説明

エポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー固体樹脂の製造方法

本発明の対象は、
a)塩化ビニル50〜90質量%、
b)エポキシド含有ビニルモノマー5〜25質量%、及び
c)1〜18個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルキルカルボン酸の、1種類又は数種類のビニルエステル5〜25質量%、
d)a)、b)及びc)と共重合可能な、更なるコモノマー0〜40質量%
(その際質量%の記載は合計で100質量%になる)を、含有する混合物の、水性系の、ラジカルにより開始した重合、及び前記重合により得られた水性分散液の引き続く乾燥により得られる、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー固体樹脂、その製造方法、及びその使用、殊に塗料樹脂組成物におけるその使用に関する。
【0002】
エポキシ基含有塩化ビニル−混合重合体は、塗料中のバインダーとして使用される。ヒートシール性塗料における使用、例えばアルミニウム被覆のための、ヒートシール性塗料における使用が殊に際だつ。溶液としてだけの、例えばトルエン及び/又はメチルエチルケトン中において得られる、エポキシ含有塩化ビニル−酢酸ビニル−共重合体は確立されている。これは使用者にとっては、塗料樹脂の適用のために使用してよい溶剤の選択に関連して、即ち塗料樹脂が提供される溶剤、又は前記樹脂と相容性である溶剤に強く限定されるという欠点を有する。
【0003】
前記背景に対して、本発明の基礎となる課題は、エポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーを、その固体樹脂の形状において提供することである。
【0004】
本発明の対象は、
a)塩化ビニル50〜90質量%、
b)エポキシド含有ビニルモノマー5〜25質量%、及び
c)1〜18個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルキルカルボン酸の、1種類又は数種類のビニルエステル5〜25質量%、
d)a)、b)及びc)と共重合可能な、更なるコモノマー0〜40質量%
(その際質量%の記載は合計で100質量%になる)を、含有する混合物の、水性系の、ラジカルにより開始した重合、及び前記重合により得られた水性分散液の引き続く乾燥により得られる、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーである。
【0005】
有利には、塩化ビニル70〜90質量%、殊に有利には75〜85質量%が共重合される。
【0006】
適したエポキシド含有ビニルモノマーb)は、例えばメチルグリシジルメタクリラート、メチルグリシジルアクリラート、アリルグリシジルエーテル、アリルフェノールグリシジルエーテル、グリシジルメタクリラートである。有利には、グリシジルメタクリラート(GMA)である。エポキシド含有ビニルモノマーb)、とりわけグリシジルメタクリラートが、有利には5〜15質量%、殊に有利には8〜15質量%共重合される。
【0007】
有利なビニルエステルモノマーc)は、1〜12個のC原子を有するカルボン酸のビニルエステルモノマーである。殊に有利には、酢酸ビニル、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニル−2−エチルヘキサノアート、ビニルラウラート、1−メチルビニルアセタート、ビニルピバラート及び、9〜13個のC原子を有するα−分枝したモノカルボン酸のビニルエステル、例えばVeoVa9又はVeoVa10(Shell社の商品名)である。もっとも有利には、酢酸ビニルである。有利には、ビニルエステルモノマーc)、殊に酢酸ビニル5〜15質量%が共重合される。
【0008】
適した、更なる共重合可能なコモノマーd)は、1〜18個のC原子を有する、分枝又は非分枝したアルコール又はジオールのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、エチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸、並びに前記無水物を含むグループからの1種類又は数種類のエチレン性不飽和モノマーである。
【0009】
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのグループからの有利なモノマーは、1〜15個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルコールのエステルである。殊に有利なメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルは、メチルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルアクリラート、エチルメタクリラート、プロピルアクリラート、プロピルメタクリラート、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタクリラート、t−ブチルアクリラート、t−ブチルメタクリラート、2−エチルヘキシルアクリラートである。もっとも有利には、メチルアクリラート、メチルメタクリラート、n−ブチルアクリラート、t−ブチルアクリラート及び2−エチルヘキシルアクリラートである。
【0010】
適したエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸並びに前記無水物の例は、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸である。
【0011】
ラジカルにより開始した重合は、懸濁重合又は乳化重合を用いて行われてよい。有利には、懸濁重合である。重合温度は一般には20℃〜80℃である。重合の開始は、一般に使用される、水溶性又はモノマー可溶性の開始剤又はレドックス開始剤の組み合わせを用いて行われてよい。水溶性開始剤の例は、ペルオキソ二硫酸のナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩である。モノマー可溶性の開始剤の例は、ジセチルペルオキシジカルボナート、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボナート、過酸化ジベンゾイル、及びtert−ブチルペルオキシピバラートである。前述の開始剤は一般にはそのつどモノマーの総質量に対して、0.01〜1.0質量%、有利には0.1〜0.5質量%の量において、使用される。
【0012】
懸濁重合及び乳化重合の際には、水中で、界面活性物質、例えば保護コロイド及び/又は乳化剤の存在下で重合される。適した保護コロイドは例えば部分けん化されたポリビニルアルコール及びセルロースエーテルである。適した乳化剤はアニオン性、カチオン性乳化剤と同様に非イオン乳化剤でもあり、例えばアニオン界面活性剤、例えば8〜18個のC原子の鎖長を有するアルキルスルファート、8〜18個のC原子を有するアルキルスルフォナート又はアルキルアリールスルフォナート、スルフォコハク酸と一価のアルコール又はアルキルフェノールとのエステル及び半エステル、又は非イオン界面活性剤、例えば60個までのエチレンオキシドユニット又はプロピレンオキシドユニットを有するアルキルポリグリコールエーテル又はアルキルアリールポリグリコールエーテルである。
【0013】
固体樹脂の熱安定性の改良のために、場合によって重合の間又は重合後に、そのつどコモノマーの総質量に対して、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸0.001〜0.1質量%、有利には0.005〜0.05質量%が添加される。有利にはアスコルビン酸が使用される。添加は、有利にはモノマーの計量供給終了後に、並びに残存モノマーの除去の前に、間に、又は後に行われる。最も有利には、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸の他に、更にクエン酸を添加する実施態様である。クエン酸の量は、そのつどコモノマーの総質量に対して、0.001〜0.1質量%、有利には0.005〜0.05質量%である。
【0014】
分子量の制御のために、重合の間に調節物質を使用してよい。調節剤が使用される場合には、前記調節剤は通常は、重合するモノマーに対して0.02〜10.0質量%の量において使用され、及び単独で、又は反応構成要素と前混合して計量供給される。前記物質の例は、ハロゲン化アルカン及びハロゲン化アルケン、例えば四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチル、トリクロロエチレン、並びにアルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びイソブチルアルデヒドである。
【0015】
有利にはプロピオンアルデヒドの存在下で重合される。プロピオンアルデヒドは、その他の調節剤、例えばトリクロロエチレンに対して、より少ない量でも調節作用が得られる利点を有する。有利には従ってこれは、所望の分子量に応じて、モノマーに対して0.02〜5質量%の量において添加される。
【0016】
モノマーは全部一緒に計量供給されるか、又は一部のモノマーが装入され、残分が重合開始後に計量供給される。計量供給は別々に(空間的に及び時間的に)実施されるか、又は計量供給する構成要素を全て又は一部、前乳化して計量供給してよい。重合の終了後、残存モノマーの除去のために、公知の方法の使用において後重合してよく、例えばレドックス触媒によって開始した後重合によって後重合してよい。揮発性の残存モノマーは、蒸留、有利には減圧下での蒸留も用いて、及び場合によって不活性な共留気体、例えば空気、窒素又は水蒸気の導通又は移送下で除去されてよい。
【0017】
エポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーは、水性分散液から、沈殿、濾過、及び引き続く乾燥による通常の方法を用いて、又はデカンテーション及び引き続く乾燥を用いて、固体樹脂の形状において単離されてよい。乾燥は、当業者に公知の方法において、例えば回転乾燥器中、フラッシュ乾燥器中、流動床乾燥器中、又はサイクロン乾燥器中において行われてよい。
【0018】
エポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーは、180℃までの高い耐ブロッキング性において優れていて、かつ溶剤、酸及び塩基に対する高い耐薬品性において優れている。
【0019】
固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーは、例えば接着剤として、殊に紙幣又はプラスチックカードにおいて安全マークの接着のための接着剤として、塗料用のバインダーとして、例えばアルミニウム被覆のための塗料用のバインダーとして適している。
【0020】
以下の実施例は本発明の更なる説明に役立つ:
実施例1:
懸濁重合の方法により、塩化ビニル82質量%、酢酸ビニル9質量%、及びグリシジルメタクリラート9質量%を用いてコポリマーを製造し、その際重合の開始前にコモノマーを全部装入した。重合の終了後にバッチを大気圧にまで緩和し、アスコルビン酸0.05質量%を添加した。引き続きモノマー除去し、コポリマーを濾過し、洗浄し、乾燥した。
白い、流動性の粉体が得られた。
【0021】
実施例2:
乳化重合の方法により、塩化ビニル82質量%、酢酸ビニル9質量%、及びグリシジルメタクリラート9質量%からコポリマーを製造した。反応の終了時に、大気圧にまで緩和し、そのつどコモノマーの総質量に対して、そのつど10%水溶液として、アスコルビン酸0.02質量%及びクエン酸0.0025質量%をバッチに添加した。引き続きモノマー除去し、共重合体を沈殿させ、濾過し、洗浄し、乾燥した。
白い、流動性の粉体が得られた。
【0022】
実施例3:
実施例2と同様に設定し、違いは、総モノマーに対してプロピオンアルデヒド2質量%の存在下で重合したことである。メチルエチルケトン中のコポリマーの20質量%溶液は、実施例3からの生成物よりもより低い溶液粘性を示した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー固体樹脂の製造方法、及びその使用、殊に塗料樹脂組成物におけるその使用に関する。
【0002】
エポキシ基含有塩化ビニル−混合重合体は、塗料中のバインダーとして使用される。ヒートシール性塗料における使用、例えばアルミニウム被覆のための、ヒートシール性塗料における使用が殊に際だつ。溶液としてだけの、例えばトルエン及び/又はメチルエチルケトン中において得られる、エポキシ含有塩化ビニル−酢酸ビニル−共重合体は確立されている。これは使用者にとっては、塗料樹脂の適用のために使用してよい溶剤の選択に関連して、即ち塗料樹脂が提供される溶剤、又は前記樹脂と相容性である溶剤に強く限定されるという欠点を有する。
【0003】
前記背景に対して、本発明の基礎となる課題は、エポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーを、その固体樹脂の形状において提供することである。
【0004】
本発明の対象は、
a)塩化ビニル50〜90質量%、
b)エポキシド含有ビニルモノマー5〜25質量%、及び
c)1〜18個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルキルカルボン酸の、1種類又は数種類のビニルエステル5〜25質量%、
d)a)、b)及びc)と共重合可能な、更なるコモノマー0〜40質量%
(その際質量%の記載は合計で100質量%になる)を、含有する混合物の、水性系の、ラジカルにより開始した重合、及び前記重合により得られた水性分散液の引き続く乾燥により得られる、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法において、アルデヒドのグループからの調節剤の存在下で、懸濁重合を用いて重合することを特徴とする、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法である。
【0005】
有利には、塩化ビニル70〜90質量%、殊に有利には75〜85質量%が共重合される。
【0006】
適したエポキシド含有ビニルモノマーb)は、例えばメチルグリシジルメタクリラート、メチルグリシジルアクリラート、アリルグリシジルエーテル、アリルフェノールグリシジルエーテル、グリシジルメタクリラートである。有利には、グリシジルメタクリラート(GMA)である。エポキシド含有ビニルモノマーb)、とりわけグリシジルメタクリラートが、有利には5〜15質量%、殊に有利には8〜15質量%共重合される。
【0007】
有利なビニルエステルモノマーc)は、1〜12個のC原子を有するカルボン酸のビニルエステルモノマーである。殊に有利には、酢酸ビニル、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニル−2−エチルヘキサノアート、ビニルラウラート、1−メチルビニルアセタート、ビニルピバラート及び、9〜13個のC原子を有するα−分枝したモノカルボン酸のビニルエステル、例えばVeoVa9又はVeoVa10(Shell社の商品名)である。もっとも有利には、酢酸ビニルである。有利には、ビニルエステルモノマーc)、殊に酢酸ビニル5〜15質量%が共重合される。
【0008】
適した、更なる共重合可能なコモノマーd)は、1〜18個のC原子を有する、分枝又は非分枝したアルコール又はジオールのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、エチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸、並びに前記無水物を含むグループからの1種類又は数種類のエチレン性不飽和モノマーである。
【0009】
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのグループからの有利なモノマーは、1〜15個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルコールのエステルである。殊に有利なメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルは、メチルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルアクリラート、エチルメタクリラート、プロピルアクリラート、プロピルメタクリラート、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタクリラート、t−ブチルアクリラート、t−ブチルメタクリラート、2−エチルヘキシルアクリラートである。もっとも有利には、メチルアクリラート、メチルメタクリラート、n−ブチルアクリラート、t−ブチルアクリラート及び2−エチルヘキシルアクリラートである。
【0010】
適したエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸並びに前記無水物の例は、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸である。
【0011】
ラジカルにより開始した重合は、懸濁重合を用いて行われる。重合温度は一般には20℃〜80℃である。重合の開始は、一般に使用される、水溶性又はモノマー可溶性の開始剤又はレドックス開始剤の組み合わせを用いて行われてよい。水溶性開始剤の例は、ペルオキソ二硫酸のナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩である。モノマー可溶性の開始剤の例は、ジセチルペルオキシジカルボナート、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボナート、過酸化ジベンゾイル、及びtert−ブチルペルオキシピバラートである。前述の開始剤は一般にはそのつどモノマーの総質量に対して、0.01〜1.0質量%、有利には0.1〜0.5質量%の量において、使用される。
【0012】
懸濁重合の際には、水中で、界面活性物質、例えば保護コロイド及び/又は乳化剤の存在下で重合される。適した保護コロイドは例えば部分けん化されたポリビニルアルコール及びセルロースエーテルである。適した乳化剤はアニオン性、カチオン性乳化剤と同様に非イオン乳化剤でもあり、例えばアニオン界面活性剤、例えば8〜18個のC原子の鎖長を有するアルキルスルファート、8〜18個のC原子を有するアルキルスルフォナート又はアルキルアリールスルフォナート、スルフォコハク酸と一価のアルコール又はアルキルフェノールとのエステル及び半エステル、又は非イオン界面活性剤、例えば60個までのエチレンオキシドユニット又はプロピレンオキシドユニットを有するアルキルポリグリコールエーテル又はアルキルアリールポリグリコールエーテルである。
【0013】
固体樹脂の熱安定性の改良のために、場合によって重合の間又は重合後に、そのつどコモノマーの総質量に対して、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸0.001〜0.1質量%、有利には0.005〜0.05質量%が添加される。有利にはアスコルビン酸が使用される。添加は、有利にはモノマーの計量供給終了後に、並びに残存モノマーの除去の前に、間に、又は後に行われる。最も有利には、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸の他に、更にクエン酸を添加する実施態様である。クエン酸の量は、そのつどコモノマーの総質量に対して、0.001〜0.1質量%、有利には0.005〜0.05質量%である。
【0014】
分子量の制御のために、重合の間に調節物質を使用する。調節剤は、重合するモノマーに対して0.02〜10.0質量%の量において使用され、及び単独で、又は反応構成要素と前混合して計量供給される。適した調節剤は、アルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びイソブチルアルデヒドである。
【0015】
有利にはプロピオンアルデヒドの存在下で重合される。プロピオンアルデヒドは、その他の調節剤、例えばトリクロロエチレンに対して、より少ない量でも調節作用が得られる利点を有する。有利には従ってこれは、所望の分子量に応じて、モノマーに対して0.02〜5質量%の量において添加される。
【0016】
モノマーは全部一緒に計量供給されるか、又は一部のモノマーが装入され、残分が重合開始後に計量供給される。計量供給は別々に(空間的に及び時間的に)実施されるか、又は計量供給する構成要素を全て又は一部、前乳化して計量供給してよい。重合の終了後、残存モノマーの除去のために、公知の方法の使用において後重合してよく、例えばレドックス触媒によって開始した後重合によって後重合してよい。揮発性の残存モノマーは、蒸留、有利には減圧下での蒸留も用いて、及び場合によって不活性な共留気体、例えば空気、窒素又は水蒸気の導通又は移送下で除去されてよい。
【0017】
エポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーは、水性分散液から、沈殿、濾過、及び引き続く乾燥による通常の方法を用いて、又はデカンテーション及び引き続く乾燥を用いて、固体樹脂の形状において単離されてよい。乾燥は、当業者に公知の方法において、例えば回転乾燥器中、フラッシュ乾燥器中、流動床乾燥器中、又はサイクロン乾燥器中において行われてよい。
【0018】
エポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーは、180℃までの高い耐ブロッキング性において優れていて、かつ溶剤、酸及び塩基に対する高い耐薬品性において優れている。
【0019】
固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーは、例えば接着剤として、殊に紙幣又はプラスチックカードにおいて安全マークの接着のための接着剤として、塗料用のバインダーとして、例えばアルミニウム被覆のための塗料用のバインダーとして適している。
【0020】
以下の実施例は本発明の更なる説明に役立つ:
実施例1:
懸濁重合の方法により、塩化ビニル82質量%、酢酸ビニル9質量%、及びグリシジルメタクリラート9質量%を用いてコポリマーを製造し、その際重合の開始前にコモノマーを全部装入した。重合の終了後にバッチを大気圧にまで緩和し、アスコルビン酸0.05質量%を添加した。引き続きモノマー除去し、コポリマーを濾過し、洗浄し、乾燥した。
白い、流動性の粉体が得られた。
【0021】
実施例2:
乳化重合の方法により、塩化ビニル82質量%、酢酸ビニル9質量%、及びグリシジルメタクリラート9質量%からコポリマーを製造した。反応の終了時に、大気圧にまで緩和し、そのつどコモノマーの総質量に対して、そのつど10%水溶液として、アスコルビン酸0.02質量%及びクエン酸0.0025質量%をバッチに添加した。引き続きモノマー除去し、共重合体を沈殿させ、濾過し、洗浄し、乾燥した。
白い、流動性の粉体が得られた。
【0022】
実施例3:
実施例2と同様に設定し、違いは、総モノマーに対してプロピオンアルデヒド2質量%の存在下で重合したことである。メチルエチルケトン中のコポリマーの20質量%溶液は、実施例3からの生成物よりもより低い溶液粘性を示し、及び1週間の貯蔵時間の後でも60℃で完全に無色のままである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)塩化ビニル50〜90質量%、
b)エポキシド含有ビニルモノマー5〜25質量%、及び
c)1〜18個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルキルカルボン酸の、1種類又は数種類のビニルエステル5〜25質量%、
d)a)、b)及びc)と共重合可能な、更なるコモノマー0〜40質量%
(その際質量%の記載は合計で100質量%になる)を、含有する混合物の、水性系の、ラジカルにより開始した重合、及び前記重合により得られた水性分散液の引き続く乾燥により得られる、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー。
【請求項2】
エポキシド含有ビニルモノマー5〜15質量%が含有されていることを特徴とする、請求項1記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー。
【請求項3】
メチルグリシジルメタクリラート、メチルグリシジルアクリラート、アリルグリシジルエーテル、アリルフェノールグリシジルエーテル、グリシジルメタクリラートを含むグループからの1種類又は数種類のエポキシド含有ビニルモノマーをコモノマーb)として、共重合することを特徴とする、請求項1又は2記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー。
【請求項4】
酢酸ビニル、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニル−2−エチルヘキサノアート、ビニルラウラート、1−メチルビニルアセタート、ビニルピバラートを含むグループからのビニルエステル、及び9〜13個のC原子を有する、α−分枝したモノカルボン酸のビニルエステル1種類又は数種類をコモノマーc)として、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸を含むグループからのコモノマー1種類又は数種類と場合によって組み合わせて共重合することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー。
【請求項5】
a)塩化ビニル50〜90質量%、
b)エポキシド含有ビニルモノマー5〜25質量%、及び
c)1〜18個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルキルカルボン酸の、1種類又は数種類のビニルエステル5〜25質量%、
d)a)、b)及びc)と共重合可能な、更なるコモノマー0〜40質量%
(その際質量%の記載は合計で100質量%になる)を、含有する混合物の、水性系の、ラジカルにより開始した重合、及び前記重合により得られた水性分散液の引き続く乾燥による、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法。
【請求項6】
重合の間又は重合後に、コモノマーの総質量に対して、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸0.001〜0.1質量%を添加し、場合によってアスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸の他に、更にクエン酸をコモノマーの総質量に対して0.001〜0.1質量%の量において添加することを特徴とする、請求項5記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法。
【請求項7】
重合するモノマーに対して、調節物質0.02〜10質量%の存在下において重合することを特徴とする、請求項5又は6記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法。
【請求項8】
プロピオンアルデヒドの存在下で重合することを特徴とする、請求項7記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法。
【請求項9】
塗料用のバインダーとしての、請求項1から4までのいずれか1項記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの使用。
【請求項10】
接着剤、殊に安全マークの接着のための接着剤としての、請求項1から4までのいずれか1項記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)塩化ビニル50〜90質量%、
b)エポキシド含有ビニルモノマー5〜25質量%、及び
c)1〜18個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルキルカルボン酸の、1種類又は数種類のビニルエステル5〜25質量%、
d)a)、b)及びc)と共重合可能な、硫黄又はリン含有コモノマー以外で、ヒドロキシルアルキル官能性コモノマー及びヒドロキシアリル官能性コモノマー以外の、更なるコモノマー0〜40質量%
(その際質量%の記載は合計で100質量%になる)を、含有する混合物の、水性系の、ラジカルにより開始した重合、及び前記重合により得られた水性分散液の引き続く乾燥により得られる、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー。
【請求項2】
エポキシド含有ビニルモノマー5〜15質量%が含有されていることを特徴とする、請求項1記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー。
【請求項3】
メチルグリシジルメタクリラート、メチルグリシジルアクリラート、アリルグリシジルエーテル、アリルフェノールグリシジルエーテル、グリシジルメタクリラートを含むグループからの1種類又は数種類のエポキシド含有ビニルモノマーをコモノマーb)として、共重合することを特徴とする、請求項1又は2記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー。
【請求項4】
酢酸ビニル、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニル−2−エチルヘキサノアート、ビニルラウラート、1−メチルビニルアセタート、ビニルピバラートを含むグループからのビニルエステル、及び9〜13個のC原子を有する、α−分枝したモノカルボン酸のビニルエステル1種類又は数種類をコモノマーc)として、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸を含むグループからのコモノマー1種類又は数種類と場合によって組み合わせて共重合することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマー。
【請求項5】
a)塩化ビニル50〜90質量%、
b)エポキシド含有ビニルモノマー5〜25質量%、及び
c)1〜18個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルキルカルボン酸の、1種類又は数種類のビニルエステル5〜25質量%、
d)a)、b)及びc)と共重合可能な、更なるコモノマー0〜40質量%
(その際質量%の記載は合計で100質量%になる)を、含有する混合物の、水性系の、ラジカルにより開始した重合、及び前記重合により得られた水性分散液の引き続く乾燥による、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法。
【請求項6】
重合の間又は重合後に、コモノマーの総質量に対して、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸0.001〜0.1質量%を添加し、場合によってアスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸の他に、更にクエン酸をコモノマーの総質量に対して0.001〜0.1質量%の量において添加することを特徴とする、請求項5記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法。
【請求項7】
重合するモノマーに対して、調節物質0.02〜10質量%の存在下において重合することを特徴とする、請求項5又は6記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法。
【請求項8】
プロピオンアルデヒドの存在下で重合することを特徴とする、請求項7記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法。
【請求項9】
塗料用のバインダーとしての、請求項1から4までのいずれか1項記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの使用。
【請求項10】
接着剤、殊に安全マークの接着のための接着剤としての、請求項1から4までのいずれか1項記載の固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)塩化ビニル50〜90質量%、
b)エポキシド含有ビニルモノマー5〜25質量%、及び
c)1〜18個のC原子を有する、非分枝又は分枝したアルキルカルボン酸の、1種類又は数種類のビニルエステル5〜25質量%、
d)a)、b)及びc)と共重合可能な、更なるコモノマー0〜40質量%
(その際質量%の記載は合計で100質量%になる)を、含有する混合物の、水性系の、ラジカルにより開始した重合、及び前記重合により得られた水性分散液の引き続く乾燥により得られる、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法において、アルデヒドのグループからの調節剤の存在下で、懸濁重合を用いて重合することを特徴とする、固体樹脂の形状にあるエポキシ変性した塩化ビニル−ビニルエステル−コポリマーの製造方法
【請求項2】
エポキシド含有ビニルモノマー5〜15質量%が含有されていることを特徴とする、請求項1記載の方法
【請求項3】
メチルグリシジルメタクリラート、メチルグリシジルアクリラート、アリルグリシジルエーテル、アリルフェノールグリシジルエーテル、グリシジルメタクリラートを含むグループからの1種類又は数種類のエポキシド含有ビニルモノマーをコモノマーb)として、共重合することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法
【請求項4】
酢酸ビニル、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニル−2−エチルヘキサノアート、ビニルラウラート、1−メチルビニルアセタート、ビニルピバラートを含むグループからのビニルエステル、及び9〜13個のC原子を有する、α−分枝したモノカルボン酸のビニルエステル1種類又は数種類をコモノマーc)として、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸を含むグループからのコモノマー1種類又は数種類と場合によって組み合わせて共重合することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法
【請求項5】
重合の間又は重合後に、コモノマーの総質量に対して、アスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸0.001〜0.1質量%を添加し、場合によってアスコルビン酸及び/又はイソアスコルビン酸の他に、更にクエン酸をコモノマーの総質量に対して0.001〜0.1質量%の量において添加することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法
【請求項6】
重合するモノマーに対して、調節物質0.02〜10質量%の存在下において重合することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
プロピオンアルデヒドの存在下で重合することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
塗料用のバインダーとしての、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法により得られた生成物の使用。
【請求項9】
接着剤、殊に安全マークの接着のための接着剤としての、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法により得られた生成物の使用。

【公表番号】特表2006−519885(P2006−519885A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500049(P2006−500049)
【出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002213
【国際公開番号】WO2004/078806
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(300006412)ワッカー ポリマー システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Polymer Systems GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johannes−Hess−Strasse 24, D−84489 Burghausen, Germany
【出願人】(505336080)ヴィノリット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (5)
【Fターム(参考)】