説明

アイドルストップ車両の回生制御装置

【課題】より長いアイドルストップ時間を確保し、燃費の向上を図る。
【解決手段】本発明は、アイドルストップ車両の回生制御装置であって、車両減速中かつフューエルカット中の車輪の回転が伝達して回転するクランクシャフトに駆動されて走行エネルギを回生する回生部と、その回生部に対応して設けられ、回生したエネルギをアイドルストップ中の補機の作動に使用可能なエネルギとして貯蔵する補機エネルギ貯蔵部と、回生前の各補機エネルギ貯蔵部に貯蔵されたエネルギごとに、アイドルストップ中に補機を作動できる時間を算出する補機作動可能時間算出手段(S41)と、算出した各補機作動可能時間のうち、作動可能時間が最も短かった補機の作動可能時間を優先的に延ばすように、車両減速加速度が所定加速度を超えない範囲で各回生部の回生動作を制御する回生制御手段(S43,S45,S49)と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアイドルストップ車両の回生制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両制動時の走行エネルギをオルタネータ及びエアコンコンプレッサによって回生する車両の回生制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−158801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アイドルストップ車両の場合、アイドルストップ中の車両電気負荷への電力供給や空調機能を確保する必要があり、これらによりアイドルストップ可能時間が左右される。しかしながら、前述した従来の車両の回生制御装置は、アイドルストップ機能を有していなかったので、アイドルストップ中の車両電気負荷への電力供給や空調機能の確保については考慮されていなかった。そのため、従来の回生制御ではアイドルストップ可能時間が短くなり、燃費が悪化するという問題点があった。
【0004】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、より長いアイドルストップ可能時間を確保して燃費を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0006】
本発明は、予め設定されたエンジン停止条件の成立時にエンジン(1)を停止し、予め設定されたエンジン再始動条件の成立時にエンジン(1)を再始動するアイドルストップ車両の回生制御装置であって、車両減速中かつフューエルカット中の車輪(13)の回転が伝達して回転するクランクシャフト(11)に駆動され、車両減速加速度が所定加速度を超えない範囲で走行エネルギを回生する回生部(21,31)と、その回生部(21,31)に対応して設けられ、回生したエネルギをアイドルストップ中の補機の作動に使用可能なエネルギとして貯蔵する補機エネルギ貯蔵部(22,33)と、をそれぞれ有する複数組のエネルギ回生手段(2,3)と、回生を行う前の前記複数組のエネルギ回生手段(2,3)の補機エネルギ貯蔵部(22,33)にそれぞれ貯蔵されたエネルギごとに、アイドルストップ中に補機を作動できる時間を算出する補機作動可能時間算出手段(S41)と、算出した各補機作動可能時間のうち、作動可能時間が最も短かった補機の作動可能時間を優先的に延ばすように、車両減速加速度が所定加速度を超えない範囲で各回生部(21,31)の回生動作を制御する回生制御手段(S43,S45,S49)と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回生を行う前の各補機エネルギ貯蔵手段に貯蔵されたエネルギごとに、アイドルストップ中に補機を作動できる時間を算出し、その作動可能時間が最も短かった補機の作動可能時間を優先的に延ばすように、各回生部の回生動作を制御する。これにより、アイドルストップ可能時間を長くすることができるので、燃費を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面等を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態によるアイドルストップ車両の回生制御装置のシステム概略図である。
【0010】
アイドルストップ車両とは、例えば信号待ちによって車両が停止したときなどに、所定のエンジン停止条件が成立していればエンジン1を自動停止させ、その後、所定のエンジン再始動条件が成立すればエンジン1を再始動させる車両である。
【0011】
エンジン停止条件としては、アクセル開度の踏み込み量が所定量より小さいこと、ブレーキペダルが踏み込まれていること、車速が所定値よりも小さいことなどがある。エンジン再始動条件としては、アクセル開度の踏み込み量が所定量より大きいこと、ブレーキペダルが踏み込まれていないことなどがある。
【0012】
アイドルストップ車両の回生制御装置は、エンジン1と、電源装置2と、空調装置3と、コントローラ4と、を備える。
【0013】
エンジン1は、アイドルストップ車両の駆動力を発生する。エンジン1のクランクシャフト11の一端部には、クランクシャフト11と一体に回転するクランクプーリ12が取り付けられる。
【0014】
電源装置2は、エンジン1の動力により駆動されて発電するオルタネータ21と、オルタネータ21で発電された電力を充電するバッテリ22とを備える。
【0015】
オルタネータ21は、回転軸22の一端部に設けられたオルタネータプーリ23を介して、ベルト51でエンジン1のクランクプーリ12と連係される。回転軸22とオルタネータプーリ23との間には、電磁クラッチ24が介装される。この電磁クラッチ24を締結(オン)すると、オルタネータ21の回転軸22がエンジン1のクランクシャフト11に同期して回転する。これにより、オルタネータ21は発電する。一方で、電磁クラッチ24の締結を解除(オフ)すると、オルタネータ21の回転軸がエンジン1のクランクシャフト11に対して空回りし、オルタネータ21による発電は行われない。
【0016】
なお、電磁クラッチ24は、後述するコントローラ4からの出力信号によってオン−オフ駆動(デューティ制御)される。運転状態に応じてデューティ比を変化させることで、オルタネータ21を駆動させたときにエンジン1にかかる負荷トルクを連続的に変化させることができる。
【0017】
空調装置3は、コンプレッサ31、コンデンサ32及びエバポレータ33を備え、これらにより冷媒ガスを循環させる冷凍サイクルを形成し、空調ダクト34の内部に配置されたエバポレータ33によって空気を冷却する。
【0018】
コンプレッサ31は、回転軸35の一端部に設けられたコンプレッサプーリ36を介して、ベルト51でエンジン1のクランクプーリ12と連係される。回転軸35とコンプレッサプーリ36との間には、電磁クラッチ37が介装される。この電磁クラッチ37を締結すると、コンプレッサ31の回転軸35がエンジン1のクランクシャフト11に同期して回転する。これにより、コンプレッサ31は冷媒ガスを吸入圧縮し、高温・高圧になった冷媒ガスをコンデンサ32に送り込む。
【0019】
なお、電磁クラッチ37も電磁クラッチ24と同様にデューティ制御されており、運転状態に応じてデューティ比を変化させることで、コンプレッサ31を駆動させたときにエンジン1にかかる負荷トルクを連続的に変化させることができる。
【0020】
コンデンサ32は、コンプレッサ31から送り込まれてきた高温・高圧の冷媒ガスを冷却して液化する。コンデンサ32は、ラジエータ(図示せず)の前面に配置され、外気で冷却される。
【0021】
空調ダクト34は、一方の開口端34aの側に外気又は内気を導入する空気取入口を備え、他方の開口端34bの側に車室内に連通する吹き出し口を備える。空調ダクト34の内部にブロワファン38と、エバポレータ33とが配設される。
【0022】
ブロワファン38は、モータによって駆動されて空気取入口から吸入した空気をエバポレータ34の周囲に吹き付ける。ブロワファン38は、数十段階の任意のファン速度に設定することができる。
【0023】
エバポレータ33は、コンデンサ32で液化されて低温・低圧になった液冷媒を蒸発させることによって、ブロワファン38によって吹き付けられたエバポレータ33の周囲を通過する空気から熱を奪い、冷たい空気にする。
【0024】
コントローラ4は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ4には、外気温センサ41、エバポレータ温度センサ42、エンジン水温センサ43、加速度センサ44及びバッテリ充電量検出センサ45などの運転状態を検出する種々のセンサ類からの信号が入力されている。なお、エバポレータ温度センサ42は、エバポレータ33のフィンに差し込まれて、エバポレータ33の温度を検出するものである。加速度センサ44は、車両の加速度等を検出する。
【0025】
ここで、車両減速中かつフューエルカット中は、エンジン1による燃焼駆動力は発生しないが、車両が停止するまでの間は、車輪13の回転によってクランクシャフト11が回される。コントローラ4は、このときの走行エネルギを回収する回生制御を実施している。
【0026】
具体的には、コントローラ4は、車両減速中かつフューエルカット中に前述したオルタネータ駆動用の電磁クラッチ24をオンにしてオルタネータ21を駆動させ、バッテリを充電する。これにより、アイドルストップ中に必要なヘッドライト等の電気負荷へ供給する電力を確保する。
【0027】
また同じく車両減速中かつフューエルカット中に前述したコンプレッサ駆動用の電磁クラッチ37をオンにしてコンプレッサ31を駆動させ、エバポレータ33に流入する液冷媒量を増やす。これにより、アイドルストップ中に必要な冷房能力(空調機能)を確保する。
【0028】
しかし、車両減速中かつフューエルカット中にオルタネータ21及びコンプレッサ31の双方をフル駆動(デューティ比が100%の状態)させると、エンジンにかかる負荷トルクが大きくなりすぎることがある。そうすると、車両の減速加速度が大きくなりすぎて運転性が悪化する。また、車両の減速加速度が大きくなりすぎると、運転者によってはアクセルペダルを踏み込むことが考えられるので、燃費の悪化につながる。
【0029】
そこで、本実施形態では、回生時の減速加速度の過増大を防止し、かつアイドルストップ時間を最も長く確保できるようにオルタネータ21及びコンプレッサ31の双方の電磁クラッチ24,37を最適にデューティ制御する。以下、このオルタネータ21及びコンプレッサ31の協調回生制御について説明する。
【0030】
図2は、本実施形態によるオルタネータ21及びコンプレッサ31の協調回生制御について説明するフローチャートである。コントローラ4は、このルーチンを所定の演算周期(例えば10ミリ秒)で繰り返し実行する。
【0031】
ステップS1において、コントローラ4は、車両が減速中か否かを判定する。具体的には、ブレーキペダルの踏み込み量が所定量より大きいか否かを判定する。コントローラ4は、ブレーキペダルの踏み込み量が所定量より大きければステップS2に処理を移行する。一方でブレーキペダルの踏み込み量が所定量より小さければ今回の処理を終了する。
【0032】
ステップS2において、コントローラ4は、減速時にフューエルインジェクタの燃料噴射を停止する減速時フューエルカット中か否かを判定する。減速時フューエルカットを行うか否かは、エンジン回転速度や、車速、エンジン水温等によって決定される。コントローラ4は、減速時フューエルカット中であればステップS3に処理を移行し、そうでなければ今回の処理を終了する。
【0033】
ステップS3において、コントローラ4は、オルタネータ21及びコンプレッサ31をフル駆動したときに、エンジンにかかる負荷トルクが許容負荷トルクTrqpermitより大きいか否かを判定する。ここで、許容負荷トルクTrqpermitとは、減速加速度が許容減速加速度を超えない範囲で、エンジンに負荷できる最大トルクである。許容負荷トルクTrqpermitは、車両運転状態等に応じて決定される。コントローラ4は、オルタネータ21及びコンプレッサ31をフル駆動したときに、エンジンにかかる負荷トルクが許容負荷トルクTrqpermitより大きければステップS4に処理を移行し、小さければステップS5に処理を移行する。
【0034】
ステップS4において、コントローラ4は、オルタネータ21及びコンプレッサ31による協調回生処理を実行する。具体的な内容は図3を参照して後述する。
【0035】
ステップS5において、コントローラ4は、オルタネータ21及びコンプレッサ31をフル駆動する。具体的には、オルタネータ21及びコンプレッサ31の双方の電磁クラッチ24,37への通電をデューティ比100%で行う。
【0036】
図3は、オルタネータ21及びコンプレッサ31による協調回生処理を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS41において、コントローラ4は、バッテリ要求から決まるアイドルストップ可能時間(以下「バッテリ要求I/S可能時間」という)Taltと、空調要求から決まるアイドルストップ可能時間(以下「空調要求I/S可能時間」という)Tcompと、を検出する。
【0038】
ここで、バッテリ要求I/S可能時間Taltとは、オルタネータ21による回生を行わずに、現在のバッテリ充電量のままアイドルストップしたときに、アイドルストップすることができる時間のことである。つまり、エンジン停止後のアイドルストップ期間中に、現在のバッテリ充電量で、車両負荷に対して必要な電力を供給し続けることのできる時間である。
【0039】
バッテリ要求I/S可能時間Taltは、現在のバッテリ充電量と、車両電気負荷へ供給しなければならない電力量(消費電流)とに基づいて、図4に示すテーブル1を参照して決定される。テーブル1に示すように、現在のバッテリ充電量が少ないほど、また消費電流が多いほどバッテリ要求I/S可能時間Taltは短くなる。
【0040】
また、空調要求I/S可能時間Tcompとは、コンプレッサ31による回生を行わずに、現在のエバポレータ33の冷力(温度)のままアイドルストップしたときに、アイドルストップすることができる時間のことである。つまり、エンジン停止後のアイドルストップ期間中に、現在のエバポレータ33の冷力で、空調を確保し続けることのできる時間である。
【0041】
空調要求I/S可能時間Tcompは、外気温と、ブロワファン速と、エバポレータ温度とに基づいて、図5に示すテーブル2を参照して決定される。テーブル2に示すように、外気温が高いほど、ブロワファン速が速いほど、またエバポレータ温度が高いほど空調要求から決まるアイドルストップ可能時間は短くなる。
【0042】
ステップS42において、コントローラ4は、空調要求I/S可能時間Tcompが、例えば信号待ちによる停車時間などの、市場で起こりうる停車時間のほぼ全てを満足するような時間(以下「想定市場停車時間」という)Tmarketより大きいか否かを判定する。コントローラ4は、空調要求I/S可能時間Tcompが、想定市場停車時間Tmarketより大きければステップS43に処理を移行し、小さければステップS44に処理を移行する。
【0043】
ステップS43において、コントローラ4は、オルタネータ21による回生を優先するオルタネータ回生処理を実行する。具体的な内容は図6を参照して後述する。
【0044】
ステップS44において、コントローラ4は、バッテリ要求I/S可能時間Taltが、想定市場停車時間Tmarketより大きいか否かを判定する。コントローラ4は、バッテリ要求I/S可能時間Taltが、想定市場停車時間Tmarketより大きければステップS45に処理を移行し、小さければステップS46に処理を移行する。
【0045】
ステップS45において、コントローラ4は、コンプレッサ31による回生を優先するコンプレッサ回生処理を実行する。具体的な内容は図7を参照して後述する。
【0046】
ステップS46において、コントローラ4は、エバポレータ温度Tmpevaが凍結防止温度Tmpeva_minより低いか否かを判定する。ここで、凍結防止温度Tmpeva_minとは、エバポレータ33の凍結を防止するために設定された温度であり、エバポレータ33が凍結する温度よりもやや高い温度である。コントローラ4は、エバポレータ温度Tmpevaが凍結防止温度Tmpeva_minより低ければステップS43に処理を移行し、高ければステップS47に処理を移行する。
【0047】
ステップS47において、コントローラ4は、バッテリ充電量SOCが、フル充電量に近い所定の充電量(以下「充電不要充電量」という)SOCmaxより大きければステップS45に処理を移行し、小さければステップS48に処理を移行する。
【0048】
ステップS48において、コントローラ4は、バッテリ要求I/S可能時間Taltと、空調要求I/S可能時間Tcompとが、同じ時間か否かを判定する。コントローラ4は、双方の時間が同じ時間であればステップS49に処理を移行し、同じ時間でなければステップS50に処理を移行する。
【0049】
ステップS49において、コントローラ4は、コンプレッサ31による回生と、オルタネータ21による回生とを同時に均等に実施する均等回生処理を実施する。具体的な内容は図8を参照して後述する。
【0050】
ステップS50において、コントローラ4は、バッテリ要求I/S可能時間Talt及び空調要求I/S可能時間Tcompの大小を判定する。コントローラは、バッテリ要求I/S可能時間Taltの方が大きいときはステップS43に処理を移行する。一方で、空調要求I/S可能時間Tcompの方が大きいときはステップS45に処理を移行する。
【0051】
ステップS431において、コントローラ4は、オルタネータ21をフル駆動したときにエンジンにかかる負荷トルク(以下「オルタネータフル駆動負荷トルク」という)Trqalt_maxが許容負荷トルクTrqpermitより小さいか否かを判定する。コントローラ4は、オルタネータフル駆動負荷トルクTrqalt_maxが許容負荷トルクTrqpermitよりも小さければステップS432に処理を移行し、大きければステップS433に処理を移行する。
【0052】
ステップS432において、コントローラ4は、オルタネータ21をフル駆動するとともに、コンプレッサ31を駆動する。このとき、コンプレッサ31は、オルタネータフル駆動負荷トルクTrqalt_maxと、コンプレッサ31を駆動したときにエンジンかかる負荷トルク(以下「コンプレッサ駆動負荷トルク」という)Trqcompと、の和が許容負荷トルクTrqpermitを超えないように駆動される。
【0053】
ステップS433において、コントローラ4は、オルタネータ21のみを駆動する。このとき、オルタネータ21は、オルタネータ21を駆動したときにエンジンにかかる負荷トルク(以下「オルタネータ駆動負荷トルク」という)Trqaltが許容負荷トルクTrqpermitを超えないように駆動される。
【0054】
図7は、コンプレッサ回生処理を示すフローチャートである。
【0055】
S451において、コントローラ4は、コンプレッサ31をフル駆動したときにエンジンにかかる負荷トルク(以下「コンプレッサフル駆動負荷トルク」という)Trqcomp_maxが許容負荷トルクTrqpermitより小さいか否かを判定する。コントローラ4は、コンプレッサフル駆動負荷トルクTrqcomp_maxが許容負荷トルクTrqpermitよりも小さければステップS452に処理を移行し、大きければステップS453に処理を移行する。
【0056】
ステップS452において、コントローラ4は、コンプレッサ31をフル駆動するとともに、オルタネータ21を駆動する。このとき、オルタネータ21は、コンプレッサフル駆動負荷トルクTrqcomp_maxと、オルタネータ駆動負荷トルクTrqaltと、の和が許容負荷トルクTrqpermitを超えないように駆動される。
【0057】
ステップS453において、コントローラ4は、コンプレッサ31のみを駆動する。このとき、コンプレッサ31は、コンプレッサ駆動負荷トルクTrqcompが許容負荷トルクTrqpermitを超えないように駆動される。
【0058】
図8は、均等回生処理を示すフローチャートである。
【0059】
S491において、コントローラ4は、空調要求I/S可能時間Tcompと、バッテリ要求I/S可能時間Taltとが同じ割合で増加するように、オルタネータ21及びコンプレッサ31を駆動する。またコンプレッサ駆動負荷トルクTrqcompと、オルタネータ駆動負荷トルクTrqaltと、の和が許容負荷トルクTrqpermitを超えないように駆動する。
【0060】
次に、本実施形態によるオルタネータ21及びコンプレッサ31の協調回生制御の動作について説明する。まず、図9のタイムチャートを参照して、コンプレッサによる回生を優先するコンプレッサ回生処理の動作について説明する。なお、フローチャートとの対応を明確にするため、フローチャートのステップ番号を併記して説明する。
【0061】
時刻t1で、車両が減速かつフューエルカット状態になると(図9(A)(B);S1でYes、S2でYes)、コントローラ4は、オルタネータ21及びコンプレッサ31をフル駆動したときに、エンジンにかかる負荷トルクが許容負荷トルクTrqpermitより大きいか否かを判定する(S3)。これは、オルタネータ21及びコンプレッサ31をフル駆動したときに、エンジンにかかる負荷トルクが許容負荷トルクTrqpermitより大きくなると、減速加速度が許容減速加速度を超えてしまい、運転性能が悪化するので、これを防止するためである。
【0062】
時刻t1では、オルタネータ21及びコンプレッサ31をフル駆動したときに、エンジンにかかる負荷トルクが許容負荷トルクTrqpermitより大きい(図9(D);S3でYes)。したがって、コントローラ4は、バッテリ要求I/S可能時間Taltと、空調要求I/S可能時間Tcompと、を算出する(S41)。
【0063】
そして次に、これらが想定市場停車時間Tmarketより大きいか否かを判定する(S42、S44)。
【0064】
コントローラ4は、空調要求I/S可能時間Tcompが、想定市場停車時間Tmarketより大きければ、オルタネータ21による回生を優先するオルタネータ回生処理を実施する(S42でYes、S43)。これは、空調要求I/S可能時間Tcompが、想定市場停車時間Tmarketより大きければ、現在のエバポレータの温度(冷力)のままアイドルストップしても空調機能を満足できる。したがって、コンプレッサ31による回生を実施してエバポレータの温度を下げる必要がないからである。
【0065】
一方、バッテリ要求I/S可能時間Taltが、想定市場停車時間Tmarketより大きければ、コンプレッサ31によるコンプレッサ回生処理を実施する(S42でNo、S44でYes、S45)。これは、バッテリ要求I/S可能時間Taltが、想定市場停車時間Tmarketより大きければ、現在のバッテリ充電量のままアイドルストップしても車両の電気負荷に対して電力を供給できる。したがって、オルタネータ21による回生を実施してバッテリを充電する必要がないからである。
【0066】
時刻t1では、空調要求I/S可能時間Tcomp及びバッテリ要求I/S可能時間Taltは、共に想定市場停車時間Tmarketより小さい(図9(C);S42でNo、S44でNo)。
【0067】
そうすると、コントローラ4は、次にエバポレータ温度Tmpevaが凍結防止温度Tmpeva_minより低いか否かを判定する(S46)。
【0068】
判定した結果、エバポレータ温度Tmpevaが凍結防止温度Tmpeva_minより低ければ、コントローラ4は、オルタネータ回生処理を実施してバッテリの充電を優先する(S46でYes、S43)。これは、エバポレータ温度Tmpevaが凍結防止温度Tmpeva_minより低いときにコンプレッサ31を駆動すると、エバポレータ33が凍結するおそれがあるからである。
【0069】
しかし、時刻t1において、エバポレータ温度Tmpevaは凍結防止温度Tmpeva_minより高い(図9(F);S46でNo)。
【0070】
そうすると、コントローラ4は、次にバッテリ充電量SOCが充電不要充電量SOCmaxより大きいか否かを判定する(S47)。
【0071】
判定した結果、バッテリ充電量SOCが充電不要充電量SOCmaxより大きければ、コントローラ4は、コンプレッサ回生処理を実施してエバポレータ33の冷却を優先する(S47でYes、S45)。これは、バッテリ充電量SOCが充電不要充電量SOCmaxより大きければ、それ以上バッテリを充電する必要がないからである。
【0072】
しかし、時刻t1において、バッテリ充電量SOCが充電不要充電量SOCmaxより小さい(図9(H);S47でNo)。
【0073】
そうすると、コントローラ4は、次に空調要求I/S可能時間Tcomp及びバッテリ要求I/S可能時間Taltの大小関係を判定する(S48、S50)。
【0074】
判定した結果、空調要求I/S可能時間Tcompが、バッテリ要求I/S可能時間Taltよりも大きければ、コントローラ4は、オルタネータ21の回生を優先するオルタネータ回生処理を実施する(S48でNo、S50でNo、S43)。
【0075】
一方、空調要求I/S可能時間Tcompが、バッテリ要求I/S可能時間Taltよりも小さければ、コントローラ4は、コンプレッサ31の回生を優先するコンプレッサ回生処理を実施する(S48でNo、S50でYes、S45)。
【0076】
さらに、空調要求I/S可能時間Tcompと、バッテリ要求I/S可能時間Taltとが同じであれば、コントローラ4は、オルタネータ21及びコンプレッサ31の回生に優劣をつけない均等回生処理を実施する(S48でYes、S49)。
【0077】
時刻t1では、空調要求I/S可能時間Tcompが、バッテリ要求I/S可能時間Taltよりも小さい(図9(C);S48でNo、S50でYes)。したがって、コントローラ4は、コンプレッサ回生処理を実施する(S45)。
【0078】
コンプレッサ回生処理に入ると、コントローラ4は、まずコンプレッサフル駆動負荷トルクTrqcomp_maxが許容負荷トルクTrqpermitより小さいが判定する(S451)。
【0079】
判定した結果、コンプレッサフル駆動負荷トルクTrqcomp_maxが許容負荷トルクTrqpermitより小さければ(S451でYes)、コントローラ4は、コンプレッサ31をフル駆動する(S452)。そして、コンプレッサフル駆動負荷トルクTrqcomp_maxと、オルタネータ駆動負荷トルクTrqaltと、の和が許容負荷トルクTrqpermitを超えないように、オルタネータ21を駆動する(S452)。
【0080】
一方、コンプレッサフル駆動負荷トルクTrqcomp_maxが許容負荷トルクTrqpermitより大きければ(S451でNo)、コントローラ4は、コンプレッサ31のみを、コンプレッサ駆動負荷トルクが許容負荷トルクTrqpermitを超えないように駆動する(S453)。
【0081】
ここで、時刻t1では、コンプレッサフル駆動負荷トルクTrqcomp_maxが許容負荷トルクTrqpermitより小さい(図9(D);S451でYes)。したがって、コントローラ4は、コンプレッサ31をフル駆動する(図9(D)(E);S452)。そして、コンプレッサ31をフル駆動したときにエンジンにかかる負荷トルクTrqcomp_maxと、オルタネータ21を駆動したときにエンジンかかる負荷トルクTrqaltと、の和が許容負荷トルクを超えないように、オルタネータ21を駆動する(図9(D)(G);S452)。
【0082】
時刻t2になると、コンプレッサフル駆動負荷トルクTrqsomp_maxが許容負荷トルクTrqpermitより大きくなる(図9(D);S451でNo)。そうすると、コントローラ4は、オルタネータ21の駆動を停止する(図9(G);S453)。そして、許容負荷トルクTrqpermitを超えないように、コンプレッサ31を駆動する(図9(E);S453)。
【0083】
このように、空調要求I/S可能時間Tcompと、バッテリ要求I/S可能時間Taltとを比較したとき、小さかったほうのアイドルストップ可能時間を優先して延ばすようにオルタネータ21及びコンプレッサ31の回生を実施する。これにより、アイドルストップ可能時間をより長く確保できる。また、減速加速度が許容減速加速度を超えることがないので、運転性能の悪化を防止できる。また、アクセルペダルの踏み増しを防ぐことができるので、燃費の悪化も防止できる。
【0084】
以上、コンプレッサ回生処理の動作について説明してきたが、オルタネータ回生処理の場合には、オルタネータによる回生を優先させれば良い。
【0085】
続いて図10を参照して、均等回生処理の動作について説明する。
【0086】
時刻t1から時刻t2までの動作については、コンプレッサ回生処理の動作と同様なので、ここでは説明を省略し、時刻t2からの動作について説明する。
【0087】
時刻t2で、空調要求I/S可能時間Tcompと、バッテリ要求I/S可能時間Taltとが同じ時間になると(図10(C);S48でYes)、コントローラ4は、オルタネータ21及びコンプレッサ31の回生に優劣をつけない均等回生処理を実施する(S49)。
【0088】
均等回生処理に入ると、コントローラ4は、空調要求I/S可能時間Tcompと、バッテリ要求I/S可能時間Taltとが同じ割合で増加するように、オルタネータ21及びコンプレッサ31を駆動する(図10(C)(E)(G);S491)。
【0089】
以上説明した本実施形態によれば、車両減速中かつフューエルカット中にオルタネータ21及びコンプレッサ31をフル駆動して回生すると、エンジン1にかかる負荷トルクが大きくなりすぎて、許容減速加速度を超えることが予想されるときは、いずれか一方を優先的に駆動して回生する。
【0090】
具体的には、空調要求I/S可能時間Tcompと、バッテリ要求I/S可能時間Taltとの大小を比較し、小さかったほうのアイドルストップ可能時間を優先して延ばすようにオルタネータ21及びコンプレッサ31を駆動して回生する。
【0091】
つまり、空調要求I/S可能時間Tcompが小さかったときは、コンプレッサを優先的に駆動して回生する。一方で、バッテリ要求I/S可能時間Taltが小さかったときは、オルタネータ31を優先的に駆動して回生する。
【0092】
ただし、空調要求I/S可能時間Tcompと、バッテリ要求I/S可能時間Taltとが同じときは、いずれか一方を優先駆動するのではなく、双方のI/S可能時間がおなじ割合で増加するようにオルタネータ21及びコンプレッサ31を駆動して回生する。
【0093】
これにより、アイドルストップ可能時間をより長く確保できる。
【0094】
そして、いずれか一方をフル駆動しても許容減速加速度を超えないときは、許容減速加速度を越えない範囲で他方を駆動する。
【0095】
これにより、減速加速度が許容減速加速度を超えることがないので、運転性能の悪化を防止できる。また、アクセルペダルの踏み増しを防ぐことができるので、燃費が向上する。
【0096】
また、空調要求I/S可能時間Tcompが、想定市場停車時間Tmarketより大きいときは、オルタネータ21を優先的に駆動して回生する。コンプレッサ31を駆動せずに、現在のエバポレータの冷力(温度)のままアイドルストップしても、空調機能を満足できるためである。
【0097】
さらに、エバポレータ温度Tmpevaが凍結防止温度Tmpeva_minより低いときも、オルタネータ21を優先的に駆動して回生する。エバポレータ温度Tmpevaが凍結防止温度Tmpeva_minより低いときにコンプレッサ31を駆動すると、エバポレータ33が凍結するおそれがあるからである。
【0098】
これにより、コンプレッサ31の回生を実施しない分、オルタネータ21の回生量を増大させることができるので、アイドルストップ可能時間をより長く確保できるとともに、効果的な回生を実施できる。
【0099】
一方で、バッテリ要求I/S可能時間Taltが、想定市場停車時間Tmarketより大きいときは、コンプレッサ31を優先的に駆動して回生する。オルタネータ21を駆動せずに、現在のバッテリ充電量のままアイドルストップしても車両の電気負荷へ電力を供給できるためである。
【0100】
さらに、バッテリ充電量SOCが充電不要充電量SOCmaxより大きいときも、コンプレッサ31を優先的に駆動して回生する。バッテリ充電量SOCが充電不要充電量SOCmaxより大きければ、それ以上バッテリを充電する必要がないからである。
【0101】
これにより、オルタネータ21の回生を実施しない分、コンプレッサ31の回生量を増大させることができるので、アイドルストップ可能時間をより長く確保できるとともに、効果的な回生を実施できる。
【0102】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0103】
例えば、本実施形態では、バッテリ要求I/S可能時間と想定市場停車時間との対比(S44)より先に、空調要求I/S可能時間と想定市場停車時間との対比(S42)を行ったが、この順序は逆でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態によるアイドルストップ車両の回生制御装置のシステム概略図である。
【図2】本実施形態によるオルタネータ及びコンプレッサの協調回生制御について説明するフローチャートである。
【図3】オルタネータ及びコンプレッサによる協調回生処理を示すフローチャートである。
【図4】バッテリ要求I/S可能時間を算出するテーブルである。
【図5】空調要求I/S可能時間を算出するテーブルである。
【図6】オルタネータ回生処理を示すフローチャートである。
【図7】コンプレッサ回生処理を示すフローチャートである。
【図8】均等回生処理を示すフローチャートである。
【図9】コンプレッサ回生処理の動作について説明するタイムチャートである。
【図10】均等回生処理の動作について説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
【0105】
1 エンジン
21 オルタネータ(発電機)(回生部)
22 バッテリ(蓄電器)(補機エネルギ貯蔵部)
31 コンプレッサ(圧縮機)(回生部)
33 エバポレータ(熱交換器)(補機エネルギ貯蔵部)
S41 補機作動可能時間算出手段
S43,S45,S49 回生制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定されたエンジン停止条件の成立時にエンジンを停止し、予め設定されたエンジン再始動条件の成立時にエンジンを再始動するアイドルストップ車両の回生制御装置であって、
車両減速中かつフューエルカット中の車輪の回転が伝達して回転するクランクシャフトに駆動されて走行エネルギを回生する回生部と、その回生部に対応して設けられ、回生したエネルギをアイドルストップ中の補機の作動に使用可能なエネルギとして貯蔵する補機エネルギ貯蔵部と、をそれぞれ有する複数組のエネルギ回生手段と、
回生を行う前の前記複数組のエネルギ回生手段の補機エネルギ貯蔵部にそれぞれ貯蔵されたエネルギごとに、アイドルストップ中に補機を作動できる時間を算出する補機作動可能時間算出手段と、
算出した各補機作動可能時間のうち、作動可能時間が最も短かった補機の作動可能時間を優先的に延ばすように、車両減速加速度が所定加速度を超えない範囲で各回生部の回生動作を制御する回生制御手段と、
を備えることを特徴とするアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項2】
前記複数組のエネルギ回生手段のうちの一つは、
回生部として、前記クランクシャフトによって駆動されて発電する発電機を、
補機エネルギ貯蔵部として、前記発電機によって発電された電力を蓄電する蓄電器を含み、
前記複数組のエネルギ回生手段のうちのもう一つは、
回生部として、前記クランクシャフトによって駆動されて空調用の冷媒を圧縮する圧縮機を、
補機エネルギ貯蔵部として、前記圧縮機によって圧縮された空調用の冷媒を蒸発させて空気を冷却する熱交換器を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項3】
前記補機作動可能時間算出手段は、
前記発電機の最大駆動負荷及び前記圧縮機の最大駆動負荷の合計と、減速加速度が前記所定加速度に収まる範囲でエンジンに負荷できる最大許容負荷と、の大小を判定し、
前記発電機の最大駆動負荷及び前記圧縮機の最大駆動負荷の合計の方が大きいと判定したときに、回生前の各補機エネルギ貯蔵部にそれぞれ貯蔵されたエネルギごとに、アイドルストップ中の補機の作動可能時間を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項4】
前記補機作動可能時間算出手段は、
回生前の前記蓄電器の充電量で、アイドルストップ中の車両電気負荷に電力を供給できる時間であるバッテリ要求アイドルストップ可能時間を算出し、
回生前の前記熱交換器の温度で、アイドルストップ中の空調を維持できる時間である空調要求アイドルストップ可能時間を算出する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項5】
前記回生制御手段は、
前記バッテリ要求アイドルストップ可能時間と、空調要求アイドルストップ可能時間と、の大小を判定し、
前記バッテリ要求アイドルストップ可能時間の方が大きいと判定したときは、前記圧縮機を優先的に駆動して車両の走行エネルギを回生する圧縮機回生を実施し、
前記空調要求アイドルストップ可能時間の方が大きいと判定したときは、前記発電機を優先的に駆動して車両の走行エネルギを回生する発電機回生を実施する
ことを特徴とする請求項4に記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項6】
前記回生制御手段は、
前記空調要求アイドルストップ可能時間が、予め定められた市場における想定停車時間よりも大きいときは、前記バッテリ要求アイドルストップ可能時間と空調要求アイドルストップ可能時間との大小判定の結果にかかわらず、前記発電機を優先的に駆動して車両の走行エネルギを回生する発電機回生を実施する
ことを特徴とする請求項5に記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項7】
前記回生制御手段は、
前記バッテリ要求アイドルストップ可能時間が、予め定められた市場における想定停車時間よりも大きいときは、前記バッテリ要求アイドルストップ可能時間と空調要求アイドルストップ可能時間との大小判定の結果にかかわらず、前記圧縮機を優先的に駆動して車両の走行エネルギを回生する圧縮機回生を実施する
ことを特徴とする請求項5に記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項8】
前記回生制御手段は、
前記熱交換器の温度が所定温度より低いときは、前記バッテリ要求アイドルストップ可能時間と空調要求アイドルストップ可能時間との大小判定の結果にかかわらず、前記発電機を優先的に駆動して車両の走行エネルギを回生する発電機回生を実施する
ことを特徴とする請求項5から7までのいずれか1つに記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項9】
前記所定温度は、前記熱交換器が凍結する温度に、前記熱交換器の凍結を防止するためのマージンを加えた温度である
ことを特徴とする請求項8に記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項10】
前記回生制御手段は、
前記蓄電器の充電量が所定充電量より大きいときは、前記バッテリ要求アイドルストップ可能時間と空調要求アイドルストップ可能時間との大小判定の結果にかかわらず、前記圧縮機を優先的に駆動して車両の走行エネルギを回生する圧縮機回生を実施する
ことを特徴とする請求項5から9までのいずれか一つに記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項11】
前記所定充電量は、前記蓄電器のフル充電量近傍の充電量である
ことを特徴とする請求項10に記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項12】
前記回生制御手段は、
前記バッテリ要求アイドルストップ可能時間と、前記空調要求アイドルストップ可能時間と、が同じ時間のときは、双方のアイドルストップ可能時間が同じ割合で増加するように前記発電機及び圧縮機を駆動して車両の走行エネルギを回生する均等回生を実施する
ことを特徴とする請求項5から10までのいずれか一つに記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項13】
前記圧縮機回生は、
前記圧縮機の最大駆動負荷が前記エンジンの最大許容負荷より小さいときは、前記圧縮機を最大駆動し、
前記圧縮機の最大駆動負荷が前記エンジンの最大許容負荷より大きいときは、前記圧縮機の駆動負荷が最大許容負荷に一致するように前記圧縮機を駆動する
ことを特徴とすることを特徴とする請求項3から12までのいずれか一つに記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。
【請求項14】
前記発電機回生は、
前記発電機の最大駆動負荷が前記エンジンの最大許容負荷より小さいときは、前記発電機を最大駆動し、
前記発電機の最大駆動負荷が前記エンジンの最大許容負荷より大きいときは、前記発電機の駆動負荷が最大許容負荷に一致するように前記圧縮機を駆動する
ことを特徴とすることを特徴とする請求項3から13までのいずれか一つに記載のアイドルストップ車両の回生制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−196457(P2009−196457A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38753(P2008−38753)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】