説明

オーバーモールド成形ポリアミド複合構造およびその製造方法

本発明は、オーバーモールド成形ポリアミド複合構造の分野およびそれを製造する方法に関する。開示されるオーバーモールド成形複合構造は、表面ポリアミド樹脂組成物で作られた少なくとも一部分を有する表面を有し、かつマトリックス樹脂組成物で含浸された繊維状材料を有する第1構成部分と、オーバーモールド成形用樹脂組成物を含む第2構成部分とを含む。第2構成部分は、前記第1構成部分の表面の少なくとも一部分上で第1構成部分に接着される。オーバーモールド成形用樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物の一方が、1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)と、1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)とのブレンドを含むポリアミド組成物で作られ、オーバーモールド成形用樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物の他方が、1種または複数種のポリアミドで作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーモールド成形ポリアミド複合構の分野およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同等または優れた機械的性能を持ちながら、軽量化およびコスト削減のために金属部品を取り替えることを目的に、繊維状材料を含有するポリマーマトリックスを含む複合材料をベースとする構造が開発されている。この関心の高まりに伴って、その物理的性質が優れているため、繊維状材料とポリマーマトリックスの組み合わせから得られる繊維強化プラスチック複合構造が設計されており、様々な最終用途で使用されている。ポリマーマトリックスでの繊維状材料の含浸を改善し、複合構造の特性を最適化するために、製造技術が開発されている。例えば、自動車および航空宇宙分野における構造部品など非常に要求の厳しい用途において、軽量、高い強度および耐熱性の組み合わせが特有のため、複合材料が求められている。
【0003】
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂をポリマーマトリックスとして使用して、高性能複合構造を得ることができる。熱可塑性材料をベースとする複合構造は、熱硬化性材料をベースとする複合構造と比較して、例えば、熱および圧力をかけることによって、二次成形または再加工することができること、硬化工程が必要ないことから、複合構造を製造する時間が短くなること、かつその再利用の可能性が高くなることなどのいくつかの利点を有する。実際に、熱可塑性材料の加工中に、熱硬化性樹脂を架橋(硬化)するために、多くの時間を必要とする化学反応は必要ない。熱可塑性樹脂の中でポリアミド樹脂が特に、複合構造の製造に非常に適している。機械的性質、耐熱性、耐衝撃性および耐薬品性が良く、様々な程度の複雑性および複雑さの様々な物品に便利に、かつ柔軟に成形することができることから、熱可塑性ポリアミド組成物は、自動車、電気/電子部品、家電製品および家具で使用される部品を含む広範囲の用途での使用に望ましい。
【0004】
米国特許第4,255,219号明細書に、複合体の形成に有用な熱可塑性シート材料が開示されている。その開示されている熱可塑性シート材料は、ポリアミド6および二塩基性カルボン酸またはその無水物もしくはエステルおよび前記層内に入れられたガラス長繊維の少なくとも1つの強化用マットで作られている。しかしながら、ポリアミド6から製造された複合体は、例えば低温(例えば、−40℃)〜高温(例えば、+120℃)などの一般的な最終用途温度範囲にわたって、その機械的性質の低下を示す。
【0005】
一体化複合構造を製造するため、かつポリマーの性能を高めるために、複合構造の表面の一部またはすべての上に、前記表面を取り囲む、またはカプセル化するように、ポリマー製の1つまたは複数の部品を「オーバーモールド成形」することが望ましい場合が多い。オーバーモールド成形は、複合構造の1つまたは複数の表面上に直接、第2ポリマー部品を形づくり、2部品(two−part)複合構造を形成することを含み、その2つの部品は、少なくとも1つの境界面で互いに接着される。オーバーモールド成形ポリマーと複合構造の表面の接着は、オーバーモールド成形ポリマーと複合構造の表面の相溶性によるものである。繊維状材料を含浸するために使用されるポリマー組成物(つまり、マトリックスポリマー組成物)および含浸繊維状材料をオーバーモールドするために使用されるポリマー組成物(つまり、オーバーモールド成形用ポリマー組成物)は、優れた接着性、非常に優れた寸法安定性を有し、かつ熱サイクルなどの悪条件下にてその機械的性質を保ち、その結果、作業条件下にて複合構造が保護され、その寿命が延びることが望まれる。繊維層を含浸し、かつ含浸された層をオーバーモールド成形するために使用されるポリアミドの例は、半芳香族ポリアミドである。国際公開第2007/149300号パンフレットに、ポリアミド組成物を含む繊維強化材料を含む構成部分と、ポリアミド組成物を含むオーバーモールド成形構成部分と、その間の任意の連結層と、を含む半芳香族ポリアミド複合体物品であって、そのポリアミド組成物の少なくとも1つが半芳香族ポリアミド組成物である物品が開示されている。開示されている構造は、様々な用途において金属構成部分の代用品として使用するのに適する、物理的性質を示すと記載されている。残念なことに、1つまたは複数の繊維強化材層を含浸するため、かつ1つまたは複数の含浸繊維層をオーバーモールド成形するために使用される従来のポリアミド組成物は、オーバーモールド成形ポリマーと、繊維強化材料を含む構成部分表面との間の乏しい接着性を示す。接着性が乏しい結果として、オーバーモールド成形品の界面に亀裂が生じ、機械的性質の低下、早期老化、および使用状況および時間に応じて、物品の層間剥離および劣化に関する問題が起こる。
【0006】
複合体の表面とオーバーモールド成形用樹脂との良好な接着性を有するオーバーモールド成形複合構造が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、i)表面ポリアミド樹脂組成物で作られた少なくとも一部分を有する表面を有し、かつ不織構造、生地、繊維詰め物およびその組み合わせから選択される繊維状材料を含む、第1構成部分であって、上記繊維状材料がマトリックス樹脂組成物で含浸される第1構成部分と、ii)オーバーモールド成形用樹脂組成物を含む第2構成部分と、を含むオーバーモールド成形複合構造であって、
オーバーモールド成形用樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物の一方が、a)芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導される反復単位を含有する1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)と、b)脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導される反復単位を含有するポリアミド、脂肪族アミノカルボン酸から誘導される反復単位を含有するポリアミド、およびラクタムから誘導されるポリアミドからなる群から選択される1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)と、のブレンドを含むポリアミド組成物で作られ、
オーバーモールド成形用樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物の他方が、1種または複数種のポリアミドで作られ、
かつ上記第2構成部分が、上記第1構成部分の表面の少なくとも一部分上で上記第1構成部分に接着される、オーバーモールド成形複合構造によって、上記の問題を克服することができることが分かった。
【0008】
本明細書に記載のオーバーモールド成形複合構造を製造する方法が、本明細書において記述される。上述のオーバーモールド成形複合構造を製造する方法は、本明細書に記載の第1構成部分をオーバーモールド成形用樹脂組成物でオーバーモールド成形する工程を含む。
【0009】
オーバーモールド成形用樹脂組成物で作られた部分が、複合構造の表面に接着された場合に、本明細書に記載のオーバーモールド成形複合構造は良好な接着を示す。第1構成部分、つまり複合構造とオーバーモールド成形用樹脂との接着が良好であることによって、使用状況および時間に応じた構造の劣化または層間剥離に対して良好な耐性を示す構造が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの特許および特許公開が本明細書に記載されている。これらの特許および特許公開それぞれの全開示内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
本発明は、オーバーモールド成形複合構造およびそれを製造する方法に関する。本発明によるオーバーモールド成形複合構造は、少なくとも2つの構成部分、すなわち第1構成部分および第2構成部分を含む。第1構成部分は、表面ポリアミド樹脂組成で作られた少なくとも一部分を有する表面を有し、かつ不織構造、生地、繊維詰め物およびその組み合わせから選択される繊維状材料を含む複合構造であって、上記繊維状材料がマトリックス樹脂組成物で含浸されている、複合構造からなる。
【0012】
オーバーモールド成形複合構造は、複数の第1構成部分を含んでもよく、すなわち、複数の複合構造を含んでもよく、複数の第2構成部分を含んでもよい。
【0013】
第2構成部分は、上記第1構成部の表面の少なくとも一部分上で第1構成部分に接着され、その表面の部分は、本明細書に記載の表面ポリアミド樹脂組成物で作られる。第1構成部分は、第2構成部分によって完全カプセル化されても、または一部カプセル化されてもよい。
【0014】
本明細書における目的で、「マトリックス樹脂組成物で含浸されている繊維状材料」とは、マトリックス樹脂組成物で実質的に囲まれた繊維状材料の相互貫入網目構造を形成するように、マトリックス樹脂組成物が、繊維状材料をカプセル化し、取り囲むことを意味する。本明細書における目的で、「繊維」という用語は、縦方向に対して垂直なその断面積全体にわたって、長さと幅の高い比を有する、巨視的に均一な物体として定義される。繊維断面はあらゆる形状であることができるが、一般に円形である。
【0015】
繊維状材料は、当業者に公知の適切な形状であることができ、好ましくは、不織構造、生地、繊維詰め物およびその組み合わせから選択される。不織布構造は、ランダムな繊維配向または整列繊維構造から選択することができる。ランダムな繊維配向の例としては、限定されないが、マット、ニードルドマットまたはフェルトの形状であることができる細断材料および連続材料が挙げられる。整列繊維構造の例としては、限定されないが、一方向繊維ストランド、二方向ストランド、多方向ストランド、多軸生地が挙げられる。生地は、織物、編物、ブレードおよびその組み合わせから選択することができる。繊維状材料は、連続または不連続形状である。
【0016】
オーバーモールド成形複合構造の最終用途および必要とされる機械的性質に応じて、いくつかの同じ繊維状材料または異なる繊維状材料の組み合わせを使用することによって、複数の繊維状材料が使用される。すなわち、本発明の第1構成部分は、1種または複数種の繊維状材料を含み得る。異なる繊維状材料の組み合わせの一例は、例えば、中心層として置かれる平面ランダムマットなどの不織構造と、外層として置かれる1種または複数種の連続織繊維状材料とを含む組み合わせである。かかる組み合わせによって、第1構成部分の加工および均一性が向上し、したがってオーバーモールド成形された複合構造の機械的性質が向上する。その材料または材料の混合物が、マトリックス樹脂組成物およびポリアミド表面樹脂組成物による含浸中およびオーバーモールド成形用樹脂組成物による第1構成部分のオーバーモールド成形中に用いられる加工条件に耐えるという条件で、繊維状材料は、任意の適切な材料、または材料の混合物で作られてもよい。
【0017】
好ましくは、繊維状材料は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、金属繊維、セラミック繊維、天然繊維またはその混合物を含み;さらに好ましくは、繊維状材料は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、天然繊維またはその混合物を含み、またさらに好ましくは、繊維状材料は、ガラス繊維、炭素繊維およびアラミド繊維またはその混合物を含む。天然繊維とは、植物由来または動物由来の材料のいずれかを意味する。使用される場合、天然繊維は好ましくは、例えばシードヘアー(例えば、綿)、茎植物(例えば、麻、亜麻、竹;靭皮およびコア繊維の両方)、葉植物(例えば、サイザルおよびアバカ)、農業繊維(例えば、穀類のわら、トウモロコシの穂軸、もみ殻およびココナッツ繊維)またはリグノセルロース系繊維(例えば、木、木部繊維、木粉、紙および木材に関連する材料)などの植物資源から誘導される。上記のように、複数種の繊維状材料を使用することができる。異なる繊維で作られた繊維状材料の組み合わせ、例えば、ガラス繊維または天然繊維で作られた1つまたは複数の中央層と、炭素繊維またはガラス繊維で作られた1つまたは複数の表面層と、を含む第1構成部分などを使用することができる。好ましくは、繊維状材料は、織り構造、不織構造またはその組み合わせから選択され、上記構造はガラス繊維で作られ、かつそのガラス繊維は、直径8〜30μm、好ましくは直径10〜24μmを有するEガラスフィラメントである。
【0018】
繊維状材料は、熱可塑性材料をさらに含むことができ、例えば、繊維状材料は、混繊または交織ヤーンの形状、または続いて織り形状または不織形状に加工するのに適している、熱可塑性材料製粉末で含浸された繊維状材料の形状、または一方向材料として使用される混合物の形状をとることができる。
【0019】
好ましくは、第1構成部分(つまり、複合構造)における繊維状材料とポリマー材料の割合、すなわち、マトリックス樹脂組成物および表面樹脂組成物と組み合わせた繊維状材料は、繊維状材料が少なくとも30%であり、さらに好ましくは繊維状材料40〜60%であり、そのパーセンテージは、第1構成部分、つまり複合構造の総体積に対する体積%である。
【0020】
オーバーモールド成形用樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物の一方が、a)1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)と、b)1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B);とのブレンドを含むポリアミド組成物で作られ;オーバーモールド成形用樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物の他方が、1種または複数種のポリアミドで作られる。
【0021】
好ましくは、本明細書に記載のポリアミド組成物は、a)1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)と、b)1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)とのブレンドを、重量比(A:B)約99:1〜約5:95、さらに好ましくは約97:3〜約50:50で含む。
【0022】
本明細書に記載のa)1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)とb)1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)とのブレンドを含むポリアミド組成物で作られたオーバーモールド成形用樹脂組成物と、1種または複数種のポリアミド、好ましくは半芳香族ポリアミドで作られた表面ポリアミド樹脂組成物と、を含むオーバーモールド成形複合体が本明細書に記述される。
【0023】
本明細書に記載のa)1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)とb)1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)のブレンドを含むポリアミド組成物で作られた表面樹脂組成物と、1種または複数種のポリアミド、好ましくは半芳香族ポリアミドで作られたオーバーモールド成形用ポリアミド樹脂組成物と、を含むオーバーモールド成形複合体も本明細書に記述される。
【0024】
マトリックス樹脂組成物は、表面ポリアミド樹脂組成物と相溶性である熱可塑性樹脂で作られ、好ましくは、マトリックス樹脂組成物は、1種または複数種のポリアミドで作られる、または上述される、a)1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)と、b)1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)とのブレンドを含むポリアミド組成物から選択される。
【0025】
ポリアミドは、1種または複数種のジカルボン酸および1種または複数種のジアミン、および/または1種または複数種のアミノカルボン酸の縮合生成物、および/または1種または複数種の環状ラクタムの開環重合生成物である。ポリアミドは、完全脂肪族または半芳香族であり、以下に記述される。
【0026】
「半芳香族」という用語は、脂肪族カルボン酸モノマーおよび脂肪族ジアミンモノマーを含むポリアミドを述べる「完全脂肪族」ポリアミドと比較して、芳香族基を含む少なくともいくつかのモノマーを含むポリアミドを述べている。
【0027】
その1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)は、1種または複数種の脂肪族カルボン酸成分と、例えばm−キシレンジアミンおよびp−キシレンジアミンなどの芳香族ジアミン成分とから誘導され、1種または複数種の芳香族カルボン酸成分および1種または複数種のジアミン成分から誘導され、またはカルボン酸成分およびジアミン成分から誘導される。
【0028】
好ましくは、その1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)は、1種または複数種の芳香族カルボン酸成分および1種または複数種のジアミン成分から形成される。その1種または複数種の芳香族カルボン酸は、テレフタル酸、またはテレフタル酸と1種または複数種の他のカルボン酸、イソフタル酸、置換フタル酸、例えば2−メチルテレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸の非置換もしくは置換異性体等との混合物であることができ、カルボン酸成分は、テレフタル酸を少なくとも55モル%含有する(モル%はカルボン酸混合物に対する%である)。好ましくは、その1種または複数種の芳香族カルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸およびその混合物から選択され、さらに好ましくは、その1種または複数種のカルボン酸は、テレフタル酸とイソフタル酸の混合物であり、その混合物はテレフタル酸を少なくとも55モル%含有する。さらに好ましくは、その1種または複数種のカルボン酸は、テレフタル酸100%である。さらに、その1種または複数種のカルボン酸は、アジピン酸;ピメリン酸;スベリン酸;アゼライン酸;セバシン酸およびドデカン2酸等の1種または複数種の脂肪族カルボン酸と混合することができ、アジピン酸が好ましい。さらに好ましくは、1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)の1種または複数種のカルボン酸混合物中に含まれる、テレフタル酸とアジピン酸の混合物は、テレフタル酸を少なくとも55モル%含有する。本明細書にに記載の1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)は、限定されないが、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2−エチルテトラメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン;トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン;および/またはその混合物を含む、炭素原子4個以上を有するジアミンの中から選択される1種または複数種のジアミンを含む。好ましくは、本明細書に記載の1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)の1種または複数種のジアミンは、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンおよびその混合物から選択され、さらに好ましくは、1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)の1種または複数種のジアミンは、ヘキサメチレンジアミン、およびヘキサメチレンジアミンと2−メチルペンタメチレンジアミンとの混合物から選択され、その混合物は、ヘキサメチレンジアミンを少なくとも50モル%含有する(モル%はジアミン混合物に対する%である)。本明細書に記載のポリアミド組成物において有用な芳香族ポリアミド(A)の例は、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delawareから商標Zytel(登録商標)HTNで市販されている。
【0029】
1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)は、脂肪族および脂環式モノマー、例えばジアミン、ジカルボン酸、ラクタム、アミノカルボン酸、およびその反応性相当物から選択される。適切なアミノカルボン酸は11−アミノドデカン酸である。適切なラクタムとしては、カプロラクタムおよびラウロラクタムが挙げられる。本発明の文脈において、「完全脂肪族ポリアミド」という用語は、2種類以上のかかるモノマーから誘導されるコポリマーおよび2種類以上の完全脂肪族ポリアミドのブレンドも意味する。直鎖状、分枝状および環状モノマーが使用される。完全脂肪族ポリアミドに含まれるカルボン酸モノマーは、脂肪族カルボン酸、例えばアジピン酸(C6)、ピメリン酸(C7)、スベリン酸(C8)、アゼライン酸(C9)、セバシン酸(C10)、ドデカン2酸(C12)およびテトラデカン2酸(C14)などである。好ましくは、1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)の脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸およびドデカン2酸から選択される。本明細書に記載の1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)は、先に述べたように脂肪族ジアミンを含む。好ましくは、本発明による1種または複数種の完全脂肪族ポリアミドコポリマー(B)の1種または複数種のジアミンモノマーは、テトラメチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンから選択される。完全脂肪族ポリアミドの適切な例としては、ポリアミド6;ポリアミド6,6;ポリアミド4,6;ポリアミド6,10;ポリアミド6,12;ポリアミド6,14;ポリアミド6,13;ポリアミド6,15;ポリアミド6,16;ポリアミド11;ポリアミド12;ポリアミド9,10;ポリアミド9,12;ポリアミド9,13;ポリアミド9,14;ポリアミド9,15;ポリアミド6,16;ポリアミド9,36;ポリアミド10,10;ポリアミド10,12;ポリアミド10,13;ポリアミド10,14;ポリアミド12,10;ポリアミド12,12;ポリアミド12,13;ポリアミド12,14が挙げられる。本発明のポリアミド組成物において有用な完全脂肪族ポリアミド(B)の好ましい例は、ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)(ナイロン66とも呼ばれる、ポリアミド66、PA66)、ポリ(ヘキサメチレンドデカノアミド)(ナイロン612とも呼ばれる、ポリアミド612、PA612)であり、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delawareから商標Zytel(登録商標)で市販されている。
【0030】
本明細書に記載の表面ポリアミド樹脂組成物および/またはマトリックス樹脂組成物および/またはオーバーモールド成形用樹脂組成物はさらに、1種または複数種の耐衝撃性改良剤、1種または複数種の熱安定剤、1種または複数種の酸化安定剤、1種または複数種の補強剤、1種または複数種の紫外線安定剤、1種または複数種の難燃剤またはその混合物を含み得る。
【0031】
本明細書に記載の表面ポリアミド樹脂組成物および/またはマトリックス樹脂組成物および/またはオーバーモールド成形用樹脂組成物はさらに、1種または複数種の熱安定剤を含み得る。その1種または複数種の熱安定剤は好ましくは、銅塩および/またはその誘導体、ヒンダードアミン酸化防止剤、リン酸化防止剤およびその混合物から選択され、さらに好ましくは、銅塩および/またはハロゲン化物化合物と組み合わされた誘導体から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン酸化防止剤、リン酸化防止剤およびその混合物から選択される。銅塩および/またはその誘導体の例としては、限定されないが、ハロゲン化銅または酢酸銅;二価マンガン塩および/またはその誘導体およびその混合物が挙げられる。好ましくは、銅塩および/またはその誘導体は、ハロゲン化物化合物および/またはリン化合物と併せて使用され、さらに好ましくは、銅塩は、ヨウ化物または臭化物化合物と併せて使用され、またさらに好ましくは、ヨウ化カリウムまたは臭化カリウムと併せて使用される。存在する場合、その1種または複数種の熱安定剤は、約0.1〜約3重量%、好ましくは約0.1〜約1重量%、またはさらに好ましくは約0.1〜約0.7重量%の量で存在し、その重量%は、場合により、表面樹脂組成物またはマトリックス樹脂組成物またはオーバーモールド成形用樹脂組成物の全重量に対する%である。1種または複数種の熱安定剤の添加によってさらに、その製造中の第1構成部分およびオーバーモールド成形複合構造の熱安定性ならびに使用状況および時間に応じたその熱安定性が向上する。熱安定性の向上に加えて、1種または複数種の熱安定剤が存在することによって、第1構成部の含浸中に用いられる温度を高くすることが可能となり、したがって、本明細書に記載のマトリックス樹脂および/またはポリアミド組成物の溶融粘度が低減される。マトリックス樹脂および/またはポリアミド表面樹脂組成物の溶融粘度が低減された結果、含浸率が高くなる。
【0032】
表面ポリアミド樹脂組成物および/またはマトリックス樹脂組成物および/またはオーバーモールド成形用樹脂組成物はさらに、1種または複数種の酸化安定剤、例えばリン酸化防止剤(例えば、ホスファイトまたはホスホナイト安定剤)、ヒンダードフェノール安定剤、芳香族アミン安定剤、チオエステル、および高温適用が用いられる場合にポリマーの熱誘導酸化を妨げるフェノール系酸化防止剤などを含有し得る。存在する場合、その1種または複数種の酸化安定剤は、約0.1〜約3重量%、または好ましくは約0.1〜約1重量%、またはさらに好ましくは約0.1〜約0.7重量%を占め、その重量%は、場合により、表面樹脂組成物またはマトリックス樹脂組成物またはオーバーモールド成形用樹脂組成物の全重量に対する%である。
【0033】
表面ポリアミド樹脂組成物および/またはマトリックス樹脂組成物および/またはオーバーモールド成形用樹脂組成物はさらに、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、マイカ、珪灰石、炭酸カルシウム、タルク、か焼クレー、カオリン、硫酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、炭酸ナトリウムアルミニウム、バリウムフェライト、およびチタン酸カリウムなどの1種または複数種の補強剤を含有し得る。存在する場合、その1種または複数種の補強剤は、約1〜約60重量%、好ましくは約1〜約40重量%、またはさらに好ましくは約1〜約35重量%の量で存在し、その重量%は、場合により、表面樹脂組成物またはマトリックス樹脂組成物またはオーバーモールド成形用樹脂組成物の全重量に対する%である。
【0034】
本明細書に記載の表面ポリアミド樹脂組成物および/またはマトリックス樹脂組成物および/またはオーバーモールド成形用樹脂組成物はさらに、1種または複数種の紫外線安定剤、例えばヒンダードアミン光安定剤(HALS)、カーボンブラック、置換レゾルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾール、およびベンゾフェノンを含み得る。
【0035】
本明細書に記載の表面ポリアミド樹脂組成物および/またはマトリックス樹脂組成物および/またはオーバーモールド成形用樹脂組成物はさらに、金属酸化物(金属は、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、スズ、アンチモン、ニッケル、銅およびタングステンであることができる)、金属粉末(金属は、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、スズ、アンチモン、ニッケル、銅およびタングステンであることができる)、金属塩、例えばホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムおよび炭酸バリウム、ホスフィン酸金属塩(金属は、アルミニウム、亜鉛およびカルシウムであることができる)、デカブロモジフェニルエーテル、ハロゲン化ポリマー、例えばポリ(ブロモスチレン)および臭化ポリスチレンなどのハロゲン化有機化合物、ピロリン酸メラミン、シアヌル酸メラミン、ポリリン酸メラミン、赤リン等の1種または複数種の難燃剤を含み得る。
【0036】
本明細書に記載の表面ポリアミド樹脂組成物および/またはマトリックス樹脂組成物および/またはオーバーモールド成形用樹脂組成物はさらに、改質剤および他の成分、限定されないが、流動向上添加剤、潤滑剤、帯電防止剤、着色剤(染料、顔料、カーボンブラック等)、難燃剤、核剤、結晶化促進剤およびポリマー配合技術において公知の他の加工助剤を含み得る。
【0037】
充填剤、改質剤および上述の他の成分は、当技術分野でよく知られている量および形状で、例えば、粒子の寸法の少なくとも1つが1〜1000nmの範囲である、いわゆるナノ材料の形状で存在する。
【0038】
好ましくは、表面ポリアミド樹脂組成物および/またはマトリックス樹脂組成物および/またはオーバーモールド成形樹脂組成物は、溶融混合ブレンドであり、ポリマー成分すべてが互いによく分散されており、非ポリマー成分すべてが、ポリマーマトリックス中によく分散され、ポリマーマトリックスによって結合され、その結果、ブレンドが統一体を形成する。本発明のポリマー成分および非ポリマー成分を合わせるために、溶融混合方法が用いられる。例えば一軸もしくは二軸スクリュー押出機;ブレンダー;一軸もしくは二軸ニーダー;またはバンバリーミキサーなどの溶融混合機に、例えばポリマー成分および非ポリマー成分を一段階添加によって一度にすべて、または段階的な様式で添加し、次いで溶融混合する。段階的な様式でポリマー成分および非ポリマー成分を添加する場合、ポリマー成分および/または非ポリマー成分の一部を最初に添加し、続いて添加される残りのポリマー成分および非ポリマー成分と溶融混合し、さらに十分に混合された組成物が得られるまで溶融混合する。
【0039】
本発明によるオーバーモールド成形複合構造は、上述の第1構成部分をオーバーモールド成形用樹脂組成物でオーバーモールド成形する工程を含む方法によって製造されてもよい。「オーバーモールド成形」とは、本明細書に記載のオーバーモールド成形用樹脂組成物を含む第2構成部分が、その表面が表面ポリアミド樹脂組成物で作られている第1構成部分の表面の少なくとも一部分上に成形または押出し成形されることを意味する。
【0040】
オーバーモールド成形方法は、第2構成部分が、第1構成部分を既に含む金型で成形されることを含み、後者は、以下に記述されるように予め製造されており、その結果、第1構成部分と第2構成部分は、第1構成部分の表面の少なくとも一部分上で互いに接着される。第1構成部分は、最終的なオーバーモールド成形複合構造の外面を画定するキャビティを有する金型に位置付けられる。オーバーモールド成形用樹脂組成物は、第1構成部分の一方の面にオーバーモールド成形されても、または両面上にオーバーモールド成形されてもよく、第1構成部分を完全カプセル化しても、または一部カプセル化してもよい。金型に第1構成部分を位置付けした後、次いで、オーバーモールド成形用樹脂組成物が溶融状態で投入される。オーバーモールド成形によって、第1構成部分および第2構成部分が互いに接着される。その少なくとも2つの部分は好ましくは、オーバーモールド成形工程として射出成形または圧縮成形によって、さらに好ましくは射出成形によって互いに接着される。第1構成部分と接触するように、オーバーモールド成形用樹脂組成物が成形ステーションにおいて溶融状態で導入される場合、第1構成部分の要素の少なくとも薄い層が溶融され、オーバーモールド成形用樹脂組成物と混合される。
【0041】
第1構成部分の表面とオーバーモールド成形用樹脂との間の接着を改善するために、オーバーモールド成形工程前に、マトリックス樹脂組成物の溶融温度に近いが、それより低い温度で第1構成部分を予熱し、次いで予熱された複合構造をオーバーモールド成形するために迅速に移すことは従来どおりであるが、かかる工程は、オーバーモールド成形用樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成を使用することによって、かかる工程を改善すること、または省くことさえできる。本発明によるオーバーモールド成形複合構造のオーバーモールド成形用樹脂と表面ポリアミド樹脂組成物との間の接着性および接着強さが高いことから、予熱工程の必要性はかなり低減されるか、または、その必要さえ無くなる。予熱工程を用いた場合、移動時間は従来の複合構造ほど重要ではなく、そのことは移動時間が増加し得て、その結果、加工の窓(processing window)が広くなり、成形装置および自動化コストが削減されることを意味する。
【0042】
第1構成部分は、繊維状材料をマトリックス樹脂組成物で含浸する工程を含む方法によって製造することができ、第1構成部分の表面の少なくとも一部分は、表面ポリアミド樹脂組成物で作られている。
【0043】
好ましくは、繊維状材料は、熱プレスによってマトリックス樹脂で含浸される。熱プレス中には、繊維状材料、マトリックス樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物は、プラスチックが溶融し、繊維状材料に浸透するようにするために、熱および圧力がかけられ、上記繊維状材料が含浸される。一般に、熱プレスは、適切な含浸を可能にするために、圧力2〜100バール、さらに好ましくは10〜40バール、マトリックス樹脂組成物およびポリアミド組成物の融点を超える温度で、好ましくはその融点を少なくとも約20℃超える温度で行われる。加熱は、接触加熱、放射ガス加熱、赤外線加熱、対流または強制対流、誘導加熱、マイクロ波加熱またはその組み合わせなどの様々な手段によって行われる。含浸運転圧力は、静的プロセスまたは連続プロセス(動的プロセスとしても知られる)によってかけることができ、速度の理由から、連続プロセスが好ましい。含浸プロセスの例としては、限定されないが、真空成形、金型内コーティング、クロスダイ押出し成形、引抜成形、電線被覆タイプのプロセス、貼合せ、打抜き、ダイヤフラム形成またはプレス成形が挙げられ、貼合せが好ましい。貼合せ中、加熱領域において対向加圧ローラーを通して、繊維状材料、マトリックス樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物に熱および圧力をかけ、好ましくは、続いて、冷却領域において加圧手段によって連続的に圧力をかけて、強化を終え、含浸繊維状材料を冷却する。貼合せ技術の例としては、限定されないが、カレンダー、フラットベッド貼合せおよびダブルベルトプレス貼合せが挙げられる。貼合せが含浸プロセスとして用いられる場合、好ましくはダブルベルトプレスが貼合せに用いられる。本明細書に記載のマトリックス樹脂組成物で含浸された繊維状材料の表面の少なくとも一部分に表面樹脂組成物を適用する工程を含む、第1構成部分、すなわち上述の複合構造を製造する方法も本明細書において記述される。
【0044】
含浸を高めることを目的に、繊維状材料の割合、マトリックス樹脂組成物の溶融粘度が低減され得る。一般に、加工機を最も効率的に利用するために、材料の流量をできる限り高くし、その結果、繊維状材料の含浸速度を増加することによってコストを削減することは利点である。この理由から、溶融状態の高流動性のポリマー組成物が関心の対象である。低溶融粘度を有することによって、高流動性ポリマー組成物はより速く流れ、したがって処理がより容易となる。ポリマー組成物の溶融粘度を低減することによって、含浸工程の割合が短縮され、その結果、全体の製造速度が増加し得、したがって、複合構造製造の生産性が増加し、環境問題にも有益なより短いサイクル時間に付随してエネルギー消費が減少する。処理量の向上に加えて、含浸速度の増加によって、ポリマー組成物の熱劣化が最小限に抑えられる。マトリックス樹脂組成物の溶融粘度を低減することを目的に、マトリックス樹脂組成物はさらに、高分岐デンドリマーおよび好ましくは1種または複数種の高分岐ポリエステルデンドリマーから選択される1種または複数種のレオロジー改質剤を含み得る。高分岐デンドリマーの好ましい例は、米国特許第5、418,301号明細書、米国特許出願公開第2007/0173617号明細書に記載されているデンドリマーである。熱可塑性樹脂におけるかかるデンドリマーの使用は、米国特許第6,225,404号明細書、米国特許第6,497,959号明細書、米国特許第6,663,966号明細書、国際公開第2003/004546号パンフレット、欧州特許第1424360号明細書および国際公開第2004/111126号パンフレットに開示されている。この文献では、高分岐デンドリックポリエステル高分子を熱可塑性組成物に添加することによって、組成物の溶融粘度が減少するため、流動学的性質および機械的性質が向上し、したがって、熱可塑性組成物の加工性が向上することが教示されている。存在する場合、その1種または複数種の高分岐デンドリマーは、約0.05〜約10重量%、またはさらに好ましくは約0.1〜約5重量%を占め、その重量%はマトリックス樹脂組成物の全重量に対する%である。第1構成部分、すなわち複合構造の含浸速度を高めるために、マトリックス樹脂組成物の溶融粘度を低減することを目的に、マトリックス樹脂組成物はさらに、1種または複数種の分子鎖切断剤を含み得る。分子鎖切断剤の例としては、限定されないが、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸が挙げられる。その具体的な例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、フタル酸の異性体である。存在する場合、その1種または複数種の分子鎖切断剤は、約0.05〜約5重量%、またはさらに好ましくは約0.1〜約3重量%を占め、その重量%はマトリックス樹脂組成物の全重量に対する%である。
【0045】
オーバーモールド成形用樹脂が第1構成部分に塗布される場合に、表面ポリアミド樹脂組成物が、接触可能であるように、第1構成部分すなわち複合構造の表面の少なくとも一部分に塗布されるという条件で、例えば粉体コーティング、フィルム貼合せ、押出しコーティングまたはその2つ以上の組み合わせなどの従来の手段によって、マトリックス樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物が繊維状材料に適用される。
【0046】
粉体コーティングプロセス中、従来の粉砕方法によって得られたポリマー粉末を繊維状材料に適用する。粉末は、散乱、スプリンクリング、噴霧、熱もしくは火炎溶射、または流動床コーティング法によって繊維状材料上に適用される。任意に、粉体コーティングプロセスはさらに、繊維状材料上に粉末を焼結した後の工程にある1つの工程を含み得る。複合構造の表面の少なくとも一部がポリアミド表面樹脂組成物で作られるように、マトリックス樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物を繊維状材料に適用する。続いて、加圧域の外部の粉末化繊維状材料を任意に予熱して、熱プレスが粉末被覆繊維状材料で達成される。
【0047】
フィルム貼合せ中、当技術分野で公知の従来の押出し成形法、例えばブローフィルム押出し成形、キャストフィルム押出し成形およびキャストシート押出し成形などによって得られた、マトリックス樹脂組成物で作られた1種または複数種のフィルムおよび表面ポリアミド樹脂組成物で作られた1種または複数種のフィルムが繊維状材料に、例えばレイヤリングによって、付けられる。続いて、マトリックス樹脂組成物で作られた1種または複数種のフィルムおよび表面ポリアミド樹脂組成物で作られた1種または複数種のフィルムおよび1種または複数種の繊維状材料を含むアセンブリ上で、熱プレスが達成される。得られた第1構成部分において、フィルムは溶融し、繊維状材料を囲むポリマー連続体として繊維状材料に浸透している。
【0048】
押出しコーティング中、マトリックス樹脂組成物で作られたペレットおよび/または顆粒、および表面ポリアミド樹脂組成物で作られたペレットおよび/または顆粒が、1つまたは複数のメルトカーテンが形成されるように1つまたは複数のフラットダイを通して押出され、次いで、その1つまたは複数のメルトカーテンを敷くことによって、繊維状材料上に付けられる。続いて、マトリックス樹脂組成物、表面樹脂組成物および1種または複数種の繊維状材料を含むアセンブリ上で熱プレスを行う。
【0049】
最終用途に応じて、オーバーモールド成形用樹脂組成物をオーバーモールド成形する工程の前に、第1構成部分が所望の形態または構造に形づくられてもよく、またはシート状で使用されてもよい。第1構成部分は可撓性であってもよく、その場合には、それを巻くことができる。
【0050】
形づくられた第1構成部分を製造する方法はさらに、第1構成部分を形づくる工程を含み、上記工程は、含浸工程後に行われる。第1構成部分を形づくる工程は、圧縮成形、打抜または熱および/または圧力を用いたいずれかの技術によって行われてもよく、圧縮成形および打抜きが好ましい。好ましくは、油圧成形プレスを使用することによって、圧力がかけられる。圧縮成形または打抜き中、表面樹脂組成物の溶融温度を超える温度に、好ましくはマトリックス樹脂組成物の溶融温度を超える温度に、第1構成部分を加熱手段によって予熱し、所望の最終形態の形状のキャビティを有する金型を含有する成形プレスなどの形成または成形手段にそれを移し、それによって、所望の構造に形成し、その後、表面ポリアミド樹脂組成物の溶融温度未満、好ましくはマトリックス樹脂組成物の溶融温度未満の温度に冷却した後にプレスまたは金型から取り出す。
【0051】
オーバーモールド成形用樹脂とポリアミド表面樹脂組成物の間の接着を高めることを目的に、オーバーモールド成形に利用可能な相対表面を増加するように、複合構造の表面を模様付き表面にすることができる。かかる模様付き表面は、その表面に例えば孔またはくぼみを有するプレスまたは金型を使用することによって、成形工程中に得ることができる。
【0052】
代替方法としては、1つの成形ステーションで第1構成部分を形づくり、オーバーモールド成形する工程を含む一段階プロセスが使用される。この一段階プロセスは、金型またはプレスで第1構成部分を圧縮成形または打抜きする工程を省き、任意選択の予熱工程および予熱された第1構成部分の成形ステーションへの移動を省く。この一段階プロセス中、第1構成部分、すなわち複合構造は、成形ステーションの外部、成形ステーションに隣接して、または成形ステーション内で、第1構成部分がオーバーモールド成形中にその温度で適合性(conformable)または成形可能である温度に加熱され、好ましくは、複合構造の溶融温度未満の温度に加熱される。かかる一段階プロセスにおいて、成形ステーションは、所望の最終形態の形状のキャビティを有する金型を含む。それによって、オーバーモールド成形中に、第1構成部分の形状が得られる。
【0053】
オーバーモールド成形複合構造の、1つの表面を有する第1構成部分と第2構成部分との接着性を高めるための、本明細書に記載の1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)を含むポリアミド組成物における、本明細書に記載の脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導される反復単位を含有するポリアミド、脂肪族アミノカルボン酸から誘導される反復単位を含有するポリアミド、およびラクタムから誘導されるポリアミドからなる群から選択される、1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)の使用も本明細書に記述され、
第2構成部分は、上記第1構成部分の表面の少なくとも一部分上で第1構成部分に接着され、
第1構成部分の表面は、表面ポリアミド樹脂組成物で作られた少なくとも一部分を有し、かつ上述のような不織構造、生地、繊維詰め物およびその組み合わせから選択される繊維状材料を含み、上記繊維状材料はマトリックス樹脂組成物で含浸されており、
第2構成部分はオーバーモールド成形用樹脂組成物を含み、
オーバーモールド成形用樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物の一方が、上述の1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)を含むポリアミド組成物で作られ、
オーバーモールド成形用樹脂組成物および表面ポリアミド樹脂組成物の他方が、1種または複数種のポリアミドで作られる。
【0054】
本発明によるオーバーモールド成形複合構造は、例えば自動車、トラック、民間飛行機、航空宇宙、鉄道、家電製品、コンピューターのハードウェア、携帯端末、レクリエーションおよびスポーツ用品の構成部分として、機械用の構造部材、建物用の構造部材、光起電装置用の構造部材または機械装置用の構造部材としてなど、多種多様な用途で使用される。
【0055】
自動車用途の例としては、限定されないが、座席構成部分および座席フレーム、エンジンカバーブラケット、エンジンクレードル、サスペンションクレードル、スペアタイヤ・ウェル、シャーシ補強材、フロアパン、フロントエンド・モジュール、ステアリングコラム・フレーム、計器板、ドアシステム、ボディーパネル(水平ボディーパネルおよびドアパネルなど)、テールゲート、ハードトップフレーム構造、コンバーチブルトップフレーム構造、屋根材構造、エンジンカバー、トランスミッションおよび動力伝達部品用のハウジング、油受皿、エアバッグ用ハウジングキャニスター、自動車内部衝撃構造、エンジンサポートブラケット、クロスカービーム、バンパービーム、歩行者用安全ビーム、防火壁、リヤパネル(rear parcel shelf)、車両用クロス・バルクヘッド(cross vehicle bulkhead)、圧力容器、例えば、冷却剤ボトルおよび消火器およびトラック圧縮空気ブレーキシステム容器、ハイブリッド内部燃焼/電気または電気自動車バッテリートレイ、自動車サスペンション・ウィッシュボーンおよびコントロールアーム、サスペンションスタビライザーリンク、板ばね、車輪、レジャー車およびオートバイ用スイングアーム、フェンダー、屋根フレームおよびタンクフラップが挙げられる。
【0056】
家電製品の例としては、限定されないが、洗濯機、冷蔵庫、冷暖房装置および暖房装置が挙げられる。レクリエーションおよびスポーツ用品の例としては、限定されないが、インラインスケート部品、野球バット、ホッケー用スティック、スキーおよびスノーボード締め具、リュックサックバックおよびフレーム、および自転車フレームが挙げられる。機械用構造部品の例としては、携帯端末用、コンピューター用ハウジングなど、コンピューター電気/電子部品が挙げられる。
【実施例】
【0057】
本発明によるオーバーモールド成形複合構造および比較例を製造するために、以下の材料が使用された。
【0058】
材料
以下の材料が、実施例および比較例で使用された組成物を構成する。
【0059】
完全脂肪族ポリアミド(PA):アジピン酸と1,6−ヘキサメチレンジアミンで製造されたポリアミド。このポリマーは、PA6,6と呼ばれ、例えばE.I.du Pont de Nemours and Companyから市販されている。
【0060】
半芳香族ポリアミド(PA):テレフタル酸と1,6−ヘキサメチレンジアミン(HMD)と2−メチルペンタメチレンジアミン(MPMD)(HMD:MPMD=50:50)で製造されたポリアミド。この半芳香族ポリアミドは、例えばE.I.du Pont de Nemoursから市販されている。
【0061】
第1構成部分(複合構造)の製造
PA6,6で製造されたマトリックス樹脂組成物および厚さ約1.5mmを有するガラス布(連続織りガラス繊維)を含むラミネートに、圧縮成形によって、厚さ約200マイクロメートルを有し、かつ表1に示す表面ポリアミド樹脂組成物で製造された表面フィルムを貼り付けた。
【0062】
表面ポリアミド樹脂組成物を含む表面フィルムは、アダプターおよびフィルムダイおよびオイル加熱キャストドラムを備えた28mm W&P押出機で製造された。押出機およびアダプターおよびダイ温度を比較例1(C1)では280℃、比較例2(C2)実施例1(E1)、および実施例2(E2)では320℃に設定した。キャストドラムの温度は、比較例1(C1)では100℃、比較例2(C2)実施例1(E1)および実施例2(E2)では150℃に設定した。
【0063】
表面フィルムをラミネート上に貼り付けた。8インチのパターンでDake Press(Grand Haven,Mich)Model44−225(圧力範囲0〜25K)でフィルムを圧縮成形することによって、複合構造を形成した。ラミネートの3×6インチ試験片を金型に置き、温度約330℃、圧力約3KPsiにてラミネート表面上にフィルムを約2分間プレスし、圧力約6Kpsiでさらに約3分間プレスし、続いて室温に冷却した。
【0064】
表1に示す表面ポリアミド樹脂組成物、表1に示すマトリックス樹脂組成物および繊維状材料で作られた表面を含む複合構造は、全厚約1.5mmを有した。
【0065】
オーバーモールド成形複合構造の製造
上述のように得られた複合構造上に、表1に示すオーバーモールド成形用樹脂組成物を約1.5mmオーバー射出成形することによって、表1に示すオーバーモールド成形複合構造を製造した。
【0066】
上述のように得られた、表1に表面ポリアミド樹脂組成物、表1に示すマトリックス樹脂組成物および繊維状材料で作られた表面を含む複合構造を3×5インチの試験片に切断し、挿入物として金型キャビティに入れ、成形機(Nissei Corp.,Model FN4000,1752 KN,148cc(6オンス))によって表1に示すオーバーモールド成形用樹脂組成物でオーバー射出成形した。金型は電気で150℃に加熱され、バーゲートを有する1/8インチ×3インチ×5インチのプラーク・キャビティを備えた。表1に示すように、オーバー射出成形工程前に、複合構造を200℃で15分間または室温で予熱した。複合構造は、室温にて手で挿入されるか、または200℃に設定されたHotpack oven Model 273601で予熱された。射出機械を比較例1(C1)では280℃、比較例2(C2)および実施例2(E2)では320℃、実施例1(E1)では310℃に設定した。
【0067】
接着強さ
ダイヤモンドエッジブレードを備えたMK−377 Tile Sawおよび潤滑剤として水を使用して、上述のように得られたオーバーモールド成形複合構造を幅1/2インチ×長さ2 1/2インチの試験片に切断した。
【0068】
4点曲げ法によって、その試験片で接着強さを試験した。4点曲げ法を用いて、複合構造に対するオーバーモールド成形樹脂組成物の接着性/接着強さを特徴付けた。4点曲げ装置によって、圧縮面(内部スパン)上を2つの支点でくぼませると同時に、引張り面(外部スパン)上でビームを支えることによって試験片を曲げた。外部スパンと試験片深さとの比は16:1であった。外部スパンと内部スパンとの比は3:1であった。外部スパンと内部スパン支点の距離は、外部スパンの1/3であった。MTS万能試験機を使用して、2.5mm/分で試験を行った。
【0069】
ビーム試験片(12.6mm×76mm)をプラークから機械加工した。試験前に、手鋸を使用することによって、ビーム試験片のオーバーモールド成形層に切り目をつけ、オーバーモールド成形層の深さの約95%まで切れ目を入れた。新しいかみそりの刃を使用して、プレノッチ全体にそれをスライドすることによってプレノッチを鋭利にした。
【0070】
試験片のノッチ付き面を外部スパン支点上に置き、内部スパンの2つの支点によって、ラミネートに荷重をかける。得られた荷重変位曲線は、ピークを示し、急激に降下し、接着荷重に相当するプラトーを示す。
【0071】
表1は、5つの試験片から得られた平均値を示す。
【0072】
【表1】

【0073】
比較例1(C1)に関して表1に示されるように、完全脂肪族ポリアミドPA6,6で作られたオーバーモールド成形用樹脂組成物を含むオーバーモールド成形構成部分と、完全脂肪族ポリアミドPA6,6で作られた表面を有する複合構成部分との接着性は、2つの構成部分が互いに貼り付かないほど低かった。
【0074】
比較例2(C2)に関して表1に示されるように、半芳香族ポリアミドで作られたオーバーモールド成形用樹脂組成物を含むオーバーモールド成形構成部分と、半芳香族ポリアミドで作られた表面を有する複合構成部分との接着性は乏しく、オーバーモールド成形工程前に第1構成部分を200℃に予熱した場合には、接着強さの値は40Nであり、予熱工程を用いなかった場合の値は33Nであった。
【0075】
対照的に、完全脂肪族ポリアミドPA6,6と半芳香族ポリアミドのブレンドを含むオーバーモールド成形用樹脂組成物を含むオーバーモールド成形構成部分と、半芳香族ポリアミドを含む表面樹脂組成物で作られた表面を有する複合構成部分との、本発明による実施例(E1)の接着性は、比較例より高かった。本発明による実施例(E1)は、オーバーモールド成形工程前に複合構成部分が200℃で予熱された場合、接着強さの値91Nを示し、予熱工程を行わなかった場合には71Nの値を示した。半芳香族ポリアミドを含むオーバーモールド成形構成部分と、完全脂肪族ポリアミドPA6,6と半芳香族ポリアミドのブレンドを含む表面樹脂組成物で作られた表面を有する複合構成部分および半芳香族ポリアミドを含む表面樹脂組成物で作られた表面を有する複合構成部分との、本発明による実施例(E2)の接着性は、比較例よりも高かった。本発明による実施例(E2)は、オーバーモールド成形工程前に複合構成部分が200℃で予熱された場合、接着強さの値71Nを示し、予熱工程を行わなかった場合には66Nの値を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)表面ポリアミド樹脂組成物で作られた少なくとも一部分を有する表面を有し、かつ不織構造、生地、繊維詰め物およびその組み合わせから選択される繊維状材料を含む、第1構成部分であって、前記繊維状材料がマトリックス樹脂組成物で含浸される第1構成部分と、
ii)オーバーモールド成形用樹脂組成物を含む第2構成部分と、
を含むオーバーモールド成形複合構造であって、
前記オーバーモールド成形用樹脂組成物および前記表面ポリアミド樹脂組成物の一方が、
a)芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導される反復単位を含有する1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)と、
b)脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導される反復単位を含有するポリアミド、脂肪族アミノカルボン酸から誘導される反復単位を含有するポリアミド、およびラクタムから誘導されるポリアミドからなる群から選択される1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)と、
のブレンドを含むポリアミド組成物で作られ、
前記オーバーモールド成形用樹脂組成物および前記表面ポリアミド樹脂組成物の他方が、1種または複数種のポリアミドで作られ、かつ
前記第2構成部分が、前記第1構成部分の表面の少なくとも一部分上で前記第1構成部分に接着される、オーバーモールド成形複合構造。
【請求項2】
前記繊維状材料が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、天然繊維またはその混合物で作られる、請求項1に記載のオーバーモールド成形複合構造。
【請求項3】
前記繊維状材料が、ガラス繊維で作られる、請求項2に記載のオーバーモールド成形複合構造。
【請求項4】
前記マトリックス樹脂組成物が、1種または複数種のポリアミドで作られる、または
a)芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導される反復単位を含有する1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)と、
b)脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導される反復単位を含有するポリアミド、脂肪族アミノカルボン酸から誘導される反復単位を含有するポリアミド、およびラクタムから誘導されるポリアミドからなる群から選択される1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)と、
のブレンドを含むポリアミド組成物で作られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオーバーモールド成形複合構造。
【請求項5】
前記ポリアミド組成物の前記1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)と前記1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)との重量比(A:B)が、約99:1〜約5:95である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオーバーモールド成形複合構造。
【請求項6】
前記1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)の前記ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸およびその混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のオーバーモールド成形複合構造。
【請求項7】
前記1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)に含まれる前記脂肪族ジアミンが、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンおよびその混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオーバーモールド成形複合構造。
【請求項8】
前記マトリックス樹脂組成物および/または前記表面ポリアミド樹脂組成物および/または前記オーバーモールド成形用樹脂組成物がさらに、1種または複数種の耐衝撃性改良剤、1種または複数種の熱安定剤、1種または複数種の酸化安定剤、補強剤、1種または複数種の紫外線安定剤、1種または複数種の難燃剤、またはその混合物を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のオーバーモールド成形複合構造。
【請求項9】
前記第1構成部分がシート構造の形状を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のオーバーモールド成形複合構造。
【請求項10】
自動車、トラック、民間飛行機、航空宇宙、鉄道、家庭用品、コンピューターのハードウェア、レクリエーションおよびスポーツ用品の構成部分、機械用の構造部材、建物用の構造部材、光起電装置用の構造部材または機械装置用の構造部材の形をとる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のオーバーモールド成形複合構造。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の第1構成部分をオーバーモールド成形用樹脂組成物でオーバーモールド成形する工程を含む、オーバーモールド成形複合構造を製造する方法であって、
前記オーバーモールド成形用樹脂組成物および前記表面ポリアミド樹脂組成物の一方が、
a)芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導される反復単位を含有する1種または複数種の半芳香族ポリアミド(A)と、
b)脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジアミンから誘導される反復単位を含有するポリアミド、脂肪族アミノカルボン酸から誘導される反復単位を含有するポリアミド、およびラクタムから誘導されるポリアミドからなる群から選択される1種または複数種の完全脂肪族ポリアミド(B)と、
のブレンドを含むポリアミド組成物で作られ、かつ
前記オーバーモールド成形用樹脂組成物および前記表面ポリアミド樹脂組成物の他方が、1種または複数種のポリアミドで作られる、方法。
【請求項12】
前記第1構成部分が、
i)請求項1、4または8に記載のマトリックス樹脂組成物で、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維状材料を含浸する工程を含む方法によって製造され、前記複合構造の表面の少なくとも一部分が、請求項1または5〜8のいずれか一項に記載の表面ポリアミド樹脂組成物で作られる、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2012−526686(P2012−526686A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510896(P2012−510896)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/034199
【国際公開番号】WO2010/132339
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】