説明

アクリル酸、再生可能原料系の吸水性ポリマー構造、及び前記構造の製造方法

【課題】抽出可能で毒性を呈し得る成分含量がとりわけ低い利用可能なポリマー、特に超吸収剤を提供すること。
【解決手段】アクリル酸を製造する方法は、a.アクロレインを含有する脱水生成物へとグリセリンを脱水する工程と、b.前記脱水生成物を気相酸化して、アクリル酸を含有するモノマーガスを得る工程と、c.前記モノマーガスをクエンチ手段に接触させて、アクリル酸を含有するクエンチ相を得る工程と、d.前記クエンチ相を加工して、アクリル酸を含有するモノマー相を得る工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル酸の調製方法、アクリル酸のラジカル重合によるポリマーの調製方法、好ましくは吸水性ポリマーの調製方法、この方法によって得られる吸水性ポリマー、25質量%以上の部分中和アクリル酸系吸水性ポリマー、コンポジット、コンポジットの製造方法、この方法によって得られるコンポジット、吸水性ポリマー構造の調製におけるアクリル酸の使用、アクリル酸の調製装置、アクリル酸の調製方法、並びにこの方法によって得られるアクリル酸に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー化合物の調製に用いられるアクリル酸の純度について、高い要求がなされている。このことは、ポリマーが織物衣料又は衛生用品に組み込まれるいわゆる超吸収剤である場合について特に当てはまる。これらポリマーは、液体を吸収して結合することでヒドロゲルを形成できる。このため、超吸収剤は、特に、おむつ、失禁用製品、生理用ナプキン等の体液吸収用の衛生用品に用いられている。超吸収剤、その使用及び調製の総説は、F.L.Buchholz and A.T.Graham (編集者)によって、“Modern Superabsorbent Polymer Technology”、Wiley−VCH、New York、1998中に与えられている。
【0003】
超吸収性ポリマーの調製では、一般に、プロピレンをアクロレインへ触媒気相酸化し、別の触媒気相酸化でアクリル酸へと転換し、続いてガス反応混合物を水中に吸収し、これによって得られた水性アクリル酸溶液を蒸留して粗アクリル酸を得て、粗アクリル酸を蒸留又は結晶化によって更に精製することで、純アクリル酸として得られたアクリル酸を用いる。
【0004】
このアクリル酸の製造方法は、すべての段階で用いる300〜450℃という温度が、オリゴマー、更には望ましくない分解生成物の形成につながる点で不利である。これにより、アクリル酸よりも不揮発性である化合物、又はアクリル酸から分離しなければならないがアクリル酸から分離困難な化合物(酢酸等)が多量に蓄積する。この分離は、一般に蒸留によって生じるが、アクリル酸に更に熱応力が負荷されることになり、好ましくないダイマー又はオリゴマーのアクリル酸の形成を誘発する。しかし、アクリル酸ダイマー又はアクリル酸オリゴマー含量が高いことは、架橋剤存在下でのアクリル酸のラジカル重合による超吸収剤の調製時において、これらダイマー又はオリゴマーが前記ポリマー骨格中に侵入することから不利である。しかし、重合化後に行うポリマー粒子表面の処理後、例えば表面の後架橋の間、重合体中ダイマーは分割してヒドロキシプロピオン酸を形成し、ヒドロキシプロピオン酸は後架橋状態下で脱水してアクリル酸を形成する。このため、超吸収剤の生成に用いたアクリル酸中のダイマーアクリル酸含量が高いと、後架橋間に行う熱処理の間でのアクリル酸モノマー含量の増加につながる。
【0005】
溶解部分、特に超吸収性ポリマー中のアクリル酸モノマーは皮膚炎を起こし得るため、これらポリマーを衛生用品中に用いるためには、抽出可能成分中の含量が特に低いことが要求される。他の毒性化合物も、触媒気相酸化によって得られるアクリル酸中に残存する。これら不純物としては、特にアルデヒド類が挙げられ、アルデヒド類は重合化の過程に破壊的影響を与え、ポリマーが依然として相当量の溶解成分を含有することになる。
【0006】
様々な方法でプロピレンから製造されるアクリル酸は、二重結合を有するケトン類、特にプロトアネモニン(PTA)を少なからぬ量で含有する。この化合物は、皮膚に接触すると、例えば、発赤、炎症又は水膨れ形成といった中毒の兆候を示す。このため、多量のPTAを溶解成分として含有する超吸収剤は、皮膚病的観点から懸念される。更に、PTAは米国特許第2002/0120085号明細書に記載されるように重合化を阻害する。これにより、体液の吸収、移行、保持特性が優れない超吸収性ポリマーが得られることになり、このタイプの超吸収性ポリマーをおむつ又は生理用ナプキンといった衛生用品において用いると、着用者の快適性が漏出等によって損なわれる。
【0007】
プロピレンの気相酸化で得られるアクリル酸中の上記化合物、特にアルデヒド類又はPTAの含量を低減できるいくつかの方法は、既に標準技術となっている。
【0008】
EP−A−0574260では、超吸収剤の生成において、可能であれば、ヒドロキシプロピオン酸含量が1000ppm以下であるアクリル酸を用いることが示されている。かかるアクリル酸は、従来のアクリル酸を重合化前にできる限り直接的に蒸留することで得られる。
【0009】
DE−A−10138150では、アクリル酸中のアルデヒド量を低減するために、これをアルデヒド捕捉剤と接触させて、後で蒸留によって分離できる高沸点化合物へとアルデヒド類を転換することが示されている。
【0010】
PTAを除去するための様々な方法が標準技術として提案され、例えばアクリル酸に、窒素酸化物の亜硝酸塩もしくはニトロベンゼン(JP81−41614)を添加する、又は1種以上のパラ−フェニレンジアミン(EP−A−567207)を添加することが挙げられる。
【0011】
しかし、アクリル酸中のアルデヒド類及びケトン類の量を低減する上記方法の不利な点は、現在のところアクリル酸の不純物含量が正確に分からないので、アクリル酸から不純物をできる限り完全に除去するためには、これら試薬を過剰に使用しなければならないことである。他方、アクリル酸に反応性のある試薬を添加しなければならない。これら試薬のうち、転換されなかった部分は再度除去しなければならない。除去されず、溶解成分としてアクリル酸から得られた超吸収剤に含まれた試薬は、超吸収剤を衛生用品で用いた場合、着用者の皮膚に接触し得る。クリル酸からのケトン類中のアルデヒド類を除去する公知の方法では、これら不純物を完全に除去することがほぼ不可能である。
【0012】
超吸収剤生成に用いるアクリル酸中の不純物に起因する不利点に加え、公知の超吸収剤は、セルロース等の天然ポリマーを部分的にも含有しない場合、ほとんど再生可能原材料系ではないという不利点も有する。衛生用品、特に使い捨ておむつで用いる多くの構成要素を生物由来物質から良好に製造する場合、架橋ポリアクリレート系の超吸収剤を、架橋誘導化スターチ又はセルロース等の天然超吸収性ポリマーに交換することが、一般に、吸収特性の大きな損失につながる。これにより、多くの場合、同等の吸収特性を衛生用品において得るためだけに、より多量の天然ポリマー系吸収剤を使用することにつながる。このことは、衛生用品がより嵩高く且つ重くなり、着用快適性を著しく制限し、堆積空間又は燃費に加え、廃棄物の除去に莫大な輸送能力が必要となるため不利である。これらはすべて、天然ポリマー系吸収剤の環境適合性に不利な影響を与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従来技術から生じる不利な点を克服することである。
【0014】
特に、本発明の目的は、抽出可能で毒性を呈し得る成分含量がとりわけ低い利用可能なポリマー、特に超吸収剤を作成することである。
【0015】
更に、本発明の目的は、環境適合性を有しつつも優れた利用特性を有する利用可能なポリマー、特に超吸収剤を提供することである。特に、同等の優れた吸収特性を維持しつつ、環境適合性が向上した超吸収剤を提供することが望まれる。
【0016】
更に、本発明の目的は、本発明に係るポリマーを含有する加工製品(一般にはコンポジット、具体的には衛生用品等)の環境適合性を、これら加工製品の吸収能力、着用快適性、及び簡易製造性といった所望の機能を損なわずに、向上することである。
【0017】
本発明の目的は、このタイプのポリマーを調製する方法、この生成に好適なモノマーを提供することであり、これにより、上記ポリマーの調製に用いたモノマーから不純物を除去するための反応性化合物をできる限り使用せずに行うことができる。
【0018】
更に、本発明の目的は、既存の工業製造工程及び装置にできる限り小さい転換費用にて組み入れることができるモノマー及びポリマーを生成するための方法及び装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的の解決は、
a.アクロレインを含有する脱水生成物へとグリセリンを脱水する工程と、
b.前記脱水生成物を気相酸化して、アクリル酸を含有するモノマーガスを得る工程と、
c.前記モノマーガスをクエンチ手段に接触させて、アクリル酸を含有するクエンチ相を得る工程と、
d.前記クエンチ相を加工して、アクリル酸を含有するモノマー相を得る工程と、
を少なくとも含む、アクリル酸の調製方法によって与えられる。
【0020】
上記目的の別の解決は、アクリル酸のラジカル重合によってポリマーを調製する方法であって、
A.アクロレインを含有する脱水生成物へとグリセリンを脱水する工程と、
B.前記脱水生成物を気相酸化して、アクリル酸を含有するモノマーガスを得る工程と、
C.前記モノマーガスをクエンチ手段に接触させて、アクリル酸を含有するクエンチ相を得る工程と、
D.前記クエンチ相を加工して、アクリル酸を含有するモノマー相を得る工程と、
E.前記モノマー相をラジカル重合する工程と、を含む方法によって与えられる。
【0021】
本発明に係る方法の一態様では、グリセリンが油脂のケン化から得られたものであることが好ましい。これら油脂は、動物油及び植物油であってよい。動物油は、特に動物の加工から得られるものである植物油は、菜種、大豆、ゴマ、オリーブ及びヒマワリ種といった油性果からの油抽出物から多量に得られる。中でもWO−A−2004/029016で公知の菜種油からのいわゆる「バイオディーゼル」由来製品から多量のグリセリンが得られる。本発明に係る方法では、このようにグリセリンを天然原材料由来の液体燃料製品中で生成することが好ましい。これは、特に搾油機に続くケン化によって与えられる。
【0022】
本発明に係る方法の一態様では、脱水を、液相において少なくとも部分的に生じることが好ましい。液相としては、水系が特に好ましい。少なくとも部分的又は完全に液相で実施すべきである場合には、水相であることが、高濃度グリセリンのために水相中に高濃度アクロレインを達成できる点で有利である。高濃度のアクロレインを含有する水相は、気相酸化の次段階で直接使用できる。酸化触媒を炭化から保護するため、脱水及び酸化の間に分離ユニットを設けることが好ましい。この分離ユニットでは、アクロレインと異なる付随物質及びアクロレインが、気相酸化へと導かれる。このようにして、著しく長い触媒寿命が達成される。液相脱水の別の利点は、固体状態の触媒上への塗膜形成を顕著に低減でき、触媒耐用期間の増加、ひいては触媒再生の必要性の低下につながる液相の洗浄効果を達成できることである。液相脱水の別の利点は、160〜270℃、好ましくは180〜260℃、より好ましくは215〜245℃という比較的に穏和な温度で実施できることである。かかる温度範囲は、グリセリンの分解温度及び沸点(約290℃)を大きく下回るものであり、気相酸化の動作時間について不利な影響をもたらす汚水、分解生成物及び他の不純物の低減につながる。しかし、本発明に係る方法の別の形態では、収量を増やすべく、脱水をグリセリンの分解点付近で実施する。この形態では、温度は170〜290℃、好ましくは190〜289℃、より好ましくは225〜288℃である。液相脱水は、固体状態の触媒の場合、ポンプを用いてグリセリン含有液相を加圧系内の触媒上に導く循環運転モードで行うことが好ましい。液体触媒作用又は均一系触媒作用を用い、リアクタからの流れの少なくとも一部を循環路内に導く。転換グリセリン、消費触媒、及び任意に除去された水は、循環路の間でリアクタに戻された部分流に、好ましくはリアクタ入口にて添加する。部分流を酸性均一触媒脱水から得るべき場合、少なくとも部分的に部分流を中和することが有利である。この措置により、部分流での反応による副産物形成を抑制でき又は完全に防止さえできる。アクロレインよりも高い沸点を有する物質を部分流から枯渇することは、更に有利である。これは、例えば膜を備える分離ユニットを用いて行うことができ、好ましくは膜は半透性である。このようにして、簡便な方法で高い選択性とともに、高い収率及び副産物量の顕著な低下を達成できる。
【0023】
本発明に係る方法の別の形態では、脱水を少なくとも部分的又は完全に気相中にて行うことが好ましい。気相中での脱水は、バイオディーゼル製品からのグリセリンの転換において特に有用であることが判明した。このグリセリンは、一般に、高い塩負荷量を有し、気相脱水の蒸発工程によって極めて良好に分離できる。液相脱水に関しては、気相脱水を水存在下で行うことも好ましい。
【0024】
従って、本発明に係る方法では、グリセリンを水相中で用いることが好ましい。液相脱水の場合、この液体グリセリン相は、一般に、0〜97質量%、例えば0〜30質量%、好ましくは60〜95質量%、特に好ましくは70〜90質量%の水分含量を有し、これにより例えば水相に対して水が0〜20質量%、0〜10質量%といった小さい水分含量も達成できる。気相脱水の場合、水性グリセリン相は、一般に、水性グリセリン相に対して0〜97質量%、好ましくは60〜95質量%より好ましくは70〜90質量%の水を有し、これにより、例えば水分含量0〜20質量%又は0〜10質量%という少量の水を用いるためにも特に有利であり得る。グリセリン相の更に主要な成分はグリセリンである。気相脱水の別の利点は、高空時収量とともに定量的収率に依存した高収量である。
【0025】
本発明に係る方法の別の形態によれば、気相脱水及び液相脱水を互いに組み合わせることが好ましい。本発明に係る方法の別の一形態によれば、グリセリンをまず気相脱水へ、次に液相脱水へと導く、あるいはその逆順で導く。前者の順序は、油脂のケン化に起因する大きい塩負荷を伴うグリセリンが、気相脱水中での蒸発によってこれら塩負荷から解放でき、次に循環路によって液相脱水中で転換し、高い収量及び選択性並びに少量の副産物が得られる点で有利である。
【0026】
本発明に係る方法の別の形態によれば、この方法において脱水触媒を用いる。脱水触媒は、酸性及び塩基性触媒であってよい。オリゴマーを形成しにくい点で、酸性触媒が特に好ましい。脱水触媒は、均一系及び不均一系触媒として使用できる。脱水触媒が不均一系触媒として存在する場合、脱水触媒は担体xと接触していることが好ましい。担体xは、当業者にとって好適と思われるあらゆる固体である。本明細書では、固体は、脱水触媒と良好に結合し取り込むのに好適な細孔容積を有することが好ましい。更に、DIN 66133に基づく全細孔容積は、0.01〜3ml/gであることが好ましく、0.1〜1.5ml/gであることが特に好ましい。更に、担体xとして好適な固体は、DIN 66131に基づくBET試験での表面領域が0.001〜1000m/g、好ましくは0.005〜450m/g、より好ましくは0.01〜300m/gであることが好適である。0.1〜40mm、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1.5〜5mmの平均粒子径を有するバルク商品は、脱水触媒の担体として使用できる。脱水リアクタの壁も担体として使用できる。更に、担体自体は酸性又は塩基性であってよく、あるいは酸性又は塩基性脱水触媒を不活性担体に利用できる。利用技術は、特に担体マトリクス内への浸漬、含浸又は混入である。
【0027】
天然又は合成のケイ酸塩材料、モルデナイト、モンモリロナイト、酸性ゼオライト、担体材料支持モノ−、ジ−、もしくはポリ塩基性無機酸(特にホスホン酸)、又はAl、TiO等の無機酸の酸性塩(例えば酸化物又はケイ酸塩材料)、酸化物及び複合酸化物(例えば、ヘテロポリ酸のガンマ−Al及びZnO−Al並びにCu−Al複合酸化物)は、担体xとして特に好適であり、脱水触媒特性をも有し得る。
【0028】
本発明の一形態によれば、担体xは少なくとも部分的に酸化化合物からなる。かかる酸化化合物は、Si、Ti、Zr、Al、P又はこれらの2種以上の組み合わせを有するべきである。かかる担体は、酸性又は塩基性特性を通じて脱水触媒として機能できる。担体x及び脱水触媒の双方として機能する化合物の好ましいクラスは、シリコン−アルミニウム−リン酸化物を含む。脱水触媒及び担体xの双方として機能する好適な塩基性材料は、アルカリ、アルカリ土類、ランタン、ランタニド、又はこれら2種以上の組み合わせを酸化形態で含む。かかる酸化又は塩基性の脱水触媒は、Degussa AG及びSudchemie AGからら購入できる。イオン交換剤は別のクラスの代表例である。これらは塩基性及び酸性形態の双方で存在してもよい。
【0029】
均一系脱水触媒は、特に無機酸、好ましくはリン含有酸、より好ましくはホスホン酸であると考えられる。これら無機酸は、浸漬又は含浸によって担体x上に固定化できる。
【0030】
特に気相脱水において、不均一系触媒の使用が特に有用であることが判明した。しかし、液相脱水では均一系及び不均一系の双方の脱水触媒を用いる。
【0031】
本発明の方法の別の形態では、脱水触媒は無機酸であることが好ましい。本明細書における酸という用語は、ブレンステッド定義に従って機能する物質であると理解される。当業者に公知であり好適と思われるすべての酸を使用できる。好ましくはS及びP含有酸であり、P含有酸が好ましい。液相脱水と組み合わせると、均一系としても特徴づけられるこの脱水触媒は溶液中に存在することが更に好ましい。この溶液は、好ましくは、脱水に用いられる水性グリセリン含有相である。これら均一系触媒は、脱水すべき相に対して0.0001〜20質量%、好ましくは0.001〜15質量%、より好ましくは0.01〜10質量%の量で用いられる。
【0032】
更に、本発明の方法ではH値が+1〜−10、好ましくは+2〜−8.2である脱水触媒を、より好ましくはH値が+2〜−3の液相脱水中で、及びH値が−3〜−8.2の気相脱水中で用いることが好ましい。H値は、ハメットに基づく酸性機能に相当し、いわゆるアミン滴定及び指示薬の使用、又はガス塩基吸収(“Studies in Surface Science and Catalytics”、vol.51、1989: “New Solid Acids and Bases、their catalytic Properties”、K.Tannabe et.al.参照)によって測定できる。グリセリンからのアクロレインの生成の更なる詳細は、DE 4238493 C1に見出すことができる。
【0033】
本発明に係る方法の別の形態では、本発明に係る方法の工程b)における気相酸化を、原子又は化学的結合形態の遷移金属を含む1種以上の酸化触媒の存在下で行う。酸化触媒は、モリブデン、タングステン、バナジウム、又はこれら2種以上の組み合わせを、少なくとも部分的に酸化された形態で含む。このタイプの酸化触媒は、好ましくは担体yと接触する不均一系触媒として用いる。続いて、この担体yに酸化触媒を組み込むことが好ましい。好適な担体yは、基本的には担体xについて上記した化合物であると考えられ、これにより酸化ケイ素もしくは酸化アルミニウム又はアルミニウム−ケイ素酸化物系の担体が特に好ましい。このタイプの酸化触媒は文献に幅広く記載されている。例えば、DE−A−2626887、EP−A−0534294、及びUS−A−2002/0198406が参考文献として挙げられる。アクロレインのアクリル酸への転換用のであるこのタイプの酸化触媒は、例えばNippon Kayaku KK及びDegussa AGから購入できる。
【0034】
本発明に係る方法では、任意に水相中にある脱水生成物を、気相酸化へと導くことが更に好ましい。脱水生成物は、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上のアクロレインを含有する。水分含量は、気相酸化に投入される相に対して0.001〜50質量%、好ましくは0.1〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%、より好ましくは12〜20質量%である。
【0035】
本発明に係る方法の別の形態では、グリセリン濃度が水性グリセリン相に対して0.1〜90、好ましくは1〜80、特に好ましくは2〜50質量%である水性グリセリン相としての脱水空間中にグリセリンを導入する。脱水空間は流体相及び気相の双方を含み、流体相中のグリセリン濃度は気相よりも高く、気相中のアクロレイン濃度は流体相よりも高い。好ましくは流体相中のグリセリンは、気相の1.1倍以上であり、好ましくは2倍以上であり、特に好ましくは5倍以上である。更に好ましくは、気相中のアクロレイン濃度は、流体相の1.1倍以上であり、好ましくは2倍以上であり、特に好ましくは5倍以上である。この形態では気相中のアクロレインを、好ましくは加圧リアクタと称する脱水空間から除去する。この形態に関連して、グリセリンのアクロレインへの脱水は、気相よりも流体相中で行うことが更に好ましい。好ましくは、流体相におけるグリセリンのアクロレインへの脱水を、気相中の1.1倍以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上行う。この形態では、流体相中で形成されたアクロレインを気相中に移すことが更に好ましい。この形態では、流体相によって取り入れられる脱水空間の容積が、気相によって取り入れられる脱水空間の容積よりも大きいことが更に好ましい。流体相によって取り入れられる脱水空間は、気相によって取り入れられる脱水空間の容積の1.1倍以上、好ましくは2倍以上、特に好ましくは5倍以上である。上記の係数は、例えば、相平衡の検討に基づいて決定できる。
【0036】
本発明に係るアクリル酸の生成方法のこの形態は、好ましくは、
a.少なくとも一部の水性アクロレイン溶液を気相へと移す液相脱水によって、水性グリセリン溶液形態のグリセリンを水性アクロレイン溶液形態のアクロレインを含有する脱水生成物へと脱水する工程であって、気相中のグリセリンに対するアクロレインの質量比は、水性アクロレイン溶液中でのグリセリンに対するアクロレインの質量比の2倍以上、好ましくは4倍以上、特に好ましくは10倍以上、最も好ましくは100倍以上である工程と、
b.前記脱水生成物を気相酸化して、アクリル酸を含有するモノマーガスを得る工程と、
c.前記モノマーガスをクエンチ手段に接触させて、アクリル酸を含有するクエンチ相を得る工程と、
d.前記クエンチ相を加工して、アクリル酸を含有するモノマー相を得る工程と、を含む。
【0037】
従って、発明に係る方法のこの具体的形態においてポリマーを製造する方法は、
A.少なくとも一部の水性アクロレイン溶液を気相へと移す液相脱水によって、水性グリセリン溶液形態のグリセリンを水性アクロレイン溶液形態のアクロレインを含有する脱水生成物へと脱水する工程であって、気相中のグリセリンに対するアクロレインの質量比は、水性アクロレイン溶液中でのグリセリンに対するアクロレインの質量比の2倍以上、好ましくは4倍以上、特に好ましくは10倍以上、最も好ましくは100倍以上である工程と、
B.前記脱水生成物を気相酸化して、アクリル酸を含有するモノマーガスを得る工程と、
C.前記モノマーガスをクエンチ手段に接触させて、アクリル酸を含有するクエンチ相を得る工程と、
D.前記クエンチ相を加工して、アクリル酸を含有するモノマー相を得る工程と、
E.モノマー相を重合化する工程と、を含む。
【0038】
気相酸化は、好ましくは200〜400℃、好ましくは250〜350℃、より好ましくは280〜340℃で実施する。
【0039】
本発明に係る方法では、モノマーガスは、モノマーガスに対して5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜30質量%の量でアクリル酸を含有することが更に好ましい。
【0040】
本発明に係る方法の別の形態では、水、もしくは沸点が50〜250℃、好ましくは70〜180℃、より好ましくは105〜150℃の有機化合物、又は水及びこの有機化合物を、工程c)におけるクエンチ手段として用いることが好ましい。このタイプの有機化合物は、特に芳香族化合物、より好ましくはアルキル化芳香族化合物であると考えられる。クエンチ手段は、一般に、好適なカラム、好ましくは対向流カラム内でモノマーガスと接触させる。クエンチ手段が50質量%以上、好ましくは70質量%以上の水を含有する場合、アクリル酸が充填された水性クエンチ手段を、好ましくはあまり水溶性でない分離手段を用いた別工程にて処理することが好ましい。アクリル酸が最も豊富な相に、蒸留又は結晶化のいずれか又は双方、好ましくはまず結晶化を行う。結晶化は、層状結晶化及び懸濁結晶化の双方で実施できる。好適な層状晶析装置は、Sulzer AGから購入できる。好適な懸濁結晶化工程は、一般に晶析装置、続いて洗浄カラムを用いる。かかる装置及び方法はNiro Prozesstechnologie B.V.から購入できる。抽出/分離手段は、特に芳香族化合物、より好ましくはアルキル香族化合物、更に好ましくはトルエンであると考えられる。有機化合物を分離手段として使用すべき場合、アクリル酸チャージされたこの有機化合物は、同様に蒸留及び結晶化又は双方の組み合わせに付すことができる。これに好適な結晶化はEP−A−1015410に開示されている。
【0041】
本発明に係る方法では、クエンチ相がモノマー相に対して30〜90質量%、好ましくは35〜85質量%、より好ましくは45〜75質量%のアクリル酸を含有することが更に好ましい。
【0042】
本発明に係る方法の別の形態では、クエンチ相の処理をアクリル酸の沸点以下の温度で行うことが好ましい。このため、好適な措置は、対応して冷たいクエンチ手段を用いてクエンチ相を既に40℃未満の温度とすることである。このように温度調節されたクエンチ相を、抽出もしくは結晶化又は双方の処理に導き、温度は好ましくは−40〜40℃、好ましくは−20〜39℃、特に好ましくは−10〜35℃とする。
【0043】
本発明に係る方法の別の態様によれば、モノマー相が、モノマー相に対して99〜99.98質量%のアクリル酸を含有することが好ましい。モノマー相中でのかかるアクリル酸含量は、処理を蒸留によって行う場合について特に該当する。抽出及び結晶化によって処理を行う場合、アクリル酸がモノマー相中に30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%、より好ましくは45〜65質量%の量で水とともに存在し、水及びアクリル酸以外の不純物はモノマー相に対して0.02質量%未満であることが好ましい場合もある。この水性モノマー相は、モノマー相の水性重合化において、高度に濃縮されたモノマー相を要する別の希釈工程を行うことなく、水性重合化する際に使用できる。
【0044】
更に、本発明は、アクリル酸を生成するための装置であって、
1a.脱水リアクタと、
2a.気相酸化リアクタと、
3a.クエンチユニットと、
4a.加工ユニットと、を備え、これらが互いに流体搬送可能な方式で接続されている装置に関する。
【0045】
更に、本発明は、ポリマーを生成するための装置であって、上記構成要素1a〜4aが互いに流体搬送可能な方式で接続され、重合化ユニット5bも備える装置に関する。
【0046】
流体搬送は、パイプ系、又はタンク輸送車等の他の気体、液体の輸送手段による各構成要素内又は構成要素同士の接続として理解される。
【0047】
本発明の装置では、脱水リアクタが上流から順に、グリセリンの収容に好適な化合物タンク、触媒の収容のために設計される反応領域、気相酸化リアクタへのラインを有するクエンチャを備えることが好ましい。これらの構成要素は、反応条件下で不活性であり化学工業で使用される一般材料、例えばステンレス鋼又はガラスから形成される。反応領域は、バルク材として触媒を収容する場合、適切な容器を備える。別の設計では、反応領域は、触媒として機能する壁も備えてよい。クエンチャは、水又は高沸点有機溶剤を導入できるカラムとして設計される。
【0048】
本発明に係る装置の別の態様は、化合物タンクの下流且つ反応領域の上流に蒸発器を備える。これら形態は、気相脱水に特に好適である。脂肪酸のケン化からの高塩負荷を有するグリセリンを用いる場合、蒸発器が塩分離器を備えることが好ましい。アクロレインを本発明に係る方法の上記特別形態に従って工程a’で蒸発させる場合、本発明に係る装置は、脱水リアクタ1a及び気相酸化リアクタ2aの間に配置された蒸発装置1a’を更に備え、蒸発装置1a’は蒸発装置2a’で得られた気相が気相酸化リアクタ2aへと導入される方法で、気相酸化リアクタ2aに接続される。
【0049】
本発明に係る装置の別の形態によればクエンチャへと案内する下部生成物排出口を備えることが好ましい。この構成は、液相脱水において格別である。本発明に係る装置の別の設計では、反応領域が、反応生成物を循環路内に導入できるように循環路に組み込まれることが好ましい。
【0050】
気相酸化リアクタはとしては、本発明に係る方法に好適であることが当業者に公知であって、気相酸化によってアクロレインをアクリル酸に転換できるすべての装置が考えられる。本明細書で好ましいのは、冷却剤、好ましくは融解塩で冷却されたパイプ束状リアクタ又は板状リアクタである。パイプ束状又は板状リアクタは、冷却剤が添加される側に好適な触媒を収容する。一方では原末として存在し、他方ではパイプ又は板の表面は触媒で塗布できる。
【0051】
好ましく使用されるクエンチユニットは、アクロレインからアクリル酸への大容量気相酸化で公知のタイプと同様である。このタイプのクエンチユニットは、カラム又は塔として形成され、リアクタに関しては、例えばDeggendorfer Werft GmbHから購入できる。加工ユニットも同様に、アクロレインからアクリル酸への大容量気相酸化で当業者に公知であるすべての蒸留、結晶化、抽出装置が考えられる。
【0052】
モノマー相の重合化である工程Eで用いる好適な重合化ユニットは、一方では不連続作動式撹拌容器であり、他方ではバルク重合化装置、押出機等の連続作動式撹拌系である。重合化リアクタに続いて、粉砕及び乾燥を行う。このようにして得られる超吸収剤前駆体は、更に仕上げ又は後架橋に付す。これに関する更なる詳細は、Graham and Buchholzの上記文献に見出される。前記ポリマーが架橋された部分中和ポリアクリレートである場合、Wiley−VCH、New York、1998 中の“Modern SuperabsorbentPolymer Technology”、F.L.Buchholz and A.T.Graham(編集者)第3章の正確な手順(第69頁、以下参照)を援用でき、本明細書の一部をなす。
【0053】
アクリル酸の生成方法又は本発明に係るポリマーの生成方法は、上記し又は図面にてより詳細に表す装置を用いて行う。
【0054】
このようにして、特に好適な超吸収剤として、吸水性ポリマー構造が得られる。
【0055】
上記目的の解決は、架橋剤の存在下での上記合成工程によって得られるアクリル酸のラジカル重合で得られた吸水性ポリマー構造によってもなされる。
【0056】
上記目的の解決は、25質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、最も好ましくは95質量%以上のアクリル酸系の吸水性ポリマー構造であって、吸水性ポリマー構造の生成で用いたアクリル酸モノマーの80質量%以上、好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上が非化石の再生可能有機材料から開始する合成工程によって得られたものである吸水性ポリマー構造によってなされる。非化石の再生可能有機材料は、特に、石油、又は石炭もしくは褐炭並びに天然ガスから生成されていない材料である。非化石の再生可能有機材料は、むしろ農業及び林業の製品であり、特にグリセリン及び脂肪酸由来の油脂及び油である。
【0057】
好ましくは、これら吸水性ポリマー構造は、
i)架橋剤の存在下でアクリル酸を重合化してポリマーゲルを形成する工程と、
ii)前記ポリマーゲルを任意に粉砕する工程と、
iii)任意に粉砕されたポリマーゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造を得る工程と、
iv)吸水性ポリマー構造を任意に表面後処理する工程と、を含む方法によって得られるものである。
【0058】
本発明に係る吸水性ポリマー構造の特定の形態によれば、25質量%以上、好ましくは35質量%以上、最も好ましくは45質量%以上の天然生分解性ポリマー系であり、好ましくはセルロース又はスターチといった炭水化物系である。
【0059】
好ましい本発明に係るポリマー構造は、繊維、発泡体、又は粒子であり、繊維及び粒子が好ましく、粒子が特に好ましい。
【0060】
好ましい本発明に係るポリマー繊維は、織物用糸内又は織物用糸として組み込み、織物中に直接組み込むことができるように設計される。本発明によれば、ポリマー繊維は1〜500mm、好ましくは2〜500mm、特に好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、特に好ましくは5〜60デニールの径を有することが好ましい。
【0061】
好ましい本発明に係るポリマー粒子は、ERT 420.2−02に基づく平均粒子径が10〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、特に好ましくは150〜850μmであるように設計されている。粒子径300〜60μmの粒子の分布が50質量%以上、特に好ましくは75質量%以上であることが更に好ましい。
【0062】
本発明によれば、吸水性ポリマー構造は、ERT 441.2−02(ERT:Edana推奨試験法)に基づいて測定されるCRC値(CRC:遠心分離保持能力)が20g/g以上、好ましくは25g/g以上、最も好ましくは30g/g以上であること、ERT 442.2−02に基づく20g/cmの圧力下での吸収が15g/g以上、好ましくは17.5g/g以上、最も好ましくは20g/g以上であること、の1以上の特性を有することが更に好ましい。
【0063】
CRC値及び圧力下吸収値は150g/gを超えない。
【0064】
上記目的の別の解決は、
(β1)前記ポリマー構造が25質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、最も好ましくは95質量%以上のアクリル酸系であり、吸水性ポリマー構造の調製に用いたアクリル酸モノマーの80質量%以上、好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上が、非化石の再生可能有機材料から開始する合成過程によって得られたものであること、
(β2)前記ポリマー構造は、指針67/548/EWGの付録Vの易生分解性試験に従って28日後に測定した生分解性が25%以上、好ましくは35%以上、最も好ましくは45%以上であり、上限として75〜95%を一般に超えないこと、及び
(β3)前記ポリマー構造は、ERT 441.2−02に従って測定したCRC値が20g/g以上、好ましくは25g/g以上、最も好ましくは29g/g以上であり、上限としてのCRC値60g/gを一般に超えないこと、という特性によって特徴付けられる吸水性ポリマー構造によってなされる。
【0065】
前段落で上記したポリマー構造の別の態様では、ポリマー構造が少なくとも特性β1及びβ2を有する。本明細書で与えられるポリマー構造別の全応用例は、この段落のポリマー構造にも妥当する。
【0066】
上記目的の解決は、ポリマー構造に対して10以上、好ましくは25以上、特に好ましくは50以上、より好ましくは75以上、より好ましくは80質量%以上のアクリル酸系吸水性ポリマー構造であって、
(ε1)前記ポリマー構造は、安定係数が10以上、好ましくは20以上、特に好ましくは50以上、より好ましくは75以上、更に好ましくは85以上、より好ましくは95以上であること、
(ε2)指針67/548/EWGの付録Vの易生分解性試験に従って28日後に測定した生分解性が25%以上、好ましくは35%以上、最も好ましくは45%以上であり、75〜95%の上限を一般に超えないこと、及び
(ε3)前記ポリマー構造は、ERT 441.2−02に従って測定したCRC値が20g/g以上、好ましくは25g/g以上、最も好ましくは29g/g以上であり、CRC値が上限60g/gを一般に超えないことによって特徴付けられる吸水性ポリマー構造によってなされる。
【0067】
上記のポリマー構造の別の形態では、ポリマー構造が少なくとも特性ε1及びε2を備える。本明細書で与えられるポリマー構造別の全応用例は、この段落のポリマー構造にも妥当する。
【0068】
いくつかの場合、上記の上限が10%以下、又は20%以下低くてもよい。上記ポリマー構造は、アクリル酸に加え、ジ−又はポリ糖系であることがより好ましい。ポリ糖類は、好ましくはポリマー構造の別成分として、吸水性ポリマー構造成分の質量%の総和が100質量%となるように、ポリマー構造に対して1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上の量で存在する。これらのタイプの糖類としては、ゲル透過クロマトグラフィ及び光散乱で測定される数平均分子量が10,000〜1,000,000g/mol、好ましくは50,000〜500,000g/molであるものが好ましい。これらは、好ましくは直鎖、つまり非分岐鎖からなる。当業者に公知であって好適と思われるすべての糖化合物は、このタイプの糖類であると考えられる。例えば、セルロース及びスターチが挙げられ、異なるスターチの1種又は2種以上が好ましい。スターチの中でも、アミラーゼ含有スターチが好ましい。アミラーゼ含量は、好ましくはスターチに対して10〜80質量%、特に好ましくは20〜70質量%である。ジ−又はポリ糖類は、粒子の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上が粒子径50μm未満であることが更に好ましい。粒子径は篩分析によって決定する。かかる製品は、例えば、Eurylon(登録商標)7又はForalys(登録商標)380の製品名でRoquette、Franceから供給されている。
【0069】
かかる吸水性ポリマー構造は、好ましくは表面架橋吸水性ポリマーを準備し、表面架橋吸水性ポリマーをジ−又はポリ糖と混合することで調製でき、得ることができる。
【0070】
吸水性ポリマーは、50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは95質量%のアクリル酸系であることが好ましく、このアクリル酸は部分中和し架橋剤を用いる重合化で用いられる本発明の脱水方法から得られる。
【0071】
安定係数は、非化石の再生可能有機材料からなる材料系であるポリマー構造の割合を与える。安定係数が100ということは、ポリマー構造が完全に非化石の再生可能有機材料系であることを意味する。
【0072】
上記目的の別の解決は、架橋剤存在下での上記合成方法で得られるアクリル酸のラジカル重合によって得られる本発明に係る吸水性ポリマー構造又は吸水性ポリマー構造を含むコンポジットによってなされる。本発明に係るポリマー構造及び基材は、互いに強固に結合されていることが好ましい。基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリアミドといったポリマーからなるシート、金属、不織布、綿毛、ティッシュ、織物、天然又は合成繊維、他の発泡体が好ましい。本発明によれば、ポリマー構造は、コンポジット中に、ポリマー構造及び基材に対して50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上の量で含まれることが更に好ましい。
【0073】
本発明に係るコンポジットの特に好ましい形態では、コンポジットは、WO−A−02/056812にて「超吸収材料」として記載されたシート様コンポジットである。特にコンポジットの正確な構築、ユニット領域当たりの質量並びにその組成及び厚みに関するWO−A−02/056812の開示は、援用によって本明細書の一部をなす。
【0074】
上記目的の別の解決は、架橋剤の存在下、上記合成方法によって得られるアクリル酸のラジカル重合で得られる本発明に係る吸水性ポリマー構造又は吸水性ポリマーと、基材と、任意に添加剤と、を互いに接触させるコンポジットの製造方法でなされる。基材としては、本発明に係るコンポジットに関連して上記した基材が好ましく使用される。
【0075】
上記目的の解決は、上記方法によって得られるコンポジットによってもなされる。
【0076】
上記目的の解決は、本発明に係る吸水性ポリマー構造又は本発明に係るコンポジットを含有する化学製品によっても達成される。好ましい化学製品は、特に発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、封止剤、液体吸収性衛生用品、特におむつ及び生理用ナプキン、植物又はカビ成長促進剤又は植物保護剤の担体、建材用添加剤、包装材又は土壌添加剤である。好ましい化学製品は、上層と、下層と、これら上層及び下層の間に位置する中間層とを備え、本発明に係る吸水性ポリマー構造を含む衛生用品である。
【0077】
更に、本発明は、アクロレインの精製方法であって、グリセリンからアクロレインを含有する脱水生成物への上記脱水方法、及びこの脱水の上記好ましい形態によって特徴づけられる方法に関する
【0078】
本発明は、更に本発明に係る方法によって得られるアクリル酸又はその誘導体もしくは塩系である繊維、シート、接着剤、化粧料、成形材料、織物及び皮添加剤、凝集剤、塗料又はワニスに関する。アクリル酸の誘導体としては、特にエステル、好ましくはアルキルエステル、より好ましくはC〜C10、より好ましくはC〜C、より好ましくはC〜Cアルキルエステルが挙げられる。塩としては、アクリル酸のアルカリ又はアルカリ土類及びアンモニア塩が挙げられる。
【0079】
本発明は、更に本発明に係る方法によって得られたアクリル酸の又はその誘導体もしくは塩の、繊維、シート、接着剤、化粧料、成形材料、織物及び皮添加剤、凝集剤、塗料又はワニスとしての使用に関する。
【0080】
次に、非限定の図面及び実施例によって、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
図1では、まず油又は油脂が鹸化部1に導入され、塩基又はアルカリアルコラートを用いてアルカリケン化が生じる。塩析及び蒸留といった周知の精製工程によって鹸化部内で製造されたグリセリンは、次に、脱水リアクタ2を有する脱水ユニットに導かれる(グリセリンからアクロレインを製造するため)。このようにして製造されるアクロレインは、続いて次工程において気相反応リアクタ3へと導かれ、気相酸化反応によってアクリル酸へと転換される。気相反応リアクタ3の後、クエンチユニット4において、気相反応リアクタ3からのアクリル酸含有ガスを、クエンチ手段と接触させることによって液相に移す。クエンチ手段及びアクリル酸の液体混合物は、クエンチユニット4に続く加工ユニット5へと導かれる。ここで、アクリル酸は、結晶化もしくは蒸留又はこれら二工程の組み合わせ、抽出、又は抽出及び結晶化の組み合わせ、抽出及び蒸留の組み合わせ、抽出−蒸留及び蒸留の組み合わせのいずれかによって純アクリル酸(アクリル酸99.98%以上)へと精製され、アクリル酸は、純アクリル酸のみで存在し又は水相中に存在する。このように得られるアクリル酸は、次に重合化ユニット6に導かれる。重合化ユニット6中で得られたポリマーは、後の用途に応じて加工できる。結合剤及び創傷被覆材の精製装置といった別の加工ユニットが重合化ユニット6の後に続いてもよい。
【0082】
図2は気相脱水ユニットを示し、化合物タンク7が蒸発器12に接続されている。蒸発器12は、反応領域9の蒸留に接続されている。加圧可能な反応領域9は触媒8を備える。蒸発器12及び反応領域9の双方は、加熱エレメント21を備え、これにより蒸発に必要な温度及びグリセリンの脱水がなされる。反応領域9は、下部排出口13を介してクエンチャ10に接続されている。クエンチャ10は、その上部領域において、下部生成物排出口13に加えてクエンチ液供給部16を受容する。クエンチャ10の下部領域には、副産物17の捕集タンクが設けられ、この補綴タンクは排出弁19によって中身を放出できる。クエンチャ10の上部領域は排出ライン11を更に受容し、この排出ライン11はアクロレインを含有する脱水生成物を気相反応リアクタ3へと導く。これらの後に、クエンチユニット4が続く。
【0083】
図3は液相脱水装置を示し、化合物タンク7内に配置されている。この化合物タンク7は加圧可能な反応領域9の上部領域に接続されており、反応領域9は触媒8を備える。反応領域9は、加熱エレメント21によって温度調節されている。反応領域9の下部領域にはバッファタンク18が設けられている。このバッファタンク18はポンプによって反応領域と循環路を形成し、ポンプを介して、反応領域9及びバッファタンク内に位置するグリセリン及びアクロレインを循環路へと導くことができる。反応領域9の上部領域にはクエンチャ10への移送ラインが設けられており、この移送ラインはクエンチ液供給部16とともにクエンチャ10の上部領域へとつながる。クエンチャ10の上部領域には気相反応リアクタ3への排出ライン11も設けられ、気相反応リアクタ3の後にはクエンチユニット4が続いている。反応領域9の下部領域において、排出弁9が設けられた副産物17の捕集タンクが開口を有する。
【0084】
図4では、気相反応リアクタ3からのガスがクエンチユニット4へと導入され水と接触されて吸収され、前合成工程から生じる副産物の一部が含まれる水性アクリル酸溶液が、吸収液体として得られる。この水性アクリル酸溶液は、供給ライン22を介して抽出ユニット23へと導かれる。抽出ユニット23の最終部では、アクリル酸溶液が、分離剤(TM)としてのトルエンと接触される。ユニット23内で慎重に混合を行うと、相分離が生じて、実質的に水系の上相、及び実質的に分離剤としてのトルエン系である下相が形成される。実質的に分離剤系の相は、供給ライン24を介して晶析装置25に導かれるところ、この晶析装置25は好ましくはスクラッチクーラである。晶析装置25内の結晶懸濁液は、続いて懸濁液管26によって洗浄カラム27へと導かれ、洗浄カラム27内でアクリル酸結晶の分離が行われる。この間、分離剤を含有する母液は保持される。アクリル酸結晶の分離後に洗浄カラムで得られる母液は、好ましくは、少なくとも一部が母液管28を介して抽出ユニット23へと戻される。抽出ユニット23内の実質的に水系の上相は、クエンチ管29を介してクエンチユニット4へと戻される。本発明に係る方法及び本発明に係る装置の好ましい設計において、組成物中に残存するアクリル酸は、組成物からクエンチ管29内で結晶化することで分離でき、かかる分離は懸濁晶析装置又は層晶析装置等の別の精製装置30によって実施できる。本発明に係る方法及び本発明に係る装置の別の形態では、母液管28内に導かれた組成物(結晶化の間に分離された母液)が、分離ユニット31によって戻される前に他の不純物から分離されることが更に好ましい。分離ユニットは、好ましくは、同様に懸濁晶析装置もしくは層晶析装置又はフィルタである。
【0085】
図5は、ラインA〜Cを介して水、グリセリン、必要に応じてリン酸等の無機酸といった触媒がプレミキサ32内で任意に混合され、脱水リアクタ2へと導かれる旨を示す。脱水リアクタ2はステンレス鋼製の加圧リアクタである。液相中でのグリセリンのアクロレインへの脱水は、ここで行われる無機酸といった可溶性で均一分配可能な触媒を用いる場合、NaOH等の塩基をラインDを介し通常溶液の形態で添加することで、少なくとも部分的に中和することが有利である。この措置は、望ましくない副産物を誘発し得る更なる反応を抑制することに寄与する。その後、蒸留装置33が続く。この蒸留装置33は、上部に揮発領域34を、下部に高温ボイラ領域35を備えており、脱水からのアクロレインを含有する相は領域34及び35の間に導入される。揮発領域34では、アクロレインよりも低沸点の成分が排出ラインEから導出され、いまだ残留するアクロレイン及び高沸点成分は還流される。蒸留器底部に位置する高温ボイラ領域35には、高温ボイラが接続されている。ここで残油は、循環路内に導くことが有利である。アクロレインよりも高沸の成分は、高温ボイラ領域から排出され、高温ボイラポンプを介して高温ボイラ分離器37へと導かれる。高温ボイラ分離器には膜が設けられていることが有利である。高温ボイラ分離器37を通過後、主に水及びグリセリンを含有する混合物は、高温ボイラから解放されてプレミキサ32へと戻され、脱水に再利用される。このように、効率的なグリセリンのアクロレインへの脱水は、蒸留器33からの得られたアクロレインが長時間の気相酸化に充分な程度に高純度であり、気相反応リアクタ3へと導かれ、供給ラインFを通じてアクロレインに導入される空気で酸化されて排出ラインGから導出される循環路によって達成できる。
【0086】
【実施例】
【0087】
実施例1 気相中での脱水
図2で示される気相脱水装置(点線で囲まれる)において、リアクタ領域9内に触媒を設けた。この触媒は、3mm径のローゼンタールボール(α−Al)100質量部から、20質量%リン酸25質量部と1時間にわたり混合し、次に80℃での回転蒸発(H値は−5.6〜−3)によって過剰の水から分離することで得た。295℃の蒸発器内で蒸発させたグリセリンは、20質量%水溶液として、ポンプを用いて270℃、40ml/hで、反応領域内のスチール管中の触媒100mlへと搬送した。アクロレインを含有する反応混合物を、クエンチャ内のクエンチ手段としての水と接触させ、得られた水性混合物を、アクロレインのアクリル酸への気相酸化のための従来のリアクタ内で気相酸化した。
【0088】
実施例2 液相脱水
図3に示す装置において、実施例1で説明した触媒を液相脱水(点線で囲まれる)に用い、ローゼンタールボールの代わりに、二酸化ケイ素担体を用いた(H値は2〜− 3)。反応温度は240℃であった。クエンチ手段として水を用いた。アクロレイン合成に続き、従来の気相酸化リアクタ内で実施例1のように気相酸化を行い、続いてクエンチユニット内、水中での吸収を行った。
【0089】
実施例1及び2で得たアクリル酸−水混合物を、0℃に温度調節したガラス分離漏斗内で、0.5体積部のトルエンと混合した。混合物を激しく振動し、相分離できるよう60分間放置した。生じた二相を分離した。トルエン含有相を共沸蒸留に付し、得られたアクリル酸を、重合化に用いる前に蒸留した。
【0090】
気相脱水、又は液相脱水後に気相酸化を行うことによって得られたアクロレインから得たアクリル酸中に、不純物としてのPTAはガスクロマトグラフィでは確認できなかった。
【0091】
実施例3 重合化
上記アクリル酸280gからなるモノマー溶液から溶存酸素を除去し、窒素流にて70モル%の水酸化ナトリウム、水466.8g、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート1.4g、及びアリルオキシポリエチレングリコールアクリル酸エステル1.68gを流通することで中和し、モノマー溶液を開始温度4℃へと冷却した。開始温度に到達後、開始剤溶液(10gHO中の2,2−アゾビス−2−アミジンプロパンジヒドロクロリド0.1g、10gHO中のペルオキシ二硫酸ナトリウム0.3g、1gHO中の30%過酸化水素溶液0.07g、2gHO中のアスコルビン酸0.015g)を添加した。約100℃の終了温度に到達すると、形成されたゲルが粉砕され、150℃にて90分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗くきざみ、すり潰し、粒子径150〜850μmの粉末へと篩い分けた。
【0092】
後架橋のため、上記粉末100gを1,3−ジオキサラン−2−オン1g、水3g、及び硫酸アルミニウム−18−水和物0.5 gと混合し、続いて180℃に設定したオーブン内で40分間加熱した。
【0093】
実施例4 生分解性ポリマーの調製
実施例3で得た後架橋ポリマーを、乾燥条件下、水溶性小麦スターチ(Foralys(登録商標)380(Roquette、Lestrem、France製))と質量比4:1(ポリマー:スターチ)で混合し、続いて回転ミキサ型BTR10(Frobel GmbH、Germany)内で45分間均質化した。
【0094】
生成物は、28日後の易生分解性試験にて39%の生分解性であり、CRC値が29.9g/gであった。安定係数は約0.99であった。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る方法及び本発明に係る装置の各段階及び工程の概略構成図である。
【図2】気相脱水ユニットを示す図である。
【図3】液相脱水ユニットを示す図である。
【図4】加工ユニットを示す図である。
【図5】別の形態に係る液相脱水ユニットを示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1 鹸化部
2 脱水リアクタ
3 気相反応リアクタ
4 クエンチユニット
5 加工ユニット
6 重合化ユニット
7 化合物タンク
8 触媒
9 反応領域
10 クエンチャ
11 排出ライン
12 蒸発器
13 下部生成物排出口
14 上部生成物排出口
15 ポンプ
16 クエンチ液供給部
17 副産物捕集タンク
18 バッファタンク
19 排出口弁
20 循環路
21 加熱エレメント
22 供給ライン
23 抽出ユニット
24 供給ライン
25 晶析装置
26 懸濁液管
27 洗浄カラム
28 母液管
29 クエンチ管
30 精製装置
31 分離ユニット
32 プレミキサ
33 蒸留器
34 揮発領域
35 高温ボイラ領域
36 高温ボイラポンプ
37 高温ボイラ分離器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸を製造する方法であって、
a.アクロレインを含有する脱水生成物へとグリセリンを脱水する工程と、
b.前記脱水生成物を気相酸化して、アクリル酸を含有するモノマーガスを得る工程と、
c.前記モノマーガスをクエンチ手段に接触させて、アクリル酸を含有するクエンチ相を得る工程と、
d.前記クエンチ相を加工して、アクリル酸を含有するモノマー相を得る工程と、を含む方法。
【請求項2】
アクリル酸のラジカル重合によってポリマーを生成する方法であって、
A.アクロレインを含有する脱水生成物へとグリセリンを脱水する工程と、
B.前記脱水生成物を気相酸化して、アクリル酸を含有するモノマーガスを得る工程と、
C.前記モノマーガスをクエンチ手段に接触させて、アクリル酸を含有するクエンチ相を得る工程と、
D.前記クエンチ相を加工して、アクリル酸を含有するモノマー相を得る工程と、
E.前記モノマー相をラジカル重合する工程と、を含む方法。
【請求項3】
前記ポリマーは、吸水性ポリマー構造である請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記吸水性ポリマー構造は、
i)架橋剤の存在下でアクリル酸を重合化してポリマーゲルを形成する工程と、
ii)前記ポリマーゲルを任意に粉砕する工程と、
iii)任意に粉砕されたポリマーゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造を得る工程と、
iv)吸水性ポリマー構造を任意に表面後架橋処理する工程と、を含む方法によって得られるものである請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記アクリル酸は、前記モノマーに対して20モル%以上で塩として存在する請求項2から4いずれか記載の方法。
【請求項6】
前記グリセリンは、油脂のケン化から得られたものである請求項1から5いずれか記載の方法。
【請求項7】
グリセリンは、天然原料からの液体燃料の生成において得られたものである請求項1から6いずれか記載の方法。
【請求項8】
前記脱水を、液相において少なくとも部分的に生じる請求項1から7いずれか記載の方法。
【請求項9】
前記脱水は、気相において少なくとも部分的に生じる請求項1から7いずれか記載の方法。
【請求項10】
前記グリセリンを水相において用いる請求項1から9いずれか記載の方法。
【請求項11】
脱水触媒を用いる請求項1から10いずれか記載の方法。
【請求項12】
前記脱水触媒を担体xと接触させる請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記担体xは、DIN 66133による総細孔容積が0.1〜1.5ml/gの固体である請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記脱水触媒は、無機酸である請求項11から13いずれか記載の方法。
【請求項15】
前記脱水触媒は、溶液中に存在する請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記気相酸化は、原子もしくは化学的結合又はこれらの双方の形態にある遷移金属を含有する酸化触媒の存在下で生じる請求項1から15いずれか記載の方法。
【請求項17】
前記脱水生成物を、水相中で気相酸化に導く請求項1から16いずれか記載の方法。
【請求項18】
前記気相酸化は、200〜400℃の温度で生じる請求項1から17いずれか記載の方法。
【請求項19】
前記モノマーガスは、前記モノマーガスに対して5〜50質量%の量で前記アクリル酸を含有する請求項1から18いずれか記載の方法。
【請求項20】
前記クエンチ手段は、水、沸点50〜250℃の有機化合物、又は水及び前記有機化合物を含む請求項1から19いずれか記載の方法。
【請求項21】
前記クエンチ相は、前記モノマー相に対して30〜90質量%の量で前記アクリル酸を含有する請求項1から20いずれか記載の方法。
【請求項22】
前記加工は、前記アクリル酸の沸点以下の温度で行う請求項1から21いずれか記載の方法。
【請求項23】
前記加工は、抽出もしくは結晶化又は双方によって行う請求項1から22いずれか記載の方法。
【請求項24】
アクリル酸を生成するための装置であって、
1a.脱水リアクタ(2)と、
2a.気相酸化リアクタ(3)と、
3a.クエンチユニット(4)と、
4a.加工ユニット(5)と、を備え、これらが互いに流体搬送可能な方式で接続されている装置。
【請求項25】
ポリマーを生成するための装置であって、
1b.脱水リアクタ(2)と、
2b.気相酸化リアクタ(3)と、
3b.クエンチユニット(4)と、
4b.加工ユニット(5)と、
5b.重合化ユニット(6)と、を備え、これらが互いに流体搬送可能な方式で接続されている装置。
【請求項26】
前記脱水リアクタ(2)は、上流から順に、化合物タンク(7)と、触媒(8)を収容する反応領域(9)と、気相酸化リアクタ(3)へのライン(11)を有するクエンチャ(10)と、を備える請求項24記載の装置。
【請求項27】
前記化合物タンク(7)の下流且つ前記反応領域(9)の上流に蒸発器(12)が設けられている請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記反応領域(9)は、前記クエンチャ(10)へと導く下部生成物排出口(13)を備える請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記反応領域(9)は、前記クエンチャへと導く上部生成物排出口(14)を備える請求項28記載の装置。
【請求項30】
請求項24又は26から29いずれか記載の装置において実施する請求項1又は5から23いずれか記載の方法。
【請求項31】
請求項24から29いずれか記載の装置において実施する請求項2から23いずれか記載の方法。
【請求項32】
請求項3から23いずれか記載の方法又は請求項31記載の装置によって得られる吸水性ポリマー構造。
【請求項33】
任意に部分中和されたアクリル酸系吸水性ポリマー構造であって、80%以上の安定係数によって特徴づけられるポリマー構造。
【請求項34】
吸水性ポリマー構造の総質量に対して、25質量%以上の天然生分解性ポリマー系である請求項33記載の吸水性ポリマー構造。
【請求項35】
吸水性ポリマー構造であって、
(β1)25質量%以上のアクリル酸系であり、前記吸水性ポリマー構造の調製に用いたアクリル酸モノマーの80質量%以上が、非化石の再生可能有機材料から開始する合成過程で得られたものであること、
(β2)指針67/548/EWGの付録Vの易生分解性試験に従って28日後に測定した生分解性が25%以上であること、及び
(β3)ERT 441.2−02に従って測定したCRC値が20g/g以上であることによって特徴付けられる吸水性ポリマー構造。
【請求項36】
吸水性ポリマー構造であって、
ポリマー構造に対して10質量%以上のアクリル酸系吸水性ポリマー構造であって、(ε1)安定係数が10以上であること、
(ε2)指針67/548/EWGの付録Vの易生分解性試験に従って28日後に測定した生分解性が25%以上であること、及び
(ε3) ERT 441.2−02に従って測定したCRC値が20g/g以上であることによって特徴付けられる吸水性ポリマー構造。
【請求項37】
請求項32から36いずれか記載の吸水性ポリマー構造を含むコンポジット。
【請求項38】
請求項37記載のコンポジットを生成する方法であって、前記吸水性ポリマー構造及び基材を互いに接触させることを含む方法。
【請求項39】
請求項38記載の方法によって得られるコンポジット。
【請求項40】
上部シートと、下部シートと、これら上部シート及び下部シートの間に位置する中間シートと、を備える衛生用品であって、請求項32から36いずれか記載の吸水性ポリマー構造を有する衛生用品。
【請求項41】
請求項1又は5から23又は30いずれか記載の方法によって得られるアクリル酸又はその誘導体もしくは塩系の繊維、シート、成形品、織物及び皮添加剤、凝集剤、塗料、又はワニス。
【請求項42】
請求項1又は5から23又は30いずれか記載の方法によって得られるアクリル酸又はその誘導体もしくは塩の、繊維、シート、成形品、織物及び皮添加剤、凝集剤、塗料、又はワニスにおける使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−531628(P2008−531628A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557408(P2007−557408)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001831
【国際公開番号】WO2006/092272
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(500001596)シュトックハウゼン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (7)
【氏名又は名称原語表記】Stockhausen GmbH
【住所又は居所原語表記】Baekerpfad 25, D−47805 Krefeld, Germany
【Fターム(参考)】