説明

low−k誘電体について損傷を低く抑えつつフォトレジストをストリッピングする方法

【解決手段】 誘電体材料からフォトレジストをストリッピングしてエッチング関連の残留物を除去する方法を改善する。本発明の一の側面に係る方法では、弱酸化剤およびフッ素含有化合物を利用する水素ベースのエッチングプロセスを用いて誘電体層から材料を除去することを含む。基板の温度は、約摂氏160度以下、例えば、約摂氏90度未満に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト材料をストリッピング(剥離)して、更なる処理に備えて、製造途中の集積回路の表面からエッチング関連の残留物を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願]
本願は、米国特許出願第12/636,601号(出願日:2009年12月11日)に基づき優先権を主張する。当該出願は、参照により本願に組み込まれる。
【0003】
ダマシンプロセスは、他の方法に比べると必要な処理工程の数が少なく収率が高いので、多くの最新式集積回路製造方式で好ましい方法として利用されることが多い。ダマシンプロセスでは、誘電体層(金属間誘電体)内のトレンチおよびビアに象嵌的手法で金属ラインを形成することによって、集積回路上に金属導電体を形成する。ダマシンプロセスの一環として、フォトレジスト層を誘電体層上に成膜する。このフォトレジストは、感光性有機ポリマーであり、液体状で「スピニング」されて、乾燥させて、固体薄膜となる。感光性フォトレジストはこの後、マスクを介して露光させるとともに湿潤溶剤を用いてパターニングされる。この後、プラズマエッチングプロセス(ドライエッチング)を用いて、誘電体の露出部分をエッチングして、パターンを誘電体に転写して、誘電体層にビアおよびトレンチを形成する。
【0004】
誘電体層のエッチングが完了すると、フォトレジストをストリッピングしなければならない。そして、存在すれば、不純物をデバイス内に埋設することを避けるべく、エッチングに関連して発生した残留物を全て、後続処理を実行する前に除去しなければならない。フォトレジストをストリッピングする従来のプロセスでは、複数のガスを混合させた混合ガスから形成されたプラズマを利用している。尚、プラズマには酸素を含めている。反応性が高い酸素をベースとするプラズマは、有機フォトレジストと反応して、有機フォトレジストを酸化して、ウェハ表面から取り去られる揮発性成分を形成する。
【0005】
一般的に、酸化性の高い条件もまた、低誘電率(low−k)材料に対して利用するには不向きである。low−k材料は、多くの最新型デバイスにおいて、容量効果に起因する信号伝搬遅延を抑制するべく、導電性インターコネクト同士の間で金属間誘電体および/または層間誘電体として利用されている。誘電体材料の誘電率が低いほど、誘電体の容量が小さくなり、集積回路のRC遅延が小さくなる。low−k誘電体は通常、酸化シリコンをベースとする材料であり、炭素が一定量含まれている。通常、炭素ドープ酸化物(CDO)と呼ばれる。必ずしも証明はされていないが、酸素がlow−k材料から炭素を収集または除去すると考えられている。CDO等の材料の多くでは、誘電率を低くする上で炭素の存在が役に立つ。このため、酸素がこれらの材料から炭素を除去する限り、誘電率が上昇することになる。集積回路を製造するために用いられるプロセスが一層の小型化に傾倒し、利用する誘電体材料の誘電率も一層の低下を要求している中、従来のストリッピング用プラズマ条件は適切でないことが分かった。
【0006】
このため、フォトレジストおよびエッチング関連の材料を誘電体材料、特に、low−k誘電体材料からストリッピングする方法を改善して高効率化する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、誘電体材料からフォトレジストをストリッピングして、エッチングに関連する残留物を除去する方法を改善することによって、上記の要望に応えるものである。本発明の一の側面に係る方法では、弱酸化剤およびフッ素含有化合物を採用した水素をベースとするエッチングプロセスを利用して誘電体層から材料を除去する。基板温度は、約摂氏160度以下の水準、例えば、約摂氏90度未満に維持する。
【0008】
特定の実施形態によると、当該方法では、弱酸化剤、フッ素含有化合物および水素を含むガスを反応チャンバに導入して、RF電力を印加して反応チャンバ内にプラズマを形成して、材料のうち少なくとも一部を気体状に変化させて、製造途中の集積回路から材料の少なくとも一部を除去する。前述したように、当該方法は、フォトレジストおよび/またはエッチングプロセスで発生した残留物を除去するために用いられるとしてよい。当該方法は、シングルダマシンデバイスおよびデュアルダマシンデバイス等のダマシンデバイスで実現するとしてよい。
【0009】
さまざまな実施形態によると、弱酸化剤は、二酸化炭素、一酸化炭素、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素、および、水のうち少なくとも1つを含む。特定の実施形態によると、弱酸化剤は、二酸化炭素を含む。特定の実施形態によると、ガスは、体積比率で約0.1%から約10.0%の二酸化炭素を含む。一部の実施形態によると、当該ガスはさらに、ヘリウム、アルゴンまたは窒素等の少なくとも1つの不活性のキャリアガスを含む。特定の実施形態によると、ガスは、酸素分子を含まない。
【0010】
さまざまな実施形態によると、フッ素含有化合物は、三フッ化窒素(NF)、六フッ化硫黄(SF)、ヘキサフルオロエタン(C)、テトラフルオロメタン(CF)、トリフルオロメタン(CHF)、ジフルオロメタン(CH)、オクトフルオロプロパン(C)、オクトフルオロシクロブタン(C)、オクトフルオロ[1−]ブタン(C)、オクトフルオロ[2−]ブタン(C)、オクトフルオロイソブチレン(C)、フッ素(F)等のうち少なくとも1つを含む。特定の実施形態によると、弱酸化剤は、三フッ化窒素を含む。特定の実施形態によると、ガスは、体積比率で約5ppmから約10%の三フッ化窒素を含む。
【0011】
本発明に係る方法は、任意のサイズのウェハに対して実施され得る。大半の最新型のウェハ製造設備では、200mmまたは300mmのウェハを利用している。処理条件は、ウェハサイズに応じて決まるとしてよい。300mmのウェハを利用する場合、ガスの総流量の範囲は約1,000sccmと約40,000sccmとの間であるとしてよい。弱酸化剤として二酸化炭素を用いる場合、二酸化炭素の流量の範囲は、約10sccmと約2000sccmとの間、例えば、800sccmであるとしてよい。フッ素含有ガスとして三フッ化窒素を用いる場合、三フッ化窒素の流量の範囲は、約1sccmと20sccmとの間、例えば、5sccmであるとしてよい。300mmのウェハの場合、プラズマに対するRFプラズマ電力の範囲は通常、約300ワットと約3キロワットの間である。当該方法は、直接プラズマまたは遠隔プラズマで実現されるとしてよい。
【0012】
ワークピースの表面にプラズマを当てている間の基板の温度の範囲は、約摂氏50度と約摂氏160度との間である。特定の実施形態によると、ワークピースの温度は、約摂氏90度以下で維持される。チャンバ圧の範囲は、一例として、約300mTorrと約2Torrとの間である。一部の実施形態によると、ウェハは所与のバイアスで保持される。
【0013】
前述したように、本発明に係る方法は、炭素ドープ酸化物(CDO)等の炭素ドープlow−k誘電体材料を含むlow−k誘電体材料と共に利用されるとしてよい。本発明に係る方法は、非多孔質および多孔質の誘電体材料、例えば、CDOおよびその他の組成に対して実施され得る。
【0014】
本発明に係る方法は、任意の適切な反応チャンバで実行されるとしてよい。反応チャンバは、複数のチャンバを備える装置における1つのチャンバであってもよいし、1つのチャンバを備える装置の一部であってもよい。一部の実施形態によると、多段階除去プロセスを利用し、フッ素含有化合物はこのうち一部の段階でのみ利用される。特定の実施形態によると、フッ素含有化合物は、第1の群の段階、例えば、第1の段階でのみ利用される。マルチステーション装置を利用する実施形態によると、フッ素含有化合物は、例えば、第1のステーションでプラズマを生成するために用いられる処理ガスの一部として利用されるとしてよい。
【0015】
本発明の上記およびその他の特徴および利点は、添付図面を参照しつつより詳細に後述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】製造途中の集積回路からフォトレジストをストリッピングし、エッチングに関連する残留物を除去するために利用される、本発明の一部の実施形態の側面を説明するためのプロセスフローチャートである。
【0017】
【図2A】本発明に係るドライエッチングプロセスおよびフォトレジストストリッピングプロセスの間のlow−kダマシンデバイスを示す断面図である。
【図2B】本発明に係るドライエッチングプロセスおよびフォトレジストストリッピングプロセスの間のlow−kダマシンデバイスを示す断面図である。
【図2C】本発明に係るドライエッチングプロセスおよびフォトレジストストリッピングプロセスの間のlow−kダマシンデバイスを示す断面図である。
【0018】
【図3A】本発明に係るフォトレジストストリッピングプロセスおよびHF試験プロセスの後の乾燥中のlow−kデバイスを示す断面図である。
【図3B】本発明に係るフォトレジストストリッピングプロセスおよびHF試験プロセスの後の乾燥中のlow−kデバイスを示す断面図である。
【0019】
【図4A】本発明を実施する上で適切な装置を示す概略図である。
【0020】
【図4B】本発明を実施する上で適切なマルチステーションストリッピングツールを示す簡略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<序論>
以下に記載する本発明の詳細な説明では、本発明を深く理解していただくべく具体的な実施形態を数多く記載する。しかし、当業者には自明であろうが、本発明は、以下に記載するような具体的且つ詳細な内容を採用することなく実施され得るものであり、別の構成要素または処理を利用しても実施し得るものである。また、公知の処理、手順および構成要素は、本発明の側面を不要にあいまいにすること避けるべく、詳細な説明を省略している。
【0022】
本願では、「半導体ウェハ」、「ウェハ」および「製造途中の集積回路」といった用語は、同様の意味を持つものとして用いられる。当業者であれば、「製造途中の集積回路」という用語は集積回路製造プロセスの多くの段階のうち任意の段階が行われている間のシリコンウェハを意味するものと理解されたい。以下に記載する詳細な説明は、本発明がウェハ上で実施されるものと仮定している。しかし、本発明はこれに限定されない。ワークピースは、さまざまな形状、サイズおよび材料であるとしてよい。半導体ウェハ以外に本発明を活用し得る他のワークピースとしては、プリント配線基板等のさまざまな物品が挙げられる。
【0023】
上述したように、本発明に係る方法は、low−k誘電体材料からフォトレジストおよびエッチングに関連する材料を効率的且つ効果的に除去するために用いられるとしてよい。本発明に係る方法は、low−k誘電体に限定されない。方法は、任意の特定のカテゴリのlow−k誘電体に限定されない。例えば、本明細書で説明する方法は、k値が4.0未満の誘電体、k値が約2.8未満の誘電体、k値が約2.0未満の誘電体「超low−k」またはULK誘電体)に利用すると効果的であるとしてよい。low−k誘電体は、多孔質であってもよいし、非多孔質であってもよい(「高密度」low−k誘電体と呼ばれることもある)。一般的に、高密度low−k誘電体は、k値が2.8以下であり、多孔質low−k誘電体は、k値が2.2以下である。任意の適切な組成のlow−k誘電体を利用するとしてよい。例えば、酸化シリコンをベースとする誘電体であって、フッ素および/または炭素をドープしたものを利用するとしてよい。酸化シリコンをベースにしない誘電体、例えば、ポリマー材料を用いるとしてもよい。low−k誘電体を成膜する場合、任意の適切なプロセスを利用するとしてよい。例えば、スピンオン成膜法及びCVD成膜法を利用するとしてよい。多孔質誘電体を形成する場合、任意の適切な方法を利用するとしてよい。通常の方法では、シリコンをベースとするバックボーンおよび有機ポロゲン(porogen)を同時に成膜した後、ポロゲン成分を除去して、残ったものが多孔質誘電体膜となる。他の方法には、ゾルゲル法がある。適切なlow−k膜の具体例を挙げると、SILK(商標)、および、Coral(商標)等のCVDで成膜された多孔質膜等、スピンオン方式で成膜される炭素ベースの膜がある。
【0024】
本発明に係る方法では、水素および弱酸化剤、そして、特定の処理では、フッ素含有化合物を含むガスから生成されるプラズマを利用する。当業者であれば、プラズマ内に存在する実際の種は、水素、弱酸化剤および/またはフッ素含有化合物に由来する複数の異なるイオンおよび分子の混合物であると理解するであろう。尚、プラズマが有機フォトレジストおよびその他の残留物と反応して有機フォトレジストおよびその他の残留物を分解したりすることによって、他の種も反応チャンバ内には存在するものと考えられたい。例えば、少量の炭化水素、二酸化炭素、水蒸気およびその他の揮発性成分が存在すると考えられたい。当業者であれば、プラズマ内に導入される最初の1以上のガスと言う場合、プラズマの形成後に存在する他の1以上のガスとは異なることを認めるであろう。
【0025】
図1は、本発明の一部の実施形態に係る一般的な高位のプロセスフローを示すフローチャートである。尚、図1には、集積回路(IC)製造プロセスにおける本発明に係る方法に関連する一部の一般的な処理も図示して、本発明をどのような場合に利用するかを説明する。本発明の一部の実施形態を視覚的に説明するべく、図2Aから図2Cでは、さまざまな関連する製造プロセス中のlow−kダマシンデバイスの一部の様子を断面図で示す。
【0026】
図1を参照して説明すると、low−k誘電体層が露出している領域を持つウェハをエッチングして、パターニングされたフォトレジスト層を形成する(ブロック101)。図2Aおよび図2Bは、ダマシンデバイス200の処理において、パターニングされたlow−k誘電体を形成する様子を示す図である。図2Aおよび図2Bはそれぞれ、ドライエッチングプロセスの前および後のデバイス200を示す図である。図2Bは、図1のブロック101で得られるデバイスの状態に対応している。
【0027】
図2Aを参照しつつ説明すると、層201の上にはlow−k誘電体層203が成膜されている。low−k誘電体層203には、フォトレジスト205の一部分が成膜されている。集積化方式に応じて決まるが、基礎層201は、銅等の金属層、炭化シリコンまたは窒化シリコン等のエッチストップ層、または、その他の種類の層であってよい。フォトレジスト205は、UV光リソグラフィー(またはその他の適切なプロセス)を用いて既にパターニングされていて、low−k誘電体層203の一部が露出している。デバイス200はこの後、ドライエッチングプロセス、通常は、スパッタリングエッチング、プラズマエッチングまたは反応性イオンエッチングのうち1つが実行される。
【0028】
図2Bに示すように、ドライエッチングプロセスの後得られるデバイス200は、超low−k誘電体層203にフィーチャ210がエッチングされる。フォトレジスト部分205は、さらにウェハを処理する前にストリッピングしなければならない。尚、露出しているフォトレジスト部分205の上部および側部には、「スキン」207が形成されている。スキン207は、一部のドライエッチングプロセスの結果形成される比較的固いフォトレジスト部分であり、バルクフォトレジスト部分205とは組成が異なる場合がある。スキンは通常、誘電体の残留物がlow−k誘電体203から再堆積されることによって、そして、フォトレジスト205からポリマー残留物が再堆積されることによって形成される。スキンに加えて、low−k誘電体203の露出した側壁には膜209がさらに形成される。この膜は通常、ポリマー残留物から形成されており、ドライエッチングプロセスにおいてイオンが衝突したことによって損傷したlow−k誘電体の一部分である。
【0029】
図1を再び参照すると、フォトレジストは、第1の部分をストリッピングする(ブロック103)。特定の実施形態によると、この第1の部分は、エッチングプロセスに起因して形成され、除去が比較的困難なことが多いスキンを含む。この処理では、弱酸化剤およびフッ素含有化合物を含む水素ベースのプラズマにウェハを暴露する。例えば、特定の実施形態によると、ウェハをH/CO/NFのプラズマに暴露する。後述するが、この処理では比較的少量のフッ素含有化合物を利用する。一例を挙げると、Hの流量は、約20,000sccm(20slpm)であり、COの流量は、800sccm(0.8slpm)であり、NFの流量は5sccmである。それぞれの流量は、実施形態毎に変化するとしてよい。Hの流量は、COの流量に比べると2ケタ大きく、NFの流量に比べると4ケタ大きい。特定の実施形態によると、COの流量は、NFの流量に比べて少なくとも1ケタ大きい。上記の範囲は、他の弱酸化剤およびフッ素含有化合物についても、適宜適用されるとしてよい。
【0030】
この処理は通常、エッチングが行われたチャンバとは別の反応チャンバで実行される。このような反応チャンバは、スタンドアロン型の「ストリッピング部」と呼ばれるとしてよい。適切なプラズマ反応チャンバを持つ装置であればどのような装置を利用するとしてもよい。このシステムでは、直接(インサイチュ)プラズマまたは遠隔プラズマのいずれを供給するとしてよい。
【0031】
尚、従来の酸素ベースのストリッピングに代えて処理103を特定の実施形態で利用し得ることに留意されたい。従来の酸素ベースのストリッピングは、エッチングが行われたのと同じ反応チャンバで実行され、酸素ベースのプラズマへの暴露を行うのが普通である。このような酸化による部分的なストリッピング処理は、一部のlow−k誘電体材料を損傷する可能性があり、特定の実施例では実行されない。このため、特定の実施形態では、処理101において、エッチングチャンバでこのようなストリッピングプロセスがまだ実施されていないウェハを用意する。
【0032】
図1を再び参照すると、次の処理では、バルクフォトレジストをストリッピングして、および/または、エッチング関連の材料を除去するべく、弱酸化剤を含む水素ベースのプラズマにウェハを暴露する(ブロック105)。特定の実施形態によると、この処理では、前の処理と違って、フッ素を利用しない。特定の実施形態によると、フォトレジストのバルクおよび残留物をこの処理で除去する。当該処理は、複数の処理を含むとしてよい。
【0033】
弱酸化剤およびフッ素含有化合物のガス総流量および相対的な量、ならびに、ストリッピングチャンバ内のその他の条件は、他にも要因はあるが、プラズマの種類(下流か直接か)、RF電力、チャンバ圧、基板(ウェハ)のサイズ、および、利用した弱酸化剤の種類に応じて変化するとしてよい。ノベルス(Novellus)社のGamma(商標)システム(下流プラズマシステム)を利用する一部の例によると、プラズマは、体積比率で約0.1%から10%の間の二酸化炭素を含むとしてよく、体積比率で約5ppmから10%の間の三フッ化窒素(含む場合)を含むとしてよい。
【0034】
水素、弱酸化剤およびフッ素含有ガスに加えて、ヘリウム、アルゴンまたは窒素等のキャリアガスを利用するとしてよい。キャリアガスは通常、非反応性のガスである。出荷および取扱時の安全上の理由から、市販の水素は、ヘリウム等の希ガスと混合された状態で利用可能である。このような市販の混合ガスを本発明に係る方法で利用するとしてよい。
【0035】
フォトレジストおよびエッチングの残留物の大半を処理105のプラズマストリッピングで除去した後、1以上のプラズマストリッピング処理または湿式洗浄処理を追加で実行するとしてよい。また、複数のステーションを備える装置では、処理103および105はそれぞれ、1以上のステーションにわたって実行され得ることに留意されたい。
【0036】
ウェハは通常、プラズマへ暴露されている間は温度が制御される。具体的には、温度は、約摂氏200度以下、約摂氏160度以下、約摂氏150度以下、約摂氏140度以下、約摂氏130度以下、約摂氏120度以下、約摂氏110度以下、約摂氏100度以下、約摂氏90度以下、約摂氏80度以下、または、約摂氏60度以下になるように制御される。特定の実施形態によると、基板の温度は約摂氏90度以下に維持される。このように比較的低い温度が、特定の実施形態では、ULK膜に多大な損傷が受けないようにする上で重要であることが分かっている。
【0037】
図3Aは、上述したようにフォトレジストが除去された後のパターニングされた超low−k誘電体層303、ハードマスク層315、および、炭化シリコン層301を示す図である。low−k誘電体層303には、ビアまたはトレンチである凹型フィーチャ310がエッチングされている。フィーチャ310は、側壁317および底部319を持つ。フォトレジストの除去の際の温度が高過ぎる場合、側壁317近傍のlow−k材料が損傷を受けることが分かっている。この損傷を試験する方法の1つとして、HF浸漬がある。例えば、HFの100:1の希釈液に45秒間浸漬させる。一例を挙げると、上述したようなフォトレジスト除去プロセスを摂氏90度で実行し、同じ化学物質を用いるが摂氏280度で実行されるプロセスと比較する。図3Bは、摂氏280度でストリッピングした場合のフィーチャのプロフィールを示すべく317´´で結果を示し、摂氏90度でストリッピングした場合のフィーチャのプロフィールを317´で示す。プロフィール317´は、ストリッピングされた場合のフィーチャのプロフィールとは略変化がないことが分かったが、プロフィール317´´は内側に湾曲している。これら2つのプロフィールの間の領域は、高温ストリッピングプロセスで損傷を受けた領域である。さらに高温のプロセスでは、フィーチャの底部からエッチストップ材料を所定量除去する可能性もある。
【0038】
高温になるほど、エッチング速度が高速化するが、温度を昇温させるとエッチングに必要なフッ素の量が増加することが分かっている。この結果、誘電体への損傷が大きくなる。しかし、低温にしたことによって暴露時間が長くなっても損傷は発生し得る。しかし、上述の範囲に温度を設定すれば、このように競合する影響の制約内で、損傷を食い止めるか、または、抑制することができると分かっている。
【0039】
一例を挙げると、損傷の少ないストリッピングを実現するべく以下のような処理条件を採用した。
ステーション1:H 20slpm/CO 0.8slpm/NF 5sccm
ステーション2−5:H 20slpm/CO 0.8slpm
ステーション1−5:0.9Torr/摂氏90度/RFプラズマ 3.5kW/ステーション毎に103秒
【0040】
特定の実施形態によると、1以上の処理について、フッ素含有プラズマに暴露した後、温度を昇温させる。例えば、フッ素ベースのプラズマへ暴露している間の温度は、摂氏160度未満または摂氏90度未満の温度とするとしてよい。フッ素を含まないプラズマを利用する1以上の処理の前またはこれら1以上の処理での暴露の間に、昇温させる。特定の実施形態によると、温度は段階的に昇温させるとしてよく、後のステーションになるほど、前のステーションよりも高い温度となる。昇温後の温度は、上述した範囲内であってもよいし、または、上述した範囲よりも高い温度であってよい。例えば、特定の実施形態によると、後のステーションは摂氏285度等の高温を利用することができる。しかし、多くの実施形態によると、ストリッピングプロセスの間はずっと低温に維持する。
【0041】
上記の説明では、低温で水素ベースのプラズマを用いてフォトレジストを除去する例を説明した。特に、水素ガスから生成されるプラズマにフォトレジストおよびエッチング関連の残留物を暴露する場合に、ウェハ温度を低温に維持するプロセスを説明した。この低温とは、例えば、約摂氏200度未満、約摂氏160度未満、約摂氏150度未満、約摂氏140度未満、約摂氏130度未満、約摂氏120度未満、約摂氏110度未満、約摂氏100度未満、約摂氏90度未満、約摂氏80度未満、または、約摂氏60度未満である。特定の実施形態によると、プラズマを生成するために用いられるガスは、1以上の処理において、実質的に水素ガスから成る。別の実施形態によると、弱酸化剤、フッ素含有ガスおよびキャリアガスのうち1以上を、上述したように、1以上の処理において、水素ガスに追加するとしてよい。低温暴露処理用のプラズマを生成するべく採用される処理用のガスの化学物質の例を挙げると、H、H/CO、H/CO/NFおよびH/NFがある。COおよびNFに代えて、または、COおよびBFに加えて、上述した他の弱酸化剤およびフッ素含有剤を含める。フォトレジストおよびエッチングの残留物の特性に応じて、図2Aから図2Cで説明した除去処理のうち一部または全てで利用するとしてよい。
【0042】
例えば、「スキン」を除去するべく、水素ベースのプラズマを生成するために用いられるガスは、COまたは他の弱酸化剤を実質的に含まないとしてもよい。また、特定の実施形態によると、NFまたはその他のフッ素含有ガスを実質的に含まないとしてもよい。バルクフォトレジストを除去するための水素ベースのプラズマを生成するために用いられるガスは、COまたはその他の弱酸化剤を実質的に含まないとしてよい。多くの実施形態において、上述したように、NFまたはその他のフッ素含有ガスを実質的に含まないとしてよい。しかし、NFまたはその他のフッ素含有ガスは、特定の実施形態において、含まれるとしてよい。
【0043】
<装置>
上述したように、任意の適切なプラズマ反応チャンバ装置を利用するとしてよい。適切なプラズマチャンバおよびシステムとしては、Novellus Systems,Inc社(米国カリフォルニア州サンノゼ)製のガンマ2100、2130 ICP(インターレース方式誘導結合プラズマ)G400、および、GxTがある。他のシステムとしては、Axcelis Technologies Inc.社(米国メリーランド州、ロックビル)製のフュージョンライン(Fusion line)、PSK Tech Inc.社(韓国)製のTERA21、Mattson Technology Inc.社(米国カリフォルニア州フリーモント)製のAspenがある。また、さまざまなストリッピングチャンバは、クラスタツール上に構成するとしてもよい。例えば、ストリッピングチャンバは、Applied Materials社(米国カリフォルニア州サンタクラーラ)製のCenturaクラスタツールに追加されるとしてよい。
【0044】
図4Aは、ウェハに本発明を実施するのに適した下流プラズマ装置400の側面を示す概略図である。装置400では、プラズマ源411および露光チャンバ401がシャワーヘッドアセンブリ417によって分離している。露光チャンバ401において、ウェハ403はプラテン(またはステージ)405上に載置される。プラテン405は、加熱/冷却素子が設けられている。一部の実施形態によると、プラテン405は、ウェハ403にバイアスを印加するように構成されている。コンジット407を介して真空ポンプによって露光チャンバ401内を低圧とする。気体状の水素(希釈ガス/キャリアガスを含んでも含まなくてもよい)、二酸化炭素(またはその他の弱酸化剤)、および、含まれていれば、三フッ化窒素(またはその他のフッ素含有ガス)のソースによって、吸気口409を通って当該装置のプラズマ源411に入るガス流が得られる。プラズマ源411は、一部の周囲が誘導コイル413によって取り囲まれている。誘導コイル413は、電源415に接続されている。動作について説明すると、混合ガスをプラズマ源411に導入して、誘導コイル413にエネルギーを加えると、プラズマ源411でプラズマが生成される。シャワーヘッドアセンブリ417は、電圧が印加されると、一部のイオンの流れを止めて、中性種の流れを露光チャンバ401内へと方向付ける。上述したように、ウェハ403は、温度が制御されるとしてよく、および/または、RFバイアスが印加されるとしてよい。プラズマ源411および誘導コイル413は、さまざまな構成および構造のものを利用するとしてよい。例えば、誘導コイル413は、インターレースパターンでプラズマ源411の周りに巻き回されているとしてよい。別の例によると、プラズマ源411は、円筒形状ではなくドーム形状を持つとしてよい。コントローラ450は、処理チャンバの構成要素に接続されているとしてよく、ストリッピング処理における処理ガスの組成、圧力、温度およびウェハへのインデックス付与を制御するとしてよい。上記の処理の処理条件を制御するための命令を含む機械可読媒体をコントローラに結合するとしてよい。
【0045】
上述したように、一部の実施形態によると、本発明に係る装置は、ウェハからのフォトレジストのストリッピングに特化しているストリッピング部である。一般的に、このようなストリッピングツールは、複数のウェハ処理ステーションを備えており、複数のウェハを同時に処理可能である。図4Bは、本発明に応じて利用されるマルチステーションウェハストリッピングツール430の上部から見た様子を示す簡略ブロック図である。ストリッピングツール430は、5個のストリッピングステーション433、435、437、439および441、ならびに、1つのロードステーション431を備える。ストリッピングツール430は、ステーション毎に1つのウェハを処理可能であると共に、全てのステーションが共通の真空に暴露されるように構成される。ストリッピングステーション433、435、437、439および441はそれぞれ、独自のRF電源を持つ。ロードステーション431は通常、真空を中断することなく、ストリッピングツール430に複数のウェハを入れるように、ロードロックステーションが取着されている。ロードステーション431はさらに、ストリッピングステーションへと輸送してフォトレジストストリッピングを行う前にウェハを予熱するためのヒートランプを備えるとしてよい。ストリッピングステーション441は通常、真空を中断することなく、ストリッピングツール430から複数のウェハを出すように、ロードロックステーションが取着されている。ロボットアーム443がステーション間でウェハを輸送する。
【0046】
通常製造モードでは、ウェハをバッチ方式で処理する。バッチ方式処理によると、ウェハのスループットが向上するので、製造処理でよく用いられる。バッチ方式では、各ウェハを、ステーション431、433、435、437、439および441のそれぞれに、輸送して各ステーションで処理する。例えば、通常バッチ方式プロセスは以下のように進行する。ウェハを最初に、ウェハをヒートランプで予熱するロードステーション431にロードする。続いて、ロボットアーム443によって、フッ素ベースのプラズマを用いてフォトレジストの約5分の1をストリッピングするのに十分な期間にわたってプラズマ処理を行うストリッピングステーション433にウェハを輸送する。ロボットアーム443はこの後、残りのフォトレジストから別の約5分の1をストリッピングするのに十分な期間にわたってフッ素を用いないプロセスでプラズマ処理するストリッピングステーション435にウェハを輸送する。この順序で処理を続けて、ウェハをストリッピングステーション437、439および441で処理する。ストリッピングステーション441において、フォトレジストは大半が除去されるべきであり、ウェハはこの後ストリッピングツールから取り出される。
【0047】
説明を分かりやすくするためにさまざまな詳細な事項を省略したが、さまざまな点で構成を変更し得るものとしてよい。このため、上述した例は、本発明を例示するためのものであって限定するものではないと解釈されるべきであり、本発明は、本明細書に記載した詳細な事項に限定されるものではなく、特許請求の範囲において修正し得るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングプロセスの後に製造途中の集積回路の一部であるワークピース上の誘電体層から材料を除去する方法であって、
水素およびフッ素含有化合物を含むガスから第1のプラズマを形成する段階と、
前記ワークピースを前記第1のプラズマに暴露する段階と、
水素材料を含むガスから第2のプラズマを形成する段階と、
前記ワークピースを前記第2のプラズマに暴露する段階と
を備え、
前記ワークピースの温度は、約摂氏160度未満の温度に維持される方法。
【請求項2】
前記ワークピースの温度は、約摂氏100度未満の温度に維持される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワークピースの温度は、約摂氏90度未満の温度に維持される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプラズマを形成するための前記ガスはさらに、弱酸化剤を含む請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記弱酸化剤は、二酸化炭素、一酸化炭素、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素および水のうち少なくとも1つを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記弱酸化剤は、二酸化炭素である請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記フッ素含有化合物は、三フッ化窒素(NF)、六フッ化硫黄(SF)、ヘキサフルオロエタン(C)、テトラフルオロメタン(CF)、トリフルオロメタン(CHF)、ジフルオロメタン(CH)、オクトフルオロプロパン(C)、オクトフルオロシクロブタン(C)、オクトフルオロ[1−]ブタン(C)、オクトフルオロ[2−]ブタン(C)、オクトフルオロイソブチレン(C)、およびフッ素(F)のうち少なくとも1つを含む請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フッ素含有化合物は、三フッ化窒素である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のプラズマは、実質的にフッ素を含まない請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ワークピースは、従来の酸素ベースのプラズマフォトレジストストリッピング処理が実行されていない請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記誘電体層から除去される前記材料は、フォトレジストおよび/または前記エッチングプロセスに起因する残留物を含む請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
エッチングプロセスの後に製造途中の集積回路の一部であるワークピース上の誘電体層から材料を除去する方法であって、
水素、弱酸化剤およびフッ素含有化合物を含むガスから第1のプラズマを形成する段階と、
前記ワークピースを前記第1のプラズマに暴露して、前記ワークピースからエッチング関連の残留物を除去する段階と
を備え、
前記ワークピースの温度は、前記第1のプラズマに暴露されている間、約摂氏160度未満の温度に維持される方法。
【請求項13】
前記ワークピースの温度は、前記第1のプラズマに暴露されている間、約摂氏100度未満の温度に維持される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ワークピースの温度は、前記第1のプラズマに暴露されている間、約摂氏90度未満の温度に維持される請求項12に記載の方法。
【請求項15】
水素および弱酸化剤を含むガスから第2のプラズマを形成する段階と、
前記ワークピースを前記第2のプラズマに暴露する段階と
をさらに備える請求項12から請求項14のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ワークピースの温度は、前記第2のプラズマに暴露されている間、約摂氏160度未満の温度に維持される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ワークピースの温度は、前記第2のプラズマに暴露されている間、約摂氏90度未満の温度に維持される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のプラズマは、実質的にフッ素を含まない請求項15から請求項17のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ワークピースの温度は、前記第1のプラズマに暴露されている間より、前記第2のプラズマに暴露されている間の方が高い請求項15から請求項18のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ガスにおける前記フッ素含有化合物の体積比率は、1%以下である請求項12から請求項19のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
エッチングプロセスの後に製造途中の集積回路の一部であるワークピース上の誘電体層から材料を除去する方法であって、
水素を含むガスから第1のプラズマを形成する段階を備え、
前記ワークピースの温度は、約摂氏160度未満の温度に維持される方法。
【請求項22】
前記ガスはさらに、弱酸化剤を含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ガスはさらに、フッ素含有化合物を含む請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ワークピースの表面から材料を除去する装置であって、
反応チャンバと、
一連の命令を実行するコントローラと
を備え、
前記反応チャンバは、
プラズマ源と、
前記プラズマ源の下流に位置しているシャワーヘッドと、
前記シャワーヘッドの下流に位置しているワークピース支持部と
を有しており、
前記ワークピース支持部は、前記ワークピース支持部上に支持されているワークピースの温度を制御する温度制御メカニズムおよびペデスタルを含み、
前記一連の命令は、
水素、弱酸化剤およびフッ素含有化合物を含むガスから第1のプラズマを形成するための命令と、
前記ワークピースを前記第1のプラズマに暴露するための命令と、
水素および弱酸化剤を含むガスから第2のプラズマを形成するための命令と、
前記ワークピースを前記第2のプラズマに暴露するための命令と
を含み、
前記第1のプラズマに暴露する段階、および、前記第2のプラズマに暴露する段階において、前記ワークピースの温度は、約摂氏160度未満の温度に維持される
装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2013−513948(P2013−513948A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543254(P2012−543254)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/059517
【国際公開番号】WO2011/072042
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(501080848)ノベルス・システムズ・インコーポレーテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】NOVELLUS SYSTEMS, INCORPORATED
【Fターム(参考)】