説明

いちご栽培装置

【課題】いちごの高所栽培装置において、コストの低減を図り、培地を冷暖化する。
【解決手段】培地(2)を入れる上側の培地シート(5)と、培地シート(5)の下方で培地(2)からの排液を受ける排液シート(6)と、培地シート(5)及び排液シート(6)の左右両側部を接触状態で支持する左右支持棒(8,8)と、培地シート(5)及び排液シート(6)を前後長手方向から見て培地シート(5)に対して排液シート(6)を弛ませることにより形成される閉鎖状の空間部(7)と、空間部(7)の一端側から他端側に向けて風を送る送風手段とにより、いちごの高所栽培装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いちごを高所で栽培するいちご栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いちごを作業者が収穫作業の容易なように高所で栽培する高設栽培装置において、栽培用培地を受ける透水性のシートと、その下層の非透水性のシートからなり、非透水性のシートの左右幅の中心部を下方に弛ませるようにし、透水性のシートの左右端部に非透水性のシートの左右端部を固着し、透水性のシートと非透水性のシートの間に空間部を形成したものは、公知である。
【特許文献1】特開2005−8号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、いちごの高所栽培装置において、コストの低減を図りながら培地を冷暖化し、いちごの生育の促進を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、培地(2)を入れる上側の透水性の培地シート(5)と、該培地シート(5)の下方で前記培地(2)からの排液を受ける排液シート(6)と、前記培地シート(5)及び排液シート(6)の左右両側部を接触状態で支持する左右支持棒(8,8)と、前記培地シート(5)及び排液シート(6)を前後長手方向から見て培地シート(5)に対して排液シート(6)を弛ませることにより形成される閉鎖状の空間部(7)と、該空間部(7)の一端側から他端側に向けて風を送る送風手段(18)とからなるいちごの高所栽培装置とする。
【0005】
前記構成によると、培地シート(5)及び排液シート(6)の左右両側部は接触状態で左右支持棒(8,8)により支持されて、上側の培地シート(5)に培地(2)を入れることにより高所培地が構成され、この培地(2)によりいちごが栽培される。また、培地(2)に供給された養液は培地シート(5)から漏れて下方の空間部(7)を経て排液シート(6)に回収される。また、前記培地シート(5)及び排液シート(6)により形成された閉鎖状の空間部(7)の一端側に送風手段(18)から暖風あるいは通風が送られて他端側に向けて送られると、培地(2)が温められたりあるいは冷却される。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明は、培地シート(5)と排液シート(6)により形成される閉鎖状の空間部(7)を送風部とすることにより、簡単な構成でコストの低減を図りながら培地(2)を効率的に冷暖化し、いちごの生育を促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面に示す本発明の実施形態について説明する。図1、図2及び図3に示すように、いちごの高所栽培装置1は、温室内に作業者が立ち姿でいちごの収穫作業をできる高さに培地2が配置されている栽培装置である。
【0008】
この高所栽培用の培地2を受けるシートは、例えば不織布で通気性、通水性のある上側の培地シート5と、下側の防水性の排液シート6とにより構成されている。この培地シート5の左右中央部を下方に弛ませるようにして、その左右両側部を左右支持棒8,8により支持し、また、排液シート6の左右中央部を前記培地シート5の下方に更に弛ませるようにして、その左右両側部を左右支持棒8,8により支持し、培地シート5と排液シート6との間に前後長手方向から見て閉鎖状の空間部7を形成している。この空間部7は、培地シート5の左右両側部から形成を開始し、左右中央部に到るに従い順次上下間隔が広がり、中心部で最長になるように形成されている。
【0009】
しかして、培地シート5の上面に培地2を入れて高所培地を形成し、培地2に養液を供給すると、培地シート5と排液シート6との接着面に溜まらずに培地シート5から流下し、排液シート6により空間部7の左右中央部に集められ、いちごの根部の過剰湿気を防止することができる。
【0010】
また、左右支持棒8,8の前後両端部を横支持棒9,9により支持し、横支持棒9,9の左右両側部を左右支柱10,10により支持し、左右支持棒10,10には、左右方向の中間規制棒11,11、下部規制棒12,12、及び、前後方向の左右下部規制棒13,13を連結して、左右支柱10,10の広がりや変形を防止している。
【0011】
また、培地2の上方には配設した左右給液ホース16,16に養液を供給し、左右給液ホース16,16から培地2やいちごに散布するように構成している。また、温風暖房機18から送風ダクト19を経由して空間部7の一側に温風あるいは暖房を停止した通風を送り、空間部7内他側に向けて温風あるいは通風を送るように構成している。
【0012】
前記構成によると、冬季には高所培地2の下方の空間部7に温風を通すことにより、高所培地7を加温しいちごの生育を促進させ、また、夏季には温風暖房機18から暖房を停止して通風を送ることにより、培地シート5の表面に付着した水を蒸散させ気化潜熱により高所培地2を冷却することができる。
【0013】
また、図4に示すように構成してもよい。培地シート5には高所培地2を構成し、培地シート5の下方に排液シート6を弛ませることにより空間部7を構成し、温風暖房機18から送風ダクト19を経由して空間部7の一側に温風を送るように構成し、排液シート6には前後方向に所定間隔毎に左右方向に沿った複数の送風孔20,…を構成し、空間部7に送られた温風あるいは通風を温室内に送りだし、温室内の暖房あるいは冷房するように構成する。前記構成によると、空間部7が温室の暖房や冷房の送風手段を兼ねることができ、コストの低減を図りながら室内の温度調節をすることができる。
【0014】
また、図5のように構成してもよい。培地シート5の弛み部には高所培地2を投入し、培地シート5の下方に排液シート6を弛ませることにより空間部7を構成し、温風暖房機18から送風ダクト19を経由して空間部7の一側に温風や通風を送るようにする。また、排液シート6の例えば左右中間下側部に付加シート22の左右両端部を弛みを持たせて接続し、前後方向に沿わせた例えば直径が25〜30ミリ程度の通気空間部23を構成する。そして、この通気空間部23の下部に下向きの吹き出し口23a,…を所定間隔毎に構成し、通気空間部23の一側に炭酸ガスを送り他側に送るようにする。前記構成によると、コストを低減しながら、温室内に炭酸ガスを供給することができる。
【0015】
次に、図6について説明する。培地シート5における左右中央部の弛み形成部の左右両側の上面部には、略同じ幅及び長さの左右溶着シート25,25を重ね、両シート5,25を左右方向の所定間隔毎に例えば溶着して前後方向に沿った支持孔25a,…を構成し、前記左右支持棒8,8を挿入し支持するようにする。培地シート5の膨らみ形成部の下側面には、排液シート6を弛みを持たせ空間部7を形成するように接合する。
【0016】
前記構成によると、左右支持棒8,8に培地シート5の左右両側部に構成した左右溶着シート25,25の支持孔25aを挿通することにより、培地シート5及び排液シート6を能率的に左右支持棒8,8に取り付けることができる。また、培地2の大小に対応して、左右方向の複数の支持孔25a,…をずらしながら選択して左右支持棒8,8に挿入することにより、容易に対応することができる。
【0017】
また、図7のように高所培地2の支架装置を構成してもよい。左右支柱10,10の上下方向中間部を前後方向のピン10aにより軸支して開閉回動自在に構成し、左右支柱10,10の下端部間にブラケット10b,10bを介して幅規制板27を取り付け、幅規制板27に杭28を打ち込み地面に固定する。そして、左右支柱10,10の上端部にはブラケット10b,10bを介して左右支持棒8,8を取り付ける。前記構成によると、高所培地2の支架装置の組立て作業を能率的に行なうことができる。
【0018】
また、図8に示すように、左右支柱10,10の上下方向中間部を前後方向のピン10aにより軸支するにあたり、左右支柱10,10の上下方向中間部よりも上方位置を軸支すると、高所培地2を安定して支架することができる。
【0019】
また、図9に示すように、左右支柱10,10の下端部間にブラケット10b,10bを介して幅規制板27を取り付け、幅規制板27の左右両端部に一体的に構成した杭28,28を地面に打ち込むようにすると、部品点数を少なくしながら、左右支柱10,10を地面に強固に支持することができる。
【0020】
図10及び図11に基づき養液栽培装置の他の実施形態について説明する。
左右前支柱31f,31fの前支持棒32fと左右後支柱31r,31rの後支持棒31rにより、樋状の栽培フレーム33を長手方向に緩い下り傾斜に支持している。この栽培フレーム33は、左右側板33a,33bと中央部の底板33cにより樋状に構成されていて、この底板33cの左右中央に前後方向の凹溝33dを形成している。そして、この左右側板33a,33b及び底板33c上に、防水シート34を敷き、その上に例えばロックウールからなるベッド35を載置している。このベッド35上の左右両側上側部に前後方向に沿わせて左右給液ホース36,36を載置し、ベッド35上の左右中央にいちごの苗床部(図示省略)を載置し、その上方を白色のポリシート37で覆うようにしている。
【0021】
また、栽培フレーム33における左右側板33a,33bと底板33cの上側面には、前後方向の所定間隔毎に排水溝38,…を左右方向に沿うように設け、また、前記ベッド35の下側部に培地加湿用のパイプ39を配設している。
【0022】
栽培中にベッド35内の培地加湿用のパイプ38が下方にずれて凹状溝33dを塞ぐと、防水シート34が凹状溝33d内に入り込んで塞ぎ、左右側板33a,33bから底板33cの中央部に向かって流れた排水が凹状溝33dに流れ込まなくなり、排水できないという不具合が発生する。
【0023】
しかし、前記構成によると、このような場合にも、左右側板33a,33b及び底板33cの上側面に形成された排水溝38,…を通って、凹状溝33dに排水することができ、ベッド35を適正な含水率に保持することができる。また、ベッド35の含水率を適正に保持する技術として、実開平6−64448号公報のものがある。しかし、この技術のものは構成が複雑でコスト高であるが、前記構成によると、構成を簡単化しながらベッド35の含水率を適正化することができる。
【0024】
また、図12(A)、(B)に示すように、栽培フレーム33における左右側板33a,33b及び底板33c上に防水シート34を敷設して、底板33cの凹状溝33dには防水シート34を敷設しないで、シート落下防止用の網体41で閉鎖したり、また、図12(C)に示すように、底板33cの凹状溝33dを網体パイプ42で閉鎖するようにしてもよい。前記構成によると、底板33cの凹状溝33dへの防水シート34の落ち込みを防止し、網体41、網体状のパイプ42により凹状溝33dからの排水を円滑に行ない、ベッド35を適正な含水率に保持することができる。
【0025】
次に、図13乃至図15に基づき他の実施形態について説明する。この実施形態は、温室51内に設けた養液栽培装置でいちごを栽培するにあたり、所定時間毎に給液ホース36により栽培用ベッド35に養液を供給し、養液の供給が終了すると、給液ホース36内に残留している養液を排液タンク62に回収し、給液ホース36内養液の温度上昇を防止し、いちごの生育障害を防止しようとするものである。
【0026】
温室51内には、支持手段52により樋状の栽培フレーム33を長手方向に緩い下り傾斜(例えば、1/500以上の傾斜)に支持し、この栽培フレーム33上に防水シート(図示省略)を敷き、その上にロックウールからなるベッド(図示省略)を載置し、ベッド(図示省略)の前後方向に沿わせて左右給液ホース36,36を配設し、ベッド上にいちごPの苗床部54を載置し、養液栽培装置を構成している。
【0027】
また、コントローラ57を備えた養液供給装置56を設け、養液供給用ポンプ58からコントローラ57に制御されながら所定時間毎に所定量の養液を給液ホース36,…の一側に供給し、他側に送りながらいちごPの栽培床54,…やベッドに養液を散布し、給液ホース36,…の他側に送られた給液を給液回収パイプ59に送り、排液タンク64に回収するようにしている。そして、ポンプ58の駆動を停止し、養液の供給を停止すると、コントローラ57の指令により所定時間(例えば、3乃至5分)にわたり、ソレノイド61aが作動して、給液回収パイプ59のバルブ61が開調節し、養液を排液タンク62に回収するように構成している。
【0028】
また、排液タンク62に回収した養液は、図15に示すように、ポンプ63により殺菌用タンク64に送り殺菌し、再度養液供給装置56に送られる。また、殺菌用タンク64から送られた養液の温度が高いときには、ポンプ58の流路を切り替えて地中に埋設している循環パイプ67を経由して、排液タンク62に再度送られる構成である。なお、排液タンク62には水位センサ68が設けられていて、余分の排液はオーバーフローして排出される
また、図14に示すように、ポンプ58から給液ホース36,…への養液の供給が終了すると、前記バルブ61が所定時間(例えば3乃至5分)にわたり開調節され、コントローラ57の指令によりコンプレッサ66が作動し、給液ホース36,…の一側にエアを供給し、残留している養液を給液回収パイプ59に送り、養液を強制的に排液タンク62に回収している。
【0029】
夏季の高温時には、給液ホース36,…は加温されて、ホース36内の残留養液は40度C乃至50度Cの高温になり、これを栽培ベッドに供給すると、いちごの生育に悪影響を与える。
【0030】
しかし、前記構成によると、給液ホース36,…への養液の供給が終了すると、給液ホース36,…内の残留養液を強制的に排液タンク62に回収することにより、次回に供給する養液の温度を30度C程度の比較的低い温度に押さえることができ、高温養液による生育障害を防止することができる。また、養液を再利用することにより、コストの低減を図りながらいちごの栽培をすることができる。
【0031】
次に、図16乃至図18に基づき養液栽培装置の他の実施形態について説明する。
温室内には、前記と同様の養液栽培装置を設け、コントローラ57を備えた養液供給装置56を設け、コントローラ57に制御されながら養液供給用ポンプ58を運転し、養液を給液ホース36,…の一側から他側に送り、いちごの栽培床やベッドに散布し、給液ホース36,…の他側に送られた養液は給液回収パイプ59に送られる。また、給液回収パイプ59の終端側には、コントローラ57の指令により作動するバルブ61が設けられている。
【0032】
次に、図17に示すように、コントローラ57から養液の供給開始指令が出される(ステップS1)と、バルブ61が開調節され(ステップS2)、次いで、養液供給用ポンプ58が駆動される(ステップS3)。この状態では、ポンプ58は駆動され養液の供給は開始されるが、バルブ61が開調節されているので、給液ホース36内の水圧が低く、いちごへの給液はなされないで、給液ホース36内の高温の残留養液は排液タンク62に回収される。
【0033】
次いで、所定時間(例えば1〜3分程度)後に、肥料タンク(図示省略)に設けられている肥料弁(図示省略)が開調節され、養液供給装置56に肥料が供給され(ステップS4)、次いで、バルブ61が閉調節されると(ステップS5)、給液ホース36内の水圧が上昇し、いちごへの養液散布が開始される(ステップS6)。
【0034】
なお、バルブ61の開調節時に流出した養液は排液タンク(図示省略)に送られ温度低下が図られる。
前記構成によると、養液の供給開始時に高温の養液が栽培用ベッドに供給されることがなく、いちごの高温生育障害を防止することができる。
【0035】
また、図18のように構成してもよい。コントローラ57から養液の供給開始指令が出される(ステップS11)と、バルブ61が開調節され(ステップS12)、次いで、養液供給用ポンプ58が駆動される(ステップS13)。すると、ポンプ58は駆動されて養液の供給が開始されるが、バルブ61が開調節されているので、給液ホース36の水圧が低く、いちごへの給液はなされないで残留養液は排液タンク62に回収される。
【0036】
次いで、給液回収パイプ59の終端側に設けている水温センサ69により回収養液の水温が検出され、水温が所定温度(例えば、原水温度+10度C)以下か否かを判定し(ステップS14)、NoであるとステップS13に戻り、Yesであると、バルブ61が閉調節される(ステップS15)。次いで、肥料タンク(図示省略)に設けられている肥料弁(図示省略)が開調節され、養液供給装置56に肥料が供給され(ステップS16)、養液の供給が開始される。すると、給液ホース36の水圧が上昇しいちごへの養液散布が開始される(ステップS17)。
【0037】
前記構成によると、養液の供給開始時における高温の養液の散布を防止することができ、いちごの高温生育障害を防止することができる。
次に、図19及び図20に基づき他の実施形態について説明する。
【0038】
温室71内には前記実施形態と同様の養液栽培装置を設けている。支架手段52の上下方向中間内側部には、第2散布パイプ72,…をそれぞれ配設し、栽培フレーム33の左右両側から垂れ下がっているいちごの葉部に排液を散布するように構成している。
【0039】
図20に示すように、コントローラ57を備えた養液供給装置56を設け、コントローラ57に制御されながら肥料タンク73,…から養液供給装置56に肥料が供給され、養液供給用ポンプ58により養液は給液ホース36,…の一側から他側に送られ、いちごの栽培床やベッドに散布され、給液ホース36,…の他側に送られた養液は排液タンク62に回収される。
【0040】
また、排液タンク62に回収された養液は、ポンプ(図示省略)により循環パイプ74を経由して貯溜タンク75に送られる。貯溜タンク75の循環ポンプ76により排液が排液散布パイプ72,…に送られ、いちごの葉部に散布される。貯溜タンク75には水位センサ77が設けられていて、所定水位以上の排液は排出され所定水位が保持される。
【0041】
また、貯溜タンク75の近傍には第3コントローラ81付きの濃度調整装置82が設けられている。第3コントローラ81から排液の散布指令が出されると、ポンプ76が駆動されて排液が排液散布パイプ72に送られ、いちごの葉部に排液が散布される。また、貯溜タンク75には濃度センサ(図示省略)が設けられていて、排液が所定濃度以下になると、濃度調整タンク83のポンプ(図示省略)が駆動されて所定量の養液が供給され、排液が所定の濃度を維持するように構成されている。
【0042】
前記構成によると、回収した排液をいちごの葉部に散布することにより、いちごの生長を促進させると共に、自己完結的な養液の循環システムとなり、排液の外部への排出も少なくなり、環境の保全にも有効である。また、排液を所定濃度に維持しているので、安定したいちごの生育を図ることができる。
【0043】
次に、図21及び図22について説明する。
温室71には第1ブロック71a及び第2ブロック71bに区分して、支架手段、栽培フレーム、防水シート、ロックウールからなるベッド、供液ホース、苗床部等からなるいちごの養液栽培装置を配設している。温室71の一側中央部には、肥料タンク85、PHタンク86、給液装置87、給液ポンプ88、混合槽89、受水槽90、培地加湿ボイラー91が設けられている。温室71の対角線位置には、炭酸ガス発生機95,95及び温風暖房機96,96が配設されている。
【0044】
また、図22に示すように、温室71の第1ブロック71a及び第2ブロック71bの天井には、電照ランプ92,…が所定間隔で均等に多数配設されている。
しかして、肥料タンク85、PHタンク86、給液装置87、給液ポンプ88、混合槽89、受水槽90、培地加湿ボイラー91は、温室71の第1ブロック71aの養液栽培装置に向けて所定時間駆動され、次いで、第2ブロック71bの養液栽培装置に向けて所定時間駆動され、交互運転を繰り返しながら運転される。また、電照ランプ92,…も前記交互運転に合わせて交互に照明される。
【0045】
前記構成によると、設備費を押さ、電力料金を押さえながら施設の稼働をすることができる。
次に、図23について説明する。第1温室71cと第2温室71dを前後に並設し、第1温室71cと第2温室71dの間における左右中間位置に、予備室93を設けている。この予備室93の側方に、灯油タンク94を配置し、予備室93内には、炭酸ガス発生機95及び温風暖房機96を配設し、温風暖房機96から第1温室71c及び第2温室71dの左右中間に向けて送風ダクト97,…をそれぞれ配設している。
【0046】
また、第1温室71c及び第2温室71dの左右中間には、左右方向に向けて送風する循環ファン98,…を4個配設し、第1温室71c及び第2温室71dの左右中間に送られた温風や炭酸ガスを、循環ファン98,…により拡散しながら全体に送風するように構成している。そして、これらの炭酸ガス発生機95、温風暖房機96及び循環ファン98,…をコントローラ(図示省略)で制御しながら運転している。
【0047】
しかして、図24(A)のタイムチャートに示すように、温風暖房機96と循環ファン98,…を同時にONし、温風暖房機96が停止しても循環ファン98,…を所定時間長く駆動し、温風を温室全体に拡散送風している。
【0048】
また、図24(B)に示すように、炭酸ガス発生機95、温風暖房機(暖房を停止し通風状態で)96及び循環ファン98,…を同時にONし、炭酸ガスを送風すると共に通風送風をし、循環ファン98,…を駆動しながら運転を開始する。そして、炭酸ガス発生機95及び温風暖房機96を所定時間後にOFFし、次いでその所定時間後に循環ファン98,…をOFFするように運転する。従って、炭酸ガス及び通風送風を温室全体に拡散送風することができる。
【0049】
また、図24(C)に示すように、温風暖房機96及び循環ファン98,…を同時にONし、その所定時間後に炭酸ガス発生機95をONし、その所定時間後に温風暖房機96の暖房を停止して通風送風を開始する。次いで、その所定時間後に炭酸ガス発生機95をOFFし、温風暖房機96の通風運転を停止し、その所定時間後に循環ファン98,…をOFFするように駆動する。
【0050】
前記構成によると、第1温室71c及び第2温室71dの全体に温風及び炭酸ガスが行き渡ると、温風暖房機96を通風運転に切り替え、所定温度及び所定炭酸ガス濃度を維持し、運転コストを抑制しながらいちごの栽培をすることができる。
【0051】
次に、図25及び図26に基づき温室71内の養液栽培装置の防除装置について説明する。
温室71内には、支架手段52により支持している栽培フレーム33,…を長手方向に緩い下り傾斜状に多数設け、この栽培フレーム33,…上に前記実施形態と同様の養液栽培装置を設けている。防除用ロボット101は自走式で、走行車体101aの前後左右に車輪102,…をそれぞれ配設し、走行車体101aの左右両側部に左右ガイドレール103,103を設け、走行車体101aの前部に防除散布装置104を立設している。この防除散布装置104には逆U字型の左右散布部104a,104bが設けられていて、栽培フレーム33,33のいちごに左右散布部104a,104bが覆いかぶさるような姿勢で走行し、薬液散布をするように構成している。
【0052】
前記構成によると、左右の栽培フレーム33,33の左右支架手段52,52により、左右ガイドレール103,103が案内されながら防除用ロボット101は走行し、防除散布装置104の逆U字型の左右散布部104a,104bが、栽培フレーム33上ののいちごを覆いかぶさるような姿勢で走行しながら薬液散布をし、防除散布作業を能率的に行なうことができる。
【0053】
また、図27及び図28に示すように、養液栽培装置の支架手段52の左右両側部には、前後方向に沿わせて左右ガイド支柱105,105を設け、また、防除用ロボット101の走行車体101aの左右両側には左右ガイドローラ106,106を設け、左右支架手段52,52の間に防除用ロボット101を案内走行するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】高所栽培装置の側面図
【図2】高所栽培装置の平面図
【図3】高所栽培装置の正面図
【図4】高所栽培装置の側面図、正面図
【図5】高所栽培装置の正面図、斜視図
【図6】(A)培地シート及び排液シートの斜視図 (B)高所栽培装置の正面図 (C)高所栽培装置の正面図
【図7】高所栽培装置の正面図
【図8】高所栽培装置の正面図
【図9】高所栽培装置の正面図
【図10】高所栽培装置の側面図、平面図、正面図
【図11】高所栽培装置の正面図
【図12】高所栽培装置の正面図
【図13】(A)高所栽培装置の側面図 (B)高所栽培装置の平面図
【図14】高所栽培装置の平面図
【図15】養液供給ラインのブロック図
【図16】高所栽培装置の平面図
【図17】フローチャート
【図18】フローチャート
【図19】高所栽培装置の正面図
【図20】養液供給ラインのブロック図
【図21】温室、高所栽培装置の平面図
【図22】温室の天井部の平面図
【図23】高所栽培装置の平面図
【図24】タイムチャート
【図25】温室、高所栽培装置の正面図
【図26】防除ロボットの斜視図
【図27】防除ロボットの斜視図
【図28】高所栽培装置、防除ロボットの正面図
【符号の説明】
【0055】
1 高所栽培装置
2 培地
5 培地シート
6 排液シート
7 空間部
8 左右支持棒
18 送風手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地(2)を入れる上側の透水性の培地シート(5)と、該培地シート(5)の下方で前記培地(2)からの排液を受ける排液シート(6)と、前記培地シート(5)及び排液シート(6)の左右両側部を接触状態で支持する左右支持棒(8,8)と、前記培地シート(5)及び排液シート(6)を前後長手方向から見て培地シート(5)に対して排液シート(6)を弛ませることにより形成される閉鎖状の空間部(7)と、該空間部(7)の一端側から他端側に向けて風を送る送風手段(18)とからなるいちごの高所栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−33980(P2009−33980A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198411(P2007−198411)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】