説明

RFIDタグ認識システム、RFIDタグ認識方法、及びRFIDタグ認識方法を実行するプログラム

【課題】複数の物品に個別に貼付されたRFIDタグの個数や識別番号を正確に認識することができるRFIDタグ認識システムを提供する。
【解決手段】光センサ10が、台車4は支柱12の側方を通過中であるか否かを判断する。台車4が支柱12の側方を通過中であれば、支柱12に設置されたリーダライタ1側のアンテナ2と台車4に積載された物品13に貼付されたRFIDタグ3との間で、無線によってリードライトの通信を行ってRFIDタグ3の個数を検出する。更に、支柱12に設置された投光器14がRFIDタグ3の表面に貼付された目印(記号や文字など)に紫外線を照射し、撮像装置6によって紫外線が照射された目印を撮像する。個数検出装置7が撮像画像に基づいて目印の個数を検出する。コンピュータ端末15がRFIDタグ3の個数と目印の個数を比較し、検出されたRFIDタグ3の個数が正確か否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品にRFID(Radio Frequency Identification)タグを貼付してその物品の情報管理を行うRFIDタグ認識システム等に関し、特に、多数の物品を積載して搬送するときに、それらの物品に貼付されたRFIDタグを正確に認識するためのRFIDタグ認識システム、RFIDタグ認識方法、及びRFIDタグ認識方法を実行するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、物品に対して電子荷札としてRFIDタグを貼付し、それらの物品を情報管理することなどが広く行われている。このRFIDタグは、ICチップに記録されているID(Identification:識別情報)などをRF(Radio Frequency :無線周波数)で外部へ送信する機能を備えている。このようなRFIDタグは、情報を記録した小さなICチップとそのICチップに記録された情報を無線で外部へ送信する小さなアンテナとによって構成されている。例えば、RFIDタグは、使用する電波周波数が13.56MHzの場合、長さ52〔mm〕×幅3〔mm〕程度の小さなアンテナの中央部付近に、幅0.4〔mm〕、奥行き0.4〔mm〕、高さ0.1〔mm〕程度の微細なICチップが取り付けられた構成となっているので、そのRFIDタグにリーダライタをかざせば非接触でICチップに記録されている情報を容易に読み取ることができる。
【0003】
このようなRFIDタグの応用例として、商店や工場の床面または台に積み上げられた物品の情報や、商店の通路や製造ラインを通過する台車などに積み上げられた物品の情報がリーダライタによってまとめて読み書きされ、それらの物品に関する様々な情報管理が行われている。つまり、複数の物品にそれぞれRFIDタグを取り付け、リーダライタが自己のアンテナを介してRFIDタグに記録された物品の管理情報やRFIDタグの識別番号情報を読み込んだり(リードしたり)、それらのRFIDタグに対して物品の管理情報を書き込んだり(ライトしたり)することにより、一括して複数の物品の情報管理を行っている。このように、複数の物品の情報管理を一括して行うシステムとしてRFIDタグ認識システムが普及している。
【0004】
このRFIDタグ認識システムにあっては、RFIDタグ認識システムに接続されたコンピュータ端末の指示により、リーダライタからアンテナを介して、通路や製造ラインを通過する台車上の各物品に貼付されたRFIDタグに対して、問い合わせ信号が無線で送信される。すると、それぞれのRFIDタグはその問い合わせ信号に対して応答信号を無線で発信し、それぞれのRFIDタグとアンテナを介したリーダライタとの間で、リードライトの通信が開始される。このようなリードライトの通信により、コンピュータ端末はそれぞれのRFIDタグの識別番号などを取得してリードライトの通信を終了する。そして、コンピュータ端末は取得したそれぞれのRFIDタグの識別番号などからRFIDタグの個数を集計し、一括して複数の物品の情報管理を行っている。
【0005】
また、物品にRFIDタグを貼付してそれらの物品の情報管理を行う技術に関する文献も種々開示されている。例えば、積み上げられた各寿司皿に貼付されたRFIDタグの読み取り個数と、赤外線距離測定器で計測した寿司皿の枚数とを比較して、正確な寿司皿の枚数を確認する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。更に、蓄光材料のケースにRFIDタグを収納してコンテナの荷票にすることにより夜間でもRFIDタグを確認することができる技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。更に、発光物質を含んだRFIDタグを物品に貼付することによって暗い場所でもRFIDタグを確認することができる技術も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−202481号公報
【特許文献2】特開2002−132153号公報
【特許文献3】特開2005−196445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、台車などに積載された複数の物品のそれぞれに貼付されたRFIDタグをリーダライタによって一括して読み取る場合、リーダライタとRFIDタグとの距離が近い物品もあれば遠い物品もある。そのため、リーダライタとRFIDタグとの距離が遠い物品は、リーダライタ側のアンテナからRFIDタグへ電磁波が届かなかったり、RFIDタグからリーダライタ側のアンテナへ電磁波が届かなかったりして、リードライトの通信が不可能となってコンピュータ端末が全てのRFIDタグの情報を取得できない場合が生じる。または、複数のRFIDタグの同時応答によって、リードライトの通信が不可能となり、コンピュータ端末が全てのRFIDタグの情報を取得できない場合もある。
【0008】
即ち、リーダライタ側のアンテナからの問い合わせ信号がRFIDタグに届かないためにRFIDタグが応答信号を発信できない場合や、RFIDタグが応答信号を発信できたとしてもリーダライタ側のアンテナに届かない場合がある。まはた、複数のRFIDタグが同時に発信してそれぞれの応答信号が重なり合ってしまい、リーダライタが複数の重なった応答信号を受信してもそれぞれ個別の応答信号を判別できない場合もある。
【0009】
このような原因により、台車などに積み上げられた物品に貼付されたそれぞれのRFIDタグのうち、一部のRFIDタグとリーダライタ側のアンテナとの間のリードライトの通信が不可能となり、結果的に、コンピュータ端末は一部のRFIDタグの識別番号を取得することができなくなることがある。そのため、RFIDタグの識別番号などから集計されたRFIDタグの個数が、台車などに積み上げられた複数の物品に取り付けられた全てのRFIDタグの個数と異なってしまうこともある。
【0010】
また、前述した各特許文献の技術においても、RFIDタグとリーダライタ側のアンテナとの間の通信距離はほぼ一定である。したがって、RFIDタグを貼付した多くの物品が台車などに積み上げられた場合は、一部のRFIDタグの情報が読み取れなかったり、複数のRFIDタグが同時に発信してそれぞれの応答信号が重なり合ってしまい、リーダライタが複数の重なった応答信号を受信してもそれぞれ個別の応答信号を判別できないという不具合は依然として解消されていない。
【0011】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、複数の物品に個別に貼付されたRFIDタグの個数や識別番号を正確に認識することができるRFIDタグ認識システムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明のRFIDタグ認識システムは、ICチップとアンテナを備えたRFIDタグの情報を無線通信によって認識するRFID認識システムであって、物品に貼付された複数のRFIDタグと無線通信を行ってRFIDタグの個数を検出するリーダライタと、物品に貼付された複数のRFIDタグに個別に記録された目印を一括して撮像する撮像装置と、その撮像装置が撮像した目印の個数を検出する個数検出装置と、リーダライタが検出したRFIDタグの個数と、個数検出装置が検出した目印の個数とを比較する比較手段と、比較手段による比較結果において、RFIDタグの個数と目印の個数とが異なるとき、リーダライタに対して、再度、RFIDタグの個数の検出を実行させる確認検出手段とを備える構成を採っている(請求項1)。
【0013】
即ち、本発明にかかるRFIDタグ認識システムは、リーダライタが物品に貼付された複数のRFIDタグと通信を行ってRFIDタグの個数を検出し、さらに、撮像装置による目印の撮像画像によって、個数検出装置が同一の物品に貼付された複数のRFIDタグに表示された目印の個数を検出している。そして、両者の個数(つまり、リーダライタによるRFIDタグの検出個数と撮像装置の撮像画像によるRFIDタグの目印の検出個数)を比較することにより、リーダライタによるRFIDタグの検出個数をより正確なものにしている。
【0014】
なお、それぞれのRFIDタグに表示する目印は、RFIDタグの表面に表示された図柄、記号、または文字などとする。例えば、RFIDタグの表面に「 RFID」 という文字でもよい。また、目印となる字を表示して目印としている図柄、記号、または文字を蛍光物質または蓄光物質によって表示すれば、撮像装置で撮像したときに目印がさらに確認しやすくなるので、個数検出装置は目印の個数をより確実に検出することができる(請求項2,3)。
【0015】
また、投光器によって、目印となる図柄、記号、または文字に紫外線または可視光線を照射すれば、撮像装置は、より鮮明にRFIDタグの目印(つまり、図柄、記号、または文字)を撮像することができる。これによって、個数検出装置は目印の個数をより確実に検出することができる(請求項4)。
【0016】
本発明のRFIDタグ認識システムの好適な実施形態としては、ICチップとアンテナを備えたRFIDタグの情報を無線通信によって認識するRFID認識システムであって、所定の経路を通過する台車に積載された物品に貼付された複数のRFIDタグと無線通
信を行ってRFIDタグの個数を検出するリーダライタと、物品に貼付された複数のRFIDタグに個別に記録された目印(例えば、図柄、記号、または文字など)を一括して撮像する撮像装置と、撮像装置が撮像した目印の個数を検出する個数検出装置と、リーダライタが検出したRFIDタグの個数と個数検出装置が検出した目印の個数とを比較する比較手段と、比較手段による比較結果において、RFIDタグの個数と目印の個数とが異なるとき、台車を停止させると共に、リーダライタに対して、再度、RFIDタグの個数の検出を実行させる確認検出手段とを備えている(請求項5)。
【0017】
このような構成のRFID認識システムによれば、例えば、リーダライタが、通路または製造ラインを通過する台車上の物品に貼付されたRFIDタグと通信を行ってRFIDタグの個数を検出し、撮像装置と個数検出装置とによって同一台車上の物品に貼付されたRFIDタグの個数を検出する。そして、両者の個数を比較することによって、リーダライタが台車上の物品に貼付された全てのRFIDタグと通信を行ったか否かを判定することができる。
【0018】
すなわち、本発明のRFID認識システムでは、通路または製造ラインの側方の支柱に紫外線または可視光線を照射する投光器、撮像装置、及びリーダライタ側のアンテナを設置しておく。また、台車に積載された複数の物品に貼付されたRFIDタグの表面に、RFIDタグを認識するときの目印となる図柄、記号、または文字を蛍光物質または蓄光物質によって印刷しておく。
【0019】
このような環境条件において、台車が支柱を通過しているときに、リーダライタ側のアンテナとRFIDタグとの間で無線通信を行ってRFIDタグの個数を検出する。さらに、投光器からRFIDタグに記録した目印(例えば、図柄、記号、または文字など)へ紫外線または可視光線を照射しながら、または照射後に、台車に積載された物品とその物品に貼付されたRFIDタグの目印を撮像装置によって撮像する。このとき、目印に対して紫外線または可視光線を照射すると、RFIDタグの表面に表示されている図柄、記号、または文字は、蛍光物質または蓄光物質で印刷されているために発光し、目印の周辺部分は蛍光物質または蓄光物質が存在しないために発光しない。そのために撮像された画像に
は、図柄、記号、または文字が鮮明に認識できるな形状で表示される。
【0020】
したがって、このような認識しやすい撮像画像では、図柄、記号、または文字が1個の認識可能な形状で複数個捉えられ、かつ、その画像は単純化されているのでRFIDタグの検出が極めて容易となる。このようにして、画像認識によって周囲より明るく表示されている認識可能な形状である目印の個数を数えることにより、台車に積載された物品に貼付されたRFIDタグの全ての個数を正確に計測することが可能となる。
そして、撮像装置と個数検出装置によって計測したRFIDタグの個数と、リーダライタの通信によって集計したRFIDタグの個数を比較する。このとき、リーダライタの通信によって集計したRFIDタグの個数が少なければ、まだ、台車上の物品に貼付されたRFIDタグの識別番号の全てを取得できていないと判断し、再度、リーダライタによる通信を実行する。
【0021】
又、上記目的を達成するため、本発明に係るRFID認識方法は、車が所定の位置を通過中であるか否かを確認する通過確認工程と、台車が所定の位置を通過中であれば、リーダライタ側のアンテナとRFIDタグとの間で無線通信を行ってRFIDタグの個数を検出するタグ個数検出工程と、RFIDタグに個別に記録された目印に対して紫外線または可視光線を照射する照射工程と、紫外線または可視光線が照射された目印を一括して撮像する撮像工程と、撮像工程で撮像された目印の個数を検出する目印個数検出工程と、タグ個数検出工程で検出されたRFIDタグの個数と目印個数検出工程で検出された目印の個数とが一致するか否かを比較判定する比較判定工程と、比較判定工程による判定結果において、RFIDタグの個数と目印の個数とが一致しないとき、再度、リーダライタ側のアンテナとRFIDタグとの間で無線通信を行ってRFIDタグの個数を検出する確認検出工程とを備えた構成としたことを特徴とする(請求項7)。
【0022】
更に、本発明では、上述したRFID認識方法にあって実行される各工程における情報処理内容をプログラム化してこれをコンピュータに実行させるように構成してもよい(請求項7)。
【発明の効果】
【0023】
本発明は以上にように構成され機能するので、これによると、商店や工場の通路または製造ラインを通過する台車上の物品に貼付されたRFIDタグの個数を検出する場合であっても、撮像装置による撮像画像によって検出したRFIDタグの個数と、リーダライタ側のアンテナとRFIDタグとの通信によって検出したRFIDタグの個数とを比較するようにしたので、全ての物品の管理情報やRFIDタグの識別情報の取得有無を容易に判定することができ、これにより、複数の物品に個別に貼付されたRFIDタグの個数や識別番号を正確に認識することができるという従来にない優れたRFIDタグ認識システム、RFIDタグ認識方法、及びRFIDタグ認識方法を実行するプログラムを提供することができる。
【0024】
また、撮像装置によって撮像された画像は、RFIDタグの表面に表示された目印(例えば、図柄、記号、または文字)が1個の認識可能な形状で複数個捉えられ、かつ、その画像は単純化されているので、RFIDタグの検出が極めて容易となる。さらに、撮像装置によるRFIDタグの目印の撮像と個数検出装置によるRFIDタグの目印の個数検出は、リーダライタ側のアンテナとRFIDタグとの間でリードライトの通信を行う前や、リードライトの通信を行った後や、リードライトの通信の最中など、リードライトの通信の有無にかかわらず実行することができる。したがって、リーダライタ側のアンテナからの電磁波がRFIDタグに届かないために通信を行えないRFIDタグの個数も含めて、撮像装置による撮像画像では、台車上の物品に貼付されたRFIDタグの全ての個数を確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(概要)
まず、本実施形態にかかるRFID認識システムの概要について説明する。
この実施形態にあって、RFIDタグ認識システムは、通路または製造ラインを通過する台車などに立体的に積み上げられた複数の物品にそれぞれ貼付された各RFIDタグとリーダライタ側のアンテナとの間で、リードライトの通信が確実に行われているか否かを判定するRFIDタグの通信システムである。
【0026】
つまり、従来のRFID認識システムにおけるRFIDタグの通信システムでは、リーダライタ側のアンテナからRFIDタグへ電磁波が届かなかったり、RFIDタグからリーダライタ側のアンテナへ電磁波が届かなかったり、あるいは複数のRFIDタグの同時応答などによって一部のRFIDタグとリーダライタ側のアンテナとの間でリードライトの通信が不可能となったりして、RFID認識システム側のコンピュータ端末が全てのRFIDタグの識別番号情報などを取得することができない場合が生じていた。
【0027】
そこで、本実施形態におけるRFIDタグ認識システムによるRFIDタグの通信システムでは、予め、RFIDタグを認識するときの目印となる図柄、記号、または文字などを、蛍光物質や蓄光物質などによってRFIDタグの表面に印刷等により書き込んでおく。そして、台車などに積み上げられた物品に貼付された複数のRFIDタグを撮像装置によって撮像し、RFIDタグの個数を撮像画像によって検出する。さらに、撮像画像で検出されたRFIDタグの個数と、リーダライタ側のアンテナとRFIDタグとの間においてリードライトの通信によって取得したRFIDタグの識別番号の個数とを比較する。そして、コンピュータ端末が、両者の個数を比較することによって、リーダライタが台車上
の全てのRFIDタグの識別情報を獲得したか否かを判定する。
【0028】
即ち通路または製造ラインの側方の支柱に、紫外線または可視光線を照射する投光器、撮像装置、及びリーダライタ側のアンテナを設置しておく。一方、台車などに立体的に積載された複数の物品に貼付されたそれぞれのRFIDタグの表面には、蛍光物質や蓄光物質によってRFIDタグを認識するときの目印となる図柄、記号、または文字などを印刷などによって書き込んでおく。
【0029】
そして、台車などが撮像装置の側方を通過するとき、リーダライタ側のアンテナと各RFIDタグとの通信によるリードライトによってRFIDタグの個数を検出する。さらに、台車などに立体的に積載された複数の物品に貼付されている各RFIDタグに向けて投光器から紫外線または可視光線線を照射し、台車などに立体的に積載されている複数の物品とそれらの物品に貼付されたRFIDタグを撮像装置によって撮像する。つまり、複数のRFIDタグに紫外線または可視光線を照射すると、RFIDタグの表面に表示されている図柄、記号、または文字などは、蛍光物質や蓄光物質で書かれているために発光作用を呈する。一方、図柄、記号、または文字などの周辺部分は蛍光物質や蓄光物質が存在しないために発光作用を呈しない。したがって、撮像装置によって撮像された画像は、図柄、記号、または文字などが鮮明に認識できる状態で表示される。
【0030】
このような撮像画像では、図柄、記号、または文字などが1個の認識可能な形状で複数個捉えられるが、それらの撮像画像は単純化されているので、個数検出器が複数のRFIDタグの個数を正確に検出することは極めて容易となる。つまり、個数検出装置が、周囲より明るく表示される認識可能な形状の目印の個数を画像認識によって数えることにより、台車などに立体的に積載された複数の物品に取り付けられたRFIDタグの全ての個数を正確に計測することは容易である。
【0031】
そして、撮像装置と個数検出装置とによって計測したRFIDタグの目印の個数と、リーダライタがリードライトの通信によって集計したRFIDタグの個数とを比較する。ここで、リーダライタがリードライトの通信によって集計したRFIDタグの個数が、撮像装置と個数検出装置とによって計測した個数より少なければ、台車などに搭載されている物品のRFIDタグの識別番号を全て取得できていないと判定し、リーダライタ側のアンテナは再びリードライトの通信を行う。このようにして、リーダライタは台車などに積み上げられている全ての物品におけるRFIDタグの識別番号を取得することができる。
【0032】
つまり、本実施形態におけるRFID認識システムは、多数の物品にそれぞれ貼付されたRFIDタグの情報を一括して漏れなく取得する場合、蛍光物質または蓄光物質を用いて印刷されたRFIDタグの目印を撮像した画像から取得したRFIDタグの個数と、リーダライタがリードライトの通信によって集計したRFIDタグの個数とを比較することにより、正確にRFIDタグの個数を取得するように構成されている。
【0033】
(構成)
以下、これを更に具体的に説明する。
図1は、本発明における一実施形態のRFIDタグ認識システムの構成図である。また、図2は、図1に示すRFIDタグ認識システムを側面から見た図である。なお、この図2では、リーダライタ1、個数検出装置7、コンピュータ端末15、ネットワーク16、及びサーバ17は省略されている。
【0034】
図1のRFIDタグ認識システムにおいて、台車4は、商店や工場の通路または製造ライン5を自在に通過できるように構成されている。この図1では、台車4は紙表から紙裏(または、紙裏から紙表)に向かって通路または製造ライン5を通過できる状態を示している。したがって、図2では、台車4は通路または製造ライン5をX−X’方向へ通過できる。また、図2では、台車4が通路または製造ライン5をX−X’方向に進むことにより、その台車4に積載された複数の物品13に貼付されたそれぞれのRFIDタグ3が、アンテナ2と対向してリードライトの通信を行うことができる状態を示している。
【0035】
図1に示すように、台車4には複数の物品13が立体的に積載され、それぞれの物品13の側面には個別にRFIDタグ3が貼付されている。従って、物品13に貼付された各RFIDタグ3は表面が露出して立体的に配置され、それぞれのRFIDタグ3のアンテナ面( 以下「RFIDタグ面」とする)は、通路や製造ライン5の側方の支柱12を利用して設置されたアンテナ2と対面するように物品13の外側に向けて配置されている。
【0036】
また、通路や製造ライン5の側方の支柱12を利用して、台車4が通路や製造ライン5を通過していることを感知する光センサ10、RFIDタグ3とリードライトの通信を行うアンテナ2、台車4に立体的に積載された物品13とその物品13に取り付けられたRFIDタグ3に紫外線または可視光線を照射する投光器14、物品13及びRFIDタグ3の識別記号を撮像する撮像装置6、及びRFIDタグ3の個数などを表示する表示器11が設置される。
【0037】
また、コンピュータ端末15はリーダライタ1と通信接続され、台車4に立体的に積載されたそれぞれの物品13に貼付されたRFIDタグ3とアンテナ2との間でリードライトの通信を行うようにリーダライタ1に指示するように構成されている。
【0038】
一方、各RFIDタグ3には、物品13の管理情報やRFIDタグ3の識別情報などが電子データとして記録されているので、コンピュータ端末15は、アンテナ2とRFIDタグ3との間のリードライトの通信により、物品13の管理情報やRFIDタグ3の識別情報などの情報をリーダライタ1から取得することができる。
【0039】
また、コンピュータ端末15は、投光器14、表示器11、及び撮像装置6が撮像したRFIDタグ3の個数を検出する個数検出装置7と通信接続されている。さらに、コンピュータ端末15は、ネットワーク16を介してサーバ17に接続されている。したがって、サーバ17は、アンテナ2とRFIDタグ3との間のリードライトの通信によって得られた情報をコンピュータ端末15から収集し、それらの情報をデータベース化して保存することができる。なお、それらの保存情報は商店の物品管理や工場の製造管理などに利用される。
【0040】
ここで、前述したコンピュータ端末15は、リーダライタ1が検出したRFIDタグ3の個数と、個数検出装置7が検出した目印の個数とを比較する比較手段と、この比較手段による比較結果において、RFIDタグ3の個数と目印の個数とが異なるときは、リーダライタ1に対して、再度、RFIDタグ3の個数の検出を実行させる確認検出手段とを備えている。
【0041】
また、RFIDタグ3の表面には、RFIDタグ3を認識するときの目印となる図柄、記号、または文字などが蛍光物質や蓄光物質によって表示されている。図柄、記号、または文字などの表示方法は、図柄、記号、または文字などをRFIDタグ3の表面に印刷などによって書いてもよいし、別途用意した紙やプラスチックに図柄、記号、または文字などを書きこみ、その紙やプラスチックをRFIDタグ3の表面に貼り付けることによって表示してもよい。
【0042】
なお、蛍光物質の発光色は赤色、緑色、青色などを選択することができ、蓄光物質の発光色は緑色や青色などを選択することができる。このとき、発光色は、物品13に取り付けたRFIDタグ3の周辺の色と異なる色を選択することが望ましい。
【0043】
図3は、図1に示すRFIDタグ認識システムにおける個数検出装置7の内部構成図である。図3に示すように、個数検出装置7は、撮像装置6が撮像した画像を認識する画像認識部8と、画像認識部8が認識した撮像画像の個数を計測する個数検出部9とによって構成されている。
【0044】
個数検出装置7の画像認識部8は、異なる色の対比によって、撮像画像から発光した図柄、記号、または文字を容易に識別することができる。したがって、個数検出部9は、画像認識部8が認識した撮像画像の個数を正確に計測することができる。なお、蛍光物質は、紫外線や可視光線を照射すると発光し、照射を止めると発光が止まる性質を有している。また、蓄光物質は、紫外線や可視光線を照射すると発光し、照射を止めても、紫外線や可視光線を一定時間照射すると吸収した光エネルギーに応じて一定時間の間は発光する性質を有している。なお、蓄光物質は燐光物質とも言われている。
【0045】
再び、図1に戻って、投光器14は、複数の物品13やそれらの物品13に貼付されたRFIDタグ3に対して紫外線または可視光線を照射する。これによって、撮像装置6は、通路や製造ライン5を通過する台車4に立体的に積載された複数の物品13やそれらの物品13に貼付されたRFIDタグ3の図柄、記号、または文字などを鮮明に撮像することができる。
【0046】
すなわち、複数の物品13やそれらの物品13に貼付されたRFIDタグ3に照射された紫外線または可視光線により、RFIDタグ3の表面の図柄、記号、または文字などは蛍光または蓄光を発光するので、撮像された画像としては、図柄、記号、または文字などが1個の認識可能な形状で複数個表示される。
【0047】
このようにして撮像装置6で撮像された画像は個数検出装置7に送信され、個数検出装置7の画像認識部8(図3参照)が受信した画像を認識し、個数検出部9(図3参照)がその画像から発光または蓄光を発光している1個の認識可能な形状の個数を数え、それらの画像の個数は個数検出部9からコンピュータ端末15へ送信される。
【0048】
一方、表示器11は、コンピュータ端末15がリードライトの通信によって集計したRFIDタグ3の個数と、撮像装置6と個数検出装置7によって計測されたRFIDタグ3の個数とをそれぞれ表示する。このとき、両者の個数が異なっている場合はその旨の警報表示を行うようになっている。
【0049】
なお、撮像装置6の光学入力部に紫外線除去フィルタを取り付けると、投光器14からの紫外線の入射光が遮られ、撮像装置6に余分な光が入射されないため、撮像装置6が確実に蛍光または蓄光の発光色を捉え、画像認識部8による認識度をさらに高めることができる。また、撮像エリアの周囲の照明を暗くしたり、台車4に立体的に積載された物品13とそれらの物品13に貼付されたRFIDタグ3を外部から光が入射しないように囲われた箱の内部に入れたりして撮像を行い、蛍光物質や蓄光物質による発光の輝度を周囲に比較し高めて、画像認識部8(図3参照)による認識を容易にするようにしてもよい。
【0050】
次に、図1及び図2に示すRFIDタグ認識システムの動作について説明する。自動制御による電動力または人間による動力により、台車4は通路や製造ライン5をX−X’方向に進行する。このとき、コンピュータ端末15は、光センサ10から台車4へ投射された光信号により、台車4が通路または製造ライン5の側方にある支柱12の付近を通過中であって、その台車4に立体的に積載された物品13に貼付されたRFIDタグ3とアンテナ2とがリードライトの通信を行うことができる領域に来ているか否かを判断する。
【0051】
ここで、台車がRFIDタグ3とアンテナ2とがリードライトの通信を行う領域に来ていれば、コンピュータ端末15は、リーダライタ1に対して、台車4に立体的に積載された物品13に貼付された複数のRFIDタグ3とアンテナ2との間でリードライトの通信を行うように指示する。これによって、リーダライタ1はアンテナ2を通してRFIDタグ3との間でリードライトの通信を開始する。
【0052】
このとき、アンテナ2からRFIDタグ3への問い合わせ信号は、電磁波による直接波によって物品13の側面に貼付された複数のRFIDタグ3へ放射される。すると、アンテナ2からの問い合わせ信号に対して、複数のRFIDタグ3はそれぞれの応答信号をアンテナ2へ向けて送信する。これにより、アンテナ2は、応答のあったRFIDタグ3との間で、それぞれ1個ずつのRFIDタグ3と順に通信を開始する。
【0053】
このようにして、リーダライタ1は、各RFIDタグ3とアンテナ2との間で数回のリードライトの通信を行わせることにより、それぞれのRFIDタグ3に電子データとして記録されている物品13の管理情報やRFIDタグ3の識別情報などを入手し、アンテナ2は情報を入手したRFIDタグ3との通信は終了する。同様にして、応答のあった残りのRFIDタグ3においても、アンテナ2との間でリードライトの通信が行われる。これによって、コンピュータ端末15は、応答があって通信を終了した複数のRFIDタグ3の識別番号をそれぞれ記憶し、識別番号の数または識別番号に付与された連番からRFIDタグ3の検出個数をカウントする。
【0054】
また、コンピュータ端末15は、投光器14に対して、台車4に立体的に積載された物品13とそれらの物品13に貼付されたRFIDタグ3へ紫外線または可視光線を照射するように指示する。これによって、投光器14は、台車4に積載された物品13に貼付されたRFIDタグ3の表面に印刷された図柄、記号、または文字に対して紫外線または可視光線を照射する。
【0055】
さらに、コンピュータ端末15は、撮像装置6に対して、投光器14によって紫外線または可視光線が照射された台車4上の物品13及びそこに貼付されたRFIDタグ3を撮像するように指示する。これによって、撮像装置6は、紫外線または可視光線が照射された台車4上の物品13及び対応するRFIDタグ3の表面に印刷された図柄、記号、または文字を撮像する。このとき、撮像装置6が撮像する方向は図2に示すようなアングルであるので、台車4に積載された全ての物品13及びそれらの物品13に貼付された全てのRFIDタグ3の図柄、記号、または文字を撮像することができる。
【0056】
その後、コンピュータ端末15は、個数検出装置7に対して、撮像装置6が撮像した物品13の側面に貼付されたRFIDタグ3の個数を検出するよう指示する。これによって、個数検出装置7は、撮像装置6が撮像したRFIDタグ3の個数を検出してカウントする。なお、コンピュータ端末15から個数検出装置7への指示のタイミングは、アンテナ2を通してRFIDタグ3とリードライトの通信を開始する前でも、リードライトの通信の最中でも、リードライトの通信が終了した後でもよい。
【0057】
以上のようにして、個数検出装置7は、台車4に積載されて紫外線または可視光線が照射された物品13とその物品13の側面に貼付されたRFIDタグ3の撮像画像を撮像装置6から取得する。このとき、個数検出装置7が取得した撮像画像は、RFIDタグ3の表面の図柄、記号、または文字が蛍光または蓄光を発光しているため、周辺部分と比較して高い輝度の画像として捉えられている。
【0058】
図4は、撮像装置が図2に示すRFIDタグ認識システムの側面図の方向を撮像したときの撮像画像である。すなわち、図4は、図2に示すように台車4へ物品13を積載したとき、台車4上の物品13とその物品13に貼付されたRFIDタグ3の表面に印刷された図柄、記号、または文字を撮像装置6によって撮像した画像の一例である。
【0059】
すなわち、図2に示すRFIDタグ認識システムの側面図のように、物品13に貼付されたRFIDタグ3の表面には、図、記号、または文字として「RFID」の文字が蛍光物質か蓄光物質で印刷されて表示されている。したがって、投光器14によって照射された紫外線または可視光線により、RFIDタグの表面に印刷された「RFID」の文字は明るく発光するので、撮像装置6で撮像された画像には、図4の撮像画像に示すように、「RFID」の文字が高い輝度で1個の認識可能な形状として複数個捉えられる。
【0060】
なお、図2のRFIDタグ認識システムの側面図において、RFIDタグ3の表面に、図柄、記号、または文字として「RFID」の文字を蓄光物質で印刷した場合は、投光器14は紫外線を照射する代わりに可視光線を照射してもよい。投光器14が可視光線を照射する場合は、コンピュータ端末15の指示により、投光器14から可視光線を一定時間照射した後に照射を止め、その後に、台車4に立体的に積載された物品13とそれらの物品13に貼付されたRFIDタグ3を撮像装置6によって撮像する。
【0061】
ここで、投光器14が可視光線を照射する一定時間は、投光器14と物品13に貼付されたRFIDタグ3との間の距離や投光器14からの光量によって異なる。例えば、投光器14から光量の大きいせん光を照射する場合は、照射時間は一瞬の時間となる。
【0062】
また、RFIDタグの「RFID」の文字は蓄光物質で印刷されているので、投光器14からの可視光線の照射を止めても「RFID」の文字は明るく発光している。そのため、撮像装置6によって撮像した画像は、「RFID」の文字が高い輝度で1個の認識可能な形状で複数個捉えられる。
【0063】
すなわち、図3の個数検出装置7で説明すると、個数検出装置7の画像認識部8は、周囲の画像と比較して高い輝度の「RFID」の文字を識別し、「RFID」の文字を1個のRFIDタグとして認識する。このとき、画像認識部8は「RFID」の文字の輝度レベルと周辺部分の輝度レベルとの間にしきい値を設け、しきい値以上の輝度の画像を識別の対象とすることにより、「RFID」の文字の識別を容易に行うことができる。
【0064】
次に、個数検出装置7の個数検出部9は、撮像装置6によって撮像された画像内で画像認識部8が認識したRFIDタグ3の個数を検出する。そして、個数検出部9は検出したRFIDタグ3の個数をコンピュータ端末15へ送信する。
【0065】
すると、コンピュータ端末15は、アンテナ2とRFIDタグ3との間でリードライトの通信を終了したRFIDタグ3の個数と、個数検出装置7から受信したRFIDタグ3の個数とを比較し、両者の個数が一致しているか否かを判定する。すなわち、コンピュータ端末15は、リーダライタ1が各物品13に貼付されている全てのRFIDタグ3とリードライトの通信を行って、全てのRFIDタグ3に記録されている物品13の管理情報やRFIDタグ3の識別情報などを入手したか否かを判定する。そして、コンピュータ端末15は、ネットワーク16を介して、情報入手の判定結果をサーバ17へ送信すると共に表示器11に判定結果を表示する。
【0066】
ここで、撮像装置6による撮像結果によって得られたRFIDタグ3の個数と、アンテナ2とRFIDタグ3との間のリードライトによる通信結果によって得られたRFIDタグ3の個数とが同一である場合は、コンピュータ端末15は、両者の個数と「個数同一」の情報をサーバ17へ送信すると共に、両者の個数と「個数同一」の情報を表示器11に表示させる。そして、両者の個数が同一の場合はそのまま台車4を所定の方向へ進行させる。
【0067】
また、撮像装置6による撮像結果によって得られたRFIDタグ3の個数と、アンテナ2とRFIDタグ3との間のリードライトによる通信結果によって得られたRFIDタグ3の個数とが異なる場合は、両者の個数と「個数不一致」の情報をサーバ17へ送信すると共に、両者の個数と「個数不一致」の情報を表示器11に表示させる。この場合、表示器11は警報表示を行い、「個数不一致」の文字を赤く大きく表示する。
【0068】
ここで、両者の個数が異なる場合は、自動制御によって台車4を走行させているときはコンピュータ端末15の指示によって台車4を停止させる。また、運搬者による人力によって台車4を走行させているときは、その運搬者が表示器11の警報表示を確認して台車4を停止させる。そして、再度、アンテナ2とRFIDタグ3との間でリードライトの通信を行ってRFIDタグ3の個数を検出し、さらに、撮像装置6と個数検出装置7によってRFIDタグ3の個数を検出して、再度、両者の個数を比較判定する。ここで、両者の個数が同一であると判定された場合は台車4を進行させる。一方、再度の比較判定においても両者の個数が異なる場合は、2回目の比較判定においても両者の個数が異なる旨の情報をサーバ17に通報し、以降はサーバ17の指示に従う。
【0069】
次に、フローチャートを用いて本実施形態におけるRFIDタグ認識システムの動作の流れを説明する。図5は、本実施形態におけるRFIDタグ認識システムの動作の流れを示すフローチャートである。したがって、図1、図2、図3及び図4を参照しながら図5に示すフローチャートの流れを説明する。
【0070】
まず、環境条件として、通路または製造ライン5の側方に立てた支柱12には、少なくとも、紫外線または可視光線を照射する投光器14、物品13とその物品13に対応するRFIDタグ3の目印を撮像する撮像装置6、及びRFIDタグ3との間でリードライトの通信を行うアンテナ2を設置しておく。一方、台車4に積載された複数の物品13に貼付された各RFIDタグ3の表面には、蛍光物質または蓄光物質によってRFIDタグ13を認識するときの目印となる文字として「 RFID」 の文字を印刷しておく。
【0071】
このような環境条件下において、光センサ10は、台車4が支柱12の側方を通過中であるか否かを判断する(ステップS1)。まだ、台車4が支柱12の側方を通過中でなければ(ステップS1でNo)、台車4が支柱12の側方に到来するまで待機する。一方、台車4が支柱12の側方を通過中であれば(ステップS1でYes)、アンテナ2とRFIDタグ3との間でリードライトの通信を行う(ステップS2)。
【0072】
さらに、投光器14から、台車4に積載された複数の物品13に貼付された各RFIDタグ3の目印「 RFID」 へ紫外線または可視光線を照射する(ステップS3)。そして、撮像装置6が、紫外線または可視光線の照射された複数のRFIDタグ3の目印「 RFID」 を撮像する(ステップS4)。つまり、複数のRFIDタグの目印「 RFID」 に紫外線または可視光線を照射すると、RFIDタグの表面に表示されている「 RFID」 の文字は蛍光物質または蓄光物質で印刷されているために発光する。一方、「 RFID」 の文字の周辺部分は蛍光物質や蓄光物質が存在しないために発光はしない。従って、撮像装置6によって撮像された「 RFID」 の文字は、図4に示すように容易に認識できる状態で表示される。
【0073】
次に、個数検出装置7が、撮像装置6によって撮像された「 RFID」 の個数を検出する(ステップS5)。つまり、撮像装置6によって撮像された「 RFID」 の文字は鮮明な撮像画像となっているので、個数検出装置7は、「 RFID」 の文字を1個ずつが認識可能な形状で複数個捉えることができる。また、それらの撮像画像(つまり、「 RFID」 の文字)は表示内容が単純化されているので、複数のRFIDタグの個数を検出することは極めて容易である。言い換えれば、周囲より明るく表示されている「 RFID」 の文字は極めて認識しやすい状態であるので、画像認識によって「 RFID」 の個数を数えることにより、台車4に積載された複数の物品13に貼付されたRFIDタグ3の全ての個数を正確に計測することは極めて容易である。
【0074】
次に、コンピュータ端末15は、リーダライタ1がリードライトの通信によって集計したRFIDタグ3の個数と、撮像装置6と個数検出装置7とによって計測したRFIDタグ3の個数とを比較し、両者の個数が一致しているか否かを判定する(ステップS6)。ここで、リーダライタ1がリードライトの通信によって集計したRFIDタグ3の個数が、撮像装置6と個数検出装置7とによって計測した個数より少なければ(ステップS6でNo)、台車4を停止させ(ステップS7)、リーダライタ1は台車4に積載されている物品13のRFIDタグ13の識別番号を全て取得できていないと判断し、再び、アンテナ2とRFIDタグ3との間でリードライトの通信を行う(ステップS8)。そして、ステップS6に戻って、再度、リーダライタ1がリードライトの通信によって集計したRFIDタグ3の個数と、撮像装置6と個数検出装置7とによって計測したRFIDタグ3の個数とを比較し、両者の個数が一致しているか否かを判定する(ステップS6)。
【0075】
一方、ステップS6で、リーダライタ1がリードライトの通信によって集計したRFIDタグ3の個数と、撮像装置6と個数検出装置7とによって計測したRFIDタグ3の個数とを比較し、両者の個数が一致している場合は(ステップS6でYes)、台車4をそのまま進行させる。このようにして、リーダライタ1は台車4に積載されている全ての物品13におけるRFIDタグ3の識別番号を漏れなく取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のRFIDタグ認識システムは、ベルトコンベアまたは台車などで移動させる物品、部材、装置などを管理する管理システムや、工場、倉庫、または流通経路などに保管されている物品、部材、装置などを管理する管理システムなどに有効に利用することができる。さらには、RFIDタグが使用される個人認知システムや入退場管理システムなどに利用したり、RFIDタグが使用される動物認知システムや動物管理システムなどに利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明における一実施形態のRFIDタグ認識システムの構成図である。
【図2】図1に示すRFIDタグ認識システムを側面から見た図である。
【図3】図1に示すRFIDタグ認識システムにおける個数検出装置7の内部構成図である。
【図4】撮像装置が図2に示すRFIDタグ認識システムの側面図の方向を撮像したときの撮像画像である。
【図5】本発明におけるRFIDタグ認識システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 リーダライタ
2 アンテナ
3 RFIDタグ
4 台車
5 通路または製造ライン
6 撮像装置
7 個数検出装置
8 画像認識部
9 個数検出部
10 光センサ
11 表示器
12 支柱
13 物品
14 投光器
15 コンピュータ端末(比較手段、確認検出手段)
16 ネットワーク
17 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップとアンテナを備えたRFIDタグの情報を無線通信によって認識するRFID認識システムであって、
物品に貼付された複数の前記RFIDタグと無線通信を行って該RFIDタグの個数を検出するリーダライタと、前記物品に貼付された複数の前記RFIDタグに個別に記録された目印を一括して撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像した目印の個数を検出する個数検出装置とを備え、
前記リーダライタが検出した前記RFIDタグの個数と、前記個数検出装置が検出した目印の個数とを比較する比較手段を設けると共に、
前記比較手段による比較結果において前記RFIDタグの個数と前記目印の個数とが異なる場合に前記リーダライタに対して再度前記RFIDタグの個数の検出を実行させる確
認検出手段を装備したことを特徴とするRFID認識システム。
【請求項2】
前記請求項1に記載のRFID認識システムにおいて、
前記RFIDタグに個別に記録された目印は、前記RFIDタグの表面に表示された図柄、記号、又は文字のいずれか1つ又は2つ以上が複合されたものであることを特徴とするRFID認識システム。
【請求項3】
前記請求項2に記載のRFID認識システムにおいて、
前記RFIDタグに個別に記録された目印を構成する前記図柄、前記記号又は文字は、蛍光物質又は蓄光物質等の発光物質によって表記されていることを特徴としたRFID認識システム。
【請求項4】
前記請求項2又は3に記載のRFID認識システムにおいて、
前記撮像装置に、紫外線又は可視光線等の光線によって前記目印を照射する投光器を併設したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のRFID認識システム。
【請求項5】
ICチップとアンテナを備えたRFIDタグの情報を無線通信によって認識するRFID認識システムであって、
所定の経路を通過する台車に積載された物品に貼付された複数の前記RFIDタグと無線通信を行って該RFIDタグの個数を検出するリーダライタと、
前記物品に貼付された複数の前記RFIDタグに個別に記録された目印を一括して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮像した目印の個数を検出する個数検出装置と、
前記リーダライタが検出した前記RFIDタグの個数と、前記個数検出装置が検出した目印の個数とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果において、前記RFIDタグの個数と前記目印の個数とが異なるとき、前記台車を停止させると共に、前記リーダライタに対して、再度、前記RFIDタグの個数の検出を実行させる確認検出手段と
を備えることを特徴とするRFID認識システム。
【請求項6】
台車に積載された物品に貼付されたRFIDタグの情報を無線通信によって認識するRFID認識方法であって、
前記台車が所定の位置を通過中であるか否かを確認する通過確認工程と、
前記台車が所定の位置を通過中であれば、リーダライタ側のアンテナと前記RFIDタグとの間で無線通信を行って該RFIDタグの個数を検出するタグ個数検出工程と、
前記RFIDタグに個別に記録された目印に対して紫外線または可視光線を照射する照射工程と、
紫外線または可視光線が照射された前記目印を一括して撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像された前記目印の個数を検出する目印個数検出工程と、
前記タグ個数検出工程で検出された前記RFIDタグの個数と、前記目印個数検出工程で検出された前記目印の個数とが一致するか否かを比較判定する比較判定工程と、
前記比較判定工程による判定結果において、前記RFIDタグの個数と前記目印の個数とが一致しないとき、再度、前記リーダライタ側の前記アンテナと前記RFIDタグとの間で無線通信を行って該RFIDタグの個数を検出する確認検出工程と、
を含むことを特徴とするRFID認識方法。
【請求項7】
台車に積載された物品に貼付されたRFIDタグの情報を無線通信で認識するRFID認識方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記台車が所定の位置を通過中であるか否かを確認する通過確認機能と、
前記台車が所定の位置を通過中であれば、リーダライタ側のアンテナと前記RFIDタグとの間で無線通信を行って該RFIDタグの個数を検出するタグ個数検出機能と、
前記RFIDタグに個別に記録された目印に対して紫外線または可視光線を照射する照射機能と、
紫外線または可視光線が照射された前記目印を一括して撮像する撮像機能と、
前記撮像機能によって撮像された前記目印の個数を検出する目印個数検出機能と、
前記タグ個数検出機能によって検出された前記RFIDタグの個数と、前記目印個数検出機能によって検出された前記目印の個数とが一致するか否かを比較判定する比較判定機能と、
前記比較判定機能による判定結果において、前記RFIDタグの個数と前記目印の個数とが一致しないとき、再度、前記リーダライタ側の前記アンテナと前記RFIDタグとの間で無線通信を行って該RFIDタグの個数を検出する確認検出機能と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−297181(P2007−297181A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126998(P2006−126998)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】