説明

エレクトログラフィによる凸情報の選択的印刷

明確な触感を備える凸情報をエレクトログラフィック技術により印刷することができるエレクトログラフィック印刷方法。かかるエレクトログラフィック印刷方法は、標準的なサイズのマーキング粒子を利用する受像部材上に、所望の印刷画像をエレクトログラフィック的に形成するステップと、所望の触感を備える凸情報が形成されるべき場所である、形成された印刷画像の領域において、選択的に、前記所望の印刷画像の前記標準的なサイズのマーキング粒子よりも大きいサイズまで蓄積されるマーキング粒子を利用した所望の触感を備える凸情報を形成するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトログラフィック印刷方法、より詳細には、エレクトログラフィによる触感を備える凸情報の選択的な印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受像部材上に画像を印刷する1つの一般的な方法は、エレクトログラフィと称される。この方法では、静電画像は、均一に誘電体部材を帯電し、次いで、画像様の静電電荷パターンを与えるように均一な電荷の選択領域を放電することによって、誘電体部材上に形成される。かかる放電は、典型的には、均一に帯電された誘電体部材を、誘電体部材に向けられたレーザーデバイス若しくはLEDアレイの特定の光源を選択的に作動させることによって付与される化学線に晒すことによって達成される。画像様の電荷パターンが形成された後、着色された(若しくはある場合は、非着色の)マーキング粒子は、誘電体部材上の電荷パターンとは実質的に逆の電荷が付与され、誘電体部材の近傍に至らされ、画像様の電荷パターンに、かかるパターンが可視の画像に発展するように引き付けられる。
【0003】
その後、適切な受像部材(例えば、無地のボンド紙のカットシート)は、誘電体部材上の、マーキング粒子が発展した画像様の電荷パターンと近位に至らされる。適切な電場は、マーキング粒子を画像様のパターンで受像部材に転写するために印加され、受像部材に所望の印刷画像が形成される。受像部材は、次いで、誘電体部材との動作的な関連から取り出され、熱及び/又は圧力を受け、受像部材へのマーキング粒子の印刷画像が永久的に固定される。当然ながら、受像部材上にマルチカラーの印刷画像を形成するために、例えば異なる色の粒子に対するそれぞれのマーキング粒子画像は、1つの受像部材(定着前)に重畳されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従前のエレクトログラフィック印刷では、マーキング粒子は、比較的大きかった(例えば、10−15μmのオーダー)。その結果、印刷画像は、浮出した(多様に凸状となった表面)外観を呈する傾向があった。たいていの状況では、浮出した外観は、印刷画像の好ましくないアーチファクトとみなされていた。画像の品質を改善するため、及び、浮出した外観を低減するために、長年、より小さいマーキング粒子(例えば、8μmより小さいオーダー)が開発され、今日、より一般的に使用されている。
【0005】
改善された印刷画像の品質により、印刷物提供者及び顧客は、同様に、エレクトログラフィック的に製造される印刷物の使用を拡大する方法を見てきた。印刷のあるクラスでは、印刷物への触感は、非常に望ましいと考えられる。具体的には、封筒のヘッダや名刺用のような超高品質の印刷は、最終的な印刷出力に触感を付与するために、凸の文字印刷を利用する。印刷物における触感が望ましいだろうその他の幾つかの例は、セキュリティ特徴が埋め込まれた、点字印刷物や印刷文書である。しかしながら、現在のところ、エレクトログラフィック技術による触感を有するように凸情報を備える文書を印刷することは、特に一般的に使用される小さいサイズのマーキング粒子を用いる場合に、現実的でなく、大きい粒子が使用されていた過去の印刷技術は、低い品質の画像を生成した。
【0006】
上述から、本発明は、明確な触感を備える凸情報をエレクトログラフィック技術により印刷することができるエレクトログラフィック印刷方法に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかるエレクトログラフィック方法は、標準的なサイズのマーキング粒子を利用する受像部材上に、所望の印刷画像をエレクトログラフィック的に形成するステップと、所望の触感を備える凸情報が形成されるべき場所である、形成された印刷画像の領域において、選択的に、前記所望の印刷画像の前記標準的なサイズのマーキング粒子よりも大きいサイズまで蓄積されるマーキング粒子を利用した所望の触感を備える凸情報を形成するステップとを含む。
【0008】
本発明及びその目的は、以下で提示する好ましい実施例の詳細な説明で明らかになるだろう。
【0009】
以下で提示する本発明の好ましい実施例の詳細な説明では、以下の添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明での使用に適した典型的なエレクトログラフィック再現装置の断面での概略側方視。
【図2】図1のエレクトログラフィック再現装置のエレクトログラフィック画像生成部の拡大した断面での概略側方視。
【図3】図1のエレクトログラフィック再現装置の1つの印刷モジュールの拡大した断面での概略側方視。
【図4】マーキング粒子の印刷画像が形成された受像部材の断面での概略側方視。
【図5】マーキング粒子の印刷画像が形成され、その他、触感を備える凸情報を形成するのに十分な層で、同様のサイズのマーキング粒子を有する受像部材の断面での概略側方視。
【図6】マーキング粒子の印刷画像が形成され、印刷物の前景で触感を備える凸情報を形成するためにより大きなサイズのマーキング粒子を有する受像部材の断面での概略側方視。
【図7】マーキング粒子の印刷画像が形成され、印刷物の背景で触感を備える凸情報を形成するためにより大きなサイズのマーキング粒子を有する受像部材の断面での概略側方視。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照するに、図1乃至図3は、ペンタクローム画像の印刷に適した典型的なエレクトログラフィック印刷エンジン若しくはプリンタ装置の一部を概略的に示す側面視である。本発明の一実施例は、5つのセットの並列配置の単色画像生成ステーション若しくは印刷ステーションを有するエレクトログラフィックエンジンを用いる印刷を伴うが、本発明は、5つ以上若しくは未満の色が単一の受像部材上で組み合わされてよく、若しくは、他の典型的なエレクトログラフィックライタ若しくはプリンタ装置を含んでよいことを想到する。
【0012】
エレクトログラフィックプリンタ装置100は、多数の並列配置されたエレクトログラフィック画像形成印刷モジュールM1,M2,M3,M4,M5を有する。印刷モジュールのそれぞれは、モジュールを通って連続的に移動される受像部材への転写用の単色トナー画像を生成する。各受像部材は、5つのモジュールを通る単一の通過中、ペンタクローム画像を形成するために5つの単色トナー画像まで位置決めされて転写されることができる。ここで使用されるように用語“ペンタクローム”は、受像部材上に形成される画像において、5色のサブセットの組み合わせが、受像部材の種々の位置にて受像部材上に他の色を形成するように組み合わせられること、及び、サブセットの少なくとも幾つかでプロセス印刷を形成するために全ての色が参加し、受像部材の特定の位置で5色のそれぞれが1つ以上の他の色と組み合わせられて当該位置にて特定のカラートナーとは異なる色が形成されることを、暗に意図する。特定の実施例では、印刷モジュールM1は、黒(K)トナーカラー分離画像を形成し、M2は、黄(Y)トナーカラー分離画像を形成し、M3は、マゼンタ(M)トナーカラー分離画像を形成し、M4は、シアン(C)トナーカラー分離画像を形成する。印刷モジュールM5は、赤、青、緑若しくは他の5つ目のカラー分離画像を形成してもよい。知られているように、4つの原色、シアン、マゼンタ、黄及び黒は、そのサブセットの種々の組み合わせで組み合わせられて、色の代表的なスペクトルが形成され、色を形成ために使用されるプロセス及び使用される材料に依存する個々の範囲若しくは再現範囲を有する。しかし、エレクトログラフィックプリンタ装置では、5つ目の色は、色域を改善するために付加されることができる。更に、色域に加えて、5つ目の色は、所有者のロゴを作成するため、若しくは、画像保護目的のための透明トナーのような、特別なカラートナー画像として使用されてもよい。
【0013】
受像部材(図2に示すようなR−R(n−6))は、紙供給ユニット(図示せず)から搬送され、印刷モジュールM1−M5を通って移送される。受像部材は、ローラ102,103まわりに連行され駆動される無限搬送ウェブ101に(例えば、好ましくは、結合されたコロナタックダウンチャージャ124,125を介して静電的に)付けられる。印刷モジュールM1−M5のそれぞれは、同様に、光伝導性イメージングローラ、中間転写部材ローラ及び転写バックアップローラを含む。従って、印刷モジュールM1では、黒色トナー分離画像は、光伝導性イメージングローラPC1(111)で生成され、中間転写部材ローラITM1(112)に転写され、転写ステーションを介して移動する受像部材に再度転写され、当該転写ステーションは、転写バックアップローラTR1(113)とでニップ圧を形成するITM1を含む。同様に、印刷モジュールM2,M3,M4,M5は、それぞれ、PC2,ITM2,TR2(121,122,123),PC3,ITM3,TR3(131,132,133),PC4,ITM4,TR4(141,142,143),及びPC5,ITM5,TR5(151,152,153)を含む。供給ユニットから到達した受像部材Rは、前の受像部材R(n−1)が示されている第1の印刷モジュールM1の転写ステーション内への続く入場のためにローラ102上を通過して示されている。同様に、受像部材R(n−2)、R(n−3)、R(n−4)、R(n−5)は、印刷モジュールM2,M3,M4,M5の転写ステーションをそれぞれ通って移動しているのが示されている。受像部材R(n−6)上に形成された未定着画像は、定着器組立体60(図1に示される)のような、任意の公知の構成の定着器に向けて移動しているのが示されている。
【0014】
電源ユニット105は、転写バックアップローラTR1、TR2,TR3,TR4,TR5にそれぞれ個々の転写電流を供給する。論理制御ユニット230(図1)は、1つ以上のコンピューターを含み、エレクトログラフィックプリンタ装置100に関連した種々のセンサからの信号に応答して、よく理解され知られた採用に従って装置の種々の要素の制御及び処理制御パラメータを提供するために個々の要素にタイミング信号及び制御信号を提供する。清浄ステーション101aは、また、典型的には、搬送ウェブ101に対してその連続した再使用を可能とするために設けられる。
【0015】
代表的な印刷モジュール(例えばM1−M5のうちのM1)が示されている図3を参照するに、エレクトログラフィック印刷装置100の各印刷モジュールは、単色調画像を生成するための複数のエレクトログラフィックイメージングサブシステムを含む。各印刷モジュールは、光伝導性イメージング部材(イメージングシリンダ205の形態で示される)の表面206を均一に静電帯電する主帯電サブシステム210を含む。露光サブシステム220は、それぞれの色の潜在的な静電カラー分離画像を形成するために光伝導性イメージング部材を露光することによって均一な静電電荷を画像様に変調するために設けられる。現像ステーションサブシステム225は、それぞれの色のトナーで、画像様に露光された光伝導性イメージング部材をトナー付けする機能を果たす。中間転写部材215は、転写ニップ201を介して光伝導性イメージング部材から中間転写部材215の表面216に及び中間転写部材215から受像部材(転写ニップへの入場前で示される受像部材236及びトーンカラー分離画像の転写に後続して示される受像部材237)にそれぞれの色分離画像を転写するために設けられ、当該受像部材は、複合のマルチカラー画像を形成するために重畳した態様でそれぞれのトーンカラー分離画像を受ける。
【0016】
それぞれの印刷モジュールM1−M5からのものが位置決めされて重畳された、それぞれのカラー分離画像の転写に続いて、受像部材は、受像部材へのマルチカラートナー画像を定着するために、定着組立体へ前進される。制御のために追加の必要な要素は、それぞれの印刷モジュールの種々の処理要素について組みつけられてもよい(例えば、均一な静電電荷を測定するメータ211、表面206上の非画像領域内に時々形成されるパッチ潜像のパッチ領域内の後露光の表面潜在性を測定するメータ212等)。エレクトログラフィックプリンタ装置100に関する更なる詳細は、YeeS.Ng他の名により2006年6月22日に公開された米国特許公開公報2006/0133870に開示されている。
【0017】
印刷モジュール200に関連付けられるのは、主プリンタ装置の論理制御ユニット(LCU)230であり、これは、プリンタ装置に関連付けられた種々のセンサから入力信号を受信し、制御信号を、印刷モジュールM1−M5のチャージャ210、露光サブシステム220(例えば、LEDライタ)及び現像ステーション225に送る。各印刷モジュールは、印刷装置のメインLCU230に結合された自身のそれぞれのコントローラを有してもよい。
【0018】
各受像部材に重畳する関係で5つのカラートナー分離画像が転写されるのに続いて、受像部材は、次いで、搬送ウェブ101から連続的に離され、定着組立体60への方向に送られ、受像部材へ乾燥したトナー画像が定着若しくは固定される。搬送ウェブは、次いで、双方の表面124,125(図2)を清掃し搬送ウェブ10の反対側の表面上の電荷を中立化する電荷を付与することによって、再使用のために再調整される。
【0019】
静電画像は、それぞれの現像ステーション225により潜像担持光伝導性ドラムに着色マーキング粒子(トナー)を付与することによって現像されるそれぞれの印刷モジュールM1−M5の現像ステーションのそれぞれは、それぞれの潜像を現像するために適切なそれぞれの電圧により電気的にバイアスがかけられ、当該電圧は、単一の電源若しくは個々の電源(図示せず)により供給されてもよい。好ましくは、それぞれの現像器は、トナーマーキング粒子と磁気キャリア粒子を含む2要素現像器である。従って、5つのモジュールのそれぞれは、それぞれの光伝導性ドラム上に異なる色のマーキング粒子画像を生成する。以下で詳説する如く、非着色(即ち透明な)トナー現像ステーションは、着色トナーを付着させる他の印刷モジュールのものと類似する態様で動作するように着色現像器ステーションの1つに置換されてもよい。透明トナー印刷モジュールの現像ステーションは、カラー現像ステーションのトナーマーキング粒子と類似するがトナーバインダ内に着色材料が入れられていない、それぞれに関連するトナー粒子を有する。
【0020】
更に図1を参照するに、搬送ベルト101は、熱及び圧力の印加によりそれぞれの受像部材へトナー粒子を固定させる定着若しくは固定組立体60にトナー画像担持受像部材を搬送する。より詳細には、定着組立体60は、加熱された定着ローラ62と、その間に定着ニップを形成する対向の圧力ローラ64を含む。定着組立体60は、例えばシリコンオイルのような剥離液体を定着ローラ62に塗布する、一般的に68で指示される剥離流体塗布サブステーションも含む。定着された画像を担持する受像部材は、遠隔の出力と例への経路に沿って定着組立体60から連続して搬送され、若しくは、以下で説明される目的のために受像部材の背面上に画像を生成する(デュープレックス印刷)ために画像形成装置に戻される。
【0021】
論理制御ユニット(LCU)230は、LCU230により実行可能である、適切な制御ソフトウェア及びルックアップテーブルを実装するマイクロプロセッサを含む。制御ソフトウェアは、好ましくは、LCU230に関連付けられたメモリ内に記憶される。定着組立体に関連したセンサは、LCU230に適切な信号を供給する。センサに応答して、LCU230は、定着ニップ66内の熱及び/又は圧力を調整するコマンド及び制御信号を発行し、その他の場合、基板をイメージングする定着組立体60の動作パラメータを実質的に中立化及び/又は最適化する。
【0022】
プリンタ装置100による書き込み用の画像データは、ラスタ画像プロセッサ(RIP)により処理されてもよく、RIPは、1つ以上のカラー分離スクリーン生成器を含んでよい。RIPの出力は、それぞれのLEDライタK,Y,M,C,R(第5の色を赤として、黒、黄、マゼンタ、シアン、赤をそれぞれ表す)のそれぞれへのカラー分離印刷データの送信のためにフレームバッファ若しくはラインバッファに記憶されてもよい。RIP及び/又はカラー分離スクリーン生成器は、プリンタ装置の一部若しくはその遠隔であってよい。RIPにより処理される画像データは、カラー文書スキャナ若しくはデジタルカメラから得られてよく、若しくは、コンピューターにより生成されてもよく、若しくは、プリンタにより適切に表現されるようにハーフトーン画像データへと再処理される必要がある連続画像を表す画像データを典型的には含むネットワーク若しくはメモリから得られてもよい。RIPは、所望のカラー印刷物を得るために色補正等を含む画像処理を実行する。カラー画像データは、それぞれの色に分離され、所望のスクリーン角度及びスクリーン規則を含むマトリックスを用いてそれぞれの色のハーフトーンドット画像データにRIPにより変換される。RIPは、適切にプログラムされたコンピューター及び/又は論理デバイスであってよく、印刷に適したハーフトーン情報の形態の加工された画像データに、分離されたカラー画像データを処理する、記憶若しくは生成されたマトリックス及びテンプレートを採用するように適合される。
【0023】
本発明によれば、最終的な触感を備える凸文字情報への要望は、受像部材R上へのトナー粒子の堆積高さTを制御することによって上述の装置100のような、エレクトログラフィック再現装置により達成することができる(図5〜7参照)。上述の如く、凸文字情報は、例えば、点字のような前景若しくは主要画像を提供すること、名刺や便箋のような高品質印刷を生成すること、セキュリティ特徴を文書に付与すること、及び、印刷受像部材に対する所望の表面特性のような背景を画像へ付与することといった具合に、種々の用途を有することができる。
【0024】
凸情報を印刷するとき、特に有意に異なるサイズのトナー粒子セットが設けられるとき、1つのエレクトログラフィックモジュールでは、最終的な印刷物の性能、信頼性及び/又は画質を最適化するため、1つ以上のエレクトログラフィック処理の目標値若しくは動作アルゴリズムを変更することが効果的でありうる。エレクトログラフィックプリンタで制御されてもよいエレクトログラフィック処理の目標値(若しくは動作アルゴリズム)の値の例は、例えば、定着温度、定着ニップ幅、定着ニップ圧、光伝導性部材上のイメージング電圧、トナー粒子現像電圧、転写電圧及び転写電流を含む。凸情報印刷物を作成するエレクトログラフィック装置では、凸情報を印刷するときに所定の制御目標値(若しくは制御パラメータ又はアルゴリズム)が使用される場合に、特別なモードの動作が提供されてもよい。即ち、エレクトログラフィック印刷装置が非凸情報画像を印刷するとき、第1のセットの目標値/制御パラメータが利用される。次いで、凸情報画像を印刷するモードにエレクトログラフィック印刷装置が変化したとき、第2のセットの目標値/制御パラメータが利用される。
【0025】
触感を備える前景の凸情報を生成するための基本的な前提は、選択された情報は、トナー粒子の堆積高さTが少なくとも20μmであるときに所望の感触を呈するということである。堆積高さTは、標準的な一般的な平均体積重み径が9μmより小さいトナー粒子t1の層上に層を選択的に蓄積することによって製造されることができ、この場合、各層は、0.4〜0.5mg/cmの付着量を有する(図5参照)。トナー粒子を参照するとき、トナーサイズ若しくは直径は、Coulter,Insにより販売されるCoulter Multisizerのような従来の直径測定装置により測定されるときの平均体積重み径で定義される。平均体積重み径は、同一質量及び密度の球形粒子の直径により乗算された各トナーの質量の合計を、全体の粒子の質量で除算したものである。
【0026】
或いは、標準的なサイズのトナー粒子t1の幾つかの層は、より大きい12−30μmの一般的な平均体積重み径のトナー粒子t2の層により、所望の凸情報位置に選択的に被覆されることができる(図6参照)。大きいトナー粒子は、好ましくは、透明(即ち、着色されていない)であり、少なくとも2mg/cmの付着量を有する。非凸画像用に小さいマーキング粒子を使用することは、大きい透明な粒子が上部に付着されるときも高品質の画像を可能とするので望ましい。
【0027】
凸印刷は、また、YeeS.Ng他の名により2006年8月24日に公開された米国特許公開公報2006/0187505に開示されるような、画像に、所望の、より全体的な背景テクスチャを付与するために使用されてもよい。即ち、例えばデータベースからの、凸情報用の可変データを使用することは、触感画像の可変データ印刷を可能とし、この場合、背景テクスチャは、例えば、画家のキャンバス、アクリルペインティング、バスケットボール(豚皮)、砂岩、サンドペーパ、布、カーペット、肌、ファー若しくは木理の外観を提供してもよい。最終的なテクスチャは、好ましくは、周期的であるが、ランダムや特異であってもよい。また、低周波数のスクリーニングアルゴリズムを用いてテクスチャを作成することは好ましい。
【0028】
例えば適切なデータベースからの、凸情報用の可変データを使用することは、各印刷ページが、自身の特有の触感を備える特有の情報を含むことを可能とする。凸画像効果を含む領域の色の再現性を改善するために、凸情報に基づいて新たなカラープロフィールを構築することの望ましい場合がある。
【0029】
凸印刷のために5番目の画像データが生成されてもよい幾つかの方法が存在する。5つ目のモジュールの画像データは、YeeS.Ng他の名により2006年11月21日に発行された米国特許第7,139,521号の逆マスク(inverse mask)技術を使用する元のCMYKカラーデータからデジタルフロントエンド(DFE)により生成されることができる。凸情報印刷用の逆マスクは、ゼロのマーキング値を備える任意の加工されたCMYKカラーピクセル値が最大強度(100%)の5番目のモジュールピクセル値を生成させるように形成される。5番目のモジュールの画像データは、次いで、特別なテクスチャを加工するハーフトーンスクリーンで処理される。従って、特別な凸テクスチャ外観は、CMYKトナーが存在する場所の画像上(即ち前景)のどこにも生ずるが、背景領域には生じない。
【0030】
1つの代替実施例では、DFEは、ラスタ画像処理(RIPping)中に各加工されたCYMKカラーピクセルへの画像種類、ライン/グラフィック、文字のような、対象種類情報を保存するために使用されることができる。5番目のモジュールのイメージングデータは、次いで、対象のある種類への操作者の要求に従って生成されることになる。例えば、文字対象種類だけが要求されたとき、DFEは、文字対象についてのみ5番目の画像データを生成する一方、他の対象種類は、ゼロの値を有するだろう。この5番目の画像ピクセルは、次いで、所望の特別なテクスチャを生成するためにハーフトーンスクリーンでスクリーン化されるだろう。ここで、特別な凸テクスチャは、文字対象上で現れる一方、他の対象は外観が通常(非テクスチャ)であるだろう。
【0031】
その他の代替実施例では、特別なテクスチャ外観を備える操作者の選択した5つ目の画像スポットは、CMYK/RGB画像対象の上部上に形成される。DFEは、従って、5番目のチャンネル画像データを加工し、印刷のためにプレスにデータを送る。プレスにおける特別なハーフトーンスクリーン(例えば、コントーンスクリーン)は、5つ目の画像データをスクリーン化するために構成される。その結果、特別な文字は、操作者の選択に一致する凸外観を備えて印刷されることになる。
【0032】
これらのアプローチの全てにおいて、透明なトナーは、3次元のテクスチャを形成するためにカラー画像の上部に付加されてもよい。透明トナー画像平面に対応するテクスチャ情報はバイナリである必要が無いことは考慮されるべきである。即ち、要求される透明トナーの量は、ピクセル毎に、100%若しくは0%の被覆率のいずれかを想定するだけの必要は無い。中間の“グレイレベル”の量も同様に要求することができる。
【0033】
3次元テクスチャ用の透明トナーが被覆されるべき色付き画像の領域において、色は、透明トナーの塗布に起因して変化しうる。このアプローチに対して、2つのカラープロフィールが生成される。第1のカラープロフィールは、上部上の100%の透明トナーの被覆率用であり、第2のカラープロフィールは、上部上の0%の透明トナーの被覆率用である。ピクセル毎に、透明トナー画像平面において必要とされる被覆率に比例して、第3のカラープロフィールが生成され、この第3のカラープロフィールは、第1及び第2のカラープロフィールの値を補間する。従って、2つのカラープロフィールの混合動作は、印刷値を生成するために使用される。好ましい実施例では、特定のピクセルに対応する2つのカラープロフィール値の線形補間が実行される。しかし、幾つかの形態の非線形補間が代わりに実行されてもよいことは理解されるべきである。この技術は、透明トナーテクスチャの空間周波数が低いときに特に有用である。
【0034】
第2のアプローチは、透明トナーテクスチャの空間周波数が高いときに使用されてもよい。かかる場合、唯一のカラープロフィールが当該テクスチャ付きの画像に対して必要とされてもよい。1つの選択肢は、全てのテクスチャに対して元のシステムのICCカラープロフィール、即ち、透明トナーが無いと仮定するICCカラープロフィールを単に使用することである。かかる場合、我々は、色付き画像の外観は、絶対的な色が校正カラーと異なるから僅かに変化するだろうという事実を単に受け入れる。しかし、色が極めて正確でなくても、均一な色領域内に観測可能な色の差異はないだろう。第2の選択肢は、特定の3次元透明トナーテクスチャ表面を備える新たなICCカラープロフィールを構築することである。この態様では、マクロの“色精度”問題が補正されつつ、ピクセル間の色アーチファクトが知覚可能でない。更に、かかるテクスチャ改良型のICCカラープロフィールのライブラリは、操作者が、上述の如く、プロフィールに前に定義したテクスチャを付加するとき毎に使用のために時間に亘って構築されてもよい。かかるシステムを実現するコンピューターソフトウェアアプリケーションは、第2のアプローチに対して、これらの2つの選択肢の一方だけを自動的に呼び出してよく、或いは、その代わりに、おそらくは一方の選択肢をデフォルトとして、操作者に2つの選択肢の選択を表示してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明確な触感を備える凸情報をエレクトログラフィック技術により印刷することができるエレクトログラフィック印刷方法であって、
標準的なサイズのマーキング粒子を利用して、受像部材上に所望の印刷画像をエレクトログラフィック形成するステップと、
所望の触感を備える凸情報が形成されるべき場所である、形成された印刷画像の領域において、選択的に、前記所望の印刷画像の前記標準的なサイズのマーキング粒子よりも大きいサイズまで蓄積されるマーキング粒子を利用して、該所望の触感を備える凸情報を形成するステップとを含む、エレクトログラフィック印刷方法。
【請求項2】
前記所望の印刷画像は、着色マーキング粒子からなり、触感を備える凸情報用のマーキング粒子は、着色されていない、請求項1に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項3】
触感を備える凸情報用のマーキング粒子による付着量は、少なくとも2mg/cmである、請求項1に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項4】
標準的なサイズのマーキング粒子は、9μmより小さい体積平均直径を有し、前記触感を備える凸情報用のマーキング粒子は、12〜30μmのオーダーの体積平均直径を有する、請求項1に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項5】
全体としてのマーキング粒子の堆積高さは、所望の触感を与えるように少なくとも20μmである、請求項1に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項6】
前記触感を備える凸情報は、点字印刷、セキュリティ特徴を付与すること、名刺や便箋のような凸の文字情報を印刷すること、及び、印刷受像部材に対して表面特性を付与すること、のうちのいずれかのために使用される、請求項1に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項7】
前記触感を備える凸情報は、前記印刷画像に周期的なテクスチャを付与する、請求項1に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項8】
前記凸情報は、低周波数のスクリーニングアルゴリズムを用いてスクリーン化される、請求項1に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項9】
前記触感を備える凸情報を印刷するときの、1つ以上のエレクトログラフィック処理の目標値、制御パラメータ若しくはアルゴリズムは、触感を備える凸情報の無い画像を印刷するときにしようされる、エレクトログラフィック処理の目標値、制御パラメータ若しくはアルゴリズムとは異なる所定値に設定される、請求項1に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項10】
明確な触感を備える凸情報のエレクトログラフィック印刷方法であって、
標準的なサイズのマーキング粒子を利用して、受像部材上に所望の印刷画像をエレクトログラフィック形成するステップと、
所望の触感を備える凸情報が形成されるべき場所である、形成された印刷画像の領域において、選択的に、マーキング粒子の複数の層を設けることによって、該所望の触感を備える凸情報を形成するステップとを含む、エレクトログラフィック印刷方法。
【請求項11】
所望の触感を備える凸情報が形成されるべき場所で、選択的に、生成される各ページが独自の情報を含むことができるように可変データを用いて、所望の触感を備える凸情報を形成する、請求項10に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項12】
着色マーキング粒子を備える画像の生成のために新たな色プロフィールは、前記触感を備える凸情報に基づいて構築される、請求項10に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項13】
所望の触感を備える凸情報が形成されるべき場所の印刷部分にて、所望の対象種類だけが前記所望の触感を備えるように、対象種類情報を用いて該凸情報を形成する、請求項10に記載のエレクトログラフィック印刷方法。
【請求項14】
凸情報のための触感を呈する、受像部材上の印刷物であって、
所望の印刷画像を付与する該受像媒体上に粒子の被覆マーキングと共に、触感を備える凸情報が望まれる場所の該受像部材の領域において、所望の触感を与えるための少なくとも20μmの堆積高さの粒子の被覆マーキングを備える、印刷物。
【請求項15】
触感を備える凸情報は、該印刷物の前景にあり、前記印刷画像の少なくとも一部を表す、請求項14に記載の印刷物。
【請求項16】
触感を備える凸情報は、該印刷物の背景にあり、印刷受像部材に対する表面特性を表す、請求項14に記載の印刷物。
【請求項17】
触感を備える凸情報は、該印刷物の前景及び背景にある、請求項14に記載の印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−515103(P2010−515103A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544116(P2009−544116)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/026479
【国際公開番号】WO2008/082648
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】