説明

インクジェット装置の制御方法およびインクジェット装置

【課題】描画に伴って変動する供給流路の圧力損失を吸収して、機能液滴吐出ヘッドへの機能液の供給圧力を精度良く一定にすることができるインクジェット装置の制御方法およびインクジェット装置を提供することである。
【解決手段】 本発明の液滴吐出装置1の制御方法は、インクジェット方式で描画を行なう機能液滴吐出ヘッド14の液滴吐出に伴い、下流側機能液流路48を介してサブタンク46から機能液滴吐出ヘッド14に機能液を供給する液滴吐出装置1の制御方法であって、機能液滴吐出ヘッド14の液滴吐出流量の増減に伴って変動する下流側機能液流路48の圧力損失の影響を排除するように、サブタンク46に導入する機能液供給圧力を可変することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式で描画を行なう機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出に伴い、供給流路を介して機能液タンクから機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給するインクジェット装置の制御方法およびインクジェット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のインクジェット装置の制御方法として、所定の高さ位置に設置したサブタンク(機能液タンク)からの自然水頭を利用し、機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給するものが知られている(特許文献1参照)。
この場合、圧力送液装置によってメインタンクからサブタンクに送液された機能液は、サブタンクにより圧力的に縁切りされたあと、機能液的吐出ヘッドの液滴吐出(描画)に伴うポンプ作用により、チューブを介してサブタンクから機能液滴吐出ヘッドに重力供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−320302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような機能液の供給方法では、機能液滴吐出ヘッドの複数のノズルから機能液滴が選択的に吐出されて描画が行なわれるため、描画内容によりチューブを流れる機能液流量が刻々変化し、同時にチューブによる圧力損失が変化する。すなわち、液滴吐出流量の増減に伴って、チューブの圧力損失が変動することにより、機能液滴吐出ヘッドへの供給圧力が変化し、設定値通りに機能液が吐出されないという問題があった。
【0005】
本発明は、描画に伴って変動する供給流路の圧力損失を吸収して、機能液滴吐出ヘッドへの機能液の供給圧力を精度良く一定にすることができるインクジェット装置の制御方法およびインクジェット装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクジェット装置の制御方法は、インクジェット方式で描画を行なう機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出に伴い、供給流路を介して機能液タンクから機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給するインクジェット装置の制御方法であって、機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出流量の増減に伴って変動する供給流路の圧力損失の影響を排除するように、機能液タンクに導入する機能液供給圧力を可変することを特徴とする。
【0007】
本発明のインクジェット装置は、インクジェット方式で描画を行なう機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出に伴って、機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、機能液タンクと機能液滴吐出ヘッドとを接続する機能液の供給流路と、機能液タンク内の機能液供給圧力を調整する供給圧力調整手段と、供給圧力調整手段を制御し、機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出流量の増減に伴って変動する供給流路の圧力損失の影響を排除するように、機能液供給圧力を可変する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、例えば、機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出流量が多くなる場合には、供給圧力調整手段によって、機能液タンク内に導入する機能液供給圧力を高く調整することで、供給流路の圧力損失の影響を排除する。また、機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出流量が少なくなる場合には、供給圧力調整手段によって、機能液タンク内に導入する機能液供給圧力を低く調整することで、供給流路の圧力損失の影響を排除する。すなわち、供給圧力調整手段によって、機能液タンク内に導入する機能液供給圧力を調整することにより、液滴吐出により生じる供給流路の圧力損失の影響を排除することができるため、機能液滴吐出ヘッドには、一定圧力で機能液が供給され、設定値通りに機能液を吐出することができる。
【0009】
この場合、液滴吐出流量は、機能液滴吐出ヘッドを駆動するための描画データに基づいて、算出されることが、好ましい。
【0010】
この場合、制御手段は、機能液滴吐出ヘッドを駆動するための描画データに基づいて液滴吐出流量を算出する吐出量算出手段を、有していることが、好ましい。
【0011】
これらの構成によれば、機能液の液滴吐出流量は、描画データに基づいて算出される(吐出量算出手段)ため、算出された液滴吐出流量に基づいて機能液タンクに導入する機能液供給圧力を調整すれば、制御上の応答性が問題となることがなく、高精度に機能液滴吐出ヘッドへの供給圧力を制御することができる。
【0012】
この場合、供給圧力調整手段は、一端を機能液タンクの上部空間に連通すると共に他端を圧縮気体源に連通する圧縮気体流路と、圧縮気体流路に介設されたタンク内圧力調整手段と、を有していることが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、タンク内圧力調整手段を制御することで、機能液タンク内の内部圧力を簡単に制御することができ、機能液滴吐出ヘッドへの供給圧力を簡単且つ精度良く制御することができる。なお、機能液滴吐出ヘッドに対し機能液タンクが高い位置に設けられている場合には、圧縮気体を圧力調整しエジェクター等を用いて機能液タンクに負圧を供給し、機能液滴吐出ヘッドに対し機能液タンクが低い位置に設けられている場合には、圧縮気体を減圧調整して機能液タンクに正圧を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】液滴吐出装置の斜視図である。
【図2】液滴吐出装置の平面図である。
【図3】液滴吐出装置の側面図である。
【図4】キャリッジの外観斜視図である。
【図5】機能液滴吐出ヘッドの表裏外観斜視図である。
【図6】機能液供給装置の模式図である。
【図7】サブタンク廻りの模式図である。
【図8】圧力損失および機能液供給圧力の関係を示したグラフである。
【図9】機能液供給圧力を調整するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置(インクジェット装置)の制御方法および液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置の制御方法は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドによる液滴吐出に伴い変動する下流側機能液流路(供給流路)の圧力損失の影響を排除して、前記機能液滴吐出ヘッドに機能液を一定圧力で供給する方法である。また、この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルターや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。そこで、まず、液滴吐出装置について説明する。
【0016】
図1ないし図3に示すように、液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース11上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在してワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル2と、複数本の支柱12を介してX軸テーブル2を跨ぐように架け渡された1対のY軸支持ベース13上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル3と、Y軸テーブル3に移動自在に吊設され、複数(12個)の機能液滴吐出ヘッド14が搭載された13個のキャリッジユニット4と、から構成されている。さらに、液滴吐出装置1は、これらの装置を温度および湿度が管理された雰囲気内に収容するチャンバ5と、チャンバ5を貫通して、機能液滴吐出ヘッド14に機能液を供給する機能液供給ユニット6と、を備えている。また、チャンバ5の側壁の一部には、機能液を貯留するメインタンク49等を収納するタンクキャビネット7が設けられている。液滴吐出装置1は、X軸テーブル2およびY軸テーブル3の駆動と同期して、描画データに基づいて機能液滴吐出ヘッド14を吐出駆動させることにより、機能液供給ユニット6から供給されたR・G・B3色の機能液滴を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンを描画する。
【0017】
また、液滴吐出装置1は、フラッシングユニット15、吸引ユニット16、ワイピングユニット17および吐出性能検査ユニット18から成るメンテナンス装置8を備えており、これらユニットを機能液滴吐出ヘッド14の保守に供して、機能液滴吐出ヘッド14の機能維持・機能回復を図るようになっている。本実施形態の液滴吐出装置1では、X軸テーブル2とY軸テーブル3とが交わる領域にキャリッジユニット4を臨ませてワークWの描画を行い、Y軸テーブル3とメンテナンス装置8(吸引ユニット16、ワイピングユニット17)が交わる領域にキャリッジユニット4を臨ませて、機能液滴吐出ヘッド14の機能維持・機能回復を行う。
【0018】
図2および図3に示すように、X軸テーブル2は、ワークWを吸着セットするセットテーブル21と、セットテーブル21をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第1スライダー22と、上記したフラッシングユニット15および吐出性能検査ユニット18をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第2スライダー23と、X軸方向に延在し、X軸第1スライダー22およびX軸第2スライダー23をX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。
【0019】
Y軸テーブル3は、13個のキャリッジユニット4をそれぞれ吊設した13個のブリッジプレート24と、各ブリッジプレート24を両持ちで支持する13組のY軸スライダー(図示省略)と、一対のY軸支持ベース13上に設置され、ブリッジプレート24をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。また、Y軸テーブル3は、各キャリッジユニット4を介して描画時に機能液滴吐出ヘッド14を副走査するほか、機能液滴吐出ヘッド14を吸引ユニット16およびワイピングユニット17に臨ませる。この場合、各キャリッジユニット4を独立させて個別に移動させることも可能であるし、13個のキャリッジユニット4を一体として移動させることも可能である。
【0020】
図4に示すように、各キャリッジユニット4は、R・G・Bの3色、各4個(計12個)の機能液滴吐出ヘッド14と、12個の機能液滴吐出ヘッド14を6個ずつ2群に分けて支持するヘッドプレート25と、から成るヘッドユニット26を備えている。また、各キャリッジユニット4は、ヘッドユニット26をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構28と、θ回転機構28を介して、ヘッドユニット26をブリッジプレート24に支持させる吊設部材29(共に図3参照)と、を備えている。加えて、各キャリッジユニット4には、機能液を一時的に貯留するサブタンク46(機能液タンク:図1参照)が配設されており(実際には、ブリッジプレート24上に配設)、上記した描画データに基づいて、サブタンク46内に導入する圧縮窒素ガスの圧力(機能液供給圧力)を調整することにより、各機能液滴吐出ヘッド14に対して一定の負圧で機能液が供給されるようになっている(詳細は、後述する。)。
【0021】
図5に示すように、機能液滴吐出ヘッド14は、いわゆる2連のインクジェットヘッドであり、2連の接続針34を有する機能液導入部31と、機能液導入部31に連なる2連のヘッド基板32と、ヘッド基板32に連なり機能液を吐出するヘッド本体33と、を備えている(図5(a)参照)。機能液導入部31は、ノズル列39の数に対応した2連の接続針34を有しており、サブタンク46からの機能液を、後述する下流側機能液流路48を介して供給されるようになっている。また、ヘッド本体33は、ピエゾ素子等で構成される2連のキャビティー35と、複数の吐出ノズル37が形成されたノズル面38を有するノズルプレート36と、を有している。ノズルプレート36のノズル面38に形成された多数の吐出ノズル37は、相互に平行且つ半ノズルピッチ位置ズレして列設された2列のノズル列39を構成しており、各ノズル列39は、等ピッチで並べた180個の吐出ノズル37で構成されている(図5(b)参照)。機能液滴吐出ヘッド14を吐出駆動すると、キャビティー35のポンプ作用により、機能液滴が吐出ノズル37から、描画データに基づいて描画パターンとなるように吐出される。すなわち、各機能液滴吐出ヘッド14から吐出される機能液吐出量は、描画データにより刻々と変化する。
【0022】
図6に示すように、機能液供給ユニット6は、上記3色に対応した3組の機能液供給装置41を備えている。また、機能液供給ユニット6は、メインタンク49およびサブタンク46等に制御用の圧縮窒素ガスを供給する窒素ガス供給設備(気体供給源)42と、各種開閉弁に制御用の圧縮エアーを供給する圧縮エアー供給設備43と、各部からガス排気を行うためのガス排気設備44と、を備えている。3組の機能液供給装置41は、それぞれR・G・B3色に対応した機能液滴吐出ヘッド14に接続されており、これにより、各色の機能液滴吐出ヘッド14には、対応する色の機能液が供給される。
【0023】
各機能液供給装置41は、機能液の供給源を構成する2つのメインタンク49,49を有するタンクユニット45と、各キャリッジユニット4に対応して設けた13個のサブタンク46と、タンクユニット45および各サブタンク46を接続する上流側機能液流路47と、各サブタンク46および各機能液滴吐出ヘッド14を接続する下流側機能液流路(供給流路)48と、を備えている。各メインタンク49内の機能液は、これに接続した窒素ガス供給設備42からの圧縮窒素ガスにより加圧され、上流側機能液流路47を介して13個のサブタンク46に選択的に供給される。その際、各種開閉弁は、圧縮エアー供給設備43からの圧縮エアーにより開閉制御される。また、各サブタンク46は、ガス排気設備44を介して大気開放されて機能液を受容する。そして、各サブタンク46の機能液は、サブタンク46内に導入する圧縮窒素ガスの圧力を調整することで、一定圧力で機能液滴吐出ヘッド14に供給される。
【0024】
上流側機能液流路47は、上流端をタンクユニット45に接続した主上流側流路51と、上流端を主上流側流路51に接続した13分岐流路52と、上流端を13分岐流路52に接続し、下流端をサブタンク46に接続した13本の枝流路53と、から構成されている。タンクユニット45から供給された機能液は、13分岐流路52により13分岐して、各サブタンク46に供給される。下流側機能液流路48は、上流端をサブタンク46に接続した主下流側流路54と、上流端を主下流側流路54に接続した4分岐流路55と、上流側を4分岐流路55に接続し、下流端を機能液滴吐出ヘッド14に接続した4本の個別流路56と、から構成されている。サブタンク46からの機能液は、4分岐流路55により4分岐して、各機能液滴吐出ヘッド14に供給される。
【0025】
図7に示すように、サブタンク46は、機能液を一時的に貯留するサブタンク本体61と、サブタンク本体61に落し蓋様に浮かした蓋体フロート62と、サブタンク本体61の側方に接続された透明な液柱パイプ63と、液柱パイプ63に臨み、貯留された機能液の液位を検出する液位検出機構64と、サブタンク本体61の側方下部に配設された液圧センサー65と、を備えている。また、サブタンク46には、窒素ガス供給設備42およびガス排気設備44が、通気用チューブ66を介して接続されており、サブタンク本体61内部を、メインタンク49からの送液時における大気開放および機能液供給時における圧力制御可能に構成されている。
【0026】
通気用チューブ66は、一端をサブタンク本体61の上部空間に連通した主通気用チューブ71と、主通気用チューブ71に連なり2分岐継手74を介して、窒素ガス供給設備42に連通した供給チューブ72と、ガス排気設備44に連通した排気チューブ73と、から構成されている。排気チューブ73には排気開閉弁75が介設されており、供給チューブ72には供給開閉弁76と、窒素ガス供給設備42に接続したエジェクター77と、エジェクター77に送られる圧縮窒素ガス量を調整するレギュレーター(タンク内圧力調整手段)78と、が介設されている。実施形態のものでは、機能液滴吐出ヘッド14に対しサブタンク46が十分に高い位置に設置されているため、主にレギュレーター78で圧力調整された窒素ガスを1次側流体とするエジェクター77を介して、2次側、すなわち負圧をサブタンク46に印加することになる。また、排気開閉弁75、供給開閉弁76およびレギュレーター78は、液滴吐出装置1全体を制御する制御装置79に接続されており、この制御装置79により制御されるようになっている。なお、請求項にいう圧縮気体流路は、主通気用チューブ71および供給チューブ72から構成されている。
【0027】
サブタンク46から機能液滴吐出ヘッド14へ機能液を供給する際には、排気開閉弁75を閉弁すると共に、供給開閉弁76を開弁して、窒素ガス供給設備42からの圧縮窒素ガス量をレギュレーター78により調整することで、機能液滴吐出ヘッド14による液滴吐出に伴って下流側機能液流路48に生じる圧力損失の影響を排除するようにしている。なお、請求項にいう供給圧力調整手段は、液圧センサー65と、エジェクター77と、レギュレーター78と、から構成されている。
【0028】
制御装置79は、図8および図9に示すように、上記した描画データに基づいて、圧縮窒素ガスの圧力を調整することで、サブタンク46に導入する負圧を調整する。具体的には、制御装置79は、描画データから各機能液滴吐出ヘッド14が吐出する機能液の液滴吐出流量を算出する(吐出量算出手段)(S1)。次に、算出した液滴吐出流量に対応する下流側機能液流路48(サブタンク46から各機能液滴吐出ヘッド14(キャビティー35)に至るまでの流路(チューブおよび継手を含む))における圧力損失(図8実線参照)を算出する(S2)。そして、この圧力損失の影響を排除するために必要なサブタンク46内の調整圧力(S3)を求め、サブタンク46内への調整圧力を加味した導入圧力(図8二点鎖線参照)を算出する(S4)。すなわち、制御装置79は、描画データの進行に同期させ、算出した導入圧力となるようにレギュレーター78を調整する。上記のように、レギュレーター78の調整は、サブタンク46に印加する導入圧力の負圧の強弱調整となる(S5)。この工程を、描画データが終了するまで経時的に連続して行う(S6)。これにより、機能液滴吐出ヘッド14に一定圧力(図8破線参照)で機能液が供給される。すなわち、制御装置79は、描画データに基づいて、機能液滴吐出ヘッド14の非駆動時における理想の供給圧力(図8破線参照)が、吐出駆動している機能液滴吐出ヘッド14に対して常に印加されるように、サブタンク46に導入する圧縮窒素ガスの圧力を調整する。
【0029】
さらに、液圧センサー65により調整後のサブタンク46内の圧力を検出して、レギュレーター78をフィードバック制御(補正)するようにしてもよい(S7およびS8)。これにより、さらに高精度に調整圧力を調整することができる(なお、本実施形態のものでは、機能液滴吐出ヘッド14への理想の供給圧力が−25mmHgとなるように調整されている。また、サブタンク46に導入する圧縮窒素ガス圧は、予め描画データに基づいて制御テーブルを作成しておき、機能液滴吐出ヘッド14の吐出駆動に合わせて制御テーブルに従って調整するようにしてもよい。
【0030】
以上の構成によれば、サブタンク46に導入する圧縮窒素ガスの圧力を調整することにより、下流側機能液流路48の圧力損失の影響を排除することができるため、機能液滴吐出ヘッド14には、一定圧力で機能液が供給され、設定値通りに機能液を吐出することができる。また、液滴吐出装置1においては、高精度に設定値通りに機能液が吐出されるため、描画精度を向上させることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、サブタンク46が機能液滴吐出ヘッド14より十分に高い位置に設けられているが、機能液滴吐出ヘッド14に対してサブタンク46が低い位置に設けられている場合には、エジェクター77を省略し且つ圧縮窒素ガスをサブタンク46に直接導入し、レギュレーター78によりサブタンク46内の圧力を調整することで機能液滴吐出ヘッド14への供給圧力を調整する。係る場合における請求項の供給圧力調整手段は、レギュレーター78により構成されており、正圧をサブタンク46に印加することになる。
【0032】
また、本発明の供給圧力調整手段を、サブタンク本体61の上部空間に接続された小型のシリンダー機構で構成してもよい(図示省略)。係る場合には、シリンダーに対してピストンを、制御装置79に接続されたアクチュエーターにより進退させることで、サブタンク46内の圧力を調整する(圧力損失を排除)。
【符号の説明】
【0033】
1…液滴吐出装置 14…機能液滴吐出ヘッド 46…サブタンク 48…下流側機能液流路 65…液圧センサー 71…主通気用チューブ 72…供給チューブ 77…エジェクター 78…レギュレーター 79…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式で描画を行なう機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出に伴い、供給流路を介して機能液タンクから前記機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給するインクジェット装置の制御方法であって、
前記機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出流量の増減に伴って変動する前記供給流路の圧力損失の影響を排除するように、前記機能液タンクに導入する機能液供給圧力を可変することを特徴とするインクジェット装置の制御方法。
【請求項2】
前記液滴吐出流量は、前記機能液滴吐出ヘッドを駆動するための描画データに基づいて、算出されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット装置の制御方法。
【請求項3】
インクジェット方式で描画を行なう機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出に伴って、前記機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、
前記機能液タンクと前記機能液滴吐出ヘッドとを接続する前記機能液の供給流路と、
前記機能液タンク内の機能液供給圧力を調整する供給圧力調整手段と、
前記供給圧力調整手段を制御し、前記機能液滴吐出ヘッドの液滴吐出流量の増減に伴って変動する前記供給流路の圧力損失の影響を排除するように、前記機能液供給圧力を可変する制御手段と、を備えたことを特徴とするインクジェット装置。
【請求項4】
前記供給圧力調整手段は、一端を機能液タンクの上部空間に連通すると共に他端を圧縮気体源に連通する圧縮気体流路と、
前記圧縮気体流路に介設されたタンク内圧力調整手段と、を有していることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記機能液滴吐出ヘッドを駆動するための描画データに基づいて前記液滴吐出流量を算出する吐出量算出手段を、有していることを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−274211(P2010−274211A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130205(P2009−130205)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】