説明

紙葉類処理装置

【課題】 不良発生原因の解析が十分可能であり、かつ不良判定紙を即時に処分し得る紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】 不良な紙葉類を裁断する裁断部と、正常な紙葉類を集積する集積部と、
画像読取部によって読み取られた画像情報に基づき、必要に応じて紙葉類の画像を表示する表示部を有する紙葉類処理装置を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類を判別処理するための紙葉類処理装置に係り、特に、製造後に、仕上がりが不良な紙葉類を判別するために使用される紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、不良判定紙が発生した場合、排除された紙自体を、まず目視にて確認の上、不良判定原因を特定していた。
【0003】
しかし、不良判定紙が長期間残存すると、正常判定紙群への混入等のリスクがあることから、セキュリティ上速やかに処分する必要があった。
【0004】
一方、不良判定紙を即時に処分してしまうと、目視による不良発生原因の解析がおろそかとなり、不良発生元への改善フィードバックが滞り、結果として不良発生率の低減化が進まなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、不良発生原因の解析が十分可能であり、かつ不良判定紙を即時に処分し得る紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類処理装置は、紙葉類を含む被処理媒体を搬送しながら、正常または不良な紙葉類を判別する紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類の特徴量を検知する検知部、この検知部の結果に基づいて前記紙葉類が正常または不良かを判断する判断部、及び前記紙葉類の画像を読み取る画像読取部を含む検査装置、
前記判断部の判断結果に基づいて不良と判断された紙葉類を裁断する裁断部と、
前記判断部の判断結果に基づいて正常と判断された紙葉類を集積する集積部と、
前記画像読取部によって読み取られた画像情報に基づき紙葉類の画像を表示する表示部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不良発生原因の解析が十分可能であり、かつ不良判定紙を即時に処分し得る紙葉類処理装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施形態である紙葉類処理装置の構成を側面から表す図を示す。
【0009】
図2に、図1の装置における紙葉類の集積、施封の流れを表す模式図を示す。
【0010】
図3に、本発明の一態様に係る紙葉類処理装置の情報処理部に関するブロック図を示す。
【0011】
また、図4に、本発明の一態様に係る紙葉類処理装置を用いた紙葉類の処理方法を表すフロー図を示す。
【0012】
図示するように、この紙葉類処理装置1は、処理される紙葉類を投入する紙葉類供給部10を有する。
【0013】
紙葉類供給部10は、図示しないカセット投入部、掻出部、反転部、及び捌き部から構成される。5千枚収納カセットAを使用して、千枚積層状態の所定の印刷された紙葉類Bを連続投入し(ST1)、カセットAから千枚積層状態のまま掻き出し、積層方向の天地反転を行い、さらに捌きを加えた後(ST2)、取出搬送装置11へ自動搬送する。カセットは一度に2カセットまで機内に投入が可能であり、紙葉類取り出し済みの空カセットは2カセット分機内収納が可能。
【0014】
紙葉類供給部10の上端には、紙葉類供給部10に投入された紙葉類Cをその上端のものから1枚ずつ取出し、搬送路に送り出す取出搬送装置11が設けられている。取出搬送装置11としては、例えば最上端の紙葉類に転接して負圧を生じつつ回転する吸着ローラ等を用いることができる。吸着ローラは、例えば1回転する毎に1枚の紙葉類を取出すように形成され、紙葉類を所定のピッチで取出すようになっている(ST3)。
【0015】
取出搬送装置11の下流側には、取出された紙葉類を処理装置1内を通して搬送する搬送路14が延設されている。搬送路14上には、図示しない搬送ベルトや駆動プーリが配設され、図示しない駆動モータによって搬送ベルトを走行させることにより紙葉類が搬送路14を一定速度で搬送されるようになっている。
【0016】
搬送路14上には、搬送路14を搬送されている紙葉類の特徴を検出する検査装置23が設けられている。
【0017】
検査装置23は、例えば搬送路14の両側に配設された、紙葉類の両面の画像を読み取るための2つの画像読取装置6a、6bを有する。画像読取装置6a、6bは、例えば光源、センサ、及びCCDカメラを有し、撮影した画像から、紙葉類の表面の模様等を読み取り、紙葉類の寸法や搬送ピッチを検出することができる。
【0018】
また、検査装置23は、後述する制御部101と接続されており、制御部101では、画像読取装置6a、6bで得られた画像データを収集し、情報処理部102へ送信する。この画像データはまた、情報処理部102を介して画像データ蓄積部111に保存され得る(ST6)。
【0019】
さらに、検査装置23は、検知部26として、例えば搬送される紙葉類の厚みを検査し、紙葉類の重ね取りを検出し得る厚み検知部、及び紙葉類の枚数を計数する計数装置、また、紙葉類のインクに含まれる磁気成分を検出する磁気検知部などを備えている。
【0020】
この検査装置23は、搬送された紙葉類に対して必要な検査、及び図示しない判断部により判別を行うものである(ST6)。この検査によって、紙葉類の種類(単位)、方向(表裏正逆)、及び正常、不良等の判別が行われ、紙葉類は正常判定紙、不良判定紙、及び検査不能紙に分類して判別される(ST7,ST8)。
【0021】
「正常判定紙」とは、判別の結果、正規でかつ有効であると判定された紙葉類である。
【0022】
「不良判定紙」とは、製造後の仕上がりが不良であり、流通が適当でなく、無効であると判定された紙葉類である。仕上がり不良の原因として、例えば印刷ミス、及び裁断ミス等があげられる。
【0023】
また、「検査不能紙」とは、例えば重ね取り、スキューすなわち紙葉類が斜行していること、ショートピッチすなわち搬送経路中において前の紙葉類との間隔が短すぎて後段の処理が困難となるもの等の理由により検査が正しく行えなかった紙葉類である。ここでは、これを排除紙と呼ぶ。
【0024】
搬送路14上には、2つのゲートG1,G2が順次配設されている。各ゲートG1,G2は、検査装置23における検出結果に基づいて制御部101による制御に従って切換えられ、当該被処理媒体を所定の処理部へ指向する。
【0025】
検査装置23の直後に配設されたゲートG1は、搬送路14を排除搬送路14aに分岐する位置に設けられ、検査装置23を介して排除紙と判定された紙葉類を排除搬送路14aへ分岐するように切換えられる。排除搬送路14aの終端には、排除紙を集積する排除紙集積装置19(排除部)が設けられている。排除紙集積装置19には、例えば搬送状態が不良である媒体、紙葉類と判定できなかった媒体、及び紙葉類を重ね取りしたものなどが集積される(ST5)。
【0026】
検査結果、不良と判定された紙葉類Cは、ゲートG1の下流側の搬送路14に沿って設けられたゲートG2により、裁断ユニット15bに搬送区分され、即時裁断すると共に(ST9)、必要に応じて、不良判定紙を画像に表示する(ST10)。この表示画面から目視にて、不良発生原因の解析を行うことができる。
【0027】
また、ゲートG2によって分岐された位置のもう一方には集積施封ユニット15aが設けられている。
【0028】
集積施封ユニット15aは、搬送された紙葉類を集積し、100枚単位で帯により施封を行う装置である。
【0029】
集積施封ユニット15aは、正常判定紙集積部51および百枚帯掛部52から構成される。百枚帯掛部52はさらに帯紙供給、帯紙装着、帯紙繰り出し、帯紙切断、帯掛および接着各機構を具備する。検査結果、正常と判定された紙葉類は、正常判定紙集積部51に順次搬送区分され、取出し搬送装置11にて取り出された連続100枚を集積し(ST11)、100枚の紙葉類が集積されると施封動作に移る。百枚帯掛部52では、100枚の集積された紙葉類の所定の位置に帯掛けを行う(ST14)。連続100枚中に不良判定紙および排除紙が発生したとき、正常判定紙が所定枚数以上であるか判断し(ST12)、所定枚数以上である場合には100枚未満のまま自動帯掛けを行い、所定枚数未満の際は運転を停止し、不良判定紙および排除紙発生枚数分のダミー紙を当該正常判定紙集積部51に補填して単独に帯掛けする処理を別途行い(ST13)、運転を再開する。
【0030】
百枚束移動部109は、コンベア81、リフタ82、図示しない印字読取、及び回転機構から構成される。帯掛け済みの百枚束Dはコンベア81、リフタ82により自動搬送され(ST15)、搬送途中の百枚束最上紙に印字された番号等の読取確認を行い(ST16)、さらに所定の百枚束のみ紙葉類印刷方向の天地反転を行う。
【0031】
千枚帯掛部17は2箇所設けられ(17a,17b)、帯紙供給、帯紙装着、帯紙繰り出し、帯紙切断、帯掛、回転および接着各機構から構成される。搬送された百枚束を10束集積し、横帯(長手方向)、縦帯(短手方向)の順に帯掛けを行い(ST17)、図示しないラベル貼付部に搬送する。
【0032】
ラベル貼付部110は、ラベル発行、貼付、排出各装置から構成される。搬送される帯掛け済みの千枚束Eの情報に基づき、ラベルに所定の印字を行い、当該千枚束Eの所定位置に貼り付け(ST18)、ラベル貼付済み千枚束Eを機内で5束集積後、機外に5千枚束群Fとして排出する(ST19)。
【0033】
また、搬送状態の不良や検査判定不能な紙葉類は、ゲートG1により排除紙集積装置19に搬送区分され集積する。
【0034】
なお、図1では、簡略のため、1つの集積施封ユニット15aのみが示されているが、集積施封ユニット15aは、必要に応じて複数設けられ得る。例えば1つの集積施封ユニット15aが施封動作を行っている間、搬送されてきた紙葉類は他の集積施封ユニットに集積されるように構成され得る。
【0035】
図3に示すように、制御部101は電気・電子回路及び制御プログラムから構成される。制御部101は、操作パネル/表示灯106、供給部10、取出搬送装置11,搬送・区分部108,集積施封ユニット15a、百枚束移動部109、千枚帯掛部17、ラベル貼付部110、不良判定紙裁断部15b、及び排除紙集積装置19と各々接続されており、各部位の制御、計数、判別信号に基づく区分、搬送中の監視、制御回路等の自己診断、機械の停止時操作案内及び異常内容の表示等を行うとともに、本機で処理する紙葉類情報を設定、照合する。さらに、本機から機械番号、運転年月日、運転時刻、停止時刻、処理種別、作業開始・終了時刻、作業時間終了時の集計データ、各種判定結果及びトラブル発生時の状況(発生時刻、内容及び復帰時間)等に関する情報を情報処理部102に送信する。
【0036】
情報処理部102はプリンタ103、キーボード/マウス104、及び表示モニタ105から構成される。
【0037】
情報処理部102は、検査装置23から送信された搬送中の紙葉類表面画像を取り込み、印刷状態や異常等の所定の検査を行い、判定結果を制御部101に送信する。また、本機との送受信により本機の初期設定、稼動情報管理及び稼動データの集計を行い、所定の帳票を出力する。さらに、機械稼動中にパラメータ調整、判定結果、生産管理上の欠損有無確認、データ分析、保守データ入力等を行う機能を有する。なお、取り込まれた紙葉類表面画像は、画像データ蓄積部111に一定容量分保存して、必要に応じて表示モニタ105に表示させ、不良発生原因の解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態である紙葉類処理装置の構成を側面から表す図
【図2】図1の装置における紙葉類の集積、施封の流れを表す模式図
【図3】本発明の一態様に係る紙葉類処理装置の情報処理部に関するブロック図
【図4】本発明の一態様に係る紙葉類処理装置を用いた紙葉類の処理方法を表すフロー図
【符号の説明】
【0039】
6a,6b…画像読取部、15b…裁断部、15a…集積部、19…排除部、23…検査装置、26…検知部、111…画像情報蓄積部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を含む被処理媒体を搬送しながら、正常または不良な紙葉類を判別する紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類の特徴量を検知する検知部、この検知部の結果に基づいて前記紙葉類が正常または不良かを判断する判断部、及び前記紙葉類の画像を読み取る画像読取部を含む検査装置、
前記判断部の判断結果に基づいて不良と判断された紙葉類を裁断する裁断部と、
前記判断部の判断結果に基づいて正常と判断された紙葉類を集積する集積部と、
前記画像読取部によって読み取られた画像情報に基づき紙葉類の画像を表示する表示部とを具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記画像情報を保存する画像情報蓄積部をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記裁断部は、前記検査装置と前記集積部との間に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記検査装置の後段に、前記正常または不良な紙葉類以外の紙葉類を排除するための排除部をさらに具備する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−257392(P2007−257392A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82034(P2006−82034)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】