説明

RFIDタグ

【課題】軽量であって厚さが薄く、充電により再利用可能であってかつ折り曲げ可能な電源を内蔵したRFIDタグを提供することにある。
【解決手段】ICモジュール2、アンテナ3及び電源を有し、厚みが0.9mm以下であるRFIDタグにおいて、上記の電源として、0.7mm以下の厚みの有機ラジカル電池が内蔵されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC(集積回路)モジュール、アンテナ、電源を有するRFIDタグに関し、特に、充放電可能な二次電池を電源として有するRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグ(RFID(Radio Frequency Identification)に用いられる無線デバイスの総称)のうち、人が持って、リーダーライタ(読み取り/書き込み)装置などに対して電磁波を利用して通信を行なうICカードは、非接触式ICカードと呼ばれる。非接触式ICカードの基本構造は、プラスチックカードと、このカードに内蔵されたICモジュール及びアンテナからなる。非接触式ICカードとそのICカードのためのリーダーライタ装置との間では、電力・クロック信号等の供給や、データ・コマンドなどの情報の入出力は、電磁波を用いて行われる。
【0003】
また、非接触式ICカードには、ICモジュール及びアンテナのほかに、電源を備えているものもある(例えば特許文献1参照)。このようなICカードは一般に、ICモジュール及びアンテナと共に電源を2枚のプラスチッックシートの間に密閉した構造を持つ。電源を内蔵した非接触式ICカードは、電源を内蔵していないカードに比べ、長い距離での情報送信(数十m)が可能であるという利点を備える。そのようなICカードに内蔵する電源としては、一次電池である薄型リチウムコイン電池や、充電が可能な電池(二次電池)であるリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、鉛蓄電池などが考えられる。
【0004】
しかし、一次電池を内蔵したICカードは、電池寿命が尽きるとそのICカードは機能を果たさなくなってしまうという問題点を有する。これに対し、上記に挙げたような二次電池をICカードに内蔵した場合は、その二次電池を充電することにより、ICカードも繰り返し使用できるようになる。そのような試みとして、例えば特許文献2に記載されたものがある。しかしながら、上記に挙げられた二次電池を使用する場合には、その充電には最低1時間以上という長時間を要する。また、2年以上経過するとその二次電池における大きな容量低下が見られ、電池交換をしない限り、頻繁な充電を強いられる。
【0005】
さらに、非接触式ICカードのサイズは一般に、ID−1型カードと呼ばれる国際規格サイズに準じており、キャッシュカードやクレジットカードと同じ寸法・厚さ(縦54.0mm×横85.7mm×厚さ0.76mm)である。但し、そのカード厚さは国際規格に準じた0.76mmが中心であるものの、実際にはばらつきもあり、0.9mm程度の厚みのものもある。したがって、このような国際規格サイズのICカードに内蔵する電源としては、カード厚を鑑みて、電源の厚さが0.7mm程度以下に薄いものでなければならない。しかし、上記の挙げられた薄型リチウムコイン電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池などでは1mm以上の厚さを要してしまい、前記国際規格サイズのICカードを作製することはできなかった。現状において、0.76mmの厚さ内に内蔵可能な電源デバイスとして薄型キャパシタがあるが、これは蓄電容量が小さいという問題点がある。
【0006】
さらに、非接触式ICカードはズボンの後ろポケットに入れられて、屈んだときに折り曲げられることも想定される。また、RFIDタグは、非接触式ICカードとして人が持っている以外に、曲面を有する物体に貼付して使用されることも想定される。しかし、薄型キャパシタやリチウムコイン電池、従来のリチウムイオン二次電池などは固くて折り曲げることはできない。そのため、折り曲げるような状況に遭うRFIDタグおよび非接触式ICカードには上記に挙げたような電源を内蔵できないという問題もある。
【特許文献1】特開平7−262333号公報
【特許文献2】国際公開WO01/97300号
【特許文献3】特開2002−151084号公報
【特許文献4】特開2002−304996号公報
【特許文献5】特開2003−308839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した実情により、折り曲げることも想定される非接触ICカードなどのRFIDタグに内蔵される電源は、厚さが0.9mm以下のタグに内蔵できること、折り曲げ可能であることが望まれる。また、そのような電池は、充電により再利用が可能である二次電池であって、充電が短時間で完了することも望まれる。さらに、このような二次電池を使用期間に応じて新しいものと交換できるRFIDタグが望まれる。
【0008】
そこで本発明の目的は、厚さが0.9mm以下のRFIDタグであって、充電により再利用可能であってかつ折り曲げ可能な電源が内蔵されたRFIDタグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のRFIDタグは、ICモジュール、アンテナ及び電源、あるいはICモジュール、アンテナ、表示素子及び電源を有するRFIDタグにおいて、前記電源として有機ラジカル電池が内蔵されていることを特徴とする。この有機ラジカル電池はRFIDタグの厚みが0.9mm以下でも内蔵可能である。
【0010】
本発明において用いられる有機ラジカル電池は、活物質である有機ラジカル化合物の酸化還元反応を用いる電池である。特許文献3には、ニトロキシドラジカル化合物、アリールオキシラジカル化合物及び特定のアミノトリアジン構造を有する高分子化合物などのラジカル化合物を正極材料として用いる有機ラジカル電池が開示されている。特許文献4に記載されている有機ラジカル化合物の酸化還元反応を用いる電池では、ニトロキシル高分子と炭素(導電付与剤)を混合した正極が用いられている。また、特許文献5には、正極及び負極の少なくとも一方の電極反応がチアジル基を有するラジカル化合物を反応物もしくは生成物とする反応であるラジカル電池が開示されている。
【0011】
このような有機ラジカル電池を用いることで、薄型軽量であり、折り曲げも可能で、かつ再充電可能なICカード用電源が提供できる。有機ラジカル電池は短時間での充電も可能であり、ICカードサイズ用デバイスに対する電源としては最適である。
【0012】
本発明においては、RFIDタグ内における電源とICモジュールとの配置は種々考えられる。キャビティ部を有する基板を備え、少なくとも電源がキャビティ部に格納されている場合や、凹部を有する基板を備え、少なくとも電源が凹部に配置され、凹部内に配置された電源を被覆するシール層をさらに有する場合が考えられる。また、ICモジュールが基板上に設けられ、電源が基板を被覆するシール層中に設けられている場合も考えられる。このように基板に電源を格納するキャビティ部や、電源が配置される凹部を設けることで、RFIDタグの平坦性が確保できる。
【0013】
さらに、電源が配置される基板面および該電源に対向するシール層表面に、酸化シリコン(SiOx;x=1〜2)層、窒化酸化シリコン(SiOxN;x=0.5〜1.5)層を設けることによって、防水性を高めることが可能となる。有機ラジカル電池は、使用環境として防水性が高いことが望まれるためである。電源をシール層中に設けて密封することでも防水性を高めることが可能となる。また、アンテナを電源及びICモジュールと同一基板上に設けてもよく、シール型のアンテナを用い、アンテナをシール層と兼ねるようにしてもよい。あるいはアンテナが基板を兼ねるようにしてもよい。
【0014】
また、少なくとも電源に対向する位置に存在するシール層を剥離可能とすることで、電池の交換も容易に行うことができるようなる。
【0015】
さらに、本発明におけるRFIDタグには表示素子を配置することが可能である。表示素子としては薄型の液晶表示素子、EL素子、電子ペーパー、LED表示素子などが挙げられる。これにより、RFIDタグ上に、残高などの有用な情報の表示が可能となる。
【0016】
さらに、本発明におけるRFIDタグには温度センサを配置することが可能である。これにより、食品・飲料・生花・血液製剤・薬品・精密機器等に貼り付けてそれらの温度を外部に送信して監視することができる。
【0017】
さらに、本発明におけるRFIDタグには脈拍、血圧、心電、筋電などの生体情報を検知するセンサを配置することが可能である。これにより、人体に貼り付けて生体情報を得るとともに他の者へ送信することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明におけるRFIDタグには位置情報センサを配置することが可能である。これにより、物・人の位置情報の把握に利用することができる。
【0019】
さらに、本発明におけるRFIDタグには、報知手段を配置することが可能である。報知手段としては、光、音、振動、匂いなどで報知する手段が挙げられる。これにより、通信動作を光・音・振動で示したり、通信状態や通信結果を報知することが可能になる。
【0020】
なお、本発明のRFIDタグには、上記表示素子、温度センサ、生体情報センサ、位置情報センサ、報知手段のうちの一つのみの配置に限られず、2以上の任意の組み合わせで配置することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、薄型軽量で携帯に優れ、折り曲げることも可能な、電源を内蔵するRFIDタグが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
[1] RFIDタグ(非接触ICカード)
まず、本発明に基づくRFIDタグについて説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図中の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0024】
図1は、RFIDタグの構造の一例を示している。図示されるRFIDタグは、オーバーレイ9a、コアシート8a、コアシート8b及びオーバーレイ9bをこの順に重ね合わせた構造を有する。コアシート8a、コアシート8bは、基板として機能するものである。
【0025】
図2Aは、オーバーレイ9bをその上方から見た図であり、図2Bは、図2AのX−Y断面を示している。オーバーレイ9bは、PVC、ABS、PET−Gなどの樹脂からなる、厚さ0.1mm程度の透明性のあるプラスチックフィルムである。オーバーレイ9bには、コアシート8aの充電端子7(図3A)と重なる部分に穴11があけられている。
【0026】
図3Aは、コアシート8bをその上方から見た図であり、図3Bは、図3AのX−Y断面を示している。コアシート8bは、PVC、ABS、PET−Gなどの樹脂からなる厚さ0.25〜0.35mmのプラスチックシートである。コアシート8bには、充電配線用のスルーホール6と充電端子7が設けられており、また有機ラジカル電池1を収納するためのキャビティ部10(凹部)を有する。
【0027】
図4Aは、コアシート8aをその上方から見た図であり、図4Bは、図4AのX−Y断面を示している。コアシート8aは、PVC、ABS、PET−Gなどの樹脂からなる厚さ0.25〜0.35mmのプラスチックシートであり、その上に、有機ラジカル電池1、ICモジュール2、アンテナ3、リード4及び充電用配線5が配置されている。ここで有機ラジカル電池1は、ICモジュール2を駆動する電源として設けられている。アンテナ3は、ICモジュール2と接続される平面コイルアンテナとして設けられている。
【0028】
図5Aは、オーバーレイ9aをその上方から見た図であり、図5Bは、図5AのX−Y断面を示している。オーバーレイ9aは、PVC、ABS、PET−Gなどの樹脂からなる厚さ0.1mm程度の透明性のあるプラスチックフィルムである。
【0029】
オーバーレイ9a、コアシート8a、コアシート8b及びオーバーレイ9bをこの順に重ね合わせ、熱圧着(温度:100〜150℃、圧力1〜10kg/cm2、圧着時間:30秒〜10分)してこれらを融着することにより、図1に示した本実施形態のRFIDタグが得られる。
【0030】
以上説明したRFIDタグでは、電源(有機ラジカル電池1)は、コアシート8a上に、コアシート8bに形成されたキャビティ部10に収納されるように設けられているが、本発明における電源の構成はこれに限られるものではない。例えば、基板を被覆するシール層中に電源が設けることが可能である。図6Aは、有機ラジカル電池1を内蔵したシール層100の断面図であり、図6Bは、シール層100を下方から見た図である。シール層100は裏面の外周部分102は接着性がある。また、有機ラジカル電池1は電池カバー101内に収納されており、有機ラジカル電池1からは金属もしくは炭素からなるタブ11が出ている。タブ11は、電池1の各電極に対して電気的に接続するものである。
【0031】
図7Aは、このように有機ラジカル電池1がシール層100内にあるRFIDタグの平面図であり、図7AのX−Y線での断面図である。このRFIDタグは、オーバーレイ9aと、コアシート8aと、コアシート8bと、オーバーレイ9bと、有機ラジカル電池1が内蔵されたシール層100とをこの順に重ね合わせた構造を有する。シール層100の裏面の外周部分の、接着性を有する部分102により、シール層100をコアシート8bに接着することができる。シール層100を装着するときに、電池1のタブ11はICモジュール2の端子12と重なり合うようになる。これにより、電池1がICモジュール2と電気的に接続する。また、オーバーレイ9bとコアーシート8bには、シール層100の接着時にタブ11及び電池1が入る開口が設けられている。
【0032】
なお、防水性を高めるため、電池1が設置される開口部及び電池1に相対するシール層100と電池カバー101の表面には、30〜200nm厚程度の酸化シリコン(SiOx;x=1〜2)層を蒸着などで形成してもよい。
【0033】
図8Aは、基板(コアシート)の一部と有機ラジカル電池1とを被覆するシール層を有するRFIDタグの平面図であり、図8Bは、図8AのX−Y線での断面図である。コアシート8bには、上下面間を貫通する空間部が形成されており、コアシート8a上に配置された有機ラジカル電池1は、コアシート8bのこの空間部内に収容されている。そして、シール層100は、有機ラジカル電池1を被覆し、この空間部を閉鎖するように、オーバーレイ9b上に設けられている。ここでシール層100は剥離可能であり、シール層100を剥がすことによって、内部の有機ラジカル電池1の交換を容易に行うことができるようになっている。また、コアシート8a,8b、オーバーレイ9a,9bは電池の折り曲げを容易にするために、可撓性を有するプラスチック材料を用いているが、シール層100も同様に可撓性を有する樹脂材料または金属箔を用いることが好ましい。
【0034】
図9Aは、基板(コアシート)の一部と有機ラジカル電池1とを被覆するシール層を有する、表示素子付きRFIDタグの平面図である。図9Bは図9AのX−Y線での断面図、図9Cは図9AのW−Z線での断面図である。コアシート8bには、有機ラジカル電池1を収容するための空間部が形成されており、コアシート8a上に配置された有機ラジカル電池1は、コアシート8bの、この空間部内に収容されている。また、コアシート8aとコアシート8bには、表示素子102を収容するための空間部が形成されており、オーバーレイ9b上に配置された表示素子102は、コアシート8aとコアシート8bの空間部内に収容されている。そして、シール層100は、有機ラジカル電池1を被覆し、この空間部を閉鎖するように、オーバーレイ9b上に設けられている。ここでシール層100は剥離可能であり、シール層100を剥がすことによって、内部の有機ラジカル電池1の交換を容易に行うことができるようになっている。
【0035】
また、本例の表示素子102は、図1に示した例のように有機ラジカル電池1がコアシート8a,8b間のキャビティ部10に配置されているRFIDタグに用いることも可能である。
【0036】
表示素子102は、表示素子用配線104によって、有機ラジカル電池1やICモジュール2やスイッチ103と接続されている。これにより、オーバーレイ9bに露出するスイッチ103の操作によって、表示素子102はICモジュール2内の情報を表示することができる。例えば、このRFIDタグをプリペイド型の非接触ICカード(電子マネー用ICカード)として使用する場合、スイッチ103を押すことで表示素子102に残高を表示することができる。
【0037】
表示素子102の例としては、液晶表示素子、EL表示素子、電子ペーパなどが挙げられる。液晶表示素子の例としては、図10aに示すように対向電極301、液晶層302、駆動電極303、バックライト304からなる。また、EL表示素子の例としては、図10bに示すようにガラス基板305、陽極(透明電極)306、EL膜307、陰極308からなる。また、電子ペーパーの例としては、図10cに示すように透明樹脂基板309、透明電極310、マイクロカプセル層311、駆動電極(TFT電極)312からなる。
【0038】
なお、防水性を高めるため、電池が設置される凹部(空間部)及び電池に相対するシール層100の表面に、30〜200nm厚程度のシリコン(SiOx;x=1〜2)層あるいは窒化シリコン(SiOxN;x=0.5〜1.5)層を蒸着などで形成してもよい。
【0039】
図11Aは、任意のセンサおよび報知素子を備えたRFIDタグの平面図である。図11Bは図11AのX−Y線での断面図、図11Cは図11AのW−Z線での断面図である。コアシート8bには、有機ラジカル電池1を収納するためのキャビティ部10(凹部)が形成されており、コアシート8a上に配置された有機ラジカル電池1は、コアシート8bのキャビティ部10内に収容されている。また、コアシート8a上には、センサ14および報知素子15が配置されている。センサ14および報知素子15は配線13によって、有機ラジカル電池1およびICモジュール2に接続されている。さらに、センサ14はコアシート8bに覆われているが、報知素子15はオーバーレイ9bに設けられた穴から露出している。
【0040】
なお、図11A〜図11Cに示す例では有機ラジカル電池1をタグ内に固定したが、図7A〜図9Bに示す構成のようにシール層100を剥がすことで電池1を交換可能にしてもよい。この場合、防水性を高めるため、電池が設置される凹部(空間部)及び電池に相対するシール層100の表面に、30〜200nm厚程度のシリコン(SiOx;x=1〜2)層あるいは窒化シリコン(SiOxN;x=0.5〜1.5)層を蒸着などで形成するのが良い。さらに、本例のRFIDタグには図9Aに示したように表示素子102を付属することも可能である。
【0041】
上記センサ14の例としては、温度センサ、脈拍・血圧・心電・筋電などの生体情報センサ、位置情報センサ、などが挙げられる。
【0042】
報知素子15の例としては、光、音、振動、匂いなどを発する素子が挙げられる。発光素子としてはLEDやEL素子などが使用できる。発音素子はペーパ状の超薄型スピーカーが考えられる。振動素子は圧電素子や磁歪素子などが使用できる。
【0043】
電気を使って匂いを出す素子としては、常温では無臭であるが周囲温度が上がると気化して香るような香料を、ヒータ等の電気熱変換体と組み合わせた素子が考えられる。あるいは、香料を内包させたマイクロカプセルに圧力をかけてカプセルを破り香りをだすという素子もあり得る。
【0044】
上記に例示した温度センサを本発明のRFIDタグのセンサ14として配置した場合、食品・飲料・生花・血液製剤・薬品・精密機器等に貼り付けてそれらの温度を監視することができる。例えば、それらの物流・保管の際の温度履歴をリアルタイムに監視することができ、異変があった際の追跡調査に役立てることができる。また、人間の体に貼り付けて使用する体温センサとしても利用することができる。例えば病院では、入院患者の体温変化を、ナースセンターでリアルタイムに把握することが可能となる。
【0045】
さらに、温度センサと共に表示素子102を本RFIDタグに搭載した場合は、検出した現在温度または温度履歴の送信に加えて、それらを表示素子102で表示することができる。
【0046】
また、センサ14として生体情報センサを本RFIDタグに配置した場合、例えば、このRFIDタグが装着された高齢者や独居健康不安者の活動状況や健康状態の情報を得ることができ、その情報を医者や家族に送信することが可能となる。
【0047】
さらに、生体情報センサと共に表示素子120を本RFIDタグに搭載した場合は、検出した血圧や心拍数などを病院などの外部に送信するとともに、自らもそれを表示素子120で知ることができる。このタグにさらに温度センサを搭載すれば、体温の送信および表示も可能になる。
【0048】
また、センサ14として位置情報センサを本RFIDタグに配置した場合、物または人に当該タグを貼り付けることで物または人の位置情報を外部から把握することができる。例えば遊園地での迷子の探知や、配達品の探索、高齢者や独居健康不安者の活動状況の情報を得ることなどが可能となる。
【0049】
さらに、位置情報センサと、表示素子120と温度センサと生体情報センサのうちの1つ以上を本RFIDタグに搭載した場合、例えば高齢者や独居健康不安者の位置情報とともに生体情報や体温情報も外部送信で把握でき、自らも生体情報や体温情報を表示素子120で知ることできる。
【0050】
また、報知素子15を本RFIDタグに配置した場合、アンテナ3によるRF通信時やセンサ14の検出時に光や音や振動を発生させることができる。さらに、報知素子15を備えた本RFIDタグを電子マネー機能付きの非接触ICカードとした場合、料金ゲートや改札を通過する際に、RF通信が成功したことをカード自体が光や音や振動で報知することができる。この場合、盲者には音で電子マネーの残高を通知することも可能となる。さらに、報知素子15を備えた本RFIDタグを財布や定期券入れに収納したり、財布や鍵束などに取り付けたりしておけば、在り処がわからなくなった時に音や光を発生させて探しやすくするようなことも可能となる。
【0051】
さらに、報知素子15と、表示素子120と温度センサと生体情報センサと位置情報センサのうちの1つ以上を本RFIDに搭載した場合、前述した機能に加え、例えば、高齢者や独居健康不安者に生体情報や体温情報の異常を音声等で知らせて安静を促すといったことも可能となる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明に基づくRFIDタグでは、アンテナ3は、有機ラジカル電地1と同一の基板(コアシート8a)上に設けられていてもよいし、あるいは、シール層100上に設けられシール層100を兼ねていてもよい。
【0053】
本発明のRFIDタグに用いるICモジュールの一例の概念図を図12に示す。ICモジュール2は、メモリ2a(ROM、RAM)、制御用マイクロプロセッサ2b、変調器2c、コマンド2d、クロック2e、フロントエンド2fを用いて構成されている。そして、有機ラジカル電池1からの電力が、ICモジュール2を通して電波の発信やデータの書き変え、記録などに用いられる。
【0054】
[2] 薄型有機ラジカル電池
次に、本実施形態のRFIDタグに用いられる薄型有機ラジカル電池について説明する。図13は薄型有機ラジカル電池の斜視図であり、図14は、薄型有機ラジカル電池の内部構成を示す分解斜視図である。
【0055】
薄型有機ラジカル電池は、その厚さが0.7mm以下である薄型の有機ラジカル電池のことである。薄型有機ラジカル電池の基本構成は、安定ラジカル化合物を正極活物質としたラジカル正極202と、多孔質ポリプロピレンやセルロースなどからなるセパレータ203と、金属リチウムなどからなる負極204がこの順に積層されたものである。この積層体はセパレータ203に電解液を浸透させ両側から外装用フィルム201で挟んで封止される。また、正極202及び負極204は、それぞれ正極リード205及び負極リード206に接続されており、これらのリードを介して電力を取り出せるように構成されている。外装用フィルム201としては、水蒸気透過性の低いアルミラミネートフィルムなどが使用される。
【0056】
以下、本発明に用いられる有機ラジカル電池の各構成部分について説明する。
【0057】
(1)ラジカル正極
ラジカル正極202における正極活物質として、還元状態において下記式(1)で表わされるニトロキシドラジカル、酸化状態において下記式(2)で表わされるオキソアンモニウム(ニトロキシドカチオン)を部分構造として分子中に有するニトロキシドラジカルポリマーを用いることができる。
【0058】
有機ラジカル電池を一次電池として用いた場合、その放電時には下記式(1)で表されるニトロキシドラジカル基と、下記式(2)で表されるオキソアンモニウム基の間で電荷の授受を行っているものと考えられる。また、二次電池として用いた場合、その充放電時には、下記式(1)で表されるニトロキシドラジカル基と、下記式(2)で表されるオキソアンモニウム基の間で可逆的に電荷の授受を行っているものと考えられる。ここで、ニトロキシドラジカル基は、酸素原子と窒素原子を結合してなるニトロキシド基を構成する酸素原子が不対電子を有する置換基のことを表す。このニトロキシドラジカル基は、窒素原子の電子吸引性によって酸素上にある不対電子(ラジカル)が安定化されている。
【0059】
このようなニトロキシドラジカルポリマーを用いることにより、安定して高エネルギー密度の電池を作動させることができる。
【0060】
【化1】

【0061】
ニトロキシドラジカルポリマーの代表的な構造の例を下記式(3)〜(7)に示す。
【0062】
【化2】

【0063】
これら式(3)〜(7)で表されるラジカルポリマーは、正極活物質として、還元状態において上記式(3)〜(7)で表されるニトロキシドラジカル、酸化状態においてそれぞれ下記式(8)〜(12)で表されるオキソアンモニウム(ニトロキシドカチオン)となっている。そして、電池の作動時には上記式(3)〜(7)のニトロキシドラジカルと、下記式(8)〜(12)のオキソアンモニウムとの間で電荷の授受を行っているものと考えられる。
【0064】
【化3】

【0065】
【化4】

【0066】
【化5】

【0067】
なお、これらのニトロキシドラジカルポリマーの重量平均分子量は、500以上であることが好ましく、さらには5000以上であることがより好ましい。これは、重量平均分子量が500以上であると電池用電解液に溶解しづらくなり、さらに分子量5000以上になるとほぼ不溶となるからである。重合体のポリマーは、鎖状、分岐状、網目状のいずれでもよい。また、架橋剤で架橋したような構造でもよい。
【0068】
また、これらのニトロキシドラジカルポリマーは、単独で用いることができるが、二種類以上を組み合わせて用いても良い。また、他の活物質と組み合わせて用いても良い。
【0069】
また、ニトロキシドラジカルポリマーを用いて電極を形成する場合に、インピーダンスを低下させる目的で、導電付与剤を混合させることもできる。導電付与剤の材料としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられる。
【0070】
また、ニトロキシドラジカルポリマーと導電付与剤の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。
【0071】
ラジカル正極202は、上記の正極活物質としてのニトロキシドラジカルポリマーを正極集電体上に形成してなり、正極集電体としては、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔または平板を用いることができる。特に、電池の折り曲げを容易にするためには、箔状の集電体材料にゲル状のニトロキシドラジカルポリマーを形成した正極を作製することが好ましい。
【0072】
(2)負極
負極204における活物質としては、リチウム金属やリチウム合金を用いることができる。リチウム合金としては、LiAl合金、LiAg合金、LiPb合金、LiSi合金、Li−Bi−Pb−Sn−Cd合金、Li−Ga−In合金などが挙げられる。これらの形状としては特に限定されるものではなく、例えば、薄膜状、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等であっても良い。また、これらの負極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用できる。
【0073】
負極204は、上記の活物質を集電体上に形成してなり、この集電体としては、正極を構成する集電体と同じ材料を用いることができる。勿論、活物質および集電体は電池の折り曲げを容易にする材料・厚みに選定される。
【0074】
また、負極204の各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、部分カルボキシ化セルロース、各種ポリウレタン等が挙げられる。
【0075】
(3)セパレータ
ラジカル正極202、および負極204が接触しないようにポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルム、セルロース膜、不織布などのセパレータ203を用いることができる。
【0076】
(4)電解質
図13に示す電池1は、電解液が浸透したセパレータ203を有している。
【0077】
セパレータ203の電解液は、負極204と正極202の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には20℃で10-5〜10-1S/cmのイオン伝導性を有していることが好ましい。電解液としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。
【0078】
この電解質塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiC(CF3SO23、LiC(C25SO23等が挙げられる。
【0079】
このような電解質塩を溶解させる溶剤としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。
【0080】
また、電池はセパレータ203の替わりに固体電解質を有するものでもよい。この固体電解質としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。これらの固体電解質としては、上記高分子物質に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いたり、上記高分子物質の状態のものをそのまま用いたりすることができる。電池を折り曲げ易くするためには、ゲル状の電解質を用いるのが望ましい。
【0081】
(5)電池形状
本発明に使用する薄型有機ラジカル電池の形状は、図13に示すシート型に限定されるものではない。シート型の電池形状の他には、円筒型、角型、コイン型等が挙げられる。このような電池は、上述した正極、負極、電解質、セパレータなどの電極積層体あるいは巻回体を、金属ケース、樹脂ケース、金属箔、ラミネートフィルム等によって封止することによって作製される。しかしながら、薄くしやすいという観点で言えば、電池形状は、ラミネートフィルムによって封止しされたシート型とすることが好ましい。ラミネートフィルムには合成樹脂フィルム単独、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムを張り合わせたもの、合成樹脂フィルムにSiO2などの酸化物を蒸着したものを用いることができる。
【0082】
(ラジカルポリマーの合成例)
上記式(5)で表されるラジカルポリマーの合成例を以下に示す。
【0083】
まず、モノマー(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−ビニルオキシ−1−オキシル)を合成した。このモノマーの合成は、イリジウム触媒存在下、相当するラジカルを有するアルコールと酢酸ビニルを加熱還流する方法を用いて行った。具体的には、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティ(Journal of The American Society、124巻,1590〜1591頁(2002年)、石井康敬ら)や特開2003−73321号公報に記載の方法に従って、モノマーを合成した。
【0084】
次に、この2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−ビニルオキシ−1−オキシル(モノマー)の重合を、下記式(13)で表される反応により行った。その具体的な方法について以下に示す。
【0085】
【化6】

【0086】
アルゴン雰囲気下、200mLの3口丸底フラスコに、上記のようにして合成した2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−ビニルオキシ−1−オキシル(モノマー)10.0g(50.4mmol)、ジクロロメタン100mLを加え、−78℃に冷却した。さらに、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体280mg(2mmol)を加えて均一にした後、−78℃で20時間、反応させた。反応終了後、室温に戻し、得られた固形物をろ過した後メタノールで数回洗浄し、真空乾燥を行うことで、赤色固体として式(5)で表されるラジカルポリマーを得た(収率70%)。
【0087】
得られたラジカルポリマーのIRスペクトルを測定したところ、上記モノマーの場合に観測されていたビニル基に由来するピーク966、674(cm-1)が消失していた。また、得られたラジカルポリマーは、有機溶媒等に不溶であった。ESRスペクトルにより求めたラジカルポリマーのスピン密度は、3.05×1021spin/gであった。これは、ポリマー中のすべてのラジカル基が重合によって失活せず、ラジカルのまま存在すると仮定した場合のスピン濃度とほぼ一致していた。
【0088】
(薄型有機ラジカル電池の作製例)
次に、薄型有機ラジカル電池の作製例について説明する。
【0089】
微粉化した式(5)で表されるラジカルポリマー1.68gと、炭素粉末(ケッチェンブラクEC300J;ライオン社製)0.6gと、カルボキシメチルセルロース(CMC:HB−9;日本ゼオン社製)96mgと、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:F−104;ダイキン社製)24mgと、水7.2mLをホモジナイザーにて攪拌し、均一なスラリー状に調整した。このスラリーを電極作製用コーターにてアルミ箔(厚さ20μm:正極の集電体)上に塗布し、さらに80℃で3分間乾燥して、厚さ50μmのラジカル正極層を形成した。
【0090】
次に、このようにして得られたラジカル正極を20×20mmの正方形に打ち抜いた。この正極のアルミ箔面に、長さ3cm、幅0.5mmのニッケルリードを溶接した。また、銅箔(負極集電体)上にリチウム箔(厚さ30μm)を張り合わせた後、20×20mmの正方形に打ち抜いて負極を形成した。この負極の銅箔面に、長さ3cm、幅0.5mmのニッケルリードを溶接した。
【0091】
次に、ラジカル正極のスラリーと負極のリチウム層とが対向するように、ラジカル正極、多孔質ポリプロピレンのセパレータ(25×25mmの正方形)、負極をこの順に積層してニッケルリード付電極対を作製した。
【0092】
この後、2枚の熱融着可能なアルミラミネートフィルム(縦40mm×横40mm×厚さ0.76mm)の三方を熱融着することにより袋状とし、この中に、上記のように作製したニッケルリード付電極対を入れた。さらに、電解液[1.0mol/LのLiPF6電解質塩を含むエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)の混合溶液(混合比EC:DEC=3:7)]を、アルミラミネートケースの中に0.5cc入れた。この際、ニッケルリード付電極のニッケルリードの端を、アルミラミネートケースの外に1cm出し、アルミラミネートケースの未溶着の一辺を熱融着した。これにより、電極と電解液をアルミラミネートケース中に完全に密閉した。
【0093】
以上のようにして薄型有機ラジカル電池(縦40mm×横40mm×厚さ0.4mm)を作製した。この電池を100mAで30秒充電した後に、0.1mAの定電流で放電した。その結果、平均電圧3.5Vで5時間放電を行えた(エネルギー量1.8mWh)。
【実施例】
【0094】
(RFIDタグの作製例1)
次に、本実施形態に基づくRFIDタグの作製例を説明する。
【0095】
図1に示す断面構成のRFIDタグとしてのICカードは次のようにして得られる。
【0096】
まず、厚さ0.1mmのPVC製のオーバーレイ9bと、充電配線用のスルーホール6及び充電用端子7が配されるとともに有機ラジカル電池1を収納するためのキャビティ部10を有する厚さ0.28mmのPVC製コアシート8bと、薄型有機ラジカル電池1、ICモジュール2、アンテナ3、リード4及び充電用配線5が配置された厚さ0.28mmのPVC製コアシート8aと、厚さ0.1mmのPVC製オーバーレイ9aと、を用意する。そして、オーバーレイ9a、コアシート8a、コアシート8bおよびオーバーレイ9bを下からこの順に重ね合わせ、熱圧着(120℃、圧力2kg/cm2、2分)した。これにより、図1に示すICカードが完成した。
【0097】
(RFIDタグの作製例2)
図7A、図7Bに示すRFIDタグとしてのICカードは次のようにして得られる。
【0098】
有機ラジカル電池1及びタブ11が通過可能な開口部を有する厚さ0.1mmのPVC製オーバーレイ9bと、充電配線用のスルーホール6及び充電用端子7が設けられるとともに有機ラジカル電池1を収納するための空間部を有する厚さ0.28mmのPVC製コアシート8bと、ICモジュール2、アンテナ3、リード4及び充電用配線5を配置した厚さ0.28mmのPVC製コアシート8aと、厚さ0.1mmのPVC製オーバーレイ9aとを用意する。そして、オーバーレイ9a、コアシート8a、コアシート8bおよびオーバーレイ9bを下からこの順に重ね合わせ、熱圧着(120℃、圧力2kg/cm2、2分)し、カードを成型した。このカードのオーバーレイ9bの開口部を通してコアシート8bの空間部に有機ラジカル電池1を収納するように、薄型の有機ラジカル電池1(縦40mm×横40mm×厚さ0.4mm)を有するシール層100をカードに貼り合わせた。こうして、図7A、図7Bに示すICカードが完成した。
【0099】
(RFIDタグの作製例3)
図9A、図9B、図9Cに示すRFIDタグとしてのICカードは次のようにして得られる。
【0100】
有機ラジカル電池1及びタブ11が通過可能な開口部を有する厚さ0.1mmのPVC製オーバーレイ9bと、充電配線用のスルーホール6及び充電用端子7が設けられるとともに有機ラジカル電池1および表示素子102を収納するための空間部を有する厚さ0.28mmのPVC製コアシート8bと、ICモジュール2、アンテナ3、リード4、充電用配線5、表示素子102、表示素子用スイッチ103、表示素子用配線104を配置した厚さ0.28mmのPVC製コアシート8aと、厚さ0.1mmのPVC製オーバーレイ9aとを用意する。そして、オーバーレイ9a、コアシート8a、コアシート8bおよびオーバーレイ9bを下からこの順に重ね合わせ、熱圧着(120℃、圧力2kg/cm2、2分)し、カードを成型した。このカードのオーバーレイ9bの開口部を通してコアシート8bの空間部に有機ラジカル電池1を収納するように、薄型の有機ラジカル電池1(縦40mm×横40mm×厚さ0.4mm)を有するシール層100をカードに貼り合わせた。こうして、図9A、図9B、図9Cに示すICカードが完成した。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の一形態のRFIDタグを示す断面図である。
【図2A】オーバーレイ9bの平面図である。
【図2B】図2AのX−Y線断面図である。
【図3A】コアシート8bの平面図である。
【図3B】図3AのX−Y線断面図である。
【図4A】コアシート9aの平面図である。
【図4B】図4AのX−Y線断面図である。
【図5A】オーバーレイ9aの平面図である。
【図5B】図5AのX−Y線断面図である。
【図6A】薄型有機ラジカル電池を内部に有するシール層の断面図である。
【図6B】図6Aに示すシール層を下方から見た図である。
【図7A】薄型有機ラジカル電池を内部に有するシール層を用いたRFIDタグを示す平面図である。
【図7B】図7AのX−Y線断面図である。
【図8A】基板及び薄型有機ラジカル電池を被覆するシール層を有するRFIDタグを示す平面図である。
【図8B】図8AのX−Y線断面図である。
【図9A】本発明の実施の一形態の表示素子付きRFIDタグを示す断面図である。
【図9B】図9AのX−Y線断面図である。
【図9C】図9AのW−Z線断面図である。
【図10A】液晶表示素子の構造を示す図である。
【図10B】EL表示素子の構造を示す図である。
【図10C】電子ペーパーの構造を示す図である。
【図11A】任意のセンサおよび報知素子を備えたRFIDタグの平面図である。
【図11B】図11AのX−Y線での断面図
【図11C】図11AのW−Z線での断面図である。
【図12】本発明のRFIDタグに用いるICモジュールの一例を示す概念図である。
【図13】薄型有機ラジカル電池の斜視図である。
【図14】薄型有機ラジカル電池の構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0102】
1 薄型有機ラジカル電池
2 ICモジュール
3 アンテナ
4 リード
5 充電用配線
6 スルーホール
7 充電用端子
8a,8b コアシート
9a,9b オーバーレイ
10 キャビティ部
11 タブ
12 端子
13 配線
14 センサ
15 報知素子
100 シール層
101 電池カバー
102 表示素子
103 表示素子用スイッチ
104 表示素子用配線
301 対向電極
302 液晶層
303 駆動電極
304 バックライト
305 ガラス基板
306 陽極(透明電極)
307 EL膜
308 透明樹脂基板
309 透明樹脂基板
310 透明電極
311 マイクロカプセル層
312 駆動電極(TFT電極)
201 外装用フィルム
202 ラジカル正極
203 セパレータ
204 負極
205 正極リード
206 負極リード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICモジュール、アンテナ及び電源を有するRFIDタグにおいて、前記電源として有機ラジカル電池が内蔵されていることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
RFIDタグの厚みが0.9mm以下である請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
表示素子をさらに有する請求項1または2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記表示素子が液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーのいずれかである、請求項3に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
基板を備え、前記電源と前記ICモジュールとが前記基板内に配置されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記基板がキャビティ部を有し、少なくとも前記電源が前記キャビティ部に格納されている、請求項5に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記基板が凹部を有し、少なくとも前記電源が前記凹部に配置され、前記凹部内に配置された前記電源を被覆するシール層をさらに有する、請求項5に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
基板と前記基板を被覆するシール層とを備え、前記ICモジュールが前記基板上に設けられ、前記電源が前記シール層中に設けられている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記基板は、前記電源が設置される位置に凹部を有する、請求項8に記載のRFIDタグ。
【請求項10】
前記アンテナは前記シール層に設けられている、請求項7乃至9のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記アンテナは前記基板に設けられている、請求項5乃至9のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項12】
前記アンテナは、前記電源及び前記ICモジュールとともに同一基板上に設けられている、請求項11に記載のRFIDタグ。
【請求項13】
前記基板及び前記シール層は、それぞれ可撓性を有する材料から構成されている、請求項7乃至12のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項14】
前記シール層は前記基板に対して剥離可能に設けられている、請求項7乃至13のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項15】
前記電源が配置される基板面および、前記電源に相対する前記シール層の表面に、酸化シリコン層(SiOx;x=1〜2)が設けられている、請求項7乃至14のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項16】
前記電源が配置される基板面および、前記電源に相対する前記シール層の表面に、窒化酸化シリコン層(SiOxN;x=0.5〜1.5)が設けられている、請求項7乃至14のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項17】
RFIDタグが非接触ICカードである、請求項1乃至16のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項18】
RFIDタグが温度センサを有する、請求項1乃至17のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項19】
RFIDタグが生体情報センサを有する、請求項1乃至18のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項20】
前記生体情報センサが脈拍センサ、血圧センサ、心電センサ、筋電センサのいずれかである、請求項19に記載のRFIDタグ。
【請求項21】
RFIDタグが位置情報センサを有する、請求項1乃至20のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項22】
RFIDタグが報知手段を有する、請求項1乃至21のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項23】
前記報知手段が光、音、振動、匂いのいずれかを発生させる手段である、請求項22に記載のRFIDタグ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−183919(P2007−183919A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294271(P2006−294271)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】