説明

PLL回路、DLL回路

【課題】基準クロック信号と比較対象となるクロック信号の両者の位相を比較する位相比較器から位相差信号が出力され続けるPLL回路又はDLL回路にあって、両信号の同期を適切に検出して低ジッタ動作を実現する。
【解決手段】同期判定回路(15)は、基準クロック信号(R)の位相を基準として帰還クロック信号(V)の位相が進相又は遅相であるかを検出し、両信号の位相差の期間、進相検出信号(DOWN)又は遅相検出信号(UP)を出力する進相及び遅相検出部(158)と、進相検出信号(DOWN)が出力されている期間、初期値からの計数を開始する進相期間計数部(155)と、遅相検出信号UPが出力されている期間、初期値からの計数を開始する遅相期間計数部(156)と、進相期間計数部又は遅相期間計数部の計数値が第1の規定値に到達しない回数が第2の規定値を上回ったとき、位相同期検出信号(P_DET)を出力する位相同期判定部(157)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLL回路、DLL回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路の動作を決めるクロック信号の高速化に伴って、クロック分配遅延やクロックスキューが重要な課題となってきており、高周波数かつ高精度のクロックを生成可能なPLL(Phase Locked Loop)回路の重要度が増してきている。
【0003】
図12は、従来のPLL回路の構成を示したブロック図である(例えば、特許文献1(第7図)を参照)。
【0004】
図12に示すPLL回路は、VCO(Voltage Controlled Oscillator)13の出力クロック信号を1/N分周器14により分周して得られる帰還クロック信号Vと基準クロック信号R1とが入力され、それぞれの位相を比較する位相比較器10と、帰還クロック信号Vと基準クロック信号R2とが入力され、それぞれの周波数を比較する周波数比較器16とを備えている。つまり、図12に示すPLL回路は、二入力信号間の位相を同期させる為の位相同期ループと、二入力間の周波数を同期させる為の周波数同期ループとがある。
【0005】
位相比較器10は、帰還クロック信号Vと基準クロック信号R1との間の位相差に比例した時間幅の信号をチャージポンプ11に出力する。なお、特許文献1の第11図には、位相比較器10のタイミングチャートが示されている。周波数比較器16は、帰還クロック信号Vと基準クロック信号R2との周波数差に比例した時間幅の信号をチャージポンプ11に出力する。なお、特許文献1の第9図には、周波数比較器16のタイミングチャートが示されている。
【0006】
切替制御信号SWに基づいて位相比較器10又は周波数比較器16のいずれか一方が作動する。チャージポンプ11は、位相比較器10又は周波数比較器16から出力された信号に基づいてLPF12のコンデンサを充放電する。これにより、VCO13の入力電圧は、帰還クロック信号Vと基準クロック信号R1との位相差又は帰還クロック信号Vと基準クロック信号R2との周波数差に比例して変化する。例えば、基準クロック信号R1に対して帰還クロック信号Vの位相が遅れていれば、VCO13の入力電圧を上げる為にチャージポンプ11からLPF12のコンデンサへの充電電流が増加され、逆に進んでいればVCO13の入力電圧を下げる為にチャージポンプ11からLPF12のコンデンサへの充電電流が減少される。
【0007】
上記のようなPLL回路の構成により、VCO13において基準クロック信号R1の位相又は基準クロック信号R2の周波数に同期(ロック)した出力電圧Vが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−125528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図12に示したような従来のPLL回路は、帰還クロック信号と基準クロック信号との間の位相差が等しくなり安定した同期(ロック)状態であっても、チャージポンプ電流がゼロになることに起因した不感帯をなくすため、位相比較器が帰還クロック信号と基準クロック信号との間の位相差に応じた信号を停止せずにチャージポンプに出力し続けるように構成されている。
【0010】
また、従来のPLL回路では、位相同期ループにより帰還クロック信号の位相を常時一定に保つためのフィードバック制御を行っているので、出力クロック信号(VCO出力)は位相又は周波数の微小な変化に追従した波形となる。
【0011】
従って、従来のPLL回路では、同期状態であっても位相比較器が位相差に応じた信号を出力し続けているので、出力クロック信号にはジッタ(時間的なずれや揺らぎ)が発生することになる。特に、従来のPLL回路が搭載されるシステムのモード切替時や電源投入時などにおいて、このジッタの発生は顕著である。
【0012】
なお、上記の位相比較器の問題点は、周波数比較器においても同様に発生する。また、従来のDLL(Delay Locked Loop)回路においても同様に発生する。
【0013】
本発明は、上記のような従来の課題を解決するためになされたものであり、基準クロック信号と比較対象となるクロック信号の両者の位相を比較する位相比較器から位相差信号が出力され続けるPLL回路又はDLL回路にあって、両信号の同期を適切に検出して低ジッタ動作を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係るPLL回路は、基準クロック信号及び出力クロック信号の帰還クロック信号の両者の位相を比較して、その両者の位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較器と、前記位相比較器から出力された前記位相差信号をチャージポンプ電流に変換するチャージポンプと、前記チャージポンプから出力された前記チャージポンプ電流に応じた電圧を平滑化するローパスフィルタと、前記ローパスフィルタから出力された電圧に応じた周波数となる前記出力クロック信号を生成する電圧制御発振器と、前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号の同期を判定する同期判定回路と、を備え、前記同期判定回路は、前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号が入力され、前記基準クロック信号の位相を基準として前記帰還クロック信号の位相が進相又は遅相であるかを検出して、前記基準クロック信号と前記帰還クロック信号との位相差の期間、進相検出信号又は遅相検出信号を出力する進相及び遅相検出部と、前記進相及び遅相検出部から前記進相検出信号が出力されている期間、初期値からの計数を開始して、計数値が第1の規定値に到達したときに当該計数値をリセットする進相期間計数部と、前記進相及び遅相検出部から前記遅相検出信号が出力されている期間、初期値からの計数を開始して、計数値が前記第1の規定値に到達したときに当該計数値をリセットする遅相期間計数部と、 前記進相期間計数部又は前記遅相期間計数部の計数値が前記第1の規定値に到達しない回数が第2の規定値を上回ったとき、位相同期検出信号を出力する位相同期判定部と、を備え、前記チャージポンプ、前記ローパスフィルタ又は前記電圧制御発振器は、前記位相同期検出信号に基づいてループゲインを低減するように制御される。
【0015】
この構成によれば、進相検出信号又は遅相検出信号が出力されている基準クロック信号及び帰還クロック信号の位相差の期間を計数したときの計数値が第1の規定値に到達しなければ、基準クロック信号及び帰還クロック信号の両者の位相が近いと判定される。さらに、その計数値が第1の規定値に到達しない回数が第2の規定値を上回れば、両者の位相が近いとの判定が第2の規定値の回数分繰り返し行われたことになるので、このとき、基準クロック信号及び帰還クロック信号の両者の位相が等しいことを表す位相同期検出信号が出力される。そして、この位相同期検出信号は、ループゲインを低減するようにチャージポンプ、ローパスフィルタ又は電圧制御発振器を制御する制御信号として用いられる。これにより、基準クロック信号及び帰還クロック信号が同期しても位相比較器から位相差信号が出力され続けるPLL回路において、両信号の同期を適切に検出するとともに、この同期検出時にループゲインを低減することによって低ジッタ動作を実現できる。
【0016】
上記のPLL回路において、前記進相及び遅相検出部は、前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号が入力され、前記基準クロック信号が入力されたときに加算計数し、前記帰還クロック信号が入力されたときに減算計数するアップダウン計数部と、前記アップダウン計数部の計数値がその初期値から離れた規定値となるときに、前記アップダウン計数部の計数値を所定値にリセットさせるリセット信号を出力するリセット信号生成部と、前記リセット信号に基づいて前記進相検出信号又は前記遅相検出信号を生成する進相及び遅相検出信号生成部と、を備えるとしてもよい。
【0017】
この構成によれば、ジッタが生じている場合の基準クロック信号及び帰還クロック信号の両者の位相関係を直接的かつ一義的に判定することは困難なため、まず両者の周波数関係を判定した上で、その判定結果に基づいて両者の位相関係を判定する。つまり、両者の周波数関係は、基準クロック信号が入力されると加算計数(カウントアップ)し、帰還クロック信号が入力されると減算計数(カウントダウン)するアップダウン計数部の計数値に基づいて容易に行える。なお、基準クロック信号の周波数を基準として帰還クロック信号の周波数が高い場合と低い場合とでは、リセット信号が生成される際のアップダウン計数部の計数値が異なることを利用する。そして、基準クロック信号の周波数に対して帰還クロック信号の周波数が高ければ、基準クロック信号の位相に対して帰還クロック信号の位相は進んだ状態に次第に移行するであろうし、逆に帰還クロック信号の周波数が低ければ、基準クロック信号の位相に対して帰還クロック信号の位相は遅れた状態に次第に移行するであろうことが容易に推測できる。そこで、両者の周波数差が判定された後に、アップダウン計数部の計数値に応じて生成されるリセット信号によって基準クロック信号の位相を基準として帰還クロック信号の位相が進相又は遅相のいずれであるかを判定できる。
【0018】
上記のPLL回路において、前記同期判定回路は、前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号が入力され、前記基準クロック信号の位相を基準として前記帰還クロック信号の位相が進相又は遅相であるかを検出して、進相又は遅相が連続して検出された回数を計数する進相及び遅相連続回数計数部と、前記進相及び遅相連続回数計数部の計数値が2以上である前記第3の規定値に到達する回数が第4の規定値を上回ったとき、周波数同期検出信号を出力する周波数同期判定部と、を備え、前記チャージポンプ、前記ローパスフィルタ又は前記電圧制御発振器は、前記位相同期検出信号及び前記周波数同期検出信号に基づいてループゲインを低減するように制御されるとしてもよい。
【0019】
この構成によれば、進相又は遅相が連続して検出された回数を計数したときの計数値が第3の規定値に到達すれば、基準クロック信号及び帰還クロック信号の両者の周波数が近いと判定される。さらに、その計数値が第3の規定値に到達する回数が第4規定値を上回れば、両者の周波数が近いとの判定が第4の規定値の回数分繰り返し行われたことになるので、このとき、基準クロック信号及び帰還クロック信号の両者の周波数が等しいことを表す周波数同期検出信号が出力される。そして、この周波数同期検出信号は、位相同期検出信号と同様に、ループゲインを低減するようにチャージポンプ、ローパスフィルタ又は電圧制御発振器を制御する制御信号として用いられる。これにより、基準クロック信号及び帰還クロック信号が同期しても位相比較器及び周波数比較器から信号が出力され続けるPLL回路において、両信号の同期を適切に検出するとともに、この同期検出時にループゲインを低減することによって低ジッタ動作を実現できる。
【0020】
上記のPLL回路において、前記進相及び遅相連続回数計数部は、前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号が入力され、前記基準クロック信号が入力されたときに加算計数し、前記帰還クロック信号が入力されたときに減算計数するアップダウン計数部と、前記アップダウン計数部の計数値がその初期値から離れた規定値となるときに、前記アップダウン計数部の計数値を所定値にリセットさせるリセット信号を出力するリセット信号生成部と、前記アップダウン計数部の計数値が連続して前記初期値となる回数を計数する初期値計数部と、を備えるとしてもよい。
【0021】
この構成によれば、進相又は遅相が連続して検出された回数を適切に計数することができる。
【0022】
上記目的を達成するために、その他の本発明に係るDLL回路は、基準クロック信号を順次遅延させるタップ付きの複数段の遅延素子を備え、各タップから位相差の異なる多相クロック信号を生成する多相クロック信号生成部と、基準クロック信号及び前記多相クロック信号生成部の各タップのうち選択されたタップから出力された多相クロック信号(以下、遅延クロック信号という)の両者の位相を比較して、その両者の位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較器と、前記位相比較器から出力された前記位相差信号をチャージポンプ電流に変換するチャージポンプと、前記チャージポンプから出力された前記チャージポンプ電流に応じた電圧を平滑化し、この平滑化した電圧は、前記基準クロック信号及び前記遅延クロック信号の位相差がなくなるように前記多相クロック信号生成部の各タップのいずれかを選択するための制御信号であるローパスフィルタと、前記基準クロック信号及び前記遅延クロック信号の同期を判定する同期判定回路と、を備え、前記同期判定回路は、前記基準クロック信号及び前記遅延クロック信号が入力され、前記基準クロック信号の位相を基準として前記遅延クロック信号の位相が進相又は遅相であるかを検出して、前記基準クロック信号と前記遅延クロック信号との位相差の期間、進相検出信号又は遅相検出信号を出力する進相及び遅相検出部と、前記進相及び遅相検出部から前記進相検出信号が出力されている期間、初期値からの計数を開始して、計数値が第1の規定値に到達したときに当該計数値をリセットする進相期間計数部と、前記進相及び遅相検出部から前記遅相検出信号が出力されている期間、初期値からの計数を開始して、計数値が前記第1の規定値に到達したときに当該計数値をリセットする遅相期間計数部と、前記進相期間計数部又は前記遅相期間計数部の計数値が前記第1の規定値に到達しない回数が第2の規定値を上回ったとき、位相同期検出信号を出力する位相同期判定部と、を備え、前記チャージポンプ又は前記ローパスフィルタは、前記位相同期検出信号に基づいてループゲインを低減するように制御される。
【0023】
この構成によれば、基準クロック信号及び遅延クロック信号が同期しても位相比較器から位相差信号が出力され続けるDLL回路において、両信号の同期を適切に検出するとともに、この同期検出時にループゲインを低減することによって低ジッタ動作を実現できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基準クロック信号と比較対象となるクロック信号の両者の位相を比較する位相比較器から位相差信号が出力され続けるPLL回路又はDLL回路にあって、両信号の同期を適切に検出して低ジッタ動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るPLL回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す同期判定回路の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す同期判定回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図2に示す同期判定回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るPLL回路の変形例の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るPLL回路のその他の変形例の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るPLL回路の構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示す同期判定回路の構成を示すブロック図である。
【図9】図7に示す同期判定回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】図7に示す同期判定回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るDLL回路の構成を示すブロック図である。
【図12】従来のPLL回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
[PLL回路の構成]
以下、図1を用いて本発明の第1の実施の形態に係るPLL回路の構成を説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るPLL回路の構成を示すブロック図である。図1に示すPLL回路は、位相比較器10と、チャージポンプ11と、LPF(ローパスフィルタ)12と、VCO(電圧制御発振器)13と、1/N分周器14と、同期判定回路15とを備えて構成されている。
【0028】
位相比較器10は、外部から入力された基準クロック信号R及び1/N分周器14を介して帰還された出力クロック信号CLKの帰還クロック信号Vの両者の位相を比較して、その両者の位相差に応じた位相差信号を出力する。具体的には、帰還クロック信号Vが基準クロック信号CLKよりも位相が遅れている場合、出力クロック信号CLKの周波数を高くさせるような位相差に応じたパルス幅の位相差信号を出力する。逆に、帰還クロック信号Vが基準クロック信号Rに比べて位相が進んでいる場合、出力クロック信号CLKの周波数を低くさせるような位相差に応じたパルス幅の位相差信号を出力する。
【0029】
チャージポンプ11は、位相比較器10から出力された位相差信号をチャージポンプ電流に変換して出力する。また、チャージポンプ11は、チャージポンプ電流の電流量を第1の電流量又は第1の電流量よりも小さい第2の電流量に切り替えるためのスイッチSW1を設けている。このスイッチSW1は、同期判定回路15から出力された位相同期検出信号P_DETに基づいてオンオフされる。
【0030】
LPF12は、チャージポンプ11から出力されたチャージポンプ電流に応じた電圧を平滑化して出力する。
【0031】
VCO13は、LPF12の出力電圧に応じた周波数となる出力クロック信号CLKを生成して出力する。
【0032】
1/N分周器14は、VCO13から出力された出力クロック信号CLKの周波数を1/N(Nは自然数)倍に分周した帰還クロック信号Vを生成して位相比較器10に帰還させる。これにより、基準クロック信号Rに位相同期し、かつ基準クロック信号Rの周波数をN倍に逓倍した周波数の出力クロック信号CLKが得られる。なお、周波数を変える必要がない場合には、1/N分周器14を設ける必要がなく、VCO13から出力された出力クロック信号CLKがそのまま位相比較器10に帰還される。
【0033】
同期判定回路15は、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの同期を判定する。本実施の形態では、同期判定回路15は、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相が等しいか否か(位相同期)のみを判定し、両者の位相が等しいことを判定した場合に、位相同期検出信号P_DETを出力するように構成されている。なお、位相同期検出信号P_DETは、チャージポンプ11のスイッチSW1をオフし、チャージポンプ電流の電流量を第1の電流量から第2の電流量に減少させるための制御信号として用いられる。
【0034】
[同期判定回路の構成]
図2は、図1に示した同期判定回路の構成を示すブロック図である。
【0035】
図2に示す同期判定回路15は、進相及び遅相検出部158と、進相期間計数部155と、遅相期間計数部156と、位相同期判定部157と、を備える。
【0036】
進相及び遅相検出部158は、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vが入力され、基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相が進相又は遅相であるかを検出するように構成されている。また、基準クロック信号Rの一周期毎に、基準クロック信号Rと帰還クロック信号Vとの間の位相差の期間、進相検出信号DOWN又は遅相検出信号UPを出力するように構成されている。
進相及び遅相検出部158は、アップダウン計数部150と、リセット信号生成部151と、進相及び遅相検出信号生成部154とを備えている。
アップダウン計数部150は、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vが入力され、基準クロック信号Rの周期が切り替わったときに加算計数(カウントアップ)し、帰還クロック信号Vの周期が切り替わったときに減算計数(カウントダウン)する。
【0037】
リセット信号生成部151は、アップダウン計数部150の計数値cnt_udがその初期値(例えば0)から離れた規定値(例えば上限値+2、下限値−1)となるときに、アップダウン計数部150の計数値cnt_udを所定値(例えば上限値+2のときは0、下限値−1のときは+1)にリセットするためのリセット信号RSTを出力する。
【0038】
進相及び遅相検出信号生成部154は、リセット信号生成部151からリセット信号RSTに基づいて、進相であること検出した旨を表した進相検出信号DOWN又は遅相であることを検出した旨を表した遅相検出信号UPを生成する。また、進相及び遅相検出信号生成部154は、リセット信号RSTによりリセットされたときの計数値cnt_udに基づいて、現在の状態が進相状態又は遅相状態のいずれであるかを表した位相状態検出信号updown_detを生成する。なお、本実施の形態では、進相状態をLowレベルとし、遅相状態をHighレベルとして表す。
【0039】
進相期間計数部155は、進相及び遅相検出信号生成部154から進相検出信号DOWNが出力されている期間、初期値(例えば0)からの計数を開始して、計数値cnt_dnが規定値Lに到達したときに当該計数値cnt_dnを自己リセットする。また、進相期間計数部155は、計数値cnt_dnが規定値Lに到達しない回数が規定値Sを上回ったとき、その旨を表す進相同期検出信号P_DET_DNを出力する。
【0040】
遅相期間計数部156は、進相及び遅相検出信号生成部154から遅相検出信号UPが出力されている期間、初期値(例えば0)からの計数を開始して、計数値cnt_upが規定値Lに到達したときに当該計数値cnt_upを自己リセットする。さらに、遅相期間計数部156は、計数値cnt_upが規定値Lに到達しない回数が規定値Sを上回ったとき、その旨を表す遅相同期検出信号P_DET_UPを出力する。
【0041】
位相同期判定部157は、進相期間計数部155から進相同期検出信号P_DET_DNが入力されるか又は遅相期間計数部156から遅相同期検出信号P_DET_UPが入力されたとき、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相が等しいことを表す位相同期検出信号P_DETを出力する。
【0042】
[位相同期判定動作]
以下では、図3、図4に示されるタイミングチャートを用いて、図2に示した同期判定回路15による位相同期判定動作を説明する。
【0043】
図3は、図2に示した進相及び遅相検出信号生成部154における進相検出信号DOWN及び遅相検出信号UPの生成手順を説明するためのタイミングチャートである。
【0044】
図3の中で、基準クロック信号Rのパルス波形は基準クロック信号Rが入力された時(周期の切り替わり時)を表しており、帰還クロック信号Vのパルス波形は帰還クロック信号Vが入力された時(周期の切り替わり時)を表している。基準クロック信号Rの各周期は等間隔であるのに対し、帰還クロック信号Vの各周期にはばらつきが発生している。
【0045】
アップダウン計数部150は、上記のとおり、基準クロック信号Rが入力されたときには加算計数(カウントアップ)し、帰還クロック信号Vが入力されたときは減算計数(カウントダウン)するものである。例えば、アップダウン計数部150の計数値cnt_udの初期値が“0”とした場合に、まず基準クロック信号Rが入力されると計数値cnt_udは“1”となり、つぎに帰還クロック信号Vが入力されると計数値は“0”となる。つまり、アップダウン計数部150の計数値が“0”となることは、基準クロック信号Rと帰還クロック信号Vとが順番を変えずに交互に入力されるということを表している。よって、アップダウン計数部150の計数値の状態遷移を観測することによって、基準クロック信号Rの周波数fr及び帰還クロック信号Vの周波数fvが等しいことが検出できる。
【0046】
リセット信号生成部151は、上記のとおり、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが入力され、この計数値cnt_udが初期値より離れた規定値である“2”又は“−1”となるタイミングで、アップダウン計数部150の計数値cnt_udをリセットするためのリセット信号RSTを出力するものである。なお、計数値cnt_udが“2”又は“−1”になるときとは、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相関係が逆転したことを表している。
【0047】
基準クロック信号Rの周波数frに対して帰還クロック信号Vの周波数fvが高い場合(fr<fv)には、リセット信号生成部151は、計数値cnt_udが“−1”となるときにリセット信号RSTを出力するように構成されている。また、この場合、基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相が進んだ状態(帰還クロック信号Vが基準クロック信号Rより先に入力される状態)に移行するので、進相及び遅相検出信号生成部154は、進相検出信号DOWNを出力する必要がある。そこで、進相及び遅相検出信号生成部154は、リセット信号生成部151から出力されるリセット信号RSTを用いて、位相状態検出信号updown_detをHighレベル(遅相状態)からLowレベル(進相状態)に切り替える。
【0048】
例えば、図3中の波形例では、時刻T1より前では、アップダウン計数部150に対して基準クロック信号R、帰還クロック信号Vの順で入力されるので、基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相は遅れている。一方、時刻T1より後では、アップダウン計数部150に対して帰還クロック信号V、基準クロック信号Rの順で入力されるので、基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相は進んでいる。よって、時刻T1のとき、計数値cnt_udが“0”から“−1”となり、進相及び遅相検出信号生成部154は、Lowレベルの位相状態検出信号updown_detを出力する。
【0049】
進相及び遅相検出信号生成部154は、位相状態検出信号updown_detがLowレベルである期間、図3中の時刻T3、T4のように、計数値cnt_udが“−1”又は“0”のときに、Highレベルの進相検出信号DOWNを出力する。なお、遅相検出信号UPはLowレベルを維持する。
【0050】
基準クロック信号Rの周波数frに対して帰還クロック信号Vの周波数fvが低い場合(fr>fv)には、リセット信号生成部151は、計数値cnt_udが“2”のときにリセット信号RSTを出力するように構成されている。この場合、基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相が遅れた状態(帰還クロック信号Vが基準クロック信号Rより後に入力される状態)に移行するので、進相及び遅相検出信号生成部154は遅相検出信号UPを出力する必要がある。そこで、進相及び遅相検出信号生成部154は、リセット信号生成部151から出力されるリセット信号RSTを用いて、位相状態検出信号updown_detのレベルをLowレベル(進相状態)からHighレベル(遅相状態)に切り替える。
【0051】
例えば、図3中の波形例では、時刻T2より前では、アップダウン計数部150に対して帰還クロック信号V、基準クロック信号Rの順で入力されるので、基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相は進んでいる。一方、時刻T2より後では、アップダウン計数部150に対して基準クロック信号R、帰還クロック信号Vの順で入力されるので、基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相は遅れている。よって、時刻T2のとき、計数値cnt_udが“1”から“2”となり、進相及び遅相検出信号生成部154は、Highレベルの位相状態検出信号updown_detを出力する。
【0052】
進相及び遅相検出信号生成部154は、位相状態検出信号updown_detがHighレベルである期間、図3中の時刻T5、T6のように、計数値cnt_udが“1”又は“2”のときに、Highレベルの遅相検出信号UPを出力する。なお、進相検出信号DOWNはLowレベルを維持する。
【0053】
図4は、図2に示した位相同期判定部における位相同期検出信号P_DETの生成手順を説明するためのタイミングチャートである。
【0054】
図4に示す例は、位相状態検出信号updown_detがHighレベルの場合、つまり、基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相が遅れた状態となり、進相及び遅相検出信号生成部154は遅相検出信号UPを出力する場合の波形である。
【0055】
遅相期間計数部156は、進相及び遅相検出信号生成部154から出力される遅相検出信号UPがLowレベルからHighレベルに切り替わるとき、初期値“0”から計数を開始する。遅相検出信号UPがHighレベルの期間、計数値cnt_upが規定値Lに到達したときに当該計数値cnt_upは初期値“0”に自己リセットされる。つまり、規定値Lまで計数できれば基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相差が大きく、規定値Lまで計数できなければ基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相差が等しくなってきた事を表している。
【0056】
このような計数処理が、位相状態検出信号updown_detがHighレベルの期間の間に、遅相検出信号UPがHighレベルとなる毎に実行される。そして、かかる計数処理の過程で、計数値cnt_upが規定値Lに到達しない回数が規定値Sを上回ったとき、遅相期間計数部156から出力される遅相同期検出信号P_DET_UPがLowレベルからHighレベルに切り替わる。これにより、位相同期判定部157は、Highレベルの遅相同期検出信号P_DET_UPの入力を受けて、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相が等しいことを表す位相同期検出信号P_DETを出力する。
【0057】
図4に示す例では、規定値Sが“2”の場合を示しており、時刻T1において計数値cnt_upが規定値Lに到達しない回数が“2”となり規定値Sと一致するので、遅相同期検出信号P_DET_UPがLowレベルからHighレベルに切り替わるとともに、位相同期検出信号P_DETがLowレベルからHighレベルに切り替わる。
【0058】
以上、本発明の第1の実施の形態によれば、進相検出信号DOWN又は遅相検出信号UPが出力されている基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの位相差の期間を計数したときの計数値cnt_dn又はcnt_upが規定値Lに到達しなければ、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相が近いと判定される。さらに、その計数値cnt_dn又はcnt_upが規定値Lに到達しない回数が規定値Sを上回れば、両者の位相が近いとの判定が規定値Sの回数分繰り返し行われたことになるので、このとき、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相が等しいことを表す位相同期検出信号P_DETが出力される。そして、この位相同期検出信号P_DETは、ループゲインを低減するようにチャージポンプ11の電流量を制御する制御信号として用いられる。これにより、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vが同期しても位相比較器10から位相差信号が出力され続けるPLL回路において、両信号の同期を適切に検出するとともに、この同期検出時にループゲインを低減することによって低ジッタ動作を実現できる。
【0059】
また、ジッタが生じている場合の基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相関係を直接的かつ一義的に判定することは困難なため、まず両者の周波数関係を判定した上で、その判定結果に基づいて両者の位相関係を判定する。つまり、両者の周波数関係は、基準クロック信号Rが入力されると加算計数(カウントアップ)し、帰還クロック信号Vが入力されると減算計数(カウントダウン)するアップダウン計数部150の計数値cnt_udに基づいて容易に行える。なお、基準クロック信号Rの周波数を基準として帰還クロック信号Vの周波数が高い場合と低い場合とでは、リセット信号RSTが生成される際のアップダウン計数部150の計数値cnt_udが異なることを利用する。そして、基準クロック信号Rの周波数に対して帰還クロック信号Vの周波数が高ければ、基準クロック信号Rの位相に対して帰還クロック信号Vの位相は進んだ状態に次第に移行するであろうし、逆に帰還クロック信号Vの周波数が低ければ、基準クロック信号Rの位相に対して帰還クロック信号Vの位相は遅れた状態に次第に移行するであろうことが容易に推測できる。そこで、両者の周波数差が判定された後に、アップダウン計数部150の計数値cnd_udに応じて生成されるリセット信号RSTによって基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相が進相又は遅相のいずれであるかを判定できる。
【0060】
[変形例]
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るPLL回路の構成の変形例を示すブロック図である。なお、図5に示すPLL回路は、同期判定回路15から出力された位相同期検出信号P_DETに基づいてLPF12の出力電圧を制御するように構成されている。
【0061】
LPF12は、入力に対して直列に設けられた抵抗と入力に対して並列に設けられたコンデンサとにより構成されており、チャージポンプ11から出力されたチャージポンプ電流が当該抵抗を介して当該コンデンサに充電される。このコンデンサに充電された電圧が、高周波成分が除去されたLPF12の出力電圧となる。また、LPF12は、上記の抵抗として並列に接続した2つの抵抗を備えており、一方の抵抗に接続されたスイッチSW2のオンオフによりRC時定数並びにカットオフ周波数が切り替えられるように構成されている。つまり、同期判定回路15からHighレベルの位相同期検出信号P_DETが出力されたとき(基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相が等しいとき)、LPF12は、この位相同期検出信号P_DETに基づいてスイッチSW2をオンしてカットオフ周波数を低く(RC時定数を高く)するようにする。これにより、VCO13の電圧変動が抑制され、低ジッタ動作に移行できる。
【0062】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るPLL回路の構成のその他の変形例を示すブロック図である。なお、図6に示すPLL回路は、同期判定回路15から出力された位相同期検出信号P_DETに基づいてVCO13の出力電圧を制御するように構成されている。
【0063】
VCO13は、演算増幅器を用いた発振回路として構成されている。また、VCO13は、演算増幅器の電流源として並列に接続した2つの電流源を備えており、一方の電流源に接続されたスイッチSW3のオンオフにより演算増幅器に供給される電流量が切り替えられるように構成されている。つまり、同期判定回路15からHighレベルの位相同期検出信号P_DETが出力されたとき(基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相が等しいとき)、VCO13は、この位相同期検出信号P_DETに基づいてスイッチSW3をオフして演算増幅器に供給される電流量を減少させる。これにより、VCO13の電圧変動が抑制され、低ジッタ動作に移行できる。
(第2の実施の形態)
[PLL回路の構成]
図7は本発明の第2の実施の形態に係るPLL回路の構成を示すブロック図である。
【0064】
図7に示すPLL回路は、図1に示すPLL回路と対比して、周波数比較のために周波数比較器16が設けられた点、同期判定回路15から周波数同期検出信号F_DETが生成される点、及び周波数比較器16向けのチャージポンプ17が設けられ周波数同期検出信号F_DETに基づいてチャージポンプ17の電流量が制御される点が相違する。
【0065】
周波数比較器16は、外部から入力された基準クロック信号R及び1/N分周器14を介して帰還された出力クロック信号CLKの帰還クロック信号Vの両者の周波数を比較して、その両者の周波数差に応じた周波数差信号を出力する。具体的には、帰還クロック信号Vが基準クロック信号CLKよりも周波数が低い場合、出力クロック信号CLKの周波数を高くさせるような周波数差に応じたパルス幅の周波数差信号を出力する。逆に、帰還クロック信号Vが基準クロック信号Rに比べて周波数が高い場合、出力クロック信号CLKの周波数を低くさせるような周波数差に応じたパルス幅の周波数差信号を出力する。
【0066】
同期判定回路15は、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相が等しいか否かを判定し、両者の位相が等しいことを判定した場合に、位相同期検出信号P_DETを出力する。この位相同期検出信号P_DETはチャージポンプ11の電流量を切り替えるための制御信号として用いられる。さらに、同期判定回路15は、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の周波数が等しいか否かを判定し、両者の周波数が等しいことを判定した場合に、周波数同期検出信号F_DETを出力する。この周波数同期検出信号F_DETはチャージポンプ17の電流量を切り替えるための制御信号として用いられる。
【0067】
チャージポンプ17は、周波数比較器16から出力された周波数差信号をチャージポンプ電流に変換して出力する。なお、チャージポンプ17のチャージポンプ電流はチャージポンプ11のチャージポンプ電流と合成されてLPF12に供給される。また、チャージポンプ17は、チャージポンプ11と同様に、チャージポンプ電流の電流量を第1の電流量又は第1の電流量よりも小さい第2の電流量に切り替えるためのスイッチSW1を設けている。このスイッチSW1は、同期判定回路15から出力された周波数同期検出信号F_DETに基づいてオンオフされる。
【0068】
なお、図7に示すPLL回路は、周波数比較器16を設けずに、位相比較器10において周波数比較を行うように構成してもよい。この場合の位相比較器10は位相周波数比較器(PFD)と呼ばれる。
[同期判定回路の構成]
図8は、図7に示した同期判定回路15の構成を示すブロック図である。
【0069】
図8に示す同期判定回路15は、図2に示した同期判定回路15と対比して、進相及び遅相連続回数計数部159の一部を構成する初期値計数部152と、周波数同期判定部153とをさらに備えている点が相違する。
【0070】
進相及び遅相連続回数計数部159は、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vが入力され、基準クロック信号Rの位相を基準として帰還クロック信号Vの位相が進相又は遅相であるかを検出して、帰還クロック信号Vの一周期毎に、進相又は遅相が連続して検出された回数を計数するように構成されている。
【0071】
進相及び遅相連続回数計数部159は、初期値計数部152と、アップダウン計数部150と、リセット信号生成部151とにより構成されている。
【0072】
アップダウン計数部150は、上記のとおり、基準クロック信号Rが入力されたときには加算計数(カウントアップ)し、帰還クロック信号Vが入力されたときは減算計数(カウントダウン)するものである。
【0073】
リセット信号生成部151は、上記のとおり、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが入力され、この計数値cnt_udが初期値より離れた規定値である“2”又は“−1”となるタイミングで、アップダウン計数部150の計数値cnt_udを所定値にリセットするためのリセット信号RSTを出力するものである。
【0074】
初期値計数部152は、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが連続して初期値“0”となる回数を計数する。なお、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが初期値“0”となることは、基準クロック信号Rと帰還クロック信号Vとが順番を変えずに交互に入力されるということを表している。従って、計数値cnt_udが初期値“0”となる回数を計数することによって、基準クロック信号Rと帰還クロック信号Vとの位相関係が切り替わらない期間を検出できる。
【0075】
周波数同期判定部153は、初期値計数部152の計数値cnt_zeroが2以上である規定値Nに到達した回数が規定値Rを上回ったとき、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の周波数が等しいことを表す周波数同期検出信号F_DETを出力する。
[周波数同期判定動作]
以下では、図9、図10に示されるタイミングチャートを用いて、図8に示した同期判定回路15による周波数同期判定動作を説明する。
【0076】
図9は、基準クロック信号Rの周波数frを基準として帰還クロック信号Vの周波数fvが低い場合(fr>fv)における、周波数同期検出信号F_DETの生成手順を説明するためのタイミングチャートである。
【0077】
時刻T1では、基準クロック信号Rがアップダウン計数部150に入力されて、アップダウン計数部150の計数値cnt_udは“1”となる。つぎに、時刻T2では、帰還クロック信号Vがアップダウン計数部150に入力されて、アップダウン計数部150の計数値cnt_udは“0”となる。以降、基準クロック信号R又は帰還クロック信号Vがアップダウン計数部150に入力される毎に計数値cnt_udの加算計数(カウントアップ)又は減算計数(カウントダウン)が行われる。
【0078】
時刻T3では、基準クロック信号Rがアップダウン計数部150に入力されて、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが“1”となる。つぎに、時刻T4では、基準クロック信号Rが連続してアップダウン計数部150に入力されるので、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが“2”となる。なお、計数値cnt_udが“2”となったとき、リセット信号生成部151により生成されたリセット信号RSTによって、計数値cnt_udが“0”にリセットされる。
【0079】
このように、計数値cnt_udが“2”となることは、帰還クロック信号Vがアップダウン計数部150に入力された後、基準クロック信号Rが2回続けてアップダウン計数部150に入力されたことを表している。また、計数値cnt_udが“2”となることは、基準クロック信号Rの周波数frを基準として帰還クロック信号Vの周波数fvが低い(fr>fv)場合において発生する。
【0080】
初期値計数部152では、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが入力されて、この計数値cnt_udが“0”なる状態が計数される。初期値計数部152にはアップダウン計数部150と同様にリセット信号生成部151において生成されたリセット信号RSTが入力され、このリセット信号RSTによって初期値計数部152の計数値cnt_zeroがリセットされる。初期値計数部152は、計数値cnt_zeroが規定値N以上となれば、Highレベルのフラグ信号FLAGを出力する。
【0081】
図9に示す例では、規定値Nが“3”の場合であり、時刻T5において計数値cnt_zeroが“3”となるので、フラグ信号FLAGがLowレベルからHighレベルに切り替わっている。ここで、初期値計数部152において設定される規定値Nは、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vがアップダウン計数部150に順番を変えずに交互に連続して入力された状態を表しており、任意に設定できる変数である。この規定値Nを大きく設定する程、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの周波数差が小さい周波数同期を検出できる。
【0082】
周波数同期判定部153では、初期値計数部152から出力されるフラグ信号FLAGが入力され、初期値計数部152の計数値cnt_zeroがリセット信号RSTによってリセットされるタイミングで動作する。なお、周波数同期判定部153は、フラグ信号FLAGがHighレベルとなる期間を計数するための第1の計数部(cnt_det_r)と、フラグ信号FLAGがLowレベルとなる期間を計数するための第2の計数部(cnt_det_f)とを備えている。
【0083】
第1の計数部は、フラグ信号FLAGがHighレベルである場合、初期値計数部152がリセットされるタイミングで、計数値cnt_det_rを加算計数(カウントアップ)する。そして、第1の計数部は、第2の計数部の計数値cnt_det_fが規定値Fと等しくなったとき、計数値cnt_det_rを初期値にリセットする。この計数値cnt_det_rは、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の周波数がどれだけの期間等しい状態にあるのか判定するための指標となる。
【0084】
第2の計数部は、フラグ信号FLAGがLowレベルである場合、初期値計数部152がリセットされるタイミングで、計数値cnt_det_fを加算計数(カウントアップ)する。そして、第2の計数部は、第1の計数部の計数値cnt_det_rが規定値Rと等しくなったとき、計数値cnt_det_fを初期値にリセットする。この計数値cnt_det_fは、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の周波数がどれだけの期間等しくない状態にあるのかを判定するための指標となる。
【0085】
図9に示す例では、規定値Rが“1”及び規定値Fが“2”の場合を示している。時刻T4では、第1の計数部の計数値cnt_det_rが“1(=規定値R)”となるので、周波数同期検出信号F_DETがLowレベルからHighレベルに切り替わっている。また、時刻T6では、第2の計数部の計数値cnt_det_fが“2(=規定値F)”となるので、周波数同期検出信号F_DETがHighレベルからLowレベルに切り替わっている。
【0086】
図10は、基準クロック信号Rの周波数frを基準として帰還クロック信号Vの周波数fvが高い場合(fr<fv)における、周波数同期検出信号F_DETの生成手順を説明するためのタイミングチャートである。
【0087】
時刻T1では、基準クロック信号Rがアップダウン計数部150に入力されて、アップダウン計数部150の計数値cnt_udは“1”となる。つぎに、時刻T2では、帰還クロック信号Vがアップダウン計数部150に入力されて、アップダウン計数部150の計数値cnt_udは“0”となる。以降、基準クロック信号R又は帰還クロック信号Vがアップダウン計数部150に入力される毎に計数値cnt_udの加算計数(カウントアップ)又は減算計数(カウントダウン)が行われる。
【0088】
時刻T3では、帰還クロック信号Vがアップダウン計数部150に入力されて、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが“0”となる。時刻T4では、帰還クロック信号Vが時刻T3から連続してアップダウン計数部150に入力されるので、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが“−1”となる。なお、計数値cnt_udが“−1”となったとき、リセット信号生成部151により生成されたリセット信号RSTによって、計数値cnt_udが“0”ではなく“1”にリセットされる。
【0089】
このように、計数値cnt_udが“−1”となることは、基準クロック信号Rがアップダウン計数部150に入力された後、帰還クロック信号Vが2回続けてアップダウン計数部150に入力されたことを表している。また、計数値cnt_udが“−1”となることは、基準クロック信号Rの周波数frを基準として帰還クロック信号Vの周波数fvが高い(fr<fv)場合において発生する。
【0090】
初期値計数部152では、アップダウン計数部150の計数値cnt_udが入力されて、この計数値cnt_udが“0”なる状態が計数される。初期値計数部152にはアップダウン計数部150と同様にリセット信号生成部151において生成されたリセット信号RSTが入力され、このリセット信号RSTによって初期値計数部152の計数値cnt_zeroがリセットされる。初期値計数部152は、計数値cnt_zeroが規定値N以上となれば、Highレベルのフラグ信号FLAGを出力する。図10に示す例では、規定値Nが“3”の場合であり、時刻T3において計数値cnt_zeroが“3”となるので、フラグ信号FLAGがLowレベルからHighレベルに切り替わっている。
【0091】
周波数同期判定部153では、初期値計数部152から出力されるフラグ信号FLAGが入力され、初期値計数部152の計数値cnt_zeroがリセット信号RSTによってリセットされるタイミングで動作する。なお、周波数同期判定部153は、フラグ信号FLAGのHighレベルの期間を計数するための第1の計数部(cnt_det_r)と、フラグ信号FLAGのLowレベルの期間を計数するための第2の計数部(cnt_det_f)とを備えている。
【0092】
第1の計数部は、フラグ信号FLAGがHighレベルである場合、初期値計数部152がリセットされるタイミングで、計数値cnt_det_rを加算計数(カウントアップ)する。そして、第1の計数部は、第2の計数部の計数値cnt_det_fが規定値Fと等しくなったとき、計数値cnt_det_rを初期値にリセットする。
【0093】
第2の計数部は、フラグ信号FLAGがLowレベルである場合、初期値計数部152がリセットされるタイミングで、計数値cnt_det_fを加算計数(カウントアップ)する。そして、第2の計数部は、第1の計数部の計数値cnt_det_rが規定値Rと等しくなったとき、計数値cnt_det_fを初期値にリセットする。
【0094】
図10に示す例では、規定値Rが“1”及び規定値Fが“2”の場合を示している。時刻T4では、第1の計数部の計数値cnt_det_rが“1(=規定値R)”となるので、周波数同期検出信号F_DETがLowレベルからHighレベルに切り替わっている。また、時刻T5では、第2の計数部の計数値cnt_det_fが“2(=規定値F)”となるので、周波数同期検出信号F_DETがHighレベルからLowレベルに切り替わっている。
【0095】
以上、本発明の第2の実施の形態によれば、進相又は遅相が連続して検出された回数を計数したときの計数値cnt_zeroが規定値Nに到達すれば、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の周波数が近いと判定される。さらに、その計数値cnt_zeroが規定値Nに到達する回数が規定値Rを上回れば、両者の周波数が近いとの判定が規定値Rの回数分繰り返し行われたことになるので、このとき、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の周波数が等しいことを表す周波数同期検出信号F_DETが出力される。そして、この周波数同期検出信号F_DETは、位相同期検出信号P_DETと同様に、ループゲインを低減するようにチャージポンプ11の電流量を制御する制御信号として用いられる。これにより、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vが同期しても位相比較器10及び周波数比較器16から信号が出力され続けるPLL回路において、両信号の同期を適切に検出するとともに、この同期検出時にループゲインを低減することによって低ジッタ動作を実現できる。
[変形例]
図5に示した本発明の第1の実施の形態の変形例と同様に、位相同期検出信号P_DET及び周波数同期検出信号F_DETは、LPF12のカットオフ周波数を低くするための制御信号として用いられてもよい。
【0096】
図6に示した本発明の第1の実施の形態のその他の変形例と同様に、位相同期検出信号P_DET及び周波数同期検出信号F_DETは、VCO13の演算増幅器に供給される電流量を減少させるための制御信号として用いられてもよい。
(第3の実施の形態)
図11は、本発明の第3の実施の形態に係るDLL回路の構成を示すブロック図である。
【0097】
図11に示すDLL回路は、位相比較器10と、チャージポンプ11と、LPF12と、多相クロック信号生成部18と、同期判定回路15とを備えて構成されている。
【0098】
多相クロック信号生成部18は、基準クロック信号Rを順次遅延させるタップ付きの複数段の遅延素子を備えており、各タップから位相差の異なる多相クロック信号を生成する。
【0099】
位相比較器10は、基準クロック信号R及び多相クロック信号生成部18の各タップのうちいずれか一つのタップから出力された多相クロック信号(以下、遅延クロック信号Vという)の両者の位相を比較して、その両者の位相差に応じた位相差信号を出力する。
【0100】
チャージポンプ11は、位相比較器10から出力された位相差信号をチャージポンプ電流に変換する。また、チャージポンプ11は、図1に示したとおり、チャージポンプ電流の電流量を第1の電流量又は第1の電流量よりも小さい第2の電流量に切り替えるためのスイッチSW1を設けている。このスイッチSW1は、同期判定回路15から出力された位相同期検出信号P_DETに基づいてオンオフされる。
【0101】
LPF12は、チャージポンプ11から出力されたチャージポンプ電流に応じた電圧を平滑化する。この平滑化された電圧値によって、基準クロック信号R及び遅延クロック信号Vの位相差がなくなるように多相クロック信号生成部18の各タップの遅延値が調整される。
【0102】
同期判定回路15は、基準クロック信号R及び遅延クロック信号Vの同期を判定する。本実施の形態では、同期判定回路15は、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの両者の位相が等しいか否か(位相同期)のみを判定し、両者の位相が等しいことを判定した場合に、位相同期検出信号P_DETを出力するように構成されている。なお、位相同期検出信号P_DETは、チャージポンプ11のスイッチSW1をオフし、チャージポンプ電流の電流量を第1の電流量から第2の電流量に減少させるための制御信号として用いられる。
【0103】
以上、本発明の第3の実施の形態によれば、基準クロック信号R及び遅延クロック信号Vが同期しても位相比較器10から位相差信号が出力され続けるDLL回路において、両信号の同期を適切に検出するとともに、この同期検出時にループゲインを低減することによって低ジッタ動作を実現できる。
【0104】
[変形例]
図5に示した本発明の第1の実施の形態の変形例と同様に、本実施の形態に係るDLL回路は、位相同期検出信号P_DETを、LPF12のカットオフ周波数を低くするための制御信号として用いてもよい。
【0105】
図7に示した本発明の第2の実施の形態に係るPLL回路と同様に、本実施の形態に係るDLL回路は、基準クロック信号R及び帰還クロック信号Vの位相同期に加えて、両者の周波数同期を判定するように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、基準クロック信号と比較対象となるクロック信号の両者の位相を比較する位相比較器から位相差信号が出力され続けるPLL回路及びDLL回路を搭載した半導体装置にとって有用である。
【符号の説明】
【0107】
10…位相比較器
11…チャージポンプ
12…LPF
13…VCO
14…1/N分周器
15…同期判定回路
150…アップダウン計数部
151…リセット信号生成部
152…初期値計数部
153…周波数同期判定部
154…進相/遅相検出信号生成部
155…進相期間計数部
156…遅相期間計数部
157…位相同期判定部
158…進相及び遅相検出部
159…進相及び遅相連続回数計数部
16…周波数比較器
17…チャージポンプ
18…多相クロック信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロック信号及び出力クロック信号の帰還クロック信号の両者の位相を比較して、その両者の位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較器と、
前記位相比較器から出力された前記位相差信号をチャージポンプ電流に変換するチャージポンプと、
前記チャージポンプから出力された前記チャージポンプ電流に応じた電圧を平滑化するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタから出力された電圧に応じた周波数となる前記出力クロック信号を生成する電圧制御発振器と、
前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号の同期を判定する同期判定回路と、を備え、
前記同期判定回路は、
前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号が入力され、前記基準クロック信号の位相を基準として前記帰還クロック信号の位相が進相又は遅相であるかを検出して、前記基準クロック信号と前記帰還クロック信号との位相差の期間、進相検出信号又は遅相検出信号を出力する進相及び遅相検出部と、
前記進相及び遅相検出部から前記進相検出信号が出力されている期間、初期値からの計数を開始して、計数値が第1の規定値に到達したときに当該計数値をリセットする進相期間計数部と、
前記進相及び遅相検出部から前記遅相検出信号が出力されている期間、初期値からの計数を開始して、計数値が前記第1の規定値に到達したときに当該計数値をリセットする遅相期間計数部と、
前記進相期間計数部又は前記遅相期間計数部の計数値が前記第1の規定値に到達しない回数が第2の規定値を上回ったとき、位相同期検出信号を出力する位相同期判定部と、を備え、
前記チャージポンプ、前記ローパスフィルタ又は前記電圧制御発振器は、前記位相同期検出信号に基づいてループゲインを低減するように制御されるPLL回路。
【請求項2】
前記進相及び遅相検出部は、
前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号が入力され、前記基準クロック信号が入力されたときに加算計数し、前記帰還クロック信号が入力されたときに減算計数するアップダウン計数部と、
前記アップダウン計数部の計数値がその初期値から離れた規定値となるときに、前記アップダウン計数部の計数値を所定値にリセットさせるリセット信号を出力するリセット信号生成部と、
前記リセット信号に基づいて前記進相検出信号又は前記遅相検出信号を生成する進相及び遅相検出信号生成部と、
を備える請求項1に記載のPLL回路。
【請求項3】
前記同期判定回路は、
前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号が入力され、前記基準クロック信号の位相を基準として前記帰還クロック信号の位相が進相又は遅相であるかを検出して、進相又は遅相が連続して検出された回数を計数する進相及び遅相連続回数計数部と、
前記進相及び遅相連続回数計数部の計数値が2以上である前記第3の規定値に到達する回数が第4の規定値を上回ったとき、周波数同期検出信号を出力する周波数同期判定部と、を備え、
前記チャージポンプ、前記ローパスフィルタ又は前記電圧制御発振器は、前記位相同期検出信号及び前記周波数同期検出信号に基づいてループゲインを低減するように制御される請求項1又は2に記載のPLL回路。
【請求項4】
前記進相及び遅相連続回数計数部は、
前記基準クロック信号及び前記帰還クロック信号が入力され、前記基準クロック信号が入力されたときに加算計数し、前記帰還クロック信号が入力されたときに減算計数するアップダウン計数部と、
前記アップダウン計数部の計数値がその初期値から離れた規定値となるときに、前記アップダウン計数部の計数値を所定値にリセットさせるリセット信号を出力するリセット信号生成部と、
前記アップダウン計数部の計数値が連続して前記初期値となる回数を計数する初期値計数部と、
を備える請求項3に記載のPLL回路。
【請求項5】
基準クロック信号を順次遅延させるタップ付きの複数段の遅延素子を備え、各タップから位相差の異なる多相クロック信号を生成する多相クロック信号生成部と、
基準クロック信号及び前記多相クロック信号生成部の各タップのうちいずれか一つから出力された多相クロック信号(以下、遅延クロック信号という)の両者の位相を比較して、その両者の位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較器と、
前記位相比較器から出力された前記位相差信号をチャージポンプ電流に変換するチャージポンプと、
前記チャージポンプから出力された前記チャージポンプ電流に応じた電圧を平滑化し、当該平滑化された電圧値によって、前記基準クロック信号及び前記遅延クロック信号の位相差がなくなるように前記多相クロック信号生成部の各タップの遅延値を調整するローパスフィルタと、
前記基準クロック信号及び前記遅延クロック信号の同期を判定する同期判定回路と、を備え、
前記同期判定回路は、
前記基準クロック信号及び前記遅延クロック信号が入力され、前記基準クロック信号の位相を基準として前記遅延クロック信号の位相が進相又は遅相であるかを検出して、前記基準クロック信号と前記遅延クロック信号との位相差の期間、進相検出信号又は遅相検出信号を出力する進相及び遅相検出部と、
前記進相及び遅相検出部から前記進相検出信号が出力されている期間、初期値からの計数を開始して、計数値が第1の規定値に到達したときに当該計数値をリセットする進相期間計数部と、
前記進相及び遅相検出部から前記遅相検出信号が出力されている期間、初期値からの計数を開始して、計数値が前記第1の規定値に到達したときに当該計数値をリセットする遅相期間計数部と、
前記進相期間計数部又は前記遅相期間計数部の計数値が前記第1の規定値に到達しない回数が第2の規定値を上回ったとき、位相同期検出信号を出力する位相同期判定部と、を備え、
前記チャージポンプ又は前記ローパスフィルタは、前記位相同期検出信号に基づいてループゲインを低減するように制御されるDLL回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−250236(P2011−250236A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122434(P2010−122434)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】