説明

ウェハカセット及びウェハ位置指示装置

【課題】同一高さの溝を容易に認識可能にして、ウェハを水平に配置する。
【解決手段】 開口した前面を有する筐体を構成する一対の側壁11a,11bと、前記一対の側壁に夫々複数設けられた溝部3と、前記溝部へ照明光を照射するために前記筐体の裏壁又は側壁の一方に設けられる開口部5とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の半導体基板、ガラス基板、石英基板等を収納可能なウェハカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電気光学装置、例えば、電気光学物質に液晶を用いて所定の表示を行う液晶装置は、一対の基板間に液晶が挟持された構成となっている。このうち、TFT駆動、TFD駆動等によるアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置等の電気光学装置においては、縦横に夫々配列された多数の走査線(ゲート線)及びデータ線(ソース線)の各交点に対応して、画素電極及びスイッチング素子を基板(アクティブマトリクス基板)上に設けて構成される。
【0003】
TFT素子等のスイッチング素子は、ゲート線に供給されるオン信号によってオンとなり、ソース線を介して供給される画像信号を画素電極(透明電極(ITO))に書込む。これにより、画素電極と対向電極相互間の液晶層に画像信号に基づく電圧を印加して、液晶分子の配列を変化させる。こうして、画素の透過率を変化させ、画素電極及び液晶層を通過する光を画像信号に応じて変化させて画像表示を行う。
【0004】
このようなスイッチング素子を構成する素子基板は、集積回路等の半導体装置と同様に、半導体プロセスによって製造される。即ち、シリコンウェハに相当するガラス又は石英基板(以下、これらを総称してウェハという)上に、所定のパターンを有する半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜を積層することによって構成される。即ち、各種膜の成膜工程とフォトリソグラフィ工程の繰返しによって、TFT基板等は形成されている。
【0005】
このような半導体プロセスによって製造される電気光学装置等を含む半導体装置においては、一般的には、各プロセスの処理を行う装置間の搬送に際して、多数枚のウェハを一旦カセット(ウェハ治具又はウェハカセットともいう)に収納してウェハ治具毎に搬送する方法が採用される。
【0006】
ウェハ治具は、例えば前面が開口した筐体であり、筐体内の左右の側面には、ウェハを支持するための複数の溝が形成されている。この溝内にウェハの両端を挿入することで各ウェハを支持するようになっている。
【0007】
この場合において、ウェハのカセットへのローディング(収納)又はアンローディングを容易にするものとして、特許文献1においては、自動ロボットを採用した装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−114641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、半導体プロセス中の実験、試験や検査のための工程にウェハが投入されることがある。また、製品とするウェハ以外のダミーウェハが工程中に投入されることもある。このような場合には、搬送工程において自動ロボットを利用することができず、人手でウェハをウェハ治具に収納する必要があることがある。
【0009】
しかしながら、ウェハ治具の溝の上下の間隔が左右の溝間の距離に比べて極めて小さいことから、同一高さの左右の溝を確認することが困難である。このため、左右で異なる高さの溝にウェハを挿入してしまうこともあり、また、同一高さの左右の溝に正確にウェハを挿入するために、比較的長時間を要してしまうことがあるという問題点があった。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、左右の同一高さの位置に照明光を照射することで、容易に対応する一対の溝を確認することができるウェハカセット及びウェハ位置指示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るウェハカセットは、開口した前面を有する筐体を構成する一対の側壁と、前記一対の側壁に夫々複数設けられた溝部と、前記溝部へ照明光を照射するために前記筐体の裏壁又は側壁の一方に設けられる開口部とを具備したことを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、筐体を構成する一対の側壁には、夫々溝部が複数設けられる。筐体の裏壁又は側壁の一方には、開口部が設けられる。この開口部を介して溝部に照明光を照射することで、左右で同一高さの溝部同士を認識することが容易となる。これにより、ウェハを一対の側壁の同一位置に簡単に収納することができる。
【0013】
本発明に係るウェハ位置指示装置は、上記ウェハカセットの前面側又は背面側に配置され、前記開口した前面又は前記裏壁に設けられた開口部を介して前記一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する照明手段を具備したことを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、照明手段は、ウェハカセットの前面側又は背面側に配置される。前面側に配置された場合には、開口した前面を介して、一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明し、背面側に配置された場合には、裏壁に設けられた開口部を介して一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する。これにより、ウェハカセットの左右で同一高さの溝部同士を認識することが容易となり、ウェハを一対の側壁の同一位置に簡単に収納することができる。
【0015】
また、前記照明手段は、前記一対の溝部を夫々照明する2つの光出射手段を具備したことを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、2つの光出射手段によって、相互に離間した一対の側壁に設けられた溝部を同時に照射することができる。
【0017】
また、前記照明手段は、前記一対の溝部を夫々交互に照明するための水平面の法線方向を軸にした回転機構を具備したことを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、回転機構によって照明光を回転させることで、相互に離間した一対の側壁に設けられた溝部を交互に照射することができる。
【0019】
また、上記ウェハカセットの側面に配置され、前記側壁に設けられた開口部を介して前記一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する照明手段を具備したことを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、照明手段は、ウェハカセットの側面側に配置される。照明手段は、側壁に設けられた開口部を介して、一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する。これにより、ウェハカセットの左右で同一高さの溝部同士を認識することが容易となり、ウェハを一対の側壁の同一位置に簡単に収納することができる。
【0021】
また、前記照明手段は、異なる高さの前記一対の溝部を照明するために照明の高さを変更する手段を具備したことを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、照明の高さを変更して任意の高さの一対の溝部を照明することができるので、所望の位置において同一高さの溝部の確認が容易となる。これにより、ウェハを任意の高さに配置することができる。
【0023】
また、本発明に係るウェハカセットは、開口した前面を有する筐体を構成する一対の側壁と、前記一対の側壁に夫々複数設けられた溝部と、前記溝部へ照明光を照射するために前記筐体の裏壁又は側壁の一方に設けられる開口部と、前記前面側又は背面側に配置され、前記開口した前面又は前記裏壁に設けられた開口部を介して前記一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する照明手段を有するウェハ位置指示装置と、具備したことを特徴とする。
【0024】
また、前記照明手段は、前記一対の溝部を夫々照明する2つの光出射手段を具備したことを特徴とする。
【0025】
また、前記照明手段は、前記一対の溝部を夫々交互に照明するための水平面の法線方向を軸にした回転機構を具備したことを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係るウェハカセットは、開口した前面を有する筐体を構成する一対の側壁と、前記一対の側壁に夫々複数設けられた溝部と、前記溝部へ照明光を照射するために前記筐体の裏壁又は側壁の一方に設けられる開口部と、前記側壁の近傍に配置され、前記側壁に設けられた開口部を介して前記一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する照明手段を有するウェハ位置指示装置と、具備したことを特徴とする。
【0027】
また、前記照明手段は、異なる高さの前記一対の溝部を照明するために照明の高さを変更する手段を具備したことを特徴とする。
【0028】
これらの構成によれば、ウェハ位置指示装置が一体的に構成されていることから、裏壁及び側壁と照明手段との位置関係が固定されるので、照明光の高さ調整が容易である。
【0029】
本発明に係る電気光学装置の製造方法は、電気光学装置用基板を、上記ウェハカセットの前記一対の側壁に夫々複数設けられた溝部のうちの対応する位置の溝部に挿入する工程を具備したことを特徴とする。
【0030】
このような構成によれば、一対の側壁の対応する位置の溝部同士を容易に認識することができるので、電気光学装置用基板を確実に対応する位置の突部又は溝部に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1及び図2は本発明の第1の実施の形態に係り、図1はウェハカセットを示す正面図であり、図2はウェハ位置指示装置を示す説明図である。
【0032】
図1において、ウェハカセット1は前面が開口した筐体である。ウェハカセット1は、平面的にはウェハ4よりも若干大きなサイズに構成されて、ウェハ4を収納可能である。即ち、ウェハ4が円形状である場合には、平面的にはウェハカセット1の縦方向及び横方向の寸法は、ウェハ4の直径よりも若干大きなサイズに設定され、ウェハ4が四角形の場合には、平面的には、ウェハカセット1の縦方向及び横方向の寸法は、ウェハ4の縦方向及び横方向の寸法よりも夫々若干大きなサイズに設定される。
【0033】
ウェハカセット1は、高さ方向には所定の高さを有して、所定枚数のウェハ4を収納することができるようになっている。ウェハカセット1は左右方向の一対の側壁11a,11bに、内側に向けて突出した複数の段部2が設けられている。段部2はウェハカセット1の前面から奥行き方向に延出し、上下の段部2同士でウェハカセット1の前面から奥行き方向まで延びた溝部3を構成する。
【0034】
左右の側壁11a,11bに設けた各段部2は、対応する左右の段同士で相互に同一の高さに配置され、左右の溝部3はウェハカセット1の同一高さの位置に設けられる。なお、各段部2の高さ方向の寸法(肉厚)は、必ずしも同一でなくてもよいが、例えば、各段部2の上面、即ち、溝部3の底面の位置は、少なくとも左右の対応する段部同士で同一となっている。
【0035】
本実施の形態においては、ウェハカセット1は背面壁6が後述する高さ確認用の光を透過させるための開口部5を有している。本実施の形態においては、図2に示すように、ウェハカセット1の背面側にウェハ位置指示装置10を配置するようになっている。ウェハ位置指示装置10は、ウェハカセット1の高さと同様の高さを有する光照射部11を有している。光照射部11は一対の出射レンズ12a,12bを有しており、これらの一対の出射レンズ12a,12bは、相互に同一高さに配置され、図示しない駆動機構によって同時に駆動されて、上下動自在となっている。出射レンズ12a,12bは、略水平な光を出射することができるようになっており、出射レンズ12a,12bからの各出射光13a,13bは、高さ確認用の光として、ウェハカセット1の背面の開口部5を介して左右の側壁部11a,11bに設けられた溝部3を照明するようになっている。
【0036】
出射レンズ12a,12bの上下動は、コントロール部14によって制御される。コントロール部14は、出射光13a,13bによって照射される位置を制御することができるようになっている。例えば、コントロール部14は、溝部3の上下方向の段数によって、出射光13a,13bの照射位置を指定することができるようになっている。
【0037】
なお、本実施の形態においては、ウェハ位置指示装置10は、ウェハカセット1の側壁部11a,11bの内面を夫々照射する照射レンズ12a,12bを設けた例を示したが、1つの照射レンズのみを用い、光照射部11を水平面内で回動させることで、1つの出射光を回転させて、ウェハカセット1の両側壁部11a,11bの内面を照射させるようにしてもよい。
【0038】
また、光照射部11はレーザー光を出射するものであってもよく、また、集光されたランプ光を出射するものであってもよい。
【0039】
このように構成された実施の形態においては、オペレータは、左右の側壁部11a,11bに夫々形成された溝部3に照射される高さ確認用の光を参考にしながら、ウェハ4をウェハカセット1内に収納する。即ち、ウェハ位置指示装置10のコントロール部14は、ウェハ4を挿入する位置として適宜段数を設定し、この設定に応じて、出射レンズ12a,12bの上下位置を設定する。出射レンズ12a,12bは同時に上下動して、同一高さとなる。
【0040】
コントロール部14は出射レンズ12a,12bが設定位置に到達すると、出射レンズ12a,12bから光を出射させる。出射光13a,13bは、ウェハカセット1の背面の開口部5を介して夫々側壁部11a,11bの内面に照射される。コントロール部14の高さ制御によって、出射光13a,13bは同一高さ位置の側壁部11a,11bの所定の溝部3に照射される。
【0041】
オペレータは、図示しないウェハピンセットを用いてウェハ4を保持し、両側壁部11a,11bの溝部3に照射された光を見ながら、この光の位置の溝部3にウェハ4を挿入して溝部3内にウェハ4を格納する。光が照射された左右の溝部3同士は、ウェハカセット1内の同一の高さの位置に設けられており、オペレータが光が照射された左右の溝部3にウェハ4を収納することで、ウェハ4を確実に水平に配置することができる。
【0042】
このように、本実施の形態においては、段部同士の間隔が狭い場合でも、光照射された左右の溝部にウェハを挿入することで、ウェハを確実に水平状態で溝内に収納することができる。
【0043】
なお、ウェハカセット1の前方からウェハ位置指示装置10によって溝部3に光を照射しながら、ウェハ4の挿入が可能である場合には、ウェハ位置指示装置10をウェハカセット1の前方に配置してもよく、この場合には、ウェハカセット1の背面に開口部6を設ける必要はない。
【0044】
図3及び図4は本発明の第2の実施の形態に係り、図3はウェハカセット及びウェハ位置指示装置を示す説明図であり、図4は高さ確認用光の照射を説明するための説明図である。
【0045】
第1の実施の形態においては、ウェハカセットの背面又は前面から左右の側壁部に夫々光を照射することで、左右の同一高さの溝を確認した。これに対し、本実施の形態は、ウェハカセットの側面から左右の側壁部に光を照射することで、左右の同一高さの溝を確認可能にしたものである。
【0046】
本実施の形態においては、ウェハカセット1に代えてウェハカセット21を採用する。図3に示すように、ウェハカセット21の背面には開口部は設けられておらず、ウェハカセット21は、各溝部3に対応して、側壁部25a,25bに開口部22が設けられている。
【0047】
本実施の形態においては、図3に示すように、ウェハカセット21の側面側にウェハ位置指示装置31を配置するようになっている。ウェハ位置指示装置31は、ウェハカセット21の高さと同様の高さを有する光照射部32を有している。光照射部32は出射レンズ35を有しており、出射レンズ35は図示しない駆動機構によって駆動されて、上下動自在となっている。出射レンズ35は、略水平な光を出射することができるようになっており、出射レンズ35からの出射光36は、高さ確認用の光として、ウェハカセット21の側壁部25bの開口部22を介して左右の側壁部25a,25bに設けられた溝部3を照明するようになっている。
【0048】
出射レンズ35の上下動は、コントロール部33によって制御される。コントロール部33は、出射光36によって照射される位置を制御することができるようになっている。例えば、コントロール部33は、入力部34を有しており、オペレータによって溝部3の上下方向の段数が指示され、この指示に基づいて出射光36の照射位置を指定することができるようになっている。
【0049】
このように構成された実施の形態においても、オペレータは、左右の側壁部25a,25bに夫々形成された溝部3に照射される高さ確認用の光を参考にしながら、ウェハ4をウェハカセット21内に収納する。即ち、ウェハ位置指示装置31のコントロール部33は、入力部34の操作によってウェハを挿入する段数が指示される。コントロール部33この指示に従って、出射レンズ35の上下位置を設定する。
【0050】
コントロール部33は出射レンズ35が設定位置に到達すると、出射レンズ35から光を出射させる。出射光36は、図4に示すように、ウェハカセット1の側壁部25bに設けた開口部22を介して側壁部25a,25bを照明し、側壁部25bの内面まで照らす。コントロール部33の高さ制御によって、出射光36は所定高さの側壁部25a,25bの溝部3に照射される。
【0051】
オペレータは、図示しないウェハピンセットを用いてウェハ4を保持し、両側壁部25a,25bの溝部3に照射された光を見ながら、この光の位置の溝部3にウェハ4を挿入して溝部3内にウェハ4を格納する。光が照射された左右の溝部3同士は、ウェハカセット1内の同一の高さの位置に設けられており、オペレータが光が照射された左右の溝部3にウェハ4を収納することで、ウェハ4を確実に水平に配置することができる。
【0052】
このように、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、本実施の形態においては、ウェハ位置指示装置31がウェハカセット21と別体に構成されている例を示したが、両者が一体的に構成されるものを採用することもできることは明らかである。この場合には、背面壁及び側壁と照明出射レンズとの位置関係が固定されるので、照明光の高さ調整が容易である。
【0054】
また、各上記実施の形態においては、1色の照明光のみを用いて、左右の溝部を照明する例について説明したが、複数色の照明光を異なる高さに出射可能であれば、複数の高さの左右の溝部を同時に照明することも可能である。また、十分に離間した高さで複数の照明光を出射可能であれば、同一色の光を用いた場合でも、複数の高さの左右の溝部を同時に照明してもよい。
【0055】
図5及び図6は上記各実施の形態のウェハカセットを用いて製造された電気光学装置を示している。図5は電気光学装置用基板であるTFT基板等の素子基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図であり、図6は素子基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の電気光学装置である液晶装置を、図5のH−H'線の位置で切断して示す断面図である。
【0056】
電気光学装置である液晶装置は、図5及び図6に示すように、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板を用いた素子基板10と、これに対向配置される、例えばガラス基板や石英基板を用いた対向基板20との間に液晶50を封入して構成される。対向配置された素子基板10と対向基板20とは、シール材41によって貼り合わされている。
【0057】
素子基板10上には画素を構成する画素電極(ITO)9a等がマトリクス状に配置される。また、対向基板20上には全面に対向電極(ITO)21が設けられる。素子基板10の画素電極9a上には、配向処理が施された配向膜16が設けられている。一方、対向基板20条には第1遮光膜23が形成され、第1遮光膜23上には、対向電極(共通電極)21が基板20全面に亘って形成されている。対向電極21上に配向処理が施された配向膜22が積層されている。また、対向基板20には表示領域を区画する額縁としての遮光膜42が設けられている。遮光膜42は例えば遮光膜23と同一又は異なる遮光性材料によって形成されている。
【0058】
液晶を封入するためのシール材41は、遮光膜42の外側の領域の素子基板10と対向基板20との間に形成される。シール材41は対向基板20の輪郭形状に略一致するように配置され、素子基板10と対向基板20を相互に固着する。シール材41は、素子基板10の1辺の一部において欠落しており、液晶50を注入するための液晶注入口78が形成される。貼り合わされた素子基板10及び対向基板20相互の間隙には、液晶注入口78より液晶が注入される。液晶注入後に、液晶注入口78を封止材79で封止するようになっている。
【0059】
素子基板10のシール材41の外側の領域には、データ線駆動回路61及び実装端子62が素子基板10の一辺に沿って設けられており、この一辺に隣接する2辺に沿って、走査線駆動回路63が設けられている。素子基板10の残る一辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路63間を接続するための複数の配線64が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、素子基板10と対向基板20との間を電気的に導通させるための導通材65が設けられている。
【0060】
上記各実施の形態に係るウェハカセットは、図5及び図6に示す素子基板10又は対向基板20の種々の製造工程において採用される。例えば、素子基板10又は対向基板20の搬送に際して、素子基板10又は対向基板20を上記各実施の形態のウェハカセットに挿入して、搬送するのである。上記各実施の形態のウェハカセットは、左右の対応する溝部が照明されており、素子基板10又は対向基板20を確実に同一段に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ウェハカセットを示す正面図。
【図2】ウェハ位置指示装置を示す説明図。
【図3】ウェハカセット及びウェハ位置指示装置を示す説明図。
【図4】高さ確認用光の照射を説明するための説明図。
【図5】各実施の形態のウェハカセットを用いて製造された電気光学装置を示す平面図。
【図6】各実施の形態のウェハカセットを用いて製造された電気光学装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0062】
1…ウェハカセット、2…段部、3…溝部、4…ウェハ、11a,11b…側壁、5…開口部、10…ウェハ位置指示装置、11…光照射部、14…コントロール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口した前面を有する筐体を構成する一対の側壁と、
前記一対の側壁に夫々複数設けられた溝部と、
前記溝部へ照明光を照射するために前記筐体の裏壁又は側壁の一方に設けられる開口部とを具備したことを特徴とするウェハカセット。
【請求項2】
請求項1に記載のウェハカセットの前面側又は背面側に配置され、前記開口した前面又は前記裏壁に設けられた開口部を介して前記一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する照明手段を具備したことを特徴とするウェハ位置指示装置。
【請求項3】
前記照明手段は、前記一対の溝部を夫々照明する2つの光出射手段を具備したことを特徴とする請求項2に記載のウェハ位置指示装置。
【請求項4】
前記照明手段は、前記一対の溝部を夫々交互に照明するための水平面の法線方向を軸にした回転機構を具備したことを特徴とする請求項2に記載のウェハ位置指示装置。
【請求項5】
請求項1に記載のウェハカセットの側面に配置され、前記側壁に設けられた開口部を介して前記一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する照明手段を具備したことを特徴とするウェハ位置指示装置。
【請求項6】
前記照明手段は、異なる高さの前記一対の溝部を照明するために照明の高さを変更する手段を具備したことを特徴とする請求項2又は6のいずれか一方に記載のウェハ位置指示装置。
【請求項7】
開口した前面を有する筐体を構成する一対の側壁と、
前記一対の側壁に夫々複数設けられた溝部と、
前記溝部へ照明光を照射するために前記筐体の裏壁又は側壁の一方に設けられる開口部と、
前記前面側又は背面側に配置され、前記開口した前面又は前記裏壁に設けられた開口部を介して前記一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する照明手段を有するウェハ位置指示装置と、
を具備したことを特徴とするウェハカセット。
【請求項8】
前記照明手段は、前記一対の溝部を夫々照明する2つの光出射手段を具備したことを特徴とする請求項7に記載のウェハカセット。
【請求項9】
前記照明手段は、前記一対の溝部を夫々交互に照明するための水平面の法線方向を軸にした回転機構を具備したことを特徴とする請求項7に記載のウェハカセット。
【請求項10】
開口した前面を有する筐体を構成する一対の側壁と、
前記一対の側壁に夫々複数設けられた溝部と、
前記溝部へ照明光を照射するために前記筐体の裏壁又は側壁の一方に設けられる開口部と、
前記側壁の近傍に配置され、前記側壁に設けられた開口部を介して前記一対の側壁の同一高さに設けられた一対の溝部を照明する照明手段を有するウェハ位置指示装置と、
を具備したことを特徴とするウェハカセット。
【請求項11】
前記照明手段は、異なる高さの前記一対の溝部を照明するために照明の高さを変更する手段を具備したことを特徴とする請求項7又は10のいずれか一方に記載のウェハカセット。
【請求項12】
電気光学装置用基板を、請求項1乃至11のいずれか1つに記載のウェハカセットの前記一対の側壁に夫々複数設けられた溝部のうちの対応する位置の溝部に挿入する工程を具備したことを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−108144(P2006−108144A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288683(P2004−288683)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】