説明

アクティブマトリクス基板およびその駆動回路

【課題】アクティブマトリクス基板において各信号線に存在する抵抗や容量の分布に起因して画素電位に生じるレベルシフトを当該基板内で略均一とすることを目的とする。
【解決手段】走査信号線に平行に共通電極線が形成されるアクティブマトリクス基板であるTFT基板において走査信号の立ち下がりの際に生じる画素電位のレベルシフトの不均一性を解消すべく、走査信号線駆動回路から電気的に遠ざかるにしたがって、また、共通電極線駆動回路から電気的に遠ざかるにしたがって、走査信号線−画素電極間容量Cgdが大きくなるように、各画素回路を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクス型の液晶表示装置やEL(Electroluminescenece:エレクトロルミネッセンス)表示装置等に用いられるアクティブマトリクス基板およびその駆動回路に関するものであり、更に詳しくは、複数のデータ信号線と複数の走査信号線が交差するように格子状に配置され、それらの交差点にそれぞれ対応するように、スイッチ素子としての薄膜トランジスタ等の電界効果トランジスタと電圧保持用のキャパシタとを含む画素回路がマトリクス状に形成されたアクティブマトリクス基板およびその駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス基板は、液晶表示装置およびEL表示装置等のアクティブマトリクス型表示装置や、アクティブマトリクス型の各種センサ等において幅広く用いられている。特に、電界効果トランジスタの一種である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下「TFT」と略記する。)等のスイッチ素子が表示画素毎に設けられた液晶表示装置は、表示画素数が増大しても隣接表示画素間でのクロストークのない優れた表示画像を得ることができるため、特に注目を集めている。
【0003】
このようなアクティブマトリクス型の液晶表示装置は、液晶表示パネルとその駆動回路とから主要部が構成されている。そして液晶表示パネルは、液晶層を挟持する1対の電極基板からなり、各電極基板の外表面には偏光板が貼り付けられている。
【0004】
上記1対の電極基板の一方はTFT基板と呼ばれるアクティブマトリクス基板であり、このTFT基板では、ガラス等の絶縁性基板上に、複数のデータ信号線と複数の走査信号線が互いに交差するように格子状に形成され、さらに、複数の走査信号線と平行に延在するように複数の共通電極線が形成されている。また、複数のデータ信号線と走査信号線との交差点にそれぞれ対応して複数の画素回路がマトリクス状に形成されており、各画素回路は、表示すべき画像を構成する画素に対応する画素電極と、その画素電極と後述の対向電極等とによって形成される画素容量と、スイッチ素子としてのTFTとを含んでいる。上記1対の電極基板の他方は対向基板と呼ばれ、ガラス等の透明な絶縁性基板上に、全面にわたって対向電極、配向膜が順次積層されている。
【0005】
アクティブマトリクス型液晶表示装置は、上記構成の液晶表示パネルの駆動回路として、上記複数の走査信号線に接続される走査信号線駆動回路と、上記複数のデータ信号線に接続されるデータ信号線駆動回路と、上記複数の共通電極線に接続される共通電極線駆動回路と、上記対向電極に接続される対向電極駆動回路とを備えている。
【0006】
データ信号線駆動回路は、外部の信号源等から受け取った映像信号に基づき、液晶表示パネルに表示すべき画像の各水平走査線における画素値に相当するアナログ電圧として複数個のデータ信号を順次生成し、これらのデータ信号を液晶表示パネルにおける複数のデータ信号線にそれぞれ印加する。走査信号線駆動回路は、液晶表示パネルに画像を表示するための各フレーム期間(各垂直走査期間)において、液晶表示パネルにおける複数の走査信号線を1水平走査期間ずつ順次に選択し、選択した走査信号線にアクティブな走査信号(画素回路に含まれるTFTをオンさせる電圧)を印加する。共通電極線駆動回路および対向電極駆動回路は、液晶表示パネルの液晶層に印加すべき電圧の基準となる電位を与えるための信号を上記の複数の共通電極線および対向電極にそれぞれ印加する。
【0007】
上記のように、複数のデータ信号線には複数のデータ信号がそれぞれ印加され、複数の走査信号線には複数の走査信号がそれぞれ印加されることにより、液晶表示パネルにおける各画素回路における画素電極には、対向電極の電位を基準として、表示すべき画像の対応画素の値に応じた電圧がTFTを介して与えられ、各画素回路内の画素容量に保持される。これにより、液晶層には、各画素電極と対向電極との電位差に相当する電圧が印加される。液晶表示パネルは、この印加電圧によって液晶層の光透過率を制御することにより、外部の信号源等から受け取った映像信号の表す画像を表示する。
【0008】
図19は、上記のような液晶表示装置に使用されるアクティブマトリクス基板としてのTFT基板における1つの画素回路の構成を示す回路図である。各画素回路P(i,j)は、上記複数のデータ信号線と上記複数の走査信号線との交差点のいずれか1つに対応して設けられ、対応交差点を通過するデータ信号線S(i)にソース電極が接続されると共に対応交差点を通過する走査信号線G(j)にゲート電極が接続されたTFT102と、そのTFT102のドレイン電極に接続された画素電極103とを含んでおり、画素電極103と対向電極とによって液晶容量Clcが形成され、画素電極103と走査信号線G(j)に沿って設けられた共通電極線CS(j)とによって共通電極容量(「補助容量」とも呼ばれる)Ccsが形成され、画素電極103と走査信号線G(j)とによって寄生容量Cgdが形成されている。
【0009】
以下、図4−(A)から4−(D)、図9および図19を参照しつつ、液晶表示装置における上記TFT基板についての従来の駆動方法を説明する。なお、液晶は、焼き付け残像や表示劣化を防ぐために交流駆動を必要とすることは広く知られており、以下に説明する従来の駆動方法では、この交流駆動の1種であるフレーム反転駆動が採用されているものとする。
【0010】
図4−(A)から4−(D)は、連続する2つのフレーム期間である第1フレーム期間TF1および第2フレーム期間TF2におけるTFT基板内の各種の電圧信号Vg(j)、Vs(i)、Vcs、Vcom、および画素電極の電位(以下「画素電位」ともいう)Vd(i,j)を示す電圧波形図である。図4−(A)に示すように、第1フレーム期間TF1で1つの画素回路P(i,j)におけるTFT102のゲート電極g(i,j)に走査信号線駆動回路から走査信号としての電圧(以下「走査電圧」という)Vghが印加されると、このTFT102はオン状態(導通状態)となり、データ信号線駆動回路からデータ信号線S(i)に印加されているデータ信号としての電圧(以下「データ信号電圧」という)VspがTFT102のソース電極およびドレイン電極を介して画素電極103に与えられる。これにより、このデータ信号電圧Vspは、対向電極電位Vcom(=共通電極電位Vcs)に対し正極性となる電圧として、画素電極103と他の電極とによって形成される画素容量Cpixに書き込まれ、画素電極103は、次のフレーム期間である第2フレーム期間TF2で走査電圧Vghが印加されるまで、図4−(D)に示すように画素電位Vdpを保持する。なお、この画素電位Vdpを保持するための画素容量Cpixは、図19に示すように、液晶容量Clcや共通電極容量Ccs、寄生容量Cgdからなる。ところで、対向電極は対向電極駆動回路によって所定の対向電極電位Vcomに設定されている。したがって、画素電極と対向電極との間に挟持される液晶は画素電位Vdpと対向電極電位Vcomとの電位差に応じて応答し、これにより画像表示が行われる。
【0011】
同様に図4−(A)に示すように、第2フレーム期間TF2で画素回路P(i,j)のTFT102のゲート電極g(i,j)に走査信号線駆動回路から走査電圧Vghが印加されると、このTFT102はオン状態となり、データ信号線駆動回路からデータ信号線S(i)に印加されているデータ信号電圧VsnがTFT102のソース電極およびドレイン電極を介して画素電極103に与えられる。これにより、このデータ信号電圧Vsnは、対向電極電位Vcom(=Vcs)に対し負極性となる電圧として、画素容量Cpixに書き込まれ、画素電極103は、次のフレーム期間で走査電圧Vghが印加されるまで画素電位Vdnを保持する。以上により、画素電極と対向電極との間に挟持される液晶は画素電位Vdnと対向電極電位Vcomとの電位差に応じて応答し、画像表示が行われ、且つ、液晶に対する交流駆動が実現される。
【0012】
また、図19に示したように、各画素回路P(i,j)における走査信号線G(j)と画素電極103との間には、構成上、寄生容量Cgdが必然的に形成されるので、図4−(D)に示すように、アクティブな走査信号の電圧である走査電圧Vghから非アクティブな走査信号の電圧である走査電圧Vglへと立ち下がる時(図における時刻ta)に、画素電位Vdには寄生容量Cgdに起因するレベルシフトΔVdが生じる。なお、図4−(D)では、第1フレーム期間(液晶層に正電圧が印加される期間)TF1での画素回路P(i,j)における画素電位Vd(i,j)のレベルシフト(より正確には時刻taから十分に時間が経過した後の時刻tbでのレベルシフト)を記号“ΔVdp(i,j)”で示し、第2フレーム期間(液晶層に負電圧が印加される期間)TF2での画素回路P(i,j)における画素電位Vd(i,j)のレベルシフトを記号“ΔVdn(i,j)”で示しているが、画素回路やフレーム期間を特に明示する必要のないときには、これらのレベルシフトを上記のように総称的に記号“ΔVd”で示すものとする(以下においても同様)。
【0013】
上記のようにTFT102に必然的に形成される寄生容量Cgdに起因して画素電位Vdに生じるレベルシフト△Vdは、
△Vd=Vgpp・Cgd/Cpix
Vgpp=Vgl−Vgh
Cpix=C1c+Ccs+Cgd
となり、表示画像にフリッカや表示劣化等を生じさせるという問題を引き起こす。このため、このようなレベルシフトΔVdの発生は、一層の高精細、高品位を指向する液晶表示装置にとっては好ましくない。
【0014】
これに対し、このようなレベルシフトΔVdを解消または低減するための種々の方法(手段)が従来より提案されている。例えば、寄生容量Cgdに起因するレベルシフトΔVdを予め低減させるように対向電極の電位にバイアスを与えるなどの方法が考えられている。また、日本の特開平11−281957号公報(これは米国特許第6,359,607号に対応し、その内容は引用することによってこの中に含まれる)には、走査信号の立下りを制御することにより画素電位のレベルシフトのばらつきを抑制する方法が開示されている。さらに、日本の特開2001−33758号公報には、共通電極線に複数の可変電源を接続することにより画素電位(画素電極の電位)のレベルシフトのばらつきを抑制する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】日本特開2002−202493号公報
【特許文献2】日本特開2001−33758号公報
【特許文献3】日本特開平11−281957号公報
【特許文献4】日本特開平11−84428号公報
【特許文献5】日本特開平10−39328号公報
【特許文献6】日本特開平5−232512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、液晶表示装置に用いられるアクティブマトリクス基板としての上記TFT基板の作製において、ガラス等の透明な絶縁性基板上に信号伝搬遅延の無い理想的な信号線を形成するのは困難であり、或る程度の信号伝搬遅延を生じることは回避できない。
【0017】
例えばTFT基板上に形成される走査信号線は、配線抵抗および配線容量等を有する分布定数線路として扱われる必要があり、信号伝搬遅延特性を持つことになる。したがって、走査信号線における走査信号Vg(j)の電圧波形は、走査信号線駆動回路により走査信号Vg(j)が印加される位置(すなわち走査信号Vg(j)の入力端)から離れるにしたがってなまっていく。これにより、寄生容量Cgdに起因して画素電位Vdに生じる上記レベルシフト△Vdの絶対値|ΔVd|は、走査信号線における走査信号Vg(j)の入力端から離れるにしたがって小さくなっていく。
【0018】
上記のようにレベルシフトΔVdは、画素回路の位置によって値が異なり、画面内(TFT基板内)で不均一となる。したがって、画素電位VdのレベルシフトΔVdを予め低減させるように対向電極の電位Vcomにバイアスを与えるという方法を採用した場合、対向電極に一様なバイアスを印加するだけでは、レベルシフトΔVdに起因して表示画像に生じるフリッカや表示劣化等を十分に解消することはできない。すなわち、画面の大型化や高精細化によってレベルシフトΔVdの画面内での不均一性を無視できなくなると、上記方法ではその不均一性を解消できず、各画素に対応する液晶を好適に交流駆動することができないので、表示画像におけるフリッカの発生や、液晶への直流成分の印加による焼き付け残像などの不具合を招来することになる。
【0019】
これに対し特許文献1(日本の特開2002−202493号公報)には、画素電極に対する対向電極の給電部を、走査信号線の入力端側と終端側との少なくとも2箇所に設け、その入力端側から出力端側に向かって対向電極の電位が高くなるように上記少なくとも2箇所の給電部に対し対向電圧を供給するようにした液晶表示装置が開示されている。しかし、このような構成では、対向電極を駆動するための構成が複雑化するのみならず、対向電極の給電部間で電流が流れることによって消費電力が増大する。
【0020】
また、特許文献2(日本の特開2001−33758号公報)に開示された方法、すなわち共通電極線に複数の可変電源を接続することにより画素電位のレベルシフトのばらつきを抑制するという方法を採用した場合には、画素電極に対向する電極の電位の変化によってレベルシフトを相対的に相殺することができる。しかし、共通電極を駆動するために複数の可変電源が必要となる。
【0021】
さらに、特許文献3(日本の特開平11−281957号公報)に開示された方法、すなわち走査信号の立下りを制御することにより画素電位のレベルシフトのばらつきを抑制する方法を採用した場合には、特別な駆動回路を必要とし、また、画素容量の充電のための時間を削減する必要がある。
【0022】
また、特許文献4(日本の特開平11−84428号公報(これは米国特許第6,249,325号および第6,504,585号に対応し、これらの内容は引用することによってこの中に含まれる))には、画素電位のレベルシフトを均一化すべく、液晶表示パネルに形成される薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極とソース電極との間の容量が、ゲート信号線の入力端側で小さく終端側で大きくなるように構成された液晶表示装置が開示されている。しかし、ゲート信号の立ち下がりから立ち下がり完了までにTFTを流れる電流による画素容量等の電荷量の変化が考慮されていないことから(詳細は後述)、上記開示内容に基づく構成のみでは、画素電位のレベルシフトの不均一性を十分に解消することはできない。
【0023】
ところで後述のように、本願発明者は、画素電位のレベルシフトの不均一性を解消するには、走査信号線と共通電極線との間の寄生容量の影響や、共通電極線の信号伝搬遅延特性の影響をも考慮すべきであることを発見した。しかし、特許文献4(日本の特開平11−84428号公報)で開示された技術を含む従来技術では、これらの影響は考慮されていないので、このことによっても画素電位のレベルシフトの不均一性を十分に解消することができない。また、特許文献5(日本の特開平10−39328号公報(これは米国特許第6,028,650号に対応し、その内容は引用することによってこの中に含まれる))には、複数の画素電極のそれぞれに付加的に設けられる補助容量は各画素電極に接続されるゲート信号線の入力端から離れるに従ってその容量値が小さくなるように構成した液晶表示装置が開示されているが、このような構成によっても、同様の理由で、画素電位のレベルシフトの不均一性を十分に解消することができない。
【0024】
そこで本発明の第1の目的は、各信号線に存在する抵抗や容量の分布に起因して画素電位に生じるレベルシフトが基板内で略均一となるアクティブマトリクス基板を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、各信号線に存在する抵抗や容量の分布に起因して画素電位に生じるレベルシフトが基板内で略均一となるようにアクティブマトリクス基板を駆動する駆動回路を提供することにある。さらに、本発明の第3の目的は、画素電位に生じるレベルシフトをアクティブマトリクス基板内で略均一にすることにより表示不均一が相殺されて高品位な表示画像が得られる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の局面は、アクティブマトリクス基板であって、
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記共通電極線に与えるべき電位が前記共通電極線に印加されるべき位置から電気的に遠ざかるにしたがって前記電界効果トランジスタにおけるゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgdが大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0026】
本発明の第2の局面は、アクティブマトリクス基板であって、
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、
当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記複数の画素回路を構成する第1、第2および第3の画素回路であって、第1の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の一端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるとともに、第3の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の他端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるように配置された第1、第2および第3の画素回路は、
第2の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgdが第1および第3の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgdのいずれよりも大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明の第3の局面は、アクティブマトリクス基板であって、
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記共通電極線に与えるべき電位が前記共通電極線に印加されるべき位置から電気的に遠ざかるにしたがって、対応する前記交差点を通過する走査信号線を構成する電極と前記電圧保持用電極または前記電界効果トランジスタのドレイン電極との重なり面積が大きくなるように、形成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明の第4の局面は、アクティブマトリクス基板であって、
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、
当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記複数の画素回路を構成する第1、第2および第3の画素回路であって、第1の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の一端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるとともに、第3の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の他端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるように配置された第1、第2および第3の画素回路は、
第2の画素回路における、対応する前記交差点を通過する走査信号線を構成する電極と前記電圧保持用電極または前記電界効果トランジスタのドレイン電極との重なり面積が、
第1の画素回路における、対応する前記交差点を通過する走査信号線を構成する電極と前記電圧保持用電極または前記電界効果トランジスタのドレイン電極との重なり面積よりも大きく、かつ、
第3の画素回路における対応する、前記交差点を通過する走査信号線を構成する電極と前記電圧保持用電極または前記電界効果トランジスタのドレイン電極との重なり面積よりも大きくなるように、形成されていることを特徴とする。
【0029】
本発明の第5の局面は、アクティブマトリクス基板であって、
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記共通電極線に与えるべき電位が前記共通電極線に印加されるべき位置から電気的に遠ざかるにしたがって前記電界効果トランジスタにおけるチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wが大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0030】
本発明の第6の局面は、アクティブマトリクス基板であって、
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、
当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続された前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記複数の画素回路を構成する第1、第2および第3の画素回路であって、第1の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の一端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるとともに、第3の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の他端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるように配置された第1、第2および第3の画素回路は、
第2の画素回路における前記電界効果トランジスタのチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wが第1および第3の画素回路における前記電界効果トランジスタのチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wのいずれよりも大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0031】
本発明の第7の局面は、アクティブマトリクス基板であって、
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記共通電極線に与えるべき電位が前記共通電極線に印加されるべき位置から電気的に遠ざかるにしたがって、前記電界効果トランジスタのドレイン電極または前記電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量が小さくなるように、形成されていることを特徴とする。
【0032】
本発明の第8の局面は、アクティブマトリクス基板であって、
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、
当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記複数の画素回路を構成する第1、第2および第3の画素回路であって、第1の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の一端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるとともに、第3の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の他端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるように配置された第1、第2および第3の画素回路は、
第2の画素回路における前記電界効果トランジスタのドレイン電極または前記電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち当該第2の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量が、第1の画素回路における前記電界効果トランジスタのドレイン電極または前記電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち当該第1の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量よりも小さく、かつ、第3の画素回路における前記電界効果トランジスタのドレイン電極または前記電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち当該第3の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量よりも小さくなるように、形成されていることを特徴とする。
【0033】
本発明の第9の局面は、本発明の第1から第8の局面のいずれかの局面に係るアクティブマトリクス基板の駆動回路であって、
前記複数の走査信号線に所定の複数の走査信号をそれぞれ印加することにより前記複数の走査信号線を選択的に駆動する走査信号線駆動回路を含み、
前記走査信号線駆動回路は、前記電界効果トランジスタを導通状態とする所定のオン電圧から前記電界効果トランジスタを非導通状態とする所定のオフ電圧へ前記複数の走査信号が遷移するときの電位変化の速度を制御することを特徴とする。
【0034】
本発明の第10の局面は、本発明の第9の局面において、
前記走査信号線駆動回路は、前記走査信号線の信号遅延伝搬特性に基づいて、前記走査信号線上の位置に無関係に略同じ速度の前記電位変化が生じるように、前記走査信号線駆動回路から出力すべき走査信号の電位変化の速度を制御することを特徴とする。
【0035】
本発明の第11の局面は、表示装置であって、
本発明の第1から第8の局面のいずれかの局面に係るアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板を駆動するための駆動回路とを備えたことを特徴とする。
【0036】
本発明の第12の局面は、本発明の第11の局面において、
前記駆動回路は、前記複数の走査信号線に所定の複数の走査信号をそれぞれ印加することにより前記複数の走査信号線を選択的に駆動する走査信号線駆動回路を含み、
前記走査信号線駆動回路は、前記電界効果トランジスタを導通状態とする所定のオン電圧から前記電界効果トランジスタを非導通状態とする所定のオフ電圧へ前記複数の走査信号が遷移するときの電位変化の速度を制御することを特徴とする。
【0037】
本発明の第13の局面は、本発明の第12の局面において、
前記走査信号線駆動回路は、前記走査信号線の信号遅延伝搬特性に基づいて、前記走査信号線上の位置に無関係に略同じ速度の前記電位変化が生じるように、前記走査信号線駆動回路から出力すべき走査信号の電位変化の速度を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明の第1または第3の局面のいずれによっても、共通電極線の入力端(共通電極電位の印加位置)から電気的に離れるにしたがって静電容量Cgdが大きくなるように各画素回路が形成されることで、走査信号線と共通電極線との間の寄生容量や共通電極線の信号遅延伝搬特性による電圧保持用電極への移動電荷量の相違により生じる画素電位レベルシフトの不均一性が低減され、レベルシフトの分布が一様なものとなる。
【0039】
本発明の第2または第4発明のいずれによっても、共通電極線が形成されたアクティブマトリクス基板に対して当該共通電極線の両端から共通電極電位(共通電極信号)が印加される場合において、共通電極線の入力端(共通電極電位の印加位置)から電気的に離れるにしたがって静電容量Cgdが大きくなるように各画素回路が形成されることで、走査信号線と共通電極線との間の寄生容量や共通電極線の信号遅延伝搬特性による電圧保持用電極への移動電荷量の相違により生じる画素電位レベルシフトの不均一性が低減され、レベルシフトの分布が一様なものとなる。
【0040】
本発明の第5の局面によれば、共通電極線の入力端から電気的に離れるにしたがって電界効果トランジスタにおけるチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wが大きくなるように各画素回路が形成されることで、走査信号線と共通電極線との間の寄生容量や共通電極線の信号遅延伝搬特性による電圧保持用電極への移動電荷量の相違により生じる画素電位レベルシフトの不均一性が低減され、レベルシフトの分布が一様なものとなる。
【0041】
本発明の第6の局面によれば、共通電極線が形成されたアクティブマトリクス基板に対して当該共通電極線の両端から共通電極電位(共通電極信号)が印加される場合において、共通電極線の入力端から電気的に離れるにしたがって電界効果トランジスタにおけるチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wが大きくなるように各画素回路が形成されることで、走査信号線と共通電極線との間の寄生容量や共通電極線の信号遅延伝搬特性による電圧保持用電極への移動電荷量の相違により生じる画素電位レベルシフトの不均一性が低減され、レベルシフトの分布が一様なものとなる。
【0042】
本発明の第7の局面によれば、共通電極線の入力端から電気的に離れるにしたがって、電界効果トランジスタのドレイン電極または電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量が小さくなるように、各画素回路が形成されることで、走査信号線と共通電極線との間の寄生容量や共通電極線の信号遅延伝搬特性による電圧保持用電極への移動電荷量の相違により生じる画素電位レベルシフトの不均一性が低減され、レベルシフトの分布が一様なものとなる。
【0043】
本発明の第8の局面によれば、共通電極線が形成されたアクティブマトリクス基板に対して当該共通電極線の両端から共通電極電位(共通電極信号)が印加される場合において、共通電極線の入力端(共通電極電位の印加位置)から電気的に離れるにしたがって、電界効果トランジスタのドレイン電極または電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量が小さくなるように、各画素回路が形成されることで、走査信号線と共通電極線との間の寄生容量や共通電極線の信号遅延伝搬特性による電圧保持用電極への移動電荷量の相違により生じる画素電位レベルシフトの不均一性が低減され、レベルシフトの分布が一様なものとなる。
【0044】
本発明の第9または第10の局面によれば、本発明の第1から第8の局面と同様にして画素電位のレベルシフトの不均一性が低減されることに加えて、走査信号線駆動回路から出力される走査信号のオン電圧からオフ電圧への電位変化の速度が制御されることによって走査信号線上の各位置における上記電位変化の速度を略同一とすることができ、それによって走査信号線の信号遅延伝搬特性に起因する画素電位レベルシフトの不均一性を解消または低減することができる。
【0045】
本発明の第11の局面によれば、本発明の第1から第8の局面と同様にして画素電位のレベルシフトの不均一性が低減され、これにより、フリッカ等の抑制された高品位な画像を提供することができる。
【0046】
本発明の第12または第13の局面によれば、本発明の第9または第10の局面と同様にして画素電位のレベルシフトの不均一性が解消または低減され、これにより、フリッカ等の抑制された高品位な画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板であるTFT基板を用いた液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、上記第1の実施形態における1つの画素回路の構成を示す回路図である。
【図3】図3は、上記第1の実施形態における走査信号線駆動回路の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、従来のTFT基板ならびに本発明の第1および第2の実施形態に係るTFT基板を駆動するための信号および画素電位の概略的な電圧波形図である。
【図5】図5は、上記第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板において1つの走査信号線の信号伝搬遅延に着目した場合の走査信号の伝搬経路を示す等価回路図である。
【図6】図6は、上記第1の実施形態における要部の電圧波形および電流波形を示す波形図である。
【図7】図7−(A)は、上記第1の実施形態の構成を適用する前の画素電位の分布を示す図である。図7−(B)は、上記第1の実施形態における走査信号線−画素電極間容量の分布を示す図である。図7−(C)は、上記第1の実施形態の構成を適用した後の画素電位の分布を示す図である。
【図8】図8は、上記第1の実施形態における画素電位の分布についてのシミュレーション結果を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第2および第3の実施形態に係るアクティブマトリクス基板であるTFT基板を用いた液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、上記第2および第3の実施形態に係るアクティブマトリクス基板としてのTFT基板における1つの画素回路の構成を示す回路図である。
【図11】図11は、上記第2および第3の実施形態に係るアクティブマトリクス基板において1つの走査信号線および共通電極線の信号伝搬遅延に着目した場合の走査信号および共通電極信号の伝搬経路を示す等価回路図である。
【図12】図12は、上記第2の実施形態における要部の電圧波形および電流波形を示す波形図である。
【図13】図13−(A)は、上記第2の実施形態の構成を適用する前の画素電位の分布を示す図である。図13−(B)は、上記第2の実施形態における走査信号線−画素電極間容量の分布を示す図である。図13−(C)は、上記第2の実施形態の構成を適用した後の画素電位の分布を示す図である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施形態に係るアクティブマトリクス基板を用いた液晶表示装置における走査信号線駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、本発明の第3の実施形態に係るTFT基板を駆動するための信号および画素電位の概略的な電圧波形図である。
【図16】図16は、上記第3の実施形態における要部の電圧波形および電流波形を示す波形図である。
【図17】図17−(A)は、上記第3の実施形態の構成を適用する前の画素電位の分布を示す図である。図17−(B)は、上記第3の実施形態における走査信号線−画素電極間容量の分布を示す図である。図17−(C)は、上記第3の実施形態の構成を適用した後の画素電位の分布を示す図である。
【図18】図18は、薄膜トランジスタがVgs−Vds−Id特性(ゲートソース間電圧−ドレインソース間電圧−ドレイン電流特性)を有することを示す説明図である。
【図19】図19は、従来のアクティブマトリクス基板としてのTFT基板における1つの画素回路の構成を示す回路図である。
【図20】図20は、有機EL表示装置への本発明の適用を説明するための回路図である。
【図21】図21は、有機EL表示装置への本発明の適用を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
<0.基礎検討>
<0.1 画素回路と信号伝搬経路>
本発明の実施形態について説明する前に、本発明の目的を達成すべく本願発明者によりなされた基礎検討について説明する。この基礎検討においては、図9に示すように構成されたアクティブマトリクス基板であるTFT基板100を対象とする。このTFT基板100では、ガラス等の透明な絶縁性基板上に複数(M本)の走査信号線G(1)〜G(M)と複数(N本)のデータ信号線S(1)〜S(N)とが互いに交差するように格子状に形成され、それらの交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数(M×N個)の画素形成部としての画素回路P(i,j)が形成されている(i=1〜N、j=1〜M)。また、複数の走査信号線G(1)〜G(M)にそれぞれ平行して複数の共通電極線CS(1)〜CS(M)が形成されている。
【0049】
各画素回路P(i,j)は、図10に示すように、対応交差点を通過するデータ信号線S(i)にソース電極が接続されると共に対応交差点を通過する走査信号線G(j)にゲート電極が接続されたスイッチ素子としての電界効果トランジスタであるTFT102と、そのTFT102のドレイン電極に接続された画素電極103とを含んでおり、この画素電極103と対向基板全面に形成された対向電極Ecとによって液晶容量Clcが形成され、この画素電極103と共通電極線CS(j)とによって共通電極容量Ccsが形成され、この画素電極103と走査信号線G(j)とによって寄生容量Cgdが形成されている。
【0050】
一般に、上記TFT基板100に形成された走査信号線G(1)〜G(M)や共通電極線CS(1)〜CS(M)等のように、ガラス等の透明な絶縁性基板上に形成された信号線は、信号伝搬遅延のない理想配線として実現するのは困難であり、或る程度の信号伝搬遅延特性を有する。図11は、1本の走査信号線G(j)および共通電極線CS(j)の信号伝搬遅延に着目した場合の走査信号および共通電極信号の伝搬経路を示す等価回路図である。この図11において、抵抗rg1、rg2、…、rgi、…、rgNは、それぞれ、1つの画素回路当たりの走査信号線G(j)の抵抗成分に相当し、その抵抗値は、主に、走査信号線G(j)を形成する配線材料、配線幅、および配線長によって決まる。また、抵抗rc1、rc2、…、rci、…、rcNは、それぞれ、1つ画素回路当たりの共通電極線CS(j)の抵抗成分に相当し、その抵抗値は、主に、共通電極線CS(j)を形成する配線材料、配線幅、および配線長によって決まる。
【0051】
本願発明者は、シミュレーション等により、上記信号伝搬の検討に際しては、図11に示すように、走査信号線と共通電極線間に存在する寄生容量の影響にも注意が必要であることを発見した。この図11において、容量cgc1、cgc2、…、cgci、…、cgcNは、それぞれ、走査信号線と共通電極線間で1段または2段以上の容量結合関係による1つの画素回路当たりの寄生容量を示すものであり、例えば、走査信号線−画素電極間容量Cgdと画素電極−共通電極線間容量Ccsの直列容量結合により構成される。また、容量cg1、cg2、…、cgi、…、cgNは、走査信号線とそれと容量結合関係にある他の電極や信号線等とによって形成される各種寄生容量から上記寄生容量cgc1〜cgcNを除いたものであり、例えば、走査信号線がデータ信号線と交差することによって生じるクロス容量等で構成される。このように走査信号線および共通電極線は、分布定数型の信号遅延伝搬経路になっている。
【0052】
<0.2 各部の電圧波形>
図9に示すように、上記アクティブマトリクス基板としてTFT基板100を使用する液晶表示装置は、データ信号線S(1)〜S(N)にデータ信号Vs(1)〜Vs(N)をそれぞれ印加するデータ信号線駆動回路200、走査信号線G(1)〜G(M)に走査信号Vg(1)〜Vg(M)をそれぞれ印加する走査信号線駆動回路300、各共通電極線CS(1)〜CS(M)にその一端および他端から共通電極電位Vcsをそれぞれ与える2つの共通電極線駆動回路CS、および、対向電極Ecに対向電極電位Vcomを与える対向電極駆動回路COMを備えている。
【0053】
図4−(A)は、走査信号線駆動回路300から走査信号線G(j)に印加される走査信号Vg(j)の電圧波形を示し、図4−(B)は、データ信号線駆動回路200からデータ信号線S(i)に印加されるデータ信号Vs(i)の電圧波形を示し、図4−(C)は、共通電極線駆動回路CSおよび対向電極駆動回路COMから共通電極線CS(j)および対向電極Ecにそれぞれ与えられる共通電極電位Vcsおよび対向電極電位Vcomの電圧波形を示している。そして、図4−(D)は、図9に示すTFT基板100を構成する画素回路P(i,j)の画素電位Vd(i,j)の電圧波形を示している。
【0054】
また、図12−(A)は、走査信号線G(j)に走査信号線駆動回路300から印加された走査信号Vg(j)が走査信号線G(j)の信号遅延伝搬特性(図11)によりパネル内部(TFT基板100内)でなまっていく様子を示している。図12−(B)は、走査信号線G(j)と共通電極線CS(j)間に存在する寄生容量の影響を受けて共通電極線CS(j)の電位Vcs(j)がパネル内部(TFT基板100内)でなまっていく様子を示している。なお、これらの図12−(A)および12−(B)において、記号“Vg(i,j)”は画素回路P(i,j)における走査信号Vg(j)の電圧波形を表し、記号“Vcs(i,j)”は画素回路P(i,j)における共通電極電位Vcsの電圧波形を表すものとする。
【0055】
図12−(A)に示すように、走査信号線駆動回路300の出力直後の走査信号の電圧波形Vg(1,j)すなわち画素回路P(1,j)内のTFTのゲート電極g(1,j)(図11参照)の電位を示す電圧波形には、なまりは殆ど見られない。これに対して、上記信号遅延伝搬特性により、走査信号線G(j)の中央部(TFT基板100の中央部)付近における走査信号の電圧波形Vg(n,j)は、或る程度なまっており、走査信号線G(j)の終端部付近の電圧波形Vg(N,j)は、更になまっている。
【0056】
また図12−(B)に示すように、2つの共通電極線駆動回路CSの出力直後の共通電極電位Vcsの電圧波形Vcs(1,j)およびVcs(N,j)については、大きな波形の変動は見られない。これに対し、共通電極線CS(j)の中央部(TFT基板100の中央部)付近における共通電極電位Vcsの電圧波形Vcs(n,j)については、走査信号線G(j)と共通電極線CS(j)との間の寄生容量の影響および上記信号遅延伝搬特性の影響を受けて、波形が大きく変動している。本願発明者は、図11に示す等価回路に基づく検討や計算機シミュレーション等によりこのことを発見した。
【0057】
<0.3 画素電位のレベルシフト>
図9に示したアクティブマトリクス基板としてのTFT基板100における各画素回路P(i,j)のTFT102は、完全なオン/オフ・スイッチではなく、図18−(A)および18−(B)に示すようなゲート・ソース間電圧−ドレイン・ソース間電圧−ドレイン電流特性(以下「Vgs−Vds−Id特性」という)を有している。図18−(A)において、横軸はTFTのゲート・ソース間に印加される電圧Vgsを、縦軸はドレイン電流Idをそれぞれ示している。図18−(B)において、横軸はTFTのドレイン・ソース間に印加される電圧Vdsを、縦軸はドレイン電流Idをそれぞれ示している。本願発明者は、このようなVgs−Vds−Id特性に起因して画素電位VdのレベルシフトΔVdにばらつきが生じていること、すなわち、レベルシフトΔVdが画素回路P(i,j)の位置によって変わること(以下「レベルシフトΔVdの不均一性」という)を発見した。以下、このレベルシフトΔVdの不均一性について説明する。
【0058】
通常、走査信号Vg(j)を構成する走査パルスは、TFTをオン状態にするのに十分な電圧(以下「ゲートオン電圧」という)VghとTFTをオフするのに十分な電圧(以下「ゲートオフ電圧」という)Vglとの間で電位の変化するパルスである。図18−(A)に示すように、TFTのゲート電極に与えられる走査信号がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglに向かって立ち下がりを開始してから完全にゲートオフ電圧レベルVglとなるまでの間において、ゲートオン電圧VghからTFTの閾値電圧Vth付近までの領域が中間的なオン領域として存在する。
【0059】
図12−(A)に示すように、走査信号線駆動回路300の出力直後に位置する画素回路P(1,j)すなわち走査信号線G(j)における走査信号Vg(j)の入力される端部付近(以下、単に「入力端付近」という)の画素回路P(1,j)では、走査信号Vg(j)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧レベルVglへと瞬時に立ち下がるので、TFTの上記中間的なオン領域の特性は殆ど影響しない。一般に、容量結合の影響による画素電位の変化量ΔVd1は、走査信号線G(j)と画素電極間の容量をCgd、画素容量をCpix、Vgpp=Vgl−Vghとしたとき、
ΔVd1=Vgpp・Cgd/Cpix …(1)
と表すことができる。式(1)より、入力端付近の画素電位Vd(1,j)に生じるレベルシフト△Vd(1,j)は、
ΔVd(1,j)=Vgpp・Cgd/Cpix
と近似できる。
【0060】
走査信号線駆動回路300から離れた走査信号線G(j)の中央付近(以下、単に「中央付近」という)の画素回路P(n,j)の画素電位Vd(n,j)、および、走査信号線G(j)の終端付近(以下、単に「終端付近」という)の画素回路P(N,j)の画素電位Vd(N,j)にも、レベルシフトΔVd(n,j)およびΔVd(N、j)がそれぞれ生じる。ところが、中央付近における走査信号の電圧波形Vg(n,j)および終端付近における走査信号の電圧波形Vg(N,j)は、その立ち下がりがなまっているため、TFTの上記中間的なオン領域の特性が影響し、画素電位Vdに生じるレベルシフトが軽減される(絶対値が小さくなる)。したがって、中央付近のレベルシフトΔVd(n,j)および終端付近のレベルシフトΔVd(N,j)については、
|ΔVd(n,j)|<|Vgpp・Cgd/Cpix|、
|ΔVd(N,j)|<|Vgpp・Cgd/Cpix|
となり、入力端付近(走査信号線駆動回路300の出力直後)とその他の位置との間では、
|ΔVd(n,j)|<|ΔVd(1,j)|、
|ΔVd(N,j)|<|ΔVd(1,j)|
というように、レベルシフトの差が生じてしまう。このようにして生じるレベルシフトΔVdの不均一性につき、式および図を用いて以下に詳述する。
【0061】
各TFTのゲート電極に与えられる走査信号(以下「ゲート信号」という)の立下り開始時刻taから或る時刻tまでの、ゲート信号の電圧(以下「ゲート電圧」という)のシフト量をΔVg(t)、共通電極電位Vcsのシフト量をΔVcs(t)、対向電極電位Vcomのシフト量をΔVcom(t)、ゲート−ドレイン間容量をCgd、画素電極−共通電極線間容量をCcs、画素電極−対向電極間容量(液晶容量)をClc、画素容量をCpix(=Clc+Ccs+Cgd)、データ信号線から画素電極にTFTを通過して流れる電流をId(t)、その電流Id(t)によって画素電極に与えられる電荷量をΔQd(t)とすると、時刻tにおける、画素電位Vdに生じるレベルシフトΔVd(t)は、下記の式(2)にて表すことができる。
ΔVd(t)=ΔVg(t)・Cgd/Cpix+ΔVcs(t)・Ccs/Cpix
+ΔVcom(t)・Clc/Cpix+ΔQd(t)/Cpix
…(2)
また、上記中間的なオン領域における、時刻tにTFTに流れる電流Id(t)は、ゲート・ソース間電圧Vgs(t)およびドレイン・ソース間電圧Vds(t)と、図18−(A)および18−(B)に示すVgs−Vds−Id特性とにより決定され、ゲート信号の立ち下り開始時刻taから時刻tまでの間にTFTに流れる電流によって画素電極に与えられる電荷量ΔQd(t)は、時刻taから時刻tまでに上記TFTを流れる電流Id(t)の積分値として与えられる。
【0062】
このとき、時刻tにおけるTFTのゲート・ソース間電圧Vgs(t)、ドレイン・ソース間電圧Vds(t)は、時刻tにおけるゲート電圧をVg(t)、ソース電圧(データ信号の電圧)をVs(t)とすると、下記の関係を満たす。
Vgs(t)=Vg(t)−Vs …(3)
Vds(t)=ΔVd(t) …(4)
【0063】
このようにして、式(2)〜(4)、および、図18−(A)および18−(B)に示すVgs−Vds−Id特性により、上記の電荷量ΔQd(t)は一義的に決定される。すなわち、TFTのゲート電圧の立ち下り開始から完全に立ち下がるまでの間に当該TFTを流れる電流によって画素電極に与えられる電荷量ΔQdは一義的に決定される。
【0064】
いま、各TFTのゲート電圧が完全に立ち下り、充分な時間が経過した時刻tbを考えると、この時刻tbには、
ΔVg(t)=Vgpp=Vgl−Vgh、
ΔVcs(t)=0、
ΔVcom=0
となるため、レベルシフトΔVdは、
ΔVd=Vgpp・Cgd/Cpix+ΔQd/Cpix …(5)
と表すことができる。
【0065】
上記の走査信号線G(j)の信号遅延伝搬特性により、各々の画素回路P(i,j)におけるΔVg(t)は異なり、走査信号線駆動回路300から離れた画素回路P(i,j)では、ゲート・ソース間電圧Vgs(t)がTFTの閾値電圧Vth以上である期間が長くなり、TFTを介して画素電極へと移動する電荷量ΔQdが大きくなる(ここで、Vgpp<0、ΔQd>0であり、ΔVd<0である)。このため、画素電位VdのレベルシフトΔVdが軽減される(絶対値|ΔVd|が小さくなる)。また、上記の共通電極線CS(j)の信号遅延伝搬特性により、各々の画素回路P(i,j)における共通電極電位Vcsのシフト量ΔVcs(t)が異なり、共通電極線駆動回路CSから離れた画素回路P(i,j)では、ΔVcs(t)が大きくなり、上記の移動電荷量ΔQdが大きくなる。これによっても、画素電位VdのレベルシフトΔVdが軽減される(絶対値|ΔVd|が小さくなる)。
【0066】
このようにして、アクティブマトリクス基板としてのTFT基板100内での走査信号線や共通電極線等の信号伝搬遅延特性とTFT特性とに起因して(図11、図18−(A)および18−(B))、画素電位VdのレベルシフトΔVdがTFT基板100内で均一ではなくなる。そして、このTFT基板100を使用する表示装置の画面の大型化や高精細化によってこの不均一性を無視できなくなる。
【0067】
本発明は、本願発明者による以上の考察およびその結果得られた知見(発見)に基づき上記レベルシフトΔVdの不均一性を解消または軽減すべくなされたものである。すなわち、上記式(5)より、本発明では、TFT基板100における画素回路について(Vgpp・Cgd+ΔQd)/Cpixが略等しくなるように各画素回路P(i,j)が形成される。具体的には、下記の実施形態等に示すように、TFT基板100内の各画素回路P(i,j)における各種静電容量(走査信号線G(j)と画素電極間の容量Cgd等)やTFTの特性等をその画素回路P(i,j)の位置に応じて変化させて、TFT基板100における画素回路の間で(Vgpp・Cgd+ΔQd)/Cpixが略等しくなるようにしている。以下、添付図面を参照して、このような本発明の実施形態について説明する。なお、上記式(5)における電荷量ΔQdは、既述のように、式(2)〜(4)、および、図18−(A)および18−(B)に示すVgs−Vds−Id特性により決定されるので、TFT基板100に共通電極線が形成されている場合には、走査信号線と画素電極との寄生容量や走査信号線の信号伝搬遅延特性に加えて、走査信号線と共通電極線との間の寄生容量や共通電極線の信号遅延伝搬特性を加味して決定されることになる(図11参照)。
【0068】
<1.第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス基板であるTFT基板を用いた液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、液晶表示パネル1と、データ信号線駆動回路200、走査信号線駆動回路300および対向電極駆動回路COMを含む駆動回路と、コントロール回路600とを備えている。
【0069】
液晶表示パネル1は、液晶層を挟持する1対の電極基板からなり、各電極基板の外表面には偏光板が貼り付けられている。上記1対の電極基板の一方はTFT基板と呼ばれるアクティブマトリクス基板であり、このTFT基板100では、ガラス等の絶縁性基板上に、複数のデータ信号線S(1)〜S(N)と複数の走査信号線G(1)〜G(M)が互いに交差するように格子状に形成されている。また、複数のデータ信号線S(1)〜S(N)と複数の走査信号線G(1)〜G(M)との交差点にそれぞれ対応して複数(N×M個)の画素回路P(i,j)がマトリクス状に形成されており、これら複数の画素回路P(i,j)は、表示すべき画像を構成する画素にそれぞれ対応する。そして、これらの信号線S(1)〜S(N)、G(1)〜G(M)および画素回路P(i,j)をほぼ全面にわたって覆うように配向膜が設置されている。一方、上記1対の電極基板の他方は対向基板と呼ばれ、ガラス等の透明な絶縁性基板上に、全面にわたって対向電極、配向膜が順次積層されている。なお本実施形態では、上記基礎検討で説明した図9の構成とは異なり、TFT基板100に共通電極線が形成されていない。
【0070】
各画素回路P(i,j)は、スイッチ素子としての電界効果トランジスタであるTFT102と、そのTFT102を介してデータ信号線S(i)に接続される画素電極103とを含んでおり、図2に示すような回路構成となっている。すなわち、各画素回路P(i,j)は、対応交差点を通過するデータ信号線S(i)にソース電極が接続されると共に対応交差点を通過する走査信号線G(j)にゲート電極が接続されたスイッチ素子としてのTFT102と、そのTFT102のドレイン電極に接続された画素電極103とを含んでいる。そして、この画素電極103と対向基板101全面に形成された対向電極Ecとによって液晶容量Clcが形成され、この画素電極103と走査信号線G(j)とによって寄生容量Cgdが形成されている。なお本実施形態では、画素値に相当する電圧を保持するために電圧保持用電極としての画素電極103と他の電極とによって形成されるキャパシタの容量である画素容量Cpixは、液晶容量Clcと寄生容量Cgdとから構成される。
【0071】
コントロール回路600は、データ信号線駆動回路200および走査信号線駆動回路300等を制御するための制御信号を生成する。データ信号線駆動回路200は、このコントロール回路600で生成された制御信号および外部からの映像信号を受け取り、これらに基づきアナログ電圧としてのデータ信号Vs(1)〜Vs(N)を生成し、これらのデータ信号Vs(1)〜Vs(N)を液晶表示パネル1のTFT基板100に形成されたデータ信号線S(1)〜S(N)にそれぞれ印加する。走査信号線駆動回路300は、液晶表示パネル1に画像を表示するための各フレーム期間(各垂直走査期間)において、液晶表示パネルにおける複数の走査信号線G(1)〜G(M)を1水平走査期間ずつ順次に選択し、選択した走査信号線G(j)にアクティブな走査信号(画素回路を構成するTFT102をオンさせる電圧)を印加する。対向電極駆動回路COMは、液晶表示パネル1の液晶層に印加すべき電圧の基準となる電位を与えるための信号を、対向基板101の全面に形成された対向電極Ecに印加する。
【0072】
図3は、走査信号線駆動回路300の構成例を示すブロック図である。この例では、走査信号線駆動回路300は、カスケード接続されたM個のフリップフロップF(1)、F(2)…F(j)、…F(M)から成るシフトレジスタ部3aと、各フリップフロップからの出力に応じて切り替わる選択スイッチ3bとによって構成されている。各選択スイッチ3bの一方の入力端子VD1には、TFT102(図1参照)をオン状態にするに十分なゲートオン電圧Vghが入力され、他方の入力端子VD2には、TFT102をオフ状態にするに十分なゲートオフ電圧Vglが入力されている。したがって、各フリップフロップF(1)〜F(M)に供給されるクロック信号GCKによって、1段目のフリップフロップF(1)に入力されるデータ信号(スタートパルス信号)GSPは各フリップフロップF(1)〜F(M)を順次転送され、各選択スイッチ3bへ順次出力される。これに応答して各選択スイッチ3bは、TFT102をオン状態にするゲートオン電圧Vghを一走査期間(TH)選択して走査信号線G(j)に出力した後、当該走査信号線G(j)にはTFT102をオフ状態にするゲートオフ電圧Vglを出力する。この動作により、データ信号線駆動回路200から各々のデータ信号線S(1)〜S(N)(図1参照)に出力されたデータ信号Vs(1)〜Vs(N)を、対応した各々の画素回路P(i,j)(の画素容量)に書き込むことが可能となる。
【0073】
上記のようにしてTFT基板100が駆動される際の走査信号Vg(j)、データ信号Vs(i)、共通電極電位Vcs、対向電極電位Vcom、および画素電位(画素電極の電位)Vd(i,j)の概略的な電圧波形は、図4−(A)から4−(D)に示す通りであって、既述の従来例における波形と同様であるので、説明を省略する。ただし、これら電圧波形の詳細については従来と異なる点があり、これについては後述する。
【0074】
上記のようにして、複数のデータ信号線S(1)〜S(N)には複数のデータ信号Vs(1)〜Vs(N)がそれぞれ印加され、複数の走査信号線G(1)〜G(M)には複数の走査信号Vg(1)〜Vg(M)がそれぞれ印加されることにより、液晶表示パネル1における各画素回路P(i,j)における画素電極103には、対向電極Ecの電位Vcomを基準として、表示すべき画像の対応画素の値に応じた電圧がTFT102を介して与えられ、各画素回路P(i,j)内の画素容量に保持される。これにより、液晶層には、各画素電極103と対向電極Ecとの間の電位差に相当する電圧が印加される。液晶表示パネル1は、この印加電圧によって液晶層の光透過率を制御することにより、外部の信号源等から受け取った映像信号の表す画像を表示する。
【0075】
図5は、1本の走査信号線G(j)の信号伝搬遅延に着目した場合の走査信号の伝搬経路を示す等価回路図である。本実施形態(図1参照)では、図9に示した構成とは異なり、共通電極線は存在しないので、図5に示す等価回路により各走査信号線G(j)の信号伝搬遅延特性を評価することができ、共通電極線に関連する寄生容量や電位変化などの影響を除けば、上記基礎検討で得られた知見は本実施形態においても適用可能である。なお、図5において、抵抗rg1、rg2、…、rgi、…、rgNは、それぞれ、1つの画素回路当たりの走査信号線G(j)の抵抗成分に相当し、その抵抗値は、主に、走査信号線G(j)を形成する配線材料、配線幅、および配線長によって決まる。また、容量cg1、cg2、…、cgi、…、cgcは、走査信号線G(j)とそれに容量結合関係にある他の電極や信号線等とによって形成される各種寄生容量であって、1つの画素回路当たりの寄生容量をそれぞれ示している。以下、このような図5に示す等価回路に基づき走査信号線G(j)の信号伝搬遅延特性に対応した本実施形態の詳細構成について説明する。
【0076】
図6−(A)は、上記構成の本実施形態におけるTFT基板100の画素回路P(i,j)内のTFT102のゲート電極における走査信号の立ち下がり時の詳細な電圧波形(電圧の時間的変化)を示しており、Vg(1,j)、Vg(n,j)、Vg(N,j)は、それぞれ、走査信号線G(j)の入力端付近(走査信号線駆動回路300からの出力直後)、中央付近、終端付近における走査信号Vg(j)の電圧波形を示している。また、図6−(B)は、走査信号Vg(j)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる際に上記画素回路P(i,j)のTFT102を流れる電流の波形(電流の時間的変化)を示しており、Id(1,j)、Id(n,j)、Id(N,j)は、それぞれ、走査信号線G(j)の入力端付近、中央付近、終端付近におけるTFT102を流れる電流の波形を示している。そして、図6−(C)は、走査信号Vg(j)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる際における上記画素回路P(i,j)の画素電極103の電位波形(電位の時間的変化)を示しており、Vd(1,j)、Vd(n,j)、Vd(N,j)は、それぞれ、走査信号線G(j)の入力端付近、中央付近、終端付近における画素電極103の電位波形を示している。
【0077】
TFT基板100において走査信号Vg(j)は、走査信号線G(j)の信号遅延伝搬特性によりTFT基板100内でなまっていき、図6−(A)に示すVg(i,j)のように変化する(i=1,n,N)。
【0078】
このようなVg(i,j)および各々のTFT特性(図18−(A)および18−(B))の影響などを受けて、各TFT102のゲート電極の電圧(ゲート電圧)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる途中においてTFT102を流れる電流の波形Id(i,j)は、図6−(B)に示すように走査信号線G(j)上の位置(より一般的にはTFT基板100上の位置)に応じて異なる。これにより、各TFT102のゲート電圧がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がるまでにTFT102を介して画素電極103に移動する電荷量ΔQd(i,j)も走査信号線G(j)上の位置に応じて異なる。したがって、従来のTFT基板100のように各画素回路P(i,j)での走査信号線−画素電極間(TFT102のゲート電極とドレイン電極の間)の寄生容量Cgdが等しい場合には、画素電極103への電荷移動量の違いにより、画素電極103の電位波形Vd(i,j)は、走査信号線G(j)上の位置に応じて図6−(C)に示すように変化する。その結果、走査信号Vg(j)がゲートオフ電圧Vglへと立ち下がってから十分な時間が経過した後においても、上記基礎検討で示した式(5)に基づき、上記電荷量ΔQd(i,j)の違いにより、各画素電極の電位Vd(i,j)のレベルシフトΔVd(i,j)も走査信号線G(j)上の位置に応じて異なって、レベルシフトΔVdの分布に不均一性が生じる。すなわち、画素電極103の電位Vd(i,j)は、走査信号線G(j)上の位置iに応じて図7−(A)に示すように変化する。具体的には、画素電極103の電位Vd(i,j)は入力端(走査信号線駆動回路300)から離れるにしたがって増加するが、その増加率は入力端から離れるにしたがって小さくなる。これに応じて、画素電位Vdのレベルシフトの絶対値|ΔVd|は、入力端から離れるにしたがって減少するが、ぞの減少率は入力端から離れるにしたがって小さくなる。これは、走査信号Vg(j)の伝搬経路がCRの分布定数線路であることから、走査信号線駆動回路300から遠ざかるほど高周波成分が落ちていくためと考えられ、計算機シミュレーションによっても、図8に示すように同様の結果が得られている。
【0079】
本実施形態では、このような画素電位Vd(i,j)またはレベルシフトΔVdの不均一性(図7−(A))に対応すべく、各画素回路P(i,j)での走査信号線−画素電極間(TFT102のゲート電極とドレイン電極の間)の寄生容量Cgdを走査信号線G(j)上の位置(より一般的にはTFT基板100上の位置)に応じて図7−(B)に示す如く変化するように、各画素回路P(i,j)が形成されている。すなわち、各画素回路P(i,j)において寄生容量Cgdまたはその補正量ΔCgdが|ΔQd/Vgpp|に略等しくなるように各画素回路P(i,j)が形成される(ここで、補正量ΔCgdとは寄生容量Cgdのうち位置に応じて変化させるべき容量成分をいうものとする)。より正確には、(Vgpp・Cgd+ΔQd)/Cpixが一定になるように寄生容量Cgdの値をシミュレーション等によって調整する。これは、寄生容量Cgdは走査信号線G(j)の入力端から離れるにしたがって増加するが、その増加率は入力端から離れるにしたがって小さくなるように、各画素回路P(i,j)が形成されることを意味する。このようにして、走査信号線駆動回路300から電気的に遠ざかるにしたがって寄生容量Cgdが大きくなるように各画素回路P(i,j)が形成されることになる。その結果、図7−(C)に示すように、各画素回路P(i,j)における画素電極103の電位Vd(i,j)およびそのレベルシフトΔVdを走査信号線G(j)上の位置(TFT基板100上の位置)によらず略同一の値とする、すなわちレベルシフトΔVdの分布を一様なものとすることができる。なお、上記寄生容量Cgdを走査信号線G(j)上の位置に応じて変化させるには、走査信号線G(j)と画素電極103との重なり面積および/または走査信号線G(j)とTFT102のドレイン電極との重なり面積を変化させればよい。具体的には、例えば特許文献4(日本の特開平11−84428号公報)に記載の方法を使用することができる。
【0080】
上記のような本実施形態によれば、画素電位VdまたはレベルシフトΔVdの分布に対応して寄生容量Cgdが走査信号線G(j)上の位置に応じて異なるように画素回路P(i,j)が形成されていることで、レベルシフトΔVdの不均一性が解消または低減される。これにより、本実施形態に係るTFT基板を用いた液晶表示装置において、フリッカ等の抑制された高品位な画像を提供することができる。
【0081】
なお、特許文献4(日本の特開平11−84428号公報)では、走査信号線(ゲート信号線)の入力側で走査信号線−画素電極間容量Cgd(Cgs)を小さく、終端側で大きくする構成により、各画素によって走査信号線の遅延の影響が異なることによって生じる容量結合の影響による画素電位のレベルシフトを均一にする技術が開示されているが、各TFTによってゲート信号の立下り開始から立下り完了までにTFTを流れる電荷量が変化することによって発生する各画素電位のレベルシフトのばらつきが考慮されていない。したがって、同公報に開示された技術だけでは、画素電位のレベルシフトの不均一性を十分に解消または低減することはできない。
【0082】
<2.第2の実施形態>
図9は、本発明の第2の実施形態に係るアクティブマトリクス基板であるTFT基板を用いた液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、上記基礎検討で対象としたアクティブマトリクス基板としてのTFT基板を用いた液晶表示装置と同様の構成であって、上記第1の実施形態とは異なり、TFT基板100に形成された複数の走査信号線G(1)〜G(M)のそれぞれ平行して延在する複数の共通電極線CS(1)〜CS(M)を備えるとともに、各共通電極線CS(1)〜CS(M)にその一端および他端から共通電極電位Vcsをそれぞれ与える2つの共通電極線駆動回路CSを備えている。これら以外の構成は第1の実施形態に係るTFT基板100を用いた液晶表示装置(図1)と同様であるので、同一または対応する部分に同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
【0083】
本実施形態における各画素回路P(i,j)は、スイッチ素子としての電界効果トランジスタであるTFT102と、そのTFT102を介してデータ信号線S(i)に接続される画素電極103とを含み、その画素電極103と絶縁層を介して重なるように共通電極線CS(j)が延在しており、図10に示すような回路構成となっている。すなわち、各画素回路P(i,j)は、対応交差点を通過するデータ信号線S(i)にソース電極が接続されると共に対応交差点を通過する走査信号線G(j)にゲート電極が接続されたスイッチ素子としてのTFT102と、そのTFT102のドレイン電極に接続された画素電極103とを含んでいる。そして、この画素電極103と対向基板全面に形成された対向電極Ecとによって液晶容量Clcが形成され、この画素電極103と共通電極線CS(j)とによって共通電極容量Ccsが形成され、この画素電極103と走査信号線G(j)とによって寄生容量Cgdが形成されている。なお本実施形態では、画素値に相当する電圧を保持するために電圧保持用電極としての画素電極103と他の電極とによって形成されるキャパシタの容量である画素容量Cpixは、液晶容量Clcと共通電極容量Ccsと寄生容量Cgdとによって構成される。
【0084】
本実施形態における走査信号および共通電極信号の伝搬経路を示す等価回路は、上記基礎検討で述べたように図11に示すような構成となる。この図11は、本実施形態において1本の走査信号線G(j)、共通電極線CS(j)の信号伝搬遅延に着目した場合の走査信号および共通電極信号の伝搬経路を示す等価回路図である。以下、このような図11に示す等価回路に基づき走査信号G(j)の信号伝搬遅延特性に対応した本実施形態の詳細構成について説明する。
【0085】
上記の構成のTFT基板100が駆動される際の走査信号Vg(j)、データ信号Vs(i)、共通電極電位Vcs、対向電極電位Vcom、および画素電位Vd(i,j)の概略的な電圧波形は、図4−(A)から4−(D)に示す通りであって、上記第1の実施形態および従来例における波形と同様であるので、説明を省略する。ただし、これら電圧波形の詳細については第1の実施形態等と異なる点があり、これについて以下に説明する。
【0086】
図12−(A)は、上記構成の本実施形態に係るTFT基板100における画素回路P(i,j)内のTFT102のゲート電極における走査信号の立ち下がり時の詳細な電圧波形Vg(i,j)を示しており、Vg(1,j)、Vg(n,j)、Vg(N,j)は、それぞれ、走査信号線G(j)の入力端付近、中央付近、終端付近における走査信号Vg(j)の電圧波形を示している。また、図12−(B)は、共通電極線CS(j)のうち上記画素回路P(i,j)の画素電極103と重なる部分の電位波形(より詳しくは、走査信号Vg(j)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる際の電位波形)Vcs(i,j)を示しており、Vcs(1,j)、Vcs(n,j)、Vcs(N,j)は、それぞれ、走査信号線G(j)の入力端付近、中央付近、終端付近における共通電極線CS(j)の電位波形を示している。そして、図12−(C)は、走査信号Vg(j)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる際に上記画素回路P(i,j)のTFT102を流れる電流の波形Id(i,j)を示しており、Id(1,j)、Id(n,j)、Id(N,j)は、それぞれ、走査信号線G(j)の入力端付近、中央付近、終端付近におけるTFT102を流れる電流の波形を示している。また、図12−(D)は、走査信号Vg(j)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる際における上記画素回路P(i,j)の画素電極103の電位波形Vd(i,j)を示しており、Vd(1,j)、Vd(n,j)、Vd(N,j)は、それぞれ、走査信号線G(j)の入力端付近、中央付近、終端付近における画素電極103の電位波形を示している。なお、走査信号線G(j)上の各位置における電圧波形や電位波形、電流波形を示す記号については、上記と同様の表記法を他の実施形態の説明においても使用するものとする。
【0087】
TFT基板100において走査信号Vg(j)は、走査信号線G(j)の信号遅延伝搬特性によりTFT基板100内でなまっていき、図12−(A)に示すVg(i,j)のように変化する(i=1,n,N)。図11に示すように、共通電極線CS(j)と走査信号線G(j)との間には、走査信号線−画素電極間容量Cgdおよび画素電極−共通電極線間容量Ccsが介在することによる寄生容量が存在する。このため、共通電極線CS(j)の電位は、各画素回路P(i,j)での走査信号の電圧波形Vg(i,j)の影響を受け、さらに共通電極線CS(j)での信号伝搬特性の影響により、共通電極線CS(j)の電位波形Vcs(i,j)は、図12−(B)に示すように、走査信号線G(j)上の位置(これは本実施形態では共通電極線CS(j)上の位置にも相当し、より一般的にはTFT基板100上の位置である)に応じて変化する。
【0088】
これらの電圧波形Vg(i,j)および電位波形Vcs(i,j)の影響および各々のTFT特性(図18−(A)および18−(B))の影響などを受けて、各TFT102のゲート電圧がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる途中においてTFT102に流れる電流の波形Id(i,j)が、図12−(C)に示すように、走査信号線G(j)または共通電極線CS(j)上の位置に応じて変化する。これにより、各TFT102のゲート電圧がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がるまでにTFT102を介して画素電極103に移動する電荷量ΔQd(i,j)も走査信号線G(j)上の位置に応じて異なる。したがって、従来のTFT基板100のように各画素回路P(i,j)での走査信号線−画素電極間(TFT102のゲート電極とドレイン電極の間)の寄生容量Cgdが等しい場合には、画素電極103への電荷移動量の違いにより、画素電極103の電位波形Vd(i,j)は、走査信号線G(j)上の位置に応じて図12−(D)に示すように変化する。その結果、走査信号Vg(j)がゲートオフ電圧Vglへと立ち下がってから十分な時間が経過した後においても、上記基礎検討で示した式(5)に基づき、上記電荷量ΔQd(i,j)の違いにより、各画素電極103の電位Vd(i,j)のレベルシフトΔVd(i,j)は走査信号線G(j)上の位置に応じて異なって、レベルシフトΔVdの分布に不均一性が生じることになる。すなわち、画素電極103の電位Vd(i,j)は、走査信号線G(j)上の位置に応じて図13−(A)に示すように変化する。具体的には、画素電極103の電位Vd(i,j)は入力端(走査信号線駆動回路300)から離れるにしたがって増加し、中央部で最大(ピーク)となり、中央部から更に離れると終端に近づくにしたがって減少する。ただし、終端付近の画素電位Vd(N、j)は、入力端付近の画素電位(1,j)までは低下しない。これに応じて、画素電位Vdのレベルシフトの絶対値|ΔVd|は、入力端から離れるにしたがって減少し、中央部付近で最小となり、中央部から更に離れると終端に近づくにしたがって増加する。ただし、終端付近のレベルシフトの絶対値|ΔVd(N,j)|は、入力端付近のレベルシフトの絶対値|ΔVd(1,j)|までは大きくならない。
【0089】
ここで、走査信号線G(j)の中央部でレベルシフトの絶対値|ΔVd|が最小(画素電位Vd(i,j)が最大)となるのは、走査信号線G(j)に平行に共通電極線CS(j)が形成されており、その共通電極線CS(j)には両端から共通電極線駆動回路CSによって共通電極電位Vcsが印加されることによるものである。すなわち、共通電極線CS(j)の電位Vcs(i,j)は、走査信号Vg(j)の立ち下がりの影響を受けるが、この影響は、2つの共通電極線駆動回路CSから電気的に遠くなるにしたがって大きくなる。本実施形態では、共通電極線CS(j)の両端に2つの共通電極線駆動回路CSがそれぞれ接続されているので(図9)、この影響は走査信号線G(j)の中央部(これは共通電極線CS(j)の中央部でもある)に近づくにしたがって大きくなる。したがって、共通電極線CS(j)の電位は、図12−(B)に示すように、走査信号Vg(j)の立ち下がりに伴い走査信号線G(j)の中央付近で過渡的に大きく変化し、これに応じて、中央付近の画素回路P(n,j)におけるTFT102のドレイン・ソース間電圧Vdsが過渡的に大きくなる。これにより、TFTについてのVgs−Id特性のみならずVds−Id特性(図18−(A)および18−(B)参照)にも基づき、走査信号線G(j)の中央付近の画素回路P(n,j)におけるTFT102のドレイン電流Id(n,j)が増大し、画素電極103へ移動する電荷量ΔQdが増大する。その結果、共通電極線CS(j)の電位Vcsは、画素電位Vdのレベルシフトの絶対値|ΔVd|を中央付近で小さくするように影響する。よって、上記走査信号線G(j)の電圧波形Vg(i,j)による影響とこのような共通電極線CS(j)の電位波形Vcs(i,j)による影響とが相俟って、画素電極103の電位Vd(i,j)は、走査信号線G(j)上の位置に応じて図13−(A)に示すように変化し、図13−(A)に示す変化に応じた不均一性がレベルシフトΔVdに生じる。
【0090】
本実施形態では、このような画素電位Vd(i,j)またはレベルシフトΔVdの不均一性に対応すべく、各画素回路P(i,j)での走査信号線−画素電極間(TFT102のゲート電極とドレイン電極の間)の寄生容量Cgdを走査信号線G(j)上の位置に応じて図13−(B)に示す如く変化するように、各画素回路P(i,j)が形成されている。すなわち、各画素回路P(i,j)において寄生容量Cgdまたはその補正量ΔCgdが|ΔQd/Vgpp|に略等しくなるように各画素回路P(i,j)が形成される。より正確には、(Vgpp・Cgd+ΔQd)/Cpixが一定になるように寄生容量Cgdの値をシミュレーション等によって調整する。これは、寄生容量Cgdが、走査信号線G(j)の入力端から離れるにしたがって増加し、中央部で最大(ピーク)となり、中央部から更に離れると終端に近づくにしたがって減少していくことを意味する。ただし、終端付近の寄生容量Cgd(N、j)は、入力端付近の寄生容量(1,j)までは低下しない。これにより、走査信号線駆動回路300から電気的に遠ざかるにしたがって、また、共通電極線駆動回路CSから電気的に遠ざかるにしたがって、寄生容量Cgdが大きくなるように、各画素回路P(i,j)が形成されることになる。その結果、図13−(C)に示すように、各画素回路P(i,j)における画素電極103の電位Vd(i,j)およびそのレベルシフトΔVdを走査信号線G(j)上の位置(TFT基板100上の位置)によらず略同一の値とする、すなわちレベルシフトΔVdの分布を一様なものとすることができる。なお、上記寄生容量Cgdを走査信号線G(j)上の位置に応じて変化させるには、走査信号線G(j)と画素電極103との重なり面積および/または走査信号線G(j)とTFT102のドレイン電極との重なり面積を変化させればよい。具体的には、例えば特許文献4(日本の特開平11−84428号公報)に記載の方法を使用することができる。
【0091】
上記のような本実施形態によれば、走査信号線G(j)に平行に共通電極線CS(j)が形成されたアクティブマトリクス基板としてのTFT基板100において、各共通電極線CS(j)の両端から共通電極電位Vcsが印加される場合に、画素電位VdまたはレベルシフトΔVdの分布に対応して寄生容量Cgdが走査信号線G(j)上の位置に応じて異なるように画素回路P(i,j)が形成されることで、レベルシフトΔVdの不均一性が解消または低減される。これにより、本実施形態に係るTFT基板を用いた液晶表示装置において、フリッカ等の抑制された高品位な画像を提供することができる。
【0092】
<3.第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係るアクティブマトリクス基板であるTFT基板を用いた液晶表示装置について説明する。この液晶表示装置は、各画素回路の詳細構成(寄生容量Cgdの値など)を除き上記第2の実施形態と同様の構成のTFT基板100、すなわち図9に示す構成のTFT基板100を備えている。また、この液晶表示装置は、その全体構成も基本的には図9に示した通りであるので、同一または対応する部分に同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。ただし、この液晶表示装置における走査信号線駆動回路300の構成は、第2の実施形態に係るTFT基板100を備えた液晶表示装置における構成と異なる(詳細は後述)。
【0093】
本実施形態における各画素回路P(i,j)も、第2の実施形態における画素回路P(i,j)と同様であって、図10に示すような回路構成となっているので、同一の構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略する。また、本実施形態における走査信号および共通電極信号の伝搬経路を示す等価回路図も第2の実施形態と同様であって、図11に示すような構成となっている。
【0094】
このような構成のTFT基板100に対し、従来の走査信号線駆動回路を使用した場合には、走査信号線の信号伝搬遅延特性によって走査信号Vg(j)の電圧波形は図12−(A)に示すようになる。これに対し、本液晶表示装置では、走査信号線駆動回路300を特許文献3(日本の特開平11−281957号公報)に記載の構成とすることにより、各画素回路P(i,j)における走査信号の電圧波形Vg(i,j)の立ち下がりを略一様の傾斜とすべく、走査信号線駆動回路300から出力される走査信号Vg(j)の立ち下がりが制御される。
【0095】
図14は、このような走査信号線駆動回路300の構成を示すブロック図である。この走査信号線駆動回路300は、図3に示した構成と同様、カスケード接続されたM個のフリップフロップF(1)、F(2)…F(j)、…F(M)から成るシフトレジスタ部3aと、各フリップフロップからの出力に応じて切り替わる選択スイッチ3bとによって構成されており、その動作も基本的には同様である。しかし、この走査信号線駆動回路300では、図14に示すように、出力段に、出力信号としての各走査信号Vg(j)の立ち下がり傾斜を制御できるスルーレートコントロール回路(傾斜制御部)SCが追加されている。このスルーレートコントロール回路SCは、等価的には、走査信号線駆動回路300の各出力のインピーダンスを制御する出力制御インピーダンス素子であり、各走査信号Vg(j)のゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへの立ち下がり時のみに出力インピーダンスを増加させ、走査信号線駆動回路300の出力波形自体をなまらせることで、各走査信号線G(j)の上記信号伝搬遅延特性で波形なまりによる、TFT基板100内での立ち下がりスピードの違い(走査信号線G(j)上の位置による立ち下がりスピードの相違)を相殺できるようになっている。
【0096】
図15−(A)は、上記構成の走査信号線駆動回路300から走査信号線G(j)に印加される走査信号Vg(j)の概略的な電圧波形を示し、図15−(B)は、データ信号線駆動回路200からデータ信号線S(i)に印加される走査信号Vs(i)の概略的な電圧波形を示し、図15−(C)は、共通電極線駆動回路CSおよび対向電極駆動回路COMから共通電極線CS(j)および対向電極Ecにそれぞれ与えられる共通電極電位Vcsおよび対向電極電位Vcomの概略的な電圧波形を示している。そして、図15−(D)は、本実施形態に係るTFT基板100を構成する画素回路P(i,j)の画素電位Vd(i,j)の概略的な電圧波形を示している。
【0097】
図16−(A)は、上記構成の走査信号線駆動回路300から出力された走査信号Vg(j)の立ち下がり時の各画素回路P(i,j)における詳細な電圧波形(すなわち走査信号線G(j)上の各位置における電圧波形)Vg(i,j)を示しており、図16−(B)は、共通電極線CS(j)のうち上記画素回路P(i,j)の画素電極103と重なる部分の詳細な電位波形(より詳しくは、走査信号Vg(j)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる際の電位波形)Vcs(i,j)を示しており、図16−(C)は、走査信号Vg(j)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる際に上記画素回路P(i,j)のTFT102を流れる電流の詳細な波形を示しており、図16−(D)は、走査信号Vg(j)がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる際における上記画素回路P(i,j)の画素電極103の詳細な電位波形Vd(i,j)を示している。
【0098】
図10および図11に示すように、共通電極線CS(j)と走査信号線G(j)との間には、走査信号線−画素電極間容量Cgdおよび画素電極−共通電極線間容量Ccsが介在することにより寄生容量が存在している。このため、共通電極線CS(j)の電位は、各画素回路P(i,j)での走査信号の電圧波形Vg(i,j)の影響を受け、さらに共通電極線CS(j)での信号伝搬特性の影響により、共通電極線CS(j)の電位波形Vcs(i,j)は、図16−(B)に示すように、走査信号線G(j)上の位置に応じて変化する。
【0099】
上記のような電圧波形Vg(i,j)および電位波形Vcs(i,j)の影響および各々のTFT特性(図18−(A)および18−(B))の影響などを受けて、各TFT102のゲート電圧がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がる途中においてTFT102に流れる電流の波形Id(i,j)が、走査信号線G(j)上の位置に応じて図16−(C)に示すように変化する。これにより、各TFT102のゲート電圧がゲートオン電圧Vghからゲートオフ電圧Vglへと立ち下がるまでにTFT102を介して画素電極103に移動する電荷量ΔQd(i,j)も走査信号線G(j)上の位置に応じて異なる。したがって、従来のTFT基板100のように各画素回路P(i,j)での走査信号線−画素電極間(TFT102のゲート電極とドレイン電極の間)の寄生容量Cgdが等しい場合には、画素電極103への電荷移動量の違いにより、画素電極103の電位波形Vd(i,j)は、走査信号線G(j)上の位置に応じて図16−(D)に示すように変化する。その結果、走査信号Vg(j)がゲートオフ電圧Vglへと立ち下がってから十分な時間が経過した後においても、上記基礎検討で示した式(5)に基づき、上記電荷量ΔQd(i,j)の違いにより、各画素電極103の電位Vd(i,j)のレベルシフトΔVd(i,j)は走査信号線G(j)上の位置に応じて異なって、レベルシフトΔVdの分布に不均一性が生じる。すなわち、画素電極103の電位Vd(i,j)は、走査信号線G(j)上の位置に応じて図17−(A)に示すように変化する。具体的には、画素電極103の電位Vd(i,j)は、入力端(走査信号線駆動回路300)から離れるにしたがって増加し、中央部で最大(ピーク)となり、中央部から更に離れると終端に近づくにしたがって減少し、終端付近では入力端付近の画素電位Vd(1,j)と同程度となる。これに応じて、画素電位Vdのレベルシフトの絶対値|ΔVd|は、入力端から離れるにしたがって減少し、中央部付近で最小となり、中央部から更に離れると終端に近づくにしたがって増加し、終端付近では入力端付近の|ΔVd|と同程度となる。
【0100】
このように本実施形態では、終端付近の画素電位Vd(N、j)は、入力端付近の画素電位Vd(1,j)と同程度となり、この点で、終端付近の画素電位Vd(N、j)が入力端付近の画素電位Vd(1,j)までは低下しない第2の実施形態とは相違する(図13−(A)参照)。これは、本実施形態では、走査信号線駆動回路300から出力される走査信号Vg(j)の立ち下がりが制御されることによって走査信号線G(j)上の各位置における電圧波形Vg(i,j)の立ち下がり傾斜が略同一となり(図16−(A))、それによって走査信号線G(j)の電圧波形Vg(i,j)によるレベルシフトΔVdの不均一化への影響が解消または低減され、主として共通電極線CS(j)の電位波形Vcs(i,j)の影響によって(およびTFT特性に基づき)レベルシフトΔVdの不均一化が生じるからである。なお、共通電極線CS(j)の電位は、その両端にそれぞれ接続された2つの共通電極線駆動回路CSから電気的に最も遠い位置である中央部(これは走査信号線G(j)の中央部に相当する)で最も大きく変化する、すなわち電位波形Vcs(i,j)の波高値が最大となる。
【0101】
本実施形態では、このような画素電位Vd(i,j)またはレベルシフトΔVdの不均一性(図17−(A))に対応すべく、各画素回路P(i,j)での走査信号線−画素電極間(TFT102のゲート電極とドレイン電極の間)の寄生容量Cgdを走査信号線G(j)上の位置に応じて図17−(B)に示す如く変化するように、各画素回路P(i,j)が形成されている。すなわち、各画素回路P(i,j)において寄生容量Cgdまたはその補正量ΔCgdが|ΔQd/Vgpp|に略等しくなるように各画素回路P(i,j)が形成される。より正確には、(Vgpp・Cgd+ΔQd)/Cpixが一定になるように寄生容量Cgdの値をシミュレーション等によって調整する。これは、寄生容量Cgdが、走査信号線G(j)の入力端から離れるにしたがって増加し、中央部で最大(ピーク)となり、中央部から更に離れると終端に近づくにしたがって減少し、終端付近で入力端付近の値と同程度になることを意味する。これにより、共通電極線駆動回路CSから電気的に遠ざかるにしたがって寄生容量Cgdが大きくなるように、各画素回路P(i,j)が形成されることになる。その結果、図17−(C)に示すように、各画素回路P(i,j)における画素電極103の電位Vd(i,j)およびそのレベルシフトΔVdを走査信号線G(j)上の位置(TFT基板100上の位置)によらず略同一の値とする、すなわちレベルシフトΔVdの分布を一様なものとすることができる。なお、上記寄生容量Cgdを走査信号線G(j)上の位置に応じて変化させるには、走査信号線G(j)と画素電極103との重なり面積および/または走査信号線G(j)とTFT102のドレイン電極との重なり面積を変化させればよい。具体的には、例えば特許文献4(日本の特開平11−84428号公報)に記載の方法を使用することができる。
【0102】
上記のような本実施形態によれば、走査信号線G(j)に平行に共通電極線CS(j)が形成されたアクティブマトリクス基板としてのTFT基板100において、各共通電極線CS(j)の両端から共通電極電位Vcsが印加され、かつ、各走査信号線G(j)の各位置において電圧波形Vg(i,j)の立ち下がり傾斜が略同一となるように走査信号線駆動回路300からの走査信号Vg(j)の立ち下がり傾斜が制御される場合に、画素電位VdまたはレベルシフトΔVdの分布に対応して寄生容量Cgdが走査信号線G(j)上の位置に応じて異なるように画素回路P(i,j)が形成されることで、レベルシフトΔVdの不均一性が解消または低減される。これにより、本実施形態に係るTFT基板を用いた液晶表示装置において、フリッカ等の抑制された高品位な画像を提供することができる。
【0103】
上記のように、走査信号線駆動回路300から出力される走査信号Vg(j)の立ち下がりが制御されることによって走査信号線G(j)上の各位置における電圧波形Vg(i,j)の立ち下がり傾斜が略同一になると(図16−(A))、走査信号線G(j)の電圧波形Vg(i,j)によるレベルシフトΔVdの不均一化への影響が解消または低減され、画素電極103の電位Vd(i,j)は走査信号線G(j)上の位置に応じて図17−(A)に示すように変化する。これに対し本実施形態では、各画素回路P(i,j)での走査信号線−画素電極間の寄生容量Cgdを走査信号線G(j)上の位置に応じて図17−(B)に示す如く変化するように、各画素回路P(i,j)を形成することで、図17−(C)に示すように、各画素回路P(i,j)における画素電極103の電位Vd(i,j)およびそのレベルシフトΔVdを走査信号線G(j)上の位置によらず略同一の値としている。しかし、上記のような走査信号Vg(j)の立ち下がりの制御によって得られる立ち下がり傾斜によっては、走査信号線G(j)の各位置での画素電極103の電位Vd(i,j)が、図13−(A)に示す値と図17−(A)に示す値との間の値となることがある。そのような場合には、各画素回路P(i,j)での走査信号線−画素電極間の寄生容量Cgdを走査信号線G(j)上の位置に応じて図13−(B)に示す変化と図17−(B)に示す変化との間の中間的な変化をするように、各画素回路P(i,j)を形成することで、図13−(C)または図17−(C)に示す如く、各画素回路P(i,j)における画素電極103の電位Vd(i,j)およびそのレベルシフトΔVdを走査信号線G(j)上の位置によらず略同一の値とすることができる。
【0104】
<4.変形例>
上記各実施形態では、画素電位VdまたはレベルシフトΔVdの分布に対応して寄生容量Cgdが走査信号線G(j)上の位置(より一般的にはTFT基板100の位置)に応じて異なるように画素回路P(i,j)を形成することで、レベルシフトΔVdの不均一性が解消または低減される。しかし、本発明はこのように寄生容量Cgdを位置に応じて変化させるという構成に限定されるものではなく、これに代えてまたはこれと共に、画素電位VdまたはレベルシフトΔVdの分布に対応してTFT特性が走査信号線G(j)上の位置(TFT基板100上の位置)に応じて異なるように画素回路P(i,j)を形成することで、レベルシフトΔVdの不均一性を解消または低減するようにしてもよい。この場合、レベルシフトΔVdの分布に対応してTFT特性が異なるようにするには、例えば、TFT102のチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wが走査信号線G(j)上の位置(TFT基板100上の位置)に応じて変化するように各画素回路P(i,j)を形成すればよい。具体的には、各実施形態において、走査信号線G(j)上の位置に応じて寄生容量Cgdを変化させる仕方と同様に上記比L/Wが変化するように各画素回路P(i,j)もしくは各TFT102を形成すればよい(図7−(B)、図13−(B)、図17−(B)参照)。すなわち、走査信号線駆動回路300から電気的に遠ざかるにしたがって、また、共通電極線駆動回路CSから電気的に遠ざかるにしたがって、TFT102における上記比L/Wが大きくなるように各画素回路P(i,j)もしくは各TFT102を形成すればよい。なお、チャネル長Lとチャネル幅Wのうち、いずれか一方を変化させてもよいし、両方を組み合わせて変化させた構成としてもよい。このとき、ソース電極、ドレイン電極の周囲長、ソース電極と半導体層との接触面積、ドレイン電極と半導体層の接触面積も、自由な組み合わせにより変化させてもよい。
【0105】
さらに、レベルシフトΔVdの不均一性が解消または低減されるように各画素回路P(i,j)の構成要素の電気的特性値を走査信号線G(j)上の位置に応じて変化させるような構成であれば、上記以外の構成であってもよい。例えば、各画素回路P(i,j)における画素容量Cpixを構成する静電容量のうち上記寄生容量Cgd以外の少なくとも1つの静電容量を走査信号線G(j)上の位置に応じて変化させるようにしてもよく、この場合、例えば、各画素回路P(i,j)における共通電極容量(補助容量)Ccsを走査信号線G(j)上の位置に応じて変えるという構成を採用することができる。この構成の場合、共通電極線駆動回路CS(共通電極線CS(j)に共通電極電位Vcsの印加される位置)から電気的に遠ざかるにしたがって共通電極容量(補助容量)Ccsを小さくすればよい。また、基礎検討で得られた式(5)の示す値がTFT基板内の画素回路の間で略等しくなるようにするのは(レベルシフトΔVdの不均一の解消または低減は)、上記各実施形態のように、各画素回路におけるTFTの特性または各種静電容量(画素電極と他の電極とによって形成される各種静電容量)等のパラメータのいずれかを設定することにより行ってもよいが、それらのパラメータの設定の組み合わせによって行ってもよい。なお、画素電極とはTFTおよび絶縁膜によって各信号線と隔離されて画素電極103と接続された全ての電極を表すと考えることができるので、上記寄生容量Cgd(TFTのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量)を各画素回路毎に設定することによりレベルシフトΔVdの不均一を解消または低減する構成を実現する場合には、これらの画素電極の内、一箇所または複数箇所のCgdを組み合わせて変化させてもよいし、一部のCgdの有無により上記構成としてもよい。これら画素電極とは、Al(アルミニウム)等の低抵抗メタルでなく、半導体層等の高抵抗膜を含んでいてもよい。
【0106】
上記の各実施形態では、レベルシフトΔVdの不均一性を解消または低減すべく、画素電位VdまたはレベルシフトΔVdの分布に応じて寄生容量CgdやTFTのL/W等が滑らかに変化するように各画素回路P(i,j)が形成されているが(図7−(B)、図13−(B)、図17−(B)参照)、これに限定されるものではなく、寄生容量CgdやTFTのL/W等の変化は、レベルシフトΔVdの分布に応じたものであれば、階段状、折れ線状、入れ子状、モザイク状のいずれかであってもよく、また、それらの組み合わせによるものであってもよい。ただし、液晶表示装置の表示品位の向上の観点からは、寄生容量CgdやTFTのL/W等の変化を滑らかなものとするのが好ましい。
【0107】
上記第2および第3の実施形態では、共通電極線は、走査信号線と平行に延在するように配置されているが、画素電極との間に所定の静電容量(共通電極容量または補助容量に相当)が形成されるような配置であればよい。また、共通電極線は、複数の走査信号線にまたがっていてもよいし、複数のデータ信号線にまたがっていてもよいし、1つの画素回路もしくは画素電極に対して複数本配置してもよいし、面形状をしていてもよい。このように上記第2および第3の実施形態と異なる構成で共通電極線が形成されている場合であっても、共通電極線駆動回路から電気的に遠ざかるにしたがって寄生容量(TFTにおけるゲート電極とドレイン電極との間の静電容量)Cgdまたはチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wが大きくなるように各画素回路を形成する等により、画素電位のレベルシフトの不均一性を解消または低減することで、上記第2および第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、特許文献2(日本の特開2001−33758号公報)に記載のように共通電極線が複数系統に分離されていてもよいし、また、例えばライン反転駆動方式が採用されている場合のように、共通電極線の電位が一定でなく変動する構成であってもよい。
【0108】
上記の各実施形態では、対向電極における信号伝搬遅延の影響が充分に小さく無視できるものとされているが、対向電極の抵抗値および/または形状によっては、対向電極での信号伝搬遅延の影響を無視できない場合も考えられる。しかし、そのような場合においても、上記の第2および第3の実施形態における共通電極線の信号伝搬遅延特性の影響に対する対応と同様に、寄生容量CgdやTFTのチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/W等を位置に応じて変化させることで、画素電位のレベルシフトの不均一性を解消または低減することができる。
【0109】
上記の各実施形態では、液晶を挟持する1対の基板のうちTFT基板と異なる基板である対向基板に対向電極が設けられており、基板に垂直な縦方向電界により液晶が駆動されるが、対向電極が画素電極と同一の基板に形成される場合(対向電極がTFT基板に形成される場合)や、共通電極が対向電極の役割をも果たすように構成される場合等のように、基板に平行な横方向電界により液晶が駆動される場合においても、画素電位のレベルシフトを解消または低減するための手段として本発明の適用が可能である。
【0110】
上記の各実施形態については、液晶表示装置において使用されるアクティブマトリクス基板としてのTFT基板を例に挙げて説明されているが、上記の画素電極と他の電極とによって形成される画素容量と同様の電圧保持機能を有する静電容量と薄膜トランジスタとを含む画素回路がマトリクス状に配置されるとともに走査信号線およびデータ信号線等が上記のように格子状に配置されたアクティブマトリクス基板であれば、液晶表示装置以外の表示装置、例えば有機EL(Electroluminescenece)表示装置で使用されるアクティブマトリクス基板にも、上記画素容量に相当する容量における保持電圧のレベルシフトを解消または低減するための手段として本発明の適用が可能である。この場合、画素値に相当する電圧を保持するための上記静電容量を有するキャパシタが、画素回路におけるTFTのドレイン電極に接続された電圧保持用電極(上記画素電極に対応)と上記の共通電極線に相当する電源ラインまたは接地ラインの電極とによって構成される。ただし、有機EL表示装置の駆動方式によっては、当該TFTのソース電極とデータ信号線との間にスイッチ素子としてのTFTが更に介在する構成が採用される場合もあり、また、当該TFTのソース電極とデータ信号線との間にスイッチ素子としてのTFTと容量素子(キャパシタ)が直列に接続された状態で更に介在する構成が採用される場合もある。
【0111】
有機EL表示装置の画素回路として、例えば図20に示すような構成の回路が使用される(日本の特開2001−147659号公報参照)。この画素回路では、走査線scanAおよびscanBが選択されているときに、TFT3およびTFT4がオン状態となり、電流源CSの電流がTFT1に流れ、TFT1に流れる当該電流に対応するゲート・ソース間電圧が保持キャパシタCに充電される。その後、走査線scanBが非選択状態となると、TFT4がオフ状態となり、保持キャパシタCに充電された電圧は保持される。駆動用TFT2には、保持キャパシタCの充電電圧に応じた電流が駆動用TFT2に流れ、その電流によって発光素子OLEDが発光する。この動作においてTFT4がオン状態からオフ状態へと変化するときに、当該TFT4の寄生容量Cpaに起因して、上記実施形態と同様、レベルシフトが生じる。このレベルシフトが画素回路によって異なると、発光輝度がばらついて表示品質の低下を招く。このような画素回路において、符号“A”で示す部分は、電圧保持用キャパシタCを構成する電圧保持用電極に相当し、データ線dataは、スイッチ素子としてのTFT3およびTFT4を介してその電圧保持用電極(A)に接続されている。そしてTFT4は走査線scanBによってオン/オフされ、当該TFT4における寄生容量Cpaは、第1および第2の実施形態における画素回路内のTFT102の寄生容量Cgdに相当する。したがって、図20に示した構成の画素回路を有する有機EL表示装置におけるアクティブマトリクス基板にも、上記レベルシフトの基板内での均一化を図るべく本発明を適用することが可能である。
【0112】
また、有機EL表示装置の画素回路として、例えば図21に示すような構成の回路が使用されることもある(日本の特開2002−156923号公報参照)。この画素回路では、走査線25(scan)が選択されているときに、TFT24がオン状態となり、データ線26(data)におけるデータ電圧が保持容量23(Cs)に保持される。その後に走査線25が非選択状態となると、TFT24がオフ状態となり、保持容量23に保持されたデータ電圧は維持され、その電圧に応じた電流が駆動用TFT22に流れ、その電流によって有機EL素子21が発光する。ただし、TFT24がオン状態からオフ状態へと変化するときに、当該TFT24の寄生容量Cgs2に起因して、上記実施形態と同様、レベルシフトが生じる。このレベルシフトが画素回路によって異なると、発光輝度がばらついて表示品質の低下を招く。このような画素回路において、符号“A”で示す部分は、保持容量23を構成する電圧保持用電極に相当し、データ線26は、TFT24を介してその電圧保持用電極(A)に接続されている。そしてTFT24は走査線25によってオン/オフされ、当該TFT24の寄生容量Cgs2は、第1および第2の実施形態における画素回路内のTFT102の寄生容量Cgdに相当する。したがって、図21に示した構成の画素回路を有する有機EL表示装置におけるアクティブマトリクス基板にも、上記レベルシフトの基板内での均一化を図るべく本発明を適用することが可能である。
【0113】
上記の各実施形態のように液晶表示装置で使用されるアクティブマトリクス基板は交流駆動されるが、例えば有機EL表示装置で使用されるアクティブマトリクス基板のように直流駆動される場合であっても、本発明は適用可能である。
【0114】
なお、上記の各実施形態では、アクティブマトリクス基板としてのTFT基板100を駆動するための駆動回路(データ信号線駆動回路200や走査信号線駆動回路300等)については、TFT基板100とは別個に作製されたものが使用されるが、TFT基板100上に駆動回路が形成されていてもよい(ドライバモノリシック方式のアクティブマトリクス基板であってもよい)。また、上記実施形態における各画素回路における画素容量Cpixについては、Cpix=Cgd+Ccs+Clcと表されているが、更にその他の寄生容量が存在し無視できない場合には、それらの寄生容量を含めて画素容量Cpixを考えればよい。さらに、本発明に係るアクティブマトリクス基板において共通電極線が形成されている場合には、共通電極線の電位Vcsと対向電極の電位Vcomとは必ずしも同一の電位でなくてもよい。さらにまた、上記第2および第3の実施形態では、共通電極線が走査信号線とは別個に形成されているが、各画素回路についての共通電極線が隣接画素回路についての走査信号線を兼ねるように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、表示装置やセンサ等で使用されるアクティブマトリクス基板またはその駆動回路に適用されるものであって、特に、液晶表示装置やEL表示装置におけるアクティブマトリクス基板に適している。
【符号の説明】
【0116】
100 …TFT基板(アクティブマトリクス基板)
101 …対向基板
102 …薄膜トランジスタ(TFT)
103 …画素電極(電圧保持用電極)
200 …データ信号線駆動回路
300 …走査信号線駆動回路
CS …共通電極線駆動回路
Ec …対向電極
P(i,j) …画素回路(i=1〜N、j=1〜M)
CS(j) …共通電極線(j=1〜M)
G(j) …走査信号線(j=1〜M)
S(i) …データ信号線(i=1〜N)
VD1 …入力端子
VD2 …入力端子
3a …シフトレジスタ部
3b …選択スイッチ(スイッチ部)
GCK …クロック信号
GSP …データ信号(スタートパルス信号)
SC …スルーレートコントロール回路(傾斜制御部)
Cgd …走査信号線−画素電極間容量
Ccs …共通電極−画素電極間容量(補助容量)
Clc …対向電極−画素電極間容量(液晶容量)
Cpix …画素容量(電圧保持容量)
Id(i,j) …TFTを流れる電流の波形(i=1〜N、j=1〜M)
Vcs …共通電極電位
Vcs(i,j) …共通電極電位の波形(i=1〜N、j=1〜M)
Vcom …対向電極電位
Vd(i,j) …画素電位(画素電極の電位)(i=1〜N、j=1〜M)
Vdp …画素電位(正電圧印加時)
Vdn …画素電位(負電圧印加時)
Vg(j) …走査信号(j=1〜M)
Vg(i,j) …走査信号の電圧波形(i=1〜N、j=1〜M)
Vgl …ゲートオフ電圧
Vgh …ゲートオン電圧
Vth …TFTの閾値電圧
Vs(i) …データ信号(i=1〜N)
Vsp …データ信号電圧(正電圧印加時)
Vsn …データ信号電圧(負電圧印加時)
ΔVd(i,j) …画素電位のレベルシフト(i=1〜N、j=1〜M)
ΔVdp(i,j)…画素電位のレベルシフト(正電圧印加時)(i=1〜N、j=1〜M)
ΔVdn(i,j)…画素電位のレベルシフト(負電圧印加時)(i=1〜N、j=1〜M)
ΔQd(i,j) …走査信号の立ち下がりの開始から完了までにおける移動電荷量
(i=1〜N、j=1〜M)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記共通電極線に与えるべき電位が前記共通電極線に印加されるべき位置から電気的に遠ざかるにしたがって前記電界効果トランジスタにおけるゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgdが大きくなるように形成されていることを特徴とする、アクティブマトリクス基板。
【請求項2】
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、
当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記複数の画素回路を構成する第1、第2および第3の画素回路であって、第1の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の一端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるとともに、第3の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の他端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるように配置された第1、第2および第3の画素回路は、
第2の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgdが第1および第3の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgdのいずれよりも大きくなるように形成されていることを特徴とする、アクティブマトリクス基板。
【請求項3】
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記共通電極線に与えるべき電位が前記共通電極線に印加されるべき位置から電気的に遠ざかるにしたがって、対応する前記交差点を通過する走査信号線を構成する電極と前記電圧保持用電極または前記電界効果トランジスタのドレイン電極との重なり面積が大きくなるように、形成されていることを特徴とする、アクティブマトリクス基板。
【請求項4】
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、
当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記複数の画素回路を構成する第1、第2および第3の画素回路であって、第1の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の一端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるとともに、第3の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の他端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるように配置された第1、第2および第3の画素回路は、
第2の画素回路における、対応する前記交差点を通過する走査信号線を構成する電極と前記電圧保持用電極または前記電界効果トランジスタのドレイン電極との重なり面積が、
第1の画素回路における、対応する前記交差点を通過する走査信号線を構成する電極と前記電圧保持用電極または前記電界効果トランジスタのドレイン電極との重なり面積よりも大きく、かつ、
第3の画素回路における対応する、前記交差点を通過する走査信号線を構成する電極と前記電圧保持用電極または前記電界効果トランジスタのドレイン電極との重なり面積よりも大きくなるように、形成されていることを特徴とする、アクティブマトリクス基板。
【請求項5】
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記共通電極線に与えるべき電位が前記共通電極線に印加されるべき位置から電気的に遠ざかるにしたがって前記電界効果トランジスタにおけるチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wが大きくなるように形成されていることを特徴とする、アクティブマトリクス基板。
【請求項6】
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、
当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続された前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記複数の画素回路を構成する第1、第2および第3の画素回路であって、第1の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の一端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるとともに、第3の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の他端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるように配置された第1、第2および第3の画素回路は、
第2の画素回路における前記電界効果トランジスタのチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wが第1および第3の画素回路における前記電界効果トランジスタのチャネル長Lとチャネル幅Wとの比L/Wのいずれよりも大きくなるように形成されていることを特徴とする、アクティブマトリクス基板。
【請求項7】
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記共通電極線に与えるべき電位が前記共通電極線に印加されるべき位置から電気的に遠ざかるにしたがって、前記電界効果トランジスタのドレイン電極または前記電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量が小さくなるように、形成されていることを特徴とする、アクティブマトリクス基板。
【請求項8】
複数のデータ信号をそれぞれ伝達するための複数のデータ信号線と、
当該複数のデータ信号線と交差する複数の走査信号線と、
当該複数のデータ信号線と当該複数の走査信号線との交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置された複数の画素回路と、
各画素回路において所定の静電容量が形成されるように配置された共通電極線とを備え、
各画素回路は、
対応する前記交差点を通過するデータ信号線にソース電極が直接にまたは所定のスイッチ素子および/または容量素子を介して接続されるとともに対応する前記交差点を通過する走査信号線にゲート電極が接続された電界効果トランジスタと、
当該電界効果トランジスタのドレイン電極に接続され前記共通電極線との間に前記所定の静電容量が形成される電圧保持用電極とを含み、
前記複数の画素回路を構成する第1、第2および第3の画素回路であって、第1の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の一端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるとともに、第3の画素回路が第2の画素回路よりも前記共通電極線の他端に近くかつ前記共通電極線の中央部から遠くなるように配置された第1、第2および第3の画素回路は、
第2の画素回路における前記電界効果トランジスタのドレイン電極または前記電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち当該第2の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量が、第1の画素回路における前記電界効果トランジスタのドレイン電極または前記電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち当該第1の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量よりも小さく、かつ、第3の画素回路における前記電界効果トランジスタのドレイン電極または前記電圧保持用電極と他の電極とによって形成される静電容量のうち当該第3の画素回路における前記電界効果トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間の静電容量Cgd以外の静電容量よりも小さくなるように、形成されていることを特徴とする、アクティブマトリクス基板。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のアクティブマトリクス基板の駆動回路であって、
前記複数の走査信号線に所定の複数の走査信号をそれぞれ印加することにより前記複数の走査信号線を選択的に駆動する走査信号線駆動回路を含み、
前記走査信号線駆動回路は、前記電界効果トランジスタを導通状態とする所定のオン電圧から前記電界効果トランジスタを非導通状態とする所定のオフ電圧へ前記複数の走査信号が遷移するときの電位変化の速度を制御することを特徴とする駆動回路。
【請求項10】
前記走査信号線駆動回路は、前記走査信号線の信号遅延伝搬特性に基づいて、前記走査信号線上の位置に無関係に略同じ速度の前記電位変化が生じるように、前記走査信号線駆動回路から出力すべき走査信号の電位変化の速度を制御することを特徴とする、請求項9に記載の駆動回路。
【請求項11】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板を駆動するための駆動回路とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
前記駆動回路は、前記複数の走査信号線に所定の複数の走査信号をそれぞれ印加することにより前記複数の走査信号線を選択的に駆動する走査信号線駆動回路を含み、
前記走査信号線駆動回路は、前記電界効果トランジスタを導通状態とする所定のオン電圧から前記電界効果トランジスタを非導通状態とする所定のオフ電圧へ前記複数の走査信号が遷移するときの電位変化の速度を制御することを特徴とする、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記走査信号線駆動回路は、前記走査信号線の信号遅延伝搬特性に基づいて、前記走査信号線上の位置に無関係に略同じ速度の前記電位変化が生じるように、前記走査信号線駆動回路から出力すべき走査信号の電位変化の速度を制御することを特徴とする、請求項12に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−100138(P2011−100138A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259915(P2010−259915)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【分割の表示】特願2006−528627(P2006−528627)の分割
【原出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】