説明

カテプシンシステインプロテアーゼ阻害剤

本発明は、これらに限定されないが、カテプシンK、L、S及びBの阻害剤を含む、システインプロテアーゼ阻害剤である化合物の新規クラスに関する。これらの化合物は、骨粗しょう症などの骨吸収の抑制を必要とする疾病を治療するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ヒト及びその他の哺乳動物における様々な疾患が異常な骨吸収を伴っているか、又は異常な骨吸収に関連している。このような疾患には、これらに限定されないが、骨粗しょう症、グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症、パジェット病、骨代謝回転の異常増加、歯周病、歯の損失、骨折、アテローム性動脈硬化症、肥満、寄生虫感染、関節リウマチ、骨関節炎、人工関節周囲の骨融解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症及び多発性骨髄腫が含まれる。これらの疾患のうち最もよく見られるものの1つは骨粗しょう症であり、これは更年期以降の女性で最も頻繁に起こる。骨粗しょう症は、骨量低下及び骨組織の微細構造の劣化を特徴とし、骨の脆弱化が進み、骨折しやすくなる全身性の骨格疾患である。骨粗しょう症性骨折は、高齢者における疾病及び死亡の主な原因である。骨粗しょう症、ならびにその他の骨量減少を伴う疾患は一般に慢性状態であるため、適切な治療には通常、長期間の治療が必要になると考えられている。
【0002】
骨吸収は、主として、多核の巨細胞である破骨細胞により行われる。破骨細胞は、骨組織への最初の細胞接着を形成することにより骨を吸収し、次いで、細胞外コンパートメント又は小腔の形成が起こる。小腔は、プロトンATPポンプによって低いpHで維持される。その小腔の環境が酸性化されていることから、最初に骨の脱塩が起こり、次いで、システインプロテアーゼなどのプロテアーゼによる骨タンパク質又はコラーゲンの分解が起こる。Delaisse,J.M.ら、1980、Biochem J 192:365−368;Delaisse,J.ら、1984,Biochem Biophys Res Commun:441−447;Delaisse,J.M.ら、1987,Bone 8:305−313を参照のこと(参照により、全体を本明細書に組込む。)。コラーゲンは、骨の有機基質の95%を構成する。したがって、コラーゲン分解に関与するプロテアーゼは、骨代謝回転の必須成分であり、結果として、骨粗しょう症の発現及び進行に大きく関わっている。
【0003】
カテプシンは、システインプロテアーゼのパパインスーパーファミリーに属する。これらのプロテアーゼは、結合組織の正常な生理学的ならびに病理学的分解において機能する。カテプシンは、細胞内タンパク質分解及び代謝回転及び再構築において主要な役割を果たす。これまで、多くのカテプシンが特定され、多くのソースから配列決定されてきた。これらのカテプシンは、広い範囲の組織で天然に見いだされる。例えば、カテプシンB、C、F、H、L、K、O、S、V、W及びZがクローニングされた。カテプシンK(略称 cat Kによっても知られている。)は、カテプシンO及びカテプシンO2としても知られている。参照により本明細書に含まれるとする、1996年5月9日に公開されたPCT出願WO96/13523、Khepri Pharmaceuticals,Inc.を参照のこと。カテプシンLは、正常なリソソームタンパク質分解ならびに、これらに限定されないが、黒色腫の転移を含むいくつかの病態に関係する。カテプシンSは、アルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患及びある種の自己免疫疾患(これらに限定されないが、若年発症糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーブズ病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ及び橋本甲状腺炎を含む。);アレルギー性疾患(これらに限定されないが喘息を含む。);同種免疫応答(これらに限定されないが臓器移植又は組織移植片の拒絶を含む。)に関係している。腫瘍においてはカテプシンBレベルが増加し、この酵素が再分布され、腫瘍浸潤及び転移に関わっていると示唆される。さらに、異常なカテプシンB活性は、関節リウマチ、骨関節炎、カリニ肺炎、急性膵炎、炎症性気道疾患、骨及び関節障害などの病態と関係している。
【0004】
哺乳動物カテプシンは、原生動物、扁形動物門、線虫及び節足動物からのものを含む病原寄生虫により発現されるパパイン様システインプロテアーゼに関与する。これらのシステインプロテアーゼは、これらの生物の生活環において重要な役割を果たす。
【0005】
E−64(トランス−エポキシスクシニル−L−ロイシルアミド−(4−グアニジノ)ブタン)などのシステインプロテアーゼ阻害剤は、骨吸収を阻止するのに有効であることが知られている。参照により本明細書に含まれるとする、Delaisse,J.M.ら、1987、Bone 8:305−313を参照のこと。最近、カテプシンKがクローニングされ、破骨細胞中で特異的に発現されることが見出された。参照によりそれらを本明細書に含まれるとする、Tezuka,K.ら、1994、J Biol Chem 269:1106−1109;Shi,G.P.ら、1995、FEBS Lett 357:129−134;Bromme,D.及びOkamoto,K.,1995、Biol Chem Hoppe Seyler 376:379−384;Bromme,D.ら、1996,J Biol Chem 271:2126−2132;Drake,F.H.ら、1996、J Biol Chem 271:12511−12516を参照のこと。クローニングと同時に、常染色体劣性疾患であり、骨吸収が減少する大理石骨病表現型を特徴とするピクノディスオストーシスが、カテプシンK遺伝子中に存在する突然変異にマッピングされた。これまで、カテプシンK遺伝子中で特定された全ての突然変異は、コラゲナーゼ活性を低下させることが知られている。参照により本明細書に含まれるとする、Gelb,B.D.ら、1996、Science 273:1236−1238;Johnson,M.R.ら、1996、Genome Res 6:1050−1055;Hou,W.−S.ら、1999、J.Clin .Invest.103,731−738を参照のこと。したがって、カテプシンKは、破骨細胞によって媒介される骨吸収に関与すると考えられる。
【0006】
骨における主要なコラーゲンであるヒトタイプIコラーゲンは、カテプシンKの良好な基質である。参照により本明細書に含まれるとする、Kafienah,W.,ら、1998、Biochem J 331:727−732を参照のこと。したがって、カテプシンKの阻害剤は、骨吸収を減少させることができる。このような阻害剤は、骨粗しょう症などの骨吸収に関与する疾患の治療に有用となろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、治療を要する哺乳動物においてカテプシン依存性状態もしくは病的状態を治療又は予防し得る化合物に関する。本発明の1態様は、式Iの化合物及び医薬適合性のそれらの塩、エステル、立体異性体及びN−オキシド誘導体により明らかにされる。
【0008】
【化2】

【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の詳細な説明
本発明は、次の化学式の化合物:
【0010】
【化3】

(式中、Rは、水素、C1−6アルキル又はC2−6アルケニル(該アルキル及びアルケニル基は、1個から6個のハロ、C3−6シクロアルキル、−SR、−SOR、−SO、−SOCH(R)(R)、−OR、−N(R、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリル(該アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル基は、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ又はケトから独立に選択される1個又は2個の置換基で場合によって置換されていてもよく)で場合によって置換されていてもよく)であり;
は、水素、C1−6アルキル又はC2−6アルケニル(該アルキル及びアルケニル基は、1個から6個のハロ、C3−6シクロアルキル、−SR、−SOR、−SO、−SOCH(R)(R)、−OR、−N(R、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリル(該アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル基は、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ又はケトから独立に選択される1個又は2個の置換基で場合によって置換されていてもよく)で場合によって置換されていてもよく)であるか;
又は、R及びRは、それらが結合される炭素原子と一緒になってC3−8シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、該環系は、C1−6アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル又はハロから独立に選択される1個又は2個の置換基で場合によって置換されていてもよく;
は、C1−6アルキル又はC2−6アルケニルであり該アルキル及びアルケニル基は、C3−6シクロアルキル又は1個から6個のハロで場合によって置換されていてもよく;
は、1個から6個のハロで置換されるC1−6アルキルであり;
は、水素又はC1−3アルキルから選択され;
Dは、アリール又はヘテロアリールであり、単環又は二環式であり得る該アリール又はヘテロアリール基は、炭素又はヘテロ原子のいずれかにおいて、C1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、−N(R、−SO又は−SOから独立に選択される1個から5個の置換基で場合によって置換されていてもよく;
Eは、アリール又はヘテロアリールであり、単環又は二環式であり得る該アリール又はヘテロアリール基は、炭素又はヘテロ原子のいずれかにおいて、C1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、−N(R又は−SOから独立に選択される1個から5個の置換基で場合によって置換されていてもよく;
Xは、CR又はC3−8シクロアルキルであり;
は、水素、C1−6アルキル、アリール、アリール(C1−4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−4)アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキル(C1−4)アルキル及びヘテロシクリル(C1−4)アルキルでありここで、該基は、ハロ、アルコキシ、シアノ、−NR、−SR又は−SOから独立に選択される、1、2又は3個の置換基で、場合によって置換されていてもよく)から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シアノ、ハロ、アルコキシ、−OR、−NR、−SR又は−SOから選択され;該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール基は、ハロ、シアノ又は−ORから独立に選択される1、2又は3個の置換基で場合によって置換されていてもよく;
は、水素又は、ハロもしくは−ORから独立に選択される1、2又は3個の置換基で場合によって置換されるC1−6アルキルであり;
は、水素又は、ハロもしくは−ORから独立に選択される1、2又は3個の置換基で場合によっては置換されるC1−6アルキルであり;
mは0から2の整数である。)又は医薬適合性のそれらの塩、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体に関する。
【0011】
本発明のあるクラスにおいて、R及びRは、それらが結合される炭素原子と一緒になってC3−8シクロアルキル環を形成し得る。
【0012】
本発明の別のクラスにおいて、Rは、1個から6個のハロで場合によっては置換されるC1−6アルキルである。
【0013】
本発明の別のクラスにおいて、Dは、アリールである。本発明のサブクラスにおいて、Dは、フェニルである。
【0014】
本発明の別のクラスにおいて、Xは、C3−8シクロアルキルである。本発明のサブクラスにおいて、Xは、シクロプロピルである。
【0015】
上述の好ましい実施形態への言及は、別段の断りがない限り、特定の、及び好ましい基の全ての組合せを含むものとする。
【0016】
本発明の特定の実施形態には、これらに限定されないが、
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−2’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アゼチジン−1−イルカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−1−{4’−[2−(シクロプロピルアミノ)−2−オキソエチル]ビフェニル-4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(イソプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(ピリジン−3−イルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(1−メチルシクロプロピル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−フルオロシクロプロピル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(シアノメチル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]−2’−フルオロビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロブチル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロブチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(シアノメチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロブチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−1−[4’−(1−{[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]−2,2−ジフルオロエチル}−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(メトキシアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(ジメチルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロブチルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(ピロリジン−1−イルカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}エチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−メトキシエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(モルホリン−4−イルカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}エチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(メチルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−1−[4’−(1−{[(シクロプロピルメチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]−2,2−ジフルオロエチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(プロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−1−[4’−(1−{[(シアノメチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(1−{[(メチルスルホニル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(1S)−1−(4’−{1−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−1−{4’−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−3’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−3’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−1−{4’−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−2’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−フルオロシクロプロピル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(1S)−1−(4−{5−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]−3−クロロピリジン−2−イル}フェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4−(3−クロロ−5−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ピリジン−2−イル)フェニル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−1−[4−(5−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ピリジン−2−イル)フェニル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(シアノメチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−[(1S)−1−(4−{5−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ピリジン−2−イル}フェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(シアノメチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1R)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル)−2’−フルオロビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4−[5−(2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル)ピリジン−2−イル]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル)−2’−フルオロビフェニル−4−イル]−2,2−ジフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1R)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]−2’−フルオロビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]−2’−フルオロビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]−2−ブロモビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−5−ヒドロキシ−L−ロイシンアミド;
1−(4’−{(1S)−1−[((1S)−1−{[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル}−3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル}ビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボキサミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)ビニル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−L−ノルバリンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(2−アミノ−2−オキソエチル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−2−オキソエチル)−2’−フルオロビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−2−オキソエチル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド又は医薬適合性のそれらの塩、エステル、立体異性体もしくはN−オキシド誘導体が含まれる。
【0017】
上記のような式Iの化合物と医薬適合性の担体とからなる医薬組成物も本発明の範囲内に含まれる。本発明はまた、医薬適合性の担体および、本明細書に具体的に開示する化合物を含む(単独で、又はいずれかの他の開示される化合物と組み合わせて)、医薬組成物を包含する。本発明の上記態様及び他の態様は、本明細書中の教示から明らかである。
【0018】
有用性
本発明の化合物は、カテプシンの阻害剤であり、したがって、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるカテプシン依存性疾患もしくは症状の治療又は予防に有用である。具体的には、本発明の化合物は、カテプシンKの選択的阻害剤であり、カテプシンB、L、S及びFよりも少なくとも100倍選択的であり、したがって、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるカテプシンK依存性疾患もしくは症状の治療又は予防に有用である。
【0019】
「カテプシン依存性疾患もしくは症状」とは、1又は複数のカテプシンの活性に依存する病的状態を指す。「カテプシンK依存性疾患もしくは症状」とは、カテプシンKの活性に依存する病的状態を指す。カテプシンK活性に関連する疾患には、骨粗しょう症、グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症、パジェット病、骨代謝回転の異常増加、歯周病、歯の損失、骨折、関節リウマチ、骨関節炎、人工関節周囲の骨融解、骨形成不全症、アテローム性動脈硬化症及び癌、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症及び多発性骨髄腫が含まれる。特許請求の化合物を用いてこのような症状を治療する際には、必要な治療量は、特定の疾患に応じて変わり、当業者は容易に確認することができる。治療および予防の両方が本発明の範囲で意図されるが、好ましくはこれらの症状の治療に使用される。
【0020】
本発明の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物においてカテプシン活性を阻害する方法である。
【0021】
実施形態の1クラスは、カテプシン活性がカテプシンK活性である方法である。
【0022】
本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物においてカテプシン依存性症状を治療又は予防する方法である。
【0023】
実施形態のある1クラスは、カテプシン活性がカテプシンK活性である方法である。
【0024】
本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物において骨量の減少を阻止する方法である。本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物において骨量の減少を抑制する方法である。骨吸収の抑制におけるカテプシンK阻害剤の有用性は文献において知られている。Stroup G.B.,Lark,M.W.,Veber,DF.,Bhattacharrya,A.,Blake,S.,Dare,L.C.,Erhard.K.F.,Hoffman,S.J.,James,I.E.,Marquis,R.W.,Ru,Y.,Vasko−Moser,J.A.,Smith.,B.R.,Tomaszek,T.及びGowen,M.”Potent and selective inhibition of human cathepsin K leads to inhibition of bone resorption in vivo in a nonhuman primate.”J.Bone Miner.Res.,16:1739−1746;2001及びVotta,B.J.,Levy,M.A.,Badger,A.,Dodds,R.A.,James.L.E.,Thompson,S.,Bossard,M.J.,Carr,T.,Connor,J.R.,Tomaszek,T.A.,Szewczuk,L.,Drake,F.H.,Verber,D.,及びGowen,M.”Peptide aldehyde inhibitors of cathepsin K inhibit bone resorption both in vivo and in vitro.”J.Bone Miner.Res.12:1396−1406;1997を参照のこと。
【0025】
本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物において骨粗しょう症を治療又は予防する方法である。骨粗しょうの治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は文献において知られている。Saftig P.,Hunziker,E.,Wehmeyer,O.,Jones,S.,Boyde,A.,Rommerskirch,W.,Moritz,J.D.,Schu,P.,及びVonfigura,K.”Impaired osteoclast bone resorption leads to osteoporosis in cathepsin K−deficient mice.”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13453−13458;1998を参照のこと。
【0026】
本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物において関節リウマチ状態を治療又は予防する方法である。関節周囲の骨の進行性破壊が関節リウマチ(RA)患者における関節機能不全及び能力障害の主原因であることは文献において知られている。Goldring SR,”Pathogenesis of bone erosions in rheumatoid arthritis”.Curr.Opin.Rheumatol.2002;14:406−10を参照のこと。RA患者から得られた関節組織の分析によって、カテプシンK陽性破骨細胞が、リウマチ様の滑膜損傷に関連する病巣の骨吸収を媒介する細胞タイプである証拠が得られた。Hou,W−S,Li,W,Keyszer,G,Weber,E,Levy,R,Klein MJ,Gravallese,EM,Goldring,SR,Bromme,D,”Comparision of Cathepsin K and S expression within the Rheumatoid and Osteoarthritic Synovium”,Arthritis Rheumatism 2002;46:663−74を参照のこと。また、全般的な骨量の減少は、重篤なRAに付随する罹患(morbility)の主原因である。股関節部骨折及び脊椎骨折の頻度は、慢性RA患者において顕著に増加する。Gould A,Sambrook,P,Devlin Jら、”Osteoclastic activation is the principal mechanism leading to secondary osteoporosis in rheumatoid arthritis”. J. Rheumatol.1998;25:1282−9を参照のこと。関節下骨における再吸収の治療又は予防及び全般的な骨量の減少の治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は、関節リウマチの進行に対する薬理学的介入の合理的なアプローチに相当する。
【0027】
本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物において骨関節炎の進行を治療又は予防する方法である。骨関節炎(OA)は、関節軟骨表面の侵食、関節周囲の軟骨内骨化/骨増殖症並びに軟骨下骨硬化症及び嚢胞形成を含む、関節の明確な変化を伴うことが文献において知られている。Oettmeier R,Abendroth,K,”Osteoarthritis and bone: osteologic types of osteoarthritis of the hip”,Skeletal Radiol.1989;18:165−74を参照のこと。最近、軟骨下骨硬化症がOAの発症及び進行に寄与する可能性が示唆された。関節が繰り返しの衝撃荷重に反応して軟骨下骨が硬化すると、関節によって力を減衰及び分散させることが困難になり、関節は関節軟骨表面全体にわたってより大きな機械的応力にさらされる。これは、次に、軟骨の摩耗及び線維化を加速させる。Radin,EL及びRose RM、”Role of subchondral bone in the initiation and progression of cartilage damage”,Clin.Orthop.1986;213:34−40を参照のこと。カテプシンK阻害剤などの抗吸収剤による過剰な関節下骨吸収の阻害によって、軟骨下骨代謝回転が阻害され、したがってOA進行に有利な影響を及ぼすことができる。上記仮説に加えて、最近、OA患者から得られた滑膜及び関節軟骨試料からの滑膜線維芽細胞、マクロファージ様細胞及び軟骨細胞においてカテプシンKタンパク質が発現することが確認された。Hou,W−S,Li,W,Keyszer,G,Weber,E,Levy,R,Klein,MJ,Gravallese,EM,Goldring,SR,Bromme,D,”Comparison of Cathepsin K and S expression within the Rheumatoid and Osteoarthritic Synovium”,Arthritis Rheumatism 2002;46:663−74;及びDodd RA,Connor,JR,Drake,FH,Gowen,M,”Expression of Cathepsin K messenger RNA in giant cells and their precursors in human osteoarthritic synovial tissues”. Arthritis Rheumatism 1999;42:1588−93;及びKonttinen,YT,Mandelin,J,Li,T−F,Salo,J,Lassus,Jら、”Acidic cysteine endoproteinase cathepsin K in the degeneration of the superficial articular hyaline cartilage in osteoarthritis”,Arthritis Rheumatism 2002;46:953−60を参照のこと。したがって、これらの最近の研究によって、骨関節炎の進行に伴う関節軟骨中のII型コラーゲンの破壊におけるカテプシンKの役割が示された。したがって、本発明において記述される骨関節炎の治療又は予防におけるカテプシンK阻害剤の有用性は、2つの異なる機序を含み、それは第一に、破骨細胞によって進められる軟骨下骨代謝回転の阻害であり、第二に、OA患者の滑膜及び軟骨におけるII型コラーゲン変性の直接的阻害である。
【0028】
本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物において癌を治療する方法である。カテプシンKはヒト乳癌、前立腺癌及び脊索腫において発現されることが文献において知られており、マトリクス分解能がある。Littlewood−Evans AJ,Bilbe,G,Bowler WB,Farley D,Wlodarski B,Kokubo T,Inaoka T,Sloane J,Evans DB,Gallagher JA,”The osteoclast−associated protease cathepsin K is expressed in human breast carcinoma.”Cancer Res 1997Dec 1;57(23):5386−90、Brubaker KD,Vessella RL,True LD,Thomas R.,Corey E.“Cathepsin K mRNA and protein expression in prostate cancer progression.”J Bone Miner Res 2003 18,222−30、Haeckel C,Krueger S,Kuester D,Ostertag H,Samii M,Buehling F,Broemme D,Czerniak B,Roessner A.“Expression of cathepsin K in chordoma.”Hum Pathol 2000 Jul;31(7):834−40を参照のこと。
【0029】
本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物においてアテローム性動脈硬化症を治療する方法である。カテプシンKがヒト粥腫で発現され、顕著なエラスターゼ活性を有することが文献において知られている:Sukhova GK,Shi GP,Simon DI,Chapman HA,Libby P.“Expression of the elastolytic cathepsin S and K in human atheroma and regulation of their production in smooth muscle cells.”J Clin Invest 1998 Aug 102,576−83を参照のこと。
【0030】
本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物において肥満を治療する方法である。いくつかの肥満のマウスモデルの組織において、及び肥満のヒト男性の脂肪組織においても、カテプシンK mRNAが脂肪組織で増加することが文献において知られている:Chiellini C,Costa M,Novelli SE,Amri EZ,Benzi L,Bertacca A,Cohen P,Del Prato S, Friedman JM,Maffei M.“Identification of cathepsin K as a novel marker of adiposity in white adipose tissue.”J Cell Physiol 2003,195,309−21を参照のこと。
【0031】
本発明の別の実施形態は、治療を要する哺乳動物に対して治療有効量の上記の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物において寄生虫感染を治療する方法である。哺乳動物カテプシンが、これらの寄生虫の生活環において重要な役割を果たすパパイン様システインプロテアーゼに関連することが文献において知られている。このような寄生虫は、マラリア、アメリカトリパノソーマ症、アフリカトリパノソーマ症、リーシュマニア症、ジアルジア症、トリコモナス症、アメーバ症、住血吸虫症、肝蛭症、肺吸虫症及び腸管内線虫の疾患に関与する。Lecaille F,Kaleta J,Bromme D.,Human and parasitic papain −like cysteine protease:their role in physiology and pathology and recent developments in inhibitor design.Chem Rev 2002 102,4459−88を参照のこと。
【0032】
本発明の別の実施形態は、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、癌及びある種の自己免疫疾患(これらに限定されないが、若年発症糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーブズ病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ及び橋本甲状腺炎を含む。);アレルギー性疾患(これらに限定されないが、喘息を含む。);及び同種免疫応答(これらに限定されないが、器官移植又は組織移植片の拒絶を含む。)を含む、カテプシンSに関与する哺乳動物の疾病を治療する方法である。カテプシンS活性が上記の病態に関与することが文献において知られている:Munger JS,Haass C,Lemere CA,Shi GP,Wong WS,Teplow DB,Selkoe DJ,Chapman HA,Lysosomal Processing of amyloid precursor protein to A beta peptides:a distinct role for cathepsin S.Biochem J 1995 311,299−305,Sukhova GK,Zhang Y,Pan JH,Wada Y,Yamamoto T,Naito M,Kodama T,Tsimikas S,Witztum JL,Lu ML,Sakara Y,Chin MT,Libby P,Shi GP.Deficiency of cathepsin S reduces atherosclerosis in LDL receptor−deficient mice.J Clin Invest 2003 111,897−906,Zheng T,Zhu Z,Wang Z,Homer RJ,Ma B,Riese RJ Jr,Chapman HA Jr,Shapiro SD,Elias JA.Inducible targeting of IL−13 to the adult lung causes matrix metalloproteinase−and cathepsin−dependent emphysema.J Clin Invest 2000 106,1081−93,Shi GP,Sukhova GK,Kuzuya M,Ye Q,Du J,Zhang Y,Pan JH,Lu ML,Cheng XW,Iguchi A,Perry S,Lee AM,Chapman HA,Libby P.Deficiency of the cysteine protease cathepsin S impairs mirovessel growth.Circ Res 2003 92,493−500,Nakagawa TY,Brissette WH,Lira PD,Griffiths RJ,Petrushova N,Stock J,McNeish JD,Eastman SE,Howard ED,Clarke SR,Rosloniec EF,Elliott EA,Rudensky AY.Impaired invariant chain degradation and antigen presentation and diminished colloagen−induced arthritis in cathepsin S null mice.Immunity 1999 10,207−17を参照のこと。
【0033】
本発明の具体例は、治療を必要とする哺乳動物における骨粗しょう症の治療薬又は予防のための医薬品の製造における上述の化合物の使用である。またさらなる本発明の例は、骨量減少、骨吸収、骨折、転移性骨疾患又はカテプシンが機能することに関する疾患の治療薬又は予防のための医薬品の製造における上述の化合物の使用である。
【0034】
本発明の化合物は、標準の製薬業務に従って医薬組成物中で単独で、又は好ましくは医薬適合性の担体もしくは希釈剤と組み合わせて、場合によってはミョウバンなどの公知のアジュバントとともに、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。本化合物は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸及び局所投与経路を含め、経口又は非経口投与することができる。
【0035】
経口用錠剤の場合においては、一般に使用される担体にはラクトース、コーンスターチが含まれ、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤が一般に添加される。カプセル形態での経口投与の場合には、有用な希釈剤としてラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。本発明による治療化合物の経口使用の場合には、選択された化合物は、例えば、錠剤もしくはカプセル剤の形態で、又は水溶液もしくは懸濁液として投与し得る。錠剤又はカプセル剤の形態の経口投与の場合には、活性薬物成分は、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどの医薬適合性の非毒性経口不活性担体と組み合わせることができる。液体形態の経口投与の場合には、経口薬物成分は、エタノール、グリセロール、水などの何らかの医薬適合性の非毒性の経口不活性担体と組み合わせることができる。さらに、所望又は必要であれば、適切な結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤を混合物に加えることもできる。適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、グルコース又はベータ−ラクトースなどの天然の糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウムなどの天然及び合成ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが含まれる。これらの剤形に使用される潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、これらに限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。水性懸濁液が経口用として必要である場合には、活性成分は乳化剤及び懸濁剤と混合される。所望により、ある種の甘味剤又は香味料を添加し得る。筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内投与の場合には、活性成分の無菌溶液が通常調製され、溶液のpHは適切に調整及び緩衝されるべきである。静脈内投与の場合には、溶質の全濃度は、製剤を等張にするために調整されるべきである。
【0036】
本発明の化合物は、小型の単層小胞、大型の単層小胞、多層小胞などのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0037】
本発明の化合物は、化合物分子がカップリングする個々の担体としてモノクローナル抗体を使用して送達することもできる。本発明の化合物は、標的設定可能な薬物担体として可溶性ポリマーとカップリングさせることもできる。このようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルトアミド−フェノール又はパルミトイル残基で置換された、ポリエチレンオキシド−ポリリジンが含まれる。さらに、本発明の化合物は、薬物を制御放出するのに有用な生分解性ポリマーの1クラス、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーとカップリングさせることができる。
【0038】
本発明の化合物は、骨粗しょう症、グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症、パジェット病、骨代謝回転の異常増加、歯周病、歯の損失、骨折、アテローム性動脈硬化症、肥満、寄生虫感染、関節リウマチ、骨関節炎、人工関節周囲の骨融解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症及び多発性骨髄腫を治療又は予防するのに有用な公知の薬剤と組み合わせても有用である。本明細書に開示される化合物と、骨粗しょう症もしくは他の骨障害を治療又は予防するのに有用な他の薬剤との組み合わせは本発明の範囲内である。当業者は、薬物の特性及び関係する疾患に基づいて薬剤のどの組み合わせが有用であるかを識別することができるはずである。このような薬剤には、有機ビスホスホナート、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨細胞プロトンATPase阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、PTHなどの骨芽細胞同化剤、医薬適合性のそれらの塩及び混合物が含まれる。好ましい組み合わせは、本発明の化合物と有機ビスホスホナートである。別の好ましい組み合わせは、本発明の化合物とエストロゲン受容体モジュレーターである。別の好ましい組み合わせは、本発明の化合物とアンドロゲン受容体モジュレーターである。別の好ましい組み合わせは、本発明の化合物と骨芽細胞同化剤である。
【0039】
「有機ビスホスホナート」には、化学式
【0040】
【化4】

(式中、nは0から7の整数であり、nが0である場合にA及びXの両方がH及びOHから選択されないように、A及びXはH、OH、ハロゲン、NH、SH、フェニル、C1−C30アルキル、C3−C30分枝鎖アルキル又はシクロアルキル、2個又は3個のNを含む二環構造体、C1−C30置換アルキル、C1−C10アルキル置換NH、C3−C10分枝鎖アルキル又はシクロアルキル置換NH、C1−C10ジアルキル置換NH、C1−C10アルコキシ、C1−C10アルキル置換チオ、チオフェニル、ハロフェニルチオ、C1−C10アルキル置換フェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル及びベンジルからなる群から独立に選択されるか、又は、A及びXは、それらが結合している炭素原子又は原子と一緒になってC3−C10環を形成する。)を有する化合物が含まれるが、これに限定されない。
【0041】
上記化学式においては、アルキル基は、化学式に対して十分な原子が選択されるという条件で直鎖、分枝鎖又は環式であり得る。C1−C30置換アルキルは、多種多様な置換基を含むことができ、非限定的な例にはフェニル、ピリジル、フラニル、ピロリジニル、イミダゾニル(imidazonyl)、NH、C1−C10アルキル又はジアルキル置換NH、OH、SH及びC1−C10アルコキシからなる群から選択される基が含まれる。
【0042】
上記化学式は、A又はX置換基に対する複合炭素環式、芳香族及びヘテロ原子構造も包含するものとし、その非限定的な例には、ナフチル、キノリル、イソキノリル、アダマンチル及びクロロフェニルチオが含まれる。
【0043】
ビスホスホナートの医薬適合性の塩及び誘導体も本発明において有用である。塩の非限定的な例には、アルカリ金属(alkali metal)、アルカリ金属(alkaline metal)、アンモニウム及びモノ、ジ、トリ又はテトラC1−C30アルキル置換アンモニウムからなる群から選択されるものが含まれる。好ましい塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアンモニウム塩からなる群から選択されるものである。ナトリウム塩がより好ましい。誘導体の非限定的な例には、エステル、水和物及びアミドからなる群から選択されるものが含まれる。
【0044】
本発明の治療薬に関して本明細書中で使用される場合、「ビスホスホナート」及び「ビスホスホナート類」という用語は、ジホスホナート、ビホスホン酸及びジホスホン酸ならびにこれらの物質の塩及び誘導体も包含することに留意されたい。ビスホスホナート又はビスホスホナート類に関する具体的命名法の使用は、特に示さない限り本発明の範囲を限定するものではない。当業者によって現在使用されている命名法は入り混じっているので、本発明におけるビスホスホナート化合物の具体的重量又は百分率の表記は、本明細書において特に示さない限り酸活性重量ベースである。例えば、「アレンドロネート、医薬適合性のその塩及びその混合物からなる群から選択される骨吸収阻害ビスホスホナート約5mg(アレンドロン酸活性重量基準)」という句は、選択されたビスホスホナート化合物の量がアレンドロン酸5mgに基づいて計算されていることを意味する。
【0045】
本発明に有用なビスホスホナートの非限定的な例には、アレンドロン酸、4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸;
アレンドロネート(アレンドロネートナトリウム又はアレンドロネート一ナトリウム三水和物としても知られる。)、4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸一ナトリウム三水和物が含まれる;
アレンドロン酸及びアレンドロネートは、1990年5月1日に発行されたKieczykowskiらに付与された、米国特許第4,922,007号、1991年5月28日に発行されたKieczykowskiら、同5,019,651号、1996年4月23日に発行されたDauerら、同5,510,517号、1997年7月15日に発行されたDauerら、同5,648,491号に記載されている。これらすべてを参照により本明細書に含まれる;
参照により本明細書に含まれるとする、1990年11月13日に発行されたIsomuraらに付与された、米国特許第4,970,335号に記載のシクロヘプチルアミノメチレン−1,1−ビスホスホン酸、YM 175、山之内(以前はシマドロネートとして知られていたインカドロネート);
1,1−ジクロロメチレン−1,1−ジホスホン酸(クロドロン酸)及び二ナトリウム塩(クロドロネート、Procter and Gamble)は、ベルギー特許第672,205号(1966)及びJ. Org. Chem 32,4111(1967)に記載されている。いずれも参照により本明細書に含まれるとする;
1−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジニル)−プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(EB−1053);
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸);
BM−210955(Boehringer−Mannheim(イバンドロネート))としても知られる1−ヒドロキシ−3−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸は、参照により本明細書に含まれるとする、1990年5月22日に発行された米国特許第4,927,814号に記載されている;
1−ヒドロキシ−2−イミダゾ−(1,2−a)ピリジン−3−イエチリデン(ミノドロネート);
6−アミノ−1−ヒドロキシヘキシリデン−1,1−ビスホスホン酸(ネリドロネート(neridronate));
3−(ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(オルパドロネート(olpadronate));
3−アミノ−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(パミドロネート);
[2−(2−ピリジニル)エチリデン]−1,1−ビスホスホン酸(ピリドロネート(piridronate))は、参照により本明細書に含まれるとする、米国特許第4,761,406号に記載されている;
1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)−エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(リセドロネート);
参照により本明細書に含まれるとする、1989年10月24日発行の、Breliereらに付与された、米国特許第4,876,248号に記載の(4−クロロフェニル)チオメタン−1,1−ジスホスホン酸(チルドロネート);
1−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(ゾレドロネート);
が含まれる。
【0046】
ビスホスホナートの非限定的な例には、アレンドロネート、シマドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネート及びゾレンドロネート(zolendronate)並びに医薬適合性のそれらの塩及びエステルが含まれる。特に好ましいビスホスホナートは、アレンドロネート、特にアレンドロン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又はアンモニウム塩である。好ましいビスホスホナートの例は、アレンドロン酸のナトリウム塩、特にアレンドロン酸の水和ナトリウム塩である。この塩は、水の整数モル又は水の非整数モルで水和することができる。好ましいビスホスホナートのさらなる例は、アレンドロン酸の水和ナトリウム塩、特に水和塩がアレンドロネート一ナトリウム三水和物である場合である。
【0047】
ビスホスホナート活性成分の2以上の混合物を利用できることがわかる。
【0048】
有機ビスホスホナートの正確な投与量は、投薬スケジュール、選択された特定のビスホスホナート、哺乳動物又はヒトの年齢、サイズ、性別及び状態、治療すべき障害の性質及び重症度、並びに他の関連する医学的要因及び身体的要因に応じて変わる。したがって、薬剤として有効な正確な量は、前もって特定することができず、治療者又は臨床家が容易に決定することができる。適切な量は、動物モデルからの定常的な実験法及びヒト臨床試験によって決定することができる。一般に、ビスホスホナートの適切な量は骨吸収阻害効果が得られるように選択され、すなわちビスホスホナートの骨吸収阻害量が投与される。ヒトの場合、ビスホスホナートの有効な経口用量は、一般に、約1.5から約6000μg/kg体重、好ましくは約10から約2000μg/kg体重である。アレンドロネート一ナトリウム三水和物の場合、投与される通常のヒト用量は、一般に、約2mg/日から約40mg/日、好ましくは約5mg/日から約40mg/日の範囲である。米国において、アレンドロネート一ナトリウム三水和物の現在承認されている投与量は、骨粗しょう症予防の場合は5mg/日、骨粗しょう症治療の場合は10mg/日、及びパジェット病治療の場合は40mg/日である。
【0049】
別の投薬計画において、ビスホスホナートは1日1回以外の間隔、例えば週1回の投薬、週2回の投薬、隔週の投薬及び月2回の投薬で投与することができる。週1回の投薬計画では、アレンドロネート一ナトリウム三水和物は35mg/週又は70mg/週の投与量で投与される。
【0050】
「選択的エストロゲン受容体モジュレーター」とは、機序にかかわらず受容体へのエストロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレーターの例には、これらに限定されないが、エストロゲン、プロゲストーゲン、エストラジオール、ドロロキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424、タモキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン及びSH646が含まれる。
【0051】
「エストロゲン受容体ベータモジュレーター」は、エストロゲン受容体ベータ(ERβ)に選択的にアゴナイズ(agonize)又は拮抗する化合物である。ERβのアゴナイズにより、ERβ媒介事象を介して、トリプトファンヒドロキシラーゼ遺伝子(TPH、セロトニン合成において鍵となる酵素)の転写を増加させる。エストロゲン受容体ベータアゴニストの例は、その両方を参照によりそれら全体を本明細書中に組み込む、2001年11月8日に公開されたPCT国際出願WO01/82923及び2002年5月20日に公開されたWO02/41835で見出すことができる。
【0052】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とは、機序にかかわらず受容体へのアンドロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレーターの例には、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール及びアビラテロンアセテートが含まれる。
【0053】
「破骨細胞プロトンATPase阻害剤」とは、破骨細胞の頂端膜上にあり骨吸収プロセスにおいて重要な役割を果たすと報告されているプロトンATPaseの阻害剤を指す。このプロトンポンプは、骨粗しょう症及び関連する代謝疾患の治療及び予防に有用である可能性のある骨吸収阻害剤を設計するための興味深い標的である。参照により本明細書に含まれるとする、C. Farinaら、”Selective inhibitors of the osteoclast vacuolar proton ATPase as novel bone antiresorptive agents”,DDT,4:163−172(1999))を参照のこと。
【0054】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」とは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。HMG−CoAレダクターゼに対して抑制活性を有する化合物は、当分野で周知のアッセイを用いることによって容易に特定することができる。例えば、米国特許第4,231,938号6段及び国際特許出願公開第84/02131 30−33頁に記載又は引用されているアッセイを参照のこと。「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」及び「HMG−CoAレダクターゼの阻害剤」という用語は、本明細書において使用される場合には同じ意味を有する。
【0055】
使用され得るHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例には、これらに限定されないが、ロバスタチン(MEVACOR(R);米国特許第4,231,938号、同4,294,926号及び同4,319,039号参照)、シンバスタチン(ZOCOR(R);米国特許第4,444,784号、同4,820,850号及び同4,916,239号参照)、プラバスタチン(PRAVACHOL(R);米国特許第4,346,227号、同4,537,859号、同4,410,629号、同5,030,447号及び同5,180,589号参照)、フルバスタチン(LESCOL(R);米国特許第5,354,772号、同4,911,165号、同4,929,437号、同5,189,164号、同5,118,853号、同5,290,946号及び同5,356,896号参照)、アトルバスタチン(LIPITOR(R);米国特許第5,273,995号、同4,681,893号、同5、489,691号及び同5,342,952号参照)及びセリバスタチン(リバスタチン及びBAYCHOL(R)としても知られる;米国特許第5,177,080号参照)が含まれる。本発明の方法に使用し得るこれら及びさらなるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、M.Yalpani,”Cholesterol Lowering Drugs”,Chemistry & Industry,pp.85−89(1996年2月5日)の87頁及び米国特許第4,782,084号及び同4,885,314号に記載されている。本明細書中で使用される場合、「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」という用語は、医薬適合性の全てのラクトン及び開環酸の形(すなわち、ラクトン環が開いて遊離酸を形成している。)並びにHMG−CoAレダクターゼ抑制活性を有する化合物の塩及びエステル型を含み、そのために、そのような塩、エステル、開環酸及びラクトン型の使用は本発明の範囲内に含まれる。ラクトン部分及びその対応する開いた開環酸形を以下に構造I及びIIとして図示する。
【0056】
【化5】

【0057】
開環酸形が存在し得るHMG−CoAレダクターゼ阻害剤においては、塩及びエステル型は開環酸から好ましくは形成することができ、このような形は全て、本明細書中で使用される場合、「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」という用語の意味に含まれる。好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチン及びシンバスタチン、最も好ましくはシンバスタチンから選択される。本明細書において、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤に関する「医薬適合性の塩」という用語は、遊離酸を適切な有機又は無機塩基と反応させることによって一般に製造される、本発明で使用される化合物の非毒性塩、特にナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、テトラメチルアンモニウムなどの陽イオンから形成される塩、並びにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イル−メチルベンズ−イミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアミンから形成される塩を意味するものとする。HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の塩形態のさらなる例には、これらに限定されないが、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物塩、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソシナート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド及び吉草酸塩が含まれる。
【0058】
記載されたHMG−CoAレダクターゼ阻害剤化合物のエステル誘導体は、温血動物の血流に吸収された際に薬物の形で放出し、薬物の治療効力を向上させるように開裂することができるプロドラッグとして働くことができる。
【0059】
上記で使用される場合、「インテグリン受容体アンタゴニスト」とは、αβインテグリンに対する生理学的リガンドの結合に選択的に拮抗し、それを阻害し又はそれに対抗する化合物、αβインテグリンに対する生理学的リガンドの結合に選択的に拮抗し、それを阻害し又はそれに対抗する化合物、αβインテグリンとαβインテグリンの両方に対する生理学的リガンドの結合に拮抗し、それを阻害し又はそれに対抗する化合物、及び毛細管内皮細胞上で発現される特定のインテグリンの活性に拮抗し、それを阻害し又はそれに対抗する化合物を指す。この用語は、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンのアンタゴニストも指す。この用語は、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンの任意の組み合わせのアンタゴニストも指す。H.N.Lodeら、PNAS USA 96:1591−1596(1999)は、自然発生的腫瘍転移の根絶における抗血管形成αインテグリンアンタゴニストと腫瘍特異抗体−サイトカイン(インターロイキン−2)融合タンパク質との間の相乗効果を見出した。彼らの結果は、この組み合わせが、癌及び転移性腫瘍成長を治療する可能性を有することを示唆した。αβインテグリン受容体アンタゴニストは、現在利用可能な全ての薬物の機序とは異なる新しい機序によって骨吸収を阻害する。インテグリンは、細胞−細胞及び細胞−マトリックス相互作用を媒介するヘテロ二量体の膜貫通接着受容体である。α及びβインテグリンサブユニットは、非共有結合的に相互作用し、二価の陽イオンに依存する様式で細胞外マトリックスリガンドに結合する。破骨細胞上で最も豊富なインテグリンはαβ(>10/破骨細胞)であり、これは、細胞遊走及び分極に重要な細胞骨格組織において律速の役割を果たすと考えられる。αβ拮抗効果は、骨吸収の阻害、再狭窄の阻止、黄斑変性の阻止、関節炎の阻止及び癌及び転移性増殖の阻止から選択される。
【0060】
「骨芽細胞同化剤」とは、PTHなどの骨を構築する薬剤を指す。副甲状腺ホルモン(PTH)又はそのアミノ末端断片及び類似体の断続投与は、動物及びヒトにおいて、骨量の減少を予防し、抑止し、部分的に逆転させ、骨形成を刺激することが示されている。考察については、D.W. Dempsterら、”Anabolic actions of parathyroid hormone on bone”,Endocr Rev 14:690−709(1993)を参照のこと。複数の研究によって、副甲状腺ホルモンが骨形成を刺激し、それにより骨量及び骨強度を増加させるという臨床上の利点が示された。結果は、RM Neerら、New Eng J Med 344 1434−1441、(2001年)により報告された。
【0061】
さらに、PTHrP−(1−36)などの副甲状腺ホルモン関連タンパク質断片又は類似体は、強力な抗カルシウム尿効果を示し[M.A. Syedら、”Parathyroid hormone−related protein−(1−36) stimulates renal tubular calcium reabsorption in normal human volunteers: implications for the pathogenesis of humoral hypercalcemia of malignancy”,JCEM 86:1525−1531(2001)を参照のこと。]、骨粗しょう症を治療する同化剤としての可能性も有し得る。
【0062】
固定用量として製剤化する場合には、配合製剤は、下記投与量範囲内の本発明の化合物とその承認された投与量範囲内の他の医薬活性薬剤とを使用する。あるいは、本発明の化合物は、配合製剤が不適当な場合は、公知の医薬適合性の薬剤を遂次使用し得る。
【0063】
本発明の化合物に関して「投与」という用語及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、治療を必要とする動物の系に化合物又は化合物のプロドラッグを導入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグが1又は複数の他の活性薬剤(例えば、細胞毒性薬など)と組み合わせて提供される場合には、「投与」及びその変形は、化合物又はそのプロドラッグと他の薬剤との同時及び逐次導入を含むとそれぞれ理解される。本発明は、本発明の化合物のプロドラッグをその範囲に含む。一般に、そのようなプロドラッグは、本発明の化合物の機能的誘導体であり、必要とされる化合物にインビボで容易に変換され得る。このように、本発明の治療方法において、「投与すること」という用語は、具体的に開示される化合物又は具体的に開示されていないが患者に投与された後に指定の化合物にインビボで変換される化合物を用いた、記載されるさまざまな症状の治療を包含するものとする。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び製造するための従来の方法は、例えば、参照により本明細書に含まれるとする、”Design of Prodrugs”,H. Bundgaard編,Elsevier,(1985年)に記載されている。これらの化合物の代謝産物には、本発明の化合物を生物学的環境に導入することによって生成される活性種などが含まれる。
【0064】
本明細書中で使用される場合、「組成物」という用語は、指定成分を指定量含む生成物、ならびに各指定成分を指定量で組み合わせることにより直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。
【0065】
本明細書中で使用される場合、「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家によって求められている、組織、系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を誘発する活性化合物又は薬剤の量を意味する。
【0066】
本明細書中で使用される場合、疾患を「治療する」又は疾患の「治療」という用語は、疾患を予防すること、つまり、疾患が顕在化した、又は疾患に罹患し易い恐れがあるが疾患の徴候がまだ現れないか示されない哺乳動物において疾患の臨床症状を発現させないこと、疾患を阻止すること、つまり、疾患もしくはその臨床症状の発現を抑止又は抑制すること、又は疾患を軽減すること、つまり、疾患もしくはその臨床症状を退行させることを含む。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「骨吸収」という用語は、破骨細胞が骨を分解するプロセスを指す。
【0068】
本発明は、本発明の化合物の治療的有効量を医薬適合性の担体又は希釈剤と一緒に投与することを伴う、又伴わない、骨粗しょう症又は他の骨障害の治療において有用な医薬組成物も包含する。本発明の適切な組成物には、本発明の化合物と薬理学的に許容される担体、例えば、pHレベルが例えば7.4の食塩水を含む水溶液が含まれる。この溶液は、患者の血流中に局所的ボーラス注入法により導入することができる。
【0069】
本発明による化合物がヒト対象に投与される場合、1日用量は、通常、処方する医師により決定され、投与量は一般に、個々の患者の年齢、体重及び応答並びに患者の症候の重症度に応じて変わる。
【0070】
ある適用例において、カテプシン依存性症状の治療を行う哺乳動物に化合物の適切な量が投与される。本発明の経口投与量は、必要な効果のために使用される場合、約0.01mgから約100mg/kg体重/日(mg/kg/日)、好ましくは0.01から10mg/kg/日、最も好ましくは0.1から5.0mg/kg/日の範囲である。経口投与の場合、本組成物は、活性成分0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100及び500ミリグラムを含む錠剤の形で好ましくは提供され、治療される患者の症状によって投与量が調節される。医薬品は、一般に、活性成分約0.01mgから約500mg、好ましくは、活性成分約1mgから約100mgを含む。静脈内の場合、最も好ましい用量は、定速注入中約0.1から約10mg/kg/分の範囲である。有利には、本発明の化合物は、1日1回投与で投与し得るか、又は全1日用量を1日2回、3回又は4回の分割用量で投与し得る。さらに、本発明に好ましい化合物は、適切な鼻腔内ビヒクルの局所的使用によって、又は当業者に周知の経皮皮膚貼付薬の剤形を用いた経皮経路によって、鼻腔内形式で投与することができる。経皮送達システムの形で投与するために、投与は投与計画を通して間欠的ではなく連続的であることは言うまでもない。
【0071】
本発明の化合物は、カテプシンによって媒介される症状を治療するのに有用な他の薬剤と併用することができる。そのような組み合わせの個々の成分は、治療中の異なる時に別個に、又は分割もしくは単一の混合剤型で同時に投与することができる。したがって、本発明は、そのような同時又は交互の治療の治療計画全てを包含すると理解され、「投与すること」という用語はそれに応じて解釈すべきである。本発明の化合物とカテプシンによって媒介される症状を治療するのに有用な他の薬剤との組み合わせの範囲は、エストロゲン機能に関係する障害を治療するのに有用なあらゆる医薬組成物とのあらゆる組み合わせを原則的には含むと理解される。
【0072】
したがって、本発明の範囲は、有機ビスホスホナート、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨細胞プロトンATPaseの阻害剤、HMG−CoAレダクターゼの阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、PTHなどの骨芽細胞同化剤ならびに医薬適合性のそれらの塩及び混合物から選択される第2の薬剤と組み合わせた特許請求される化合物の使用を包含する。
【0073】
本発明のこれらの側面及び他の側面は、本明細書に含まれる教示から明らかである。
【0074】
定義
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸及びキラル面を有し得(E.L.Eliel及びS.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994,1119−1190頁に記載されている。)、ラセミ化合物、ラセミ混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得、光学異性体を含む考えられるすべての異性体及びその混合物が本発明に含まれる。さらに、本明細書中で開示される化合物は、互変異性体として存在し得、一方の互変異性体型のみが示されるとしても、両互変異性体型が本発明の範囲内に包含されるものとする。例えば、下記の化合物Aに対するいずれの特許請求も、互変異性体型Bを含み、逆もまた成り立つこと、ならびにそれらの混合物を含むことを理解されたい。
【0075】
【化6】

【0076】
あらゆる可変要素(例えばR、R、Rなど)が何らかの構成要素において複数回出現する場合、各出現におけるその定義は他の全ての出現において独立である。また、置換基及び可変要素の組合せは、そのような組合せが結果として安定的な化合物を生じる場合のみ許される。置換基から環系に引かれた線は、その指示する結合が置換可能な環炭素原子のいずれかに結合し得ることを示す。その環系が多環式である場合、その結合は、隣接する環のみで、適切な炭素原子のいずれかと結合するものとする。
【0077】
本発明の化合物における置換基及び置換パターンは、化学的に安定で本技術分野で公知の技術ならびに下記に記載する方法により、容易に入手可能な出発材料から容易に合成される化合物を与えるように、当業者により選択され得ると理解されたい。置換基がそれ自身1を超える基で置換される場合、これらの複数の基は、結果として安定な構造である限り、同じ炭素か、又は異なる炭素にあり得ることを理解されたい。「1又は複数の置換基で場合によっては置換される」という語句は、「少なくとも1つの置換基で場合によっては置換される」という語句と同等であり、そのような場合において、好ましい実施形態は、0から3個の置換基を有すると解釈されたい。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「アルキル」は、別段の記載がない限り1個から10個の炭素原子を有する、分枝鎖及び直鎖両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。例えば、「C−C10アルキル」におけるC−C10は、直鎖、分枝鎖又は環式配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素を有する基を含むと定義される。例えば、「C−C10アルキル」としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが具体的に挙げられる。
【0079】
「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」は、別段の記載がない限り、酸素架橋によって結合した、上で定義されたアルキル基を表す。アルコキシの例には、メトキシ、エトキシなどが含まれる。
【0080】
「シクロアルキル」又は「炭素環」という用語は、別段の記載がない限り、3個から8個の総炭素原子のアルカン環、又はこの範囲の任意の数のアルカン環(つまり、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル)を意味するものとする。
【0081】
炭素原子数が指定されていない場合、「アルケニル」と言う用語は、直鎖又は分枝鎖の、2個から10個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素と炭素との二重結合を含む非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは、炭素と炭素との1つの二重結合が存在し、4個以下の非芳香族炭素−炭素二重結合が存在し得る。このように、「C−Cアルケニル」とは、2個から6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル及びシクロヘキセニルが含まれる。アルキルに関して上述したように、アルケニル基の直鎖、分枝鎖又は環状部分は二重結合を含有し得、置換アルケニル基が指定される場合は、置換され得る。
【0082】
ある一定の例において、置換基は、0((C−C)アルキレン−アリールなど)を含む炭素の範囲で定義され得る。アリールがフェニルとするとき、この定義は、フェニルそのもの、ならびに−CHPh、−CHCHPh、CH(CH)CHCH(CH)Phなどを含む。
【0083】
本明細書中で使用される場合、「アリール」は、少なくとも1個の環が芳香族であり、各環が12原子以下の、任意の安定な単環式又は二環式炭素環を意味するものとする。そのようなアリール成分の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル又はアセナフチルが含まれる。アリール置換基が二環式であり1個の環が非芳香族である場合、結合は芳香環を介すると理解される。
【0084】
本明細書中で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1個の環が芳香族であり、O、N及びSからなる群から選択される1個から4個のヘテロ原子を含む、各環が10原子以下の安定な単環式、二環式又は三環式環を表す。この定義の範囲内にあるヘテロアリール基には、これらに限定されないが、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、インドリニル、インドリル、インドラジニル(indolazinyl)、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフタピリジニル(naphthpyridinyl)、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソキサゾリン、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンズオキサゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリニル、メチレンジオキシベンゼン、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル及びテトラヒドロキノリンが含まれる。ヘテロアリール置換基が二環式であり、1個の環が非芳香族であるか、又はヘテロ原子を含まない場合には、結合はそれぞれ芳香環又はヘテロ原子を含有する環を介すると理解される。ヘテロアリールが窒素原子を含有する場合、対応するそのN−オキシドもこの定義に包含されると理解される。
【0085】
当業者により理解されるように、本明細書中で使用される場合、「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを含むものとする。「ケト」という用語はカルボニル(C=O)を意味する。
【0086】
「ハロアルキル」という用語は、別段の断りがない限り、1個から5個、好ましくは1個から3個のハロゲンで置換される、上述のように定義されるアルキル基を意味する。代表的な例には、これらに限定されないが、トリフルオロメチル、ジクロロエチルなどが含まれる。
【0087】
「ハロアルコキシ」という用語は、基−OR(Rは、1個から5個、好ましくは1個から3個のハロゲンで置換される、上記で定義したようなアルキルである。)を表す。代表的な例には、これらに限定されないが、トリフルオロメチルオキシ、ジクロロエチルオキシなどが含まれる。
【0088】
「アリールアルキル」という用語は、上記で定義したようなアルキル部分を含み、上記で定義したようなアリール部分を含む。アリールアルキルの例には、これらに限定されないが、ベンジル、フルオロベンジル、クロロベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フルオロフェニルエチル及びクロロフェニルエチルが含まれる。アルキルアリールの例には、これらに限定されないが、トルイル、エチルフェニル及びプロピルフェニルが含まれる。
【0089】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、本明細書中で使用される場合、ヘテロアリール部分(ヘテロアリールは、上記で定義されるとおりである。)を含み、アルキル部分を含む系を意味するものとする。ヘテロアリールアルキルの例には、これらに限定されないが、チエニルメチル、チエニルエチル、チエニルプロピル、ピリジルメチル、ピリジルエチル及びイミダゾイルメチルが含まれる。
【0090】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、アルキル部分(アルキルは上記で定義されるとおりである。)を含み、シクロアルキル部分(シクロアルキルは上記で定義されるとおりである。)も含む。シクロアルキルアルキルの例には、これらに限定されないが、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロプロピルエチルなどが含まれる。
【0091】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」という用語は、アルキル部分(アルキルは上記で定義されるとおりである。)を含み、ヘテロシクロアルキル部分(ヘテロシクロアルキルは上記で定義されるとおりである。)も含む。ヘテロシクロアルキルアルキルの例には、これらに限定されないが、モルホリニルメチル、ピペラジニルメチル、ピロリジニルメチルなどが含まれる。
【0092】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、2個のヒドロキシ基が存在する場合にはそれらが同じ炭素原子上にないことを前提に、1個又は2個のヒドロキシ基で置換された、1個から6個の炭素原子の一価の直鎖炭化水素基又は3個から6個の炭素の一価の分枝鎖炭化水素基を意味する。代表例には、これらに限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピルなどが含まれる。
【0093】
「複素環」又は「ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中で使用される場合、O、N、S、SO又はSOからなる群から選択される1個から4個のヘテロ原子を含む、別段の記載がない限り5員環から10員環非芳香環を意味するものとし、二環式基を含む。したがって、「ヘテロシクリル」には、これらに限定されないが、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピペリジニル、テトラヒドロチオフェニルなどが含まれる。複素環が窒素を含む場合には、対応するそのN−オキシドもこの定義に包含されると理解される。
【0094】
本発明は、式Iの化合物のN−オキシド誘導体及び保護誘導体も含む。例えば、式Iの化合物が酸化可能な窒素原子を含む場合、当分野で周知の方法によりこの窒素原子をN−オキシドに転化することができる。また、式Iの化合物がヒドロキシ、カルボキシ、チオールなどの基又は窒素原子を含む任意の基を含む場合、これらの基を適切な保護基で保護することができる。適切な保護基の包括的なリストは、参照により本明細書に含まれるとする、T.W. Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,Inc.1981に見出すことができる。式Iの化合物の保護誘導体は、当分野で周知の方法によって製造することができる。
【0095】
「アルキル」もしくは「アリール」という用語又はそれらの接頭辞語根のいずれかが置換基の名称に現れる場合(例えば、アリールC0−8アルキル)はいつも、「アルキル」及び「アリール」に対して上記した制限を含むとして解釈するものとする。炭素原子の指定数(例えば、C1−10)は、独立してアルキル又は環状アルキル部分又は、その接頭辞語根としてアルキルが使われている、より大きい置換基のアルキル部分に対する炭素原子の数を指す。
【0096】
本発明の化合物の医薬適合性の塩は、形成された無機酸又は有機酸として本発明の化合物の従来の非毒性塩を含む。例えば、従来の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から製造される塩が含まれる。医薬適合性の上記塩及び医薬適合性の他の典型的な塩の製造は、参照により本明細書に含まれるとする、Bergら、”Pharmaceutical Salts”,J. Pharm.Sci.,1977:66:1−19でさらに詳細に記述されている。本発明の化合物の医薬適合性の塩は、塩基性部分又は酸性部分を含有する本発明の化合物から従来の化学方法により合成することができる。一般に、塩基化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって、又は化学量論的量又は過剰の所望の塩形成性無機酸又は有機酸と、適切な溶媒又は溶媒の様々な組み合わせの中で、遊離塩基を反応させることによって、製造される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機塩基又は有機塩基との反応により形成される。
【0097】
本明細書のために、次の略語は、指定する意味を有する:
Ba(OH)=水酸化バリウム、
BuLi=ブチルリチウム、
CDI=カルボニルジイミダゾール、
CrO=酸化クロム、
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、
EDC=エチルジエチルアミノプロピルカルボジイミド、
EtN=トリエチルアミン、
EtOH=エタノール、
HATU=o−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、
HCl=塩酸、
IO=過ヨウ素酸、
KHMDS=カリウムヘキサメチルジシラザン(potassium hexamethyldisilazane)、
LDA=リチウムジイソプロピルアミド、
LiCl=塩化リチウム、
MeOH=メタノール、
NaBH=水素化ホウ素ナトリウム、
NaI=ヨウ化ナトリウム、
NaCNBH=水素化シアノホウ素ナトリウム、
NaCO=炭酸ナトリウム、
NaHCO=炭酸水素ナトリウム、
NaOH=水酸化ナトリウム、
NaHPO=リン酸二水素ナトリウム、
NaHSO=亜硫酸水素ナトリウム、
NHCl=塩化アンモニウム、
Pd/C=炭素担持パラジウム、
PdCl(dppf)=[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、
PG=保護基、
iPrEtN=ジイソプロピルエチルアミン、
PyBOP=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート、
rt=室温、
sat.aq.=飽和水溶液、
SiO=二酸化ケイ素、
THF=テトラヒドロフラン、
TiCl=塩化チタニウム(IV)、
tlc=薄層クロマトグラフィー、
Me=メチル、
Et=エチル、
n−Pr=ノーマルプロピル、
i−Pr=イソプロピル、
n−Bu=ノーマルブチル、
i−Bu=イソブチル、
s−Bu=第二ブチル、
t−Bu=第三ブチル。
【0098】
本発明の新規化合物は、適切な材料を使用して、次の全般的手段に従い、製造することができ、続く特定の実施例によりさらに例示される。しかし、この実施例で説明する化合物は、本発明としてみなされる唯一の種類を形成するものとして解釈されるものではない。次の実施例はさらに、本発明の化合物を製造するための詳細を説明する。次の製造手段の条件及び工程の既知の変更をこれらの化合物を製造するために使用することができることを当業者は容易に理解するであろう。特に断りがない限り、温度は全て摂氏である。
【0099】
スキーム
本発明の化合物は、下記で示すように、スキーム1に従い製造することができる。したがって、α−アミノエステルをハロアルキルケトンに添加して、TiCl、MgSO又はトリフルオロ酢酸イソプロピルなどの脱水剤存在下でイミンに脱水することができるアミナールを形成させ得る。水素化シアノホウ素ナトリウム又は水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤によるこのイミンの還元により、アミンが得られる。あるいは、この還元において、R立体中心における適切なキラリティーを生じさせるために、キラル触媒を使用し得る。適切に置換されたアミノアセトニトリルを用いたエステル加水分解及びアミド形成により、アミド誘導体が得られる。D系における置換基がハロゲンである場合、適切なボロン酸を用いたパラジウム触媒によるSuzukiカップリングにより、本発明のさらなる化合物が得られる。
【0100】
【化7】

【0101】
本発明の化合物はまた、下記で示すように、スキーム2に従い製造することもできる。ケトン又はアルデヒド(又はそのヘミアセタール)をアミノアルコールと縮合させて、環状アミナールを得ることができる。グリニャール試薬又は有機リチウム試薬 3当量を用いた処理により、適切なアルキル化アミノアルコールが得られる。Jones酸化もしくはHIO/CrOなどのクロム系による、あるいは二段階酸化(例えば、塩化オキサリル/DMSO/EtNと、それに続くNaClO)によるアルコールの酸化により、対応するカルボン酸が得られる。スキーム1に記載するようなペプチドカップリング及びSuzuki反応により、本発明の化合物が得られる。
【0102】
【化8】

【0103】
本発明の化合物はまた、下記で示すように、スキーム3に従い製造することもできる。ヘミアセタールは、アルコール部分が適切な保護基で保護されているアミノアルコールと縮合させ得る。グリニャール試薬又は有機リチウム試薬を用いた得られたイミンの処理により、適切なアルキル化アミノアルコールが得られる。次に、このアルコール保護基を除去することができ、スキーム2で述べた方法、又は最初にSuzuki反応を行い、次いでHIO/CrOでアルコールを酸化し、次いでペプチドカップリングを行うか、のいずれかで、そのアルコールを本発明の化合物に変換することができる。
【0104】
【化9】

【0105】
本発明の化合物を製造するために使用されるカルボキシルアミド−アリールブロミドは、スキーム4で示すように製造され得る。LDA又はKHMDSなどの塩基によるブロモフェニルアセトニトリルの処理と、それに続くヨウ化メチル又は1−ブロモ−2−クロロエタンなどのハロゲン化アルキルを用いた処理により、α−置換ベンゾニトリルが得られる。あるいは、相間移動条件下で水酸化ナトリウム、ハロゲン化アルキル及び塩化ベンジルトリエチルアンモニウムなどの適切な相間移動触媒を用いてこのアルキル化を行い得る。塩基性条件下でのニトリルの加水分解により、対応するカルボン酸が得られ、EDC、CDI、HATU、pyBOP又はクロロギ酸イソブチルなどの適切なカップリング剤を用いてそれをアンモニア又は一級もしくは二級アミンとカップリングさせることができる。この置換臭化アリールは、スキーム8で述べられるように、アリールボロンピナコラートを用いてカップリングさせ、本発明の化合物を得ることができる。あるいは、この臭化アリールをそれ自身、ビス(ピナコラート)ジボロンを用いたパラジウム触媒反応によりアリールボロンピナコラートに変換し得る。この得られたアリールボロンピナコラートは、スキーム1、2又は3で示すように、Suzukiカップリング反応において使用し、本発明の化合物を得ることができる。
【0106】
【化10】

【0107】
4−フルオロロイシノールをスキーム5に従い合成し得る。4,5−デヒドロロイシンを、以下のスキームで記載するように、(4S)−4−(2−メチルプロプ−2−エニル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンに変換する。次に、HF−ピリジンなどのフッ化水素化剤を用いてこの中間体を処理し、(4S)−4−(2−フルオロ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンを得る。次に、塩基性加水分解(つまり、Ba(OH)又はNaOH)により、(2S)−2−アミノ−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールが得られ、スキーム2で示すようにそれを使用し得る。アルコールの選択的保護により、スキーム3で使用できる中間体が得られる。
【0108】
【化11】

【0109】
本発明のために使用するアミノアルコールもまた、スキーム6に従い合成し得る。EtOHなどの溶媒又はEtOH/THFなどの混合溶媒中で、LiClなどの添加剤あり、無しのいずれかで、NaBHなどの還元剤を用いて保護アミノ酸を還元する。次に、保護基の性質に従い適切な方法によりアミノ保護基を除去する。次に、スキーム3で使用するために、アミノアルコールをシリル化することができる。あるいは、アミンの脱保護前にそのアルコールをシリル化することができ、次いでオルト位のアミン保護基の除去を行う。
【0110】
【化12】

【0111】
本発明の化合物はまた、下記に示すようにスキーム7に従い製造することもできる。ジメチルホルムアミドなどの適切な有機溶媒中における、ヨウ化ナトリウム存在下での、適切にN−保護化されたアミノ酸誘導体の、トシル酸オキセタンとの反応により、対応するオキセタンエステルが得られ、これをジボランと反応させてオルトエステルが得られる。アミノ保護基の除去により、アミンが得られ、上述の反応条件下での、これの、式RCHOのアルデヒド又は式RC(OH)(OR)(Rはアルキル基である。)のヘミアセタールとの縮合により、イミンが得られる。上述の反応条件下でこのイミンをグリニャール又は有機リチウム試薬で処理することにより、N−アルキル化誘導体が得られる。オルトエステルを除去することにより、対応するカルボン酸を得て、スキーム1で記載するようにして次にこれを本発明の化合物に変換する。
【0112】
【化13】

【0113】
本発明の化合物はまた、下記に示すようにスキーム8に従い製造することもできる。適切なR、R、R及びR基を含有するハロゲン化アリールをビス(ピナコラート)ジボロンとカップリングさせ、アリールピナコラートを得ることができる。Suzuki条件下でアミド含有臭化アリ―ルとこれをカップリングさせて、本発明の化合物を得ることができる。あるいは、このアリールピナコラートをSuzuki条件下でカルボン酸含有臭化アリールとカップリングさせて、酸を得ることができ、次にこれを適切なアミンとカップリングさせて、本発明の化合物を得ることができる。
【0114】
【化14】

【0115】
スキーム1、2及び7に示すハロ−D−CH(R)NHCH(R)COOH型のカルボン酸はまた、スキーム9に従い製造することができる。適切に置換した臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル又はベンジルトリフラート(これらは、キラル又はラセミ体であり得る。)を塩基性条件下でα−アミノエステルとカップリングさせ得る。次に、塩基水溶液を用いた加水分解により酸を得て、それを本発明の実施例に変換することができる。
【0116】
【化15】

【実施例1】
【0117】
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−2’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミドの合成。
【0118】
【化16】

【0119】
段階1:1−ブロモ−4−(ブロモメチル)−2−フルオロベンゼンの製造
四塩化炭素 150mL中の4−ブロモ−3−フルオロトルエン(10.6g)の室温溶液に、過酸化ベンゾイル(100mg)及びN−ブロモスクシンイミド(10g)を添加した。その混合物を80℃に4時間加熱した(照射光による。)。この反応混合物を0℃に冷却した。celiteを介して濾過し、ヘキサンで洗浄し、溶媒を真空中で除去した。その未精製物質をSiOでのクロマトグラフィーにより、ヘキサンを使用して精製し、不純物として1−ブロモ−4−(ジブロモメチル)−2−フルオロベンゼン 〜30%を含有する表題化合物を得た。
【0120】
H NMR(CDCOCD)δ7.66−7.10(1H,m),7.42(1H,d),7.29(1H,d),4.66(2H,s)。
【0121】
段階2:(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)メタノールの製造
DMF(150mL)中の段階1からの1−ブロモ−4−(ブロモメチル)−2−フルオロベンゼン(11.8g)の室温溶液に、酢酸ナトリウム(10.8g)を添加した。その混合物を80℃に16時間加熱した。それを室温に冷却し、氷及び重炭酸ナトリウム飽和水溶液(200mL)に注ぎ、ジエチルエーテル(2x100mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。その未精製物質をSiOでのクロマトグラフィーにより、酢酸エチル及びヘキサン(1:25から1:10)を使用して精製し、4−ブロモ−3−フルオロベンジルアセテート(4−ブロモ−3−フルオロベンズアルデヒド 約15%を含有する。)を得た。この残渣をメタノール(100mL)に溶解し、0℃に冷却し、ナトリウムメトキシド(250mg)を添加した。この反応混合物を室温にて2時間撹拌した。それを0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(1.5g)を添加した。0℃にて1時間撹拌し、氷及び塩化アンモニウム飽和水溶液(200mL)に注いだ。酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより、酢酸エチル及びヘキサン(1:5から1:3)を使用して精製し、表題化合物を得た。H NMR(CDCOCD)δ7.55−7.65(1H,m),7.28(1H,d),7.15(1H,d),4,63(2H,d),4.50(1H,t)。
【0122】
段階3:(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)アセトニトリルの製造
ジクロロメタン(300mL)中の段階2からの(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)メタノール(7.2g)及びトリエチルアミン(5.9mL)の−78℃の溶液に、塩化メタンスルホニル(3.0mL)をゆっくりと添加した。この反応混合物を0℃にて1時間撹拌した。次に、氷及び塩化アンモニウム飽和水溶液に注ぎ、分配した。ジクロロメタン(1x150mL)で水層を抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をDMF(150mL)に溶解し、シアン化ナトリウム(5.1g)を添加した。この反応混合物を室温にて2時間撹拌し、氷及び水(100mL)に注いだ。酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより、酢酸エチル及びヘキサン(1:10から1:5)を使用して精製し、表題化合物を得た。
【0123】
H NMR(CDCOCD)δ7.70−7.78(1H,m),7.39(1H,d),7.28(1H,d),4.09(2H,s)。
【0124】
段階4:1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボニトリルの製造
水酸化ナトリウム 7.5mL(水中50% W/W)の溶液中の段階3からの(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)アセトニトリル(6.4g)の室温溶液に、1−ブロモ−2−クロロエタン(4.0mL)及び塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(204mg)を添加した。その混合物を60℃にて5時間加熱した。この反応混合物を室温に冷却し、水(100mL)に注いだ。酢酸エチル(200mL)で抽出した。その抽出物を水(100mL)、塩酸(100mL、水中10% HCl)及び食塩水で洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣を振り混ぜにより、メチルt−ブチルエーテル及びヘキサンを用いて精製し、表題化合物を得た。
【0125】
H NMR(CDCOCD)δ7.69−7.73(1H,m),7.28(1H,d),7.25(1H,d),1.80−1.87(2H,m),1.59−1.65(2H,m)。
【0126】
段階5:1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボン酸の製造
エチルアルコール(40mL)中の段階4からの1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボニトリル(4.3g)の室温溶液に、水酸化ナトリウム(水中、25% NaOH W/W)の20mLの溶液を添加した。その混合物を100℃にて一晩加熱した。それを室温に冷却し、氷及び塩酸(1N)に注ぎ、ジクロロメタン(2x100mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣を振り混ぜにより、メチルt−ブチルエーテル及びヘキサンを用いて精製し、表題化合物を得た。
【0127】
H NMR(CDCOCD)δ10.75−10.98(1H,bs),7.59−7.65(1H,m),7.35(1H,d),7.22(1H,d),1.58−1.65(2H,m),1.25−1.32(2H,m)。
【0128】
段階6:1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)−N−シクロプロピルシクロプロパンカルボキサミドの製造
DMF(20mL)中の段階5からの1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボン酸(2.0g)の0℃溶液に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(3.5g)及びシクロプロピルアミン(1.15mL)を添加した。1分間撹拌した後、ジイソプロピルエチルアミン(4.3mL)を滴下添加し、その混合物を室温にて16時間撹拌した。得られた混合物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液に注ぎ、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより、ヘキサン及び酢酸エチル(1:2から1:1)を使用して精製し、表題化合物を得た。
【0129】
H NMR(CDCOCD)δ7.59−7.65(1H,m),7.30(1H,d),7.20(1H,d),6.44(1H,bs),1.44−1.51(2H,m),1.00−1.09(2H,m),0.50−0.60(2H,m),0.30−0.40(2H,m)。
【0130】
段階7:ベンジル(3S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタノエートの製造
N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アスパラギン酸4−ベンジルエステル(30g)をジメトキシエタン(90mL)に溶解し、その溶液を−5℃に冷却した。N−メチルモルホリン(10.32mL)を添加し、次いで、反応温度を−10℃以下に保つように、クロロギ酸イソブチル(12.66mL)をゆっくりと添加した。その混合物を0.5時間熟成させた。固形物をすぐに濾過し、ジメトキシエタン(90mL)で洗浄した。濾過液を−50℃に冷却し、水(45mL)中の水素化ホウ素ナトリウム(4.4g)の溶液を、反応温度を−30℃から−15℃の間に維持するようにゆっくりと添加した。次に、この反応混合物の温度を−15℃以下に維持するように水(500mL)を添加した。懸濁液を濾過し、固形物を水(400mL)で洗浄し、乾燥させ、ベンジル(3S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタノエートを得た。
【0131】
H NMR(CDCOCD)δ7.3−7.45(5H,m),5.85−5.95(1H,NH),5.15(2H,s),3.95−4.1(2H,m),3.5−3.7(2H,m),2.55−2.75(2H,m),1.4(9H,s)。
【0132】
段階8:ベンジル[(4S)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−4−イル]アセテートの製造
ジクロロエタン(925mL)中の段階7からのアルコール(95.7g)の溶液に、ピリジン(625mL)を添加し、その混合物を0℃から5℃に冷却した。無水p−トルエンスルホン酸無水物(105.7g)を添加し、その混合物を室温に温め、1時間撹拌し、次に90℃に2時間加熱した。その混合物を冷却し、ジクロロメタン(1000mL)で希釈し、1N HCl(3x600mL)で洗浄した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより、1:1の比の酢酸エチル及びヘキサンを使用して、次いで酢酸エチルを用いて精製し、ベンジル[(4S)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−4−イル]アセテートを得た。
【0133】
H NMR(CDSOCD)δ7.8(1H,NH),7.3−7.45(5H,m),5.05−5.15(2H,m),4.4−4.5(1H,m),4.1−4.2(1H,m),4.0−4.05(1H,m),3.6−3.8(2H,m)。
【0134】
段階9:(4S)−4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンの製造
臭化メチルマグネシウム(ジエチルエーテル中の3M溶液 227mL)を、−20℃にてトルエン(340mL)及びTHF(340mL)の混合液に添加した。次に、温度を−10℃以下に維持しながら段階8からのエステル(40g)の温かいTHF溶液(170mL)を滴下添加した。その混合物を2時間熟成させ、次に、水(1000mL)及び酢酸(200mL)の混合物にゆっくりと添加し、得られた混合物を室温にて2時間撹拌した。水層を分離し、有機層を水(2x200mL)で抽出した。合わせた水層からジクロロメタン及び連続抽出器を用いて生成物を抽出した。共溶媒としてヘプタンを用いてジクロロメタン抽出物を乾燥するまで蒸発させ、酢酸を共沸除去した。この残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより、エタノール及びジクロロメタン(1:30)を用いて精製し、(4S)−4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンを得た。
【0135】
H NMR(CDCOCD)δ6.1−6.4(1H,NH),4.45−4.55(1H,m),4.1−4.2(1H,m),3.95−4.05(1H,m),3.7(1H,s),1.65−1.85(2H,m),1.25(6H,m)。
【0136】
段階10:(4S)−4−(2−フルオロ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンの製造
段階9からのアルコール(47.8g)のジクロロメタン溶液(100mL)を、ジクロロメタン(500mL)中の(ジエチルアミノ)イオウトリフルオリド(48.5g)の−70℃の溶液に添加した。その混合物を室温に温め、1時間撹拌した。次に、その混合物を、0℃のNaHCO飽和水溶液(800mL)の混合液に慎重に添加した。有機層を分離し、NaHCO飽和水溶液で洗浄した。その水層をさらにジクロロメタン(100mL)で抽出し、合わせたジクロロメタン層を乾燥させ、濃縮した。この残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより、酢酸エチル及びヘキサン(1:5)を使用して、次に酢酸エチルを用いて精製し、(4S)−4−(2−フルオロ−2−メチルプロピル)−1,3−オキサゾリジン−2−オンを得た。
【0137】
H NMR(CDSOCD)δ7.6(1H,NH),4.4−4.5(1H,m),3.95−4.05(1H,m),3.9−3.95(1H,m),1.8−1.95(2H,m),1.25−1.4(6H,2s)。
【0138】
段階11:(2S)−2−アミノ−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールの製造
90% 水性エチルアルコール(216mL)中の段階10からのフルオロ誘導体(21.0g)の溶液に、水酸化カリウム(21.9g)を添加した。その混合物を還流温度にて4時間加熱し、室温に冷却した。次に、その混合物を濃縮し、トルエン(3x300mL)で共蒸発させた。この残渣をジクロロメタン(500mL)に溶解し、0.5時間撹拌した。その懸濁液をceliteを介して濾過し、そのceliteをジクロロメタン(3x100mL)で洗浄した。濾過液を乾燥するまで濃縮し、(2S)−2−アミノ−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールを得た。
【0139】
H NMR(CDOD)δ3.4−3.5(1H,m),3.2−3.3(1H,m),3.0−3.1(1H,m),1.5−1.7(2H,m),1.35(3H,s),1.3(3H,s)。
【0140】
段階12:(2S)−1−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−フルオロ−4−メチルペンタン−2−アミンの製造
段階11からのアミノアルコール(21.0g)をジクロロメタン(300mL)に溶解し、その溶液を0℃に冷却した。4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.051g)及びtert−ブチルジメチルシリルクロリド(21g)を添加し、続いてトリエチルアミン(25mL)を添加した。その混合物を一晩室温にて撹拌した。この反応混合物を0℃の塩化アンモニウム飽和水溶液にゆっくりと注ぎ、ジクロロメタン(3x300mL)で抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去して、(2S)−1−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−フルオロ−4−メチルペンタン−2−アミンを得た。
【0141】
H NMR(CDOD)δ3.6−3.65(1H,m),3.4−3.5(1H,m),3.1−3.2(1H,m),1.6−1.8(2H,m),1.35−1.45(6H,m),0.93(9H,s),0.1(6H,s)。
【0142】
段階13:(2S)−1−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−フルオロ−4−メチル−N−[(1E)−2,2,2−トリフルオロエチリデン]ペンタン−2−アミンの製造
ベンゼン(126mL)中の段階12からのアミン(31.5g)の溶液に、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール(21.6mL)を添加した。Dean−Starkトラップを用いて溶液を還流温度にて一晩加熱し、水を回収した。この反応混合物を室温に冷却し、乾燥するまで濃縮した。この残渣をSiOで、ヘキサン中の4% 酢酸エチルを用いて精製し、(2S)−1−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−フルオロ−4−メチルペンタン−2−アミンを得た。
【0143】
H NMR(CDCOCD)δ7.9−7.95(1H,m),3.75−3.85(1H,m),3.7−3.75(1H,m),3.53−3.6(1H,m),1.9−2.0(2H,m),1.3−1.4(6H,m),0.9(9H,s),0.1(3H,s),0.05(3H,s)。
【0144】
段階14:(2S)−2−{[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]アミノ}−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールの製造
THF(4mL)中の1,4−ジブロモベンゼン(0.26g)の−75℃溶液に、n−BuLi(2.5M ヘキサン溶液 0.42mL)を添加し、その混合物を20分間熟成させた。THF(2mL)中の段階13からのイミン(0.329g)を添加し、その混合物を2時間熟成させた。次に、その混合物を水(50mL)とNHCl(1g)と砕いた氷との混合物に添加した。それを酢酸エチル(2x25mL)で抽出し、合わせた酢酸エチル層を乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。
【0145】
1,4−ジブロモベンゼン(1.2g)、n−BuLi(1.84mL)及び前記イミン(1.38g)を用いて大スケールで同様の手段を繰り返し、この反応混合物を上記のように処理した。両製造からの合わせた残渣をTHF(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。n−テトラブチルアンモニウムフルロリド(n−Tetrabutylammonium fluroride)(1M THF溶液から6mL)を添加し、その混合物を+5℃にて16時間撹拌した。その混合物を水(50mL)、塩化アンモニウム(1g)及び砕いた氷の混合物に注ぎ、有機層を分離した。さらに水層を酢酸エチル(2x15mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ、濃縮した。この残渣をSiOで、酢酸エチル及びヘキサン(1:5)を使用して精製し、(2S)−2−{[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]アミノ}−4−フルオロ−4−メチルペンタン−1−オールを得た。
【0146】
H NMR(CDCOCD)δ7.65(2H,m),7.5(2H,m),4.5−4.6(1H,m),3.8(1H,m),3.6(1H,m),3.3−3.4(1H,m),2.85−2.0(1H,m),2.55(1H,m),1.7−1.9(2H,s),1.3−1.4(6H,m)。
【0147】
段階15:N−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミドの製造
IO/CrO(CHCN中0.44M 66mL;注)の懸濁液を0℃に冷却し、CHCH(5mL)中の段階14からのアルコール(1.55g)の溶液を滴下添加した。その混合物を0℃から5℃にて3.5時間撹拌した。激しく撹拌しながら、それをpH4 NaHPO(200mL)に注ぎ、その混合物をジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を水及び食塩水(1:1)で洗浄し、次いで、NaHSO水溶液及び食塩水で希釈した。その混合物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を乾燥するまで蒸発させ、N−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンを得て、そのまま次の段階で使用した。
【0148】
注.Tetrahedron Letters 39(1998)5323−5326に記載のよう製造にして、しかし、HPLCグレードのCHCN(0.5%水含有)を使用して酸化剤(HIO/CrO)を製造した(水は添加しなかった。)。
【0149】
ジイソプロピルエチルアミン(4.2mL)を、上記からの酸(1.5g)、1−アミノ−1−シクロプロパンカルボニトリル塩酸塩(1.18g)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.94g)及びジメチルホルムアミド(5mL)の0℃の懸濁液に添加し、その混合物を室温にて48時間反応させた。次に、それを氷に注ぎ、塩化アンモニウム水溶液で希釈した。その混合物を酢酸エチル及びエーテル(1:1)で抽出し、合わせた有機層をpH3 希NaHPO及び食塩水で洗浄した。溶媒を乾燥するまで蒸発させ、酢酸エチル及びヘキサン(1:2)を使用してこの残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより精製し、次の段階に対して十分な純度でN−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミドを得た。
【0150】
H NMR(CDCOCD)δ8.15(1H,NH),7.6(2H,m),7.45(2H,m),4.35−4.45(1H,m),3.45−3.55(1H,m),1.9−2.1(2H,m),1.75−1.85(1H,NH),1.35−1.55(8H,m),1.1−1.15(1H,m),0.95−1.05(1H,m)。
【0151】
段階16:N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−L−ロイシンアミド
段階15からのN−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド(2.0g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.24g)及び酢酸カリウム(1.53g)のDMF(40mL)懸濁液に15分間窒素気流を通した。次に、触媒[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタンとの複合体(1:1)(181mg)を添加し、その混合物を窒素下で65℃に一晩温めた。その混合物を室温に冷却し、酢酸エチル及びヘキサン(1:1、100mL)で希釈し、水(50mL)及び氷(50g)に注いだ。有機層を分離し、水層をさらに酢酸エチル及びヘキサン(1:1、3x50mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒除去して残った残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより、酢酸エチル及びヘキサンを使用して(1:3から1:2)精製し、表題化合物を得た。
【0152】
H NMR(CDCOCD)δ8.15(1H,bs),7.78(2H,d),7.50(2H,d),4.31−4.40(1H,m),3.47−3.54(1H,m),2.72−2.80(2H,m),1.32−1.48(9H,m),1.05−1.11(1H,m),0.87−0.95(1H,m)。
【0153】
段階17:N−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−2’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミドの製造
DMF(4mL)、段階15からのN−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−L−ロイシンアミド(350mg)、段階6からの1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)−N−シクロプロピルシクロプロパンカルボキサミド(250mg)及び2M NaCO(900μL)の溶液に15分間窒素気流を通し、次いで[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタンとの複合体(1:1)(29mg)を添加した。その混合物を80℃に3時間窒素下で温めた。その混合物を室温に冷却し、氷(20g)及び重炭酸ナトリウム飽和水溶液(20mL)に注ぎ、酢酸エチル(3x60mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去した残った残渣を、SiOでのクロマトグラフィーにより、溶出液として酢酸エチル及びヘキサン(1:1から2:1)を使用して精製し、次いで、酢酸イソプロピル及びヘキサンを用いて再結晶化し、表題化合物を得た。
【0154】
H NMR(CDCOCD)δ8.18(1H,s),7.60−7.70(4H,m),7.50−7.55(1H,m),7.33(1H,d),7.28(1H,d),6.40(1H,bs),4.38−4.48(1H,m),3.56(1H,t),2.67−2.69(1H,m),1.92−2.01(2H,m),1.45−1.46(10H,m),1.05−1.11(3H,m),0.92−0.99(1H,m),0.56−0.60(2H,m),0.36−0.38(2H,m)。
【実施例2】
【0155】
−[(1S)−1−(4−{5−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ピリジン−2−イル}フェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミドの合成。
【0156】
【化17】

【0157】
段階1:(6−クロロピリジン−3−イル)メタノールの製造
THF 250mL中のエチル6−クロロニコチネート(10g)の−78℃溶液に、水素化リチウムアルミニウム(トルエン中1.5M) 126mLをゆっくりと添加した。その混合物を0℃にて1時間撹拌した。酒石酸飽和水溶液(200mL)に注ぎ、酢酸エチル(2x200mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより、酢酸エチル及びヘキサン(1:2から1:1)を使用して精製し、表題化合物を得た。
【0158】
H NMR(CDCOCD)δ8.35(1H,s),7.80(1H,d),7.40(1H,d),4.68(2H,d),4.55(1H,t)。
【0159】
段階2:(6−クロロピリジン−3−イル)アセトニトリルの製造
ジクロロメタン(250mL)中の段階1からの(6−クロロピリジン−3−イル)メタノール(7.5g)及びトリエチルアミン(8.7mL)の−78℃溶液に、塩化メタンスルホニル(4.5mL)をゆっくりと添加した。この反応混合物を0℃にて1時間撹拌した。次に、氷及びHCl(1N)に注ぎ、リン酸水素2ナトリウム飽和水溶液でpH4に調整し、分配した。水層をジクロロメタン(1x150mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をDMF(100mL)に溶解し、シアン化ナトリウム(2.8g)を添加した。この反応混合物を室温にて3時間撹拌し、氷及び水(100mL)に注いだ。酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をSiOでのクロマトグラフィーにより、酢酸エチル及びヘキサン(1:5から1:2)を使用して精製し、表題化合物を得た。
【0160】
H NMR(CDCOCD)δ8.45(1H,s),7.90(1H,d),7.50(1H,d),4.06(2H,s)。
【0161】
段階3:1−(6−クロロピリジン−3−イル)シクロプロパンカルボニトリルの製造
水酸化ナトリウム(水中50%、W/W) 9.9mLの溶液中の段階2からの(6−クロロピリジン−3−イル)アセトニトリル(6.1g)の室温溶液に、1−ブロモ−2−クロロエタン(5.3mL)及び塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(273mg)を添加した。その混合物を60℃にて一晩加熱した。この反応混合物を室温に冷却し、水(100mL)に注ぎ、酢酸エチル(200mL)で抽出した。その抽出物を塩化アンモニウム飽和水溶液及び食塩水で洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。ジエチルエーテル及びヘキサンを用いてこの残渣を振り混ぜにより精製し、表題化合物を得た。
【0162】
H NMR(CDCOCD)δ8.45(1H,s),7.80(1H,d),7.48(1H,d),1.80−1.87(2H,m),1.59−1.68(2H,m)。
【0163】
段階4:1−(6−クロロピリジン−3−イル)シクロプロパンカルボン酸の調製
エチルアルコール(60mL)中の段階3からの1−(6−クロロピリジン−3−イル)シクロプロパンカルボニトリル(5.3g)の室温溶液に、水酸化ナトリウム(水中25% NaOH、W/W) 30mLの溶液を添加した。その混合物を100℃にて8時間加熱した。それを室温に冷却し、リン酸水素2ナトリウム飽和水溶液(0℃にて)に注ぎ、塩酸(1N)でpH4に調整した。その混合物をジクロロメタン(2x100mL)で抽出し、合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。ジエチルエーテル及びヘキサンを用いてこの残渣を振り混ぜにより精製し、表題化合物を得た。
【0164】
H NMR(CDCOCD)δ10.90(1H,bs),8.44(1H,s),7.88(1H,d),7.41(1H,d),1.60−1.68(2H,m),1.28−1.35(2H,m)。
【0165】
段階5:1−(6−クロロピリジン−3−イル)シクロプロパンカルボキサミドの製造
クロロホルム(50mL)中の段階4からの1−(6−クロロピリジン−3−イル)シクロプロパンカルボン酸(1.0g)0℃の溶液に、クロロギ酸イソブチル(800μL)及びトリエチルアミン(920μL)をゆっくりと添加した。この反応混合物を0℃にて2時間撹拌した。次に、アンモニウムガスで飽和させ、0℃にて10分間撹拌した。この反応混合物を室温にて1時間静置して、次に、水(80mL)に注ぎ、分配した。水層をジクロロメタン(2x80mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。ジエチルエーテル及びヘキサンを用いてこの残渣を振り混ぜにより精製し、表題化合物を得た。
【0166】
H NMR(CDCOCD)δ8.40(1H,s),7.83(1H,d),7.40(1H,d),6.50(1H,bs),6.29(1H,bs),1.45−1.50(2H,m),1.00−1.08(2H,m)。
【0167】
段階6:N−[(1S)−1−(4−{5−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ピリジン−2−イル}フェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミドの調製
DMF/1−プロパノール(それぞれ1mL、4mL)、実施例1、段階15からのN−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−L−ロイシンアミド(150mg)、段階5からの1−(6−クロロピリジン−3−イル)シクロプロパンカルボキサミド(74mg)及び2M NaCO(400μL)の溶液に、15分間窒素気流を通し、次いで、酢酸パラジウム(II)、トリフェニルホスフィンとの複合体(4:1)(16mg)を添加した。その混合物を80℃に8時間窒素下で温めた。その混合物を室温に冷却し、氷(20g)及び重炭酸ナトリウム飽和水溶液(20mL)に注ぎ、酢酸エチル(3x60mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去して残った残渣をSiOでのクロマトグラフィー(Combiflash)により、溶出液として酢酸エチル及びヘキサン(60%で10分間、次に60%から100%で30分間)を使用して精製し、次いで、ジエチルエーテル及びヘキサンを用いて振り混ぜにより精製し、表題化合物を得た。
【0168】
H NMR(CDCOCD)δ8.75(1H,s),8.18−8.21(3H,m),7.95(1H,d),7.91(1H,d),7.60−7.62(2H,m),6.40(1H,bs),6.20(1H,bs),4.38−4.48(1H,m),3.50−3.60(1H,m),1.92−2.01(2H,m),1.35−1.52(10H,m),1.09−1.17(3H,m),0.92−1.02(1H,m)。
【実施例3】
【0169】
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミドの合成。
【0170】
【化18】

【0171】
段階1:1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリルの製造
水酸化ナトリウム(水中50%W/W)22mLの溶液中の4−ブロモフェニルアセトニトリル(18.0g)室温溶液に、1−ブロモ−2−クロロエタン(12.0mL)及び塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(627mg)を添加した。その混合物を60℃にて一晩加熱した。この反応混合物を室温に冷却し、ジエチルエーテル(300mL)を添加し、分配した。エーテル層を水(100mL)、塩酸(100mL、水中10% HCl)及び食塩水で洗浄した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をジエチルエーテル及びヘキサンを用いて振り混ぜにより精製し、表題化合物を得た。
【0172】
H NMR(CDCOCD)δ7.60(2H,d),7.35(2H,d),1.74−1.80(2H,m),1.52−1.57(2H,m)。
【0173】
段階2:1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸の製造
エチルアルコール(110mL)中の段階1からの1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボニトリル(13g)の室温溶液に、水酸化ナトリウム(水中25% NaOH W/W)56mLの溶液を添加した。その混合物を100℃にて一晩加熱した。それを室温に冷却し、氷及び塩酸(1N)に注ぎ、ジクロロメタン(2x100mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、表題化合物を得た。
【0174】
H NMR(CDCOCD)δ7.50(2H,d),7.35(2H,d),1.53−1.60(2H,m),1.18−1.22(2H,m)。
【0175】
段階3:1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボキサミドの製造
クロロホルム(60mL)中の段階2からの1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸(1.5g)の−15℃溶液に、クロロギ酸イソブチル(900μL)及びトリエチルアミン(1.1mL)をゆっくりと添加した。この反応混合物を−15℃にて2時間撹拌した。次に、アンモニウムガスで飽和させ、−15℃にて10分間撹拌した。この反応混合物を室温にて1時間静置し、次に水(60mL)に注ぎ、分配した。水層をジクロロメタン(2x60mL)で抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。この残渣をジエチルエーテル及びヘキサンを用いて振り混ぜにより精製し、表題化合物を得た。
【0176】
H NMR(CDCOCD)δ7.54(2H,d),7.40(2H,d),6.45(1H,bs),5.96(1H,bs),1.42−1.48(2H,m),0.98−1.02(2H,m)。
【0177】
段階4:1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミドの製造
段階3からの1−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボキサミド(14.2g、59.2mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(18.0g、70.9mmol、1.2当量)及び酢酸カリウム(20.4g、208mmol、3.5当量)をN,N−ジメチルホルムアミド(300mL)中で混合した。その混合物を3分間窒素で脱気し、次に、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド、ジクロロメタンとの1:1複合体(2.16g、3.0mmol、0.05当量)を添加し、その混合物を窒素で再び3回脱気した。この反応混合物を65℃にて18時間加熱し、次に、HO(1.2L)に注ぎ、酢酸エチル(2x300mL)で抽出した。合わせた有機分画を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。溶出液として酢酸エチル/ヘキサン(2:1)を用いて、褐色の残渣を小さなシリカのパッドに通した。回収した黄白色の固体を20% 酢酸エチル/ヘキサン(250mL)中で6時間撹拌し、次に濾過し、表題化合物を得た。
【0178】
H NMR(500MHz,アセトン d)δ7.7(d,2H),7.45(d,2H),6.4(s,br,1H),5.8(s,br,1H),1.46−1.4(m,2H),1.31(s,12H),1.0−0.96(m,2H)。
【0179】
段階5:N−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミドの製造
ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールから出発して、実施例1、段階13から14の手段に従い、表題化合物を調製した。
【0180】
H NMR(500MHz,アセトン d)δ8.2(s,1H),7.56(d,2H),7.4(d,2H),6.15−5.9(m,1H),4.08−3.98(m,1H),3.4−3.34(m,1H),2.61−2.55(m,1H),2.0−1.9(m,2H),1.42−1.34(m,8H),1.05−0.92(m,2H)。
【0181】
段階6:N−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミドの製造
−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド(11.2g、25.9mmol)、1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(8.2g、28.5mmol、1.1当量)及び2M 炭酸ナトリウム溶液(35.4mL、70.8mmol、2.7当量)を225mL N,N−ジメチルホルムアミド 225mL中で混合した。その混合物を窒素で3回脱気し、次に[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド、ジクロロメタンとの1:1複合体(838mg、1.15mmol、0.044当量)を添加し、混合物を再び窒素で3回脱気し、80℃にて6時間加熱した。この反応混合物をHO(900mL)に注ぎ、酢酸エチル(2x250mL)及びジクロロメタン(250mL)で抽出した。合わせた有機分画を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた。この残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより、最初に1:1酢酸エチル/ヘキサン、次に9:1酢酸エチル/ヘキサンで溶出して精製した。回収した薄いピンク色の固体を1:1 酢酸エチル/ジクロロメタン 150mL中で2時間撹拌し、濾過し、表題化合物を得た。
【0182】
H NMR(500MHz,アセトン d)δ8.22(s,1H),7.73−7.67(m,4H),7.58−7.53(m,4H),6.35(s,1H),6.2−5.95(m,1H),5.84(s,1H),4.12−4.04(m,1H),3.49−3.43(m,1H),2.66−2.62(m,1H),2.04−1.93(m,2H),1.5−1.36(m,10H),1.07−1.0(m,4H)。MS +ESI 513.2[M+1]。
【実施例4】
【0183】
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{[(1R,2R)−2−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミドの合成。
【0184】
【化19】

【0185】
段階1:(1R,2R)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸
銅(I)トリフラート及びジアゾ酢酸エチルと組み合わせて、市販の2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−tert−ブチル−2−オキサゾリン]を用いて、文献の手段と類似のエナンチオマー選択性シクロプロパン化(Evansら、J.Am.Chem.Soc.1991,113,726)を使用して、4−ブロモスチレンから、光学活性のあるエチル(1R,2R)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボキシレートを調製した。絶対配置は、旋光性の向きに基づいた類推により指定した。シス及びトランスエステルの混合物(シクロプロパン化手段により得られた。)からのLiOH(1当量、トランスエステルに基づく。)によるトランス異性体の選択的加水分解により、表題化合物を得た。
【0186】
段階2:(1R,2R)−2−(4−ブロモフェニル)−N−シクロプロピルシクロプロパンカルボキサミド
室温のジメチルホルムアミド(5mL)中の段階1からの(1R,2R)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸(300mg、1.24mmol)の溶液に、HATU(500mg、1.31mmol)を添加し、次いで、シクロプロピルアミン(0.44mL、6.2mmol)を添加した。この反応混合物を一晩撹拌し、重炭酸ナトリウム半飽和水溶液(50mL)、エーテル(50mL)及び酢酸エチル(50mL)で希釈した。相を分離し、有機層を水で2回(各回30mL)洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。この残渣をシリカゲルの短いカラムで、50% 酢酸エチル:ジエチルエーテルを用いて精製し、表題化合物を得た。
【0187】
段階3:N−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド
実施例1、段階16に記載したようにして、N−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミドをビス(ピナコラート)ジボロンと反応させ、表題化合物を得た。
【0188】
段階4:N−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{[(1R,2R)−2−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド
室温のジメチルホルムアミド(15mL)中の段階2からの(1R,2R)−2−(4−ブロモフェニル)−N−シクロプロピルシクロプロパンカルボキサミド(480mg、1.6mmol)及び段階3からのN−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド(704mg、1.46mmol)の溶液に、2.0M 炭酸ナトリウム水溶液(2.2mL)を添加し、ピペットを用いて窒素を泡立てながら5分間撹拌した。この反応混合物を窒素下で80℃にて20時間撹拌し、室温に冷却し、水(25mL)、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(75mL)及び酢酸エチル(100mL)に注いだ。相を分離し、水相を酢酸エチル 50mLずつで2回抽出した。合わせた有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。この残渣をシリカゲルで、50% 酢酸エチル:50% トルエンから75% 酢酸エチル:25% トルエンの勾配を用いて精製した。固形物をジエチルエーテルとヘキサンとの混合液中で摩砕し、次いで、ジクロロメタン及びヘキサン中で一晩撹拌し、白色固体として表題化合物が残った。MS(+ESI):553.4[M+1]
【実施例5】
【0189】
(2S)−N−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−1−[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]−4−フルオロ−4−メチル−1−オキソペンタン−2−アミニウムメタンスルホネートの合成。
【0190】
【化20】

【0191】
THF(8mL)中のN−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド(112mg、0.219mmol)の溶液に、メタンスルホン酸(ジクロロメタン中1M溶液)0.21mLを添加し、次いで、メチルt−ブチルエーテル(2mL)を添加した。種結晶を添加し、結晶床(crystal bed)が形成されるまでその混合物を静置した。溶媒を除去し、固形物をメチルt−ブチルエーテルに懸濁し、還流温度に一晩加熱した。室温に冷却し、濾過し、真空下で乾燥させ、表題化合物を得た。m.p.126C。
【0192】
H NMR(400MHz,メタノール d)δ7.82(d,2H),7.70(d,2H),7.62(d,2H),7.55(d,2H),6.41(dt,1H),4.7(m,1H),3.84(m,1H),2.73(s,3H),2.3(m,2H),2.58(m,2H),1.5−1.35(m,8H),1.13(m,4H)。
【実施例6】
【0193】
(2S)−1−[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]−N−[(1S)−1−(4’−{(1R,2R)−2−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−4−メチル−1−オキソペンタン−2−アミニウム4−メチルベンゼンスルホネートの合成。
【0194】
【化21】

【0195】
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{(1S,2S)−2−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド(60mg、0.11mmol)をTHF 0.80mLに溶解した。TsOH.HO(21mg、0.11mmol)をTHF 0.20mLに溶解し、この反応混合物に添加した。それを室温にて30分間撹拌した。次に、溶液から沈殿物が崩壊するまでヘキサン(〜3mL)を添加した。それを5分間、超音波破砕にかけ、それをブフナー漏斗で濾過した。白色の固体をポンプで一晩乾燥させた。ジエチルエーテル(〜5mL)中で2時間室温にてそれを摩砕し、ブフナー漏斗で濾過し表題化合物を得た。
【0196】
H NMR(CDCOCD)δ8.80(br,s,1H),7.60−7.80(m,8H),7.45(br,s,1H),7.22−7.32(m,4H),6.60(t,1H),4.60(m,1H),4.05(m,1H),2.77(m,1H),2.28−2.42(m,6H),1.85(m,1H),1.37−1.53(m,9H),1.23(m,1H),1.12(m,2H),0.65(m,2H),0.47(m,2H)。
【0197】
上記で挙げた手段と同様の実験手段を用いて、次の化合物を合成した。
【0198】
【表1】




【0199】
医薬組成物
本発明の特定の実施形態として、N−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−1−[4−(6−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−2−フルオロピリジン−3−イル)フェニル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド 100mgを、十分に微細化したラクトースとともに調剤して、総量580mgから590mgとし、サイズ0の硬ゼラチンカプセル中に充填する。
【0200】
本願において開示される化合物は、以下のアッセイにおいて活性を示した。さらに、本願において開示される化合物は、以前に開示された化合物よりも薬理学的プロファイルが向上している。
【0201】
カテプシンKアッセイ
試験化合物500μMから0.0085μMの段階希釈物(1/3)をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで、各希釈物からのDMSO 2μLをアッセイ緩衝液 50μL(MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;DTT、2.5mM及び10%DMSO)及びアッセイ緩衝溶液中のヒトカテプシンK(0.4nM)25μLに添加した。アッセイ溶液を振とうプレート上で5秒間から10秒間混合し、室温で15分間インキュベーションした。アッセイ緩衝液 25μL中のZ−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に添加した。クマリン脱離基(AMC)の加水分解を、分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)により10分間追跡した。用量反応曲線の標準数学モデルに実験値を当てはめることによって阻害率を計算した。
【0202】
カテプシンLアッセイ
試験化合物500μMから0.0085μMの段階希釈物(1/3)をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで、各希釈物からのDMSO 2μLをアッセイ緩衝液50μL(MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;DTT、2.5mM及び10%DMSO)及びアッセイ緩衝溶液中のヒトカテプシンL(0.5nM)25μLに添加した。アッセイ溶液を振とうプレート上で5秒間から10秒間混合し、室温で15分間インキュベーションした。アッセイ緩衝液 25μL中のZ−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に添加した。クマリン脱離基(AMC)の加水分解を、分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)により10分間追跡した。用量反応曲線の標準数学モデルに実験値を当てはめることによって阻害率を計算した。
【0203】
カテプシンBアッセイ
試験化合物500μMから0.0085μMの段階希釈物(1/3)をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで、各希釈物からのDMSO 2μLをアッセイ緩衝液50μL(MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;DTT、2.5mM及び10%DMSO)及びアッセイ緩衝溶液中のヒトカテプシンB(4.0nM)25μLに添加した。アッセイ溶液を振とうプレート上で5秒間から10秒間混合し、室温で15分間インキュベーションした。アッセイ緩衝液 25μL中のZ−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に添加した。クマリン脱離基(AMC)の加水分解を、分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)により10分間追跡した。用量反応曲線の標準数学モデルに実験値を当てはめることによって阻害率を計算した。
【0204】
カテプシンSアッセイ
試験化合物500μMから0.0085μMの段階希釈物(1/3)をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。次いで、各希釈物からのDMSO 2μLをアッセイ緩衝液50μL(MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;DTT、2.5mM及び10%DMSO)及びアッセイ緩衝溶液中のヒトカテプシンS(20nM)25μLに添加した。アッセイ溶液を振とうプレート上で5秒間から10秒間混合し、室温で15分間インキュベーションした。アッセイ緩衝液 25μL中のZ−Leu−Arg−AMC(8μM)をアッセイ溶液に添加した。クマリン脱離基(AMC)の加水分解を、分光蛍光分析(Exλ=355nm;Emλ=460nm)により10分間追跡した。用量反応曲線の標準数学モデルに実験値を当てはめることによって阻害率を計算した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物
(式中、Rは、水素、C1−6アルキル又はC2−6アルケニル(該アルキル及びアルケニル基は、1個から6個のハロ、C3−6シクロアルキル、−SR、−SOR、−SO、−SOCH(R)(R)、−OR、−N(R、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリル(該アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル基は、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ又はケトから独立に選択される1個又は2個の置換基で場合によって置換されていてもよく)で場合によって置換されていてもよく)であり;
は、水素、C1−6アルキル又はC2−6アルケニル(該アルキル及びアルケニル基は、1個から6個のハロ、C3−6シクロアルキル、−SR、−SOR、−SO、−SOCH(R)(R)、−OR、−N(R、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリル(該アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル基は、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ又はケトから独立に選択される1個又は2個の置換基で場合によって置換されていてもよく)で場合によって置換されていてもよく)であるか;
又は、R及びRは、それらが結合される炭素原子と一緒になってC3−8シクロアルキル又はヘテロシクリル環を形成し得、該環系は、C1−6アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル又はハロから独立に選択される1個又は2個の置換基で場合によって置換されていてもよく;
は、C1−6アルキル又はC2−6アルケニルであり該アルキル及びアルケニル基は、C3−6シクロアルキル又は1個から6個のハロで場合によって置換されていてもよく;
は、1個から6個のハロで置換されるC1−6アルキルであり;
は、水素又はC1−3アルキルから選択され;
Dは、アリール又はヘテロアリールであり、単環又は二環式であり得る該アリール又はヘテロアリール基は、炭素又はヘテロ原子のいずれかにおいて、C1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、−N(R、−SO又は−SOから独立に選択される1個から5個の置換基で場合によって置換されていてもよく;
Eは、アリール又はヘテロアリールであり、単環又は二環式であり得る該アリール又はヘテロアリール基は、炭素又はヘテロ原子のいずれかにおいて、C1−6アルキル、ハロアルキル、ハロ、ケト、アルコキシ、−SR、−OR、−N(R又は−SOから独立に選択される1個から5個の置換基で場合によって置換されていてもよく;
Xは、CR又はC3−8シクロアルキルであり;
は、水素、C1−6アルキル、アリール、アリール(C1−4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−4)アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキル(C1−4)アルキル及びヘテロシクリル(C1−4)アルキルであり(ここで、該基は、ハロ、アルコキシ、シアノ、−NR、−SR又は−SOから独立に選択される、1、2又は3個の置換基で、場合によって置換されていてもよく)から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シアノ、ハロ、アルコキシ、OR、−NR、−SR又は−SOから選択され;該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール基は、ハロ、シアノ又は−ORから独立に選択される1、2又は3個の置換基で場合によって置換されていてもよく;
は、水素であり、又はハロもしくは−ORから独立に選択される1、2又は3個の置換基で場合によって置換されるC1−6アルキルであり;
は、水素であり、又はハロもしくは−ORから独立に選択される1、2又は3個の置換基で場合によっては置換されるC1−6アルキルであり;
mは0から2の整数である。)
又は医薬適合性のそれらの塩もしくは立体異性体。
【請求項2】
が水素であり、Rが水素であるか、又はR及びRが、それらが結合される炭素原子と一緒になってC3−8シクロアルキル環を形成し得る、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、1個から6個のハロで場合によっては置換されるC1−6アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Dがアリールである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Dがフェニルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
XがC3−8シクロアルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
Xがシクロプロピルである、請求項6に記載の化合物
【請求項8】
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−2’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−[(1S)−1−(4−{5−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ピリジン−2−イル}フェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{[(1R,2R)−2−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アゼチジン−1−イルカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−1−{4’−[2−(シクロプロピルアミノ)−2−オキソエチル]ビフェニル-4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(イソプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(ピリジン−3−イルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(1−メチルシクロプロピル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−フルオロシクロプロピル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−1,1−ジフルオロ−2−オキソエチル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(シアノメチル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]−2’−フルオロビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロブチル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロブチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(シアノメチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロブチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−1−[4’−(1−{[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]−2,2−ジフルオロエチル}−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(メトキシアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(ジメチルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロブチルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(ピロリジン−1−イルカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}エチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−2,2−ジフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−メトキシエチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−2,2−ジフルオロ−1−{4’−[1−(モルホリン−4−イルカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}エチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(メチルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−1−[4’−(1−{[(シクロプロピルメチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]−2,2−ジフルオロエチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−2,2−ジフルオロ−1−(4’−{1−[(プロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)エチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−1−[4’−(1−{[(シアノメチル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(1−{[(メチルスルホニル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(1S)−1−(4’−{1−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−1−{4’−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−3’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ビフェニル−4−イル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−3’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−((1S)−1−{4’−[2−(シクロプロピルアミノ)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2−ジフルオロエチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−[(1S)−1−(4’−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}−2’−フルオロビフェニル−4−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−N−{(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−(1−{[(2−フルオロシクロプロピル)アミノ]カルボニル}シクロプロピル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンアミド;
−[(1S)−1−(4−{5−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]−3−クロロピリジン−2−イル}フェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4−(3−クロロ−5−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ピリジン−2−イル)フェニル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−(1−シアノシクロプロピル)−N−{(1S)−1−[4−(5−{1−[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]シクロプロピル}ピリジン−2−イル)フェニル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(シアノメチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−[(1S)−1−(4−{5−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ピリジン−2−イル}フェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−N−(シアノメチル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1R)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル)−2’−フルオロビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4−[5−(2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル)ピリジン−2−イル]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル)−2’−フルオロビフェニル−4−イル]−2,2−ジフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1R)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]−2’−フルオロビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]−2’−フルオロビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]−2−ブロモビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−5−ヒドロキシ−L−ロイシンアミド;
1−(4’−{(1S)−1−[((1S)−1−{[(1−シアノシクロプロピル)アミノ]カルボニル}−3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]−2,2,2−トリフルオロエチル}ビフェニル−4−イル)シクロプロパンカルボキサミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)ビニル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(アミノカルボニル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−L−ノルバリンアミド;
−((1S)−1−{4’−[1−(2−アミノ−2−オキソエチル)シクロプロピル]ビフェニル−4−イル}−2,2,2−トリフルオロエチル)−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−2−オキソエチル)−2’−フルオロビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド;
−{(1S)−1−[4’−(2−アミノ−2−オキソエチル)ビフェニル−4−イル]−2,2,2−トリフルオロエチル}−N−(1−シアノシクロプロピル)−4−フルオロ−L−ロイシンアミド
から選択される請求項1に記載の化合物又は医薬適合性のそれらの塩もしくは立体異性体。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物と、医薬適合性の担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物の治療有効量の、骨粗しょう症、グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症、パジェット病、骨代謝回転の異常増加、歯周病、歯の損失、骨折、関節リウマチ、骨関節炎、人工関節周囲の骨融解、骨形成不全症、肥満、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症又は多発性骨髄腫の治療が必要な哺乳動物における、前記の治療に有用な医薬品の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物と、有機ビスホスホナート、エストロゲン受容体モジュレーター、エストロゲン受容体βモジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨細胞プロトンATPase阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト又は骨芽細胞同化剤及び医薬適合性のそれらの塩及び混合物からなる群から選択される別の薬剤を含む医薬組成物。
【請求項12】
骨粗しょう症、グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症、パジェット病、骨代謝回転の異常増加、歯周病、歯の損失、骨折、関節リウマチ、骨関節炎、人工関節周囲の骨融解、骨形成不全症、肥満、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症又は多発性骨髄腫の治療が必要な哺乳動物における、前記の治療に有用な医薬品の製造における、請求項1に記載の化合物と、有機ビスホスホナート、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、破骨細胞プロトンATPaseの阻害剤、HMG−CoAレダクターゼの阻害剤、インテグリン受容体アンタゴニスト、骨芽細胞同化剤及び医薬適合性のそれらの塩及び混合物からなる群から選択される別の薬剤の使用。

【公表番号】特表2007−513890(P2007−513890A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543331(P2006−543331)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/CA2004/002101
【国際公開番号】WO2005/056529
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】