説明

インクジェット記録装置

【課題】画像記録時間を短縮でき、トレイの移動の有無に拘わらず画像記録範囲の位置精度を高く保つことができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】制御部は、カウンタ101のカウント値がメモリ103に記憶された第1閾値未満であると判断すると(S1,Y)、シートの端位置を検知する動作を行う(S2)。制御部は、検知したシートの端位置を第1記憶領域104に記憶させる。制御部は、シートの端位置により印刷開始位置を決定し(S4)、決定した印刷開始位置へキャリッジを移動させ(S5)、画像記録動作を行う(S6)。制御部は、カウンタ101のカウント値が第1閾値未満でないと判断すると(S1,N)、以前に検知したシートの端位置により印刷開始位置を決定する(S8)。また、給紙カセットが移動したと検知されると、リセット部102がカウンタ101のカウント値をリセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに載置されたシートを搬送して画像記録を行う際に、シートに対して画像記録範囲の位置を決めるインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トレイに載置されたシートを給送部により送り出して搬送ローラにより搬送し、プラテン上に到達したシートに記録ヘッドからインク滴を吐出して画像記録を行うインクジェット記録装置が提供されている。この種のインクジェット記録装置には、シート幅方向へ往復移動可能に印字ヘッド(記録ヘッド)が設けられている。また、印字ヘッドには、用紙サイズを検出する用紙幅センサが設けられているものがある(特許文献1参照)。
【0003】
インクジェット記録装置においては、例えばトレイに載置された際にシートの幅方向の位置が適切な位置に載置されていなかったり、搬送中にシートが斜行することで、プラテン上におけるシートの用紙幅方向の位置がシートごとに異なることがある。そうすると、画像記録範囲の位置が用紙幅方向においてシートごとに異なってしまい、用紙の適切な位置に画像が記録されない虞がある。そこで、特許文献1に記載された用紙幅センサを用いて、プラテン上におけるシートの用紙幅方向の位置を検出し、検出結果に基づいて用紙幅方向における画像記録範囲の位置を決めることが考えられる。特許文献1に記載された画像形成装置は、用紙幅センサにより検出した用紙サイズにより、画像記録範囲を決めて印字ヘッドを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−224521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のインクジェット記録装置においては、シートの幅方向の位置を検出する際は、プラテン上におけるシートの幅方向の両端を横切るようにして実行される。このシートの幅方向の位置を検出する動作は、画像を記録する動作とは別の動作である。この場合、トレイに載置されたシートを送り出してから、送り出されたシートに対する画像の記録が完了するまでの画像記録時間が、画像を記録する動作のみの時間に加え、幅方向の位置を検知する動作の時間を要する。したがって、画像記録時間を必要以上に要することがある。
【0006】
そこで、特許文献1に記載された画像形成装置では、例えば、電源がオンされた後に最初に画像が記録される用紙のみ用紙サイズを検出する。そして、その後に画像が記録される用紙においては、用紙サイズが変更されないものとして、用紙サイズを検出しない。つまり、電源がオンされた後の最初の1枚目のみシートの位置を用紙幅センサにより検出し、2枚目以降のシートについては、1枚目のシートにおける用紙幅センサの検知結果を用いて画像記録範囲の位置を決める。そうすると、画像記録範囲の位置精度の低下を抑えながら、画像記録時間を短縮することができる。
【0007】
ところで、インクジェット記録装置には、トレイにシートを補給し易いようにトレイが移動可能に本体筐体に設けられたものがある。トレイが移動されると、移動時のトレイに対する振動によってトレイ内のシートの位置が変化する。この場合、トレイにシートが補給されると、シートの補給前とシートの補給後、つまり、トレイの移動前と移動後とで、プラテン上におけるシートの用紙幅方向の位置ずれの傾向が変化し、画像記録範囲の位置精度を高く保つことができなくなる。
【0008】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像記録時間を短縮でき、且つトレイの移動の有無に拘わらず画像記録範囲の位置精度を高く保つことができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明のインクジェット記録装置は、シートに当接して搬送路へ給送する給送部と、積層されたシートが載置され、最上位置のシートが上記給送部によって給送可能な第1位置及び最上位置のシートが上記給送部によって給送不能な第2位置に移動可能なトレイと、上記給送部により上記搬送路へ送り出されたシートを搬送する搬送ローラと、上記搬送ローラにより搬送されるシートを支持する支持面が設けられたプラテンと、上記搬送ローラによるシートの搬送向きに直交する第1方向へ往復移動可能であり、上記プラテンを搬送されるシートに対して当該プラテンと対向して配置されたキャリッジと、上記キャリッジに搭載され、上記支持面に支持されたシートにインク滴を吐出する記録ヘッドと、上記キャリッジの移動により、上記第1方向への移動において上記支持面に支持されたシートの上記第1方向における端を検知する第1検知手段と、上記トレイが上記第2位置から上記第1位置へ移動したこと、または上記第1位置から第2位置へ移動したことを検知する第2検知手段と、上記第1検知手段によって検知される上記端の位置を記憶する記憶手段と、画像が記録されたシートの枚数をカウントするカウント手段と、上記第2検知手段によって検知がされたら上記カウント手段のカウント値をリセットするリセット手段と、上記リセット手段による上記カウント値のリセット後、上記カウント手段のカウント値が第1閾値未満であることを条件として、上記第1検知手段に上記端の検知を行わせ、検知された上記端を上記記憶手段に記憶させ、上記端の位置に基づいて上記第1方向における画像記録範囲を決定し、上記カウント手段のカウント値が上記第1閾値以上であることを条件として、上記第1検知手段に上記端の検知を行わせずに、上記記憶手段に記憶された上記端の位置に基づいて、上記画像記録範囲を決定する第1制御を実行する制御手段と、を備えており、上記記録ヘッドは、上記制御手段によって決定された上記画像記録範囲に従って、インク滴を吐出することを特徴とする。
【0010】
トレイが第2位置から第1位置にされたことは、第2検知手段により検知される。リセット手段は、トレイが第1位置にされたことを第2検知手段が検知すると、カウンタ手段のカウント値をリセットする。このカウント値は、制御手段の制御に用いられる。制御手段は、シートに画像を記録する際、カウント手段のカウント値が第1閾値未満であると、第1検知手段にシートの端の検知を行わせ、記憶手段に記憶させる。制御手段は、記憶手段に記憶されたシートの端の位置に基づいて第1方向における画像記録範囲を決定する。制御手段は、カウント手段のカウント値が第1閾値以上であると、第1検知手段にシートの端の検知を行わせずに、記憶手段に記憶されたシートの端の位置に基づいて、第1方向における画像記録範囲を決定する。第1閾値により決まる枚数のシートに対してのみシートの端の位置の検知が行われるので、画像記録時間が短くなる。また、トレイが移動されるごとにシートの端の位置を検知するので、トレイの移動の有無に拘わらず、画像記録範囲の位置精度が高く保もたれる。
【0011】
(2) 本発明のインクジェット記録装置は、上記トレイに積層されたシートの層の厚みを検知する第3検知手段を更に備えており、上記リセット手段は、上記第3検知手段が検知した上記厚みが第2閾値になったことを条件として上記カウント手段のカウント値をリセットするものであってもよい。
【0012】
シートへの画像記録が進みシートの層の厚みが薄くなってシートの位置ずれの傾向が補給直後と変わったとしても、画像記録範囲の位置精度を高く保つことができる。
【0013】
(3) 上記トレイは、シートが載置される載置面から傾斜して起立する傾斜面を更に有しており、上記給送部は、支軸と、上記支軸を中心に回動可能に支持されたアームと、上記アームの回動先端部に回転可能に設けられて最上位置のシートに当接可能であり、シートに当接して回転されることによって当該シートを上記傾斜面側へ送り出す給送ローラと、を有しており、上記第3検知手段は、上記搬送路に配置されており、上記給送ローラが送り出しているシートの上記搬送向きにおける先端を検知する第1センサと、上記給送ローラの回転量を検知するエンコーダと、を有するものであってもよい。
【0014】
給送部の給送ローラにより、シートの層の最上位置のシートが搬送路へ送り出される。送り出されたシートは、傾斜面に摺接しながら第1センサへ向かう。よって、積層されたシートの層の厚みが厚いほど、第1センサまでの搬送距離が短くなる。第1センサまでの搬送距離は、エンコーダにより検知される。
【0015】
(4) 上記トレイは、シートが載置される載置面から傾斜して起立する傾斜面を更に有しており、上記給送部は、支軸と、上記支軸を中心に回動可能に支持されたアームと、上記アームの回動先端部に回転可能に設けられて最上位置のシートに当接可能であり、シートに当接して回転することによって当該シートを上記傾斜面側へ送り出す給送ローラと、を有しており、上記第3検知手段は、上記第1位置にある上記トレイの上側に回動可能に設けられており、シートの層の最上位置のシートの上面に当接される当接片と、上記当接片の回動位置を検知する第2センサと、を有するものであってもよい。簡単な構成により、シートの層の厚みを検知することができる。
【0016】
(5) 上記リセット手段は、上記カウント手段のカウント値が第3閾値になると当該カウント値をリセットするものであってもよい。
【0017】
シートへの画像記録が進みシートの層の厚みが薄くなってシートの位置ずれの傾向が補給直後と変わったとしても、画像記録範囲の位置精度を高く保つことができる。
【0018】
(6) 上記制御手段は、上記第1制御を行う第1記録モードと、上記カウント手段のカウント値に拘わらず、上記第1検知手段にシートの上記端の検知を行わせる第2記録モードと、を有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、トレイが移動される度にプラテン上におけるシートの位置ずれの傾向が変わることに着目したものであり、第1閾値により決まる枚数のシートに対してのみシートの端の位置の検知を行うので、画像記録時間を短くでき、トレイが移動される度にシートの端の位置の検知を行うので、トレイの移動の有無に拘わらず画像記録範囲の位置精度を高く保つことができる。その結果、画像記録時間と画像記録精度とのバランスの取れた使い勝手の良いインクジェット記録装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】インクジェット記録装置10の斜視図である。
【図2】プリンタ部11の内部の模式的な縦断面図である。
【図3】メイントレイ21の斜視図である。
【図4】記録ヘッド51の模式的な下面図である。
【図5】(A)は第1ロータリエンコーダ120の斜視図であり、(B)はレジセンサ150の斜視図である。
【図6】プリンタ部11の一部の平面図である。
【図7】制御部100による制御を説明するためのブロック図である。
【図8】制御部100による制御を説明するためのフローチャートである。
【図9】変形例1のブロック図である。
【図10】変形例2のプリンタ部11の内部の模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明がされる。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲において実施形態が適宜変更されてもよい。
【0022】
以下の説明においては、図1に示されるように、インクジェット記録装置10を使用可能に設置した状態を基準として上下方向7が定義されている。また、操作部17が設けられた側をインクジェット記録装置10の前面(正面)側として前後方向8が定義されている。また、インクジェット記録装置10を前面側から見て左右方向9が定義されている。
【0023】
[インクジェット記録装置10の概要]
図1に示されるように、インクジェット記録装置10は、記録用紙や、光沢紙や、葉書等であるシート6(図2)に画像を記録するプリンタ部11と、原稿(不図示)に記録された画像を取り込むスキャナ部12とを備えており、プリント、スキャン、コピー等を実行可能である。スキャナ部12は任意の構成であるので、以下では、プリンタ部11について説明がされる。
【0024】
[プリンタ部11の概要]
プリンタ部11は、本体13と、本体13に着脱自在に装着された給紙カセット20と、を備えている。図2に示されるように、本体13は、さらに給紙カセット20に載置されたシート6を搬送路30へ送り出す給送部40と、シート6を搬送するローラ対34,37と、シート6に画像を記録する記録ヘッド51と、制御基板18と、を備えている。制御基板18は、不図示のケーブルにより、操作部17(図1)やパーソナルコンピュータなどの外部機器と電気的に接続されている。制御基板18には、制御部100(図7)を実現する不図示のマイクロコンピュータが実装されている。制御部100は、上述のケーブルを介して操作部17や外部機器から印刷指示が入力されると、ASFモータ61等(図7)を駆動させ、シート6への画像記録を行う。以下、プリンタ部11の各構成について説明がされる。
【0025】
[本体筐体14]
図1に示されるように、本体13の本体筐体14には、給紙カセット20の挿抜用の挿抜口15が前後方向8における前面側に形成されている。挿抜口15の奥側には不図示のガイドレールが設けられている。このガイドレールにより、給紙カセット20が前後方向8へスライド可能に支持されている。給紙カセット20は、挿抜口15を通じて前後方向8へスライドされることにより、本体13に脱着される。
【0026】
本体筐体14の前面側には、開閉蓋16が回動可能に設けられている。図6に示されるカートリッジ装着部19が開閉蓋16の奥側に設けられている。カートリッジ装着部19には、記録ヘッド51へインクを供給する4つのインクカートリッジ59が装着される。
【0027】
[給紙カセット20]
図1に示されるように、給紙カセット20は、本体筐体14の下部に配置されており、本体筐体14に設けられた不図示のガイドレールにより、前後方向8へスライド可能に支持されている。給紙カセット20は、本体筐体14の挿抜口15を通じて本体13に脱着される。以下では、本体13に装着された図1の位置を第1位置(本発明の第1位置の一例)とし、第1位置よりも給紙カセット20の装着方向の上流側を第2位置(本発明の第2位置の一例)として説明がされる。シート6(図2)は、第1位置にある給紙カセット20から給送部40(図2)により搬送路30(図2)へ送り出される。
【0028】
図2に示されるように、給紙カセット20は、画像記録前のシート6を保持するメイントレイ21(本発明のトレイの一例)と、画像記録後のシート6を受ける排紙トレイ29と、を備えている。
【0029】
[メイントレイ21]
図3に示されるように、メイントレイ21は、底板22と、左右一対の側板23,24と、前板25と、傾斜板26と、を備えている。左右一対の側板23,24は、底板22の左右方向9における両端部から上向きへ突出されている。前板25は、底板22の前後方向8における前端部から上向きへ突出されている。側板23,24は、排紙トレイ29(図2)に設けられた不図示の回動軸を回動可能に支持する不図示の軸受けを有している。つまりメイントレイ21は、側板23,24において排紙トレイ29を回動可能に支持している。排紙トレイ29は、メイントレイ21にシート6を補給する際にユーザによって上方に回動される。図2に示されるように、閉じられた排紙トレイ29は、側板23,24及び前板25の上端面により支持されている。
【0030】
図2に示されるように、底板22は、上下方向7を厚みとする矩形板状の外形を呈している。A4サイズやB5サイズやリーガルサイズなどの種々のサイズのシート6が、底板22の上面である載置面22Aに載置される。そのため、サイドガイド機構70及びリアガイド80が底板22に設けられている。サイドガイド機構70は、底板22に載置された種々のサイズのシート6をセンタ合わせにより位置決めし、且つ後述の給送部40により送り出されるシート6の斜行を抑制する。センタ合わせとは、シート6の左右方向9における中央を底板22の左右方向9における中央に一致させる位置合わせを意味する。一方、リアガイド80は、シート6の給送向きにおける先端(前後方向8における後端)を傾斜板26に当接または近接させるためのものである。サイドガイド機構70及びリアガイド80については後述される。
【0031】
底板22には、リアガイド80が配置される貫通孔67が形成されている。貫通孔67は、具体的には、リアガイド80が前後方向8へ移動可能なように、前後方向8に延びるように形成されている。また、貫通孔67(図3)は、リアガイド80がいずれのサイズのシート6にも当接可能なように、底板22の左右方向9における中央部に設けられている。
【0032】
図3に示されるように、載置面22Aから凹む複数の第1溝68が貫通孔67の左右方向9における両側に設けられている。複数の第1溝68は、前後方向8へそれぞれ延びており、且つ左右方向9において互いに隣接して設けられている。後述されるリアガイド80の被係止突起(不図示)が複数の第1溝68のうちの1つに選択的に嵌ることにより、リアガイド80が底板22に係止される。
【0033】
載置面22Aから凹む複数の第2溝69が底板22に設けられている。複数の第2溝69は、左右方向9へそれぞれ延びており、前後方向8において互いに隣接して設けられている。後述のガイド部材71に設けられた被係止突起(不図示)が複数の第2溝69のうちの1つに選択的に嵌ることにより、ガイド部材71が底板22に係止される。
【0034】
[サイドガイド機構70]
図3に示されるように、サイドガイド機構70は、左右方向9へスライド可能に底板22に支持された左右一対のガイド部材71,72と、一対のガイド部材71,72を連動して移動させるピニオンギア73と、を備えている。
【0035】
シート6(図2)は、後述のリアガイド80により傾斜板26に当接または近接される。よって、一対のガイド部材71,72は、いずれのサイズのシート6においても傾斜板26に対して位置決めできるように、底板22の前後方向8における後部に配置されている。
【0036】
右側のガイド部材71は、底板22の左右方向9における右部に配置されている。ガイド部材71は、底板22に載置された支持部74と、支持部74の右端部から上向きへ突出されたガイドリブ部75と、支持部74から左方へ向かって延びるラックギア76と、を備えている。ラックギア76は、後述のピニオンギア73の前側においてピニオンギア73と噛み合っている。
【0037】
支持部74には、上下方向7へ弾性変形可能な弾性片77が設けられている。左右方向9における弾性片77の右端部からは、ユーザにより摘まれる摘み片78が上向きへ突出されている。また、底板22の第2溝69に嵌る被係止突起(不図示)が弾性片77の下面から下向きへ突出されている。この被係止突起が複数の第2溝69のうちの1つに選択的に嵌ることにより、ガイド部材71が底板22に係止される。
【0038】
左側のガイド部材72は、底板22の左右方向9における左部に配置されている。ガイド部材72は、支持部46、ガイドリブ部47及びラックギア48を備えており、弾性片77及び摘み片78が設けられていない他は、ガイド部材71とほぼ左右対称な形状である。ガイド部材72のラックギア48は、ピニオンギア73の後側においてピニオンギア73と噛み合っている。
【0039】
ピニオンギア73は、底板22の左右方向9における中央部に、中心軸線を上下方向7に沿わせて配置されている。ピニオンギア73は、前後方向8における前側においてガイド部材71のラックギア76と噛み合わされており、後側においてガイド部材72のラックギア48と噛み合わされている。
【0040】
ユーザは、底板22にシート6(図2)を載置した後、ガイドリブ部75と摘み片78とを摘んで弾性片77を撓ませる。次に、上述の被係止突起(不図示)を第2溝69から外し、ガイド部材71を左右方向9における左向きへスライドさせる。そうすると、支持部74がシート6の左右方向9における右端部の下に潜り込み、ガイドリブ部75がシート6の右端に当接される。また、ガイド部材71が左向きへスライドされると、ピニオンギア73が回転され、ガイド部材72が右向きへスライドされる。そうすると、支持部46がシート6の左右方向9における左端部の下に潜り込み、ガイドリブ部47がシート6の左端に当接される。ユーザがガイドリブ部75及び摘み片78から指を離すと、撓んでいた弾性片77が元の形状に戻り、弾性片77に設けられた被係止突起が第2溝69に嵌り、ガイド部材71がメイントレイ21の底板22に係止される。このようにして、底板22に載置された種々のサイズのシート6は、サイドガイド機構70によりセンタ合わせによって位置決めされる。また、後述される給送部40によりシート6が前後方向8において後向きへ送り出される際に、シート6の左右方向9における両端がガイドリブ部75,47に当接した状態で送り出される。これにより、シート6の斜行が抑制される。
【0041】
[リアガイド80]
図2に示されるように、リアガイド80は、メイントレイ21の底板22の貫通孔67に挿通された基部81を備えている。貫通孔67の左右方向9における側壁が嵌るガイド溝(不図示)が基部81の左右両側に設けられている。リアガイド80は、このガイド溝において、前後方向8へスライド可能に底板22に支持されている。
【0042】
図2,3に示されるように、シート6の前後方向8における前端に当接される当接片82が基部81の上面から突出されている。この当接片82と共にユーザにより摘まれる摘み片83が、当接片82の前後方向8における前側に配置されている。摘み片83は、不図示の弾性片により基部81と連結されている。底板22に設けられた第1溝68に嵌る不図示の被係止突起が、弾性片の下面から下向きへ突出されている。摘み片83がユーザにより摘まれると、弾性片が弾性変形され、被係止突起が第1溝68から外れる。そうすると、リアガイド80は、前後方向8へスライド可能になる。
【0043】
ユーザは、底板22にシート6を載置した後、当接片82及び摘み片83を摘んでリアガイド80をスライド可能とする。次に、リアガイド80を前後方向8における後向きへスライドさせる。そうすると、基部81がシート6の前後方向8における前端部の下に潜り込み、当接片82がシート6の前端に当接してシート6を前後方向8における後方へ押す。後方へ押されたシート6は、前後方向8における後端において傾斜板26に当接または近接される。ユーザが当接片82及び摘み片83から指を離すと、撓んでいた弾性片が元の形状に戻り、弾性片に設けられた被係止突起が第1溝68に嵌り、リアガイド80が底板22に係止される。
【0044】
このように、底板22の載置面22Aに載置されたシート6は、サイドガイド機構70により左右方向9において位置決めされ、リアガイド80及び傾斜板26により前後方向8において位置決めされる。
【0045】
傾斜板26には、シート6の前後方向8における後端が当接または近接される傾斜面27(本発明の傾斜面の一例)が形成されている。傾斜面27は、底板22の前後方向8における後端から後方斜め上へ向かって延びている。傾斜面27は、底板22から給送部40によって送り出されるシート6を搬送路30へ案内する。
【0046】
シート6の重送を防止するため、金属片からなる複数の分離突片28が傾斜板26に設けられている。重送とは、複数枚のシート6が重なって搬送路30へ送り出されることである。各分離突片28は、傾斜面27から前方斜め上向きにそれぞれ突出されており、後方斜め上向きに沿って1列に並んでいる。分離突片28は、底板22に積層された複数枚のシート6のうち下側のシート6に当接し、下側のシート6を上側のシート6から分離する。これにより、重送が防止される。シート6はセンタ合わせにより位置決めされるので、分離突片28は、いずれのサイズのシート6にも当接可能なように、傾斜板26の左右方向9における中央部に配置されている。
【0047】
[排紙トレイ29]
排紙トレイ29は、図2における当該排紙トレイ29の後端部に、軸線が左右方向9(図2の紙面垂直方向)に沿う不図示の回動軸を有している。この回動軸は、メイントレイ21の左右の側板23,24に設けられた不図示の軸受けに回動可能に支持されている。排紙トレイ29は、図2における後端部を回動基端部とし、前端部を回動先端部として回動され、図2に示される閉姿勢及び不図示の開姿勢にされる。閉姿勢にある排紙トレイ29は、メイントレイ21の左右の側板23,24及び前板25に支持されており、排出された画像記録後のシート6を受ける。排紙トレイ29は、メイントレイ21に画像記録前のシート6を補給する際にユーザにより回動される。
【0048】
排紙トレイ29は、上面から上向きへ突出された支持部29Aを前後方向8の後端部且つ左右方向9における端部に有している。この支持部29Aは、給紙カセット20が本体13に装着される際に、後述されるトレイセンサ140の当接片144を押して回動させる。トレイセンサ140は、給紙カセット20が本体13に装着されたことを検知するセンサである。詳しくは後述される。
【0049】
[フレーム90]
給紙カセット20の上側には、図6に示されるフレーム90が配置されている。フレーム90は、後述の給送部40やプラテン33やキャリッジ58を保持するものである。
【0050】
フレーム90は、メインフレーム91と、一対のガイドレール92,93と、を備えており、矩形枠状の外形を呈している。メインフレーム91は、鋼板の左右方向9における両端部を上側へ折り曲げることにより形成されており、不図示の底板と、左右方向9において互いに対向する左側板95及び右側板96と、を備えている。一対のガイドレール92,93は、左右方向9に沿って延出するように形成されている。また、一対のガイドレール92,93は、左側板95の上端と右側板96の上端とにそれぞれ連結されており、前後方向8において互いに対向している。フレーム90は、一対のガイドレール92,93において、後述のキャリッジ58を左右方向9へ移動可能に支持している。
【0051】
[給送部40]
図2に示されるように、給送部40(本発明の給送部の一例)は、フレーム90(図6)の底板に回転可能に支持された支軸41(本発明の支軸の一例)と、支軸41に一端部が回動可能に支持されたアーム42(本発明のアームの一例)と、アーム42の他端部に回動可能に支持された給送ローラ43(本発明の給送ローラの一例)と、を備えている。支軸41は、ASFモータ61(図7)により回転される。ASFモータ61は、制御部100(図7)により、回転速度が制御されて駆動される。
【0052】
アーム42は、支軸41から後方斜め下へ向かって延びており、支軸41との間の摩擦力により支軸41と一体的に回動可能である。支軸41が回転されると、アーム42が支軸41周りに回動され、アーム42の回動先端部に設けられた給送ローラ43がメイントレイ21に載置された最上位置のシート6に当接される。給送ローラ43がシート6に当接すると、支軸41周りのアーム42の回動が制止される。
【0053】
アーム42には複数個のギア44が設けられている。ギア44は、支軸41の回転を給送ローラ43へ伝達し、給送ローラ43を回転させる。回転された給送ローラ43は、当接する最上位置のシート6を前後方向8における後向きへ送り出す。後向きへ送り出されたシート6は、メイントレイ21の傾斜板26により搬送路30へ案内される。
【0054】
[搬送路30]
搬送路30(本発明の搬送路の一例)は、図2において1点鎖線により示される湾曲路31と、2点鎖線により示される直線路32と、を備えている。湾曲路31は、メイントレイ21の傾斜板26の上端を基端として上方へ向かい、次いで前後方向8における前方へ向かうように湾曲して延びている。直線路32は、湾曲路31の終端から前方へ向かって直線状に延びている。搬送路30は、複数個のガイド部材(不図示)及びプラテン33により区画された空間である。シート6が搬送路30に給送される際は、当該搬送路30を区画する複数個のガイド部材に当接しながら給送される。
【0055】
[プラテン33]
図6に示されるように、プラテン33(本発明のプラテンの一例)は、フレーム90の左側板95と右側板96との間に配置されて給紙カセット20(図2)の上側に位置しており、直線路32(図2)の下面の一部を区画している。プラテン33の上面からは、前後方向8へ延びる複数の支持リブ33Aが上向きへ突出されている。複数個の支持リブ33Aの上端面により、シート6を支持する支持面(本発明の支持面の一例)が形成されている。
【0056】
プラテン33の左右方向9における幅は、ガイドレール92,93の左右方向9における長さよりも短くされている。これは、キャリッジ58に設けられた後述のメディアセンサ130がプラテン33上のシート6の左右方向9における両端の上側を通過できるようにするためである。詳しくは後述される。
【0057】
[ローラ対34,37]
図2に示されるように、第1のローラ対34は、プラテン33の前後方向8における後側に配置されている。第1のローラ対34は、フレーム90(図6)に回転可能に支持された搬送ローラ35(本発明の搬送ローラの一例)と、搬送ローラ35の下側に配置されてプラテン33に回転可能に支持された従動ローラ36と、を備えている。搬送ローラ35は、PFモータ62(図7)により回転される。PFモータ62は、制御部100(図7)により、回転速度を制御されて駆動される。第1のローラ対34は、搬送ローラ35がPFモータ62により回転されることにより、搬送路30にあるシート6を挟み、図2の矢印に示される搬送向き85(本発明の搬送向きの一例)へシート6を搬送する。
【0058】
第2のローラ対37は、前後方向8におけるプラテン33の前側に設けられている。第2のローラ対37は、プラテン33に回転可能に支持された排紙ローラ38と、排紙ローラ38の上側に配置されてフレーム90(図6)に回転可能に支持された拍車ローラ39と、を備えている。排紙ローラ38は、PFモータ62(図7)により回転される。第2のローラ対37は、排紙ローラ38がPFモータ62により回転されることにより、搬送路30にあるシート6を挟み、搬送向き85へシート6を搬送する。シート6は、ローラ対34,37により、プラテン33上において間欠搬送され、記録ヘッド51により画像を記録される。画像を記録されたシート6は、第2のローラ対37により、給紙カセット20の排紙トレイ29に排出される。
【0059】
[記録ヘッド51]
図2に示されるように、記録ヘッド51(本発明の記録ヘッドの一例)は、キャリッジ58(本発明のキャリッジの一例)に搭載されている。図6に示されるように、キャリッジ58は、左右方向9(本発明の第1方向の一例)へ移動可能にガイドレール92,93に支持されている。キャリッジ58は、無端環状のベルト98に固着されている。ベルト98は、CRモータ63(図7)の軸に設けられた駆動プーリ99A、及び従動プーリ99Bに巻き付けられている。また、ベルト98は、駆動プーリ99Aの歯及び従動プーリ99Bの歯に噛み合う歯を内周面側に備えている。ベルト98は、CRモータ63が駆動されることにより周運動される。ここにおいて、駆動プーリ99Aは、ガイドレール93の左右方向9における右端部に配置されており、従動プーリ99Bは、ガイドレール93の左右方向9における左端部に配置されている。よって、キャリッジ58は、ガイドレール93の左右方向9における左端部と右端部との間において移動可能であり、プラテン33上のシート6の上側を左右方向9へ通過することができる。CRモータ63は、制御部100(図7)により、回転速度が制御されて駆動される。
【0060】
図6に示されるように、記録ヘッド51は、4本のインクチューブ45により、カートリッジ装着部19に装着された4つのインクカートリッジ59と接続されている。4つのインクカートリッジ59に貯留されたブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクが、インクチューブ45を通って記録ヘッド51へ供給される。
【0061】
記録ヘッド51は、インクが流入される複数のノズルを備えている。図4に示されるように、各ノズルは、記録ヘッド51の下面側に吐出口52をそれぞれ有している。複数のノズルの吐出口52は、4つの吐出口列53〜56を構成している。吐出口列53〜56は、それぞれ前後方向8に沿って1列に並んでいる 。吐出口列53を構成する各ノズルには、ブラックのインクが流入される。吐出口列54〜56を構成する各ノズルには、それぞれシアン、マゼンタ、イエローのうちのいずれかのインクが流入される。記録ヘッド51は、図6に示されるフレキシブルフラットケーブル49により制御基板18(図2)と電気的に接続されている。記録ヘッド51は、制御部100からの信号を受けて吐出口52からインク滴を吐出する。
【0062】
ところで、サイドガイド機構70により、シート6が送り出される際のシート6の斜行を抑えているが、シート6の斜行を完全に防止することは困難である。シート6の若干の斜行により、プラテン33上におけるシート6の左右方向9における位置がシート6ごとに異なることがある。これは、シート6が給送される際に傾斜板26または搬送路30に当接されることで、搬送向き85と直交する方向に、シート6に対して回転モーメントが作用するからである。また、ユーザの操作によっては、サイドガイド機構70のガイド部材71,72とシート6との間に隙間が生じることがある。そうすると、給送中にシート6が斜行し、プラテン33上におけるシート6の左右方向9における位置がシート6ごとに異なる。これによって、左右方向9における画像記録範囲の位置がシート6ごとに異ならないように、制御部100は、センサを用いてシート6の左右方向9における端位置を検知し、検知したシート6の端位置により左右方向9における記録ヘッド51の印刷開始位置を決めている。以下詳しく説明がされる。
【0063】
プリンタ部11には、図7に示されるメディアセンサ130、トレイセンサ140、レジセンサ150、リニアエンコーダ110及び第1ロータリエンコーダ120が設けられている。メディアセンサ130及びリニアエンコーダ110は、本発明の第1検知手段の一例である。
【0064】
[メディアセンサ130]
図4に示されるように、メディアセンサ130は、キャリッジ58に設けられたフォトインタラプタにより構成されている。具体的には、メディアセンサ130は、下方へ向かって光を照射する発光ダイオード131と、プラテン33またはプラテン33上のシート6により反射された発光ダイオード131からの光を受光するフォトダイオード132と、を備えている。フォトダイオード132は、受光した光の強度に応じた大きさの出力を行う。この出力は、制御部100(図7)に入力される。制御部100は、フォトダイオード132の出力変化により、メディアセンサ130が左右方向9におけるシート6の端の上側に到達したと判断する。制御部100は、フォトダイオード132の出力が変化したときのキャリッジ58の位置を、左右方向9におけるシート6の端位置としてメモリ103の第1記憶領域104に記憶させる。左右方向9におけるキャリッジ58の位置は、リニアエンコーダ110により検知される。
【0065】
[リニアエンコーダ110]
図6に示されるように、リニアエンコーダ110は、ガイドレール93に設けられたエンコーダストリップ111と、キャリッジ58に設けられたフォトインタラプタ112と、を備えている。エンコーダストリップ111は、左右方向9に長い帯状の外形を呈しており、ガイドレール93の左右方向9における両端に渡って配置されている。エンコーダストリップ111は、光を透過する透光部(不図示)と、光を遮光する遮光部(不図示)とを有している。透光部と遮光部とは、左右方向9において交互に並ぶように配置されている。フォトインタラプタ112は、光を照射する発光ダイオードと、発光ダイオードからの光を受光し、受光した光の強度に応じた出力を行うフォトダイオードと、を備えている。フォトインタラプタ112の発光ダイオードとフォトダイオードとは、エンコーダストリップ111の前後方向8における両側に配置されている。フォトインタラプタ112は、キャリッジ58が左右方向9へ移動されると、エンコーダストリップ111の透光部と遮光部とを交互に通過する。よって、フォトインタラプタ112の出力は、キャリッジ58の移動量に応じた回数だけ変化する。フォトインタラプタ112の出力は、制御部100(図7)に入力されている。制御部100は、メディアセンサ130の出力が変化したときのフォトインタラプタ112の出力が変化した位置を左右方向9におけるシート6の端位置として、メモリ103の第1記憶領域104に記憶させる。第1記憶領域104に記憶されたシート6の端位置は、制御部100が左右方向9における印刷開始位置を決めるために用いられる。詳しくは後述される。
【0066】
[トレイセンサ140]
図2に示されるトレイセンサ140(本発明の第2検知手段の一例)は、給紙カセット20つまりメイントレイ21が本体13に装着されて第2位置から第1位置、及び第1位置から第2位置となったことを検知するセンサである。トレイセンサ140は、第1位置にある給紙カセット20の上側に配置された回動体141と、回動体141の回動位置を検知するフォトインタラプタ142と、を備えている。回動体141は、中心軸線が左右方向9(図2の紙面に垂直な方向)に沿う回動軸143と、回動軸143の周面から突出された当接片144及び検出子145と、を備えている。当接片144は、給紙カセット20つまりメイントレイ21が第2位置にあるときは、図2の破線に示されるように、回動軸143から下向きへ突出されている。このとき、図2の破線に示されるように、検出子145は、フォトインタラプタ142の光路から外れている。メイントレイ21が本体13に装着されて第1位置に位置すると、排紙トレイ29の支持部29Aが当接片144を押し、回動体141を回動させる。そうすると、図2の実線に示されるように、検出子145がフォトインタラプタ142の光路上に移動し、フォトインタラプタ142の出力が変化する。フォトインタラプタ142の出力は、制御部100(図7)に入力されている。制御部100は、フォトインタラプタ142の出力変化により、メイントレイ21が移動したと判断する。
【0067】
制御部100は、印刷指示を受けると、給送部40を動作させる前に、メイントレイ21が第1位置に位置しているか第2位置に位置しているかをトレイセンサ140からの入力により判断する。制御部100は、メイントレイ21が第1位置に位置していると判断した場合にのみ、給送部40を動作させる。換言すると、制御部100は、メイントレイ21が第2位置に位置していると判断した場合には、給送部40を動作させない。これは、メイントレイ21が第2位置に位置しているときに給送部40を動作させると、搬送路30内でジャム等が発生してしまうおそれがあるからである。
【0068】
また、トレイセンサ140は、画像記録がされたシート6の枚数をカウントするカウンタ101(図7)のカウント値のリセットに用いられる。詳しくは後述される。
【0069】
[レジセンサ150]
図2に示されるように、レジセンサ150(本発明の第1センサの一例)は、搬送向き85における第1のローラ対34の上流側において、ローラ対34の近くに配置されている。レジセンサ150は、シート6の先端位置の検知に用いられる。図5(B)に示されるように、レジセンサ150は、回動軸151と、回動軸151の周面から搬送路30(図2)へ突出された当接片152と、回動軸151の周面から突出された検出子153と、フォトインタラプタ154と、を備えている。フォトインタラプタ154は、発光ダイオード155と、発光ダイオード155に対向して配置されたフォトダイオード156と、を備えている。フォトダイオード156は、発光ダイオード155から入射した光の強度に応じた出力を行う。
【0070】
当接片152が搬送路30(図2)にあるとき、検出子153は、フォトインタラプタ154の光路上にある。シート6が給送部40(図2)により送り出され、シート6の搬送向き85(図2)における先端が当接片152を押して当接片152を回動させると、検出子153が発光ダイオード155の光路から外れる。そうすると、フォトダイオード156の出力が変化する。フォトダイオード156の出力は、制御部100に入力されている。制御部100は、フォトダイオード156の出力変化により、シート6の搬送向き85(図2)におけるシート6の先端がレジセンサ150に到達したと判断する。なお、シート6の搬送向き85における後端がレジセンサ150を通過すると、回動軸151は、ねじりコイルバネ157の弾性力により、搬送路30へ突出する元の回動位置に戻される。
【0071】
レジセンサ150は、シート6のレジスト、及びシート6の先端位置の検知に用いられる。シート6のレジストは、静止されている搬送ローラ35、またはシート6を搬送向き85へ搬送する回転向きとは反対向きに回転されている搬送ローラ35に、搬送向き85におけるシート6の先端を当接させることにより行われる。シート6の先端位置の検知は、レジセンサ150と、図5(A)に示される第1ロータリエンコーダ120とにより行われる。
【0072】
[第1ロータリエンコーダ120]
図5(A)に示されるように、第1ロータリエンコーダ120は、搬送ローラ35の回転軸35Aに設けられたディスク121と、フォトインタラプタ122と、を備えている。フォトインタラプタ122は、発光ダイオード123及び不図示のフォトダイオードを備えている。ディスク121は、円盤状の外形を呈しており、周縁部が発光ダイオード123とフォトダイオードとの間に挿入された構成を有している。ディスク121の周縁部には、不図示の透光部と遮光部とがディスク121の周方向に交互に並ぶように設けられている。搬送ローラ35の回転によりディスク121が回転されると、透光部と遮光部とが発光ダイオード123の光路上を交互に通過し、フォトダイオードの出力が変化する。つまり、フォトダイオードの出力は、搬送ローラ35の回転量に応じた回数だけ変化する。フォトダイオードの出力は、制御部100(図7)に入力されている。制御部100は、フォトダイオードの出力変化の回数により、搬送向き85(図2)におけるシート6の先端位置を推定する。
【0073】
[制御部100]
以下、図7を用いて制御部100の概略構成を説明する。制御部100が、後述するフローチャートに従って第1制御を実行する。制御部100(本発明の制御手段の一例)は、制御基板18(図2)に実装された不図示のマイクロコンピュータにより実現されている。このマイクロコンピュータは、中央演算処理部(CPU)、制御プログラム等が格納されたROM、データの記憶領域または作業領域として使用されるRAM、不揮発性のメモリ103等により構成されている。各構成要素は、バスを介してASICに接続されている。
【0074】
制御部100は、上述の構成要素により形成されたカウンタ101(本発明のカウント手段の一例)、及びカウンタ101のカウント値をリセットするリセット部102(本発明のリセット手段の一例)を備えている。
【0075】
カウンタ101は、画像記録がされたシート6の枚数をカウントする。制御部100は、トレイセンサ140の出力を監視する。制御部100は、トレイセンサ140の出力変化により給紙カセット20つまりメイントレイ21が移動されたと判断すると、リセット部102に、カウンタ101のカウント値をリセットさせ、初期値(例えば、ゼロ)に戻す。カウンタ101のカウント値は、画像記録範囲の補正に用いられる。詳しくは後述される。なお、上述されたように、メイントレイ21が第1位置から第2位置に移動したときや、メイントレイ21が第2位置から第1位置に移動したときに、トレイセンサ140の出力は変化する。
【0076】
メモリ103は、少なくとも、第1記憶領域104、第2記憶領域105を有している。第1記憶領域104には、メディアセンサ130の出力が変化したときのキャリッジ58の位置が記憶される。第2記憶領域105には、予め設定された第1閾値(本発明の第1閾値の一例)が記憶されている。この第1閾値により、給紙カセット20つまりメイントレイ21が移動されたと検知された後、左右方向9におけるシート6の端位置を検知するシート6の枚数が決まる。詳しくは後述される。
【0077】
[インクジェット記録装置10の動作]
図2を参照してインクジェット記録装置10の動作が説明される。制御部100(図7)は、操作部17(図1)またはパーソナルコンピュータなどの外部機器(不図示)から印刷指示が入力されると、CRモータ63(図7)を駆動させてキャリッジ58を左右方向9におけるガイドレール92,93の右端に寄せる。これにより、キャリッジ58の初期位置がガイドレール92,93の右端に確定する。
【0078】
次に、制御部100は、ASFモータ61(図7)を駆動させて給送ローラ43を回転させ、給紙カセット20のメイントレイ21からシート6を搬送路30へ送り出す。制御部100は、レジセンサ150の出力が変化して搬送向き85におけるシート6の先端がレジセンサ150に到達したと判断する。その後、制御部100は、PFモータ62(図7)を逆回転させて搬送ローラ35を逆回転させ、レジストを行う。逆回転とは、シート6が搬送向き85へ搬送される回転向き(正回転)とは反対向きの回転である。
【0079】
その後、制御部100はPFモータ62を正回転させ、シート6を搬送向き85へ搬送する。この際、シート6は、プラテン33上において、画像データに合わせた所定の印刷開始位置にシート6の先端が位置したときに停止される。
【0080】
次に、制御部100は、メディアセンサ130等の検知結果から左右方向9における印刷開始位置を決め、CRモータ63(図7)を駆動させてキャリッジ58を印刷開始位置へ移動させる。この制御については後で詳しく説明がされる。なお、左右方向9における画像記録範囲の幅は、画像データにより制御部100が決定する。その後、制御部100は、CRモータ63を駆動させてキャリッジ58を移動させると共に、記録ヘッド51を動作させ、1行分の印刷を行う。このとき、記録ヘッド51は、決められた印刷開始位置に従ってインク滴を吐出する。1行分の印刷が終了すると、制御部100は、PFモータ62を駆動させて搬送ローラ35及び排紙ローラ38を正回転させ、1行分のシート6の搬送を行う。制御部100は、1行分の印刷と1行分の搬送とを繰り返し、シート6への画像記録を行う。シート6への画像記録が終了すると、制御部100は、PFモータ62を駆動させて排紙ローラ38を回転させ、シート6を排紙トレイ29へ排出する。
【0081】
次に、左右方向9における印刷開始位置を決める制御部100の動作が説明される。制御部100は、1枚のシート6に対する印刷指示が入力されると、図8のフローチャートに示された第1制御(本発明の第1制御の一例)の動作を開始する。まず、制御部100は、カウンタ101のカウント値がメモリ103に記憶された第1閾値未満か否かを判断する(S1)。制御部100は、カウンタ101のカウント値が第1閾値未満であると判断すると(S1,Y)、左右方向9におけるシート6の端位置を検知する動作を開始する(S2)。
【0082】
端位置の検知動作において、制御部100は、CRモータ63を回転させ、上述の初期位置にあるキャリッジ58を左向きへ移動させる。このとき、制御部100は、メディアセンサ130の出力を監視し、且つCRモータ63を駆動させた後のリニアエンコーダ110の出力変化の回数を不図示のカウンタによりカウントする。メディアセンサ130がプラテン33上のシート6の左右方向9における左端及び右端に到達すると、メディアセンサ130の出力が変化する。このとき、制御部100は、リニアエンコーダ110の出力が変化した位置をシート6の左端及び右端の位置としてメモリ103の第1記憶領域104に記憶させる(S3)。つまり、第1記憶領域104には、プラテン33上のシート6の左右方向9における左端及び右端の位置が記憶される。
【0083】
次に、制御部100は、第1記憶領域104に記憶されたシート6の端位置と、印刷指示に含まれる画像データにより決定した画像記録範囲とにより、左右方向9における印刷開始位置を決定する(S4)。制御部100は、CRモータ63(図7)を駆動させ、決定した印刷開始位置へキャリッジ58を移動させる(S5)。その後、制御部100は、1行分の印刷と1行分の搬送とを交互に行う画像記録動作を行う(S6)。制御部100は、画像記録動作終了後、カウンタ101のカウント値をインクリメントし、動作を終了する。
【0084】
ステップS1において、制御部100は、カウンタ101のカウント値が第1閾値未満でないと判断すると(S1,N)、メモリ103の第1記憶領域104に記憶されたシート6の端位置と、印刷指示に含まれる画像データにより決定した画像記録範囲とにより、左右方向9における印刷開始位置を決定する(S8)。詳しく説明すると、第1記憶領域104には、カウンタ101のカウント値が第1閾値となるまでに検知されたシート6の端位置が記憶されている。例えば、第1閾値が「1」である場合、第1記憶領域104には、1枚のシート6の端位置が記憶されている。第2閾値が「2」である場合、第1記憶領域104には、2枚分のシート6の端位置が記憶されている。
【0085】
制御部100は、直前に画像が記録されたシート6の端位置を用いて左右方向9における印刷開始位置を決定する。または、制御部100は、第1記憶領域104に記憶された1枚のシート6の端位置を用いて、または複数枚のシート6の端位置の平均値を用いて左右方向9における印刷開始位置を決定する。制御部100は、ステップS8において印刷開始位置を決定した後、ステップS5乃至S7の動作を行い、動作を終了する。
【0086】
[効果]
給紙カセット20つまりメイントレイ21がユーザによってスライドされると、シート6がガイド部材71,72の一方に寄った場合や、プラテン33に到達するまでのシート6の斜行により、プラテン33上において、左右方向9における位置がシート6ごとに異なることがある。本実施形態では、メイントレイ21の移動が検知されるごとにシート6の端位置を検知するので、メイントレイ21の移動の有無に拘わらず、画像記録範囲の位置精度を高く保つことができる。また、第1閾値により決まる所定枚数のシート6に対してのみシート6の端位置を検知するので、画像記録時間が短くなる。よって、本発明の一実施形態であるインクジェット記録装置10は、画像記録精度を高く保つことができるとともに、画像記録時間を短縮することができる。
【0087】
[変形例1]
本変形例では、メイントレイ21(図2)に載置されたシート6の層の厚みを検知する検知部が設けられた例が説明される。この検知部は、図9に示されるレジセンサ150と、給送ローラ43の回転量を検知する第2ロータリエンコーダ126(本発明のエンコーダの一例)と、により構成されている。レジセンサ150及び第2ロータリエンコーダ126は、本発明の第3検知手段の一例である。
【0088】
第2ロータリエンコーダ126は、第1ロータリエンコーダ120(図5(A))と同様の構成を有している。但し、透光部と遮光部とが設けられたディスクは、給送部40の支軸41(図2)またASFモータ61の回転軸に設けられている。よって、第2ロータリエンコーダ126の出力は、給送ローラ43の回転量に応じた回数だけ変化する。第2ロータリエンコーダ126の出力は、制御部100に入力されている。
【0089】
制御部100は、ASFモータ61の駆動開始からレジセンサ150の出力が変化するまでの第2ロータリエンコーダ126の出力変化の回数を、不図示のカウンタによりカウントする。制御部100は、このカウンタのカウント値により、メイントレイ21に載置されたシート6の層の厚みを判断する。以下に詳細を説明する。図2に示されるように、メイントレイ21に載置されたシート6の給送向きにおける先端(前後方向8における後端)は、傾斜面27に当接または近接されている。また、給送ローラ43により送り出される最上位置のシート6は、傾斜面27により搬送路30へ案内される。最上位置のシート6の高さ位置は、シート6の層の厚みにより決まる。よって、シート6の層の厚みが厚いほど、最上位置のシート6は、搬送路30の始端(傾斜板26の上端)に近くなる。そうすると、メイントレイ21に載置されたシート6の層の厚みが厚いほど、最上位置のシート6の先端からレジセンサ150までの搬送距離が短くなる。つまり、ASFモータ61(図9)の駆動開始からレジセンサ150(図9)の出力が変化するまでの第2ロータリエンコーダ126(図9)の出力変化の回数が少なくなる。制御部100は、ASFモータ61の駆動開始からレジセンサ150の出力が変化するまでの第2ロータリエンコーダ126の出力変化の回数から、メイントレイ21に載置されたシート6の層の厚みを判断する。
【0090】
制御部100は、判断したシート6の層の厚みがメモリ103の第3記憶領域106に記憶された第2閾値(本発明の第2閾値の一例)未満であるか否かを判断する。制御部100は、シート6の層の厚みが第2閾値未満であると判断すると、リセット部102によりカウンタ101のカウント値をリセットし、初期値に戻す。
【0091】
シート6への画像記録が進み、メイントレイ21に載置されたシート6の枚数が少なくなると、シート6の左右方向9における位置ずれの傾向が補給直後と異なることがあることを発明者は見いだした。これは、傾斜面27とシート6との当接距離がシート6の層の厚み毎で異なるためである。シート6の層の厚みが厚いほど、当接距離は短くなり、一方でシート6の層の厚みが薄いほど、当接距離は長くなる。当接距離が異なれば、シート6に対する摩擦具合が異なるので、したがって、シート6の左右方向9における位置ずれの傾向がシート6の補給直後と異なる。本変形例では、メイントレイ21に載置されたシート6の枚数が少なくなる、つまり、制御部100がシート6の層の厚みが第2閾値未満であると判断すると、カウンタ101のカウント値をリセットする。その後、図8に示されるステップS1乃至S4の処理のように、シート6の端位置を再度検知するので、左右方向9における画像記録範囲の位置精度の低下を抑えることができる。
【0092】
[変形例2]
本変形例では、変形例1の第2ロータリエンコーダ126(図9)の代わりに、図10に示される回動体160と、フォトインタラプタ165,166(本発明の第2センサの一例)とが設けられた例が説明される。回動体160及びフォトインタラプタ165,166は、第3検知手段の一例である。
【0093】
回動体160は、メイントレイ21の上側に配置された回動軸161と、回動軸161から下方へ向かって突出された当接片162(本発明の当接片の一例)と、回動軸161から上向きへ突出された検出子163と、を備えている。当接片162は、メイントレイ21に載置された最上位置のシート6に当接し、回動される。当接片162及び検出子163は、メイントレイ21に載置されたシート6の層の厚みが第1の量以下になるときは、図10の破線に示される回動位置にある。シート6の層の厚みが第2の量以上になるときは、図10の太線に示される回動位置にある。シート6の枚数が第1の量と第2の量との間の量のときは、図10の細線に示される回動位置にある。検出子163は、図10の太線に示される回動位置にあるとき、フォトインタラプタ166の光路上にあり、図10の細線に示される回動位置にあるとき、フォトインタラプタ165の光路上にあり、図10の破線に示される回動位置にあるとき、フォトインタラプタ165,166の光路から外れている。フォトインタラプタ165,166の出力は制御部100(図7)に入力されている。制御部100は、フォトインタラプタ165,166の出力値により、メイントレイ21に載置されたシート6の層の厚みを3段階で判断する。
【0094】
制御部100が、フォトインタラプタ166の出力が変化した後、フォトインタラプタ165の出力が変化したと判断すると、リセット部102によりカウンタ101のカウント値をリセットする。その後、図8に示されるステップS1乃至S4の処理を行う。なお、フォトインタラプタ166を設けずに、制御部100がフォトインタラプタ165の出力が変化したと判断したことのみをもってカウンタ101のカウント値がリセットされてもよい。但し、フォトインタラプタ166を設けると、第1の量以下の枚数のシート6が給紙カセット20に補給された場合に、シート6の端位置の再度の検知を省くことができる。本変形例では、変形例1と同様に、左右方向9における画像記録範囲の位置精度の低下を抑えることができる。
【0095】
[変形例3]
本変形例では、制御部100(図7)は、カウンタ101のカウント値を監視し、当該カウント値がメモリ103に記憶された第3閾値(本発明の第3閾値の一例)以上であるか否かを判断する。制御部100は、カウンタ101のカウント値が第3閾値以上であると判断すると、リセット部102により、カウンタ101のカウント値をリセットし、初期値に戻す。つまり、画像記録が完了したシート6の枚数が第3閾値以上となると、カウンタ101のカウント値がリセットされる。これにより、複数枚のシート6に対する画像記録が進むにつれて、シート6の左右方向9における位置ずれの傾向が変化することに対応することができる。本変形例では、変形例1と同様に、左右方向9における画像記録範囲の位置精度の低下を抑えることができる。
【0096】
[変形例4]
本変形例では、制御部100(図7)は、インクジェット記録装置10の電源がオンされると、リセット部102により、カウンタ101のカウント値をリセットし、初期値に戻す。よって、電源がオフされている間にユーザが給紙カセット20を移動させたとしても、画像記録範囲の位置精度が低下することがない。また、リセット部102によるリセットは、インクジェット記録装置10に対する電源オフの指示がされてから、インクジェット記録装置10の電源がオフされるまでに行われてもよい。
【0097】
[変形例5]
本変形例では、制御部100(図7)は、第1記録モード及び第2記録モードを有している。制御部100は、印刷指示に含まれる情報により第1記録モードまたは第2記録モードを選択する。
【0098】
第1記録モード(本発明の第1記録モードの一例)は、カウンタ101のカウント値に基づいてシート6の端位置を検知するか否かを決める記録モードである。つまり、第1記録モードは、図8のフローチャートに示された第1制御を実行する記録モードである。第2記録モード(本発明の第2記録モードの一例)は、カウンタ101のカウント値に拘わらずシート6の端位置を検知する記録モードである。制御部100は、第2記録モードを選択すると、シート6を搬送するごとにキャリッジ58を移動させ、シート6の左右方向9における端位置の検知を行い、検知した端位置を用いて、左右方向9における印刷開始位置を決定する。
【0099】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、給紙カセット20は、スライドにより本体13に着脱される例が説明された。しかしながら、給紙カセット20は、回動により本体13に着脱されてもよい。また、給紙カセット20は、シート6が補給可能であれば、本体13から完全に取り外せなくてもよい。
【0100】
また、上述の実施形態では、アーム42により給送ローラ43が回動可能に支持された構成の給送部40を用いてシート6を搬送路30へ送り出す例が説明された。しかしながら、シート6を搬送路30に送り出せるのであれば、他の既存の構成が採用されてもよい。例えば、給送ローラ43をフレーム90に回転可能に取り付け、本体筐体14に装着された給紙カセット20の底板22を弾性部材により給送ローラ43側へ付勢し、給紙カセット20に載置されたシート6を給送ローラ43に押し付ける構成が採用されてもよい。また、底板22を不図示の駆動手段によって給送ローラ43に押し付ける構成が採用されてもよい。
【0101】
また、上述の実施形態では、センタ合わせによりシート6の位置決めを行うサイドガイド機構70が説明された。しかしながら、シート6の左右方向9における端をメイントレイ21の左右方向9におけるいずれかの端に合わせる端合わせによりシート6の位置決めを行うサイドガイド機構が用いられても良い。
【0102】
また、上述の実施形態では、シート6の左右方向9における長さ(幅)の誤差を考慮して、メディアセンサ130によりシート6の左右両端の位置を検知する例が説明された。しかしながら、シート6の左右方向9における長さ(幅)の誤差を考慮しない場合、つまり、シート6の幅が一定であるとした場合は、メディアセンサ130によりシート6の左端または右端のみを検知し、左右方向9における印刷開始位置を制御部100が決定する構成が採用されてもよい。
【0103】
また、上述の実施形態では、リアガイド80によりシート6を傾斜板26に当接または近接させる例が説明された。しかしながら、既存の他の構成のリアガイドにより、シート6が傾斜板26に当接または近接されてもよい。
【0104】
また、上述の実施形態では、トレイセンサ140の回動軸143(図2)を排紙ローラ38の回転軸38A(図2)とは別に設けた例が説明された。しかしながら、回転軸38Aをトレイセンサ140の回動軸として、回転軸38Aに当接片144や検出子145が設けられてもよい。そうすると、回動軸143を省くことができるので、部品点数を減らすことができる。
【0105】
また、上述の実施形態では、トレイセンサ140の回動軸143(図2)の回動をフォトインタラプタ142により検知する構成が説明された。しかしながら、タクトスイッチやマイクロスイッチなどの機械式のスイッチにより回動軸143の回動が検知されてもよい。機械式のスイッチは、回動された検出子145により押され、オンされる。制御部100は、機械式のスイッチのオンオフにより、本体13に対する給紙カセット20の装着の有無を検知する。
【0106】
また、本体13に装着された給紙カセット20に直接押されてオンされる機械式のスイッチがトレイセンサ140の代わりに本体筐体14に設けられても良い。
【0107】
また、変形例1及び変形例2では、レジセンサ150及び第2ロータリエンコーダ126や、回動体160及びフォトインタラプタ165,166によりシート6の層の厚みを検知する例が説明された。しかしながら、既存の距離センサや変位センサを用いてシート6の層の厚みが検知されても良い。
【0108】
また、上述の実施形態では、フォトインタラプタを用いたメディアセンサ130が説明された。しかしながら、シート6の端位置を検知可能であれば、他の既存のセンサがメディアセンサとして用いられても良い。
【0109】
また、上述の実施形態では、リニアエンコーダ110によりキャリッジ58の位置を検知する例が説明された。しかしながら、キャリッジ58の位置を検知可能であれば、他の既存のセンサが用いられても良い。
【0110】
また、上述の実施形態では、カウンタ101のカウント値の初期値がゼロであり、シート6に画像が記録される度にカウント値がインクリメントされる例が説明された。しかしながら、カウンタ101の初期値がN(例えば、N=2、3)であり、シート6に画像が記録される度にカウント値がディクリーメントされてもよい。この場合、制御部100は、図8のステップS1において、カウンタ101のカウント値がメモリ103に記憶された第1閾値(例えば「1」)以下であるか否かを判断し、カウンタ101のカウント値が第1閾値より上であると判断すると、ステップS2の動作を行う。制御部100は、カウンタ101のカウント値が第1閾値以下であると判断すると、ステップS8の動作を行う。
【0111】
また、上述の実施形態では、カウンタ101及びリセット部102は、制御部100を構成するものの一部として説明された。しかし、カウンタ101及びリセット部102は、メモリ103に記憶される制御プログラム内によって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0112】
6・・・シート
9・・・左右方向(第1方向)
10・・・インクジェット記録装置
20・・・給紙カセット
21・・・メイントレイ(トレイ)
27・・・傾斜面
30・・・搬送路
33・・・プラテン
35・・・搬送ローラ
40・・・給送部
41・・・支軸
42・・・アーム
43・・・給送ローラ
51・・・記録ヘッド
58・・・キャリッジ
70・・・サイドガイド機構
80・・・リアガイド
85・・・搬送向き
100・・・制御部(制御手段)
101・・・カウンタ(カウント手段)
102・・・リセット部(リセット手段)
103・・・メモリ(記憶手段)
110・・・リニアエンコーダ
126・・・第2ロータリエンコーダ(エンコーダ)
130・・・メディアセンサ
140・・・トレイセンサ(第2検知手段)
150・・・レジセンサ(第1センサ)
162・・・当接片
165,166・・・フォトインタラプタ(第2センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに当接して搬送路へ給送する給送部と、
積層されたシートが載置され、最上位置のシートが上記給送部によって給送可能な第1位置及び最上位置のシートが上記給送部によって給送不能な第2位置に移動可能なトレイと、
上記給送部により上記搬送路へ送り出されたシートを搬送する搬送ローラと、
上記搬送ローラにより搬送されるシートを支持する支持面が設けられたプラテンと、
上記搬送ローラによるシートの搬送向きに直交する第1方向へ往復移動可能であり、上記プラテンを搬送されるシートに対して当該プラテンと対向して配置されたキャリッジと、
上記キャリッジに搭載され、上記支持面に支持されたシートにインク滴を吐出する記録ヘッドと、
上記キャリッジの移動により、上記第1方向への移動において上記支持面に支持されたシートの上記第1方向における端を検知する第1検知手段と、
上記トレイが上記第2位置から上記第1位置へ移動したこと、または上記第1位置から第2位置へ移動したことを検知する第2検知手段と、
上記第1検知手段によって検知される上記端の位置を記憶する記憶手段と、
画像が記録されたシートの枚数をカウントするカウント手段と、
上記第2検知手段によって検知がされたら上記カウント手段のカウント値をリセットするリセット手段と、
上記リセット手段による上記カウント値のリセット後、上記カウント手段のカウント値が第1閾値未満であることを条件として、上記第1検知手段に上記端の検知を行わせ、検知された上記端を上記記憶手段に記憶させ、上記端の位置に基づいて上記第1方向における画像記録範囲を決定し、上記カウント手段のカウント値が上記第1閾値以上であることを条件として、上記第1検知手段に上記端の検知を行わせずに、上記記憶手段に記憶された上記端の位置に基づいて、上記画像記録範囲を決定する第1制御を実行する制御手段と、を備えており、
上記記録ヘッドは、上記制御手段によって決定された上記画像記録範囲に従って、インク滴を吐出することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記トレイに積層されたシートの層の厚みを検知する第3検知手段を更に備えており、
上記リセット手段は、上記第3検知手段が検知した上記厚みが第2閾値になったことを条件として上記カウント手段のカウント値をリセットするものである請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記トレイは、シートが載置される載置面から傾斜して起立する傾斜面を更に有しており、
上記給送部は、
支軸と、
上記支軸を中心に回動可能に支持されたアームと、
上記アームの回動先端部に回転可能に設けられて最上位置のシートに当接可能であり、シートに当接して回転することによって当該シートを上記傾斜面側へ送り出す給送ローラと、を有しており、
上記第3検知手段は、
上記搬送路に配置されており、上記給送ローラが送り出しているシートの上記搬送向きにおける先端を検知する第1センサと、
上記給送ローラの回転量を検知するエンコーダと、を有するものである請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記トレイは、シートが載置される載置面から傾斜して起立する傾斜面を更に有しており、
上記給送部は、
支軸と、
上記支軸を中心に回動可能に支持されたアームと、
上記アームの回動先端部に回転可能に設けられて最上位置のシートに当接可能であり、シートに当接して回転することによって当該シートを上記傾斜面側へ送り出す給送ローラと、を有しており、
上記第3検知手段は、
上記第1位置にある上記トレイの上側に回動可能に設けられており、シートの層の最上位置のシートの上面に当接される当接片と、
上記当接片の回動位置を検知する第2センサと、を有するものである請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記リセット手段は、上記カウント手段のカウント値が第3閾値になると当該カウント値をリセットする請求項2から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
上記制御手段は、上記第1制御を行う第1記録モードと、上記カウント手段のカウント値に拘わらず、上記第1検知手段にシートの上記端の検知を行わせる第2記録モードと、を有するものである請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−63553(P2013−63553A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202912(P2011−202912)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】