説明

LED表示器

【課題】プリント配線回路基板への実装と、取り外しを容易、簡単になし得るLED表示器を提供する。
【解決手段】ケース体(2)の側面底部の2箇所に、それぞれに先端に鉤部(12a,13a)を有する一対の掛止片(12,13)を設けるとともに、LEDチップ(3)をプリント配線回路基板(14)に接続するためのリード端子(6,9)の先端部にプリント配線回路基板(14)の導電電極(16,17)に接触させる折曲片(6b,9b)を形成しておき、掛止片(12,13)の鉤部(12a,13a)を、プリント配線回路基板(14)に設けた穴部(15A,15B)に挿着し、又は取り外すことにより、LED表示器(1)を、プリント配線基板(14)に装着し、あるいは取り外しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED表示器、特にプリント配線回路基板への装脱着が容易なLED表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、LED表示器としては、複数のLEDチップがそれぞれ1対のリード端子に接続されて、一のケース体に収納されて構成され、各リード端子がプリント配線回路基板に半田付けされたものが、よく知られている。
【0003】
具体例を示すと、図10に示すように、LED表示器21は、一対のリード端子22,23を複数対備え、これら各対のリード端子22,23に、それぞれLEDチップ24が接続された複数の表示素子25がケース体26の上面に配置されるように構成されている。複数の表示素子25の配置態様は、ドットの列配置、ドットの行列配置、ドットの適宜の配置、日字状のセグメント、その他の態様と種々のものがある。
【0004】
この種のLED表示器21は、各リード端子22,23が、ケース体5の側部より下方に向けて突出された垂直部分22a,23aを有し、このLED表示器21をプリント配線回路基板30に装着実装するのに、プリント配線回路基板30の配線パターン31のリード端子挿入穴32に、リード端子22,23の垂直部分22a,23aを挿入し、リード端子22,23をプリント配線回路基板30の配線パターン31に半田付けするようにしている。
【0005】
以上のように、LED表示器をリード端子によりプリント配線回路基板の配線パターンに半田付けするようにしたLED表示器は、これまでに種々開示されている(例えば特許文献1,特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−199787号公報
【特許文献2】特開平6−43813号公報公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したLED表示器は、ゲーム機、情報処理装置、種々の広告用、情報表示用の表示盤等の機器本体のプリント配線回路基板に実装され、あるいは他の回路素子等とともに実装されたプリント配線回路基板を機器本体に組み込んで使用されることが多い。
【0008】
ところで、このようなLED表示器を表示手段として組み込んだゲーム機、情報処理装置、表示盤等の電子機器では、表示すべき情報,画像等の仕様、デザインが比較的短い期間で変更されることが多い。このような場合、新たな仕様、デザインが表示できるLED表示器を、それまで実装され、使用されていたLED表示器と交換するが、プリント配線回路基板毎の交換をするため、それまでのLED表示器を組み込んだプリント配線回路基板は、廃棄されることになる。そのため、LED表示器自体は、まだ使用できる場合でも、廃棄されるため無駄となり、結果的に高コストの表示手段の交換となる。また、そのためLED表示器のリード端子その他の導電部に金などの貴金属を積極的に使用しぬくいと言う問題がある。
【0009】
また、この交換の際には、用済みのプリント配線回路基板のリード端子の半田付け部の半田を溶かして、プリント配線回路基板からLED表示器を回収することが可能であるが、多くの、それぞれのプリント配線回路基板よりLED表示器の半田付けを外すとなると大変な作業となり、やはり高コストの再利用となり、実用的でない。
【0010】
本発明は、上記問題点に着目してなされたものであって、プリント配線回路基板への装着時はもちろん、プリント配線回路基板から取り外す場合にも手間、労力を要することなく簡単に取り外すことができ、それまで使用されていたゲーム機、情報処理装置、表示盤等の電子機器での使用が用済みとなっても、使用済みのプリント配線回路基板から容易に取り外すせ、他の電子機器に再活用することができるLED表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明のLED表示器は、複数組のリード端子と、これら複数組のリード端子に各々接続される複数個のLED素子と、これらLED素子および、各組リード端子とLED素子の接続部を収納するケース体と、からなるLED表示器において、前記ケース体に、被装着部に設けた穴部に装着する一対の掛止片を設けるとともに、前記各リード端子は、先端部に被装着部の導電部に接触させる折曲片を形成したものであることを特徴とする。
本発明において、より具体的な構成として、前記リード端子の前記折曲片は、前記ケース体の内方に向けて、折り曲げ形成されたものとしてもよい。
又、本発明において、より具体的な他の構成として、前記リード端子の前記折曲片は、前記ケース体の外方に向けて、折り曲げ形成されたものとしてもよい。
又、本発明において、さらに具体的な構成として、前記リード端子の少なくとも折曲片の表面を金で形成したものを使用してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明(請求項1記載の発明)によれば、ケース体に、被装着部に設けた穴部に装着する一対の掛止片を設けるとともに、各リード端子は、先端部に被装着部の導電部に接触させる折曲片を形成した構成とすることにより、LED表示器を被装着部であるプリント配線回路基板などに装着する際に、各リード端子の折曲片を、被装着部の導電電極パターンに接触させる状態で、掛止片を被装着部の穴部に挿入し、掛止させることにより、簡単に実装でき、また、掛止片を穴部から、取り外すことにより、簡単容易に被装着部から、LED表示器を取り外すことが出来る。
それゆえ、使用済みのLED表示器を、簡単にプリント回路基板から取り外せるので、廃棄することなく、次なる他の機器に再使用することができる。
請求項2記載の発明によれば、リード端子の折曲片をケース体の内方に折り曲げて形成しているので、ケース体の下方で被装着部の導電部に接触接続することができ、被装着部の狭い範囲でLED表示器を装着できる。
請求項3記載の発明によれば、リード端子の折曲片をケース体の外方に折り曲げて形成しているので、ケース体が全体として細長いなど、ケース体下面が小面積の場合でも、ケース体の周囲に配置される導電部に折曲片を接触接続でき、そのような占有面積の小さいLED表示器であっても、被装着部の導電部に電気的に接触する状態で装着できる。
請求項4に記載の発明によれば、リード端子の折曲片の材料として金メッキを使用するので、半田付けでなく、接触による電気接続でも、導電性の高い接続が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態に係るLED表示器の外観を示す図であって、平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)、左側面図(d)、右側面図(e)である。
【図2】同実施形態に係るLED表示器の外観斜視図である。
【図3】同実施形態に係るLED表示器を構成するリードフレームの外観を示す図であって、平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)、左側面図(d)、右側面図(e)、外観斜視図(f)である。
【図4】同実施形態に係るLED表示器をプリント配線回路基板に装着する場合を説明する外観図であって、平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)である。
【図5】同実施形態に係るLED表示器をプリント配線回路基板に装着する場合を説明する外観斜視図である。
【図6】図1の(b)に示すA−Aで切断したLED表示器の断面図である。
【図7】同実施形態に係るLED表示器をプリント配線回路基板に装着した状態を示す図であって、平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)である。
【図8】同実施形態に係るLED表示器をプリント配線回路基板に装着した状態を示す外観斜視図である。
【図9】この発明の他の実施形態に係るLED表示器を示す断面図である。
【図10】従来の一般的なLED表示器のプリント配線回路基板への取付例を説明する外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明を具体化した実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。
【0015】
図1、図2は、本発明の一実施形態に係るLED表示器の外観を示す図であって、図1は平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)、左側面図(d)、右側面図(e)であり、図2は、外観斜視図である。
この実施形態に係るLED表示器1は、長手状のケース体2の上面に、それぞれ3個のLEDチップ3が並設されてなる2つの表示部4A,4Bが設けられている。
前記各LEDチップ3は、それぞれベース5と、リード端子6とからなるリードフレーム7のベース5と、ベース8とリード端子9とからなるリードフレーム10のベース8に、両電極が接続されており、各LEDチップ3は、それぞれリード端子6とリード端子9によって、後述する外部のプリント配線回路基板に接続される。
各LEDチップ3を接続するリードフレーム7,10は、表示部4A,4B単位で示すと、図3に示す構造のものが使用されている。図3において、それぞれリードフレームの平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)、左側面図(d)、右側面図(e)及び斜視図(f)が示されている。
これらリードフレーム7,10は、図6の断面図に示すように、各LEDチップ3を搭載するためのベース板11に取り付けられている。各リード端子6,9は、ベース板11の側部に沿って下方に延びる垂直部6a,9aと、ベース板11の下端面より内側に折り曲げられ、ベース板11の下面には接触しない所定の角度を有する折曲片6b,9bとから構成されている。このリード端子6,9の折曲片6b,9bは、後述するように、LED表示器1をプリント配線回路基板14に装着した状態で、導電電極パターンに電気的に接触する。これらリード端子6,9には、導電材として一般的に使用される銅材を使用している。
このようにリード端子6,9に、折曲片6b,9bを備えたことが本発明のLED表示器の大きな特徴の一つである。
ケース体2は、上記した表示部4A,4B用の窓を上面に有する、下方が解放された長い直方体状のケースであり、下方よりLEDチップ3及びリードフレーム7,10を装着したベース板11を収納してLED表示器1を構成している。
このケース体2は、両短側辺底部から下方に向けて、先端に鉤部12a,13aを有する掛止片12,13を設けている。この掛止片12,13は、一方の鉤部12aと他方の鉤部13aを、それぞれの垂直方向の長さを異なるものとし、且つ先端外方の形状を短い方の鉤部12aは、正面視丸みを持たせるとともに、長い方の鉤部13aには正面視直線状としている。
このように、ケース体2の底部より下方に向けて一対の掛止片12,13を備えたことも、本発明のLED表示器の大きな特徴の一つである。
次に、上記実施形態に係るLED表示器1を、ゲーム機、情報処理装置、表示盤等の電子機器のプリント配線回路基板に装着する場合について、図4、図5を用いて説明する。図4,図5は、この実施形態に係るLED表示器をプリント配線回路基板に装着する場合を説明するための外観図であって、図4は、平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)であり、図5は外観斜視図である。
LED表示器1を装着するプリント配線回路基板14は、LED表示器1の掛止片12,13を挿着するための穴15A,15Bを備えるとともに、LED表示器1のリード端子6,9の折曲片6b,9bを電気的に接触させる導電電極パターン16,17を備えている。
図4、図5に示す状態から、ケース体2の短い方の掛止片12の先端12aをプリント配線回路基板14の穴15Aに挿入し、掛止片12の先端鉤部12aを穴15Aの底面外側に当てた状態とし、次にケース体2の長い方の掛止片13の先端鉤部13aをプリント配線回路基板14の穴15Bに完全に嵌め込む。これにより、LED表示器1は、プリント配線回路基板14に完全に装着され、リード端子6,9の折曲片6b,9bも、圧接されて導電電極パターン16,17に完全に接触し、電気的導通状態となる。
LED表示器1を、プリント回路基板14に完全に装着した状態の外観図を、図6、図7に示す。図6は、平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)であり、図7は外観斜視図である。
図6、図7に示すLED表示器1の装着状態から、LED表示器1をプリント配線回路基板14より取り外す場合は、長い方の掛止片13の鉤部13aを内側(鉤部12aの方向)に向けて曲げるとともに、上方に押すと穴15Bから鉤部13aが外れ、次に短い方の掛止片2の鉤部12aを穴15Aから外すことにより、非常に簡単にLED表示器1を、実装していたプリント回路基板14から取り外すことが出来る。
なお、上記実施形態のLED表示器1のケース体2は、平面視して長方形状をしたものであるが、この発明においては、ケース体の形状は長方形に限るものではなく、正方形,円形,長円形その他の形状のものであってもよいこと言うまでもない。
又、上記実施形態のLED表示器では、リード端子6,9の折曲片6b,9bを、ケース体2の下面内方向に折り曲げるようにしているが、LED表示器1の幅が細く、ケース体2の下面に相当するプリント配線基板14上に導電電極16,17を配置できないような場合には、他の実施形態として、図9に示すように,LED表示器1Aのリード端子6,9の折曲片6b,9bをケース体2より外方に向けて形成し、この折曲片6b,9bに対応して、プリント配線基板14上に導電電極パターン16,17を形成するようにしてもよい。
又、上記実施形態において、リード端子6,9として銅材を使用しているが、この発明のLED表示器は、装着、取り外しにより何回も再活用できることと、従来の半田付けするタイプのものに比しトータルコストを下げ得ることも考慮して、かつ折曲片6b,9bの電気的接触性を向上し導電性を高めるために、銅材に代えて金を使用してもよい。折曲片6b,9b全体を金で構成してもよいし、その表面のみを金メッキしてもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 LED表示器
2 ケース体
3 LEDチップ
4A,4B 表示部
5,8 ベース部
6,9 リード端子
6b,9b 折曲片
7,10 リードフレーム
11 ベース板
12,13 掛止片
12a,13a 鉤部
14 プリント配線回路基板
15A,15B 掛止片装着穴
16,17 導電電極パターン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数組のリード端子と、これら複数組のリード端子に各々接続される複数個のLED素子と、これらLED素子および、各組リード端子とLED素子の接続部を収納するケース体と、からなるLED表示器において、
前記ケース体に、被装着部に設けた穴部に装着する一対の掛止片を設けるとともに、前記各リード端子は、先端部に被装着部の導電部に接触させる折曲片を形成したものであることを特徴とするLED表示器。
【請求項2】
前記リード端子の前記折曲片は、前記ケース体の内方に向けて、折り曲げ形成されたものであることを特徴とする請求項1記載のLED表示器。
【請求項3】
前記リード端子の前記折曲片は、前記ケース体の外方に向けて、折り曲げ形成されたものであることを特徴とする請求項1記載のLED表示器。
【請求項4】
前記リード端子の折曲片は、少なくとも表面を金(Au)で形成してなることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のLED表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−159845(P2011−159845A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20929(P2010−20929)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(592190121)エーシック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】