説明

PLL周波数シンセサイザ

【課題】改善された位相雑音特性を有するPLL周波数シンセサイザを提供する。
【解決手段】VCO20は、制御電圧VCNTに応じた周波数fVCOで発振する。周波数ミキサ22は、VCO20の出力信号SVCOとローカル周波数fLOを有するローカル信号SLOを周波数ミキシングする。第1フィルタ26は、ミキサ22によるミキシングにより得られる差周波信号SDIFFを抽出する。位相誤差検出部12は、第1フィルタ26により抽出された差周波信号SDIFFと基準周波数fREFを有する基準信号SREFの位相を比較し、位相差に応じた位相誤差信号VPEを生成する。ループフィルタ18は、位相誤差信号VPEをフィルタリングし、制御電圧VCNTを生成する。第2フィルタ28は、ミキサ22によるミキシングにより得られる和周波信号SSUMを抽出し、出力端子OUTから和周波信号SSUMを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLL(Phase Locked Loop)周波数シンセサイザに関する。
【背景技術】
【0002】
任意の周波数を有する信号を発生するために、PLL周波数シンセサイザが利用される。PLL周波数シンセサイザとしては、分周器を用いたPLLを用いたものや、分周器に代えて周波数ミキサを有するもの、あるいはその両方を有するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図1は、PLL周波数シンセサイザの構成例を示すブロック図である。
VCO(電圧制御発振器)20は、制御電圧VCNTに応じた周波数fVCOで発振する。ローカル発振器24は、ローカル周波数fLOを有するローカル信号SLOを発生する。ミキサ22は、VCO20の出力信号SVCOとローカル信号SLOを周波数ミキシングする。ミキサ22によるミキシングにより、和周波数fVCO+fLOを有する信号SSUMおよび差周波数fVCO−fLOを有する信号SDIFFが生成される。フィルタ26はローパスフィルタであり、ミキサ22によりミキシングされた差周波信号SDIFFを抽出する。
【0004】
位相誤差検出部12は、基準発振器10から出力される基準周波数fREFを有する基準周波数信号SREFと、差周波信号SDIFFの位相を比較し、位相差に応じた位相誤差信号VPEを生成する。具体的には、位相比較器14は、基準周波数信号SREFと差周波信号SDIFFの位相関係に応じて、アップダウン信号UP/DNを発生する。チャージポンプ回路16は、アップダウン信号UP/DNに応じてキャパシタを充放電し、キャパシタに生ずる電圧を位相誤差信号VPEとして出力する。ループフィルタ18は、位相誤差信号VPEをフィルタリングし、VCO20に対する制御電圧VCNTとして出力する。
【0005】
PLL周波数シンセサイザ1100は、VCO20の出力信号SVCOを出力端子OUTから出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−40959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PLL周波数シンセサイザ1100では、差周波信号SDIFFの周波数fVCO−fLOが、基準周波数fREFと等しくなるようにフィードバックループが形成され、式(1)が成り立つ。
VCO−fLO=fREF …(1)
つまりPLL周波数シンセサイザ1100の出力信号SOUTの周波数fOUTは、式(2)で与えられる。
OUT=fVCO=fLO+fREF …(2)
【0008】
図1のPLL周波数シンセサイザ1100は、分周器ではなくミキサ22を用いて、基準周波数fREFと比較すべき信号(位相比較対象信号)SDIFFを生成する。位相比較対称信号の生成に1/N分周器を用いると、基準発振器10や位相比較器14の位相雑音性能がN倍悪化して出力信号に現れるが、図1のPLL周波数シンセサイザ1100では、分周器に代えてミキサ22を用いるため、位相雑音性能の悪化を抑制できるという利点がある。
【0009】
ところが、図1のPLL周波数シンセサイザ1100では、fOUT=fVCOであるため、所望の出力周波数fOUTと同じ周波数で発振するVCOが必要となる。一般に、VCOの位相雑音特性は、その発振周波数が高いものほど悪いため、出力周波数fOUTが高い場合には、図1のPLL周波数シンセサイザ1100の位相雑音特性は悪化する。
【0010】
この対策として、PLL周波数シンセサイザ1100の後段に、VCO20の出力信号SVCOをM逓倍する周波数逓倍器を設け、fOUT=fVCO×Mとする場合もある。この場合、VCO20の発振周波数fVCOは、周波数逓倍器を設けない場合の1/M倍となるため、VCO20自身の位相雑音特性は改善されるが、その後段の周波数逓倍器によって位相雑音もM倍されるため、それほど位相雑音性能は改善されない。
【0011】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、改善された位相雑音特性を有するPLL周波数シンセサイザの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある態様は、PLL周波数シンセサイザに関する。PLL周波数シンセサイザは、制御電圧に応じた周波数で発振する電圧制御発振器と、ローカル周波数を有するローカル信号を発生するローカル発振器と、基準周波数を有する基準信号を発生する基準信号発生器と、電圧制御発振器の出力信号とローカル信号を周波数ミキシングする周波数ミキサと、ミキサによるミキシングにより得られる差周波信号を抽出する第1フィルタと、第1フィルタにより抽出された差周波信号と基準信号の位相を比較し、位相差に応じた位相誤差信号を生成する位相誤差検出部と、位相誤差信号をフィルタリングし、制御電圧を生成するループフィルタと、ミキサによるミキシングにより得られる和周波信号を抽出する第2フィルタと、を備える。このPLL周波数シンセサイザは、和周波信号を出力する。
【0013】
この態様によると、PLL周波数シンセサイザの出力信号の周波数に対して、電圧制御発振器の発振周波数は、ローカル周波数分低くて済む。したがって、発振周波数帯域が低い、すなわち位相雑音特性が優れた電圧制御発振器を用いることができ、PLL周波数シンセサイザ全体の位相雑音特性を改善することができる。
【0014】
ある態様のPLL周波数シンセサイザは、和周波信号と電圧制御発振器の出力信号を受け、一方を選択して出力するセレクタをさらに備えてもよい。
この場合、PLL周波数シンセサイザの出力信号の周波数を切りかえることができる。
【0015】
ある態様のPLL周波数シンセサイザは、差周波信号を分周する分周器をさらに備えてもよい。位相誤差検出部は、差周波信号に代えて分周器の出力信号と基準信号の位相を比較してもよい。
基準信号の周波数をそれほど高くできない場合には、差周波信号を分周器で分周した後に、位相誤差検出部へと入力することにより、基準信号の周波数を低くすることができる。また分周比を制御可能なプログラマブル分周器を用いれば、分周比に応じて出力周波数を制御できる。
【0016】
基準信号発生器は、DDS(Direct Digital Synthesizer)信号源を含んでもよい。この場合、基準周波数を任意に制御することができる。
【0017】
ある態様のPLL周波数シンセサイザは、電圧制御発振器の出力信号を受ける第1バッファと、第2フィルタからの和周波信号を受ける第2バッファと、をさらに備えてもよい。この場合、信号のアイソレーションを高めることができる。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のある態様によれば、改善された位相雑音特性を有するPLL周波数シンセサイザの提供にある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】PLL周波数シンセサイザの構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係るPLL周波数シンセサイザの構成を示すブロック図である。
【図3】ミキサの入出力特性を示す図である。
【図4】第1の変形例に係るPLL周波数シンセサイザの構成を示すブロック図である。
【図5】第2の変形例に係るPLL周波数シンセサイザの構成を示すブロック図である。
【図6】第1フィルタおよび第2フィルタの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0022】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0023】
図2は、実施の形態に係るPLL周波数シンセサイザ100の構成を示すブロック図である。PLL周波数シンセサイザ100は、基準発振器10、位相誤差検出部12、ループフィルタ18、VCO20、ミキサ22、ローカル発振器24、第1フィルタ26、第2フィルタ28を備える。
【0024】
VCO(電圧制御発振器)20は、制御電圧VCNTに応じた周波数fVCOで発振する。ローカル発振器24は、ローカル周波数fLOを有するローカル信号SLOを発生する。ミキサ22は、VCO20の出力信号SVCOとローカル信号SLOを周波数ミキシングする。ミキサ22によるミキシングにより、和周波数fSUM(=fVCO+fLO)を有する信号SSUMおよび差周波数fDIFF(=fVCO−fLO)を有する信号SDIFFが生成される。第1フィルタ26はミキサ22によるミキシングにより得られる和周波信号SSUMを除去し、差周波信号SDIFFを抽出する。たとえば第1フィルタ26は、差周波信号SDIFFよりも高いカットオフ周波数を有するローパスフィルタである。
【0025】
位相誤差検出部12は、基準発振器10から出力される基準周波数fREFを有する基準周波数信号SREFと、差周波信号SDIFFの位相を比較し、位相差に応じた位相誤差信号VPEを生成する。具体的には、位相比較器14は、基準周波数信号SREFと差周波信号SDIFFの位相関係に応じて、アップダウン信号UP/DNを発生する。チャージポンプ回路16は、アップダウン信号UP/DNに応じてキャパシタを充放電し、キャパシタに生ずる電圧を位相誤差信号VPEとして出力する。ループフィルタ18は、位相誤差信号VPEをフィルタリングし、VCO20に対する制御電圧VCNTとして出力する。なお位相誤差検出部12の構成は図2のそれには限定されない。
【0026】
第2フィルタ28は、ミキサ22によるミキシングにより得られる差周波信号SDIFFを除去し、和周波信号SSUMを抽出する。たとえば第2フィルタ28は、和周波数fSUMよりも低いカットオフ周波数を有するハイパスフィルタである。第1フィルタ26および第2フィルタ28は、ダイプレクサあるいは分波器(30)として理解することができる。
【0027】
PLL周波数シンセサイザ100は、第2フィルタ28により抽出された和周波信号SSUMを、出力端子OUTから出力する。つまりPLL周波数シンセサイザ100の出力周波数fOUTは、
OUT=fSUM=fVCO+fLO …(3)
となる。
【0028】
以上がPLL周波数シンセサイザ100の構成である。続いてその動作を説明する。
図3は、ミキサ22の入出力特性を示す図である。上段は入力信号であるSVCOおよびローカル信号fLOの強度を、下段はミキシングにより生成される和周波信号SSUMおよび差周波信号SDIFFの強度を示している。
【0029】
PLL周波数シンセサイザ100のフィードバックループにより、fREF=fDIFFが成り立つように、言い換えれば式(4)が成り立つように、周波数(位相)ロックされる。
REF=fVCO−fLO …(4)
【0030】
式(4)を変形すると、式(5)を得る。
VCO=fREF+fLO …(5)
式(5)を式(3)に代入すると、出力周波数fOUTは、式(6)で表される。
OUT=fREF+2×fLO …(6)
【0031】
たとえば、基準周波数fREFは数百MHz程度、ここでは200MHzとする。ローカル周波数fLOを2GHzとすれば、VCO20の発振周波数fVCOは、式(5)から2.2GHzとなる。
【0032】
そしてVCO20の出力信号SVCOとローカル信号SLOをミキシングして得られる和周波信号SSUMつまり、PLL周波数シンセサイザ100の出力信号SOUTの周波数fOUTは式(6)から、
fOUT=0.2+2×2=4.2GHz
となる。
【0033】
図2のPLL周波数シンセサイザ100の利点は、図1のPLL周波数シンセサイザ1100との対比によって明確となる。図1のPLL周波数シンセサイザ1100の出力周波数fOUTは、式(2)で与えられる。つまり、図1のPLL周波数シンセサイザ1100において、fREF=200MHzが供給される場合、出力周波数fOUT=4.2GHzを得るためには、fLO=4GHz、fVCO=4.2GHzとする必要がある。
【0034】
これに対して図2のPLL周波数シンセサイザ100によれば、VCO20の発振周波数fVCOよりも2倍以上高い出力周波数fOUTを得ることができる。言い換えれば、VCO20の発振周波数fVCOは、出力周波数fOUTの1/2程度で足りる。
【0035】
VCO20の位相雑音特性は、その発振周波数が高くなるほど悪化するところ、図2のPLL周波数シンセサイザ100によれば、図1よりもVCO20の発振周波数を1/2程度まで低くすることができるため、位相雑音特性を大幅に改善することができる。
【0036】
また図1ではローカル周波数fLOが4GHzであるのに対して、図2では、ローカル周波数fLOは2GHzと低くなっている。ローカル発振器24の構成にも依存するが、一般的に発振器の位相雑音特性は発振周波数が高いほど悪化する。したがって、図2のPLL周波数シンセサイザ100では、図1に比べてローカル信号SLOの位相雑音特性も優れており、その結果、それをミキシングして得られる出力信号SOUTの位相雑音特性も改善することができる。
【0037】
なお、図1のPLL周波数シンセサイザ1100においては、ミキサ22における和周波成分は不要であるため、ミキサ22は、差周波数fDIFFのゲインが高くなるように設計される。一方、図2のPLL周波数シンセサイザ100においてミキサ22は、必要なレベルの和周波fSUMが得られるように、そのゲインが設計されている点で、図1とは異なっていることにも留意すべきである。
【0038】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0039】
図4は、第1の変形例に係るPLL周波数シンセサイザ100aの構成を示すブロック図である。PLL周波数シンセサイザ100aは、図2のPLL周波数シンセサイザ100に加えてさらにセレクタ32を備える。
【0040】
セレクタ32は、2つの入力端子の一方にVCO20の出力信号SVCOが入力され、他方に第2フィルタ28の出力信号、つまり和周波信号SSUMが入力される。セレクタ32の出力端子は、PLL周波数シンセサイザ100aの出力端子OUTと接続される。
【0041】
このPLL周波数シンセサイザ100aによれば、その出力周波数fOUTを、図2のPLL周波数シンセサイザ100のそれ(fVCO)と、図1のPLL周波数シンセサイザ1100のそれ(fVCO+fLO)と、で切りかえることができる。
【0042】
図5は、第2の変形例に係るPLL周波数シンセサイザ100bの構成を示すブロック図である。図5のPLL周波数シンセサイザ100bは、基準信号SREFを、基準発振器10から直接得るのではなく、DDS(Direct Digital Synthesizer)信号源11により発生させる。これにより、基準周波数fREFを制御でき、出力周波数fOUTを制御することができる。
【0043】
また、PLL周波数シンセサイザ100bは、第1フィルタ26の後段に分周器34を備える。分周器34は、第1フィルタ26の出力信号(差周波信号SDIFF)を1/N分周し、位相誤差検出部12へと出力する。位相誤差検出部12は、差周波信号SDIFFに代えて分周器34の出力信号SDIFF’と基準信号SREFの位相を比較する。
分周器34を設けた場合、
REF=fDIFF/N=(fVCO−fLO)/N
が成り立つようにフィードバックがかかる。つまり、
VCO=N×fREF+fLO
が成り立つ。分周器34を設けることにより、設けない場合に比べて、同じ出力周波数fOUTを得るために必要な基準周波数fREFを低くすることができる。
また分周器34を、分周比(1/N)を制御可能なプログラマブル分周器とすれば、分周比に応じて出力周波数fOUTを制御できる。
【0044】
PLL周波数シンセサイザ100bは、さらに第1バッファBUF1〜第3バッファBUF3を備える。
第1バッファBUF1は、VCO20の後段に挿入される。第2バッファBUF2は、第2フィルタ28の後段に挿入される。第3バッファBUF3は、第1バッファBUF1とミキサ22の間に挿入される。これらのバッファBUF1〜BUF3を設けることにより、回路のアイソレーションを改善することができる。
【0045】
なお、図5に示される追加的な回路要素は、単独で用いてもよいし、任意に組み合わせて用いてもよいことは言うまでもない。
【0046】
図6は、第1フィルタ26および第2フィルタ28の変形例を示す図である。図6(a)の第1フィルタ26、第2フィルタ28は、図2のそれらと同様である。
【0047】
図6(b)の第1フィルタ26は、その通過周波数が差周波数fDIFFにチューニングされたバンドパスフィルタであり、第2フィルタ28はハイパスフィルタである。第1フィルタ26としてバンドパスフィルタを用いた場合、差周波数fDIFFよりも低い周波数をフィードループから除去できるため、低周波数が特性の悪化を招く場合には有効である。
【0048】
図6(c)の第1フィルタ26はローパスフィルタであり、第2フィルタ28は、その通過周波数が和周波数fSUMにチューニングされたバンドパスフィルタである。第2フィルタ28としてバンドパスフィルタを用いた場合、和周波数fSUMよりも高周波数の信号成分(つまりノイズ)が、出力端子OUTから漏れ出るのを防止できる。
【0049】
図6(d)では、第1フィルタ26および第2フィルタ28は両方バンドパスフィルタである。この場合、図6(b)、(c)双方の利点を享受できる。
【0050】
実施の形態では、位相誤差検出部12にフィードバックされる差周波信号SDIFFの周波数が、
DIFF=fVCO−fLO
の場合を説明したが、本発明はそれに限定されず、差周波信号SDIFFの周波数fDIFFは、
DIFF=fLO−fVCO
であってもよい。この場合、fLO−fVCO=fREFが成り立つように周波数が安定化される。
【0051】
実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0052】
100…PLL周波数シンセサイザ、10…基準発振器、11…DDS信号源、12…位相誤差検出部、14…位相比較器、16…チャージポンプ回路、18…ループフィルタ、20…VCO、22…ミキサ、24…ローカル発振器、26…第1フィルタ、28…第2フィルタ、30…ダイプレクサ、32…セレクタ、34…分周器、BUF1…第1バッファ、BUF2…第2バッファ、BUF3…第3バッファ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御電圧に応じた周波数で発振する電圧制御発振器と、
ローカル周波数を有するローカル信号を発生するローカル発振器と、
基準周波数を有する基準信号を発生する基準信号発生器と、
前記電圧制御発振器の出力信号と前記ローカル信号を周波数ミキシングする周波数ミキサと、
前記ミキサによるミキシングにより得られる差周波信号を抽出する第1フィルタと、
前記第1フィルタにより抽出された前記差周波信号と前記基準信号の位相を比較し、位相差に応じた位相誤差信号を生成する位相誤差検出部と、
前記位相誤差信号をフィルタリングし、前記制御電圧を生成するループフィルタと、
前記ミキサによるミキシングにより得られる和周波信号を抽出する第2フィルタと、
を備え、
前記和周波信号を出力することを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。
【請求項2】
前記和周波信号と前記電圧制御発振器の出力信号を受け、一方を選択して出力するセレクタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のPLL周波数シンセサイザ。
【請求項3】
前記差周波信号を分周する分周器をさらに備え、
前記位相誤差検出部は、前記差周波信号に代えて前記分周器の出力信号と前記基準信号の位相を比較することを特徴とする請求項1または2に記載のPLL周波数シンセサイザ。
【請求項4】
前記基準信号発生器は、DDS(Direct Digital Synthesizer)信号源を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のPLL周波数シンセサイザ。
【請求項5】
前記電圧制御発振器の出力信号を受ける第1バッファと、
前記第2フィルタからの和周波信号を受ける第2バッファと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のPLL周波数シンセサイザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−244279(P2011−244279A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115617(P2010−115617)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】