説明

オキシトシンアンタゴニストとしてのピロリジン誘導体

本発明は、式(I)の新規のピロリジン誘導体:


(式中、R1は、HおよびC1〜C6−アルキルを含む、あるいはこれらからなる群から選択され、
2は、水素、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルキルアリール、ヘテロアリール、C1〜C6−アルキルヘテロアリール、C2〜C6−アルケニル、C2〜C6−アルケニルアリール、C2〜C6−アルケニルヘテロアリール、C2〜C6−アルキニル、C2〜C6−アルキニルアリール、C2〜C6−アルキニルヘテロアリール、C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C1〜C6−アルキルシクロアルキル、C1〜C6−アルキルヘテロシクロアルキル、C1〜C6−アルキルカルボキシ、アシル、C1〜C6−アルキルアシル、C1〜C6−アルキルアシロキシ、C1〜C6−アルキルアルコキシ、アルコキシカルボニル、C1〜C6−アルキルアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1〜C6−アルキルアミノカルボニル、C1〜C6−アルキルアシルアミノ、C1〜C6−アルキルウレイド、アミノ、C1〜C6−アルキルアミノ、スルホニルオキシ、C1〜C6−アルキルスルホニルオキシ、スルホニル、C1〜C6−アルキルスルホニル、スルフィニル、C1〜C6−アルキルスルフィニル、C1〜C6−アルキルスルファニル、C1〜C6−アルキルスルホニルアミノを含む、あるいはこれらからなる群から選択される)
その幾何異性体、エナンチオマーとしてのその光学活性形、ジアステレオマー、これらの混合物およびそのラセミ形、ならびにこれらの塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に医薬品として使用するための、新規のピロリジン誘導体、ならびにこうしたピロリジン誘導体を含有する薬剤調合物に関する。前記ピロリジン誘導体は、早期分娩、早産、および月経困難症の治療および/または予防に有用である。好ましくは、ピロリジン誘導体は、オキシトシン受容体の、調節的な著しいアンタゴニスト活性を示す。より好ましくは、前記化合物は、早期分娩、早産、および月経困難症を含めた、オキシトシンにより仲介される疾病状態の、治療および/または予防に有用である。
【背景技術】
【0002】
産科の分野では、最も重要な問題の1つは、早期分娩および早産の処置である。これらが、周産期の羅病および死亡の主な原因となるためである。
【0003】
早期分娩の治療のために、硫酸マグネシウムおよびエタノールの使用が提案されてきた。しかし、治療範囲の4〜8mg/dLを超える血漿濃度の硫酸マグネシウムは、心臓伝導および神経筋伝達の抑制、呼吸抑制および心停止を引き起こす可能性があるので、特に腎機能が弱っている場合は、この薬剤は不適当となる。
【0004】
エタノールは、早期分娩を予防することに有効であるが、それに付随する胎児の呼吸困難の発生率は低下させない。また、エタノールは、胎児に対してマイナスの影響をもつとみなされている。
【0005】
2種のさらなる治療薬は、次の群のいずれかに分類される:
a)β2−アドレナリンアゴニスト、または
b)オキシトシンアンタゴニスト。
【0006】
β2−アドレナリン受容体は一般に、それが発現される細胞内(筋肉、心臓、子宮など)で、阻害作用を引き起こす。β2−アドレナリンアゴニストは、受容体の前記阻害作用を活性化するために使用される。したがって、β2−アドレナリンアゴニストは、特に子宮収縮を抑制する交換神経作動薬である。早期分娩の治療用の既知のβ2−アドレナリンアゴニストは、リトドリン、テルブタリン、およびアルブテロールである。
【0007】
リトドリン(すなわち(R*,S*)−4−ヒドロキシ−α−[1−[[2(4−ヒドロキシフェニル)エチル]アミノ]エチル]−ベンゼンメタノール;N.V.フィリップス(N.V.Philips)の米国特許第3,410,944号明細書を参照のこと)は、主要なβ2−アドレナリンアゴニストであるが、頻脈、レニン分泌の増大、高血糖(および乳児における反動的な低血糖)を含めて、母親における多くの心血管性および代謝性副作用を引き起こす。
【0008】
テルブタリン(すなわち、5−[2−[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル]−1,3−ベンゼンジオール、米国特許第3,937,838号明細書を参照のこと、ドラコ(Draco))およびアルブテロール(α1−[[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]メチル]−4−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジメタノール、米国特許第3,644,353号明細書、アレン(Allen)およびハンベリーズ(Hanburys))は、さらなるβ2−アドレナリンアゴニストであり、リトドリンと同様の副作用を持つ。
【0009】
早期分娩を治療するより最近の方法は、オキシトシンアンタゴニストの使用にある。
【0010】
オキシトシン(OT)は、その作用が、現在OT受容体(OT−R)(1)に分類されている特異的なGタンパク質結合受容体の活性化によって仲介される、環状ノナペプチドである。
【0011】
オキシトシン(OT)は、分娩中に、哺乳類の子宮の収縮を引き起こす。対応するオキシトシン受容体は、Gタンパク質結合受容体のファミリーに属しており、V1およびV2バソプレシン受容体と同様である。OT受容体は、妊娠の過程の間、劇的に増大する。OT受容体の濃度は、自発的な子宮活性と相関することが示されている(2〜3)。分娩中にOTによって誘発された子宮の収縮は、頸管の拡張をもたらし、最終的には膣管を介して胎児が移動することとなる。ある場合では、胎児が完全に生育可能にならないうちに、こうした収縮が起こり、早期分娩が起こる。早期分娩および早産は、周産期の罹病の主な原因であるので、望まれていない。したがって、早期分娩の処置は、産科の分野において、重要な問題となる。
【0012】
近年、哺乳類、特にヒトにおいて、ホルモンオキシトシンが、分娩を開始する際に主要な役割を果たすことを示す強力な根拠が蓄積している。それに関して、オキシトシンは、子宮筋層を収縮させることによって、また、子宮内膜/脱落膜からの収縮性プロスタグランジンの合成および放出を増強することによって、直接的および間接的に前記効果を発揮するとみなされている。こうしたプロスタグランジンは、頸管熟化プロセスにおいて、さらに役割を果たすことができる。このオキシトシン受容体の「上方制御」および子宮感受性の増大は、時間に対するエストロゲンの血漿レベルの上昇の栄養的(trophic)効果によるように思われる。オキシトシンを下方制御させることによって、子宮に対する、オキシトシンの直接的(収縮性の)効果および間接的効果(プロスタグランジン合成の増大)をブロックできることが予想される。オキシトシンモジュレーター、例えば遮断薬またはアンタゴニストは、早期分娩の治療に有効である可能性がある。
【0013】
オキシトシンに関連するさらなる状態は、月経に伴う痛みまたは不快によって特徴付けられる月経困難症である。痛みは、おそらく、分泌性の子宮内膜において産生されるプロスタグランジンの影響によって仲介される子宮収縮および乏血から引き起こされると考えられている。オキシトシンアンタゴニストは、子宮に対するオキシトシンの間接的および直接的効果をブロックすることによって、月経困難症を治療するための有望な候補物質となるであろう。臨床研究では現在、オキシトシンの作用を打ち消すある種の薬剤が使用されている(4)。
【0014】
アトシバン(atosiban)(既に市場に出ているペプチドOTアンタゴニスト)は、大抵のペプチドの問題(すなわち、腸内分解に起因する経口生体利用効率の低さ)をもつ。こうした化合物は、非経口的に投与されなければならない。
【0015】
この問題を解決するために、ペプチドホルモン受容体のための非ペプチドリガンドの開発が期待される。小分子の選択的なオキシトシンアンタゴニストが、メルク(Merck)によって報告されている。メルク(Merck)は、環状ヘキサペプチドに加えて、経口的に送達可能なOTアンタゴニストとしてのインダニルピペリジンおよびトリル−ピペラジンを提案した(5)。国際公開第96/22775号パンフレットおよび米国特許第5,756,497号明細書では、メルク(Merck)は、OT受容体アンタゴニストとしてのベンゾキサジニルピペリジンまたはベンゾオキサジノンを報告している。
【0016】
特定のスルホンアミドは、オシトシン受容体で、オシトシンに拮抗することが報告された。エルフ・サノフィ(Elf Sanofi)のEP−A−0469984号明細書およびEP−A−0526348号明細書は、バソプレシンおよびオキシトシン受容体のアンタゴニストとして作用するN−スルホニルインドリンを報告している。
【0017】
アメリカンサイアナミッド(American Cyanamid)の米国特許第5,889,001号明細書は、バソプレシンおよびオキシトシンアンタゴニストとしてのピラゾールベンゾジアゼピン誘導体を特許請求している。
【0018】
国際公開第01/72705号パンフレット、国際公開第02/074741号パンフレットおよび国際公開第02/102799号パンフレット(アプライドリサーチシステムズ・エーアールエス・ホールディング(Applied Research Systems ARS Holding)に開示されているOTアンタゴニストは、ピロリジン型化合物である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の態様では、本発明は、式Iの新規のピロリジン誘導体を提供する:
【化1】

【0020】
第2の態様では、本発明は、医薬品として使用するための式(I)の新規のピロリジン誘導体を提供する。
【0021】
第3の態様では、本発明は、早期分娩、早産、月経困難症の治療および/または予防に有用な薬剤組成物を調製するための式Iの化合物を提供する。
【0022】
第4の態様では、本発明は、式Iによる化合物の合成の方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下のパラグラフは、本発明による化合物を構成する様々な化学物質成分の定義を提供するが、これは、他に明白に設定された定義によって、より広い定義が提供されない限り、本明細書および特許請求の範囲全体を通して一律に適用するものとする。
【0024】
「C1〜C6アルキル」は、1から6個の炭素原子を有する一価のアルキル基を指す。この用語の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシルなどの群である。
【0025】
「アリール」は、単一環(例えばフェニル)または複数の縮合環(例えばナフチル)を有する6から14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基を指す。好ましいアリールには、フェニル、ナフチル、フェナントレニルなどが含まれる。
【0026】
「C1〜C6−アルキルアリール」は、ベンジル、フェネチルなどを含めて、アリール置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0027】
「ヘテロアリール」は、単環式の複素環式芳香族あるいは二環式または三環式の縮合環型の複素環式芳香族基を指す。複素環式芳香族基の具体的な例には、任意選択で置換されたピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3−ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタルアジニル、キノキサリニル、シンノリニル(cinnolinyl)、ナプチリジニル(napthyridinyl)、ピリド[3,4−b]ピリジル、ピリド[3,2−b]ピリジル、ピリド[4,3−b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、またはベンゾキノリルが含まれる。
【0028】
「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」は、2−フリルメチル、2−チエニルメチル、2−(1H−インドール−3−イル)エチルなどを含めて、ヘテロアリール置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0029】
「C2〜C6−アルケニル」は、好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1または2個のアルケニル不飽和の部位を有するアルケニル基を指す。好ましいアルケニル基には、エテニル(−CH=CH2)、n−2−プロペニル(アリル、−CH2CH=CH2)などが含まれる。
【0030】
「C2〜C6−アルケニルアリール」は、2−フェニルビニルなどを含めて、アリール置換基を有するC2〜C6−アルケニル基を指す。
【0031】
「C2〜C6−アルケニルヘテロアリール」は、2−(3−ピリジニル)ビニルなどを含めて、ヘテロアリール置換基を有するC2〜C6−アルケニル基を指す。
【0032】
「C2〜C6−アルキニル」は、好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1〜2個のアルキニル不飽和の部位を有するアルキニル基を指し、好ましいアルキニル基には、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CH2C≡CH)などが含まれる。
【0033】
「C2〜C6−アルキニルアリール」は、フェニルエチニル基などを含めて、アリール置換基を有するC2〜C6−アルキニル基を指す。
【0034】
「C2〜C6−アルキニルヘテロアリール」は、2−チエニルエチニルなどを含めて、ヘテロアリール置換基を有するC2〜C6−アルキニル基を指す。
【0035】
「C3〜C8−シクロアルキル」は、単一環(例えばシクロヘキシル)または複数の縮合環(例えばノルボルニル)を有する、3〜8個の炭素原子の飽和炭素環の基を指す。好ましいシクロアルキルには、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニルなどが含まれる。
【0036】
「ヘテロシクロアルキル」は上記定義に従うC3〜C8−シクロアルキル基を指す。ただし、最高3つまでの炭素原子が、O、S、NR(Rは、水素またはメチルと定義される)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられている。好ましいヘテロシクロアルキルには、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、1−メチルピペラジン、モルホリンなどが含まれる。
【0037】
「C1〜C6−アルキルシクロアルキル」は、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルプロピルなどを含めて、シクロアルキル置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0038】
「C1〜C6−アルキルヘテロシクロアルキル」は、2−(1−ピロリジニル)エチル、4−モルホリニルメチル、(1−メチル−4−ピペリジニル)メチルなどを含めて、ヘテロシクロアルキル置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0039】
「カルボキシ」は、基−C(O)OHを指す。
【0040】
「C1〜C6−アルキルカルボキシ」は、2−カルボキシエチルなどを含めて、カルボキシ置換基を有するC1〜C5−アルキル基を指す。
【0041】
「アシル」は、基−C(O)Rを指す。ただし、Rとしては、「C1〜C6−アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルアリール」、または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」が挙げられる。
【0042】
「C1−C6−アルキルアシル」は、2−アセチルエチルなどを含めて、アシル置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0043】
「アシロキシ」は、基−OC(O)Rを指す。ただし、Rとしては、「C1〜C6−アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルアリール」、または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」が挙げられる。
【0044】
「C1〜C6−アルキルアシロキシ」は、2−(アセチルオキシ)エチルなどを含めて、アシロキシ置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0045】
「アルコキシ」は、基−O−Rを指す。ただし、Rとしては、「C1〜C6−アルキル」または「アリール」または「ヘテロアリール」または「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」が挙げられる。好ましいアルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、フェノキシなどが含まれる。
【0046】
「C1〜C6−アルキルアルコキシ」は、2−エトキシエチルなどを含めて、アルコキシ置換基を有するC1〜C5−アルキル基を指す。
【0047】
「アルコキシカルボニル」は、基−C(O)ORを指す。ただし、Rとしては、H、「C1〜C6−アルキル」または「アリール」または「ヘテロアリール」または「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」が挙げられる。
【0048】
「C1〜C6−アルキルアルコキシカルボニル」は、2−(ベンジルオキシカルボニル)エチルなどを含めて、アルコキシカルボニル置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0049】
「アミノカルボニル」は、基−C(O)NRR’を指す。ただし、各R、R’には独立して、水素またはC1〜C6−アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたは「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」が含まれる。
【0050】
「C1〜C6−アルキルアミノカルボニル」は、2−(ジメチルアミノカルボニル)エチルなどを含めて、アミノカルボニル置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0051】
「アシルアミノ」は、基−NRC(O)R’を指す。ただし、各R、R’は独立に、水素または「C1〜C6−アルキル」または「アリール」または「ヘテロアリール」または「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」である。
【0052】
「C1〜C6−アルキルアシルアミノ」は、2−(プロピオニルアミノ)エチルなどを含めて、アシルアミノ置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0053】
「ウレイド」は、基−NRC(O)NR’R’’を指す。ただし、各R、R’、R’’は独立に、水素、「C1〜C6−アルキル」、「C2〜C6−アルケニル」、「C2〜C6−アルキニル」、「C3〜C8−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」、「C2〜C6−アルケニルアリール」、「C2〜C6−アルケニルヘテロアリール」、「C2〜C6−アルキニルアリール」、「C2〜C6−アルキニルヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルシクロアルキル」、「C1〜C6−アルキルヘテロシクロアルキル」であり、かつR’とR’’が、これらが付着される窒素原子と共に、3〜8員のヘテロシクロアルキル環を場合によっては形成できる。
【0054】
「C1〜C6−アルキルウレイド」は、2−(N’−メチルウレイド)エチルなどを含めて、ウレイド置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0055】
「カルバミン酸エステル」は、基−NRC(O)OR’を指す。ただし、各R、R’は独立に、水素、「C1〜C6−アルキル」、「C2〜C6−アルケニル」、「C2〜C6−アルキニル」、「C3〜C8−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」、「C2〜C6−アルケニルアリール」、「C2〜C6−アルケニルヘテロアリール」、「C2〜C6−アルキニルアリール」、「C2〜C6−アルキニルヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルシクロアルキル」、「C1〜C6−アルキルヘテロシクロアルキル」である。
【0056】
「アミノ」は、基−NRR’を指す。ただし、各R、R’は独立に、水素または「C1〜C6−アルキル」または「アリール」または「ヘテロアリール」または「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」または「シクロアルキル」または「ヘテロシクロアルキル」であり、かつRとR’が、これらが付着される窒素原子と共に、3〜8員のヘテロシクロアルキル環を場合によっては形成できる。
【0057】
「C1〜C6−アルキルアミノ」は、2−(1−ピロリジニル)エチルなどを含めて、アミノ置換基を有するC1〜C5−アルキル基を指す。
【0058】
「アンモニウム」は、正に帯電する基−N+RR’R’’を指す。ただし、各R、R’、R’’は独立に、「C1〜C6−アルキル」または「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」、あるいは「シクロアルキル」または「ヘテロシクロアルキル」)であり、かつRとR’が、これらが付着される窒素原子と共に、3〜8員のヘテロシクロアルキル環を場合によっては形成できる。
【0059】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子を指す。
【0060】
「スルホニルオキシ」は、基−OSO2−Rを指す。ただし、Rは、H、「C1〜C6−アルキル」、ハロゲンで置換された「C1〜C6−アルキル」(例えば−OSO2−CF3基)、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」から選択される。
【0061】
「C1〜C6−アルキルスルホニルオキシ」は、2−(メチルスルホニルオキシ)エチルなどを含めて、スルホニルオキシ置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0062】
「スルホニル」は、基「−SO2−R」を指す。ただし、Rは、H、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキル」、ハロゲンで置換された「C1〜C6−アルキル」(例えば−SO2−CF3基)、「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」から選択される。
【0063】
「C1〜C6−アルキルスルホニル」は、2−(メチルスルホニル)エチルなどを含めて、スルホニル置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0064】
「スルフィニル」は、基「−S(O)−R」を指す。ただし、Rは、H、「C1〜C6−アルキル」、ハロゲンで置換された「C1〜C6−アルキル」(例えば−SO−CF3基)、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」から選択される。
【0065】
「C1〜C6−アルキルスルフィニル」は、2−(メチルスルフィニル)エチルなどを含めて、スルフィニル置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0066】
「スルファニル」は、基−S−Rを指す。ただし、Rとしては、「C1〜C6−アルキル」または「アリール」または「ヘテロアリール」または「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」が挙げられる。好ましいスルファニル基には、メチルスルファニル、エチルスルファニルなどが含まれる。
【0067】
「C1〜C6−アルキルスルファニル」は、2−(エチルスルファニル)エチルなどを含めて、スルファニル置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0068】
「スルホニルアミノ」は、基−NRSO2−R’を指す。ただし、各R、R’は独立に、水素または「C1〜C6−アルキル」または「アリール」または「ヘテロアリール」または「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」である。
【0069】
「C1〜C6−アルキルスルホニルアミノ」は、2−(エチルスルホニルアミノ)エチルなどを含めて、スルホニルアミノ置換基を有するC1〜C6−アルキル基を指す。
【0070】
「置換または非置換の」:他に個々の置換基の定義によって限定されない限り、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「アリール」および「ヘテロアリール」などのような、上で述べた基は、「C1〜C6−アルキル」、「C2〜C6−アルケニル」、「C2〜C6−アルキニル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「C1〜C6−アルキルアリール」、「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルシクロアルキル」、「C1〜C6−アルキルヘテロシクロアルキル」、「アミノ」、「アンモニウム」、「アシル」、「アシロキシ」、「アシルアミノ」、「アミノカルボニル」、「アルコキシカルボニル」、「ウレイド」、「カルバミン酸エステル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「スルフィニル」、「スルホニル」、「アルコキシ」、「スルファニル」、「ハロゲン」、「カルボキシ」、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロなどからなる群から選択される1〜5の置換基で、場合によっては置換できる。あるいは、前記置換には、特に近接の官能基が関与する場合、隣接した置換基が、閉環され、それによって、例えば、ラクタム、ラクトン、環状無水物、それだけでなく、アセタール、チオアセタール、アミナール(例えば保護基を得るために閉環によって形成される)が形成されるような状態も含まれる可能性がある。
【0071】
「薬学的に許容される塩または複合体」は、以下で述べる式(I)の化合物の塩または複合体を指す。こうした塩の例には、これに限定されないが、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、またはリチウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウムまたはマグネシウム)からなる群中で選択されるものなどの金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩などの、有機または無機塩基と、あるいは有機一級、二級、または三級アルキルアミンと、式(I)の化合物との反応により形成される塩基付加塩が含まれる。メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N−Me−D−グルカミン、N,N’−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミン、トロメタミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチルモルホリン、プロカイン、ピペリジン、ピペラジンなどから誘導されるアミン塩は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0072】
無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)を用いて形成される酸付加塩から形成される塩、ならびに、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモイン酸(pamoic acid)、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレン二スルホン酸、およびポリガラクツロン酸などの有機酸を用いて形成される塩も含まれる。
【0073】
「薬学的に活性な誘導体」は、レシピエントに投与した後、本明細書に開示される活性を直接または間接的に提供することが可能であるいずれの化合物も指す。
【0074】
「鏡像体過剰率」(ee)は、不斉合成、すなわち非ラセミの出発材料および/または試薬を使用する合成、または少なくとも1つのエナンチオ選択的なステップを含む合成(それによって、少なくとも約52% eeの程度で片方のエナンチオマーの余剰がもたらされる)によって得られる産物を指す。不斉合成でない場合も、OT−Rアンタゴニストとしての活性を当然有するラセミ生成物が、通常得られる。
【0075】
用語「早期分娩」は、妊娠期間が正常に終わる以前の、より詳細には妊娠37週より前の、頸管の展退および拡張を伴う分娩開始の前の、乳児の子宮からの娩出を意味するものとする。これは、膣出血または膜の破裂を伴っても伴わなくても良い。
【0076】
用語「月経困難症」は、痛みを伴う月経を意味するものとする。
【0077】
用語「帝王切開」は、胎児の出産のための腹壁および子宮壁を介する切開を意味するものとする。
【0078】
本発明による化合物は、式Iのものである。
【化2】

【0079】
本発明はまた、式(I)による化合物の幾何異性体、光学活性型、エナンチオマー、ジアステレオマー、これらの混合物、ならびにそれらのラセミ体、さらには薬学的に許容される塩を含む。
【0080】
式(I)におけるR1は、Hおよび置換または非置換のC1〜C6−アルキルを含む群、あるいはこれらからなる群から選択される。好ましくは、R1は、Hまたはメチルである。
【0081】
式(I)におけるBは、−COO、−CONR4、オキサジアゾール、チアジアゾール、またはベンズイミダゾールからなる群から選択される。
【0082】
それに関して、R4は、Hあるいは置換または非置換のC1〜C6−アルキルを含む群、あるいはこれらからなる群から選択される。好ましくは、R4は、H、あるいはメチルまたはエチル基のようなC1〜C3−アルキルである。
【0083】
式(I)におけるR2は、以下を含む群、あるいはこれらからなる群から選択される:水素、置換または非置換のC1〜C6−アルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC1〜C6−アルキルアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のC1〜C6−アルキルヘテロアリール、置換または非置換のC2〜C6−アルケニル、置換または非置換のC2〜C6−アルケニルアリール、置換または非置換のC2〜C6−アルケニルヘテロアリール、置換または非置換のC2〜C6−アルキニル、置換または非置換のC2〜C6−アルキニルアリール、置換または非置換のC2〜C6−アルキニルヘテロアリール、置換または非置換のC3〜C8−シクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルシクロアルキル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルカルボキシ、アシル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルアシル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルアシロキシ、置換または非置換のC1〜C6−アルキルアルコキシ、アルコキシカルボニル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルアミノカルボニル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルアシルアミノ、置換または非置換のC1〜C6−アルキルウレイド、置換または非置換のC1〜C6−アルキルアミノ、置換または非置換のC1〜C6−アルキルスルホニルオキシ、スルホニル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルスルホニル、スルフィニル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルスルフィニル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルスルファニル、置換または非置換のC1〜C6−アルキルスルホニルアミノ。
【0084】
式(I)におけるR3は、置換または非置換のアリールおよび置換または非置換のヘテロアリールを含む群、あるいはこれらからなる群から選択される。
【0085】
あるいは、式(I)におけるR2とR4は、−これらが連結されるN原子と共に−置換または非置換の、5〜8員の飽和または不飽和のヘテロシクロアルキル環(例えばピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリノ部分)を形成していてもよい。こうした環は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル環と、場合によっては融合できる。
【0086】
式(I)におけるnは、1〜3からの整数である。より好ましいのは、1または2である。
【0087】
一実施形態によれば、式(I)の化合物におけるR3は、非置換または置換のアリール基(例えばフェニル)である。置換されたアリール基の例は、ビフェニルまたは2−メチルビフェニル部分である。
【0088】
さらなる実施形態によれば、Bは、エステル−COO、アミドCONR4、またはオキサジアゾールのいずれかである。
【0089】
さらなる実施形態によれば、R2は、H、置換または非置換のC1〜C6アルキル、3〜8員のシクロアルキルからなる群から選択される、あるいは、R2は、R4と共に閉環されて、置換または非置換のモルホリノ部分を形成する。
【0090】
さらなる実施形態によれば、式(I)によるピロリジン誘導体は、R1が、メチルであり、R3が、ビフェニル部分であり、Bが、−COO、CONR4、または1,2,4オキサジアゾール部分であるものである。
【0091】
式(I)の化合物は、医薬品として使用できる。
【0092】
具体的には、式(I)の化合物は、例えば、早期分娩、早産、月経困難症などの障害を治療するために、また、帝王切開の前に分娩を止めるために適している。本発明の化合物は、早期分娩、早産、および月経困難症の治療のために特に有用である。
【0093】
好ましくは、単独での、あるいは薬剤組成物の形での式(I)による化合物は、オキシトシン作用(1種または複数)の調節に適しており、具体的には、オキシトシン受容体により仲介される障害の治療および/または予防を可能にする。こうした調節は好ましくは、特に、哺乳類(特にヒト)におけるオキシトシン受容体への拮抗によって、OT−R作用(1種または複数)を抑制することを含む。
【0094】
上記の列挙された障害および病態を含めた様々な障害には、オキシトシン受容体の異常な活性または活動亢進が、しばしば関与する。したがって、本発明による化合物を、障害の治療のために使用して、OT−Rの作用または経路を調節することができる。OT−R作用または経路の調節は、オキシトシン受容体の下方制御および/または抑制を含む可能性がある。本発明の化合物は、単独で、あるいはさらなる医薬品と組み合わせて(例えばさらなるOT−Rモジュレータと共に)使用できる。
【0095】
医薬品として使用される場合、本発明のピロリジン誘導体は一般的に、薬剤組成物の形で投与される。したがって、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬剤組成物もまた、本発明の範囲内である。当業者であれば、薬剤組成物を処方するのに適したこうした様々な担体、希釈剤、または賦形剤を知っている。
【0096】
本発明の化合物は、従来使用されている補助剤、担体、希釈剤、または賦形剤と共に、その薬剤組成物および単位製剤として処方することができ、固体(錠剤または充填カプセル(filled capsule)など)または液体(溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、またはこれらで充填されたカプセル)の形(すべて経口的使用)で、あるいは(皮下を含めて)非経口使用のための無菌の注射可能溶液の形で使用できる。こうした薬剤組成物およびその単位剤形は、さらなる活性な化合物または成分の有無にかかわらず、通常の割合で成分を含むことができ、単位剤形は、計画された使用されるべき1日の投薬量範囲に相応する、任意の適切な有効量の活性成分を含有できる。
【0097】
医薬品として使用される場合、本発明のピロリジン誘導体は一般的に、薬剤組成物の形で投与される。こうした組成物は、医薬品技術でよく知られた方式で調製することができ、少なくとも1種の活性な化合物を含むことができる。通常、本発明の化合物は、薬学的に有効な量で投与される。実際に投与される化合物の量は、治療される状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物、それぞれの患者の年齢、体重、および応答、患者の症状の重症度などを含めて関連する状況を考慮して、医師によって、一般的に決定される。
【0098】
本発明の薬剤組成物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および鼻腔内を含めて、様々な経路によって投与することができる。意図される送達の経路に応じて、該化合物は、注射可能薬物または経口用組成物として処方されることが好ましい。経口投与のための組成物は、混合(bulk)溶液または懸濁液の形、または混合散剤の形をとることができる。しかし、より一般には、該組成物は、正確な投薬を容易にするために、単位剤形で与えられる。用語「単位剤形」は、ヒト被験者および他の哺乳類のための単位投薬量として適した、物理的に分離した単位を指し、各単位は、適切な医薬賦形剤と共同して所望の治療効果をもたらすように算出された予め定められた量の活性物質を含有する。代表的な単位剤形には、予め充填され、予め計測されたアンプルまたはシリンジの液体組成物、あるいは固体組成物の場合、ピル、錠剤、カプセルなどが挙げられる。こうした組成物中では、ピロリジン化合物は通常、微量成分(約0.1から約50重量%、あるいは好ましくは約1から約40重量%)であり、残りの部分は、所望の投薬剤形を形成するのに有効な、様々な賦形剤または担体および加工助剤である。
【0099】
経口投与に適した液体剤形は、緩衝液、懸濁剤および調剤用薬剤、着色剤、フレーバーなどと共に、適切な水性または非水系の賦形剤を含むことができる。固体剤形は、例えば、以下の成分のいずれか、または同様の性質の化合物を含むことができる:結合剤(微結晶性セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンなど)、賦形剤(デンプンまたはラクトースなど)、崩壊剤(アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはトウモロコシデンプンなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)、コロイド二酸化ケイ素などの流動促進剤(glidant)、甘味料(スクロースまたはサッカリンなど)、または着香料(例えばペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料)。
【0100】
注射可能な組成物は一般的に、注射可能な無菌の食塩水またはリン酸緩衝食塩水、あるいは当技術分野で知られた他の注射可能な担体をベースにする。上で述べた通り、こうした組成物中の式(I)のピロリジン誘導体は一般的に、微量成分であり、注射可能な担体などである残部を伴い、0.05〜10重量%の範囲であることが多い。
【0101】
経口的に投与される、あるいは注射可能である組成物のための上記の成分は、典型的なものに過ぎない。さらなる材料ならびに加工技術などは、(6)のパート8に説明されている。
【0102】
本発明の化合物はまた、徐放性の形で、あるいは徐放性製剤送達システムから投与できる。典型的な徐放性材料の説明はまた、(6)に出ている。
【0103】
本発明のさらなる目的は、式Iに従うピロリジン誘導体を調製するための方法である。
【0104】
a)エステルピロリジンの調製
あるプロセスによれば、一般式(I)(ただし、置換基Bは、エステルである)に従うピロリジン誘導体Iaは、以下で実施例に記載され、スキーム1に示される標準の合成技術を使用して、対応するカルボン酸化合物IIおよびアルコールIII(ただし、置換基R1〜R3およびnは、上で定義された通りである)から調製される。
スキーム1
【化3】

【0105】
ピロリジン−2−カルボン酸II(ただし、置換基R1、R3、およびnは、上で定義された通りである)は、以下で実施例に記載され、スキーム2に示される標準の合成技術を使用して、対応するケトンIVおよび置換されたヒドロキシルアミンV(ただし、置換基R1、R3、およびnは、上で定義された通りである)から調製される。
スキーム2
【化4】

【0106】
式Vの化合物は、市販業者(commercial source)から得られる、あるいは、スキーム3に示す通りの標準の合成技術によって、N−Boc−ヒドロキシルアミンVIおよびアルキル化剤VII(X=Cl、Br、I)から調製される。
スキーム3
【化5】

【0107】
一般式IVのケト化合物(ただし、置換基R3およびnは、上で定義された通りである)は、以下で実施例に記載され、スキーム4に示される通り、一般式VIIIのアルコール化合物(ただし、置換基R3およびnは、上で定義された通りである)の酸化によって調製できる。
スキーム4
【化6】

【0108】
一般式VIIIのアルコール化合物(ただし、置換基R3およびnは、上で定義された通りである)は、スキーム5に実例を示した通り、一般式IXの化合物(ただし、nは、上で定義した通りである)と、一般式R3−CO−Y−のアシル化剤X(ただし、R3は、上で定義した通りであり、Yは、任意の適切な脱離基(例えばCl、OH)である)との反応によって調製できる。
スキーム5
【化7】

【0109】
nが1である一般式IXの酸性の化合物は、市販品として入手でき(4−ヒドロキシピロリジン−2−イル、IXa)、nが2であるものは、以下で実施例に記載され、スキーム6に示される標準の合成技術を使用して、市販品として入手できる4−ヒドロキシプロリン、XIの酸化によって調製できる。
スキーム6
【化8】

【0110】
あるプロセスによれば、一般式(I)に従うピロリジン誘導体(ただし、置換基Bがエステルであり、R2はメチルである)は、以下で実施例に記載され、スキーム7に示される通り、対応するカルボン酸化合物IIから、あるいはアルコールVIIIから、数ステップで調製できる。
スキーム7
【化9】

【0111】
b)アミドピロリジンの調製
あるプロセスによれば、一般式(I)に従うピロリジン誘導体Ib(ただし、置換基Bはアミドである)は、以下で実施例に記載され、スキーム8に示される標準の合成技術を使用して、対応するカルボン酸化合物IIおよびアミンXIII(ただし、置換基R1〜R3およびnは、上で定義した通りである)から調製される。
スキーム8
【化10】

【0112】
c)オキサジアゾールピロリジンの調製
ある合成方法によれば、一般式(I)に従うピロリジン誘導体(ただし、置換基Bは、式の1,2,4オキサジアゾールである)は、実施例に記載され、スキーム9に示されるものなどのよく知られた液相化学プロトコルによって、対応するカルボン酸化合物IIおよびアミドキシムXIV(ただし、置換基R1〜R3は、上で定義した通りである)から調製できる。
スキーム9
【化11】

【0113】
アミドキシム成分XIV(ただし、置換基R2は、上で定義した通りである)は、市販業者から得られる、あるいは対応するニトリルXVから、これを、実施例に記載され、スキーム10に示されるものなどの、当業者によく知られた標準条件下で、ヒドロキシルアミンで処理することによって作られる。
スキーム10
【化12】

【0114】
ニトリル成分XVは、市販業者から得られる、あるいは、例えば対応するカルボン酸XVIから、スキーム11に示す通りに、カルボン酸を対応するニトリルに変換するために使用される当業者によく知られた官能基相互変換法によって作られる。
スキーム11
【化13】

【0115】
さらなる合成方法によれば、一般式(I)に従うピロリジン誘導体Id(ただし、置換基Bは、逆向きの1,2,4オキサジアゾールである)は、実施例に記載され、スキーム12に示されるものなどのよく知られた液相化学プロトコルによって、対応するアミドキシム化合物XVIIおよび酸XVI(ただし、置換基R1〜R3は、上で定義した通りである)から調製できる。
スキーム12
【化14】

【0116】
アミドキシム成分XVI(ただし、置換基R1、R3およびnは、上で定義した通りである)は、スキーム13に示される通りに、当業者によく知られた標準の条件下で、2つのステップで、対応する酸IIから得られる。
スキーム13
【化15】

【0117】
d)ベンズイミダゾールピロリジンの調製
ある合成方法によれば、一般式(I)に従うピロリジン誘導体Ie(ただし、置換基Bは、ベンズイミダゾールである)は、実施例に記載され、スキーム14に示されるものなどの対応するアニリド化合物Ib(ただし、置換基R1〜R3は、上で定義した通りである)の環化によって調製できる。
スキーム14
【化16】

【0118】
e)改変された化合物の調製および精製
さらなる一般的なプロセスによれば、式(I)の化合物は、スキーム15に示され、以下で実施例に記載される通りに、置換基R2の当業者によく知られた適切な保護/脱保護/官能基相互変換技術によって、式I’(ただし、置換基R2’は、R2と定義される)の代替化合物に転換できる。
スキーム15
【化17】

【0119】
鏡像異性的に純粋な出発材料が使用される場合、上記のスキームに概説される反応シーケンスは、式Iの鏡像異性的に純粋な化合物を提供する。市販品として入手できる式IXおよびXIの化合物の(R)−または(S)−形のどちらを出発材料として使用するかに応じて、(R)−ならびに(S)−エナンチオマーを得ることができる。
【0120】
しかし、上記にスキームに概説された反応シーケンスは通常、ピロリジン環の環外二重結合上の置換基に関する(E)−異性体と(Z)−異性体の混合物を提供する。研究されるすべての場合において、これらの(E)/(Z)−異性体は、逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)またはシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(FC)など、当業者によく知られた標準のクロマトグラフィー技術によって分離できるであろう。あるいは、続いて、適切な溶媒または溶媒混合物中で選択的に結晶化させることによって、(E)/(Z)−異性体のいずれか1つを富化させることができるであろう。環外二重結合の絶対配置の割当ては、当業者に知られている通りの、文献に十分に記載されている(例えばオキシム官能基の配置的な割当てのための)NMR技術を使用して実施した(例えば、E.ブレイトマイアー(E.Breitmaier)、W.フェルター(W.Voelter)「炭素−13 NMR分光法(Carbon−13 NMR Spectroscopy)」、第3版、VCH、1987年、240ページを参照のこと)。好ましい異性体(通常(Z)−異性体)の総収量を増大させるために、より好ましくない異性体(通常(E)−異性体)は、スキーム16に図示する通り、微量の酸(HClなど)を含有する有機溶媒中で慎重に再異性化し、続いて再びクロマトグラフィーおよび/または結晶化を介して(E)/(Z)分離を行うことによって再利用できるであろう。
スキーム16
【化18】

【0121】
上で述べた一般的な合成方法が、式(I)に従う化合物および/または式Iの化合物の合成のために必要な中間体を得るのに適用できない場合は、当業者によって知られている適切な調製方法を使用するべきである。一般に、式(I)の任意の個々の化合物のための合成経路は、各分子の特定の置換基に、また、必要な中間体の入手しやすさに依存し、ここでも、こうした因子は、当業者により理解されている。すべての保護、脱保護方法については、フィリップJ.コシエンスキー(Philip J.Kocienski)、「保護基(Protecting Groups)」、ティーメ社(Georg Thieme Verlag)シュツットガルト(Stuttgart)、ニューヨーク、1994年、およびシオドーラ W.グリーン(Theodora W.Greene)およびピーターG.M.ワッツ(Peter G.M.Wuts)「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、ワイリー−インターサイエンス(Wiley−Interscience)、1991年を参照のこと。
【0122】
本発明の化合物は、適切な溶媒の蒸発からの結晶化によって、溶媒分子の協力によって単離できる。式Iの化合物の薬学的に許容される酸付加塩(塩基性中心(basic center)を含有する)は、従来の方式で調製できる。例えば、遊離塩基の溶液を、そのままで、あるいは適切な溶液中で、適切な酸で処理することができ、得られた塩を、濾過によって、あるいは真空中での反応溶媒の蒸発によって単離できる。薬学的に許容される塩基付加塩は、式(I)の化合物の溶液を適切な塩基で処理することによって、類似の方式で得ることができる。両方のタイプの塩は、イオン交換樹脂技術を使用して形成、または相互転換することができる。
【実施例】
【0123】
本発明を、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない以下の実施例によって例示することとする。
【0124】
後述する実施例では、提供されるHPLC、NMR、およびMSデータは、以下の通りに得られた。以下の省略形を以後、添付の実施例中で使用する:min(分)、hr(時間)、g(グラム)、mmol(ミリモル)、m.p.(融点)、eq(当量)、ml(ミリリットル)、μl(マイクロリットル)、Boc(ブトキシカルボニル)、CDCl3(重水素化クロロホルム)、CDI(カルボニルジイミダゾール)、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMSO−δ6(重水素化ジメチルスルホキシド)、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)、HCl(酸塩化物)、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、K2CO3(炭酸カリウム)、MgSO4(硫酸マグネシウム)、NaHCO3(重炭酸ナトリウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、Na2SO4(硫酸ナトリウム)、NH4Cl(塩化アンモニウム)、NMM(N−メチルモルホリン)、Pd/C(木炭担持パラジウム)、TBDMS(t−ブチルジメチルシリル)TFA(トリフルオロ酢酸)。
【0125】
本発明の化合物は、上で提供されるのとは別の合成経路に従って合成することもできる。以下の実施例は、式(I)に従う化合物を合成するための、また、それらの生物活性を決定するための好ましい方法を例示する。
【0126】
中間体1:(2S,4R)−4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ホルミルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(参照スキーム6、化合物XIIを参照)
【化19】

市販の(4R)−4−ヒドロキシ−L−プロリン(75g、0.57モル)を10% NaOH(11)に入れた混合物に、撹拌しながら0℃の(Boc)2O(186g、0.855モル)を加えた。反応物を、10時間室温で撹拌し、その後石油エーテルで洗浄した。水層を、クエン酸でpH=4に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒を、真空中で除去し、粘性の液体としての粗(4R)−1(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシ−L−プロリン(118g)が与えられた。収率:89%
【0127】
(4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシ−L−プロリン(100g、0.432モル)を乾燥DMF(600ml)に入れた0℃の溶液に、K2CO3(179g、1.3モル)、それに続いてヨードエタン(101g、0.65モル)を加えた。12時間室温で撹拌した後、K2CO3を濾過し、DMFを、減圧下で蒸留した。残渣を、ジクロロメタン(11)で希釈し、塩水で洗浄し、乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、黄色の液体としての粗(2S,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−1−tert−ブチル 2−エチル(103g)が与えられた。収率:91%
【0128】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.25(t,3H)、1.4(d,9H)、1.9−2.2(m,2H)、2.5(m,1H)、3.5(m,2H)、4.2(m,2H)、4.4−4.6(m,2H)。
【0129】
(2S,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチル 2−エチル(100g、0.38モル)を乾燥ジクロロメタン(1.5l)に入れた25℃の溶液に、DMAP(47g、0.38モル)、それに続いてトリエチルアミン(39g、0.38モル)を加えた。上の反応混合物に、乾燥ジクロロメタン(200ml)に溶解させたTBDMSCl(64g、0.42モル)を、45分かけて滴下した。20時間室温で撹拌した後、反応混合物を、水で希釈し、有機層を分離した。有機層を、5%クエン酸水溶液、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、無色の液体としての(2S,4R)−4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ピロリジン−1,2ジカルボン酸1−tert−ブチル 2−エチル(140g)が与えられた。収率:97%
【0130】
1H NMR(300MHz,CDCl3):0.0(s,6H)、0.8(s,9H)、1.2(t,3H)、1.45(d,9H)、1.7−1.9(m,2H)、2.2(m,1H)、3.3−3.5(m,2H)、4.2(m,2H)、4.5(m,1H)。
【0131】
水素化アルミニウムリチウム(10g)を乾燥テトラヒドロフラン(750ml)に加えた−40℃の懸濁液に、(2S,4R)−4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチル 2−エチル1−tert−ブチル 2−エチル(100g、0.289モル)をテトラヒドロフラン(250ml)に入れたものを滴下した。5時間−40℃で撹拌した後、反応混合物を、10% NaOH(40ml)で急冷した。固体残渣を濾過し、テトラヒドロフランで洗浄し、濾液を減圧下で蒸発させ、無色の液体としての(2S,4R)−4{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(85g)が与えられた。収率:94%
【0132】
LCMS:ESI+:232(M−Boc+H)+、276(M−tBu+H)+、354(M+Na)+
【0133】
1H NMR(300MHz,DMSO−δ6):0.05(s,6H)、0.78(s,9H)、1.33(s,9H)、1.65−2.00(m,2H)、3.20(m,2H)、3.38(m,2H)、3.70(m,1H)、4.30(m,1H)、4.60(t,1H)。
【0134】
DMSO(53g、0.68モル)と塩化オキサリル(43g、0.34モル)を乾燥ジクロロメタン(1.5l)に入れた−78℃の混合物に、(2S,4R)−4{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(75g、0.226モル)を滴下した。1時間−78℃で撹拌した後、トリエチルアミン(158ml、1.13モル)を滴下し、反応混合物を、ゆっくり室温まで暖めた。反応混合物を、水で希釈し、有機層を分離した。有機層を、塩水で洗浄し、乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、淡黄色の液体としての(2S,4R)−4{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ホルミルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(70g)が与えられた。収率:94%
【0135】
中間体2:3−[(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]プロパン酸(スキーム6、化合物IXbを参照)
【化20】

(2S,4R)−4{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ホルミルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(中間体1、40g、0.12モル)をピリジン(250ml)に入れた混合物に、マロン酸(32g、0.303モル)、それに続いてピロリジン(0.5ml)を加え、4時間50℃に加熱した。過剰なピリジンを、減圧下で蒸留し、残渣を水で希釈した。混合物をジクロロメタンで抽出し、乾燥させ、真空中で濃縮して、3(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ピロリジン−2−イル)アクリル酸(45g)が与えられた。収率:98%
【0136】
1H NMR(300MHz,CDCl3):0.0(s,6H)、0.75(s,9H)、1.4(d,9H)、1.65(m,1H)、1.9(m,1H)、3.3−3.6(m,2H)、4.2−4.4(m,2H)、5.9−6.0(m,1H)、6.9−7.1(m,1H)。
【0137】
3−(2S,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−ピロリジン−2−イル)アクリル酸(40g、0.107モル)を乾燥DMF(250ml)に入れた溶液に、ヨードエタン(17.3ml、0.23モル)、それに続いてK2CO3(29g、0.22モル)を加えた。室温で4時間撹拌した後、K2CO3を濾過し、溶媒を真空中で除去した。残渣を、ジクロロメタン中で取り出し、塩水で洗浄し、乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、液体淡黄色としてのtert−ブチル(2S,4R)−4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−[(1E)−3−エトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピロリジン−1−カルボン酸エステル(35g)が与えられた。収率:82%
【0138】
(2S,4R)−4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−[(1E)−3−エトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(35g、0.087mmol)とPd/C(3.5g)を酢酸エチル(400ml)に入れた混合物を、80psiの圧力下で2時間水素化した。反応混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮し、液体としての(2R,4R)−4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(3−エトキシ−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(28g)が与えられた。収率:80%
【0139】
(2R,4R)−4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(3−エトキシ−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(25g、0.062モル)、NaOH(2.5g、0.062モル)、水、およびメタノール(各100ml)の混合物を、室温で8時間撹拌した。反応混合物を真空中で蒸発させ、残渣を5%クエン酸で中和した。生成物を、ジクロロメタンに抽出し、乾燥させ、濃縮した。この未精製物を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/ジクロロメタン、1:1)によって精製し、液体としての3−(2R,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−ピロリジン−2−イル)プロパン酸(17g)が与えられた。収率:65%
【0140】
LCMS:ESI−:372(M−H)-;ESI+:274(M−Boc+H)+、318(M−tBu+H)+、374(M+H)+
【0141】
1H NMR(300MHz,DMSO−δ6):0.04(s,6H)、0.83(s,9H)、1.37(s,9H)、1.60−2.20(m,6H)、2.90−3.50(m,3H)、3.78(m,1H)、4.31(s,1H)、12.02(s,1H)。
【0142】
3−(2R,4R)−1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−ピロリジン−2−イル)プロパン酸(5.1g、13.65mmol)をジクロロメタン(100ml)に入れた0℃の溶液に、トリフルオロ酢酸(14ml)および水(3ml)を加えた。反応物混合物を、暖め、一晩撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、TFA塩(3.74g)としての3−[(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]プロパン酸がもたらされた。収率:100%
【0143】
1H NMR(300MHz,MeOD):0.20(m,1H)、0.55(m,3H)、0.95(m,2H)、1.60−2.00(m,2H)、2.05−2.40(m,1H)、2.96(m,1H)。
【0144】
中間体3:(2S,4R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル酢酸(スキーム5、化合物VIIIを参照)
【化21】

アルゴン下で、市販の[(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]酢酸塩酸塩(5.03g、27.69mmol)と、トリエチルアミン(11.32g、110.77mmol)を水(16.5ml)に入れた溶液と、テトラヒドロフラン(25ml)との0℃の溶液に、4−フェニル−ベンゾイル塩化物を無水テトラヒドロフラン(25ml)に入れた溶液を滴下した。反応物を室温まで暖め、一晩撹拌した。この反応混合物を濃縮し、粗生成物を、100mlの1N HClを加えて5℃で撹拌しながら、酸性化させた。白色の懸濁液を、10分間5℃で撹拌し、真空中で濾過し、1N HClおよび水ですすいだ。真空中で乾燥させた後、依然として湿った白色固体を、14mlのテトラヒドロフラン中で取り出し、溶解するまで還流させ、固体を沈澱させるためにヘキサンを加えた。全体を、5分間撹拌しながら室温まで冷却させ、濾過し、ヘキサンですすぎ、白色粉末(4.344g)としての[(2S,4R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]酢酸が与えられた。収率:72%。HPLC純度:84%
【0145】
LCMS:ESI−:280(M−H−CO2)-、324(M−H)-;ESI+:326(M+H)+
【0146】
1H NMR(300MHz,DMSO−δ6):1.82(m,1H)、2.11(m,1H)、2.5(m,1H)、2.81(dd,J=15.6,J=3.2,1H)、3.3(m,1H)、3.51(dd,J=11.7,J=2.6,1H)、4.16(m,1H)、4.40(m,1H)、7.30−8.00(m、9H)。
【0147】
中間体4:3−[(2R,4R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]プロパン酸(スキーム5、化合物VIII参照)
【化22】

3−[(2R,4R)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体2)から出発すること以外は、中間体3の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:54%。HPLC純度:96%
【0148】
中間体5:[(2S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−オキソピロリジン−2−イル]酢酸(スキーム4、化合物IV参照)
【化23】

アルゴン下で、(2S,4R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル酢酸(中間体3、4.00g、12.29mmol)と、トリエチルアミン(8.70g、22.13mmol)を16mlの無水DMSOに入れた溶液との2℃の溶液に、Pyr.SO3(3.52g、22.13mmol)を32mlの無水DMSOに入れた溶液を加えた、反応物を、室温に暖め、一晩撹拌した。反応物を、3N HCl(70ml)、それに続いて酢酸エチルおよびヘキサンを加えて急冷した。水相を、酢酸エチル/ヘキサン(1/1)で、二回抽出した。合わせた有機相を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、褐色のオイル(1.51g)としての[(2S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−オキソピロリジン−2−イル]酢酸が与えられた。収率:38%。HLPC純度:76%
【0149】
1H NMR(300MHz、CDCl3):2.50−3.27(m,4H)、3.67−4.28(m,2H)、5.16(m,1H)、7.30−7.60(m,9H)。
【0150】
中間体6:3−[(2R)−1(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−オキソピロリジン−2−イル]プロパン酸(スキーム4、化合物IV参照)
【化24】

3−[(2R,4R)−1(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体4)から出発すること以外は、中間体5の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:20%。HLPC純度:82%
【0151】
LCMS:ESI−:336(M−H)-;ESI+:338(M+H)+
【0152】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.71−2.16(m、3H)、2.33−2.66(m,3H)、3.97(m,2H)、5.17(m,1H)、7.30−7.70(m,9H)、8.01(s,1H)。
【0153】
中間体7:[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸(スキーム2、化合物IIを参照)
【化25】

[(2S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−オキソピロリジン−2−イル]酢酸(中間体5、1.50g、6.64mmol)と、ヒドロキシルアミンメチルエーテル塩酸塩(0.58g、6.96mmol)と、トリエチルアミン(1.62ml、11.60mmol)のクロロホルム(30ml)溶液との溶液を、2日間室温で撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、酢酸エチル中で取り出した。有機相を、クエン酸10%の溶液で二回、塩水で一回洗浄した。次いで、有機相を、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、クリーム色の固体(1.14g)としての[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸が与えられた。収率:45%。HLPC純度:92%
【0154】
LCMS:ESI−:277(M−OMe−CO2−H)-、307(M−CO2−H)-、321(M−OMe−H)-、351(M−H)-;ESI+:335(M−H2O+H)+、353(M+H)+
【0155】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.20−3.50(m,4H)、3.74(s,3H)、3.90−4.50(m,2H)、4.80(m,1H)、7.30−7.70(m,9H)。
【0156】
中間体8:3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸(スキーム2、化合物II参照)
【化26】

3−[(2R)−1(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−オキソピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体6)から出発すること以外は、中間体7の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:43%。HLPC純度:92%
【0157】
LCMS:ESI−:291(M−OMe−CO2−H)-、335(M−OMe−H)-、365(M−H)-;ESI+:367(M+H)+
【0158】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.70−2.10(m,2H)、2.30−3.00(m,4H)、3.87(s,3H)、4.00−4.50(m,2H)、5.00(m,1H)、7.30−7.70(m,9H)。
【0159】
実施例1:[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸メチル
【化27】

[(2S,4R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]酢酸(中間体3、350mg、1.08mmol)をトルエン−メタノール(10ml、1−1)に入れた溶液に、(ジアゾメチル)トリメチルシラン(2.76ml、ヘキサン中 2M)を加えた。3時間後、反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって精製し、[(2S,4R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]酢酸メチル(256mg)が与えられた。収率:70%。HPLC純度:98%
【0160】
LCMS:ESI+:340(M+H)+
【0161】
1H NMR(300MHz,DMSO−δ6):1.82(m,1H)、2.11(m,1H)、2.6(dd,J=15.4,J=8.3,1H)、2.97(dd,J=15.3,J=3.4,1H)、3.25(d,J=11.4,1H)、3.62(s,3H)、3.67(dd,J=11.4,J=3.4,1H)、4.16(m,1H)、4.44(m,1H)、4.86(d,J=3.4,OH)7.30−8.00(m,9H)。
【0162】
アルゴン下で、DMSO(31.4μl、0.44mmol)をジクロロメタン(1ml)に入れた−78℃の溶液を、塩化オキサリル(19μl、0.22mmol)をジクロロメタン(2ml)に入れた溶液に滴下した。−78℃で15分後、[(2S,4R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル]酢酸メチル(50mg、0.15mmol)をジクロロメタン(1ml)に入れた溶液を滴下した。反応混合物を、−78℃で1時間撹拌し、トリエチルアミン(0.102ml、0.74mmol)を加え、室温まで暖めた。反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、水、次いで塩水で洗浄した。有機相を、乾燥し(MgSO4)、濃縮し、[(2S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−オキソピロリジン−2−イル]酢酸メチル(66mg)がもたらされた。収率:100%。HPLC純度:99%
【0163】
LCMS:ESI−:336(M−H)-;ESI+:338(M+H)+
【0164】
1H NMR(300MHz、CDCl3):2.55(m,1H)、2.70(m,1H)、2.87(m,1H)、3.07(m,1H)、3.69(s,3H)、3.85(m,1H)、4.14(m,1H)、5.12(m,1H)、7.20−8.00(m,9H)。
【0165】
[(2S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−オキソピロリジン−2−イル]酢酸メチル(43mg、0.13mmol)と、ヒドロキシルアミンメチルエーテル塩酸塩(32mg、0.38mmol)と、トリエチルアミン(53μl、0.38mmol)をクロロホルム(3ml)に入れた溶液との溶液を、5日間70℃で撹拌した。反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、1N HClで洗浄した。有機相を、乾燥し(MgSO4)、濃縮して、[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸メチル(40mg)がもたらされた。収率:62%。HPLC純度:94%
【0166】
LCMS:ESI+:367(M+H)+
【0167】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.66(m,3H)、2.95(m,1H)、3.67(s,3H)、3.82(s,3H)、4.14(m,1H)、4.30(m,1H)、5.01(m,1H)、7.20−8.00(m,9H)。
【0168】
実施例2:3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸メチル
【化28】

3−[(2R,4EZ)−1(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体8、20mg、0.05mmol)をトルエン−メタノール(1ml、3−1)に入れた溶液に、(ジアゾメチル)トリメチルシラン(0.110ml、ヘキサン中 2M)を加えた。3時間後に、反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって精製して、3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸メチル(20mg)が与えられた。収率:96%。HPLC純度:94%
【0169】
LCMS:ESI+:381(M+H)+
【0170】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.01(m,2H)、2.20−3.00(m,4H)、3.69(s,3H)、3.86(s,3H)、4.31(m,2H)、4.97(m,1H)、7.20−7.75(m,9H)。
【0171】
実施例3:[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸シクロペンチル
【化29】

[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸(中間体7、25mg、0.07mmol)をジクロロメタン(1ml)に入れた溶液に、EDC(14mg、0.07mmol)、DMAP(3mg、0.02mmol)、およびシクロペンタノール(6mg、0.07mmol)を加えた。反応混合物を、一晩撹拌した。有機相を、NH4Cl、NaHCO3、次いで塩水で洗浄した。有機相を、乾燥し(MgSO4)、濃縮して、[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸シクロペンチル(25mg)がもたらされた。収率:78%。HPLC純度:94%
【0172】
LCMS:ESI+:421(M+H)+
【0173】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.50−2.01(m,8H)、2.50−3.10(m,4H)、3.85(s,3H)、4.25(m,2H)、5.18(m,1H)、5.30(m,1H)、7.20−7.75(m,9H)。
【0174】
実施例4:3[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸シクロペンチル
【化30】

3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体8)から出発すること以外は、実施例3の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:81%。HPLC純度:92%
【0175】
LCM:ESI+:420(M−Me+H)+、435(M+H)+
【0176】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.50−2.01(m,10H)、2.20−3.00(m,4H)、3.86(s,3H)、4.31(m,2H)、4.92(m,1H)、5.16(m,1H)、7.20−7.75(m,9H)。
【0177】
実施例5:2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]−N−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]アセトアミド
【化31】

[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸(中間体7、25mg、0.07mmol)をテトラヒドロフラン(1ml)に入れた−25℃の溶液に、NMM(18mg、0.18mmol)続いてクロロ炭酸イソブチル(10mg、0.07mmol)を加えた。反応混合物を、10分撹拌し、次に(S)−2−アミノ−1−フェニルエタノール(10mg、0.07mmol)のテトラヒドロフラン(1ml)溶液を加えた。反応物を、室温まで暖め一晩撹拌した。ジクロロメタンを加え、有機相を、NH4Cl、NaHCO3、続いて塩水で洗浄した。有機相を、乾燥し(MgSO4)、濃縮して、2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]−N−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]アセトアミド(35mg)がもたらされた。収率:94%。HPLC純度:90%
【0178】
LCMS:ESI−:470(M−H)-;ESI+:422(M−H2O−MeOH+H)+、454(M−H2O+H)+、472(M+H)+
【0179】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.66(m,3H)、2.88(m,2H)、3.17(m,1H)、3.82(s,3H)、4.14(m,1H)、4.40(m,1H)、4.76(m,1H)、5.10(m,1H)、7.20−7.75(m,14H)。
【0180】
実施例6:3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]−N−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]プロパンアミド
【化32】

3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体8)から出発すること以外は、実施例5の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:52%。HPLC純度:95%
【0181】
LCMS:ESI−:484(M−H)-;ESI+:436(M−H2O−MeOH+H)+、468(M−H2O+H)+、486(M+H)+
【0182】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.88(m,2H)、2.47(m,3H)、2.87(m,1H)、3.49(m,2H)、3.85(s,3H)、4.14(m,1H)、4.38(m,1H)、4.67(m,1H)、4.96(m,1H)、7.20−7.75(m,14H)。
【0183】
実施例7:2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]アセトアミド
【化33】

[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸(中間体7、50mg、0.14mmol)をテトラヒドロフラン(4ml)に入れた溶液に、HOBt(29mg、0.21mmol)、EDC(41mg、0.21mmol)、DMAP(2mg、0.01mmol)、続いてアンモニアのジオキサン(0.425ml、2M、0.21mmol)溶液を加えた。反応混合物を、一晩撹拌した。酢酸エチルを加え、有機相を、5%クエン酸、NH4Cl、NaHCO3、続いて塩水で洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO4)、濃縮して、2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]アセトアミド(40mg)がもたらされた。収率:81%。HPLC純度:93%
【0184】
LCMS:ESI+:320(M−MeOH+H)+、374(M+Na)+
【0185】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.90(m,2H)、2.60−3.05(m,4H)、3.83(s,3H)、4.05−4.50(m,2H)、5.05(m,1H)、7.20−7.75(m,9H)。
【0186】
実施例8:3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパンアミド
【化34】

3[(2R,4EZ)−1(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体8)から出発すること以外は、実施例7の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:83%。HPLC純度:90%
【0187】
LCMS:ESI+:334(M−MeOH+H)+、351(M−Me+H)+、366(M+H)+
【0188】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.84(m,2H)、2.20−2.85(m,4H)、3.83(s,3H)、4.05−4.50(m,2H)、4.98(m,1H)、7.20−7.75(m,9H)。
【0189】
実施例9:(3EZ,5S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
【化35】

[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸(中間体7)およびモルホリンから出発すること以外は、実施例7の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:98%。HPLC純度:100%
【0190】
LCMS:ESI+:390(M−MeOH+H)+、422(M+H)+
【0191】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.50−3.15(m,4H)、3.30−3.75(m,8H)、3.84(s,3H)、4.10(m,1H)、4.42(m,1H)、4.99(m,1H)、7.30−7.75(m,9H)。
【0192】
実施例10:(3EZ,5R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−(3−モルホリン−4−イル−3−オキソプロピル)ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
【化36】

3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体8)およびモルホリンから出発すること以外は、実施例7の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:97%。HPLC純度:96%
【0193】
LCMS:ESI+:404(M−MeOH+H)+、421(M−Me+H)+、436(M+H)+
【0194】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.70−2.95(m,6H)、3.30−3.75(m,8H)、3.84(s,3H)、4.10(m,1H)、4.42(m,1H)、4.99(m,1H)、7.30−7.75(m,9H)。
【0195】
実施例11:N−(2−アミノフェニル)−2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]アセトアミド
【化37】

[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸(中間体7、30mg、0.09mmol)、1,2−ベンゼンジアミン(9mg、0.09mmol)、およびDMAP(16mg、0.13mmol)をジクロロメタン(2ml)に入れた0℃の溶液を、EDC(16mg、0.09mmol)に加えた。反応物を、室温まで暖め、2日間撹拌した。溶媒を、真空中で除去し、未精製物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン、80:20)によって精製して、N−(2−アミノフェニル)−2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]アセトアミド(26mg)がもたらされた。収率:63%。HPLC純度:90%
【0196】
LCMS:ESI−:441(M−H)-;ESI+:443(M+H)+、465(M+Na)+
【0197】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.55−3.20(m,4H)、3.82(s,3H)、4.11(m,1H)、4.49(m,1H)、5.37(m,1H)、7.10(m,2H)、7.30−7.75(m,11H)。
【0198】
実施例12:N−(2−アミノフェニル)−3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパンアミド
【化38】

3[(2R,4EZ)−1(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体8)から出発すること以外は、実施例11の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:54%。HPLC純度:100%
【0199】
LCMS:ESI−:455(M−H)-;ESI+:442(M−Me+H)+、457(M+H)+、479(M+Na)+
【0200】
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.50−3.00(m,6H)、3.81(s,3H)、4.13(m,1H)、4.33(m,1H)、5.08(m,1H)、6.74(m,1H)、6.91(m,1H)、7.30−7.65(m,11H)。
【0201】
実施例13:(3EZ,5S)−5−(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
【化39】

N−(2−アミノフェニル)−2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]アセトアミド(実施例11、21mg、0.05mmol)および酢酸(0.1ml)をジクロロメタン(1ml)に入れた溶液を、一晩撹拌した。有機相を、NaHCO3で洗浄した。有機相を、乾燥し(MgSO4)、濃縮して、(3EZ,5S)−5−(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム(14mg)がもたらされた。収率:65%。HPLC純度:93%
【0202】
LCMS:ESI−:423(M−H)-;ESI+:393(M−MeOH+H)+、465(M+Na)+
【0203】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.98(m,2H)、3.45(m,2H)、3.82(s,3H)、4.18(m,1H)、4.44(m,1H)、5.35(m,1H)、7.18(m,2H)、7.30−7.75(m,11H)。
【0204】
実施例14:(3EZ,5R)−5−[2−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチル]−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
【化40】

N−(2−アミノフェニル)−3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパンアミド(実施例12)から出発すること以外は、実施例11の調製に使用したのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:51%。HPLC純度:89%
【0205】
LCMS:ESI−:437(M−H)-;ESI+:439(M+H)+
【0206】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.00−3.35(m,6H)、3.84(s,3H)、4.05−4.55(m,2H)、4.99(m,1H)、7.15−7.75(m,13H)。
【0207】
実施例15:(3EZ,5S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−[(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)メチル]ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
【化41】

[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸(中間体7、50mg、0.14mmol)をジクロロメタン(3ml)に入れた溶液に、N’−ヒドロキシエタンイミドアミド(12mg、0.16mmol)、続いてDIC(36mg、0.28mmol)を加えた。反応混合物を、1時間30分攪拌した。沈殿物を濾過し、溶液を、真空中で濃縮した。ピリジン(1ml)を加え、反応混合物を、一晩還流しながら撹拌した。溶媒を除去し、ジクロロメタンを加えた。有機相を、1N HCl、続いてNaHCO3で洗浄した。有機相を、乾燥し(MgSO4)、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン、40:60)で精製して、(3EZ,5S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−[(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)メチル]ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム(56mg)がもたらされた。収率:91%。HPLC純度:90%
【0208】
LCMS:ESI−:389(M−H)-;ESI+:359(M−MeOH+H)+、391(M+H)+
【0209】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.39(s,3H)、2.65−3.10(m,2H)、3.27(m,2H)、3.83(s,3H)、4.20(m,2H)、5.15(m,1H)、7.30−7.75(m,9H)。
【0210】
実施例16:(3EZ,5R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−[2−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エチル]ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
【化42】

3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体8)から出発すること以外は、実施例15の調製に使用するのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:81%。HPLC純度:85%
【0211】
LCMS:ESI+:373(M−MeOH+H)+、405(M+H)+
【0212】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.00−3.10(m,6H)、2.16(s,3H)、3.85(s,3H)、4.05−4.55(m,2H)、5.05(m,1H)、7.30〜7.75(m,9H)。
【0213】
実施例17:(3EZ,5S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−{[3−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
【化43】

[(2S,4EZ)−1(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸(中間体7、50mg、0.14mmol)をテトラヒドロフラン(2ml)に入れた溶液に、CDI(37mg、0.23mmol)を加えた。反応混合物を、1時間30分撹拌した。その後、N’,3−ジヒドロキシ−プロパンイミドアミド(16mg、0.16mmol)、ピリジン(34ml、0.14mmol)のテトラヒドロフラン溶液を加え、反応混合物を、一晩還流しながら撹拌した。溶媒を除去し、酢酸エチルを加えた。有機相を、5%クエン酸、NH4Cl、NaHCO3、続いて塩水で洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO4)、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製して、(3EZ,5S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−{[3−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム(19mg)がもたらされた。収率:27%。HPLC純度:94%
【0214】
LCMS:ESI−:419(M−H)-;ESI+:389(M−MeOH+H)+、421(M+H)+
【0215】
1H NMR(300MHz,CDCl3):2.70−3.50(m,6H)、3.82(s,3H)、3.94(m,2H)、4.11(m,1H)、4.31(m,1H)、5.30(m,1H)、7.30−7.75(m,9H)。
【0216】
実施例18:(3EZ,5R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−{2−[3−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]エチル}ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
【化44】

3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸(中間体8)から出発すること以外は、実施例17の調製に使用するのと同じ方法で、標題化合物が与えられた。収率:37%。HPLC純度:96%
【0217】
LCMS:ESI+:403(M−MeOH+H)+、420(M−Me+H)+、435(M+H)+
【0218】
1H NMR(300MHz、CDCl3):2.00−3.10(m,8H)、3.85(s,3H)、3.97(m,2H)、4.05−4.55(m,2H)、5.03(m,1H)、7.30−7.75(m,9H)。
【0219】
実施例19:薬剤調合物の調製
以下の調合物の例は、本発明による典型的な薬剤組成物を例示する。
【0220】
調合物1−錠剤
式(I)のピロリジン化合物を、乾燥粉末として、およそ1:2の重量分配で、乾燥ゼラチンバインダーと混合する。微量のステアリン酸マグネシウムを、滑沢剤として加える。混合物を、タブレット成形機で、240〜270mgの錠剤(活性なピロリジン化合物を錠剤あたり80〜90mg)に形成する。
【0221】
調合物2−カプセル
式(I)のピロリジン化合物を、乾燥粉末として、およそ1:1の重量比で、デンプン希釈剤と混合する。混合物を、250mgのカプセル(活性なピロリジン化合物をカプセルあたり125mg)に充填する。
【0222】
調合物3−液体
式(I)のピロリジン化合物(1250mg)、スクロース(1.75g)、およびキサンタンガム(4mg)をブレンドし、No.10メッシュのU.S.ふるいを通し、その後、あらかじめ調製された微結晶性セルロースとカルボキシルメチルセルロースナトリウム(11:89、50mg)の水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム(10mg)、フレーバー、および着色料を、水で希釈し、撹拌しながら加える。その後、十分な水を加え、総体積を5mLとする。
【0223】
調合物4−錠剤
式(I)のピロリジン化合物を、乾燥粉末として、およそ1:2の重量比で、乾燥ゼラチンバインダーと混合する。微量のステアリン酸マグネシウムを、滑沢剤として加える。混合物を、タブレット成形機で、450〜900mgの錠剤(活性なピロリジン化合物を150〜300mg)に形成する。
【0224】
調合物5−注射
式(I)のピロリジン化合物を、注射可能な無菌の緩衝食塩水の水性媒体に溶解し、約5mg/mlの濃度にする。
【0225】
実施例20:バイオアッセイ
式(I)に従う化合物は、以下のアッセイにかけることができる:
【0226】
a)シンチレーション・プロキシミティ・アッセイ(Scintillation Proximity Assay)(11)を用いるhOT受容体上でのin vitro競合結合アッセイ。
このアッセイにより、ヒトオキシトシン(hOT)受容体に対する試験化合物の親和性を決定できる。HEK293EBNA(hOT受容体を発現する細胞)からの細胞膜を、50mMトリス−HCl、pH 7.4、5mM MgCl2、および0.1% BSA(w/v)を含有する緩衝液に懸濁した。この膜(2〜4μg)を、コムギ胚芽凝集素(アマシャム(Amersham)からのWGA−PVT−ポリエチレンイミンビーズ)でコートされたSPAビーズ0.1mgおよび放射標識された0.2nM[125I]−OVTA(OVTAは、オルニチン血管作用性(Ornithin Vasoactive)、すなわち競合結合実験のためのOTの類似体である)と混合した。非特異的結合は、1μMオキシトシンの存在下で決定された。全アッセイ体積は、100μlであった。プレート(Corning(登録商標)NBSプレート)は、30分間室温で保温し、Mibrobeta(登録商標)プレートシンチレーションカウンタで計数した。競合結合は、以下の濃度の式(I)の化合物の存在下で実施された:30μM、10μM、1μM、300nM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pM。競合結合データは、反復的な(iterative)、非線形、曲線あてはめ(curve−fitting)プログラムである「プリズム(Prism)」(グラフパッドソフトウェア・インコーポレイティッド(GraphPad Software,Inc)を使用して分析した。
【0227】
OT−受容体への125I−OVTAの結合を抑制する式(I)のピロリジン誘導体の能力を、上記のin vitroのバイオアッセイを使用して評価した。いくつかの実施例の化合物についての典型的な値を、表Iに示す。上記実施例からの試験化合物の結合親和性を、阻害定数によって示す(Ki;nM)。これらの値から、式(I)に従う前記試験化合物が、オキシトシン受容体に対する重要な結合を確かに示すことを推論できる。
【0228】
【表1】

【0229】
b)機能的なアッセイNo.1:FLIPR(登録商標)(蛍光定量的な画像形成プレートリーダー(Fluorometric Imaging Plate Reader))による、オキシトシン仲介性のCa2+動員の抑制
OT−受容体上でのOTの作用により、細胞内の事象の複雑なカスケードが引き起こされ、細胞質内のCa2+濃度が増大する。Ca2+濃度のこの増大は、細胞質への筋小胞体(カルシウム貯蔵部位)からのカルシウム遊離と、Ca2+チャネルを介する細胞外空間からのカルシウム流入との両方に起因する。細胞質へのこのCa2+動員は、子宮収縮をもたらす子宮筋層細胞の収縮機構を引き起こす(1および3)。
【0230】
このアッセイにより、式(I)の試験化合物によるOT/OT−R仲介性のカルシウム動員の抑制を測定できる。
【0231】
FLIPR(登録商標)は、同時照射(simultaneous illumination)用のレーザー(アルゴンイオンレーザー)を使用し、96−ウェルプレートの各ウェルを読み込み(冷却されたCCDカメラ)、したがって、多数のサンプルに対する迅速な測定を可能にする蛍光定量的な画像形成デバイス(fluorimetric imaging device)である。
【0232】
プレートの準備:FLIPR−プレートを、HEK293EBNA細胞(hOT受容体を発現するヒト胚腎臓(Human Embryonic Kidney)細胞)を付着するように、PLL(ポリ‐L‐リジン)10μg/ml+0.1%ゼラチンでプレコートし、37℃で30分から2日間まで保温した。細胞を、96−ウェルプレート(60000の細胞/ウェル)に蒔いた。
【0233】
fluo−4を用いた標識:50μgのfluo−4(Ca2+感受性の蛍光色素)を、20μl プルロニン酸(pluronic acid)(DMSO中に20%)に溶解した。次いで、溶解したfluo−4を、10mlのDMEM(ダベッコの最小必須培地(Dubecco’s Minimal Essential Medium))−F12培地に希釈した。プレートは、DMEM−F12培地で1回洗浄した。fluo−4含有DMEM−F12培地100μlを、HEK細胞に加え、この蛍光培地中で1.5〜2時間保温した。Fluo−4は、細胞の細胞質に取り込まれる。
【0234】
緩衝液:145mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、10mM Hepes、10mMグルコース、EGTA(エチレン−ビスオキシエチレンニトリロ四酢酸)。pHを、7.4に調整した。
【0235】
アッセイの実行:式(I)の化合物(5x)を上の緩衝液(1x)に入れたもの、最低80μl/ウェルを調製した(96−ウェルプレート)。式(I)の化合物を、様々な濃度(30μM、10μM、1μM、300nM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pM)で、96ウェルプレートに加えた。OTは、40nMの濃度で加えた。
【0236】
その後、式(I)の化合物が存在する場合としない場合のFluo−4の相対的な蛍光(λex=488nm、λem=590nm)を、FLIPRによって測定する。マーカーの蛍光は、Ca2+の量に対して感受性であるので、Ca2+の移動を検出できる。次いで、オキシトシン受容体により仲介されるオキシトシン誘発性細胞内Ca2+動員と拮抗する、式(I)の化合物の能力を決定できる。
【0237】
c)機能的なアッセイNo.2:IP3(イノシトール三リン酸)の抑制−HEK/EBNA−OTR細胞における合成
OT−受容体上でのOTの相互作用は、IP3(すなわち子宮収縮を引き起こすプロセスに関与する、筋小胞体からのCa2+放出のためのセカンドメッセンジャー)の合成をもたらす(3)。
【0238】
このアッセイを使用して、式(I)の試験化合物を用いることによるOT/OT−R仲介性のIP3合成の抑制を示すことができる。
【0239】
細胞の刺激:HEK/EBNA OTR(ラットまたはヒト)細胞を、コースター(costar)12ウェルプレートに蒔き、1% FCS(0.5ml/ウェル)で4μCi/ml放射標識させた[3H]−イノシトールと共に、また、イノシトールの補足なしで、15〜24時間平衡化させる。標識を含有する培地を、吸引する。DMEM培地(FCS、イノシトールなし、20mM Hepes(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン−エタンスルホン酸)、10mM LiCl(新たに調製された)を含有する1mg/ml BSAを加え、37℃で10〜15分間保温する。アゴニスト(すなわち10nMの濃度で使用されるオキシトシン)およびアンタゴニスト(すなわち、式(I)の試験化合物を、10μM、1μM、300nM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pM、3pMの濃度で使用できる)を、必要な時点(15〜45分)で加え、続いて培地の吸引を行うことができる。OTの存在下では、放射標識されたイノシトールは、放射標識されたIP3に転換される。OT−受容体でOTと拮抗することは、IP3形成を抑制する。
【0240】
放射標識されたIP3の量は、その後の後処理(work−up)を介して決定できる。1mlの停止液(すなわち0.4Mの過塩素酸)を用いて反応を止め、室温で、5〜10分間静置する。次いで、0.8mlを、0.4mlの中和溶液(0.72M KOH/0.6M KHCO3)を含有する管に移し、この管をボルテックスし、少なくとも2時間冷温に保つ。
【0241】
IPのもの(IP’s)の分離:サンプルを、3000〜4000rpmで卓上遠心機で15分間遠心させる。上清1mlを、2.5ml H2Oを含有している新しい管に移す。圧縮(packed)樹脂(Dowex AG1X8)を、20mlのH2Oで平衡化させ、完全なサンプルを、クロマトグラフィーカラムに注入して、混合物を分離する。遊離のイノシトールを除去するために、10ml H2Oで2回、洗浄を行う。
【0242】
IPのもの(IP’s)全体の溶離:溶離は、3ml 1M ギ酸アンモニウム/0.1M ギ酸を使用して達成される。シンチレーション液の7mlを加えた後、溶離液を、シンチレーション計数管に収集する。[3H]−IP3の量を、シンチレーション(scintillating)カウンタによって決定する。
【0243】
オキシトシン受容体によって仲介されるオキシトシン誘発性IP3合成と効率的に拮抗する、式(I)の化合物の能力は、上記のin vitroのバイオアッセイを使用して評価できる。
【0244】
d)子宮収縮の抑制のためのin vivoモデル
このアッセイによって、早期分娩、早産のin vivoモデルにおける、試験される化合物の生物学的効果が評価される。
【0245】
非妊娠(non−pregnant)チャールズリバー(Charles River)CD(SD)BR雌ラット(生後9〜10週)、200〜250gを、実験の18時間および24時間前に、250のμg/kg、i.p.ジエチルスチルベストロール(DES)で処理した。アッセイのために、この動物に、ウレタン(1.75g/kg、i.p.)で麻酔をかけ、恒温の(homeothermic)手術台上に置いた。気管を分離(isolate)し、適切なポリエチレン(PE)管を用いてカニューレを挿入した。下腹部レベルで正中切開を行い、片方の子宮角を露出させ、その頭側の端は、PE240管を用いてカニューレを挿入し、0.2mlの無菌の生理食塩水で内部孔部を満たした後に、P23IDグールドステーセム(Gould Statham)圧力トランスジューサを介する「ジェミニ(Gemini)」増幅(amplifying)/記録(recording)システムに接続した。
【0246】
片方の頸静脈を分離し、投薬シリンジを介する試験化合物のi.v.投与経路を提供するために、PE60管を用いてカニューレを挿入し、翼状針に接続する。
【0247】
試験化合物の十二指腸内投与の場合、十二指腸を分離し、その壁における小さい切開部を介して同じようにカニューレを挿入できる。
【0248】
片方の頸動脈も分離し、PE60カテーテルを用いてカニューレを挿入し、血液サンプル収集のための適切なシリンジに接続する。
【0249】
安定化期間の後、実験全体を通して、同じ用量のオキシトシンを、30分間隔で、静脈内に繰り返し注入した。同じOT刺激(選択された用量のオキシトシン)に対して子宮の再現性の収縮応答が得られた場合、この用量の試験化合物または基準化合物(賦形剤)を投与した。抑制効果およびこれらの効果の回復能を評価するために、同じ用量のオキシトシンのさらなる注入サイクルを、治療後適切な時間続けた(30分間隔のOT注入)。
【0250】
オキシトシンに対する子宮の収縮応答は、収縮の子宮内圧および回数を測定することによって定量化した。基準および試験化合物の効果は、治療前と治療後の圧力の値を比較することによって評価した。さらに、子宮の収縮は、試験化合物投与の5、40、75、110、145、および180分後に測定した。
【0251】
式(I)に述べられるピロリジン誘導体の活性は、上記のin vivoバイオアッセイを使用して評価できる。
【0252】
参考文献:
1.ギンプル G.(Gimpl G.)およびファーレンホルト,F.(Fahrenholz,F.)「Physiological Reviews」2001年、81、629〜683
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12.国際公開第01/72705号パンフレット(アプライドリサーチシステムズ・エーアールエス・ホールディング(Applied Research Systems ARS Holding))
13.国際公開第02/074741号パンフレット(アプライドリサーチシステムズ・エーアールエス・ホールディング(Applied Research Systems ARS Holding))
14.国際公開第02/102799号パンフレット(アプライドリサーチシステムズ・エーアールエス・ホールディング(Applied Research Systems ARS Holding))

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのピロリジン誘導体:
【化1】

(式中、
1は、HおよびC1〜C6−アルキルを含む、あるいはこれらからなる群から選択され、
Bは、−COO、−CONR4、オキサジアゾール、チアジアゾール、またはベンズイミダゾールからなる群から選択され、
2は、水素、C1〜C6−アルキル、アリール、C1〜C6−アルキルアリール、ヘテロアリール、C1〜C6−アルキルヘテロアリール、C2〜C6−アルケニル、C2〜C6−アルケニルアリール、C2〜C6−アルケニルヘテロアリール、C2〜C6−アルキニル、C2〜C6−アルキニルアリール、C2〜C6−アルキニルヘテロアリール、C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C1〜C6−アルキルシクロアルキル、C1〜C6−アルキルヘテロシクロアルキル、C1〜C6−アルキルカルボキシ、アシル、C1〜C6−アルキルアシル、C1〜C6−アルキルアシロキシ、C1〜C6−アルキルアルコキシ、アルコキシカルボニル、C1〜C6−アルキルアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1〜C6−アルキルアミノカルボニル、C1〜C6−アルキルアシルアミノ、C1〜C6−アルキルウレイド、アミノ、C1〜C6−アルキルアミノ、スルホニルオキシ、C1〜C6−アルキルスルホニルオキシ、スルホニル、C1〜C6−アルキルスルホニル、スルフィニル、C1〜C6−アルキルスルフィニル、C1〜C6−アルキルスルファニル、C1〜C6−アルキルスルホニルアミノを含む、あるいはこれらからなる群から選択され、
3は、アリールおよびヘテロアリールを含む、あるいはこれらからなる群から選択され、
4は、H、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルキルアリール、C1〜C6−アルキルヘテロアリール、アリール、ヘテロアリールを含む、あるいはこれらからなる群から選択され、あるいは、
2とR4は、これらが連結されるN原子と共に、5〜8員の飽和または不飽和のヘテロシクロアルキル環を形成することができ、
nは、1から3までの整数である)
その幾何異性体、エナンチオマーとしてのその光学活性形、ジアステレオマー、これらの混合物およびそのラセミ形、ならびにそれらの塩。
【請求項2】
1がメチルである、請求項1に記載のピロリジン誘導体。
【請求項3】
3がビフェニルである、請求項1または2に記載のピロリジン誘導体。
【請求項4】
nが整数1または2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体。
【請求項5】
Bが、−COO、CONR4、またはオキサジアゾールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体。
【請求項6】
2が、H、C1〜C6アルキル、または3〜8員のシクロアルキルからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体。
【請求項7】
2とR4が、これらが連結されるN原子と共に、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリノ部分を形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体。
【請求項8】
1が、メチルであり、R3が、ビフェニル部分であり、Bが、−COO、CONR4、または1,2,4オキサジアゾール部分である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体。
【請求項9】
以下の群:
3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸
3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸メチル
[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]酢酸シクロペンチル
3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパン酸シクロペンチル
2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]−N−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]アセトアミド
3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]−N−[(2S)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]プロパンアミド
2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]アセトアミド
3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパンアミド
(3EZ,5S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
(3EZ,5R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−(3−モルホリン−4−イル−3−オキソプロピル)ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
N−(2−アミノフェニル)−2−[(2S,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]アセトアミド
N−(2−アミノフェニル)−3−[(2R,4EZ)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−4−(メトキシイミノ)ピロリジン−2−イル]プロパンアミド
(3EZ,5S)−5−(1H−ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
(3EZ,5R)−5−[2−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)エチル]−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
(3EZ,5S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−[(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)メチル]ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
(3EZ,5R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−[2−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)エチル]ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
(3EZ,5S)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−{[3−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]メチル}ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
(3EZ,5R)−1−(ビフェニル−4−イルカルボニル)−5−{2−[3−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]エチル}ピロリジン−3−オン O−メチルオキシム
から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体。
【請求項10】
医薬品として使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のピロリジン。
【請求項11】
早期分娩、早産、または月経困難症の予防および/または治療用の医薬品を調製するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体、ならびに異性体、エナンチオマーとしての光学的に活性な形、ジアステレオマー、およびこれらの混合物、ならびにそれらの塩の使用。
【請求項12】
オキシトシン受容体の調節の必要がある障害の治療用の医薬品を調製するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のピロリジンの使用。
【請求項13】
オキシトシン受容体活性に関連する障害を治療または予防するための、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記調節が、オキシトシン受容体をブロックすること、またはオキシトシンのその受容体への結合と拮抗することにある、請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体を含有する薬剤組成物、およびその薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤。
【請求項16】
カルボン酸(II)をアルコール(III)と反応させるステップを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体を調製する方法。
【化2】

【請求項17】
カルボン酸(II)をアミン(XIII)と反応させるステップを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体を調製する方法。
【化3】

【請求項18】
カルボン酸(II)をアミドキシム(XIV)と反応させるステップを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のピロリジン誘導体を調製する方法。
【化4】


【公表番号】特表2006−519212(P2006−519212A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502031(P2006−502031)
【出願日】平成16年2月16日(2004.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050142
【国際公開番号】WO2004/076407
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(599177396)アプライド リサーチ システムズ エーアールエス ホールディング ナームロゼ フェンノートシャップ (70)
【Fターム(参考)】