説明

アクセル操作装置

【課題】部品を変更することなく、コイルスプリング等の付勢力を調整し、アクセルの戻り力及び抵抗力を調整可能とする。
【解決手段】アクセル操作装置は、支持部材12と、支持部材12に対して回動可能に取り付けられたヨークホルダ14と、ヨークホルダ14を回動された状態から初期状態となるように付勢するトーションばね34とを備える。ヨークホルダ14は、トーションばね34の固定端340を固定する複数の固定穴126a〜126eを有し、支持部材12は、トーションばね34の自由端342を固定する係止ピン140を有する。トーションばね34の固定端340は、アクセル操作の抵抗力を弱めるときは、複数設けられた固定穴126a〜126eのうち固定穴126a側に固定され、アクセル操作の抵抗力を強めるときは、固定穴126a〜126eのうち固定穴126e側に固定端340を固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセル操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オートバイ、水上バイク、耕作機等の車両は、手動式のアクセル操作装置を備える。手動式のアクセル操作装置は、操作後に自動的にアクセルを初期位置に戻す機能を有するコイルスプリングを備えているものがある。コイルスプリングは、その付勢力によって、アクセルを初期位置に戻す力(戻り力)及びアクセルを回動させる際の抵抗力を生じさせる。
【0003】
例えば、特許文献1に、アクセルの回動角度を検出する検出器と、アクセルを初期位置に戻すコイルスプリングとを備えるアクセル操作装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−248275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記オートバイをとっても、大型自動二輪車や小型自動二輪車、その他原動機付き自転車等、様々なタイプのものが流通しており、オートバイ以外の他の車両についても様々なタイプが流通している。このため、車両に備えられたアクセル操作装置は、車両の様々なタイプに適したアクセルの戻り力及び抵抗力を生じさせるため、同一の機能を有するものであっても異なる形状の部品を備えることが少なくない。
【0006】
例えば、特許文献1に開示されたアクセル操作装置においては、様々なタイプの車両に応じてコイルスプリング及びそれに関わる部材を変更しなければならなかった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、目的とすることは、部品を変更することなく、コイルスプリング等の付勢力を調整しアクセルの戻り力及び抵抗力を調整可能なアクセル操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るアクセル操作装置は、
第1取付部を備える第1部材と、
第2取付部を備え、アクセル操作によって前記第1部材に対して回動する第2部材と、
一端が前記第1取付部に取り付けられ、他端が前記第2取付部に取り付けられ、前記第2部材を、回動した状態から回動する前の状態となるように付勢する第1付勢部材と、を備え、
前記第1取付部と前記第2取付部とのうちの少なくとも一方は、前記第1付勢部材の付勢力を取り付け位置によって変化させるように、異なる位置に複数設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るアクセル操作装置によれば、部品を変更することなく、コイルスプリング等の付勢力を調整し、アクセルの戻り力及び抵抗力を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の1実施形態に係るアクセル操作装置の分解斜視図である。
【図2】図1と異なる角度から示す、図1に記載されたアクセル操作装置の分解斜視図である。
【図3】図1に記載されたアクセル操作装置の断面図である。
【図4】図1に記載されたアクセル操作装置の、支持部材とヨークホルダとの関係を示す斜視図である。
【図5】本発明の1実施形態の変形例に係る支持部材とヨークホルダとの関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るアクセル操作装置の1実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
本実施形態に係るアクセル操作装置10は、図1乃至図4に示すように、直線円筒状のハンドルバー70を挿通することでハンドルバー70に回動可能に支持されるハンドルグリップ100とハンドルグリップ100の一部を覆うように端部から取り付けられたグリップ本体72とヨークホルダ14とから構成されるアクセル部材(第2部材)11と、アクセル部材11を回動可能に固定する固定部材(第1部材)13と、回動するアクセル部材11をその初期位置(アクセル操作がされていない場合の位置)に戻す方向に付勢するトーションばね34(第1付勢部材)と、から主に構成される。また、固定部材13は、ヨークホルダ14の回動位置を検出するセンサ50と、ヨークホルダ14に当接する摩擦部材16と、摩擦部材16をヨークホルダ14側に付勢する圧縮(コイル)ばね(第2付勢部材)36と、圧縮ばね36及びトーションばね34を固定・支持する支持部材12と、ハンドルグリップ100の一部、ヨークホルダ14、センサ50、摩擦部材16、圧縮ばね36、トーションばね34及び支持部材12を収納する上ハウジング200及び下ハウジング202と、から構成される。
【0013】
図3は、例えば自動二輪車の操向に用いられる右側のハンドルバー70を示すものであり、アクセル操作装置10の断面図を示すものである。図3における一点鎖線Aは、ハンドルバー70及びハンドルグリップ100の中心線を示すものである。なお、一点鎖線Aにおける矢印LHは、ハンドルバー70の軸方向の基端側(車幅方向内側、左方)を、矢印RHは、ハンドルバー70の軸方向の先端側(車幅方向外側、右方)をそれぞれ示す。アクセル操作装置10の所定の部材(ヨークホルダ14、トーションばね34、ハンドルグリップ100等)は、適宜、ハンドルバー70に挿入されて車両に取り付けられる。また、上ハウジング200と下ハウジング202とは、センサ50、ヨークホルダ14等を収納しつつハンドルバー70の上下から組み合わされる。このようにして、アクセル操作装置10は、ハンドルバー70に組み付けられる。
【0014】
次に、アクセル操作装置10を構成する各部材について詳細に説明する。ハンドルグリップ100は、ポリアセタール等の硬質合成樹脂から成り、略円筒状に形成されている。また、合成ゴム材から成るグリップ本体72がハンドルグリップ100の外周に一体的に装着されている。ユーザ(運転者)は、アクセル操作を行う際に、グリップ本体72を握ってハンドルグリップ100を支持部材12(つまり、固定部材13)に対して回動させる。後述するヨークホルダ14側のハンドルグリップ100の端部には、軸方向に突出する円弧状の係合突起102が形成されている。係合突起102は、後述するヨークホルダ14の係合溝142に係合する。
【0015】
ヨークホルダ14は、片側端面に鍔141を有する略短円筒状に形成され、鍔141が形成されている側の面に対して逆の面に、ハンドルグリップ100の係合突起102に係合する円弧状の係合溝142(図1参照)を有する。ヨークホルダ14は、係合突起102と係合溝142とが係合することにより、ハンドルグリップ100の回動に伴って回動することとなる。これによって、アクセル部材11は、アクセル操作によって回動する。また、ヨークホルダ14は、図4に示すように、円弧状の係合溝142が形成されている側の逆側であり、その中心軸方向に間隔をおいて重なる位置に2枚の円弧状であり板状のヨーク144を備える。ヨーク144は、磁性体からなり、2枚のヨーク144の両端部間には図示せぬ永久磁石が2個設けられている。つまり、2枚のヨーク144と永久磁石とによって閉磁気回路が形成されている。また、鍔141が形成されている側の端面に、略台形の形状で突出する2個の突出部148(図4参照)が形成されている。ヨークホルダ14は、突出部148のそれぞれが後述する支持部材12の回動ストッパ128に係合(側面同士が当接する)ことにより、回動が制限される(つまり、アクセル部材11が回動する角度が制限される)。また、2個の突出部148の間に、棒状の係止ピン(第2取付部)140がヨークホルダ14の端面から突出して形成されている。係止ピン140には、後述するトーションばね34の自由端(他端)342が取り付けられる。
【0016】
センサ50は、後述する下ハウジング202の内面に固定され、ヨークホルダ14の2枚のヨーク144の間に配置される。センサ50が2枚のヨーク144の間に生じる漏洩磁界を検出することで、ヨークホルダ14の回動位置を検出する。
【0017】
摩擦部材16は、片側端面に鍔161を有する略短円筒状に形成され、短円筒の内周面から突出し90度毎に配置された4つのガイド突起164を有する。ガイド突起164が後述する支持部材12に設けられたガイド溝124に案内される。摩擦部材16の鍔161(摩擦部材16の端面)は、ヨークホルダ14の鍔141(ヨークホルダ14の端面)に面接触する。また、摩擦部材16は、後述する圧縮ばね36に付勢され鍔141に鍔161が当接した状態で垂直な荷重(アクセル部材11の回動軸方向の荷重)を付加し、ヨークホルダ14の回動に対して所定の摩擦力を付加することとなる。このようにして、圧縮ばね36は、摩擦部材16を付勢することによって、摩擦部材16をヨークホルダ14に押しつけ、アクセル部材11が回動するときに、抵抗力を生じさせる。この抵抗力によって、アクセル操作を行う運転者にアクセルの操作感を与える。また、摩擦部材16の内面は、ヨークホルダ14の突出部148及び後述する支持部材12の回動ストッパ128が挿入可能な程度の大きさに形成されている。
【0018】
支持部材12は、後述する圧縮ばね36及びトーションばね34を固定・支持する機能を有する。支持部材12は、片側端面に鍔121を有する略短円筒状に形成されている。支持部材12は、鍔121の周面から突出する固定爪120及び切り欠かれた切り欠き122が形成されている。固定爪120及び切り欠き122が、それぞれ、上ハウジング200内面及び下ハウジング202内面の図示しない位置に適宜形成された凹部及び凸部に係合することによって、支持部材12は、上ハウジング200及び下ハウジング202に固定される。支持部材12は、短円筒の外周面に90度毎に配置された4つのガイド溝124を有する。ガイド溝124がガイド突起164と係合することで、摩擦部材16の中心軸と支持部材12の中心軸とが同軸上となるように、摩擦部材16と支持部材12とが組み合わせられる。また、この係合によって、摩擦部材16の前記の中心軸を中心とした回動が防止される。
【0019】
更に、支持部材12の内周部には段差が形成されている。その段差のヨークホルダ14に対向する面に、アクセル部材11の回動軸を中心とする同心円上に配置され所定の間隔で形成された5つの固定穴(第1取付部)126(126a〜126e)を有する。固定穴126は、後述するトーションばね34の固定端(一端)340を固定するためのものである。トーションばね34は、固定穴126に固定された状態で段差の部位(段差内の空間)に収容される。
【0020】
また、支持部材12の短円筒状の部位における鍔121と逆側の端面127には、端面127から突出する円弧状の回動ストッパ128が形成されている。回動ストッパ128は、ヨークホルダ14の突出部148にその側面が当接することによって、ヨークホルダ14の回動を制限する。
【0021】
圧縮ばね36は、所定のばね径を有し、摩擦部材16の鍔161と、支持部材12の鍔121との間に挟持される。圧縮ばね36は、巻数及びばね径に応じた所定の付勢力で摩擦部材16を付勢する。
【0022】
トーションばね34は、アクセル部材11が回動した状態から初期状態(アクセル操作がされていない状態)に戻す機能を有し、巻線の中心軸と同一方向であり外方に突出する固定端340と、巻線の外方に折り返すようにU字状に形成された自由端342とを有する。トーションばね34が支持部材12に取り付けられた状態において、固定端340は、支持部材12の複数の固定穴126のいずれか一つに嵌合し、自由端342は、支持部材12の端面127の上方に位置する。更に、ヨークホルダ14が取り付けられた状態において、自由端342は、ヨークホルダ14の係止ピン140に係止し、ヨークホルダ14が回動すると、回動量に比例した付勢力でヨークホルダ14を付勢する。
【0023】
上ハウジング200と下ハウジング202とは、ハンドルグリップ100の端部、ヨークホルダ14、摩擦部材16、支持部材12、圧縮ばね36、トーションばね34及びセンサ50が組み付けられた状態で、ねじで互いに固定されて、これらを収納する。なお、上ハウジング200と下ハウジング202とは、上記部品を収納している状態において、ハンドルグリップ100及びヨークホルダ14を回動可能に支持し、支持部材12を固定している。また、この状態において、圧縮ばね36は圧縮した状態であり、摩擦部材16はヨークホルダ14に荷重を付加している。また、この状態において、トーションばね34は、ハンドルグリップ100を回動状態から初期状態に戻す方向に付勢している。
【0024】
次に、上記の構成を有するアクセル操作装置10の機能について説明する。アクセル操作装置10のアクセル操作における抵抗力は、摩擦部材16とヨークホルダ14との間に生じる摩擦力と、トーションばね34の巻線方向の弾性力とによって形成される。摩擦力は、支持部材12、ヨークホルダ14、摩擦部材16、圧縮ばね36及びトーションばね34が上ハウジング200及び下ハウジング202に収納された状態において、圧縮ばね36が摩擦部材16をハンドルグリップ100とともに回動するヨークホルダ14側に付勢することで生じる。また、トーションばね34の弾性力(付勢力)は、トーションばね34端部を支持部材12とヨークホルダ14とに固定する位置に応じて変化する。アクセル操作の抵抗力は、トーションばね34の固定位置を調整することで調整することができる。なお、トーションばねの弾性力は、アクセル操作を解除したときの、アクセル部材11を初期状態に戻す力(戻り力)にも関係する。
【0025】
上述のように、固定穴126は複数あるので、トーションばね34の固定端340をどの固定穴126に固定するかによって、トーションばね34の弾性力を調整することができる。ここで、トーションばね34の弾性力の調整する方法について説明する。
【0026】
アクセル操作装置10のアクセル操作の抵抗力を最小にするときは、図4に示すように、トーションばね34の固定端340を固定穴126aに固定させ、自由端342を係止ピン140に固定させる。このようにすると、ハンドルグリップ100が初期位置にある状態において、トーションばね34の自由端342と係止ピン140との係止によるトーションばね34の巻線方向の変位が最小となる。つまり、トーションばね34の変位を最小にすることで、アクセル操作の抵抗力及びアクセル操作解除時の戻り力を最小にすることができる。
【0027】
一方、アクセル操作の抵抗力を最大にするときは、トーションばね34の固定端340を固定穴126eに固定させ、自由端342を係止ピン140に固定させる。このようにすると、ハンドルグリップ100が初期位置にある状態において、トーションばね34の自由端342と係止ピン140との係止によるトーションばね34の巻線方向の変位が最大となる。つまり、トーションばね34の変位を最大にすることで、アクセル操作の抵抗力及びアクセル操作解除時の戻り力を最大にすることができる。
【0028】
上記のようにして、固定穴126aにトーションばね34の固定端340を固定した場合の付勢力は最小になり、固定穴126eにトーションばね34の固定端340を固定した場合の付勢力は最大になる。そして、固定穴126aと固定穴126eとの間にある固定穴126b乃至126dのいずれかに固定端340を固定するかによって、適宜付勢力が変化することになる。固定穴126a側での固定で付勢力が弱くなり、固定穴126e側での固定では付勢力が大きくなる。固定穴126a〜126eのうちのどの位置の固定穴と固定するかを決めて固定することによって、つまり、固定位置を変更することで、所望のアクセル操作の抵抗力を得ることができる。
【0029】
(変形例)
第1の実施形態に係るアクセル装置10において、支持部材12が複数の固定穴126を有し、ヨークホルダ14が係止ピン140を備えるものとして説明したが、本発明はこの構成に限定されない。次に、図5を参照して、変形例に係る支持部材62とヨークホルダ64とを備えるアクセル装置を説明する。なお、変形例に係るアクセル装置は、特に説明しない限り、第1の実施形態に係るアクセル装置10の構成と同一の構成を有するものとする。
【0030】
変形例に係るヨークホルダ64は、片側端面に鍔141を有する略短円筒状に形成されている。鍔141が形成されている側の端面に、略台形の断面を有して突出する2個の突出部148が形成されている。2個の突出部148の間に、アクセル部材11の回動軸を中心とする同心円上に配置され所定の間隔で形成された3つの固定穴(第2取付部)146(146a〜146c)を有する。固定穴146は、トーションばね34の固定端340を固定するためのものである。
【0031】
変形例に係る支持部材62は、片側端面に鍔121を有する略短円筒状に形成されている。更に、支持部材62の内周部には段差が形成されている。支持部材62は、その段差のヨークホルダ64に対向する面に、アクセル部材11の回動軸を中心とする同心円上に配置され所定の間隔で突出して形成された2つの係止ピン(第1取付部)620(620a,620b)を有する。係止ピン620は、トーションばね34の自由端342を固定する機能を有する。また、支持部材62の短円状の部位の鍔121と逆側の端面127には、端面127から突出し、2個の円弧状の回動ストッパ628が係止ピン620を挟んで形成されている。回動ストッパ628は、ヨークホルダ64の突出部148にその側面が当接することによって、ヨークホルダ64の回動を制限する。
【0032】
アクセル操作の抵抗力を最小にするときは、トーションばね34の固定端340を固定穴146aに固定させ、自由端342を係止ピン620aに固定させる。このようにすると、ハンドルグリップ100が初期位置にある状態において、トーションばね34の自由端342と係止ピン620aとの係止によるトーションばね34の巻線方向の変位が最小となる。つまり、トーションばね34の変位を最小にすることで、アクセル操作の抵抗力及びアクセル操作解除時の戻り力を最小にすることができる。
【0033】
一方、アクセル操作の抵抗力を最大にするときは、図5に示すように、トーションばね34の固定端340を固定穴146cに固定させ、自由端342を係止ピン620bに固定させる。このようすると、ハンドルグリップ100が初期位置にある状態において、トーションばね34の自由端342と係止ピン620bとの係止によるトーションばね34の巻線方向の変位が最大となる。つまり、トーションばね34の変位を最大にすることで、アクセル操作の抵抗力及びアクセル操作解除時の戻り力を最大にすることができる。
【0034】
また、トーションばね34の固定端340と固定穴146a〜146cとの固定、及び自由端342と係止ピン620a,620bとの固定を変更することで、所望のアクセル操作の抵抗力及びアクセル操作解除時の戻り力を得ることができる。
【0035】
上記のように、本実施形態及び変形例に係るアクセル操作装置は、固定穴と係止ピンとのうちの少なくとも一方を複数設け、複数設けられた固定穴等のいずれか1つにトーションばねの一端又は他端を取り付けるので、取り付け位置によってトーションばねの弾性力(第1付勢部材の付勢力)を調整可能な構成となっている。このため、アクセル操作の抵抗力及びアクセル操作解除時の戻り力を、部品(付勢力を生じさせるのに関係する部品)を変更することなく、所望の大きさに変更可能である。つまり、それぞれ異なるアクセルの抵抗力及び戻り力を要する複数種の車両に、このアクセル操作装置を用いることにより、アクセル操作装置における所定の部品を共通化できる。したがって、アクセル操作の抵抗力及びアクセル操作解除時の戻り力が変更されるたびに、多様な種類の部品を用意する必要が無い。このため、無駄な在庫を削減することができ、経済的に良好である。
【0036】
また、複数の固定穴及び/又は係止ピンを、アクセル部材の回動軸を中心とする円周上に配置することで、固定穴及び/又は係止ピンに固定されるトーションばねを安定的してアクセル操作装置に収納させることができるとともに、トーションばねの付勢力の調整が容易にできる。
【0037】
また、トーションばねの両端の一端を固定穴に固定した状態で、他端を係止ピンに固定するようにすることで、トーションばねのアクセル操作装置への取付を容易に行うことができる。
【0038】
また、アクセル操作装置が圧縮ばねを備えるようにすることで、所望のアクセル操作の抵抗力を生じさせることができる。また、ばね径の長い又は巻数の多い圧縮ばねを用いるようにして、アクセル操作の抵抗力を大きくすることができ、逆にばね径の短い又は巻数の少ない圧縮ばねを用いるようにして、アクセル操作の抵抗力を小さくすることもできる。
【0039】
また、トーションばねと圧縮ばねとが径方向に重なるように配置されているので、アクセル操作装置のサイズを小さくすることができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0040】
また、アクセルの回動位置の検出用に設けられたヨークを支持するヨークホルダに固定穴及び/又は係止ピンを設けるようにすることで、アクセルの戻り力及び抵抗力を調整するための部品を別途設ける必要がなくなる。
【0041】
本発明は、上記実施形態及び変形例(また、図面に記載された構成を含む。)に限られない。上記の構成に適宜変更を加えることは当然可能である。
【0042】
上記アクセル操作装置において、アクセル部材と固定部材との間に固定されたトーションばねを備えるものとして説明したが、二つの部材が相対的に回動する装置であればどのような装置でも本発明を適用することができる。アクセル部材とは、例えば、アクセル操作に伴って回動する1以上の部材からなるものであり、固定部材とは、例えば、アクセル部材が回動しても動かない1以上の部材からなる。つまり、本実施形態に係るアクセル操作装置のように、アクセル部材がハンドルグリップとヨークホルダとから構成されること、及び固定部材がセンサと摩擦部材と圧縮ばねと支持部材と上ハウジング及び下ハウジングとから構成されることに限定しない。
【0043】
なお、上記では、アクセル部材11が回動した状態から回動する前の状態となるように付勢する第1付勢部材として、トーションばねを採用した場合について説明したが、この付勢部材は、他の部材によって構成されてもよい。
【0044】
また、一方の部材を付勢することによって、一方の部材を他方の部材に押しつけ、アクセル部材が回動するときに、抵抗力を生じさせる第2付勢部材として、上記では圧縮ばねを採用した場合を説明したが、第2付勢部材は他の部材によって構成されてもよい。特に、上記では、第2付勢部材は、固定部材における部材を付勢することによって、アクセル部材における部材に、固定部材における部材を押しつけているが、第2付勢部材は、アクセル部材における部材を付勢することによって、固定部材における部材に、アクセル部材における部材を押しつけてもよい。
【0045】
その他、第1付勢部材の一端又は他端が取り付けられる第1取付部又は第2取付部として、上記では、上記固定穴又は係止ピンのいずれから構成された場合を説明したが、第1取付部又は第2取付部は、それぞれ、上記固定穴又は係止ピンのいずれか、又はその他のものによって構成されてもよい。また、第1取付部又は第2取付部のいずれか少なくとも一方が複数形成されればよい。また、第1取付部又は第2取付部の設けられる場所は、上記に限らない。特に、第1取付部は、上ハウジングと下ハウジングとから成るハウジング部材に設けられてもよい。更に、複数設けられる場合の第1取付部又は第2取付部の数は、第1の実施形態及び変形例に係るアクセル操作装置の例に限らず、任意である。なお、固定穴にトーションばねの端部を固定する場合は、その端部を固定穴に差し込む側の端部が巻線の中心軸と同一方向であり外方に突出するようにし、係止ピンにトーションばねの端部を固定する場合は、その端部を巻線の外方に折り返すようにU字状に形成されたものにするとよい。
【符号の説明】
【0046】
10 アクセル操作装置
11 アクセル部材(第2部材)
100 ハンドルグリップ
12,62 支持部材
126 固定穴(第1取付部)
128,628 回動ストッパ
13 固定部材(第1部材)
14,64 ヨークホルダ
140 係止ピン(第2取付部)
144 ヨーク
146 固定穴(第2取付部)
16 摩擦部材(当接部材)
200 上ハウジング
202 下ハウジング
34 トーションばね(第1付勢部材)
340 固定端(一端)
342 自由端(他端)
36 圧縮ばね(第2付勢部材)
50 センサ
620 係止ピン(第1取付部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1取付部を備える第1部材と、
第2取付部を備え、アクセル操作によって前記第1部材に対して回動する第2部材と、
一端が前記第1取付部に取り付けられ、他端が前記第2取付部に取り付けられ、前記第2部材を、回動した状態から回動する前の状態となるように付勢する第1付勢部材と、を備え、
前記第1取付部と前記第2取付部とのうちの少なくとも一方は、前記第1付勢部材の付勢力を取り付け位置によって変化させるように、異なる位置に複数設けられている、
ことを特徴とするアクセル操作装置。
【請求項2】
前記第1取付部は、複数設けられ、
複数の前記第1取付部は、前記第2部材の回動軸を中心とする円周上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアクセル操作装置。
【請求項3】
前記第2取付部は、複数設けられ、
複数の前記第2取付部は、前記第2部材の回動軸を中心とする円周上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアクセル操作装置。
【請求項4】
前記第1取付部と前記第2取付部とのうちの少なくとも一方は突出したピン又は穴である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアクセル操作装置。
【請求項5】
一方の部材を付勢することによって、前記一方の部材を他方の部材に押しつけ、前記第2部材が回動するときに、抵抗力を生じさせる第2付勢部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアクセル操作装置。
【請求項6】
前記第1付勢部材は、トーションばねであり、
前記第2付勢部材は、コイルばねであり、
前記トーションばねと前記コイルばねとは、前記トーションばねの径方向に重なるように配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のアクセル操作装置。
【請求項7】
前記第1部材は、ハウジングに固定され前記トーションばねを固定支持する支持部材を備え、
前記第2部材は、ヨークを支持し前記支持部材に対して回動するヨークホルダを備え、
前記支持部材には、前記第1取付部が形成され、前記ヨークホルダには、前記第2取付部が形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のアクセル操作装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−232842(P2011−232842A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100521(P2010−100521)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】