく、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、-(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9、または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
または、R5およびR6はそれらに結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各々独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であっても異なっていてもよく、各々独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルであるか ;
または、R8およびR9はそれらが結合している原子とともに複素環または置換複素環を形成しており;
aおよびbは同一であっても異なっていてもよく、各々独立に0、1、2、3または4から選択され;かつ
cは各々0、1または2である]
を有する化合物またはその製薬上許容される塩を、JNK阻害に応答する疾患を治療または予防するための薬物の製造に使用する方法。

【公表番号】特表2006−521394(P2006−521394A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509310(P2006−509310)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/009208
【国際公開番号】WO2004/084901
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(504135550)シグナル ファーマシューティカルズ,エルエルシー (21)
【Fターム(参考)】