説明

アライメントテスタ校正装置

【課題】アライメントテスタの校正作業に要するコストを低減できるとともに、アライメントテスタの校正作業を効率的に行うことができるアライメントテスタ校正装置を提供する。
【解決手段】校正ブロック51・52・53と、校正ブロック51・52・53を支持する支持部材40と、左右方向における支持部材40の傾斜を調整する傾斜調整機構20と、第一レーザー61および第二レーザー62を照射するレーザー墨出し器60と、校正ブロック51・52・53が基準位置P1・P2・P3に位置決めされたときに第一レーザー61を受光する第一受光器71と、校正ブロック51・52・53が基準位置P1・P2・P3に位置決めされたときに第二レーザー62を受光する第二受光器72と、左右方向に沿って支持部材40を移動させる左右方向スライド機構32と、上下方向を回動中心の軸方向として支持部材40を回動させる回動機構33と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメントテスタを校正するアライメントテスタ校正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の製造工程等において、アライメントテスタを用いて車両のアライメント(ホイールアライメント)を測定している。このとき、アライメントテスタは、センサの測定基準となる位置(以下、「基準位置」とする)より、車輪がどれだけずれているかを測定する。そして、当該測定結果に基づいてアライメントを算出する。
【0003】
このようなセンサの基準位置が本来の基準位置よりずれている場合、車輪を測定したときにも当該ずれが影響し、アライメントを正確に算出できない。このため、アライメントテスタでは、基準位置のずれ等を校正する校正作業を定期的に行う必要がある。
【0004】
アライメントテスタの校正作業では、例えば、図15および図16に示すようなアライメントテスタ校正装置201を用いる。
アライメントテスタ校正装置201は、本体フレーム210を具備する。また、本体フレーム210には、校正ブロック251・252・253・254が取り付けられるホイール部211・212・213・214が形成される。
【0005】
アライメントテスタの校正作業では、アライメントテスタ校正装置201をホイスト220によって持ち上げて、ホイール部211・212・213・214をアライメントテスタ100のローラー101・101上に載置する。そして、所定のピン孔にピンを挿し込んでアライメントテスタ校正装置201を位置決めする。これにより、校正ブロック251・252・253・254は、それぞれアライメントテスタ100の各センサ110・110・110・110の基準位置に配置される。
そして、各センサ110・110・110・110が校正ブロック251・252・253・254を測定し、当該測定結果に基づいて基準位置を校正する。これにより、アライメントテスタ100は校正される。
【0006】
このようなアライメントテスタ100の校正作業では、ホイスト220を用いた作業となるため、作業工数が多くかかってしまい、ひいては、校正作業に要するコストが増加してしまうという問題があった。
また、アライメントテスタ校正装置201自体を定期的に測定する必要があった。つまり、アライメントテスタ校正装置201を所定の測定装置まで運ぶ等、アライメントテスタ校正装置201自体の測定にコストがかかるという問題があった。
【0007】
以上の問題を解決するアライメントテスタ校正装置として、例えば、特許文献1に記載されるアライメントテスタ校正装置が開示されている。
特許文献1に開示されるアライメントテスタ校正装置は、本体フレーム、回転軸、マスタホイール、ジャイロ機構、ダイヤルゲージ、搬入搬出台車、および検定基準面を具備する。
回転軸は、本体フレームに回動可能に支持される。マスタホイールは、回転軸の両端部にジャイロ機構を介して連結される。ジャイロ機構は、マスタホイールのキャンバ角およびトー角を調整可能に構成され、当該調整されるキャンバ角およびトー角がダイヤルゲージに表示される。搬入搬出台車は、アライメントテスタ校正装置を移動させる。検定基準面は、各マスタホイールと同一の形状に形成され、本体フレームに支持される。
【0008】
このように構成される特許文献1に記載のアライメントテスタ校正装置は、搬入搬出台車によって、アライメントテスタ上まで移動させる。そして、アライメントテスタ校正装置のキャンバ角およびトー角をアライメントテスタで測定し、当該測定結果とダイヤルゲージに表示される値とを比較する。そして、比較結果に基づいてセンサを校正することで、アライメントテスタの校正を行う。
また、アライメントテスタ校正装置自体を測定するときには、マスタホイールと検定基準面との寸法を比較することにより、マスタホイール自体の測定を行う。
【0009】
これによれば、ホイストを用いることなく校正作業を行うことができる。また、アライメントテスタ校正装置自体を容易に測定できる。
【0010】
しかし、このようなアライメントテスタ校正装置では、前輪および後輪のセンサ全てを同時に校正するため、アライメントテスタ校正装置の形状が大きくなる。このため、アライメントテスタ校正装置を保管するために広いスペースが必要となる。
この場合、例えば、設備の上方に架台を設け、アライメントテスタ校正装置をホイストによって架台まで吊り上げて保管することが考えられる。しかし、架台を設けるためのコストが必要となるとともにホイストを用いた作業となるため、校正作業に要するコストが増加してしまう。
【0011】
また、全てのセンサを校正する必要がない場合、例えば、アライメントテスタのセンサのうち一つだけを交換した場合等においても、大きな形状のアライメントテスタ校正装置をアライメントテスタに載置する必要があるため、校正作業の効率が悪いという点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平2−98602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、アライメントテスタの校正作業に要するコストを低減できるとともに、アライメントテスタの校正作業を効率的に行うことができるアライメントテスタ校正装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1においては、車両の車輪を測定するセンサを備えるアライメントテスタを校正するアライメントテスタ校正装置であって、前記センサの基準となる位置である基準位置に位置決めされる基準部材と、前記基準部材を支持し、前記センサの測定対象である車輪が載置される位置に載置される支持部材と、前記支持部材に連結されて、前記車両の幅方向における前記支持部材の傾斜を調整する幅方向傾斜調整手段と、前記支持部材に支持されて、前記車両の進行方向前側および進行方向後側のいずれか一方に向けて第一レーザーを照射する第一照射手段と、前記基準部材が前記基準位置に位置決めされたときに前記第一レーザーを受光する第一受光手段と、前記支持部材に支持されて、前記車両の進行方向前側および進行方向後側のいずれか他方に向けて第二レーザーを照射する第二照射手段と、前記基準部材が前記基準位置に位置決めされたときに前記第二レーザーを受光する第二受光手段と、前記支持部材に連結されて、前記幅方向に沿って前記支持部材を移動させる幅方向移動手段と、前記支持部材に連結されて、前記車両の高さ方向を回動中心の軸方向として前記支持部材を回動させる回動手段と、を具備し、前記第一レーザーを前記第一受光手段が受光するとともに、前記第二レーザーを前記第二受光手段が受光するまで、前記幅方向移動手段によって前記幅方向に沿って前記支持部材を移動させるとともに前記回動手段によって前記高さ方向を中心に前記支持部材を回動させることにより、前記基準部材を位置決めし、該位置決めされる基準部材を前記センサが測定することで、前記センサの基準位置を校正し、該基準位置の校正は、校正対象となる前記センサに対して行うものである。
【0015】
請求項2においては、前記支持部材に連結されて、前記進行方向に沿って前記支持部材を移動させる進行方向移動手段と、前記支持部材に支持されて、前記幅方向外側および幅方向内側のいずれか一方に向けて第三レーザーを照射する第三照射手段と、前記基準部材が前記基準位置に配置されたときに前記第三レーザーを受光する第三受光手段と、をさらに具備し、前記第一レーザーを前記第一受光手段が受光し、前記第二レーザーを前記第二受光手段が受光している状態で、前記第三レーザーを前記第三受光手段が受光するまで、前記進行方向移動手段によって前記進行方向に沿って前記支持部材を移動させることにより、前記基準部材を前記基準位置に位置決めするものである。
【0016】
請求項3においては、前記支持部材に支持されて、前記幅方向外側および幅方向内側のいずれか他方に向けて第四レーザーを照射する第四照射手段と、前記基準部材が前記基準位置に配置されたときに前記第四レーザーを受光する第四受光手段と、をさらに具備し、前記第一レーザーを前記第一受光手段が受光し、前記第二レーザーを前記第二受光手段が受光し、前記第三レーザーを前記第三受光手段が受光している状態で、前記第四レーザーを前記第四受光手段が受光するまで、前記進行方向移動手段によって前記進行方向に沿って前記支持部材を移動させることにより、前記基準部材を前記基準位置に位置決めするものである。
【0017】
請求項4においては、前記支持部材に連結されて、前記進行方向における前記支持部材の傾斜を調整する進行方向傾斜調整手段をさらに具備するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ホイスト等を用いることなく搬送できるためアライメントテスタの校正作業に要するコストを低減できるとともに、アライメントテスタのセンサを一箇所ずつ校正するためアライメントテスタの校正作業を効率的に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】アライメントテスタ校正装置をアライメントテスタに設置した状態を示す平面図。
【図2】アライメントテスタ校正装置の全体的な構成を示す右側面図。
【図3】同じく平面図。
【図4】同じく左側面図。
【図5】同じく正面図。
【図6】第一受光器および第二受光器にレーザーを照射する状態を示す背面図。
【図7】第一受光プレートを示す図。(a)第一受光プレートの左側面図。(b)第一受光プレートに向けてレーザーを照射する状態を示す正面図。
【図8】アライメントテスタの校正作業を示すフロー図。
【図9】水平板の左右方向の傾斜を調整する状態を示す正面図。(a)水平板を調整する前の状態示す図。(b)水平板を調整した後の状態を示す図。
【図10】水平板の前後方向の傾斜を調整する状態を示す左側面図。(a)水平板を調整する前の状態示す図。(b)水平板を調整した後の状態を示す図。
【図11】支持部材がθ方向にずれた状態を示す平面図。
【図12】支持部材を移動させる状態を示す平面図。(a)支持部材が前後方向および左右方向にずれた状態を示す図。(b)支持部材を左右方向に移動させた状態を示す図。
【図13】アライメントテスタを示す図。(a)アライメントテスタの平面図。(b)ローラーの斜視図。(c)センサの左側面図。
【図14】基準位置を示す図。(a)基準位置の正面図。(b)基準位置の右側面図。
【図15】従来のアライメントテスタ校正装置をアライメントテスタに設置する状態を示す正面図。
【図16】従来のアライメントテスタ校正装置をアライメントテスタに設置した状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係るアライメントテスタ校正装置の実施の一形態であるアライメントテスタ校正装置1について、図面を参照して説明する。
【0021】
なお、以下では、説明の便宜上、図1における矢印L方向を「前方」として前後方向を規定する。また、図1における矢印W方向を「右方」として左右方向を規定する。そして、図2における矢印H方向を「上方」として上下方向を規定する。
【0022】
まず、アライメントテスタ100について説明する。
図13および図14に示すように、アライメントテスタ100は、車両のアライメント(ホイールアライメント)を算出するものである。アライメントテスタ100のローラーテーブルT1〜T4には、後方より車両が進行して、車輪Aが載置される。すなわち、本実施形態では、前後方向が車両の進行方向となる。また、左右方向が車両の幅方向となる。そして、上下方向が車両の高さ方向となる。
ローラーテーブルT1〜T4にはローラー101・101が設けられ、ローラーテーブルT1〜T4の近傍にはセンサ111・112・113が設けられる。
【0023】
図13(a)および図13(b)に示すように、ローラー101・101は、前後方向に所定の間隔を空けた状態で配置され、所定のアクチュエータによって回動可能に構成される。また、ローラー101・101は、車両の進行方向を変更可能となるように、その軸心方向を図13(a)における時計回りの方向および反時計回りの方向に回動可能に構成される。
【0024】
センサ111・112・113は、アライメントテスタ100におけるローラーテーブルT1〜T4よりも外側の位置に所定の間隔を空けた状態で配置される。図13(c)に示すように、センサ111・112・113は、略十字状に形成される取付部材114に所定の間隔を空けた状態で取り付けられる。
【0025】
このようなセンサ111・112・113は、図14に示すように、ローラーテーブルT1〜T4に載置される車輪Aに向けてレーザーを照射して、各センサ111・112・113と車輪Aとの距離を測定する。このとき、各センサ111・112・113は、基準となる位置より車輪Aがどれだけ離れているかを測定することで、車輪Aのキャンバ角およびトー角等を算出する。
本実施形態では、ローラーテーブルT1〜T4が、センサ111・112・113が車輪Aを測定する位置となる。つまり、センサ111・112・113の測定対象である車輪Aが載置される位置が、ローラーテーブルT1〜T4である。
【0026】
なお、以下において、センサ111の基準となる位置を「基準位置P1」とし、センサ112の基準となる位置を「基準位置P2」とし、センサ113の基準となる位置を「基準位置P3」とする(図14(b)参照)。
本実施形態の基準位置P1・P2・P3は、センサ111・112・113が車輪Aを測定したときに、キャンバ角およびトー角が0°となる位置である。
【0027】
例えば、センサ112の基準位置P2が右側に所定の間隔だけずれてる状態で車輪Aを測定した場合、アライメントテスタ100は、当該ずれている間隔に基づいて車両のアライメントを算出する(図14(a)に二点鎖線で示す車輪A参照)。
この場合、車輪Aのキャンバ角が所定の範囲内であるにも関わらず、測定結果においてキャンバ角が所定の範囲外となる場合がある。つまり、アライメントテスタ100の測定結果に差異が生じるため、正確に車両のアライメントを測定できない場合がある。
【0028】
次にアライメントテスタ校正装置1について説明する。
アライメントテスタ校正装置1は、センサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3を校正するものである。図1および図2に示すように、アライメントテスタ校正装置1は、載置板10、傾斜調整機構20、調整ステージ30、支持部材40、校正ブロック51・52・53、レーザー墨出し器60、およびターゲット70を具備する。
【0029】
図2に示すように、載置板10は、略板状の部材によって構成される。
【0030】
傾斜調整機構20は、支持部材40の傾斜を調整するものである。傾斜調整機構20は、水平板21と三つのボルト22・23・24とを備え、調整ステージ30を介して支持部材40に連結される。
図3および図4に示すように、傾斜調整機構20は、平面視において載置板10の上面に水平板21を重ねた状態で、ボルト22・23・24を水平板21より螺合する。ボルト22・23は、水平板21の右側の前後両端部より螺合する。また、ボルト24は、水平板21の左側の前後中央部より螺合する。つまり、ボルト22・23・24は、平面視において、三角形状に配置される。
【0031】
このような傾斜調整機構20は、ボルト24だけを回動させることにより、水平板21の左側がボルト24の軸心に沿って移動する。つまり、水平板21の左側は、水平板21の右側に対して相対的に上下方向に移動する。
また、ボルト22・23を回動させることにより、水平板21の右側がボルト22・23の軸心に沿って移動する。つまり、水平板21の右側は、水平板21の左側に対して相対的に上下方向に移動する。
【0032】
そして、ボルト22だけを回動することにより、水平板21の前側は、水平板21の後側に対して相対的に上下方向に移動する。また、ボルト23だけを回動させることにより、水平板21の後側は、水平板21の前側に対して相対的に上下方向に移動する。
このように、傾斜調整機構20は、水平板21の傾斜を調整できる。
【0033】
なお、以下において、上下方向を中心とする回転方向(図1における時計回りの方向および反時計回りの方向)を「θ方向」とする。また、左右方向を中心とする回転方向(図2における時計回りの方向および反時計回りの方向)を「α方向」とする。そして、前後方向を中心とする回転方向(図5における時計回りの方向および反時計回りの方向)を「β方向」とする。
【0034】
調整ステージ30は、支持部材40の位置を調整するものである。図2および図4に示すように、調整ステージ30は、前後方向スライド機構31、左右方向スライド機構32、回動機構33、および調整板34を備え、支持部材40に連結される。
【0035】
前後方向スライド機構31は、所定の連結部材を介して傾斜調整機構20の水平板21の上面に取り付けられる。前後方向スライド機構31は、スライド板31aにステー等を介してマイクロメータ31bが取り付けられる。マイクロメータ31bを回動させることにより、スライド板31aは、水平板21に対して相対的に、前後方向に沿って所定の間隔で移動する。
【0036】
左右方向スライド機構32は、所定の連結部材を介して前後方向スライド機構31のスライド板31aの上面に取り付けられる。左右方向スライド機構32は、スライド板32aにステー等を介してマイクロメータ32bが取り付けられる。マイクロメータ32bを回動させることにより、スライド板32aは、前後方向スライド機構31のスライド板31aに対して相対的に、左右方向に沿って所定の間隔で移動する。
【0037】
回動機構33は、所定の連結部材を介して左右方向スライド機構32のスライド板32aの上面に取り付けられる。回動機構33は、調整板34にステー等を介してマイクロメータ33bが取り付けられる。図3に示すように、回動機構33のマイクロメータ33bを回動させることにより、調整板34はその中央部を中心にθ方向に回動する。
【0038】
調整板34は、略円状に形成され、支持部材40が相対移動不能に載置固定される。
【0039】
このように構成される調整ステージ30では、前後方向スライド機構31のマイクロメータ31bを回動させることにより、調整板34を前後方向に移動できる。
また、左右方向スライド機構32のマイクロメータ32bを回動させることにより、調整板34を左右方向に移動できる。
【0040】
図2および図5に示すように、支持部材40は、校正ブロック51・52・53を支持するものである。支持部材40は、前後方向および上下方向に延出するような略十字状に形成される。また、支持部材40は、その下部に連通孔40aが形成されるとともに、その下端部に図5において略L字状に形成される支持部40bが形成される。支持部40bには、α方向水準器41およびβ方向水準器42が取り付けられる。
【0041】
α方向水準器41は、容器に所定の液体と気泡とを入れることによって構成される。α方向水準器41は、気泡が前後方向に沿って移動するように支持部材40の支持部40bに取り付けられる。つまり、α方向水準器41は、支持部材40がα方向に傾斜しているときに気泡が前後方向に移動する。
【0042】
β方向水準器42は、α方向水準器41と同様に構成される。β方向水準器42は、気泡が左右方向に沿って移動するように支持部材40の支持部40bに取り付けられる。つまり、β方向水準器42は、支持部材40がβ方向に傾斜しているときに気泡が左右方向に移動する。
【0043】
これによれば、アライメントテスタ校正装置1は、支持部材40がα方向およびβ方向に対して水平であるかを、換言すれば、支持部材40が水平な面に対して傾斜しているかを確認できる。
【0044】
このような支持部材40の前後両端部には、校正ブロック51・53が取り付けられる。また、支持部材40の上端部には、校正ブロック52が取り付けられる。このような支持部材40は、複数の板状の部材を連結することで構成される。
【0045】
校正ブロック51・52・53は、センサ111・112・113に測定されるものである。図3に示すように、校正ブロック51・52・53には、右方向に突出する頂点部51a・52a・53aが形成される。校正ブロック51・52・53は、センサ111・112・113の配置と同一となるように支持部材40に取り付けられる。
つまり、支持部材40が取付部材114の左方に配置されたとき、側面視において校正ブロック51とセンサ111とは重なる。同様に、校正ブロック52とセンサ112とが重なるとともに、校正ブロック53とセンサ113とが重なる。このとき、各校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aは、各センサ111・112・113のレーザーが照射される位置に配置される。
【0046】
レーザー墨出し器60は、支持部材40の支持部40bに相対移動不能に載置固定される。図1に示すように、レーザー墨出し器60は、前後方向および左右方向にレーザーを照射する。ここで、右方に照射されるレーザーは、支持部材40の連通孔40aを通過する。このようなレーザー墨出し器60には、公知のレーザー墨出し器が用いられる。
【0047】
なお、以下において、レーザー墨出し器60より照射されるレーザーのうち、前方に向けて照射されるレーザーを「第一レーザー61」とし、後方に向けて照射されるレーザーを「第二レーザー62」とし、右方に向けて照射されるレーザーを「第三レーザー63」とし、左方に向けて照射されるレーザーを「第四レーザー64」とする。
【0048】
図6および図7(b)に示すように、各レーザー61〜64は、照射方向に沿って放射状に照射される。つまり、本実施形態では、各レーザー61〜64の照射方向上に受光器を配置することで、各レーザー61〜64を受光可能としている。
【0049】
ここで、支持部材40は、調整ステージ30の調整板34に対して相対移動不能に載置固定されている。また、レーザー墨出し器60は、支持部材40の支持部40bに相対移動不能に載置固定される。
このため、支持部材40は、調整板34の移動に伴って一体的に移動する。つまり、校正ブロック51・52・53およびレーザー墨出し器60は、前後方向スライド機構31によって前後方向に移動する。また、左右方向スライド機構32によって左右方向に移動する。そして、回動機構33によってθ方向に回動する。
【0050】
ターゲット70は、レーザー墨出し器60より照射される各レーザー61〜64を受光するものである。ターゲット70は、第一受光器71・81、第二受光器72・82、第一受光プレート73・83、および第二受光プレート74・84を備える。
【0051】
図1および図6に示すように、第一受光器71は、ローラーテーブルT1より前方に設けられる。第一受光器81は、ローラーテーブルT2より前方に設けられる。
従って、第一受光器71は、アライメントテスタ校正装置1がローラーテーブルT1あるいはローラーテーブルT3に載置されたとき、第一レーザー61を受光する。第一受光器81は、アライメントテスタ校正装置1がローラーテーブルT2あるいはローラーテーブルT4に載置されたとき、第一レーザー61を受光する。
【0052】
第二受光器72は、ローラーテーブルT3より後方に設けられる。第二受光器72は、ローラーテーブルT4より後方に設けられる。
従って、第二受光器72は、アライメントテスタ校正装置1がローラーテーブルT1あるいはローラーテーブルT3に載置されたとき、第二レーザー62を受光する。また、第二受光器82は、アライメントテスタ校正装置1がローラーテーブルT2あるいはローラーテーブルT4に載置されたとき、第二レーザー62を受光する。
【0053】
第一受光器71および第二受光器72は、互いに前後方向に沿って平行に配置される。また、第一受光器81および第二受光器82は、互いに前後方向に沿って平行に配置される。
このような第一受光器71・81および第二受光器72・82は、アライメントテスタ100に形成される切欠部に設けられる。また、第一受光器71・81および第二受光器72・82は、各レーザー61〜64を受光可能な所定の受光器によって構成される。
【0054】
また、本実施形態の第一受光器71・81および第二受光器72・82は、校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aからレーザー墨出し器60の第一レーザー61および第二レーザー62が照射される部分までの距離だけ左右方向にずらした位置に配置される。
【0055】
図1および図7に示すように、第一受光プレート73は、取付部材114に、より詳細には、ローラーテーブルT1に対応するセンサ112の下方に取り付けられる。つまり、第一受光プレート73は、ローラーテーブルT1より右方に配置される。第一受光プレート73には、マーク73aが形成され、当該マーク73aにレーザーが受光することで、レーザーの受光を確認可能に構成される。
第一受光プレート73は、アライメントテスタ校正装置1がローラーテーブルT1あるいはローラーテーブルT2に載置されたとき、第三レーザー63を受光する。
【0056】
第一受光プレート83は、ローラーテーブルT3に対応するセンサ112の下方に取り付けられる点を除いて第一受光プレート73と同様に構成される。
第一受光プレート83は、アライメントテスタ校正装置1がローラーテーブルT3あるいはローラーテーブルT4に載置されたとき、第三レーザー63を受光する。
【0057】
第二受光プレート74は、ローラーテーブルT2に対応するセンサ112の下方に取り付けられる点を除いて第一受光プレート73と同様に構成される。
第二受光プレート74は、アライメントテスタ校正装置1がローラーテーブルT1あるいはローラーテーブルT2に載置されたとき、第四レーザー64を受光する。
【0058】
また、第二受光プレート84は、ローラーテーブルT4に対応するセンサ112の下方に取り付けられる点を除いて第一受光プレート73と同様に構成される。
第二受光プレート84は、アライメントテスタ校正装置1がローラーテーブルT3あるいはローラーテーブルT4に載置されたとき、第四レーザー64を受光する。
【0059】
第一受光プレート73および第二受光プレート74は、互いに左右方向に沿って平行に配置される。また、第一受光プレート83および第二受光プレート84は、互いに左右方向に沿って平行に配置される。
【0060】
このように構成されるターゲット70は、第一受光器71、第二受光器72、第一受光プレート73、および第二受光プレート74に各レーザー61〜64が受光することで、ローラーテーブルT1に対応するセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3に校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aが配置される。
【0061】
また、第一受光器81、第二受光器82、第一受光プレート73、および第二受光プレート74に各レーザー61〜64が受光することで、ローラーテーブルT2に対応するセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3に校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aが配置される。
【0062】
また、第一受光器71、第二受光器72、第一受光プレート83、および第二受光プレート84に各レーザー61〜64が受光することで、ローラーテーブルT3に対応するセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3に校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aが配置される。
【0063】
また、第一受光器81、第二受光器82、第一受光プレート83、および第二受光プレート84に各レーザー61〜64が受光することで、ローラーテーブルT4に対応するセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3に校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aが配置される。
【0064】
次に、アライメントテスタ校正装置1を用いたアライメントテスタ100の校正作業ついて説明する。
【0065】
まず、図8に示すように、アライメントテスタ100を操作して、センサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3を校正可能な状態(以下、「校正モード」とする)に起動する(S110)。このとき、ローラー101・101は、回動不能にロックされる。
【0066】
アライメントテスタ100を校正モードにした後で、図1に示すように、ローラーテーブル(本実施形態ではローラーテーブルT1)上にアライメントテスタ校正装置1を設置(載置)する(S120)。つまり、支持部材40は、センサ111・112・113の測定対象である車輪Aが載置される部分であり、センサ111・112・113が車輪Aを測定する位置となるローラーテーブルT1に載置される。
【0067】
ローラーテーブルT1にアライメントテスタ校正装置1を設置した後で、傾斜調整機構20によって支持部材40の傾斜を調整する(S130)。
ここで、ローラー101・101は、車両のアライメントを行うことにより、その軸心方向が左右方向からずれる、換言すれば、ローラー101・101の軸心方向と左右方向とが平行でない場合がある(図9(a)参照)。また、ローラー101・101の位置が上下方向にずれる場合がある(図10(a)参照)。
【0068】
まず、ローラー101・101の軸心方向と左右方向とが平行でない場合の支持部材40の傾斜の調整について説明する。
図9(a)に示すように、ローラー101・101の軸心方向と左右方向とが平行でない状態(例えば、ローラー101・101の軸心方向一端が他端よりも高位置に位置していて、ローラー101・101の軸心が水平方向に対して上下方向に傾斜している状態)でアライメントテスタ校正装置1をローラー101・101上に載置すると、支持部材40は左右方向に傾斜する。従って、β方向水準器42の気泡は左右方向に移動する。つまり、校正ブロック51・52・53は、β方向に対して傾斜している状態、換言すれば、キャンバ角が0°ではない状態である。
【0069】
この場合、図9(b)に示すように、傾斜調整機構20のボルト24を回動させて、β方向水準器42の気泡が水平となるまで水平板21の左端部を上方向に移動させる。これにより、ローラー101・101の軸心方向と左右方向とが平行でない場合においても、左右方向における支持部材40の傾斜を調整できる。
【0070】
このように、傾斜調整機構20は、支持部材40に連結されて、左右方向(車両の幅方向)における支持部材40の傾斜を調整する幅方向傾斜調整手段として機能する。
【0071】
次に、ローラー101・101が上下方向にずれた場合の調整について説明する。
図10(a)に示すように、前後に配置されるローラー101・101の高さ位置が上下方向にずれた状態でアライメントテスタ校正装置1をローラー101・101上に載置すると、支持部材40は、前後方向に傾斜する。従って、α方向水準器41の気泡は前後方向に移動する。このとき、校正ブロック51・52・53はα方向に対して傾斜している状態である。
【0072】
この場合、図10(b)に示すように、傾斜調整機構20のボルト22を回動させて、α方向水準器41の気泡が水平となるまで水平板21の前端部を上方向に移動させる。これにより、ローラー101・101が上下方向にずれた場合においても、前後方向における支持部材40の傾斜を調整できる。
【0073】
このように、傾斜調整機構20は、支持部材40に連結されて、前後方向(車両の進行方向)における支持部材40の傾斜を調整する進行方向傾斜調整手段として機能する。
【0074】
図8に示すように、傾斜調整機構20によって支持部材40の傾斜を調整した後で、第一受光器71に第一レーザー61を受光させるとともに第二受光器72に第二レーザー62を受光させる(S140)。
【0075】
ここで、図11に示すように、ローラー101・101の軸心方向は、平面視において左右方向に対して平行でない(例えば、ローラー101・101の軸心方向一端が他端よりも前方に位置していて、ローラー101・101の軸心が左右方向に対して前後方向に傾斜した状態にある)場合がある。この場合、校正ブロック51・52・53は、θ方向に対して傾斜している、換言すれば、トー角が0°ではない状態である。
また、図12(a)に示すように、ローラーテーブルT1に載置したときに、アライメントテスタ校正装置1は、第一受光器71と第二受光器72とに対して左右方向にずれるとともに、第一受光プレート73と第二受光プレート74とに対して前後方向にずれる場合がある。
【0076】
このような場合において、図12(b)に示すように、第一受光器71および第二受光器72に各レーザー61・62を受光させるまで、左右方向スライド機構32によって支持部材40を左右方向に沿って移動させるとともに、回動機構33によって支持部材40を回動させる。
【0077】
これにより、アライメントテスタ校正装置1は、θ方向に対する傾斜、および第一受光器71と第二受光器72とに対する左右方向のずれを調整できる。このため、キャンバ角およびトー角がずれることなく、校正ブロック51・52・53の位置をセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3に位置決めできる。
このとき、傾斜調整機構20によって、左右方向における支持部材40の傾斜を調整しているため、キャンバ角がずれることなく、校正ブロック51・52・53の位置をセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3に位置決めできる。
そして、傾斜調整機構20によって、前後方向における支持部材40の傾斜を調整しているため、より高精度に校正ブロック51・52・53の位置をセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3に位置決めできる。
【0078】
このように、校正ブロック51・52・53は、センサ111・112・113の基準となる位置である基準位置P1・P2・P3に位置決めされる基準部材として機能する。
【0079】
また、左右方向スライド機構32は、支持部材40に連結されて、左右方向に沿って支持部材40を移動させる幅方向移動手段として機能する。
【0080】
そして、回動機構33は、支持部材40に連結されて、上下方向(車両の高さ方向)を回動中心の軸方向として支持部材40を回動させる回動手段として機能する。
【0081】
図8および図12(b)に示すように、第一受光器71および第二受光器72に各レーザー61・62を受光させた後で、第一受光プレート73に第三レーザー63を受光させる(S150)。つまり、第一受光プレート73のマーク73aに第三レーザー63を照射させるまで、前後方向スライド機構31によって支持部材40を前後方向に沿って移動させる。
【0082】
このように、前後方向スライド機構31は、支持部材40に連結されて、前後方向に沿って支持部材40を移動させる進行方向移動手段として機能する。
【0083】
これにより、アライメントテスタ校正装置1は、第一受光プレート73に対する前後方向のずれを調整できる。このため、校正ブロック51・52・53の位置をセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3により精度よく位置決めできる。
【0084】
第一受光プレート73に第三レーザー63を受光させた後で、第二受光プレート74に第四レーザー64を受光させる(S160)。つまり、第二受光プレート74のマークに第四レーザー64を照射させるまで、前後方向スライド機構31によって支持部材40を前後方向に沿って移動させる。
【0085】
これにより、アライメントテスタ校正装置1は、第二受光プレート74に対する前後方向のずれを調整できる。つまり、より精度よく校正ブロック51・52・53の位置をセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3に位置決めできる。
【0086】
このように、アライメントテスタ校正装置1は、校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aとセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3とのずれを調整する。
【0087】
第二受光プレート74に第四レーザー64を受光させた後で、センサ111・112・113を校正する(S170)。すなわち、ローラーテーブルT1に対応するセンサ111・112・113で校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aを測定し、当該測定結果がセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3となるようにセンサ111・112・113を校正する。
【0088】
センサ111・112・113を校正した後で、アライメントテスタ校正装置1をローラー101・101から取り外す(S180)。
【0089】
S180においてアライメントテスタ校正装置1をローラーテーブルT1に対応するローラー101・101から取り外した後で、校正していないセンサ111・112・113があるかを確認する。
【0090】
校正していないセンサ111・112・113がある場合、当該センサ111・112・113に対応するローラーテーブルT2〜T4のいずれかにアライメントテスタ校正装置1を設置する(S190:Yes、S200)。
本実施形態では、ローラーテーブルT2〜T4に対応するセンサ111・112・113に対して、上述したようなS130〜S190までの動作を行う。つまり、アライメントテスタ校正装置1は、校正対象となるセンサ111・112・113に対して校正を行う。
【0091】
つまり、ローラーテーブルT2においては、第一受光器81、第二受光器82、第一受光プレート73、および第二受光プレート74に各レーザー61〜64を受光させる。また、ローラーテーブルT3においては、第一受光器71、第二受光器72、第一受光プレート83、および第二受光プレート84に各レーザー61〜64を受光させる。そして、ローラーテーブルT4においては、第一受光器81、第二受光器82、第一受光プレート83、および第二受光プレート84に各レーザー61〜64を受光させる。
そして、校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aを測定することで、各ローラーテーブルT2〜T4に対応するセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3を校正する。
【0092】
S180〜S200において、ローラーテーブルT1より他のローラーテーブルT2〜T4にアライメントテスタ校正装置1を移動させるとき、作業者等が図示せぬ取っ手を把持して搬送する。ここで、ローラーテーブルT1〜T4ごとに一箇所ずつセンサ111・112・113を校正するため、アライメントテスタ校正装置1の形状は小さい。
つまり、作業者等が容易に搬送できるため、従来技術にあるようなホイストを用いることなくアライメントテスタ100の校正作業を行うことができる(図15参照)。つまり、アライメントテスタ100の校正作業に要する時間を短縮でき、ひいては、アライメントテスタ100の校正作業に要するコスト低減できる。
【0093】
また、アライメントテスタ校正装置1を保管するスペースを小さくできる。このため、架台を設置することなくアライメントテスタ100の校正作業を行う設備にアライメントテスタ校正装置1を保管できる。つまり、架台を設置するために要するコストを削減できる。
【0094】
校正していないセンサ111・112・113がない場合、アライメントテスタ100の校正モードを終了する。これにより、アライメントテスタ100の校正作業を終了する(S190:No、S210)。
【0095】
これによれば、各ローラーテーブルT1〜T4のセンサ111・112・113の校正を行う必要がない場合、例えば、ローラーテーブルT1に対応するセンサ111・112・113を交換した場合等において、ローラーテーブルT1のセンサ111・112・113だけを校正できる。
つまり、従来技術にあるような、大きな形状のアライメントテスタ校正装置1を用いて各ローラーテーブルT1〜T4のセンサ111・112・113を校正する場合と比較して、アライメントテスタ100の校正作業を効率的に行うことができる。
【0096】
なお、本実施形態の第一受光器71・81および第二受光器72・82は、ローラーテーブルT1・T2より前方およびローラーテーブルT3・T4より後方に設けたが、これに限定されるものでない。すなわち、第一受光器71・81をローラーテーブルT3・T4より後方に設けるとともに、第二受光器72・82をローラーテーブルT1・T2より前方に設けても構わない。
この場合、後方に照射されるレーザーが第一レーザーとなるとともに、前方に照射されるレーザーが第二レーザーとなる。
【0097】
このように、レーザー墨出し器60は、支持部材40に支持されて、前方(進行方向前側)および後方(進行方向後側)のいずれか一方に向けて第一レーザー61を照射する第一照射手段として機能する。
また、第一受光器71は校正ブロック51・52・53が基準位置P1・P2・P3に位置決めされたときに第一レーザー61を受光する第一受光手段として機能する。
【0098】
そして、レーザー墨出し器60は、支持部材40に支持されて、前方および後方のいずれか他方に向けて第二レーザー62を照射する第二照射手段として機能する。
また、第二受光器72は、校正ブロック51・52・53が基準位置P1・P2・P3に位置決めされたときに第二レーザー62を受光する第二受光手段として機能する。
【0099】
なお、本実施形態の第一受光プレート73・83および第二受光プレート74・84は、ローラーテーブルT1・T3およびローラーテーブルT2・T4に対応するセンサ112の下方に取り付けたが、これに限定されるものでない。すなわち、第一受光プレート73・83をローラーテーブルT2・T4に対応するセンサ112の下方に取り付けるとともに、第二受光プレート74・84をローラーテーブルT1・T3に対応するセンサ112の下方に取り付けても構わない。
この場合、左方に照射されるレーザーが第三レーザーとなるとともに、右方に照射されるレーザーが第四レーザーとなる。
【0100】
このように、レーザー墨出し器60は、支持部材40に支持されて、右方(幅方向外側)および左方(幅方向内側)のいずれか一方に向けて第三レーザー63を照射する第三照射手段として機能する。
また、第一受光プレート73は、校正ブロック51・52・53が基準位置P1・P2・P3に配置されたときに第三レーザー63を受光する第三受光手段として機能する。
【0101】
そして、レーザー墨出し器60は、支持部材40に支持されて、右方および左方のいずれか他方に向けて第四レーザー64を照射する第四照射手段として機能する。
また、第二受光プレート74は、校正ブロック51・52・53が基準位置P1・P2・P3に配置されたときに第四レーザー64を受光する第四受光手段として機能する。
【0102】
なお、本実施形態では、レーザー墨出し器60より前後方向および左右方向にレーザーを照射したが、これに限定されるものでない。すなわち、四つのレーザー装置を支持部材40に載置固定し、それぞれ前後方向および左右方向にレーザーを照射しても構わない。
また、レーザー墨出し器60は、各レーザー61〜64を照射する構成としたが、これに限定されるものでない。すなわち、レーザー墨出し器60は、例えば、前後方向および左方向の三方向に向けて照射する構成であっても構わない。言い換えれば、第三レーザー63を照射しないような構成であっても構わない。この場合、レーザー墨出し器60の照射するレーザーを減らすことができるため、より安価なレーザー墨出し器を用いることができる。つまり、アライメントテスタ校正装置1のコストを低減できる。
【0103】
また、本実施形態では、支持部材40の前後方向および左右方向の移動と、支持部材40のθ方向の回動とは、調整ステージ30によって一体的に行ったが、これに限定されるものでない。すなわち、所定のガイド部材等によって支持部材40の前後方向および左右方向の移動と、支持部材40のθ方向の回動とを別々に行っても構わない。
【0104】
また、第一受光器71・81および第二受光器72・82は、車両の進行方向上に配置されるため、校正作業を行うときだけ設置することが好ましい。これにより、第一受光器71・81および第二受光器72・82が車輪Aと接触することを防止できる。
【0105】
また、第一受光プレート73・83および第二受光プレート74・84の構成は、本実施形態に限定されるものでない。すなわち、第一受光プレート73・83および第二受光プレート74・84は、第一受光器71のような受光器によって構成しても構わない。この場合、より高精度に第一受光プレート73・83および第二受光プレート74・84に対する前後方向のずれを調整できる。
【0106】
また、アライメントテスタ校正装置1とアライメントテスタ100とを電気的に接続し、ターゲット70が各レーザー61〜64を受光しているときだけ、センサ111・112・113の校正を許容するような構成であっても構わない。この場合、校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aがセンサ111・112・113の基準位置P1・P2・P3よりずれている状態で、センサ111・112・113を校正することを防止できる。つまり、より確実にアライメントテスタ100の校正作業を行うことができる。
【0107】
また、本実施形態では、キャンバ角およびトー角が0°となる位置を基準位置P1・P2・P3としたが、これに限定されるものでない。すなわち、キャンバ角およびトー角が所定の角度となる位置を基準位置P1・P2・P3とし、当該基準位置P1・P2・P3に校正ブロック51・52・53の頂点部51a・52a・53aが配置されるように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0108】
1 アライメントテスタ校正装置
20 傾斜調整機構(幅方向傾斜調整手段)
32 左右方向スライド機構(幅方向移動手段)
33 回動機構(回動手段)
40 支持部材
51・51・51 校正ブロック(基準部材)
60 レーザー墨出し器(第一照射手段、第二照射手段)
61 第一レーザー
62 第二レーザー
71 第一受光器(第一受光手段)
72 第二受光器(第二受光手段)
100 アライメントテスタ
111・112・113 センサ
A 車輪
T1・T2・T3・T4 ローラーテーブル(車両が載置される位置)
P1・P2・P3 基準位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置された車両の車輪を測定するセンサを備えるアライメントテスタを校正するアライメントテスタ校正装置であって、
前記センサの基準となる位置である基準位置に位置決めされる基準部材と、
前記基準部材を支持し、前記センサの測定対象である車輪が載置される位置に載置される支持部材と、
前記支持部材に連結されて、前記車両の幅方向における前記支持部材の傾斜を調整する幅方向傾斜調整手段と、
前記支持部材に支持されて、前記車両の進行方向前側および進行方向後側のいずれか一方に向けて第一レーザーを照射する第一照射手段と、
前記基準部材が前記基準位置に位置決めされたときに前記第一レーザーを受光する第一受光手段と、
前記支持部材に支持されて、前記車両の進行方向前側および進行方向後側のいずれか他方に向けて第二レーザーを照射する第二照射手段と、
前記基準部材が前記基準位置に位置決めされたときに前記第二レーザーを受光する第二受光手段と、
前記支持部材に連結されて、前記幅方向に沿って前記支持部材を移動させる幅方向移動手段と、
前記支持部材に連結されて、前記車両の高さ方向を回動中心の軸方向として前記支持部材を回動させる回動手段と、
を具備し、
前記第一レーザーを前記第一受光手段が受光するとともに、前記第二レーザーを前記第二受光手段が受光するまで、前記幅方向移動手段によって前記幅方向に沿って前記支持部材を移動させるとともに前記回動手段によって前記高さ方向を中心に前記支持部材を回動させることにより、前記基準部材を位置決めし、
該位置決めされる基準部材を前記センサが測定することで、前記センサの基準位置を校正し、
該基準位置の校正は、校正対象となる前記センサに対して行う、
アライメントテスタ校正装置。
【請求項2】
前記支持部材に連結されて、前記進行方向に沿って前記支持部材を移動させる進行方向移動手段と、
前記支持部材に支持されて、前記幅方向外側および幅方向内側のいずれか一方に向けて第三レーザーを照射する第三照射手段と、
前記基準部材が前記基準位置に配置されたときに前記第三レーザーを受光する第三受光手段と、
をさらに具備し、
前記第一レーザーを前記第一受光手段が受光し、前記第二レーザーを前記第二受光手段が受光している状態で、
前記第三レーザーを前記第三受光手段が受光するまで、前記進行方向移動手段によって前記進行方向に沿って前記支持部材を移動させることにより、
前記基準部材を前記基準位置に位置決めする、
請求項1に記載のアライメントテスタ校正装置。
【請求項3】
前記支持部材に支持されて、前記幅方向外側および幅方向内側のいずれか他方に向けて第四レーザーを照射する第四照射手段と、
前記基準部材が前記基準位置に配置されたときに前記第四レーザーを受光する第四受光手段と、
をさらに具備し、
前記第一レーザーを前記第一受光手段が受光し、前記第二レーザーを前記第二受光手段が受光し、前記第三レーザーを前記第三受光手段が受光している状態で、
前記第四レーザーを前記第四受光手段が受光するまで、前記進行方向移動手段によって前記進行方向に沿って前記支持部材を移動させることにより、
前記基準部材を前記基準位置に位置決めする、
請求項2に記載のアライメントテスタ校正装置。
【請求項4】
前記支持部材に連結されて、前記進行方向における前記支持部材の傾斜を調整する進行方向傾斜調整手段をさらに具備する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のアライメントテスタ校正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−112574(P2011−112574A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270765(P2009−270765)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】