説明

オレフィン重合体の製造方法

【課題】微粒子の捕集装置を有する気相重合反応装置を用いるオレフィン重合体の製造方法であって、前記捕集装置の内壁面でのファウリングや抜き出し口の閉塞を防止することができるオレフィン重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】流動床式反応器と、該反応器の上部に設けられたガス排出口と該反応器の下部に設けられたガス導入口を連結してなるガス循環ラインと、該ガス循環ライン上に設けられた微粒子の捕集装置とを有する気相重合装置を用いるオレフィン重合体の製造方法であって、捕集装置の内壁面温度を下記の温度範囲にコントロールするオレフィン重合体の製造方法。
D+10 < T < −5.8×X+110
ただし、
Tは、捕集装置の内壁面温度(℃)を、
Xは、オレフィン重合体の冷キシレン可溶部量(重量%)を、
Dは、循環ガスの露点(℃)を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合体の製造方法に関するものである。さらに詳細には、微粒子の捕集装置を有する気相重合反応装置を用いるオレフィン重合体の製造方法に関するものであり、前記捕集装置の内壁面でのファウリングや抜き出し口の閉塞を防止することができるオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、オレフィン類の気相重合法において、オレフィン類の気相重合帯域から排出される微粉状重合体含有未反応ガス流をサイクロンに導いて、該微粉状重合体を捕集することが知られている。
例えば、特開昭57−128706号公報(特許文献1)には、オレフィン類の気相重合帯域から排出される未反応ガス流中に随伴含有される微粉状重合体による付着や閉塞のトラブルを克服する方法として、オレフィン類の気相重合帯域から排出される微粉状重合体含有未反応ガス流を、サイクロンに導いて該微粉状重合体を捕集し、該サイクロン下部から吸引力を作用させて、捕集された微粉状重合体をサイクロンから吸引除去し、この除去した微粉状重合体を上記気相重合帯域に循環させるオレフィン類の気相重合法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭57−128706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記公報に記載の方法においても、捕集装置の内壁面でファウリングが発生したり、捕集装置の抜き出し口が閉塞したりすることがあり、必ずしも十分なものではかなった。
【0005】
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題、すなわち、本発明の目的は、微粒子の捕集装置を有する気相重合反応装置を用いるオレフィン重合体の製造方法であって、前記捕集装置の内壁面でのファウリングや抜き出し口の閉塞を防止することができるオレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討の結果、本発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
流動床式反応器と、該反応器の上部に設けられたガス排出口と該反応器の下部に設けられたガス導入口を連結してなるガス循環ラインと、該ガス循環ライン上に設けられた微粒子の捕集装置とを有する気相重合装置を用いるオレフィン重合体の製造方法であって、捕集装置の内壁面温度を下記の温度範囲にコントロールするオレフィン重合体の製造方法。
D+10 < T < −5.8×X+110
ただし、
Tは、捕集装置の内壁面温度(℃)を、
Xは、オレフィン重合体の冷キシレン可溶部量(重量%)を、
Dは、循環ガスの露点(℃)を表す。
【発明の効果】
【0007】
本発明のオレフィン重合体の製造方法によれば、捕集装置の内壁面でのハウリングや抜き出し口の閉塞が起こることなく、オレフィン重合体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において「重合」という語は、単独重合のみならず、共重合を包含したものであり、また「重合体」という語は単独重合体のみならず共重合体を包含したものである。
【0009】
本発明に用いる流動床式反応器としては、公知の気相流動床式反応器を用いることができる。例えば、特開昭58−201802号公報、特開昭59−126406号公報、特開平2−233708号公報、特開平4−234409号公報、特開平7−62009号公報などに記載の気相流動床式反応器をあげることができる。
【0010】
上記流動床式反応器の未反応モノマーの循環ラインに設置する捕集装置には、サイクロンタイプのものを用いることが好ましい。捕集装置の捕集された微粉重合体は外部に排出しても、エジェクター等を用いて流動層に戻してもよい。
【0011】
本発明では、循環ガスラインに上記の捕集装置を備えた流動床式反応器にオレフィンを連続的に供給し、流動層内にオレフィン重合用触媒を供給し、オレフィン重合用触媒を含む固体粒子の流動床を形成させ、該オレフィンを重合させる。
【0012】
本発明の気相重合反応装置を用いたオレフィンの重合では、通常、流動床を通過したオレフィンのガスは、流動床式反応容器の上方部に設けられている減速領域において、その流速が減速されて流動床式反応容器の上部に設けられたガス出口を介して、流動床式反応容器の外に排出される。そして、流動床式反応容器から排出されたガスは、循環ガスラインを介して、該捕集装置を経たのちに、圧縮機により、再び流動床式反応容器のガス分散板より下の位置に吹き込まれる。また、通常、オレフィンのガスは、再び流動床式反応容器のガス分散板より下の位置に吹き込まれる前に、ガスの重合反応熱を除去する必要があるため、循環ガスライン上には熱交換器が設けられ、ガスはこの熱交換器により冷却される。循環ガスラインには、オレフィン導入管および水素導入管が設けられ、このオレフィン導入管および水素導入管から、オレフィンおよび水素が供給される。
【0013】
本発明では、公知の重合条件によりオレフィンの重合が行われる。反応器内圧力は、オレフィンの全体、あるいは少なくとも一部が気相として存在し得る範囲内であればよく、通常0.1〜5.0MPa、好ましくは、1.5〜3.0MPaである。反応器内温度は、使用する触媒、反応器内の圧力、重合するオレフィンの種類等により適宜選択されるが、一般には、30〜110℃である。また、反応器内の循環ガス流速は、通常10〜100cm/秒であり、好ましくは20〜70cm/秒である。なお、一般に、循環ガスには、水素を共存させてもよく、不活性ガスを共存させてもよい。
ただ循環ガス流速が速いほど、捕集装置に飛散する微粉重合体の量は増加し、同一物性の重合体を製造するに際して、重合温度が低いほど、飛散する微粉重合体の量は増加する。
【0014】
本発明では、捕集装置に捕集された微粉重合体は連続的もしくは間歇的に系外に排出しても構わないし、連続的もしくは間歇的に流動床内に戻しても構わない。
【0015】
本発明では、捕集装置は壁面の温度がコントロールできることが好ましく、捕集装置に温度コントロール可能な温水等を通水することができるジャケット、あるいは電気的に加温可能なジャケットを設置することが更に好ましい。
【0016】
捕集装置の内壁面温度は高すぎても壁面でファウリングが発生し、低すぎても壁面でファウリングが発生する。その結果、捕集装置の抜き出し口が閉塞したり、捕集効率が低下したりする。
【0017】
本発明では、捕集装置の内壁面温度(T(℃))は循環ガスの露点より10℃以上高く、さらには30℃以上高いことが好ましい。
【0018】
本発明では、捕集装置の内壁面温度(T(℃))は、−5.8×X+110より低い。ただし、Xは、オレフィン重合体の冷キシレン可溶部量(重量%)を表す。
【0019】
本発明のオレフィン重合体の製造に用いられるオレフィン重合用触媒としては、チーグラー型触媒、フィリップス型触媒などの公知のオレフィン重合用触媒が用いられるが、メタロセン系化合物を用いたメタロセン系触媒を用いることが好ましい。
【0020】
使用するチーグラー型触媒の製造方法としては、特開昭59−8706号公報、特開昭59−22907号公報、特開昭59−22908号公報、特開昭59−64611号公報、特開昭59−71309号公報、特開昭60−42404号公報、特開昭60−133011号公報、特開昭60−215006号公報、特開昭62−232405号公報、特開昭62−297304号公報、特開平1−256502号公報、特開平1−289809号公報、特開平3−81303号公報、特開平3−88808号公報、特開平3−93803号公報、特公昭56−18132号公報、特公昭56−15807号公報、特公昭61−50964号公報、特公昭61−363号公報、特公昭62−56885号公報などに提案されている方法が採用できる。また必要に応じて、例えば、特開2001−342211号公報などに提案されているように少量のオレフィンを重合(以下、予備重合と称する。)して得た粒子を使用することができる。
【0021】
メタロセン系触媒としては、有機アルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物などの助触媒成分とメタロセン系化合物とを粒子状担体に担持させてなる固体触媒成分(例えば、特開昭61−108610号公報、特開昭61−296008号公報、特開昭63−89505号公報、特開平3−234709号公報、特開平6−336502号公報等に記載されている固体触媒成分)を用いて、必要に応じて、有機アルミニウム化合物、ホウ素化合物などの助触媒成分を併用して、予備重合して得た粒子を使用することができる。
【0022】
また、メタロセン系触媒としては、有機アルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、有機亜鉛化合物などの助触媒成分を粒子状担体に担持させてなる固体触媒成分(例えば、特開2003−171412号公報等に記載されている固体触媒成分)を用い、メタロセン系化合物、有機アルミニウム化合物などの触媒成分とを併用して、少量のオレフィンを予備重合して得た粒子をあげることができる。
【0023】
本発明は、これらのオレフィンの単独重合または共重合に適用される。共重合体を構成するオレフィンの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと4−メチル−1−ペンテン、エチレンと1−オクテン、プロピレンと1−ブテン、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセン、エチレンと1−ブテンと4−メチル−1−ペンテン等が例示される。
【0024】
本発明で製造されるオレフィン重合体として、特に好ましくはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、中でもポリエチレン結晶構造を有するエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。該α−オレフィンとしてより好ましくは炭素原子数3〜8のα−オレフィンであり、具体的には1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)密度(単位:Kg/m3
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
【0026】
(2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、荷重21.18N、温度190℃の条件で測定した。
【0027】
(3)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
機種 :ミリポアウオーターズ社製 150C型
カラム :TSK−GEL GMH−HT 7.5×600 2本
測定温度:140℃
溶媒 :オルトジクロロベンゼン
溶媒流量:1.0mL/分
測定濃度:5mg/5ml
検出器 :示差屈折
【0028】
(4)冷キシレン可溶部量(CXS、単位:重量%)
米国のCode of federal regulations,Foodand Drugs Administrationの§175.1520に規定された方法に従って測定した。
【0029】
実施例1
(1)予備重合触媒の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付き反応器に、常温下でブタン80リットルを投入し、次に、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド107mmolを投入した。その後、反応器内の温度を50℃まで上昇させ、2時間攪拌した。反応器内の温度を30℃まで降温し、エチレンを0.1kg投入した。次に、特開2005−68170号公報の実施例1(1)、(2)および(3)の成分(A)の合成と同様の方法で調整した助触媒担体728gを投入した。系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム158mmolを投入して予備重合を開始した。
予備重合開始後、反応器内の重合温度を30℃で0.5時間運転を行い、その後30分かけて50℃まで昇温して、その後は50℃で重合を行った。最初の0.5時間は、エチレンを0.7kg/時間で供給し、水素を常温常圧として0.7リットル/時間の速度で供給し、重合開始後0.5時間からは、エチレンを3.5kg/時間、水素を常温常圧として5.5リットル/時間の速度で供給し、合計4時間の予備重合を実施した。予備重合終了後、反応器内圧力を0.5MPaGまでパージし、スラリー状予備重合触媒を乾燥器に移送して、窒素流通乾燥を実施して、予備重合触媒を得た。該予備重合触媒中のエチレン重合体の予備重合量は、助触媒担体1g当り16.0gであった。
【0030】
(2)流動床式気相重合
循環ガスラインに温度コントロールが可能なジャケットを有し、捕集した微粉重合体を外抜きすることが可能なサイクロン型の捕集器が設置されており、内径が50cmである流動床式重合反応器を有する流動床式連続気相重合反応装置を用い、重合温度:75℃、圧力:2.0MPaG、ホールドアップ量:80kg、ガス組成:エチレン92.90mol%、水素0.56mol%、1−ヘキセン1.42mol%、窒素6.30mol%、ヘキサン0.30mol%、循環ガス流速:32cm/秒の重合条件でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。この循環ガス組成における露点は28℃であった。捕集器の壁温度は65℃でコントロールを行った。
重合中は、上記実施例1(1)で得た予備重合触媒を、15g/hrの供給量で供給した。また、重合中は、トリエチルアミンを0.6mmol/hrの供給量で、トリイソブチルアルミニウムを21mmol/hrの供給量で、重合反応器に供給し、平均22.2kg/hのエチレン−1−ヘキセン共重合体を生産した。運転終了前8時間における捕集器にて捕集された微粉共重合体は19.2g/hであった。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体の密度は912.8kg/m3、MFRは0.45g/10分、冷キシレン可溶分が3.84wt%であり、Q値は8.1であった。
5日間の運転終了後、捕集器内部の開放点検を実施したが、ファウリングは殆どなかった。
【0031】
実施例2
(1)予備重合触媒の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付き反応器に、常温下でブタン80リットルを投入し、次に、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド110mmolを投入した。その後、反応器内の温度を50℃まで上昇させ、2時間攪拌した。反応器内の温度を30℃まで降温し、エチレンを0.1kg投入した。次に、特開2005−68170号公報の実施例1(1)、(2)および(3)の成分(A)の合成と同様の方法で調整した助触媒担体695gを投入した。その後、水素を常温常圧として0.1リットル投入した。系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム158mmolを投入して予備重合を開始した。
予備重合開始後、反応器内の重合温度を30℃で0.5時間運転を行い、その後30分かけて50℃まで昇温して、その後は50℃で重合を行った。最初の0.5時間は、エチレンを0.6kg/時間で供給し、水素を常温常圧として0.6リットル/時間の速度で供給し、重合開始後0.5時間からは、エチレンを1.5kg/時間、水素を常温常圧として4.5リットル/時間の速度で供給し、合計8時間の予備重合を実施した。予備重合終了後、反応器内圧力を0.5MPaGまでパージし、スラリー状予備重合触媒を乾燥器に移送して、窒素流通乾燥を実施して、予備重合触媒を得た。該予備重合触媒中のエチレン重合体の予備重合量は、助触媒担体1g当り13.7gであった。
【0032】
(2)流動床式気相重合
循環ガスラインに温度コントロールが可能なジャケットを有し、捕集した微粉重合体を外抜きすることが可能なサイクロン型の捕集器が設置されており、内径が50cmである流動床式重合反応器を有する流動床式連続気相重合反応装置を用い、重合温度:90℃、圧力:2.0MPaG、ホールドアップ量:80kg、ガス組成:エチレン91.7mol%、水素1.51mol%、1−ヘキセン0.95mol%、窒素6.7mol%、ヘキサン0.3mol%、循環ガス流速:32cm/秒の重合条件でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。この循環ガス組成における露点は21℃であった。捕集器の壁温度は80℃でコントロールを行った。
重合中は、上記実施例1(1)で得た予備重合触媒を、21.7g/hrの供給量で供給した。また、重合中は、トリエチルアミンを0.6mmol/hrの供給量で、トリイソブチルアルミニウムを21mmol/hrの供給量で、重合反応器に供給し、平均21.0kg/hのエチレン−1−ヘキセン共重合体を生産した。運転終了前8時間における捕集器にて捕集された微粉共重合体は15.9g/hであった。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体の密度は920.8kg/m3、MFRは0.65g/10分、冷キシレン可溶分が3.53wt%であり、Q値は13.4であった。
5日間の運転終了後、捕集器内部の開放点検を実施したが、ファウリングは殆どなかった。
【0033】
比較例1
(1)流動床式気相重合
循環ガスラインに温度コントロールが可能なジャケットを有し、捕集した微粉重合体を外抜きすることが可能なサイクロン型の捕集器が設置されており、内径が50cmである流動床式重合反応器を有する流動床式連続気相重合反応装置を用い、重合温度:75℃、圧力:2.0MPaG、ホールドアップ量:80kg、ガス組成:エチレン92.6mol%、水素0.65mol%、1−ヘキセン1.36mol%、窒素6.3mol%、ヘキサン0.3mol%、循環ガス流速:31cm/秒の重合条件でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。この循環ガス組成における露点は27℃であった。捕集器の壁温度は35度でコントロールを行った。
重合中は、上記実施例1(1)で得た予備重合触媒を、16.9g/hrの供給量で供給した。また、重合中は、トリエチルアミンを0.6mmol/hrの供給量で、トリイソブチルアルミニウムを20mmol/hrの供給量で、重合反応器に供給し、平均23.2kg/hのエチレン−1−ヘキセン共重合体を生産した。3日間の運転後、捕集器からの排出不良が発生した。捕集器閉塞までに微粉共重合体の捕集量は徐々に低減していった。
得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体の密度は913.6kg/m3、MFRは0.64g/10分、冷キシレン可溶分が3.24wt%であり、Q値は7.6であった。
捕集器内部の開放点検を実施したところ、捕集器下部にファウリングが確認された。
【0034】
比較例2
(1)流動床式気相重合
循環ガスラインに温度コントロールが可能なジャケットを有し、捕集した微粉重合体を外抜きすることが可能なサイクロン型の捕集器が設置されており、内径が50cmである流動床式重合反応器を有する流動床式連続気相重合反応装置を用い、重合温度:90℃、圧力:2.0MPaG、ホールドアップ量:80kg、ガス組成:エチレン90.8mol%、水素1.64mol%、1−ヘキセン1.03mol%、窒素6.3mol%、ヘキサン0.3mol%、循環ガス流速:31cm/秒の重合条件でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。この循環ガス組成における露点は22℃であった。捕集器の壁温度は95℃でコントロールを行った。
重合中は、上記実施例2(1)で得た予備重合触媒を、21.4g/hrの供給量で供給した。また、重合中は、トリエチルアミンを0.6mmol/hrの供給量で、トリイソブチルアルミニウムを21mmol/hrの供給量で、重合反応器に供給し、平均21.8kg/hのエチレン−1−ヘキセン共重合体を生産した。2.5日間の運転後、捕集器からの排出が閉塞した。捕集器閉塞までに微粉共重合体の捕集量は徐々に低減していった。
得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体の密度は919.5kg/m3、MFRは1.15g/10分、冷キシレン可溶分が3.31wt%であり、Q値は13.1であった。
運転停止後、捕集器内部の開放点検を実施したところ、捕集器下部にファウリングが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床式反応器と、該反応器の上部に設けられたガス排出口と該反応器の下部に設けられたガス導入口を連結してなるガス循環ラインと、該ガス循環ライン上に設けられた微粒子の捕集装置とを有する気相重合装置を用いるオレフィン重合体の製造方法であって、捕集装置の内壁面温度を下記の温度範囲にコントロールするオレフィン重合体の製造方法。
D+10 < T < −5.8×X+110
ただし、
Tは、捕集装置の内壁面温度(℃)を、
Xは、オレフィン重合体の冷キシレン可溶部量(重量%)を、
Dは、循環ガスの露点(℃)を表す。
【請求項2】
使用されるオレフィン重合用触媒がメタロセン系触媒である請求項1記載のオレフィン重合体の製造方法。

【公開番号】特開2009−79181(P2009−79181A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251065(P2007−251065)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】