説明

アンテナ装置

【課題】 近接手段により伝播モード返還手段を遅波伝播手段に近接させることにより、簡易な構造で電波の放射特性を90度以上の広範囲に変更できるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るアンテナ装置は、電波を遅波モードで伝播する遅波伝播手段として機能する誘電体線路31と、電波を遅波モードに変換する少なくとも1つの伝播モード変換手段として機能するコルゲート板222と、コルゲート板222の1つを選択的に誘電体線路31に近接させるための開口235を有する中空筐体23とを備え、誘電体線路31は中空筐体23の外部に延伸して誘電体ロッドアンテナとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信に適用可能なアンテナ装置に係り、特に、簡易な構造であっても電磁波の放射方向を広範囲に変更できるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局の番組制作で使用されるワイヤレスカメラシステムのカメラと受信装置間の映像信号の授受、無線LANによるデータの授受等大容量の無線伝送を行う場合、広い帯域を有するミリ波帯が適用される。
【0003】
ミリ波帯無線伝送システムに搭載されるアンテナは、使用環境によって送信アンテナと受信アンテナの相対的位置が大きく変化する場合、使用環境に応じて電磁波の放射方向を広範囲に変更できるものであることが望ましい。
【0004】
また、アンテナをミリ波帯無線伝送装置自体に取り付けるためには、スペースが限られている場合が一般的であるので、アンテナは小型かつ簡易な構成であることも必要である。
【0005】
小型かつ簡易な構成のミリ波帯用のアンテナとしては、表面波アンテナまたは漏れ波アンテナ等がある。代表的な表面波アンテナとしては、誘電体棒で構成される誘電体ロッドアンテナを挙げることができ、代表的な漏れ波アンテナとしては、周期構造を有する誘電体線路で構成される誘電体漏れ波アンテナを挙げることができる。
【0006】
誘電体ロッドアンテナは、誘電体ロッドアンテナの端部から誘電体ロッドアンテナの電波の伝播方向に電波を放射し、漏れ波アンテナは誘電体線路の電波の伝播方向と異なる方向に電波を放射する。
【0007】
そして、電波の放射方向を変更できる誘電体ロッドアンテナ装置および漏れ波アンテナ装置が既に提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0008】
特許文献1に示されている従来の誘電体ロッドアンテナ装置は、図41に示すように、誘電体ロッドアンテナ191に沿って反射部材192を設置することにより、電波の放射方向を誘電体ロッドアンテナ191の軸に対して約15度傾けることが可能となる。
【0009】
また、特許文献2に示されている従来の漏れ波アンテナ装置は、図42に示すように、地板導体201と誘電体基板202とがスペーサ203を介して平行に配置された伝播路を備える。
【0010】
誘電体基板202の上面には複数の金属ストリップ204が所定間隔ごとに設置されている。さらに、誘電体基板202の上方には所定間隔を隔てて電波の伝播方向と直角に金属板205が配置されているが、金属板205は電波の伝播方向と垂直な面内において所定角度内で回転可能である。
【0011】
電波は金属板205から金属ストリップ204の方向に向かって伝播し、金属ストリップ204から漏洩して空中に放射される。
【0012】
そして、金属板205の傾きを変更することにより、電波の放射方向を制御することが可能となる。
【特許文献1】特開平06−244628号公報([0007]、図1)
【特許文献2】特開2003−338706号公報([0031]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
多量の情報を安定に伝送するためには受信電力と雑音電力の比(C/N比)を大きくすることが必要となる。そして、C/N比を大きくする方法の1つとして、受信アンテナの方向に放射される送信電力をできる限り大きくすることが考えられる。
【0014】
従って、ワイヤレスカメラシステムに適用するアンテナにあっては、使用環境によって送信アンテナと受信アンテナの相対位置が変化するので、受信アンテナの方向に放射される送信電力が大きくなるように、送信アンテナの電波放射方向を広範囲に変更できることが必要となる。
【0015】
ワイヤレスカメラを屋内で使用するときには見通しを確保するために受信アンテナをワイヤレスカメラの上方に設置し、屋外で使用するときにはワイヤレスカメラと受信アンテナをワイヤレスカメラに対して水平に設置する場合が多いことを考慮すると、使用環境に応じて電波放射方向を90度以上変更できることが望ましい。
【0016】
さらに、C/N比を大きくするにはアンテナを高利得とすることが考えられるが、アンテナを高利得とするほどアンテナの指向性は鋭くなる。従って、ワイヤレスカメラで移動しながら撮影する場合には、送信アンテナと受信アンテナの相対位置が時々刻々変化するので、受信アンテナの方向に放射される送信電力が大きくなるように、送信アンテナの電波放射方向を連続的、かつ、広範囲に変更できることが望ましい。
【0017】
しかしながら、特許文献1に開示された誘電体ロッドアンテナには使用環境に応じて電波放射方向を変更することができないという課題があった。
【0018】
さらに、特許文献2に開示された誘電体漏れ波アンテナには使用環境に応じて電波放射方向を変更できるものの、範囲が限られているという課題があった。
【0019】
表面波アンテナと漏れ波アンテナの両方を使用して電波放射範囲を拡大することも可能であるが、それぞれのアンテナに電波を給電する給電回路を切り換え可能な構成とする必要があり、構造が複雑化することは回避できない。
【0020】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであって、簡易な構成で電磁波の放射方向を90度以上の広範囲に変更できるアンテナ装置を提供することを第1の目的とする。
【0021】
さらに、簡易な構成で電磁波の放射方向を広範囲、かつ、連続的に変更できるアンテナ装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のアンテナ装置は、電磁波を遅波モードで伝播する遅波伝播手段と、前記遅波伝播手段を伝播する前記電磁波の伝播モードを、遅波モードから速波モードに変換する伝播モード変換手段と、前記伝播モード変換手段と前記遅波伝播手段の相対位置を変更する相対位置変更手段とを備える。
【0023】
この構成により、遅波伝播手段を伝播する電磁波の伝播モードは位相定数の異なる速波モードに変換されるので、電磁波を遅波伝播手段内の電磁波伝播方向と異なる方向に放射できることとなる。
【0024】
なお、遅波伝播手段は、表面波線路であってよく、表面波線路は誘電体線路またはイメージ線路であってよい。
【0025】
本発明のアンテナ装置は、前記遅波伝播手段が誘電体線路であり、前記伝播モード変換手段が前記誘電体線路を伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する少なくとも1つの周期的構造体であり、前記相対位置変更手段が前記周期的構造体を前記誘電体線路に近接させる近接手段である。
【0026】
この構成により、誘電体線路を漏れ波アンテナとして機能させて、電磁波の放射方向を広範囲に変更することができることとなる。
【0027】
本発明のアンテナ装置は、遅波伝播手段が表面波アンテナとして機能するものであってもよい。
【0028】
また、本発明のアンテナ装置は、表面波アンテナが誘電体ロッドアンテナ、または、イメージ線路で構成されたアンテナであってもよい。
【0029】
本発明のアンテナ装置は、前記遅波伝播手段が誘電体ロッドアンテナであり、前記伝播モード変換手段が前記誘電体ロッドアンテナを伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する少なくとも1つの周期的構造体であり、前記相対位置変更手段が前記周期的構造体を前記誘電体ロッドアンテナに近接させる近接手段である。
【0030】
この構成により、誘電体線路を誘電体ロッドアンテナとしても機能させて、電磁波の放射方向を90度以上の広範囲に変更することができる。
【0031】
本発明のアンテナ装置は、前記遅波伝播手段が誘電体ロッドアンテナであり、前記伝播モード変換手段が前記誘電体ロッドアンテナを伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化し中空部を前記誘電体ロッドアンテナが貫通する中空周期的構造体であり、前記相対位置変更手段が前記中空体を前記誘電体ロッドアンテナに沿って移動させて、誘電体ロッドアンテナ側面部に近接させる中空体移動手段である。
【0032】
この構成により、中空体を誘電体ロッドアンテナに沿って移動させることにより電磁波の放射方向を変更することができることとなる。即ち、中空体を誘電体ロッドアンテナ上に配置したときに、誘電体ロッドアンテナの軸を中心に無指向に中空体から電磁波を放射することができることとなる。
【0033】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段のそれぞれが、前記遅波伝播手段内の前記電磁波の伝播方向にコルゲートが周期的に形成された誘電体であり、前記コルゲートが大きさまたは周期の少なくとも一方が互いに異なるものである構成を有していてもよい。
【0034】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段のそれぞれが、前記遅波伝播手段内の前記電磁波の伝播方向に金属ストリップが表面に周期的に貼付された誘電体であり、前記金属ストリップの前記電磁波の伝播方向の長さまたは周期の少なくとも一方が互いに異なるものである構成を有していてもよい。
【0035】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段のそれぞれが、前記遅波伝播手段内の前記電磁波の伝播方向にスリットが周期的に穿孔された金属体であり、前記スリットの前記電磁波の伝播方向の長さまたは周期の少なくとも一方が互いに異なるものである構成を有していてもよい。
【0036】
本発明のアンテナ装置は、前記遅波伝播手段が誘電体線路であり、前記伝播モード変換手段が前記誘電体線路中を伝播する前記電磁波の伝播方向に構造が周期的に変化し、かつ、周期が前記伝播方向と異なる方向に変化する周期的構造体であり、前記相対位置変更手段が前記周期的構造体を前記誘電体線路の電波の伝播方向と相違する方向に移動させる移動手段である。
【0037】
この構成により、電磁波の放射方向を広範囲、かつ、連続的に変更できることとなる。
【0038】
本発明のアンテナ装置は、前記遅波伝播手段が誘電体ロッドアンテナであり、前記伝播モード変換手段が前記誘電体ロッドアンテナ中を伝播する前記電磁波の伝播方向に構造が周期的に変化し、かつ、周期が前記伝播方向と異なる方向に変化する周期的構造体であり、前記相対位置変更手段が、前記周期的構造体を前記誘電体ロッドアンテナの電波の伝播方向と相違する方向に移動させる移動手段である。
【0039】
この構成により、電磁波の放射方向を、90度以上の広範囲で連続的に変更できることとなる。
【0040】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段が、前記遅波伝播手段の前記電磁波の伝播方向にコルゲートが周期的に形成された誘電体であり、前記コルゲートの大きさまたは周期の少なくとも一方が前記伝播方向と異なる方向に変化する周期的構造体であってもよい。
【0041】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段が、前記遅波伝播手段内の前記電磁波の伝播方向に金属ストリップが表面に周期的に設置された誘電体であり、前記金属ストリップの前記伝播方向の長さまたは周期の少なくとも一方が前記伝播方向と異なる方向に変化する周期的構造体であってもよい。
【0042】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段が、前記遅波伝播手段内の前記電磁波の伝播方向にスリットが周期的に穿孔された金属体であり、前記スリットの前記電磁波の伝播方向の長さまたは周期の少なくとも一方が前記伝播方向と異なる方向に変化する周期的構造体であってもよい。
【0043】
本発明のアンテナ装置は、前記遅波伝播手段が誘電体線路であり、前記伝播モード変換手段が前記誘電体線路を伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する周期的構造体であり、前記相対位置変更手段が、前記伝播モード変更手段を前記誘電体線路に対して回転させる回転手段である。
【0044】
この構成により、伝播モード変換手段を回転させることにより電磁波の放射方向を広範囲、かつ、連続的に変更できることとなる。
【0045】
本発明のアンテナ装置は、前記遅波伝播手段が誘電体ロッドアンテナであり、前記伝播モード変換手段が前記誘電体ロッドアンテナを伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する周期的構造体であり、前記相対位置変更手段が前記伝播モード変更手段を前記誘電体ロッドアンテナに対して回転させる回転手段である。
【0046】
この構成により、遅波伝播手段を誘電体ロッドアンテナとして機能させることにより、電磁波の放射方向を90度以上の広範囲で連続的に変更できることとなる。
【0047】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段が、前記遅波伝播手段内の前記電磁波の伝播方向にコルゲートが周期的に形成された誘電体製の周期的構造体であってもよい。
【0048】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段が、前記遅波伝播手段内の前記電磁波の伝播方向に金属ストリップが表面に周期的に貼付された誘電体製の周期的構造体であってもよい。
【0049】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段が、前記遅波伝播手段内の前記電磁波の伝播方向にスリットが周期的に穿孔された金属製の周期的構造体であってもよい。
【0050】
本発明のアンテナ装置は、前記遅波伝播手段が誘電体円板線路であり、前記伝播モード変換手段が前記誘電体円板線路に対向する面に前記誘電体円板線路を伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する周期構造体が形成された円板であり、前記相対位置変更手段が前記円板と前記誘電体円板線路との相対位置を変更する円板位置変更手段である。
【0051】
この構成により、円板と誘電体円板線路との間隔を変更することにより、電磁波の放射方向を変更できることとなる。即ち、電磁波は、円板を誘電体円板線路に近接させたときには、誘電体円板線路面に垂直な方向に放射、あるいは、誘電体円板線路面に垂直な方向がヌルとなるコニカルビームとして放射され、近接させないときには、誘電体円板線路面内で無指向に放射されることとなる。
【0052】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段が前記誘電体円板線路に対向する面に螺旋状の構造体が形成された円板であってもよい。
【0053】
本発明のアンテナ装置は、前記伝播モード変換手段が前記誘電体円板線路に対向する面に同心円状の構造体が形成された円板であってもよい。
【発明の効果】
【0054】
本発明は、伝播モード変換手段により遅波伝播手段を伝播する電磁波の位相定数を変更して電磁波の放射方向を90度以上の広範囲に変更できるアンテナ装置を提供することができるだけでなく、伝播モード変換手段の周期的構造の遅波伝播手段中の電磁波の伝播方向の周期を変更することにより、広範囲に、かつ、連続的に電磁波の放射方向を変更できる簡単な構造のアンテナ装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0056】
本発明に係るアンテナ装置は、図1に示すように、電磁波を遅波モードで伝播する遅波伝播手段11と、遅波伝播手段11に近接したときに遅波伝播手段11を伝播する電磁波に周期的摂動を与えて電磁波の伝播モードを速波モードに変換する少なくとも1つの伝播モード変換手段12と、伝播モード変換手段12と遅波伝播手段11の相対位置を変更する相対位置変更手段13とを備える。なお、以下の実施の形態においては、電磁波はミリ波帯の電波であるものとする。
(第1の実施形態)
図2は本発明に係るアンテナ装置の第1の実施形態の斜視図であって、伝播モード変換手段12は遅波伝播手段11を伝播する電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する少なくとも1つの周期的構造体であり、相対位置変更手段13は伝播モード変更手段を遅波伝播手段に近接させる近接手段である。
【0057】
以下の実施形態においては、遅波伝播手段11は誘電体線路21である。
【0058】
伝播モード変換手段12は、図3の斜視図に示すように、電波の伝播方向(矢印P)に一定間隔毎にコルゲート221が形成された誘電体板であるコルゲート板222(a)、電波の伝播方向(矢印P)に沿って裏面に一定間隔毎に金属ストリップ223が貼り付けられた誘電体板であるストリップ板224(b)、あるいは、電波の伝播方向(矢印P)に沿って一定間隔毎にスリット225が穿孔された金属板であるスリット板226(c)のいずれであってもよい。なお、以下の説明においては、伝播モード変換手段12はコルゲート板222であるとする。
【0059】
また、近接手段は、1つのコルゲート板222を、選択的に、誘電体線路21を伝播する電波に摂動を与える距離に近接させる手段であって、コルゲート板222と誘電体線路21とを直接接触させるものであってもよい。
【0060】
図4は第1の実施形態の分解斜視図であって、中空筐体23は、誘電体線路21の軸長より長い長辺と誘電体線路21の幅より長い短辺とを有する底板231と、底板231の長辺に沿って配置された誘電体線路21の高さより高い高さを有し、底板231の2つの長辺に沿って配置される2つの側板232および側板233と、誘電体線路21の約半分を覆い、側板232および側板233の内壁に形成された溝と嵌合する天板234とから成る。そして、誘電体線路21の天板234で覆われていない部分は開口235を形成する。
【0061】
なお、開口235では、側板232および側板233は、誘電体線路21中の遅波伝播モードでの電波の伝播に影響を及ぼさない間隔を保つことが必要である。
【0062】
なお、中空筐体23は、導体製であっても、誘電体製であってもよい。ただし、給電部は導体とする必要があるので、中空筐体23が誘電体製の場合でも、給電部は導体製の導波管で形成する。中空筐体23が導体製である場合には、誘電体線路21に電波を供給する導波管も導体製の中空体であるので、開口235以外の部分で中空筐体23の側板232および側板233の距離を狭めることにより、中空筐体23自体を導波管として使用することも可能である。
【0063】
コルゲート板222は、開口235に対して着脱可能に配置される。即ち、第1の実施形態にあっては、コルゲート板222を選択的に開口235に配置することが近接手段として機能する。
【0064】
以下、図5を参照しつつ、本発明に係るアンテナ装置の第1の実施形態の動作を説明する。
【0065】
図5は第1の実施形態の断面図であって、電波伝播方向(矢印P)の周期の異なる3種類のコルゲート板222が天板234に覆われていない開口235上に設置された場合を示す。
【0066】
誘電体線路21の下端21Dで、導波管(図示せず)を伝播してきた電波が誘電体線路21に供給され、誘電体線路21に沿って上端21Uまで伝播する。なお、誘電体線路21の下端21Dは、電波の反射を防止するために適当なテーパ処理がなされている。
【0067】
コルゲート板222の周期的構造により誘電体線路21を伝播する電波に摂動が与えられ、電波の位相定数が変化する。
【0068】
すると、誘電体線路21を伝播する電波は遅波モードから速波モードに変換され、誘電体線路21上の電波は誘電体線路21の軸方向と異なる方向に放射される。即ち、誘電体線路21およびコルゲート板222は漏れ波アンテナとして機能することとなる。
【0069】
そして、コルゲート板222を電波伝播方向に異なる周期でコルゲートが形成されたものと交換することにより、電波の放射方向(矢印Q)を変更することが可能となる。
【0070】
上記の実施例においては、誘電体線路21とコルゲート板222とを近接させる近接手段13は、コルゲート板222を交換して電波放射方向を変更する構成であるとしたが、これに限定されるものではなく、構造の異なる複数のコルゲート板222の1つを選択的に誘電体線路21に近接させることができる構成であればよい。
【0071】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、アンテナ装置を漏れ波アンテナとして機能させ、伝播モード変換手段12を交換することにより電波の放射方向を広範囲に変更することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るアンテナ装置の第2の実施形態について説明する。
【0072】
第2の実施形態では、遅波伝播手段11を表面波アンテナの一種である誘電体ロッドアンテナ31として機能させることにより、誘電体ロッドアンテナ31の軸方向にも電波を放射して、電波放射特性を拡大することが可能である。
【0073】
図6および図7は、本発明に係るアンテナ装置の第2の実施形態の斜視図および分解斜視図であって、遅波伝播手段11は誘電体ロッドアンテナ31であり、誘電体ロッドアンテナ31の上端31Uは中空筐体23の外部にまで延伸している。
【0074】
なお、図6は、コルゲート板222が天板234上にある場合(a)と、コルゲート板222が開口235上まで移動した場合(b)とを示す。
【0075】
その他の構造は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0076】
次に、図8を参照しつつ、本発明に係るアンテナ装置の第2の実施形態の動作を説明する。
【0077】
図8は、第2の実施形態の上面図および横断面図であって、コルゲート板222が天板234上にある場合(a)と、コルゲート板222が開口235を介して誘電体ロッドアンテナ31と近接した場合(b)とを示す。
【0078】
図8(a)に示すように、コルゲート板222が天板234の上にあるときには、誘電体ロッドアンテナ31とコルゲート板222とは天板234によって遮断されるので、誘電体ロッドアンテナ31の上端31Uから空中に誘電体ロッドアンテナ31の軸方向に電波が放射される。
【0079】
図8(b)に示すように、コルゲート板222が開口235を介して誘電体ロッドアンテナ31の上にあるときの動作は、第1の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0080】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、アンテナ装置を、誘電体ロッドアンテナ31とコルゲート板222とを近接させたときには誘電体漏れ波アンテナとして機能させ、誘電体ロッドアンテナ31とコルゲート板222とを隔離したときには誘電体ロッドアンテナとして機能させることにより、広範囲に電波放射方向を90度以上の広範囲に変更することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係るアンテナ装置の第3の実施形態を説明する。
【0081】
第1の実施形態および第2の実施形態にあっては、漏れ波アンテナの電波放射方向を変更するためには、開口235に設置するコルゲート板222を交換することが必要であったが、一枚のコルゲート板222に複数種のコルゲートを形成することにより、コルゲート板222をスライドすることにより電波の放射方向を変更することができる。
【0082】
図9は、第3の実施形態の誘電体線路21、中空筐体23、ならびにコルゲート板222の上面図であって、(a)に示すように、中空筐体23に開口235が設けられている。
【0083】
コルゲート板222の裏面には、コルゲートの高さ、電波伝播方向(矢印P)の長さ、および電波伝播方向(矢印P)の周期の少なくとも1つが相違する複数種類(図9では3種類)のコルゲートが形成されている。そして、第3の実施形態の中空筐体23は第1の実施形態および第2の実施形態の中空筐体23より長い管長を有し、中空筐体23のほぼ中央部に開口235を有する。なお、3種類のコルゲートは、(b)に示すように誘電体線路21の長手方向に形成されていても、(c)に示すように誘電体線路21の幅方向に形成されていてもよい。
【0084】
その他の構成は、第1の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
【0085】
なお、コルゲート板222に代えて、ストリップ板224あるいはスリット板226を使用できることは明らかである。
【0086】
次に、図10の横断面図を参照しつつ、第3の実施形態の動作を説明する。
【0087】
図10は、コルゲート板222の中央部に形成されたコルゲートが誘電体線路21と近接している場合(a)、コルゲート板222の左端部に形成されたコルゲートが誘電体線路21と近接している場合(b)、およびコルゲート板222の右端部に形成されたコルゲートが誘電体線路21と近接している場合(c)を、それぞれ示している。
【0088】
コルゲート板222の左端部、中央部および右端部で、コルゲートの電波伝播方向の長さ、および周期が相違するので、コルゲート板222をスライドさせて誘電体線路21に近接するコルゲートを変更することによって電波の放射方向を広範囲に変更することが可能となる。
【0089】
以上、第3の実施形態によれば、コルゲート板222を中空筐体23の開口235上でスライドさせることにより、電波の放射方向を広範囲に変更することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明に係るアンテナ装置の第4の実施形態を説明する。
【0090】
第4の実施形態は、図11に示すように、誘電体線路21が誘電体ロッドアンテナ31となり、誘電体ロッドアンテナ31の上端31Uが中空筐体23の外に延伸していることを除いて第3の実施形態と同一の構造を有する。
【0091】
次に、図12を参照して第4の実施形態の動作を説明するが、図12の(a)〜(c)は図10の(a)〜(c)に対応し、図12(d)はコルゲート板222を右端が中空筐体23の開口235から外れるまでスライドさせた場合を示す。
【0092】
(d)の場合は、コルゲート板222は誘電体ロッドアンテナ31とが近接していないので、電波は誘電体ロッドアンテナ31の上端31Uからその軸方向に放射される。なお、矢印(Q)は電波の放射方向を示す。
【0093】
図13は第4の実施形態の電波放射特性を示すグラフであって、横軸に電波の放射方向を、縦軸に電波の相対電力をとる。なお、電波の放射方向は、開口235に対して垂直な方向を零度としている。
【0094】
図13の電波放射特性(a)〜(d)は、それぞれ、コルゲート板222が図12の(a)〜(d)の位置にある場合を示している。このグラフから、第4の実施形態では、−24度から+90度の範囲で電波の放射方向を変更できることが判る。
【0095】
以上、第4の実施形態によれば、コルゲート板222を中空筐体23上でスライドさせることにより、90度以上の広い範囲で電波の放射方向を変更できることとなる。
(第5の実施形態)
次に、本発明に係るアンテナ装置の第5の実施形態を説明する。
【0096】
第1〜第4の実施形態では、コルゲート板222は中空筐体23の開口235の上をスライドするものとしていたが、中空筐体23の両面に設けた開口235の双方でスライドするようにしてもよい。
【0097】
図14は、第5の実施形態の左斜視図および右斜視図であって、第1のコルゲート板222は中空筐体23の一方の開口235上をスライドし、第2のコルゲート板227は中空筐体23の他方の開口235上をスライドする構成となっている。
【0098】
図15は、第5の実施形態の断面図であって、(a)では誘電体ロッドアンテナとして機能し、(b)〜(d)では漏れ波アンテナとして機能する。
【0099】
(b)では第1のコルゲート板222が誘電体ロッドアンテナ31と近接し、電波は第1のコルゲート板222の外側に放射される。
【0100】
(c)では第2のコルゲート板227が誘電体ロッドアンテナ31と近接し、電波は第2のコルゲート板227の外側に放射される。
【0101】
(d)では第1のコルゲート板222および第2のコルゲート板227が誘電体ロッドアンテナ31と近接し、電波は第1のコルゲート板222および第2のコルゲート板227の外側に放射される。
【0102】
以上、第5の実施形態によれば、中空筐体23の両側にコルゲート板222およびコルゲート板227を配置して、電波の放射特性を90度以上の広範囲に変更できる。なお、矢印(Q)は電波の放射方向を示す。
【0103】
なお、上記実施の形態においては、誘電体ロッドアンテナ31および中空筐体23の断面形状は矩形であるとしているが、断面形状は円形であってもよい。
(第6の実施形態)
図16は、本発明に係るアンテナ装置の第6の実施形態の斜視図であって、(a)に示すように、円形断面の導波管33の先端には、同じく円形断面の誘電体ロッドアンテナ31が嵌合しており、誘電体ロッドアンテナ31は中ほどから上端31Uに向けてテーパ状に成形されている。
【0104】
伝播モード変換手段12は、(b)に示すように、中空円筒228であり、周囲に周期構造(例えばスリット225)が成形されている。中空円筒228が導波管33上に配置されている場合(b)は、電波は導波管33および誘電体ロッドアンテナ31を伝播し、上端31Uから誘電体ロッドアンテナ31の電波伝播方向(矢印P)に放射される。
【0105】
(c)に示すように、中空円筒228をスライドさせて、中空円筒228を誘電体ロッドアンテナ31に近接させると、中空円筒228のスリット225は電波に摂動を与え、電波は電波伝播方向(矢印P)と異なる方向(矢印Q)に誘電体ロッドアンテナ31の軸を中心に無指向に放射される。
【0106】
さらに、(d)に示すように、中空円筒228の一部にスリット225を成形してもよい。この場合は、中空円筒228を回転させることにより電波の放射方向(矢印Q)を電波伝播方向(矢印P)と異なる方向において、誘電体ロッドアンテナの軸を中心に変更できる。
【0107】
図17は、第6の実施形態のアンテナ装置の使用状態の一例を示す図であって、ワイヤレスカメラ171の上面に第6の実施形態に係るアンテナ装置が取り付けられている。なお、(a)は屋内での使用状況を、(b)は屋外での使用状況を示す。
【0108】
屋内でワイヤレスカメラ171を使用する場合には、受信アンテナ172は送信アンテナとの見通しを確保するために、天井173に取り付けられる。そこで、円筒228を導波管33の外側に配置することにより、電波を誘電体ロッドアンテナ31の軸方向に放射する。
【0109】
屋外でワイヤレスカメラ171を使用する場合には、受信アンテナ174はカメラ171の側方に配置される場合が多い。そこで、中空円筒228を誘電体ロッドアンテナ31に近接させて、電波を水平方向、かつ無指向に放射する。従って、ワイヤレスカメラ171が移動した場合であっても、受信アンテナ174は、ワイヤレスカメラ171が撮影した映像を確実に受信することができる。
(第7の実施形態)
第1の実施形態から第6の実施形態においては、遅波伝播手段は誘電体線路であるとしているが、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路あるいはスロット線路などのプリント線路であってもよい。
【0110】
また、上記説明では誘電体線路または誘電体ロッドアンテナは中空筐体に格納されているものとしているが、これは近接手段であるコルゲート板(ストリップ板、スリット板)をスライドさせる構造を簡易に実現できるからであって、図18に示すように、誘電体線路に代えてイメージ線路を使用した場合にも、本発明を適用できることは当業者にとって明らかである。
【0111】
例えば、イメージ線路の地板181上に設置される誘導体線路182の両側にスペーサ183を配置し、スペーサ183上をスリットが穿孔された金属板226がスライドするようにすればよい。なお、誘電体線路182には導波管184から電波が給電される。
【0112】
さらに、第2の実施形態、第4の実施形態、および第5の実施形態において、コルゲート板のスライド量を調整して、漏れ波アンテナとロッドアンテナの双方を動作状態とし、マルチビームアンテナとして使用することも可能である。
(第8の実施形態)
上記の第1から第7の実施形態では、漏れ波アンテナのビーム方向を変更するためには伝播モード変更手段を交換する、あるいは1つのコルゲート板(ストリップ板、スリット板)に異なる周期構造を配列する必要があるが、以下に説明する第8から第9の実施形態では1つの伝播モード変更手段で漏れ波アンテナのビーム方向を広範囲、かつ、連続的に変更することが可能となる。
【0113】
まず、本発明に係る第8の実施形態について説明する。
【0114】
即ち、第8の実施形態では、伝播モード変換手段12が、遅波伝播手段11中を伝播する電磁波の伝播方向に構造が周期的に変化する周期的構造体であって、周期的構造が伝播方向と異なる方向に変化する。
【0115】
即ち、第8の実施形態の周期的構造体51は、図19の上面図(a)および斜視図(b)に示すように、誘電体線路21内の電波の伝播方向(P)の周期的構造の周期が、電波伝播方向(P)と直角な方向(R)に変化するように構成されている。
【0116】
なお、周期的構造体51は、図20の断面図に示す誘電体基板にコルゲートが形成されたコルゲート板であっても、図21の断面図に示す誘電体基板に金属ストリップが貼付されたストリップ板であっても、図22に示すスリットが穿孔された金属板であるスリット板であってもよい。なお、図20から図22の(a)、(b)および(c)は、それぞれ、図19(a)のX1−X1断面、X2−X2断面、X3−X3断面を示す。
【0117】
図23は、第8の実施形態において遅波伝播手段11として機能するイメージ線路52の斜視図であって、地板53の中央に誘電体線路54が配置され、誘電体線路54の両側にスペーサ55が配置されている。なお、誘電体線路54の上端54Uは、地板53の上端より上方に延伸し、テーパ処理がなされ、誘電体ロッドアンテナとして機能するものであってもよい。また、誘電体線路54の下端54Dは、やはりテーパ処理がなされ、導波管56の中に挿入されている。
【0118】
なお、遅波伝播手段は、第1の実施形態から第6の実施形態のように、筐体に格納された誘電体線路あるいは誘電体ロッドアンテナであってもよい。
【0119】
図24は、イメージ線路52のスペーサ55の上に、周期的構造体であるスリット板51が配置された場合の断面図であって、スリット板51は、誘電体線路54の延伸方向にスリットが周期的に存在し、誘電体線路54の延伸方向と直角方向にスリットの周期が変化するように配置される。
【0120】
なお、スリット板51と誘電体線路54とは、スリット板51の周期的構造が誘電体線路54を伝播する電波に摂動を与える距離を隔てて配置されるものとする。
【0121】
即ち、第8の実施形態にあっては、スリット板51を誘電体線路54の延伸方向と直角方向に移動することが、相対位置変更手段の機能に相当する。
【0122】
次に、図25および図26を参照して第8の実施形態に係るアンテナ装置の動作を説明する。
【0123】
図25(a)は、スリット板51のスリットが形成されていない部分が、誘電体線路54の真上に配置された状態を示す。この状態にあっては、導波管56を伝播してきた電波は誘電体線路54の下端54Dから誘電体線路54に伝播する。誘電体線路54を伝播する電波はスリット板51による摂動を受けないので、電波は誘電体線路54を伝播し、上端54Uから誘電体線路54の軸方向(Q)に放射される。即ち、誘電体線路54は誘電体ロッドアンテナとして機能する。
【0124】
図25(b)は、スリット板51のX1−X1切断線が、誘電体線路54の真上にきた状態を示す。この状態では、誘電体線路54を伝播する電波は、スリット板51によって摂動を受けて電波の位相定数が変化し、電波は誘電体線路中の伝播方向Pとは異なる方向(Q1)に放射される。
【0125】
方向Q1は、誘電体線路54の中心軸を通り、地板53に平行な平面に垂直な面内で誘電体線路54の中心軸と角度θ1を成す方向である。
【0126】
図26(a)は、スリット板51のX2−X2切断線が、誘電体線路54の真上にきた状態を示す。この状態では、誘電体線路54を伝播する電波は、スリット板51によって摂動を受けて電波の位相定数が変化し、電波は誘電体線路中の伝播方向Pとほぼ直角をなす方向(Q2)に放射される。
【0127】
方向Q2は、誘電体線路54の中心軸を通り、地板53に平行な平面に垂直な面内で誘電体線路54の中心軸とほぼ直角θ2を成す方向である。なお、θ2>θ1である。
【0128】
図26(b)は、スリット板51のX3−X3切断線が、誘電体線路54の真上にきた状態を示す。この状態では、誘電体線路54を伝播する電波は、スリット板51によって摂動を受けて電波の位相定数が変化し、電波は誘電体線路54中の伝播方向Pとは異なる方向(Q3)に放射される。
【0129】
方向Q3は、誘電体線路54の中心軸を通り、地板53に平行な平面に垂直な面内で誘電体線路54の中心軸と角度θ3を成す方向である。なお、θ3>θ2である。
【0130】
図27は、第8の実施形態のアンテナ装置の電波放射特性のグラフであって、スリット板の周期(1つのスリットの前縁から隣接するスリットの前縁までの距離)の変化に対する電波の放射方向の変化を示す。
【0131】
横軸は電波の放射方向をとり、縦軸に電波の相対電力をとる。なお、電波の放射方向は、地板53に平行な平面に垂直な方向を零度としている。即ち、図27の電波の放射方向φは(θ−90°)として定義される。
【0132】
即ち、第8の実施形態においては、周期的構造体51をイメージ線路52のスペーサ55上で移動させることが相対位置変更手段13として機能する。
【0133】
なお、上記においては、スリット板51のスリットの間隔は滑らかな曲線状に変化するものとしているが、直線的に変化するものであっても、あるいは、階段状に変化するものであってもよい。
【0134】
即ち、第8の実施形態では、スリット板51を誘電体線路54と直交する方向に移動させることにより、誘電体線路54の中心軸方向にスリット板61の周期構造が変化するので、電波の放射方向を地板53に垂直な面内で、90度以上の広範囲に連続的に変更することが可能となる。
(第9の実施形態)
次に、本発明に係る第9の実施形態について説明する。
【0135】
即ち、第9の実施形態においては、伝播モード変換手段12は遅波伝播手段を伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する周期的構造体であり、相対位置変更手段13は伝播モード変更手段を遅波伝播手段に対して回転させる回転手段である。
【0136】
なお、スリット板51と誘電体線路54とは、スリット板51の周期的構造が誘電体線路54を伝播する電波に摂動を与える距離を隔てて配置されるものとする。
【0137】
即ち、第9の実施形態の周期的構造体61は、図28の上面図(a)および斜視図(b)に示すように、誘電体線路21内の電波の伝播方向(P)に構造が周期的に変化する略直方体板である。
【0138】
なお、周期的構造体61は、図3に示すように、誘電体基板にコルゲートが形成されたコルゲート板(a)であっても、誘電体基板に金属ストリップが貼り付けられたストリップ板(b)であっても、スリットが穿孔された金属板であるスリット板(c)であってもよい。また、第9の実施形態の遅波伝播手段11は、第8の実施形態と同じく、図23に示すイメージ線路52である。
【0139】
なお、遅波伝播手段は、第1の実施形態から第6の実施形態のように、筐体に格納された誘電体線路あるいは誘電体ロッドアンテナであってもよい。
【0140】
次に、図29および図30を参照して第9の実施形態に係るアンテナ装置の動作を説明する。なお、以下の実施形態においては、周期的構造体61はスリット板67であるとする。
【0141】
図29(a)は、スリット板61のスリットの長手方向が、誘電体線路54の軸方向と一致するようにスリット板61を回転した状態を示す。この状態にあっては、導波管56を伝播してきた電波は誘電体線路54の下端54Dから誘電体線路54に伝播する。誘電体線路54を伝播する電波はスリット板61による摂動を受けないので、電波は誘電体線路54を伝播し、上端54Uから誘電体線路54の軸方向(Q)に放射される。即ち、誘電体線路54は誘電体ロッドアンテナとして機能する。
【0142】
図29(b)は、スリット板61を図29(a)の状態から反時計方向にα1回転させた状態を示す。この状態では、誘電体線路54を伝播する電波は、スリット板57によって摂動を受けて電波の位相定数が変化し、電波は誘電体線路中の伝播方向Pとは異なる方向(Q1’)に放射される。
【0143】
方向Q1’は、誘電体線路54の中心軸を通り、地板53に平行な平面に垂直な面内で誘電体線路54の中心軸と角度β1を成す方向である。
【0144】
図30(a)は、スリット板61を図29(a)の状態から反時計方向にα2回転させた状態を示す。ただし、α2>α1である。この状態では、誘電体線路54を伝播する電波は、スリット板57によって摂動を受けて電波の位相定数が変化し、電波は誘電体線路中の伝播方向Pとは異なる方向(Q2’)に放射される。
【0145】
方向Q2’は、誘電体線路54の中心軸を通り、地板53に平行な平面に垂直な面内で誘電体線路54の中心軸とほぼ直角β2を成す方向である。なお、β2>β1である。
【0146】
図30(b)は、スリット板61を図29(a)の状態から反時計方向にα3回転させた状態を示す。ただし、α3>α2である。この状態では、誘電体線路54を伝播する電波は、スリット板57によって摂動を受けて電波の位相定数が変化し、電波は誘電体線路54中の伝播方向Pとは異なる方向(Q3’)に放射される。
【0147】
方向Q3’は、誘電体線路54の中心軸を通り、地板53に平行な平面に垂直な面内で誘電体線路54の中心軸と角度β3を成す方向である。なお、β3>β2である。
【0148】
即ち、第9の実施形態では、スリット板61を誘電体線路54で回転させることにより、誘電体線路54の中心軸に沿うスリット板61の周期構造を変更することができるので、電波の放射方向を地板53に垂直な面内で90度以上の広範囲に変更することが可能となる。
(第10の実施形態)
次に、本発明に係る第10の実施形態について説明する。
【0149】
即ち、第10の実施形態は、図31に示すように、遅波伝播手段11は地板70上に配置された誘電体円板線路71であり、伝播モード変換手段12は誘電体円板線路71に対向する面に誘電体円板線路71を伝播する電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する周期構造体が形成された円板72である。
【0150】
円板72の中心には操作棒721が取り付けられている。
【0151】
なお、本明細書において、誘電体円板線路71は中心から外側向かって同心円状に電波が伝播する円板状誘電体線路を意味する。
【0152】
そして、操作棒721は誘電体円板線路71を覆い、地板70に配置される中空円筒上のレドーム701の天板を貫通し、操作棒721を上下させることにより、円板72の位置を誘電体円板線路71に対して上下に変更することができるようになっている。
【0153】
円板72の位置を誘電体円板線路71に対して上下に変更することが相対位置変更手段13に相当するが、相対位置変更手段13は、円板72と誘電体円板線路71とを直接接触させるものであってもよい。
【0154】
地板70の下面からは、誘電体円板線路71に電波を給電する円形導波管702が延伸し、誘電体円板線路71上面には円形導波管702を円形導波管の伝播モードで伝播してきた電波の伝播モードを誘電体円板線路の伝播モードに変換する変換器711が埋め込まれている。
【0155】
なお、円板72には、誘電体円板線路71に対向する面に螺旋状に周期構造体が形成されている。
【0156】
円板72は、図32の斜視図に示すように、円状基板の誘電体円板線路71(図31)の対向面に螺旋状のコルゲートが形成されたコルゲート板(a)であっても、円状基板の誘電体円板線路71の対向面に金属ストリップを螺旋状に貼付したストリップ板(b)であっても、金属板を螺旋状に巻いた金属コイル(c)であってもよい。
【0157】
なお、円板72が金属コイル(c)である場合には、コイル形状を維持するための支持部材722(図34)を有していてもよい。
【0158】
次に、第10の実施形態の動作を説明する。
【0159】
図33は、円板72を誘電体円板線路71から離した状態での動作を説明する図である。
【0160】
図33(a)は、導波管702内の励振モードがTM01モードである電波の導波管702断面内の磁界を示す図であり、磁界は導波管702内で同心円状に分布し、磁界の振幅および位相は導波管断面の中心軸に対して軸対称となる。
【0161】
図33(b)は、導波管702内の励振モードがTM01モードである電波を誘電体円板線路71に給電した場合の誘電体円板線路71からの電波放射方向Qを示す斜視図である。導波管断面内の電磁界分布は軸対称であるから、電波は誘電体円板線路71の中心から外側に向かって地板70に平行な面内で全方位に等振幅、等位相で放射される。なお、電界の偏波は地板面に垂直な直線偏波となる。
【0162】
図34は、円板72を誘電体円板線路71に接近(あるいは接触)させた状態での動作を説明する図である。
【0163】
即ち、図34(a)に示すように円板72を誘電体円板線路71に接近させたとき、図34(c)の上面図に示すA点とB点との間で180度、A点とC点との間で360度の位相差がつくような周期構造体の周期とすれば、円板72を誘電体円板線路71に接近させたときには、図34(b)に示すように、電波は誘電体円板線路71の真上方向Q’に放射される。
【0164】
なお、図34(c)に示すρ方向に放射される電波の放射位相は、ρ方向がY軸に対して成す角度φに応じて変化するので、Q’方向に放射される電波は円偏波となる。
【0165】
即ち、第10の実施形態によれば、誘電体円板線路71と周期構造体が形成された円板72との間の相対距離を変更することにより、電波の放射方向を誘電体円板線路71の周方向と軸方向との間で90度変更することが可能となる。
(第11の実施形態)
次に、本発明に係る第11の実施形態について説明する。
【0166】
第11の実施形態は、伝播モード変換手段12が、誘電体円板線路71に対向する面に同心円状の構造体が形成された円板73である。その他の構成は、第10の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
【0167】
円板73は、図35の斜視図に示すように、円状基板の誘電体円板線路71の対向面に同心円状のコルゲートが形成されたコルゲート板(a)であっても、円状基板の誘電体円板線路71の対向面に金属ストリップを同心円状に貼付したストリップ板(b)であっても、同心円状金属板(c)であってもよい。
【0168】
なお、円板73が同心円状金属板(c)である場合には、円板73は形状を維持するための支持部材731(図36、図38)を有する。
【0169】
次に、第11の実施形態の動作を説明する。
【0170】
まず、第10の実施形態と同じく、導波管702内の励振モードがTM01モードである電波を誘電体円板線路71に給電した場合について説明する。
【0171】
円板73を誘電体円板線路71から離した状態での動作は、第10の実施形態と同じく磁界は同心円状に誘電体円板線路71内を伝播し、電波は誘電体円板線路71の中心から外側に向かって直線偏波で地板70に平行な面内で全方位に放射される。
【0172】
図36は、円板73を誘電体円板線路71に接近(あるいは接触)させた状態での動作を説明する図である。
【0173】
図36(a)に示すように円板73を誘電体円板線路71に接近させた場合は、円板73の中心軸を中心として電磁界の位相が反転するので、図36(b)に示すように、電波は誘電体円板線路71の真上方向Q’に中心がヌルとなるコニカルビームとして放射される。
【0174】
この場合、誘電体円板線路71に電波を供給する給電回路に、回転電磁界を励磁することのできる回路(例えば、カム型位相器[ラジアル導波回路内回転電界励振用給電回路:住吉秀夫他、1993年電子情報通信学会春季大会])を配置することにより、誘電体円板線路71の中心軸に沿って円偏波で電波を放射することも可能である。
【0175】
次に、導波管702内の励振モードがTE11モードである電波を誘電体円板線路71に給電した場合について説明する。
【0176】
図37は、円板(同心円金属板)73を誘電体円板線路71から離した状態での動作を説明する図である。
【0177】
図37(a)は、導波管702内の励振モードがTE11モードである電波の導波管702断面内の電界を示す図であり、電解強度は導波管702の中心部において偏波方向で最も大きくなり、導波管702の偏波方向からその直交する方向に離れるに従って小さくなる。
【0178】
図37(b)は、導波管702内の励振モードがTE11モードである電波を誘電体円板線路71に給電した場合の誘電体円板線路71からの電波放射特性(2点鎖線)を示す図であって、電波は、導波管702の偏波方向にピークを有し、導波管702の偏波方向と直交する方向でヌルとなる8字型の指向性で、直線偏波で誘電体円板線路71と平行な面内に放射される。
【0179】
図38は、円板73を誘電体円板線路71に接近(接触)させた状態での動作を説明する図である。
【0180】
図38(a)に示すように、円板73を誘電体円板線路71に接近させると、図38(b)に示すように、電波は誘電体円板線路71の真上方向Q’に直線偏波ビームとして放射される。
【0181】
即ち、第11の実施形態によれば、誘電体円板線路71と周期構造体が形成された円板73との間の相対距離を変更することにより、電波の放射方向を誘電体円板線路71の周方向と軸方向との間で90度変更することが可能となる。
【0182】
特に、第11の実施形態にあっては、導波管702内の電波の励振モードはTM01モードであっても、TE11モードであってもよい。
(第12の実施形態)
次に、本発明に係る第12の実施形態について説明する。
【0183】
第10の実施形態および第11の実施形態においては、伝播モード変換手段12である円板72(73)の位置を操作棒721で操作しているが、円板72(73)を導波管702に沿って動かすことにより、操作棒721およびレドーム701を省略して、構造を簡略化することができる。
【0184】
図39は、第12の実施形態の構造を示す断面図(a)および斜視図(b)であって、遅波伝播手段11は導波管702が接続された誘電体円板線路71であり、伝播モード変換手段12は導波管702に沿って移動可能であり、誘電体円板線路71に対向する面に誘電体円板線路71を伝播する電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する周期構造体が形成された円板74である。
【0185】
誘電体円板線路71上面には、円形導波管702を円形導波管の伝播モードで伝播してきた電波の伝播モードを誘電体円板線路の伝播モードに変換する変換器711が埋め込まれている。
【0186】
円板74は、誘電体円板線路71の対向面に螺旋状の周期構造体が形成された円板72であっても、同心円状の周期構造体が形成された円板73であってもよい。
【0187】
なお、円板74が同心円状円板73である場合には、形状を維持するための支持部材731(図36、図38)を有する。また、円板74が螺旋状周期構造体72である場合にも、形状を維持するための支持部材741(図39、図40)を有していてもよい。
【0188】
第12の実施形態の動作は、第11の実施形態または第12の実施形態の動作と同一であるので、詳細な説明は省略するが、円板74と誘電体円板線路71とが離れている場合は、電波は、導波管02内をTM01モードで励振したときは誘電体円板線路71の全周方向に放射され、TE11モードで励振したときは8字形の指向性で放射される。
【0189】
図40に示すように、円板74を誘電体円板線路71に接近(接触)させた場合は、電波は、導波管702内の励振モードがTM01モードであるかTE11モードであるかに係らず、円板74の下方には中空のスペーサ703を介して地板70を配置したときは、電波は誘電体円板線路71の上方に放射される。
【0190】
一方、地板70を設置しない場合は、電波は誘電体円板線路71の上方および下方に放射される。なお、地板70を設置しない場合は、導波管702内の励振モードは、TE01であってもよい。
【0191】
即ち、第12の実施形態によれば、誘電体円板線路71と周期構造体が形成された円板74との間の相対距離を変更することにより、電波の放射方向を誘電体円板線路71の周方向と軸方向との間で90度広範囲に変更することが可能となる。
【0192】
なお、本発明に係るアンテナ装置をアレイ配置すること、または、誘電体ロッドアンテナの幅を大きくすることにより、一層高利得なアンテナを構成することもできる。
【0193】
また、本発明に係るアンテナ装置は受信アンテナとして使用することができることも明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0194】
以上のように、本発明に係るアンテナ装置は、簡易な構造で電波放射特性を広範囲に変更できる、あるいは、簡易な構造で電波放射特性を広範囲かつ連続して変更できるという効果を有し、アンテナとして有効である。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】本発明に係るアンテナ装置の基本ブロック図
【図2】本発明に係るアンテナ装置の第1の実施形態の斜視図
【図3】本発明に係るアンテナ装置で使用される伝播モード変換手段の斜視図
【図4】本発明に係るアンテナ装置の第1の実施形態の分解斜視図
【図5】本発明に係るアンテナ装置の第1の実施形態の上面図および水平断面図
【図6】本発明に係るアンテナ装置の第2の実施形態の斜視図
【図7】本発明に係るアンテナ装置の第2の実施形態の分解斜視図
【図8】本発明に係るアンテナ装置の第2の実施形態の上面図および水平断面図
【図9】本発明に係るアンテナ装置の第3の実施形態の上面図
【図10】本発明に係るアンテナ装置の第3の実施形態の水平断面図
【図11】本発明に係るアンテナ装置の第4の実施形態の上面図
【図12】本発明に係るアンテナ装置の第4の実施形態の水平断面図
【図13】本発明に係るアンテナ装置の第4の実施形態の電波放射特性を示すグラフ
【図14】本発明に係るアンテナ装置の第5の実施形態の斜視図
【図15】本発明に係るアンテナ装置の第5の実施形態の水平断面図
【図16】本発明に係るアンテナ装置の第6の実施形態の斜視図
【図17】本発明に係るアンテナ装置の使用状態の一例を示す図
【図18】イメージ路線を使用した本発明に係るアンテナ装置の斜視図
【図19】本発明に係るアンテナ装置の第8の実施形態の伝播モード変換手段の上面図および斜視図
【図20】本発明に係るアンテナ装置の第8の実施形態のコルゲート板の断面図
【図21】本発明に係るアンテナ装置の第8の実施形態のストリップ板の断面図
【図22】本発明に係るアンテナ装置の第8の実施形態のスリット板の断面図
【図23】本発明に係るアンテナ装置の第8の実施形態のイメージ線路の斜視図
【図24】本発明に係るアンテナ装置の第8の実施形態の断面図
【図25】本発明に係るアンテナ装置の第8の実施形態の斜視図(1/2)
【図26】本発明に係るアンテナ装置の第8の実施形態の斜視図(2/2)
【図27】本発明に係るアンテナ装置の第8の実施形態の電波放射特性を示すグラフ
【図28】本発明に係るアンテナ装置の第9の実施形態の伝播モード変換手段の上面図および斜視図
【図29】本発明に係るアンテナ装置の第9の実施形態の斜視図(1/2)
【図30】本発明に係るアンテナ装置の第9の実施形態の斜視図(2/2)
【図31】本発明に係るアンテナ装置の第10の実施形態の断面図および斜視図
【図32】本発明に係るアンテナ装置の第10の実施形態の円板の斜視図
【図33】本発明に係るアンテナ装置の第10の実施形態の動作を説明する斜視図(1/2)
【図34】本発明に係るアンテナ装置の第10の実施形態の動作を説明する斜視図(2/2)
【図35】本発明に係るアンテナ装置の第11の実施形態の円板の斜視図
【図36】本発明に係るアンテナ装置の第11の実施形態の動作を説明する斜視図(1/3)
【図37】本発明に係るアンテナ装置の第11の実施形態の動作を説明する斜視図(2/3)
【図38】本発明に係るアンテナ装置の第11の実施形態の動作を説明する斜視図(2/3)
【図39】本発明に係るアンテナ装置の第12の実施形態の断面図および斜視図(1/2)
【図40】本発明に係るアンテナ装置の第12の実施形態の断面図および斜視図(2/2)
【図41】従来の誘電体ロッドアンテナ装置の斜視図
【図42】従来の漏れ波アンテナ装置の斜視図
【符号の説明】
【0196】
21 誘電体線路
222、227 コルゲート板
23 中空筐体
231 底板
232、233 側板
234 天板
235 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を遅波モードで伝播する遅波伝播手段と、
前記遅波伝播手段を伝播する前記電磁波の伝播モードを、遅波モードから速波モードに変換する伝播モード変換手段と、
前記伝播モード変換手段と前記遅波伝播手段の相対位置を変更する相対位置変更手段とを備えるアンテナ装置。
【請求項2】
前記遅波伝播手段が、誘電体線路であり、
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体線路を伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する少なくとも1つの周期的構造体であり、
前記相対位置変更手段が、前記周期的構造体を前記誘電体線路に近接させる近接手段である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記遅波伝播手段が、誘電体ロッドアンテナであり、
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体ロッドアンテナを伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する少なくとも1つの周期的構造体であり、
前記相対位置変更手段が、前記周期的構造体を前記誘電体ロッドアンテナに近接させる近接手段である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記遅波伝播手段が、誘電体ロッドアンテナであり、
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体ロッドアンテナを伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化し、中空部を前記誘電体ロッドアンテナが貫通する中空周期的構造体であり、
前記相対位置変更手段が、前記中空体を前記誘電体ロッドアンテナに沿って移動させる中空体移動手段である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記遅波伝播手段が、誘電体線路であり、
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体線路中を伝播する前記電磁波の伝播方向に構造が周期的に変化し、かつ、周期が前記伝播方向と異なる方向に変化する周期的構造体であり、
前記相対位置変更手段が、前記周期的構造体を前記誘電体線路の電波の伝播方向と相違する方向に移動させる移動手段である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記遅波伝播手段が、誘電体ロッドアンテナであり、
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体ロッドアンテナ中を伝播する前記電磁波の伝播方向に構造が周期的に変化し、かつ、周期が前記伝播方向と異なる方向に変化する周期的構造体であり、
前記相対位置変更手段が、前記周期的構造体を前記誘電体ロッドアンテナの電波の伝播方向と相違する方向に移動させる移動手段である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記遅波伝播手段が、誘電体線路であり、
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体線路を伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する周期的構造体であり、
前記相対位置変更手段が、前記伝播モード変更手段を前記誘電体線路に対して回転させる回転手段である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記遅波伝播手段が、誘電体ロッドアンテナであり、
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体ロッドアンテナを伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する周期的構造体であり、
前記相対位置変更手段が、前記伝播モード変更手段を前記誘電体ロッドアンテナに対して回転させる回転手段である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記遅波伝播手段が、誘電体円板線路であり、
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体円板線路に対向する面に前記誘電体円板線路を伝播する前記電磁波の伝播方向に周期的に構造が変化する周期構造体が形成された円板であり、
前記相対位置変更手段が、前記円板と前記誘電体円板線路との相対位置を変更する円板位置変更手段である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体円板線路に対向する面に螺旋状の構造体が形成された円板である請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記伝播モード変換手段が、前記誘電体円板線路に対向する面に同心円状の構造体が形成された円板である請求項9に記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−166404(P2006−166404A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228031(P2005−228031)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】