アザビシクロオクタン−3−オン誘導体及びその使用
アザビシクロオクタン−3−オン誘導体及びその使用
【化32】
式(I)の化合物、その製造方法、それを含む医薬組成物。増殖亢進性疾患、例えば癌並びに自己免疫疾患及び心疾患のための式(I)の化合物の使用。
【化32】
式(I)の化合物、その製造方法、それを含む医薬組成物。増殖亢進性疾患、例えば癌並びに自己免疫疾患及び心疾患のための式(I)の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアザビシクロオクタン−3−オン誘導体及び治療におけるその使用に関する。より詳しくは、本発明は例えば癌、自己免疫疾患及び心疾患のような障害及び疾患の治療のためのアザビシクロオクタン−3−オン誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍における突然変異の最も一般的な標的はp53遺伝子である。全てのヒトの腫瘍の概ね半数がこの遺伝子において突然変異を有するという事実は、腫瘍抑制剤としてのその重要な役割について明確な証明となっている。p53は種々のストレス刺激、例えばDNA損傷、低酸素及び癌遺伝子活性化に応答して細胞周期の停止及び/又はアポトーシスのトリガーを行う(Ko and Prives,1996;Sherr,1998)。活性化により、p53はp53DNA結合モチーフを担持した特定の標的遺伝子の転写性の転写活性を介してp53依存性の生物学的応答を開始する。更にまた、多面性を有するp53蛋白はp53結合部位を欠いた特定の遺伝子の抑制及び転写非依存性の機序を介してアポトーシスを促進する場合がある(Bennett et al.,1998;Gottlieb and Oren,1998;Ko and Prives,1996)。ヒト腫瘍中の多数の突然変異体p53遺伝子の分析によれば、p53の特異的DNA結合機能を不活性化する突然変異の強力な選択が明らかになり;腫瘍における大部分の突然変異は特異的DNA結合活性を保有するp53のコアドメイン(残基94〜292)内にクラスタリングした点突然変異である(Beroud and Soussi,1998)。
【0003】
p53誘導の細胞周期停止及びアポトーシスの両方はp53媒介腫瘍抑制に関与していると考えられる。p53誘導の細胞周期停止は種々の態様において逆行されると考えられるが、p53誘導の細胞死は非可逆的であるという利点を有する。実際に、p53依存性のアポトーシスが特に腫瘍形成性のシグナリングに応答した発生中の腫瘍の排除において主要な役割を果たしていることを示す動物のインビボモデル(Symonds et al.,1994)及びヒト腫瘍(Bardeesy et al.,1995)から得られる証拠が存在する。更にまた、アポトーシスを誘導するp53の能力は癌治療の抗力を決定する場合が多い(Lowe et al.,1994)。ヒト腫瘍の50%超がp53突然変異を有しているという事実を考慮すれば、野生型のp53媒介の生育抑制の機能を腫瘍に回復させることが高度に望ましいと考えられる。この方法の利点はそれが突然変異p53を保有する腫瘍細胞の選択的排除を可能にするという点である。腫瘍細胞は恐らくは2つの主要な理由によりp53再活性化に対して特に感受性である。第1に、腫瘍細胞は癌遺伝子活性化のためにアポトーシスに対して感作される(Evan and Littlewood,1998において考察)。第2に、突然変異p53蛋白は腫瘍細胞内で高レベルに蓄積する傾向がある。従って、大量で恐らくは「活性化されている」突然変異体p53への野生型の機能の回復は既に感作されている腫瘍細胞における大規模なアポトーシス応答をトリガーするはずであり、一方、低レベル又は検出不可能なレベルのp53を発現する正常細胞は影響を受けないはずである。抗癌手法としてのp53の再活性化の実現性は広範な突然変異体p53蛋白が再活性化されやすいという事実により支援される。従ってp53誘導アポトーシスを確保することに基づく治療手法は強力でありかつ広範に適用可能である。
【0004】
p53経路の機能不全は一般的に多くの疾患、例えば上記したものに関与している。実際、増殖亢進性の疾患、例えば癌のほかに、種々の研究者等は多くの他の疾患状態、例えば自己免疫疾患及び心疾患における欠損p53機能の関与を示している。
【0005】
即ちMountz et al.,(1994)の論文において、ヒト自己免疫疾患はリンパ球(SLE)、滑膜細胞(RA)及び線維芽細胞(硬皮症)を含む種々の細胞型の形成と破壊との間の不均衡の共通した特徴を共有していることが記載されている。アポトーシスを調節する癌遺伝子、例えばbcl−2、p53及びmycもまた異常に発現される。著者等によれば、副作用を被ることなくアポトーシスを誘発する特定の治療法は自己免疫疾患の治療を向上させるはずである。
【0006】
Bonafe M et al.(2004)はp53コドン72多形が、心筋虚血のような年齢関連の病的状態の内容に潜在的に関係している高齢者のアポトーシス感受性における遺伝子的に決定された変動性に寄与していることを示唆するデータを示している。
【0007】
Okuda et al.(2003)はp53がサイトカイン生産の制御及び/又は炎症細胞のアポトーシス性排除を介して実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の調節過程に関与していることを示唆する結果を示している。中枢神経系(CNS)の自己免疫性炎症性疾患のモデルとしてのEAEはヒト疾患の多発性硬化症の広範に使用されているモデルである。
【0008】
総括すれば、これ等の所見は多くの障害及び疾患においてp53機能の薬理学的回復が有益であることを示唆している。
【0009】
本発明は化合物PRIMA−1(即ち2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン)(WO02/24692に開示)が突然変異体p53を有する細胞のアポトーシスを誘導することができることを発見している。その後、同じ結果を示したPrima−1の一部の類縁体も発見した(WO03/070250)。しかしなお、p53の機能不全に関連する障害及び疾患の治療において活性を有する化合物が一般的に要求されている。好ましくはこのような化合物は進歩した薬物動態および薬力学的な特性を有するはずである。本発明の1つの主要な目的はこのような化合物を提供することである。
【0010】
本発明者等は意外にもp53の機能不全に関連する障害及び疾患の治療において高い活性を示す数種のアザビシクロオクタン−3−オン誘導体を発見した。それらは高い力価を示すのみならず、高い細胞取り込みを可能にするそのより高いcLogP値により極めて望ましいADME特性を有すると考えられる。類縁体の数種はPirma−1のプロドラッグとも考えられる。
【0011】
本発明のアザビシクロオクタン−3−オン誘導体は増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患の治療において、そして特に、p53経路の機能不全が関与する障害の治療において潜在的に有用であると考えられ、そして、この発見が本発明の根拠となる。更にまた、本発明の化合物は後述する通り、上記した障害の治療のために明確な別の作用も有すると考えられる。
【0012】
2−置換3−キヌクリジノンは生物学的な意味では既に報告されているが、上記した治療分野では報告されていない。即ち、2−[N'−(O−アルコキシフェニル)ピペラジノメチル]−3−キヌクリジノン(Biel et al.米国特許3,598,825)は神経系の抑制剤として記載されており、そして、アミン置換2−メチレン3−キヌクリジノンは抗細菌剤(Elkin et al.米国特許3,726,877)及び抗鬱剤(Biel et al.米国特許3,462,442)として記載されている。
【0013】
Biel等は米国特許3,384,641において、加熱によりアミンを放出する中間体を形成するためにアミンに2−メチレン−3−キヌクリジノンを反応させる方法を記載している。即ち中間体はアミンの精製に使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
1つの特徴によれば、本発明は増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患から選択される障害の治療のための医薬の製造のための、下記式(I):
【0015】
【化5】
【0016】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−R5、−CH2−O−SO2−R5、−CH2−S−R5、−CH2−NR4R5、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、そして場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただし、R1及びR2が共に−CH2−OR5である場合は、R5はHではなく;そして、
R1及びR2の一方がHであり他方が−CH2−NR4R5である場合は、R4及びR5は置換又は未置換の単環のアリールではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、製薬上許容しうるその塩またはプロドラッグの使用に関する。
別の特徴によれば、本発明は突然変異体p53、又は、より一般的には、機能不全のp53シグナリング経路に関連する疾患の治療のための式(I)の化合物又は製薬上許容しうるその塩又はプロドラッグの使用を提供する。
別の特徴によれば、本発明は増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患から選択される疾患の治療の必要な哺乳類に式(I)の化合物の治療有効量を投与することによる該疾患の治療方法を提供する。
別の特徴によれば、本発明は、下記式(I):
【0017】
【化6】
【0018】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただしR1及びR2が共にHではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、式(I)の化合物の製薬上許容しうる塩またはプロドラッグに関する。
別の特徴によれば、本発明は下記式(I):
【0019】
【化7】
【0020】
[式中、
R1、R2およびR3は上記した通りであるが、ただし、R1およびR2の少なくとも1つは−CH2OHであるか;又は、式中、R1およびR2の両方が−CH2OHであり、R3は上記した通り定義される]の化合物を、R1及びR2の少なくとも1つをR4およびR5が上記した通り定義されるものである−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5又は−CH2−O−CO−OR5に変換するために適する条件下に反応させることにより該化合物を製造するための方法を提供する。
【0021】
更に別の特徴によれば、本発明は該化合物又はその塩又はプロドラッグを含む新しい医薬組成物を提供する。
【0022】
何れかの別の特徴は請求項に記載する通りである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書において「低級アルキル」という用語は特段の記載が無い限り未分枝鎖又は分枝鎖、環状、飽和又は不飽和(アルケニル又はアルキニル)の炭化水素基を意味する。環状の場合、アルキル基は好ましくはC3〜C12、より好ましくはC5〜C10、最も好ましくはC5〜C7である。非環状の場合、アルキル基は好ましくはC1〜C10、より好ましくはC1〜C6、より好ましくはメチル、エチル、プロピル(n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(分枝鎖又は未分枝鎖)又はペンチル、最も好ましくはメチルである。
【0024】
本明細書において「アリール」という用語はフェニル又はナフチルのような芳香族基を意味する。本明細書においては、「官能基」という用語は未保護の場合はヒドロキシ−、チオロ−、アミノ官能基、カルボン酸、そして保護されている場合は低級アルコキシ、N−、O−、S−、アセチル、カルボン酸エステルを意味する。
【0025】
本明細書においては、「ヘテロアリール」という用語は、好ましくはN、OおよびSから選択されるヘテロ原子1つ以上を含有する単環、2環又は3環の複素芳香族基、例えばピリジル、ピロリル、キノリニル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、インドリル、ピラジニル、インダゾリル、ピリミジニル、チオフェネチル、ピラニル、カルバゾリル、アクリジニル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、シンノリニルおよびプテリジニルを意味する。
【0026】
本明細書においては、「非芳香族複素環」という用語は好ましくはN、OおよびSから選択されるヘテロ原子1つ以上を含有する非芳香族の環状の基、例えばピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル又は単糖類を意味する。
【0027】
本明細書においては、「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0028】
本明細書において、そして特段の記載が無い限り、「置換された」という用語は対象となる基が官能基、例えばヒドロキシル、アミン、スルフィド、シリル、カルボン酸、ハロゲン、アリール等の少なくとも1つで置換されていることを意味する。
【0029】
式(I)の化合物は増殖亢進性疾患、例えば癌、自己免疫疾患、例えば慢性関節リューマチ及びシェーグレン症候群、及び心疾患、例えば遺伝性の特発性心筋症のような種々の疾患を治療するために有用である。投与は予防的、待期的又は完治的であってよい。
【0030】
本発明の医薬組成物において使用するための製薬上許容しうる付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸から誘導したもの、及び有機酸、例えば酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸及びアリールスルホン酸から誘導したものを包含する。本明細書に記載した製薬上許容しうる賦形剤、例えば溶媒、アジュバント、担体又は希釈剤は当該分野でよく知られており、容易に入手できる。医薬品製剤は例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th ed.,Mack Printing Company,Easton,Pennsylvania(1995)に記載されている。
【0031】
式(I)の化合物のプロドラッグは、そのプロドラッグを、哺乳類対象に添加した場合にインビボで修飾部分が脱離するように化合物上に存在する官能基を修飾することにより製造してよい。修飾は典型的にはプロドラッグ置換基を用いて親化合物を合成することにより達成される。プロドラッグは式(I)の化合物中のヒドロキシ、アミノ、スルヒドリル、カルボキシ又はカルボニル基が、インビボで切断されて遊離のヒドロキシ、アミノ又はスルヒドリル基をそれぞれ再生する何れかの基に結合している式(I)の化合物を包含する。プロドラッグの例はヒドロキシ官能基のエステル及びカーバメート、カルボキシ官能基のエステル基、N−アシル誘導体、N−Mannich塩基を包含する。プロドラッグに関する一般的情報は例えばBundegaard,H.「Design of Prodrugs」pl−92、Elesevier,New York−Oxford(1985)に記載されている。
【0032】
本発明の組成物は何れかの投与経路、例えば経口、静脈内、皮内又は皮下、鼻内、筋肉内又は腹腔内の投与のために製造してよい。担体又は他の材料の厳密な性質は投与経路により異なる。非経腸投与のためには、非経腸的に許容される水溶液を使用し、これは、発熱物質非含有であり、そして必要なpH、等張性及び安定性を有する。適当な溶液の調製は当業者のよく知る通りであり、多くの方法が文献に記載されている。薬剤送達方法の簡単な説明は例えばLanger,Science 249:1527−1533(1990)に記載されている。
【0033】
哺乳類、特にヒトに投与される用量は、本発明の内容においては、合理的な時間枠に渡り哺乳類内の治療応答を起こすのに十分なものとする。当業者の知る通り、投薬量は種々の要因、例えば特定の化合物の力価、患者の年齢、状態及び体重、並びに、疾患の段階/重症度により変動する。用量はまた投与の経路(投与形態)、時期及び頻度によっても決定される。経口投与の場合は投薬量は式(I)の化合物一日当たり約0.01mg〜約1000mg又は製薬上許容しうるその塩の相当する量の範囲である。
【0034】
本発明の化合物は増殖亢進性の疾患の治療において有用な別の薬剤1つ以上と組み合わせて使用又は投与してよい。成分は同じ製剤中に、又は、同時か逐次的に投与するための異なる製剤中に存在してよい。本発明の化合物はまた癌の治療のための放射線照射のような他の治療と組み合わせて使用又は投与してよい。
【0035】
本発明の化合物の試験において、本発明者等は本発明の化合物の多くに共通する代謝産物、即ちメチレンキヌクリジノンを発見した。本発明者等はこの代謝産物がグルタチオンとコンジュゲートを形成できることを示している(GSH)(反応スキーム1)。
【0036】
【化8】
反応スキーム1
【0037】
何れの理論にも制約されないが、本発明者等は本発明の化合物はグルタチオンとの反応を含む経路によりインビボで代謝される別の薬学的に活性な化合物の作用も相乗作用的に増強すると考える。その説明として、本発明の化合物は細胞内グルタチオンの量を低減することにより、別の薬学的に活性な化合物の力価を増大させるといえる。そのような別の薬学的に活性な化合物の例はアドリアマイシン、メルファラン、シスプラチンである。
【0038】
上記した通り、本発明の1つの特徴によれば、式(I)の化合物を製造する方法が提供される。式(I)の化合物の一部の合成の例を以下の反応スキーム2に示す。
【0039】
【化9】
反応スキーム2
【0040】
反応スキーム2によれば、塩酸キヌクリジノン(1)を中間体(2)、(7)及び(8)の合成のための原料として使用する。2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)はNielsen et al.(1966)により記載された方法に従って過剰量のホルムアルデヒド及び炭酸カリウムで(1)を処理することにより形成する。2−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(7)は1等量のホルムアルデヒド及び炭酸カリウムで塩酸キヌクリジノンを処理することにより形成する。2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)は脱水操作により化合物7から形成する。これ等の方法もまたNielsen et al.(1966)により記載されている。化合物8はまたその塩酸塩として市販されている。
【0041】
2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)はアシル化の標準的なプロトコルに従って有機溶媒中、酸クロリド及びトリエチルアミン、ピリジン又はDMAPのような適当な塩基で処理することによりエステルを形成する。エステル化はカルボン酸及びDCC及びHOBtのようなカップリング試薬を用いながらも実施してよい。カーボネート及びカーバメートはまた当該分野でよく知られている方法により形成することもできる。試薬僅か1等量を使用することによりモノカップリング誘導体を得ることができる。モノアセチル化誘導体および相当するモノカーボネートおよびモノカーバメートは液体クロマトグラフィーによりジ置換誘導体から分離してよい。
【0042】
化合物15及びその類縁体はSingh et al.(1969)又はElkin et al.(米国特許3726877)の記載した方法と同様にして、有機溶媒中、そして高温において、2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)とアミンとの間の反応により形成してよい。
【0043】
化合物6及びその類縁体は2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)から、アルキル化により、Schieweck et al.(2001)の記載した方法を用いながらアルキルハライドによるか、又は、Sampath Kumar et al.(1997)の記載したオルトエステルの使用により、形成してよい。
【0044】
化合物10は化合物8から、又は、化合物1から、Toender et al.(2000)の記載した方法により形成することもできる。
【0045】
化合物14はNielsen et al(1966)の記載した通り塩基性条件下でアルコールに化合物8を反応させるか、又は、Schieweck et al.(2001)に従ってアルキルハライドで化合物7をアルキル化することにより形成してよい。
化合物7からの化合物11、12、13の化合物の合成は当該分野でよく知られている方法により実施してよい。
【実施例1】
【0046】
2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)の合成(中間体)
炭酸カリウム(15.9g、0.11モル)の存在下における塩酸キヌクリジノン(1)(市販品)(16.9g、0.1モル)のホルマリン(37%w/w、150mL、2.0モル)との反応では52℃で1時間後に原料が消費された。変換はLC−MSで追跡した。水系の反応混合物を塩化メチレン(4x80ml)で抽出し、合わせた有機層をMgSO4上に乾燥した。溶媒を蒸発除去し、ヘプタン(500ml)を残留物に添加した。1時間加熱した後、熱ヘプタン抽出物を廃棄した。ベンゼン(400ml)を残留物に添加し、8時間加熱した。得られた混合物を加熱の間に形成した重合体から濾別し、透明な溶液を蒸発乾固させた。残留物を沸騰ヘプタン(300ml)で抽出した。
【0047】
ヘプタンを傾斜した後、沸騰ベンゼン(400ml)を残留物に添加した。濾別および冷却(6℃まで)、次いで固体沈殿物を濾過単離することにより、2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)(融点:136〜138℃)。第2の収量分は、ベンゼン中の沈殿後の合わせた母液及びヘプタン抽出物質から単離し、生成物2.9gを得た。総収率37%。
【実施例2】
【0048】
2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)のOアシル化のための方法
2.1 イソブチル酸2−イソブチリルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクチルメチルエステル
【0049】
【化10】
【0050】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、7.4ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、イソブチルクロリド(0.31g、0.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18〜20時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物は溶離剤として0.8:99.2メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより粘稠な液体(225mg、52%)として精製した。
【0051】
2.2 酢酸2−アセトキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル
メチルエステル
【0052】
【化11】
【0053】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、7.4ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、アセチルクロリド(0.23g、2.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより黄色液体(100mg、27%)として精製した。
【0054】
2.3 ジシクロブタンカルボン酸3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル−2,2ジメチルエステル
【0055】
【化12】
【0056】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(0.41g、3.3ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、シクロブタンカルボニルクロリド(0.35g、2.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより黄色液体(200mg、42.5%)として精製した。
【0057】
2.4 ジ安息香酸3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル−2,2−ジメチルエステル
【0058】
【化13】
【0059】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、7.4ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、ベンゾイルクロリド(0.41g、2.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりオフホワイトの固体(130mg、25%)として精製した。
【0060】
2.5 酪酸2−ブチリルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステル
【0061】
【化14】
【0062】
乾燥ジクロロメタン(25ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、7.4ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を−5℃に冷却し、ブチリルクロリド(0.31ml、2.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(316mg、71%)。
【0063】
2.6 ジシクロペンタンカルボン酸3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル−2,2−ジメチルエステル
【0064】
【化15】
【0065】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、0.0074モル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、シクロペンタンカルボニルクロリド(0.39g、0.0029モル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりオフホワイトの固体(130mg、25%)として精製した。
【0066】
2.7 (2−メトキシ−エトキシ)−酢酸2−[2−(2−メトキシエトキシ)−アセトキシメチル]−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステル
【0067】
【化16】
【0068】
乾燥ジクロロメタン(20ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(0.75ml)および4−ジメチルアミノピリジン(33mg)を窒素雰囲気下−15℃で極めてゆっくり添加した。反応混合物を0℃に戻し、2−(2−メトキシエトキシ)アセチルクロリド(450mg、2.9ミリモル)を窒素下同じ温度で反応混合物にゆっくり添加し、1時間その温度で攪拌放置した。次に反応混合物を室温に戻し、攪拌を室温で一夜継続した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷(50g)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x20ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として99.8:0.2クロロホルム:メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(100mg、20%)。
【実施例3】
【0069】
2,2−ビスヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)のO−トシル化のための方法
3.1 ベンゼンスルホン酸2−ヒドロキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステル
【0070】
【化17】
【0071】
乾燥ジクロロメタン(20ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(1g、5.4ミリモル)の攪拌溶液にトリエチルアミン(1.63g)を窒素雰囲気下室温で極めてゆっくり添加した。反応混合物を−20℃に冷却し、乾燥ジクロロメタン(20ml)中のトシルクロリド(2.7ミリモル)の溶液を同じ温度で反応混合物にゆっくり添加し、1時間その温度で攪拌放置した。次に反応混合物を室温に戻し、攪拌を室温で48時間継続した。反応混合物を氷冷水(50ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(200mg、11%)。
【実施例4】
【0072】
2,2−ビスヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)のO−カルボキシル化のための方法
4.1 カルボン酸2−メトキシカルボニルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステルメチルエステル
【0073】
【化18】
【0074】
乾燥ジクロロメタン(25ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.5g、2.6ミリモル)の攪拌溶液にピリジン(1.3ml)を窒素雰囲気下室温で極めてゆっくり添加した。反応混合物を−5℃に冷却し、メチルクロロホルメート(0.5ml)を窒素下同じ温度で反応混合物にゆっくり添加し、0.5時間その温度で攪拌放置した。次に反応混合物を室温に戻し、攪拌を室温で14時間継続した。反応混合物を氷冷水(30ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x25ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として98:2クロロホルム:メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(170mg、21%)。
【0075】
4.2 カルボン酸2−イソブトキシカルボニルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステルイソブチルエステル
【0076】
【化19】
【0077】
乾燥ジクロロメタン(25ml)中の2,2−ビス−ヒドロキシメチルキヌクリジノン(0.5g、2.6ミリモル)の攪拌溶液にピリジン(1.28g、16.1ミリモル)を窒素雰囲気下室温でゆっくり添加し、反応混合物を5℃に冷却した。イソブチルクロロホルメート(0.92g、6.7ミリモル)を窒素下同じ温度で反応混合物にゆっくり添加し、同じ温度で0.5時間反応混合物を攪拌した。次に反応混合物を室温に戻し、攪拌を室温で19時間継続した。反応混合物を氷冷水(50ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として0.5:99.5メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(550mg、55%)。
【0078】
4.3 スピロ−2,2−([1,3]−ジオキサン−2−オン)−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0079】
【化20】
【0080】
乾燥ジクロロメタン(150ml)中のソルケタール(2.8g、0.02モル)の攪拌溶液にピリジン(5g、0.0635モル)を窒素雰囲気下室温でゆっくり添加し、反応混合物を5℃に冷却した。次にトルエン中のホスゲンの20%溶液(15.7ml)を同じ温度で極めてゆっくり添加し、0.5時間攪拌した。反応混合物を室温に戻し、3時間室温で攪拌した。再度反応混合物を0℃まで冷却し、乾燥ジクロロメタン(25ml)中の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)キヌクリジノン(1g、5.4ミリモル)を反応混合物に添加し、次に反応混合物を室温にまで加温し、室温で17時間攪拌した。反応混合物を氷冷水(100ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x100ml)で抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(500mg、11%)。
【実施例5】
【0081】
2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)のアミノ化のための方法
5.1 5−フルオロ−1−(3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン
【0082】
【化21】
【0083】
乾燥DMF(10ml)中の2−メチレン−3−キヌクリジノン(500mg、3.65ミリモル)の攪拌溶液に5−フルオロウラシル(470mg、3.6ミリモル)を窒素雰囲気下室温で添加した。反応混合物を14時間室温で攪拌した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を粉砕氷上に注ぎ込んだ。形成したオフホワイトの固体を濾過し、ヘキサンで洗浄した。次に固体をクロロホルム中に入れ、12時間攪拌し、濾過し、乾燥して純粋な生成物を得た(150mg)。
【0084】
5.2 2−(2,3−ジヒドロ−インドール−1−イルメチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0085】
【化22】
【0086】
水(6ml)中の2−メチレン−3−キヌクリジノン(0.5g、0.0028モル)の攪拌溶液にインドリン(0.66g、0.0057モル)、トリエチルアミン(0.84g、0.0084モル)及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(90mg、0.00028モル)を添加し、反応混合物を18〜20時間80℃で攪拌放置した。反応混合物を氷冷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮し、得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより緑色味を帯びた黄色の固体(125mg、17%)として精製した。
【0087】
5.3 2−[(エチル−ピリジン−4−イルメチルアミノ)−メチル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0088】
【化23】
【0089】
水(3ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(0.5g、0.0036モル)の攪拌溶液にN−(4−ピリジルメチル)エチルアミン(0.49g、0.0036モル)、トリエチルアミン(1.09g、0.0108モル)及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(116mg、0.00036モル)を添加し、反応混合物を18時間80℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(10ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(2x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより黄色固体(200mg、22%)として精製した。
【0090】
5.4 2−[4−(フラン−2−カルボニル)−ピペラジン−1−イルメチル] −1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0091】
【化24】
【0092】
水(3ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(0.5g、0.0036モル)の攪拌溶液に1−(2−フロイル)ピペラジン(0.64g、0.0036モル)、トリエチルアミン(1.09g、0.0108モル)及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(116mg、0.00036モル)を添加し、反応混合物を20時間80℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(10ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(2x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより黄色固体(100mg、9%)として精製した。
【0093】
5.5 2−(3,5−ジメチル−ピペリジン−1−イルメチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0094】
【化25】
【0095】
水(5ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(0.25g、0.0014モル)の攪拌溶液に3,5−ジメチルピペリジン(0.32g、0.0028モル)、トリエチルアミン(0.84g、0.0084モル)及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(45mg、0.00014モル)を添加し、反応混合物を18時間80℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(100mg)。
【実施例6】
【0096】
2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)のアルコキシル化(又はアロキシル化)のための方法
6.1 2−プロポキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0097】
【化26】
【0098】
乾燥ジクロロメタン(5ml)中の2−メチレン−3−キヌクリジノン(100mg)の攪拌溶液にプロパノール(1等量、0.04ml)をモレキュラーシーブ(4Å)の存在下に添加した。反応混合物を一夜室温で攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルム中0.5%メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(70mg、50%)。
【実施例7】
【0099】
2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)のチオエステルの形成のための方法
7.1 2−(9H−プリン−6−イルスルファニルメチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0100】
【化27】
【0101】
水(6ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(0.5g、3.6ミリモル)の攪拌溶液にトリエチルアミン(15ml)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(120mg)および6−メルカプトプリン1水和物(0.62g)を添加し、反応混合物を14時間85℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(10ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(2x25ml)で抽出し、有機層を水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として9:1クロロホルム:メタノールを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(140mg、14%)。
【0102】
7.2 (RS)−2−フェニルスルファニルメチル−1−アザビシクロ[2.2.2] オクタン−3−オン
【0103】
【化28】
【0104】
水(10ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(1g、0.0057モル)の攪拌溶液にトリエチルアミン(1.73g、0.0171モル)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(180mg、0.00057モル)およびチオフェノール(0.63g、0.0057モル)を添加し、反応混合物を18時間80℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(4x50ml)で抽出し、有機層を水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(550mg)。
【実施例8】
【0105】
2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2] オクタン−3−オン(2)のカーバメートの形成のための方法
8.1 ピロリジン−カルバミン酸2−[(ピロリジン−カルバモイルオキシ)−メチル]−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2] オクタ−2−イルメチルエステル
【0106】
【化29】
【0107】
乾燥THF(40ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(1g、0.0054モル)の攪拌溶液にピリジン(0.93g、0.0118モル)を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を5℃に冷却した。乾燥THF(10ml)中の4−ニトロフェニルクロロホルメート(2.2g、0.0113モル)の溶液を5℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を10%NaHCO3溶液(100ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x100ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより黄色固体の中間体A(400mg、15%)として精製した。
【0108】
ピリジン(5ml)中のピロリジン(28mg、0.0004モル)の攪拌溶液に中間体A(100mg、0.00019モル)を窒素雰囲気下−5℃で添加した。反応混合物を15時間室温で攪拌放置した。過剰のピリジンを真空下に除去した。次に反応混合物を氷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルム中0.1%メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(40mg、57%)。
【0109】
8.2 ビス−(2−クロロ−エチル)−カルバミン酸2−{[ビス−(2−クロロ−エチル)−カルバモイルオキシ]−メチル}−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−メチルエステル
【0110】
【化30】
【0111】
乾燥THF(100ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(2g、0.0108モル)の攪拌溶液にピリジン(1.8ml、0.0236モル)を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を-5℃に冷却した。乾燥THF(50ml)中の4−ニトロフェニルクロロホルメート(4.4g、0.0226モル)の溶液を-5℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で12時間攪拌を継続した。反応混合物を10%NaHCO3溶液(100ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x100ml)で抽出した。有機層を水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を再結晶により精製し、純粋な中間体A(560mg、10%)を得た。
【0112】
ピリジン(20ml)中の塩酸ビス(2−クロロエチル)アミン(430mg)の攪拌溶液に中間体A(400mg)を窒素雰囲気下0℃で添加した。反応混合物を10時間室温で攪拌放置した。過剰のピリジンを真空下に除去し、次に氷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x25ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルム中1%メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(190mg、47%)。
【0113】
8.3 ジメチル−カルバミン酸2−ジメチルカルバモイルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステル
【0114】
【化31】
【0115】
乾燥ジクロロメタン(50ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(1g、0.0054モル)の攪拌溶液にピリジン(2.5g、0.0318モル)を添加し、反応混合物を5℃に冷却した。N,N−ジメチルカルボニルクロリド(1.45g、0.0134モル)を窒素下5℃でゆっくり添加し、攪拌を更に30分間継続した。反応混合物を室温にまで加温し、19時間攪拌した。反応混合物を氷冷水(50ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として0.5:99.5メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(125mg)。
【0116】
生物学的試験
テトラサイクリン調節突然変異体p53コンストラクトを有するヒトH1299−His175肺癌細胞系統を用いて本発明の化合物の抗増殖及びアポトーシス誘導の作用を検討した。
【0117】
WST−1試験プロトコル
細胞培養
細胞を10%ウシ胎児血清、Lグルタミン及びゲンタマイシンを添加したIscoveの変性ダルベッコ培地中で培養した。
【0118】
細胞の播種
細胞は約75〜100%コンフルエントの時点で実験用に採取した。トリプシン処理後、細胞を細胞培養用培地中30000個/mlの細胞濃度となるように希釈した。細胞を100μl/ウェル(3000個/ウェル)で平底96穴プレート中に入れた。プレートの最終列は培地のみを100μl/ウェル添加してブランクとした。次に細胞を細胞インキュベーター中一夜インキュベートした。
【0119】
細胞の投与
96ウェルプレート中で約16〜24時間インキュベートした後、細胞に種々の化合物を投与した。薬剤を0.1Mの濃度でDMSO中に溶解し、次にPBS中で所望の濃度まで希釈した。次に各化合物5μlを各ウェルに添加した。1列分は細胞を未投与のままとし、対照とした。細胞プレートを細胞インキュベーター中に戻した。
【0120】
WST−1試薬の添加
細胞インキュベーター中96時間維持した後、WST−1試薬をプレートに添加した。試薬10μlをプレートの各ウェル(未投与細胞及び培地のみのウェルを含む)に添加した。試料の吸光度は細胞インキュベーター中約1〜2時間インキュベーション後に450nmで分光光度計において測定した。プレートを読み取る前に、それらは培地のみのウェルの色および未投与細胞のウェルの色を比較することにより目視により確認した。培地は赤桃色に維持されているはずであり、未投与細胞は赤桃色からオレンジ色に変化するはずである。
【0121】
WST−1の分析
未投与細胞の吸光度値の平均を各プレートにつき計算した。成育抑制の%が100−((Abs試料/Abs未投与細胞)x100)として計算した。
【0122】
WST−1分析の結果はIC50値、即ち細胞の少なくとも50%の成育を抑制する濃度で表示する。本発明の種々の化合物並びに本発明ではない1比較参照化合物のIC50の値を表1に示す。本発明の化合物を酸付加塩の形態で試験した場合は、相当する酸を表1に示す。
【0123】
(表1-1)試験した化合物の例及びWST−1試験のIC50値
【0124】
(表1-2)
【0125】
【表1−3】
【0126】
【表1−4】
【0127】
【表1−5】
【0128】
FACS分析
H1299−His175細胞を初期密度10,000個/cm2で6穴プレートにプレーティングし、一夜培養し、そして本発明の化合物を投与した。24時間投与後、浮遊細胞を含有する培地を収集し、回収した付着細胞と合わせた。細胞をPBS中で1回洗浄し、PBS200ul中に再懸濁した。氷冷70%エタノールを回転混合しながら添加し、細胞を24時間−20℃で保存した。次に固定した細胞を遠心分離により収集し、PBS中で1回洗浄し、37℃で30分間100μlのPI染色緩衝液(5μg/mlPI及び250μg/mlRNAaseA)中でインキュベートした。試料はFACSCaliburフローサイトメーターを用いて試験し、サブG0/G1ピークはCELLQuestソフトウエアを用いて定量した。本発明の化合物について得られた結果を図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図2】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図3】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図4】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図5】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図6】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図7】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図8】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図9】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図10】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図11】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【0130】
参考文献
バーデシー等、キャンサーリサーチ 55,215-9 (1995)
ベネット等、サイエンス 282,290-293 (1998)
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ビエル等、米国特許3,384,641
ビエル等、米国特許3,462,442
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シモンズ等、セル 78,703-711 (1994)
トエンダー等、テトラヘドロン 56,1139-1149 (2000)
国際特許出願02/24692
国際特許出願03/070250
【技術分野】
【0001】
本発明はアザビシクロオクタン−3−オン誘導体及び治療におけるその使用に関する。より詳しくは、本発明は例えば癌、自己免疫疾患及び心疾患のような障害及び疾患の治療のためのアザビシクロオクタン−3−オン誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍における突然変異の最も一般的な標的はp53遺伝子である。全てのヒトの腫瘍の概ね半数がこの遺伝子において突然変異を有するという事実は、腫瘍抑制剤としてのその重要な役割について明確な証明となっている。p53は種々のストレス刺激、例えばDNA損傷、低酸素及び癌遺伝子活性化に応答して細胞周期の停止及び/又はアポトーシスのトリガーを行う(Ko and Prives,1996;Sherr,1998)。活性化により、p53はp53DNA結合モチーフを担持した特定の標的遺伝子の転写性の転写活性を介してp53依存性の生物学的応答を開始する。更にまた、多面性を有するp53蛋白はp53結合部位を欠いた特定の遺伝子の抑制及び転写非依存性の機序を介してアポトーシスを促進する場合がある(Bennett et al.,1998;Gottlieb and Oren,1998;Ko and Prives,1996)。ヒト腫瘍中の多数の突然変異体p53遺伝子の分析によれば、p53の特異的DNA結合機能を不活性化する突然変異の強力な選択が明らかになり;腫瘍における大部分の突然変異は特異的DNA結合活性を保有するp53のコアドメイン(残基94〜292)内にクラスタリングした点突然変異である(Beroud and Soussi,1998)。
【0003】
p53誘導の細胞周期停止及びアポトーシスの両方はp53媒介腫瘍抑制に関与していると考えられる。p53誘導の細胞周期停止は種々の態様において逆行されると考えられるが、p53誘導の細胞死は非可逆的であるという利点を有する。実際に、p53依存性のアポトーシスが特に腫瘍形成性のシグナリングに応答した発生中の腫瘍の排除において主要な役割を果たしていることを示す動物のインビボモデル(Symonds et al.,1994)及びヒト腫瘍(Bardeesy et al.,1995)から得られる証拠が存在する。更にまた、アポトーシスを誘導するp53の能力は癌治療の抗力を決定する場合が多い(Lowe et al.,1994)。ヒト腫瘍の50%超がp53突然変異を有しているという事実を考慮すれば、野生型のp53媒介の生育抑制の機能を腫瘍に回復させることが高度に望ましいと考えられる。この方法の利点はそれが突然変異p53を保有する腫瘍細胞の選択的排除を可能にするという点である。腫瘍細胞は恐らくは2つの主要な理由によりp53再活性化に対して特に感受性である。第1に、腫瘍細胞は癌遺伝子活性化のためにアポトーシスに対して感作される(Evan and Littlewood,1998において考察)。第2に、突然変異p53蛋白は腫瘍細胞内で高レベルに蓄積する傾向がある。従って、大量で恐らくは「活性化されている」突然変異体p53への野生型の機能の回復は既に感作されている腫瘍細胞における大規模なアポトーシス応答をトリガーするはずであり、一方、低レベル又は検出不可能なレベルのp53を発現する正常細胞は影響を受けないはずである。抗癌手法としてのp53の再活性化の実現性は広範な突然変異体p53蛋白が再活性化されやすいという事実により支援される。従ってp53誘導アポトーシスを確保することに基づく治療手法は強力でありかつ広範に適用可能である。
【0004】
p53経路の機能不全は一般的に多くの疾患、例えば上記したものに関与している。実際、増殖亢進性の疾患、例えば癌のほかに、種々の研究者等は多くの他の疾患状態、例えば自己免疫疾患及び心疾患における欠損p53機能の関与を示している。
【0005】
即ちMountz et al.,(1994)の論文において、ヒト自己免疫疾患はリンパ球(SLE)、滑膜細胞(RA)及び線維芽細胞(硬皮症)を含む種々の細胞型の形成と破壊との間の不均衡の共通した特徴を共有していることが記載されている。アポトーシスを調節する癌遺伝子、例えばbcl−2、p53及びmycもまた異常に発現される。著者等によれば、副作用を被ることなくアポトーシスを誘発する特定の治療法は自己免疫疾患の治療を向上させるはずである。
【0006】
Bonafe M et al.(2004)はp53コドン72多形が、心筋虚血のような年齢関連の病的状態の内容に潜在的に関係している高齢者のアポトーシス感受性における遺伝子的に決定された変動性に寄与していることを示唆するデータを示している。
【0007】
Okuda et al.(2003)はp53がサイトカイン生産の制御及び/又は炎症細胞のアポトーシス性排除を介して実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の調節過程に関与していることを示唆する結果を示している。中枢神経系(CNS)の自己免疫性炎症性疾患のモデルとしてのEAEはヒト疾患の多発性硬化症の広範に使用されているモデルである。
【0008】
総括すれば、これ等の所見は多くの障害及び疾患においてp53機能の薬理学的回復が有益であることを示唆している。
【0009】
本発明は化合物PRIMA−1(即ち2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン)(WO02/24692に開示)が突然変異体p53を有する細胞のアポトーシスを誘導することができることを発見している。その後、同じ結果を示したPrima−1の一部の類縁体も発見した(WO03/070250)。しかしなお、p53の機能不全に関連する障害及び疾患の治療において活性を有する化合物が一般的に要求されている。好ましくはこのような化合物は進歩した薬物動態および薬力学的な特性を有するはずである。本発明の1つの主要な目的はこのような化合物を提供することである。
【0010】
本発明者等は意外にもp53の機能不全に関連する障害及び疾患の治療において高い活性を示す数種のアザビシクロオクタン−3−オン誘導体を発見した。それらは高い力価を示すのみならず、高い細胞取り込みを可能にするそのより高いcLogP値により極めて望ましいADME特性を有すると考えられる。類縁体の数種はPirma−1のプロドラッグとも考えられる。
【0011】
本発明のアザビシクロオクタン−3−オン誘導体は増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患の治療において、そして特に、p53経路の機能不全が関与する障害の治療において潜在的に有用であると考えられ、そして、この発見が本発明の根拠となる。更にまた、本発明の化合物は後述する通り、上記した障害の治療のために明確な別の作用も有すると考えられる。
【0012】
2−置換3−キヌクリジノンは生物学的な意味では既に報告されているが、上記した治療分野では報告されていない。即ち、2−[N'−(O−アルコキシフェニル)ピペラジノメチル]−3−キヌクリジノン(Biel et al.米国特許3,598,825)は神経系の抑制剤として記載されており、そして、アミン置換2−メチレン3−キヌクリジノンは抗細菌剤(Elkin et al.米国特許3,726,877)及び抗鬱剤(Biel et al.米国特許3,462,442)として記載されている。
【0013】
Biel等は米国特許3,384,641において、加熱によりアミンを放出する中間体を形成するためにアミンに2−メチレン−3−キヌクリジノンを反応させる方法を記載している。即ち中間体はアミンの精製に使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
1つの特徴によれば、本発明は増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患から選択される障害の治療のための医薬の製造のための、下記式(I):
【0015】
【化5】
【0016】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−R5、−CH2−O−SO2−R5、−CH2−S−R5、−CH2−NR4R5、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、そして場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただし、R1及びR2が共に−CH2−OR5である場合は、R5はHではなく;そして、
R1及びR2の一方がHであり他方が−CH2−NR4R5である場合は、R4及びR5は置換又は未置換の単環のアリールではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、製薬上許容しうるその塩またはプロドラッグの使用に関する。
別の特徴によれば、本発明は突然変異体p53、又は、より一般的には、機能不全のp53シグナリング経路に関連する疾患の治療のための式(I)の化合物又は製薬上許容しうるその塩又はプロドラッグの使用を提供する。
別の特徴によれば、本発明は増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患から選択される疾患の治療の必要な哺乳類に式(I)の化合物の治療有効量を投与することによる該疾患の治療方法を提供する。
別の特徴によれば、本発明は、下記式(I):
【0017】
【化6】
【0018】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただしR1及びR2が共にHではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、式(I)の化合物の製薬上許容しうる塩またはプロドラッグに関する。
別の特徴によれば、本発明は下記式(I):
【0019】
【化7】
【0020】
[式中、
R1、R2およびR3は上記した通りであるが、ただし、R1およびR2の少なくとも1つは−CH2OHであるか;又は、式中、R1およびR2の両方が−CH2OHであり、R3は上記した通り定義される]の化合物を、R1及びR2の少なくとも1つをR4およびR5が上記した通り定義されるものである−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5又は−CH2−O−CO−OR5に変換するために適する条件下に反応させることにより該化合物を製造するための方法を提供する。
【0021】
更に別の特徴によれば、本発明は該化合物又はその塩又はプロドラッグを含む新しい医薬組成物を提供する。
【0022】
何れかの別の特徴は請求項に記載する通りである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書において「低級アルキル」という用語は特段の記載が無い限り未分枝鎖又は分枝鎖、環状、飽和又は不飽和(アルケニル又はアルキニル)の炭化水素基を意味する。環状の場合、アルキル基は好ましくはC3〜C12、より好ましくはC5〜C10、最も好ましくはC5〜C7である。非環状の場合、アルキル基は好ましくはC1〜C10、より好ましくはC1〜C6、より好ましくはメチル、エチル、プロピル(n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(分枝鎖又は未分枝鎖)又はペンチル、最も好ましくはメチルである。
【0024】
本明細書において「アリール」という用語はフェニル又はナフチルのような芳香族基を意味する。本明細書においては、「官能基」という用語は未保護の場合はヒドロキシ−、チオロ−、アミノ官能基、カルボン酸、そして保護されている場合は低級アルコキシ、N−、O−、S−、アセチル、カルボン酸エステルを意味する。
【0025】
本明細書においては、「ヘテロアリール」という用語は、好ましくはN、OおよびSから選択されるヘテロ原子1つ以上を含有する単環、2環又は3環の複素芳香族基、例えばピリジル、ピロリル、キノリニル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、インドリル、ピラジニル、インダゾリル、ピリミジニル、チオフェネチル、ピラニル、カルバゾリル、アクリジニル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、シンノリニルおよびプテリジニルを意味する。
【0026】
本明細書においては、「非芳香族複素環」という用語は好ましくはN、OおよびSから選択されるヘテロ原子1つ以上を含有する非芳香族の環状の基、例えばピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル又は単糖類を意味する。
【0027】
本明細書においては、「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0028】
本明細書において、そして特段の記載が無い限り、「置換された」という用語は対象となる基が官能基、例えばヒドロキシル、アミン、スルフィド、シリル、カルボン酸、ハロゲン、アリール等の少なくとも1つで置換されていることを意味する。
【0029】
式(I)の化合物は増殖亢進性疾患、例えば癌、自己免疫疾患、例えば慢性関節リューマチ及びシェーグレン症候群、及び心疾患、例えば遺伝性の特発性心筋症のような種々の疾患を治療するために有用である。投与は予防的、待期的又は完治的であってよい。
【0030】
本発明の医薬組成物において使用するための製薬上許容しうる付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸から誘導したもの、及び有機酸、例えば酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸及びアリールスルホン酸から誘導したものを包含する。本明細書に記載した製薬上許容しうる賦形剤、例えば溶媒、アジュバント、担体又は希釈剤は当該分野でよく知られており、容易に入手できる。医薬品製剤は例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th ed.,Mack Printing Company,Easton,Pennsylvania(1995)に記載されている。
【0031】
式(I)の化合物のプロドラッグは、そのプロドラッグを、哺乳類対象に添加した場合にインビボで修飾部分が脱離するように化合物上に存在する官能基を修飾することにより製造してよい。修飾は典型的にはプロドラッグ置換基を用いて親化合物を合成することにより達成される。プロドラッグは式(I)の化合物中のヒドロキシ、アミノ、スルヒドリル、カルボキシ又はカルボニル基が、インビボで切断されて遊離のヒドロキシ、アミノ又はスルヒドリル基をそれぞれ再生する何れかの基に結合している式(I)の化合物を包含する。プロドラッグの例はヒドロキシ官能基のエステル及びカーバメート、カルボキシ官能基のエステル基、N−アシル誘導体、N−Mannich塩基を包含する。プロドラッグに関する一般的情報は例えばBundegaard,H.「Design of Prodrugs」pl−92、Elesevier,New York−Oxford(1985)に記載されている。
【0032】
本発明の組成物は何れかの投与経路、例えば経口、静脈内、皮内又は皮下、鼻内、筋肉内又は腹腔内の投与のために製造してよい。担体又は他の材料の厳密な性質は投与経路により異なる。非経腸投与のためには、非経腸的に許容される水溶液を使用し、これは、発熱物質非含有であり、そして必要なpH、等張性及び安定性を有する。適当な溶液の調製は当業者のよく知る通りであり、多くの方法が文献に記載されている。薬剤送達方法の簡単な説明は例えばLanger,Science 249:1527−1533(1990)に記載されている。
【0033】
哺乳類、特にヒトに投与される用量は、本発明の内容においては、合理的な時間枠に渡り哺乳類内の治療応答を起こすのに十分なものとする。当業者の知る通り、投薬量は種々の要因、例えば特定の化合物の力価、患者の年齢、状態及び体重、並びに、疾患の段階/重症度により変動する。用量はまた投与の経路(投与形態)、時期及び頻度によっても決定される。経口投与の場合は投薬量は式(I)の化合物一日当たり約0.01mg〜約1000mg又は製薬上許容しうるその塩の相当する量の範囲である。
【0034】
本発明の化合物は増殖亢進性の疾患の治療において有用な別の薬剤1つ以上と組み合わせて使用又は投与してよい。成分は同じ製剤中に、又は、同時か逐次的に投与するための異なる製剤中に存在してよい。本発明の化合物はまた癌の治療のための放射線照射のような他の治療と組み合わせて使用又は投与してよい。
【0035】
本発明の化合物の試験において、本発明者等は本発明の化合物の多くに共通する代謝産物、即ちメチレンキヌクリジノンを発見した。本発明者等はこの代謝産物がグルタチオンとコンジュゲートを形成できることを示している(GSH)(反応スキーム1)。
【0036】
【化8】
反応スキーム1
【0037】
何れの理論にも制約されないが、本発明者等は本発明の化合物はグルタチオンとの反応を含む経路によりインビボで代謝される別の薬学的に活性な化合物の作用も相乗作用的に増強すると考える。その説明として、本発明の化合物は細胞内グルタチオンの量を低減することにより、別の薬学的に活性な化合物の力価を増大させるといえる。そのような別の薬学的に活性な化合物の例はアドリアマイシン、メルファラン、シスプラチンである。
【0038】
上記した通り、本発明の1つの特徴によれば、式(I)の化合物を製造する方法が提供される。式(I)の化合物の一部の合成の例を以下の反応スキーム2に示す。
【0039】
【化9】
反応スキーム2
【0040】
反応スキーム2によれば、塩酸キヌクリジノン(1)を中間体(2)、(7)及び(8)の合成のための原料として使用する。2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)はNielsen et al.(1966)により記載された方法に従って過剰量のホルムアルデヒド及び炭酸カリウムで(1)を処理することにより形成する。2−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(7)は1等量のホルムアルデヒド及び炭酸カリウムで塩酸キヌクリジノンを処理することにより形成する。2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)は脱水操作により化合物7から形成する。これ等の方法もまたNielsen et al.(1966)により記載されている。化合物8はまたその塩酸塩として市販されている。
【0041】
2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)はアシル化の標準的なプロトコルに従って有機溶媒中、酸クロリド及びトリエチルアミン、ピリジン又はDMAPのような適当な塩基で処理することによりエステルを形成する。エステル化はカルボン酸及びDCC及びHOBtのようなカップリング試薬を用いながらも実施してよい。カーボネート及びカーバメートはまた当該分野でよく知られている方法により形成することもできる。試薬僅か1等量を使用することによりモノカップリング誘導体を得ることができる。モノアセチル化誘導体および相当するモノカーボネートおよびモノカーバメートは液体クロマトグラフィーによりジ置換誘導体から分離してよい。
【0042】
化合物15及びその類縁体はSingh et al.(1969)又はElkin et al.(米国特許3726877)の記載した方法と同様にして、有機溶媒中、そして高温において、2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)とアミンとの間の反応により形成してよい。
【0043】
化合物6及びその類縁体は2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)から、アルキル化により、Schieweck et al.(2001)の記載した方法を用いながらアルキルハライドによるか、又は、Sampath Kumar et al.(1997)の記載したオルトエステルの使用により、形成してよい。
【0044】
化合物10は化合物8から、又は、化合物1から、Toender et al.(2000)の記載した方法により形成することもできる。
【0045】
化合物14はNielsen et al(1966)の記載した通り塩基性条件下でアルコールに化合物8を反応させるか、又は、Schieweck et al.(2001)に従ってアルキルハライドで化合物7をアルキル化することにより形成してよい。
化合物7からの化合物11、12、13の化合物の合成は当該分野でよく知られている方法により実施してよい。
【実施例1】
【0046】
2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)の合成(中間体)
炭酸カリウム(15.9g、0.11モル)の存在下における塩酸キヌクリジノン(1)(市販品)(16.9g、0.1モル)のホルマリン(37%w/w、150mL、2.0モル)との反応では52℃で1時間後に原料が消費された。変換はLC−MSで追跡した。水系の反応混合物を塩化メチレン(4x80ml)で抽出し、合わせた有機層をMgSO4上に乾燥した。溶媒を蒸発除去し、ヘプタン(500ml)を残留物に添加した。1時間加熱した後、熱ヘプタン抽出物を廃棄した。ベンゼン(400ml)を残留物に添加し、8時間加熱した。得られた混合物を加熱の間に形成した重合体から濾別し、透明な溶液を蒸発乾固させた。残留物を沸騰ヘプタン(300ml)で抽出した。
【0047】
ヘプタンを傾斜した後、沸騰ベンゼン(400ml)を残留物に添加した。濾別および冷却(6℃まで)、次いで固体沈殿物を濾過単離することにより、2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)(融点:136〜138℃)。第2の収量分は、ベンゼン中の沈殿後の合わせた母液及びヘプタン抽出物質から単離し、生成物2.9gを得た。総収率37%。
【実施例2】
【0048】
2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)のOアシル化のための方法
2.1 イソブチル酸2−イソブチリルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクチルメチルエステル
【0049】
【化10】
【0050】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、7.4ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、イソブチルクロリド(0.31g、0.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18〜20時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物は溶離剤として0.8:99.2メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより粘稠な液体(225mg、52%)として精製した。
【0051】
2.2 酢酸2−アセトキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル
メチルエステル
【0052】
【化11】
【0053】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、7.4ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、アセチルクロリド(0.23g、2.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより黄色液体(100mg、27%)として精製した。
【0054】
2.3 ジシクロブタンカルボン酸3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル−2,2ジメチルエステル
【0055】
【化12】
【0056】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(0.41g、3.3ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、シクロブタンカルボニルクロリド(0.35g、2.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより黄色液体(200mg、42.5%)として精製した。
【0057】
2.4 ジ安息香酸3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル−2,2−ジメチルエステル
【0058】
【化13】
【0059】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、7.4ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、ベンゾイルクロリド(0.41g、2.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりオフホワイトの固体(130mg、25%)として精製した。
【0060】
2.5 酪酸2−ブチリルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステル
【0061】
【化14】
【0062】
乾燥ジクロロメタン(25ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、7.4ミリモル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を−5℃に冷却し、ブチリルクロリド(0.31ml、2.9ミリモル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(316mg、71%)。
【0063】
2.6 ジシクロペンタンカルボン酸3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクチル−2,2−ジメチルエステル
【0064】
【化15】
【0065】
乾燥ジクロロメタン(15ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(33mg、0.27ミリモル)およびトリエチルアミン(0.75g、0.0074モル)を窒素雰囲気下に添加した。反応混合物を0℃に冷却し、シクロペンタンカルボニルクロリド(0.39g、0.0029モル)を0℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を冷水(25ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりオフホワイトの固体(130mg、25%)として精製した。
【0066】
2.7 (2−メトキシ−エトキシ)−酢酸2−[2−(2−メトキシエトキシ)−アセトキシメチル]−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステル
【0067】
【化16】
【0068】
乾燥ジクロロメタン(20ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.25g、1.35ミリモル)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(0.75ml)および4−ジメチルアミノピリジン(33mg)を窒素雰囲気下−15℃で極めてゆっくり添加した。反応混合物を0℃に戻し、2−(2−メトキシエトキシ)アセチルクロリド(450mg、2.9ミリモル)を窒素下同じ温度で反応混合物にゆっくり添加し、1時間その温度で攪拌放置した。次に反応混合物を室温に戻し、攪拌を室温で一夜継続した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷(50g)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x20ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として99.8:0.2クロロホルム:メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(100mg、20%)。
【実施例3】
【0069】
2,2−ビスヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)のO−トシル化のための方法
3.1 ベンゼンスルホン酸2−ヒドロキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステル
【0070】
【化17】
【0071】
乾燥ジクロロメタン(20ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(1g、5.4ミリモル)の攪拌溶液にトリエチルアミン(1.63g)を窒素雰囲気下室温で極めてゆっくり添加した。反応混合物を−20℃に冷却し、乾燥ジクロロメタン(20ml)中のトシルクロリド(2.7ミリモル)の溶液を同じ温度で反応混合物にゆっくり添加し、1時間その温度で攪拌放置した。次に反応混合物を室温に戻し、攪拌を室温で48時間継続した。反応混合物を氷冷水(50ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(200mg、11%)。
【実施例4】
【0072】
2,2−ビスヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)のO−カルボキシル化のための方法
4.1 カルボン酸2−メトキシカルボニルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステルメチルエステル
【0073】
【化18】
【0074】
乾燥ジクロロメタン(25ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(0.5g、2.6ミリモル)の攪拌溶液にピリジン(1.3ml)を窒素雰囲気下室温で極めてゆっくり添加した。反応混合物を−5℃に冷却し、メチルクロロホルメート(0.5ml)を窒素下同じ温度で反応混合物にゆっくり添加し、0.5時間その温度で攪拌放置した。次に反応混合物を室温に戻し、攪拌を室温で14時間継続した。反応混合物を氷冷水(30ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x25ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として98:2クロロホルム:メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(170mg、21%)。
【0075】
4.2 カルボン酸2−イソブトキシカルボニルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステルイソブチルエステル
【0076】
【化19】
【0077】
乾燥ジクロロメタン(25ml)中の2,2−ビス−ヒドロキシメチルキヌクリジノン(0.5g、2.6ミリモル)の攪拌溶液にピリジン(1.28g、16.1ミリモル)を窒素雰囲気下室温でゆっくり添加し、反応混合物を5℃に冷却した。イソブチルクロロホルメート(0.92g、6.7ミリモル)を窒素下同じ温度で反応混合物にゆっくり添加し、同じ温度で0.5時間反応混合物を攪拌した。次に反応混合物を室温に戻し、攪拌を室温で19時間継続した。反応混合物を氷冷水(50ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として0.5:99.5メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(550mg、55%)。
【0078】
4.3 スピロ−2,2−([1,3]−ジオキサン−2−オン)−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0079】
【化20】
【0080】
乾燥ジクロロメタン(150ml)中のソルケタール(2.8g、0.02モル)の攪拌溶液にピリジン(5g、0.0635モル)を窒素雰囲気下室温でゆっくり添加し、反応混合物を5℃に冷却した。次にトルエン中のホスゲンの20%溶液(15.7ml)を同じ温度で極めてゆっくり添加し、0.5時間攪拌した。反応混合物を室温に戻し、3時間室温で攪拌した。再度反応混合物を0℃まで冷却し、乾燥ジクロロメタン(25ml)中の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)キヌクリジノン(1g、5.4ミリモル)を反応混合物に添加し、次に反応混合物を室温にまで加温し、室温で17時間攪拌した。反応混合物を氷冷水(100ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x100ml)で抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として1:99メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(500mg、11%)。
【実施例5】
【0081】
2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)のアミノ化のための方法
5.1 5−フルオロ−1−(3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン
【0082】
【化21】
【0083】
乾燥DMF(10ml)中の2−メチレン−3−キヌクリジノン(500mg、3.65ミリモル)の攪拌溶液に5−フルオロウラシル(470mg、3.6ミリモル)を窒素雰囲気下室温で添加した。反応混合物を14時間室温で攪拌した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を粉砕氷上に注ぎ込んだ。形成したオフホワイトの固体を濾過し、ヘキサンで洗浄した。次に固体をクロロホルム中に入れ、12時間攪拌し、濾過し、乾燥して純粋な生成物を得た(150mg)。
【0084】
5.2 2−(2,3−ジヒドロ−インドール−1−イルメチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0085】
【化22】
【0086】
水(6ml)中の2−メチレン−3−キヌクリジノン(0.5g、0.0028モル)の攪拌溶液にインドリン(0.66g、0.0057モル)、トリエチルアミン(0.84g、0.0084モル)及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(90mg、0.00028モル)を添加し、反応混合物を18〜20時間80℃で攪拌放置した。反応混合物を氷冷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮し、得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより緑色味を帯びた黄色の固体(125mg、17%)として精製した。
【0087】
5.3 2−[(エチル−ピリジン−4−イルメチルアミノ)−メチル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0088】
【化23】
【0089】
水(3ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(0.5g、0.0036モル)の攪拌溶液にN−(4−ピリジルメチル)エチルアミン(0.49g、0.0036モル)、トリエチルアミン(1.09g、0.0108モル)及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(116mg、0.00036モル)を添加し、反応混合物を18時間80℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(10ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(2x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより黄色固体(200mg、22%)として精製した。
【0090】
5.4 2−[4−(フラン−2−カルボニル)−ピペラジン−1−イルメチル] −1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0091】
【化24】
【0092】
水(3ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(0.5g、0.0036モル)の攪拌溶液に1−(2−フロイル)ピペラジン(0.64g、0.0036モル)、トリエチルアミン(1.09g、0.0108モル)及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(116mg、0.00036モル)を添加し、反応混合物を20時間80℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(10ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(2x50ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより黄色固体(100mg、9%)として精製した。
【0093】
5.5 2−(3,5−ジメチル−ピペリジン−1−イルメチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0094】
【化25】
【0095】
水(5ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(0.25g、0.0014モル)の攪拌溶液に3,5−ジメチルピペリジン(0.32g、0.0028モル)、トリエチルアミン(0.84g、0.0084モル)及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(45mg、0.00014モル)を添加し、反応混合物を18時間80℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(100mg)。
【実施例6】
【0096】
2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)のアルコキシル化(又はアロキシル化)のための方法
6.1 2−プロポキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0097】
【化26】
【0098】
乾燥ジクロロメタン(5ml)中の2−メチレン−3−キヌクリジノン(100mg)の攪拌溶液にプロパノール(1等量、0.04ml)をモレキュラーシーブ(4Å)の存在下に添加した。反応混合物を一夜室温で攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルム中0.5%メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(70mg、50%)。
【実施例7】
【0099】
2−メチレン−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(8)のチオエステルの形成のための方法
7.1 2−(9H−プリン−6−イルスルファニルメチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン
【0100】
【化27】
【0101】
水(6ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(0.5g、3.6ミリモル)の攪拌溶液にトリエチルアミン(15ml)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(120mg)および6−メルカプトプリン1水和物(0.62g)を添加し、反応混合物を14時間85℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(10ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(2x25ml)で抽出し、有機層を水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として9:1クロロホルム:メタノールを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(140mg、14%)。
【0102】
7.2 (RS)−2−フェニルスルファニルメチル−1−アザビシクロ[2.2.2] オクタン−3−オン
【0103】
【化28】
【0104】
水(10ml)中の塩酸2−メチレン−3−キヌクリジニノン(1g、0.0057モル)の攪拌溶液にトリエチルアミン(1.73g、0.0171モル)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(180mg、0.00057モル)およびチオフェノール(0.63g、0.0057モル)を添加し、反応混合物を18時間80℃で攪拌放置した。反応の終了はtlcでモニタリングした。反応混合物を氷冷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(4x50ml)で抽出し、有機層を水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いた中性シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(550mg)。
【実施例8】
【0105】
2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1−アザビシクロ[2.2.2] オクタン−3−オン(2)のカーバメートの形成のための方法
8.1 ピロリジン−カルバミン酸2−[(ピロリジン−カルバモイルオキシ)−メチル]−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2] オクタ−2−イルメチルエステル
【0106】
【化29】
【0107】
乾燥THF(40ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(1g、0.0054モル)の攪拌溶液にピリジン(0.93g、0.0118モル)を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を5℃に冷却した。乾燥THF(10ml)中の4−ニトロフェニルクロロホルメート(2.2g、0.0113モル)の溶液を5℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で18時間攪拌を継続した。反応混合物を10%NaHCO3溶液(100ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x100ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより黄色固体の中間体A(400mg、15%)として精製した。
【0108】
ピリジン(5ml)中のピロリジン(28mg、0.0004モル)の攪拌溶液に中間体A(100mg、0.00019モル)を窒素雰囲気下−5℃で添加した。反応混合物を15時間室温で攪拌放置した。過剰のピリジンを真空下に除去した。次に反応混合物を氷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルム中0.1%メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(40mg、57%)。
【0109】
8.2 ビス−(2−クロロ−エチル)−カルバミン酸2−{[ビス−(2−クロロ−エチル)−カルバモイルオキシ]−メチル}−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−メチルエステル
【0110】
【化30】
【0111】
乾燥THF(100ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(2g、0.0108モル)の攪拌溶液にピリジン(1.8ml、0.0236モル)を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を-5℃に冷却した。乾燥THF(50ml)中の4−ニトロフェニルクロロホルメート(4.4g、0.0226モル)の溶液を-5℃でゆっくり添加し、室温(26〜27℃)で12時間攪拌を継続した。反応混合物を10%NaHCO3溶液(100ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x100ml)で抽出した。有機層を水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を再結晶により精製し、純粋な中間体A(560mg、10%)を得た。
【0112】
ピリジン(20ml)中の塩酸ビス(2−クロロエチル)アミン(430mg)の攪拌溶液に中間体A(400mg)を窒素雰囲気下0℃で添加した。反応混合物を10時間室温で攪拌放置した。過剰のピリジンを真空下に除去し、次に氷水(20ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x25ml)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤としてクロロホルム中1%メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(190mg、47%)。
【0113】
8.3 ジメチル−カルバミン酸2−ジメチルカルバモイルオキシメチル−3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチルエステル
【0114】
【化31】
【0115】
乾燥ジクロロメタン(50ml)中の3−キヌクリジノンのビスメチロール(1g、0.0054モル)の攪拌溶液にピリジン(2.5g、0.0318モル)を添加し、反応混合物を5℃に冷却した。N,N−ジメチルカルボニルクロリド(1.45g、0.0134モル)を窒素下5℃でゆっくり添加し、攪拌を更に30分間継続した。反応混合物を室温にまで加温し、19時間攪拌した。反応混合物を氷冷水(50ml)でクエンチングし、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出し、水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた粗生成物を溶離剤として0.5:99.5メタノール:クロロホルムを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(125mg)。
【0116】
生物学的試験
テトラサイクリン調節突然変異体p53コンストラクトを有するヒトH1299−His175肺癌細胞系統を用いて本発明の化合物の抗増殖及びアポトーシス誘導の作用を検討した。
【0117】
WST−1試験プロトコル
細胞培養
細胞を10%ウシ胎児血清、Lグルタミン及びゲンタマイシンを添加したIscoveの変性ダルベッコ培地中で培養した。
【0118】
細胞の播種
細胞は約75〜100%コンフルエントの時点で実験用に採取した。トリプシン処理後、細胞を細胞培養用培地中30000個/mlの細胞濃度となるように希釈した。細胞を100μl/ウェル(3000個/ウェル)で平底96穴プレート中に入れた。プレートの最終列は培地のみを100μl/ウェル添加してブランクとした。次に細胞を細胞インキュベーター中一夜インキュベートした。
【0119】
細胞の投与
96ウェルプレート中で約16〜24時間インキュベートした後、細胞に種々の化合物を投与した。薬剤を0.1Mの濃度でDMSO中に溶解し、次にPBS中で所望の濃度まで希釈した。次に各化合物5μlを各ウェルに添加した。1列分は細胞を未投与のままとし、対照とした。細胞プレートを細胞インキュベーター中に戻した。
【0120】
WST−1試薬の添加
細胞インキュベーター中96時間維持した後、WST−1試薬をプレートに添加した。試薬10μlをプレートの各ウェル(未投与細胞及び培地のみのウェルを含む)に添加した。試料の吸光度は細胞インキュベーター中約1〜2時間インキュベーション後に450nmで分光光度計において測定した。プレートを読み取る前に、それらは培地のみのウェルの色および未投与細胞のウェルの色を比較することにより目視により確認した。培地は赤桃色に維持されているはずであり、未投与細胞は赤桃色からオレンジ色に変化するはずである。
【0121】
WST−1の分析
未投与細胞の吸光度値の平均を各プレートにつき計算した。成育抑制の%が100−((Abs試料/Abs未投与細胞)x100)として計算した。
【0122】
WST−1分析の結果はIC50値、即ち細胞の少なくとも50%の成育を抑制する濃度で表示する。本発明の種々の化合物並びに本発明ではない1比較参照化合物のIC50の値を表1に示す。本発明の化合物を酸付加塩の形態で試験した場合は、相当する酸を表1に示す。
【0123】
(表1-1)試験した化合物の例及びWST−1試験のIC50値
【0124】
(表1-2)
【0125】
【表1−3】
【0126】
【表1−4】
【0127】
【表1−5】
【0128】
FACS分析
H1299−His175細胞を初期密度10,000個/cm2で6穴プレートにプレーティングし、一夜培養し、そして本発明の化合物を投与した。24時間投与後、浮遊細胞を含有する培地を収集し、回収した付着細胞と合わせた。細胞をPBS中で1回洗浄し、PBS200ul中に再懸濁した。氷冷70%エタノールを回転混合しながら添加し、細胞を24時間−20℃で保存した。次に固定した細胞を遠心分離により収集し、PBS中で1回洗浄し、37℃で30分間100μlのPI染色緩衝液(5μg/mlPI及び250μg/mlRNAaseA)中でインキュベートした。試料はFACSCaliburフローサイトメーターを用いて試験し、サブG0/G1ピークはCELLQuestソフトウエアを用いて定量した。本発明の化合物について得られた結果を図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図2】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図3】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図4】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図5】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図6】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図7】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図8】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図9】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図10】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【図11】は選択された数の化合物のFACS分析の結果を示す図。
【0130】
参考文献
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国際特許出願02/24692
国際特許出願03/070250
【特許請求の範囲】
【請求項1】
増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患から選択される障害の治療のための医薬の製造のための、下記式(I):
【化1】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−R5、−CH2−O−SO2−R5、−CH2−S−R5、−CH2−NR4R5、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、そして場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただし、R1及びR2が共に−CH2−OR5である場合は、R5はHではなく;そして、
更にただしR1及びR2の一方がHであり他方が−CH2−NR4R5である場合は、R4及びR5は置換又は未置換の単環のアリールではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、製薬上許容しうるその塩またはプロドラッグの使用。
【請求項2】
障害が癌である請求項1記載の使用。
【請求項3】
下記式(I):
【化2】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、そして場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただしR1及びR2が共にHではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、式(I)の化合物の製薬上許容しうる塩またはプロドラッグ。
【請求項4】
下記式(I):
【化3】
[式中、
R1、R2およびR3は請求項3に定義する通りであるが、ただし、R1およびR2の少なくとも1つは−CH2OHであるか;又は、式中、R1およびR2の両方が−CH2OHであり、R3は請求項3の通り定義される]の化合物を、R1及びR2の少なくとも1つをR4およびR5が請求項3に定義するものである−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5又は−CH2−O−CO−OR5に変換するために適する条件下に反応させることにより請求項3に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項5】
医薬として使用するための請求項3記載の化合物。
【請求項6】
請求項3記載の化合物又は製薬上許容しうるその塩又はプロドラッグの治療有効量及び製薬上許容しうる賦形剤少なくとも1つを含む医薬組成物。
【請求項7】
別の薬学的に活性な化合物少なくとも1つを含む請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項3記載の化合物及び別の活性な化合物が相乗的な治療作用を与える請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
インビボの別の活性な化合物少なくとも1つがグルタチオンとの反応が可能である請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
別の活性な化合物がアドリアマイシン、メルファラン及びシスプラチンから選択される請求項7〜9の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
下記式(I):
【化4】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−R5、−CH2−O−SO2−R5、−CH2−S−R5、−CH2−NR4R5、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、そして場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただし、R1及びR2が共に−CH2−OR5である場合は、R5はHではなく;そして、
更にただしR1及びR2の一方がHであり他方が−CH2−NR4R5である場合は、R4及びR5は置換又は未置換の単環のアリールではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、製薬上許容しうるその塩またはプロドラッグの治療有効量を、増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患から選択される疾患の治療が必要な患者に投与することによる、上記疾患の治療方法。
【請求項12】
式(I)の化合物を別の薬学的に活性な化合物と共に投与する請求項11記載の方法。
【請求項13】
式(I)の化合物と別の薬学的に活性な化合物がインビボで相乗作用を与える請求項12記載の方法。
【請求項14】
インビボの別の薬学的に活性な化合物がグルタチオンとの反応が可能である請求項13記載の方法。
【請求項15】
別の薬学的に活性な化合物がアドリアマイシン、メルファラン、シスプラチンから選択される請求項12〜14の何れかに記載の方法。
【請求項1】
増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患から選択される障害の治療のための医薬の製造のための、下記式(I):
【化1】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−R5、−CH2−O−SO2−R5、−CH2−S−R5、−CH2−NR4R5、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、そして場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただし、R1及びR2が共に−CH2−OR5である場合は、R5はHではなく;そして、
更にただしR1及びR2の一方がHであり他方が−CH2−NR4R5である場合は、R4及びR5は置換又は未置換の単環のアリールではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、製薬上許容しうるその塩またはプロドラッグの使用。
【請求項2】
障害が癌である請求項1記載の使用。
【請求項3】
下記式(I):
【化2】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、そして場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただしR1及びR2が共にHではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、式(I)の化合物の製薬上許容しうる塩またはプロドラッグ。
【請求項4】
下記式(I):
【化3】
[式中、
R1、R2およびR3は請求項3に定義する通りであるが、ただし、R1およびR2の少なくとも1つは−CH2OHであるか;又は、式中、R1およびR2の両方が−CH2OHであり、R3は請求項3の通り定義される]の化合物を、R1及びR2の少なくとも1つをR4およびR5が請求項3に定義するものである−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5又は−CH2−O−CO−OR5に変換するために適する条件下に反応させることにより請求項3に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項5】
医薬として使用するための請求項3記載の化合物。
【請求項6】
請求項3記載の化合物又は製薬上許容しうるその塩又はプロドラッグの治療有効量及び製薬上許容しうる賦形剤少なくとも1つを含む医薬組成物。
【請求項7】
別の薬学的に活性な化合物少なくとも1つを含む請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項3記載の化合物及び別の活性な化合物が相乗的な治療作用を与える請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
インビボの別の活性な化合物少なくとも1つがグルタチオンとの反応が可能である請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
別の活性な化合物がアドリアマイシン、メルファラン及びシスプラチンから選択される請求項7〜9の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
下記式(I):
【化4】
[式中、
(i)R1及びR2は同じかまたは異なっていて、H、−CH2−O−R5、−CH2−O−SO2−R5、−CH2−S−R5、−CH2−NR4R5、−CH2−O−CO−R5、−CH2−O−CO−NR4R5及び−CH2−O−CO−OR5から選択され;
R3は=O、=S又は=NR5であり;
R4及びR5は同じかまたは異なっていて、H;置換又は未置換の未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;置換又は未置換のベンジル;置換又は未置換の単環又は2環のアリール;置換又は未置換の単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリールまたは非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択されるか;又は、−CH2−NR4R5におけるR4及びR5は共に結合して、それらが結合している窒素原子と一緒になって、置換又は未置換の非芳香族のC1−C10の単環又は2環のヘテロサイクリル、ただし場合によりN、O及びSから独立して選択される別のヘテロ原子1個又は数個を含有し、そして場合により環状ケト基1個又は数個を含むものであるが;ただし、R1及びR2が共に−CH2−OR5である場合は、R5はHではなく;そして、
更にただしR1及びR2の一方がHであり他方が−CH2−NR4R5である場合は、R4及びR5は置換又は未置換の単環のアリールではないか;又は、
(ii)R1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって置換又は未置換の環状のカーボネートを形成し;
ここで置換された基の置換基は未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ハロゲン;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のC1−C10ヘテロアリール及び非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;C1−C10アルコキシ;アミノ;C1−C10アルキルアミノ;COR6;CONR6R7;及びCOOR6;から選択され;
R6及びR7は同じかまたは異なっていて、H;未分枝鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和のC3−C12シクロアルキル又はC1−C10アルキル;ベンジル;単環又は2環のアリール;単環、2環又は3環のヘテロアリール又は非芳香族のC1−C10ヘテロサイクリル、ここでヘテロ原子は独立してN、O及びSから選択されるもの;から選択される]の化合物、並びに、製薬上許容しうるその塩またはプロドラッグの治療有効量を、増殖亢進性疾患、自己免疫疾患及び心疾患から選択される疾患の治療が必要な患者に投与することによる、上記疾患の治療方法。
【請求項12】
式(I)の化合物を別の薬学的に活性な化合物と共に投与する請求項11記載の方法。
【請求項13】
式(I)の化合物と別の薬学的に活性な化合物がインビボで相乗作用を与える請求項12記載の方法。
【請求項14】
インビボの別の薬学的に活性な化合物がグルタチオンとの反応が可能である請求項13記載の方法。
【請求項15】
別の薬学的に活性な化合物がアドリアマイシン、メルファラン、シスプラチンから選択される請求項12〜14の何れかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−530534(P2007−530534A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504913(P2007−504913)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000412
【国際公開番号】WO2005/090341
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(503361145)アプレア アクチボラゲット (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000412
【国際公開番号】WO2005/090341
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(503361145)アプレア アクチボラゲット (3)
【Fターム(参考)】
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