説明

アレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システムおよびアンテナ搬送方法

【課題】メンテナンス作業による装置の稼働停止時間を短縮することにより、装置の稼働率を向上する。
【解決手段】真空チャンバ1には、高周波電源に電気的に接続可能な複数のコネクタと、これらコネクタに接続可能な複数本の電極棒を有するアレイアンテナユニット30と、が設けられている。この真空チャンバ1には、真空状態を維持したまま接続可能なアンテナ搬送チャンバ200がゲートバルブ201を介して接続可能となっている。アレイアンテナユニット30は、アンテナ搬送体70Aに保持されて真空チャンバ1からアンテナ搬送チャンバ200に搬出され、また、新たなアレイアンテナユニット30を保持したアンテナ搬送体70Bが、アンテナ搬送チャンバ200から真空チャンバ1内に搬入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバ内でプラズマを発生させて基板表面に薄膜を生成するアレイアンテナ式プラズマCVD装置に係り、特には、真空チャンバ内にアンテナを搬送するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1〜3に示されるアレイアンテナ式プラズマCVD装置が知られている。これらのアレイアンテナ式プラズマCVD装置は、内部を真空状態に減圧可能な真空チャンバを備えており、この真空チャンバの天井部に、高周波電源に電気的に接続された複数のコネクタが配設されている。また、真空チャンバ内には、複数本の電極棒を有するアレイアンテナユニットが設けられており、このアレイアンテナユニットの電極棒が、複数のコネクタそれぞれに接続されている。
【0003】
そして、真空状態に減圧された真空チャンバ内に、基板を保持する基板搬送用の台車を搬送するとともに、当該基板をアレイアンテナユニットに対向させた状態で、真空チャンバ内に材料ガスを供給しつつ、電極棒に高周波電力を供給する。これにより、真空雰囲気中にプラズマが発生するとともに、プラズマによって分解された材料ガスの成分が基板の表面に付着し、非結晶シリコン膜または微結晶シリコン膜などの薄膜が基板表面に生成されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−262541号公報
【特許文献2】特開2003−86581号公報
【特許文献3】特開2003−109798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のアレイアンテナ式プラズマCVD装置においては、基板表面に薄膜を生成する成膜処理の過程で、電極棒の表面に皮膜が付着することから、アレイアンテナユニットを定期的にメンテナンスする必要がある。ところが、従来のアレイアンテナ式プラズマCVD装置においては、各電極棒の着脱などのメンテナンス作業が、真空チャンバを大気開放した状態で行われている。
【0006】
そのため、メンテナンス作業が終了して装置を稼働する際には、再度、真空チャンバ内を真空状態まで減圧しなければならず、その間、装置を稼働することができなかった。また、真空チャンバが大気開放されると、当該真空チャンバ内の温度が降下することとなるが、この温度降下に起因する熱応力の発生により、アレイアンテナユニットなどに付着した皮膜が粉塵となって飛散する。このようにして飛散した粉塵は、基板搬送用の台車や、当該台車を搬送する搬送経路などに積層してしまい、搬送される基板の表面に付着するおそれがある。
【0007】
本発明は、メンテナンス作業による装置の稼働停止時間を短縮することにより、装置の稼働率を向上するとともに、真空チャンバ内での粉塵の発生を抑制することができるアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システムおよび方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システムは、真空状態に減圧可能な内部にガス供給源から材料ガスが供給される真空チャンバと、前記真空チャンバに設けられ高周波電源に電気的に接続可能な複数のコネクタと、前記真空チャンバ内で前記複数のコネクタそれぞれに接続可能な複数本の電極棒を有し、前記電極棒がコネクタに接続された状態で前記高周波電源から電力供給されることによりプラズマを発生させるアレイアンテナユニットと、前記アレイアンテナユニットを収容可能であって、前記真空チャンバに真空状態を維持して接続可能な搬送チャンバと、互いに真空状態を維持して接続された前記搬送チャンバおよび前記真空チャンバ間で、前記アレイアンテナユニットを往来可能とするアンテナ搬送手段と、前記アンテナ搬送手段によって前記真空チャンバ内に搬入された前記アレイアンテナユニットを着脱自在に掛け止めするとともに、前記アレイアンテナユニットを掛け止めした状態で前記コネクタと前記電極棒とを接続状態に維持するアンテナ掛止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システムは、前記アンテナ搬送手段が、前記真空チャンバおよび前記搬送チャンバのそれぞれに設けられたガイドレールと、前記ガイドレール上を転動する車輪、および、前記アレイアンテナユニットを着脱自在に保持するアンテナ保持部材を少なくとも有するアンテナ搬送用の台車と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システムは、前記アンテナ搬送手段が、前記真空チャンバおよび前記搬送チャンバのそれぞれに設けられたガイドレールと、前記ガイドレール上を転動可能であって前記アレイアンテナユニットに一体的あるいは着脱自在に設けられたガイドローラと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システムは、前記搬送チャンバが、前記アンテナ搬送手段によって前記アレイアンテナユニットが搬送されるアンテナ搬送チャンバと、成膜対象である基板が搬送される基板搬送チャンバと、をそれぞれ独立して備え、前記アンテナ搬送チャンバおよび前記基板搬送チャンバのそれぞれが前記真空チャンバに真空状態を維持して接続可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システムは、前記搬送チャンバが、成膜対象である基板、および、前記アレイアンテナユニットの双方を搬送可能であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送方法は、複数本の電極棒を有するアレイアンテナユニットが保持されたアンテナ搬送台車を搬送チャンバに収容する工程と、前記アンテナ搬送台車が収容された前記搬送チャンバの内部を真空状態に減圧する工程と、前記アレイアンテナユニットを搬入する真空チャンバの内部を真空状態に減圧する工程と、前記搬送チャンバおよび前記真空チャンバそれぞれの内部の真空状態を維持したまま当該両チャンバを接続する工程と、真空状態を維持したまま接続された前記両チャンバ間で、前記搬送チャンバから前記真空チャンバに前記アンテナ搬送台車を搬入する工程と、前記真空チャンバ内に搬入されたアレイアンテナユニットの電極棒それぞれが、高周波電源に電気的に接続された複数のコネクタに一括して接続されるようにアレイアンテナユニットを前記真空チャンバ内に掛け止めする工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メンテナンス作業による装置の稼働停止時間が短縮されて、装置の稼働率を向上することができる。しかも、メンテナンス時の真空チャンバ内での粉塵の発生を抑制し、粉塵による基板への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】真空チャンバの正面側を示す斜視図である。
【図2】真空チャンバの背面側を示す斜視図である。
【図3】真空チャンバの正面側の断面を模式的に示す図である。
【図4】真空チャンバ1の右側面図である。
【図5】アレイアンテナユニットの斜視図である。
【図6】図5の部分拡大図である。
【図7】(a)は図6のVII(a)−VII(a)線断面図、(b)は図6のVII(b)−VII(b)線断面図である。
【図8】(a)は図6の上面図、(b)は第1アンテナ側コネクタの斜視図である。
【図9】アレイアンテナユニットが掛け止められた状態の真空チャンバの正面側断面図である。
【図10】アレイアンテナユニットが掛け止められた状態の真空チャンバの右側面図である。
【図11】基板搬送体の斜視図である。
【図12】基板搬送体の上面図である。
【図13】基板搬送体の右側面図である。
【図14】基板搬送体が搬入された状態の真空チャンバの右側面図である。
【図15】(a)はアンテナ搬送体の斜視図、(b)は(a)の一点鎖線部分の拡大図である。
【図16】図15(b)の部分拡大図である。
【図17】アンテナ搬送体にアレイアンテナユニットが保持されたときの、調整部材とアレイアンテナユニットとの関係を説明する図である。
【図18】アレイアンテナユニットがアンテナ搬送体に保持された状態を示す斜視図である。
【図19】真空チャンバ内にアレイアンテナユニットを掛け止める過程を説明する図である。
【図20】アンテナ搬送体を搬出する過程を説明する概念図である。
【図21】真空チャンバ、基板搬送チャンバ、アンテナ搬送チャンバの接続関係を示す概念図である。
【図22】アンテナ搬送体の搬送過程を説明する図である。
【図23】プラズマCVD装置の変形例を説明する概念図である。
【図24】アンテナ搬送手段の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(真空チャンバの構成)
まず、図1〜図4を用いて、本実施形態のアレイアンテナ式(誘導結合型)プラズマCVD装置の真空チャンバの構造について説明する。図1は、真空チャンバの正面側を示す斜視図、図2は、真空チャンバの背面側を示す斜視図である。
【0018】
図1および図2に示すように、真空チャンバ1は、筐体2を備えて構成されている。この筐体2は、図中y方向に対面配置された天井部2aおよび底面部2bと、図中x方向に対面配置された右側面部2cおよび左側面部2dと、図中z方向に対面配置された正面部2eおよび背面部2fと、を備えている。以下では、天井部2a側を真空チャンバ1の上方または上面とし、右側面部2c側を真空チャンバ1の右方または右側面とし、左側面部2d側を真空チャンバ1の左方または左側面として説明する。
【0019】
正面部2eおよび背面部2fには、それぞれフロント開口部3およびリヤ開口部4が形成されており、これらフロント開口部3およびリヤ開口部4を開閉するフロント開閉扉5およびリヤ開閉扉6がそれぞれ設けられている。また、右側面部2cには右開口部7が形成されており、左側面部2dには左開口部9が形成されている。詳しくは後述するが、この左開口部9は、ゲートバルブ101を介して基板搬送チャンバ100に接続可能となっており、また、右開口部7は、ゲートバルブ201を介してアンテナ搬送チャンバ200に接続可能となっている(図21参照)。
【0020】
また、天井部2aには、3列のコネクタ群11a、11b、11cが設けられている。これらコネクタ群11a、11b、11cは、複数のコネクタが図中x方向に沿って直列配置されたものであり、図中z方向に所定の間隔を維持している。
【0021】
図3は、真空チャンバ1の正面側の断面を模式的に示す図である。この図に示すように、コネクタ群11aは、高周波電力を供給する高周波電源12の供給側(非接地側)に電気的に接続された第1天井側コネクタ13と、高周波電源12の接地側に電気的に接続された第2天井側コネクタ14と、が所定の間隔を維持して交互に設けられている。これら第1天井側コネクタ13および第2天井側コネクタ14は、その接続部が鉛直方向下方(底面部2b)に向けられており、後述するアレイアンテナユニットの電極棒が、鉛直方向下方から上方に向かって接続可能なように配置されている。
【0022】
また、詳しくは後述するが、第2天井側コネクタ14にはガス供給源15が接続されており、このガス供給源15から供給される材料ガスが、第2天井側コネクタ14に接続されたアレイアンテナユニットの電極棒から真空チャンバ1内に噴出可能となっている。なお、ここではコネクタ群11aについて説明したが、コネクタ群11b、11cも上記と同様の構成となっている。さらに、筐体2の天井部2aには真空ポンプ16が接続されており、内部空間10を密閉した状態で真空ポンプ16を駆動することにより、真空チャンバ1内が真空状態に減圧可能となっている。
【0023】
また、筐体2の底面部2bには、右側面部2cから左側面部2dまで図中x方向に沿って延在するガイドレール17が設けられている。図4は、真空チャンバ1の右側面図であるが、この図に示すように、ガイドレール17は、正面部2e近傍と背面部2f近傍とにそれぞれ設けられており、したがって、図中z方向に間隔を維持して一対配置されることとなる。これら一対のガイドレール17は、後述する基板やアレイアンテナユニットを真空チャンバ1内に搬入したり、あるいは真空チャンバ1内から搬出したりする際の案内として機能するものである。
【0024】
(アレイアンテナユニットの構成)
次に、図5〜図8を用いてアレイアンテナユニットの構成について説明する。図5は、アレイアンテナユニット30の斜視図であり、図6は、図5の部分拡大図である。これらの図に示すように、アレイアンテナユニット30は、アンテナ支持部材31を備えており、このアンテナ支持部材31に複数本の誘導結合型電極50が支持されている。
【0025】
この誘導結合型電極50は、第1電極棒51と第2電極棒52とが、接続金具53によって電気的に接続されたアンテナ素子であり、アンテナ支持部材31の長手方向に沿って複数本支持されている。具体的には、両電極棒51、52は、その長手方向に直交する方向に所定の間隔を維持して交互に直列配置された状態で、その上端部がアンテナ支持部材31に支持されている。これにより、両電極棒51、52は、それらの長手方向を鉛直方向に沿わせた状態で、アンテナ支持部材31に垂下支持されることとなる。
【0026】
図7(a)は、図6のVII(a)−VII(a)線断面図であり、図7(b)は、図6のVII(b)−VII(b)線断面図である。これらの図に示すように、アンテナ支持部材31は、断面U字形の部材によって構成されており、その開口を鉛直方向下方に臨ませている。このアンテナ支持部材31は、図7(b)からも明らかなように、その幅方向中央にアンテナ支持孔32が形成されている。このアンテナ支持孔32は、図7(a)および図8(a)に示すとおり、アンテナ支持部材31の長手方向に沿って形成される長孔形状をなしており、このアンテナ支持孔32に、第1電極棒51および第2電極棒52が交互に垂下支持されている。
【0027】
より詳細に説明すると、第1電極棒51の上端部には、真空チャンバ1の天井部2aに設けられた第1天井側コネクタ13に接続可能な第1アンテナ側コネクタ54が固定されている。また、第2電極棒52の上端部には、真空チャンバ1の天井部2aに設けられた第2天井側コネクタ14に接続可能な第2アンテナ側コネクタ55が固定されている。
【0028】
図8(a)は、図6の上面図であり、図8(b)は、第1アンテナ側コネクタ54の斜視図である。ただし、図8(a)においては、後述するカバー部材33を取り外した状態を示している。この図に示すとおり、第1アンテナ側コネクタ54は、円筒状の本体54aを備えており、この本体54aの底面部54bに、第1電極棒51が貫通した状態で固定されている。また、本体54aの開口側には、当該本体54aよりも大径のフランジ部54cが設けられている。このフランジ部54cは、アンテナ支持部材31に形成されたアンテナ支持孔32の幅よりも大径となる寸法関係を維持している。また、本体54aには、円筒状の外周面の対向する一部を面取りした一対の平面部54d、54dが形成されている。これら平面部54d、54dは、その対向間隔がアンテナ支持孔32の幅よりも僅かに小さくなる寸法関係を維持している。
【0029】
したがって、アンテナ支持孔32の上方から第1アンテナ側コネクタ54を挿入すると、本体54aがアンテナ支持孔32を挿通するとともに、フランジ部54cがアンテナ支持部材31の上面に接触して掛け止められ、これによって第1電極棒51がアンテナ支持部材31に垂下支持されることとなる。
【0030】
また、このとき、平面部54d、54d間の幅は、アンテナ支持部材31の幅方向に対する第1アンテナ側コネクタ54の移動を、第1天井側コネクタ13に接続可能な範囲内に制限する寸法関係を維持している。しかも、アンテナ支持部材31に支持された第1アンテナ側コネクタ54に回転応力が作用したとしても、平面部54d、54dがアンテナ支持孔32の内周縁に接触し、第1アンテナ側コネクタ54の回転が制限される。このようにして、第1電極棒51は、アンテナ支持部材31の幅方向の位置決めがなされて直列配置されるとともに、全ての第1電極棒51が同一方向を向いて垂下支持されることとなる。
【0031】
なお、ここでは第1アンテナ側コネクタ54について説明したが、第2アンテナ側コネクタ55の構成も上記第1アンテナ側コネクタ54と同様である。つまり、第2アンテナ側コネクタ55は、本体55aと、底面部55bと、フランジ部55cと、一対の平面部55d、55dと、を備えており、底面部55bに第2電極棒52が貫通した状態で固定されている。
【0032】
そして、本体55aの開口側には、当該本体55aよりも大径のフランジ部55cが設けられている。このように、この第2アンテナ側コネクタ55も、上記第1アンテナ側コネクタ54と同様に、回転およびアンテナ支持部材31の幅方向に対する移動が制限され、第2電極棒52も直列配置されるとともに、全ての第2電極棒52が同一方向を向いて垂下支持されることとなる。
【0033】
また、図7(a)に示すように、各第1電極棒51は、その外周にセラミックスまたは樹脂などの誘電体からなる外筒56を備えている。一方、各第2電極棒52は円筒形状をなしており、その長手方向に延在するガス供給路52aが内部に形成されている。また、各第2電極棒52は、ガス供給路52aに垂直に連通する噴出孔52bを備えている。この第2電極棒52は、上述したように、アレイアンテナユニット30が真空チャンバ1内に掛け止められたときに、第2天井側コネクタ14に接続されて、上記したガス供給源15とガス供給路52aとが連通する関係をなしている。
【0034】
したがって、アレイアンテナユニット30が真空チャンバ1内に掛け止められた状態で、ガス供給源15から材料ガスが供給されることにより、噴出孔52bから真空チャンバ1の内部空間10に向けて材料ガスが噴出することとなる。
【0035】
なお、図5〜図8に示すように、アンテナ支持部材31には、両アンテナ側コネクタ54、55を被覆する断面U字形のカバー部材33が固定されている。このカバー部材33には、両アンテナ側コネクタ54、55の本体54a、55aに一致する円形の貫通孔33aが複数設けられている。これにより、各アンテナ側コネクタ54、55の本体54a、55aの開口、すなわち、両電極棒51、52の上端は、カバー部材33の貫通孔33aを介して上方に臨むこととなる。
【0036】
また、アンテナ支持部材31の幅方向両側面には防着パネル34が設けられており、また、アンテナ支持部材31の上面には、上方に垂直に起立し、先端にテーパが形成された位置決めピン35が設けられている。この位置決めピン35は、複数本の第1電極棒51および第2電極棒52のうち、もっとも外側に位置する電極棒よりもさらにアンテナ支持部材31の長手方向外方に設けられている。さらに、アンテナ支持部材31の長手方向両端部近傍には、掛止孔36が貫通形成されている。この掛止孔36は、アレイアンテナユニット30を真空チャンバ1に掛け止めるためのものである。
【0037】
図9は、アレイアンテナユニット30が掛け止められた状態の真空チャンバ1の正面側断面図である。この図に示すように、真空チャンバ1の天井部2aには、右側面部2cおよび左側面部2d近傍それぞれに、鉛直方向に貫通するとともに鉛直方向下方にテーパが形成された位置決め孔18が設けられている。また、この位置決め孔18よりも図中x方向外方には、下方に垂下する掛止ピン19が固定されている。上記の位置決め孔18は、アレイアンテナユニットの位置決めピン35に対応しており、上記の掛止ピン19は、アレイアンテナユニット30の掛止孔36に対応している。
【0038】
アレイアンテナユニット30の取り付け方法の詳細については後述するが、アレイアンテナユニット30を真空チャンバ1内に掛け止める際には、位置決め孔18に位置決めピン35を挿通させるように、アレイアンテナユニット30を天井部2aの下方から上方に持ち上げる。すると、掛止ピン19にアレイアンテナユニット30の掛止孔36が挿通するとともに、このとき、天井部2aに設けられた第1天井側コネクタ13および第2天井側コネクタ14のそれぞれが、アレイアンテナユニット30の第1アンテナ側コネクタ54および第2アンテナ側コネクタ55のそれぞれに嵌合する。この状態で、掛止ピン19の下方からボルト等の固定手段を固定することにより、図示のように、アレイアンテナユニット30が真空チャンバ1の天井部2aに掛け止められることとなる。
【0039】
図10は、アレイアンテナユニット30が掛け止められた状態の真空チャンバ1の右側面図である。上記したとおり、天井部2aには、コネクタ群11a、11b、11cが3列設けられており、これらコネクタ群11a、11b、11cに、アレイアンテナユニット30が接続可能となっている。したがって、全てのコネクタ群11a、11b、11cにアレイアンテナユニット30が接続されると、図示のように、3体のアレイアンテナユニット30が、図中z方向に所定の間隔を維持して位置することとなる。
【0040】
そして、上記のようにアレイアンテナユニット30が掛け止められた真空チャンバ1内には、基板を保持する基板搬送体が搬入される。この基板搬送体について、図11〜図13を用いて説明する。
【0041】
(基板搬送体の構成)
図11は基板搬送体60の斜視図、図12は基板搬送体60の上面図、図13は基板搬送体60の右側面図である。これらの図に示すように、基板搬送体60は、基台61を備えており、この基台61の幅方向(図中z方向)両端に車輪62が複数設けられている。この車輪62は、基板搬送体60が図中x方向に一直線上に移動可能となるように設けられており、真空チャンバ1内において、上記したガイドレール17上を転動することにより、基板搬送体60の真空チャンバ1内での移動を可能としている。
【0042】
また、基台61には、当該基台61から上方に起立する薄板状の基板保持部材63が設けられている。この基板保持部材63は、非結晶シリコン膜または微結晶シリコン膜を付着させる対象となる基板Wを着脱自在に保持することが可能となっており、基板搬送体60の搬送方向に直交する方向(図中z方向)に所定の間隔を維持して6つ設けられている。
【0043】
そして、基台61の下面には、当該基台61の幅方向中央位置に固定されたラック64が設けられている。このラック64は、基板搬送体60の搬送方向に沿って設けられており、図2に示すように、真空チャンバ1の底部に設けられ、駆動モータ20によって回転駆動する駆動ピニオン21に噛み合うようになっている。また、こうした駆動モータ20および駆動ピニオン21は、真空チャンバ1に接続される基板搬送チャンバ100にも同様に設けられている。したがって、駆動モータ20を駆動して駆動ピニオン21を回転駆動すると、駆動ピニオン21の回転動力がラック64の直線運動に変換され、これによって基板搬送体60が、基板搬送チャンバ100から真空チャンバ1内に搬入されることとなる。
【0044】
図14は、基板搬送体60が搬入された状態の真空チャンバ1の右側面図である。この図に示すように、基板搬送体60が真空チャンバ1内に搬入された状態では、1体のアレイアンテナユニット30に対して、その幅方向(図中z方向)両側に基板Wが所定の間隔を維持して対面する。以下に、成膜処理の手順について説明する。
【0045】
(成膜処理)
まず、真空チャンバ1の内部空間10を密閉するとともに、真空ポンプ16を駆動して内部空間10を真空状態に減圧する。この状態で、ゲートバルブ101を介して真空チャンバ1に接続され、内部が真空状態に維持された基板搬送チャンバ100から真空チャンバ1内に基板搬送体60を搬入する(図21参照)。そして、ガス供給源15から第2電極棒52に材料ガスを供給して、噴出孔52bから真空チャンバ1内に材料ガスを噴出させる。この状態で、高周波電源12によって誘導結合型電極50に高周波電力を供給すると、アレイアンテナユニット30の周辺にプラズマが発生し、このプラズマによって分解された材料ガスの成分が基板Wの表面に付着する。このようにして、基板Wの表面に、非結晶シリコン膜または微結晶シリコン膜などの薄膜が成膜されることとなる。
【0046】
そして、上記のようにして成膜処理が終了したら、真空チャンバ1から基板搬送チャンバ100に基板搬送体60を搬出するとともに、新たな基板Wが保持された基板搬送体60を真空チャンバ1内に搬入し、以後、上記の各工程が繰り返し行われることとなる。
【0047】
ここで、成膜処理を行う過程では、アレイアンテナユニット30に皮膜が付着するため、定期的にアレイアンテナユニット30を真空チャンバ1から取り外してメンテナンスする必要がある。以下では、アレイアンテナユニット30のメンテナンスに際して、当該アレイアンテナユニット30を真空チャンバ1に搬入したり、あるいは真空チャンバ1から搬出したりするアンテナ搬送体の構成を説明し、その後、アレイアンテナユニット30の着脱方法について説明する。
【0048】
(アンテナ搬送体の構成)
図15(a)は、アンテナ搬送体70の斜視図であり、図15(b)は、図15(a)の一点鎖線の部分拡大図である。この図に示すように、アンテナ搬送体70は、上記した基板搬送体60と同様に基台71を備えており、この基台71の幅方向(図中z方向)両端に車輪72が複数設けられている。この車輪72は、アンテナ搬送体70が図中x方向に一直線上に移動可能となるように設けられており、真空チャンバ1内において、上記したガイドレール17上を転動することにより、アンテナ搬送体70の真空チャンバ1内での移動を可能としている。
【0049】
また、基台71には、アレイアンテナユニット30を保持する3つのアンテナ保持部材73が、アンテナ搬送体70の搬送方向に直交する水平方向に間隔を維持して設けられている。このアンテナ保持部材73は、アンテナ搬送体70の搬送方向両端において基台71に固定されたスライド装置74と、このスライド装置74から上方に垂直に起立する一対の支柱75a、75bと、を備えている。これら一対の支柱75a、75bは、スライド装置74によって、アンテナ搬送体70の搬送方向(x方向)に直交する水平方向(z方向)にスライド可能に構成されている。
【0050】
一対の支柱75a、75bそれぞれには、伸縮ロッド76aを鉛直方向に伸縮させるエアシリンダ76が収容されている。そして、このエアシリンダ76の伸縮ロッド76a先端には、荷重受け部77を介して薄板状の調整部材78の両端部が載置されており、これによって、調整部材78が一対の支柱75a、75bに懸架されることとなる。
【0051】
図16は、図15(b)の部分拡大図である。この図に示すように、伸縮ロッド76aの先端には、荷重受け部77が設けられている。この荷重受け部77は、伸縮ロッド76aの先端に固定され、上方に凹状の受け面79aを臨ませる受け部79と、受け面79a上に載置され、調整部材78の下面に一体的に設けられた揺動部80と、によって構成される。これら受け部79および揺動部80は、ステンレスなどの金属によって構成されているが、例えば樹脂など金属以外の材料で構成しても構わない。
【0052】
揺動部80は、半球状の球面部80aを、受け部79の受け面79aに接触させているが、このとき、受け面79aの曲率が球面部80aの曲率よりも小さくなっている。したがって、球面部80aと受け面79aとの間には隙間が形成され、これによって揺動部80が受け部79に対して揺動可能となっている。換言すれば、上記の荷重受け部77の構成により、調整部材78が水平方向に移動したり傾いたりすることが可能となっている。ただし、揺動部80が受け面79a上で所定角度傾くと、調整部材78が受け部79の外周縁に接触し、それ以上の傾きが制限されるようになっている。つまり、調整部材78は、受け部79から脱落しない範囲内で傾斜が許容されるように設計されている。
【0053】
図17は、アンテナ搬送体70にアレイアンテナユニット30が保持されたときの、調整部材78とアレイアンテナユニット30との関係を説明する図である。調整部材78は、アンテナ搬送体70の搬送方向に沿って延在する延在部78a、および、この延在部78aから水平方向に交差(本実施形態では直交)する方向に突出する複数の移動制限部78bを備えてなる、平面が櫛状をなす薄板部材によって構成されている。この複数の移動制限部78bは、延在部78aの長手方向すなわちアンテナ搬送体70の搬送方向に所定の間隔を維持して設けられている。
【0054】
そして、図示のように、アレイアンテナユニット30をアンテナ搬送体70に保持させると、アレイアンテナユニット30のアンテナ支持部材31の下面と、調整部材78の上面とが、面接触状態で圧接する。これにより、アレイアンテナユニット30の荷重が調整部材78を介して荷重受け部77に作用し、アレイアンテナユニット30がアンテナ搬送体70のアンテナ保持部材73に保持されることとなる。
【0055】
また、アレイアンテナユニット30がアンテナ保持部材73に保持された状態では、隣り合う移動制限部78bの間隔に、第1アンテナ側コネクタ54の本体54a、および、第2アンテナ側コネクタ55の本体55aが交互に臨んで位置するようになっている。このとき、移動制限部78bの間隔は、第1アンテナ側コネクタ54の本体54a、および、第2アンテナ側コネクタ55の本体55aの直径よりも僅かに大きく形成されている。これにより、移動制限部78bは、隣り合う第1電極棒51(第1アンテナ側コネクタ54)と第2電極棒52(第2アンテナ側コネクタ55)との対向面に臨んで、アンテナ搬送体70の搬送方向に対する両電極棒51、52の移動を制限することとなる。
【0056】
なお、調整部材78は、延在部78aが両電極棒51、52の一方の側にのみ設けられており、アンテナ搬送体70の搬送方向(x方向)に直交する水平方向(z方向)への両電極棒51、52の移動を制限する機能は備えていない。つまり、調整部材78は、少なくとも両電極棒51、52の移動をアンテナ搬送体70の搬送方向(x方向)に制限することとなる。
【0057】
これに対して、すでに説明したとおり、搬送方向に直交する水平方向への両電極棒51、52の移動は、アンテナ支持部材31のアンテナ支持孔32によって制限されている(図8参照)。このとき、アンテナ支持孔32は、アンテナ支持部材31の長手方向に連続する長孔形状に形成されているため、アレイアンテナユニット30においては、両電極棒51、52の配列方向への移動が制限されていない。つまり、アンテナ支持部材31は、両電極棒51、52の移動をアンテナ搬送体70の搬送方向に直交する水平方向にのみ制限している。
【0058】
図18は、アレイアンテナユニット30がアンテナ搬送体70に保持された状態を示す斜視図である。この図に示すように、アレイアンテナユニット30がアンテナ搬送体70に保持された状態では、搬送方向(図中x方向)への両電極棒51、52の移動が、アンテナ搬送体70(調整部材78)によって制限され、搬送方向に直交する水平方向(図中z方向)への両電極棒51、52の移動が、アレイアンテナユニット30(アンテナ支持部材31)によって制限されている。
【0059】
アレイアンテナユニット30は、高温の真空チャンバ1内に置かれるため、アンテナ支持部材31が熱膨張する。そこで、搬送方向に直交する水平方向への両電極棒51、52の移動を制限しながらも、アンテナ支持孔32を長孔形状にすることによって、熱膨張時の逃げを確保し、部材間の干渉を防ぐようにしている。しかしながら、上記のように熱膨張時の逃げを確保すると、アレイアンテナユニット30を真空チャンバ1内に掛け止める際に、各電極棒51、52の位置がずれてしまい、これら各電極棒51、52を各天井側コネクタ13、14に接続する作業が煩雑になってしまう。
【0060】
そこで、本実施形態においては、成膜処理中に外部に搬出されるアンテナ搬送体70に調整部材78を設けるとともに、この調整部材78によって、搬送方向への両電極棒51、52の移動を制限することとしている。これにより、アレイアンテナユニット30を真空チャンバ1内に掛け止める際の位置決め精度を確保することが可能となり、掛け止め時の作業効率を向上することができる。つまり、上記の構成とすることで、成膜処理中における熱膨張時の逃げの確保と、アレイアンテナユニット30の掛け止め時の位置決め精度と、からなる2つの相反する要求に応えることが可能となっている。以下では、アレイアンテナユニット30を真空チャンバ1内に掛け止める際の作用について説明する。
【0061】
(アレイアンテナユニットの掛け止め過程)
図19は、真空チャンバ1内にアレイアンテナユニット30を掛け止める過程を説明する図である。図19(a)は、図18に示すように、洗浄を完了したアレイアンテナユニット30を保持するアンテナ搬送体70が、真空チャンバ1内に搬入され、不図示のストッパーに接触して所定位置に停止した状態を示している。なお、このストッパーは、アンテナ搬送体70には接触するが、基板搬送体60には接触しない位置に設けられている。
【0062】
そして、この状態からエアシリンダ76の伸縮ロッド76aを上方に伸長させると、図19(b)に示すように、アレイアンテナユニット30の位置決めピン35が、真空チャンバ1の天井部2aに設けられた位置決め孔18に挿通する。これにより、アレイアンテナユニット30は、真空チャンバ1に対して位置決めがなされた状態で上昇することとなる。また、アレイアンテナユニット30が上昇する過程では、天井部2aに設けられた掛止ピン19が掛止孔36に挿通するとともに、第1天井側コネクタ13が第1アンテナ側コネクタ54に嵌合し、第2天井側コネクタ14が第2アンテナ側コネクタ55に嵌合する。
【0063】
このとき、アレイアンテナユニット30は、荷重受け部77、すなわち、受け面79aと揺動部80とによる荷重受け構造により、アンテナ搬送体70に揺動可能に保持されている(図16参照)。そのため、仮に、アレイアンテナユニット30が掛け止め位置からずれたとしても、当該アレイアンテナユニット30を揺動させることにより、所定の掛け止め位置に調整することができる。これにより、位置決めピン35や位置決め孔18、あるいは各コネクタ13、14、54、55の寸法管理が厳密でなかったとしても、確実にアレイアンテナユニット30を天井部2aに掛け止めることができる。
【0064】
そして、図19(b)に示す状態で、アレイアンテナユニット30の掛止孔36を挿通した掛止ピン19に、その下方から不図示の固定装置によってボルト等の固定手段を固定することにより、アレイアンテナユニット30が真空チャンバ1内に掛け止められることとなる。このようにして、アレイアンテナユニット30が掛け止められたら、エアシリンダ76の伸縮ロッド76aを下方に収縮させる。すると、図19(c)に示すように、支柱75a、75bに懸架された調整部材78が降下して、アンテナ搬送体70からアレイアンテナユニット30が離脱する。
【0065】
ただし、この状態では、真空チャンバ1の天井部2aから垂下する第1電極棒51および第2電極棒52と、支柱75a、75bと、がアンテナ搬送体70の搬送方向において、同一直線上に位置したままとなっている。また、一対の支柱75a、75bに懸架される調整部材78の移動制限部78bが、第1電極棒51および第2電極棒52に臨んだままの状態となっている。したがって、このままの状態では、アンテナ搬送体70を真空チャンバ1から搬出することができない。
【0066】
そこで、図20に示すように、スライド装置74を駆動して、一対の支柱75a、75bを、アンテナ搬送体70の搬送方向に直交する水平方向にスライドさせ、一対の支柱75a、75bを第1電極棒51および第2電極棒52の配列直線上から退避させる。これにより、調整部材78の移動制限部78bも、隣り合う第1電極棒51および第2電極棒52の対向面から退避することとなる。そして、アンテナ搬送体70を、再びガイドレール17に沿って真空チャンバ1の外に搬出すれば、メンテナンス作業が終了となる。
【0067】
なお、メンテナンスが必要となったアレイアンテナユニット30を、真空チャンバ1内から搬出する際には、上記の各工程を逆の順序で行えばよい。すなわち、一対の支柱75a、75bが、第1電極棒51および第2電極棒52の配列直線上から退避した状態にある空のアンテナ搬送体70を、真空チャンバ1内に搬入する。そして、スライド装置74を駆動して、一対の支柱75a、75bを、第1電極棒51および第2電極棒52の配列直線上にスライドさせた後、エアシリンダ76の伸縮ロッド76aを上方に伸長させる。この状態で、ボルト等の固定手段を取り外して、アレイアンテナユニット30の荷重を荷重受け部77に作用させた後、伸縮ロッド76aを収縮させ、アンテナ搬送体70を真空チャンバ1内から搬出すればよい。
【0068】
(アンテナ搬送体の搬送過程)
図21は、真空チャンバ1、基板搬送チャンバ100、アンテナ搬送チャンバ200の接続関係を示す概念図であり、図22は、アンテナ搬送体70の搬送過程を説明する図である。図21に示すように、真空チャンバ1の左開口部9には、ゲートバルブ101を介して基板搬送チャンバ100が接続され、真空チャンバ1の右開口部7には、ゲートバルブ201を介してアンテナ搬送チャンバ200が接続されている。基板搬送チャンバ100およびアンテナ搬送チャンバ200は、いずれも真空ポンプによって真空状態に減圧可能となっており、通常、真空状態を維持した状態で真空チャンバ1に接続される。つまり、ゲートバルブ101は、真空チャンバ1と基板搬送チャンバ100とを、真空状態を維持したまま連結するものであり、ゲートバルブ201は、真空チャンバ1とアンテナ搬送チャンバ200とを、真空状態を維持したまま連結するものである。
【0069】
また、基板搬送チャンバ100には、例えば、ベルトコンベヤなど、基板搬送体60をゲートバルブ101に対面する位置まで搬送する不図示の運搬装置が設けられている。同様に、アンテナ搬送チャンバ200にも、アンテナ搬送体70をゲートバルブ201に対面する位置まで搬送する運搬装置が設けられている。さらに、基板搬送チャンバ100には、基板搬送体60の車輪62をガイドするガイドレール102が、真空チャンバ1に対面する位置に設けられており、アンテナ搬送チャンバ200には、アンテナ搬送体70の車輪72をガイドするガイドレール202が設けられている。
【0070】
ただし、これらガイドレール102、202は、鉛直方向に上昇または下降可能に構成されており、通常、基板搬送チャンバ100内における基板搬送体60の移動軌跡範囲や、アンテナ搬送チャンバ200内におけるアンテナ搬送体70の移動軌跡範囲よりも下方に退避して位置している。これにより、運搬装置によって基板搬送チャンバ100内を移動する基板搬送体60や、アンテナ搬送チャンバ200内を移動するアンテナ搬送体70は、通常、ガイドレール102、202の上方を移動することとなる。
【0071】
なお、ガイドレール102が基板搬送体60と一体的に基板搬送チャンバ100内を移動するとともに、ガイドレール202がアンテナ搬送体70と一体的にアンテナ搬送チャンバ200内を移動するようにしても構わない。つまり、基板搬送体60およびアンテナ搬送体70が、それぞれガイドレール102、202上に載置された状態で、目的となる真空チャンバ1に対面する位置まで搬送さる構成であってもよい。
【0072】
そして、例えば、基板搬送体60を真空チャンバ1内に搬入する際には、真空チャンバ1のゲートバルブ101に対面する位置、換言すれば、車輪62がガイドレール102の上方に対面する位置まで基板搬送体60を搬送する。この状態で、ガイドレール102を上昇させて、当該ガイドレール102上に車輪62を載置するとともに、このガイドレール102を、真空チャンバ1に設けられたガイドレール17と同一直線上に位置させる。
【0073】
上述したように、基板搬送チャンバ100には、真空チャンバ1に設けられた駆動モータ20および駆動ピニオン21と同様に、ガイドレール102に載置された基板搬送体60のラック64に噛合する駆動ピニオンと、この駆動ピニオンを回転駆動する駆動モータと、が設けられている。したがって、この基板搬送チャンバ100に設けられた駆動モータと、真空チャンバ1に設けられた駆動モータ20とを駆動することにより、基板搬送体60を、基板搬送チャンバ100から真空チャンバ1内に搬入することが可能となる。
【0074】
また、アンテナ搬送チャンバ200には、アンテナ搬送体70を当該アンテナ搬送チャンバ200側から真空チャンバ1側に押し出したり、あるいは、アンテナ搬送体70を真空チャンバ1側からアンテナ搬送チャンバ200側に引き寄せたりする不図示の装置が設けられている。
【0075】
そして、アレイアンテナユニット30をメンテナンスする際には、まず、図22(a)に示すように、空のアンテナ搬送体70Aをゲートバルブ201に対面する位置まで搬送する。次に、図22(b)に示すように、ゲートバルブ201を開いて、真空チャンバ1とアンテナ搬送チャンバ200とを真空状態を維持したまま接続するとともに、アンテナ搬送体70Aを真空チャンバ1内に搬入する。このように、アンテナ搬送体70Aが真空チャンバ1内に搬入されたら、真空チャンバ1の天井部2aに掛け止められているアレイアンテナユニット30を取り外してアンテナ搬送体70Aに保持させる。
【0076】
次に、図22(c)に示すように、アレイアンテナユニット30を保持したアンテナ搬送体70Aを、真空チャンバ1内からアンテナ搬送チャンバ200に搬出するとともに、新たなアレイアンテナユニット30を保持したアンテナ搬送体70Bを真空チャンバ1内に搬入する。そして、アンテナ搬送体70Bに保持されたアレイアンテナユニット30を真空チャンバ1の天井部2aに掛け止めるとともに、図22(d)に示すように、空になったアンテナ搬送体70Bをアンテナ搬送チャンバ200に搬出した後、ゲートバルブ201を閉じてメンテナンスが終了となる。このようにしてメンテナンスが終了したら、ゲートバルブ101を開いて基板搬送チャンバ100から基板搬送体60を搬入して、成膜処理を再開することができる。
【0077】
以上のように、本実施形態によれば、真空チャンバ1が、メンテナンスの際にも成膜処理中と同様に真空状態に維持される。したがって、従来のように、メンテナンスが終了して成膜処理を再開する際に、真空チャンバ1内が真空状態になるまで待機する必要がなく、メンテナンス終了後に即座に成膜処理を再開することが可能となる。これにより、メンテナンスによる装置稼働停止時間を短縮することができ、装置の稼働率を向上することができる。
【0078】
しかも、本実施形態によれば、メンテナンスの際に真空チャンバ1が真空状態に維持されるので、真空チャンバ1内の温度が降下することがない。これにより、アレイアンテナユニット30などに付着した皮膜が、温度降下に起因して真空チャンバ1内や基板搬送チャンバ100内で粉塵となって飛散するのを抑制することができ、当該粉塵が搬送中の基板Wの表面などに付着するのを抑制することが可能となる。
【0079】
また、アンテナ搬送体70は、成膜処理中に真空チャンバ1内に留める必要がないことから、複数の真空チャンバ1が設けられたプラズマCVD装置であっても、1体のアンテナ搬送体70によってメンテナンスを行うことも可能である。
【0080】
また、本実施形態によれば、アンテナ搬送体70が、基板搬送体60を搬送するためのガイドレール17にガイドされて真空チャンバ1内を移動する。換言すれば、基板搬送体60とアンテナ搬送体70とで、同一のガイドレール17を共用しているので、アンテナ搬送体70をガイドするための専用の部品を真空チャンバ1内に設ける必要がない。したがって、真空チャンバ1すなわちプラズマCVD装置全体が大型化することがなく、また、コストを抑制しながらも、アレイアンテナユニット30の搬送作業を簡素化することができる。なお、基板搬送体60とアンテナ搬送体70とで、同一のガイドレール17を共用することに加えて、基板搬送チャンバ100およびアンテナ搬送チャンバ200を共通のチャンバで構成することも可能である。
【0081】
図23は、プラズマCVD装置の変形例を説明する概念図である。以下では、変形例のプラズマCVD装置を説明するにあたって、上記実施形態と同様の構成については同一の符号を付するとともに、その詳細な説明は省略する。図23に示すように、この変形例のプラズマCVD装置は、真空チャンバ1を複数備えており、これら複数の真空チャンバ1のそれぞれが、ゲートバルブ301を介して搬送チャンバ300に接続されている。この搬送チャンバ300も、真空チャンバ1と同様に、真空ポンプによって内部を真空状態に減圧可能に構成されている。
【0082】
また、搬送チャンバ300には、複数のメンテナンスチャンバ302(この変形例ではメンテナンスチャンバ302A、302Bの2つ)が、それぞれゲートバルブ301を介して接続されている。このメンテナンスチャンバ302は、搬送チャンバ300および真空チャンバ1と同様に、真空ポンプによって内部を真空状態に減圧可能に構成されている。また、メンテナンスチャンバ302には、ゲートバルブ303が設けられており、このゲートバルブ303によって、メンテナンスチャンバ302が大気圧にある外部と接続されたり、あるいはその接続が断たれたりされるようになっている。
【0083】
そして、搬送チャンバ300には、ベルトコンベヤなどの運搬装置が設けられており、この運搬装置によって、基板搬送体60およびアンテナ搬送体70の双方が搬送可能となっている。プラズマCVD装置の稼働中は、基板搬送体60が搬送チャンバ300内を移動して、真空チャンバ1に搬入されたり、あるいは真空チャンバ1から搬出されたりしている。これに対して、アレイアンテナユニット30のメンテナンスが必要となった場合には、アンテナ搬送体70が搬送チャンバ300内を移動して、所望の真空チャンバ1まで搬送される。
【0084】
例えば、真空チャンバ1Aにおいて、アレイアンテナユニット30のメンテナンスが必要になったとする。この場合には、図23(a)に示すように、まず、大気圧となっているメンテナンスチャンバ302Aに、ゲートバルブ303から空のアンテナ搬送体70Aを搬入する。また、大気圧となっているメンテナンスチャンバ302Bに、ゲートバルブ303から新たなアレイアンテナユニット30が保持されたアンテナ搬送体70Bを搬入する。そして、ゲートバルブ303を閉じて両メンテナンスチャンバ302A、302Bを減圧して真空状態にする。
【0085】
次に、図23(b)に示すように、真空チャンバ1Aおよびメンテナンスチャンバ302Aのゲートバルブ301を開くとともに、メンテナンスチャンバ302Aから真空チャンバ1Aにアンテナ搬送体70Aを搬入する。
【0086】
そして、アンテナ搬送体70Aにアレイアンテナユニット30を保持させたら、図23(c)に示すように、アンテナ搬送体70Aを真空チャンバ1Aから搬出してメンテナンスチャンバ302Aに移動させる。また、メンテナンスチャンバ302Bのゲートバルブ301を開くとともに、メンテナンスチャンバ302Bから真空チャンバ1Aにアンテナ搬送体70Bを搬入する。そして、アンテナ搬送体70Bに保持されたアレイアンテナユニット30を真空チャンバ1Aに掛け止めたら、図23(d)に示すように、空になったアンテナ搬送体70Bを真空チャンバ1Aから搬出して、メンテナンスチャンバ302Bに移動させる。
【0087】
このようにして、アンテナ搬送体70A、70Bがそれぞれメンテナンスチャンバ302A、302Bに戻ったら、ゲートバルブ301を閉じてメンテナンスチャンバ302A、302Bと搬送チャンバ300とを遮断する。そして、両メンテナンスチャンバ302A、302Bを大気圧にした後に、ゲートバルブ303を開いて、両アンテナ搬送体70A、70Bを両メンテナンスチャンバ302A、302Bから搬出し、メンテナンス作業が終了となる。
【0088】
上記の変形例によっても、メンテナンス終了後に即座に成膜処理を再開することができるので、上記実施形態と同様の作用効果を実現することができる。しかも、基板搬送体60とアンテナ搬送体70とが同一の搬送チャンバ300によって搬送されるので、基板搬送体60を搬送するためのチャンバと、アンテナ搬送体70を搬送するためのチャンバとをそれぞれ独立して設ける場合に比べて、装置を小型化するとともに、部品点数を削減してコストを低減することができる。
【0089】
なお、上記実施形態においては、基板搬送体60およびアンテナ搬送体70を搬送するための搬送手段として、真空チャンバ1内にガイドレール17が設けられるとともに、基板搬送体60に車輪62が設けられ、アンテナ搬送体70に車輪72が設けられることとした。
【0090】
しかしながら、これとは逆に、真空チャンバ内に複数のガイドローラを配列するとともに、基板搬送体およびアンテナ搬送体に、上記のガイドローラに摺接する板状の部材を設けるようにしても構わない。いずれにしても、真空チャンバと搬送チャンバとの間で搬送体を往来可能とする搬送手段が設けられていればよい。また、このとき、基板搬送体とアンテナ搬送体とが同一の搬送手段によって搬入、搬出される必要はなく、それぞれ別個の搬送手段によって搬入、搬出がなされるようにしてもよい。
【0091】
例えば、図24に示す変形例のように、真空チャンバ1の天井部2aに、アンテナ搬送用のガイドレール25を設けるとともに、このガイドレール25上を転動するガイドローラ26を、アレイアンテナユニット30に一体的もしくは着脱自在に設けるようにしてもよい。この場合には、ガイドレール25とガイドローラ26とによってアンテナ搬送手段が構成されることとなる。なお、この変形例においても、アレイアンテナユニット30を真空チャンバ1内の所定の位置まで搬入した後、当該アレイアンテナユニット30を鉛直方向に上昇させて真空チャンバ1内に掛け止めることとなる(図中左側に位置するアレイアンテナユニット30)。このとき、アレイアンテナユニット30を昇降させたり掛け止めしたりする機構は、真空チャンバ1に設ければよい。
【0092】
また、上記実施形態におけるアレイアンテナユニットやアンテナ保持部材の構成は一例に過ぎない。いずれにしても、アンテナ保持部材は、アレイアンテナユニットを着脱自在に保持するものであればよい。したがって、アンテナ保持部材においては、アレイアンテナユニットに支持される電極棒の移動を制限する調整部材や、アレイアンテナユニットを揺動自在に保持するための揺動機構は必須の構成ではない。
【0093】
また、アレイアンテナユニットの構成や、当該アレイアンテナユニットを保持するアンテナ保持部材の構成によっては、アンテナ保持部材をスライドさせるスライド装置も必須ではない。つまり、アンテナ保持部材を搬送方向に直交もしくは交差する方向にスライドさせる目的は、アンテナ搬送体を搬出する際に、アンテナ保持部材とアレイアンテナユニットとの干渉を防ぐことにある。したがって、アンテナ搬送体の搬出にあたって、アンテナ搬送体とアレイアンテナユニットとが干渉しなくなれば、アンテナ保持部材の全部をスライドさせずに、例えば調整部材のみをスライドさせるなど、アンテナ保持部材の一部のみをスライドさせるようにしても構わない。なお、アンテナ保持部材を搬送方向に直交もしくは交差する方向にスライド可能とする場合に、そのスライドを上記実施形態のようにスライド装置によって自動で行うこととしてもよいし、手動によって行うこととしてもよい。このように、アンテナ保持部材の構成は、アレイアンテナユニットの構成に応じて適宜設計すればよい。
【0094】
また、上記実施形態においては、アンテナ搬送体にエアシリンダを設け、アレイアンテナユニットを鉛直方向に昇降可能な構成としたが、こうしたアレイアンテナユニットを変位させる変位手段は必須の構成ではない。また、上記実施形態においては、変位手段がアレイアンテナユニットを鉛直方向に昇降させる構成としたが、変位手段によるアレイアンテナユニットの変位方向はこれに限らない。つまり、変位手段によってアレイアンテナユニットを変位させる目的は、真空チャンバに設けられたコネクタに、アレイアンテナユニットの電極棒(アンテナ側コネクタ)を一括して接続することにある。したがって、例えば、真空チャンバに設けられたコネクタが、電極棒を水平方向に変位させて接続されるように配置された場合には、変位手段はアレイアンテナユニットを同一の水平方向に変位させることとなる。
【0095】
また、上記実施形態においては、エアシリンダによってアレイアンテナユニットが鉛直方向に上昇または下降する構成としたが、アレイアンテナユニットの変位は手動で行われるようにしても構わない。さらに、アレイアンテナユニットを自動で変位させる変位手段を設ける場合には、エアシリンダに限らず、油圧シリンダや電動シリンダなど、種々のアクチュエータによって変位手段を構成することが可能である。ただし、エアシリンダは、他の装置に比べてクッション性が高いので、上述の揺動機構と相まって、アレイアンテナユニットを掛け止める際の移動自由度が増し、取り付け容易性を向上することができる。なお、アレイアンテナユニットを昇降させる変位手段は、アンテナ搬送体に設けずに真空チャンバに設けるようにしても構わない。
【0096】
また、上記実施形態においては、アンテナ搬送体に3体のアレイアンテナユニットが同時に保持可能な構成としたが、アンテナ搬送体に同時に保持可能なアレイアンテナユニットの数は限定されない。また、複数のアレイアンテナユニットを同時に保持する構成とした場合には、アレイアンテナユニットと同数のアンテナ保持部材を設けることとしてもよいし、1つのアンテナ保持部材に複数のアレイアンテナユニットを保持可能な構成としてもよい。
【0097】
なお、上記実施形態のように、複数のアレイアンテナユニットを同時に保持可能な構成とし、かつ、これらアレイアンテナユニットを変位させる変位手段を設ける場合には、各アレイアンテナユニットを個別に変位可能とすることが望ましい。各アレイアンテナユニットを真空チャンバに掛け止める際には、コネクタの接続状態などを目視確認する必要がある。このとき、複数のアレイアンテナユニットが同時に変位することとなると、作業者から見て相対的に奥側に位置するアレイアンテナユニットの取り付け状況の確認が困難となる。したがって、変位手段によって複数のアレイアンテナユニットを変位させる場合には、変位手段が個別に作動する構成にするとよい。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、真空チャンバ内でプラズマを発生させて基板表面に薄膜を生成するアレイアンテナ式プラズマCVD装置に係り、特には、真空チャンバ内にアンテナを搬送するアンテナ搬送システムおよび方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 真空チャンバ
10 内部空間
12 高周波電源
13 第1天井側コネクタ
14 第2天井側コネクタ
15 ガス供給源
17、25、102、202 ガイドレール
19 掛止ピン
26 ガイドローラ
30 アレイアンテナユニット
36 掛止孔
50 誘導結合型電極
51 第1電極棒
52 第2電極棒
62 車輪
70 アンテナ搬送体
72 車輪
73 アンテナ保持部材
100 基板搬送チャンバ
200 アンテナ搬送チャンバ
300 搬送チャンバ
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空状態に減圧可能な内部にガス供給源から材料ガスが供給される真空チャンバと、
前記真空チャンバに設けられ高周波電源に電気的に接続可能な複数のコネクタと、
前記真空チャンバ内で前記複数のコネクタそれぞれに接続可能な複数本の電極棒を有し、前記電極棒がコネクタに接続された状態で前記高周波電源から電力供給されることによりプラズマを発生させるアレイアンテナユニットと、
前記アレイアンテナユニットを収容可能であって、前記真空チャンバに真空状態を維持して接続可能な搬送チャンバと、
互いに真空状態を維持して接続された前記搬送チャンバおよび前記真空チャンバ間で、前記アレイアンテナユニットを往来可能とするアンテナ搬送手段と、
前記アンテナ搬送手段によって前記真空チャンバ内に搬入された前記アレイアンテナユニットを着脱自在に掛け止めするとともに、前記アレイアンテナユニットを掛け止めした状態で前記コネクタと前記電極棒とを接続状態に維持するアンテナ掛止手段と、を備えたことを特徴とするアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システム。
【請求項2】
前記アンテナ搬送手段は、
前記真空チャンバに設けられたガイドレールと、
前記ガイドレール上を転動する車輪、および、前記アレイアンテナユニットを着脱自在に保持するアンテナ保持部材を少なくとも有するアンテナ搬送用の台車と、を含むことを特徴とする請求項1記載のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システム。
【請求項3】
前記アンテナ搬送手段は、
前記真空チャンバに設けられたガイドレールと、
前記ガイドレール上を転動可能であって前記アレイアンテナユニットに一体的あるいは着脱自在に設けられたガイドローラと、を含むことを特徴とする請求項1記載のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システム。
【請求項4】
前記搬送チャンバは、
前記アンテナ搬送手段によって前記アレイアンテナユニットが搬送されるアンテナ搬送チャンバと、
成膜対象である基板が搬送される基板搬送チャンバと、をそれぞれ独立して備え、
前記アンテナ搬送チャンバおよび前記基板搬送チャンバのそれぞれが前記真空チャンバに真空状態を維持して接続可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システム。
【請求項5】
前記搬送チャンバは、
成膜対象である基板、および、前記アレイアンテナユニットの双方を搬送可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送システム。
【請求項6】
複数本の電極棒を有するアレイアンテナユニットが保持されたアンテナ搬送台車を搬送チャンバに収容する工程と、
前記アンテナ搬送台車が収容された前記搬送チャンバの内部を真空状態に減圧する工程と、
前記アレイアンテナユニットを搬入する真空チャンバの内部を真空状態に減圧する工程と、
前記搬送チャンバおよび前記真空チャンバそれぞれの内部の真空状態を維持したまま当該両チャンバを接続する工程と、
真空状態を維持したまま接続された前記両チャンバ間で、前記搬送チャンバから前記真空チャンバに前記アンテナ搬送用の台車を搬入する工程と、
前記真空チャンバ内に搬入されたアレイアンテナユニットの電極棒それぞれが、高周波電源に電気的に接続された複数のコネクタに一括して接続されるようにアレイアンテナユニットを前記真空チャンバ内に掛け止めする工程と、を含むアレイアンテナ式プラズマCVD装置のアンテナ搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−174753(P2012−174753A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32872(P2011−32872)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】